説明

画像形成装置、ネットワーク接続診断方法およびプログラム

【課題】複数の接続端子を有する装置のネットワーク接続状態を、他の装置からの情報を使用することなく自己診断可能とする。
【解決手段】診断部34は、ポート1、2という2つのポートのうちのいずれか1つのポートから、自装置の他のポートおよび外部に接続されたサーバ21、22等の他装置に対して診断パケットを送信して、その診断要求に対する応答の有無を診断する。障害箇所判定テーブル格納部33は、送信した診断パケットに対する応答の有無により自装置のポートのネットワーク30への接続状態を判定するために、2つのポートが接続されているネットワーク30の接続構成に対応して設けられた障害箇所判定テーブルを格納する。判定部32は、診断部34における診断結果および障害箇所判定テーブル格納部33に格納されている障害箇所判定テーブルの情報に基づいて、2つのポートのネットワーク30に対する接続状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、ネットワーク接続診断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワーク上の他の機器との間の通信状況を監視し、通信内容から異常を示す事象が検出されると、ネットワーク上で障害の発生原因となり得る要素が予め分類された障害箇所判定テーブルに基づいて、検出された事象の発生原因となる要素が判定され、判定結果を示す障害情報が出力されるネットワーク監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−167347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の接続端子を有する装置のネットワーク接続状態を、他の装置からの情報を使用することなく自己診断することが可能な画像形成装置、ネットワーク接続診断方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断手段と、
送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報を格納する格納手段と、
前記診断手段における診断結果および前記格納手段に格納されている判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定手段とを備えた画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記診断手段が、前記判定手段において前記複数の接続端子のいずれかの接続端子のネットワークに対する接続状態が不明な場合、既に診断要求を送信した接続端子とは異なる他の接続端子から診断要求を送信する請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記診断手段が、前記複数の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子が、前記ネットワークの一部を構成する異なるサブネットワークに接続されていて、前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのどの接続端子に接続障害が発生しているか判定できない場合、前記複数の接続端子のうちの少なくとも2つ以上の接続端子の接続を入れ替える旨を使用者に通知した後に、再度診断要求を前記複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する請求項1または2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのいずれかに接続障害が発生していると判定された場合、その判定結果を使用者に通知する通知手段をさらに備えた請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのいずれかに接続障害が発生していると判定された場合、接続障害が発生していると判定された接続端子によるネットワーク接続機能を、接続障害が発生していないと判定された他の接続端子により代替する請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記診断手段が、電源投入時における初期設定処理の際または画像読み取り機能が選択された際に、前記診断要求を送信する請求項1から5のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0011】
[ネットワーク接続診断方法]
請求項7に係る本発明は、複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断ステップと、
前記診断ステップにおける診断結果および、送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定ステップとを備えたネットワーク接続診断方法である。
【0012】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断ステップと、
前記診断ステップにおける診断結果および、送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、複数の接続端子を有する装置のネットワーク接続状態を、他の装置からの情報を使用することなく自己診断することが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、接続障害が発生している接続端子を特定することが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0015】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1または2に係る発明により得られる効果に加えて、本件構成を有しない場合と比較して、接続障害が発生している接続端子をより高い確率で特定することが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0016】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれかに係る発明により得られる効果に加えて、判定結果を使用者に通知することが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0017】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれかに係る発明により得られる効果に加えて、複数の接続端子のいずれかに接続障害が発生した場合でも、ネットワーク接続機能に維持することが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0018】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1から5のいずれかに係る発明により得られる効果に加えて、画像読取動作が実行される前に接続端子の接続異常の有無を判定して読み取られた画像データが無駄となるのを防ぐことが可能な画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0019】
