説明

画像形成装置、記録ヘッドの回復処理方法、及びプログラム

【課題】 ライン型記録ヘッドを用いた画像形成装置において、画像形成に寄与しない空吐出のためのインクの消費を低減すると共に、用紙待機期間における空吐出の実施により印刷処理能力が制限されるのを回避すること。
【解決手段】 記録ヘッドのノズル列を構成する各ノズルのインクの吐出量を記憶する吐出量記憶手段332と、ノズル列の中で印刷に使用されることとなるノズルの使用位置範囲を決定する範囲決定手段333と、使用位置範囲内のノズルを用いて印刷を行うと共に、印刷動作と同時に使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を実施する吐出制御手段331と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン型記録ヘッドを用いた画像形成装置、記録ヘッドの回復処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力された画像データを印刷するプリンタ等の画像形成装置では、印刷方式として、記録用紙にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式、及び、帯電した感光ドラムの表面にレーザ光の照射により電圧変化パターン(静電潜像)を発生させてトナー(顔料)を吸着させ、このトナーを記録用紙に転写して印刷を行うレーザ方式が、主に採用されている。
【0003】
上記のうちインクジェット方式の画像形成装置は、インクを吐出するための多数のノズルを備えた記録ヘッドを持ち、この記録ヘッドのノズルから記録媒体にインクを吐出することにより記録媒体上に画像を形成する。この記録ヘッドとして、シリアル型記録ヘッドとライン型記録ヘッドがある。シリアル型記録ヘッドは、記録用紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に移動できる可動機構(キャリッジ)に搭載され、副走査方向に移動する記録用紙の上を主走査方向に往復運動しながら印刷を行う記録ヘッドであり、ライン型記録ヘッドは、記録用紙の幅以上の長さに亘って主走査方向に並べられたノズルの列で構成され、自身は移動せず、その下を副走査方向に記録用紙が移動することで印刷を行う記録ヘッドである。特に、ライン型記録ヘッドは、印刷に際して記録ヘッドの移動を伴わないため、高速に印刷できるという利点を有している。
【0004】
インクジェット方式の記録ヘッドに用いられるこれらのノズルは、インクの乾燥や異物の付着等によって、目詰まりや、吐出量あるいは飛翔方向の異常等、インクの吐出不良を発生する場合がある。このような異常を生ずると、例えば、目詰まりは印刷画像の色落ちに、吐出量の異常は記録用紙上に形成されるドットサイズの異常に、飛翔方向の異常はドットの形成位置の異常となり、いずれも、印刷画像の品質を低下させる原因となる。これらのノズル異常の発生を防止するため、必要に応じて、画像印刷を目的としないインクの吐出(空吐出)、ノズルの拭き取り(ワイピング)、ノズルからの不良インクの吸引(ノズル吸引)などの、記録ヘッドの回復処理が行なわれる。
【0005】
従来、これらの回復処理は、印刷動作を行う位置(印刷位置)から回復処理のための位置(回復位置)へ記録ヘッドを移動させて行われるが、この記録ヘッドの移動に要する時間のため、回復処理に費やされる時間が長くなり、所定の時間内に印刷できる記録用紙の枚数(印刷処理能力)が制限されてしまうという問題を有している。特に、高速印刷を利点とするライン型記録ヘッドにおいては、印刷処理能力の制限は大きな問題となる。
【0006】
上記従来の問題を解消する方法として、記録用紙に画像を印刷する前に、その記録用紙上(例えば余白部分)に空吐出を行う方法が知られている(特許文献1参照)。
また、上記従来の問題を解消する他の方法として、印刷位置から回復位置への移動を行うことなく印刷位置において回復処理が行えるように、記録用紙の搬送ベルトに孔を設け、搬送ベルト上に載置された記録紙が記録ヘッドの下を通過した後に、この搬送ベルトの穴を通してノズルの空吐出を行う方法が知られている(特許文献2参照)。すなわち、記録ヘッドの下を記録用紙の後端が通過した後、次に印刷する記録用紙の先端が到来するまでの間(以下、「用紙待機期間」と称する。)に、搬送ベルトに設けた穴を介してノズルの空吐出を行うのである。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、これをライン型記録ヘッドに適用した場合には、空吐出された液滴が記録用紙上に一列に並び、人の目には印刷画像とは無関係な筋として認識されることから、印刷画像の品質が低下するという問題を有している。また、全てのノズルを対象として空吐出が行われるため、画像形成に寄与しないインクが大量に消耗され、ランニングコストの増大を招くという問題も有している。
【0008】
また、特許文献2に記載された方法は、全ノズルを対象として空吐出が行われるため、画像形成に寄与しないインクが大量に消耗され、ランニングコストの増大を招くという、上記と同様の問題を有しているほか、例えば、カラー印刷のために複数のライン型記録ヘッドを副走査方向に並べて使用するときは、全ノズルを一度に空吐出しようとすれば、記録用紙の搬送間隔を副走査方向に並んだ記録ヘッド全体の幅より狭くすることはできず、時間当りに記録ヘッドの下を通過する記録用紙の枚数が制限される結果、印刷処理能力も制限されてしまうという問題も有している。
【0009】
