説明

画像形成装置、定着制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】 連続印刷における先行紙と現行紙の紙間を調整する制御を行うことで定着不良を防止する際、定着すべき画像に着目し、従来技術に生じ得た無駄な動作をなくし、生産性の低下を抑制する。
【解決手段】 加熱ローラ13による定着処理を受ける先行紙P1のサイズが現行紙P2のサイズよりも小さく、定着不良の発生原因となる高温の非通紙部Pnが生じ、その影響を受ける場合でも、図6(B)のように、“先行紙P1の画像幅>現行紙P2の画像幅”という条件を満たすときには、画像に定着不良が起きることはない。この点に着目し、高温の非通紙部Pnが生じる用紙サイズに対して紙間を、図6(A)のように、広げる制御を従来のように行わず、紙間を必要最小限(非通紙部Pnが生じないときのまま)に保つことで、生産性の低下を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント出力(印刷)用データを基に記録用紙に画像を形成するプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関し、より詳しくは、連続印刷時に記録用紙にトナーによって形成した画像を加熱定着する際に生じ得る定着不良を防ぐための機能を有する画像形成装置、定着制御方法、前記制御を実行するためのプログラム及び該プログラムを記録した記録媒体(メモリ等の記憶媒体)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナで読取った画像データやプリンタドライバで作成された印刷データの入力をもとに生成されるプリント出力用データにより記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置において、プリンタエンジンとして、いわゆるレーザプリンタが広く利用されている。レーザプリンタは、プリント出力用データによって点灯が制御されるLD(レーザダイオード)からの光ビームにより感光体を走査露光し、電子写真方式で記録用紙上にトナー画像を形成する。この方式による画像形成過程では、記録用紙上に形成したトナー像を所定温度に加熱して用紙に定着させる処理を必要とする。
また、レーザプリンタにおいては、光ビームによる走査露光を、感光体に連続して画像を作成することを可能にした状態に保ち、先行記録用紙と現行記録用紙の紙間をできるだけ空けずに次々に給紙される記録用紙に同期させて画像を書き込む制御をすることで、連続印刷動作を行う。
【0003】
連続印刷動作が可能な上記方式の画像形成装置では、小サイズの記録用紙を定着処理したときに、加熱部材の非通紙部における温度上昇が大きくなり、その後に定着処理する記録媒体に高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがある。
これは、記録用紙は多種類のサイズが用意され、連続印刷において、異なるサイズの記録用紙が入り交じる状態で用いられる場合、定着部では一定幅の加熱部材で対応する。よって、小サイズである、即ち紙幅が小さいと、記録用紙が加熱部材の幅の一部を通ることになり、加熱部材の非通紙部が生じ、この部分では放熱がなく、通紙部に比べ温度上昇が大きくなるからである。
紙幅が小さい記録用紙が連続し、温度上昇が続くと、定着に適する温度を越えてしまい、高温オフセット等の定着不良が発生する。
【0004】
こうした状態になることを防止するための従来技術として、特許文献1(特開2003−202770号公報)を挙げることができる。特許文献1には、小サイズの記録媒体(用紙)を用いる場合に高温になる加熱部材の非通紙部の温度を検知し、検知した温度とこの温度の変動が所定条件を満たす場合に、この部分の温度上昇を抑制する制御動作を行うようにすることで、不本意に生産性を低下させることなく高温オフセットを防止する手段が示されている。
また、高温オフセット等の定着不良を防ぐために、従来、先行する記録用紙(略して「先行紙」ともいう)と現行の記録用紙(略して「現行紙」ともいう)の間隔(以下「紙間」という)を調整する手段が用いられている。この手段は、紙幅が小さい記録用紙の定着処理後、次の紙幅が大きい記録用紙を加熱部材に通すときに、先行紙と現行紙の紙間を、紙幅に変化がない場合よりも長く空けて、温度が均一になる時間を設けることで、後の記録用紙の定着処理を正常に行うようにするものである。
【0005】
ここで、連続印刷における高温オフセット等の定着不良の発生を防止するために、先行紙と現行紙の紙間を変更する従来の制御動作について、図を参照して説明する。
図11は、連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する従来の制御フローを示す図である。
また、図12は、図11の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。同図は、連続印刷時に矢示の方向に搬送され、次々に加熱ローラによる定着処理を受ける先行紙P1と現行紙P2のサイズが異なる場合を示す。同図(A)は“先行紙P1の紙幅<現行紙P2の紙幅”の例であり、同図(B)は、“先行紙P1の紙幅>現行紙P2の紙幅”の例である。
【0006】
図11のフローによる制御は連続印刷時に行われ、起動すると、先ず、紙間の制御値として、所定のデフォルト値をセットする(ステップS501)。このデフォルト値は、定着不良の発生が予測できない場合に適用する紙間であり、通常、最も生産性を上げることが可能な値を設定する。図12のケースでは、同図(B)の紙間がこのデフォルト値に相当する。
次に、先行紙P1のサイズが小サイズであるか否かを確認する(ステップS502)。このステップは、先行紙P1のサイズが大サイズであれば(ステップS502-NO)、定着不良が発生し得ず、紙間の変更は必要がなく、直ちにこのフローを終える、という手順になるので行う。
【0007】
他方、先行紙P1のサイズが小サイズであれば(ステップS502-YES)、次に、“現行紙P2の紙幅>先行紙P1の紙幅”を確認する(ステップS503)。
ここで、“現行紙P2の紙幅>先行紙P1の紙幅”であれば(ステップS503-YES)、定着不良が発生するおそれがあるので、紙間を定着不良の防止を可能にする紙間(定着不良対策紙間)に制御値を変更して(ステップS504)、このフローを終える。
図12(A)のケースは、この手順を行う場合を示す。つまり、小サイズの先行紙P1によって起きる、加熱ローラにおける非通紙部Pnが、先行紙P1よりも大きい紙幅の現行紙P2に接して作用し、高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがある。このため、紙間を広げる変更を行うことで、定着不良の防止を可能にする。
【0008】
この紙間の変更は、先行紙P1の紙幅が小さくなるほど、紙間は長くするという量的関係により定めている。
図13は、従来技術において採用される、各用紙サイズと紙間の関係の一例を示す表である。
図13に示すように、用紙幅(mm)が「A5縦;148」,「B6縦;128」,「A6縦;105」のように小さい場合、紙間(mm)は「190」と長くする一方、用紙幅(mm)が「A3縦;297」,「B4縦;257」,「A4横;297」,「B5横;257」のように大きい場合、紙間(mm)は「60」と短くする。
ただ、紙間を長くすることは、生産性の低下に加え、この間、動作状態を保っておく必要があるモータ等の動作部には無駄な動作による消耗が生じ、部品の寿命を早めるという問題を引き起こす要因となる。
【0009】
他方、ステップS503で“現行紙P2の紙幅>先行紙P1の紙幅”でなければ(ステップS503-NO)、定着不良が発生するおそれはないので、紙間の制御値を変更する必要がなく、直ちにこのフローを終える。
図12(B)のケースは、この手順を行う場合を示す。つまり、小サイズの先行紙P1によって、加熱ローラにおける非通紙部Pn(上述の図12(A)のケースの説明、参照)が生じても、現行紙P2の紙幅が先行紙P1の紙幅よりさらに小さい場合には、非通紙部の影響を受けることがなく、高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがないので、設定を変更せず、これまでの紙間を保つ。
