説明

画像形成装置、画像形成システム及びプログラム

【課題】ジョブの入力に携帯端末装置を利用し、画像形成装置の状態等に基づいて、利用者により入力されたジョブを適切に処理出来るよう判断し、実行させることのできる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】携帯端末装置から受信された第1ジョブ情報に基づいたジョブが、検出された画像形成装置の状態で、実行可能か否かを判定する。第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成し、携帯端末装置に送信する。そして、携帯端末装置から第2ジョブ情報の実行を許可する信号が受信された場合に、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人に1台もしくは複数台、携帯端末装置を所有し、それら携帯端末装置を使って、様々なシーンで、様々なことを実現できるようになってきている。例えば、携帯端末装置の一例として携帯電話を考えると、国内間はもとより、海外との間でもリアルタイムで通話ができるのは勿論のこと、昨今では、Fecila(登録商標)等のICチップを利用した「お財布ケータイ」という機能により買い物の際の支払いを行ったり、携帯音楽プレーヤーとして利用したり、電子書籍の表示端末としても利用したりされるように、急速な進化を遂げている。また、リモコンのように、各種機器を制御するというような製品も存在している。
【0003】
このような機能を備えた携帯端末装置として、例えば特許文献1のように、携帯端末装置のメモリ内に保存されたドキュメントファイルを、携帯端末装置からの指示に応じて情報処理装置(画像形成装置)でプリント出力させるシステムが提案されている。このシステムによれば、携帯通信端末装置やそのユーザに対する処理や操作負担を極力少なくし、情報処理装置に指示に応じたドキュメント処理を実行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−163791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されているシステムでは、情報処理装置は携帯通信端末で作成された指示書(指示コマンド)に従って、処理を行なうだけであり、指示された内容、情報処理装置の動作状況、あるいは用紙のセット状況に応じて処理させるといったところは考慮されておらず、使い勝手が良いシステムとは言えなかった。
【0006】
また画像形成装置の一例であるデジタル複合機をユーザが利用する場合、各装置を利用するときに動作モード(ジョブの内容)を設定しなければならないという問題点があった。特に、デジタル複合機については、例えば利用者がコンビニエンスストア等に設置されている異なる機種を操作する機会等も多い。この場合、利用者は利用するデジタル複合機に不慣れな場合が多く、装置毎にどのような機能が利用可能か、更に現在の装置の状態によってどの機能が利用出来ないのか(例えばカラートナーが無くなっており、カラー印刷が行えない等)を把握するのは困難であった。
【0007】
上述した課題に鑑み、本発明の目的は、ジョブの入力に携帯端末装置を利用し、画像形成装置の状態等に基づいて、利用者により入力されたジョブを適切に処理出来るよう判断し、実行させることのできる画像形成装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、
携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置において、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信手段と、
画像形成装置の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定手段と、
前記ジョブ判定手段により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成手段と、
を備え、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置において、
前記第2ジョブ情報を前記携帯端末装置に送信する第2ジョブ情報送信手段を更に備え、
前記ジョブ実行手段は、前記携帯端末装置から第2ジョブ情報の実行を許可する信号が受信された場合に、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置において、
前記第1ジョブ情報と、前記画像形成装置の状態とに対応づけて第2ジョブ情報を記憶する記憶手段を更に有し、
前記第2ジョブ情報作成手段は、前記第1ジョブ情報と、前記画像形成装置の状態とから、前記記憶手段に基づいて第2ジョブを作成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置の状態にはカラートナーに関する情報が記憶されており、前記第2ジョブ情報には、前記カラートナーが無い場合には、単色モードとなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置の状態には用紙情報が記憶されており、前記第2ジョブ情報には、所定の用紙が無い場合には、原稿の拡大又は縮小を行うジョブが記憶されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成システムは、
携帯端末装置と、当該携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置とを含む画像形成システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
