説明

画像形成装置、画像形成システム及び表示方法

【課題】同じ印刷物の印刷者の情報を通知し、印刷物の共用(共有)を促し、用紙やトナーの消費を抑え、コスト削減を図る。
【解決手段】画像形成装置は、コンピュータと通信を行う通信部と、コンピュータから送信され通信部で受信された印刷ジョブデータに基づき画像を形成する画像形成部と、印刷済の印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の印刷ジョブデータをコンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報をデータ名に関連づけて記憶する記憶部と、を含み、通信部は、記憶部に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け印刷者情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータから印刷用のデータを受信して印刷を行う画像形成装置及び、この画像形成装置とコンピュータを含む画像形成システムに関する。又、コンピュータでの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やプリンタ等の画像形成装置には、利用実態の把握のため、管理機能を備えるものがある。管理機能を用いることで、例えば、部門別や使用者別に印刷枚数や、スキャン枚数や、スキャン原稿の送信枚数を把握することができる。又、管理機能により、無駄に印刷が行われていないか、印刷しすぎかなどを確認することもできる。更に、印刷枚数等に上限値を定め、上限値を超えては画像形成装置を利用できないようにする場合もある。
【0003】
このような管理を行う画像処理装置の一例が特許文献1に記載されている。具体的に特許文献1には、原稿をスキャンして画像データを読み取る読み取り手段と、画像データに基づいて記録媒体に画像形成する画像形成手段と、所定の通信媒体を介して画像データを送受信する通信手段と、画像データを記憶する記憶手段と、使用者を特定可能なIDにより管理する使用者管理手段と、複数の画像処理モードからいずれかを設定する第1の設定手段と、第1の設定手段により設定される画像処理モードに応じた処理を実行するために各手段を制御する制御手段と、制御手段により実行される画像入力処理,画像出力処理を複数の形態に分類し、複数の形態でそれぞれ処理された画像分量をそれぞれ複数の枚数情報としてID毎に管理する枚数管理手段と、ID毎に、前記複数の枚数情報の上限値をそれぞれ設定する第2の設定手段と、複数の枚数情報からいずれかを選択し、該選択された枚数情報及びその枚数情報の上限値に基づく情報を操作部上に表示する表示手段と、を有する画像処理装置が記載されている。この構成により、カウンタが上限値に達した場合にはアラートを出して処理続行不可を通知しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0414]、要約等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−147294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、画像形成装置は共用される。そして、画像形成装置による印刷では、紙代、トナー代、メンテナンス費用など、一定のコストがかかる。各人が好きなだけ印刷を行えるようにすると、無駄な印刷や、必要以上の印刷が行われ易くなり、その分だけ、余計なコストがかかる。そこで、特許文献1記載の発明のように、画像形成装置を管理し、印刷枚数の制限(上限)や印刷枚数に対する警告を発するようにすることがある。
【0006】
一方で、同じ書類や文書を複数人が印刷してしまう場合がある(例えば、社内で共用の届出書や、部内、課内共通の資料など)。このような書類は、一目見れば済む場合もあれば、分けてもらう、あるいは、借りれば済む場合もある。言い換えると、共用できる書類、文書は、全員が印刷物として所持する必要はない。
【0007】
しかし、従来、印刷物の共用(共有)はなされず、各人がそれぞれ印刷を行い、共用すれば済む書類、文書は、重複して印刷されている。共用すれば用紙やトナーやコスト削減を実現できるのにもかかわらず、共用すれば済む書類、文書の印刷を防ごうともせず、用紙やトナーの消費を抑えることができず、コストを削減することもできないという問題がある。
【0008】
又、共用(共有)をしたくても、各使用者は、他の使用者がどのような書類、文書を印刷したかを知るための手段がない。そのため、画像形成装置の使用者は、これから印刷しようとする書類、文書を、誰かが印刷したことがあるか否かさえ知ることができないという問題もある。
【0009】
ここで、特許文献1記載の画像処理装置では、上限に至らない範囲で各使用者は、自由に印刷を行うことができ、共用すれば済む書類、文書の重複した印刷が行われ得る。又、共用すれば済む書類、文書の重複した印刷を防ぐための記載はない。従って、特許文献1記載の画像処理装置では、印刷物の共用を促すことができず、上記の問題を解決することはできない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑み、同じ印刷物の印刷者の情報を通知し、印刷物の共用(共有)を促し、用紙やトナーの消費を抑え、コスト削減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題解決のため請求項1に係る画像形成装置は、コンピュータと通信を行うための通信部と、前記コンピュータから送信され前記通信部で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部と、印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータを前記コンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶する記憶部と、を含み前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記データ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信することとした。
【0012】
この構成によれば、通信部は、記憶部に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータ(同名印刷ジョブデータ)を送信したコンピュータに向けて、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信する。これにより、印刷者情報を受信したコンピュータで、これから印刷しようとする印刷ジョブと同じ印刷ジョブを以前に画像形成装置に実行させた者の情報を確認することができる。従って、印刷しようとする書類、文書を既に印刷した者を通知することにより、印刷物の共用(共有)を促すことができる。又、共用すれば済む書類、文書の印刷を防ぐことができ、用紙やトナーの消費を抑え、コスト削減を図ることができる。
【0013】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記通信部は、前記画像形成部が画像の形成を開始する前に前記印刷者情報を送信し、画像形成部は、前記印刷者情報に対する返信として、印刷実行指示を前記コンピュータから前記通信部が受信した後、前記同名印刷ジョブデータに基づき、印刷を開始することとした。
【0014】
この構成によれば、画像形成部は、印刷者情報に対する返信として、印刷実行指示をコンピュータから通信部が受信した後、同名印刷ジョブデータに基づき、印刷を開始する。これにより、印刷物を共用(共有)できる可能性がある場合、直ちには印刷を開始しないので、無駄な印刷が行われない。又、別の部署や座席位置が遠くて印刷物を共用し難い場合や、もう印刷物がなくて印刷物を共用できない場合、使用者は、印刷者情報を確認しても印刷実行指示を出す。この指示を受け、画像形成部は印刷を行う。従って、使用者の意志に基づき、必要な場合にのみ印刷が行われる。言い換えると、必要な場合にのみ、同じ印刷物の印刷が重複して行われることになり、無駄な印刷を防ぐことができる。
【0015】
又、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記画像形成部は、前記通信部が前記印刷者情報に対する返信として、印刷中止指示を前記コンピュータから受信したとき、前記同名印刷ジョブデータに基づいた印刷を行わないこととした。
【0016】
この構成によれば、画像形成部は、通信部が印刷者情報に対する返信として印刷中止指示をコンピュータから受信したとき、同名印刷ジョブデータに基づいた印刷を行わない。これにより、印刷物を共用(共有)できるとき、無駄な印刷は行われない。