【0010】
上記のように、定着不良を防止するために、先行紙と現行紙の紙間を変更する従来技術によると、現行紙P2の紙幅が先行紙P1の紙幅より大きい場合、設定されたデフォルト値を変更して、定着不良が生じない紙間に広げる制御を行う。
しかし、上記した制御方式では、定着すべき画像に着目していないので、例えば、画像が非通紙部Pnに接しない位置に局在するために紙間を変更しなくても正常な定着が行われる場合も、記録用紙の紙幅が大きくなった、という条件を満たせば、加熱部材の通紙部と非通紙部の温度が均一になるのに必要な時間をおくことになって、紙間を広げる動作が行われることになる。
したがって、上記した紙間を制御する従来方式によると、印刷の生産性の低下や無駄な動作により動作部が消耗する、といったマイナス面が生じることになってしまう。
なお、先に示した特許文献1も、記録媒体のサイズを動作条件とするものであり、定着すべき画像に着目した動作を行うものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、先行紙と現行紙の紙間を調整する制御を行うことで定着不良を防止する際に、定着すべき画像の大きさに着目して、従来技術において生じ得た無駄な動作をなくし、生産性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、現行記録用紙へ記録する画像幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定手段と、前記画像幅判定手段によって現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段とを有する画像形成装置である。
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、現行記録用紙の紙幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定手段と、前記画像幅判定手段によって現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段とを有する画像形成装置である。
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、現行記録用紙へ記録する画像が、前記加熱部材における先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定する不良接合判定手段と、前記不良接合判定手段によって現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段とを有する画像形成装置である。
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、現行記録用紙へ記録する画像幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定工程と、前記画像幅判定工程で現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程とを有する定着制御方法である。
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、現行記録用紙の紙幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定工程と、前記画像幅判定工程で現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程とを有する定着制御方法である。
本発明は、連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、現行記録用紙へ記録する画像が、前記加熱部材における先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定する不良接合判定工程と、前記不良接合判定工程で現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程とを有する定着制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、先行紙と現行紙の紙間を調整することにより定着不良を防止する際に、定着すべき画像の大きさに適応した動作を行うことで、無駄に紙間を空けることがなく、生産性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態に係るプリンタの構成を示す図である。
【図2】図1に示したプリンタが搭載する制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示したプリンタにおける記録用紙の給紙から排紙までの搬送工程を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、連続印刷における定着処理の制御フローを示す図である。
【図5】連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本発明の実施形態1に係る制御フローを示す図である。
【図6】図5の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。
【図7】連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本発明の実施形態2に係る制御フローを示す図である。
【図8】図7の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。
【図9】連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本発明の実施形態3に係る制御フローを示す図である。
【図10】図9の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。
【図11】連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する従来の制御フローを示す図である。
【図12】図11の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。
【図13】従来技術において採用される、各用紙サイズと紙間の関係の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の画像形成装置をレーザプリンタ、即ち、印刷データをもとに描画処理されたプリント出力用画像データによって点灯が制御されるレーザビームにより走査露光を行い、電子写真方式で画像を形成するプリンタに実施した例を示す。なお、本実施形態では、モノクロの印刷出力ができるプリンタを示すが、カラー及びモノクロ印刷出力ができるものでもよい。
なお、レーザプリンタは、プリンタドライバ等で作成された印刷データの入力を受けてプリンタエンジン(後述)で印刷出力を行うほか、原稿画像を読取るスキャナ等の原画像データの入力手段と組み合わせて複写機を構成する形態で本発明の画像形成装置を実施してもよい。また、後述する連続印刷動作で説明するように、定着不良を防ぐための制御を、記録用紙(媒体)へ記録される画像の大きさ又は位置に着目して、紙間の間隔を変更する手法により行うので、記録用紙上に形成する画像の位置データを必要とし、この必要条件を満たす画像形成装置であれば、レーザプリンタ以外の画像形成装置においても実施することができる。
【0016】
[プリンタエンジンの概要]
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態に係るプリンタの構成を示す図である。同図は、プリンタエンジンの機構部を主に示し、制御部については、後記図2に示す。
図1に示すプリンタエンジンは、モノクロ印刷に対応し、その機構部は、像担持体としての感光体ユニット(後記)が一つのみであり、また、感光体ユニットとトナーカートリッジ4を一体化したAIO(All In One)型で画像形成部を構成する。
感光体ユニットは、感光体ドラム11を中心にその周囲に感光体ドラムの表面を均一に帯電する帯電装置2、後述する走査露光装置1からのレーザビームにより感光体ドラム11の感光面に形成される静電潜像をトナーカートリッジ4から供給するトナーにより現像する現像装置3等の要素を配置して構成される。
