説明

画像形成装置、電源供給制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】装置の初期起動からレディ状態となるまでの無駄な消費電力を低減する画像形成装置、電源供給制御方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段であるユニットと、少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給を制御する電源制御部60と、を有する。そして、電源制御部60は、自装置起動時における少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、機能動作手段毎に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給制御を行う画像形成装置、電源供給制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナ、プリンタ、FAX等の機能を有するMFP(Multi Function Printer)やLP(laser Printer)等が普及している。これらのMFP等は、複数の機能実現のために機能の異なるユニットを内蔵しているが、これらのユニットを動作可能状態に保つことで、無駄な電力を消費してしまうという問題があった。この問題を解決するために、一定期間印刷要求等のデータ入力や操作が無い場合は、内蔵タイマで自動的に、あるいはユーザ操作によって省電力モードに移行するといった制御が一般的に行われている。
【0003】
しかし、上述したような制御では、画像形成装置のASIC(Application Specified IC)におけるCPU(Central Processing Unit)の省電力モードを利用する程度にとどまっており、省電力化が十分ではないという問題があった。
【0004】
そこで、上記問題を解決するため、通常動作モード時に電力を供給する電源装置と、スタンバイモード時に電力を供給する電源装置の2つの電源装置を備えるプリンタコントロール装置の技術が開示されている(例えば、特許文献1)。上記技術では、何れの電源装置を使用するかをモードによって切り替えることで、電力を供給するユニットを制限し、消費電力を低減している。
【0005】
また、上記問題を解決する他の技術として、スタンバイモードにおいては、I/Oブロック部の電源をOFFし、CPUのクロック信号を最低周波数の基本クロック信号とすることで、ASICの消費電力を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、画像形成装置の主電源ON時には、画像形成部等の機器内で大きな電力を使用する部分も含んだ全てのユニットやボードに一度通電されることが多い。そして、各ユニット等は初期化を実行することで、他のボードやユニットと通信できる状態であるレディ状態となる。しかしながら、各ユニットがレディ状態となるまでの時間には違いがある。つまり、レディ状態となるまでの時間が短いユニットは、レディ状態となるまでの時間が長いユニットがレディ状態となるまで待機する必要があり、この待機時間分の消費電力は無駄となってしまうという問題があった。
【0007】
上記問題に対し、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、装置の初期起動後の消費電力を低減するための技術である。そのため、上記特許文献1及び特許文献2では、上述したような装置の初期起動時における消費電力については考慮されておらず、装置の初期起動時における消費電力を低減することはできないという課題があった。
【0008】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、上記課題を解決し、装置の初期起動からレディ状態となるまでの無駄な消費電力を低減する画像形成装置、電源供給制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段と、少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給を制御する電源制御手段と、を有し、電源制御手段は、自装置起動時における少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、機能動作手段毎に制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段を有し、少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段は、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、前記機能動作手段毎に制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の電源供給制御方法は、自装置の主電源がONとなる主電源ON工程と、電源供給を制御する電源制御手段に電源供給する電源供給工程と、電源制御手段が、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、機能動作手段毎に制御する電源供給制御工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の電源供給制御方法は、自装置の主電源がONとなる主電源ON工程と、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に電源供給する電源供給工程と、レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段が、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、機能動作手段毎に制御する電源供給制御工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムは、自装置の主電源をONとする処理と、電源供給を制御する電源制