【0017】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記記憶部は、前記印刷者情報として、少なくとも、印刷済の前記印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータが所属する部署を示す情報である所属情報、前記コンピュータが設置された座席位置に関する情報である座席情報、前記コンピュータの使用者名のいずれか、又は、複数の組み合わせを前記記憶部に記憶することとした。
【0018】
この構成によれば、記憶部は、印刷者情報として、少なくとも、コンピュータが所属する部署を示す情報である所属情報、コンピュータが設置された座席位置に関する情報である座席情報、コンピュータの使用者名のいずれか、又は、複数の組み合わせを記憶部に記憶する。これにより、印刷者情報を受けたコンピュータで、同じ書類、文書を印刷した者の詳細を知ることができる。従って、容易に印刷物の共用(共有)を行うことができる。
【0019】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記同名印刷ジョブデータに対し、前記記憶部が、複数の印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名を記憶しているとき、前記通信部は、前記同名同じデータ名の前記印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向けて、いずれか1つ又は複数の前記印刷者情報を送信することとした。
【0020】
この構成によれば、通信部は、記憶部が、同名印刷ジョブデータに対し、複数の印刷済の印刷ジョブデータのデータ名を記憶しているとき、いずれか1つ又は複数の印刷者情報を送信する。これにより、使用者は、印刷者情報を受けたコンピュータで、同じ書類、文書を印刷した複数の者を知ることもできる。従って、より容易に印刷物の共用(共有)を行うことができる。
【0021】
又、請求項6に係る発明は、請求項5の発明において、予め定められた数の前記印刷者情報を、前記所属情報及び/又は前記座席情報について予め定められた条件に基づき選択する制御部を有し、前記同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータに対し、前記記憶部が、複数の印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名を記憶している場合、前記通信部は、前記制御部が選択した1つ又は複数の前記印刷者情報を、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、送信することとした。
【0022】
この構成によれば、通信部は、予め定められた条件に基づき、制御部が選択した1つ又は複数の印刷者情報を、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け印刷者情報を送信する。これにより、条件を定めておくことで、例えば、座席が近い、同じ部署に属するといった、使用者にとって価値ある印刷者情報を通知することができる。
【0023】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記記憶部は、印刷済の前記印刷ジョブデータのうち、一部又は全てのページの画像データを前記データ名に対応づけて記憶し、前記通信部は、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記印刷者情報とともに前記画像データを送信することとした。
【0024】
この構成によれば、通信部は、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、印刷者情報とともに画像データを送信する。印刷ジョブデータのデータ名が同じでも、内容が異なることがある。しかし、本発明では、使用者は、印刷ジョブデータを送信したコンピュータで、以前に印刷された同名印刷ジョブデータの内容を確認することができる。これにより、使用者は、印刷しようとする印刷物と、以前に印刷された印刷物の内容が同じか否かを確認することができる。
【0025】
又、請求項8に係る画像形成システムは、コンピュータと画像形成装置からなる画像形成システムであって、前記画像形成装置は、前記コンピュータと通信を行うための通信部と、前記コンピュータから送信され前記通信部で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部と、印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータを前記コンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶する記憶部と、を含み、前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記データ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信し、前記コンピュータは、前記印刷者情報を受信すると、前記印刷者情報を表示するディスプレイを有することとした。
【0026】
この構成によれば、通信部は、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信し、コンピュータは、印刷者情報を受信すると、印刷者情報を表示するディスプレイを有する。これにより、印刷者情報を受信したコンピュータで、これから印刷しようとする印刷ジョブと同じ印刷ジョブを以前に画像形成装置に実行させた者の情報を確認することができる。従って、印刷しようとする書類、文書を既に印刷した者を通知して、印刷物の共用(共有)を促すことができる。
【0027】
又、請求項9に係る発明は、請求項8の発明において、前記コンピュータは、入力部を有し、前記入力部は、前記印刷者情報を受信すると、このまま送信した前記印刷ジョブデータに基づき印刷を行う旨の印刷実行指示と、印刷を中止する旨の印刷中止指示を受け付け、前記コンピュータは、前記画像形成装置の前記通信部に、前記入力部への入力に従い、前記印刷実行指示又は前記印刷中止指示を送信し、前記画像形成装置の画像形成部は、前記印刷実行指示又は前記印刷中止指示に従い、前記同名印刷ジョブデータの印刷を実行又は中止することとした。
【0028】
この構成によれば、コンピュータは、画像形成装置の通信部に、入力部への入力に従い印刷実行指示又は印刷中止指示を送信し、画像形成装置の画像形成部は、印刷実行指示又は印刷中止指示に従い、同名印刷ジョブデータの印刷を実行又は中止する。これにより、使用者は、コンピュータに表示された印刷者情報に基づき、このまま印刷を行うか否かを定めることができる。従って、必要な場合にのみ、以前に印刷された印刷物と同じものが印刷され、印刷物を共用(共有)できるとき、無駄な印刷は行われない。
【0029】
又、請求項10に係る表示方法は、画像形成装置の記憶部に印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータをコンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶させ、画像形成装置の通信部が記憶部に記憶されたデータ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記通信部に前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信させ、前記印刷者情報を受信すると、前記コンピュータのディスプレイに前記印刷者情報を表示させることとした。
【0030】
この構成によれば、通信部に、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信させ、印刷者情報を受信すると、コンピュータのディスプレイに、印刷者情報を表示させる。これにより、請求項1、請求項8の発明と同様に、印刷者情報を受信したコンピュータで、これから印刷しようとする印刷ジョブと同じ印刷ジョブを以前に画像形成装置に実行させた者の情報を確認することができる。従って、印刷しようとする書類、文書を既に印刷した者を通知して、印刷物の共用(共有)を促すことができる。
【発明の効果】
【0031】
上述したように、本発明に係る画像形成装置、画像形成システムによれば、同じ印刷物の印刷者の情報が通知される。これにより、印刷物の共用(共有)を促し、用紙やトナーの消費を抑え、コスト削減に効果のある画像形成装置、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態に係る画像形成システムの一例を示す模式図である。
