説明

画像形成装置およびプログラム

【課題】同一の画像データを異なる描画方式で処理可能な場合に、出力結果が異なるか否かを実際に出力処理を行うことなく事前に確認する。
【解決手段】描画処理部32は、検査モードが指定されPDFデータに対する描画処理を行う場合に、PDFデータをPostScriptデータに変換してから印刷データを作成するCPSI41による描画方式と、PDFで表現された画像データから直接印刷データを作成するAPPE42による描画方式という2つの描画方式により印刷データを作成する。比較処理部35は、描画処理部32において生成された2種類の印刷データをドット単位で比較する。通知部35は、比較処理部35における比較結果をユーザに通知する。出力制御部37は、2種類の印刷データが同一であるとの比較結果が得られた場合、APPE42により作成された印刷データに基づいて印刷装置1に画像を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なるアプリケーションプログラムまたはオペレーションシステムで生成された印刷データであっても、最適な描画処理を行うことができる印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−148578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、同一の画像データを異なる描画方式で処理可能な場合に、出力結果が異なるか否かを実際に出力処理を行うことなく事前に確認することが可能な画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、印刷しようとする画像データを受け付ける受付手段と、
異なる描画方式による出力結果の違いの有無を検査する場合に、第1のページ記述言語で表現された画像データを第2のページ記述言語で表現された画像データに変換してから印刷データを作成する第1の描画方式と、第1のページ記述言語で表現された画像データから直接印刷データを作成する第2の描画方式とにより、前記受付手段により受け付けた第1のページ記述言語で表現された画像データの描画処理をそれぞれ行って2種類の印刷データを生成する描画処理手段と、
前記描画処理手段において生成された2種類の印刷データを画素単位で比較する比較手段と、
前記比較手段における比較結果を通知する通知手段とを備えた画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記描画処理手段において生成された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる出力制御手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記比較手段において2種類の印刷データが同一であるとの比較結果が得られた場合、前記第2の描画方式により描画処理された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記描画処理手段において生成された印刷データに基づいて画像を出力する出力制御手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記比較手段において2種類の印刷データが同一でないとの比較結果が得られた場合、前記第1の描画方式により描画処理された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる請求項1記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記比較手段が、比較する2種類の印刷データの全ての画素が同一である場合に、該2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記比較手段が、2種類の印刷データを比較して、比較する画素どうしのずれが1画素以内の場合に、該2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記第1のページ記述言語で表現された画像データがPDFデータであり、前記第2のページ記述言語で表現された画像データがPostScriptデータである請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0011】
[プログラム]
請求項7に係る本発明は、印刷しようとする画像データを受け付けるステップと、
異なる描画方式による出力結果の違いの有無を検査する場合に、第1のページ記述言語で表現された画像データを第2のページ記述言語で表現された画像データに変換してから印刷データを作成する第1の描画方式と、第1のページ記述言語で表現された画像データから直接印刷データを作成する第2の描画方式とにより、受け付けた第1のページ記述言語で表現された画像データの描画処理をそれぞれ行って2種類の印刷データを生成するステップと、
生成された2種類の印刷データを画素単位で比較するステップと、
生成された2種類の印刷データの比較結果を通知するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によれば、同一の画像データを異なる描画方式で処理可能な場合に、出力結果が異なるか否かを実際に出力処理を行うことなく事前に確認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、2種類の印刷データが同一であると判定された場合には、第2の描画方式により描画処理された印刷データに基づく画像を優先して出力することがで可能な画像形成装置を提供することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1に係る発明により得られる効果に加えて、2種類の印刷データが同一でないと判定された場合には、第1の描画方式により描画処理された印刷データに基づく画像を優先して出力することがで可能な画像形成装置を提供することができる。
