説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム

【課題】 情報処理装置が外部共有される記憶装置に記憶された画像データを参照する際に、監査用の画像データが作成される画像データとそれ以外の画像データとを識別して、監査用の画像データが作成された画像データの一覧のみを情報処理装置に通知できる。
【解決手段】 画像形成装置101は、原稿を読み取った際に生成した監査用の画像データとログ情報とを関連付けた履歴情報を記録手段に記録し、それ以外から入力された画像データについては監査用の画像データを作成しない。そして、PCクライアント102から外部共有された記憶装置に記憶された画像データを参照する場合(S812)、記録手段に履歴情報が記録された画像データに関わる画像データ一覧を作成する(S814)。さらに、画像形成装置101は、作成した画像データ一覧をPCクライアント102に通知する(S816)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に参照する画像データを記憶する画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
不揮発性の記憶装置、例えばハードディスク(HDD)を備える画像形成装置が実用化されている。
【0003】
このような画像形成装置においては、スキャンした画像データをHDDに保存する形式として、例えばPDFなどPCで扱いやすい形式で画像データを保存できる機能が提供されている(以下、画像保存機能)。
【0004】
そして、画像形成装置に格納した画像データをより情報処理装置(PC)などから使いやすいように、保存機能には外部のPCや別の画像形成装置から画像形成装置に格納したPDFなどの画像データを利用する機能(以下外部公開機能)が提供されている。
一方、別な画像形成装置の機能として、画像形成装置の画像データを含めたデータの出入りを記録するジョブアーカイブアプリケーションが提供されている。
【0005】
ここで、ジョブアーカイブアプリケーションとは、画像形成装置の画像データの出入りと監査に用いるアーカイブ用画像データを記録する。記録先としては、画像形成装置の内部のHDDなどのメモリや、外部のサーバに記録保管する。そして、記録したアーカイブ画像データは、別途サーバ上で動く監査アプリケーションで画像形成装置の画像データの出入りを監査することができる。そして、万一情報が漏洩した場合には、この監査アプリケーションを用いて該当情報を取り扱ったユーザを特定することができる。
【0006】
このように、画像形成装置のジョブアーカイブアプリケーションと監査アプリケーションを組合わせることで、セキュリティ上画像形成装置を用いた情報の不正利用を抑止するための機能を提供できることが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−293833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のジョブアーカイブアプリケーションは、画像形成装置がコピーやプリントや画像送信などのジョブを実行した場合に、ジョブの実行に伴う画像データの出入りを記録する。しかし、ジョブの実行によらずに画像データの出入りが行われた場合、従来のジョブアーカイブアプリケーションはアーカイブ用画像データを記録することができない場合がある。
【0009】
例えば、画像形成装置がUSBメモリ等のリムーバブルメモリを装着することが可能であるものとする。USBメモリに格納された画像データの複製を画像形成装置内のHDDに生成(いわゆるファイルコピー)した場合、画像形成装置がこのようなファイル操作をジョブとして扱わない場合には、画像データがHDDに入力されたにもかかわらずアーカイブ用画像データが記録されない。従って、HDDに保存された画像データが誰により、どのように入力されたのかを後の監査でつきとめることができない。
【0010】
また、例えば、画像形成装置が備えるFAX受信機能によって受信した画像データを画像形成装置内部のデータ転送機能を用いて当該画像データをHDDに保存した場合、FAX受信した際のアーカイブ用画像データは記録されるものの、HDDに保存された画像データに関するアーカイブ用画像データが記録されない。従って、HDDに保存された画像データが誰によりどのように入力されたのかを後の監査でつきとめることができない。
一方、すべての画像保存機能への書込や変更などの画像データに関わる操作によって生成された画像データに対して監査に用いるアーカイブ用の画像データを生成するという手法もある。
【0011】
