説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】画像形成装置の省電力/電源スイッチをOFFした際、スリープ状態に移行不可の場合であっても、スリープ状態に移行不可な要因が時間経過により解消できるときには、極力スリープ状態に移行できるようにすること。
【解決手段】画像形成装置のコントローラ1が、省電力/電源スイッチ10が操作されたことを検知した場合、スリープ状態への移行可否を判定するスリープ移行可否判定処理を行い、移行が可能の場合、スリープ状態へ移行するよう制御する。一方、スリープ状態への移行が不可の場合、スリープ移行不可要因が時間経過により解消するか判定し、時間経過により解消する場合、所定回数を限度に一定時間経過後に再度スリープ移行可否判定処理を実行するよう制御する。また、スリープ移行の不可要因が時間経過により解消しない場合、又は既にスリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、画像形成装置をシャットダウンするよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力化の技術として、一定時間機器を使用しない場合や電子機器のスイッチをOFFした場合にDRAMだけ通電しておくスリープ状態に移行し、次回スイッチONされた場合に、その状態から復帰することによってソフトウェアの起動にかかる時間を短縮する技術が確立されている。この技術は画像形成装置にも適用されている(特許文献1)。
【0003】
この種の省電力化技術が適用された画像形成装置では、スイッチをOFFした際、画像形成装置のスリープ状態への移行が不可な場合がある。このスリープ状態への移行が不可な場合とは、例えば、画像形成装置に何らかの異常が発生している場合や、スリープ移行のために中断してしまうとスリープ復帰しても画像形成装置を正常運用できなくなるような処理が画像形成装置で動作中の場合である。
【0004】
なお、スイッチのOFFにより画像形成装置の駆動部の電源に影響を与えない場合(即ち、スイッチOFFでも機械的には駆動部への電源がOFFされない場合)、スリープ状態への移行が不可であった際、すぐに画像形成装置をスリープ状態へ移行しなくても問題はない。
【0005】
しかし、スイッチのOFFにより機械的に画像形成装置の駆動部の電源がOFFされる場合(即ち、スイッチOFFにより機械的に駆動部への電源がOFFされる場合)、スリープ状態への移行が不可であっても、速やかにスリープ状態等に移行する必要がある。このため、この種の省電力化技術が適用された画像形成装置では、スリープ状態への移行が不可の場合は、スイッチのOFFにより、スリープ状態への移行ではなく、画像形成装置のシャットダウンを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−17111公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特に省電力機能が有効になっている場合などでは、ユーザは、スイッチのOFFにより、画像形成装置がシャットダウンするのではなく、スリープ状態となることを期待している。このため、スイッチがOFFされた場合は、極力スリープ状態とすることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、画像形成装置の省電力/電源スイッチをOFFした際、スリープ状態に移行不可の場合であっても、スリープ状態に移行不可な要因が時間経過により解消できるときには、極力スリープ状態に移行できるようにする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像形成装置であって、前記画像形成装置の電源供給状態を変化させるためのスイッチと、前記スイッチが操作されたことを検知した場合、前記画像形成装置の特定部分以外の電力供給を遮断したスリープ状態への移行の可否を判定するスリープ移行可否判定処理を行う第1判定手段と、前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が可能であると判定された場合、前記スリープ状態へ移行するスリープ移行手段と、前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が不可であると判定された場合、前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消するか否かを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定された場合、所定回数を限度に再度、前記スリープ移行可否判定処理を前記第1判定手段に実行させる再判定実行手段と、前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消しないと判定された場合、又は、前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、前記画像形成装置をシャットダウンするシャットダウン手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置の電源供給状態を変化させるスイッチが操作された時点でスリープ状態に移行不可の場合であっても、即座にシャットダウンせず、一定時間内にスリープ状態の移行が可能になった場合は、スリープ状態に移行できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置におけるスリープ移行可否判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例のスリープ移行不可要因の一例を示す図である。
