説明

画像形成装置およびカートリッジ

【課題】記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子が受ける荷重の影響を排除することができる、画像形成装置およびこれに装着されるカートリッジを提供する。
【解決手段】現像カートリッジ筐体24に、現像電極57とメモリチップ53と電気的に接続されるメモリ端子55とを配置する。一方、本体ケーシング2内には、現像接点52と本体端子56とを配置する。現像カートリッジ筐体24が本体ケーシング2に装着された状態で、現像接点52が現像電極57に弾性的に当接し、本体端子56が記憶素子端子に弾性的に当接する。このとき、現像電極57が現像接点52から受ける荷重F1と、メモリ端子55が本体端子56から受ける荷重F2とは、それらの方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しい。そのため、現像電極57が現像接点52から受ける荷重F1と、メモリ端子55が本体端子56から受ける荷重F2とが相殺される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置およびこれに装着されるカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置には、たとえば、画像データに基づく静電潜像が形成される感光ドラムと、感光ドラムに形成された静電潜像をトナー像に現像するための現像ローラとが備えられている。この現像ローラは、現像ローラから感光体ドラムにトナーを良好に転移させるために、感光体ドラムに対して押圧状態で接触されている。感光ドラムの表面に形成された静電潜像は、現像ローラと対向したときに、現像ローラから供給されるトナーによってトナー像に現像される。そして、そのトナー像が用紙に転写されることにより、用紙への画像の形成が達成される。
【0003】
このような画像形成装置において、感光ドラムや感光ドラムに静電潜像を形成するための各種部材などをプロセスカートリッジに一体的に保持させて、プロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能とするとともに、そのプロセスカートリッジに関する情報を記憶するためのメモリをプロセスカートリッジに搭載したものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−69140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスカートリッジに搭載されたメモリから情報を読み出すために、プロセスカートリッジが装置本体に装着された状態で、プロセスカートリッジに設けられたコネクタと装置本体に設けられたコネクタとが接続される。
ところが、このコネクタ同士の接続により、プロセスカートリッジ側のコネクタが装置本体側のコネクタから力を受け、感光ドラムに対する現像ローラの押圧状態のバランスが崩れるおそれがある。感光ドラムに対する現像ローラの押圧状態のバランスが崩れると、現像ローラから感光ドラムへの現像剤の供給にむらが生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子が受ける荷重の影響を排除することができる、画像形成装置およびこれに装着されるカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、装置本体と、前記装置本体内に着脱可能に装着されるカートリッジ筐体と、前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、前記カートリッジ筐体の表面に配置され、前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、前記装置本体内に配置され、前記プロセス電極に弾性的に当接するプロセス接点と、前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、前記カートリッジ筐体の表面に配置され、前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子と、前記装置本体内に配置され、前記記憶素子端子に弾性的に当接する本体端子とを備え、前記プロセス電極が前記プロセス接点から受ける荷重と、前記記憶素子端子が前記本体端子から受ける荷重とは、それらの方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しいことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記プロセス部材は、現像剤を担持する現像ローラであり、前記プロセス電極は、前記現像ローラに電圧を印加するための電極であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向に対向する一側面および他側面を有しており、前記プロセス電極は、前記カートリッジ筐体の前記一側面に配置され、前記記憶素子端子は、前記カートリッジ筐体の前記他側面に配置されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向と直交する側面を有しており、前記プロセス電極および前記記憶素子端子は、同一の前記側面に配置されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の発明において、前記現像ローラから現像剤の供給を受ける感光体と、前記カートリッジ筐体を前記現像ローラの軸方向と直交する方向に押圧し、前記現像ローラを前記感光体に押圧状態で接触させるための押圧部材とを備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項6に記載の発明は、カートリッジにおいて、カートリッジ筐体と、前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とを備え、前記カートリッジ筐体は、互いに対向する一側面および他側面を有しており、前記プロセス電極は、前記カートリッジ筐体の前記一側面に配置され、前記記憶素子端子は、前記カートリッジ筐体の前記他側面に配置されていることを特徴としている。