【図2】実施形態に係る複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図3】実施形態に係る画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る印刷履歴データの一例を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る参照テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】実施形態に係る印刷者情報表示画面の一例を示す説明図である。
【図7】実施形態に係る印刷者情報の送信設定画面の一例を示す説明図である。
【図8】実施形態の印刷者情報の表示制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図1〜図8を用いて説明する。ここで、本発明は、各種画像形成システム300に適用可能であるが、複合機100(画像形成装置に相当)とPC200(例えば、パーソナルコンピュータ、コンピュータに相当)を含む画像形成システム300を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
【0034】
(画像形成システム300の概要)
まず、図1を用い、本発明の実施形態に係る画像形成システム300の一例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム300の一例を示す模式図である。
【0035】
図1に示す複合機100は、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能、FAX機能等を備える。そして、図1に示すように、各PC200が、複合機100に対し通信可能に接続される。例えば、各PC200と複合機100はネットワークにより接続される。ネットワークを介さず、ケーブル(例えば、USBケーブル)を用いて、直接的にPC200と複合機100を接続することもできる。尚、図1では、1台の複合機100に対し、4台のPC200が通信可能に接続される例を示すが、PC200は、3台以下でも、5台以上でもよい。
【0036】
各PC200は、キーボード等(マウスは不図示)の入力部21やディスプレイ22を有する。そして、各PC200内のHDD等の記憶部23(図3参照)には、複合機100をプリンタとして使用するためのドライバソフトウェアがインストールされる。使用者は、ドライバソフトウェアを起動し、ドライバソフトウェアを操作することで、複合機100に印刷ジョブデータを送信できる。
【0037】
印刷ジョブデータは、印刷を行おうとするファイルのファイル名や、印刷に用いる用紙等の設定データや、印刷を行おうとする画像データ等を含み、各PC200は複合機100に向けて送信する。複合機100は、この印刷ジョブデータを受けて、印刷を実行する(プリンタ機能)。
【0038】
(画像形成装置の概要)
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100を説明する。図2は本発明の実施形態に係る複合機100の一例を示す模型的正面断面図である。
【0039】
図2に示すように、本実施形態の複合機100は、最上部に原稿カバー101を有し、複合機100本体には、画像読取部3、操作パネル4、給紙部5A、搬送路5B、画像形成部6、定着部7等が設けられる。
【0040】
まず、図2に破線で示すように、操作パネル4は、複合機100の正面上方に設けられる。そして、操作パネル4は、複合機100の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部41を備える。液晶表示部41は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを複数表示できる。又、液晶表示部41にタッチパネル部42(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部42は、液晶表示部41で押下された部分の位置、座標を検出するためのものである。又、操作パネル4には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー43や主に数字入力用のテンキー部44も設けられる。
【0041】
原稿カバー101は、図2の紙面奥行き方向に支点を有し、紙面上下方向に開閉可能である。原稿カバー101は、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス31に載置された原稿を押さえる。画像読取部3は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部3内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。尚、原稿カバー101に変えて、積載原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部3の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス32)に向けて搬送する原稿搬送装置を設けてもよい。
【0042】
そして、これらの光学系部材を用い、載置読取用コンタクトガラス31に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。複合機100は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。
【0043】
給紙部5Aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路5Bに送り込む。給紙部5Aは、収納用紙が載置されるカセット51を含む(図2で上方のものに51A、下方のものに51Bの符号を付す)。又、カセット51から搬送路5Bに送り出すため回転駆動する給紙ローラ52が設けられる(図2で上方のものに52A、下方のものに52Bの符号を付す)。例えば、印刷時には、給紙ローラ52が回転駆動し、印刷に要する用紙が1枚ずつ搬送路5Bに送り出される。
【0044】
搬送路5Bは、給紙部5Aから排出トレイ53まで用紙を搬送する通路である。尚、用紙搬送経路上には画像形成部6、定着部7等が配される。そして、搬送路5Bには、用紙の案内のためのガイドや、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対54、55や搬送されてくる用紙を画像形成部6の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対56等が設けられる。
【0045】
画像形成部6は、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部6は、図2中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム61、及び、感光体ドラム61の周囲に配設された帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラ65、清掃装置66等を備える。
【0046】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部6の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム61は、図2において、感光体ドラム61の右斜め上方に設けられる帯電装置62により、所定電位に帯電される。図4において、露光装置63は、帯電装置62の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光をから出力し、感光体ドラム61表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部3で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のPC200や相手方FAX装置200(図3参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0047】
