説明

画像形成装置、プログラム、記録媒体、およびトナー消費量の推定方法

【課題】トナー消費量を正確に予測計算することのできる画像形成装置を実現する。
【解決手段】デジタル複写機1は、二成分系現像剤を用いて現像を行う現像ユニット20を備えた電子写真方式のデジタル複写機である。デジタル複写機1のピクセルカウント部54は、デジタル画像の各ピクセルの階調値をピクセルカウント値に換算するための重み付け係数が示された重み付け係数テーブル74とともに、現像ユニット20の現像槽21内のトナーの濃度に基づいて重み付け係数テーブルを補正するテーブル書換部82を備えている。そして、重み付け演算部78は、テーブル書換部82によって補正された重み付け係数テーブルの重み付け係数をピクセルの階調値に掛け合わせてピクセルカウント値を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報に対して画像処理及び補正処理をデジタル的に行う電子写真方式を用いる複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、デジタル複写機のような電子写真装置における画像処理では、スキャナ等の画像入力装置から入力されたアナログの画像信号に対し、AD変換処理を行い、入力信号処理、領域分離処理、色補正処理、黒生成処理、ズーム変倍処理等のデジタル信号処理を行った後、空間フィルタによるフィルタ処理を行い、さらに、中間調補正処理を行って、出力画像信号として出力するようになっている。
【0003】
図15は、従来のデジタル複写機における画像処理の機能構成を示すブロック図である。従来のデジタル複写機は、上述した各種処理のために、図15に示すように、入力信号処理部110、領域分離処理部120、色補正・黒生成処理部130、ズーム変倍処理部140、空間フィルタ処理部150、中間調補正処理部160、ピクセルカウント部170、および、通算トナー消費量算出部180を備えている。このようなデジタル複写機における画像処理について、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0004】
まず、スキャナ等で読み込まれた原稿のアナログ入力画像信号(S101)は、画像処理装置に入力されてAD変換される。AD変換の結果得られたデジタル信号は多値画像の信号であって、入力信号処理部110に入力され、それ以降の画像処理に対する前処理や、画像調整における入力ガンマ補正、変換等が行われる(S102)。
【0005】
次に、画像信号は、領域分離処理部120に入力されて、文字領域、網点写真領域等の領域判定が行われ、領域ごとに領域の種類を示す識別信号(領域分離識別信号)が付加される(S103)。この領域分離識別信号は、後段の空間フィルタ処理部150が領域別に異なった処理を行う場合、例えば、網点領域に平滑フィルタ処理を行い、文字領域にエッジ強調フィルタ処理を行う場合などに用いられる。領域分離識別信号はまた、後段の中間調補正処理部160が中間調のガンマ特性を濃淡差のよりはっきりした特性に変更する場合にも用いられる。
【0006】
次の色補正・黒生成処理部130で行われる色補正・黒生成処理(S104)は、入力された画像信号がカラー画像の信号である場合に必要となる処理で、領域分離処理部120から送られてきたRGBの画像信号に対して、最終的な出力形態であるCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の画像信号に変換する処理である。
【0007】
CMYKに変換された画像信号は、ズーム変倍処理部140での変倍処理(S105)の後、空間フィルタ処理部150に入力される。空間フィルタ処理部150では、上記の領域分離識別信号や画像モードの設定状態などに応じた空間フィルタを空間フィルタテーブルから選び、CMYKに変換された画像信号に対して空間フィルタ処理が行われる(S106)。なお、空間フィルタテーブルは、空間フィルタ処理を行う際に使用すべきフィルタ係数が示されたテーブル群であり、状況に応じて任意のテーブル群を選択できるようになっている。
【0008】
次の中間調補正処理部160では、エンジン部での出力特性を補正するために、中間調ガンマ特性の補正が行われる(S107)。さらに、中間調補正処理後の画像信号は、ピクセルカウント部170に入力され、ピクセル単位でCMYK信号ごとに重み付けを行いながらカウンタで階調データが積算される(S108)。そして、通算トナー消費量算出部180では、ピクセルカウント部170で求められたピクセルカウント値(階調データのカウント値)の全ピクセルに亘る積算値から各色のトナー消費量を算出する(S109)。ここで算出されたトナー消費量は、例えばトナーニアエンド判定やトナー消費量データの蓄積等に用いられる。
【0009】
また、ステップS107において中間調ガンマ特性の補正が行われた画像信号は、LSUやLEDなどの画像形成エンジン側へ出力され、この画像信号に応じたトナー画像が画像形成エンジンによってシート上に形成される(S110)。
【0010】
ここで、ステップS108,S109によるトナー消費量の算出手順について詳述すると以下の通りである。なお、以下に述べる処理は、CMYKの各色について(すなわち色ごとに)それぞれ行われるものとする。
【0011】
ピクセルカウント部170は、より詳細には、図15に示すように、カウント部171、重み付け演算部172、重み付け係数テーブル173、および積算部174を備えている。カウント部171は、入力された多値画像(例えば16階調または256階調などの多階調の画像)の階調をピクセルごとにカウントする。例えば、各ピクセルの信号値が0〜15の何れかの値をとる16階調の多階調画像の場合、カウント部171は、それぞれのピクセルについて、階調が0〜15の何れであるかをカウントする。
【0012】
重み付け演算部172は、カウント部171によってピクセルごとにカウントされた階調値に対して、ピクセルごとに重み付けを行う。具体的には、重み付け演算部172は、ピクセルごとに、階調値に対応する重み付け係数を重み付け係数テーブル173から取得するとともに、取得した重み付け係数を階調値に掛け合わせて、ピクセルカウント値を求める。このピクセルカウント値は、ピクセルごとのトナー消費量を示す指標である。なお、重み付け係数テーブル173は、階調値と重み付け係数との対応関係が示されたものである。このように、ピクセルカウント部170では、カウント部171、重み付け演算部172、および重み付け係数テーブル173により、ピクセルごとのピクセルカウント値を求めている。
【0013】
そして、ピクセルごとに求められたピクセルカウント値の全ピクセルに亘る積算を積算部174が行う。つまり、積算部174は、重み付け演算部172により階調値に重み付け係数を掛け合わせたピクセルカウント値を、入力された多値画像の全てのピクセルについて積算し、総ピクセルカウント値を算出する。そして、通算トナー消費量算出部180が、ピクセルカウント部170によって算出された総ピクセルカウント値に基づいて、これまでの通算トナー消費量を算出する。
【0014】
上記の重み付け係数テーブル173に格納されている重み付け係数は、予め定められた固定の値となっている。階調を示す信号入力値が0〜15の何れかの値をとる16階調の多値画像の場合の重み付け係数テーブル173の一例を、次の表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
表1の場合、トナー消費量の異なる16個の信号入力値が4つのエリア(エリア1〜エリア4)に分けられ、エリアごとに異なる重み付け係数が定められている。これにより、ピクセルカウントの際には、4つのエリアに分けられた重み付け係数が、0〜15の値をとるそれぞれの信号入力値に対応して決定され、重み付けが行われる。表1では、0〜4の信号入力値の重み付け係数は0、5〜8の信号入力値の重み付け係数は1、9〜12の信号入力値の重み付け係数は3、13〜15の信号入力値の重み付け係数は4となっている。
【0017】