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記プロセス部材は、現像剤を担持する現像ローラであり、前記カートリッジ筐体の前記一側面と前記他側面とは、前記現像ローラの軸方向に対向していることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、カートリッジにおいて、カートリッジ筐体と、前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とを備え、前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向と直交する側面を有しており、前記プロセス電極および前記記憶素子端子は、同一の前記側面に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、カートリッジ筐体には、プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とが配置されている。一方、装置本体内には、プロセス接点と本体端子とが配置されており、カートリッジ筐体が装置本体に装着された状態で、プロセス接点がプロセス電極に弾性的に当接し、本体端子が記憶素子端子に弾性的に当接する。このとき、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とは、それらの方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しい。そのため、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とを相殺することができる。その結果、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重の影響を排除することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、現像ローラに電圧を印加するためのプロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とを相殺することができる。
請求項3に記載の発明のように、カートリッジ筐体の一側面にプロセス電極が配置され、カートリッジ筐体の一側面と対向する他側面に記憶素子端子が配置される場合であっても、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とを相殺することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明のように、カートリッジ筐体の同一側面にプロセス電極および記憶素子端子が配置される場合であっても、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とを相殺することができる。
請求項5に記載の発明によれば、押圧部材により現像ローラが軸方向と直交する方向に押圧され、現像ローラが感光体に押圧状態で接触する。この場合において、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と、記憶素子端子が本体端子から受ける荷重とが相殺されることにより、感光体に対する現像ローラの押圧状態のバランスが大きく崩れることを防止することができる。その結果、現像ローラから感光体に現像剤をむらなく供給することができる。
【0014】
請求項6および7に記載の各発明によれば、カートリッジ筐体の一側面には、プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極が配置され、カートリッジ筐体の一側面と対向する他側面には、記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子が配置されている。カートリッジが画像形成装置の装置本体に装着された状態で、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と記憶素子端子が本体端子から受ける荷重との方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しければ、それらの荷重を相殺することができる。その結果、記憶素子端子が受ける荷重の影響を排除することができる。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、カートリッジ筐体の同一側面に、プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とが配置されている。カートリッジが画像形成装置の装置本体に装着された状態で、プロセス電極がプロセス接点から受ける荷重と記憶素子端子が本体端子から受ける荷重との方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しければ、それらの荷重を相殺することができる。その結果、記憶素子端子が受ける荷重の影響を排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.レーザプリンタの構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの構成を模式的に示す側断面図である。
このレーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2内に、用紙3を給紙するための給紙部4と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5と、画像が形成された用紙3を排紙するための排紙部6とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2の一方側の側面には、フロントカバー7が開閉自在に設けられている。フロントカバー7を開放して、本体ケーシング2内に対して、後述するプロセスカートリッジ13を着脱させることができる。
【0017】
なお、以下の説明において、フロントカバー7が設けられる側(図1における右側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における左側)を後側(背面側)とする。また、このレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。プロセスカートリッジ13に関しては、特に言及がない限り、本体ケーシング2に対する装着状態での方向を基準として説明する。
(2)給紙部
給紙部4は、用紙3を積載状態で収容しておくための給紙トレイ8を備えている。給紙トレイ8は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着されている。給紙トレイ8の前端部上方には、給紙ローラ9が配置されている。この給紙ローラ9の回転により、給紙トレイ8に収容されている用紙3が用紙搬送路10に1枚ずつ送り出される。そして、その送り出された用紙3は、用紙搬送路10を通過し、レジストローラ11によりレジストされた後、画像形成部5(感光ドラム18と転写ローラ20との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部5は、スキャナユニット12、プロセスカートリッジ13および定着ユニット14を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット12は、本体ケーシング2の上部に配置されている。このスキャナユニット12は、レーザ、ミラーおよびレンズなどの光学部材を備えており、後述する感光ドラム18に向けてレーザビームを出射する。
(3−2)プロセスカートリッジ
カートリッジの一例としてのプロセスカートリッジ13は、スキャナユニット12の下方に、本体ケーシング2に対して着脱可能に配置されている。
【0018】
プロセスカートリッジ13は、ドラムカートリッジ15と、このドラムカートリッジ15に着脱可能に装着される現像カートリッジ16とにより構成される。
ドラムカートリッジ15は、ドラムカートリッジ筐体17を備えている。ドラムカートリッジ筐体17は、その上面の後側半分が閉塞され、上面の前側半分が開放されるボックス形状に形成されている。このドラムカートリッジ筐体17において、その上面が閉塞される後側半分の部分には、感光ドラム18、スコロトロン型帯電器19、転写ローラ20およびクリーニングブラシ21が保持されている。
【0019】
感光ドラム18および転写ローラ20は、それぞれ左右方向に延びる軸線まわりに回転自在に設けられている。スコロトロン型帯電器19は、感光ドラム18の斜め後側上方に配置されている。転写ローラ20は、感光ドラム18の下方に配置されている。クリーニングブラシ21は、感光ドラム18の後側に配置されている。
ドラムカートリッジ筐体17の上面が開放された前側半分の部分は、現像カートリッジ16が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部22である。このカートリッジ装着部22は、現像カートリッジ16を後方に向けて付勢(押圧)するための2つの板ばね23を備えている。これらの押圧部材の一例としての板ばね23は、ドラムカートリッジ筐体17の前壁の内面における左右両端部に配置されている(図2参照)。各板ばね23は、断面略逆V字形状に形成されており、その前側の片がドラムカートリッジ筐体17の前壁の内面に固定され、その後側の片が、前側の片に対して前後方向に弾性変形可能に支持されている。この板ばね23の弾性力による現像カートリッジ16の付勢により、後述する現像ローラ33が感光ドラム18に対して押圧状態で接触する。
【0020】
カートリッジの一例としての現像カートリッジ16は、カートリッジ筐体の一例としての現像カートリッジ筐体24を備えている。この現像カートリッジ筐体24は、後面が開放されるボックス形状に形成されている。すなわち、現像カートリッジ筐体24は、左右方向に対向する、1対の側面の一例としての側壁25と、両側壁25間を上方から閉塞する上壁26と、両側壁25間を下方から閉塞する下壁27と、両側壁25、上壁26および下壁27の各前端縁を連結する前壁28とを一体的に備えている。
【0021】
現像カートリッジ筐体24内には、トナー収容室29と現像室30とが前後に並べて形成されている。
トナー収容室29には、たとえば、正帯電性の非磁性1成分のトナーが収容されている。また、トナー収容室29内には、トナーを攪拌するためのアジテータ31が設けられている。
【0022】
現像室30には、供給ローラ32、現像ローラ33および層厚規制ブレード34が設けられている。
供給ローラ32は、現像室30において、トナー収容室29との境界部分の後側に配置されている。供給ローラ32は、左右方向に延びる軸線まわりに回転自在に設けられている。
【0023】
プロセス部材の一例としての現像ローラ33は、金属製のローラ軸35を導電性のゴム材料で被覆した構成を有している。ローラ軸35の両端は、現像カートリッジ筐体24の両側壁25に回転可能に支持されている。また、現像ローラ33は、供給ローラ32の後方に配置されて、その周面が供給ローラ32の周面に接触している。現像ローラ33には、所定の現像バイアスが供給される。
【0024】