【図4】実施例1におけるスリープ移行不可要因分析処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の画像形成装置においてユーザにより省電力/電源スイッチ10をONからOFFにする操作が行われた場合に実行される各処理のタイミングチャートである。
【図6】実施例3におけるスリープ移行不可要因分析処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。本図を用いて本発明を具体的に適用するモジュールである画像形成装置のコントローラについて述べる。
【0014】
図1において、1はコントローラで、画像形成装置を制御する。コントローラ1は、メインボード100と、サブボード120を有する。
メインボード100は、いわゆる汎用的なCPUシステムである。メインボード100には、CPU101、ブートロム102、メモリ103、バスコントローラ104、不揮発性メモリ105、ディスクコントローラ106、フラッシュディスク107、USBコントローラ108、電力制御部109を有する。
【0015】
CPU101は、メインボード100全体を制御する。ブートロム102は、ブートプログラムが格納されている。メモリ103は、CPU101がワークメモリとして使用するものである。
【0016】
バスコントローラ104は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ105は、電源断された場合でもデータを保持し続けることが可能である。
ディスクコントローラ106は、フラッシュディスク(SSD等)107やハードディスク装置6等のストレージ装置を制御する。フラッシュディスク(SSD等)107は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である。USBコントローラ108は、USBメモリ9を制御する。
【0017】
メインボード100の電源は電源装置8から給電される。電力制御部109は、メインボード100上の電力が必要な各部への給電を管理する。
メインボード100には外部に、USBメモリ9、操作部5、ハードディスク装置6が接続される。ハードディスク装置は、記憶装置であればハードディスクである必要は必ずしも無く、不揮発デバイスであればその種を問わない。
【0018】
サブボード120は、比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアから構成される。
サブボード120は、CPU121、メモリ123、バスコントローラ124、不揮発性メモリ125、画像処理プロセッサ127、デバイスコントローラ126を有する。
CPU121は、サブボード120全体を制御する。メモリ123は、CPU121がワークメモリとして使用するものである。バスコントローラ124は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ125は、電源断された場合でもデータを保持し続けることが可能である。画像処理プロセッサ127は、リアルタイムデジタル画像処理を行う。
【0019】
デバイスコントローラ126は、外部装置の制御を行う。外部スキャナ装置2と外部プリンタ装置4は、デバイスコントローラ126を介してデジタル画像データの受け渡しを行う。FAX装置7は、CPU121が直接制御を行う。
【0020】
サブボード120の電源は電源装置8から給電される。電力制御部128は、サブボード120上の電力が必要な各部への給電を管理する。
スイッチ10は、画像形成装置の電源供給状態を変化させるための省電力/電源スイッチであり、ユーザからの電源OFF/ON操作を受け付ける。スイッチ10が操作されるとCPU101へ割り込みが入る。CPU101は、この割り込みを検知すると、画像形成装置の状態に合わせて、電力制御部109、128を制御する。
【0021】
なお、本図はブロック図であり簡略化している。例えばCPU101、CPU121等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、説明の粒度的に不必要であるため簡略化記載しており、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0022】
以下、コントローラ1の動作について、紙デバイスへの画像複写を例に説明する。
ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、CPU101がCPU121を介してスキャナ装置2に画像読み取り命令を送る。スキャナ装置2は、紙原稿を光学スキャンしデジタル画像データに変換して、該デジタル画像データをデバイスコントローラ126を介して画像処理プロセッサ127に入力する。画像処理プロセッサは、入力されたデジタル画像データを、CPU121を介してメモリ123にDMA転送を行い一時保存させる。
【0023】