図17は、表1に示す4つのエリア(4つの分割領域)に分けられた重み付け係数テーブルの信号入力値とそれに対応する重み付け係数との関係を示している。図17に示すように、各エリアにおいて、矩形部分の面積の総和が、トナー消費量特性を示す曲線関数の積分値と略一致しているため、重み付けされた後のピクセルカウント値の積算値からトナー消費量を予測計算することができる。
【0018】
特許文献1〜5には、上述したピクセルカウントを行う画像形成装置について記載されている。
【0019】
ところで、上述のようなデジタル複写機のエンジン側では、感光体や現像剤等の経時変化に関らず、初期からライフエンドまで一定のトナー濃度や画像出力を得るために、電子写真プロセスにおける各種プロセス条件、例えば、帯電電位や露光量、トナー濃度の補正量、現像バイアス値、転写電圧、定着温度・圧力、プロセス速度等を調整している。これをプロセスコントロールと称している。
【0020】
図18は、プロセスコントロールにおいてエンジン側の制御であるトナー濃度コントロール処理を簡単に示したフローチャートである。このトナー濃度コントロール処理では、ライフカウンタや環境センサ等の数値によって、トナー濃度センサによる制御値を補正し(S111、S112)、補正後の制御値に従ってトナー補給のON/OFFを制御している。つまり、トナー濃度が低い場合(S113でYESと判断された場合)には、トナー補給をONにして、トナー補給を行うように制御している(S114)。これにより、トナー濃度を常に一定に保つようにコントロールしている。
【0021】
また、図19は、プロセスコントロールの制御パラメータ値を補正するための条件出しとして行われる、トナーパッチによる中間調ガンマ補正処理を簡単に示したフローチャートである。この中間調ガンマ補正処理では、予め定められた固定入力値による中間調パターン(トーン)でトナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成し、そのトナーパッチからの反射光量を光学センサ等の読み取り装置で読み取る。
【0022】
具体的には、ステップS121で光学センサのキャリブレーションを行い、ステップS122でまずベタ画像を作成する際の帯電電位、光量、および、現像バイアス(あるいはさらには転写電圧)を補正することにより、ベタ画像形成条件の補正を行う。そして、ステップS123で、所定の中間調のトナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成する。そして、ステップS124で、トナーパッチからの反射光量を光学センサで読み取る。次に、ステップS125でこの読み取ったトナーパッチのセンサ出力値と、目標値となる基準ターゲット値とを比較して、補正量を算出する。そして、ステップS126で、算出された補正量に従って、現在の中間調ガンマ補正テーブルを修正し、これにより、常に一定の中間調ガンマ特性が得られるようにしている。
【特許文献1】特開平4−304486号公報(平成4年10月27日公開)
【特許文献2】特開平5−88554号公報(平成5年4月9日公開)
【特許文献3】特開平8−146751号公報(平成8年6月7日公開)
【特許文献4】特開2002−333774号公報(平成14年11月22日公開)
【特許文献5】特開2004−151375号公報(平成16年5月27日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記従来の技術では、正確なトナー消費量を予測計算できない場合があるという問題を抱えている。
【0024】
トナーの消費量とは、現像装置から感光体へのトナーの付着量にほかならないが、このトナーの付着量は、主として感光体の表面電位、現像バイアスおよびトナー帯電量の3つの要因によって決定される。ここで、感光体の表面電位および現像バイアスについては、印加電圧を調節することにより所定値に制御することが比較的容易であるが、トナー帯電量については所定値に制御することが困難である。
【0025】
それゆえ、デジタル画像データに基づいてトナー画像を形成する際、データ上では同じ階調を有するピクセル同士であっても、実際に消費されるトナー量はトナー帯電量に依存して異なることが予想される。ところが、上記従来の技術では、出力されるトナー画像におけるトナー消費量をピクセルカウントによって予測計算する際に、重み付け係数テーブルとして、予め定められた固定の重み付け係数を格納したものが用いられるので、トナーの帯電量が変化した場合に、トナー消費量の予測結果が誤差を含んでしまう。そして、帯電量の変化が大きくなるに連れて、予測結果の誤差も大きくなる。
【0026】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー消費量を正確に予測計算することのできる画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像装置と、上記現像装置へトナーを補給するトナー補給装置とを備え、デジタル画像データに応じたトナー画像を上記現像装置によって形成する電子写真方式の画像形成装置であって、上記デジタル画像データによって示されるデジタル画像のピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値をピクセルごとに求め、ピクセルごとに求めた上記ピクセルカウント値を積算することにより、上記トナー画像のトナー消費量の指標である総ピクセルカウント値を求めるピクセルカウント手段を備えていることを特徴とする。
【0028】
二成分系現像剤を用いる画像形成装置において、トナーの帯電量は、現像装置におけるトナーの濃度に依存して変動する。上記構成によれば、ピクセルカウント手段が、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値を、ピクセルの階調のみならず、トナー付着量に影響を及ぼすトナー濃度をも考慮して求めるため、トナー濃度の変化に伴うトナー付着量の変動があっても、トナー消費量を正確に予測計算することができる。
【0029】
また、上記現像装置は、トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤が攪拌される現像槽と、上記現像槽の内部に配されて透磁率を検知するセンサと、上記現像槽の二成分現像剤を用いてトナー画像を形成する現像ローラとを備え、上記ピクセルカウント手段は、上記デジタル画像の各ピクセルの階調値と、上記センサの出力値とに基づいて、上記ピクセルカウント値を求めることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、センサの出力値は、直接的または間接的に現像槽内のトナー濃度を示している。従って、ピクセルカウント手段は、センサの出力値を用いることにより、正確なトナー消費量を求めることができる。
【0031】
また、上記ピクセルカウント手段は、ピクセルカウント値を算出する対象となるピクセルである注目ピクセルのピクセルカウント値を、注目ピクセルの階調値と、該注目ピクセルと隣接するピクセルである隣接ピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて求めることが好ましい。
【0032】
注目ピクセルにおけるトナー付着量は、注目ピクセルと隣接する隣接ピクセルのトナー付着量の影響を受ける。上記構成によれば、注目ピクセルにおけるトナー消費量を、注目ピクセルの階調値のみならず、隣接ピクセルの階調値をも考慮して求めるので、トナー消費量を一層正確に予測計算することができる。
【0033】
また、上記画像形成装置は、ピクセルの階調値を上記ピクセルカウント値に換算するための換算係数を環境条件ごとに格納する記憶部を備え、上記ピクセルカウント手段は、上記記憶部から環境条件に応じた上記換算係数を取得し、取得した換算係数とトナーの上記濃度に応じた補正係数とによって上記ピクセルの階調値から上記ピクセルカウント値を算出することが好ましい。
【0034】
各ピクセルにおけるトナー付着量は、例えば画像形成装置の使用期間や、温度、湿度などの各種環境条件の影響も受ける。上記構成によれば、環境条件に応じた換算係数を用いてピクセルカウント値を算出するため、環境条件が変わっても、トナー消費量を正確に予測計算することができる。
