説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、およびプログラム

【課題】画像データを記憶した格納部に異常が発生した場合において、画像データの再入力の機会をより確実に確保することが可能な画像形成装置およびそれに関連する技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データD1に第1のエラーが検出される場合において、格納部5において第1のエラーが検出された位置の近傍領域(近傍トラック領域等)に格納された画像データD2を読み出して、当該画像データD2に関するエラーである第2のエラーの有無を判定する(ステップS25)。また、画像形成装置は、第2のエラーが検出される場合には、画像データD2に異常が発生している旨の通知を行う(ステップS28)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral))などの画像形成装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MFPなどの画像形成装置の中には、ハードディスクドライブ(記憶装置)を備え、当該ハードディスクドライブに格納された画像データに基づいて印刷出力動作等を実行するものが存在する。
【0003】
ハードディスクドライブにおいては、衝撃の付与等に起因して、修復不可能なエラー(アンコレクタブルエラー)等が発生することがある。このアンコレクタブルエラーは、データの書き込み時ではなくデータの読み出し時に検出される。
【0004】
画像形成装置において、ハードディスクドライブに記憶された画像データを読み出す際にこのようなエラーが検出されると、当該エラーに係る当該画像データは、正常のデータではないため、通常破棄される。
【0005】
また、特許文献1においては、画像形成装置(ディジタル複写機)がエラー発生ページ(発生したエラーに対応するページ)を特定し、当該エラー発生ページの画像データを再入力するようにユーザに指示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−13593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、画像形成装置においては、複数の画像データがハードディスクドライブ(格納部)に記憶されて利用される。
【0008】
たとえば、複数の画像データがハードディスクドライブ内の1又は複数の格納領域(「ボックス領域」あるいは単に「ボックス」とも称する)に保存された後に、複数の画像データがそれぞれ任意の時点において「ボックス」から読み出されて印刷出力が行われる。なお、ボックス領域への保存処理は「ボックス保存」とも称され、ボックス領域から画像を読み出して印刷出力する処理は、「ボックスプリント」とも称される。
【0009】
或る画像が画像形成装置内のハードディスクドライブから読み出されている途中でアンコレクタブルエラーが発生した場合には、当該アンコレクタブルエラーに起因する劣化画像の出力を回避するため、上述のように当該或る画像(第1の画像とも称する)に係る当該エラー発生データは破棄される。
【0010】
なお、このようなエラー発生データに関しては、原稿(原本)を再度スキャンすることなどによって再入力操作を行うことが可能である。
【0011】
ここにおいて、上記のようなアンコレクタブルエラーがハードディスクドライブ内の或るセクタに発生している状況においては、当該或るセクタの周辺のセクタにも同様のエラーが生じている可能性が高い。すなわち、周辺セクタに記憶されている他の画像データにもエラーが生じている可能性が高い。
【0012】
そのため、第1の画像に関するエラーが検出された後の或る時点において他の画像(第2の画像とも称する)に関するボックスプリント動作が実行される状況において、当該他の画像(第2の画像)に関するデータがハードディスクドライブから読み出される時点でもアンコレクタブルエラーが検出されることがある。
【0013】
このような第2の画像に係る画像データにアンコレクタブルエラーが検出される場合においても、画像形成装置は、当該第2の画像を破棄し当該第2の画像に係る画像データの再入力を求めることが可能である。
【0014】
しかしながら、「ボックスプリント時点」(ボックスに保存された画像(第2の画像等)を印刷出力する時点)は、「ボックス保存時点」(ボックスに画像(第2の画像等)を保存する時点)と同一ではなく、むしろボックス保存時点から比較的長い時間(例えば、1ヶ月)が経過した後の時点であることも多い。ユーザは、原稿(原本)のスキャンによる電子化がボックス保存時点にて正常に終了しているものと認識しているため、後のボックスプリント時点では当該原稿を既に廃棄してしまっていることもある。この場合には、第2の画像に係る画像データの再入力(すなわち再度の電子化)を行うことが困難である。
【0015】