請求項7に係る本発明によれば、複数の接続端子を有する装置のネットワーク接続状態を、他の装置からの情報を使用することなく自己診断することが可能なネットワーク接続診断方法を提供することができるという効果が得られる。
【0020】
請求項8に係る本発明によれば、複数の接続端子を有する装置のネットワーク接続状態を、他の装置からの情報を使用することなく自己診断することが可能なプログラムを提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の画像形成装置10におけるネットワーク接続診断処理の概略動作を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置10の2つのポート1、2が、同一のサブネットワーク30aに接続されている場合の構成を示す図である。
【図6】図5に示したネットワーク接続構成の場合に、障害箇所判定テーブル格納部33に格納される障害箇所判定テーブルの一例を示す図である。
【図7】図6に示す障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】ポート2の接続状態が異常である旨を使用者に報知する際における表示部31の表示例を示す図である。
【図9】画像形成装置10の2つのポート1、2が、それぞれ異なるサブネットワーク30a、30bに接続されている場合の構成を示す図である。
【図10】図9に示したネットワーク接続構成の場合に、障害箇所判定テーブル格納部33に格納される障害箇所判定テーブルの一例を示す図である。
【図11】図10に示す障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】ポート1とポート2の接続の入れ替えを使用者に指示する際における表示部31の表示例を示す図である。
【図13】ポート1とポート2の接続が入れ替えられた後のネットワーク接続構成を示す図である。
【図14】図13に示したネットワーク接続構成の場合に、障害箇所判定テーブル格納部33に格納される障害箇所判定テーブルの一例を示す図である。
【図15】図14に示す障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【0024】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、サーバ21、22および端末装置41、42により構成される。端末装置41、42は、印刷データを生成して、生成した印刷データを、サーバ21、22経由または直接画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0025】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。
【0026】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワーク30を介して、サーバ21、22等の外部の装置との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0027】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0028】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0029】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、操作パネル等からなる表示部31と、判定部32と、障害箇所判定テーブル格納部33と、診断部34と、送受信部35とを備えている。なお、図3に示す画像形成装置10では、説明を簡単にするために、画像を印刷用紙上に出力する機能については省略して示している。
【0030】
診断部34は、ポート1、2という2つのポート(接続端子)のうちのいずれか1つのポートから、自装置の他のポートおよび外部に接続されたサーバ21、22等の他装置に対して診断パケット(診断要求)を送信して、その診断要求に対する応答の有無を診断する。なお、本実施形態では、ネットワーク30と接続するための接続ポートが2つの場合について説明するが、画像形成装置10に複数の接続ポートが備えられている場合でも、同様に適用可能である。
【0031】
この診断パケットは、診断対象ノード宛に送信し、その診断対象ノードから応答パケット(ACK)が返信されてくることで到達性を確認するためのパケットである。この診断パケットの具体例としては、いわゆるPINGコマンドと呼ばれる、ICMP(Internet Control Message Protocol)におけるエコーリクエスト(echo-request)コマンドを挙げることができる。
【0032】
診断部34は、判定部32において2つポートのどちらかのポートのネットワーク30に対する接続状態が不明な場合、既に診断パケットを送信したポートとは異なる他のポートから、同様な方法により診断パケットを送信する。
【0033】
そして、本実施形態では、診断部34は、電源投入時における初期設定処理の際または、いわゆる「スキャンtoPC」や「スキャンtoMail」のような読み取った画像をネットワーク30を介して転送するような画像読み取り機能が選択された際に、診断パケットを送信する。
【0034】
送受信部35は、2つのポートによりネットワーク30に接続されていて、端末装置41、42、サーバ21、22との間のデータの送受信処理を行う。また、送受信部35は、診断部34からの診断パケットを診断対象装置に対して送信したり、診断対象装置からの応答パケットを受信する。
【0035】
障害箇所判定テーブル格納部33は、送信した診断パケットに対する応答の有無により自装置のポートのネットワーク30への接続状態を判定するために、2つのポートが接続されているネットワーク30の接続構成に対応して設けられた障害箇所判定テーブル(判定情報)を格納する。
【0036】