【0035】
また、上記画像形成装置は、トナー画像を形成する際の条件を調整する処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール部と、上記プロセスコントロール部がプロセスコントロールを実行した時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値が閾値に到達している場合に、上記プロセスコントロール部にプロセスコントロールを実行するよう指示するプロセスコントロール指示手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、トナー消費量が所定の値になった時点で、プロセスコントロールを自動的に実行することができる。
【0037】
また、上記画像形成装置は、ピクセルの階調値を上記ピクセルカウント値に換算するための換算係数を格納する記憶部と、上記現像装置にトナーを補給し、トナー画像を形成する際の条件を調整する処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール部とを備え、上記ピクセルカウント手段は、上記記憶部に格納された上記換算係数とピクセルの階調値とに基づいて上記ピクセルカウント値を算出する演算手段と、上記プロセスコントロール部がプロセスコントロールを実行した後に、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度に基づいて上記記憶部に格納された上記換算係数を補正する補正手段とを有していることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、プロセスコントロールの前後において、現像装置の中の二成分系現像剤に含まれるトナー濃度が変動する。しかしながら、プロセスコントロールを実行した後に、補正手段がトナーの濃度に基づいて換算係数を補正するので、プロセスコントロール後のピクセルカウント値が不正確になってしまうのを防止することができる。
【0039】
また、上記画像形成装置は、ユーザに通知を行う通知部と、トナーが上記トナー補給装置に供給された時点、あるいは、トナーを収容するトナーボトルが上記トナー補給装置に装着された時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値が閾値に到達した場合に、上記通知部に対して、ユーザに通知を行うよう指示する通知指示手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、ユーザがトナー補給装置に所定量のトナーを投入した時点からのトナー消費量、あるいは、ユーザがトナーボトルをトナー補給装置に装着した時点からのトナー消費量が所定値に達した場合に、ユーザに対して通知が行われる。従って、例えばトナー残量が僅かになった際などに、ユーザに対してその旨を通知することができる。
【0041】
ところで、上記画像形成装置の各手段は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、上記の各手段としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、上記画像形成装置の各手段として動作するので、トナー消費量を正確に予測計算することができる。
【0042】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るトナー消費量の推定方法は、トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像装置と、上記現像装置へトナーを補給するトナー補給装置とを備え、デジタル画像データに応じたトナー画像を上記現像装置によって形成する電子写真方式の画像形成装置における、上記トナー画像の形成時のトナー消費量の推定方法であって、上記デジタル画像データによって示されるデジタル画像のピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値をピクセルごとに求め、ピクセルごとに求めた上記ピクセルカウント値を積算することにより、上記トナー画像のトナー消費量の指標である総ピクセルカウント値を求めるピクセルカウント工程を含んでいることを特徴とする。
【0043】
上記構成によれば、ピクセルカウント工程において、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値を、ピクセルの階調のみならず、トナー付着量に影響を及ぼすトナー濃度をも考慮して求めるため、トナー濃度の変化に伴うトナー付着量の変動があっても、トナー消費量を正確に予測計算することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明は、デジタル画像データによって示されるデジタル画像の各ピクセルの階調値と、現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値をピクセルごとに求める構成となっているので、上述したように、トナー消費量を正確に予測計算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図11に基づいて説明すると以下の通りである。図2は、デジタル複写機の概略構成を示す横断面図である。デジタル複写機1は電子写真方式の画像形成装置であり、図2に示すように、感光体ドラム11と、感光体ドラム11の周囲に配置された帯電ユニット12、露光ユニット13、現像ユニット(現像装置)20、転写ユニット14、クリーニングユニット15、および除電ユニット16とを備えている。デジタル複写機1はまた、トナー補給ユニット(トナー補給装置)30、スキャナ40、および制御部50を備えている。なお、図中には示されていないが、デジタル複写機1は、上記の部材11〜15,20,30を4組有しており、各組は、それぞれCMYKの何れかの色のトナー画像を形成するために用いられる。
【0046】
デジタル複写機1は、原稿をスキャナ40によって読み取って得た画像データに応じたトナー画像をシート上に形成するものである。スキャナ40によって原稿を読み取って得た画像データは制御部50に入力され、制御部50が後述する各種処理を実行する。その結果、画像データには適正な画像処理が施される。
【0047】
感光体ドラム11は例えば有機感光体である。感光体ドラム11の表面は、まず、帯電ユニット12によって均一に帯電される。そして、上記制御部50によって画像処理が施された画像データに基づいて、露光ユニット13が感光体ドラム11の均一に帯電された領域を露光することによって、画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム11の表面に形成される。
【0048】
現像ユニット20は、トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成するものであり、主として現像槽21、透磁率センサ22、および現像ローラ23を備えている。現像槽21は、二成分系現像剤を有しており、内部に配された各種ローラによって、トナーとキャリアとを攪拌して混合する。この現像槽21へは、トナー補給ユニット30によってトナーの補給が行われる。透磁率センサ22は、現像槽21の内側の底部に配され、キャリアの透磁率を検知することにより、現像槽21内の二成分現像剤に含まれるトナーの濃度を検出する。
【0049】
現像ローラ23はマグネットローラであり、現像槽21内の二成分現像剤を自身に吸着させて磁気ブラシを形成し、形成した磁気ブラシを感光体ドラム11の静電潜像に接触させる。また、現像ローラ23と感光体ドラム11との間には、現像バイアスが印加される。これにより、磁気ブラシに含まれるトナーが感光体ドラム11の表面に付着し、静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0050】