この場合、搬送される記録用紙の間隔(紙間)を記録ヘッド1個分の幅とし、紙間の到来に合わせて各記録ヘッドの全ノズルを順次空吐出する方法が考えられるが、この場合には、前の記録ヘッドが空吐出されてから次の記録ヘッド位置に紙間が到来するまでの間に、次の記録ヘッドにおいて、空吐出のための各種設定(温度設定や吐出インク量設定等)を全ノズルについて完了する必要があり、これらの設定処理を完了するための時間を確保すべく、給紙速度を遅くする必要が生ずる。従って、この場合にも、印刷処理能力の低下を招いてしまうという問題を生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、ライン型記録ヘッドを用いた画像形成装置において、印刷画像の品質を低下させることなく、画像形成に寄与しない空吐出のためのインクの消費を低減すると共に、用紙待機期間における空吐出の実施により印刷処理能力が制限されるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置であって、前記ノズルの列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶する吐出量記憶手段と、前記ノズル列におけるノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する範囲決定手段と、前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する搬送手段と、前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段と、を有し、前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と同時に実施することを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置であって、前記ノズルの列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶する吐出量記憶手段と、前記ノズル列におけるノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する範囲決定手段と、前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する搬送手段と、前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段と、を有し、前記吐出制御手段は、直近のインク吐出動作から所定時間を経過したことを条件として、前記使用位置範囲内にないノズルのうち空吐出の実施が必要なノズルについて、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と同時に、空吐出を実施することを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された画像形成装置において、前記範囲決定手段は、前記吐出量記憶手段が記憶している各ノズルのインクの吐出量に関する情報に基づいて、前記使用位置範囲を決定することを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された画像形成装置において、前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量に関する情報は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの前記各ノズルの吐出インクの総量であって、前記範囲決定手段は、前記吐出量記憶手段が記憶している各ノズルの吐出インクの総量を参照し、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さいノズルの位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された画像形成装置において、各ノズルについて使用を開始してから現在に至るまでに吐出したインクの累積量を記憶する累積量記憶手段を有し、前記範囲決定手段は、前記現在の吐出インクの総量の和が最も小さい位置範囲が複数あるときは、前記累積量記憶手段の記憶内容を参照し、前記複数ある位置範囲のうち、印刷動作に使用することとなるノズルについての前記インクの累積量の和が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、請求項3に記載された画像形成装置において、前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの間に前記各ノズルが吐出したインクの総量であって、前記範囲決定手段は、次に搬送される記録媒体に印刷すべき画像データに基づき、印刷動作に使用することとなる各ノズルについての印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値との差が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された画像形成装置において、各ノズルについて使用を開始してから現在に至るまでに吐出したインクの累積量を記憶する累積量記憶手段を有し、前記範囲決定手段は、前記印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値との差が最小である位置範囲が複数あるときは、前記累積量記憶手段の記憶内容を参照して、前記複数ある位置範囲のうち、印刷に使用されることとなるノズルについての前記インクの累積量の和が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする。
