説明

画像形成装置、制御装置、およびプログラム

【課題】画像形成装置が省電力状態から復帰できないという事態の発生を低減する。
【解決手段】主制御部30が自らを省電力状態に遷移させた動作状態にて予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を認識することにより、CPU301をROM303に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、CPU301にRAM302内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置では、例えば端末装置から通信手段を介して画像形成命令等を受け取り、印刷処理を行う。その際に、例えば予め設定された時間を超えても画像形成命令の受信やユーザによる操作入力が認識されない場合には、通常、消費電力を低く抑える省電力状態に移行する。
例えば特許文献1には、前回の画像出力時刻と今回の画像出力時刻との時間差を求め、この時間差から省エネルギーモードへの移行時間を算出して、今回の画像出力時刻からの経過時間が省エネルギーモードへの移行時間に達した場合に省エネルギーモードに移行させる画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、画像形成装置が省電力状態に設定された際に、画像形成装置の動作制御等を担う制御部内の主記憶装置に記憶されたデータが一部でも失われると、省電力状態から復帰できなくなることがある。
本発明は、画像形成装置が省電力状態から復帰できないという事態の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、動作状態として稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とが設定され、当該稼動状態にて画像データを取得し、取得した当該画像データに基づき用紙に画像を形成する画像形成手段と、中央制御装置と主記憶装置と読出専用記憶装置とを有し、前記画像形成手段の動作を制御するとともに、当該画像形成手段の動作状態に対応させて自らの動作状態を前記稼動状態と前記省電力状態とに遷移させる制御手段と、前記制御手段が自らを前記省電力状態に遷移させた動作状態にて予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を認識することにより、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる起動手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記起動手段は、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記制御手段を前記省電力状態から復帰させるに際して、前記中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記起動手段は、前記制御手段が自らを前記省電力状態に遷移させる際に、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点にて生成する割り込み要求信号を、前記読出専用記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示され、かつ、当該予め設定された時間間隔毎または当該予め設定された日時毎の時点以外の期間にて生成する割り込み要求信号を、前記主記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記起動手段は、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内に記憶されたオペレーティングシステムのカーネル部に対する初期設定処理を実行させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、プログラムおよびデータを記憶する不揮発性記憶手段をさらに備え、前記中央制御装置は、前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行するに際し、当該主記憶装置内のオペレーティングシステム以外の記憶内容を前記不揮発性記憶手段に複写することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項6に記載の発明は、画像データを取得し、取得した当該画像データに基づき用紙に画像を形成する画像形成手段の動作状態を稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とに遷移させる制御を行うとともに、当該画像形成手段の動作状態に対応させて自らの動作状態を当該稼動状態と当該省電力状態とに遷移させる中央制御装置と、前記中央制御装置が起動することにより当該中央制御装置を動作させるプログラムが書き込まれる主記憶装置と、前記中央制御装置を動作させる前記プログラムを記憶し、当該中央制御装置が起動することにより当該プログラムが読み出され、当該プログラムが前記主記憶装置に複写される読出専用記憶装置と、前記中央制御装置が前記画像形成手段の動作状態に対応させて自らを前記省電力状態に遷移させた動作状態にて予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を認識することにより、当該中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる起動手段とを備えたことを特徴とする制御装置である。
【0008】
請求項7に記載の発明は、前記起動手段は、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記中央制御装置を前記省電力状態から復帰させるに際して、当該中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることを特徴とする請求項6記載の制御装置である。
請求項8に記載の発明は、前記起動手段は、前記中央制御装置が自らを前記省電力状態に遷移させる際に、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点にて生成する割り込み要求信号を、前記読出専用記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示され、かつ、当該予め設定された時間間隔毎または当該予め設定された日時毎の時点以外の期間にて生成する割り込み要求信号を、前記主記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示されることを特徴とする請求項7記載の制御装置である。
請求項9に記載の発明は、前記起動手段は、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内に記憶されたオペレーティングシステムのカーネル部に対する初期設定処理を実行させることを特徴とする請求項7記載の制御装置である。
