説明

画像形成装置、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】画像形成装置において前露光装置を使用することなく、ゴーストの発生を簡易に低減可能な画像処理技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、感光ドラムの周面の移動方向に対して下流側に位置する着目ステーションにおいて形成した画像に生じるゴーストを、当該着目ステーションで画像形成に用いる画像データを補正することによって低減する。具体的には、当該画像データに適用すべき補正量を、着目ステーションと、当該着目ステーションよりも上流側の1つ以上のステーションとでそれぞれ用いる画像データから決定する。当該補正量は、着目ステーションにおいて、ゴーストが生じない場合の露光後の感光ドラムの表面電位を基準電位として、ゴーストが生じた場合の露光後の感光ドラムの表面電位と当該基準電位との差分を低減する補正量に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、画像形成装置で用いる画像データに対する画像処理を行う画像処理装置、及び当該画像データに対する画像処理方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置では、像担持体、例えば、感光体の表面が帯電装置によって均一に帯電した後、その感光体の表面にトナー像が形成される。感光体の表面に形成されたトナー像は、転写装置によって記録材又は中間転写体に転写される。このような画像形成装置において、転写処理後の感光体の表面電位が不均一になる場合がある。
【0003】
表面電位が不均一な感光体の表面を帯電装置で再び帯電させる場合、その不均一性の程度が大きいと、当該感光体の表面を均一に帯電させることができず、表面電位に不均一性が残存する可能性がある。感光体におけるこのような表面電位の不均一性は、その後に感光体上に形成される画像に対して、ゴーストと呼ばれる画像不良を生じさせ得る。
【0004】
上述のような感光体の表面電位の不均一性を解消するために、例えば、以下の手法が提案されている。特許文献1では、感光体の回転方向に沿って転写装置と帯電装置との間に、前露光装置と呼ばれる除電装置を設けた画像形成装置が提案されている。この画像形成装置は、帯電器によって感光体の表面を帯電させる前に、前露光装置からの露光光で当該感光体の表面を除電して、表面電位を均一な電位にシフトさせることによって、画像不良の発生を防止する。特許文献2では、インライン方式のカラー画像形成装置において、感光体の除電用の前露光装置として、感光体ごとに異なる光源を設けるのではなく、複数の感光体に対して共通に使用する1つの光源を設ける手法が提案されている。また、特許文献3では、前露光装置を設けることなく、画像形成中に感光体の帯電電位が連続的に増大するように、感光体ごとに独立のタイミングに帯電バイアスを変更することによって、簡易な構成でゴーストの発生を低減する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−133824号公報
【特許文献2】特開2007−219250号公報
【特許文献3】特開2007−171633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、低コスト化及び小型化を実現した画像形成装置が要望されている。しかしながら、上述の従来技術で低コスト化及び小型化を実現するには、以下のような問題がある。例えば、特許文献1の手法では、前露光装置としてLEDアレイが必要となるため、生産コストが上昇し、かつ、LEDアレイを設置するためのスペースを確保する必要性に起因して、装置サイズが増大する。
【0007】
特許文献2の前露光装置では、1つの光源からの光を複数のライトガイドを介して複数の感光体に照射する。この場合、複数の感光体の表面電位を所定の電位にシフトさせるために当該複数の感光体の表面において必要な光量を得るには、光源の光量を増加させること、又はライトガイドの透過性を向上させることが必要となり、生産コストの上昇につながる。また、ライトガイドの設置スペースを確保することに起因して、装置サイズが増大する。
【0008】
特許文献3の手法では、前露光装置を必要としないため、装置サイズは増大しない。しかし、低コスト化のために帯電用の電源を複数の感光体で共通化している場合には、当該手法のように、各感光体に対する帯電バイアスを、感光体ごとに独立したタイミングで変化させることは難しい。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置において前露光装置を使用することなく、ゴーストの発生を簡易に低減可能な画像処理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を画像データに従って露光することで像担持体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像を現像剤で現像することで像担持体の表面に画像を形成する現像手段とをそれぞれが備え、それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで記録材に形成すべき多色の画像が形成される、又は、複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで多色の画像が形成される記録材を搬送する回転体と、複数の画像形成手段のうち、回転体の周面の移動方向に対して下流側に位置する第1の画像形成手段で用いる画像データに対して適用すべき補正量であって、第1の画像形成手段よりも上流側に位置する1つ以上の第2の画像形成手段によって形成される画像に起因して生じる、第1の画像形成手段における画像データに従った露光後の像担持体の表面電位と当該画像データに対応する基準電位との差分を低減する補正量を、第1及び第2の画像形成手段で用いる画像データから決定する決定手段と決定手段によって決定された補正量を用いて、第1の画像形成手段で用いる画像データを補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置において前露光装置を使用することなく、ゴーストの発生を簡易に低減可能な画像処理技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】感光ドラムの表面にベタ画像を形成した場合の、当該感光ドラムの表面電位の変化の一例を示す図である。
【図3】上流ステーションで中間転写ベルト上に形成されたベタ画像が下流ステーションの一次転写ニップ部に到達した場合の、当該下流ステーションにおける感光ドラムの表面電位の変化の一例を示す図である。
【図4】画像データと、一次転写後の感光ドラムの表面電位と、帯電後の感光ドラムの表面電位との関係の一例を示す図である。
【図5】画像データと、当該画像データに基づく露光後の感光ドラムの表面電位との関係の一例を示す図である。
【図6】ゴースト発生前の画像、ゴースト発生後の画像、及びゴースト抑制後の画像の一例を示す図である。
【図7】ゴーストが発生するメカニズムを示す概念図である。
【図8】第1の実施形態に係る画像形成装置における画像処理部の概略的な構成を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態に係る画像形成装置において、ゴーストの抑制に使用する参照テーブルの一例を示す図である。
【図10】第1の実施形態に係る画像形成装置におけるゴースト抑制処理を含む画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】複数の記録材に連続的に印刷する場合に、2枚目の記録材にゴーストが発生するメカニズムを示す概念図である。
【図12A】、
【図12B】第2の実施形態に係る画像形成装置におけるゴースト抑制処理を含む画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
[第1の実施形態]
<画像形成装置100の構成>
図1を参照して、画像形成装置100の構成について説明する。画像形成装置100は、大きく分けて、カラー画像形成エンジン部401と画像処理部402とを備える。以下では、最初にカラー画像形成エンジン部401の構成及び動作について説明する。
【0015】
カラー画像形成エンジン部401は、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(K)色のトナー(現像剤)を用いてトナー像(現像剤像)をそれぞれ形成する画像形成部SY、SM、SC、SKを備える。以下では、画像形成部SY、SM、SC、SKをそれぞれ第1ステーション、第2ステーション、第3ステーション、第4ステーションとも称する。画像形成部SY、SM、SC、SKは、中間転写ベルト(回転体)14の周面に沿って、当該周面の移動方向に対して上流側から下流側へ順に配置されている。画像形成部SY、SM、SC、SKに対向して配置された中間転写ベルト14は、駆動ローラ13a、テンションローラ13b、及び二次転写対向ローラ13cの3つのローラによって掛け渡されている。中間転写ベルト14には、テンションローラ13bによって一定の張力が維持されている。駆動ローラ13aは、中間転写ベルト14を駆動して、当該中間転写ベルト14を図1の矢印方向に搬送する。
【0016】
画像形成部SY、SM、SC、SKはそれぞれ一体型のプロセスカートリッジを備え、各プロセスカートリッジは、ドラムユニット10Y、10M、10C、10Kと、現像ユニット8Y、8M、8C、8Kとを備える。ドラムユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光ドラム(像担持体)1Y、1M、1C、1Kと、クリーニング装置9Y、9M、9C、9Kと、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kとをそれぞれ備える。現像ユニット8Y、8M、8C、8Kは、現像ローラ5Y、5M、5C、5Kと、トナー3Y、3M、3C、3Kと、トナー塗布ローラ6Y、6M、6C、6Kと、トナー塗布ブレード7Y、7M、7C、7Kとをそれぞれ備える。トナー3Y、3M、3C、3Kは、負極性に帯電する非磁性一成分のトナーである。