そして、図2において、感光体ドラム61の右斜め下方に設けられる現像装置64は、感光体ドラム61に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム61の左方に設けられる転写ローラ65は感光体ドラム61に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ65には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム61上のトナー像が転写される。清掃装置66は、転写後に感光体ドラム61に残留するトナーを除去する。
【0048】
定着部7は、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部7は主として発熱体を内蔵する加熱ローラ71と加圧ローラ72で構成される。加熱ローラ71と加圧ローラ72は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ53に排出される。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0049】
(画像形成システム300のハードウェア構成)
そこで、次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る画像形成システム300のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る画像形成システム300の構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
まず、PC200を説明する。尚、複合機100に対し複数台のPC200を接続可能であるが、便宜上、図3ではPC200を一台のみ示す。
【0051】
PC200は、内部に、PC200でのデータ処理や、制御を行う処理部24を有する。処理部24は、例えば、CPUや各種チップを搭載した基板からなる。記憶部23は、例えば、HDDやフラッシュROMやRAMからなり、例えば、PC200の制御プログラムや複合機100用をプリンタとして用いるためのドライバソフトウェアを記憶する。入力部21は、例えば、キーボードやマウスであり、PC200に対する入力インターフェイスである。ディスプレイ22は、各種画面を表示し、例えば、ドライバソフトウェアを起動させた場合、複合機100での印刷設定に関する画面を表示する。データ通信部25は、他のPC200や複合機100やネットワークに接続するためのインターフェイスであり、通信用チップや、コネクタ等を含む。
【0052】
次に、複合機100について説明する。複合機100内に、制御部1が設けられる。制御部1は、複合機100の動作を制御し、例えば、CPU11、画像処理部12等を含む。尚、制御部1は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成部6や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよいが、本説明では、これらの制御部を1つにまとめた形態で説明する。
【0053】
CPU11は、中央演算処理装置であって、記憶部8に格納され、展開されるプログラムやデータに基づき複合機100の各部を制御する。画像処理部12は、印刷を行う画像データや、外部のPC200や相手方のFAX装置200に送信される画像データに対し、各種画像処理を施す。
【0054】
記憶部8は、例えば、ROM、RAM、HDDを含み、不揮発性と揮発性の記憶用の装置を組み合わせて構成される。そして、記憶部8は、複合機100の制御用等の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶する。
【0055】
そして、制御部1は、操作パネル4、画像読取部3、給紙部5A、搬送路5B、画像形成部6、定着部7等の各部とバスや信号線等で接続され、各部、各装置を制御して複合機100の動作を制御する。
【0056】
本実施形態の複合機100の操作パネル4は、例えば、表示制御部40、メモリ45、液晶表示部41、タッチパネル部42を有する。表示制御部40は、CPUやIC等で構成され、液晶表示部41の表示を制御する。又、表示制御部40は、タッチパネル部42の出力を受け、液晶表示部41で押下された座標を特定する。例えば、タッチパネル部42の出力と座標の対応を示すテーブル等のデータは、メモリ45に記憶される。操作パネル4内のメモリ45は、液晶表示部41が表示する画面、画像の画像データも記憶する。
【0057】
表示制御部40は、押下位置の座標と液晶表示部41に表示される各種画面の画像データを比較する等により、押下されたキーを特定、認識する。このように、使用者は、コピー等の各機能を使用するうえでの設定を行える。例えば、表示制御部40は、設定内容を認識しその内容を本体の制御部1に送信する。これにより、制御部1は、操作パネル4での設定内容を反映した動作を複合機100内の各部に行わせる。
【0058】
そして、表示制御部40は、液晶表示部41に表示されたキー等が押下されるごとに、表示制御部40は、次に表示すべき画面、画像の画像データをメモリ45から読み出す。又、操作パネル4に設けられる各種ハードキー(テンキー部44やスタートキー43など)も表示制御部40に接続され、表示制御部40は、各種キーが押下されたことを認識し、その旨を制御部1に伝達する。
【0059】
更に、制御部1は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部9と接続される。通信部9は、ネットワークや公衆回線等により、PC200や、相手方FAX装置200と、複合機100を通信可能に接続する。例えば、画像データを含むデータを外部のPC200や相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。PC200や相手方FAX装置200からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンタ機能、FAX機能)。特に、プリンタ機能に関し、通信部9は、PC200から印刷ジョブデータを受信する。このように、複合機100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうちの複数の機能を備える。
【0060】
(印刷履歴、印刷者情報の記憶)
次に、図4及び図5を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での印刷履歴、印刷者情報の記憶の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る印刷履歴データD1の一例を示す説明図である。図5は、本発明の実施形態に係る参照テーブルデータD2の一例を示す説明図である。
【0061】
本実施形態の複合機100は、PC200から印刷ジョブデータを受信し、印刷を行う。そして、図4に示すように、複合機100の記憶部8には、印刷ジョブデータに基づいての印刷履歴が「印刷履歴データD1」として記憶される。
【0062】
例えば、PC200からの印刷ジョブデータに関する印刷履歴データD1として、記憶部8は、データ名(タイトル)を記憶する。また記憶部8は、それぞれのデータ名に関連づけられる印刷者情報を記憶する。記憶部8は、印刷者情報として、部、課といった所属情報や、座席No、座席グループといった座席情報や、PC200の使用者を記憶する。その他、記憶部8は、印刷ジョブデータの印刷実行日時や、印刷ジョブデータの受信日時など、他の情報をデータ名に関連づけて記憶してもよい。
【0063】
データ名(タイトル)は、PC200から複合機100の通信部9に送信された印刷ジョブデータの名前である。複合機100をプリンタとして用いるとき、PC200にインストールされたアプリケーションで印刷の実行が指示される。この指示に基づき、PC200の処理部24は、記憶部23にインストールされた複合機100をプリンタとして用いるためのドライバソフトウェアを動作させる。そして、処理部24は、印刷ジョブデータをデータ通信部25から複合機100に向けて送信させる。そこで、データ名は、PC200で印刷実行が指示されたファイル名としてもよい。又、データ名は、ドライバソフトウェアに従い、ファイル名が加工されたものでもよい(例えば、長いファイル名を一定の規則のもとに短くする)。
【0064】
そして、ドライバソフトウェアに従い、処理部24は、ファイル名や加工されたファイル名をデータ名(タイトル)として、PC200のデータ通信部25から複合機100に送信させる。処理部24は、印刷ジョブデータにデータ名(タイトル)を含めた形態でデータ通信部25にデータ名を送信させてもよい。そして、複合機100の記憶部8は、印刷ジョブデータのデータ名(タイトル)として記憶する。各PC200にインストールされるドライバソフトウェアは、同様であるので、複合機100の制御部1は、データ名に基づき、以前に印刷された印刷ジョブデータと、今回受信した印刷ジョブデータが同じものとみなせるか判断できる。