請求項10に記載の発明は、前記中央制御装置は、前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行するに際し、当該主記憶装置内のオペレーティングシステム以外の記憶内容を不揮発性記憶手段に複写することを特徴とする請求項7記載の制御装置である。
【0009】
請求項11に記載の発明は、コンピュータに、中央制御装置の動作状態を稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とに遷移させる機能と、予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を計測する機能と、前記中央制御装置が前記省電力状態に遷移させた動作状態にて前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点が計測されたことを認識することにより、前記中央制御装置を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる機能と、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記中央制御装置を前記省電力状態から復帰させるに際して、当該中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させる機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、画像形成装置が省電力状態から復帰できないという事態の発生を低減することができる。
請求項2の発明によれば、制御手段を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させるよりも速く省電力状態から復帰させることができる。
請求項3の発明によれば、予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎に中央制御装置を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させ、中央制御装置に主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させるとともに、予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点以外の期間では中央制御装置を主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、初期設定処理を短時間で行うことができる。
請求項5の発明によれば、オペレーティングシステム以外の記憶内容を毀損されない状態で保持しておくことができる。
【0011】
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、画像形成装置が省電力状態から復帰できないという事態の発生を低減することができる。
請求項7の発明によれば、制御手段を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させるよりも速く省電力状態から復帰させることができる。
請求項8の発明によれば、予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎に中央制御装置を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させ、中央制御装置に主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させるとともに、予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点以外の期間では中央制御装置を主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることができる。
請求項9の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、初期設定処理を短時間で行うことができる。
請求項10の発明によれば、オペレーティングシステム以外の記憶内容を毀損されない状態で保持しておくことができる。
請求項11の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、画像形成装置が省電力状態から復帰できないという事態の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の画像形成装置が接続される画像形成システムの構成例を示した図である。
【図2】端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】主制御部の構成を説明するブロック図である。
【図5】本実施の形態の画像形成装置にて設定される各動作モードの消費電力量を説明する図である。
【図6−1】主制御部が行う動作モードに関する制御処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【図6−2】主制御部が行う動作モードに関する制御処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【図7】主制御部が行う割り込み要求信号の生成処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成システムの説明>
図1は、本実施の形態の画像形成装置3が接続される画像形成システム1の構成例を示した図である。図1に例示した画像形成システム1では、例えばユーザの作業スペース(例えば、デスク)等に設置された端末装置2と、端末装置2にて作成/保存等された画像データに基づき用紙上に画像を形成する画像形成装置3とが、通信手段の一例であるLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク4を介して双方向に通信可能に接続されている。通信手段としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等の通信回線を介在させてもよい。
なお、ネットワーク4上には通常、複数の端末装置2と複数の画像形成装置3とが接続可能であるが、図1では、その一部として、それぞれ1台の端末装置2と1台の画像形成装置3とが接続された構成を示している。
【0014】
<端末装置の説明>
まず、端末装置2について説明する。
ネットワーク4に接続される端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられ、文書や図形、グラフィック、写真等からなる画像データを作成/記憶する。
図2は、端末装置2の構成を説明するブロック図である。図2に示したように、端末装置2は、端末装置2全体の動作制御や各種の情報処理を行う主制御部20、予め定めたアプリケーションソフトに従って画像データを作成する画像データ作成部21、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部22を備えている。また、端末装置2は、プログラムや各種データ等が記憶される外部記憶部23、ネットワーク4との通信を行い、例えば画像データに関する画像形成命令を画像形成装置3に送信する通信部24を備えている。さらに、端末装置2は、端末装置2の各構成部に対して電力を供給する電力供給部25を備えている。