判定部32は、診断部34における診断結果および障害箇所判定テーブル格納部33に格納されている障害箇所判定テーブルの情報に基づいて、2つのポートのネットワーク30に対する接続状態を判定する。
【0037】
表示部31は、判定部32において2つのポートのうちのいずれかに接続障害が発生していると判定された場合、その判定結果を使用者に表示することにより通知する。
【0038】
なお、送受信部35は、判定部32において2つのポートのうちのどちらか接続障害が発生していると判定された場合、接続障害が発生していると判定されたポートによるネットワーク接続機能を、接続障害が発生していないと判定された他のポートにより代替して送受信処理を行う。
【0039】
次に、本実施形態の画像形成装置10におけるネットワーク接続診断処理を図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
先ず、このネットワーク接続診断処理の概略動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
画像形成装置10の操作パネルが操作され、「スキャンtoPC」等のスキャン処理が選択されると(ステップS101)、診断部34および判定部32は、2つのポートがネットワーク30に正常に接続されているか否かを診断する診断処理を実行する(ステップS102)。具体的は、診断部34は、送受信部35を介して診断パケットをポート1またはポート2から送信し、判定部32では、送信された診断パケットに対する応答パケットの有無および障害箇所判定テーブルに基づいてポート1、2の接続障害の有無を診断する。この具体的な診断方法については後述する。
【0041】
そして、ステップS102における診断結果において、2つのポートが共に正常であると判定された場合、選択されたスキャン処理が実行され(ステップS104)、スキャンされた画像データは指定された宛先へ送信される(ステップS105)。
【0042】
ステップS102における診断結果において、2つのポートのいずれかに異常があると判定された場合、ポート1またはポート2において接続異常がある旨が表示部31の表示等により使用者に通知される(ステップS106)。
【0043】
なお、この図4では、スキャン処理が選択された場合について説明しているが、画像形成装置10の電源がオンされた後の初期設定の際にも、図4のステップS102以降の同様の処理が行われる。
【0044】
次に、ポート1、2のネットワークへの接続状態を診断するネットワーク接続診断処理について、ネットワーク接続構成毎に図面を参照して説明する。
【0045】
[ネットワーク接続構成例1]
まず、図5に示すように、画像形成装置10の2つのポート1、2が、同一のサブネットワーク30aに接続されている場合について説明する。この図5に示された接続構成では、画像形成装置10の2つのポート(ポート1およびポート2)がサブネットワーク30aに接続され、サーバ21が伝送路3を介して同じサブネットワーク30aに接続されている。
【0046】
そして、ポート1のIP(Internet Protocol)アドレスは192.168.1.1に設定されていて、ポート2のIPアドレスは192.168.1.2に設定されている。さらに、サーバ21のIPアドレスは192.168.1.3に設定されている。
【0047】
この図5に示したネットワーク接続構成の場合、障害箇所判定テーブル格納部33には、図6に示すような障害箇所判定テーブルが格納される。
【0048】
この図6に示された障害箇所判定テーブルでは、まず、ポート1からポート2およびサーバ21に対して診断パケットを送信し、その応答の有無に応じた診断結果(ケースA〜D)が設定されている。そして、診断結果がケースDの場合には、次に、ポート2からサーバ21に対して診断パケットを送信して、その応答の有無に応じた診断結果(ケースE、F)が設定されている。
【0049】
この障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ポート1からポート2に対して診断パケットが送信される(ステップS201)。そして、その診断結果によりポート2への接続状態が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS202)。
【0050】
そして、ステップS202において、ポート2への接続状態が正常であると判定された場合、次に、ポート1からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS203)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS204)。
【0051】
そして、ステップS204において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図6に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、2および伝送路3の接続状態は全て正常であると判定する(ケースA)。
【0052】
なお、ステップS204において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2は正常であるが伝送路3の接続状態は異常であると判定する(ケースB)。このケースBの場合には、画像形成装置10自体の状態は、正常であるものと判定される。
【0053】
そして、ステップS202において、ポート2への接続状態が異常であると判定された場合も、次に、ポート1からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS205)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS206)。
【0054】
そして、ステップS206において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図6に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1および伝送路3の接続状態は正常、ポート2の接続状態は異常であると判定する(ケースC)。そして、例えば、図8に示すような表示が画像形成装置10の表示部31において行われ、使用者にポート2が異常である旨が報知される。
【0055】
また、この図8に示された表示例では、表示部31には、「ポート2に何等かの異常があります。確認してください。」という文字とともに、画像形成装置10におけるポート2が設けられている場所が表示者に分かるように示されている。
【0056】