感光体ドラム11上のトナー像は、転写ユニット14によってシートに転写される。デジタル複写機1では、このようにしてCMYKの各色のトナー像をシート上に重ねて転写することにより、シート上には多階調の多色画像が形成される。そして、トナー像が転写されたシートは、図示しない定着ユニットへ搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、トナー像の転写が行われた後の感光体ドラム11の表面は、クリーニングユニット15によって潤滑剤が塗布されるとともに残余のトナーが除去され、続いて、除電ユニット16によって除電される。
【0051】
次に、制御部50による画像処理およびトナー補給処理について説明する。図1は、本実施形態のデジタル複写機における画像処理およびプロセスコントロール処理に関する機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、制御部50は、機能ブロックとして、画像処理部52、ピクセルカウント部(ピクセルカウント手段)54、トナー消費量算出部(通算カウント手段)56、プロコン指示部(プロセスコントロール指示手段)58、および残量通知指示部(通知指示手段)59を有している。また、デジタル複写機1は、通知部としての表示パネル45、プロセスコントロールを実行するプロセスコントロール部46も有している。
【0052】
画像処理部52は、スキャナ40で原稿を読み取るなどして得た画像データに対して各種画像処理を施すものであり、従来公知のものと同様である。具体的には、画像処理部52は、入力信号処理部62、領域分離処理部64、色補正・黒生成処理部66、ズーム変倍処理部68、空間フィルタ処理部70、および中間調補正処理部72からなる。
【0053】
入力信号処理部62では、スキャナ40等で読み込まれ、AD変換されて得られた原稿のデジタル入力画像信号に対して、それ以降の画像処理に対する前処理や、画像調整における入力ガンマ補正、変換等が行われる。なお、上記デジタル入力画像信号は多値画像の信号である。
【0054】
領域分離処理部64では、文字領域、網点写真領域等の領域判定が行われ、領域ごとにそれを示す識別信号(領域分離識別信号)が付加される。この領域分離識別信号は、以降の処理である空間フィルタ処理部70において、各領域別に異なった処理を行う場合に、例えば網点領域に平滑フィルタ処理を行い、文字領域にエッジ強調フィルタ処理を行う場合に用いられる。領域分離識別信号は、また、以降の中間調補正処理部72において、中間調のガンマ特性を濃淡差のよりはっきりした特性に変更する場合に用いられる。
【0055】
色補正・黒生成処理部66では、領域分離処理部64から送られてきたRGBの画像信号に対して、最終的な出力形態であるCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の画像信号に変換する。ズーム変倍処理部68では、色補正・黒生成処理部66により変換されたCMYKの画像信号に対して、変倍処理を行う。
【0056】
空間フィルタ処理部70では、上述した領域分離識別信号や画像モードの設定状態等に応じた空間フィルタを空間フィルタテーブルから選び、CMYKに変換された画像信号に対して空間フィルタ処理を行う。中間調補正処理部60では、空間フィルタ処理が行われた画像信号に対して、中間調ガンマ特性の補正を行う。そして、中間調補正処理部72での中間調補正処理後の画像信号が露光ユニット13に出力される。露光ユニット13は、入力された画像信号に応じた静電潜像を感光体ドラム11の表面上に形成する。また、中間調補正処理部72から出力された画像信号は、ピクセルカウント部54にも入力される。
【0057】
ピクセルカウント部54は、画像処理部52から入力されたデジタル画像データから、該デジタル画像データに応じたトナー画像を感光体ドラム11上に形成する際に消費されるトナーの量を推定するものである。ピクセルカウント部54は、図1に示すように、重み付け係数テーブル74、カウント部76、重み付け演算部(演算手段)78、積算部80、およびテーブル書換部(補正手段)82からなる。
【0058】
カウント部76は、画像処理部52によって画像処理が施されたデジタル画像データから、画像に含まれるピクセルの階調値を抽出するものである。例えば、画像中の各ピクセルが0〜255の256階調で表現される場合、カウント部76は、画像中の各ピクセルの階調値が0〜255の何れであるかを、入力されたデジタル画像データを基に同定する。カウント部76は、階調値の抽出を画像に含まれる全てのピクセルについて行う。
【0059】
重み付け演算部78は、カウント部76によって抽出された階調値を、ピクセルごとのトナー消費量を示す指標となるピクセルカウント値に換算するものである。通常、ピクセルの階調値とトナー消費量とは、必ずしも正比例の関係にはならない。例えば、ピクセルの階調値が2倍になっても、トナー消費量が2倍になるとは限らない。そこで、ピクセルの階調値をトナー消費量の指標となるピクセルカウント値に換算するために、重み付け演算部78は、重み付け係数テーブルから適切な重み付け係数を取得するとともに、取得した重み付け係数を階調値に掛け合わせることによりピクセルカウント値を算出する。なお、算出されたピクセルカウント値はトナー消費量と正比例の関係にある。
【0060】
重み付け係数テーブル74は、図示しない記憶部に、ピクセルの階調値とその階調値の場合に好適な重み付け係数とが対応付けて格納されたものであり、各階調値に対応する重み付け係数がどのような値であるかを示している。図14は、デジタル画像が16階調の場合に適用される重み付け係数テーブル74の一例を示す図である。重み付け演算部78は、重み付け係数テーブル74を参照して、カウント部76が抽出した階調値に対応する重み付け係数を取得し、ピクセルカウント値を算出するようになっている。重み付け係数テーブル74に示された重み付け係数は、階調値に掛け合わされることにより、トナー消費量と正比例の関係にあるピクセルカウント値を算出できるような換算係数となっている。重み付け演算部78は、ピクセルカウント値の算出を画像に含まれる全てのピクセルについて行う。
【0061】
積算部80は、重み付け演算部78によって算出されたピクセルごとのピクセルカウント値を全て足し合わせることにより、総ピクセルカウント値を算出する。この総ピクセルカウント値は、ピクセルカウント部54に入力されたデジタル画像データに対応するトナー画像を形成する際に必要なトナー量と正比例の関係になる。
【0062】
ところで、ピクセルカウント部54は、デジタル画像の各ピクセルの階調値だけでなく、現像ユニット20における二成分系現像剤中のトナー濃度をも考慮してピクセルカウント値を求める点が従来の構成と異なっている。上述したように、現像ユニット20の現像ローラ23から感光体ドラム11へのトナーの付着量は、感光体ドラム11の表面電位、現像バイアスおよびトナーの帯電量によって決定される。ところが、トナーの帯電量は常に一定とはならず、特に二成分系現像剤を用いる場合においては、現像槽21中のトナー濃度に依存して変化する。トナー濃度が低い場合には、単位量あたりのトナーが多くのキャリアと接触するのでトナーの帯電量が上昇し、一方、トナー濃度が高い場合には、単位量あたりのトナーが少ないキャリアとしか接触しないのでトナーの帯電量が低下するのである。
【0063】
本実施形態のデジタル複写機1では、現像槽21中のトナー濃度の目標値が6%に設定され、このときのトナーの帯電量は25μC/mgとなるが、実際にはトナー濃度が4.8%〜7.2%程度の範囲で振れるので、帯電量もそれに伴って変動する。ここで、トナーの濃度と帯電量との関係は、図3のグラフ(三角印のプロット)のようになる。そして、トナーの濃度と付着量との関係は、トナー濃度が6%のときの付着量を100とすると、図3のグラフ(丸印のプロット)のようになる。また、この関係をテーブルにしたものを図4に示す。図3,4に示すように、トナー濃度が変化すれば、実際に感光体ドラム11に付着するトナー量(すなわちトナー消費量)が大きく変化することが分かる。
【0064】