【0017】
画像形成部SY、SM、SC、SKは、レーザ光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLEDアレイから成る露光装置11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ備える。露光装置11Y、11M、11C、11Kは、画像データに応じて走査可能な走査ビーム12Y、12M、12C、12Kを感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面にそれぞれ照射することによって、各感光ドラムの表面に静電潜像を形成する。当該画像データは、例えば、色ごとに8ビットのデータ、即ち、00H〜FFHの256レベルの値で表現され得る。ここで、「H」は16進数表示を意味する。なお、画像データの値は、16進数ではなく10進数で表示されてもよい。画像データの値に「H」の代わりに「dec」が付された場合、その値は10進数で表示されていることを意味する。
【0018】
露光装置11Y、11M、11C、11Kには、このような画像データに対応する発光時間で発光するように変調された信号が入力される。当該画像データは、FFHを100%としたパーセント表示によって表現されてもよい。例えば、本明細書において「ベタ画像」と称する画像は、全ての画素値がFFH(100%)である画像データを用いて形成される画像を意味する。画像データの画素値が減少するにつれて画像濃度は薄くなり、00H(0%)はベタ白に相当する。また、本明細書において「ベタ白画像」と称する画像は、全ての画素値が00H(0%)である画像データを用いて形成される画像を意味し、即ち、この場合には対応する感光ドラムの表面に画像が形成されないことを意味する。
【0019】
中間転写ベルト14の内側には、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kにそれぞれ対応して、中間転写ベルト14を介して対向する位置に一次転写ローラ4Y、4M、4C、4Kが配置されている。一次転写ローラ4Y、4M、4C、4Kは、中間転写ベルト14を介して、対応する感光ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間にそれぞれ一次転写ニップ部23Y、23M、23C、23Kを形成する。一次転写ローラ4Y、4M、4C、4Kは、所定の一次転写バイアスが印加されることで、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像を、一次転写ニップ部23Y、23M、23C、23Kにおいて中間転写ベルト14の表面に重畳的に転写する。これにより、中間転写ベルト14上にマルチカラー(多色)のトナー像が形成される。二次転写対向ローラ13cは、中間転写ベルト14及び記録材Pを介して、二次転写ローラ20との間に二次転写ニップ部を形成する。二次転写ローラ20は、所定の二次転写バイアスが印加されることにより、中間転写ベルト14上に形成されたトナー像を、当該二次転写ニップ部において記録材P上に転写する。
【0020】
上述のカラー画像形成エンジン部401による画像形成動作は、以下のように実行される。カラー画像形成エンジン部401において画像形成が開始されると、感光ドラム1Y、1M、1C、1K、中間転写ベルト14等は、所定のプロセススピードで図1の矢印方向に回転を始める。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面は、不図示の電源から所定の負極性の帯電バイアスを印加された帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kによって、所定の表面電位Vd(暗部電位)に帯電される。その後、露光装置11Y、11M、11C、11Kは、画像処理部402から入力される、画像データを用いて変調された信号に基づいて、走査ビーム12Y、12M、12C、12Kを対応する感光ドラム1Y、1M、1C、1K上にそれぞれ照射する。これにより、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に各色の静電潜像が形成される。ここで、各色の静電潜像は、後に現像されたトナー像が中間転写ベルト14上で重ね合わせて転写され、当該中間転写ベルト14上にマルチカラー画像が形成されるように、予め定められたタイミングに各感光ドラム上に形成される。走査ビーム12Y、12M、12C、12Kを用いて形成された静電潜像は、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの回転に伴って、現像ローラ5Y、5M、5C、5Kと感光ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間のニップ部へ搬送される。当該ニップ部において、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の静電潜像は、不図示の電源から負極性の所定の現像バイアスを印加された現像ローラ5Y、5M、5C、5Kによって、反転現像される。これにより、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に、Y色、M色、C色、K色のトナー像がそれぞれ形成される。
【0021】
画像形成部SY(第1ステーション)において感光ドラム1Y上に形成されたY色のトナー像は、感光ドラム1Yの回転に伴って一次転写ニップ部23Yへ搬送される。このY色のトナー像は、一次転写ニップ部23Yにおいて、上述のように感光ドラム1Yから中間転写ベルト14上に転写される。中間転写ベルト14上に転写されたY色のトナー像は、中間転写ベルト14の周面の移動に伴って搬送される。中間転写ベルト14上のY色のトナー像の移動に同期して、第2〜第4ステーションにおいて形成されたM色、C色、K色のトナー像が、感光ドラム1M、1C、1Kからそれぞれ当該Y色のトナー像の上に重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト14の表面に4色から成るマルチカラーのトナー像が形成される。
【0022】
一方、中間転写ベルト14上に形成されたトナー像を転写すべき記録材Pは、給紙カセット15から給紙及び搬送される。記録材Pは、半月状の給紙ローラ16によって給紙カセット15から搬送路上に給紙される。その際、給紙カセット15に積載されている複数の記録材のうち、分離ローラ17によって1枚のみ分離される。分離された記録材Pは、搬送ローラ18によって、レジストローラ19の位置まで搬送路上を搬送されて、そこで一時的に停止する。その後、中間転写ベルト14上に形成されたマルチカラーのトナー像が二次転写ニップ部に到達するタイミングに記録材Pが当該二次転写ニップ部に供給されるタイミングに、レジストローラ19による記録材Pの搬送が再開される。二次転写ニップ部において、上述のように、中間転写ベルト14上のトナー像が記録材P上に二次転写される。トナー像が転写された転写材Pは、中間転写ベルト14から分離され、定着装置21に送られる。定着装置21は、定着ローラ21aと加圧ローラ21bとを備える。定着装置21において、記録材Pは、定着ローラ21a及び加圧ローラ21bによって加熱及び加圧される。これにより、記録材Pの表面にトナー像は溶融固着され、当該表面に定着する。以上により、記録材P上にマルチカラー画像が形成される。
【0023】
一次転写後に感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に付着した残トナーは、ファーブラシ、ブレード等を備えるクリーニング装置9Y、9M、9C、9Kによって除去される。また、二次転写後に中間転写ベルト14上に付着した残トナーは、ブレード、ファーブラシ、ウェブ等を備える中間転写ベルトクリーニング装置22によって除去される。除去されたトナーは不図示の廃トナー容器内に回収される。あるいは、二次転写後の残トナーについては、通常とは逆極性に帯電させることによって、感光ドラムに静電的に回収してもよい。以下では、ベタ画像の静電潜像を形成した場合の感光ドラムの表面電位をVL(明部電位)とし、表面電位がVd(暗部電位)からVL側に変化することを「電位が下がる」と表現する。
【0024】
<ゴースト発生のメカニズム>
次に、本実施形態において抑制(低減)すべき、カラー画像形成エンジン部401で形成される画像にゴーストが発生するメカニズムについて説明する。図2は、画像形成部SC(第3ステーション)において、感光ドラム1C上にベタ画像の静電潜像201を形成した場合を一例として示している。ここで、感光ドラム1Cは、その表面全体が予め一定の暗部電位Vd(例えば、−500V程度)に帯電している。画像形成部SCにおいて、図2の200aに示すように、感光ドラム1C上の所定の小領域にベタ画像の静電潜像201を形成すると、点線部202における表面電位は図2の200bのように変化する。即ち、感光ドラム1C上でベタ画像の静電潜像201が存在する領域の表面電位はVdからVL(例えば、−120V程度)に変化し、それ以外の領域の表面電位はVdのままである。
【0025】
図2の200cは、この静電潜像201が現像された後、感光ドラム1Cの表面の点線部202が、一次転写ニップ部23Cに到達した状態を示している。この状態で、一次転写ニップ部23Cにおいて、点線部202の領域211は、中間転写ベルト14のみを介して、一次転写ローラ4C側から一次転写バイアスを印加される。これにより、領域211では、中間転写ベルト14を介して、一次転写ローラ4Cから感光ドラム1Cの表面に一次転写電流が直接流れ込むことによって、感光ドラム1Cの表面電位が+極性側の−200V程度にまでシフトする。一方、点線部202の領域212は、トナー像201と中間転写ベルト14とを介して、一次転写ローラ4C側から一次転写バイアスを印加される。ここで、領域212では、表面電位がVdからVLに既にシフトしており、かつ、トナー像がインピーダンス成分となる。このため、領域212では、領域211と比較して、一次転写ローラ4Cから感光ドラム1Cの表面に流れ込む一次転写電流の量が少ない。従って、領域212における表面電位の+極性側へのシフトの度合いは領域211よりも小さく、領域212の表面電位は−70V程度となる。即ち、一次転写ニップ部23Cの通過後の、点線部202における表面電位は、図2の200dに示すように領域211と領域212とで異なる表面電位に変化する。