この主制御部20、画像データ作成部21、UI部22、外部記憶部23、通信部24、および電力供給部25は、バス26に接続され、相互に信号や情報の送受信を行う。
【0015】
端末装置2の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、外部記憶部23に、端末装置2の各構成部の動作を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト、さらには、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する画像形成装置3への画像形成命令(印刷命令:以下、「印刷ジョブ」)を生成するプリンタドライバプログラム等が記憶されている。そして、端末装置2の図示しないCPUが、これらのプログラムを外部記憶部23から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、主制御部20、画像データ作成部21、および通信部24等の各構成部の機能を実現する処理を行う。
【0016】
<端末装置での印刷ジョブの生成/送信処理の説明>
端末装置2においてユーザによる印刷指示がUI部22に入力されると、主制御部20は、外部記憶部23からプリンタドライバプログラムを読み込み、起動させる。それにより、主制御部20はプリンタドライバプログラムに従って、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する印刷ジョブの生成処理を実行する。そして、主制御部20は、生成した印刷ジョブを通信部24から画像形成装置3に送信する。
なお、「画像形成命令(印刷ジョブ)」とは、画像データに、例えば印刷部数、用紙サイズ、N−up(用紙の1ページ(物理ページ)内に電子文書のNページ(論理ページ)を割り付ける印刷)、余白の大きさ等の印刷形式を指定する各種属性データが付加された1つのまとまったデータの集合(印刷ジョブデータ)を意味する。
【0017】
<画像形成装置の説明>
次に、画像形成装置3について説明する。
本実施の形態の画像形成装置3は、例えば端末装置2からの直近の印刷ジョブの送信から予め定められた時間を経過しても次の印刷ジョブが送信されない場合等には、画像形成処理を実行している動作状態(稼働状態)よりも消費電力が低減された動作状態(省電力状態)に移行する。そして、省電力状態が維持された状態において、予め定めた時間間隔毎に、画像形成装置3に設けられた主制御部を再起動(リブート)させ、再起動後に再び省電力状態を維持させる処理を行う。それにより、主制御部の中央制御装置に接続された揮発性メモリである主記憶装置の初期設定(イニシャライズ)を行う。
【0018】
例えば、画像形成装置3の主制御部では、省電力状態の設定中においても主記憶装置が定期的にセルフリフレッシュ処理を実行する。それにより、主記憶装置を構成するメモリ素子内の電荷を補充して記憶内容が失われるのを抑えている。しかし、セルフリフレッシュ処理の実行中に発生したノイズ、さらにはメモリリーク等が要因となって、主記憶装置に記憶されたオペレーティングシステム等のプログラム、プログラムで使用される変数、スタック情報、レジスタ情報等といった画像形成装置3の動作状態等に関する情報(記憶内容)の一部がセルフリフレッシュ処理により失われる場合がある。その場合には、主制御部は画像形成装置3を省電力状態から正常に復帰させることができない事態が発生する可能性がある。
そこで、本実施の形態の画像形成装置3は、省電力状態が維持された状態において、例えば予め定めた時間間隔毎に主制御部を読出専用記憶装置に記憶されたプログラム等を用いて再起動させ、主記憶装置の記憶内容を初期設定する。それにより、主制御部が画像形成装置3を省電力状態から復帰させる際には、主記憶装置に記憶されたプログラムや情報(データ)が毀損している可能性が低下するので、画像形成装置3が省電力状態から正常に復帰しない事態の発生が低減される。
【0019】
<画像形成装置の構成の説明>
次に、上記した処理を行う本実施の形態の画像形成装置3の構成について述べる。
図3は、本実施の形態の画像形成装置3の構成を説明するブロック図である。図3に示したように、画像形成装置3は、画像形成装置3全体の動作制御や画像処理を含む各種の情報処理を行う制御手段(制御装置)の一例としての主制御部30、ネットワーク4と通信を行って例えば端末装置2との間で信号の送受信を行う通信部31を備えている。
【0020】
また、画像形成装置3は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部32、例えば公衆電話回線を介してファクシミリデータの送受信を行うファクシミリ(FAX)部33、例えばネットワーク4を介して端末装置2から送信される印刷ジョブや画像読取部32で読み取られた画像データ等に基づき用紙上に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部34を備えている。画像形成部34としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。
加えて、画像形成装置3は、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部35、画像形成装置3の各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト等の各種プログラムや、画像データ等の各種データが記憶される補助記憶装置(不揮発性記憶手段)の一例としての補助記憶部36を備えている。補助記憶部36としては、例えば、比較的大きな記憶容量が実現され、記憶対象となるデータに関する制限の少ないハードディスク(HDD)が用いられる。
また、画像形成装置3は、商用電源から供給される例えば100Vの交流電力を直流電圧(例えば、24V,12V,5V,3V)の電力に変換して各構成部に供給する電力供給部37を備えている。
【0021】
画像形成装置3に配置された上記の主制御部30、通信部31、画像読取部32、FAX部33、画像形成部34、UI部35、補助記憶部36、および電力供給部37は、バス38に接続され、相互に信号の送受信を行う。
また、画像形成装置3の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像形成装置3の主制御部30の中央制御装置が、オペレーティングシステムやアプリケーションソフト等の各種プログラムを主制御部30内の読出専用記憶装置や補助記憶部36から主記憶装置に読み込み、主制御部30、通信部31、画像読取部32、FAX部33、画像形成部34、UI部35、補助記憶部36、および電力供給部37等の各構成部の機能を実現させる処理や、各構成部に対する動作制御や情報処理等を実行する。
【0022】
<主制御部の説明>
引き続き、本実施の形態の主制御部30について説明する。