そこで、ピクセルカウント部54では、現像槽21のトナー濃度に基づいて、テーブル書換部82が重み付け係数テーブル74を補正する構成となっている。この処理について詳細に説明すると以下の通りである。
【0065】
まず、所定のタイミングで、現像槽21内に配された透磁率センサ22の出力値をテーブル書換部82が取得する。この透磁率センサ22の出力値は、現像槽21内のトナー濃度を示すものである。続いて、テーブル書換部82は、記憶部の補正係数テーブルを参照し、透磁率センサ22から取得したトナー濃度に対応する補正係数を取得する。図5は、補正係数テーブルの例を示すものである。補正係数テーブルは、記憶部に、トナー濃度と補正係数とが対応付けて格納されたものである。
【0066】
なお、テーブル書換部82は、上記の補正係数テーブルを参照する代わりに、次の式(1)
補正係数=トナー濃度/6×100 …(1)
によって補正係数を算出してもよい。
【0067】
そして、テーブル書換部82は、記憶部から、トナー濃度が6%の場合に最適な重み付け係数テーブルを取得し、取得した重み付け係数テーブルの各重み付け係数を、上記補正係数と掛け合わせることにより補正する。そして、補正した重み付け係数テーブルを、重み付け演算部78が参照するテーブル74として、記憶部に格納する。
【0068】
このように、本実施形態のデジタル複写機1では、テーブル書換部82が、重み付け係数テーブル74を現像槽21内のトナー濃度に基づいて補正するので、トナー濃度の変化に伴ってトナーの付着量が変動しても、トナーの消費量を正確に推定することができる。
【0069】
なお、本実施形態において、上記所定のタイミングとは、プロセスコントロールが完了した時点を指す。ここで、プロセスコントロールは、デジタル複写機1の立上げ時、温湿度センサの検出値が閾値以上に変化したとき、あるいは、トナーの消費量が所定の量に達したときなどで、かつ、現像処理を行っていないときに行われる。テーブル書換部82は、プロセスコントロール完了後に透磁率センサ22の出力値を取得して、補正係数テーブル74を書き換える。後述するように、プロセスコントロールの前後ではトナー濃度が変化するが、プロセスコントロール後に補正係数テーブル74を補正することにより、プロセスコントロール後に正確なピクセルカウント値を算出することができる。
【0070】
また、上記の説明では、テーブル書換部82が補正係数に基づいて重み付け係数テーブル74を補正する構成としたが、本発明はこれに限定されず、重み付け係数テーブル74を固定のテーブルにするとともに、重み付け演算部78が透磁率センサ22から通知されたトナー濃度に基づいて上記の補正係数を取得し、階調値と重み付け係数と補正係数とを掛け合わせることによりピクセルカウント値を算出してもよい。つまり、ピクセルカウント部54が階調値とトナー濃度とに基づいてピクセルカウント値を求める構成の範囲内で、本発明はさまざまに改変することができる。
【0071】
また、トナー付着量は、各種環境条件、例えばデジタル複写機1の使用期間(ライフ)、デジタル複写機1の設置されている場所の温度および湿度などによる影響も受ける。そこで、デジタル複写機1に使用期間を計測するカウンタ、または、温度もしくは湿度を測定するセンサを設けるとともに、記憶部に、トナー濃度が6%の場合に最適な重み付け係数テーブルを各種環境条件ごとに用意しておき、テーブル書換部82が、記憶部に格納された複数の重み付け係数テーブルの中から、上記カウンタまたはセンサによって得られた環境条件に応じたテーブルを1つ選択し、選択したテーブルを上述した補正係数に基づいて補正することにより、重み付け演算部78が参照する重み付け係数テーブル74を作成してもよい。
【0072】
例えば、下記の表2に示すように、湿度が30%以下のときに用いられるテーブルTBL1、30%〜50%のときに用いられるテーブルTBL2、50%〜70%のときに用いられるテーブルTBL3、70%を越えるときに用いられるテーブルTBL4を記憶部に予め格納しておき、デジタル複写機1が設置されている場所の湿度をセンサによって検知し、記憶部に格納されたテーブルTBL1〜TBL4の中から、検知した湿度に応じたテーブルを選択してもよい。
【0073】
【表2】

【0074】
トナー濃度が6%のときに用いられる環境条件ごとの上記各テーブルにおける階調値と重み付け係数との関係を図6に示す。同図に示すように、湿度が高いときに用いられるテーブルほど、階調値の差に対する重み付け係数の差が大きくなっている。このように、環境条件に応じて重み付け係数テーブルの内容を書き換えることにより、環境条件が変わってもトナー消費量の推定を正確に行うことができる。
【0075】
トナー消費量算出部56は、ピクセルカウント部54の積算部80によって画像ごとに算出された総ピクセルカウント値の累積値を算出する。本実施形態では、トナー消費量算出部56は、2種類の累積値を算出する構成となっており、第1の累積値は、以前にプロセスコントロールを行った時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値であり、第2の累積値は、トナーボトルからトナー補給ユニット30へトナーを投入した時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値である。これらの累積値は、上述したそれぞれの時点以降にトナー画像の形成によって消費されたトナー消費量を示す指標となるものであり、トナー消費量と正比例の関係になる。このトナー消費量算出部56によって、現像槽21内のトナーがどれだけ消費されたかを知ることができる。
【0076】
本実施形態では、トナー補給ユニット30のトナー残量が少なくなると、ユーザが未開封のトナーボトルから収容されている全てのトナーをトナー補給ユニット30へ一度に投入する構成となっているので、第2の累積値は、トナー補給ユニット30にトナーボトルからトナーが投入された時点から、総ピクセルカウント値を累計したものとなっている。ただし、デジタル複写機1が、トナー補給ユニット30にトナーボトルが装着され、トナーボトルからトナー補給ユニット30へトナーが逐次供給される構成の場合、第2の累積値は、トナー補給ユニット30にトナーボトルが装着された時点からの累積値となる。何れにしても、第2の累積値は、トナーボトルから供給されたトナーが、どの程度消費されたかを示す指標となる。
【0077】
プロセスコントロール部46は、これらの各種条件を調整するプロセスコントロールを実行する。プロセスコントロールとは、トナー画像を形成する際の各種条件を調整する処理である。各種条件としては、例えば帯電電位や露光量、トナー濃度、現像バイアス、転写電圧、定着温度・圧力、プロセス速度などが挙げられる。プロコン指示部58は、トナー消費量算出部56によって求められた第1の累積値(以前にプロセスコントロールを行った時点からの層ピクセルカウント値の累積値)が第1の閾値に到達しているか否かを判定し、到達している場合に、プロセスコントロール部46に対して、プロセスコントロールを実行するよう指示する。これにより、プロセスコントロール部46は、トナー消費量が所定の量に達するたびに、プロセスコントロールを実行する。この場合、第1の閾値としては、例えば、50gのトナー消費量に相当する値とすることができる。
【0078】
なお、プロコン指示部58は、トナー消費量が所定の量に達したとき以外に、例えば、デジタル複写機1の立上げ時、温湿度センサの検出値が閾値以上に変化したとき、あるいは、トナーの消費量が所定の量に達したときなどで、かつ、現像処理を行っていないときにも、プロセスコントロール部46に対してプロセスコントロールの実行を指示する。
【0079】
表示パネル45は、ユーザに各種情報を視覚的に通知するためのものであり、例えば液晶パネルなどによって構成される。残量通知指示部59は、トナー消費量算出部56が算出した第2の累積値が第2の閾値に到達しているか否かを判定し、到達している場合に、トナー残量についてのメッセージを表示パネル45に表示する。第2の閾値としては、例えば、投入したトナー、あるいは、トナーボトル内のトナーの残量が僅かになるようなトナー消費量に相当する値とすることができる。この場合、トナー残量が僅かである旨のメッセージを残量通知指示部59が表示パネル45に表示することにより、ユーザは、トナー残量が僅かであり、新しいトナーボトルを準備しなければならないことを知ることができる。例えばトナーボトルに含まれるトナーの重量が1kgである場合、第2の閾値を900gのトナー消費量に相当する値としてもよい。