そこで、この発明は、画像データを記憶した格納部に異常が発生した場合において、画像データの再入力の機会をより確実に確保することが可能な画像形成装置およびそれに関連する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像形成装置であって、画像データを格納する格納部と、前記格納部に格納される各画像データを用いて各ジョブを実行するジョブ制御手段と、第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第1のジョブとは異なる第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定する検出手段と、前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行う通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記第2のジョブの指示ユーザを特定する特定手段、をさらに備え、前記通知手段は、電子メールを用いて前記指示ユーザに向けて前記通知を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記通知手段は、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨を前記画像形成装置の表示手段に表示することにより、前記通知を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、画像形成装置の制御方法であって、a)第1のジョブに係る画像データを前記画像形成装置の格納部に格納するステップと、b)第2のジョブに係る画像データを前記格納部に格納するステップと、c)前記第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定するステップと、d)前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行うステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明は、プログラムであって、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)第1のジョブに係る画像データを前記画像形成装置の格納部に格納するステップと、b)第2のジョブに係る画像データを前記格納部に格納するステップと、c)前記第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定するステップと、d)前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行うステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、第1のジョブの実行中に第1のエラーが検出される場合において、格納部において第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって第1のジョブとは異なる第2のジョブに係る画像データに関する第2のエラーの有無が判定される。そして、第2のエラーが検出されるときには、第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨が通知される。そのため、ユーザは第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨を当該画像データの利用時点よりも前に知得することが可能である。したがって、第2のジョブに係る画像データを再入力するための原稿の廃棄の可能性を低減して、当該画像データの再入力の機会をより確実に確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】MFPの概略構成等を示す図である。
【図2】MFPの動作を示すフローチャートである。
【図3】MFPの動作を示すフローチャートである。
【図4】ハードディスクドライブ内での各データの記録状態を示す図である。
【図5】通知画面を示す図である。
【図6】別の通知画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<1.構成>
図1は、画像形成装置1の概略構成等を示すブロック図である。画像形成装置1は、この実施形態ではMFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi Function Peripheral))として構成されている。
【0025】
図1のブロック図に示すように、MFP1は、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部(記憶部)5、入出力部6および全体制御部9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0026】