御手段に電源供給する処理と、電源制御手段が、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、機能動作手段毎に制御する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、自装置の主電源をONとする処理と、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に電源供給する処理と、レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段が、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、機能動作手段毎に制御する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置の初期起動からレディ状態となるまでの無駄な消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略機能構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の概略機能構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置の概略機能構成例を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係る画像形成装置における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る画像形成装置の概略機能構成例を示すブロック図である。
【図10】本実施形態に係る画像形成装置における電源供給制御動作に用いられる制御時間テーブルの作成動作例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、主電源2、電源供給部3、スイッチ(SW)10〜13、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50、電源制御部60、を有している。尚、本実施形態では、画像処理や出入力、装置操作や制御等の機能動作を実行するために必要な機能動作部であるユニットとして、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50、電源制御部60、を有する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0020】
主電源2は、画像形成装置1本体の主電源であり、画像形成装置表面に設けることができる。主電源2をONにすることで、画像形成装置が初期起動する。電源供給部3は、SW10〜13のON又はOFFに基づいて、各ユニットに電力を供給する。
【0021】
画像形成部20は、例えば定着部等を備え、コントローラ部50の指示に従って画像データに対する画像形成を行うユニットである。SW10は、画像形成部20の電源供給をON又はOFFするスイッチである。操作部30は、ユーザが画像形成装置1を操作するための入力を受付ける入力部や、装置状況を把握するための表示部等を備えるユニットである。また、例えば、表示部の制御を行うためのLCDC(Liquid Crystal Display Control)等も備えていてもよい。尚、操作部30は、上記入力部と表示部の機能を兼ね備えたタッチパネルを備える構成であってもよく、特に限定されない。SW11は、操作部30の電源供給をON又はOFFするスイッチである。
【0022】
画像読取部40は、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で画像データの読取りを行うユニットであり、例えばスキャナやプロッタ等として機能動作する。また、例えば、スキャナやプロッタを制御するBICU等を備えている。SW12は、画像読取部40の電源供給をON又はOFFするスイッチである。コントローラ部50は、画像形成装置1のメイン制御を行う制御ユニットである。SW13は、コントローラ部50の電源供給をON又はOFFするスイッチである。電源制御部60は、SW10〜13の制御を行うユニットである。
【0023】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の初期起動時の電源供給制御動作例について、図2を用いて説明する。
【0024】
まず、ユーザの操作等に基づいて、主電源2がONとなる(ステップS201)。尚、主電源ON時のSW10〜13の状態はOFFである。主電源2がONになると、電源制御部60に電力が供給される(ステップS202)。このとき、SW10〜13はOFF状態であり、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50等の各ユニットには電力が供給されていない。
【0025】
次に、電源制御部60は、SW10〜13を制御する(ステップS203)。このSW10〜13の制御は、電源制御部60が備える1チップマイコンやASIC等によって行われる。上記ステップS203の制御によりSWがON状態となった各ユニットに電力が供給され、レディ状態となる(ステップS204)。尚、上記ステップS203において、電源制御部60は、各ユニットのSW毎にタイミングを変更して制御することができるため、ユニット毎に電力を供給するタイミングを制御できる。
【0026】
本実施形態により、画像形成装置内の各ユニットの電源供給タイミングをユニット毎に制御することができるので、レディ状態となるまでの各ユニットでの待ち時間を少なくすることが可能となる。もしくは待ち時間を削減することが可能となる。これにより、レディ状態となるまでの各ユニットでの待ち時間による無駄な電力消費を低減することが可能となる。
【0027】