【0017】
走査露光装置1は、LD(レーザダイオード)とその駆動部よりなるLDユニット、LDからのレーザビームを回転するポリゴンミラーにより偏向し、感光体ドラム11の感光面を走査露光するビーム走査系等の要素よりなり、入力された印刷データをもとに制御部(後記の図2)で処理されたプリント出力用画像データを、エンジンボードを介して受け取り、このデータに基づいてLDの点灯を制御する。
画像形成部で感光体ドラム11上に形成したトナー画像は、転写装置10で給紙系により給紙した記録用紙(以下、単に「用紙」ともいう)に転写される。なお、給紙系は、定型用紙を積載する給紙トレイから給紙ローラ7によるか、又は手差しトレイ5から給紙ローラ6によって給紙された後、レジストローラ9の動作によりタイミングを定めて転写装置10に搬送される。
用紙上に転写された画像は、圧接ローラ12、加熱ローラ13よりなる定着装置によりトナーを用紙に熱圧着することで定着され、排紙ローラ14によって機外に排出される。
【0018】
〈制御部のハードウェア構成〉
図2は、図1に示したプリンタに搭載した制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2において、プリンタエンジンを制御するエンジンボード(EGB)120は、CPU(Central Processing Unit)や各種メモリにより構成され、エンジンサブボードとしてのIOボード140を介して接続された、トナーボトルの管理に用いるメモリチップ151、トナーカートリッジ4や給紙系等の動作に用いる各種モータ152、ポリゴンモータ153、レーザビーム走査の同期検知器154、定着装置等の温度を検知するサーミスタ155、ユーザーとの情報交換に用いる操作パネル156、動作状態を検知する各種センサ157、各種モータの駆動力をオン/オフする各種クラッチ158、定着(加熱)用ランプ131等の電源を必要とするデバイスへ給電する電源供給ユニット130の各要素を制御下におく。また、エンジンボード(EGB)120は、LDの駆動制御部やドライバを載せたLDボード122、冷却用のファン124、電子写真プロセスが必要とする高電圧を供給する高電圧供給ボード126等を直接制御下におく。
【0019】
また、外部とのインターフェイス制御や外部からインターフェイスを介して入力された画像データや印刷データをもとにプリント出力用画像データを生成する画像処理等は、コントローラ110が行う。ここでは、コントローラ110は、内蔵するCPU、HDD(Hard Disk Drive)111、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)112により構成するコンピュータによって、上記コントローラ機能を実現する。
なお、この実施形態では、外部とのインターフェイスとして、SDカードメモリ用のSD Cards(Boot)113、SD Cards(Option)114及びDIMM(Dual Inline Memory Module)用のMemory DIMM115と、有線ネットワーク用のIEEE1284116、IEEE1394117と、無線ネットワーク用のIEEE802.11b118、Bluetooth119を有し、外部とのデータ交換を可能とする。
【0020】
また、エンジンボード(EGB)120は、搭載するCPUや各種メモリにより構成するコンピュータによってプリンタエンジンを制御する機能を実現する。
即ち、エンジンボード(EGB)120が搭載するコンピュータは、制御プログラム及び制御や処理の動作条件に係る設定情報を不揮発性メモリに格納し、RAM等のメモリをCPUの作業メモリ領域として利用し、後述する図4、図5、図7及び図9に示す制御もしくは処理フローによる動作を実行することによって、後述する定着不良を防ぐための制御機能を実現する手段を構成する。
【0021】
[連続印刷時に行う制御]
次に、上記図1及び図2に示した画像形成装置(レーザプリンタ)が連続印刷時に行う制御動作を説明する。
この制御動作は、連続印刷時に搬送される記録用紙の紙幅が先行紙と現行紙で異なる場合に定着処理に生じ得る定着不良を防ぐため、定着不良の発生条件の有無を確認し、確認結果に応じて紙間を変更する動作を行わせ、無駄に紙間を空けることがなく、生産性の低下を抑制することを可能とするものである。
定着不良の発生条件の有無を確認し、確認結果に応じて紙間を変更するこの実施形態に特有の動作については、後記[定着不良発生の防止]で詳述することとし、先ず、本実施形態が前提とする連続印刷時の記録用紙の給紙から排紙までの記録用紙の搬送制御過程について、図3及び図4を参照して説明する。
【0022】
図3は、本実施形態のプリンタ(図1)における記録用紙の給紙から排紙までの搬送工程を説明する図である。
図4は、本実施形態に係る、連続印刷における定着処理の制御フローを示す図である。
なお、図3及び図4の制御動作は、本実施形態では、コントローラ110の指示に従いエンジンボード(EGB)120が行う。
図4に示す定着処理に係る制御手順は、図3の搬送工程と関連する。というのは、使用する記録用紙が、給紙トレイ51から給紙工程に投入され、レジスト位置で一旦待機し、その後、電子写真プロセス、即ち、トナー画像の転写、定着の処理工程に投入されるが、その投入タイミングを定める条件が定着温度と関連するからである。つまり、記録用紙が定着装置で処理を受けるときに適正な温度条件(定着目標温度であって、本実施形態が解決しようとする定着不良が生じない条件)にすることが必要になるからである。
【0023】
コントローラ110が外部からの印刷要求を受け取ると、エンジンボード120は、図4の制御フローを起動し、先ず、コントローラ110からの印刷指示を受け取る(ステップS101)。
次に、給紙トレイ51における給紙開始時に、定着装置が設計条件として予め定めた温度になっている必要があるから、この温度を制御目標温度に設定して、加熱ローラ56(図1における13)のヒータ(図2の定着用ランプ131)の駆動を制御する(ステップS102)。
次いで、ヒータの加熱により定着装置が給紙開始時の予定温度に到達し給紙条件が成立したら(ステップS103-YES)、給紙装置の給紙用モータ及びクラッチを制御し、記録用紙を給紙トレイ51から給紙する(ステップS104)。
この後、設計条件に基づき、搬送する記録用紙がレジストセンサ53に到達する時に、定着装置が設計条件として予め定めた温度になっている必要があるから、この温度を制御目標温度に設定して、加熱ローラ56のヒータの駆動を制御する(ステップS105)。
【0024】
次いで、記録用紙が給紙ローラ52を通過してレジストセンサ53のある位置に向い、そこに到達したことをレジストセンサ53の検知信号の有無により知る(ステップS106)。
レジストセンサ53の検知信号によりレジスト位置へ到達したことを知ると(ステップS106-YES)、搬送する記録用紙がレジストセンサ53の下流にあるレジストローラ54に達し、そこで一旦停止し、その後、レジスト状態からの搬送動作を再開する時に、定着装置が設計条件として予め定めた温度になっている必要があるから、この温度を制御目標温度に設定して、加熱ローラ56のヒータの駆動を制御する(ステップS107)。
【0025】
この後、記録用紙はレジストセンサ53のある位置を経て、用紙先端がレジストローラ54に達すると、そこで一旦停止して、レジスト状態からの搬送動作を再開する条件として、加熱ローラ56の温度及び先行紙と現行紙の適正な紙間に係る条件を監視し、この条件の成立を確認する(ステップS108)。
ステップS108で行う温度の監視は、加熱ローラ56の温度がステップS107でレジスト状態からの搬送動作を再開する時の目標温度として設定した温度に達していることを確認することである。
また、紙間の監視は、定着不良が生じることなく定着品質を保つことが可能で、かつできる限り先行紙と現行紙の紙間を短くすることで生産性が低下しない条件として定められる条件による。