画像読取部2は、MFP1の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。
【0027】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0028】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、通信ネットワークを介したネットワーク通信が可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP1は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0029】
格納部(記憶部とも称する)5は、比較的大きな容量を有する格納装置(記憶装置)として構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)が格納(記憶)される。この実施形態では、ハードディスクドライブ(HDD)が格納装置として用いられる。また、ハードディスクドライブは、ハードディスクドライブ内に設けられたエラー検知部を用いて、そのステータス情報(エラー情報)を検出することができる。
【0030】
入出力部6は、MFP1に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。詳細には、MFP1には操作パネル63(図5参照)が設けられている。この操作パネル(タッチスクリーン)63は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部6bの一部として機能するとともに、操作入力部6aの一部としても機能する。
【0031】
全体制御部9は、MFP1に内蔵され、MFP1を統括的に制御する制御装置である。全体制御部9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。全体制御部9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。
【0032】
具体的には、全体制御部9は、ユーザ認証部31、ジョブ制御部32、検出部33、通知部34およびおよび表示制御部35等を備える。
【0033】
ユーザ認証部31は、ユーザ認証処理を行う処理部である。ユーザ認証処理は、たとえば、ユーザIDとパスワードとのそれぞれに関して、正規データと入力データとを照合することによって行われる。
【0034】
ジョブ制御部32は、格納部5に格納(記憶)される各画像データ等を用いて各ジョブを実行する処理部である。
【0035】
検出部33は、格納部5との間で通信を行うことなどにより、当該格納部5のエラー(詳細には、修復不可能なエラー(アンコレクタブルエラー)等)を検出する処理部である。後述するように、検出部33は、第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、第2のジョブに係る画像データのエラーである第2のエラーの有無の有無をも判定する。第2のエラーの有無は、格納部5において第1のエラーが検出された位置の近傍領域(近傍トラック領域等)に格納された画像データ(第2のジョブに係る画像データ)の読出結果に基づいて判定される。
【0036】
通知部34は、エラーの発生等を通知する処理部である。後述するように、通知部34は、第2のエラーが検出される場合には、第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行う。
【0037】
表示制御部35は、表示部6bにおける表示内容等を制御する処理部である。
【0038】
<2.動作>
図2および図3は、このMFP1における動作を示すフローチャートである。
【0039】
ここでは、MFP1において複数のボックス保存ジョブJSa,JSb,JScが予め受け付けられているものとする。ボックス保存ジョブJSaは、ユーザUAの操作に基づいて原稿FLaのスキャン画像データD1をボックスに保存するジョブである。ボックス保存ジョブJSbは、ユーザUBの操作に基づいて原稿FLbのスキャン画像データD2をボックスに保存するジョブである。ボックス保存ジョブJScは、ユーザUCの操作に基づいて原稿FLcのスキャン画像データD3をボックスに保存するジョブである。
【0040】
そして、ボックス保存ジョブによりボックスに保存された複数のデータD1,D2,D3のうちの或るデータ(ここでは、ユーザUAに関する画像データD1)に基づく印刷出力ジョブ(ボックスプリントジョブ)JBa(JPaとも表記する)が実行される状況を想定する。画像データD1は、ボックス保存ジョブJSaに係る画像データであると表現されるとともに、ボックスプリントジョブJPaに係る画像データであるとも表現される。また、他の画像データD2,D3に関するボックスプリントジョブJPb,JPcは、未だ実行されておらず、画像データD1に関するボックスプリントジョブJPaの実行時点よりも後(例えば数日後)に実行され得るものである。
