説明

画像形成装置、印刷設定方法、及び印刷設定プログラム

【課題】プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置が搭載された複合機1は、外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録部21と、送信元の識別情報及び印刷ジョブを受信する通信装置16と、印刷ジョブが受信された際に、送信元の識別情報が登録部21によって登録されているか否かを判定する判定部22と、送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定部23と、設定された印刷設定に従って、プリントデータを用紙に印刷するプリンタ17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトプリント機能を備えた画像形成装置、画像形成装置において実行される印刷設定方法、及び印刷設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部機器から送信されたプリントデータを用紙に印刷する画像形成装置が知られている。外部機器は、プリンタドライバによって、PDFファイル、DOCファイル等の文書ファイル形式で記述された文書データから、ページ記述言語で記述されたPDLデータにプリントデータを変換してから画像形成装置へ送信する。これに対して、プリンタドライバが搭載されていない外部機器は、プリントデータをPDLデータへ変換することができない。このため、プリントデータが文書ファイル形式のままで画像形成装置に送信された場合、画像形成装置において、プリントデータを解析できないために、印刷を実行できない虞がある。
【0003】
そこで、プリンタドライバを搭載していない外部機器から送信されたプリントデータを印刷するために、ダイレクトプリント機能を備えた画像形成装置がある。ダイレクトプリント機能は、文書ファイル形式のプリントデータを解析して、印刷を行う機能である。このダイレクトプリント機能によって、携帯電話、タブレット型の端末等、多岐にわたる外部機器が、プリンタドライバを搭載することなく、画像形成装置に印刷を実行させることができる。しかしながら、プリンタドライバを搭載していない外部機器から送信された印刷ジョブには、両面印刷設定等の印刷設定情報が含まれていない場合がある。
【0004】
このような場合に対応する装置として、下記特許文献1には、印刷設定情報が印刷ジョブに含まれていない場合に、予め登録された印刷設定を適用する画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、ユーザ情報と関連付けて印刷設定情報が予め登録され、印刷ジョブを受信した際には、印刷ジョブに含まれているユーザ情報と関連付けて登録されている印刷設定情報に従って、印刷が行われる。また、この画像形成装置には、予め、プリントデータの種類と関連付けて、印刷設定情報が登録されている。プリントデータの種類には、アプリケーションの種類、ドキュメントフォーマットの種類等が含まれる。この画像形成装置では、印刷ジョブを外部機器から受信した場合、データファイルの種類と関連付けて登録されている印刷設定情報に従って、印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−137016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の画像形成装置において、印刷ジョブに含まれるユーザ情報に基づいて登録された印刷設定情報を特定する場合、外部機器が、ユーザ情報を含む印刷ジョブを生成するために、プリンタドライバを搭載する必要がある。また、特許文献1の画像形成装置において、プリントデータの種類に基づいて登録された印刷設定情報を特定する場合、どのユーザであっても、プリントデータの種類が同じであれば、同じ印刷設定が適用されてしまう。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能な画像形成装置、印刷設定方法、及び印刷設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録部と、送信元の識別情報及び印刷ジョブを受信する通信装置と、通信装置によって受信された送信元の識別情報が、登録部によって登録されているか否かを判定する判定部と、送信元の識別情報が登録されていると判定部によって判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定部と、印刷設定部によって設定された印刷設定に従って、プリントデータを用紙に印刷する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る印刷設定方法は、外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録ステップと、送信元の識別情報及び印刷ジョブを受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信された送信元の識別情報が、登録されているか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいて送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定ステップと、印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定に従って、プリントデータを用紙に印刷する画像形成ステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る印刷設定プログラムは、コンピュータを、外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録部、通信装置によって送信元の識別情報及び印刷ジョブが受信された際に、送信元の識別情報が登録部によって登録されているか否かを判定する判定部、判定部によって送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定部として機能させることを特徴とする。
【0011】