図4は、主制御部30の構成を説明するブロック図である。図4に示したように、主制御部30は、中央制御装置(CPU:Central Processing Unit)301、主記憶装置(RAM:Random Access Memory)302、読出専用記憶装置(ROM:Read Only Memory)303、起動手段の一例としての割り込みコントローラ304、タイマ305、リアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)306、入出力インターフェース(I/F)307を備えている。そして、これらは、内部バス308に接続され、相互に信号の送受信を行う。
ROM303は、画像形成装置3を構成する各構成部の動作を制御するためのオペレーティングシステム(以下、「OS」)や、OSで使用される各種変数等の情報を記憶する。
タイマ305は、予め設定された時間までの残り時間を計測する。そして、残り時間が“0”となった時点で割り込みコントローラ304に通知し、再度予め設定された時間までの残り時間の計測を開始する。
RTC306は、内蔵電源(不図示)からの電力供給を受けて、常時、日時を計測する。そして、予め設定された曜日、日付、時刻を計測した時点で、割り込みコントローラ304に通知する。
I/F307は、例えば補助記憶部36等の構成部との信号やデータの送受信を制御する。
【0023】
また、本実施の形態の割り込みコントローラ304は、例えば、画像形成装置3内の各構成部から割り込み要求を受信し、各構成部からの割り込み要求に応じてCPU301に割り込み要求信号を出力する。
さらに、画像形成装置3が省電力状態(後段の「スリープモード」)に設定された状態においては、割り込みコントローラ304は、タイマ305から予め設定された時間が経過したことの通知を受けることにより割り込み要求信号を生成し、CPU301に割り込み要求信号を出力する。また、例えばRTC306が予め設定された日時等を計測したことの通知を受けることにより割り込み要求信号を生成し、CPU301に割り込み要求信号を出力するように設定される場合もある。
【0024】
<主制御部が有する動作モードの制御機能に関する説明>
ここで、主制御部30が有する動作モードの制御機能について説明する。
主制御部30は、通信部31や画像読取部32からの印刷ジョブや画像データの受信状況、UI部35でのユーザからの操作入力状況等に応じて画像形成装置3の動作モード(動作状態)を制御する機能を有する。
図5は、本実施の形態の画像形成装置3にて設定される各動作モードの消費電力量を説明する図である。図5に示したように、主制御部30は、動作モードとして稼動状態の一例である「画像形成動作モード」および「スタンバイモード」と、稼動状態よりも消費電力の少ない省電力状態の一例である「スリープモード」とを選択的に設定する。
【0025】
「画像形成動作モード」は、例えば主制御部30によって画像処理された画像データが画像形成部34に転送された場合に設定され、画像形成部34にて用紙上への画像形成動作を実行している動作状態である。「画像形成動作モード」は、動作モードの中で最も大きな電力が消費される。
また、「スタンバイモード」は、例えば画像形成装置3の主電源スイッチ(不図示)がオンされた際や、「スリープモード」の設定中に通信部31や画像読取部32から印刷ジョブや画像データを取得した場合やUI部35にてユーザから操作入力があった場合に設定される動作状態である。そして、「スタンバイモード」は、例えば主制御部30にて印刷ジョブや画像データの全部または一部に関する画像処理が終了した際に、直ちに「画像形成動作モード」に移行する。さらにまた、「スタンバイモード」は、画像形成動作の終了後の予め定めた期間においても設定される。「画像形成動作モード」やそれに準ずる「スタンバイモード」では、電力供給部37から各構成部の駆動系や制御系を動作させる電力が供給される。そのため、「スタンバイモード」では、「画像形成動作モード」よりも少ない電力が消費される。
【0026】
「スリープモード」は、画像形成動作が終了して「画像形成動作モード」から「スタンバイモード」が設定された状態で、予め定めた時間長の待機時間Tを経過しても印刷ジョブの受信やユーザからの操作入力がない場合等に設定される動作状態である。「スリープモード」においては、電力供給部37から主制御部30への制御系電力の供給は継続される。その一方で、電力供給部37から画像形成装置3内の画像形成動作およびそれに関連した動作等を実行する各構成部の駆動系や制御系を動作させる電力が停止される。それにより、「スリープモード」での消費電力量は低減され、画像形成装置3の省電力化が図られる。
主制御部30では、「スリープモード」において、CPU301への電力供給は停止される。それにより、CPU301での消費電力量が低減される。一方、CPU301に割り込み要求信号を出力する割り込みコントローラ304、データを保持する必要のあるRAM302、時間や日時等を計測するタイマ305およびRTC306への電力供給は継続される。
【0027】
主制御部30は、例えば「スタンバイモード」が設定された後の待機時間Tを経過しても通信部31にて印刷ジョブの受信やUI部35にてユーザからの操作入力等がない場合には、画像形成装置3を「スタンバイモード」から「スリープモード」へ移行(遷移)させる。
一方、主制御部30は、「スリープモード」が設定された状態で例えば通信部31にて印刷ジョブを受信した場合やUI部35にてユーザからの操作入力があった場合等には、電力供給部37から各構成部の駆動系や制御系に対する電力供給を再開させ、画像形成装置3を「スリープモード」から「スタンバイモード」に復帰させる。
また、主制御部30は、電力供給部37から各構成部の駆動系や制御系に対する電力供給のオンオフについてのユーザからの操作入力を受け付ける副電源スイッチ(不図示)の設定状態を認識する。副電源スイッチは、電力供給部37から供給される電力の全体をオンオフする主電源スイッチ(不図示)とは異なり、「スリープモード」と「スタンバイモード」との間の遷移を行う際に使用される切換スイッチである。主制御部30は、副電源スイッチでのユーザからの操作入力を認識することによっても、「スリープモード」と「スタンバイモード」との間の遷移処理を行う。
【0028】
<「スリープモード」でのRAMに対する初期設定処理に関する説明>
主制御部30では、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させた状態において、割り込みコントローラ304がタイマ305から予め設定された時間(例えば、1週間程度の時間間隔)が経過した旨の通知を受ける。そうすると、割り込みコントローラ304は、割り込み要求信号を生成してCPU301に出力する。その場合に、割り込みコントローラ304が生成する割り込み要求信号は、ROM303に記憶されたOSを用いた主制御部30の再起動処理の実行を指示する割り込みコードで構成される。すなわち、割り込みコントローラ304は、ROM303に記憶されたテーブル(ベクタテーブル)の「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレス(番地)を指定する割り込みコードを、割り込み要求信号としてCPU301に出力する。