請求項8に記載された発明は、請求項2に記載された画像形成装置において、前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量に関する情報は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの前記各ノズルの吐出インクの総量であって、前記吐出制御手段は、前記所定時間の経過時に前記吐出量記憶手段が記憶している吐出インク総量が所定量以下又は未満であるノズルを、前記空吐出の実施が必要なノズルとすることを特徴とする。
請求項9に記載された発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載された画像形成装置において、前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にあったノズルについての空吐出を、次の記録媒体が到来するまでの用紙待機期間に行うことを特徴とする。
請求項10に記載された発明は、請求項4ないし8のいずれかに記載された画像形成装置において、前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にあったノズルについて空吐出をするときは、直近のインク吐出動作から所定時間を経過したことを条件とし、かつ、前記使用位置範囲内にあったノズルのうち前記所定時間の経過時に前記吐出量記憶手段が記憶している吐出インクの総量が所定量以下又は未満であるノズルのみを対象として、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降の印刷動作において使用位置範囲内に含まれないこととなったときは印刷動作と同時に空吐出を実施し、又は、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降のいずれの印刷動作においても使用位置範囲内に含まれることとなったときは用紙待機期間に空吐出を実施することを特徴とする。
請求項11に記載された発明は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置の、前記記録ヘッドの回復処理方法であって、前記ノズル列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶装置に記憶させる工程と、前記ノズル列の中のノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する工程と、前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する工程と、前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する工程と、を有し、前記決定する工程では、前記記憶させる工程において記憶装置に記憶させた前記情報に基づいて前記使用位置範囲を決定し、前記制御する工程では、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、同時に行うことを特徴とする。
請求項12に記載された発明は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置のコンピュータを、前記ノズル列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶装置に記憶させる手段と、前記ノズル列の中のノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する手段と、記録媒体が前記使用位置範囲へ搬送されるように記録媒体の搬送動作を制御する手段と、前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する手段、として機能させるプログラムであって、前記決定する手段は、前記記憶させる手段により前記記憶装置に記憶させた前記情報に基づいて前記使用位置範囲を決定し、前記吐出動作を制御する手段は、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、同時に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ライン型記録ヘッドを用いた画像形成装置において、印刷画像の品質を低下させることなく、画像形成に寄与しない空吐出のためのインクの消費を低減すると共に、用紙待機期間における空吐出の実施により印刷処理能力が制限されるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る画像形成装置における、記録ヘッドと記録用紙との位置関係を説明する図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置において幅の狭い記録用紙に印刷する際の、記録ヘッドと記録用紙との位置関係を説明する図である。
【図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
本画像形成装置1は、記録媒体である記録用紙に画像を印刷する印刷部2と、印刷のための画像データや設定データをPC(パーソナル・コンピュータ)等の外部機器から受信して印刷部2に印刷動作を行わせる制御部3と、を有している。
