説明

画像形成装置、及び画像形成プログラム

【課題】色調再現を改善するために白色トナーを用紙に付着させても、光沢性や、用紙の質感が損なわれることがない画像形成装置、及び画像形成プログラムを提供する。
【解決手段】画像情報に基づいて色トナーによって形成される網点の面積率を決定する第一の網点面積率決定手段13と、記録媒体網点面積率算出手段と、記録媒体の特性を優先する度合いを受け付ける記録媒体特性優先度受付手段14とを有し、前記第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度とに基づいて、前記第一の網点面積率の色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を前記有色の記録媒体に再現するように、前記画像形成装置が前記有色の記録媒体に付着させる前記色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を決定する第二の網点面積率決定手段16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有色の記録媒体に、画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体そのものの色の影響を受けずに、色調を再現するために、白色トナーを下地として用いることが知られている。特に特許文献1には、白色トナーを記録媒体上に配置することによって、記録媒体の色を白色トナーで遮断し、記録媒体の色に影響を受けない色調を再現することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、色調を再現するために記録媒体の色を遮断するように白色トナーの網点面積率が決定される。このように決定された網点面積率の白色トナーを用紙に付着させることによって、用紙の有する光沢性が低くなってしまったり、用紙の質感が損なわれてしまったりし、用紙の特性を適切に活かしながら画像を形成することができないという課題が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、有色の記録媒体に、画像を形成する画像形成装置であって、前記画像を表す画像情報に基づいて色トナーによって形成される網点の面積率である第一の網点面積率を決定する第一の網点面積率決定手段と、前記記録媒体に形成されている網点の面積率である記録媒体網点面積率を算出する記録媒体網点面積率算出手段と、前記記録媒体の特性を優先する度合いを表す記録媒体特性優先度を受け付ける記録媒体特性優先度受付手段と、前記第一の網点面積率決定手段によって決定された第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率算出手段によって算出された記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度受付手段によって受け付けられた記録媒体特性優先度とに基づいて、前記第一の網点面積率の色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を前記有色の記録媒体に再現するように、前記画像形成装置が前記有色の記録媒体に付着させる前記色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を決定する第二の網点面積率決定手段と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、請求項5に係る発明は、有色の記録媒体に、色トナーを付着させて画像を形成する画像形成装置が実行する画像形成プログラムであって、前記画像形成装置が、前記画像を表す画像情報に基づいて色トナーによって形成される網点の面積率である第一の網点面積率を決定する第一の網点面積率決定工程と、前記記録媒体に形成されている網点の面積率である記録媒体網点面積率を算出する記録媒体網点面積率算出工程と、前記記録媒体の特性を優先する度合いを表す記録媒体特性優先度を受け付ける記録媒体特性優先度受付工程と、前記第一の網点面積率決定工程によって算出された第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率算出工程によって算出された記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度受付工程によって受け付けられた記録媒体特性優先度とに基づいて、前記第一の網点面積率の色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を再現するように、前記画像形成装置が前記有色の記録媒体に付着させる前記色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を決定する第二の網点面積率決定工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、記録媒体網点面積率と記録媒体特性優先度に基づいて、色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を前記有色の記録媒体に再現するように、画像形成装置が白色トナーおよび色トナーが形成する網点の網点面積率を決定するので、再現色を損なわずに記録媒体の特性を適切に活かしながら画像を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図2】制御部のハードウェア構成図である。