【0041】
なお、各ジョブの実行に際しては、各ユーザによるMFP1へのログイン処理(ユーザ認証処理)が行われるものとする。たとえば、ボックスプリントジョブJBa(JPa)の実行に際しては、図2のステップS11の処理の前の時点において、予めユーザUAによるユーザ認証処理が実行されているものとする。
【0042】
ここにおいて、ボックスプリントジョブJBaの実行中においてエラーが検出されない場合には、通常の動作が実行される。
【0043】
具体的には、図2に示すように、まず、ハードディスクドライブ5に格納されているプリントデータ(ボックスプリントジョブJBa(JPa)に関する画像データD1)に基づき、画像処理(詳細には、印刷出力用画像の生成処理)が開始される(ステップS11)。ハードディスクドライブ5にエラーが検出されることなく(ステップS12でNo)ハードディスクドライブからの読出処理が終了し(ステップS13でYes)、当該画像処理が完了する(ステップS14)と、印刷出力用画像を用いた印刷出力処理が実行される(ステップS15)。これにより、ボックスプリントジョブJBaが完了する。なお、未実行のジョブが残存している場合には、ステップS16からステップS11に戻り、同様の動作が繰り返される。
【0044】
一方、ボックスプリントジョブJBaの実行中にエラーが検出される場合には、次述するような動作が実行される。ここでは、ボックスプリントジョブJBaに関する印刷出力処理実行中(具体的には、ハードディスクドライブ5からの画像データD1の読出動作中)において、アンコレクタブルエラー(修復不可能なエラー)が検出される状況を想定する。
【0045】
なお、このようなアンコレクタブルエラーは、例えば、MFP1における原稿トレイの開閉機構が強い力で閉じられる際にMFP1およびその内部のハードディスクドライブに衝撃が加わること等によって発生する。また、アンコレクタブルエラーは、データ読出時に検出される。
【0046】
図4は、ハードディスクドライブ内の磁気ディスク(プラッタ)上における各データの記録状態を示す図である。各データは、セクタ単位で記録される。また、ハードディスクドライブは回転機構を有し、各データは、好ましくは、同心円状の同一もしくは近隣の「トラック」領域内の複数のセクタに連続的に記録される。図4においては、ジョブJSa,JPaに係る画像データD1は、或るトラックTR1内において、セクタSaを含む複数のセクタに記録されている。同様に、ボックス保存ジョブJSbに係る画像データD2は、別のトラックTR2内において複数のセクタに記録されており、ボックス保存ジョブJScに係る画像データD3は、さらに別のトラックTR3内において複数のセクタに記録されている。ここでは、トラックTR2,TR3は、それぞれ、トラックTR1に隣接する同心円状の領域である。
【0047】
ハードディスクドライブのエラー検知部によって当該エラーが検出されると、検出部33は、ハードディスクドライブとの間で情報を授受すること等によって、当該エラーの情報(エラー情報)を取得する。
【0048】
詳細には、検出部33は、セクタSa(図4)からボックスプリントジョブJBaの画像データD1を読み出しているときにエラーER1が発生していることを検出し、セクタSaをエラー発生領域SEとして特定する。また、検出部33は、エラー発生領域(セクタ)SE(図4参照)のセクタ番号SNおよびそのトラック番号TN等を取得する。
【0049】
そして、ステップS12(図2)からステップS21(図3)に進む。
【0050】
ステップS21において、MFP1は、ボックスプリントジョブJBaの画像処理(印刷出力用画像の生成処理)を終了するとともに、そのデータにエラーが検出されたボックスプリントジョブJBaを破棄する。詳細には、MFP1は、ボックスプリントジョブJBa(JPa)に係るプリントデータ(エラー発生セクタSEを含む領域に記憶されていた画像データ)D1をハードディスクドライブ5から削除する。
【0051】
また、MFP1は、ボックスプリントジョブJBaに関するエラー(ER1)を通知する(ステップS22)。具体的には、MFP1は、タッチスクリーン63に画面GA1(図5)を表示することによって、ハードディスクドライブに関するエラーER1を通知する。画面GA1の上側のメッセージ欄MS1においては、「現在実行中のボックスプリントジョブのデータに関してハードディスクエラーが発生しています。当該ジョブの画像データは破棄されました。」の文字が表示されており、当該エラーER1が通知されている。また、その右側には、ハードディスクドライブエラーに係る画像データに関する情報(ジョブ実行ユーザ名、ボックス名、ファイル名、ファイル保存日時等)が表示されている。
【0052】
ユーザUAは、破棄されたデータの原稿(原本)FLaを所有している場合には、MFP1を操作して、当該原稿FLaのスキャン動作を伴うボックス保存ジョブを再び実行すればよい。これにより、当該原稿FLaに関する画像データがハードディスクドライブのボックス内に再構築される。