【0080】
本実施形態では、残量通知指示部59が表示パネル45によって視覚的にユーザに情報を通知する構成としたが、本発明はこれに限定されず、残量通知指示部59は音声案内などによってユーザに情報を通知してもよい。
【0081】
なお、制御部50の各ブロック、具体的には画像処理部52、ピクセルカウント部54、トナー消費量算出部56、プロコン指示部58および残量通知指示部59は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0082】
すなわち、デジタル複写機1は、各ブロックの機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデジタル複写機1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記デジタル複写機1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0083】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0084】
また、デジタル複写機1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0085】
次に、デジタル複写機1による複写処理の手順について説明する。図7および図8は、デジタル複写機1による複写処理の手順を示すフロー図である。まず、ユーザがスキャナ40の原稿台に原稿をセットしてコピーボタンを押下すると、スキャナ40が原稿を読み取って、原稿に応じた画像データが生成される(S11:読み取り工程)。生成された画像データは画像処理部52に送られ、画像データに対して画像処理部52の各ブロックが上述した各種画像処理を行う(S13:画像処理工程)。
【0086】
画像処理部52によって画像処理が行われた画像データは、露光ユニット13に送られ、感光体ドラム11、帯電ユニット12、露光ユニット13、現像ユニット20、および転写ユニット14が、シート上に画像データに応じたトナー画像を形成する(S29:画像形成工程)。また、このステップS29と並行して、ピクセルカウント部54にも画像処理部52によって画像処理が行われた画像データが送られる。
【0087】
ピクセルカウント部54のカウント部76および重み付け演算部78は、画像処理部52から送られた画像データと、プロセスコントロール後にトナー濃度に基づいて補正された重み付け係数テーブル74とから、上述したようにピクセルカウント値を算出する(S17:ピクセルカウント算出工程)。そして、ピクセルごとに算出されたピクセルカウント値は、積算部80に送られる。
【0088】
積算部80は、ピクセルごとに算出されたピクセルカウント値を積算して、総ピクセルカウント値を算出する(S19:総ピクセルカウント算出工程)。この総ピクセルカウント値は、ステップS29において形成されるトナー画像に必要なトナーの量と正比例の関係にある値である。そして、算出された総ピクセルカウント値は、トナー消費量算出部56に送られる。
【0089】
トナー消費量算出部56は、画像1枚分の画像データごとに送られてくる総ピクセルカウント値を累計して、第1の累積値を算出する(S21:第1累積工程)。この累積値は、トナーの消費量と正比例する値であるので、前回にプロセスコントロール行われてから、どれくらいのトナーが消費されたかを推定することができる。そして、トナー消費量算出部56によって算出された第1の累積値は、プロコン指示部58に送られる。
【0090】
続いて、トナー消費量算出部56は、総ピクセルカウント値を累計して、第2の累積値を算出する(S23:第2累積工程)。この累積値もまた、トナーの消費量と正比例する値であり、トナーボトルからトナー補給ユニット30へ規定量のトナーが投入されてから、あるいは、トナーボトルがトナー補給ユニット30に取り付けられてから、どれくらいのトナーが消費されたかを推定することができる。そして、トナー消費量算出部56によって算出された第2の累積値は、残量通知指示部59に送られる。
【0091】
次に、プロコン指示部58が、総ピクセルカウント値の第1の累積値が第1の閾値に到達しているか否かを判定する。(S25:第1判定工程)。ここで、第1の累積値が第1の閾値に到達している場合(S25にてYes)、プロコン指示部58は、プロセスコントロール部46に対してプロセスコントロールを実行するよう指示し、プロセスコントロールがこの指示に従ってプロセスコントロールを実行する。(S27:プロセスコントロール工程)。このステップS27では、プロセスコントロールとして、トナー濃度および現像バイアスの調整が行われる。続いて、テーブル書換部82が、透磁率センサ22からトナー濃度を取得し(S28:トナー濃度取得工程)、上述したように重み付けテーブル74を書き換えて補正する(S29:テーブル書換工程)。そして、プロコン指示部58は、トナー消費量算出部56の累積値を0にリセットし(S30:リセット工程)、ステップS31に進む。一方、ステップS23において、累積値が閾値に到達していない場合(S25にてNo)、プロセスコントロールを行うことなくステップS31に進む。
【0092】
次に、残量通知指示部59が、総ピクセルカウント値の第2の累積値が第2の閾値に到達しているか否かを判定する。(S31:第2判定工程)。ここで、第2の累積値が第2の閾値に到達している場合(S31にてYes)、残量通知指示部59は、表示パネル45にトナー残量が僅かである旨のメッセージを表示し(S33:残量通知工程)、全ての処理が終了する。一方、ステップS31において第2の累積値が第2の閾値に到達していない場合(S31にてNo)、メッセージを表示することなく、処理が終了する。
【0093】
次に、上述したステップS27においてプロセスコントロール部46によって実行されるプロセスコントロール処理の一例として、トナー濃度および現像バイアスを調整する処理について説明する。図9は、プロセスコントロール処理の手順を示すフロー図である。
【0094】
図9に示すように、まず、現像槽21内の現像剤を十分に攪拌した後、透磁率センサ22によって現像槽21中のトナー濃度を検出する(S51)。続いて、感光体ドラム11、帯電ユニット12、露光ユニット13、および現像ユニット20を制御して、濃度検出用パッチを感光体ドラム11上に形成する(S53)。このステップS53において形成する濃度検出用パッチは、ベタ画像のパッチである。そして、形成した濃度検出用パッチが所望の濃度になっているかどうかを調べるために、反射式光センサからなるパッチ画像検出器で濃度検出用パッチを読み取る(S55)。そして、ステップS51において検出したトナー濃度と、ステップS53において読み取った濃度検出用パッチの濃度とから、補給すべきトナー量を決定し、現像ユニット20にトナーを補給する(S57)。
【0095】
次に、感光体ドラム11、帯電ユニット12、露光ユニット13、および現像ユニット20を制御して、感光体ドラム11の周面に20mm×20mmの濃度検出用パッチを3つ形成する(S59)。3つの濃度検出用パッチは、何れも、帯電ユニット12のグリッドバイアス500V、露光ユニット13のレーザパワーP0=0.43mW、レーザのPWMのデューティ比100%の条件で形成され、現像バイアスの条件のみが異なっている。具体的には、濃度検出用パッチを形成する際の現像バイアスVbは、図10に示すように、それぞれ、Vb1=−275、Vb2=−325V、Vb3=−375Vとなっている。
【0096】