第1ジョブ情報を入力する入力手段と、
前記第1ジョブ情報を前記画像形成装置に送信する第1ジョブ情報送信手段と、
を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信手段と、
画像形成装置の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定手段と、
前記ジョブ判定手段により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成手段と、
を備え、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、
携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置に含まれるコンピュータに、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信機能と、
前記画像形成装置の状態を検出する検出機能と、
前記検出機能により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定機能と、
前記ジョブ判定機能により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成機能と、
を実現し、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯端末装置から受信された第1ジョブ情報に基づいたジョブが、検出された画像形成装置の状態で、実行可能か否かを判定する。第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成し、携帯端末装置に送信する。そして、携帯端末装置から第2ジョブ情報の実行を許可する信号が受信された場合に、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行する。
【0016】
従って、画像形成装置においてジョブを設定すること無く、携帯端末装置において画像形成装置に関するジョブ情報を入力することが可能となる。更に、当該ジョブ情報が画像形成装置の状態から実行出来ない場合であっても、適切な第2ジョブ情報を携帯端末装置に提示し、許可がされた場合には代替のジョブである第2ジョブが実行されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成システムの概略を説明するための図である。
【図2】第1実施形態におけるデジタル複合機の外観図である。
【図3】第1実施形態におけるデジタル複合機の機能構成を説明するための図である。
【図4】第1実施形態におけるジョブ情報の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態における代替ジョブテーブルの一例を示す図である。
【図6】第1実施形態における携帯端末装置の機能構成を説明するための図である。
【図7】第1実施形態における携帯端末装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】第1実施形態におけるデジタル複合機の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】第1実施形態における表示画面の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態における表示画面の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態における表示画面の一例を示す図である。
【図12】第1実施形態における表示画面の一例を示す図である。
【図13】第2実施形態におけるデジタル複合機の機能構成を説明するための図である。
【図14】第2実施形態における画像形成システムの課金制御を説明するためのフローチャートである。
【図15】第2実施形態における画像形成システムの課金制御を説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態における表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態では、一例として、画像形成装置を、デジタル複合機に適用した場合について説明する。
【0019】
[1.第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、携帯端末装置からジョブ情報を入力して画像形成装置に送信する。そして、画像形成装置は、受信されたジョブ情報に基づいてジョブが実行可能であればジョブを実行し、実行出来ない場合には適切なジョブを代替ジョブとして携帯端末装置に送信する実施形態である。
【0020】
[1.1 システム構成]
まず本発明を適用した実施形態における画像形成システム全体の構成について図1を用いて説明する。図1に示す用に、画像形成システム1は、画像形成装置であるデジタル複合機10に、デジタル複合機10にジョブ情報を送信する携帯端末装置20が含まれている。
【0021】
本実施形態において、デジタル複合機10と、携帯端末装置20とは、無線通信にて接続されている。具体的には、赤外線通信(IrDA:Infrared Data Association)、Bluetooth、非接触ICカード(例えば、Felica等)といった近距離無線通信が利用されるが、無線LAN、携帯電話網等の他の無線通信であったり、USB接続等の有線接続を利用したりしても良い。