【0015】
図2は、印刷部2の構成を示す図である。
印刷部2は、ぞれぞれ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)のインクを吐出して、記録媒体である記録用紙上にカラー画像を印刷する4つのライン型の記録ヘッド201〜204と、記録ヘッド201〜204のノズル列の下に記録用紙を搬送する搬送ベルト205と、搬送ベルト205を駆動するベルトローラ209、210と、記録用紙を格納する給紙部206と、給紙部206から搬送ベルト205に記録用紙を供給する給紙ローラ212と、を有している。
【0016】
また、印刷部2は、搬送ベルト205に対する主走査方向(搬送方向と直交する方向)の給紙位置を調整する給紙位置調整部207と、記録ヘッド201の位置に記録用紙が到達したことを検出する給紙センサ213と、記録ヘッド204の位置を記録用紙が通過したことを検出する排紙センサ214と、記録ヘッド201〜204による印刷が完了した記録用紙を回収する排紙部208と、記録ヘッド201〜204から空吐出されたインクを受けるための空吐出インク受け211も有している。
【0017】
ここで、給紙部206は着脱式であり、記録用紙の幅に応じた別の給紙部に交換することで、印刷に使用する記録用紙を変更することができる。
また、記録ヘッド201〜204は、そのノズルが搬送ベルト205の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に並ぶように配置されている。
なお、記録ヘッド201〜204のノズルとしては、例えば、ノズルに連結された微小なインク貯蔵部(液室)の内圧を圧電素子により変化させてインクを吐出させる方式のものを使用することができる(特開2006−218770号公報参照)。また、給紙位置調整部207としては、例えば、ステッピングモータ等により、給紙部206の全体を搬送ベルト205の搬送方向と直交する方向に移動させるものでもよいし、給紙部206内に設けられた、図示しない給紙位置決定のためのガイドを移動させるものでもよい(特開2007−130974号公報参照)。
【0018】
図3は、本画像形成装置1の制御部3の構成を示すブロック図である。
制御部3は、外部のPC等との間でデータ通信を行う通信インタフェース部31と、印刷部2との間でデータのやりとりを行う印刷インタフェース部32と、画像データについての各種の処理や、印刷部2の各部の動作を制御する処理部33を有している。
【0019】
ここに、処理部33は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、記録ヘッド201〜204の各ノズルにおけるインクの吐出動作を制御する吐出制御手段331と、各ノズルにおけるインクの吐出量を記憶する吐出量記憶手段332と、記録ヘッド201〜204のノズル列の中のノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録用紙への印刷動作に使用することとなるノズルの位置範囲(使用位置範囲)を決定する範囲決定手段333と、を有している。なお、処理部33が有するこれらの手段は、例えば、プログラムによりCPUを含むコンピュータで実現される機能実現手段であり、そのコンピュータ・プログラムは、任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。また、範囲決定手段333が決定したノズルの使用位置範囲に記録用紙を搬送する搬送手段は、例えば、搬送ベルト205と、給紙部206と、給紙位置調整部207と、これらの動作を制御する処理部33により構成される。
【0020】
図4は、記録ヘッド201〜204と記録用紙との位置関係を示す図である。
記録ヘッド201〜204は、それぞれ、ノズル列が主走査方向(搬送ベルト205の記録用紙の搬送方向と直交する方向)に沿うように、並べて配置されている。記録用紙は、搬送ベルト205の上に載置され、記録ヘッド201〜204のノズル列の下を通過する際に、各ノズルからインクが吐出されて画像が印刷される。
【0021】
ここで、記録ヘッド201〜204により印刷が可能な記録用紙の最大幅は、記録ヘッド201〜204のノズル列の長さによって決まり、記録用紙の幅が広く、印刷可能な最大幅に対して余裕がないときは、図4に示したように、記録用紙の主走査方向の位置はほぼ一義的に定まる。
一方、印刷可能な最大幅よりも狭い幅の記録用紙に印刷する場合には、図5に示すように、記録用紙は記録ヘッド201〜204の主走査方向(ノズル列方向)のどの位置に配置しても印刷が可能である。この主走査方向における記録用紙の位置の調整は、例えば、給紙位置調整部207により給紙部206’を移動させることにより行うことができる。
【0022】
上述した画像形成装置1は、概ね以下のように動作する。
まず、ユーザが画像形成装置1の電源を投入すると、処理部33の吐出制御手段331は、記録ヘッド201〜204の全ノズルの空吐出を実施すると共に、吐出量記憶手段332の記憶内容をリセットする。その後は、例えば外部のPC等から印刷指示を受信することにより、印刷部2による印刷動作が行われる。印刷動作が行われるたびに、処理部33は、その印刷動作において各ノズルが吐出したインク(吐出インク)の量を、ノズル毎に吐出量記憶手段332の記憶内容に加算する。これにより、吐出量記憶手段332には、各ノズルについて、直近の空吐出後に吐出したインク(吐出インク)の総量が記憶される。
【0023】