【0026】
次に、中間転写ベルト14の周面の移動方向に対して画像形成部SCよりも上流側にある、第1及び第2ステーション(画像形成部SY、SM)において、それぞれ感光ドラム1Y、1M上にベタ画像のトナー像を形成する場合を想定する。この場合に、感光ドラム1Y、1M上のトナー像が一次転写ニップ部23Y、23Mにおいて中間転写ベルト14上に重ねて一次転写されて、中間転写ベルト14上に二次色のトナー像が形成される。また、この二次色のトナー像は、中間転写ベルト14の周面の移動により、上流側の一次転写ニップ部23Y、23Mから第3ステーションの一次転写ニップ部23Cに到達する。
【0027】
図3は、第3ステーションの感光ドラム1C上に画像を形成していない場合(即ち、ベタ白画像を形成している場合)における、主走査方向の断面図(300a)と主走査方向の表面電位の変化の様子(300b〜d)を示している。図3の300aは、第1及び第2ステーションで中間転写ベルト14上にそれぞれ形成された、Y色及びM色のベタ画像のトナー像301Y及び302Mを含む二次色のトナー像301が、第3ステーションの一次転写ニップ部23Cに到達した状態を示している。一次転写ニップ部23Cにおいて、感光ドラム1Cの表面の領域311は、中間転写ベルト14のみを介して一次転写ローラ4C側から一次転写バイアスを印加される。一方で、感光ドラム1Cの表面の領域312は、二次色のトナー像301と中間転写ベルト14とを介して、一次転写ローラ4C側から一次転写バイアスを印加される。
【0028】
図3の300b、300cは、中間転写ベルト14上に形成された二次色のトナー像301が一次転写ニップ部23Cを通過する際に、感光ドラム1C上でトナー像301が接する部分の表面電位を示している。また、300b、300cは、それぞれ、トナー像301が一次転写ニップ部23Cを通過する以前及び以後における、感光ドラム1Cの表面電位である。
【0029】
トナー像301が一次転写ニップ部23Cを通過する以前は、感光ドラム1Cの表面は均一に帯電されているため、300bに示すように表面電位は均一である。トナー像301が一次転写ニップ部23C通過する際に、領域311では、中間転写ベルト14のみを介して一次転写ローラ4C側から一次転写バイアスが印加される。これにより、領域311における表面電位は−200V程度にまでシフトする。一方で、領域312では、トナー像301がインピーダンス成分となるため、一次転写ローラ4C側から感光ドラム1Cへ流れ込む一次転写電流の量が、領域311と比較して少なくなる。さらに、トナー像301はY色及びM色の2色のトナー像301Y、301Mから成るため、単色のトナー像の場合と比較して、領域312におけるトナー載り量が多くなり、当該トナー像によるインピーダンスも高くなる。その結果、単色のトナー像が中間転写ベルト14上に形成されている場合と比較して、感光ドラム1C側に流れ込む一次転写電流の量が少ないため、領域312における表面電位は、300cに示すように−400V程度となる。
【0030】
図4の400aは、上流のステーションで形成されるトナー像に対応する画像データと、当該トナー像が下流のステーションの一次転写ニップ部を通過した後の、当該下流のステーションにおける感光ドラムの表面電位との関係を表す。当該下流のステーションにおいては、感光ドラムの表面電位が予めVd(−500V)に帯電され、かつ、所定の一次転写バイアスが印加されている。ここで、「上流のステーション」及び「下流のステーション」とは、中間転写ベルト14の周面の移動方向に対して相対的に上流側及び下流側に配置された画像形成ステーションをそれぞれ意味する。また、400aにおける横軸の値が100%を超える場合は、2色以上から成るトナー像が複数のステーションによって中間転写ベルト14上に形成される場合に相当する。
【0031】
図4の400aに示すように、画像データが0%から200%までの範囲では、感光ドラムの表面電位の絶対値が徐々に増加する一方で、200%を超える範囲では、当該表面電位はほぼ飽和状態となる。上流のステーションにおいて0〜200%の画像データで形成されたトナー像は、下流のステーションにおいて、インピーダンス成分となる。これにより、一次転写電流が感光ドラムの表面に流れ込むことによって、当該感光ドラムの表面電位が低下する。これに対して、上流のステーションにおいて200%を超える画像データで形成されたトナー像は、下流のステーションにおいて、所定レベルを超える高いインピーダンス成分となる。これにより、感光ドラム表面に対して一次転写電流が流れにくい状態が生じ、感光ドラムの表面電位が飽和状態となる。
【0032】
図4の400bは、中間転写ベルト14へのトナー像の一次転写後の感光ドラムの表面電位と、当該感光ドラムを再び帯電ローラで帯電させた場合の表面電位との関係の一例を示す。図4の400bに示すように、一次転写後における感光ドラムの表面電位が絶対値でVth(300V)以下である場合、帯電ローラによる帯電によって当該感光ドラムの表面電位はVdとなる。これに対して、一次転写後の感光ドラムの表面電位が絶対値でVthを超える場合、帯電ローラによる帯電によって、当該感光ドラムの表面電位はVdよりも絶対値で高い電位(例えば、−520V程度)となる。
【0033】
この場合、例えば、図2の200dに示すように、一次転写後の感光ドラムの表面電位が、領域211、212の両方において絶対値でVth以下である場合、領域211、212の両方とも表面電位が均一の電位となるように帯電ローラによって帯電される。一方で、図3の300cに示すように、一次転写後の感光ドラムの表面電位が、絶対値でVthを超えている領域312(−400V)では、帯電ローラによる帯電後の感光ドラムの表面電位は、絶対値でVdを超える値(−520V)に変化する。図3の300dは、帯電ローラによる帯電後の感光ドラムの表面電位を示している。このように、一次転写後の感光ドラムにおける表面電位に依存して、領域312における帯電後の表面電位と領域311における帯電後の表面電位との間で約20Vの表面電位差が生じる結果となる。
【0034】
図5の500aは、表面電位が−520V及び−500Vにそれぞれ帯電した感光ドラムに対して、0〜255decの画像データに応じた露光を行った場合の、露光後の感光ドラムの表面電位のグラフ501、502を示している。なお、図5の500b、500cは、500aの一部を拡大したものである。図5の500aに示すように、例えば、60H(96dec)の画像データを用いてハーフトーンの露光を行った場合、帯電後の20Vの表面電位差に起因して、露光後の表面電位にも10V程度の電位差が残存することがわかる。即ち、露光前の表面電位が−520Vである領域312における露光後の表面電位は、露光前の表面電位が−500Vである領域311における露光後の表面電位と比較して、10V程度、Vd側にシフトした値となる。その結果、現像によって領域312に形成される画像の濃度は、領域311に形成される画像の濃度と比較して薄くなってしまう。
【0035】
次に、図6を参照して、このような場合に形成される画像について説明する。図6には、記録材に形成すべき画像600aと、画像600aを記録材に形成する場合にゴーストが発生した画像600bとを示している。画像600aは、感光ドラムの副走査方向に対して上流側に、第1及び第2ステーションにおいて形成される二次色(赤色)のベタ画像601を含み、下流側に、第3ステーションにおいて形成されるC色のハーフトーン画像602を含む画像である。例えば、カラー画像形成エンジン部401において、画像600aを記録材に形成する場合に、感光ドラム上でベタ画像601が形成された領域における露光後の表面電位が図5の501に示す値になると、記録材には画像600bが形成され得る。即ち、画像600bのように、ベタ画像601が形成された位置から、副走査方向に感光ドラムの1周の長さ(周長)だけ離れた位置に、ベタ画像601と同一の形状を有するC色の薄い画像603がゴーストとして現れることがある。このゴーストは、下流の各着目ステーション(第2〜第4ステーション)に対して上流側に位置する1つ以上にステーションにおいて形成された画像に起因して、当該着目ステーションにおいて引き起こされる性質を有する現象である。従って、カラー画像形成装置において特有の現象といえる。
【0036】
上述のように、上流のステーションで中間転写ベルト14上に形成された画像(トナー像)が下流のステーションの一次転写ニップ部を通過した後に、当該下流のステーションの感光ドラムの表面電位の絶対値が閾値Vthよりも低下しない場合がある。このような場合、形成される画像にはゴーストが発生する可能性がある。ただし、例えば、第1及び第2ステーションで形成された二次色のベタ画像601に重ねて、第3ステーションにおいても画像を形成する場合、当該第3ステーションの感光ドラム1Cは、画像形成のために露光される。これにより、感光ドラム1Cにおける露光後の表面電位の絶対値は、閾値Vthよりも低くなる可能性がある。その場合、その後の帯電処理において感光ドラム1Cの表面電位はVdに帯電されるため、ゴーストの発生は回避される。例えば、図5の500aを参照すると、第3ステーションにおいて88dec以上の画像データで感光ドラム1Cの表面を露光した場合、露光後の感光ドラム1Cの表面電位は、絶対値で閾値Vth(300V)以下になり、ゴーストは発生しないことになる。
【0037】
<ゴースト抑制方法>
