説明

画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラム

【課題】フィルタ間の独立を維持することが可能な画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】従来の画像形成装置の各フィルタが行っていた画像データの形式を変換する処理を実行する画像処理手段を設け、画像変換処理を行う箇所を共通化することにより、フィルタ間の依存関係をなくしてフィルタ間の独立を維持し、画像形成装置の機能のカスタマイズや拡張等を容易に行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力制御手段と出力制御手段との接続によりアプリケーションが構築される画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置では、例えば特許文献1に記載されているように、パイプ&フィルタの概念を適応し、機能のカスタマイズや拡張等を簡便化させたものがある。パイプ&フィルタを適用した画像形成装置では、画像データの入力を実現する入力フィルタ、画像データの加工を実現する加工フィルタ、画像データの出力を実現する出力フィルタを有する。この画像形成装置では、フィルタから出力された画像データを次のフィルタへ伝達するパイプによって各フィルタが接続されることにより、一機能を実現するアプリケーションが構築される。
【0003】
したがってパイプ&フィルタの概念が適用された画像形成装置では、画像形成装置の機能のカスタマイズや拡張等を行う際には、対応するフィルタを変更、追加、削除するだけで容易に行うことができる。
【0004】
例えばコピー機能を実現する場合には、入力フィルタの一つである読取フィルタ、読取フィルタが読み取った画像データを加工する加工フィルタ、出力フィルタの一つである印刷フィルタが接続され、画像データの読み取りから印刷までの機能が実現される。またFAX機能を実現する場合には、読取フィルタ、加工フィルタ、出力フィルタの一つであるFAX送信フィルタが接続され、画像データの読み取りからFAX送信までの機能が実現される。
【特許文献1】特開2007−325251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の画像形成装置では、各フィルタで取り扱われる画像データの形式は、画像形成装置において実現される機能(アプリケーション)毎に異なる。
【0006】
例えば画像形成装置がコピー実行要求を受けた場合、各フィルタは、印刷フィルタから出力される画像データの形式であるCMYK形式で画像データを取り扱う。また画像形成装置がFAX送信要求を受けた場合、各フィルタは、FAX送信フィルタから出力される画像データの形式であるmmr形式で画像データを取り扱う。
【0007】
したがって従来の画像形成装置では、処理の実行要求を受けたとき、各フィルタが処理の種類を判断し、処理の種類に合わせて画像データの形式を変換する処理を行う必要がある。このため処理の種類に応じてフィルタ間に依存関係が生じる。よって、例えば一つのフィルタを変更した場合には、この変更に伴い別のフィルタで行われる変換処理の内容を変更しなければならず、フィルタ間の独立が維持できない。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、フィルタ間の独立を維持することが可能な画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0010】
本発明は、入力装置から画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力フィルタと、出力装置から出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力フィルタと、前記入力フィルタによる入力処理により入力された画像データの形式を前記出力フィルタによる出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理手段と、を有し、前記画像処理手段は、前記複数の入力フィルタ及び前記複数の出力フィルタに共有される構成とする。
【0011】
また本発明の画像形成装置において、前記画像処理手段は、当該画像形成装置の有する記憶装置において、予め設けられた共有記憶領域を用いて前記変換処理を実行する構成とする。
【0012】
また本発明の画像形成装置は、前記入力装置と前記出力装置とを制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記記憶装置に設けられた前記共有記憶領が利用可能であるとき、前記入力装置及び前記出力装置を動作させる構成とする。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記入力フィルタの種類と、前記出力フィルタの種類とに基づき、前記入力装置と前記出力装置との制御方式を決定する構成とする。
【0014】
また本発明の画像形成装置において、前記制御方式は、前記入力装置と前記出力装置とを同期して動作させる第一の制御方式と、前記入力装置が画像データを入力する動作を停止した後に、前記出力装置を動作させて前記画像データを出力させる第二の制御方式である構成とする。
【0015】
本発明は、画像データが入力される入力装置と、画像データが出力される出力装置とを有する画像形成装置による画像形成方法であって、画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力制御手順と、出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力制御手順と、前記入力制御手順による入力処理により入力された画像データの形式を前記出力制御手順による出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理手順と、を有し、前記画像処理手順は、前記複数の入力制御手順及び前記複数の出力制御手順に共有される方法とする。