【0065】
「部」、「課」の所属情報は、印刷ジョブデータの前記PC200から送信した者(複合機100の使用者)の所属する部署を示す。例えば、会社であれば、「部」は法務部、営業部といった部署を示し、「課」は、知的財産課や、営業第1課といった部署を示す。
【0066】
「座席No」や「座席グループ」の座席情報は、印刷ジョブデータの前記PC200から送信した者(複合機100の使用者)の座席の位置に関する情報を示す。「座席No」は、各PC200の設置された机、席ごとに付される番号である。「座席グループ」は、各PC200の設置された机、席が属するグループである。座席Noや、座席グループとしてのそれぞれの値は、任意に定められる。又、「使用者」は、印刷ジョブデータを送信したPC200の使用者を示す。
【0067】
尚、記憶部8は、「部」、「課」の所属情報や、「座席No」や「座席グループ」の座席情報や使用者のうち、必ずしも全項目を記憶しなくてよい。記憶部8の容量などの要因を考慮して、記憶部8は、全項目のうち、一部の項目のみを記憶するようにしてもよい。即ち、記憶部8は、印刷者情報として、少なくとも、印刷済の印刷ジョブデータを送信したコンピュータ(例えば、PC200)が所属する部署を示す情報である所属情報、コンピュータが設置された座席位置に関する情報である座席情報、コンピュータの使用者名のいずれか、又は、複数の組み合わせを記憶部8に記憶する。
【0068】
PC200の処理部24は、PC200にインストールされた複合機100をプリンタとして利用するためのドライバソフトウェアに従い、「部」、「課」の所属情報や、「座席No」や「座席グループ」の座席情報を生成し、「使用者」の情報を、印刷ジョブデータに含めるようにしてもよい。この場合、複合機100の制御部1は、印刷ジョブデータに含められた所属情報や、座席情報や、使用者の情報を、印刷者情報として記憶部8に記憶させる。
【0069】
又、複合機100の通信部9は、印刷ジョブデータを受信するとき、PC200と通信を行う必要がある。このとき、複合機100の通信部9は、PC200のアドレス情報を確認し、PC200と通信を行う。そこで、複合機100の記憶部8に、例えば、図5に示すようなPC200のアドレス情報に対応した参照テーブルデータD2を記憶させておく。例えば、図5に示すように、参照テーブルデータD2は、PC200のIPアドレスやMACアドレスに関連づけて、所属情報や座席情報や使用者名を格納する。
【0070】
参照テーブルデータD2を用いる場合、参照テーブルデータD2は予め複合機100の記憶部8に記憶される。例えば、複合機100の管理者が、参照テーブルデータD2を作成し複合機100に入力する。この参照テーブルデータD2の入力は、複合機100の操作パネル4に対する入力で行われてもよいし、いずれかのPC200から参照テーブルデータD2のデータを複合機100の通信部9に向けて送信し、受信した参照テーブルデータD2を記憶部8が取り込むことにより行われてもよい。
【0071】
そして、複合機100の制御部1は、印刷ジョブデータを複合機100に送信したPC200のアドレス情報に対応づけて、「部」、「課」の所属情報や、「座席No」や「座席グループ」の座席情報や、「使用者」の情報を印刷履歴データD1(印刷者情報)として、データ名に関連づけて記憶部8に記憶させてもよい。
【0072】
そして、複合機100の制御部1は、いずれかのPC200から通信部9が受信した印刷ジョブデータのデータ名と、記憶部8に記憶される印刷履歴データD1におけるデータ名を比較する。そして、印刷履歴データD1におけるデータ名の中に、受信した印刷ジョブデータのデータ名と一致するものがあるかを確認する。言い換えると、受信した印刷ジョブデータが、印刷履歴データD1におけるいずれかのデータ名と一致する同名印刷ジョブデータかを確認する。印刷履歴データD1中のいずれかのデータ名と一致すれば、複合機100の制御部1は、通信部9からPC200に向けて、一致したデータ名に関連づけて記憶されている所属情報や、座席情報や、使用者の情報を印刷者情報として送信する。
【0073】
PC200の処理部24は、例えば、複合機100をプリンタとして利用するためのドライバソフトウェアに従い、データ通信部25が受信した印刷者情報の内容をディスプレイ22に表示させる。これにより、印刷ジョブデータをPC200から送信した者(複合機100で印刷しようとした使用者)に対し、以前に同様の印刷ジョブが行われ、印刷物を共用(共有)できる可能性を通知することができる。そこで、図6に基づき、印刷者情報の表示の一例を説明する。
【0074】
(印刷者情報の表示)
次に、図6に基づき、本発明の実施形態に係る印刷者情報の表示の一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る印刷者情報表示画面S1の一例を示す説明図である。
【0075】
PC200の処理部24は、印刷者情報を複合機100から受信すると、ディスプレイ22に図6に示すような印刷者情報表示画面S1を表示させる。例えば、処理部24は、印刷者情報表示画面S1をダイアログとして表示させ、他の画面よりも手前に表示させる。
【0076】
処理部24は、印刷者情報表示画面S1内に、受信した印刷者情報を表示する。図6に示すように、例えば、印刷者情報として、所属情報、座席情報、使用者名が表示される。これにより、以前に印刷した者に確認して、印刷物を共用できるかを確認することができる。
【0077】
尚、同じ書類が印刷された回数は、1回とは限られず、複数回に及ぶ場合もある。この場合、複合機100の記憶部8は、印刷履歴データD1内に、同じデータ名の履歴を2件以上含む。そこで、印刷者情報表示画面S1内に表示される印刷者情報は、1件とは限らず、複数件であってもよい(図6に示す例では2件分)。即ち、同名印刷ジョブデータに対し、記憶部8が、複数の印刷済の印刷ジョブデータのデータ名を記憶しているとき、通信部9は、同名同じデータ名の印刷ジョブデータを送信したコンピュータ(例えば、PC200)に向けて、いずれか1つ又は複数の印刷者情報を送信する。
【0078】
更に、印刷者情報表示画面S1には、印刷実行ボタンB1と印刷中止ボタンB2が配される。印刷実行ボタンB1は、印刷者情報を受けたものの、それでも印刷を実行する際に押される。印刷中止ボタンB2は、印刷者情報を受け、印刷物を共用して印刷不要となった際に押される。尚、使用者は、PC200のキーボードやマウス等の入力部21を用いて、各ボタンを選択する。
【0079】
PC200の処理部24は、印刷実行ボタンB1が押されたことを認識すると、データ通信部25から複合機100の通信部9に向けて、印刷実行指示を送信させる。通信部9が印刷実行指示を受信したことをトリガとして、複合機100の制御部1は、画像処理部24や画像形成部6の各部を制御し、同名印刷ジョブデータに基づき印刷を行わせる。言い換えると、印刷者情報を送信する場合、複合機100は直ちに印刷を開始せず、印刷実行指示があった後、同名印刷ジョブデータに基づき印刷を行う。
【0080】
一方、PC200の処理部24は、印刷中止ボタンB2が押されたことを認識すると、データ通信部25から複合機100の通信部9に向けて、印刷中止指示を送信させる。複合機100の制御部1は、通信部9が印刷中止指示を受信したことをトリガとして、記憶部8に一時的に蓄えていた印刷ジョブデータを破棄させる。この場合、印刷ジョブデータに基づく印刷は行われない。
【0081】
即ち、本発明の画像形成システム300でのコンピュータ(例えば、PC200)は、入力部21を有し、入力部21は、印刷者情報を受信すると、このまま送信した印刷ジョブデータに基づき印刷を行う旨の印刷実行指示と、印刷を中止する旨の印刷中止指示を受け付け、コンピュータは、画像形成装置(例えば、複合機100)の通信部9に、入力部21への入力に従い、印刷実行指示又は印刷中止指示を送信し、画像形成装置(例えば、複合機100)の画像形成部6は、印刷実行指示又は印刷中止指示に従い、同名印刷ジョブデータの印刷を実行又は中止する。
【0082】
尚、PC200のディスプレイ22に印刷者情報表示画面S1が表示される例を示した。しかし、操作パネル4の液晶表示部41に同様の表示がなされてもよい。又、操作パネル4が、印刷者情報がPC200に送信された印刷ジョブデータに基づき、印刷を行うか否かを受け付けてもよい。
【0083】
(印刷者情報の送信設定)
次に、図7に基づき本発明の実施形態に係る印刷者情報の送信設定の一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る印刷者情報の送信設定画面S2の一例を示す説明図である。