【0029】
そして、割り込みコントローラ304から割り込み要求信号を受け取ったCPU301は、ROM303に記憶されたベクタテーブルの中の割り込みコードに指定されたアドレスに格納された処理ルーチンである、「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」を実行する。すなわち、CPU301は、ROM303に記憶されたOSを用いて再起動(リブート)され、電力供給も再開される。そして、ROM303に記憶されたOSや各種情報および補助記憶部36に記憶されたアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報を再度、RAM302に書き込む(ダウンロードする)処理を行う。それにより、RAM302は、OSおよびアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報が新たに展開され、初期設定される。
そのため、その後に通信部31にて印刷ジョブの受信やUI部35にてユーザからの操作入力等があり、通信部31やUI部35や副電源スイッチから割り込み要求があった場合には、CPU301は、RAM302に新たに書き込まれたプログラム等により「スリープモード」から復帰することとなる。
【0030】
そして、ROM303に記憶されたOS等により再起動され、RAM302への初期設定が完了した後において、CPU301が通信部31での印刷ジョブの受信やUI部35でのユーザからの操作入力、さらには副電源スイッチでのユーザからの操作入力の何れも認識しない場合には、CPU301は、画像形成装置3を「スリープモード」へ再び移行させる。さらには、CPU301は、CPU301自身への電力供給も停止する。
【0031】
CPU301は、画像形成装置3を「スリープモード」へ再び移行させる際には、割り込みコントローラ304に対し、タイマ305から予め設定された時間が経過した旨の通知を受けるまでの間は、CPU301に出力する割り込み要求信号を、RAM302に記憶されたテーブル(ベクタテーブル)の「「スリープモード」からの復帰処理」が格納されたアドレス(番地)を指定する割り込みコードにより構成するように指示する。それにより、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させた状態において、割り込みコントローラ304が通信部31やUI部35や副電源スイッチから割り込み要求を受信し、CPU301に割り込み要求信号を出力する場合には、割り込みコントローラ304からCPU301への割り込み要求信号は、RAM302に記憶された「OSの実行命令」を指示する割り込みコードにより構成される。
それにより、割り込みコントローラ304から割り込み要求信号を受け取ったCPU301は、RAM302に記憶されたテーブルの中の割り込みコードに指定されたアドレスに格納された処理(「「スリープモード」からの復帰処理」)を実行する。その場合には、RAM302に記憶された「「スリープモード」からの復帰処理」を実行することで、「スリープモード」からの復帰処理が高速に行われる。
【0032】
また、CPU301は、画像形成装置3を「スリープモード」へ再び移行させる際に、割り込みコントローラ304がタイマ305から予め設定された時間が経過した旨の通知を受けた場合には、CPU301に出力する割り込み要求信号を、ROM303に記憶されたベクタテーブルの「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレス(番地)を指定する割り込みコードにより構成するように指示する。
それにより、上記したように、割り込みコントローラ304は、ROM303にて「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードを、割り込み要求信号としてCPU301に出力することとなる。
【0033】
このように、本実施の形態の主制御部30においては、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させた状態において予め設定された時間が経過する毎に、CPU301は、ROM303に記憶されたOSにより再起動され、RAM302に対し、ROM303に記憶されたOSや各種情報、および補助記憶部36に記憶されたアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報を新たに書き換える初期設定処理を行う。
そのため、RAM302が定期的にセルフリフレッシュ処理を実行した際に、セルフリフレッシュ処理の実行中に発生したノイズやメモリリーク等が要因となって、RAM302に記憶されたプログラム、プログラムで使用される変数、スタック情報、レジスタ情報等といった画像形成装置3の動作状態に関する情報の一部が失われたとしても、RAM302には新たにプログラムや各種情報が書き込まれる初期設定が行われる。それにより、主制御部30が画像形成装置3を省電力状態(「スリープモード」)から復帰させる際には、RAM302に記憶されたプログラムや情報(データ)が毀損している可能性が低下するので、画像形成装置3が省電力状態から正常に復帰しない事態の発生が低減する。そのことから、ユーザの利便性は向上する。
【0034】
また、画像形成装置3が長期に亘って「スリープモード」に設定される場合であっても、タイマ305にて計測される例えば1週間程度に1回の頻度でCPU301が復帰するだけであるので、「スリープモード」の設定による消費電力量の低減化は維持される。
【0035】
なお、本実施の形態では、割り込みコントローラ304がROM303による実行を指示する割り込みコードで構成される割り込み要求信号をCPU301に出力するタイミング(時点)として、タイマ305にて計測される予め設定された時間(例えば、1週間程度の時間間隔)を用いた。このような構成の他に、例えば、RTC306にて計測される曜日、日付、時刻(例えば、月曜日の午前0時といった日時)を指定することによって、割り込み要求信号を生成するタイミング(時点)を設定してもよい。それにより、例えば曜日、時刻等によって画像形成装置3の使用頻度が異なるユーザの利便性が高まる。
【0036】
また、ROM303や補助記憶部36からプログラム等を再度読み込んでRAM302に書き込む初期設定処理を実行するに際し、例えば、OSの中のハードウェアを直接管理操作する等の最も中心的な機能の部分であるカーネル部だけを初期設定するように構成してもよい。この場合には、割り込みコントローラ304は、OSのカーネル部だけを初期設定する処理を実行する処理ルーチンが格納されたアドレスを指定する割り込みコードを、割り込み要求信号としてCPU301に出力することとなる。カーネル部だけを初期設定することにより、初期設定処理が短時間で行われる。
【0037】
また、その際には、カーネル部以外の他の情報(画像形成装置3の動作状態等に関する情報)を補助記憶部36等の不揮発性記憶装置に転送(複写)しておく。そして、カーネル部をRAM302に再書き込みするに際し、カーネル部以外の他の情報(記憶内容)に関しては、補助記憶部36等に記憶しておいたものをRAM302に再書き込みするように構成してもよい。