【0015】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に係る発明により得られる効果に加えて、比較する2種類の印刷データの同一性を厳格に確認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0016】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に係る発明により得られる効果に加えて、比較する2種類の印刷データの同一性の判定に1画素分の余裕を持たせることが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項6に係る本発明によれば、PDFの画像データをPostScriptに変換してから印刷データを作成する場合と、直接印刷データを作成する場合とで、出力結果が異なるか否かを実際に出力処理を行うことなく事前に確認することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0018】
請求項7に係る本発明によれば、同一の画像データを異なる描画方式で処理可能な場合に、出力結果が異なるか否かを実際に出力処理を行うことなく事前に確認することが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の印刷システムの構成を示すシステム図である。
【図2】本発明の一実施形態の印刷システムにおけるコントローラ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の印刷システムにおけるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の印刷システムにおいて動作モードを設定する際の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の印刷システムにおける印刷モードの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態の印刷システムにおける検査モードの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[背景]
まず、本発明の理解を助けるために、その背景及び概略を説明する。
【0021】
従来では、ドキュメントフォーマットおよびページ記述言語として広く使用されているPDF(Portable Document Format)により表現された画像データ(以下、PDFデータと称する。)から、ビットマップ形式の印刷データを作成するための描画方式として、CPSI(Configurable PostScript Interpreter)というソフトウェアを用いた描画方式が使用されてきた。しかし、このCPSIを用いた描画方式では、PDFデータを一旦PostScript(登録商標)というページ記述言語により表現された画像データ(以下、PostScriptデータと称する。)に変換し、このPostScriptデータに基づいて描画処理を行って印刷データを生成する必要がある。
【0022】
このCPSIを用いた描画方式では、PDFデータを一旦中間ファイル形式であるPostScriptデータに変換する必要があるため、処理効率が悪いという課題がある。また、PostScriptデータを格納するための記憶領域が必要であるという問題もある。さらに、PDFデータをPostScriptデータに変換するために、PDFに備えられていてもPostScriptで備えられていない機能がある場合には、PDFで使用可能な機能が制限されてしまう場合があるという問題もある。
【0023】
そのため、近年では、PDFデータを直接描画処理して印刷データを作成することが可能なAPPE(Adobe PDF Print Engine)というソフトウェアを用いた描画方式が提案されている。
【0024】
このAPPEを用いた描画方式では、PDFデータに基づいて直接印刷データを作成することが可能であるため、PDFデータの印刷処理を行う場合にはAPPEを使用する描画方式に移行しつつある。
【0025】
しかし、PDFデータをCPSIにより処理した場合とAPPEで処理した場合とで出力結果が完全に一致しない場合がある。そのため、PDFデータの描画方式をいきなりCPSIからAPPEに切り替えた場合に、同一の画像データを用いて印刷処理を行ったのに出力結果が異なることになりユーザにとっては看過できない場合もある。
【0026】
[実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態の印刷システム(画像形成装置)の構成の一例を示す図である。この印刷システムは、図1に示されるように、前処理装置3と、バッファ装置4と、連続紙に対して印刷を行う印刷装置(画像出力装置)1と、バッファ装置5と、後処理装置6と、コントローラ10と、端末装置20とから構成されている。
【0028】
前処理装置3は、印刷されていない印刷用紙の送り出し等の前処理を行う。後処理装置6は、印刷が終了した印刷用紙の巻き取り等の後処理を行う。バッファ装置4、5は、前処理装置3と印刷装置1との間および、印刷装置1と後処理装置6との間の印刷用紙のテンションの保持等のために設けられている。
【0029】
端末装置20は、印刷ジョブ等の印刷指示を生成してネットワーク経由にてコントローラ10に対して送信する。コントローラ10は、端末装置20から送信されてきた印刷指示により印刷装置1の印刷動作を制御する印刷制御装置として機能する。印刷装置1は、コントローラ10による制御に基づいて印刷指示に応じた画像を連続紙上に出力する。
【0030】
次に、本実施形態の印刷システムにおけるコントローラ10のハードウェア構成を、図2を参照して説明する。本実施形態のコントローラ10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワークを介して端末装置20との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)部24、タッチパネルや液晶ディスプレイにより構成されたユーザインタフェース(UI)装置15、印刷装置1との間でデータの送受信を行うエンジンIF部16を有する。そして、これらの構成要素は、制御バス17を介して互いに接続されている。
【0031】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された印刷制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、コントローラ10の動作を制御する。
【0032】
なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の搬送可能な記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0033】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現されるコントローラ10の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態のコントローラ10は、図3に示されるように、画像データ受付部31と、描画処理部32と、モード設定部33と、印刷データ格納部34と、比較処理部35と、通知部36と、出力制御部37とを備えている。
【0035】
画像データ受付部31は、端末装置20から送信されてきた画像データを、印刷しようとする画像データとして受け付ける。
【0036】
描画処理部32は、画像データ受付部31により受け付けられた画像データに対して描画処理を行うことにより、印刷処理を実行可能な印刷情報、つまり、ビットマップデータ等のラスタ形式の印刷データ(ラスタイメージデータ)に変換する。
【0037】
そして、描画処理部32は、PDFデータに対する描画処理を行う場合に、CPSI41とAPPE42という2つのソフトウェアによる描画方式を選択することができるようになっている。CPSI41による描画方式(第1の描画方式)では、PDF(第1のページ記述言語)で表現された画像データをPostScript(第2のページ記述言語)で表現された画像データに変換してから印刷データを作成する。そして、APPE42による描画方式(第2の描画方式)では、PDFで表現された画像データから直接印刷データを作成する。
【0038】
なお、本実施形態の印刷システムでは、動作モードとして、印刷モードと検査モードという2つのモードが設定可能となっている。印刷モードは、画像データ受付部31により受け付けられた印刷データに対して描画処理を行って印刷動作を実行する動作モード(動作態様)である。なお、動作モードとして印刷モードが指定された場合、描画処理部32では、PDFデータの印刷処理を行う際に、CPSI41を用いた描画方式、APPE42を用いた描画方式のうちの指定された描画方式により印刷データの作成を行う。
【0039】
そして、検査モードとは、CPSI41による描画方式、APPE42による描画方式という2つの異なる描画方式による出力結果の違いの有無を印刷を実行する前に事前に検査するための動作モード(動作態様)である
【0040】
動作モードとして検査モードが指定された場合、描画処理部32は、画像データ受付部31により受け付けられたPDFで表現された画像データの描画処理を、CPSI41による描画方式(第1の描画方式)およびAPPE42による描画方式(第2の描画方式)の2つの描画方式によりそれぞれ行って2種類の印刷データを生成する。
【0041】
モード設定部33は、動作モードとして印刷モードまたは検査モードのいずれを選択するのかを設定する。また、動作モードとして印刷モードが設定された場合、モード設定部33は、さらにPDFデータに対する描画処理を、CPSI41を用いて行うのかAPPE42を用いて行うのかを設定する。さらに、動作モードとして検査モードが設定された場合、モード設定部33は、検査レベルを高レベルで行うのか、低レベルで行うのかを設定する。なお、この検査レベルの詳細については後述する。
【0042】
印刷データ格納部34は、描画処理部32により描画処理が行われることにより作成された印刷データを格納する。動作モードとして検査モードが指定され、CPSI41とAPPE42という2つのソフトウェアによる描画方式により2種類の印刷データが作成された場合には、印刷データ格納部34には、この2種類の印刷データが格納される。
【0043】
比較処理部35は、動作モードが検査モードの場合、描画処理部32において生成された2種類の印刷データをドット(画素)単位で比較する。ここで、比較処理部35は、モード設定部33において検査レベルとして高レベルが設定されたのか、低レベルが設定されたのかで異なる比較処理を行う。
【0044】
検査レベルとして高レベルが設定された場合、比較処理部35は、比較する2種類の印刷データの全てのドットが同一である場合に、2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する。また、検査レベルとして低レベルが設定された場合、比較処理部35は、2種類の印刷データを比較して、比較する画素どうしのずれが1ドット以内の場合に、2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する。
【0045】
通知部36は、動作モードとして検査モードが指定された場合、比較処理部35における比較結果を表示して通知する。なお、通知部35は、比較処理部35により2種類の印刷データが一致しないと判定された場合のみ、比較結果を通知するようにしてもよい。そして、その際に、通知部36は、2つの印刷データによる出力イメージを重ねて表示して、どの部分が異なるかをユーザに通知するようにしてもよい。
【0046】
出力制御部37は、描画処理部32において生成された印刷データに基づいて印刷装置1に画像を出力させる制御を行う。そして、出力制御部37は、動作モードとして検査モードが指定され、比較処理部35において2種類の印刷データが同一であるとの比較結果が得られた場合、APPE42を用いた描画方式により描画処理された印刷データに基づいて印刷装置1に画像を出力させる。
【0047】
なお、出力制御部37は、比較処理部35において2種類の印刷データが同一でないとの比較結果が得られた場合、CPSI41を用いた描画方式により描画処理された印刷データに基づいて印刷装置1に画像を出力させるようにしてもよい。
【0048】
次に、本実施形態の印刷システムの動作を図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
先ず、印刷動作を実行する前にモード設定部33を介して動作モードを設定する場合の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
モード設定部33では、最初に、動作モードを印刷モードとするのか検査モードとするのが設定される(ステップS101)。
【0051】
ステップS101において動作モードが印刷モードに設定された場合(ステップS102においてYes)、モード設定部33では、描画方式をCPSI41を用いた描画方式とするのかAPPE42を用いた描画方式とするのかが設定される(ステップS103)。