印刷部2による印刷動作に際し、範囲決定手段333は、吐出量記憶手段332の記憶内容に基づき、記録ヘッド201〜204のノズルのうち、印刷動作に使用するノズルの位置範囲(使用位置範囲)として、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さくなる位置範囲を選択し、吐出制御手段331により印刷を実行する。
これにより、吐出インクの総量が少なく使用頻度の低いノズルを多く含む位置範囲を用いて印刷動作が行われるため、ノズル全体として印刷動作に使用される頻度をほぼ同じに維持することができる。このため、目詰まり発生の確率は低くなり、空吐出を要するノズルの発生頻度を下げることができる。その結果、印刷に使用されずに消費されるインクの量を低減することができるので、画像形成装置1のランニングコストを下げることができる。
【0024】
また、吐出制御手段331は、現在の印刷動作に使用されないこととなったノズルのうち空吐出の実施が必要なノズルは、用紙待機期間(印刷動作の終了後、次の記録用紙が記録ヘッド201に到来するまでの間)を待たずに、印刷動作と並行して、空吐出インク受け211に対して空吐出を行う。
これにより、用紙待機期間に空吐出するノズルの数を減らすことができ、空吐出を行うノズルの数の減少に応じて、記録ヘッド201〜204に対する空吐出のための各種の設定動作に要する時間を短縮することができる。このため、用紙待機期間を短くして空吐出の実施に伴う印刷処理能力の低下を軽減することができる。また、ノズルの空吐出は、記録用紙に対してではなく空吐出インク受け211に対して行われるため、記録用紙上の印刷画像の品質が低下することもない。
【0025】
次に、本画像形成装置1の動作手順を、図6のフロー図に従って説明する。
(1)まず、ユーザが画像形成装置1の電源を投入すると(S101)、吐出制御手段331は記録ヘッド201〜204の全ノズルの空吐出を実施すると共に、吐出量記憶手段332の記憶内容をリセットする(S102)。次に、処理部33は、外部からの印刷命令を受信するのを待機する(S103、No)。この印刷命令は、例えば外部PC等から、印刷すべき画像データ等と共に送信される。
【0026】
(2)印刷命令を受信すると(S103、Yes)、範囲決定手段333は、次に搬送される記録用紙の幅に基づいて、次の印刷動作に使用されることとなるノズルの位置範囲の候補を特定する(S104)。
【0027】
(3)次に、範囲決定手段333は、吐出量記憶手段332が記憶している各ノズルの吐出インクの総量を参照して、これらの位置範囲の候補のうち、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さい候補を、次の印刷動作に使用するノズルの位置範囲(使用位置範囲)として決定する(S105)。このとき、現在の吐出インク総量の和が最小となるような位置範囲として複数の候補がある場合には、例えば、その候補のうち吐出インクの総量が最も少ないノズルを含む位置範囲を選択する等、複数ある位置範囲の候補から一つを選択するためのルールを予め定めておくことができる。
【0028】
(4)処理部33は、範囲決定手段333が決定した使用位置範囲に記録用紙が搬送されるように、給紙位置調整部207により給紙部206の位置を調整して主走査方向における記録用紙の給紙位置を決定し、搬送ベルト205により記録用紙を使用位置範囲に搬送する(S106)。すなわち、処理部33は、記録用紙が使用位置範囲に搬送されるように、給紙位置調整部207、給紙部206、及び搬送ベルト205による記録用紙の搬送動作を制御する。
【0029】
(5)次に、処理部33は、直近の空吐出動作から予め定めた所定の時間(所定時間)が経過したか否かを判定し(S107)、経過したときは(S107、Yes)、吐出量記憶手段332が記憶している各ノズルの吐出インク総量を参照して、使用位置範囲外のノズルのうち吐出インクの総量が予め定めた所定の値(所定値)以下又は未満であるノズルを、空吐出を実施すべきノズル(空吐出対象ノズル)として特定する(S108)。
【0030】
(6)吐出制御手段331は、範囲決定手段333が決定したノズルの使用位置範囲の情報と、外部PC等から受信した画像データに基づいて、記録用紙に画像を印刷すると同時に、使用位置範囲外の空吐出対象ノズルについて、空吐出インク受け211に対して空吐出を実施する(S109)。
【0031】
(7)処理部33は、印刷動作及び空吐出動作において各ノズルが吐出したインクの量を、吐出量記憶手段332が記憶している各ノズルの吐出インクの総量に加算し(S110)、使用位置範囲内にあったノズルについて、加算後の吐出インク総量が所定値以下又は未満であるノズルを空吐出対象ノズルとして特定する(S111)。
【0032】
(8)吐出制御手段331は、排紙センサ214が記録用紙の通過を検出した後、給紙センサ213が次の記録用紙の到来を検出するまでの間(用紙待機期間)に、使用位置範囲内にあった空吐出対象ノズルについて、空吐出を実施した後(S112)、吐出量記憶手段332が記憶している各ノズルの吐出インクの総量をゼロにリセットし(S113)、ステップS103に戻って、次の印刷命令を受信するのを待機する。
【0033】