本発明では、外部機器の識別情報と印刷設定情報とが関連付けて記憶されている。一般的に、情報の送受信が行われる際には、送信された情報に送信元を識別する情報が含まれている。画像形成装置が印刷ジョブを受信する際には、一般的に、送信元の識別情報も併せて受信する。そこで、本発明では、印刷ジョブと共に受信した送信元の識別情報が登録されているか否かが、判定される。そして、判定部によって送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷される。このため、ユーザが、利用する端末(外部機器)と関連付けて、所望の印刷設定情報を登録することにより、自身が設定した印刷設定で印刷を実行させることができる。すなわち、印刷ジョブに印刷設定情報が含まれていなくても、ユーザが設定した印刷設定で印刷を行うことができる。よって、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能となる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、判定部は、通信装置によって受信した印刷ジョブが外部機器に搭載されたプリンタドライバによって生成された印刷ジョブか否かを判定し、印刷設定部は、印刷ジョブがプリンタドライバによって生成された印刷ジョブであると判定部によって判定された場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、印刷ジョブがプリンタドライバによって生成された印刷ジョブであると判定された場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。ここで、プリンタドライバによって生成された印刷ジョブには、一般的に、印刷設定情報が含まれる。よって、上記構成によれば、プリンタドライバが搭載されている端末(外部機器)が登録されてしまった場合に、プリンタドライバが生成した印刷設定情報を登録された印刷設定情報より優先して適用することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置では、判定部が、印刷ジョブがいずれのページ記述言語によって記述されているかを判別可能なPJLコマンドが該印刷ジョブに含まれているか否かの判定、及び、ページ記述言語の形式を特定可能な定型文が印刷ジョブに含まれているか否かの判定を行い、印刷設定部は、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていると判定部によって判定された場合、及び、印刷ジョブに上記定型文が含まれていると判定された場合に、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、印刷ジョブにページ記述言語を判別可能なPJLコマンドが含まれている場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。ここで、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれている場合、印刷ジョブは、プリンタのメーカーが製造したプリンタドライバによって印刷ジョブが生成されたと考えられる。よって、上記構成によれば、プリンタメーカーのプリンタドライバが搭載された端末(外部機器)が登録されてしまった場合に、登録された印刷設定情報より該プリンタドライバが生成した印刷設定情報を優先して適用することができる。また、印刷ジョブにページ記述言語の形式を特定可能な定型文が含まれている場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。ここで、印刷ジョブに上記定型文が含まれている場合、印刷ジョブは、何らかのプリンタドライバによって印刷ジョブが生成されたと考えられる。よって、上記構成によれば、プリンタドライバが搭載された端末(外部機器)が登録されてしまった場合に、登録された印刷設定情報より該プリンタドライバが生成した印刷設定情報を優先して適用することができる。ここで、印刷ジョブに上記定型文が含まれているか否かの判定は、失敗する可能性があるため、該判定のみでは、印刷ジョブがドライバによって生成されたか否かの判定精度が低くなる虞がある。これに対して、上記構成によれば、上記PJLコマンドが含まれているか否かの判定を併せて行うことにより、印刷ジョブがドライバによって生成されたか否かの判定精度を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置では、判定部が、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていないと判定した場合に、印刷ジョブに上記定型文が含まれているか否かの判定を行うことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、印刷ジョブにPJLコマンドが含まれているか否かが判定された後、PJLコマンドが含まれていない場合に、上記定型文が含まれているか否かが判定される。一般的に、上記PJLコマンドと上記定型文とが印刷ジョブに含まれる場合、上記PJLコマンドが先に読み込まれる。よって、上記PJLコマンドが含まれているか否かを先に判定することにより、効率的に処理を行うことができる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置では、判定部が、送信元の識別情報に基づいて、該送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かを判定し、印刷設定部は、送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーであると判定され、且つ、送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、登録部によって該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、送信元の機器のメーカーが携帯端末であり、且つ、送信元の識別情報と関連付けて印刷設定情報が登録されている場合に、登録された印刷情報に従って、プリントデータが印刷される。ここで、送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーである場合、送信元の機器が携帯端末である可能性が高い。そして、携帯端末にはプリンタドライバが搭載されていない可能性が高い。従って、上記構成によれば、プリンタドライバが搭載されていない可能性の高い機器から印刷ジョブを受信した場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷を行うことができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置では、判定部は、通信装置がUSBを介して印刷ジョブを受信したか否かを判定し、印刷設定部は、通信装置がUSBを介して印刷ジョブを受信したと判定部によって判定された場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことが好ましい。