上述したゴーストの発生メカニズムを考慮すると、カラー画像形成エンジン部401において形成される画像にゴーストが発生するか否かは、以下の3つの条件に基づいて予測可能である。ここで、図7は、上流のステーションの感光ドラム上に形成された画像Aが、中間転写ベルト14上に転写され、矢印701の方向に搬送される様子を、700a、700b、700cの順に時系列に示している。
(条件1)
上流のステーションで形成される画像(図7の画像A)についての画像データの総和(トナー載り量に相当)。
(条件2)
上流のステーションで形成される画像Aが、下流の着目ステーションの一次転写ニップ部に到達した際に、当該一次転写ニップ部において画像Aが接する感光ドラム表面上の位置に形成されている画像(図7の画像B)の画像データ。
(条件3)
下流の着目ステーションの一次転写ニップ部において画像Aが接する感光ドラム表面上の位置に対して、当該感光ドラムの次の周回で形成される画像(図7の画像C)の画像データ。
【0038】
本実施形態では、画像処理部402で生成されるビットマップ画像データを参照して、形成される画像に発生するゴーストについて、上記の条件1〜3に基づいて、その色、位置、及び発生レベルを予測する。さらに、当該予測結果に基づいて、ゴーストが低減されるよう当該ビットマップ画像データを予め補正するとともに、補正後のビットマップ画像データを用いてカラー画像形成エンジン部401において記録材に画像を形成することを特徴とする。
【0039】
次に、本実施形態におけるゴーストを抑制する方法を、図8に示す画像処理部402の構成を参照しながら説明する。図8において、画像生成部403は、ホストコンピュータ等の外部装置から受信される印刷データに基づいて、印刷処理が可能なビットマップ画像データを生成する。印刷データは、通常、文字、グラフィックス、イメージ等のデータについての描画命令を含むデータである。印刷データは、一般に、PDL(Page Description Language)と称される、ビットマップ画像データを作成するためのプリンタ記述言語で作成される。画像生成部403は、受信した印刷データを解析し、ラスタライズ処理を行うことによって、R、G、B各色のビットマップ画像データを生成する。なお、画像生成部403は、ホストコンピュータ等の外部装置から受信した印刷データの代わりに、画像形成装置100内に備えるスキャナ等の読取部で原稿から読み取った画像データを取り扱ってもよい。
【0040】
色変換部404は、R、G、Bのビットマップ画像データをカラー画像形成エンジン部401のトナー色に合わせて、Y、M、C、Kのビットマップ画像データに変換するとともに、変換後の各色のデータをイメージバッファ405に一時的に格納する。イメージバッファ405は、1ページ分のビットマップ画像データを格納するページメモリである。また、イメージバッファ405は、後述するゴースト抑制処理のために必要な複数ライン分の画像データを一時的に記憶するバンドメモリであってもよい。
【0041】
ゴースト抑制部406は、本実施形態に係るゴースト抑制処理を実行する。上述のように、形成される画像にゴーストが発生し得るステーションは、第1ステーションよりも下流側の第2〜第4ステーションである。このため、ゴースト抑制部406は、第1ステーションに対応するY色の画像データに対してゴースト抑制処理を行わず、第2〜第4ステーションに対応するM色、C色、K色の画像データに対してのみゴースト抑制処理を行う。
【0042】
ゴーストの発生レベルは、上記の3つの条件から予測することができる。例えば、図7において、画像Aは、Y色についてのFFHの画像データとM色についてのFFHの画像データとで形成される、200%の画像データに対応する画像、画像Bは、00H(ベタ白)の画像データで形成されるシアン画像とする。また、画像Cは、30H(48dec)の画像データで形成されるシアン画像とする。この場合に、第3ステーション(C色)に発生し得るゴーストは、以下のように予測可能である。
【0043】
まず、図4の400aを参照すると、第3ステーションにおける一次転写後、即ち、200%の画像データの画像Aが第3ステーションの一次転写ニップ部23Cを通過した後、当該第3ステーションの感光ドラム1Cの表面電位は−400Vとなる。また、図4の400bを参照すると、一次転写後の感光ドラム1Cの表面電位が−400Vの場合、感光ドラム1Cの表面電位は帯電ローラ2Cによる帯電によって−520Vとなる。ここで、図5の500bは、500aの一部を拡大したものである。500bを参照すると、−520Vに帯電された感光ドラム表面の領域に、画像Cの画像データである48decで露光を行った場合、露光後の当該領域の表面電位は、Vdに帯電された領域の表面電位(基準電位)よりも絶対値で16V高くなる。感光ドラム上におけるこの16Vの表面電位差を低減するためには、500bに示すように、−520Vに帯電された領域に対して、54decの画像データで露光する必要がある。従って、画像Cの画像データは、元の画像の画像データ48decを、補正量として6dec増加させた54decに補正されればよいことがわかる。
【0044】
次に、例えば、図7において、画像Aは、Y色についてのFFHの画像データとM色についてのFFHの画像データとで形成される、200%の画像データに対応する画像、画像Bは、28H(40dec)の画像データで形成されるシアン画像とする。また、画像Cは、40H(64dec)の画像データで形成されるシアン画像とする。この場合に、第3ステーション(C色)に発生し得るゴーストは、以下のように予測可能である。
【0045】
まず、図4の400aを参照すると、第3ステーションの感光ドラムの表面電位がVd(−500V)である場合に、200%の画像データの画像Aが第3ステーションの一次転写ニップ部23Cを通過すると、感光ドラム1Cの表面電位は−400Vとなる。即ち、画像Aが200%の画像データで形成されている場合、一次転写後の感光ドラム1Cの表面電位の絶対値は、その80%に減少することになる。一方で、図5の500aを参照すると、16%(40dec)の画像Bについての露光後において、感光ドラム1Cの表面電位は−400Vとなる。従って、第3ステーションの一次転写ニップ部23Cを、中間転写ベルト14上の画像Aが通過する際に、画像Aの上に感光ドラム1Cから画像Bが一次転写されると、感光ドラム1Cの表面電位は−400Vの80%である−320Vに変化すると予想できる。
【0046】
上述のように、第3ステーションにおいて、一次転写後の感光ドラム1Cの表面電位が−320Vである場合、図4の400bを参照すると、感光ドラム1C上で画像Bが形成されていた領域は、次の帯電によって−510Vの表面電位に帯電される。ここで、図5には、500aを拡大した500cには、500aに示すグラフ501、502とから比例計算によってプロットしたグラフ503を示している。このグラフ503によれば、−510Vに帯電した、感光ドラム1C上の画像Bが形成されていた領域に、画像Cの画像データである64decで露光を行うと、露光後の当該領域の表面電位は、通常のVd(グラフ502)と比較して絶対値で7V高くなる。また、図5の500cによれば、この7V分の表面電位差を低減するためには、−510Vに帯電された領域について、67decの画像データで露光する必要がある。従って、画像Cの画像データは、元の画像の画像データ64decを、補正量として3dec増加させた67decに補正されればよいことがわかる。
【0047】
さらに、上述のように、画像Aが200%の画像データ、画像Bが28H(40dec)の画像データで形成される場合に、第3ステーションにおける一次転写後の感光ドラム1Cの表面電位が−320Vになるということは、以下のように考えることもできる。ここで、図4の400aを参照すると、一次転写後の表面電位−320Vに対応する画像データは、120%(305dec)である。即ち、画像Aが200%の画像データ、画像Bが28Hの画像データで形成されることは、画像Aが120%の画像データ、画像Bが00Hの画像データで形成されることと等価である。従って、画像Bの画像データが00H以外である場合にも、一次転写後の感光ドラムの表面電位を求めることにより、図4の400aの関係を利用して、画像Aの画像データを、画像Bの画像データが00Hである場合に対応するデータに変換できる。さらに、当該変換後の画像データを用いて、ゴーストを抑制するために画像データを補正することができる。
【0048】
このように、図7に示す画像A、B、Cの画像データから、ゴーストの発生を抑制するために必要な画像データの補正量を一意に決定することが可能である。本実施形態では、下流側の第2〜第4ステーションでそれぞれ用いる画像データに対して適用すべき補正量を、下流側の着目ステーションで用いる画像データと、それより上流側に位置する1つ以上のステーションで用いる画像データとから決定する。即ち、当該補正量を、即ち、上流側のステーションによって形成される画像に起因して生じる、着目ステーションにおける画像データに従った露光後の感光ドラムの表面電位と、当該画像データに対応する基準電位との差分を低減する補正量に決定する。ここで、基準電位とは、着目ステーションにおいてゴーストが生じない場合に、画像データを用いて対応する感光ドラムを露光した際の当該感光ドラムの表面電位に相当する。
【0049】
具体的には、本実施形態では、画像A、B、Cの3つの画像データをインデックスとして、当該画像データに対して補正量を対応付けた参照テーブルを予め用意する。この参照テーブルは、着目ステーションで用いる(画像B及びCの)画像データと、上流側のステーションで用いる(画像A)の画像データと、補正量とを対応付けたテーブルである。必要な補正量は、この参照テーブルを参照して決定することができる。ただし、本実施形態では、画像A、B、Cの画像データをインデックスとした3次元の参照テーブルを使用するのではなく、2つの2次元の参照テーブルを使用することにより、必要となるデータの容量を低減している。
【0050】
図9には、画像データの補正量を決定するための参照テーブル901、902を示している。参照テーブル901は、画像Bの画像データが00Hである場合に、画像データの補正量を決定するためのテーブルである。また、参照テーブル902は、画像Bの画像データが00H以外である場合に、画像Aの画像データを、画像Bの画像データが00Hである場合の画像Aの画像データに変換するためのテーブルである。