【0022】
また、携帯端末装置20には、デジタル複合機10のジョブ情報を入力する(デジタル複合機10の動作モード等を設定する)ためのアプリケーションが利用される。このアプリケーションは、デジタル複合機10と通信を行う前に予めインストールしておいても良いし、初回利用時にインストールすることとしても良い。更に、ブラウザベースのアプリケーションが提供されており、当該ジョブ情報を入力可能なサイトにアクセスし、実行することとしても良い。
【0023】
[1.2 装置構成]
続いて、画像形成システム1に含まれる各装置の構成についての図を用いて説明する。
【0024】
[1.2.1 デジタル複合機]
まず、デジタル複合機10の構成について説明する。図2はデジタル複合機10の外観斜視図であり、図3はデジタル複合機10の機能構成図である。
【0025】
図3に示すように、デジタル複合機10は、制御部100に、画像入力部110と、画像形成部120と、画像処理部130と、画像出力部140と、通信部150と、記憶部160と、操作部170と、表示部180とが接続されている。
【0026】
制御部100は、デジタル複合機10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部160に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0027】
画像入力部110は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の光学情報を電気信号に変換するデバイスを備えたスキャナ装置等により構成されている。なお、画像入力部110は、スキャナ装置等の他にもデジタルカメラ等で撮像された画像を外部から取り込むようにしてもよいし、USBメモリや、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の記憶媒体、通信部150を介して他の端末から原稿データを入力(受信)しても良い。
【0028】
画像形成部120は、画像データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、図2の給紙トレイ132から記録用紙を給紙し、画像形成部120に記録用紙の表面に画像が形成された後に排紙トレイ134から排紙される。画像形成部120は、例えば電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成されている。
【0029】
画像処理部130は、画像データである原稿データに各種画像処理を施す機能部である。例えば、原稿データの鮮鋭化処理をしたり、色変換処理を実行したりする。
【0030】
画像出力部140は、原稿データを画像データ(電子データ)として出力する機能部である。原稿データとしては、画像入力部110から入力されたり、通信部150から受信されたりする場合があり、それらの原稿データは一度原稿データ格納領域152に記憶される。
【0031】
そして、原稿データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)や、PDF(Portable Document Format)といった画像データ(電子データ)に変換し、出力可能である。画像出力部140として、例えばデジタル複合機10に装着されたUSBメモリ等の外部記憶装置に出力してもよいし、通信部150を介して他の端末等に画像データを出力してもよい。
【0032】
通信部150は、デジタル複合機10が他の装置、端末と通信を行う為のインタフェースを提供する機能部である。例えば、Ethernetに接続可能なNIC(Network Interface Card)等により構成されている。
【0033】
特に本実施形態の場合、携帯端末装置20と通信を行う為の近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)を実現するための機能部を備えている。例えば、携帯端末装置20に内蔵されているICカード(ICタブ)を通信部150にて読み取ることにより通信を実現しても良いし、赤外線通信やBluetooth等により携帯端末装置20との通信を実現しても良い。
【0034】
記憶部160は、デジタル複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部160は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0035】
また、記憶部160には、原稿データを記憶する為の原稿データ格納領域162と、ジョブを記憶するジョブ情報164と、代替ジョブテーブル166とが記憶される。
【0036】
原稿データ格納領域162は、画像入力部110から入力された原稿データ(画像)等が記憶される領域である。
【0037】
ジョブ情報164は、デジタル複合機10が実行するジョブに関する設定情報を記憶している。なお、本実施形態におけるジョブとは、デジタル複合機10の動作モード(例えば、複写モードやFAXモード、ファイル送信モード等)や、デジタル複合機10が動作する場合の設定情報(例えば、A4の用紙に両面印刷を行う、カラーモードで原稿を読み取/記録紙に印刷する、PDF形式の画像データを出力する)、実際に出力する画像データの組み合わせといった、デジタル複合機10の動作に関する広義な意味である。
【0038】