(実施形態2)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、主電源2、電源供給部3、スイッチ(SW)10〜13、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50、電源制御部60、を有している。尚、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の初期起動時の電源供給制御動作例について、図2を用いて説明する。
【0029】
まず、ユーザの操作等に基づいて、主電源2がONとなる(ステップS201)。尚、主電源ON時のSW10〜13の状態はOFFである。主電源2がONになると、電源制御部60に電力が供給される(ステップS202)。このとき、SW10〜13はOFF状態であり、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50等の各ユニットには電力が供給されていない。
【0030】
次に、電源制御部60は、レディ状態となるまでの時間が長いユニットのSWから順に制御を行う(ステップS203)。このSW10〜13の制御は、電源制御部60が備える1チップマイコンやASIC等によって行われる。上記ステップS203の制御によりSWがON状態となった順に各ユニットに電力が供給され、レディ状態となる(ステップS204)。
【0031】
本実施形態により、レディ状態となる順の遅いユニットから順番に電源供給の制御を行うことで、レディ状態となるまでの待ち時間を短縮するという課題を解決し、待ち時間により発生する無駄な消費電力を低減することが可能となる。
【0032】
(実施形態3)
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。本実施形態の画像形成装置が上記実施形態1及び実施形態2の画像形成装置と異なるところは、必ずしも電源制御部60及びコントローラ部50のスイッチであるSW13を有していなくてもよいところである。尚、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。ここで、上記実施形態と異なり、コントローラ部50は、主電源2がONになるとSWの制御なしに、電力が供給される。
【0033】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の初期起動時の電源供給制御動作例について、図4を用いて説明する。
【0034】
まず、ユーザの操作等に基づいて、主電源2がONとなる(ステップS401)。尚、主電源ON時のSW10〜12の状態はOFFである。主電源2がONになると、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットであるコントローラ部50に電力が供給される(ステップS402)。このとき、SW10〜12はOFF状態であり、画像形成部20、操作部30、画像読取部40等の各ユニットには電力が供給されていない。
【0035】
次に、コントローラ部50は、他のユニットのスイッチであるSW10〜12を制御する(ステップS403)。このSW10〜12の制御は、コントローラ部50が備える1チップマイコンやASIC等によって行われる。上記ステップS403の制御によりSWがON状態となった各ユニットに電力が供給され、レディ状態となる(ステップS404)。尚、上記ステップS403において、コントローラ部50は、各ユニットのSW毎にタイミングを変更して制御することができるため、ユニット毎に電力を供給するタイミングを制御できる。
【0036】
尚、本実施形態では、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットがコントローラ部であり、該コントローラ部により他のユニットのSW制御を行う例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0037】
本実施形態により、各ユニットの電源供給タイミングを画像形成装置内で一番遅くレディ状態となるユニットが制御することで、画像形成装置内の各ユニットのレディ状態となるまでの時間を一致させるという課題を解決し、レディ状態となるまでの待ち時間分の無駄な消費電力を削減することが可能となる。
【0038】
(実施形態4)
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。本実施形態の画像形成装置が上記実施形態1及び実施形態2の画像形成装置と異なるところは、必ずしも電源制御部60及びコントローラ部50のスイッチであるSW13を有していなくてもよいところである。尚、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。ここで、上記実施形態と異なり、コントローラ部50は、主電源2がONになるとSWの制御なしに、電力が供給される。さらに、画像形成部20、操作部30、画像読取部40等の各ユニットは、電力を供給された後にコントローラ部50に、電力が供給されたことを示すフィードバック信号(FB)を送信することができる。
【0039】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置1における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の初期起動時の電源供給制御動作例について、図6を用いて説明する。尚、本実施形態では、画像形成部20、画像読取部40、操作部30の順に、レディ状態となるまでの時間が長い場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0040】
まず、ユーザの操作等に基づいて、主電源2がONとなる(ステップS601)。尚、主電源ON時のSW10〜12の状態はOFFである。主電源2がONになると、コントローラ部50に電力が供給される(ステップS602)。このとき、SW10〜12はOFF状態であり、画像形成部20、操作部30、画像読取部40等の各ユニットには電力が供給されていない。
【0041】