【0053】
つぎに、ジョブJBa以外のジョブに係るデータがエラー発生セクタの近傍領域(周辺領域)RG内に存在するか否か、が判定される(ステップS23)。
【0054】
具体的には、検出部33は、上記で検出されたエラー情報(エラー発生領域SE(セクタSa)のセクタ番号SNおよびそのトラック番号TN等)に基づいて、他のジョブに係る画像データが近傍領域RG(図4参照)内に記録されているか否かを判定する。
【0055】
なお、近傍領域RGとしては、たとえば、セクタSaの所属トラックTRiと当該所属トラックTRiに隣接する所定本数(詳細には、両側2本ずつ)のトラックTRjとで構成される領域(合計5本のトラックで構成される領域)が用いられればよい。このような近傍領域RGは、エラー発生セクタSaの所属トラックTRiに関する近傍トラック領域であるとも表現される。
【0056】
そして、ステップS24では、ステップS23の判定結果に応じた分岐処理が実行される。
【0057】
ボックスプリントジョブJBa以外のジョブに関するデータがエラーセクタSaの近傍領域RGに全く格納されていない場合には、MFP1は本ルーチン(図2および図3のルーチン)を終了する。
【0058】
一方、ボックスプリントジョブJBa以外のジョブ(第2のジョブとも称する)に係るデータ(画像データ)D2が、エラーセクタSaの近傍領域RGに格納されていることが判定される場合には、ステップS24からステップS25に進む。
【0059】
ステップS25においては、ボックスプリントジョブJBa以外のジョブに係る画像データD2の読出処理が実行され、読出処理時における読み出しエラー(アンコレクタブルエラー)の検出の有無に応じてステップS26の分岐処理が実行される。
【0060】
たとえば、検出部33は、他のジョブJBbの画像データD2の読み出し中にエラーER1とは別のエラーER2を検出すると、セクタSaの近傍領域RG内に格納された画像データD2を新たなエラー発生データとして特定する。また、検出部33は、ジョブ管理データDT1(次述)等に基づいて、当該画像データD2に係るボックス保存ジョブJBb(JSb)を新たなエラー発生ジョブとして特定する。さらに、検出部33は、ジョブ管理データDT1等に基づいて、ユーザUBを、ボックス保存ジョブJBb(JSb)の実行を指示したユーザ(指示ユーザ)として特定する。ジョブ管理データDT1は、各ジョブと当該各ジョブに係る画像データと当該各ジョブの実行を指示したユーザ(指示ユーザ)との対応関係等を記録したデータであり、MFP1内に格納されている。
【0061】
なお、画像データD1のエラー検出後においてはハードディスクドライブのエラー検知部のエラーフラグのリセット等を行うために、ハードディスクドライブのリブートが行われるようにしてもよい。そして、リブート後に新たな画像データのエラーの検出が行われるようにしてもよい。
【0062】
上記のように、ジョブJBaの実行時点(詳細には、ボックスプリントジョブJBaに係る画像データD1の一部分をセクタSaから読み出す時点)の直後の時点において、近傍領域RGから画像データD2に関するエラーER2もが検出される場合には、ステップS27,S28に進む。換言すれば、ボックスプリントジョブJBa以外のジョブであるボックス保存ジョブJBbに関する画像データD2の読み出しに際して、エラーER2が検出される場合には、ステップS26からステップS27以降に進む。
【0063】
まず、ステップS27において、MFP1は、ボックス保存ジョブJBb(JSb)に係る画像データD2(エラー発生セクタSaの近傍領域RGに記憶され且つ読出エラーが発生したデータ)をハードディスクドライブ5から削除する。
【0064】
つぎに、ステップS28においてジョブJBbに関するエラーER2が通知される。当該通知は、通知部34等により実行される。図5の画面GA1の下側のメッセージ欄MS2には、「また、別のジョブ(ボックス保存ジョブ)のデータに関してもハードディスクエラーが発生しています。当該ジョブの画像データも破棄されました。」の文字が表示されている。このように、図5においては、第2のジョブJBbに係る画像データに異常が発生している旨がタッチスクリーン63に表示されており、上記のエラーER1とは別のエラーER2もが通知されている。また、当該メッセージ欄MS2のメッセージからは、ハードディスクエラーに伴って画像データの再入力(再度のボックス保存ジョブの実行)が求められることも判る。
【0065】
メッセージ欄MS2の右側においては、新たなハードディスクドライブエラーER2に係るジョブJBbに関する内容が表示されている。具体的には、ジョブJBbの指示ユーザ(ジョブ実行ユーザ)の名称(ユーザUB)、ジョブJBbに関する保存ファイルの名称、当該保存ファイルの保存先ボックスファイル名、および当該保存ファイルの保存日時等が表示されている。