ジョブ情報164の一例を図4に示す。記憶部160に記憶されているジョブ情報164は、部数(例えば、「10」部)と、カラーモード(例えば、「フルカラー」)と、原稿設定(例えば、A4の用紙について両面読み込む「A4/両面」)と、原稿情報を印刷(出力)する用紙設定(例えば、A4の用紙について両面読み込む「A4/両面」)と、特別機能(例えば、「白紙飛ばし/2 in 1」)とのジョブを記憶している。
【0039】
代替ジョブテーブル166は、携帯端末装置20から受信されたジョブ情報の代替となるジョブを条件と供に記憶しているテーブルである。図5に示すように、設定されるジョブ(「設定ジョブ」)と、代替ジョブが判定されるための条件(「判定条件」)と、判定条件時に代替されるジョブ(「代替ジョブ」)とが対応づけて記憶されている。
【0040】
例えば、カラーモードの設定が「フルカラー」である場合、デジタル複合機10のカラートナーが無い場合には、カラーモードの設定を「モノクロ」として代替のジョブとして記憶している。
【0041】
操作部170は、利用者が動作を指示したり、設定を指示したりするための機能部であり、各種キースイッチ等により構成されている。また、表示部180は、利用者に各種情報を報知するための機能部であり、例えばLCD等により構成されている。ここで、操作部170と表示部180とを一体形成としてタッチパネル等により構成してもよい。
【0042】
[1.2.2 携帯端末装置]
続いて、携帯端末装置20の構成について、図5を用いて説明する。図5に示すように、携帯端末装置20は、制御部200に通信部250と、記憶部260と、操作部270と、表示部280とが接続されている。
【0043】
制御部200は、サーバ20の全体を制御するための機能部である。制御部200は、記憶部260に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0044】
通信部250は、サーバ20と外部の端末とが通信を行う為のインタフェースを提供する機能部である。例えば、Ethernetに接続可能なNIC(Network Interface Card)や、携帯電話回線に接続可能な通信モジュール等により構成されている。
【0045】
また、本実施形態の場合はデジタル複合機10との通信を行う通信機能部を有している。この場合、無線インタフェースだけではなく、例えば各種情報を記憶し通信可能なICチップや、Bluetooth等といった近距離無線通信を実現するための通信モジュールにより構成されている。すなわち、デジタル複合機10の通信部150と通信可能な機能部を備えていれば良い。
【0046】
記憶部260は、サーバ20の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部260は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、記憶部260にはジョブ情報262が記憶されている。
【0047】
ジョブ情報262は、デジタル複合機10において実行されるジョブに関する情報であり、デジタル複合機10に送信される。デジタル複合機10に送信されたジョブ情報262は、ジョブ情報164として記憶される。なお、ジョブ情報262のデータ構成は、ジョブ情報164において説明した構成となっている。
【0048】
操作部270は、利用者が動作を指示したり、設定を指示したりするための機能部であり、各種キースイッチ等により構成されている。また、表示部280は、利用者に各種情報を報知するための機能部であり、例えばLCD等により構成されている。ここで、操作部270と表示部280とを一体形成としてタッチパネル等により構成してもよい。
【0049】
[1.3 処理の流れ]
続いて本実施形態における処理の流れについて図を用いて説明する。
【0050】
[1.3.1 携帯端末装置の処理]
まず、携帯端末装置20の処理の流れについて図7のフローチャートを用いて説明する。携帯端末装置20において、デジタル複合機10において実行されるジョブに関するジョブ情報が入力されると(ステップS100)、スタートが実行されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0051】
ここで、スタートが実行される(例えば、タッチパネルに表示されているスタートキーがタッチされる)と(ステップS102;Yes)、ステップS100において入力されていたジョブ情報がデジタル複合機10へ送信される(ステップS104)。
【0052】
なお、ステップS102におけるスタートが実行されるとは、所定のタイミングのことをいい、例えば非接触ICカード等により近距離無線通信が開始されたタイミングをスタートと認識し、その段階でジョブ情報を送信しても良い。この場合、利用者がジョブ情報を入力し、その後通信部250と通信部150とが通信を開始した段階で、ジョブ情報が送信される。
【0053】
続いて、携帯端末装置20が、デジタル複合機10から信号を受信すると(ステップS106;Yes)、当該信号がジョブ終了信号か否かを判定する(ステップS108)。ここで、ジョブ終了信号であった場合には(ステップS108;Yes)、ジョブ終了メッセージを表示部280に表示し(ステップS120)、本処理を終了する。
【0054】
他方、受信された信号が代替ジョブ情報であった場合には(ステップS108;No→ステップS110;Yes)、受信された代替ジョブを表示部280に表示する(ステップS112)。
【0055】
ここで、代替ジョブを許可する操作が利用者によりされた場合には(ステップS114;Yes)、代替許可信号を「許可」としてデジタル複合機10に送信する(ステップS116)。
【0056】