層厚規制ブレード34は、薄い板金の一端にゴム部材を備える構成であり、板金の他端が現像カートリッジ筐体24に固定され、ゴム部材が現像ローラ33を押圧するように設けられている。
現像カートリッジ16では、トナー収容室29に収容されているトナーが、アジテータ31によって攪拌されながら現像室30へ送り込まれる。現像室30に送り込まれるトナーは、供給ローラ32に供給され、この供給ローラ32から現像ローラ33に供給される。このとき、トナーは、供給ローラ32と現像バイアスが印加されている現像ローラ33との間で正極性に摩擦帯電される。そして、現像ローラ33の回転に伴って、層厚規制ブレード34によって現像ローラ33上から余分なトナーが掻き落とされ、これにより現像ローラ33上に一定厚さのトナーの薄層が担持される。
【0025】
一方、スコロトロン型帯電器19のコロナ放電により、感光ドラム18の表面が一様に正帯電される。そして、その正帯電した感光ドラム18の表面に、スキャナユニット12からのレーザビームが照射されることにより、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
感光ドラム18の回転により、感光ドラム18の表面に形成されている静電潜像が現像ローラ33と対向すると、現像ローラ33の表面に担持されている正帯電トナーが、その静電潜像(つまり、一様に正帯電されている感光ドラム18の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている部分)に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光ドラム18の表面にトナー像が担持される。
【0026】
トナー像は、転写ローラ20に印加される転写バイアスによって、感光ドラム18と転写ローラ20との間に搬送されてくる用紙3に転写される。こうしてトナー像が転写された用紙3は、定着ユニット14に向けて搬送される。
なお、転写後に感光ドラム18上に残存するトナーは、現像ローラ33に回収される。また、転写後に感光ドラム18上に付着する用紙3からの紙粉は、クリーニングブラシ21によって回収される。
(3−3)定着部
定着ユニット14は、プロセスカートリッジ13の後方に設けられている。この定着ユニット14は、加熱ローラ36および加圧ローラ37を備えている。加圧ローラ37は、加熱ローラ36に対して下方から圧接されている。これらの加熱ローラ36と加圧ローラ37との間を用紙3が通過する間に、その用紙3に転写されているトナー像が、加熱および加圧により用紙3に定着される。
(4)排紙部
排紙部6は、前方に向かって開放される断面略C字状の用紙搬送路38を備えている。定着ユニット14から搬送されてくる用紙3は、その用紙搬送路38を通過し、排紙ローラ39によって、本体ケーシング2の上面に形成されている排紙トレイ40上に排紙される。
2.電気的接続
図2は、プロセスカートリッジ13の平面図であり、各部の構成を図解的に示す。
【0027】
プロセスカートリッジ13に備えられる板ばね23は、ドラムカートリッジ筐体17の前壁の内面において、現像ローラ33の周面(ローラ本体部分)の左右方向(軸方向)の中央を通り、前後方向(軸方向と直交する方向)に延びる直線Lを対称軸として線対称をなす各位置に配置されている。これにより、ドラムカートリッジ筐体17のカートリッジ装着部22に装着される現像カートリッジ16は、現像カートリッジ筐体24の前壁28における直線Lを対称軸として線対称をなす各位置が板ばね23の弾性力を受け、これらの弾性力によって後方に向けて付勢される。この付勢により、現像ローラ33が感光ドラム18に対して押圧状態で接触する。
【0028】
現像ローラ33のローラ軸35の両端は、現像カートリッジ筐体24の両側壁25から左右方向に突出している。
現像カートリッジ筐体24の左側側壁25には、現像ローラ22への現像バイアスの印加のための現像電極57が配置されている。このプロセス電極の一例としての現像電極57は、配線58を介して、ローラ軸35の左側端部51と電気的に接続されている。
【0029】
なお、配線58とローラ軸35の左側端部51との電気的接続は、種々の形態を採ることができる。たとえば、ローラ軸35の左側端部51を回転自在に支持する軸受を導電性材料で形成し、この導電性を有する軸受に配線58を接続することにより、配線58とローラ軸35の左側端部51との電気的接続が達成されてもよい。また、配線58を板ばね部材に接続し、この板ばね部材をローラ軸35の左側端部51の周面に弾性的に当接させることにより、配線58とローラ軸35の左側端部51との電気的接続が達成されてもよい。さらにまた、配線58を針金で形成し、この配線58の一端をローラ軸35の左側端部51の周面に相対回転可能に(配線58に対してローラ軸35の左側端部51の周面が摺動可能に)巻回されることにより、配線58とローラ軸35の左側端部51との電気的接続が達成されてもよい。
【0030】
現像電極57に対応して、本体ケーシング2内には、現像接点52が配置されている。現像接点52は、薄い板金または針金からなり、左右方向に弾性変形可能に設けられている。プロセスカートリッジ13が本体ケーシング2内に装着された状態で、現像接点52は、現像電極57に対して、現像電極57から後述するメモリ端子55に向かう方向(右方向)に弾性的に当接する。
【0031】
現像カートリッジ筐体24の上壁26には、現像カートリッジ16に関する情報を読み書き可能に記憶するメモリチップ53が配置されている。また、現像カートリッジ筐体24の右側側壁25には、メモリチップ53と配線54を介して電気的に接続されたメモリ端子55が配置されている。このメモリ端子55は、現像カートリッジ筐体24の左側側壁25に配置された現像電極57と左右方向に対向する位置に配置されている。
【0032】