【図3】制御部の機能構成図である。
【図4】用紙色の黒色の網点面積率、画像形成装置が付着させる各色トナーによる網点面積率の関係を示す概念図である。
【図5】本実施形態の処理の概要を示す処理フロー図である。
【図6】用紙特性優先度情報を入力するための画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<<実施形態の全体構成>>
以下、図1乃至図6を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
<<実施形態のハードウェア構成>>
まず、本実施形態のハードウェア構成を説明する。
【0010】
図1は画像形成装置の一例であるカラー印刷装置のハードウェア構成図である。本実施形態のカラー印刷装置は制御部(図示しない)、プリンタ部3、給紙部4、スキャナ部5、排紙部6を有している。
【0011】
図2は本実施形態のカラー印刷装置が有している制御部のハードウェア構成図である。図2を用いて制御部のハードウェア構成を説明する。
【0012】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、HD(Hard Disk)105、バスライン106を有している。
【0013】
CPU101は、プログラムを実行する。ROM102は、システム起動プログラムの情報などを格納している。RAM103は、CPU101がプログラムを実行するワーク用エリアとして使用される。HD105は、データを記憶する記憶装置であり、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶装置に代替可能である。バスライン106は、上記各部を接続するためのものである。
【0014】
ROM102に記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0015】
ここで図1に戻って、プリンタ部3のハードウェア構成を説明する。
【0016】
プリンタ部3は、カートリッジ31、感光体ドラム32、帯電部33、現像部34、中間転写ベルト35、二次転写ローラ36、定着部37等を有している。
【0017】
カートリッジ31はシアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)色、白(W)色の各トナーを収容しているものであり、各トナーの種類に対応した5つのカートリッジ31C、31M、31Y、31K、31Wを有している。
【0018】
感光体ドラム32は、帯電部33により表面が一様に帯電され、制御部から受け取った画像情報に基づき、表面に静電潜像が形成されるものである。更に、感光体ドラム32は、静電潜像が形成された表面に、後述する現像部34がトナーを付着させることによって、画像が形成されるものである。感光体ドラム32は、C色、M色、Y色、K色、W色の各トナーの種類に対応した5つの感光体ドラム32C、32M、32Y、32K、32Wを有している。
【0019】
帯電部33は、感光体ドラム32に接触して電圧を印加することにより、感光体ドラム32の表面を帯電させるものであり、C色、M色、Y色、K色、W色の各トナーの種類に対応した5つの帯電部33C、33M、33Y、33K、33W、を有している。
【0020】
現像部34は、制御部の第一の網点面積率決定部13および第二の網点面積率決定部16によって決定された各色の網点面積率に基づいて、カートリッジ31内のトナーを感光体ドラム32に付着させることにより、各感光体ドラム32の表面に画像を形成するものである。C色、M色、Y色、K色、W色の各トナーの種類に対応した5つの現像部34C、34M、34Y、34K、34Wを有している。
【0021】
なお、以下では、カートリッジ31C、31M、31Y、31K、31Wのうち任意のカートリッジは「カートリッジ31」と示されている。また、感光体ドラム32C、32M、32Y、32K、32W、のうち任意の感光体ドラムは「感光体ドラム32」と示されている。また、帯電部33C、33M、33Y、33K、33Wのうち任意の帯電部は「帯電部33」と示されている。
【0022】
中間転写ベルト35は、感光体ドラム32に当接しながら搬送されることにより、その表面に画像が形成されるものである。また、表面に画像が形成された後、記録媒体にその画像を転写するものである。