他方、代替ジョブを許可しない操作が利用者によりされた場合には(ステップS114;No)、代替許可信号を「不許可」としてデジタル複合機10に送信する(ステップS118)。
【0057】
また、受信された信号がジョブ終了信号でも代替ジョブ情報でも無い場合は(ステップS110;No)、受信された信号に応じた他の処理を実行することとなる。
【0058】
なお、上述した代替ジョブを許可、不許可とするのは、代替ジョブ情報に含まれている代替ジョブを個別に許可・不許可としても良いし、一括して許可・不許可としても良い。
【0059】
[1.3.2 デジタル複合機の処理]
続いて、デジタル複合機10の処理について図8を用いて説明する。まず、デジタル複合機10は、携帯端末装置20からのジョブ情報の受信を待機する(ステップS200)。
【0060】
ジョブ情報が受信された場合(ステップS200;Yes)、ジョブ情報に含まれるジョブが実行可能か否かを判定する(ステップS202)。ここで、ジョブが実行可能である場合には(ステップS202;Yes)、ジョブ情報に基づいてジョブを実行する(ステップS214)。
【0061】
他方、ジョブ情報に含まれるジョブの実行が不可能と判定された場合には(ステップS202;No)、実行不可能であるジョブの代替ジョブ案を代替ジョブテーブル166を参照して作成する(ステップS204)。そして、作成された代替ジョブ案を含めた代替ジョブ情報を、携帯端末装置20に送信する(ステップS206)。
【0062】
ここで、携帯端末装置20から代替許可信号が受信され、代替許可信号が「許可」である場合には(ステップS208;Yes→ステップS210;Yes)、代替ジョブ情報でジョブ情報を更新し(ステップS212)、当該更新されたジョブ情報に基づいてジョブを実行する(ステップS214)。
【0063】
他方、代替許可信号を受信したが、代替許可信号が「不許可」の場合には(ステップS208;Yes→ステップS210;No)、ジョブをキャンセルする(ステップS220)。
【0064】
また、代替許可信号については、所定時間受信を待機する(ステップS208;No→ステップS218;No→ステップS208)。そして、所定時間を経過しても代替許可信号を受信しない場合には(ステップS208;No→ステップS218;Yes)、代替ジョブ情報が不許可であったとみなし、ジョブをキャンセルする(ステップS220)。
【0065】
ジョブを実行したか又はジョブをキャンセルした場合、すなわちデジタル複合機10においてジョブが終了した場合には、ジョブ終了信号を携帯端末装置20に送信し(ステップS216)、本処理を終了する。
【0066】
[1.4 動作例]
続いて、動作例について図を用いて説明する。図9は、携帯端末装置20における表示部280(タッチパネル)に表示される表示画面W100の一例である。表示画面W100のとき、利用者はジョブ情報を入力することができる。
【0067】
図9においては、領域R100に入力された各ジョブ(ジョブ情報)が表示されている。例えば部数が「10部」であり、カラーモードが「フルカラー」であると設定されている。そして、利用者により、スタートボタンB100がタッチされると、ジョブ情報がデジタル複合機10に送信される。
【0068】
図10は、代替ジョブ情報に基づくジョブ及び代替ジョブが表示された携帯端末装置20における表示画面W110の一例である。まず、携帯端末装置20からジョブ情報がデジタル複合機10に送信され(図7のステップS104)、デジタル複合機10が受信する(図8のステップ200;Yes)。
【0069】
ここで、受信されたジョブ情報に基づくジョブが実行出来ないと判定された場合(ステップS202;No)、代替ジョブ案が作成される(ステップS204)。
【0070】
例えば、設定されたジョブのカラーモードは「フルカラー」であったが、デジタル複合機10にカラートナーが無いとする。この場合、代替ジョブテーブル166を参照し、代替ジョブとしてはカラーモードを「モノクロ」とし代替ジョブ案を作成する。そして、作成された代替ジョブ案に基づいた代替ジョブ情報を、携帯端末装置20に送信する(図8のステップS206)。
【0071】
そして、受信された代替ジョブ情報に基づいて、ジョブ及び代替ジョブとして表示画面W110の領域R110に表示されている。とくに、領域R112は、カラーモードが「フルカラー」から代替ジョブの「モノクロ」に変更されることが識別表示されている。更に、代替ジョブが適用される理由が領域R114に表示されている。
【0072】
ここで、許可ボタンB110がタッチされればジョブが実行される(図7のステップS114;Yes→ステップS116/図8のステップS208;Yes→ステップS210;Yes→ステップS212→ステップS214)。他方、不許可ボタンB112がタッチされれば、ジョブがキャンセルされる(図7のステップS114;No→ステップS118/図8のステップS208;Yes→ステップS210;No→ステップS220)。
【0073】
図11は、デジタル複合機10においてジョブが終了した場合に携帯端末装置20に表示される表示画面W120である。デジタル複合機10においてジョブが終了する(ジョブが実行される又はジョブがキャンセルされる)とジョブ終了信号が携帯端末装置20に送信される(図8のステップS216)。また、携帯端末装置20は、ジョブ終了信号を受信すると、ジョブが終了したメッセージを表示する(図7のステップS106;Yes→ステップS108;Yes→ステップS120)。
【0074】