記憶素子の一例としてのメモリチップ53に記憶される情報としては、現像カートリッジ16を使用して実行された画像形成動作の回数(印字枚数)、現像カートリッジ16に固有のIDコードなどを例示することができる。
記憶素子端子の一例としてのメモリ端子55に対応して、本体ケーシング2内には、本体端子56が配置されている。この本体端子56は、薄い板金または針金からなり、左右方向に弾性変形可能に設けられている。プロセスカートリッジ13が本体ケーシング2内に装着された状態で、本体端子56は、メモリ端子55に対して、メモリ端子55から現像電極57に向かう方向(左方向)に弾性的に当接する。また、本体端子56には、メモリチップ53に情報を読み書きするためのリードライタ(図示せず)が電気的に接続されている。
【0033】
プロセスカートリッジ13が本体ケーシング2に装着されると、現像電極57に現像接点52が弾性的に当接し、メモリ端子55に本体端子56が弾性的に当接する。これにより、現像接点52から現像電極57に現像バイアスを印加することができる。また、メモリチップ53は、配線54、メモリ端子55および本体端子56を介してリードライタと電気的に接続される。その結果、リードライタによるメモリチップ53に対する情報の読み書きが可能になる。
【0034】
現像電極57に現像接点52が弾性的に当接することにより、現像電極57が現像接点52からメモリ端子55に向かう方向の荷重F1を受ける。また、メモリ端子55に本体端子56が弾性的に当接することにより、メモリ端子55が本体端子56から現像電極57に向かう方向の荷重F2を受ける。そして、現像接点52および本体端子56は、現像接点52が現像電極57に与える荷重F1の大きさと本体端子56がメモリ端子55に与える荷重F2の大きさとが等しくなるような弾性を有している。すなわち、現像接点52および本体端子56は、それぞれ現像電極57およびメモリ端子55に対して、互いに逆方向の同じ大きさの弾性力を付与するような弾性を有している。
3.効果
したがって、現像電極57が現像接点52から受ける荷重F1と、メモリ端子55が本体端子56から受ける荷重F2とが相殺される。そのため、感光ドラム18に対する現像ローラ33の押圧状態のバランスがそれらの荷重F1,F2の影響により崩れることを防止することができる。その結果、感光ドラム18における現像ローラ33の接触域において、現像ローラ33から感光ドラム18にトナーをむらなく(均一に)供給することができる。
4.他の実施形態
(1)複数のメモリ端子を備える構成
図3は、他の実施形態に係るプロセスカートリッジ13の平面図であり、各部の構成を図解的に示す。この図3において、上述した各部に相当する部分には、それら各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号を付した各部についての詳細な説明を省略する。
【0035】
このプロセスカートリッジ13(現像カートリッジ16)では、現像カートリッジ筐体24の右側側壁25に、2つのメモリ端子55が前後方向に間隔を隔てて配置されている。各メモリ端子55は、配線54を介して、メモリチップ53と電気的に接続されている。
そして、本体ケーシング2内には、各メモリ端子55に対応して、本体端子56が配置されている。プロセスカートリッジ13が本体ケーシング2内に装着された状態で、2つの本体端子56は、それぞれ対応するメモリ端子55に対して、各メモリ端子55から左方向に弾性的に当接する。
【0036】
現像接点52および各本体端子56は、現像接点52が現像電極57に与える荷重F1と、各本体端子56が各メモリ端子55に与える荷重F21,F22の合力(F21+F22)とが、互いに逆方向かつ同じ大きさとなるような弾性を有している。
したがって、現像電極57が現像接点52から受ける荷重F1と、各メモリ端子55が本体端子56から受ける荷重の合力(F21+F22)とが相殺される。そのため、感光ドラム18に対する現像ローラ33の押圧状態のバランスがそれらの荷重F1,F21,F22の影響により崩れることを防止することができる。その結果、感光ドラム18における現像ローラ33の接触域において、現像ローラ33から感光ドラム18にトナーをむらなく(均一に)供給することができる。
【0037】
なお、各メモリ端子55に対応して配置された本体端子56のうちの1つは、接地されているものとする。
(2)カートリッジ筐体の同一側面に現像電極とメモリ端子とが配置される構成
図4は、さらに他の実施形態に係るプロセスカートリッジ13の平面図であり、各部の構成を図解的に示す。この図4において、上述した各部に相当する部分には、それら各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号を付した各部についての詳細な説明を省略する。
【0038】
このプロセスカートリッジ13(現像カートリッジ16)では、ローラ軸35の左側端部51は、現像ローラ33への現像バイアスの印加のための現像電極をなしている。そして、現像カートリッジ筐体24の左側側壁25において、その現像電極51に対して前側に間隔を隔てた位置に、メモリ端子55が配置されている。
プロセスカートリッジ13が本体ケーシング2内に装着された状態で、現像接点52は、現像電極51に対して後側から当接し、本体端子56は、メモリ端子55に前側から当接する。そして、現像接点52および本体端子56は、現像接点52が現像電極51に与える荷重F1の大きさと、本体端子56がメモリ端子55に与える荷重F2の大きさとが等しくなるような弾性を有している。すなわち、現像接点52および本体端子56は、それぞれ現像電極51およびメモリ端子55に対して、互いに逆方向の同じ大きさの弾性力を付与するような弾性を有している。
【0039】