また、カーネル部以外の他の情報(画像形成装置3の動作状態等に関する情報)を補助記憶部36等の不揮発性記憶装置に転送しておくタイミングとしては、例えば、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させる処理の前が好ましい。それにより、カーネル部以外の他の情報は、セルフリフレッシュ処理によって毀損されていない状態のままで補助記憶部36等に保持される。
【0038】
さらに、RAM302に保持された情報の中で、通信部31での通信処理に使用する情報やFAX部33でのファクシミリ通信処理に使用する情報は、通信に設定されるタイムアウトとの関連により、RAM302に対する初期設定処理が完了した後は、直ちに使用される情報である。そのため、RAM302に対する初期設定処理により、補助記憶部36等から直ちにRAM302に再書き込みされる。
その一方で、RAM302に保持された情報の中で、画像読取部32および画像形成部34での複写(コピー)処理に使用する情報や、画像読取部32でのOCR(Optical Character Reader)処理に使用する情報は、通信に設定されるタイムアウトのような時間的な制約が厳格に存在しない。そのため、RAM302に対する初期設定処理を行う際には、通信とは関連が少ない複写処理に使用する情報やOCR処理に使用する情報を使用するアプリケーションソフトを一旦終了させる。そして、CPU301が再起動(リブート)された際に、補助記憶部36等から複写処理に使用する情報やOCR処理に使用する情報をRAM302に再書き込みするように構成してもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、CPU301は、ROM303に記憶されたOSにより再起動され、RAM302に対し、ROM303に記憶されたOSや各種情報、および補助記憶部36に記憶されたアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報を新たに書き換える初期設定処理を行う構成とした。このような設定の他に、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させた状態において予め設定された時間が経過する毎に、CPU301をソフトウェアによってシステムリセットし、RAM302内の記憶内容を再展開するように構成してもよい。
【0040】
さらに、CPU301をROM303に記憶されたOSにより再起動し、RAM302内の記憶内容を初期設定するタイミングで、CPU301が例えば外部装置(例えば、端末装置2)からのプログラムのダウンロード要求を認識した場合には、CPU301は、ダウンロードの完了を待ってCPU301をROM303に記憶されたOSにより再起動し、RAM302内の記憶内容を初期設定する処理を開始してもよい。また、自装置から外部装置(例えば、端末装置2)にプログラムのダウンロード要求を行った場合にも同様に、ダウンロードの完了を待機するように構成してもよい。それにより、プログラムのダウンロードが実行されない事態が回避される。
同様に、CPU301が例えばFAX部33にてファクシミリデータの着呼を認識した場合にも、ファクシミリデータの着信を待ってCPU301をROM303に記憶されたOSにより再起動し、RAM302内の記憶内容を初期設定する処理を開始してもよい。
【0041】
また、「スリープモード」の設定時にCPU301をROM303に記憶されたOSにより再起動し、RAM302内の記憶内容を初期設定する処理の履歴情報(Log)を、CPU301内または画像形成装置3内に設けたフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置や、補助記憶部36に記憶しておいてもよい。
さらには、CPU301をROM303に記憶されたOSにより再起動し、RAM302内の記憶内容を初期設定する処理に要した総累積時間や実行回数等の統計情報を、CPU301内または画像形成装置3内に設けたフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置や、補助記憶部36に記憶しておいてもよい。それにより、これらの情報は、主制御部30に設定するRAM302を初期設定する処理プログラムの改良に役立てられる。
【0042】
<主制御部が行う動作モードの制御処理に関する説明>
次に、主制御部30が行う動作モードに関する制御処理について説明する。
図6−1および図6−2は、主制御部30が行う動作モードに関する制御処理の内容の一例を示したフローチャートである。
まず、図6−1に示したように、主制御部30のCPU301は、画像形成動作が終了して「画像形成動作モード」から「スタンバイモード」を設定すると(ステップ101)、予め定めた時間長の待機時間Tが経過するまで、通信部31での印刷ジョブの受信やUI部35や副電源スイッチでのユーザからの操作入力を待機する(ステップ102でNo、ステップ103でNo)。そして、予め定めた時間長の待機時間Tが経過するまでに印刷ジョブの受信またはユーザからの操作入力があった場合には(ステップ102でYes)、CPU301は、印刷ジョブの受信またはユーザからの操作入力に応じた画像形成装置3の機能を実行するための処理を行う(ステップ104)。画像形成装置3の機能を実行した後はステップ102に戻り、CPU301は、再び、印刷ジョブの受信またはユーザからの操作入力を待機する。
【0043】
一方、印刷ジョブの受信およびユーザからの指示入力がない状態で待機時間Tを経過した場合には(ステップ102でNo、ステップ103でYes)、主制御部30のCPU301は、割り込みコントローラ304に対し、割り込み要求信号に設定する割り込みコードを指示する(ステップ105)。
すなわち、CPU301は、割り込みコントローラ304に対し、タイマ305から予め設定された時間が経過した旨の通知を受けるまでの間は、CPU301に出力する割り込み要求信号を、RAM302に記憶されたベクタテーブルの「「スリープモード」からの復帰処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成するように指示する。また、割り込みコントローラ304がタイマ305から予め設定された時間が経過した旨の通知を受けた場合には、CPU301に出力する割り込み要求信号を、ROM303に記憶されたベクタテーブルの「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成するように指示する。
そしてその後、CPU301は、「スリープモード」を設定し(ステップ106)、割り込みコントローラ304からの割り込み要求信号の取得を待機する(ステップ107でNo)。
【0044】
CPU301は、割り込みコントローラ304から割り込み要求信号を取得すると(ステップ107でYes)、割り込み要求信号を構成する割り込みコードを判別する(ステップ108)。