【0023】
二次転写ローラ36は、後述する給紙部4から搬送された記録媒体を、中間転写ベルト35との間に挟み込むことにより、中間転写ベルト35に形成された画像を記録媒体に転写し、画像が形成された記録媒体を定着部37に送るものである。
【0024】
定着部37は、二次転写ローラ36から送られた記録媒体に画像を定着させるものであり、加圧ローラ371、定着ベルト372等を有している。加圧ローラ371は、後述する定着ベルト372との間に記録媒体を押し当て、熱を付与することにより、記録媒体に画像を定着させるものである。定着ベルト372は、加圧ローラ371との間に記録媒体を押し当てることにより、記録媒体に画像を定着させるものである。
【0025】
続いて、給紙部4のハードウェア構成を説明する。
【0026】
給紙部4は、用紙等の記録媒体をプリンタ部3に供給するものであり、給紙トレイ41、給紙ローラ42、レジストローラ43を有している。
【0027】
給紙トレイ41は、用紙等の記録媒体を収容するものである。給紙ローラ42は、給紙トレイ41に収容されている記録媒体を取り出し、レジストローラ43に差し入れるものである。レジストローラ43は、給紙ローラ42によって差し入れられた記録媒体を中間転写ベルト35と二次転写ローラ36との間に送り入れるものである。
【0028】
スキャナ部5は、用紙等に記載された画像情報を読み取るものであり、コンタクトガラス51、読取センサ52を有している。コンタクトガラス51は、画像が記載された用紙が載置されるものである。読取センサ52はコンタクトガラス51に載置されている用紙に記されている画像情報を読み取るものである。
【0029】
排紙部6は、プリンタ部3で画像が形成された記録媒体を排紙し、排紙された記録媒体を格納するものである。
【0030】
<<実施形態の機能構成>>
続いて、図3および図4を用いて本実施形態の機能構成を説明する。
【0031】
図3は制御部の機能構成を説明するための図である。図4は、用紙特性優先度tに対応して記憶されている画像形成装置が付着させるW色トナーの網点面積率Rw3、画像形成装置が付着させるK色トナーの網点面積率Rk3を表す概念図である。
【0032】
まず、図3を用いて、制御部の機能構成を説明する。図3に示されるように、制御部は、用紙色算出部11、画像情報受付部12、第一の網点面積率決定部13、用紙特性優先度受付部14、網点面積率記憶部15、および第二の網点面積率決定部16を有している。また、用紙色算出部11は、用紙色計測部111および用紙色変換部112を有している。第一の網点面積率決定部13は、画像情報変換部131、下色除去部132を有している。
【0033】
用紙色算出部11、画像情報受付部12、第一の網点面積率決定部13、用紙特性優先度受付部14、および第二の網点面積率決定部16は、図2に示されているROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。網点面積率記憶部15は、図2に示されているRAM103によって構成されている。
【0034】
用紙色算出部11は、記録媒体としての無彩色用紙の有する色を公知の測色計等を用いて計測し、黒(K)色の網点面積率Rk1で示される色情報に変換する。用紙色算出部11は、用紙色計測部111および用紙色変換部112を有している。用紙色計測部111は、測色計を用いる等の公知の手法により記録媒体の有する色を計測するものである。用紙色変換部112は、用紙色計測部111によって計測された色をK色の網点面積率Rk1に変換する。なお、用紙色算出部11は記録媒体網点面積率算出手段の一例である。
【0035】
画像情報受付部12は、通信ネットワーク等を経由して情報処理装置等から送信された画像情報を受け付ける。ここで、画像情報とは、用紙等の記録媒体に形成する画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示されたものである。以降では、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示された画像情報をRGB画像情報という。
【0036】
第一の網点面積率決定部13は、画像情報受付部12で受け付けたRGB画像情報に基づいて、C色、M色、Y色、K色の各トナーが形成する網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、Rk2を決定するものである。ここでの各トナーが形成する網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、Rk2は、白色の用紙に各トナーが付着された場合に色を正確に再現するための値である。第一の網点面積率決定部13は、画像情報変換部131、下色除去部132を有している。画像情報変換部131は、RIP(Raster Image Processing)処理によって、色空間変換処理等を実施することにより、RGB画像情報を単位面積内でC色、M色、Y色の各トナーを印字させる面積の割合を表す各網点面積率に変換する。下色除去部132は、画像情報変換部131で決定したC色、M色、Y色の各網点面積率を下色除去(UCR:Under Color Removal)の処理を行う。これらの処理によってC色、M色、Y色、K色のトナーの網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、Rk2が決定される。なお、第一の網点面積率決定部13は第一の網点面積率決定手段の一例である。