【0051】
参照テーブル901において、縦軸のインデックスは、画像A、即ち、下流の着目ステーションよりも上流側のステーションで形成される画像の画像データの総和を表す。また、横軸のインデックスは、画像C、即ち、当該下流の着目ステーションにおいて、一次転写ニップ部を画像Aが通過した後に、感光ドラムの次の周回において形成される画像の画像データを表す。本実施形態では、これら縦軸及び横軸のインデックスから参照されるパラメータを、下流の着目ステーションにおける画像形成で用いる画像データに対して、ゴーストの抑制のために適用すべき補正量に決定する。参照テーブル901において、縦軸のインデックスの最大値は、3色分のベタ画像を形成する場合の画像データの総和である765decであり、横軸のインデックスの最大値は、1色分のベタ画像を形成する場合の画像データに相当する255decである。
【0052】
例えば、上述のように、画像Aが200%の画像データ、画像Bが00Hの画像データ、画像Cが30H(48dec)の画像データでそれぞれ形成される場合、画像Aの画像データの総和は510dec(=FFH+FFH)である。この場合に、参照テーブル901を用いると、縦軸について510dec、横軸について48decに対応する値として、6decが画像データの補正量に決定される。
【0053】
参照テーブル902において、縦軸のインデックスは、画像A、即ち、下流の着目ステーションよりも上流側のステーションで形成される画像の画像データの総和を表す。また、横軸のインデックスは、画像B、即ち、当該下流の着目ステーションで形成される画像であって、画像Aに対して重ねて転写される画像Bの画像データを表す。本実施形態では、これら縦軸及び横軸のインデックスから参照されるパラメータを、画像Bの画像データを00Hとした場合に対応する、変換後の画像Aの画像データに決定する。参照テーブル902において、縦軸及び横軸のインデックスの最大値は、参照テーブル901と同様である。
【0054】
例えば、上述のように、画像Aが200%の画像データ、画像Bが28Hの画像データ、画像Cが40Hの画像データでそれぞれ形成される場合、まず、参照テーブル902を用いて、画像Aの画像データは305decに変換される。次に、参照テーブル901を用いて、画像Aの画像データとして305decと、画像Cの画像データ40Hとに対応する値として、3decが画像データの補正量に決定される。
【0055】
上述のゴーストは、上流のステーションで中間転写ベルト14に転写された、ゴーストの発生要因となる画像が、下流のステーションの一次転写ニップ部を通過後、当該下流のステーションの感光ドラムが1回転した段階で、中間転写ベルト14上に現れる。このため、上述の画像データの補正は、第2〜第4ステーションのM色、C色、K色の画像データのうち、副走査方向において、画像の先端から感光ドラムの周長dの範囲に属する画素の画像データに対しては行う必要がない。即ち、補正量の決定及び当該補正量を用いた画像データの補正は、中間転写ベルト14の周面の移動方向に対して、形成される画像の先端から、感光ドラムの周長dに相当する画素数分だけ後方の画素よりさらに後方の画素について行えばよい。これにより、補正量の決定及び当該補正量を用いた画像データの補正に要する処理の負荷を低減することが可能である。
【0056】
参照テーブル901、902は、2次元の配列として表現できる。以下では、参照テーブル901により得られる補正量をG(X1, Y1)、参照テーブル902により得られる値をH(X2, Y2)と表す。当該補正量は、下流のステーション(第1の画像形成手段)で用いる画像データに対して適用すべき補正量に相当する。ただし、X1及びX2は参照テーブル901、902における横軸のインデックスを表し、Y1及びY2は参照テーブル901、902における縦軸のインデックスを表す。また、ビットマップ画像データに含まれる各画素値も2次元の配列として表現できる。以下では、画像に左上(主走査方向及び副走査方向に対して逆方向)の端部の画素を原点(0, 0)とする。また、Y色、M色、C色、K色の各色のビットマップ画像データに含まれる各画素の画像データを、それぞれY(x, y)、M(x, y)、C(x, y)、K(x, y)とする。ただし、0≦x≦W、0≦y≦Lであり、Wは画像の副走査方向(横方向)の画素数、Lは画像の主走査方向(縦方向)の画素数を表す。
【0057】
ゴースト抑制部406は、画素(x, y)について、画像データY(x, y)、M(x, y)、C(x, y)、K(x, y)で表される画像データを、以下の式で表される画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)に補正する。ここで、dを感光ドラムの1周の長さ(周長)に相当する画素数とする。この場合、上述のように、副走査方向において、画像の先端から感光ドラムの1周長の範囲(0≦y<d)に含まれる画素についてはゴーストは発生しない。このため、ゴースト抑制部406は、当該範囲に含まれる画素については、次式のように画像データの補正を行わない。
Y'(x, y)=Y(x, y)
M'(x, y)=M(x, y)
C'(x, y)=C(x, y)
K'(x, y)=K(x, y) (0≦x≦W, 0≦y<d) (1)
【0058】
一方で、副走査方向において、画像の先端から感光ドラムの1周長を超える範囲(d≦y≦L)に含まれる画素についてはゴーストが発生し得る。このため、ゴースト抑制部406は、当該範囲に含まれる画素について、次式のように画像データの補正を行う。ただし、中間転写ベルト14の周面の移動方向に対して最も上流側の第1ステーション(Y色)に対応する画素については、ゴーストは発生しないため、補正を行わない。
Y'(x, y)=Y(x, y)
M'(x, y)=M(x, y)+G(M(x, y), HM(x, y-d))
C'(x, y)=C(x, y)+G(C(x, y), HC(x, y-d))
K'(x, y)=K(x, y)+G(K(x, y), HK(x, y-d)) (0≦x≦W, d≦y≦L) (2)
ここで、
HM(a, b)=H(M(a, b), Y(a, b))
HC(a, b)=H(C(a, b), Y(a, b)+M(a, b))
HK(a, b)=H(K(a, b), Y(a, b)+M(a, b)+C(a, b)) (3)
である。
【0059】
式(2)及び(3)において、画素(x, y)は第1の画素に相当し、画素(x, y-d)は第2の画素に相当する。補正量G(X1, Y1)は、着目ステーションで用いる画素(x, y)の画像データと、当該着目ステーションより上流側の全てのステーションで用いる、画素(x, y)より下流側の画素(x, y-d)の画像データとから決定される。さらに、決定された補正量で、着目ステーションの画像データが補正される。ここで、着目ステーションは第1の画像形成手段、当該着目ステーションより上流側の全てのステーションは第2の画像形成手段の一例に相当する。なお、通常、感光ドラムの周長はステーション(色)によらず同一であるため、ここでは全ての色についてdを同一としているが、dは色ごとに異なる値であってもよい。その場合、式(1)及び(2)において、色ごとに異なるdを用いればよい。
【0060】
<画像形成処理の手順>
次に、図10を参照して、画像形成装置100のゴースト抑制部406が実行する本実施形態に係るゴースト抑制処理を含む、画像形成処理の手順について説明する。画像形成装置100がホストコンピュータ等から印刷データを受信すると、画像処理部402内で当該印刷データを用いた画像処理が開始される。S101で、画像生成部403は、受信した印刷データに基づいて、R、G、Bのビットマップ画像データを生成する。次に、色変換部404は、S102で、生成されたR、G、Bのビットマップ画像データをY、M、C、Kのビットマップ画像データY(x, y)、M(x, y)、C(x, y)、K(x, y)に変換する。さらに、S103で、変換後のデータをイメージバッファ405に格納する。ゴースト抑制部406は、イメージバッファ405に格納されたビットマップ画像データに対して、座標(0,0)の画素から座標(W,L)の画素まで順に、上述のゴースト抑制処理を実行する。まず、S104で、ゴースト抑制部406は、ゴースト抑制処理を適用する画素を示す座標(変数)x及びyを、x=0、y=0として初期化する。ここで、x及びyは、着目画素についての主走査方向及び副走査方向の位置を表す。
【0061】
次に、S105で、ゴースト抑制部406は、変数yを参照し、0≦y<dが満たされるか否かを判定することにより、着目画素が副走査方向に対して0≦y<dの範囲内の画素であるか否かを判定する。ここで、0≦y<dが満たされる場合、処理をS106へ進める。当該範囲内の画素についてはゴーストが発生しないため、S106で、ゴースト抑制部406は式(1)を用い、画像データに対して補正を行わない。即ち、ゴースト抑制部406は、Y(x, y)、M(x, y)、C(x, y)、K(x, y)をそのままY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)とする。一方で、S105で、ゴースト抑制部406は、0≦y<dが満たされない場合、処理をS107へ進める。当該範囲内の画素についてはゴーストが発生し得るため、S107で、ゴースト抑制部406は、式(2)を用いて、補正後のビットマップ画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)を得る。次に、S108で、ゴースト抑制部406は、S106又はS107で得られたビットマップ画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)を、それぞれハーフトーン処理部407Y、407M、407C、407Kへ送る。
【0062】