【0084】
複合機100の操作パネル4の液晶表示部41には、印刷者情報の送信について設定するための送信設定画面S2を表示させることができる。複合機100の管理者や使用者は、操作パネル4に対する操作を行い、送信設定画面S2を表示させる。
【0085】
複合機100が受信した印刷ジョブデータのデータ名と一致するデータ名が、印刷履歴データD1に複数含まれている場合がある。よく用いられるひな形や届出書などの文書の場合、十数件〜数十件以上、一致するデータ名が存在する場合も考えられる。あまりに多数の印刷者情報がPC200のディスプレイ22に表示されても煩わしい。そこで、印刷者情報の送信設定画面S2では、PC200や操作パネル4に表示させる印刷者情報の件数の上限(複合機100からPC200に送信する印刷者情報の件数)を設定することができる。例えば、同時送信件数設定欄C1を押し、テンキー部44を用いて件数の上限を設定する(図7には、2件分の印刷者情報を複合機100が送信する例を示す)。
【0086】
又、複合機100が受信した印刷ジョブデータのデータ名と印刷履歴データD1に含まれるデータ名とが一致する件数が、同時送信件数設定欄C1で設定された件数よりも多い場合、絞り込む必要がある。そこで、送信設定画面S2では、印刷履歴データD1に対応して、絞り込みの条件を設定することができる。
【0087】
例えば、送信設定画面S2に、複数の絞り込みにおける絞込条件を設定することができる。図7に示すように、絞り込みの条件を設定するためプルダウンメニュー形式の絞込条件設定欄C2が設けられる。
【0088】
使用者は、絞込条件設定欄C2の「▼」を押す。そうすると、操作パネル4の表示制御部408は、絞込条件の一覧を表示させる。「座席No」を選択すると、印刷ジョブデータを送信した者の座席Noに最も近い(差が少ない)、座席Noの印刷者情報が抽出される。「座席グループ」を選択すると、印刷ジョブデータを送信した者と同じ座席グループの印刷者情報が抽出される。「課」を選択すると、印刷ジョブデータを送信した者と同じ課の印刷者情報が抽出される。「部」を選択すると、印刷ジョブデータを送信した者と同じ課の印刷者情報が抽出される。尚、絞込条件が1つだけでは絞込きれない場合もあるので、複数個の絞込条件設定欄C2を設けるようにしてもよい。
【0089】
即ち、複合機100は、予め定められた数の印刷者情報を、所属情報及び/又は座席情報について、予め定められた条件に基づき選択する制御部1を有し、同名印刷ジョブデータを受信したとき、同名印刷ジョブデータに対し、記憶部8が、複数の印刷済の印刷ジョブデータのデータ名を記憶している場合、通信部9は、制御部1が選択した1つ又は複数の印刷者情報を、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータ(例えば、PC200)に向け、印刷者情報を送信する。
【0090】
又、複合機100が受信した印刷ジョブデータのデータ名と一致するデータ名が印刷履歴データD1に含まれるものの、たまたまデータ名が同じで、印刷物の内容(書類、文書の内容)が異なる場合がある。そこで、印刷者情報の送信設定画面S2では、以前に印刷された印刷ジョブデータの画像データの一部又は全部を印刷者情報に付して、複合機100からPC200に向けて送信するか否かを設定することができる。この画像データ送信を行うか否かを設定するため、有キーK1と無キーK2が設けられる。
【0091】
有キーK1が押されると、以後、複合機100の制御部1は、通信部9から印刷者情報に対応する印刷ジョブデータの画像データの一部又は全部をPC200に向けて送信する。PC200の処理部24は、受信した画像データを、受信した印刷者情報に基づく印刷者情報表示画面S1とともに画像データをPC200のディスプレイ22に表示させる。尚、PC200に送信する印刷者情報が複数件の場合、画像データもあわせて複数件分、複合機100の通信部9からPC200のデータ通信部25に送信され、PC200の処理部24は、複数種の画像データをディスプレイ22に表示させる。
【0092】
有キーK1が押され、印刷者情報に、印刷者情報に対応する画像データを付してPC200に送信する設定がなされると、複合機100の記憶部8は、印刷した印刷ジョブデータの画像データを記憶する。
【0093】
即ち、記憶部8は、印刷済の印刷ジョブデータのうち、一部又は全てのページの画像データをデータ名に対応づけて記憶し、通信部9は同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータ(例えば、PC200)に向け、印刷者情報とともに画像データを送信する。
【0094】
ここで、印刷ジョブデータには、複数ページ分に及ぶ画像データが含まれる場合があるので、各印刷ジョブデータについて全ページ分のデータを記憶部8に記憶させ、全ページ分の画像データが印刷者情報に付してPC200に送信されてもよい。しかし、使用者にとっては、以前に印刷された印刷ジョブデータが、自己が印刷しようとする書類、文書と同じものかを確認できればよい。又、画像データの送受信処理や表示処理を行うには時間を要し、その分だけ制御部1や処理部24が行うべきデータ処理は多くなる。そこで、複合機100の記憶部8は、印刷した印刷ジョブデータの画像データのうち、最初のページの画像データのみを記憶し、制御部1は、最初のページの画像データのみを印刷者情報に付して通信部9から送信してもよい。
【0095】
一方、無キーK2が押されると、以後、複合機100の制御部1は、通信部9から印刷者情報に対応する印刷ジョブデータの画像データの一部又は全部をPC200に向けて送信しない。又、複合機100の記憶部8は、印刷した印刷ジョブデータの画像データを記憶しない。
【0096】
そして、送信設定画面S2には、OKキーK3とキャンセルキーK4が配される。キャンセルキーK4は印刷者情報の送信の設定をキャンセルする場合に押される。OKキーK3は、送信設定画面S2になされた入力を保存し、印刷者情報の送信を完了する場合に押される。
【0097】
OKキーK3が押されると、表示制御部408は、送信設定画面S2になされた入力の内容を把握し、把握した入力内容を示すデータを制御部1に送信する。制御部1は、記憶部8に送信設定画面S2での設定内容を記憶させる。そして、設定内容に基づき、制御部1は、通信部9から印刷者情報を送信させる。
【0098】
尚、複合機100の操作パネル4に対し、印刷者情報の送信の設定を行う例を説明したが、印刷者情報の設定は、PC200側でできるようにしてもよい。例えば、複合機100をプリンタとして使用するためのドライバソフトウェアに従い、図7に示した送信設定画面S2と同様の画面をディスプレイ22に表示させる。そして、処理部24は、入力部21での入力に応じて、ディスプレイ22に表示された送信設定画面S2での設定内容を、PC200の記憶部23に記憶させる。そして、処理部24は、設定内容を複合機100に向けて送信させてもよい。この場合、複合機100の記憶部8は、PC200から送信された設定内容を記憶し、複合機100の制御部1は、各PC200の使用者ごとに、記憶した設定内容に基づいて印刷者情報の送信を通信部9から行わせる。又、設定内容はPC200の記憶部23に記憶させておき、処理部24が、複合機100から送信された印刷者情報を加工して、設定内容に沿う印刷者情報の表示をディスプレイ22に行わせてもよい。
【0099】
(印刷者情報の表示制御の流れ)
次に、図8に基づき、本発明の実施形態に係る印刷者情報の表示制御の流れの一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る印刷者情報の表示制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0100】
まず、図8のスタートは、あるPC200から印刷ジョブデータが送信され、複合機100の通信部9が印刷ジョブデータを受信した時点である。言い換えると、使用者が、印刷の実行指示をPC200に対し行い、PC200が印刷ジョブデータを送信し、複合機100が受信した時点である。
【0101】
複合機100が印刷ジョブデータを受信すると、複合機100の制御部1は、印刷履歴データD1の中に、受信した印刷ジョブデータと同じデータ名が有る否かを確認する(ステップ♯1)。言い換えると、制御部1は、受信した印刷ジョブデータのデータ名が、印刷履歴データD1として記憶されたデータ名と一致する同名印刷ジョブデータであり、同じものを過去に印刷したかを確認する(ステップ♯1)。
【0102】