本実施形態では、後記[定着不良発生の防止]で詳述するように、定着不良の発生を防止するために空ける紙間が記録用紙に記録する画像の大きさ又は位置によって変更されるので、別途行う処理(図5、図7、図9の処理フロー、参照)によって定められる現行紙が必要とする紙間が得られる条件を確認することである。具体的には、先行紙がレジスト位置を抜けてから現行紙がレジスト状態からの搬送動作を再開するまでの時間を、別途行う処理によって紙間として定め、定められた紙間をもとに搬送動作を再開するタイミングを予定し、このタイミングを監視する、という動作を行う。
【0026】
ステップS108で、レジスト状態からの搬送動作を再開する条件として監視する、加熱ローラ56の温度及び先行紙と現行紙の適正な紙間に係る条件の成立が確認できれば(ステップS108-YES)、直ちにレジスト状態で停止させた記録用紙の搬送動作を再開する(ステップS109)。
次いで、搬送する記録用紙が定着装置に到達する時に、定着装置が正常な定着を行える定着温度になっている必要があるから、この温度を制御目標温度に設定して、加熱ローラ56のヒータの駆動を制御する(ステップS110)。なお、定着温度として設定する制御目標温度は、使用する記録用紙の紙質、トナーの材質等により定まる。
【0027】
この後、記録用紙に対し電子写真プロセスに従ってトナー画像が転写され、定着温度に制御された定着装置を通すことで記録用紙上のトナー画像が記録用紙に定着される。定着処理を受けた記録用紙は、搬送ローラ57を経て、排紙ローラ59(図1の排紙ローラ14)から機外に排出される。
この定着処理の完了を、搬送ローラ57を経て搬送される記録用紙を検知する搬送センサ58の出力により知り(ステップS111-YES)、次に投入される記録用紙に対応するために、定着装置を待機温度に保つ必要があるから、この温度を制御目標温度に設定して、加熱ローラ56のヒータの駆動を制御する(ステップS112)。
ステップS112で制御目標温度の設定を変更した後、この制御フローを終了する。
【0028】
[定着不良発生の防止]
上記で図4の連続印刷における定着処理の制御フローを参照して説明したように、連続印刷時に搬送される先行紙と現行紙との紙間は、定着不良が生じることを防ぐことができる必要最小限の間隔として、生産性の低下を抑制する目的からも適正な間隔を設定条件とする。
定着不良の発生は、連続印刷時に搬送される記録用紙における現行紙の紙幅が先行紙に比べ大きい場合、紙幅の小さい先行紙により加熱部材に生じる高温の非通紙部が現行紙に過剰な熱を加えることによる。この定着不良の発生を防止するため、紙間を広げる手段を採る。これは、非通紙部の温度を通紙部と均一にし、適正な定着温度になるまで下げるのに必要な時間を与える意味を持つ。
【0029】
定着不良の発生を防止するために紙間を広げる手段を採用することは、上記[背景技術]において述べたように、従来技術である。
ただ、紙間を広げる手段を採用する従来技術においては、先に、図13の表を参照して説明したように、定着不良の発生を防止するために空ける紙間を、先行する記録用紙の紙幅に対応して定めている。このため、例えば、画像が非通紙部に接しない位置に局在するために紙間を変更しなくても正常な定着が行われる場合も、記録用紙の紙幅が大きくなる、という条件が満たされれば、定着不良の発生を防止するのに必要な時間をおく、つまり紙間を広げる動作が行われ、無駄な時間を費やすことになってしまう。
【0030】
そこで、本実施形態では、定着不良の発生を防止するために空ける紙間を、記録用紙に記録する画像の大きさ又は位置によって変更する、という着想に基づく手法を採用する。
この手法を採用することで、定着不良が生じることなく定着品質を保ち、且つできる限り紙間を短くすることで生産性が低下しない条件として定められる定着不良の発生防止条件に従い、適正な紙間への変更を可能とし、従来技術の先行紙と現行紙の紙幅のみに基づく従来技術に生じる問題を解消する。
以下に、記録用紙に記録する画像の大きさ又は位置によって、先行紙と現行紙の紙間を変更する手法を用いて行う、定着不良の発生を防止する制御動作に係る実施形態を示す。
以下の実施形態は、記録用紙に記録する画像に基づいて紙間を変更する手法を採用する、という点で共通するが、紙間の変更の判定に、異なる判定基準を採用する「実施形態1」〜「実施形態3」の3様の形態を示す。
【0031】
「実施形態1」
この実施形態は、現行紙へ記録する画像幅が、先行紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定された紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うものである。
なお、非通紙部による定着不良の発生原因の存在が前提になるので、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の存在を条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。
また、この実施形態では、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を2段階の閾値(後述する「定着ローラ温度不均一警戒閾値」と「定着オフセット発生警戒閾値」)で確認し、初段の閾値を越えることを条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。ただ、1段階の閾値処理による手順によっても実施が可能である。
【0032】
図5は、連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本実施形態の制御フローを示す図である。この制御フローは、連続印刷時に、各記録用紙へ画像を記録するたびごとに行う。この制御フローを通すことにより得られる結果は、先に図4を参照して説明した、連続印刷における定着処理の制御フローにおけるステップS108の紙間条件に反映される。
また、図6は、図5の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。図6は、連続印刷時に矢示の方向に搬送され、次々に加熱ローラによる定着処理を受ける先行紙P1のサイズが現行紙P2のサイズよりも小さく、定着不良の発生原因となる非通紙部Pnが存在し、その影響を受ける場合を示す。また、同図(A)は“先行紙P1の画像幅<現行紙P2の画像幅”の例であり、同図(B)は、“先行紙P1の画像幅>現行紙P2の画像幅”の例を示す。
【0033】
連続印刷時に図5のフローによる制御は行われ、この制御フローを起動すると、先ず、紙間の制御値として、所定のデフォルト値をセットする(ステップS201)。このデフォルト値は、定着不良の発生が予測できない場合に適用する紙間であり、通常、最も生産性を上げることが可能な値を設定する。図6のケースでは、同図(B)の紙間がこのデフォルト値に相当する。なお、上記所定のデフォルト値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
次に、先行紙P1のサイズが小サイズであるか否かを確認する(ステップS202)。このステップは、先行紙P1のサイズが大サイズであれば(ステップS202-NO)、定着不良が発生し得ず、紙間の変更は必要がないので、紙間の変更処理を行うことなくこのフローを終える、という手順になる。ただ、後述するが、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するので、この場合、管理する紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数が途切れるので、当該連続印刷枚数のカウント値をクリアし(ステップS204)、直ちにこのフローを終了する。
【0034】
他方、先行紙P1のサイズが小サイズであれば(ステップS202-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するために、当該連続印刷枚数に今回の1枚を加えカウントアップをする(ステップS203)。
次いで、管理している、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”の確認をする(ステップS205)。
また、ステップS205で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たす結果を得た場合(ステップS205-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をする(ステップS206)。