次に、S109で、ハーフトーン処理部407Y、407M、407C、407Kは、それぞれ、入力されたビットマップ画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)に対して、多値ディザ等のハーフトーン処理を施す。さらに、S110で、ハーフトーン処理部407Y、407M、407C、407Kは、処理後のデータをそれぞれ転送用バッファ408Y、408M、408C、408Kに格納する。
【0063】
S105〜S110の処理は、ビットマップ画像データの主走査方向(x方向)における、1主走査ライン上の画素について順次実行される。S111で、画像処理部402は、変数x=Wが満たされるか否かを判定して、1主走査ライン上の全ての画素についてS105〜S110の処理が終了したかを判定する。ここで、画像処理部402は、x=Wが満たされない場合、S112でxを+1増加させて、S105へ処理を移す。一方で、x=Wが満たされる場合、次の主走査ラインの最初の画素についての処理に移行するため、S113でxを0に初期化する(x=0)。また、S114で、画像処理部402は、y=Lが満たされるか否かを判定して、印刷対象の画像内における全主走査ラインについての処理が終了したか否かを判定する。ここで、画像処理部402は、y=Lが満たされないと判定した場合、全主走査ラインについての処理が終了していない。この場合、次の主走査ラインについての処理を実行すべく、画像処理部402は、yを+1増加させて、処理をS105へ戻す。一方で、y=Lが満たされると判定した場合、印刷対象の画像に含まれる全ての画素についてS105〜S110の処理が終了しているので、処理をS116へ進める。
【0064】
S116で、カラー画像形成エンジン部401は、画像形成のための初期動作を開始する。さらに、S117で、PWM処理部409Y、409M、409C、409Kは、転送用バッファ408Y、408M、408C、408Kに格納されたビットマップ画像データを、露光装置11Y、11M、11C、11Kの発光時間に変換する。さらに、PWM処理部409Y、409M、409C、409Kは、カラー画像形成エンジン部401における画像形成タイミングに同期して、当該変換後のデータをカラー画像形成エンジン部401内の露光装置11Y、11M、11C、11Kへ送信する。カラー画像形成エンジン部401は、受信したデータに基づいて、記録材に対する画像形成を実行する。以上の処理によって、記録材に対するカラー画像形成処理が終了する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、感光ドラムの周面の移動方向に対して下流側に位置する着目ステーションにおいて形成した画像に生じるゴーストを、当該着目ステーションで画像形成に用いる画像データを補正することによって低減する。具体的には、画像データに適用すべき補正量を、着目ステーションと、当該着目ステーションよりも上流側の1つ以上のステーションとでそれぞれ用いる画像データから決定する。当該補正量は、着目ステーションにおいて、ゴーストが生じない場合の露光後の感光ドラムの表面電位を基準電位として、ゴーストが生じた場合の露光後の感光ドラムの表面電位と当該基準電位との差分を低減する補正量に決定される。また、補正量の決定には、着目ステーションで用いる着目画素の画像データと、当該着目画素に対して、感光ドラムの周長に相当する画素数分、下流側の画素について、上流側のステーションの画像データを用いる。このようにして決定した補正量で補正した画像データで画像形成を行うことで、本実施形態では、前露光装置を使用することなく、ゴーストの発生を簡易に低減可能である。
【0066】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、1ページの画像における何れかの画素に起因して、同一ページ内の他の画素においてゴーストが発生する場合について、ゴーストの抑制処理について説明した。しかし、複数ページの画像を連続的に記録材に印刷する印刷ジョブを実行する場合には、1ページの画像の何れかの画素に起因して、次のページ内の画素においてゴーストが発生する可能性がある。そこで、第2の実施形態では、このように複数ページの画像を連続的に記録材に印刷する場合において起こり得るゴーストの抑制処理について説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0067】
図11は、2枚の記録材に対して2ページ分の画像を連続的に印刷する場合に、1ページ目の画像1101に起因して2ページ目の画像1102にゴーストが発生する様子を示している。なお、1121は赤色のベタ画像、1123はC色のハーフトーン画像、1122はハーフトーン画像1123内に表れる画像1121のゴーストである。図11では、中間転写ベルト14上に、2ページ分の画像(トナー像)11011、1102が連続的に形成された状態を示しており、副走査方向における画像1101の後端と画像1102の先端との距離(画像間距離)をhとし、h<dが成立している。即ち、各感光ドラムの1周分の長さよりも、画像間距離hの方が短い。この場合、図11に示すように、1ページ目の画像1101の後端付近に形成される画像1121が、2ページ目の画像1102の先端付近の領域に、ゴースト1122として現れることがある。これは、連続する画像間の距離が短い場合に、感光ドラムの表面においてゴーストの原因となり得る画像1101が形成された領域に、次の周回において次のページの画像が形成されることによって起こり得る。本実施形態では、このように連続的に複数の画像を形成する場合に、2枚目以降の画像に起こり得るゴーストを抑制することを特徴とする。
【0068】
本実施形態において、画像形成装置100の構成、及びその画像処理部402の構成は、第1の実施形態における図1及び図8と同様である。本実施形態では、イメージバッファ405及び転送用バッファ408Y、408M、408C、408Kには、複数ページ分のビットマップ画像データが格納される。この場合に、ゴースト抑制部406は、複数の画像を連続的に形成する場合の2ページ目以降の画像の形成処理において、当該画像とその直前のページの画像との間の距離が、感光ドラムの周長dよりも短い場合に、以下の処理を実行する。
【0069】
複数ページの画像を印刷する印刷ジョブにおける、1枚目の画像の画像データに含まれる各画素値をY1(x1, y1)、M1(x1, y1)、C1(x1, y1)、K1(x1, y1)とする。また、2枚目の画像の画像データに含まれる各画素値をY2(x2, y2)、M2(x2, y2)、C2(x2, y2)、K2(x2, y2)とする。ただし、0≦x1≦W、0≦y1≦L、0≦x2≦W、0≦y2≦Lであり、第1の実施形態と同様、Wは画像の副走査方向(横方向)の画素数、Lは画像の主走査方向(縦方向)の画素数を表す。この場合に、ゴースト抑制部406は、画像データY(x, y)、M(x, y)、C(x, y)、K(x, y)で表される全画素の画像データを、画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)に補正する。画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)は、以下の式で表される。ゴースト抑制部406は、1枚目のビットマップ画像データについては、次式に示すように、第1の実施形態と同様の処理を行う。即ち、補正後の画像データは、
Y1'(x1, y1)=Y1(x1, y1)
M1'(x1, y1)=M1(x1, y1)
C1'(x1, y1)=C1(x1, y1)
K1'(x1, y1)=K1(x1, y1) (0≦x1≦W, 0≦y1<d) (4)
と、
Y1'(x1, y1)=Y1(x1, y1)
M1'(x1, y1)=M1(x1, y1)+G(M1(x1, y1), HM(x1, y1-d))
C1'(x1, y1)=C1(x1, y1)+G(C1(x1, y1), HC(x1, y1-d))
K1'(x1, y1)=K1(x1, y1)+G(K1(x1, y1), HK(x1, y1-d)) (0≦x1≦W, d≦y1≦L) (5)
とによって表される。ここで、
HM(a, b)=H(M1(a, b), Y1(a, b))
HC(a, b)=H(C1(a, b), Y1(a, b)+M1(a, b))
HK(a, b)=H(K1(a, b), Y1(a, b)+M1(a, b)+C1(a, b)) (6)
である。
【0070】
一方で、2枚目のビットマップ画像データY2(x2, y2)、M2(x2, y2)、C2(x2, y2)、K2(x2, y2)についての補正後のデータY2'(x2, y2)、M2'(x2, y2)、C2'(x2, y2)、K2'(x2, y2)は、次式によって得られる。即ち、補正後の画像データは、
Y2'(x2, y2)=Y2(x2, y2)
M2'(x2, y2)=M2(x2, y2)+G(M2(x2,y2),IM1(x2,y2))
C2'(x2, y2)=C2(x2, y2)+G(C2(x2,y2),IC1(x2,y2))
K2'(x2, y2)=K2(x2, y2)+G(K2(x2,y2),IK1(x2,y2)) (0≦x2≦W, 0≦y2≦d-h) (7)
と、
Y2'(x1, y1)=Y2(x1, y1)
M2'(x2, y2)=M2(x2, y2)
C2'(x2, y2)=C2(x2, y2)
K2'(x2, y2)=K2(x2, y2) (0≦x2≦W, d-h<y2<d) (8)
と、
Y2'(x1, y1)=Y2(x2, y2)
M2'(x1, y1)=M2(x2, y2)+G(M2(x2, y2), IM2(x2, y2-d))
C2'(x2, y2)=C2(x2, y2)+G(C2(x2, y2), IC2(x2, y2-d))
K2'(x2, y2)=K2(x2, y2)+G(K2(x2, y2), IK2(x2, y2-d)) (0≦x2≦W, d≦y2≦L) (9)
とによって表される。ここで、
IM1(a, b)=H(M1(a, L-{d-(h+b)}),Y1(a, L-{d-(h+b)})