【0037】
用紙特性優先度受付部14は、画像内の領域を表す領域情報とその領域に対応した用紙特性優先度tを表す用紙特性優先度情報を受け付ける。この用紙特性優先度情報は、ユーザによって入力されるものでもよく、RGB画像情報とともに情報処理装置等から送信されるものであってもよい。用紙特性優先度tとは、記録媒体特性優先度の一例であり、画像形成装置によって画像が形成される際に、質感、光沢度等の用紙が有する特性を優先させる度合いを表すものである。また、用紙特性優先度tは、本実施形態では0以上1以下となる実数であり、その値が大きいほど用紙の有する光沢・質感等の用紙特性が優先され、その値が小さいほど用紙上に付着されるトナーによる光沢・質感等の用紙特性が優先されることになる。また、用紙特性優先度受付部14は、記録媒体特性優先度受付手段の一例である。
【0038】
網点面積率記憶部15は、用紙特性優先度受付部14によって受け付けられた用紙特性優先度t、用紙色算出部11によって算出されたK色の網点面積率Rk1、第一の網点面積率決定部13で決定されたK色の網点面積率Rk2に対応させて、画像形成装置が用紙に付着させるK色トナーの網点面積率Rk3およびW色のトナーの網点面積率Rw3を記憶するものである。
【0039】
第二の網点面積率決定部16は、用紙色算出部11によって算出された用紙色のK色網点面積率Rk1、画像情報変換部131によって変換されたK色の網点面積率Rk2、および、用紙特性優先度受付部14によって受け付けられた用紙特性優先度tに基づいて、網点面積率記憶部15に記憶されているK色のトナーの網点面積率Rk3とW色のトナーの網点面積率Rw3を抽出し、画像形成装置が付着させる網点面積率として決定する。なお、第二の網点面積率決定部16は第二の網点面積率決定手段の一例である。
【0040】
ここで、本実施形態で、網点面積率記憶部15が記憶する網点面積率Rk3およびRw3について説明する。
【0041】
通常、有色の用紙に、第一の網点面積率決定部13で決定された網点面積率Rk2でK色のトナーを付着させると、形成された画像で再現される色は、用紙の有する色に影響される。そのため、本来再現したい網点面積率Rk2のK色を再現することができない。したがって、用紙の有するK色の網点面積率Rk1の影響を加味して、網点面積率Rk2のK色を再現するために、画像形成装置が付着させるK色およびW色のトナーの網点面積率Rk3、Rw3をあらかじめ、網点面積率記憶部15に記憶させておく。なお、網点面積率Rk3、Rw3を用紙が有するK色と再現したいK色に基づいて決定することは公知の技術を用いればよい。
【0042】
また、K色のトナーおよびW色のトナーは互いにその色を相殺する性質をもつため、用紙が有するK色と再現したいK色に基づいて、画像形成装置が付着させるK色およびW色のトナーの網点面積率Rk3、Rw3は一意に決定されない。具体的に述べると、たとえば、K色のトナーで網点面積率Rk3=90%の網点を形成し、W色のトナーで網点面積率Rw3=80%の網点を形成した場合に再現される色と、K色のトナーで網点面積率Rk3=20%の網点を形成し、W色のトナーで網点面積率Rw3=10%の網点を形成した場合に再現される色とは同じである。
【0043】
そこで、網点面積率記憶部15が記憶する網点面積率Rk3、Rw3は、用紙特性優先度tに対応して一意に記憶されている。すなわち、用紙特性優先度tが高い場合には、網点面積率Rk3、Rw3がともに小さく、用紙特性優先度tが低い場合には、網点面積率Rk3、Rw3がともに大きくなるように、網点面積率記憶部15は、用紙特性優先度tに対応して網点面積率Rk3、Rw3を記憶している。具体例を用いて説明すると、用紙特性優先度tが高い場合には、K色のトナーで網点面積率Rk3=20%の網点を形成し、W色のトナーで網点面積率Rw3=10%の網点を形成することによって色を再現し、用紙特性優先度tが低い場合には、K色のトナーで網点面積率Rk3=90%の網点を形成し、W色のトナーで網点面積率Rw3=80%の網点を形成することによって色を再現することになる。
【0044】
ここで、図4に示された概念図を用いて、網点面積率記憶部15に記憶されている用紙色のK色トナーの網点面積率Rk1と、それに対応する画像形成装置が付着させるK色トナー、W色トナーの網点面積率Rk3、Rw3の関係について説明する。図4(1)に示されている概念図は、用紙が有するK色の網点面積率Rk1が大きい場合の例である。