しかし、監査に用いるアーカイブ用の画像データを生成する場合、外部のPCとしてフルからの一部の画像データの変更によっても監査に用いるアーカイブ用の画像データを全て生成しなければならなくなる。したがって、監査に用いるアーカイブ用の画像データが膨大となり、HDDの記憶容量を圧迫してしまう新たな課題も発生する。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、情報処理装置が外部共有される記憶装置に記憶された画像データを参照する際に、監査用の画像データが作成される画像データとそれ以外の画像データとを識別して、監査用の画像データが作成された画像データの一覧のみを情報処理装置に通知できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、外部の情報処理装置からのアクセスを可能にするように管理された記憶手段と、読取り手段が原稿を読み取って生成する画像データ、または入力される画像データについて、前記画像データを後に監査するための監査用の画像データを生成する生成手段と、前記生成手段が生成した監査用の画像データを記録する記録手段と、前記情報処理装置から前記記憶手段を参照する要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶された画像データのうち、前記記録手段によって前記監査用の画像データが記録された画像データに関する情報を作成する作成手段と、前記作成手段が作成した前記情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報処理装置が外部共有される記憶装置に記憶された画像データを参照する際に、監査用の画像データが作成される画像データとそれ以外の画像データとを識別して、監査用の画像データが作成された画像データの一覧のみを情報処理装置に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置を適用する画像形成システムの一例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置のソフトウェア機能を説明するブロック図である。
【図4】文書管理アプリケーションが管理する管理テーブルを示す図である。
【図5】情報処理装置で表示される画像データ選択画面を示す図である。
【図6】画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示した操作部に表示されるUIを示す図である。
【図8】画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔第1実施形態〕
【0017】
図1は、本実施形態を示す画像形成装置を適用する画像形成システムの一例を示す図である。なお、本例は、PCクライアントと画像形成装置が各1台接続されるシステム例を示すが、複数のPCが複数の画像形成装置を利用可能なシステムであってもよい。また、本例では、画像形成装置として、MFP(Multi Function Peripheral)の例を示す。また、本実施形態の画像形成装置は、情報処理装置からの外部公開要求に従い、メモリに記憶された画像データに対するファイル共有機能サービスを提供する。つまり、本実施形態における画像形成装置は、画像データを記憶する記憶手段(後述するハードディスク(HDD))を情報処理装置が外部共有可能に管理する機能を備える。
【0018】
図1において、画像形成装置101は、PCクライアント102からネットワーク103を経由して利用可能に構成されている。また加えて、画像形成装置101が入出力する画像データを後の監査の目的で不図示のサーバへ格納するアーカイブ機能を持ち、不図示のサーバ上で動く監査アプリケーションが画像形成装置で入出力された画像データを監査することができる。
【0019】
PCクライアント102は、所定のプロトコル、例えばWebDAV(Distributed Authoring and Versioning protocol for the WWW)、SMB(Service Message Block)等のプロトコルを用いて画像形成装置101の外部公開機能にアクセスする情報処理装置である。
また、ネットワーク103は、画像形成装置101、PCクライアント102が接続したネットワークである。例えばイーサネット(登録商標)ワークなどLAN接続を実現するネットワークである。
図2は、図1で示した画像形成装置101のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0020】
図2において、コントローラユニット201は、文書原稿等の画像データを読み取って画像データを入力する画像入力装置としてのスキャナ217や画像出力装置であるプリンタ218と接続する。
【0021】
また、コントローラユニット201は、図1で示したPCクライアント102とネットワーク103を経由して通信を行う。さらに、コントローラユニット201は、画像データやデバイス情報の入出力を制御する。
【0022】
CPU202は、図1に示した画像形成装置101内のシステム全体を制御するコントローラである。RAM203は、CPU202が動作するためのシステムワークメモリであり、且つ画像データを一時記憶するための画像メモリである。ROM208は、ブートROMであり、画像形成装置101のシステムのブートプログラムが格納されている。
【0023】
メモリ209は、画像形成装置101のハードディスクドライブで構成される。そして、メモリ209は、図3に示すシステムソフトウェアやアプリケーションソフトウェア、画像データを格納する。また、メモリ209は、後述する第1の画像データと第2の画像データとを記憶可能に構成されている。ここで、第2の画像データは、外部記憶手段として、例えばUSBメモリに記憶された画像データ、文書データ(PDFファイルを含む)であって、図示しないUSBI/Fを介して画像形成装置に入力される。また、モデム207が受信するファクシミリ画像データも第2の画像データに含まれる。