IC1(a, b)=H(C1(a, L-{d-(h+b)}),Y1(a, L-{d-(h+b)})+M1(a, L-{d-(h+b)}))
IK1(a, b)=H(K1(a, b),Y1(a, L-{d-(h+b)})+M1(a, L-{d-(h+b)})+C1(a, L-{d-(h+b)}))
IM2(a, b)=H(M2(a, b),Y2(a, b))
IC2(a, b)=H(C2(a, b),Y2(a, b)+M2(a, b))
IK2(a, b)=H(K2(a, b),Y2(a, b)+M2(a, b)+C2(a, b)) (10)
である。ただし、hは、1枚目の画像と2枚目の画像との間の距離に相当する画素数である。
【0071】
このように、2枚目の画像内において、1枚目の画像に起因してゴーストが発生し得る領域は、当該2枚目の画像の副走査方向における先端から距離(d−h)の範囲(0≦y2≦d−h)である。従って、本実施形態では、当該範囲に属する画素の画像データに対するゴースト抑制処理を、1枚目の画像のビットマップ画像に基づいて実行する。なお、1枚目の画像内において、2枚目の画像にゴーストを発生させ得る画素が含まれる領域は、当該1枚目の画像の副走査方向における後端から距離(d−h)の範囲(L−(d−h)≦y1≦L)である。
【0072】
一方で、2枚目の画像内において、副走査方向における(d−h<y2<d)の範囲では、ゴーストが発生する可能性がないので、画像データの補正を行わない。また、2枚目の画像内における(d≦y2≦L)の範囲においては、同一ページの他の画素に起因したゴーストが、1枚目と同様に発生し得る。このため、1枚目の場合(第1の実施形態)と同様に、ビットマップ画像データを補正する。3枚目以降の画像については、直前のページの画像のビットマップ画像データを用いて、上記の2枚目の画像について行ったゴースト抑制処理と同様の処理を実行すればよい。
【0073】
なお、例えば、1枚目の画像と2枚目の画像との間を00Hの画素で埋めることによって、当該1枚目の画像と当該2枚目の画像とを1枚の画像と考えて、当該画像に対して第1の実施形態と同様の処理を行うことによっても、ゴーストを抑制可能である。
【0074】
<画像形成処理の手順>
次に、図12A及び図12Bを参照して、画像形成装置100のゴースト抑制部406が実行する本実施形態に係るゴースト抑制処理を含む、画像形成処理の手順について説明する。同図において、第1の実施形態と同様の処理を実行するステップについては、図10と同一の参照符号を付している。
【0075】
画像形成装置100がホストコンピュータ等から印刷データを受信すると、画像処理部402内で当該印刷データを用いた画像処理が開始される。本実施形態では、当該印刷データとして、複数ページの画像を記録材に印刷するためのデータが含まれるため、処理中のビットマップ画像データのページ番号を示す変数nを導入する。S201で、画像処理部402は、1ページ目を表す1に変数nを初期化する。S101〜S103では、nページ目の画像について、第1の実施形態と同様の処理が実行される。これにより、Y、M、C、Kのビットマップ画像データYn(x, y)、Mn(x, y)、Cn(x, y)、Kn(x, y)が生成され、イメージバッファ405に格納される。
【0076】
次に、S202で、ゴースト抑制部406は、イメージバッファ405に格納されたデータを参照して、形成対象の画像が1ページ目のもの(n=1)であるか、又は、形成対象の画像と直前に形成した画像との間の画像間距離hがd以上になるか否かを判定する。ここで、画像間距離hに関する判定は、当該時点において、カラー画像形成エンジン部401がいかなる段階の画像形成動作を行っているかを確認することによって実現され得る。S202で、ゴースト抑制部406は、n=1、又は、画像間距離hがd以上であると判定した場合には、処理をS104へ進める。S104〜S114では、印刷対象のnページ目の画像に含まれる全ての画素のビットマップ画像データについて、第1の実施形態と同様の処理が実行される。
【0077】
その後、S203で、画像処理部402は、カラー画像形成エンジン部401が動作中か否かを判定し、動作中であると判定した場合、処理をS117へ進める一方で、動作中ではないと判定した場合、処理をS116へ進める。S116で、カラー画像形成エンジン部401は、画像形成のための初期動作を開始する。その後、S117では、第1の実施形態と同様、転送用バッファ408Y、408M、408C、408Kに格納されたビットマップ画像データに基づいて、カラー画像形成エンジン部401において記録材に対する画像形成が実行される。
【0078】
次に、S204で、画像処理部402は、例えば、ホストコンピュータ等から受信された印刷データに、印刷すべき対象の画像用のデータが残っているか否かを確認することによって、画像形成処理を終了するか否かを判定する。ここで、画像処理部402は、印刷すべきページの画像のデータが残っている場合には、残っているページの画像を形成するために、画像形成処理を終了しないと判定し、S219でページ番号を+1増加させ、処理をS101へ戻す。一方で、印刷すべきページが残っていないと判定した場合には、画像形成処理を終了すると判定し、処理を終了する。
【0079】
(n≠1、かつ、h<dの場合の処理)
S202で、ゴースト抑制部406は、n≠1、かつ、画像間距離h<dであると判定した場合には、処理をS205へ進める。S205では、S104と同様、変数x及びyが0に初期化される。次に、S206で、ゴースト抑制部406は、着目画素についての副走査方向の位置を示す変数yを参照して、0≦y≦d−hが満たされるか否かを判定する。これにより、着目画素が、副走査方向に対して0≦y≦d−hの範囲内の画素であるか否かを判定する。ここで、0≦y≦d−hが満たされると判定した場合、処理をS207へ進める。当該範囲内の画素については、直前のページの画像に含まれる画素の画像データに起因してゴーストが発生し得る。このため、S207で、ゴースト抑制部406は、式(7)を用いて、nページ目の画像についての補正後のビットマップ画像データYn'(x, y)、Mn'(x, y)、Cn'(x, y)、Kn'(x, y)を得る。その後、処理をS211へ進める。
【0080】
S206で、ゴースト抑制部406は、変数yについて、0≦y≦d−hが満たされないと判定すると、処理をS208へ進める。S208で、ゴースト抑制部406は、変数yについて、d−h<y<dが満たされるか否かを判定することにより、着目画素が副走査方向においてd−h<y<dの範囲内の画素であるか否かを判定する。ここで、d−h<y<dが満たされると判定した場合、処理をS209へ進める。当該範囲内の画素についてはゴーストが発生しない。このため、補正前の画像データYn(x, y)、Mn(x, y)、Cn(x, y)、Kn(x, y)に対して補正を行わず、式(8)に従って、そのままYn'(x, y)、Mn'(x, y)、Cn'(x, y)、Kn'(x, y)として出力する。その後、処理をS211へ進める。
【0081】
一方で、S208で、ゴースト抑制部406は、d−h<y<dが満たされないと判定した場合、処理をS210へ進める。着目画素が副走査方向においてd≦y≦Lの範囲内の画素である場合、同一ページ内の他の画素の画像データに起因して、当該着目画素にゴーストが発生し得る。このため、S210で、ゴースト抑制部406は、式(9)を用いて、nページ目の画像についての補正後のビットマップ画像データYn'(x, y)、Mn'(x, y)、Cn'(x, y)、Kn'(x, y)を得る。その後、処理をS211へ進める。
【0082】
S211で、ゴースト抑制部406は、S207、S209又はS210で得られたビットマップ画像データYn'(x, y)、Mn'(x, y)、Cn'(x, y)、Kn'(x, y)を、それぞれハーフトーン処理部407Y、407M、407C、407Kへ送る。S212及びS213では、S109及びS110と同様に、ビットマップ画像データY'(x, y)、M'(x, y)、C'(x, y)、K'(x, y)対するハーフトーン処理が行わる。さらに、処理後のデータがそれぞれ転送用バッファ408Y、408M、408C、408Kに格納される。
【0083】
その後のS214〜S218の処理は、S111〜S115と同様である。当該処理により、ビットマップ画像データの主走査方向(x方向)における、1主走査ライン上の画素について、S206〜S213の処理が順次実行されとともに、1ページの画像内の全主走査ラインについて、S206〜S213の処理が順次実行される。S217で、画像処理部402は、y=Lが満たされると判定し、印刷対象の画像内における全主走査ラインについての処理が終了した判定すると、処理をS117へ進める。S117以降の処理は、上述のとおりである。S204で、画像処理部402は、印刷すべきページが残っていないと判定した場合には、画像形成処理を終了すると判定し、処理を終了する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のページの画像を連続して形成する場合にも、下流側の着目ステーションで形成した画像に生じ得るゴーストを、簡易な手法で低減することが可能となる。
【0085】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能であり、以下で例示する何れの変更によっても上述の実施形態と同等の効果を得ることができよう。例えば、参照テーブル901、902として、絶対水分量等の環境情報に応じて複数の参照テーブルを予め用意するとともに、カラー画像形成エンジン部401が配置された環境の検知結果に応じて適切なテーブルに切り替えて使用してもよい。また、上述の実施形態のように、第2〜第4ステーションで共通の参照テーブル901、902を使用してもよいし、ステーションごとに異なるテーブルを用意してもよい。
【0086】