【0066】
ユーザUAは、このような通知内容を知得した後に、当該通知内容をジョブJBbの指示ユーザUBに口頭連絡等で伝達する。これにより上記通知の内容がユーザUBにも伝達される。ユーザUBは、破棄されたデータの原稿を所有している場合には、原稿のスキャン動作を伴うボックス保存ジョブを再び実行することが可能である。ボックス保存ジョブの再実行により、当該データがハードディスクドライブのボックス内に再構築される。
【0067】
なお、ここでは、ユーザUAとは異なるユーザUBのデータにエラーが発生している場合について例示しているが、これに限定されない。たとえば、同一ユーザUAの他のデータにエラーが発生している状況も生じ得る。このような状況においては、ユーザUAは通知画面GA1から当該他のデータにエラーが発生している旨の通知を直接的に受けることができる。
【0068】
また、画像データD2に対応する指示ユーザ(画像データD2の生成元ジョブを実行したユーザ)が特定されない場合には、MFP1は、上記の画面GA1に類似する画面GB(ただし、指示ユーザ名は非表示)をタッチスクリーン63に表示して、エラー発生ジョブ名称および/または画像データ名称等を通知するようにしてもよい。当該画面GBにユーザ名が表示されていない態様の通知によっても、MFP1の各ユーザは、当該通知によってエラー発生の事実を知ることができる。この場合には、MFP1は、エラー発生を示すアイコン(「!」マークなどの注意喚起表示等)のみを通常のメニュー画面上にまず表示しておき、ユーザによる当該アイコンのクリック操作に応じて、画面GBをタッチスクリーン63に表示することが好ましい。比較的小さなアイコンのみが表示されることによれば、通常の操作に支障を来すことなく長期間にわたりエラーの発生の事実を知らせることが可能である。そして、エラー発生ジョブ(あるいは画像データ)に心当たりのあるユーザが、当該アイコンのクリック操作等を行うことによって画面GBを表示させて上記通知を視認し、自らに関連するジョブデータ(画像データ)にエラーが発生していることを知得することが可能である。これによれば、当該ユーザは、原稿の廃棄を回避して、当該原稿に基づく画像データの再入力操作を行うことが可能である。
【0069】
ステップS28が終了すると、ステップS29に進む。ステップS29においては、近傍領域RG内の全てのジョブデータ(画像データ)について、ステップS25以降の確認処理が終了したか否かが判定される。未確認のジョブデータ(画像データ)が残存している場合には、再びステップS24に戻り、同様の確認動作(ステップS25〜ステップS28)が実行される。一方、近傍領域RG内の全てのジョブデータ(画像データ)について確認処理が終了すると、本ルーチン(図2および図3のルーチン)は終了する。
【0070】
以上のような動作によれば、或るジョブ(ボックスプリントジョブ)JBaの実行中に第1のエラーER1が検出される場合には、画像データD2に関する第2のエラーER2の有無も判定される。なお、画像データD2は、ハードディスクドライブ5において第1のエラーER1が検出された位置の近傍の領域RGに格納されたデータであり、プリントジョブJBa(JPa)とは異なる第2のジョブ(ボックス保存ジョブ)JBb(JSb)に係る画像データである。そして、第2のエラーER2が検出されるときには、画像データD2に異常(エラー)が発生している旨が通知される。そのため、ユーザは、第2のジョブ(ボックス保存ジョブ)JBbに係る画像データD2に異常が発生している旨を、第2のジョブJBbに係る画像データD2の実際の利用時点(たとえば、ボックス保存ジョブJBbによってハードディスクドライブ内のボックス領域に格納されていた画像データD2を利用して印刷出力処理(ボックスプリントジョブJBf)が実行される時点)(例えば、ボックスプリントジョブJBaの1ヶ月後)よりも前に、知得することが可能である。これによれば、画像データD2を再入力するための「原稿(原本)」が廃棄される可能性を低減し、当該画像データD2の再入力の機会をより確実に確保することが可能である。
【0071】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0072】
たとえば、上記実施形態においては、タッチスクリーン63に画面GA1を表示することによって、エラー発生等をユーザに通知する場合を例示したが、これに限定されない。具体的には、電子メールを利用して、エラー発生等がユーザ(指示ユーザ等)に通知されるようにしてもよい。図6は、電子メールをも利用してエラー発生等をユーザに通知するための画面GA2を示す図である。このような画面GA2が上記の画面GA1に代えて表示されればよい。
【0073】