【0024】
メモリ209の画像データ用格納領域としては、外部公開機能で用いる画像データを格納する記憶領域が確保される。また、メモリ209は、画像形成装置101の画像データの入出力を記録するアーカイブ用画像データを格納する記憶領域も確保されている。なお、メモリ209はハードディスクドライブ(HDD)、あるいはSSD(Solid State Drive)などで構成されているものとする。
【0025】
本実施形態において、アーカイブ用画像データとは、画像データを監査するための監査用の画像データに対応し、スキャナ217から読み込まれる画像データをメモリ209に記憶する際に作成される。なお、読取り手段としてのスキャナ217から読み込まれる画像データを第1の画像データと称する。また、本実施形態では、例えばモデム207が受信したファクシミリ画像データや、図示しないUSBI/Fに接続されるUSBメモリに記憶された画像データ、文書データ(PDFファイルを含む)を第2の画像データと称する。
【0026】
本実施形態では、第2の画像データについては、監査用の画像データを作成しないことでメモリ209に記憶する第2の画像データの容量を制限する。これにより、第2の画像データの監査用の画像データをメモリ209にすべて記憶させることがなくなり、スキャナ217が読み取る画像データを効率良くメモリ209に記憶させることが可能となる。
【0027】
なお、監査用の画像データとは、スキャナ217から読み取られる画像データに対して解像度変換等の画像処理を施した画像データであって、これにログ情報を関連付けた情報を履歴情報としてメモリ209等で記憶する。そして、監査用の画像データは所定のタイミングでネットワーク103を経由して不図示のサーバへ送信される。
操作部I/F204は、操作部205とのインタフェース部であり、操作部205に表示する画像データを操作部205に対して出力する。
【0028】
また、操作部I/F204は、操作部205から画像形成装置101のユーザが入力した情報をCPU 202に伝える機能を有する。NetworkI/F206は、ネットワーク103に接続され、情報の入出力を行う。
モデム207は、公衆回線(図示せず)に接続され、情報の入出力を行う。上述した各デバイスがシステムバス219上に配置される。
Image BusI/F210は、データ構造を変換するバスブリッジであり、システムバス219及び画像データを高速で転送する画像バス220に接続されている。
【0029】
画像バス220上には、ラスターイメージプロセッサ(RIP)212、デバイスI/F213、スキャナ画像処理部214、プリンタ画像処理部215、画像回転部216、及び画像圧縮伸張・密度変換部211の各デバイスが配置される。
【0030】
RIP212は、PDLコードを解析してRAM203上にビットマップイメージに展開する。デバイスI/F213は、スキャナ217やプリンタ218とコントローラユニット201とを接続する。
【0031】
スキャナ画像処理部214は、スキャナ217より入力された画像データに対して補正、加工、及び編集を行う。スキャナ画像処理部214は、読み取った画像データを、例えばPDF形式のデータに変換する機能を備える。
【0032】
プリンタ画像処理部215は、プリンタ218に出力する画像データに対して印刷補正、解像度変換等を行う。画像回転部216は、画像データの回転を行う。画像圧縮伸張・密度変換部211は、多値画像データをJPEGに変換したり、2値画像データに対してJBIG、MMR、又はMHの圧縮伸長処理をしたりする。
【0033】
図3は、図1に示した画像形成装置101のソフトウェア機能を説明するブロック図である。なお、図3の302〜308、320〜327で示される各ソフトウェアは、図2のメモリ209に格納され、CPU202が実行する。
Scan機能部302はスキャナ217を用いたScan機能処理を実行し、紙文書を読み取り、二値または多値画像データに変換する。
Print機能部303は、先にScan機能部302により読み取られ、画像データに変換された画像データを、プリンタ218に対するコマンドを付加してプリンタ218に出力する。
【0034】
ファクシミリ機能部304は、Scan機能部302により読み取られ、画像データに変換された画像データを、G3、G4等のファクシミリ規格に応じた符号化処理を行う。また、ファクシミリ機能部304は、モデム207を用いてファクシミリ規格に応じたプロトコルにより外部のファクシミリ装置と画像通信を行う。さらに、ファクシミリ機能部304は、モデム207を経由して外部ファクシミリよりファクシミリ規格に応じてファクシミリ画像データを送受信する。
【0035】
ジョブ制御部305は、Scan機能部302から受信した画像データや、ファクシミリ機能部304が外部から受信したファクシミリ画像データをプリントジョブとしてキューイングする。そして、ジョブ制御部305は、Print機能部303やファクシミリ機能部304や、後述するネットワーク機能部306に対して画像データを適宜出力する。
【0036】