【0016】
本発明は、画像データが入力される入力装置と、画像データが出力される出力装置とを有する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力制御ステップと、出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力制御ステップと、前記入力制御ステップによる入力処理により入力された画像データの形式を前記出力制御ステップによる出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理ステップと、を実行させ、前記画像処理ステップは、前記複数の入力制御ステップ及び前記複数の出力制御ステップに共有されるプログラムとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルタ間の独立を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、従来の画像形成装置の各フィルタが行っていた画像データの形式を変換する処理を実行する画像処理手段を設け、この処理を行う箇所を共通化することにより、フィルタ間の依存関係をなくしてフィルタ間の独立を維持し、画像形成装置の機能のカスタマイズや拡張等を容易に行えるようにした。
【0019】
また本発明では、画像処理手段による処理に使用されるメモリをアプリケーションの種類に関わらず共有し、必要に応じて必要なリソースを確保するように構成することで、少ないメモリで効率的に画像データの形式を変換する処理を行えるようにした。
【0020】
(実施形態)
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置100の構成を説明するための図である。
【0021】
図1は、画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライブ装置13、補助記憶装置(以下、HDD)14、メモリ装置15、演算処理装置16およびインターフェイス装置17で構成される。
【0022】
スキャン装置11は紙原稿等をスキャンして画像データを入力する。プロッタ装置12は、画像データを印刷用紙等の記録媒体に印刷して出力する。インターフェイス装置17は、モデム、LANカード等で構成されており、画像形成装置100を電話回線に接続する為や、ネットワークに接続する為に用いられる。またインターフェイス装置17は、ネットワークを介して画像データの送信(出力)と受信(入力)を行う。操作パネル18は、画像形成装置100の操作を行うためのものであり、表示機能を有するタッチパネル等により実現される。FAX装置19は、インターフェイス装置17を介して電話回線により画像データを外部装置へ送信(出力)するためのものである。
【0023】
本発明の画像形成プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像形成プログラムは例えば記録媒体20の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像形成プログラムを記録した記録媒体20は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、画像形成プログラムを記録した記録媒体20がドライブ装置13にセットされると、画像形成プログラムは記録媒体20からドライブ装置13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像形成プログラムは、インターフェイス装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0025】
HDD14は、インストールされた画像形成プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像形成プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像形成プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
図2は、本実施形態の画像形成装置100のソフトウェア構成を示す図である。画像形成装置100は、画像形成装置100の動作を制御するソフトウェア(画像形成プログラム)であるコントローラ200が、画像形成装置100の有するハードウェアを制御することで各種機能を実現する。
【0027】
コントローラ200は、ユーザインターフェース層210、コントロール層220、アプリケーションロジック層230、デバイスサービス層250、アスペクト層260等により構成されている。
【0028】
ユーザインターフェース層210は、画像形成装置100のユーザからの要求や、画像形成装置100が接続されたネットワークを介して行われる要求の受付を行う。またユーザインターフェース層210は、コントロール層220に対して受け付けた要求の実行を委譲する。
【0029】
コントロール層220は、ユーザインターフェース層210が受け付けた要求を実現するために、後述するアプリケーションロジック層230に実装されたフィルタの組み合わせを行う。
【0030】
アプリケーションロジック層230は、画像形成装置100において提供される機能の一部を実現するフィルタ群が実装されている部分である。画像形成装置100では、アプリケーションロジック層230に実装されたフィルタをコントロール層220により組み合わせることにより、アプリケーションが構築されて一つの機能が実現される。アプリケーションロジック層230の詳細は後述する。
【0031】
デバイスサービス層250は、ハードウェア(デバイス)を制御するプログラムモジュールが実装された部分である。デバイスサービス層250は、アプリケーションロジック層230により利用される。デバイスサービス層250の詳細は後述する。
【0032】
アスペクト層260は、上記各層に横断的に影響するロジックを扱う。各層に横断的に影響するロジックとは、例えば画像形成装置100に対するアクセス制御、画像形成装置100の使用履歴の管理、画像形成装置100の利用に対する課金の管理等である。