もし、受信した印刷ジョブデータが同名印刷ジョブデータで無ければ(ステップ♯1のNo)、制御部1は、受信した印刷ジョブデータに基づき、印刷を行わせる(ステップ♯2)。そして、制御部1は、印刷した印刷ジョブデータについての印刷履歴データD1(データ名及び印刷者情報)を記憶部8に記憶させ、印刷履歴データD1の内容を更新する(ステップ♯3→エンド)。
【0103】
一方、受信した印刷ジョブデータが同名印刷ジョブデータで有れば(ステップ♯1のYes)、制御部1は、印刷ジョブデータを送信したPC200に向けて送信する印刷者情報を決定する(ステップ♯4)。このとき、印刷者情報を送信する上限数よりも、履歴データ内での同じデータ名の件数が少なければ、制御部1は、履歴データ内で同じデータ名の印刷者情報を送信すると定める。又、印刷者情報を送信する上限数よりも、履歴データ内で同じデータ名の件数が多ければ、制御部1は、予め定められた絞込条件に従い、絞込を行う。
【0104】
そして、制御部1は、通信部9からPC200のデータ通信部25に向けて、印刷者情報を送信する(ステップ♯5)。このとき、画像データを送信する設定であれば、過去に印刷された印刷ジョブデータの一部の画像データが、印刷者情報に付されて送信される。
【0105】
即ち、本発明の画像形成装置(例えば、複合機100)は、コンピュータ(例えば、PC200)と通信を行うための通信部9と、コンピュータから送信され通信部9で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部6と、印刷済の印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の印刷ジョブデータをコンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報をデータ名に関連づけて記憶する記憶部8と、を含み、通信部9は、記憶部8に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信する。又、本発明の画像形成システム300は、コンピュータと画像形成装置(例えば、複合機100)からなる画像形成システム300であって、画像形成装置は、コンピュータ(例えば、PC200)と通信を行うための通信部9と、コンピュータから送信され通信部9で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部6と、印刷済の印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の印刷ジョブデータをコンピュータから送信した者を示す情報である印刷者情報をデータ名に関連づけて記憶する記憶部8と、を含み、通信部9は、記憶部8に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信し、コンピュータは、印刷者情報を受信すると、印刷者情報を表示するディスプレイ22を有する。
【0106】
PC200のデータ通信部25は、印刷者情報を受信する(ステップ♯6)。そして、PC200の処理部24は、印刷者情報をディスプレイ22に表示させる(ステップ♯7)。印刷者情報は、印刷者情報表示画面S1に表示される。このとき、印刷者情報に画像データが付されていれば、合わせて画像データもディスプレイ22に表示される。
【0107】
そして、印刷者情報表示画面S1では、使用者により、印刷を行うか否かの入力(印刷実行ボタンB1か印刷中止ボタンB2の選択入力)が行われるので、PC200の処理部24は、印刷実行指示がなされたか(印刷実行ボタンB1が押されたか)(ステップ♯8)を確認する。
【0108】
もし、印刷実行指示があれば(ステップ♯8のYes)、PC200の処理部24は、印刷を実行すべき旨のデータをデータ通信部25から送信させ、複合機100に対し印刷実行指示を与える(ステップ♯9)。その後、ステップ♯3に移行し、印刷と履歴の記憶、更新が行われる。即ち、通信部9は、画像形成部6が画像の形成を開始する前に印刷者情報を送信し、画像形成部6は、印刷者情報に対する返信として、印刷実行指示をコンピュータ(例えば、PC200)から通信部9が受信した後、同名印刷ジョブデータに基づき印刷を開始する。
【0109】
一方、印刷実行指示が無ければ(ステップ♯8のNo)、PC200の処理部24は、印刷中止指示がなされたか(印刷中止ボタンB2が押されたか)(ステップ♯10)を確認する。
【0110】
もし、印刷中止指示がなされていない場合(ステップ♯10のNo)、ステップ♯8に戻る。一方、印刷中止指示がなされた場合(ステップ♯10のYes)、PC200の処理部24は、印刷を中止すべき旨のデータをデータ通信部25から送信させ、複合機100に対し印刷中止指示を与える(ステップ♯11)。その後、複合機100の制御部1は、受信した印刷ジョブデータを破棄し(ステップ♯12)、本制御は終了する(エンド)。即ち、画像形成部6は、通信部9が印刷者情報に対する返信として、印刷中止指示をコンピュータ(例えば、PC200)から受信したとき、同名印刷ジョブデータに基づいた印刷を行わない。
【0111】
尚、図8のフローチャートに示すように、本発明は、画像形成装置(複合機100)、画像形成システム300における表示方法の発明と捉えることもできる。具体的に、本発明の表示方法は、画像形成装置(例えば、複合機100)の記憶部8に印刷済の印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の印刷ジョブデータをコンピュータ(例えば、PC200)から送信した者を示す情報である印刷者情報をデータ名に関連づけて記憶させ、画像形成装置(例えば、複合機100)の通信部9が記憶部8に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、通信部9に同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け、データ名に関連づけられた印刷者情報を送信させ、印刷者情報を受信すると、コンピュータのディスプレイ22に印刷者情報を表示させる。
【0112】
このようにして、本発明の画像形成装置(複合機100)、画像形成システム300、表示方法によれば、通信部9は、記憶部8に記憶されたデータ名と同じデータ名の印刷ジョブデータ(同名印刷ジョブデータ)を送信したコンピュータ(例えば、PC200)に向けて、印刷者情報を送信する。これにより、印刷者情報を受信したコンピュータで、これから印刷しようとする印刷ジョブと同じ印刷ジョブを以前に画像形成装置(例えば、複合機100)に実行させた者の情報を確認することができる。従って、印刷しようとする書類、文書を既に印刷した者を通知することにより、印刷物の共用(共有)を促すことができる。又、共用すれば済む書類、文書の印刷を防ぐことができ、用紙やトナーの消費を抑え、コスト削減を図ることができる。
【0113】
又、画像形成部6は、印刷者情報に対する返信として、印刷実行指示をコンピュータ(例えば、PC200)から通信部9が受信した後、同名印刷ジョブデータに基づき印刷を開始する。これにより、印刷物を共用(共有)できる可能性がある場合、直ちには印刷を開始しないので、無駄な印刷が行われない。又、別の部署や座席位置が遠くて印刷物を共用し難い場合や、もう印刷物がなくて印刷物を共用できない場合、使用者は、印刷者情報を確認しても印刷実行指示を出す。この指示を受け、画像形成部6は印刷を行う。従って、使用者の意志に基づき、必要な場合にのみ印刷が行われる。言い換えると、必要な場合にのみ、同じ印刷物の印刷が重複して行われることになり、無駄な印刷を防ぐことができる。
【0114】
又、画像形成部6は、通信部9が印刷者情報に対する返信として、印刷中止指示をコンピュータ(例えば、PC200)から受信したとき、同名印刷ジョブデータに基づいた印刷を行わない。これにより、印刷物を共用(共有)できるとき、無駄な印刷は行われない。又、記憶部8は、印刷者情報として、少なくとも、コンピュータが所属する部署を示す情報である所属情報、コンピュータが設置された座席位置に関する情報である座席情報、コンピュータの使用者名のいずれか、又は、複数の組み合わせを記憶部8に記憶する。これにより、印刷者情報を受けたコンピュータで、同じ書類、文書を印刷した者の詳細を知ることができる。従って、容易に印刷物の共用(共有)を行うことができる。
【0115】
又、通信部9は、記憶部8が、同名印刷ジョブデータに対し、複数の印刷済の印刷ジョブデータのデータ名を記憶しているとき、いずれか1つ又は複数の印刷者情報を送信する。これにより、使用者は、印刷者情報を受けたコンピュータ(例えば、PC200)で、同じ書類、文書を印刷した複数の者を知ることができる。従って、より容易に印刷物の共用(共有)を行うことができる。又、通信部9は、予め定められた条件に基づき、制御部1が選択した1つ又は複数の印刷者情報を、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータに向け印刷者情報を送信する。これにより、条件を定めておくことで、例えば、座席が近い、同じ部署に属するといった、使用者にとって価値ある印刷者情報を通知することができる。