【0045】
用紙が有するK色の網点面積率Rk1が大きい場合で、t=0のとき、図4(1)に示されているように、トナー量を最も多く付着させるようにW色のトナーの網点面積率Rk3は100%と記憶されている。この場合、無彩色の用紙にW色のトナーを網点面積率Rw3=100%で付着させることで、用紙色は白色となるので、正確に色を再現するためにK色のトナーの網点面積率Rk3は、第一の網点面積率決定部13によって決定された網点面積率Rk2として記憶されている。
【0046】
また、用紙が有するK色の網点面積率Rk1が大きい場合で、t=1のとき、図4(1)に示されているように、トナー量を最も少なく付着させるように、画像形成装置が付着させるW色の網点面積率Rw3、K色トナーの網点面積率Rk3が記憶されている。この例では、用紙色の黒色の網点面積率Rk1が大きいので、白色トナーの網点面積率Rw3が所定の値より小さくなると第一の網点面積率決定部13で決定された再現色が形成されることができない。したがって、トナー量を最も少なくするためには、画像形成装置が付着させるK色トナーによる網点面積率Rk3は0%と記憶されている。さらに、用紙色のK色の網点面積率Rk1、ここで決定されたK色トナーの網点面積率Rk3に基づいて、正確に色再現するよう画像形成装置が付着させるW色トナーの網点面積率Rk3が記憶されている。なお、上述したように、正確に色再現するためにRk1およびRk3に基づいて、Rw3を決定する処理は公知の技術によるものとする。
【0047】
また、図4(1)に示されているように、0<t<1の場合は、用紙特性優先度tが高くなるほど、W色の網点面積率Rw3、K色トナーの網点面積率Rk3が小さくなるように、それらの値が網点面積率記憶部15に記憶されている。
【0048】
図4(2)に示されている概念図は、用紙が有するK色の網点面積率Rk1が小さい場合の例である。
【0049】
用紙が有するK色の網点面積率Rk1が小さい場合で、t=0のとき、図4(2)に示されているように、網点面積率記憶部15は、付着されるトナー量が最も多くなるようにW色のトナーの網点面積率Rw3を100%と記憶している。さらに、この場合、無彩色の用紙にW色のトナーの網点面積率Rw3を100%として付着させることで、用紙色は白色となるので、正確に色を再現するためにK色のトナーの網点面積率Rk3は、第一の網点面積率決定部13によって決定された網点面積率Rk2と記憶されている。
【0050】
また、用紙が有するK色の網点面積率Rk1が小さい場合で、t=1のとき、図4(2)に示されているように、正確な色再現を損なわずにトナー量を最も少なく付着させるために、画像形成装置が付着させるW色の網点面積率Rw3、画像形成装置が付着させるK色トナーの網点面積率Rk3を可能な限り小さくするよう各網点面積率Rw3、Rk3が記憶されている。この例では、用紙色の黒色の網点面積率Rk1が小さいので、黒色トナーの網点面積率Rk3が所定の値より小さくなると、画像形成装置は、第一の網点面積率決定部13で決定された再現色を形成することができない。したがって、トナー量を最も少なくするために、網点面積率記憶部15は、画像形成装置が付着させるW色トナーによる網点面積率Rw3を0と記憶している。さらに、用紙色のK色の網点面積率Rk1、W色トナーの網点面積率Rw3に基づいて、色再現が損なわれないよう画像形成装置が付着させるK色トナーの網点面積率Rk3が記憶されている。なお、上述したように、正確に色再現するためにRk1およびRw3に基づいてRk3を決定する処理は公知の技術によるものとする。
【0051】
また、図4(2)に示されているように、0<t<1の場合は、用紙特性優先度tが高くなるほど、W色の網点面積率Rw3、K色トナーの網点面積率Rk3が小さくなるように、それらの値が網点面積率記憶部15に記憶されている。
【0052】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図5および図6を用いて、本実施形態に係る画像形成装置における処理を説明する。図5は、本実施形態の処理の概要を示す処理フロー図である。図6は、用紙特性優先度情報を入力するための画面の例である。
【0053】
図5に示されるように、まず、用紙色算出部11が、無彩色の用紙が有する色である用紙色を計測する。具体的には、用紙色算出部11の用紙色計測部111が、測色計等により用紙色を計測する(ステップS1)。用紙色変換部112は、用紙色計測部111によって計測された用紙色に基づいてK色の網点面積率Rk1に変換する(ステップS2)。測色計が用紙色を計測する方法、計測された用紙色からK色の網点面積率Rk1に変換する方法は公知の技術を利用することとする。
【0054】
一方、図5に示されるように、画像情報受付部12は、情報処理装置等からネットワーク経由で送信されたR、G、Bで示される色を用いて示されたRGB画像情報を受け付ける(ステップS3)。