次に、コントローラ部50は、他のユニットのうち、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットのSWを制御する(ステップS603)。本実施形態では、画像形成部20のレディ状態となるまでの時間が、他のユニットよりも長いため、画像形成部20のスイッチであるSW10を制御する。上記ステップS603の制御によりSWがON状態となった各ユニットに電力が供給される(ステップS604)。
【0042】
上記ステップS604において電力を供給されたユニットは、コントローラ部50に電力が供給されたことを示すフィードバック信号(FB)を送信する。FBを受信すると(ステップS605/YES)、コントローラ部50は受信したFBに基づいて、上記ステップS604の処理で電力が供給されたユニット以外のユニットのSWを制御する(ステップS606)。本実施形態では、コントローラ部50は、画像形成部20の次にレディ状態となるまでの時間が長いユニットである画像読取部40のスイッチであるSW12を制御する。そして、上記ステップS606の制御によりSWがON状態となった各ユニットに電力が供給される(ステップS607)。
【0043】
次に、コントローラ部50は、電力供給が必要な全てのユニットに電力が供給されたか否かを判断する(ステップS608)。電力供給が必要な全てのユニットに電力が供給されたと判断された場合(ステップS608/YES)は、電源供給制御動作を終了する。他方、電力供給が必要な全てのユニットに電力が供給されていないと判断された場合(ステップS608/NO)には、上記ステップS605の処理に移行し、電力供給が必要な全てのユニットに電力が供給されるまで上記処理を繰り返し行う。ここでは、操作部30には電力が未だに供給されていないため、上記ステップS605に移行する。そして、コントローラ部50は、画像読取部40のFBに基づいて操作部30のスイッチであるSW11の制御を行い、操作部30に電力を供給させる。
【0044】
尚、上記ステップS603及びステップS606におけるSW制御は、コントローラ部50が備える1チップマイコンやASIC等によって行われる。また、本実施形態では、上記ステップS608において、コントローラ部が電力供給の必要な全てのユニットに電力が供給されたか否かを判断する例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、最もレディ状態となるまでの時間が短いユニットのFBに、つまり最後に電力が供給されるユニットのFBに電力供給が必要な全てのユニットに電力が供給された旨の情報を含ませることで、電源供給制御動作を終了させるようにしてもよい。
【0045】
本実施形態により、電源供給されたユニットからのフィードバック信号に基づいて次のユニットの電源供給制御を行うことで、各々のユニットのレディ状態までの待ち時間を効率的に短くすることが可能となり、待ち時間分の無駄な消費電力を削減することが可能となる。
【0046】
(実施形態5)
図7は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。本実施形態の画像形成装置が上記実施形態1や実施形態2の画像形成装置と異なるところは、必ずしも電源制御部60及びコントローラ部50のスイッチであるSW13を有していなくてもよく、かつ、コントローラ部50が記録部であるメモリ70を有しているところである。尚、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、コントローラ部50は、主電源2がONになるとSWの制御なしに、電力が供給される。また、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットであるコントローラ部50が備えるメモリ70には、他のユニットの電源供給を行うための制御時間テーブル(例えば、電源供給オンタイミングの時間情報を含む)が格納されている。また、コントローラ部50には、制御時間テーブルに基づいて他のユニットの電源供給タイミングを制御するための時間測定手段であるタイマを設けるようにしてもよい。尚、本実施形態では、メモリ70が不揮発性メモリである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0048】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置1における初期起動時の電源供給制御動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の初期起動時の電源供給制御動作例について、図8を用いて説明する。
【0049】
まず、ユーザの操作等に基づいて、主電源2がONとなる(ステップS801)。尚、主電源ON時のSW10〜12の状態はOFFである。主電源2がONになると、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットであるコントローラ部50に電力が供給される(ステップS802)。このとき、SW10〜12はOFF状態であり、画像形成部20、操作部30、画像読取部40等の各ユニットには電力が供給されていない。
【0050】
次に、コントローラ部50は、1チップマイコンやASIC等によって不揮発性のメモリ70に格納されている制御時間テーブルを読み出し(ステップS803)、内部タイマにて時間計測を行う。そして、制御時間テーブルに基づいて他のユニットのスイッチであるSW10〜12を制御する(ステップS804)。ここでは、例えば、制御時間テーブルが含有する各ユニットの電源供給タイミング情報に基づいてSWを制御している。そして、上記ステップS804の制御によりSWがON状態となった各ユニットに電力が供給され、レディ状態となる(ステップS805)。
【0051】
ここで、メモリ70に格納されている制御時間テーブルは、装置内で遷移するモード別に管理され、省電力状態のモードからの復帰により、使用されるテーブルが読み込まれる。これは、省電力状態では各ユニットの電源が一部入っていたりし、省電力状態のモードからの復帰後にレディ状態となるまでの時間は、主電源ON時のより早くなるためである。
【0052】