画面GA2には、メッセージ欄MS1に対応するボタンBN11とメッセージ欄MS2内に対応するボタンBN12とが設けられている。ボタンBN11が押下されると、MFP1は、メッセージ欄MS1内に記載された内容と同様の内容を含む電子メールをユーザUA(ジョブJBaの指示ユーザ)宛に送信する。また、ボタンBN12が押下されると、MFP1は、メッセージ欄MS2内に記載された内容と同様の内容を含む電子メールをユーザUB(ジョブJBbの指示ユーザ)宛に送信する。これによれば、ユーザUA,UBがMFP1の近くに居ない場合においても、MFP1は、エラー発生時の事実をより確実にユーザUA,UB(特にユーザUB)にそれぞれ伝達することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態においては、ボックス保存ジョブとボックスプリントジョブとを含む複数のジョブがMFP1において実行される場合が例示されているが、これに限定されない。当該複数のジョブは、ハードディスクドライブ5を利用して行われるものであれば十分である。たとえば、当該複数のジョブは、ファクシミリ通信ジョブ(特にファクシミリ送信用の画像データをハードディスクドライブ5に記録した後に、当該画像データをハードディスクドライブ5から読み出して送信(予約送信)する「ファクシミリ予約送信ジョブ」)などを含むものであってもよい。より詳細には、ファクシミリ送信ジョブ(特に、ファクシミリ予約送信ジョブ)を行う場合において、ハードディスクドライブに格納された各画像データにエラーが発生している場合に、上記の思想が適用されるようにしてもよい。端的に言えば、印刷出力ジョブの実行中のみならず、送信出力ジョブの実行中に上記の思想を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 MFP(画像形成装置)
5 ハードディスクドライブ(格納部)
D1,D2,D3 画像データ
JBa ボックスプリントジョブ(第1のジョブ)
JBb ボックス保存ジョブ(第2のジョブ)
JPa ボックスプリントジョブ
JSa,JSb,JSc ボックス保存ジョブ
MS1,MS2 メッセージ欄
RG 近傍領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
画像データを格納する格納部と、
前記格納部に格納される各画像データを用いて各ジョブを実行するジョブ制御手段と、
第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第1のジョブとは異なる第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定する検出手段と、
前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第2のジョブの指示ユーザを特定する特定手段、
をさらに備え、
前記通知手段は、電子メールを用いて前記指示ユーザに向けて前記通知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記通知手段は、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨を前記画像形成装置の表示手段に表示することにより、前記通知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置の制御方法であって、
a)第1のジョブに係る画像データを前記画像形成装置の格納部に格納するステップと、
b)第2のジョブに係る画像データを前記格納部に格納するステップと、
c)前記第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定するステップと、
d)前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行うステップと、
を備えることを特徴とする、画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)第1のジョブに係る画像データを前記画像形成装置の格納部に格納するステップと、
b)第2のジョブに係る画像データを前記格納部に格納するステップと、
c)前記第1のジョブの実行中に当該第1のジョブに係る画像データに第1のエラーが検出される場合において、前記格納部において前記第1のエラーが検出された位置の近傍領域に格納された画像データであって前記第2のジョブに係る画像データを読み出して、当該第2のジョブに係る画像データに関するエラーである第2のエラーの有無を判定するステップと、
d)前記第2のエラーが検出される場合には、前記第2のジョブに係る画像データに異常が発生している旨の通知を行うステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176509(P2012−176509A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39642(P2011−39642)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】