【0033】
図3は、アプリケーションロジック層230を説明するための図である。アプリケーションロジック層230は、フィルタの一種であるアクティビティ231、機能提供フィルタ群240を有する。
【0034】
アクティビティ231は、コントロール層220により組み合わされたフィルタ同士を接続し、要求された処理を実行させる。アクティビティ231には、コピーアクティビティ232、FAXアクティビティ233、プリンタアクティビティ234、保管アクティビティ235、マルチアクティビティ236が含まれる。
【0035】
機能提供フィルタ群240は、入力フィルタである読取フィルタ241、保管文書読出フィルタ242、FAX受信フィルタ243、PC受信フィルタ244、入力フィルタから入力された画像データを加工する加工フィルタ245、出力フィルタである印刷フィルタ246、文書登録フィルタ247、FAX送信フィルタ248、メール送信フィルタ249を含む。
【0036】
読取フィルタ241は、スキャナ装置11により紙原稿を読み取る機能を提供する。保管文書読出フィルタ242は、永続領域(例えばHDD14)に保管されたデータを読み出す機能を提供する。FAX受信フィルタ243は、電話回線により受信されたデータを読み出す機能を提供する。加工フィルタ245は、入力フィルタから入力された画像データを加工する機能を提供する。印刷フィルタ246は、画像データをプロッタ装置12から出力させる機能を提供する。保管文書登録フィルタ247は、入力されたデータを永続領域に保管する機能を提供する。FAX送信フィルタ248は、入力されたデータを電話回線により送信する機能を提供する。メール送信フィルタ249は、入力されたデータをネットワーク回線により送信する機能を提供する。
【0037】
コピーアクティビティ232は、読取フィルタ241、加工フィルタ245、印刷フィルタ246を接続してコピー要求を実現する。FAXアクティビティ233は、FAX受信フィルタ243、FAX送信フィルタ248又は印刷フィルタ246を組み合わせてFAX要求を実現する。プリンタアクティビティ234は、PC受信フィルタ244と印刷フィルタ245を接続してプリント要求を実現する。保管アクティビティ235は、読取フィルタ241、FAX受信フィルタ243、PC受信フィルタ244の何れか一と、保管文書登録フィルタ247を接続して文書保管要求を実現する。マルチアクティビティ236は、機能提供フィルタ群240に含まれるフィルタを組み合わせて様々な要求を実現する。
【0038】
図4は、本実施形態のデバイスサービス層250を説明するための図である。
【0039】
デバイスサービス層250は、システム制御部251、画像処理部252、文書蓄積部253、エンジン制御部254を有する。
【0040】
システム制御部251は、デバイスサービス層250全体の動作を制御する。画像処理部252はメモリ装置15と接続されており、メモリ装置15の制御を行う。また画像処理部252は、入力フィルタから入力された画像データの形式を出力フィルタから出力可能な画像データの形式に変換する以下、この変換を画像変換処理と呼ぶ。画像処理部252は、フィルタの指示に従って画像変換処理を行う。本実施形態の画像処理部252は、画像変換処理を行う際に、メモリ装置15内に設けられた共有メモリ151を用いて画像変換処理を行う。共有メモリ151、画像変換処理については後述する。
【0041】
文書蓄積部253は、HDD14に接続されている。文書蓄積部253は、永続的に保存する画像データをHDD14に蓄積する。また文書蓄積部253は、HDD14に蓄積された画像データを読み出すことができる。
【0042】
エンジン制御部254は、スキャナ装置11、プロッタ装置12、インターフェイス装置17、FAX装置19と接続されており、各装置の制御を行う。
【0043】
図5は、エンジン制御部254の詳細を説明する図である。
【0044】
エンジン制御部254は、共通エンジン制御部255、読取制御部256、送受信制御部257、印刷制御部258を有する。
【0045】
共通エンジン制御部255は、エンジン制御部254全体を制御する。読取制御部256は、スキャナ装置11の制御を行う。送受信制御部257は、インターフェイス装置17及びFAX装置17におけるデータの送受信を制御する。印刷制御部258は、プロッタ装置12の制御を行う。
【0046】
ここで、図6を参照して本実施形態の画像形成装置100の動作の概要について説明する。本実施形態の画像形成装置100では、画像処理部252を設けたことにより、従来では各フィルタが行っていた画像変換処理を一括して行うことができる。
【0047】
図6は、画像形成装置100の動作の概要について説明するための図である。図6(A)は本実施形態の画像形成装置100がコピー要求を受け付けた場合の動作を示し、図6(B)は本実施形態の画像形成装置100がFAX送信要求を受け付けた場合の動作を示す。
【0048】
図6(A)に示すように画像形成装置100がコピー要求を受けると、コピーアクティビティ232は読取フィルタ241、加工フィルタ245、印刷フィルタ246を接続する。読取フィルタ241は、スキャナ装置11より原稿を読み取って画像データとし、この画像データと要求の種類を示す情報とを画像処理部252へ渡す。
【0049】
図6(A)では、要求の種類は「コピー」である。画像処理部252は、要求の種類から、渡された画像データがCMYK形式で取り扱われると判断する。画像処理部252は、共有メモリ151を用いて読取フィルタ241から渡された画像データの形式をCMYK形式に変換する処理を行う。
【0050】
共有メモリ151は、画像処理部252が画像変換処理を行う際に用いられるメモリ領域であり、メモリ装置15内に設けられている。本実施形態では、画像処理部252が画像変換処理を行う場合、要求の種類に関わらず共有メモリ151を使用する。画像処理部252は、CMYK形式に変換された画像データを読取フィルタ241の後段に接続された加工フィルタ245へ渡す。