ネットワーク機能部306は、TCP/IP、HTTP、FTP、LDAP、SNMP、SMTP、SSL、SMB等の各種ネットワークプロトコル機能を有する。ネットワーク機能部306は、例えば、NetworkI/F206を経由してPCクライアント102からのSMBによるファイル共有のプロトコル処理を行う。
【0037】
ユーザインタフェース(UI)機能部307は、画像形成装置101の操作部205を管理する。UI機能部307は、操作部205上に入力フィールド、出力メッセージフィールド等を表示し、ユーザからの入力フィールドに対する入力値を受け取り、他機能部に通知する。また、UI機能部307は、他機能部からのユーザに対するメッセージを操作部205に表示する。
【0038】
ユーザ認証機能部308は、アプリケーション機能部320内の各種アプリケーションのユーザ認証要求に対し、ユーザ認証情報を用いて画像形成装置101の各種機能を操作するユーザを認証する。
【0039】
ここでユーザが操作する手段としては、UI機能部307やPCクライアント102である。そして、用いるユーザ認証情報としては、ネットワーク上のユーザ認証サーバ(図示せず)や画像形成装置101内部のユーザ認証情報(図示せず)などを用いることで、ユーザ認証を実現する。
【0040】
アプリケーション機能部320は、画像形成装置101上で動作する各種アプリケーションをインストール、実行、アンインストールする。Scanアプリケーション321は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。Scanアプリケーション321は、ユーザによる操作部205のスキャン要求に従い、Scan機能部302を用いてスキャナ217を用いて原稿のスキャン操作を行う。そして、Scanアプリケーション321は、読み取られた画像データを所定の文書管理アプリ324が管理するメモリ209上に確保される文書管理領域に保存する。
【0041】
FAX受信アプリケーション322は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。FAX受信アプリケーション322は、ファクシミリ機能部304が受信した画像データを、Printアプリ325を用いてプリンタ218より印刷したり、所定の文書管理アプリ324の文書管理領域に保存したりする。
【0042】
FAX送信アプリケーション323は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。FAX送信アプリケーション323は、ユーザの操作部205のスキャン要求に従い、Scan機能部302を用いてスキャナ217を用いて原稿のスキャン操作を行う。そして、FAX送信アプリケーション323は、読み取った画像データを所定の送信先にファクシミリ機能部304を用いて送信する。文書管理アプリケーション324は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。文書管理アプリケーション324は、画像形成装置101のメモリ209に、Scanアプリケーション321などで格納した画像データを保管管理するアプリケーションである。文書管理アプリケーション324は、図4に示したようなデータ構造の管理テーブルを持ち、各保存した画像データを管理する。
【0043】
図4は、図3に示した文書管理アプリケーション324が管理する管理テーブルの一例を示す図である。
図4において、画像データ名41は、画像データの参照のために用いられる。実データ格納位置情報42は、メモリ209上の格納位置情報を示す。画像データサイズ43は、画像データのサイズである。画像データ更新時刻44は、画像データの更新時刻である。
アクセス権45は、ユーザ認証部308のユーザ情報を元に、各画像データに対する書込み(Write)、読み込み(Read)の各権限の有無を示す。
【0044】
なお、図4の例では、ユーザmihiraに対してのみ書込み権限があり、また、すべてのユーザ(any)に対して読み込み権限があることを示している。アーカイブ済みフラグ46は、各画像データがアーカイブアプリ327によってアーカイブ済みであるか否かを示している。図4の例のようにアーカイブ済みフラグに「1」がセットされている場合にはアーカイブ済みであることを示す。一方、アーカイブ済みフラグに「0」がセットされている場合にはアーカイブされていないことを示す。
【0045】
Printアプリケーション325は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。Printアプリケーション325は、文書管理アプリケーション324で管理されている画像データや連携する別の画像形成装置101上の画像データなどを印刷する機能を有するアプリケーションである。
【0046】
外部公開アプリケーション326は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。外部公開アプリケーション326は、文書管理アプリケーション324が保存するデータを、PCクライアント102や連携する別の画像形成装置から読み取る機能(SMBやWebDAVで実現)を提供する。また、逆に、外部公開アプリケーション326は、PCクライアント102や連携する別の画像形成装置からデータを書込み保存する機能を提供したりするアプリケーションである。