【0055】
次に、第一の網点面積率決定部13が、画像情報受付部12で受け付けた画像情報に基づいて、C色、M色、Y色、K色の各トナーによる網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、Rk2を決定する。ここでの網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、Rk2は、白色の用紙に画像が形成される場合の各色の網点面積率である。
【0056】
ここで、第一の網点面積率決定部13が実施する処理を説明する。まず、第一の網点面積率決定部13が有する画像情報変換部131が、画像情報受付部12で受け付けたRGB画像情報からCMY画像情報であるC色、M色、Y色の各網点面積率に変換する(ステップS4)。具体的には、RGB画像情報に対して、画像情報変換部131が、シェーディング補正、位置ズレ補正、色空間の変換、ガンマ補正等の処理をすることによって、C色、M色、Y色の各網点面積率に変換する。続いて、下色除去部132が、画像情報変換部131によって変換されたC色、M色、Y色の網点面積率を下色除去法等の公知の手法で下色を除去する(ステップS5)。
【0057】
これらの処理によって、K色、C色、M色、Y色の網点面積率Rk2、Rc2、Rm2、Ry2が決定される。
【0058】
通常、有色の用紙に対して所望の色調を再現するように画像を形成する際には、まず、画像形成装置が網点面積率100%で用紙に白トナーを付着させることによって白色用紙を形成する。そして、画像情報変換部131によって変換されたK色、C色、M色、Y色の網点面積率Rk2、Rc2、Rm2、Ry2で各色のトナーを、画像形成装置が付着させると、白以外の色を有する用紙に対しても、用紙の色の影響を受けずに正確に色調が再現される。本実施形態では、用紙が有するK色の網点面積率を鑑みて、画像形成装置が付着させる白トナーおよび黒トナーの網点面積率を増減されることによって、色再現を変更せずにトナー量が制御される。画像形成装置が付着させるWトナー及びKトナーの網点面積率を大きくすることによってトナー量が増えれば用紙の多くの部分がトナーによって覆われてしまい、用紙そのものの性質は現れにくくなる。逆に、画像形成装置が付着させるWトナー及びKトナーの網点面積率を小さくすることによってトナー量が減れば、トナーによって覆われない部分が多くなるので、用紙そのものの性質が現れやすくなる。このようにして、トナー量が増減されることによって、用紙の特性を活かす程度が制御される。
【0059】
そのために、図5に示されるように、用紙特性優先度受付部14が、用紙の特性を優先させる度合いを表す用紙特性優先度tを情報処理装置等から通信ネットワーク等を経由して受け付ける(ステップS6)。受け付けられた用紙特性優先度tが高い場合には、画像形成装置が付着させるトナーの網点面積率を小さくすることによって、画像形成後の用紙に用紙そのものの特性が現れるようにする。また、受け付けられた用紙特性優先度tが小さい場合には、画像形成装置が付着させるトナーの網点面積率を大きくすることによって、画像形成後の用紙そのものはトナーに覆われた状態になり用紙そのものの特性が残らないようにする。
【0060】
図6は、ユーザが画像内の領域、および領域に対応する用紙特性優先度tを入力するために情報処理装置等が備えるインターフェースとなる画面7の例である。この情報処理装置等は、通信ネットワーク等を経由して画像形成装置に各種情報を送信できるものである。画面7は、領域選択部71、用紙特性優先度入力部72等から構成されている。領域選択部71にはRGB画像情報が表す画像が表示され、ユーザがマウス等を用いて画像内の領域を選択する。用紙特性優先度入力部72は、領域選択部71によって選択されたそれぞれの領域に対応した用紙特性優先度tをユーザがキーボード等を用いて入力するためのものである。
【0061】
このインターフェースを用いて、ユーザは図6に示す領域選択部71で領域を選択し、さらに選択した領域に対応する用紙特性優先度tを用紙特性優先度入力部72に入力する。そして、情報処理装置等が、入力された領域を表す情報とその領域に対応する用紙特性優先度tを含む情報を用紙特性優先度情報として画像形成装置に対して送信する。そして、情報処理装置等から送信された用紙特性優先度情報を用紙特性優先度受付部14が受け付ける。
【0062】
続いて、第二の網点面積率決定部16が、用紙色算出部11によって算出されたK色の網点面積率Rk1、第一の網点面積率決定部13によって算出されたK色の網点面積率Rk2、および用紙特性優先度受付部14によって受け付けられた用紙特性優先度tに基づいて、画像形成装置が付着させるK色トナーの網点面積率Rk3とW色トナーの網点面積率Rw3を決定する(ステップS7)。また、ここで決定される網点面積率Rk3およびRw3は、用紙特性優先度tに対応する領域に形成する画像に用いられるものである。
【0063】