尚、本実施形態では、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットがコントローラ部であり、該コントローラ部により他のユニットのSW制御を行う例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0053】
本実施形態により、最もレディ状態となるまでの時間が長いユニットが格納している制御時間テーブルに基づいて各ユニットの電源供給タイミングを制御することで、画像形成装置内の各ユニットのレディ状態となるまでの時間を一致させるという課題を解決し、レディ状態となるまでの待ち時間分の無駄な消費電力を削減することが可能となる。
【0054】
(実施形態6)
図9は、本実施形態に係る画像形成装置の機能概略構成例を示す。本実施形態の画像形成装置が上記実施形態1及び実施形態2の画像形成装置と異なるところは、必ずしも電源制御部60及びコントローラ部50のスイッチであるSW13を有していなくてもよく、かつ、コントローラ部50が記録部であるメモリ70を有しているところである。尚、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。ここで、上記実施形態と異なり、コントローラ部50は、主電源2がONになるとSWの制御なしに、電力が供給される。さらに、画像形成部20、操作部30、画像読取部40等の各ユニットは、電力を供給された後にコントローラ部50に、電力が供給されたことを示すフィードバック信号(FB)を送信することができる。
【0055】
図10は、本実施形態に係る画像形成装置における電源供給制御動作に用いられる制御時間テーブルの作成動作例の流れを示す。以下に、本実施形態に係る画像形成装置1の電源供給制御動作に用いられる制御時間テーブル作成動作例について、図10を用いて説明する。
【0056】
まず、ユーザの操作等に基づいて初めて主電源2がONされると(ステップS1001)、各ユニットに電力が供給される(ステップS1002)。尚、最初の主電源ON時におけるSW10〜12の状態はONである。上記ステップS1002において、各ユニットに電力が供給されると、各ユニットは初期化を行う。他方、主電源2がONされるとコントローラ部50は、1チップマイコンやASIC等によって内部タイマに時間計測を実行させ、各ユニットからのレディ状態になったことを示すレディ信号の通知を待つ(ステップS1003)。
【0057】
上記ステップS1002における電力供給により各ユニットが初期化を行い、レディ状態となると、各ユニットは、コントローラ部50にFB信号の1つであるレディ信号を送信し、レディ状態となったことを通知する(ステップS1004)。コントローラ部50は、上記ステップS1004において受信したFBに基づいて、各ユニットのレディ状態となるまでの時間を不揮発性の記録媒体であるメモリ70に格納する。尚、上記したようにコントローラ部50の1チップマイコンやASIC等が換算する各ユニットのレディ状態となるまでの時間は、コントローラ部50に電力が供給された時点から内部タイマ等によりカウントされている。
【0058】
本実施形態では、上述したような方法で時間制御テーブルを作成することができる。また、装置の2回目以降の主電源ONからは、上述した実施形態5と同様の動作となるため、本実施形態では説明を省略する。尚、2回目以降の主電源ONの際はSW10〜12の状態はOFFとなる。このような制御は1チップマイコンやASIC等により制御することができる。
【0059】
本実施形態により、コントローラ部が各ユニットからのフィードバック(FB)を受信することで、各ユニットのレディ状態となるまでの時間を取得することができ、上記FBに基づいて制御時間テーブルの値を決定し、制御時間テーブルを作成することができる。これにより、各ユニットのレディ状態となるまでの時間を効率的に一致させることができ、各ユニット間でのレディ状態となるまでの待ち時間分の無駄な消費電力を削減することが可能となる。
【0060】
ここで、上記各実施形態では、画像処理や出入力、装置操作及び制御等の機能動作を実行するために必要な機能動作手段であるユニットとして、画像形成部20、操作部30、画像読取部40、コントローラ部50等を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、FAX部等他の機能を有するユニット等の他のユニットを有することも可能であるし、上記ユニットを必ず備える必要はない。また、上記実施形態3〜6では、コントローラ部50により各種制御を行う例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0061】
尚、各図のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読取可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、該システムのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0062】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像形成装置、電源供給制御方法、プログラム及び記録媒体に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 主電源
3 電源供給部
10 SW
11 SW
12 SW
13 SW
20 画像形成部
30 操作部
40 画像読取部
50 コントローラ部
60 電源制御部
70 メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2002−103739号公報
【特許文献2】特開2008−260130号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段と、