図12は、代替ジョブ情報を携帯端末装置20に送信している間に、デジタル複合機10に表示される表示画面W200の一例である。例えば、現在ジョブを受け付けたが、代替ジョブを携帯端末装置20に送信し確認中であることを、領域R200に表示している。これにより、デジタル複合機10の利用者に対しても、現在のデジタル複合機10の状態を報知することが可能となる。
【0075】
このように、本実施形態によれば、携帯端末装置20においてジョブを入力(ジョブ情報を入力)し、デジタル複合機10に対して送信することにより、携帯端末装置20を用いてジョブ情報が入力可能となり、入力されたジョブ情報に基づいてジョブが実行されることになる。
【0076】
更に、デジタル複合機10は、デジタル複合機10の動作状態、搭載機能等に応じて適宜ジョブを同処理するかを判定し、適切な代替ジョブを提示して実行することができる。
【0077】
これにより、例えば機種が異なることにより操作方法が異なるデジタル複合機や、設置環境の異なるデジタル複合機、動作状態がことなっているデジタル複合機であっても、携帯端末装置を利用する事により、同一のユーザインタフェースからデジタル複合機の設定をすることが可能となる。
【0078】
更に、デジタル複合機に対して不慣れであっても、携帯端末装置を用いてジョブを入力し、デジタル複合機を操作することが出来る。更に、デジタル複合機の状態に応じて適切なジョブを実行する事も可能となる。このように、利用者にとって使い勝手の良い画像形成システムを提供することが可能となる。
【0079】
[2.第2実施形態]
続いて第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に加えて、携帯端末装置を利用して課金情報の処理について説明するための実施形態である。第1実施形態と同一の構成、処理については、その説明を省略する。
【0080】
図13は、第2実施形態におけるデジタル複合機12の機能構成を説明するための図である。第1実施形態のデジタル複合機10と比較すると、電子マネー部190が新たに含まれている。
【0081】
電子マネー部190は、デジタル複合機12を利用した場合の課金制御(決済処理)を行う機能部である。例えば、カード情報に基づいて決済処理を実行したり、携帯端末装置20に内蔵されたFelica等を利用して決済を行う処理を実行したりする。
【0082】
ここで、具体的な課金制御に関する方法について、図を用いて説明する。図14は、携帯端末20は、まず課金IDを抽出する(ステップS1000)。ここで、課金IDとは、決済処理において利用される識別情報である。
【0083】
例えば、クレジットカード番号に対応する識別情報であったり、デビット決済処理において利用される金融機関の口座番号に対応する識別情報であったり、Felicaに対応づけられている識別情報であったりする。
【0084】
この課金IDを、デジタル複合機12に送信する(ステップS1010)。ここで、課金IDを送信する方法としては、新たに送信しても良いし、ジョブ情報に含めて送信しても良い。例えば、携帯端末装置20を、デジタル複合機12の通信部150(図2)にかざすことにより、近距離無線通信により、課金IDが送信される。
【0085】
デジタル複合機12は、課金IDを受信すると(ステップS1020)、課金IDに基づいて課金処理を実行する(ステップS1030)。具体的には、デジタル複合機12に接続される決済サーバに問い合わせて、課金処理を実行するといった方法が考えられる。
【0086】
また、図15に示すように、課金情報を携帯端末装置20において確認して決済することとしても良い。
【0087】
まず、携帯端末装置20は課金IDを抽出し(ステップS2000)、課金IDをデジタル複合機12に送信する(ステップS2010)。デジタル複合機12は、課金IDを受信し(ステップS2020)、課金情報を決定する(ステップS2030)。ここで、課金情報とは、課金する単価であったり、ジョブが実行された場合における金額の合計であったりする。
【0088】
そして、決定された課金情報を携帯端末装置20に送信する(ステップS2040)。携帯端末装置20は、課金情報を受信すると(ステップS2050)、課金情報を確認し、課金承認処理を実行する(ステップS2060)。
【0089】
課金承認処理が実行されると、携帯端末装置20及びデジタル複合機12において電子決済が実行され(ステップS2070)、ジョブが実行される。
【0090】
図16は、課金情報を携帯端末装置20において表示している表示画面W300の一例である。領域、R300に課金情報が表示されている。これを利用者が確認し、課金承認処理を実行することにより、電子決済が成される。
【0091】
また、例えば、携帯端末装置20の通信部250を、デジタル複合機12の通信部150(図2)にかざす。このとき、通信部250を構成するICカードに対応づけられた電子マネーサービス(Edy、モバイルSuica、Smartplus等といった各提供事業者が展開しているサービス)から、利用料金が決済されることとなる。
【0092】
このように、本実施形態によれば、事前にジョブ情報の入力ができるのと併せて、ユーザ管理等をすることなく、課金制御を行うことが可能となる。
【0093】
[3.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0094】
また、上述した実施形態は、画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合について説明したが、例えばコンピュータ等の情報処理装置においても実現可能なことは勿論である。
【0095】