なお、PCクライアント102は、PCクライアント102のネットワーク機能の一つである、SMBクライアント等の機能を用いて画像形成装置101の外部公開機能にアクセスする。
【0047】
具体的には、PCクライアント102は、画像形成装置101のネットワーク上の名前が、図5のようにmfp−1である場合には、例えば、¥¥mfp−1¥shareという名前で画像形成装置101にアクセスする。ここで、「share」は外部公開機能を使って公開されたメモリ209内のフォルダとなる。
【0048】
すると、PCクライアント102は、図5に示したように、画像形成装置101の提供する外部公開機能を用いて、画像形成装置101がメモリ209に格納した画像データにアクセスすることができる。
【0049】
アーカイブアプリケーション327は、アプリケーション機能部320上で動作する画像形成装置101のアプリケーションの一つである。アーカイブアプリケーション327は、画像形成装置101が入力または出力する画像データを記録する機能を有するアプリケーションである。アーカイブアプリケーション327が記録したアーカイブ画像は不図示のサーバへ送信され、サーバ上で動く監査アプリケーションによって監査される。
【0050】
本実施形態では、メモリ209上に第2の画像データが記憶されていても、図5に示すPCクライアント102(情報処理装置)側のUI画面上には、第2の画像データに関わる一覧は表示されることはない。つまり、PCクライアント102が画像形成装置101にアクセスして画像形成装置が外部公開しているファイルを参照しても、PCクライアント102の表示画面(図5)には、画像形成装置に記憶された第1の画像データに関わる一覧が表示される。
これにより、アーカイブアプリケーション327によってアーカイブされていない画像データが画像形成装置101の外部へ送信されてしまうことを防止することができる。
次に、画像形成装置101におけるアーカイブアプリケーション327と外部公開アプリケーション326とのアーカイブ済みフラグを用いた連携を、フローチャートを用いて説明する。
【0051】
図6は、本実施形態における画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、画像形成装置101におけるScanアプリケーション321によるScan機能実施時の制御例である。なお、各ステップは、CPU202がRAM203に制御プログラムをロードして実行することで実現される。
ユーザは、画像形成装置101に対して操作部205を用いてScan操作を開始・指示する。
コントローラユニット201上で動くScanアプリケーション321は、操作部205を介してユーザにより入力されるScan実行指示を受け取る(S511)。
【0052】
次に、Scanアプリケーション321は、Scan機能部302を用いて原稿をスキャンする(S512)。そして、Scanアプリケーション321は、Scan機能部302より保存用画像データを受け取り、文書管理アプリケーション324に保存する(S513)。
【0053】
また、Scanアプリケーション321は、アーカイブ用の画像データを生成しメモリ209に保存する(S514)。そして、アーカイブ用の画像データを作成したことをアーカイブアプリケーション327へ通知する。
そして、Scanアプリケーション321は、文書管理アプリケーション324にアーカイブ済みフラグの設定を依頼する。そして本フローチャートを終了する。
【0054】
なお、図6では、Scan機能を実行した場合にアーカイブ用の画像データを生成して記録する例を示す。しかしながら、画像形成装置101が有する他の機能、例えば、PCクライアント102から受信した画像データを印刷する場合においても、受信した画像データからアーカイブ用の画像データを生成して記録してもよい。
【0055】
図7は、図1に示した操作部205に表示されるユーザインタフェース(操作画面)の一例を示す図である。本例は、図3に示した画像形成装置101におけるPrintアプリケーション325に関連する操作画面の表示例を示している。
【0056】
図7において、画像データ表示611〜614は、文書管理アプリケーション324に保存されている画像データを示している。ここでは、文書管理アプリケーション324によりメモリ209に保存されているすべての画像データを表示している。
【0057】
図7に示した操作画面で、ユーザが指示できる操作は、Printアプリ325が実行する「印刷」のみである。そして、印刷ジョブ(プリントジョブ)に対しては、印刷実行時に印刷した画像データをアーカイブアプリケーション327に通知する。これにより、メモリ209に画像データを保存する際にアーカイブされていない画像データであっても画像形成装置101から印刷される場合にはアーカイブされることになる。
一方、図5に示す表示例は、画像形成装置101に対して、PCクライアント102から画像データに関わる参照を行ったときの表示画面である。
ここでは、画像形成装置101の外部からの文書管理アプリケーション324に対するアクセスであるため、アーカイブ済みフラグセットされた画像データだけが表示されている。
例えば、図7に示したFAX−20091211.pdf(画像データ613)や組織図.jpg(画像データ614)は、図5では表示されないように制御される。
【0058】