【0051】
加工フィルタ245は、CMYK形式の画像データを渡されると、画像データの加工を行い、加工後の画像データを画像処理部252へ渡す。加工フィルタ245による加工とは、例えば画像データの回転、縮小、拡大、集約等である。画像処理部252は、加工後の画像データを再度CMYK形式の画像データへ変換し、印刷フィルタ246へ渡す。印刷フィルタ246は、渡された画像データをプロッタ装置12により出力すれば良い。
【0052】
図6(B)に示すようにFAX要求を受けると、FAXアクティビティ233は読取フィルタ241、加工フィルタ245、FAX送信フィルタ248を接続する。読取フィルタ241は、スキャナ装置11により原稿を読み取って画像データとし、この画像データと要求の種類を示す情報とを画像処理部252へ渡す。
【0053】
図6(B)では、要求の種類は「FAX送信」であるから、画像処理部252は、画像データがmmr形式で取り扱われると判断する。そして画像処理部252は、共有メモリ151を用いて読取フィルタ241から渡された画像データの形式をmmr形式に変換する処理を行う。画像処理部252は、mmr形式に変換された画像データを読取フィルタ241の後段に接続された加工フィルタ245へ渡す。後の処理は図6(A)と同様に加工フィルタ245により加工し、画像処理部252により画像データをmmr形式に変更してFAX送信フィルタ248へ渡すことができる。
【0054】
このように本実施形態では、各フィルタは画像データと要求の種類を示す情報とを画像処理部252に渡すだけでよく、処理の種類に応じた画像変換処理を行う必要はない。
【0055】
すなわち本実施形態では、入力フィルタは、要求された処理の種類に関わらず「入力されたら画像データを画像処理部252へ渡す」という動作のみを行えば良い。また加工フィルタ245は、要求された処理の種類に関わらず「画像処理部252から渡される画像データの加工を行い、加工された画像データを画像処理部252へ渡す」という動作のみを行えば良い。さらに出力フィルタは、要求された処理の種類に関わらず「画像処理部252から渡される画像データをそのまま出力する」という動作のみを行えば良い。
【0056】
このため本実施形態では、フィルタ間の依存関係をなくしてフィルタ間の独立を維持することができる。
【0057】
また本実施形態の画像形成装置100では、処理の種類に関わらず共有メモリ151のみで画像変換処理を行うための制御を行うため、使用メモリの容量を低減することができ、画像形成装置100を低コストとすることができる。
【0058】
以下に、共有メモリ151のみを用いた画像変換処理を実現させるための制御について説明する。
【0059】
始めに、画像変換処理の対象となる画像データの受け渡しについて説明する。図7は、画像データの受け渡しを説明する図である。
【0060】
画像形成装置100において画像データが入力される際、1画像データの入力が完了するまでは、入力フィルタ及びメモリリソース(共有メモリ151)が使用される。画像処理部252、出力フィルタも同様である。すなわち入力フィルタから入力された1画像データの画像変換処理が完了するまでは、画像処理部252及び共有メモリ151が使用される。また出力フィルタから1画像データの出力が完了するまでは、出力フィルタ及び共有メモリ151が使用される。尚実際には、入力フィルタと出力フィルタとの間に加工フィルタが接続されているため、加工フィルタと画像処理部との間にも画像データの受け渡しが発生するが、図7ではこの受け渡しの説明は省略する。また本実施形態の以下の説明でも、加工フィルタと画像処理部との間の画像データの受け渡しの説明は省略する。
【0061】
本実施形態の画像処理部252は、取り扱い可能な最小画像単位分の画像データを入力フィルタから渡されるまで画像変換処理を開始することができない。出力フィルタは、出力フィルタにおいて取り扱い可能な最小画像単位分の画像データが完成するまで出力処理を開始することができない。
【0062】
取り扱い可能な画像単位は、入力フィルタと出力フィルタの種類に依存する。例えば画像データの送受信系ではブロック単位が取り扱い可能な最小画像単位である。送受信系の入力フィルタとは、例えばFAX受信フィルタ243、PC受信フィルタ244等である。送受信系の出力フィルタとは、例えばFAX送信フィルタ248、メール送信フィルタ249等である。
【0063】
FAX受信フィルタ243とFAX送信フィルタ248は、エンジン制御部254の有する送受信制御部257によりFAX装置19を制御して画像データの送受信を行う。PC受信フィルタ244、メール送信フィルタ249は、送受信制御部257によりインターフェイス装置17を制御して画像データの送受信を行う。
【0064】
入力フィルタが読取フィルタ241、出力フィルタが印刷フィルタ246の場合、バンド単位が取り扱い可能な最小画像単位となる。読取フィルタ241は、エンジン制御部254の有する読取制御部256によりスキャナ装置11を制御して画像データを読み取る。印刷フィルタ246はプロッタ装置12を制御して画像データを印刷する。
【0065】
入力フィルタが保管文書読出フィルタ242、出力フィルタが保管文書登録フィルタ247の場合は、ページ単位が取り扱い可能な最小画像単位となる。保管文書読出フィルタ242、保管文書登録フィルタ247は、文書蓄積部253を制御してHDD14から画像データの入出力を行う。
【0066】
図8は、印刷要求実行時の画像データの受け渡しを説明する図である。図8(A)は印刷要求実行時の画像データの第一の受け渡し例を説明する図であり、図8(B)は印刷要求実行時の画像データの第二の受け渡し例を説明する図である。
【0067】
図8(A)では、取り扱う画像単位をページ単位とした例である。読取フィルタ241によりスキャナ装置11が1ページ分の画像データの読み取ると、1ページ分の画像データは画像処理部252へ渡される。画像処理部252が1ページ分の画像変換処理を行うと、画像変換処理後の1ページ分の画像データが印刷フィルタ246に渡され、プロッタ装置12から出力される。