【0035】
ステップS205とS206で行う2段階の閾値処理は、定着不良の発生条件の1要素である、紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数をもとに定着不良の発生を予測する処理で、初段の閾値(「定着ローラ温度不均一警戒閾値」という)処理と、2段目のより大きな閾値(「定着オフセット発生警戒閾値」という)を用いる処理のどちらのステップでも、閾値を越えて定着不良の発生が予測される場合、定着不良を回避するために、それぞれに応じた対処をする。即ち、初段の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットが生じるほど非通紙部の温度が高くなくても、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔に紙間を変更する手順へと導き、2段目の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットを防止する間隔に紙間を変更する手順へと導く。
なお、連続印刷枚数に対する上記各閾値処理に用いる閾値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
また、本実施形態では、2段階の閾値処理を行っているが、1段階の閾値処理により、定着オフセットを防止するか又は定着不良を回避する紙間への変更を行う手順としてもよい。
【0036】
本実施形態のフローでは、ステップS205で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たさない場合(ステップS205-NO)、非通紙部の影響を受けることがなく、高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがないので、紙間の設定を変更せず、これまでの紙間を保ったまま、このフローを終了する。
他方、ステップS205で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たし、ステップS206で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たす、という結果を得た場合(ステップS206-YES)、定着オフセットが発生するおそれがあるので、定着オフセットを防止する紙間とする制御値の変更をして(ステップS207)、このフローを終える。
【0037】
また、ステップS206で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たさない、という結果を得た場合(ステップS206-NO)、“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の画像幅”の確認をする(ステップS208)。
ここで、“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の画像幅”であれば(ステップS208-YES)、定着不良が発生するおそれがあるので、定着不良が回避できる紙間、即ち、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔とする紙間へ変える制御値の変更をして(ステップS209)、このフローを終える。
なお、ステップS208の確認ステップにおける画像幅の判定に必要なデータである画像幅については、コントローラ110によってプリント出力用画像データの処理を行う時に得られ、管理されるデータである。なお、こうしたデータ管理は、既存の技術を用いることができる。よって、エンジンボード120は、コントローラ110からの印刷指示を受けた際に、このデータを受け取ることにより、上記画像幅の判定処理を実施することができる。
また、上記で定着不良が回避できる紙間として採用する制御値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
【0038】
図6(A)のケースは、ステップS209の手順を行う場合を示す。つまり、小サイズの先行紙P1によって起きる、加熱ローラにおける非通紙部Pnが、現行紙P2に記録される画像、即ち、先行紙P1に記録される画像よりも大きい画像幅を有する画像、に接して作用し、非通紙部と通紙部の温度の不均一等によって生じる定着不良が起きるおそれがある。
このため、紙間を広げる変更を行う(変更されない場合は、図6(B)に示されるデフォルト設定の紙間である)ことで、非通紙部の温度を通紙部と均一にして定着不良を防止できるようにする。
【0039】
他方、ステップS208で“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の画像幅”でなければ(ステップS208-NO)、定着不良が発生するおそれはないので、紙間の制御値を変更する必要がなく、直ちにこのフローを終える。
図6(B)のケースは、この手順を行う場合を示す。小サイズの先行紙P1によって、加熱ローラにおける高温の非通紙部Pnが生じても、現行紙P2に記録される画像が先行紙P1に記録される画像よりも小さい画像幅を有する画像であり、この場合には、非通紙部の影響を受ける可能性が少ないと予測され、非通紙部と通紙部の温度の不均一等によって生じる定着不良が起きるおそれがないので、デフォルトによる設定を変更せず、これまでの紙間を保つ。
【0040】
上記のように、現行紙へ記録する画像幅が、先行紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定された紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うことで、定着処理による画像の劣化を回避して高画像品質を保ち、且つ先行紙と現行紙の紙幅のみに基づく従来技術の制御動作による場合に行っていた紙間を広げる変更を不要にし、従来技術に生じ得る生産性の低下や無駄な動作により動作部が消耗する、といった問題を解消できる。
【0041】
「実施形態2」
この実施形態は、現行紙へ記録する画像幅が、先行紙の用紙幅よりも大きいか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定された紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うものである。
上記「実施形態1」では、現行紙へ記録する画像幅と比べる先行紙の比較対象を、先行紙へ記録する画像幅とした。先行紙の比較対象を画像幅とする「実施形態1」によると、画像部分は通紙部内に記録され、非通紙部になり得ないので、定着不良の発生は確実に防止することができるが、画像幅はプリント出力に用いる画像データによるので、記録用紙のように一定ではなく変量である。このため、定着不良の発生は確実に防止できても、画像幅と通紙部とは一致しないので、定着不良の発生しない通紙部の範囲内にあっても、画像幅を越えれば紙間を広げる動作になり、意に反し生産性の低下が起きてしまう。
【0042】
そこで、現行紙へ記録する画像幅と比べる先行紙の比較対象を先行紙の用紙幅として、意に反し生産性の低下が起きる上図の動作が避けられるようにする。
なお、非通紙部による定着不良の発生原因の存在が前提になるので、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の存在を条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。
また、この実施形態では、上記「実施形態1と同様、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を2段階の閾値で確認し、初段の閾値を越えることを条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。ただ、1段階の閾値処理による手順によっても実施が可能である。
【0043】
図7は、連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本実施形態の制御フローを示す図である。この制御フローは、連続印刷時に、各記録用紙へ画像を記録するたびごとに行う。この制御フローを通すことにより得られる結果は、先に図4を参照して説明した、連続印刷における定着処理の制御フローはおけるステップS108の紙間条件に反映される。