【0021】
この構成によれば、通信装置がUSBを介して印刷ジョブを受信した場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。ここで、USBを介して印刷ジョブが受信された場合、送信元が携帯端末等ではなく、パーソナルコンピュータ(PC)である可能性が高い。そして、PCにはプリンタドライバが搭載されている可能性が高い。従って、上記構成によれば、プリンタドライバが搭載されている可能性の高い機器から印刷ジョブを受信した場合に、登録された印刷設定情報より該プリンタドライバが生成した印刷設定情報を優先して適用することができる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置では、通信装置は、自機種に対応したプリンタドライバが搭載された外部機器から、印刷ジョブが該プリンタドライバによって生成された旨を特定可能な特定情報を含む印刷ジョブを受信し、判定部は、印刷ジョブに特定情報が含まれているか否かを判定し、印刷設定部は、特定情報が含まれていると判定部によって判定された場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことが好ましい。
【0023】
この構成によれば、自機種に対応したプリンタドライバが印刷ジョブを生成した旨を特定可能な特定情報が印刷ジョブに含まれているか否かが判定される。そして、特定情報が含まれている場合に、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。従って、上記構成によれば、自機種に対応したプリンタドライバが搭載されている外部機器から印刷ジョブを受信した場合に、登録された印刷設定情報より該プリンタドライバが生成した印刷設定情報を優先して適用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る画像形成装置が搭載された複合機、及び外部機器について説明するための図である。
【図2】複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】複合機が備える制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】印刷設定情報の一例を示す図である。
【図5】複合機が備える登録部に登録されている管理テーブルを示す図である。
【図6】複合機による印刷処理の処理手順を示すフロー図である。
【図7】実施形態に係る印刷設定プログラムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。最初に、図1及び図2を用いて、実施形態に係る画像形成装置が搭載された複合機1の構成について説明する。図1は、複合機1と外部機器とを説明するための図である。図2は、複合機1の構成を示すブロック図である。
【0027】
複合機1は、プリント機能(画像形成機能)、スキャン機能、及びFAX機能を有する。この複合機1は、外部機器から受信した印刷ジョブに含まれるプリントデータを用紙に印刷する。外部機器には、パーソナルコンピュータ(PC)2だけでなく、携帯電話3及びタブレット型端末4等の様々な携帯端末が含まれる。PC2は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して複合機1へ印刷ジョブを送信する。また、PC2は、USBを介して複合機1へ印刷ジョブを送信することもできる。このPC2には、プリンタドライバが搭載されている。
【0028】
一方、携帯電話3及びタブレット型端末4等の携帯端末は、無線LANにアクセスすることにより複合機1へ印刷ジョブを送信することができる。これらの携帯端末は、プリンタドライバが搭載されていない。このため、携帯端末等は、PDFデータ、DOCデータ等をPDLデータに変換することなく、そのまま複合機1にプリントデータとして送信する。この場合、複合機1は、ダイレクトプリント機能によりプリントデータを解析して、用紙にプリントデータを印刷する。ただし、プリンタドライバを搭載していない外部機器から送信された印刷ジョブには、印刷設定情報が含まれていない場合がある。このような場合であっても、複合機1は、予め登録された印刷設定情報を適用して、プリントデータを用紙に印刷する。
【0029】
複合機1は、上記の機能を発揮するために、操作パネル10、ディスプレイ11、NCU12、モデム13、スキャナ14、画像メモリ15、通信装置16、プリンタ17、及び制御部20を備えている。
【0030】
操作パネル10は、ユーザが複合機1を操作するために、複数の操作ボタンを備えている。ディスプレイ11は、例えば液晶ディスプレイで構成され、各種の設定内容等を表示する。NCU12は、モデム13と公衆交換電話網(PSTN)90との接続を制御する。このNCU12及びモデム13によって、FAXの送受信が行われる。スキャナ16は、CCD等を備えて構成され、原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。スキャナ16によって生成された画像データは、画像メモリ15に記憶され、例えば、FAX等により送信される。
【0031】
通信装置16は、LANを介して接続された外部機器と情報の送受信を行う。また、通信装置16は、USBケーブルを介して接続された外部機器と情報の送受信を行う。この通信装置16が、外部機器から印刷ジョブを受信する。受信された印刷ジョブに含まれるプリントデータは、プリンタ17によって用紙に印刷される。
【0032】
プリンタ17は、プリントデータを用紙に印刷する画像形成部として機能する。このプリンタ17は、プリンタエンジンとプリンタコントローラとを備えている。プリンタエンジンは、感光体ドラム、帯電ローラ、光源、転写ローラ、熱定着器等を備え、用紙に画像を形成する。プリンタコントローラは、プリントデータを解析して、プリントデータをラスタ画像に展開する。
【0033】
外部機器から送信されるプリントデータには、PDLデータと文書データとが含まれる。PDLデータは、ページ記述言語(page description language)により記述されたプリントデータである。文書データは、PDFファイル又はDOCファイル等の文書フォーマット形式で構成されたプリントデータである。一般的に、外部機器にプリンタドライバが搭載されている場合、プリンタドライバによって文書データがPDLデータに変換され、複合機1へ送信される。外部機器にプリンタドライバが搭載されていない場合、変換されないまま文書データが複合機1へ送信される。
【0034】