具体的には、まず、第二の網点面積率決定部16は、網点面積率記憶部15に、網点面積率Rk1、網点面積率Rk2、用紙特性優先度tに対応付けて記憶されているK色の網点面積率Rk3およびW色の網点面積率Rw3を読み出す。そして、第二の網点面積率決定部16は、読み出されたK色の網点面積率Rk3およびW色の網点面積率Rw3を画像形成装置が付着させるトナーの網点面積率として決定する。
【0064】
上記のように、ステップS3乃至ステップS5で第一の網点面積率決定部13によってC色、M色、Y色のトナーによる網点面積率Rc2、Rm2、Ry2が決定され、ステップS7で第二の網点面積率決定部16によってK色、W色のトナーによる網点面積率Rk3、Rw3が決定されると、それらの網点面積率に基づいてプリンタ部3が画像を形成する処理を実施する。
【0065】
プリンタ部3が画像を形成する処理を詳細に説明する。まず、帯電部33が、感光体ドラム32に接触して電圧を印加し、感光体ドラム32の表面を帯電させる。そして、不図示の露光装置から発せられたレーザ光が、第一の網点面積率決定部13によって決定されたC色、M色、Y色のトナーによる網点面積率Rc2、Rm2、Ry2、および、第二の網点面積率決定部16によって決定されたK色、W色のトナーによる網点面積率Rk3、Rw3に基づいて感光体ドラム32の表面に静電潜像を形成する。そして、現像部34が、静電潜像が形成された感光体ドラム32表面に、各カートリッジ31に収容されているトナーを付着させることによって、感光体ドラム32表面に画像を形成する。
【0066】
続いて、中間転写ベルト35が、感光体ドラム32に当接しながら搬送される。すると感光体ドラム32の表面に形成された画像が中間転写ベルト35に転写される。
【0067】
一方、給紙ローラ42は、給紙トレイ41に収容されている用紙を取り出し、レジストローラ43に差し入れる。そして、レジストローラ43は、差し入れられた用紙を中間転写ベルト35と二次転写ローラ36の間に送り入れる。中間転写ベルト35と二次転写ローラ36の間に送り入れられた用紙は、中間転写ベルト35と二次転写ローラ36に挟まれ、搬送されることによって、中間転写ベルト35上の画像を転写される。次に、加圧ローラ371が、定着ベルト372との間に用紙を押し当て、熱を付与することにより、用紙に画像を定着させる。最後に、排紙部6が、画像が定着された用紙を排紙トレイに排出する。
【0068】
<<実施形態の補足>>
また、本実施形態では、ステップS1で画像情報受付部12が、情報処理装置等からネットワーク経由で送信されたRGB画像情報を受け付けるとしているが、スキャナ部5の読取センサ52がコンタクトガラス51に載置された原稿用紙等から取得したRGB画像情報を受け付けるとしてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、用紙特性優先度受付部14は情報処理装置から送信された領域を示す情報および領域に対応する用紙特性優先度tを含む用紙特性優先度情報を受け付けるとしているが、画像処理装置におけるタッチパネル等の入力装置からユーザによって入力された用紙特性優先度情報を受け付けるとしてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では、網点面積率記憶部15が、網点面積率Rk3、Rw3をあらかじめ記憶しているが、用紙色算出部11によって算出されたK色の網点面積率Rk1、第一の網点面積率決定部13によって決定されたK色の網点面積率Rk2、および用紙特性優先度受付部14によって受け付けられた用紙特性優先度tに基づいて、第二の網点面積率決定部16が、網点面積率Rk3、Rw3を決定するための演算を実行することによって決定されるとしてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、無彩色の用紙を用いる場合に、K色およびW色のトナーによって形成される網点面積率を決定する処理を説明したが、有彩色の用紙を用いる場合には、用紙の有するC、M、Y各色に基づいて、画像形成装置が付着させるC色、M色、Y色の各トナーによって形成される網点の網点面積率を決定する処理についても同様である。

【符号の説明】
【0072】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 バスライン
11 用紙色算出部
111 用紙色計測部
112 用紙色変換部
12 画像情報受付部
13 第一の網点面積率決定部
131 画像情報変換部
132 下色除去部
14 用紙特性優先度受付部
15 網点面積率記憶部
16 第二の網点面積率決定部
3 プリンタ部
31 カートリッジ
32 感光体ドラム
33 帯電部
34 現像部
35 中間転写ベルト
36 二次転写ローラ
37 定着部
371 加圧ローラ
372 定着ベルト
4 給紙部
41 給紙トレイ
42 給紙ローラ
43 レジストローラ
5 スキャナ部
51 コンタクトガラス
52 読取センサ