そして、形成した濃度検出用パッチを反射式光センサからなるパッチ画像検出器で約10数点サンプリングし、サンプリングして得られた濃度値について、最大値近傍および最小値近傍をカットした後に平均を取る(S61)。それぞれの濃度検出用パッチから求められた平均値をI1,I2,I3とする。
【0097】
次に、3つの濃度検出用パッチの現像バイアスVb1〜Vb3と光学濃度I1〜I3とから、図11に示すように、現像バイアスと光学濃度との関係を示す回帰曲線を作成する(S63)。そして、作成した回帰曲線を用いて、所定濃度I0となる現像バイアスVb0を求める。ここで、所定濃度I0とは、レーザのPWMのデューティ比を80%に設定したときに得られるべき濃度である。つまり、現像バイアスVb0は、露光量の調整により所望の濃度を得ることを可能にする現像バイアスの値といえる。最後に、トナー像を形成する際の現像バイアスの制御値をVb0に変更する(S65)。以上でプロセスコントロール処理を終了する。
【0098】
なお、上記の例では、プロセスコントロール部46がトナー濃度および現像バイアスを調整する構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、プロセスコントロール部46が、帯電電位、露光量、転写電圧、定着温度・圧力、またはプロセス速度などを調整してもよい。
【0099】
以上のように、本実施形態のデジタル複写機1では、ピクセルカウントに基づいて推定したトナーの消費量が所定の量に達するたびにプロセスコントロールを行うので、画像形成条件を常に最適に保つことができる。また、トナー残量が十分であるか否かをピクセルカウントに基づいて判定し、トナー残量が僅かになった場合にユーザに通知を行うので、ユーザはトナー残量が少なくなった際にその旨を知ることができる。ここで、本実施形態のデジタル複写機1では、ピクセルカウント値を求める際に、ピクセルの階調値だけでなくトナー濃度をも考慮するため、従来の装置よりも正確にトナー残量を推定することができる。さらに、トナー残量を推定するにあたって、一定のトナー消費量ごとにプロセスコントロールを行うので、ピクセルカウント値が実際のトナー消費量と大きく乖離することがなく、トナー消費量を正確に推定することができる。
【0100】
また、本実施形態では、本発明をデジタル複写機に適用した例について説明したが、本発明は、デジタル複写機のほかに、ファクシミリ機、プリンタ、または複合機など、各種画像形成装置に適用することができる。例えばファクシミリ機の場合は、画像処理部52に入力される画像データを、相手側のファクシミリ機から受信した画像データとすることができる。また、プリンタの場合は、画像処理部52に入力される画像データを、印刷を指示したコンピュータから受信した画像データとすることができる。なお、何れの場合においても、画像処理部52は省略してもよい。
【0101】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について図12および図13に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、上述した実施形態1と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0102】
感光体ドラム11上に形成される静電潜像において、注目ピクセルの現像性は、周辺ピクセルの階調値にも応じて変動する。露光ユニット13から感光体ドラム11上のある注目ピクセルに対して、その注目ピクセルの階調値に応じた条件(強度など)で光が照射されたとしても、周辺ピクセルがどのような条件で露光されるのかによって、静電潜像の質が異なるのである。その結果、その静電潜像に対するトナー付着量も異なることになる。これはすなわち、各ピクセルにおけるトナー消費量が周辺ピクセルの階調値にも影響を受けることを意味している。
【0103】
上述した実施形態1では、ピクセルカウント値を算出する際に、ピクセルカウント値を算出する対象となる注目ピクセルの階調値と、現像槽21内のトナー濃度とに基づいて算出し、周辺ピクセルの階調値は考慮していなかった。これに対して本実施形態では、注目ピクセルの階調値およびトナー濃度に加えて、注目ピクセルと隣接する隣接ピクセルを少なくとも1つ含む周辺ピクセルの階調値にも基づいて、ピクセルカウント値を算出する構成となっている。
【0104】
図12は、本実施形態のデジタル複写機におけるプロセスコントロール処理に関する機能構成を示すブロック図である。本実施形態のデジタル複写機2は、ピクセルカウント部54の代わりにピクセルカウント部55を備えており、ピクセルカウント部55は、重み付け演算部78の代わりに重み付け演算部84を備えている。
【0105】
今、図13に示すpix1がピクセルカウント値を算出したい注目ピクセルであるとする。この例では、注目ピクセルpix1の階調値が128であり、隣接ピクセルpix2の階調値が64であり、隣接ピクセルpix3〜5の階調値が0となっている。この場合、注目ピクセルpix1によるトナー消費量は、隣接ピクセルpix2の階調値が0の場合に比べて、小さくなることが予想される。
【0106】
従って、重み付け演算部84は、カウント部76によって抽出された注目ピクセルpix1の階調値を、注目ピクセルに隣接する隣接ピクセルpix2〜5の階調値に基づいて補正する。このとき、重み付け演算部84は、隣接ピクセルpix2〜5の階調値が大きければ大きいほど、注目ピクセルの階調値が小さくなるように注目ピクセルpix1の階調値を補正し、かつ、隣接ピクセルpix2〜5の階調値が全て0の場合には補正を行わない。
【0107】
そして、重み付け演算部84は、重み付け係数テーブル74から、補正した階調値に対応する重み付け係数を取得するとともに、補正した階調値と重み付け係数とを掛け合わせて、注目ピクセルpix1のピクセルカウント値を算出する。重み付け演算部84は、このようにして、全てのピクセルのピクセルカウント値を、注目ピクセルの階調値と隣接ピクセルの階調値とに基づいて算出する。なお、注目ピクセルが画像の縁部に位置し、隣接ピクセルの何れかが実際には存在しない場合は、階調値が0のダミーピクセルを隣接ピクセルとすればよい。以上のようにしてピクセルごとに算出されたピクセルカウント値は、積算部80に送られる。
【0108】
なお、上記の説明では、注目ピクセルpix1の階調値を、隣接ピクセルpix2〜5のみに基づいて補正する構成としたが、隣接ピクセルpix2〜5に加えて、ピクセルpix6〜9をも用いて補正してもよい。すなわち、本発明は、注目ピクセルの階調値を、少なくとも1つの隣接ピクセルを含む周辺ピクセルの階調値に基づいて補正するものであれば、適宜改変することができる。
【0109】
以上のように、本実施形態のデジタル複写機2では、注目ピクセルのピクセルカウント値を、注目ピクセルと隣接する隣接ピクセルの階調値をも考慮して求めるので、トナー消費量を一層正確に推定することができる。
【0110】
本発明は上述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、デジタル複写機、ファクシミリ機、プリンタ、または複合機など、各種画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、デジタル複写機における画像処理およびプロセスコントロール処理に関する機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであり、デジタル複写機の概略構成を示す横断面図である。
【図3】トナーの濃度と帯電量との関係、および、トナーの濃度と付着量との関係をグラフとして示す図である。
【図4】図3のトナーの濃度と付着量との関係を表として示す図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであり、補正係数テーブルの例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであり、環境条件ごとのテーブルにおける階調値と重み付け係数との関係を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すものであり、デジタル複写機による複写処理の手順の前半部分を示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであり、デジタル複写機による複写処理の手順の後半部分を示すフロー図である。