また、上述した実施形態において、ジョブ情報が、デジタル複合機の動作モードに関する情報(設定情報)を中心に説明したが、機能的な動作モードに利用しても良い。
【0096】
例えば、デジタル複合機において、FAXモードやファイル送信モード(メール送信モード)等、複数の動作モードが利用可能である。そして、利用者はFAXを利用すると設定したが、利用するデジタル複合機がFAXの機能を有しない(又は、回線障害等によりFAXが利用出来ない等)場合には、ファイル送信モード(メール送信モード)に切り替えることが可能である。
【0097】
また、第2実施形態において、代替ジョブが実行される場合には課金を割り引く等の処理を更に行っても良い。すなわち、本来利用者が所望するジョブが実行出来ないことから、本来発生する金額から所定の金額を割り引いたものを課金するといったことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成システム
10 デジタル複合機
100 制御部
110 画像入力部
120 画像形成部
130 画像出力部
140 通信部
150 記憶部
152 原稿データ格納領域
154 電子データ要求情報
160 操作部
20 携帯端末装置
200 制御部
250 通信部
260 記憶部
262 ジョブ情報
264 代替
270 操作部
280 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置において、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信手段と、
画像形成装置の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定手段と、
前記ジョブ判定手段により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成手段と、
を備え、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2ジョブ情報を前記携帯端末装置に送信する第2ジョブ情報送信手段を更に備え、
前記ジョブ実行手段は、前記携帯端末装置から第2ジョブ情報の実行を許可する信号が受信された場合に、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ジョブ情報と、前記画像形成装置の状態とに対応づけて第2ジョブ情報を記憶する記憶手段を更に有し、
前記第2ジョブ情報作成手段は、前記第1ジョブ情報と、前記画像形成装置の状態とから、前記記憶手段に基づいて第2ジョブを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の状態にはカラートナーに関する情報が記憶されており、前記第2ジョブ情報には、前記カラートナーが無い場合には、単色モードとなることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の状態には用紙情報が記憶されており、前記第2ジョブ情報には、所定の用紙が無い場合には、原稿の拡大又は縮小を行うジョブが記憶されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
携帯端末装置と、当該携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置とを含む画像形成システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
第1ジョブ情報を入力する入力手段と、
前記第1ジョブ情報を前記画像形成装置に送信する第1ジョブ情報送信手段と、
を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信手段と、
画像形成装置の状態を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定手段と、
前記ジョブ判定手段により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成手段と、
を備え、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
携帯端末装置と通信可能であり、ジョブ情報に基づいてジョブを実行するジョブ実行手段を有した画像形成装置に含まれるコンピュータに、
前記携帯端末装置から、第1ジョブ情報を受信する第1ジョブ情報受信機能と、
前記画像形成装置の状態を検出する検出機能と、
前記検出機能により検出された状態で、前記第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行可能か否かを判定するジョブ判定機能と、
前記ジョブ判定機能により、第1ジョブ情報に基づいたジョブが実行出来ないと判定された場合には、第2ジョブ情報を作成する第2ジョブ情報作成機能と、
を実現し、
前記ジョブ実行手段は、前記第2ジョブ情報に基づいてジョブを実行することを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−250420(P2012−250420A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124253(P2011−124253)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ETHERNET
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】