上述の実施形態において、参照テーブル901、902は、図4及び図5に示したデータに基づいて作成されている。しかしながら、例えば、テストパターン画像の出力結果に基づいて、ゴーストを抑制可能な補正量を決定し、参照テーブルを作成してもよい。また、補正量は、参照テーブルから得られるのではなく、所定の換算式、又は図4及び図5に示したグラフに対応するデータを使用して、画像形成の際に画素毎に導出されてもよい。その際、予め用意されるグラフに対応するデータとして、ステーションごと、耐久枚数ごと、又は環境ごとに複数のデータが用意されてもよい。
【0087】
参照テーブル901、902は、図9に示すように考えられ得る全ての画像データを含むテーブルでなく、例えば、100%以下の画像データのように、明らかに補正が不要なインデックスに対応するデータは、省略されもよい。また、高濃度側の画像データについて、ゴーストが発生し得ず、画像データの補正が不要であるには、そのような画像データによってインデックスされるデータは、省略されてもよい。このようにして、参照テーブル901、902のサイズを低減することが可能である。
【0088】
図9に示す参照テーブル901を参照すると、第2ステーション用の画像データについて上述の実施形態におけるゴースト抑制処理を適用しても、実際にはほとんど画像データが補正されないことがわかる。従って、第2ステーション用の画像データについては、ゴースト抑制処理を適用しなくてもよく、第3ステーション以降のステーション用の画像データに対してのみ適用すればよい。これにより、ゴースト抑制処理に必要となる処理量を低減可能である。
【0089】
一般に、カラー画像形成装置では、色再現範囲や定着性の観点から、Y色、M色、C色、K色の全てのトナーを使用した場合におけるトナー載り量の最大値や、各トナー載り量の組み合わせが予め定まっている。従って、例えば、図6に示す画像Aの画像データがゴーストを発生させ得るデータである場合に、画像Bの画像データが常に00Hである場合もあり得る。このような場合には、参照テーブル902を用いた補正処理は必ずしも必要ではない。
【0090】
本発明における、画像データの補正量の決定及び当該補正量を用いた補正に関する画像処理は、画像形成装置100内ではなく、例えば、ホストコンピュータ側で実行されてもよい。この場合、当該ホストコンピュータは、本発明の画像処理装置に相当する。また、画像形成装置100は、上述の実施形態のようなインライン方式のカラー画像形成装置に限られず、例えば、1つの感光ドラムに対して複数の現像装置を備えた中間転写体方式のカラー画像形成装置であってもよい。あるいは、画像形成装置100は、記録材を静電的に吸着させて搬送する静電転写ベルト等の記録材搬送部材(回転体)上に吸着された記録材上に、複数色のトナー像を順に転写することによって画像を形成する多重転写方式の画像形成装置であってもよい。
【0091】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
像担持体と、前記像担持体の表面を画像データに従って露光することで前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤で現像することで前記像担持体の表面に画像を形成する現像手段とをそれぞれが備え、それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで記録材に形成すべき多色の画像が形成される、又は、前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで多色の画像が形成される記録材を搬送する回転体と、
前記複数の画像形成手段のうち、前記回転体の周面の移動方向に対して下流側に位置する第1の画像形成手段で用いる画像データに対して適用すべき補正量であって、前記第1の画像形成手段よりも上流側に位置する1つ以上の第2の画像形成手段によって形成される画像に起因して生じる、前記第1の画像形成手段における画像データに従った露光後の前記像担持体の表面電位と当該画像データに対応する基準電位との差分を低減する前記補正量を、前記第1及び第2の画像形成手段で用いる画像データから決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された補正量を用いて、前記第1の画像形成手段で用いる画像データを補正する補正手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
前記第1の画像形成手段で用いる第1の画素の画像データを補正するための補正量を、前記第1の画像形成手段で用いる前記第1の画素の画像データと、前記第2の画像形成手段で用いる画像データのうち、前記回転体の周面の移動方向に対して、前記第1の画素よりも前記像担持体の周長に相当する画素数分、下流側に形成される第2の画素の画像データとから決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の画像形成手段で用いる前記第1の画素の画像データと、前記第2の画像形成手段で用いる前記第2の画素の画像データと、前記第1の画像形成手段で用いる前記第1の画素の画像データを補正するための補正量とを対応付けたテーブルを予め格納した記憶手段を更に備え、
前記決定手段は、
前記記憶手段に格納された前記テーブルを参照して、前記第1の画像形成手段で用いる前記第1の画素の画像データと、前記第2の画像形成手段で用いる前記第2の画素の画像データとに対応する補正量を、決定された補正量とすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定手段及び前記補正手段は、
前記回転体の周面の移動方向に対して、形成される画像の先端から前記像担持体の周長に相当する画素数分だけ後方の画素よりもさらに後方の画素について、補正量の決定及び当該補正量を用いた画像データの補正を行うこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定手段は、
前記画像形成手段が複数ページの画像を連続して形成する場合において、前記回転体の周面における画像間の距離が前記像担持体の周長よりも短いときは、
前記移動方向に対して、当該ページの直前に形成されたページの画像の後端から、前記像担持体の周長に相当する範囲に含まれる画素について、前記第1の画像形成手段で用いる当該ページについての画像データと、前記第2の画像形成手段で用いる前記直前のページについての画像データとから補正量を決定すること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の画像形成手段は、前記複数の画像形成手段のうち、前記回転体の周面の移動方向に対して上流側から3つ目以降の画像形成手段の何れかであること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、前記像担持体の表面を画像データに従って露光することで前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤で現像することで前記像担持体の表面に画像を形成する現像手段とをそれぞれが備え、それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで記録材に形成すべき多色の画像が形成される、又は、前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで多色の画像が形成される記録材を搬送する回転体と
を備える画像形成装置で用いる画像データに対する画像処理を行う画像処理装置であって、
前記複数の画像形成手段のうち、前記回転体の周面の移動方向に対して下流側に位置する第1の画像形成手段で用いる画像データに対して適用すべき補正量であって、前記第1の画像形成手段よりも上流側に位置する1つ以上の第2の画像形成手段によって形成される画像に起因して生じる、前記第1の画像形成手段における画像データに従った露光後の前記像担持体の表面電位と当該画像データに対応する基準電位との差分を低減する前記補正量を、前記第1及び第2の画像形成手段で用いる画像データから決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された補正量を用いて、前記第1の画像形成手段で用いる画像データを補正する補正手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
像担持体と、前記像担持体の表面を画像データに従って露光することで前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤で現像することで前記像担持体の表面に画像を形成する現像手段とをそれぞれが備え、それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで記録材に形成すべき多色の画像が形成される、又は、前記複数の画像形成手段の像担持体から画像が転写されることで多色の画像が形成される記録材を搬送する回転体と
を備える画像形成装置で用いる画像データに対する画像処理方法であって、
前記複数の画像形成手段のうち、前記回転体の周面の移動方向に対して下流側に位置する第1の画像形成手段で用いる画像データに対して適用すべき補正量であって、前記第1の画像形成手段よりも上流側に位置する1つ以上の第2の画像形成手段によって形成される画像に起因して生じる、前記第1の画像形成手段における画像データに従った露光後の前記像担持体の表面電位と当該画像データに対応する基準電位との差分を低減する前記補正量を、前記第1及び第2の画像形成手段で用いる画像データから決定する決定工程と、
前記決定工程において決定された補正量を用いて、前記第1の画像形成手段で用いる画像データを補正する補正工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2012−108388(P2012−108388A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258295(P2010−258295)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】