CPU101は、デジタル画像データがメモリ123に一定量もしくは全て入ったことが確認できると、CPU121を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出す。CPU121は、画像処理プロセッサ127にメモリ123の画像データの保存位置を教える。プリンタ装置4からの同期信号に従ってメモリ123上の画像データは画像処理プロセッサ127とデバイスコントローラ126を介してプリンタ装置4に送信され、プリンタ装置4にて紙デバイス(記録シート)に印刷される。
【0024】
なお、複数部印刷を行う場合、CPU101がメモリ123の画像データをハードディスク6に対して保存することにより、2部目以降はスキャナ装置2から画像を取得せずともプリンタ装置4に画像を送って印刷することが可能である。
【0025】
本実施例の画像形成装置は、画像形成装置の特定部分以外(例えば、メモリ103以外)の電力供給を遮断したスリープ状態への移行が可能である。
図2は、本発明の画像形成装置におけるスリープ移行可否判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、S200〜S220は各ステップを示す。これらのステップは、CPU101がブートロム102やハードディスク装置6にコンピュータ読取可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0026】
スリープ移行可否判定処理(第1判定処理)は、スイッチ10がOFFされた場合(ユーザがスイッチ10のOFF操作を行った場合)、もしくは、スリープ移行不可要因分析処理にて、スリープ移行不可要因が時間経過により解消可能と判断した場合に、開始される。以下、各ステップについて具体的に説明する。
【0027】
まず、S200において、CPU101は、スリープ移行不可要因が存在するかを検知(判定)する。なお、スリープ移行不可要因が存在する場合とは、画像形成装置に何らかの異常が発生している場合や、スリープ移行のために中断してしまうとスリープ復帰しても画像形成装置を正常運用できなくなるような処理が画像形成装置で動作中である場合等を示す。スリープ移行不可要因の具体例を図3に示す。
【0028】
図3は、本実施例のスリープ移行不可要因の一例を示す図である。
スリープ移行不可要因は、具体的には、電話回線にて通信中、印刷ジョブを実行中、エラーが発生した、一カ月以上電源のOFFを行っていない等の場合である。
これらは、スリープ移行不可要因の一例であり、本発明を限定するものではない。上記例にて、スリープ移行が不可である理由について述べる。
「電話回線にて通信中」の場合は、スイッチ10のOFFによりスリープ状態に移行したとして、通常状態に復帰した際に、電話回線による通信はスリープ移行する直前の状態にはならないためスリープ移行は不可であり、「シャットダウン」する。
【0029】
同様に、「印刷ジョブを実行中」の場合も、スイッチ10のOFFによりスリープ状態に移行したとして、通常状態に復帰した際に、プリンタ駆動部の状態はスリープ移行する直前の状態にはならないため、スリープ移行は不可であり、「シャットダウン」する。
【0030】
「エラーが発生した」場合は、スイッチ10のOFFによりスリープ移行して通常状態に復帰してもエラーが残るため、スリープ移行は不可であり、「シャットダウン」する。
また、「一か月以上電源のOFFを行っていない」場合は、メモリリークなどソフトウェアの不具合が蓄積されているかもしれないことを考慮して、スイッチ10のOFFによりスリープ移行せず、「シャットダウン」する。
【0031】
このように、予め、全てのスリープ移行不可要因をリストアップしてハードディスク装置6等に記憶しておく。そして、S200では、スリープ移行不可要因が存在するか否かの判定を、画像形成装置の状態を上記のリストと照合することで行うものとする。
【0032】
以下、図2のフローチャートの説明に戻る。
上記S200において、スリープ移行不可要因が存在すると判定した場合(S200でYes)、S210に処理を移す。この際、CPU101は、メモリ103に格納されているスリープ移行可否判定処理の実施回数をインクリメントとする(不図示)。
【0033】
S210では、CPU101は、スリープ移行不可要因が存在するため、その要因について分析を行う(スリープ移行不可要因分析処理)。スリープ移行不可要因分析処理については図4にて詳述する。
【0034】
一方、上記S200において、スリープ移行不可要因が存在しないと判定した場合(S200でNo)、CPU101は、S220に処理を移す。この際、CPU101は、メモリ103に格納されているスリープ移行可否判定処理の実施回数を「0」に初期化する(不図示)。
【0035】
S220では、CPU101は、スリープ移行不可要因が存在しないため、画像形成装置をスリープ状態に移行する。即ち、CPU101は、例えばメモリ103だけ通電し、その他への電力供給を遮断するように電力制御部109、128を制御する。
【0036】
図4は、実施例1におけるスリープ移行不可要因分析処理の一例を示すフローチャートである。なお、S400〜S430は各ステップを示す。これらのステップは、CPU101がブートロム102やハードディスク装置6にコンピュータ読取可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0037】
スリープ移行不可要因分析処理は、図2に示したスリープ移行可否判定処理にて、スリープ移行不可要因が検出された場合に開始され、そのスリープ不可要因が時間経過により解消可能かについて分析する処理である。以下に、各ステップについて具体的に説明する。
【0038】