プリンタコントローラは、PDLデータだけでなく、PDFファイル等の文書データも解析し、ラスタ画像に展開する機能を有している。プリンタコントローラは、プリンタエンジンを制御して、ラスタ画像を制御部20によって設定された印刷設定に従って印刷させる。このプリンタコントローラとしての機能は、制御部20が有していてもよい。
【0035】
制御部20は、物理的な構成要素として、CPU18、ROM19、及びRAM等を備えている。ROM19には、上記のハードウエアを統合的に制御するための制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムには、印刷設定を行うための印刷設定プログラムも含まれている。このため、制御部20は、印刷設定を行う機能を有している。
【0036】
プリンタドライバが搭載された外部機器から印刷ジョブが送信される場合、プリンタドライバが印刷設定情報を生成するので、印刷ジョブに印刷設定情報が含まれている。一方、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブが送信される場合、印刷設定情報が印刷ジョブに含まれていない。ここで、プリンタドライバは、プリンタのメーカーがプリンタの機種に応じて生成した専用ドライバと、OS標準ドライバとに分類することができる。専用ドライバには、複合機1を製造したメーカーが製造したドライバと、他のプリンタのメーカーが製造したドライバとが含まれる。なお、プリンタドライバには、プリントデータをPDLデータに変換する機能を有していないが、印刷設定を行う機能を有したアプリケーションも含まれるものとする。
【0037】
印刷設定を行うための機能的な構成要素として、制御部20は、登録部21、判定部22、印刷設定部23を備えている。
【0038】
登録部21は、外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて管理テーブルに登録する。図4は、印刷設定情報の一例を示す図である。印刷設定情報は、用紙サイズ、用紙の方向、給紙カセット、拡大縮小、集約等の設定を指定する情報である。図5は、登録部21に登録されている管理テーブルの一例を示す図である。登録部21は、管理テーブルに、管理ナンバー、外部機器の識別情報、及び格納アドレスを関連付けて記憶している。なお、格納アドレスは、印刷設定情報が格納されているアドレスである。
【0039】
本実施形態では、外部機器の識別情報としてMacアドレスを用いている。Macアドレスは、通信装置16がTCP/IPに従って通信を行う際に、受信するパケットに含まれている。従って、通信装置16は、印刷ジョブをMacアドレスと共に受信する。すなわち、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブが送信される場合であっても、Macアドレスは、複合機1によって取得される。なお、外部機器の識別情報はMacアドレスに限られず、通信装置16が外部機器との間で行う通信プロトコルに応じて取得可能な識別情報であればよい。例えば、外部機器の識別情報は、IPアドレス、又はホスト名等であってもよい。
【0040】
印刷設定情報の登録は、ユーザが、操作パネル10を操作して行うことができる。例えば、登録モードにおいて、登録対象となる外部機器を複合機1に通信接続させることにより、通信装置16が、外部機器のMacアドレスを取得する。そして、ユーザが操作パネル10を操作して、印刷設定情報が複合機1に入力される。印刷設定情報の入力は、PC2を介して行うこともできる。
【0041】
判定部22は、印刷ジョブが受信された際に、通信情報に含まれている送信元の識別情報が、登録部21に登録されているか否かを判定する。Macアドレスは、例えば、印刷ジョブを含むパケットのうち、最初に受信されるパケットのヘッダー部分に含まれる通信情報から取得される。印刷設定部23は、送信元の識別情報が登録されている場合、該識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷されるように、印刷設定を行う。この印刷設定部23は、送信元の識別情報が登録されていない場合は、デフォルトの印刷設定を行う。このデフォルトの印刷設定には、例えば、用紙サイズがA4、用紙方向が縦、拡大縮小が100%といった設定が含まれ、集約印刷又は両面印刷といった特殊な設定は含まれていない。
【0042】
ところで、ユーザが、プリンタドライバを搭載している外部機器について、印刷設定情報を登録する虞がある。プリンタドライバを搭載している外部機器から送信される印刷ジョブには、一般的に、プリンタドライバが生成した印刷設定情報が含まれている。プリンタドライバが生成した印刷設定情報は、送信元の外部機器において生成された情報であるため、複合機1に登録されている印刷設定情報より優先して適用することが望まれる。
【0043】
そこで、判定部22は、印刷ジョブがいずれのPDLによって記述されているかを判別可能なPJLコマンドが、印刷ジョブに含まれているか否かを判定する。印刷ジョブがいずれのPDLによって記述されているかを判別可能なPJLコマンドは、例えば、「@PJL ENTER LANGUAGE」である。PJLコマンド「@PJL ENTER LANGUAGE」の後に続く情報によってPDLを判別することができる。一般的に専用ドライバが生成した印刷ジョブは、PDLで記述され、そのPDLを判別するために、PJLコマンド「@PJL ENTER LANGUAGE」が印刷ジョブに含まれている。
【0044】
このため、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれている場合、専用ドライバによって印刷ジョブが生成されたと考えられる。そこで、印刷設定部23は、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれている場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれている場合、印刷設定部23は、印刷設定情報が送信元の識別情報と関連付けて登録されていても、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、印刷設定を行う。
【0045】
また、判定部22は、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていないと判定した場合、PDLの形式を特定可能な定型文が印刷ジョブに含まれているか否かを判定する。PDLの形式を特定可能な定型文は、例えば、「%!PS−Adobe−3.0」である。印刷ジョブがPostScript(登録商標)3で記述されている場合、印刷ジョブの先頭には、PJLコマンドがなく、定型文「%!PS−Adobe−3.0」が含まれている。
【0046】