【0068】
図8(B)では、取り扱う画像単位を最小画像単位のバンド単位とした例である。図8(B)の例では、スキャナ装置11による1バンド分の画像データの読み取りが完了すると1バンド分の画像データが画像処理部252に渡される。画像処理部252では、1バンド分の画像データの画像変換処理を行い、印刷フィルタ246へ画像変換処理後の画像データを渡す。印刷フィルタ246はプロッタ装置12により1バンド分の画像データの印刷を開始する。図8(B)の例では、この処理を時間的な空きを作ること順次行う。この処理を順次行っていくことで、図8(A)に示すページ単位での画像データの受け渡しよりも短時間で画像データの受け渡しを行うことができ、印刷処理の生産性を向上させることができる。
【0069】
図8(B)に示すように画像データを分割して受け渡しを行う場合、最終的には本来の画像データ単位分のデータが揃うことが保証されていなければならない。図8(B)の例では、最終的に1ページ分の画像データが揃うことが保証される必要がある。画像データの保証には、分割した画像データを滞りなく揃えなければならない場合と、分割した画像データが滞っても最終的に揃えられれば良い場合とがある。
【0070】
画像データの滞りとは、画像処理部252や共有メモリ151等のリソースを確保できずに待ち時間が発生した場合に生じる。したがって滞りなく画像データを揃えるためには、画像処理部252や共有メモリ151等のリソースを確保する必要がある。
【0071】
画像データを滞りなく揃えなければならない場合とは、例えは出力形態が印刷である場合や、文書保管である場合等である。
【0072】
出力形態が印刷の場合、画像データ1ページ分が間を空けることなく印刷フィルタ246(プロッタ装置12)へ出力されなければ、図9に示すように、その空いた間分が異常画像(画像抜け)となってしまう。図9は、画像データが滞った場合の画像抜けの例を示す図である。
【0073】
また出力形態が文書保存の場合は、入力側で既に画像データを取得済みであるが、画像処理部252と出力フィルタ(保管文書登録フィルタ247)とは、図10に示すように、本来の画像データ単位(1ページ単位)に、画像抜けがないように画像データ1ページ分を揃えなければならない。図10は、画像データ単位の保証を説明する図である。
【0074】
画像データが滞っても最終的に揃えられれば良い場合とは、例えば出力形態がFAX送信の場合等である。
【0075】
本実施形態では、画像データの受け渡しの際に、画像処理部252や共有メモリ151等のリソースを確保することで画像データの滞りを防止する。
【0076】
以下に本実施形態におけるリソース確保について説明する。
【0077】
本実施形態のエンジン制御部254は、二種類の制御方式により画像データの受け渡しを制御して、画像データの受け渡しの際のリソースを確保する。二種類の制御方式を、以下の説明では同期制御方式と並行制御方式と呼ぶ。
【0078】
同期制御方式とは、入力フィルタ、画像処理部252、出力フィルタおいて、それぞれが分割した画像データを受け渡しの際に空きを作ることなく順次画像データの受け渡しを実行させる制御方式である。したがって同期制御方式により画像データの受け渡しが行われている場合には、スキャナ装置11とプロッタ装置12とは同期して動作する。
【0079】
並行制御方式とは、画像処理部252、出力フィルタにおいて、分割した画像データを受け渡す際に、空きを作ることなく順次画像データの受け渡しを実行させる制御方式である。すなわち並行制御方式とは、入力フィルタにおいて既に画像データが入力済みである場合の制御方式である。したがって並列制御方式により画像データの受け渡しが行われている場合には、プロッタ装置12が動作する際は、スキャナ装置11による画像データ(プロッタ装置12から出力されている画像データ)を読み取るための動作は停止している。図11〜図13を参照して同期制御方式と並行制御方式の例を示す。
【0080】
図11は、同期制御方式の一例を示す図である。図11の例では、コピー要求を実行する際に1入力画像に対して1出力を行う例である。図11の例では、スキャナ装置11で原稿1枚を読取り、プロッタ装置12にて1枚の転写紙に出力(印刷)する。画像データは同期制御方式で受け渡しが行われるため、スキャナ装置11、画像処理部252、プロッタ装置12は、1ページ当りの画像を分割し、空きを作ることなく順次分割した画像データの受け渡しを行う。
【0081】
図12は、並行制御方式の一例を示す図である。図12の例では、コピー要求を実行する際に1入力画像を繰り返し出力する例である。図12の例では、スキャナ装置11で原稿1枚を読取り、プロッタ装置12にて画像データを複数枚の転写紙に繰り返し出力する。この場合、1ページ目は同期制御を行うことが可能だが、2枚目以降は入力側の画像データは取得済みとなる。よって画像処理部252と印刷フィルタ246(プロッタ装置12)は、入力フィルタ(スキャナ装置11)に対して並行して動いていることになる。
【0082】
図13は、並行制御方式の別の例を示す図である。図13の例では、入力画像複数ページに対して1出力画像として出力する例である。図13では、スキャナ装置11で原稿2枚を読取り、画像処理部252にて2in1に集約して画像変換処理を行った後の画像データを、プロッタ装置12にて1枚の転写紙に出力する。この場合、スキャナ装置11は、本来の処理速度にて画像を取り込んでいく。そして画像処理部252とプロッタ装置12は、必要な画像ページ数が揃った時点で処理を開始する。つまり図13の例も並行制御方式に相当する。
【0083】
本実施形態の画像形成装置100では、同期制御方式が適用される処理の種類と並行制御方式が適用される処理の種類が示されたテーブルがHDD14等に保存されていても良い。図14は、処理の種類毎の制御方式を示すテーブルの例を示す図である。
【0084】
図14のテーブルTに示すように、本実施形態では、複数画像を同時に扱う場合、すなわち複数ページの画像データを集約する場合等では、加工フィルタ245に同期制御方式を適用することができない。したがって例えば複数ページの画像データを集約して印刷する処理の場合には、画像処理部252とプロッタ装置12には並行制御方式が適用される。