まず、S400において、CPU101は、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得るか否かを分析(判定)する(第2判定処理)。
スリープ移行不可要因には、時間経過により解消する場合と、そうでない場合がある。例えば「電話回線にて通信中」であることや、「印刷ジョブを実行中」であることは、いずれ完了するものであり、これらは時間経過により解消するスリープ移行不可要因である。これに対し、「エラーが発生した」ことや、「長時間(例えば一カ月以上)電源のOFFを行っていない」ことは、時間が経過しても解消し得ないスリープ移行不可要因である。
【0039】
このように、予め、全てのスリープ移行不可要因について、時間経過により解消するものと、時間経過によっても解消しないものに分類し、該分類情報をハードディスク装置6等に記憶しておく。そして、S400では、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得るかの判断を、上記の分類情報と照合することで行うものとする。
【0040】
上記S400において、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得ると判定した場合(Yes)、CPU101は、S410に処理を移す。一方、スリープ移行不可要因が時間経過により解消しないと判定した場合(No)、CPU101は、S430に処理を移す。
【0041】
S410では、CPU101は、図2に示したスリープ移行可否判定処理の実施は所定の回数内であるかを判定する。
そして、スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数内であると判定した場合(S410でYes)、CPU101は、S420に処理を移す。
S420では、CPU101は、例えば一定時間経過後に、スリープ移行可否判定を再実施するように制御する。即ち、本実施例の画像形成装置は、スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定された場合であっても、所定回数を限度に、再度、スリープ移行可否判定処理を実行するように制御する(再判定実行処理)。
【0042】
一方、スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数内でない(スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数に達した)と判定した場合(S410でNo)、CPU101は、S430に処理を移す。
【0043】
S430では、CPU101は、画像形成装置をシャットダウンする。即ち、本実施例の画像形成装置は、スリープ移行不可要因が時間経過により解消しないと判定された場合、又は、スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、画像形成装置をシャットダウンするように制御する。なお、シャットダウン処理では、CPU101は、画像形成装置への全ての電力供給を遮断するように電力制御部109、128を制御する。
【0044】
以上示したように、省電力/電源スイッチ10をOFFにした直後に、スリープ移行が不可であっても、即座に画像形成装置をシャットダウンしないようにし、スリープ移行不可要因が時間経過により解消しない場合、もしくは、所定の回数以上スリープ移行可否判定を行った場合にのみ、画像形成装置をシャットダウンするように制御することができる。
【0045】
図5は、実施例1の画像形成装置においてユーザにより省電力/電源スイッチ10をONからOFFにする操作が行われた場合に実行される各処理のタイミングチャートである。
【0046】
図5(A)は、スリープ移行可否判定にて、連続して複数回スリープ移行不可要因が検出されたものの、その要因が時間経過により解消し得るものであり、なお且つ、時間経過により解消したため、画像形成装置がスリープ移行した様子を示したものである。
【0047】
具体的には、スイッチ10がOFFにされた後、スリープ移行可否判定を行い、スリープ移行が不可であったものの、スリープ移行不可要因を分析したところ、前記スリープ移行不可要因が時間経過により解消可能であった場合、再度、スリープ移行可否判定を行った。これをもう一度繰り返した後のスリープ移行可否判定にて、前記スリープ移行不可要因が解消されておりスリープ移行が可能と判定され、画像形成装置をスリープ状態に移行した様子を示したものである。
【0048】
これに対し、図5(B)は、スリープ移行可否判定にて、連続して複数回スリープ移行不可要因が検出され、前記要因が当初は時間経過により解消し得るものだけであったものの、後に時間経過により解消し得ない要因が発生したことにより、画像形成装置がシャットダウンした様子を示したものである。
【0049】
具体的には、スイッチ10がOFFにされた後、スリープ移行可否判定を行い、スリープ移行が不可となった。そして、初回のスリープ移行不可要因分析では、前記スリープ不可要因が時間経過により解消可能であった。しかし、二度目のスリープ移行不可要因分析にて、時間経過により解消し得ないスリープ移行不可要因が更に発生していることが分かり、スリープ移行が不可能と判定され、画像形成装置をシャットダウン状態に移行した様子を示したものである。
【0050】