このため、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていない、且つ、印刷ジョブにPDLを特定可能な定型文が含まれている場合、OS標準ドライバによって印刷ジョブが生成されたと考えられる。そこで、印刷設定部23は、印刷ジョブに上記定型文が含まれている場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。印刷ジョブに上記定型文が含まれている場合、印刷設定部23は、印刷設定情報が送信元の識別情報と関連付けて登録されていても、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、印刷設定を行う。
【0047】
ところで、印刷ジョブがドライバによって生成された場合、印刷ジョブがPDLで記述され、印刷ジョブには上記定型文が含まれる。そこで、印刷ジョブに定型文が含まれているか否かを判定すれば、印刷ジョブがPDLで記述されていることを特定することができる。しかしながら、印刷ジョブに上記定型文が含まれている場合であっても、上記定型文が印刷ジョブに含まれているか否かの判定に失敗する可能性がある。一方で、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれているか否かの判定は、失敗する確率が非常に低い。そこで、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれているか否かも併せて判定することにより、印刷ジョブがPDLで記述されているか否かの判定精度を高めることができる。
【0048】
印刷設定部23は、印刷ジョブがいずれかのプリンタドライバによって生成された印刷ジョブであると判定された場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。印刷設定部23は、印刷ジョブがプリンタドライバによって生成された印刷ジョブではないと判定された場合、送信元の識別情報が登録されていれば、登録された印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。なお、印刷ジョブがプリンタドライバによって生成されていない場合、印刷ジョブに含まれたプリントデータをテキストデータとして処理することにより、ラスタ画像を生成する。
【0049】
引き続いて、図6を参照して、複合機1が印刷ジョブを受信した場合に行われる印刷処理の処理手順について説明する。図6は、複合機1による印刷処理の処理手順を示すフロー図である。なお、複合機1が印刷ジョブを受信するのに先立って、予め登録ステップが行われる。この登録ステップでは、ユーザの操作により、外部機器の識別情報と印刷設定情報とが関連付けて管理テーブルに登録される。
【0050】
そして、ステップS101では、受信ステップが行われる。この受信ステップでは、外部機器から送信された印刷ジョブが、複合機1の通信装置16によって受信される。次に、ステップS102では、通信情報に含まれるMacアドレスが、判定部21によって取得され、RAMに設定されたアドレス記憶領域に書き込まれる。続いて、ステップS103では、印刷設定のデフォルト値が、RAMに設定された設定記憶領域に書き込まれる。
【0051】
次に、ステップS104では、印刷ジョブにPJLコマンド「@PJL ENTER LANGUAGE」が含まれているか否かが、判定される。印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれている場合、印刷ジョブがプリンタの専用ドライバによって生成された可能性が高い。そこで、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていると判定された場合、処理がステップS106へ移行する。ステップS106では、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報が特定され、該印刷設定情報が、設定記憶領域に上書きされる。続いて、ステップS107では、設定記憶領域に記憶された印刷設定情報に従って印刷が行われる。ここでは、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報に従って印刷が行われる。
【0052】
一方、ステップS104において、印刷ジョブに上記PJLコマンドが含まれていないと判定された場合、処理がステップS105へ移行する。ステップS105では、印刷ジョブの先頭に定型文「%!PS−Adobe−3.0」が含まれているか否かが、判定される。印刷ジョブに上記定型文が含まれている場合、印刷ジョブがOS標準ドライバによって生成された可能性が高い。そこで、印刷ジョブに上記定型文が含まれていると判定された場合、処理がステップS106へ移行する。ステップS106では、上述したように、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報が設定記憶領域に上書きされる。続いて、ステップS107では、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報に従って印刷が行われる。
【0053】
一方、ステップS105において、印刷ジョブの先頭に上記定型文が含まれていないと判定された場合、処理がステップS108へ進む。この場合は、印刷ジョブが、プリンタドライバによって生成されていないと考えられる。そこで、ステップS108では、管理テーブルに登録されているMacアドレスの中から、アドレス記憶領域に記憶されたMacアドレスが、検索される。すなわち、管理テーブルに登録されているMacアドレスの中から、印刷ジョブの送信元のMacアドレスが検索される。
【0054】
続いて、ステップS109では、判定ステップが行われる。判定ステップでは、上記ステップS108における検索の結果、Macアドレス(送信元の識別情報)が、管理テーブルに登録されているか否かが判定される。Macアドレスが管理テーブルに登録されていないと判定された場合、処理がステップS110へ進む。ステップS110では、設定記憶領域に記憶されたデフォルトの印刷設定に従って、印刷が実行される。
【0055】