前記少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給を制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、自装置起動時における前記少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、前記機能動作手段毎に制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が長い機能動作手段から順に電源供給を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段を有し、
前記少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段は、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、前記機能動作手段毎に制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記少なくとも1以上の機能動作手段は、電源供給がされた際には前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に通知を送信し、
前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段は、前記他の機能動作手段から送信される通知に基づいて、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段は、前記他の機能動作手段への電源供給タイミング情報を含有する制御テーブルを格納した記録手段を備え、前記制御テーブルに基づいて、自装置起動時における前記他の機能動作手段への電源供給タイミングを制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記少なくとも1以上の機能動作手段は、電源供給がされた際には前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に通知を送信し、
前記制御テーブルは、最初の自装置起動時に送信された前記通知に基づいて作成されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
自装置の主電源がONとなる主電源ON工程と、
電源供給を制御する電源制御手段に電源供給する電源供給工程と、
前記電源制御手段が、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、前記機能動作手段毎に制御する電源供給制御工程と、を有することを特徴とする電源供給制御方法。
【請求項8】
前記電源供給制御工程は、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が長い機能動作手段から順に電源供給を制御することを特徴とする請求項7記載の電源供給制御方法。
【請求項9】
自装置の主電源がONとなる主電源ON工程と、
自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に電源供給する電源供給工程と、
前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段が、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、前記機能動作手段毎に制御する電源供給制御工程と、を有することを特徴とする電源供給制御方法。
【請求項10】
前記少なくとも1以上の機能動作手段が、電源供給がされた際に前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に通知を送信する通知送信工程をさらに有し、
前記電源供給制御工程は、前記通知送信工程において送信される通知に基づいて、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を制御することを特徴とする請求項9記載の電源供給制御方法。
【請求項11】
前記電源供給制御工程は、前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に格納された前記他の機能動作手段への電源供給タイミング情報を含有する制御テーブルに基づいて、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給タイミングを制御することを特徴とする請求項9記載の電源供給制御方法。
【請求項12】
前記少なくとも1以上の機能動作手段が、最初の自装置起動時に電源供給がされた際に前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に通知を送信する最初通知送信工程と、
前記通知に基づいて前記制御テーブルを作成する制御テーブル作成工程と、をさらに有することを特徴とする請求項11記載の電源供給制御方法。
【請求項13】
自装置の主電源をONとする処理と、
電源供給を制御する電源制御手段に電源供給する処理と、
前記電源制御手段が、自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段への電源供給タイミングを、前記機能動作手段毎に制御する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
自装置の主電源をONとする処理と、
自装置の機能動作を実行するための少なくとも1以上の機能動作手段のうち、他の機能動作手段と通信できる状態であるレディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段に電源供給する処理と、
前記レディ状態となるまでの時間が最も長い機能動作手段が、自装置起動時における他の機能動作手段への電源供給を、前記機能動作手段毎に制御する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−43913(P2011−43913A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190287(P2009−190287)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】