このように、本発明の画像形成装置では、省電力/電源スイッチ(スイッチ10)がOFFされた時点で、スリープ移行不可要因が検出されても、それが時間経過により解消するものであれば、即座にシャットダウンせず、スリープ状態に移行できる可能性を高めることができるようになる。
【実施例2】
【0051】
上記実施例1では、予め全てのスリープ移行不可要因を、時間経過により解消するものとしないものに分類しておき、この分類に基づいて、図4の処理S400にて、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得るかの判断する構成を示した。
【0052】
実施例2では、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得るかの判断を、実際に一定の時間経過をさせることでスリープ移行不可要因が解消されたか否かにより確認することで行う。その他の構成については、実施例1と全く同様である。
【実施例3】
【0053】
実施例3においても、実施例2と同様に、スリープ移行不可要因が時間経過により解消し得るかの判断を、実際に一定の時間経過をさせることでスリープ移行不可要因が解消されたか否かにより確認することで行う。以下、実施例3の構成について詳細に説明する。
【0054】
図6は、実施例3におけるスリープ移行不可要因分析処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、CPU101がブートロム102やハードディスク装置6にコンピュータ読取可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0055】
スリープ移行不可要因分析処理は、図2に示したスリープ移行可否判定処理にて、スリープ移行不可要因が検出された場合に開始され、そのスリープ不可要因が時間経過により解消可能かについて分析する処理である。以下に、各ステップについて具体的に説明する。
【0056】
スリープ移行不可要因分析処理が開始すると、S600において、CPU101は、一定の時間待機し、スリープ移行不可要因が時間経過により実際に解消したか否かを判定する(第3判定処理)。
【0057】
そして、スリープ移行不可要因が一定の時間経過後に解消したと判定した場合(S600でYes)、CPU101は、S620に処理を移す。
S620では、CPU101は、例えば一定時間経過後に、スリープ移行可否判定処理を再実施するように制御する(再判定実行処理)。なお、スリープ移行不可要因が一定の時間経過後に解消したと判定した場合(S600でYes)、CPU101は、図2のS220に処理を移し、スリープ状態に移行するように制御してもよい。
【0058】
一方、スリープ移行不可要因が一定の時間経過しても解消しなかったと判定した場合(S600でNo)、CPU101は、S610に処理を移す。
S610では、CPU101は、図2に示したスリープ移行可否判定処理の実施は所定の回数内であるかを判定する。
そして、スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数内であると判定した場合(S610でYes)、CPU101は、S620に処理を移す。即ち、本実施例の画像形成装置は、一定の時間待機した後にでも前記スリープ移行の不可要因が解消しなかったと判定された場合、所定回数を限度に、再度、前記スリープ移行可否判定処理を実行するように制御する。
【0059】
一方、スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数内でない(スリープ移行可否判定処理の実施回数が所定の回数に達した)と判定した場合(S610でNo)、CPU101は、S630に処理を移す。
【0060】
S630では、CPU101は、画像形成装置をシャットダウンする。即ち、本実施例の画像形成装置は、スリープ移行の不可要因が解消しなかったと判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、画像形成装置をシャットダウンするように制御する。
【0061】
その他の構成については、実施例1と全く同様である。
以上示したように、省電力/電源スイッチをOFFにした直後に、スリープ移行が不可であっても、即座に画像形成装置をシャットダウンしないようにし、スリープ移行不可要因が一定の時間経過しても解消せず、所定の回数以上スリープ移行可否判定を行った場合にのみ、画像形成装置をシャットダウンするように制御することができる。
【0062】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施例について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0063】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0064】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 コントローラ
8 電源装置
10 スイッチ
100 メインボード
101 CPU
102 ブートROM
103 メモリ
109 電力制御部
120 サブボード
121 CPU
128 電力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
前記画像形成装置の電源供給状態を変化させるためのスイッチと、
前記スイッチが操作されたことを検知した場合、前記画像形成装置の特定部分以外の電力供給を遮断したスリープ状態への移行の可否を判定するスリープ移行可否判定処理を行う第1判定手段と、