一方、ステップS109において、Macアドレスが管理テーブルに登録されていると判定された場合、処理がステップS111へ進む。ステップS111では、印刷設定ステップが行われる。印刷設定ステップでは、Macアドレスと関連付けて登録されている印刷設定情報が設定記憶領域に上書きされる。すなわち、送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って印刷されるように、印刷設定が行われる。続くステップS112では、設定記憶領域に記憶された印刷設定に従って印刷が行われる。ここでは、登録された印刷設定情報に従って印刷が行われる(画像形成ステップ)。従って、PDFデータ等の文書データが印刷設定情報なしに外部機器から送信された場合であっても、登録された印刷設定に従って印刷することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る複合機1では、外部機器の識別情報と印刷設定情報とが関連付けて記憶されている。そして、複合機1が印刷ジョブを受信した際に、印刷ジョブの送信元の識別情報が登録されている場合、該識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、プリントデータが用紙に印刷される。このため、ユーザが、利用する端末(外部機器)と関連付けて、所望の印刷設定情報を登録することにより、自身が設定した印刷設定で印刷を実行させることができる。よって、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能となる。
【0057】
また、複合機1では、印刷ジョブが外部機器に搭載されたプリンタの専用ドライバ又はOS標準ドライバによって生成された印刷ジョブである場合、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って、プリントデータが印刷される。よって、プリンタドライバが搭載された端末(外部機器)が登録されてしまった場合に、プリンタドライバが生成した印刷設定情報を登録された印刷設定情報より優先して適用することができる。
【0058】
また、複合機1では、印刷ジョブにPJLコマンド「@PJL ENTER LANGUAGE」が含まれているか否かが判定された後、PJLコマンドが含まれていない場合に、定型文「%!PS−Adobe−3.0」が含まれているか否かが判定される。一般的に、上記PJLコマンドと上記定型文とが印刷ジョブに含まれる場合、上記PJLコマンドが先に読み込まれる。よって、上記PJLコマンドが含まれているか否かを先に判定することにより、効率的に処理を行うことができる。
【0059】
上記実施形態では、印刷ジョブの送信元の機器にプリンタドライバが搭載されているか否かを判別するために、下記の1、2の判定を行った。送信元の機器にプリンタドライバが搭載されているか否かを判別するために、判定部22が、下記の3〜6の判定を行ってもよい。また、判定部22は、下記1〜6の判定を任意に組み合わせてもよい。
1.PJLコマンド「@PJL ENTER LANGUAGE」が印刷ジョブに含まれているか否かの判定
2.定型文「%!PS−Adobe−3.0」が印刷ジョブに含まれているか否かの判定
3.送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かの判定
4.通信装置がBluetooth(登録商標)接続を介して印刷ジョブを受信したか否かの判定
5.通信装置がUSBを介して印刷ジョブを受信したか否かの判定
6.自機種に対応したプリンタドライバによって生成された旨を特定可能な特定情報が、印刷ジョブに含まれているか否かの判定
【0060】
まず、上記の判定3について説明する。判定3を適用した場合、判定部23は、該送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かを判定する。そのために、判定部23は、送信元の識別情報(Macアドレス)に基づいて、外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かを判定する。Macアドレスには、機器のメーカーを特定可能なベンダーコードが含まれている。制御部20が、携帯端末のベンダーコードを予め記憶し、判定部23が、記憶されているベンダーコードが送信元のMacアドレスに含まれているか否かを判定する。記憶されているベンダーコードが送信元のMacアドレスに含まれている場合、判定部23は、外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーであると判定する。記憶されているベンダーコードが送信元のMacアドレスに含まれていない場合、判定部23は、外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーではないと判定する。これにより、判定部22は、送信元の外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かを判定することができる。
【0061】
送信元の外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーである場合、外部機器が携帯端末である可能性が高い。そして、携帯端末にはプリンタドライバが搭載されていない可能性が高い。そこで、印刷設定部23は、送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーであると判定され、且つ、送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。従って、プリンタドライバが搭載されていない可能性の高い機器から印刷ジョブを受信した場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷を行うことができる。なお、送信元の外部機器のメーカーが携帯端末のメーカーではないと判定された場合、印刷設定部23は、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、印刷設定を行う。
【0062】
次に、上記の判定4について説明する。判定4を適用する場合、複合機1の通信装置16は、Bluetooth(登録商標)によって通信を行う機能を有している。この判定4を適用した場合、判定部22は、通信装置16がBluetooth接続を介して印刷ジョブを受信したか否かを判定する。そして、印刷設定部23は、Bluetooth接続を介して印刷ジョブが受信されたと判定され、且つ、送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷されるように印刷設定を行う。
【0063】
ここで、Bluetooth接続を介して印刷ジョブが受信された場合、送信元がPC等ではなく、携帯端末である可能性が高い。そして、携帯端末にはプリンタドライバが搭載されていない可能性が高い。従って、上記構成によれば、プリンタドライバが搭載されていない可能性の高い機器から印刷ジョブを受信した場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷を行うことができる。なお、Bluetooth接続を介して印刷ジョブが受信されていないと判定された場合は、デフォルトの印刷設定情報、又は、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って印刷が行われる。なお、ここでは、Bluetooth接続としたが、その他の規格に基づく近距離通信であってもよい。