そして、ステップS206において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32では、ポート1、ポート2および伝送路3のどれが以上であるか不明であるため(ケースD)、ポート2からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS207)。そして、その診断結果によりポート2とサーバ21の接続状態が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS208)。
【0057】
そして、ステップS208において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図6に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1の接続状態は異常、ポート2、伝送路3の接続状態は正常であると判定する(ケースE)。
【0058】
そして、ステップS208において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、少なくともポート1、2のいずれかの接続状態が異常であると判定する(ケースF)。
【0059】
[ネットワーク接続構成例2]
次に、図9に示すようなネットワーク接続構成のシステムにおいて、ネットワーク接続診断処理が行われる場合について説明する。
この図9に示すネットワーク接続構成では、画像形成装置10の2つのポート1、2が、それぞれ異なるサブネットワーク30a、30bに接続されている。この図9に示された接続構成では、画像形成装置10の2つのポートのうち、ポート1がサブネットワーク30aに接続され、ポート2がサブネットワーク30bに接続されている。そして、サーバ21が伝送路3を介して同じサブネットワーク30aに接続されるとともに、サーバ22が伝送路6を解してサブネットワーク30bに接続されている。さらに、サブネットワーク30a、30bは、ルータ50を介して接続されている。このルータ50は、サブネットワーク30a、30b上を流れるデータを相互に中継する機器として動作する
【0060】
ここでは、ポート1とポート2は異なるサブネットワークに接続されていることにより、ポート1のIPアドレスは192.168.1.1に設定され、ポート2のIPアドレスは192.168.2.1に設定されている。さらに、サーバ21のIPアドレスは192.168.1.3に設定され、サーバ22のIPアドレスは192.168.2.3に設定されている。
【0061】
この図9に示したネットワーク接続構成の場合、障害箇所判定テーブル格納部33には、図10に示すような障害箇所判定テーブルが格納される。
【0062】
この図10に示された障害箇所判定テーブルでは、まず、ポート1からポート2およびサーバ21に対して診断パケットを送信し、その応答の有無に応じた診断結果(ケースA〜D)が設定されている。そして、診断結果がケースCの場合には、次に、ポート2からサーバ22に対して診断パケットを送信して、その応答の有無に応じた診断結果(ケースE、F)が設定されている。また、診断結果がケースDの場合にも、次に、ポート2からサーバ22に対して診断パケットを送信して、その応答の有無に応じた診断結果(ケースG、H)が設定されている。
【0063】
この障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を図11のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ポート1からポート2に対して診断パケットが送信される(ステップS301)。そして、その診断結果によりポート2への接続状態が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS302)。
【0064】
そして、ステップS302において、ポート2への接続状態が正常であると判定された場合、次に、ポート1からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS303)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常か異常かが判定される(ステップS304)。
【0065】
そして、ステップS304において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図10に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、2および伝送路3〜5の接続状態は全て正常であると判定する(ケースA)。
【0066】
なお、ステップS304において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2、伝送路4、5は正常であるが伝送路3の接続状態は異常であると判定する(ケースB)。このケースBの場合には、画像形成装置10自体の状態は、正常であるものと判定される。
【0067】
そして、ステップS302において、ポート2への接続状態が異常であると判定された場合も、次に、ポート1からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS305)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常か異常かが判定される(ステップS306)。
【0068】
そして、ステップS306において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図10に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1および伝送路3の接続状態は正常、ポート2、伝送路4、5のいずれかの接続状態は異常であると判定する(ケースC)。つまり、ポート1は正常である、ポート2の接続状態は不明であると判定される。
【0069】
そのため、ステップS306において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、ポート2からサーバ22に対して診断パケットが送信される(ステップS307)。そして、その診断結果によりポート2とサーバ22の接続状態が、正常か異常かが判定される(ステップS308)。
【0070】
そして、ステップS308において、サーバ22への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図10に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、2、伝送路3、6の接続状態は正常、伝送路4、5の少なくともどちらかが異常であると判定する(ケースE)。