次に図6−2に移り、CPU301は、割り込み要求信号がRAM302に記憶されたベクタテーブルの「「スリープモード」からの復帰処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成されている場合には(ステップ109でYes)、RAM302の割り込みコードに指定されたアドレスに格納された処理(「「スリープモード」からの復帰処理」)を実行する(ステップ110)。それにより、CPU301は、「スリープモード」から「スタンバイモード」に復帰させる(ステップ111)。そしてその後、ステップ104以降の処理を行う。
【0045】
一方、CPU301は、割り込み要求信号がROM303に記憶されたベクタテーブルの「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成されている場合には(ステップ109でNo)、ROM303の割り込みコードに指定されたアドレスに格納された「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」を実行する(ステップ112)。
すなわち、CPU301は、ROM303に記憶されたOSにより再起動(リブート)される。そして、CPU301は、ROM303に記憶されたOSにより再起動され、ROM303に記憶されたOSや各種情報および補助記憶部36に記憶されたアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報を再度、RAM302に書き込む(ダウンロードする)処理を行う。それにより、RAM302は、OSおよびアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報が新たに展開され、初期設定される。
【0046】
「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」の実行中に、印刷ジョブの受信およびユーザからの操作入力がなければ(ステップ113でNo)、主制御部30のCPU301は、再び「スリープモード」を設定する(ステップ114)。そして、ステップ107に戻り、割り込みコントローラ304からの割り込み要求信号の取得を待機する。
また、「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」の実行中に、印刷ジョブの受信およびユーザからの操作入力を取得した場合には(ステップ113でYes)、既に「スタンバイモード」に復帰した動作状態にあるので、ステップ104以降の処理を行う。
【0047】
<主制御部が行う割り込み要求信号の生成処理に関する説明>
次に、主制御部30が行う割り込み要求信号の生成処理について説明する。
図7は、主制御部30が行う割り込み要求信号の生成処理の内容の一例を示したフローチャートである。
まず、図7に示したように、主制御部30の割り込みコントローラ304は、CPU301が「スリープモード」を設定する際に、CPU301から割り込み要求信号に設定する割り込みコードの指示を受け付ける(ステップ201)。そして、CPU301が「スリープモード」を設定すると(ステップ202)、割り込みコントローラ304は、タイマ305から予め設定された時間が経過した旨の通知を受けるまで、通信部31やUI部35や副電源スイッチからの割り込み要求を待機する(ステップ203でNo、ステップ204でNo)。
【0048】
そして、タイマ305からの通知を取得するまでに割り込み要求があった場合には(ステップ204でYes)、割り込みコントローラ304は、RAM302に記憶されたベクタテーブルの「「スリープモード」からの復帰処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成された割り込み要求信号を生成し、CPU301に出力する(ステップ205)。その後、割り込み要求信号の生成処理を終了する。
【0049】
一方、タイマ305からの通知を取得すると(ステップ203でYes)、割り込みコントローラ304は、ROM303に記憶されたベクタテーブルの「OSを用いてCPU301を再起動しRAM302の記憶内容を初期設定する処理」が格納されたアドレスを指定する割り込みコードにより構成された割り込み要求信号を生成し、CPU301に出力する(ステップ206)。
その後、ステップ202に戻ってCPU301により「スリープモード」が再度設定され、ステップ203以降の処理を継続する。
【0050】
ところで、タイマ305での時間計測は、通信部31やUI部35や副電源スイッチからの割り込み要求を受け付けることによりリセットしてもよいし、割り込み要求の受け付けとは関係なく時間計測をそのまま継続するように構成してもよい。
また、タイマ305が計測する予め設定された時間は、「スリープモード」中に行うRAM302の記憶内容を初期設定する処理によりRAM302の記憶内容が正常に維持されると容易に確認できる期間を設定することが好ましい。例えば、タイマ305が計測する時間として1週間程度を設定すれば、主制御部30に設定するRAM302を初期設定する処理プログラムの誤り(バグ)を修正(デバック)した結果についての確認を1週間程度という比較的期間で行うことができる。これに対し、例えば1年程度を設定すれば、処理プログラムにバグがあるか否かの確認を1年かけて検証する必要が生じ、不都合が大きい。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置3の主制御部30においては、画像形成装置3を「スリープモード」へ移行させた状態において予め設定された時間が経過する毎に、CPU301は、ROM303に記憶されたOSにより再起動され、RAM302に対し、ROM303に記憶されたOSや各種情報、および補助記憶部36に記憶されたアプリケーションソフト等のプログラムや各種情報を新たに書き換える初期設定処理を行う。
それにより、RAM302には予め設定された時間毎に新たにプログラムや各種情報が書き込まれるので、主制御部30が画像形成装置3を省電力状態(「スリープモード」)から復帰させる際には、RAM302に記憶されたプログラムや情報(データ)が毀損している可能性が低下する。そのため、画像形成装置3が省電力状態から正常に復帰しない事態の発生が低減し、ユーザの利便性は向上する。
【0052】
また、画像形成装置3が長期に亘って「スリープモード」に設定される場合であっても、タイマ305にて計測される例えば1週間程度に1回の頻度でCPU301が復帰するだけであるので、「スリープモード」の設定による消費電力量の低減化は維持される。
【符号の説明】
【0053】
1…画像形成システム、3…画像形成装置、30…主制御部、34…画像形成部、301…中央制御装置(CPU)、302…主記憶装置(RAM)、303…読出専用記憶装置(ROM)、304…割り込みコントローラ、305…タイマ、306…リアルタイムクロック(RTC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作状態として稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とが設定され、当該稼動状態にて画像データを取得し、取得した当該画像データに基づき用紙に画像を形成する画像形成手段と、