【0064】
次に、上記の判定5について説明する。判定5を適用した場合、判定部22は、通信装置16がUSBを介して印刷ジョブを受信したか否かを判定する。ここで、USBを介して印刷ジョブが受信された場合、送信元が携帯端末等ではなく、PCである可能性が高い。そして、PCにはプリンタドライバが搭載されている可能性が高い。そこで、印刷設定部23は、USBを介して印刷ジョブが受信されたと判定された場合、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報を特定する。そしで、印刷設定部23は、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報に従って印刷されるように、印刷設定を行う。従って、プリンタドライバが搭載されている可能性の高い機器から印刷ジョブを受信した場合に、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って印刷を行うことができる。なお、USBを介して印刷ジョブを受信していないと判定された場合、印刷設定情報が登録されていれば、登録された印刷設定情報に従って印刷を行ってもよい。
【0065】
最後に、上記の判定6について説明する。判定6を適用した場合、判定部22は、印刷ジョブに特定情報が含まれているか否かを判定する。自機種に対応したプリンタドライバは、複合機1を製造したメーカーが製造したプリンタドライバである。特定情報は、自機種に対応したプリンタドライバが生成した印刷ジョブであることを特定可能な情報である。この特定情報は、複合機1のメーカーが独自にPJLコマンドとして設定することができる。自機種に対応したプリンタドライバが搭載された外部機器が、印刷ジョブを生成する際には、特定情報(PJLコマンド)を印刷ジョブに含めて生成する。このため、複合機1の通信装置16が自機種に対応したプリンタドライバが搭載された外部機器から受信した印刷ジョブには、該プリンタドライバが生成した旨を特定可能な特定情報が含まれている。
【0066】
印刷設定部23は、印刷ジョブに特定情報が含まれていると判定された場合、印刷ジョブに含まれた印刷設定情報に従って印刷されるように、印刷設定を行う。従って、上記構成によれば、自機種に対応したプリンタドライバが搭載された機器から印刷ジョブを受信した場合、印刷設定情報が登録されている場合であっても、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って印刷を行うことができる。なお、印刷ジョブに特定情報が含まれていないと判定され、且つ、送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、登録された印刷設定情報に従って印刷が行われる。
【0067】
また、上記の判定2、3、又は4を適用した場合、OS標準ドライバによる印刷設定情報が含まれているにも関わらず、登録された印刷設定情報を設定記憶領域に書き込む虞がある。OS標準ドライバによる印刷設定情報が含まれている場合、印刷を行う際に、印刷設定情報が検出される。そして、検出された印刷設定情報を設定記憶領域に更に上書きし、印刷ジョブに含まれていた印刷設定情報に従って印刷が行われる。
【0068】
また、上記実施形態では、上記1〜6の何れか又は任意の組み合わせによる判定を行った後に、Macアドレスが管理テーブルに登録されているか否かを判定することとしたが、これに限られない。Macアドレスが管理テーブルに登録されていると判定された場合に、上記1〜6の何れか又は任意の組み合わせによる判定を行っても良い。
【0069】
上述した複合機1の制御部20は、本発明に係る印刷設定プログラムをインストールしたコンピュータを用いて実現することもできる。図7は、印刷設定プログラム100のモジュール構成を示す図である。
【0070】
コンピュータは、図1に示された複合機1が有する制御部20のハードウエア構成と同様な構成を有している。すなわち、コンピュータは、CPU、ROM、及びRAM等を備えている。また、コンピュータは、通信装置16及びプリンタ17を備える装置に内蔵され、通信装置16及びプリンタ17と接続されている。印刷設定プログラム100は、例えば、コンピュータがLANインターフェースと接続されている場合、ネットワークを介してコンピュータに提供される。なお、印刷設定プログラム100は、記録媒体111に記録された状態で流通してもよい。記録媒体111としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、CD−ROMなどが該当する。
【0071】
印刷設定プログラム100は、処理を統括するメインモジュール101、登録モジュール102、判定モジュール103、及び印刷設定モジュール104を備えている。ここで、登録モジュール102、判定モジュール103、及び印刷設定モジュール104を上記のコンピュータにおいて動作させることによって実現する機能は、上記複合機1の登録部21、判定部22、印刷設定部23によって発揮される上述した機能と同様である。従って、印刷設定プログラム100が実行されることにより、上記コンピュータを複合機1の制御部20として機能させることができる。よって、プリンタドライバが搭載されていない外部機器から印刷ジョブを受信した場合であっても、よりユーザに対応した印刷設定で印刷を行うことが可能となる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、Macアドレスが管理テーブルに登録されていない場合、デフォルトの印刷設定で印刷されることとした。ここで、Macアドレスが管理テーブルに登録されていない場合、「未登録」を示す文字を透かし印刷等により印刷することとしてもよい。これにより、登録されていない外部機器から印刷が要求された場合に、「未登録」を示す文字を透かして印刷し、正常な印刷を行わないようにすることができる。また、「未登録」の文字により、登録されていない外部機器から印刷が要求されたことをユーザに通知することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、ページ記述言語の形式を特定可能な定型文として、「%!PS−Adobe−3.0」を用いたがこれに限られない。PCL(登録商標)(Printer Control Language)の形式を特定可能な定型文を用いても良い。また、制御部20がページ記述言語の形式を特定可能な定型文を複数記憶し、判定部22が、記憶されたいずれかの定型文が印刷ジョブに含まれているか否かを判定してもよい。この場合、いずれかの定型文が印刷ジョブに含まれていると判定されたときに、印刷ジョブに含まれている印刷設定情報に従って印刷が行われる。