6 排紙部
7 画面
71 領域選択部
72 用紙特性優先度入力部

【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2009−37138号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色の記録媒体に、色トナーを付着させて画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像を表す画像情報に基づいて色トナーによって形成される網点の面積率である第一の網点面積率を決定する第一の網点面積率決定手段と、
前記記録媒体に形成されている網点の面積率である記録媒体網点面積率を算出する記録媒体網点面積率算出手段と、
前記記録媒体の特性を優先する度合いを表す記録媒体特性優先度を受け付ける記録媒体特性優先度受付手段と、
前記第一の網点面積率決定手段によって算出された第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率算出手段によって算出された記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度受付手段によって受け付けられた記録媒体特性優先度とに基づいて、前記第一の網点面積率の色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を再現するように、前記画像形成装置が前記有色の記録媒体に付着させる前記色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を決定する第二の網点面積率決定手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記色トナーは黒色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のいずれか一以上のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
前記第一の網点面積率決定手段によって算出された第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率算出手段によって算出された記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度受付手段によって受け付けられた記録媒体特性優先度と対応付けて、前記画像形成装置が前記記録媒体に付着させる色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を記憶する網点面積率記憶手段を有し、
前記第二の網点面積率決定手段は、前記第一の網点面積率、前記記録媒体網点面積率、前記記録媒体特性優先度とに対応づけられている前記第二の網点面積率を前記網点面積率記憶手段から読み出すことによって、前記第二の網点面積率を決定することを特徴とする画像形成装置。

【請求項4】
請求項1乃至3に記載の画像形成装置であって、
前記第二の網点面積率決定手段は、前記記録媒体特性優先度が高いほど前記第二の網点面積率を小さく決定し、前記記録媒体特性優先度が低いほど前記第二の網点面積率を大きく決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
有色の記録媒体に、色トナーを付着させて画像を形成する画像形成装置が実行する画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置が、
前記画像を表す画像情報に基づいて色トナーによって形成される網点の面積率である第一の網点面積率を決定する第一の網点面積率決定工程と、
前記記録媒体に形成されている網点の面積率である記録媒体網点面積率を算出する記録媒体網点面積率算出工程と、
前記記録媒体の特性を優先する度合いを表す記録媒体特性優先度を受け付ける記録媒体特性優先度受付工程と、
前記第一の網点面積率決定工程によって算出された第一の網点面積率と、前記記録媒体網点面積率算出工程によって算出された記録媒体網点面積率と、前記記録媒体特性優先度受付工程によって受け付けられた記録媒体特性優先度とに基づいて、前記第一の網点面積率の色トナーが白色の記録媒体に付着された場合に再現される色を再現するように、前記画像形成装置が前記有色の記録媒体に付着させる前記色トナーおよび白色トナーが形成する網点の面積率である第二の網点面積率を決定する第二の網点面積率決定工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19974(P2013−19974A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151378(P2011−151378)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】