これらの画像データは、図6に示したScan操作ではなく、外部のPCクライアント102からメモリ209への画像データのコピーであったり、FAX受信アプリケーション322からの画像データ書込みであったりする。また、あるいは、着脱可能な記憶媒体(USBメモリ等)に記憶された画像データがメモリ209へコピーされた場合も図5では表示されない。このような画像データは、メモリ209に記憶される際にアーカイブ用画像データの生成、記録が行われない。そのため、アーカイブアプリケーション327は、これらの画像データに関して、アーカイブ済みフラグを設定していない。よって、このような画像データを外部のPCクライアント102などの装置に対して公開してしまうと、画像データがファイルコピーの操作などでPCクライアント102に送出できてしまう。その際にも画像データはアーカイブされることはない。このようにして画像形成装置101を介して入出力された画像データはアーカイブすることができなくなってしまう。
【0059】
したがって、本実施形態では、スキャンジョブ等のアーカイブの対象となる画像入力処理を経て入力された画像データ、即ちアーカイブ済みである画像データは、PCクライアント102等からアクセス可能とする。また、本実施形態では、アーカイブ済みでない画像データはPCクライアント102等からアクセスできないようにする。これにより、アーカイブされない画像データが画像形成装置101から出力されることを防止できる。
【0060】
図8は、本実施形態を示す画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、画像形成装置101における文書管理アプリケーション324が、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326からの、画像データリスト要求時の画像データリスト生成処理例である。なお、各ステップは、CPU202がRAM203に制御プログラムをロードして実行することで実現される。
この画像データリスト生成処理は、文書管理アプリケーション324が図7や図5のような画像データリストを表示するときに実行する処理である。
【0061】
まず、コントローラユニット201上で動く文書管理アプリケーション324は、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326からアクセス要求があったディレクトリの画像データ情報を一件読み込む(S811)。
【0062】
そして、文書管理アプリケーション324は、この画像データリスト生成処理の要求元が、外部公開アプリケーション326からのものであるかを判断する(S812)。ここで、外部公開アプリケーション326からであると文書管理アプリケーション324が判断した場合、文書管理アプリケーション324は、アーカイブ済みフラグが「アーカイブ済み」であるか否かを判断する(S813)。ここで、外部公開アプリケーション326からとは、即ち、外部の、例えばPCクライアント102からのアクセス要求である。
【0063】
ここで、アーカイブ済みフラグが「アーカイブ済み」でないと文書管理アプリケーション324が判断した場合は、S815へ進む。つまり、未アーカイブであると文書管理アプリケーション324が判断した場合には、読み込んだ一件の画像データ名は読み飛ばして、S815へ進む。
一方、S813で、アーカイブ済みフラグが「アーカイブ済み」であると文書管理アプリケーション324が判断した場合は、S814へ進む。
そして、コントローラユニット201上で動く文書管理アプリケーション324は、画像データリストに処理中の画像データ名を追加する(S814)。
【0064】
次に、コントローラユニット201上で動く文書管理アプリケーション324は、該当ディレクトリに対して、すべての画像データを処理したかを判断する(S815)。ここで、すべてを処理し終えていないと文書管理アプリケーション324が判断した場合には、S811に戻り、終わっていると文書管理アプリケーション324が判断した場合には、S816に移る。
【0065】
そして、コントローラユニット201上で動く文書管理アプリケーション324は、生成した画像データリストを処理要求元である、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326に通知し(S816)、本処理を終了する。
【0066】
図9は、本実施形態を示す画像形成装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、画像形成装置101における文書管理アプリケーション324が、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326からの、画像データ読み込み処理例である。なお、各ステップは、CPU202がRAM203に制御プログラムをロードして実行することで実現される。この画像データ読み込み処理は、文書管理アプリケーション324が図7の表示後選択画像データをPrintする場合や、図5でクライアントPC102から画像データを開くときに用いられる。
【0067】