前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が可能であると判定された場合、前記スリープ状態へ移行するスリープ移行手段と、
前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が不可であると判定された場合、前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消するか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定された場合、所定回数を限度に再度、前記スリープ移行可否判定処理を前記第1判定手段に実行させる再判定実行手段と、
前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消しないと判定された場合、又は、前記第2判定手段により前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、前記画像形成装置をシャットダウンするシャットダウン手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置のスリープ移行の不可要因を時間経過により解消するものとしないものに分類した分類情報を記憶する記憶手段を有し、
前記第2判定手段は、前記分類情報に基づいて、前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消するか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2判定手段は、前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消するか否かを、一定の時間経過後に前記スリープ移行の不可要因が解消したか否かにより判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置であって、
前記画像形成装置の電源供給状態を変化させるためのスイッチと、
前記スイッチが操作されたことを検知した場合、前記画像形成装置の特定部分以外の電力供給を遮断したスリープ状態への移行の可否を判定するスリープ移行可否判定処理を行う第1判定手段と、
前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が可能であると判定された場合、前記スリープ状態へ移行するスリープ移行手段と、
前記第1判定手段により前記スリープ状態への移行が不可であると判定された場合、一定の時間経過後に前記スリープ移行の不可要因が解消したか否かを判定する第3判定手段と、
前記第3判定手段により前記スリープ移行の不可要因が解消しなかったと判定された場合、所定回数を限度に、再度、前記スリープ移行可否判定処理を前記第1判定手段に実行させる再判定実行手段と、
前記第3判定手段により前記スリープ移行の不可要因が解消しなかったと判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、前記画像形成装置をシャットダウンするシャットダウン手段と、
を有する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の制御方法であって、
第1判定手段が、前記画像形成装置の電源供給状態を変化させるためのスイッチが操作されたことを検知した場合、前記画像形成装置の特定部分以外の電力供給を遮断したスリープ状態への移行の可否を判定するスリープ移行可否判定処理を行う第1判定ステップと、
スリープ移行手段が、前記第1判定ステップで前記スリープ状態への移行が可能であると判定された場合、前記スリープ状態へ移行するスリープ移行ステップと、
第2判定手段が、前記第1判定ステップで前記スリープ状態への移行が不可であると判定された場合、前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消するか否かを判定する第2判定ステップと、
再判定実行手段が、前記第2判定ステップで前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定された場合、所定回数を限度に再度、前記スリープ移行可否判定処理を前記第1判定手段に実行させる再判定実行ステップと、
シャットダウン手段が、前記第2判定ステップで前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消しないと判定された場合、又は、前記第2判定ステップで前記スリープ移行の不可要因が時間経過により解消すると判定され既に前記スリープ移行可否判定処理を所定回数実行した場合、前記画像形成装置をシャットダウンするシャットダウンステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載された画像形成装置の手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−14082(P2013−14082A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148846(P2011−148846)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】