中央制御装置と主記憶装置と読出専用記憶装置とを有し、前記画像形成手段の動作を制御するとともに、当該画像形成手段の動作状態に対応させて自らの動作状態を前記稼動状態と前記省電力状態とに遷移させる制御手段と、
前記制御手段が自らを前記省電力状態に遷移させた動作状態にて予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を認識することにより、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる起動手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記起動手段は、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記制御手段を前記省電力状態から復帰させるに際して、前記中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記起動手段は、前記制御手段が自らを前記省電力状態に遷移させる際に、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点にて生成する割り込み要求信号を、前記読出専用記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示され、かつ、当該予め設定された時間間隔毎または当該予め設定された日時毎の時点以外の期間にて生成する割り込み要求信号を、前記主記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記起動手段は、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内に記憶されたオペレーティングシステムのカーネル部に対する初期設定処理を実行させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
プログラムおよびデータを記憶する不揮発性記憶手段をさらに備え、
前記中央制御装置は、前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行するに際し、当該主記憶装置内のオペレーティングシステム以外の記憶内容を前記不揮発性記憶手段に複写することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像データを取得し、取得した当該画像データに基づき用紙に画像を形成する画像形成手段の動作状態を稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とに遷移させる制御を行うとともに、当該画像形成手段の動作状態に対応させて自らの動作状態を当該稼動状態と当該省電力状態とに遷移させる中央制御装置と、
前記中央制御装置が起動することにより当該中央制御装置を動作させるプログラムが書き込まれる主記憶装置と、
前記中央制御装置を動作させる前記プログラムを記憶し、当該中央制御装置が起動することにより当該プログラムが読み出され、当該プログラムが前記主記憶装置に複写される読出専用記憶装置と、
前記中央制御装置が前記画像形成手段の動作状態に対応させて自らを前記省電力状態に遷移させた動作状態にて予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を認識することにより、当該中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる起動手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
前記起動手段は、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記中央制御装置を前記省電力状態から復帰させるに際して、当該中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させることを特徴とする請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
前記起動手段は、前記中央制御装置が自らを前記省電力状態に遷移させる際に、前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点にて生成する割り込み要求信号を、前記読出専用記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示され、かつ、当該予め設定された時間間隔毎または当該予め設定された日時毎の時点以外の期間にて生成する割り込み要求信号を、前記主記憶装置に記憶されたテーブルの番地を指定する割り込みコードで構成することが指示されることを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
前記起動手段は、前記中央制御装置を前記読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に前記主記憶装置内に記憶されたオペレーティングシステムのカーネル部に対する初期設定処理を実行させることを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項10】
前記中央制御装置は、前記主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行するに際し、当該主記憶装置内のオペレーティングシステム以外の記憶内容を不揮発性記憶手段に複写することを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項11】
コンピュータに、
中央制御装置の動作状態を稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とに遷移させる機能と、
予め設定された時間間隔毎または予め設定された日時毎の時点を計測する機能と、
前記中央制御装置が前記省電力状態に遷移させた動作状態にて前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点が計測されたことを認識することにより、前記中央制御装置を読出専用記憶装置に記憶されたプログラムを用いて再起動させて、当該中央制御装置に主記憶装置内の記憶内容に対する初期設定処理を実行させる機能と、
前記予め設定された時間間隔毎または前記予め設定された日時毎の時点以外の期間にて前記中央制御装置を前記省電力状態から復帰させるに際して、当該中央制御装置を前記主記憶装置に記憶されたプログラムを用いて動作させる機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−88292(P2011−88292A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241595(P2009−241595)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】