【0071】
そして、ステップS308において、サーバ22への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、伝送路3は正常であるが、ポート2、伝送路4、5のいずれかの接続状態が異常であると判定する(ケースF)。
【0072】
そして、ステップS306において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2および伝送路3〜5のどれが以上であるか不明であるため(ケースD)、ポート2からサーバ22に対して診断パケットを送信する(ステップS309)。そして、判定部32は、その診断結果によりポート2とサーバ22の接続状態が、正常か異常かが判定する(ステップS310)。
【0073】
そして、ステップS310において、サーバ22への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図10に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート2、伝送路6の接続状態は正常、ポート1、伝送路4、5のいずれかが異常であると判定する(ケースG)。
【0074】
そして、ステップS310において、サーバ22への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2、伝送路3〜6の全て接続状態は不明であると判定する(ケースH)。
【0075】
そして、上記の診断結果においてケースF、Gの場合、ポート1、2の状態が判明しないため、さらに使用者に対して、ポート1とポート2の接続を入れ替えるような指示を行うようにしてもよい。
【0076】
例えば、図12に示すような表示が表示部31上に行われることにより使用者に対して、ポート1とポート2の接続を入れ替えるような指示が行われる。
【0077】
つまり、診断部34は、複数のポートのうちの少なくとも2つの接続端子が、ネットワーク30の一部を構成する異なるサブネットワークに接続されていて、判定部32において2つポートのどちらのポートに接続障害が発生しているか判定できない場合、2つのポートの接続を入れ替える旨を使用者に通知した後に、再度診断パケットを2つポートのどちらかのポートから送信して、診断パケットに対する応答の有無を診断する。
【0078】
なお、画像形成装置10に設けられたポートが3つ以上の場合には、診断部34は、複数のポートのうちの少なくとも2つのポートが異なるサブネットワークに接続されていて、判定部32において複数のポートのうちのどのポートに接続障害が発生しているか判定できない場合、複数のポートのうちの少なくとも2つ以上のポートの接続を入れ替える旨を使用者に通知すればよい。
【0079】
このような指示によりポート1とポート2の接続が入れ替えられた後のネットワーク接続構成を図13に示す。
この図13に示したネットワーク接続構成では、ポート1、2の接続が入れ替えられたことにより、ポート1がサブネットワーク30bに接続され、ポート2がサブネットワーク30aに接続されている。
【0080】
そして、ポート1、2の入れ替えを行った後のネットワーク診断を行うために、障害箇所判定テーブル格納部33には、図10に示した障害箇所判定テーブルに加えて、図14に示すような障害箇所判定テーブルが格納されている。
【0081】
この図14に示された障害箇所判定テーブルでは、まず、ポート2からポート1およびサーバ21に対して診断パケットを送信し、その応答の有無に応じた診断結果(ケースI〜L)が設定されている。そして、診断結果がケースKの場合には、次に、ポート1からサーバ22に対して診断パケットを送信して、その応答の有無に応じた診断結果(ケースM、N)が設定されている。また、診断結果がケースLの場合にも、次に、ポート1からサーバ22に対して診断パケットを送信して、その応答の有無に応じた診断結果(ケースO、P)が設定されている。
【0082】
この障害箇所判定テーブルを用いたネットワーク接続診断処理の動作を図15のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ポート2からポート1に対して診断パケットが送信される(ステップS401)。そして、その診断結果によりポート1への接続状態が、正常(OK)か異常(NG)かが判定される(ステップS402)。
【0083】
そして、ステップS402において、ポート1への接続状態が正常であると判定された場合、次に、ポート2からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS403)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常か異常かが判定される(ステップS404)。
【0084】
そして、ステップS404において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図14に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、2および伝送路3〜5の接続状態は全て正常であると判定する(ケースI)。
【0085】
なお、ステップS404において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2、伝送路4、5は正常であるが伝送路3の接続状態は異常であると判定する(ケースJ)。このケースJの場合には、画像形成装置10自体の状態は、正常であるものと判定される。
【0086】
そして、ステップS402において、ポート1への接続状態が異常であると判定された場合も、次に、ポート2からサーバ21に対して診断パケットが送信される(ステップS405)。そして、その診断結果によりサーバ21への接続状態(つまり伝送路3)が、正常か異常かが判定される(ステップS406)。
【0087】
そして、ステップS406において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図14に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート2および伝送路3の接続状態は正常、ポート1、伝送路4、5のいずれかの接続状態は異常であると判定する(ケースK)。つまり、ポート2は正常である、ポート1の接続状態は不明であると判定される。
【0088】
そのため、ステップS406において、サーバ21への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、ポート1からサーバ22に対して診断パケットが送信される(ステップS407)。そして、その診断結果によりポート1とサーバ22の接続状態が、正常か異常かが判定する(ステップS408)。