また、図8は、図7の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。図8は、連続印刷時に矢示の方向に搬送され、次々に加熱ローラ13による定着処理を受ける先行紙P1のサイズが現行紙P2のサイズよりも小さく、定着不良の発生原因となる非通紙部Pnが存在し、その影響を受ける場合を示す。また、同図(A)は“先行紙P1の用紙幅<現行紙P2の画像幅”の例であり、同図(B)は、“先行紙P1の用紙幅>現行紙P2の画像幅”の例を示す。
【0044】
連続印刷時に図7のフローによる制御は行われ、この制御フローを起動すると、先ず、紙間の制御値として、所定のデフォルト値をセットする(ステップS301)。このデフォルト値は、定着不良の発生が予測できない場合に適用する紙間であり、通常、最も生産性を上げることが可能な値を設定する。図8のケースでは、同図(B)の紙間がこのデフォルト値に相当する。なお、上記所定のデフォルト値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
次に、先行紙P1のサイズが小サイズであるか否かを確認する(ステップS302)。このステップは、先行紙P1のサイズが大サイズであれば(ステップS302-NO)、定着不良が発生し得ず、紙間の変更は必要がないので、紙間の変更処理を行うことなくこのフローを終える、という手順になる。ただ、後述するが、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するので、この場合、管理する紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数が途切れるので、当該連統印刷枚数のカウント値をクリアし(ステップS304)、直ちにこのフローを終了する。
【0045】
他方、先行紙P1のサイズが小サイズであれば(ステップS302-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するために、当該連続印刷枚数に今回の1枚を加えカウントアップをする(ステップS303)。
次いで、管理している、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”の確認をする(ステップS305)。
また、ステップS305で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たす結果を得た場合(ステップS305-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をする(ステップS306)。
【0046】
ステップS305とS306で行う2段階の閾値処理は、定着不良の発生条件の1要素である、紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数をもとに定着不良の発生を予測する処理で、初段の閾値処理と、2段目のより大きな閾値を用いる処理どちらのステップでも、閾値を越えて定着不良の発生が予測される場合、定着不良を回避するために、それぞれに応じた対処をする。即ち、初段の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットが生じるほど非通紙部の温度が高くなくても、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔に紙間を変更する手順へと導き、2段目の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットを防止する間隔に紙間を変更する手順へと導く。
なお、連続印刷枚数に対する上記各閾値処理に用いる閾値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
また、本実施形態では、2段階、の閾値処理を行っているが、1段階の閾値処理により、定着オフセットを防止するか又は定着不良を回避する紙間への変更を行う手順としてもよい。
【0047】
本実施形態のフローでは、ステップS305で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たさない場合(ステップS305-NO)、非通紙部の影響を受けることがなく、高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがないので、紙間の設定を変更せず、これまでの紙間を保ったまま、このフローを終了する。
他方、ステップS305で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たし、ステップS306で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たす、という結果を得た場合(ステップS306-YES)、定着オフセットが発生するおそれがあるので、定着オフセットを防止する紙間とする制御値の変更をして(ステップS307)、このフローを終える。
【0048】
また、ステップS306で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たさない、という結果を得た場合(ステップS306-NO)、“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の用紙幅”の確認をする(ステップS308)。
ここで、“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の用紙幅”であれば(ステップS308-YES)、定着不良が発生するおそれがあるので、定着不良が回避できる紙間、即ち、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔とする紙間へ変える制御値の変更をして(ステップS309)、このフローを終える。
なお、ステップS308の確認ステップにおける画像幅の判定に必要なデータである画像幅については、コントローラ110によってプリント出力用画像データの処理を行うときに得られ、管理されるデータである。なお、こうしたデータの管理は、既存の技術を用いることができる。よって、エンジンボード120は、コントローラ110からの印刷指示を受けた際に、このデータを受け取ることにより、上記画像幅の判定処理を実施することができる。
また、上記で定着不良が回避できる紙間として採用する制御値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
【0049】
図8(A)のケースは、ステップS309の手順を行う場合を示す。つまり、小サイズの先行紙P1によって起きる、加熱ローラにおける非通紙部Pnが、現行紙P2に記録される画像、即ち、先行紙P1の用紙幅よりも大きい画像幅を有する画像、に接して作用し、非通紙部と通紙部の温度の不均一等によって生じる定着不良が起きるおそれがある。
このため、紙間を広げる変更を行う(変更されない場合は、図8(B)に示されるデフォルト設定の紙間である)ことで、非通紙部の温度を通紙部と均一にして定着不良を防止できるようにする。
【0050】
他方、ステップS308で“現行紙P2の画像幅>先行紙P1の用紙幅”でなければ(ステップS308-NO)、定着不良が発生するおそれはないので、紙間の制御値を変更する必要がなく、直ちにこのフローを終える。
図8(B)のケースは、この手順を行う場合を示す。小サイズの先行紙P1によって、加熱ローラにおける高温の非通紙部Pnが生じても、現行紙P2に記録される画像が先行紙P1の用紙幅よりも小さい画像幅を有する画像であり、この場合には、非通紙部の影響を受ける可能性が少ないと予測され、非通紙部と通紙部の温度の不均一等によって生じる定着不良が起きるおそれがないので、デフォルトによる設定を変更せず、これまでの紙間を保つ。
【0051】
上記のように、現行紙へ記録する画像幅が、先行紙の用紙幅よりも大きいか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定された紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うことで、定着処理による画像の劣化を回避して高画像品質を保ち、且つ必要最小限の紙間をとることが可能になり、上記「実施形態1」よりも生産性の低下をさらに抑制することができる。