【0085】
また複数画像を連続して繰り返し扱う場合、すなわち1入力画像を複数部数出力する場合等では、印刷フィルタ246に同期制御方式を適用することができない。したがって例えば1枚の原稿を複数枚コピーする場合等には、画像処理部252とプロッタ装置12には並行制御方式が適用される。
【0086】
以下に図15を参照して本実施形態の画像形成装置100の動作を説明する。図15は、画像形成装置100の動作を説明するシーケンス図である。
【0087】
図15では、画像形成装置100がコピー要求を実行する際の動作を示している。
【0088】
画像形成装置100がコピー要求を受けると、コントロール層220により読取フィルタ241、加工フィルタ245、印刷フィルタ246が組み合わされ、アプリケーションロジック層230のコピーアクティビティ232により各フィルタが接続される。そしてデバイスサービス層250のシステム制御部251へコピー要求が伝えられる。
【0089】
システム制御部251は、要求を受け付けると、エンジン制御部254の共通エンジン制御部255を介して読取制御部256にスキャナ装置11の制御方式を問い合わせる(ステップS1、S2)。システム制御部251は、画像データの受け渡しを行う画像処理部252に対して制御方式を問い合わせる(ステップS3)。システム制御部251は、共通エンジン制御部255を介して印刷制御部258にプロッタ装置12の制御方式を問い合わせる(ステップS4、S5)。システム制御部251は、ステップS1〜ステップS5の問い合わせの結果に基づき、最終的な制御方式を決定する(ステップS6)。システム制御部251による制御方式の決定の詳細は後述する。
【0090】
図15では、ステップS6において制御方式が同期制御方式に決定されたものとして、後の処理を説明する。
【0091】
システム制御部251は、読取制御部256に対してリソースの確保が可能か否かを問い合わせる(ステップS7)。読取制御部256は、スキャナ装置11が使用可能か否かを確認し(ステップS8)、その結果をシステム制御部251へ返す。システム制御部251は、印刷制御部258に対してリソースの確保が可能か否かを問い合わせる(ステップS9)。印刷制御部258は、プロッタ装置12が使用可能か否かを確認し(ステップS10)、その結果をシステム制御部251へ返す。システム制御部251は、画像処理部252へリソースの確保が可能か否かを問い合わせる(ステップS11)。画像処理部252は、共有メモリ151の空き容量を確認し、その結果をシステム制御部251へ返す。
【0092】
システム制御部251は、リソース確保の問い合わせの結果に基づき、要求を実行するか否かを決定する(ステップS12)。システム制御部251による要求を実行するか否かの決定の詳細は後述する。
【0093】
要求の実行が決定されると、システム制御部251は、読取制御部256、印刷制御部258、画像処理部252に対して同期制御方式を設定する(ステップS13、S14、S15)。制御方式を設定すると、システム制御部251は、読取制御部256へ画像データの取得指示を行う(ステップS16)。
【0094】
読取制御部256は、指示を受けて、画像処理部252に対してリソースの確保を指示する。すなわち画像データの入力の際に必要となる共有メモリ151の確保を指示する(ステップS17)。画像処理部252は、リソース確保の結果を読取制御部252へ通知する。読取制御部256は、この通知を受けて共通エンジン制御部255にリソース確保の結果を通知する(ステップS18)。
【0095】
次にシステム制御部251は、画像処理部252に画像取得指示を行う(ステップS19)。画像処理部252は、画像変換処理に必要なリソース(共有メモリ151)を確保する(ステップS20)。画像処理部252はリソースを確保したことを共通エンジン制御部255へ通知する(ステップS21)。
【0096】
次にシステム制御部251は、印刷制御部258に画像取得指示を行う(ステップS22)。印刷制御部258は、画像処理部252に対してリソースの確保を指示する。すなわち画像データの印刷の際に必要となる共有メモリ151の確保を指示する(ステップS23)。画像処理部252は、リソース確保の結果を印刷制御部258へ通知する。印刷制御部258は、この通知を受けて共通エンジン制御部255にリソース確保の結果を通知する(ステップS24)。
【0097】
本実施形態のシステム制御部251は、読取制御部256、画像処理部252、印刷制御部258に対して画像取得指示を行うとき(ステップS16、ステップS19、ステップS22)、画像データ取得に関する設定を一括して行う。システム制御部251による設定については後述する。
【0098】
共通エンジン制御部255は、要求の実行に必要なリソースが全て確保されると、読取制御部256に画像取得を指示する(ステップS25)。読取制御部256は、この指示を受けてスキャナ装置11に画像読取指示を出す(ステップS26)。スキャナ装置11は原稿を読み取り画像データを取得する(ステップS27、S28)。スキャナ装置11により読み取られ画像データは、読取制御部256を介して画像処理部252へ渡される(ステップS29、S30)。
【0099】
画像処理部252は、受け取った画像データをコピー処理で取り扱われる画像データの形式であるCMYK形式へ変換する画像変換処理を行う(ステップS31)。画像処理部252は、画像変換処理が完了すると、変換後の画像データを印刷制御部258へ渡し、画像出力指示を行う(ステップS32)。印刷制御部258は、画像データをプロッタ装置12へ転送し、画像データを出力する(ステップS33)。本実施形態の画像形成装置100では、以上のようにしてコピー要求を実行する。
【0100】
このように、本実施形態の画像形成装置では、要求を実行する際に必要とされるリソースを確保した後に要求を実行する。よって本実施形態では、共有メモリ151のみを用いた画像変換処理を行うことができる。