【0116】
又、通信部9は、同名印刷ジョブデータを送信したコンピュータ(例えば、PC200)に向け、印刷者情報とともに画像データを送信する。印刷しようとするファイルに対して、各使用者は自由に名前を付すことができるので、印刷ジョブデータのデータ名が同じでも、内容が異なることがある。しかし、本発明では、使用者は、印刷ジョブデータを送信したコンピュータで、以前に印刷された同名印刷ジョブデータの内容を確認することができる。これにより、使用者は、印刷しようとする印刷物と、以前に印刷された印刷物の内容が同じか否かを確認することができる。
【0117】
又、コンピュータ(例えば、PC200)は、画像形成装置(例えば、複合機100)の通信部9に、入力部21への入力に従い印刷実行指示又は印刷中止指示を送信し、画像形成装置(例えば、複合機100)の画像形成部6は、印刷実行指示又は印刷中止指示に従い、同名印刷ジョブデータの印刷を実行又は中止する。これにより、使用者は、コンピュータに表示された印刷者情報に基づき、このまま印刷を行うか否かを定めることができる。従って、必要な場合にのみ、以前に印刷された印刷物と同じものが印刷され、印刷物を共用(共有)できるとき、無駄な印刷は行われない。
【0118】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、画像形成装置や、画像形成装置とコンピュータを含む画像形成システム300に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
100 複合機(画像形成装置) 1 制御部
6 画像形成部 8 記憶部(画像形成装置内)
9 通信部 200 PC(コンピュータ)
21 入力部 22 ディスプレイ
300 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータと通信を行うための通信部と、
前記コンピュータから送信され前記通信部で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部と、
印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータを前記コンピュータから送信した者を示す情報である前記印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶する記憶部と、を含み
前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記データ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記画像形成部が画像の形成を開始する前に前記印刷者情報を送信し、
画像形成部は、前記印刷者情報に対する返信として、印刷実行指示を前記コンピュータから前記通信部が受信した後、前記同名印刷ジョブデータに基づき、印刷を開始することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、前記通信部が前記印刷者情報に対する返信として、印刷中止指示を前記コンピュータから受信したとき、前記同名印刷ジョブデータに基づいた印刷を行わないことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記印刷者情報として、少なくとも、印刷済の前記印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータが所属する部署を示す情報である所属情報、前記コンピュータが設置された座席位置に関する情報である座席情報、前記コンピュータの使用者名のいずれか、又は、複数の組み合わせを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記同名印刷ジョブデータに対し、前記記憶部が、複数の印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名を記憶しているとき、
前記通信部は、前記同名同じデータ名の前記印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向けて、いずれか1つ又は複数の前記印刷者情報を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
予め定められた数の前記印刷者情報を、前記所属情報及び/又は前記座席情報について予め定められた条件に基づき選択する制御部を有し、
前記同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータに対し、前記記憶部が、複数の印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名を記憶している場合、
前記通信部は、前記制御部が選択した1つ又は複数の前記印刷者情報を、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記印刷者情報を送信することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶部は、印刷済の前記印刷ジョブデータのうち、一部又は全てのページの画像データを前記データ名に対応づけて記憶し、
前記通信部は、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記印刷者情報とともに前記画像データを送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータと画像形成装置からなる画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
前記コンピュータと通信を行うための通信部と、
前記コンピュータから送信され前記通信部で受信された印刷ジョブデータに基づき、画像を形成する画像形成部と、
印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータを前記コンピュータから送信した者を示す情報である前記印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶する記憶部と、を含み
前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記データ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信し、
前記コンピュータは、前記印刷者情報を受信すると、前記印刷者情報を表示するディスプレイを有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
前記コンピュータは、入力部を有し、
前記入力部は、前記印刷者情報を受信すると、このまま送信した前記印刷ジョブデータに基づき印刷を行う旨の印刷実行指示と、印刷を中止する旨の印刷中止指示を受け付け、
前記コンピュータは、前記画像形成装置の前記通信部に、前記入力部への入力に従い、前記印刷実行指示又は前記印刷中止指示を送信し、
前記画像形成装置の画像形成部は、前記印刷実行指示又は前記印刷中止指示に従い、前記同名印刷ジョブデータの印刷を実行又は中止することを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
画像形成装置の記憶部に印刷済の前記印刷ジョブデータのデータ名と、印刷済の前記印刷ジョブデータをコンピュータから送信した者を示す情報である前記印刷者情報を前記データ名に関連づけて記憶させ、
画像形成装置の通信部が記憶部に記憶されたデータ名と同じデータ名の前記印刷ジョブデータである同名印刷ジョブデータを受信したとき、前記通信部に前記同名印刷ジョブデータを送信した前記コンピュータに向け、前記データ名に関連づけられた前記印刷者情報を送信させ、
前記印刷者情報を受信すると、前記コンピュータのディスプレイに前記印刷者情報を表示させることを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81607(P2012−81607A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228006(P2010−228006)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】