【0052】
「実施形態3」
この実施形態は、現行紙へ記録する画像が、加熱部材における先行紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定きれた紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うものである。
上記「実施形態1」、「実施形態2」では、定着不良の発生を防止するために行う紙間の変更の要否を判断する際、現行紙へ記録する画像幅と、先行紙へ記録する画像幅又は先行紙の紙幅を比較する手法を採用した。画像幅、紙幅の比較に基づく上記の手法を採用する場合、用紙に記録する画像が、用紙の中央部にあれば、意図した定着不良の発生が防止できる動作を得ることができる。
ただ、「実施形態1」、「実施形態2」において画像幅、紙幅の比較に基づく定着不良の発生条件を満たさなくても、用紙に記録する画像の位置によっては、記録する画像が加熱部材における先行紙の通紙部と非通紙部に跨って接合する場合があり、この場合には、定着不良が生じてしまう。
【0053】
そこで、用紙に記録する画像が加熱部材における先行紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定し、接合する湯合には、紙間を広げることにより、定着不良の発生を防止する制御動作を行うようにする。
なお、非通紙部による定着不良の発生原因の存在が前提になるので、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の存在を条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。
また、この実施形態では、上記「実施形態1」と同様、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を2段階の閾値で確認し、初段の閾値を越えることを条件に、画像幅の上記判定を行う手順による。ただ、1段階の閾値処理による手順によっても実施が可能である。
【0054】
図9は、連続印刷において定着不良を防ぐために紙間を変更する本実施形態の制御フローを示す図である。この制御フローは、連続印刷時に、各記録用紙へ画像を記録するたびごとに行う。この制御フローを通すことにより得られる結果は、先に図4を参照して説明した、連続印刷における定着処理の制御フローにおけるステップS108の紙間条件に反映される。
また、図10は、図9の制御フローによる紙間変更動作を説明する図である。図10は、連続印刷時に矢示の方向に搬送され、次々に加熱ローラ13による定着処理を受ける先行紙P1のサイズが現行紙P2のサイズよりも小さく、定着不良の発生原因となる非通紙部Pnが存在し、その影響を受ける場合を示す。また、同図(A)は、現行紙P2へ記録する画像が先行紙P1の通紙部と非通紙部に跨って接合する例であり、同図(B)は、現行紙P2へ記録する画像が先行紙P1の通紙部のみに接合する例を示す。
【0055】
連続印刷時に図9のフローによる制御は行われ、この制御フローを起動すると、先ず、紙間の制御値として、所定のデフォルト値をセットする(ステップS401)。このデフォルト値は、定着不良の発生が予側できない場合に適用する紙間であり、通常、最も生産性を上げることが可能な値を設定する。図10のケースでは、同図(B)の紙間がこのデフォルト値に相当する。なお、上記所定のデフォルト値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
次に、先行紙P1のサイズが小サイズであるか否かを確認する(ステップS402)。このステップは、先行紙P1のサイズが大サイズであれば(ステップS402-NO)、定着不良が発生し得ず、紙間の変更に必要がないので、紙間の変更処理を行うことなくこのフローを終える、という手順になる。ただ、後述するが、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するので、この場合、管理する紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数が途切れるので、当該連続印刷枚数のカウント値をクリアし(ステップS404)、直ちにこのフローを終了する。
【0056】
他方、先行紙P1のサイズが小サイズであれば(ステップS402-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数を管理するために、当該連続印刷枚数に今回の1枚を加えカウントアップをする(ステップS403)。
次いで、管理している、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”の確認をする(ステップS405)。
また、ステップS405で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たす結果を得た場合(ステップS405-YES)、非通紙部を発生させる紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数に対する閾値処理として、“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をする(ステップS406)。
【0057】
ステップS405とS406で行う2段階の閾値処理は、定着不良の発生条件の1要素である、紙幅が小さい先行紙の連続印刷枚数をもとに定着不良の発生を予測する処理で、初段の閾値処理と、2段階のより大きな閾値を用いる処理どちらのステップでも、閾値を越えて定着不良の発生が予測される場合、定着不良を回避するために、それぞれに応じた対処をする。即ち、初段の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットが生じるほど非通紙部の温度が高くなくても、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔に紙間を変更する手順へと導き、2段目の閾値により予測される定着不良に対しては、定着オフセットを防止する間隔に紙間を変更する手順へと導く。
なお、連続印刷枚数に対する上記各閾値処理に用いる閾値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
また、本実施形態では、2段階の閾値処理を行っているが、1段階の閾値処理により、定着オフセットを防止するか又は定着不良を回避する紙間への変更を行う手順としてもよい。
【0058】
本実施形態のフローでは、ステップS405で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たさない場合(ステップS405-NO)。非通紙部の影響を受けることがなく、高温オフセット等の定着不良が発生するおそれがないので、紙間の設定を変更せず、これまでの紙間を保ったまま、このフローを終了する。
他方、ステップS405で“連続印刷枚数>定着ローラ温度不均一警戒閾値”を満たし、ステップS406で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たす、という結果を得た場合(ステップS406-YES)、定着オフセットが発生するおそれがあるので、定着オフセットを防止する紙間とする制御値の変更をして(ステップS407)、このフローを終える。
【0059】
また、ステップS406で2段目の閾値処理により“連続印刷枚数>定着オフセット発生警戒閾値”の確認をし、この条件を満たさない、という結果を得た場合(ステップS406-NO)、確認をする(ステップS408)。
ここで、現行紙P2へ記録する画像が先行紙P1の通紙部と非通紙部に跨れば(ステップS408-YES)、定着不良が発生するおそれがあるので、定着不良が回避できる紙間、即ち、非通紙部の温度を通紙部と均一にする間隔とする紙間へ変える制御値の変更をして(ステップS409)、このフローを終える。
【0060】