【0074】
また、上記実施形態では、複合機に本実施形態に係る画像形成装置を搭載した場合について説明したが、これに限られない。本実施形態の画像形成装置を搭載する機器は、スキャン及びFAX機能を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 複合機
10 操作パネル
11 ディスプレイ
12 NCU
13 モデム
14 スキャナ
15 画像メモリ
16 通信装置
20 制御部
21 登録部
22 判定部
23 印刷設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録部と、
送信元の識別情報及び印刷ジョブを受信する通信装置と、
前記通信装置によって受信された前記送信元の識別情報が、前記登録部によって登録されているか否かを判定する判定部と、
前記送信元の識別情報が登録されていると前記判定部によって判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、前記印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定部と、
前記印刷設定部によって設定された印刷設定に従って、前記プリントデータを用紙に印刷する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定部は、通信装置によって受信した印刷ジョブが外部機器に搭載されたプリンタドライバによって生成された印刷ジョブか否かを判定し、
前記印刷設定部は、前記印刷ジョブが前記プリンタドライバによって生成された印刷ジョブであると前記判定部によって判定された場合、前記印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、前記プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定部は、印刷ジョブがいずれのページ記述言語によって記述されているかを判別可能なPJLコマンドが該印刷ジョブに含まれているか否かの判定、及び、ページ記述言語の形式を特定可能な定型文が前記印刷ジョブに含まれているか否かの判定を行い、
前記印刷設定部は、前記印刷ジョブに前記PJLコマンドが含まれていると前記判定部によって判定された場合、及び、前記印刷ジョブに前記定型文が含まれていると判定された場合に、前記印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、前記プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定部は、印刷ジョブに前記PJLコマンドが含まれていないと判定した場合に、前記印刷ジョブに前記定型文が含まれているか否かの判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記送信元の識別情報に基づいて、該送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーか否かを判定し、
前記印刷設定部は、前記送信元の機器のメーカーが携帯端末のメーカーであると判定され、且つ、前記送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、前記登録部によって該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、前記プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記通信装置がUSBを介して前記印刷ジョブを受信したか否かを判定し、
前記印刷設定部は、前記通信装置がUSBを介して前記印刷ジョブを受信したと前記判定部によって判定された場合、前記印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、前記プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通信装置は、自機種に対応したプリンタドライバが搭載された前記外部機器から、印刷ジョブが該プリンタドライバによって生成された旨を特定可能な特定情報を含む印刷ジョブを受信し、
前記判定部は、前記印刷ジョブに前記特定情報が含まれているか否かを判定し、
前記印刷設定部は、前記特定情報が含まれていると前記判定部によって判定された場合、前記印刷ジョブに含まれている印刷設定情報を特定し、該印刷設定情報に従って、前記プリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録ステップと、
送信元の識別情報及び印刷ジョブを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記送信元の識別情報が、登録されているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、前記印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定ステップと、
前記印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定に従って、前記プリントデータを用紙に印刷する画像形成ステップと、
を備えることを特徴とする印刷設定方法。
【請求項9】
コンピュータを、
外部機器の識別情報と印刷設定情報とを関連付けて登録する登録部、
通信装置によって送信元の識別情報及び印刷ジョブが受信された際に、前記送信元の識別情報が前記登録部によって登録されているか否かを判定する判定部、
前記判定部によって前記送信元の識別情報が登録されていると判定された場合に、該送信元の識別情報と関連付けて登録された印刷設定情報に従って、前記印刷ジョブに含まれているプリントデータが用紙に印刷されるように印刷設定を行う印刷設定部、
として機能させることを特徴とする印刷設定プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−22766(P2013−22766A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157096(P2011−157096)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】