コントローラユニット201上で動く文書管理アプリケーション324は、この画像データ読み取り処理の要求元が、外部公開アプリケーション326からのものであるかを判断する(S911)。ここで、外部公開アプリケーション326からとは、外部の、例えばPCクライアント102からのアクセス要求である。S911において、外部公開アプリケーション326からであると文書管理アプリケーション324が判断した場合には、さらに、文書管理アプリケーション324はアーカイブ済みフラグがアーカイブ済みであるかどうかを判断する(S912)。そして、S912で、「アーカイブ済み」でないと文書管理アプリケーション324が判断した場合は、S915へ進む。
一方、S912で、アーカイブ済みフラグが設定されていると文書管理アプリケーション324が判断した場合には、S913へ進む。
【0068】
そして、文書管理アプリケーション324は、該当要求をおこなったユーザに当該画像データへのアクセス権があるかを確認する(S913)。ここで、アクセス権があると文書管理アプリケーション324が判断した場合には、S914に進み、アクセス権がないと文書管理アプリケーション324が判断した場合には、S915に処理を移す。
【0069】
そして、文書管理アプリケーション324は、画像データを処理要求元である、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326に転送し(S914)、本処理を終了する。
【0070】
また、文書管理アプリケーション324は、画像データを処理要求元である、Printアプリケーション325や外部公開アプリケーション326にアクセス不許可であることを通知し(S915)、本処理を終了する。
【0071】
以上、本実施形態によれば、画像形成装置において入出力される画像データの全てを監査用に保存(アーカイブ)しない場合でも、アーカイブ済みでない画像データがアーカイブされないまま画像形成装置から出力されることを防止することで監査漏れを防止することができる。
【0072】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
なお、本発明の趣旨には、上述した各図のフローチャートに示すステップの一部または全てを組み合わせてなる処理手順も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
101 画像形成装置
102 PCクライアント(情報処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の情報処理装置からのアクセスを可能にするように管理された記憶手段と、
読取り手段が原稿を読み取って生成する画像データ、または入力される画像データについて、前記画像データを後に監査するための監査用の画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した監査用の画像データを記録する記録手段と、
前記情報処理装置から前記記憶手段を参照する要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶された画像データのうち、前記記録手段によって前記監査用の画像データが記録された画像データに関する情報を作成する作成手段と、
前記作成手段が作成した前記情報を前記情報処理装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された画像データの一覧を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記記録手段によって前記監査用の画像データが作成された画像データと、前記記録手段によって監査用の画像データが作成されなかった画像データとについて、これらの画像データに関する情報を表示することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記作成手段が作成した画像データに関する情報をSMBまたはWebDAVを用いて前記情報処理装置へ送信することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項4】
外部の情報処理装置からのアクセスを可能にするように管理された記憶手段を有する画像形成装置の制御方法において、
読取り手段が原稿を読み取って生成する画像データ、または入力される画像データについて、前記画像データを後に監査するための監査用の画像データを生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された監査用の画像データを記録手段に記録する記録工程と、
前記情報処理装置から前記記憶手段を参照する要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶された画像データのうち、前記記録手段に前記監査用の画像データが記録された画像データに関する情報を作成する作成工程と、
前記作成工程で作成された前記情報を前記情報処理装置へ送信する送信工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−85032(P2012−85032A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228302(P2010−228302)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】