したがって、現像電極51が現像接点52から受ける荷重F1と、各メモリ端子55が本体端子56から受ける荷重F2とが相殺される。そのため、感光ドラム18に対する現像ローラ33の押圧状態のバランスがそれらの荷重F1,F2の影響により崩れることを防止することができる。その結果、感光ドラム18における現像ローラ33の接触域において、現像ローラ33から感光ドラム18にトナーをむらなく(均一に)供給することができる。
(3)変形例
本発明は、モノクロのレーザプリンタ1に限らず、カラーレーザプリンタ(タンデムタイプ、中間転写タイプを含む。)に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの構成を模式的に示す側断面図である。
【図2】図1に示すプロセスカートリッジの平面図であり、各部の構成を図解的に示す。
【図3】他の実施形態(複数のメモリ端子を備える構成)に係るプロセスカートリッジの平面図であり、各部の構成を図解的に示す。
【図4】さらに他の実施形態(カートリッジ筐体の同一側面に現像電極とメモリ端子とが配置される構成)に係るプロセスカートリッジ13の平面図であり、各部の構成を図解的に示す。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
13 プロセスカートリッジ
14 定着ユニット
15 ドラムカートリッジ
16 現像カートリッジ
18 感光ドラム
23 板ばね
24 現像カートリッジ筐体
25 側壁
33 現像ローラ
51 (ローラ軸の)左側端部
52 現像接点
53 メモリチップ
55 メモリ端子
56 本体端子
57 現像電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内に着脱可能に装着されるカートリッジ筐体と、
前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、
前記カートリッジ筐体の表面に配置され、前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、
前記装置本体内に配置され、前記プロセス電極に弾性的に当接するプロセス接点と、
前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、
前記カートリッジ筐体の表面に配置され、前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子と、
前記装置本体内に配置され、前記記憶素子端子に弾性的に当接する本体端子とを備え、
前記プロセス電極が前記プロセス接点から受ける荷重と、前記記憶素子端子が前記本体端子から受ける荷重とは、それらの方向が互いに向かい合う方向であって、かつ、それらの大きさが等しいことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセス部材は、現像剤を担持する現像ローラであり、
前記プロセス電極は、前記現像ローラに電圧を印加するための電極であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向に対向する一側面および他側面を有しており、
前記プロセス電極は、前記カートリッジ筐体の前記一側面に配置され、
前記記憶素子端子は、前記カートリッジ筐体の前記他側面に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向と直交する側面を有しており、
前記プロセス電極および前記記憶素子端子は、同一の前記側面に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像ローラから現像剤の供給を受ける感光体と、
前記カートリッジ筐体を前記現像ローラの軸方向と直交する方向に押圧し、前記現像ローラを前記感光体に押圧状態で接触させるための押圧部材とを備えていることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
カートリッジ筐体と、
前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、
前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、
前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、
前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とを備え、
前記カートリッジ筐体は、互いに対向する一側面および他側面を有しており、
前記プロセス電極は、前記カートリッジ筐体の前記一側面に配置され、
前記記憶素子端子は、前記カートリッジ筐体の前記他側面に配置されていることを特徴とする、カートリッジ。
【請求項7】
前記プロセス部材は、現像剤を担持する現像ローラであり、
前記カートリッジ筐体の前記一側面と前記他側面とは、前記現像ローラの軸方向に対向していることを特徴とする、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
カートリッジ筐体と、
前記カートリッジ筐体に保持されるプロセス部材と、
前記プロセス部材と電気的に接続されるプロセス電極と、
前記カートリッジ筐体に配置される記憶素子と、
前記記憶素子と電気的に接続される記憶素子端子とを備え、
前記カートリッジ筐体は、前記現像ローラの軸方向と直交する側面を有しており、
前記プロセス電極および前記記憶素子端子は、同一の前記側面に配置されていることを特徴とする、カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−249801(P2008−249801A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87782(P2007−87782)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】