ここで、空吐出の実施後に、吐出量記憶手段332が記憶しているノズルの吐出インクの総量をリセットするのは、空吐出を実施したノズルは目詰まりの危険性のない状態に回復しているため、空吐出後から、新たに吐出インクの総量の監視を開始して使用状態を判断する必要があるからである。また、空吐出を実施していないノズルを含めて、吐出量記憶手段332が記憶している全ノズルの吐出インクの総量をリセットするのは、所定時間以内に吐出インクの総量が所定値以上であったノズル(ステップS108又はS111において空吐出対象ノズルとして特定されなかったノズル)は、その所定時間内に相当の頻度で印字に使用されていると考えられることから、空吐出を行ったノズルと同様に目詰まりを生じない状態になっているものとみなして吐出量記憶手段332の記憶内容をリセットしても、事実上不都合を生じないからである。
【0034】
(9)一方、ステップS107において、直近の空吐出動作から所定時間が経過していないときは(S107、No)、吐出制御手段331は、ノズルの使用位置範囲の情報と印刷画像のデータに基づいて、記録用紙への画像の印刷のみ行った後(S114)、使用位置範囲内にあった各ノズルについて、その印刷動作において吐出したインクの量を、吐出量記憶手段332が記憶している各ノズルの吐出インクの総量に加算し(S115)、ステップS103に戻って、次の印刷命令を受信するのを待機する。
【0035】
なお、上記の例では、直近の空吐出から所定時間が経過したことを条件として、空吐出の要否を判定しているが(ステップS107)、それ以外にも、例えば、直近の空吐出の後、印刷枚数が所定の枚数に達したことや、印刷要求を所定時間受信しなかったこと等を条件として、判定してもよい。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置について説明する。
本画像処理装置では、第1の実施形態に係る画像形成装置の処理部33が、各ノズルの使用開始から現在に至るまでの吐出インクの累積量を記憶する累積量記憶手段を更に有し、第1の実施形態に係る画像形成装置の範囲決定手段333は、図6のステップS105の代わりに、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さい位置範囲が複数あるときは、累積量記憶手段の記憶内容を参照し、複数ある位置範囲のうち印刷動作に使用されることとなるノズルについての吐出インクの累積量の和が最小である候補を、次の印刷動作に使用するノズルの位置範囲(使用位置範囲)として決定する。
本実施形態によれば、吐出インクの総量の和が最も小さい位置範囲が複数あるときに、吐出インクの累積量が少なく消耗の少ないノズルが多く含まれる位置範囲を選択して使用することができるので、消耗したノズルの使用を避けて、記録ヘッド201〜204の寿命の短縮を防止することができる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本画像形成装置は、第1の実施形態に係る画像形成装置の範囲決定手段333が、吐出量記憶手段332に記憶させている各ノズルの吐出インクの総量、及び、記録媒体に印刷すべき画像データに基づいて、印刷動作に使用されることとなる各ノズルの、印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値の差を算出し、ノズルの位置範囲のうち、この最大値と最小値の差が最小である位置範囲を、次の印刷動作に使用するノズルの位置範囲(使用位置範囲)として決定する。
本実施形態によれば、記録用紙の幅よりも狭い領域に吐出インクの総量の多いノズルが多く偏在しているときに、印刷に際してそのような領域のノズルが多用されるのを防止して、ノズル全体にわたって吐出インクの総量がほぼ同じになるようにすることができる。
【0038】
本実施形態に係る画像形成装置の動作について、図7を用いて説明する。
図7において、記録ヘッド201〜204のノズルの使用位置範囲の候補である位置範囲Aは、記録用紙の搬送方向に向かって左側に、吐出インクの総量の多いノズルが多く偏在した領域、すなわち、ノズルの使用頻度が高いと考えられる領域(高頻度領域)があり、一方、位置範囲Bは、搬送方向に向かって右側に高頻度領域があるものとする。また、それぞれの位置範囲に含まれるノズルの吐出インクの総量の和は、位置範囲Bよりも位置範囲Aにおいて小さいものとする。尚、ノズルの使用位置範囲の候補は位置範囲Aと位置範囲Bとの間にも設けることができるが、理解を容易にするため、図7においては位置範囲A及びBの2つを例にとって説明する。
【0039】
ここで、図7に示すように、記録用紙に印刷されることとなる画像は、搬送方向に向かって左側に高濃度部分(インクを多く消費する部分)があるものとする。
このとき、第1の実施形態に係る画像形成装置では、吐出インクの総量の和が小さい位置範囲Aが使用位置範囲として選択される。このため、位置範囲Aの高頻度領域にあるノズルの吐出インクの総量はますます増加し、全体としてノズルの吐出インクの総量をほぼ同じにすることが困難となる。
【0040】
一方、本実施形態では、印刷される画像データに基づいて、印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値の差が最も小さい位置範囲が、使用位置範囲として決定される。すなわち、図7の例では、ノズルの使用位置範囲として、画像の高濃度部分を高頻度領域外のノズルにより印刷することとなる位置範囲Bが選択されることとなる。このため、高頻度領域において吐出インクの総量が増加することはなく、全体としてノズルの吐出インクの総量をほぼ同じにすることができる。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本画像形成装置は、第1の実施形態に係る画像形成装置における図6のステップS112において、印刷動作の際に使用位置範囲内にあった空吐出対象ノズルについては、印刷動作直後の用紙待機期間には空吐出を実施せず、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降の印刷動作において使用位置範囲内に含まれないこととなったときに、印刷動作と同時に空吐出を実施するか、又は、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降のいずれの印刷動作においても使用位置範囲内に含まれることとなったときは、印刷動作の終了後の用紙待機期間に空吐出を実施する。