【0101】
ここで図16を参照してシステム制御部251による画像データ取得に関する設定について説明する。図16は、画像データ取得に関する設定を説明する図である。
【0102】
本実施形態のシステム制御部251は、図15のステップS16、ステップS19、ステップS22において各部に画像取得指示を行う際に、受け付けたコピー要求に従って、読取制御部256に対して読取制御要求、画像処理部252に対して画像処理要求、印刷制御部258に対して印刷制御要求を設定する。またシステム制御部251は、画像データに画像データを識別するための識別子(以下、画像ID)を付与し、画像IDと各部に対する要求とを紐付けて設定する。
【0103】
図16の例では、読取制御部256に設定される読取制御要求は、「画像ID1、画像サイズA4、カラーモード」となる。また画像処理部252に設定される画像処理要求は、「画像ID1、サイズA4、カラー画像の画像変換処理」となる。印刷制御部258に設定される印刷制御要求は、「画像ID1、サイズA4、カラーモード出力」となる。
【0104】
このように本実施形態では、画像データの入力を制御する読取制御部256、画像変換処理を行う画像処理部252、画像データの出力を制御する印刷制御部258に対して、受け付けたコピー要求を実現するための要求を一括して設定することができる。この設定は画像IDで紐付けられているため、例えば同期制御方式のように画像データが分割されて順次処理される場合にも、適切な画像データの受け渡しを行うことができる。
【0105】
また本実施形態では、例えば一括設定を行った後に画像データを出力できない場合、画像データの入力制御は独立して制御される必要がある。この場合、一括設定において設定された画像データの入力に対する要求(図15の例ではて読取制御要求)を一度無効にする。
【0106】
例えば要求がコピー要求であり、一括設定を行って要求を実行した際に、印刷用紙切れ等により印刷制御部25による印刷が実行できない場合、システム制御部251は印刷制御部258に設定された印刷制御要求のみを無効とする。そして読取制御部256に設定された読取制御要求、画像処理部252に設定された画像処理要求は有効とし、読取制御部256と画像処理部252には処理を継続させることができる。
【0107】
次に図17を参照して本実施形態における制御方式の決定について説明する。図17は、制御方式の決定について説明するフローチャートである。
【0108】
システム制御部251は、読取制御部256、画像処理部252、印刷制御部258からの制御方式の問い合わせの結果を受けて、同期制御方式の適用が必要か否かをそれぞれが判断する(ステップS171)。システム制御部251は、読取制御部256、画像処理部252、印刷制御部258の全てに同期制御方式の適用が可能な場合、ステップS171で同期制御方式の適用が必要と判断し、制御方式に同期制御方式を選択する。またシステム制御部251は、読取制御部256、画像処理部252、印刷制御部258において一つでも並行制御方式が適用される場合、ステップS171で制御方式に並行制御方式を選択する。
【0109】
同期制御方式の適用が必要と判断された場合、システム制御部251は、画像データの取り扱い方を確認する(ステップS172)。そしてシステム制御部251は、画像データの取り扱い方に基づき同期制御方式が適用可能か否かを判断する。この判断は、図14に示すテーブルTを参照して行われる。
【0110】
例えばシステム制御部251は、複数画像を同時に扱う場合において加工フィルタ245を使用する処理であれば、同期制御方式の適用は不可と判断して並行制御方式を適用する。またシステム制御部251は、複数画像を連続して繰り返し扱う場合において印刷フィルタ246を使用する処理であれば、同期制御方式の適用は不可と判断して並行制御方式を適用する。
【0111】
次に図18を参照して本実施形態における要求を実行するか否かの決定について説明する。図18は、要求を実行するか否かの決定について説明するフローチャートである。
【0112】
システム制御部251は、リソース確保の問い合わせの結果に基づき、画像形成装置100が受け付けた要求を実行するために必要となる全てのリソースを確保できるか否かを確認する(ステップS181)。
【0113】
ステップS181において全てのリソースが確保できる場合、システム制御部251は同期制御方式を用いて要求を実行する。
【0114】
ステップS181において全てのリソースが確保できないまま同期制御方式を適用した場合、リソースの確保に失敗した時点で処理が停止する。その際に一度確保されたリソースは確保されたままの状態となる。このため、その他の要求受付時に動作可能であるにも関わらず、リソースを割り当てることができなくなり、要求を実行することができなくなる。
【0115】
そこでシステム制御部251は、全てのリソースが確保出来ない場合には、並行制御方式が適用可能か判断する(ステップS182)。ステップS182においてシステム制御部251は、読取制御部256がリソースを確保できない場合、並行制御方式の適用も不可能と判断し、リソースが空くまで待機する。
【0116】
またシステム制御部251は、ステップS182において読取制御部256がリソースを確保できることを確認すると(ステップS183)、並行制御方式へ切り換えて要求を実行する。この場合システムで制御部251は、読取制御部256により読み取った画像データを文書蓄積部253によりHDD14へ保存しておき、他のリソースが解放された後に入力済みの画像データに対して処理を行えば良い。
【0117】
本実施形態における要求の実行開始は、ハードウェア(スキャナ装置11、プロッタ装置12等)からの画像データの入力指示又は出力指示をトリガとしているため、複数の要求を同時に受け付けることができる。受け付けられた複数の要求は、ハードウェア側が要求実行可能な状態になると、有効になる。要求実行可能な状態とは、例えばハードウェアがスキャナ装置11の場合は、ポリゴンミラーが安定しており且つ原稿がスキャン開始可能な位置に搬送された状態である。また、ハードウェアがプロッタ装置12の場合、作像の立ち上げ準備が完了し、転写紙(印刷用紙)の画像転送開始位置まで搬送された状態である。