【0089】
そして、ステップS408において、サーバ22への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図14に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、2、伝送路3、6の接続状態は正常、伝送路4、5の少なくともどちらかが異常であると判定する(ケースM)。
【0090】
そして、ステップS408において、サーバ22への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート2、伝送路3は正常であるが、ポート1、伝送路4、5のいずれかの接続状態が異常であると判定する。しかし、この場合には、判定部32は、ケースFでの診断結果を考慮して、ポート1、2のいずれも正常であると判定する(ケースN)。
【0091】
そして、ステップS406において、サーバ21への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2および伝送路3〜5のどれが以上であるか不明であるため(ケースL)、ポート1からサーバ22に対して診断パケットを送信する(ステップS409)。そして、判定部32は、その診断結果によりポート1とサーバ22の接続状態が、正常か異常かが判定する(ステップS410)。
【0092】
そして、ステップS410において、サーバ22への接続状態が正常であると判定された場合、判定部32は、図14に示した障害箇所判定テーブルに基づき、ポート1、伝送路6の接続状態は正常、ポート2、伝送路4、5のいずれかが異常であると判定する。しかし、この場合には、判定部32は、ケースGでの診断結果を考慮して、ポート1、2のいずれも正常であると判定する(ケースO)。
【0093】
そして、ステップS410において、サーバ22への接続状態が異常であると判定された場合、判定部32は、ポート1、2、伝送路3〜6の全て接続状態は不明であると判定する(ケースP)。
【0094】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10が2つのポート1、2を備えている場合を用いて説明しているが、ポート数が3以上の場合にも本願発明は適用可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、画像形成装置10に対して本願発明を適用した場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のポートによりネットワークに接続される装置であれば本願発明のネットワーク接続診断方法を適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
21、22 サーバ
30 ネットワーク
30a、30b サブネットワーク
31 表示部
32 判定部
33 障害箇所判定テーブル
34 診断部
35 送受信部
41、42 端末装置
50 ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断手段と、
送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報を格納する格納手段と、
前記診断手段における診断結果および前記格納手段に格納されている判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記診断手段は、前記判定手段において前記複数の接続端子のいずれかの接続端子のネットワークに対する接続状態が不明な場合、既に診断要求を送信した接続端子とは異なる他の接続端子から診断要求を送信する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記診断手段は、前記複数の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子が、前記ネットワークの一部を構成する異なるサブネットワークに接続されていて、前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのどの接続端子に接続障害が発生しているか判定できない場合、前記複数の接続端子のうちの少なくとも2つ以上の接続端子の接続を入れ替える旨を使用者に通知した後に、再度診断要求を前記複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのいずれかに接続障害が発生していると判定された場合、その判定結果を使用者に通知する通知手段をさらに備えた請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定手段において前記複数の接続端子のうちのいずれかに接続障害が発生していると判定された場合、接続障害が発生していると判定された接続端子によるネットワーク接続機能を、接続障害が発生していないと判定された他の接続端子により代替する請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記診断手段は、電源投入時における初期設定処理の際または画像読み取り機能が選択された際に、前記診断要求を送信する請求項1から5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断ステップと、
前記診断ステップにおける診断結果および、送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定ステップと、
を備えたネットワーク接続診断方法。
【請求項8】
複数の接続端子のうちのいずれか1つの接続端子から、自装置の他の接続端子および外部に接続された他装置に対して診断要求を送信して、該診断要求に対する応答の有無を診断する診断ステップと、
前記診断ステップにおける診断結果および、送信した診断要求に対する応答の有無により自装置の接続端子のネットワークへの接続状態を判定するために、前記複数の接続端子が接続されているネットワークの接続構成に対応して設けられた判定情報に基づいて、前記複数の接続端子のネットワークに対する接続状態を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−5017(P2012−5017A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140369(P2010−140369)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】