本実施形態によれば、用紙待機期間に空吐出が実施されるノズルの数を更に減らすことができるため、用紙待機期間を更に短く設定して、印刷処理能力を高めることができる。
【0042】
以上説明したように、第1ないし第4の実施形態では、ノズル列におけるノズルの位置範囲のうち、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さい位置範囲を使って印刷を実行する。このため、各ノズルの吐出インクの総量は全体としてほぼ同じとなり、各ノズルの使用頻度もほぼ同じとなる。これにより、ノズル全体として印刷動作に使用される頻度を高く維持することができるので、ノズルの目詰まりが発生する確率は低くなり、空吐出を要するノズルの発生頻度を下げることができる。その結果、印刷に使用されずに消費されるインクの量を低減することができるので、画像形成装置のランニングコストを下げることができる。
【0043】
また、使用位置範囲に含まれないノズルであって空吐出の実施を要するノズルについては、印刷動作と同時に、空吐出インク受け211に対して空吐出を実施する。これにより、用紙待機期間に空吐出しなければならないノズルの数を減らすことができる。その結果、記録ヘッドに対する空吐出のための各種の設定動作に要する時間を短縮することができるので、用紙待機期間を短くして空吐出の実施に伴う印刷処理能力の低下を軽減することができる。さらに、ノズルの空吐出は、記録用紙に対しては行われないため、記録用紙上の印刷画像の品質が低下することもない。
【符号の説明】
【0044】
1・・・画像形成装置、2・・・印刷部、3・・・制御部、201〜204・・・記録ヘッド、205・・・搬送ベルト、206、206’・・・給紙部、207・・・給紙位置調整部、208・・・排紙部、209、210・・・ベルトローラ、211・・・空吐出インク受け、212・・・給紙ローラ、213・・・給紙センサ、214・・・排紙センサ、31・・・通信インタフェース部、32・・・印刷インタフェース部、33・・・処理部、331・・・吐出制御手段、332・・・吐出量記憶手段、333・・・範囲決定手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開平6−15815号公報
【特許文献2】特許第4452353号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置であって、
前記ノズルの列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶する吐出量記憶手段と、
前記ノズル列におけるノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する範囲決定手段と、
前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段と、
を有し、
前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と同時に実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置であって、
前記ノズルの列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶する吐出量記憶手段と、
前記ノズル列におけるノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する範囲決定手段と、
前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段と、
を有し、
前記吐出制御手段は、直近のインク吐出動作から所定時間を経過したことを条件として、前記使用位置範囲内にないノズルのうち空吐出の実施が必要なノズルについて、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と同時に、空吐出を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記範囲決定手段は、前記吐出量記憶手段が記憶している各ノズルのインクの吐出量に関する情報に基づいて、前記使用位置範囲を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量に関する情報は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの前記各ノズルの吐出インクの総量であって、
前記範囲決定手段は、前記吐出量記憶手段が記憶している各ノズルの吐出インクの総量を参照し、印刷動作に使用することとなるノズルについての現在の吐出インクの総量の和が最も小さいノズルの位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
各ノズルについて使用を開始してから現在に至るまでに吐出したインクの累積量を記憶する累積量記憶手段を有し、