なお、ステップS408の確認ステップにおける画像位置の判定には、先行紙P1の通紙部の位置情報と現行紙P2へ記禄する画像の位置情報とが必要である。前者については、先行紙P1の記録用紙サイズから得られるデータである。また、後者の画像の位置情報については、コントローラ110によってプリント出力用画像データの処理を行う時に得られ、管理されるデータである。なお、こうしたデータの管理は、既存の技術を用いることができる。よって、エンジンボード120は、コントローラ110からの印刷指示を受けた際に、このデータを受け取ることにより、現行紙P2へ記録する画像が先行紙P1の通紙部と非通紙部に跨るか否かの上記判定処理を実施することができる。
また、上記で定着不良が回避できる紙間として採用する制御値は、当該画像形成装置の機器条件のもとで実験等を行うことにより求めた経験値を当てる。
【0061】
図10(A)のケースは、ステップS409の手順を行う場合を示す。つまり、現行紙P2に記録される画像が、小サイズの先行紙P1によって起きる、加熱ローラ13における非通紙部Pnと通紙部に跨って接合し、非通紙部Pnと通紙部の温度の不均一等によって生じる定着不良が起きるおそれがある。
このため、紙間を広げる変更を行う(変更されない場合は、図10(B)に示されるデフォルト設定の紙間である)ことで、非通紙部Pnの温度を通紙部と均一にして定着不良を防止できるようにする。
【0062】
他方、ステップS408で、現行紙P2へ記録する画像が先行紙P1の通紙部と非通紙部Pnに跨らなければ(ステップS408-NO)、定着不良が発生するおそれはないので、紙間の制御値を変更する必要がなく、直ちにこのフローを終える。
図10(B)のケースは、この手順を行う場合を示す。小サイズの先行紙P1によって、加熱ローラにおける高温の非通紙部Pnが生じても、現行紙P2に記録される画像が、非通紙部Pn内に収まり、通紙部に跨らない画像であり、この場合には、定着オフセットが発生する温度にまで至っておらず、通紙部と非通紙部Pnの温度の不均一の影響を受ける可能性が少ないと予測され、定着不良が起きるおそれがないので、デフォルトによる設定を変更せず、これまでの紙間を保つ。
【0063】
上記のように、現行紙へ記録する画像が、先行紙によって加熱部材に生じる通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定し、この判定結果に基づき、デフォルトで設定された紙間を変更するか否かを定めて、定着不良の発生を防止する制御動作を行うことで、「実施形態1」、「実施形態2」において、意に反して生じ得る定着不良を回避して高画像品質を保ち、且つ先行紙と現行紙の紙幅のみに基づく従来技術の制御動作による場合に行っていた紙間を広げる変更を不要にし、従来技術に生じ得る生産性の低下や無駄な動作により動作部が消耗する、といった問題を解消できる。
【符号の説明】
【0064】
1・・走査露光装置、4・・トナーカートリッジ、7・・給紙ローラ、9,54・・レジストローラ、11・・感光体ドラム、13,56・・加熱ローラ、51・・給紙トレイ、110・・コントローラ、120・・エンジンボード(EGB)、140・・IOボード。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2003−202770号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、
現行記録用紙へ記録する画像幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定手段と、
前記画像幅判定手段によって現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、
現行記録用紙の紙幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定手段と、
前記画像幅判定手段によって現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
所定値より小さい幅の記録用紙への連続印刷枚数を計数する印刷枚数計数手段と、
前記印刷枚数計数手段によって計数された先行記録用紙の印刷枚数が定着不良の発生を予測可能な閾値を越えるか否かを判定する定着不良予測枚数判定手段を有し、
前記画像幅判定手段は、前記定着不良予測枚数判定手段によって先行記録用紙の印刷枚数が閾値を越えたと判定されたことを条件に、判定動作を行う手段である
画像形成装置。
【請求項4】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置であって、
現行記録用紙へ記録する画像が、前記加熱部材における先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定する不良接合判定手段と、
前記不良接合判定手段によって現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
所定値より小さい幅の記録用紙への連続印刷枚数を計数する印刷枚数計数手段と、
前記印刷枚数計数手段によって計数された先行記録用紙の印刷枚数が定着不良の発生を予測可能な閾値を越えるか否かを判定する定着不良予測枚数判定手段を有し、
前記不良接合判定手段は、前記定着不良予測枚数判定手段によって先行記録用紙の印刷枚数が閾値を越えたと判定されたことを条件に、判定動作を行う手段である
画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータを請求項1又は2に記載された画像形成装置が有する前記画像幅判定手段、前記制御手段の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを請求項4に記載された画像形成装置が有する前記不良接合判定手段、前記制御手段の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、
現行記録用紙へ記録する画像幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定工程と、
前記画像幅判定工程で現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程と
を有する定着制御方法。
【請求項10】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、
現行記録用紙の紙幅が、先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいか否かを判定する画像幅判定工程と、
前記画像幅判定工程で現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行記録用紙の紙幅が先行記録用紙へ記録する画像幅よりも大きいと判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程と
を有する定着制御方法。
【請求項11】
連続印刷時に調整可能な間隔をおいて搬送される記録用紙に画像を記録し、画像が記録された記録用紙を定着温度に制御される一定幅の加熱部材に作用させ、加わる熱によって記録用紙に画像を定着する処理を行う画像形成装置における定着制御方法であって、
現行記録用紙へ記録する画像が、前記加熱部材における先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合するか否かを判定する不良接合判定工程と、
前記不良接合判定工程で現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定された場合に、搬送される先行記録用紙に対する現行記録用紙の間隔を定着不良が防止できる間隔に切替える一方、現行印刷用紙へ記録する画像が前記先行記録用紙の通紙部と非通紙部に跨って接合すると判定されなかった場合に、間隔を保つ制御を行う制御工程と
を有する定着制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−41175(P2013−41175A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178940(P2011−178940)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】