【0118】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本実施形態の画像形成装置100の構成を説明するための図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置100のソフトウェア構成を示す図である。
【図3】アプリケーションロジック層230を説明するための図である。
【図4】本実施形態のデバイスサービス層250を説明するための図である。
【図5】エンジン制御部254の詳細を説明する図である。
【図6】画像形成装置100の動作の概要について説明するための図である。
【図7】画像データの受け渡しを説明する図である。
【図8】印刷要求実行時の画像データの受け渡しを説明する図である。
【図9】画像データが滞った場合の画像抜けの例を示す図である。
【図10】画像データ単位の保証を説明する図である。
【図11】同期制御方式の一例を示す図である。
【図12】並行制御方式の一例を示す図である。
【図13】並行制御方式の別の例を示す図である。
【図14】処理の種類毎の制御方式を示すテーブルの例を示す図である。
【図15】画像形成装置100の動作を説明するシーケンス図である。
【図16】画像データ取得に関する設定を説明する図である。
【図17】制御方式の決定について説明するフローチャートである。
【図18】要求を実行するか否かの決定について説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
100 画像形成装置
200 コントローラ
210 ユーザインターフェース層
220 コントロール層
230 アプリケーションロジック層
250 デバイスサービス層
251 システム制御部
252 画像処理部
253 文書蓄積部
254 エンジン制御部
255 共通エンジン制御部
256 読取制御部
257 送受信制御部
258 印刷制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置から画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力フィルタと、
出力装置から出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力フィルタと、
前記入力フィルタによる入力処理により入力された画像データの形式を前記出力フィルタによる出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理手段と、を有し、
前記画像処理手段は、
前記複数の入力フィルタ及び前記複数の出力フィルタに共有される画像形成装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
当該画像形成装置の有する記憶装置において、予め設けられた共有記憶領域を用いて前記変換処理を実行する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力装置と前記出力装置とを制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記記憶装置に設けられた前記共有記憶領が利用可能であるとき、前記入力装置及び前記出力装置を動作させる請求1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記入力フィルタの種類と、前記出力フィルタの種類とに基づき、前記入力装置と前記出力装置との制御方式を決定する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御方式は、
前記入力装置と前記出力装置とを同期して動作させる第一の制御方式と、
前記入力装置が画像データを入力する動作を停止した後に、前記出力装置を動作させて前記画像データを出力させる第二の制御方式である請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像データが入力される入力装置と、画像データが出力される出力装置とを有する画像形成装置による画像形成方法であって、
画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力制御手順と、
出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力制御手順と、
前記入力制御手順による入力処理により入力された画像データの形式を前記出力制御手順による出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理手順と、を有し、
前記画像処理手順は、
前記複数の入力制御手順及び前記複数の出力制御手順に共有される画像形成方法。
【請求項7】
画像データが入力される入力装置と、画像データが出力される出力装置とを有する画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
画像処理の対象として入力される画像データの入力処理を制御する複数の入力制御ステップと、
出力される画像データの出力処理を制御する複数の出力制御ステップと、
前記入力制御ステップによる入力処理により入力された画像データの形式を前記出力制御ステップによる出力処理により出力可能な形式へ変換する変換処理を行う画像処理ステップと、を実行させ、
前記画像処理ステップは、
前記複数の入力制御ステップ及び前記複数の出力制御ステップに共有される画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−74306(P2010−74306A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237129(P2008−237129)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】