前記範囲決定手段は、前記現在の吐出インクの総量の和が最も小さい位置範囲が複数あるときは、前記累積量記憶手段の記憶内容を参照し、前記複数ある位置範囲のうち、印刷動作に使用することとなるノズルについての前記インクの累積量の和が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3に記載された画像形成装置において、
前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの間に前記各ノズルが吐出したインクの総量であって、
前記範囲決定手段は、次に搬送される記録媒体に印刷すべき画像データに基づき、印刷動作に使用することとなる各ノズルについての印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値との差が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載された画像形成装置において、
各ノズルについて使用を開始してから現在に至るまでに吐出したインクの累積量を記憶する累積量記憶手段を有し、
前記範囲決定手段は、前記印刷動作後における吐出インクの総量の最大値と最小値との差が最小である位置範囲が複数あるときは、前記累積量記憶手段の記憶内容を参照して、前記複数ある位置範囲のうち、印刷に使用されることとなるノズルについての前記インクの累積量の和が最小である位置範囲を、前記使用位置範囲として決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2に記載された画像形成装置において、
前記吐出量記憶手段が記憶する前記各ノズルのインクの吐出量に関する情報は、直近に実施した空吐出から現在に至るまでの前記各ノズルの吐出インクの総量であって、
前記吐出制御手段は、前記所定時間の経過時に前記吐出量記憶手段が記憶している吐出インク総量が所定量以下又は未満であるノズルを、前記空吐出の実施が必要なノズルとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にあったノズルについての空吐出を、次の記録媒体が到来するまでの用紙待機期間に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項4ないし8のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記吐出制御手段は、前記使用位置範囲内にあったノズルについて空吐出をするときは、直近のインク吐出動作から所定時間を経過したことを条件とし、かつ、前記使用位置範囲内にあったノズルのうち前記所定時間の経過時に前記吐出量記憶手段が記憶している吐出インクの総量が所定量以下又は未満であるノズルのみを対象として、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降の印刷動作において使用位置範囲内に含まれないこととなったときは印刷動作と同時に空吐出を実施し、又は、現在の印刷動作の終了後所定期間内に行われる次以降のいずれの印刷動作においても使用位置範囲内に含まれることとなったときは用紙待機期間に空吐出を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置の、前記記録ヘッドの回復処理方法であって、
前記ノズル列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶装置に記憶させる工程と、
前記ノズル列の中のノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する工程と、
前記使用位置範囲に記録媒体を搬送する工程と、
前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する工程と、
を有し、
前記決定する工程では、前記記憶させる工程において記憶装置に記憶させた前記情報に基づいて前記使用位置範囲を決定し、
前記制御する工程では、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、同時に行うことを特徴とする前記記録ヘッドの回復処理方法。
【請求項12】
記録媒体の搬送方向と直交する方向に並んだノズル列を有するライン型記録ヘッドを備えた画像形成装置のコンピュータを、
前記ノズル列を構成する各ノズルのインクの吐出量に関する情報を記憶装置に記憶させる手段と、
前記ノズル列の中のノズルの位置範囲であって、次に搬送される記録媒体への印刷動作に使用することとなる前記ノズルの使用位置範囲を決定する手段と、
記録媒体が前記使用位置範囲へ搬送されるように記録媒体の搬送動作を制御する手段と、
前記各ノズルのインクの吐出動作を制御する手段、
として機能させるプログラムであって、
前記決定する手段は、前記記憶させる手段により前記記憶装置に記憶させた前記情報に基づいて前記使用位置範囲を決定し、
前記吐出動作を制御する手段は、前記使用位置範囲内にあるノズルを用いた記録媒体への印刷と前記使用位置範囲内にないノズルについての空吐出を、同時に行うことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25014(P2012−25014A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165048(P2010−165048)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】