【図9】本発明の一実施形態を示すものであり、プロセスコントロール処理の手順を示すフロー図である。
【図10】本発明の一実施形態を示すものであり、プロセスコントロール時に形成される3つの濃度検出用トナーパッチを示す図である。
【図11】プロセスコントロール時に作成される、現像バイアスと濃度との関係を示す回帰曲線を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示すものであり、デジタル複写機における、画像処理およびプロセスコントロール処理に関する機能構成を示すブロック図である。
【図13】デジタル画像の一例を示す図である。
【図14】重み付け係数テーブルの例を示す図である。
【図15】従来の技術を示すものであり、画像処理およびトナー消費量換算を行うための機能構成を示すブロック図である。
【図16】従来の技術を示すものであり、画像処理およびトナー消費量換算の手順を示すフロー図である。
【図17】従来技術を示すものであり、信号入力値とそれに対応する重み付け係数との関係を示す図である。
【図18】従来技術を示すものであり、プロセスコントロールの一例を示す図である。
【図19】従来技術を示すものであり、プロセスコントロールの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1,2,3 デジタル複写機(画像形成装置)
11 感光体ドラム
12 帯電ユニット
13 露光ユニット
14 転写ユニット
15 クリーニングユニット
16 除電ユニット
20 現像ユニット(現像装置)
21 現像槽
22 透磁率センサ(センサ)
23 現像ローラ
30 トナー補給ユニット(トナー補給装置)
40 スキャナ
45 表示パネル(通知部)
46 プロセスコントロール部
50 制御部
53 第1トナー消費量算出部(第1トナー消費量算出手段)
54,55 ピクセルカウント部(ピクセルカウント手段)
57 第2トナー消費量算出部(第2トナー消費量算出手段)
58 プロコン指示部(プロセスコントロール指示手段)
59 残量通知指示部(通知指示手段)
78 重み付け演算部(演算手段)
82 テーブル書換部(補正手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像装置と、上記現像装置へトナーを補給するトナー補給装置とを備え、デジタル画像データに応じたトナー画像を上記現像装置によって形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
上記デジタル画像データによって示されるデジタル画像のピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値をピクセルごとに求め、ピクセルごとに求めた上記ピクセルカウント値を積算することにより、上記トナー画像のトナー消費量の指標である総ピクセルカウント値を求めるピクセルカウント手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記現像装置は、トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤が攪拌される現像槽と、上記現像槽の内部に配されて透磁率を検知するセンサと、上記現像槽の二成分現像剤を用いてトナー画像を形成する現像ローラとを備え、
上記ピクセルカウント手段は、上記デジタル画像の各ピクセルの階調値と、上記センサの出力値とに基づいて、上記ピクセルカウント値を求めることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記ピクセルカウント手段は、ピクセルカウント値を算出する対象となるピクセルである注目ピクセルのピクセルカウント値を、注目ピクセルの階調値と、該注目ピクセルと隣接するピクセルである隣接ピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて求めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ピクセルの階調値を上記ピクセルカウント値に換算するための換算係数を環境条件ごとに格納する記憶部を備え、
上記ピクセルカウント手段は、上記記憶部から環境条件に応じた上記換算係数を取得し、取得した換算係数とトナーの上記濃度に応じた補正係数とによって上記ピクセルの階調値から上記ピクセルカウント値を算出することを特徴とする、請求項1,2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー画像を形成する際の条件を調整する処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール部と、
上記プロセスコントロール部がプロセスコントロールを実行した時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値が閾値に到達している場合に、上記プロセスコントロール部にプロセスコントロールを実行するよう指示するプロセスコントロール指示手段とをさらに備えていることを特徴とする、請求項1,2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ピクセルの階調値を上記ピクセルカウント値に換算するための換算係数を格納する記憶部と、
上記現像装置にトナーを補給し、トナー画像を形成する際の条件を調整する処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール部とを備え、
上記ピクセルカウント手段は、
上記記憶部に格納された上記換算係数とピクセルの階調値とに基づいて上記ピクセルカウント値を算出する演算手段と、
上記プロセスコントロール部がプロセスコントロールを実行した後に、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度に基づいて上記記憶部に格納された上記換算係数を補正する補正手段とを有していることを特徴とする、請求項1,2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザに通知を行う通知部と、
トナーが上記トナー補給装置に供給された時点、あるいは、トナーを収容するトナーボトルが上記トナー補給装置に装着された時点からの上記総ピクセルカウント値の累積値が閾値に到達した場合に、上記通知部に対して、ユーザに通知を行うよう指示する通知指示手段とをさらに備えていることを特徴とする、請求項1,2又は3に記載の画像形成装置。に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像装置と、上記現像装置へトナーを補給するトナー補給装置とを備え、デジタル画像データに応じたトナー画像を上記現像装置によって形成する電子写真方式の画像形成装置における、上記トナー画像の形成によるトナー消費量の推定方法であって、
上記デジタル画像データによって示されるデジタル画像のピクセルの階調値と、上記現像装置における二成分系現像剤中のトナーの濃度とに基づいて、ピクセルごとのトナー消費量の指標であるピクセルカウント値をピクセルごとに求め、ピクセルごとに求めた上記ピクセルカウント値を積算することにより、上記トナー画像のトナー消費量の指標である総ピクセルカウント値を求めるピクセルカウント工程を含んでいることを特徴とするトナー消費量の推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−96735(P2008−96735A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279015(P2006−279015)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】