【0052】
ステップS101において動作モードが検査モードに設定された場合(ステップS102においてNo)、モード設定部33では、比較レベルを高レベルとするのか低レベルとするのかが設定される(ステップS104)。
【0053】
次に、本実施形態の印刷システムにおいて、動作モードが印刷モードに設定されている場合の動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
この場合、描画処理部32では、描画方式としてCPSI41を用いた描画方式が指定されているのか、APPE42を用いた描画方式が指定されているのかを判定する(ステップS201)。
【0055】
ステップS201においてCPSI41を用いた描画方式が指定されていると判定された場合、描画処理部32は、CPSI41を用いて画像データ受付部31により受け付けられたPDFデータの描画処理を行って印刷データを作成する(ステップS202)。
【0056】
ステップS201においてAPPE42を用いた描画方式が指定されていると判定された場合、描画処理部32は、APPE42を用いて画像データ受付部31により受け付けられたPDFデータの描画処理を行って印刷データを作成する(ステップS203)。
【0057】
そして、描画処理部32において作成された印刷データは印刷データ格納部34に格納され、出力制御部37は、作成された印刷データに基づいた画像が出力されるよう印刷装置1に対する制御を行って印刷処理を実行する(ステップS204)。
【0058】
最後に、本実施形態の印刷システムにおいて、動作モードが検査モードに設定されている場合の動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0059】
動作モードが検査モードに設定されている場合、描画処理部32では、画像データ受付部31により受け付けられたPDFデータに対して、CPSI41を用いた描画処理を行って印刷データを作成するとともに、APPE42を用いた描画処理を行って印刷データを作成する(ステップS301、S302)。そして、判定フラグが0に初期化される(ステップS303)。この判定フラグは、2つの描画方式による出力結果が異なる場合には1に設定され、2つの描画方式による出力結果が同一である場合には0に設定されるフラグである。
【0060】
そして、描画処理部32において作成された2種類の印刷データは印刷データ格納部34に格納される。
【0061】
次に、比較処理部35は、APPE42により作成された印刷データから1ライン分のデータを抽出して、CPSI41により作成された印刷データの対応するラインのデータと比較する(ステップS304)。
【0062】
そして、抽出すべきラインが存在し(ステップS305においてNo)、比較対象のデータどうしの全てのドットが一致(ステップS306においてYes)する場合には、比較処理部35は、APPE42により作成された印刷データとCPSI41により作成された印刷データとの比較をライン毎に順次繰り返す。
【0063】
そして、ステップS306においてあるラインのデータどうしの比較において、全てのドットが一致しなかった場合、比較処理部35は、比較レベルが高レベルに設定されているか否かを判定し(ステップS307)、比較レベルが高レベルに設定されている場合には、判定フラグを1に設定する(ステップS310)。
【0064】
ステップS307において比較レベルが低レベルに設定されていると判定された場合には、比較処理部35は、さらにCPSI41により作成された比較対象の1ライン分のデータを、上下左右にそれぞれ1ドットずらしてAPPE42により作成された1ライン分のデータと比較する(ステップS308)。
【0065】
そして、APPE42により作成された1ライン分のデータが、上下左右それぞれ1ドットずらされた4パターンのデータのいずれかと一致した場合(ステップS309においてYes)、比較処理部35は、違いは許容範囲であると判定して、次のラインの比較処理を行う。
【0066】
また、ステップS309において、APPE42により作成された1ライン分のデータが、4パターンのデータのいずれとも一致しなかった場合、比較処理部35は、判定フラグを1に設定する(ステップS310)。
【0067】
そして、APPE42により作成された印刷データから抽出すべきラインが存在しなくなると(ステップS305においてYes)、比較処理部35は、判定フラグが1に設定されているか否かを判定する(ステップS311)。
【0068】
そして、判定フラグが1に設定されている場合には(ステップS311においてYes)、比較処理部35は、CPSI41により作成された印刷データとAPPE42により作成された印刷データとが異なる旨の比較結果を出力制御部37および通知部36に出力する。
【0069】
すると、通知部36では、CPSI41により作成された印刷データとAPPE42により作成された印刷データとでは、印刷結果が異なるという通知をユーザに行うとともに、2つの印刷結果が異なる場所を表示する(ステップS312)。
【0070】
そして、判定フラグが1に設定されていない場合には(ステップS311においてNo)、出力制御部37は、APPE42により作成された印刷データに基づいて印刷装置1に画像を出力させる(ステップS313)。
【0071】
[変形例]
上記実施形態では、PDFデータの描画処理を行う場合に、CPSI、APPEという異なるソフトウェアにより描画方式で印刷データを作成する場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のページ記述言語の画像データを異なる描画方式で描画処理するような場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 印刷装置
3 前処理装置
4、5 バッファ装置
6 後処理装置
10 コントローラ
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
31 画像データ受付部
32 描画処理部
33 モード設定部
34 印刷データ格納部
35 比較処理部
36 通知部
37 出力制御部
41 CPSI(Configurable PostScript Interpreter)
42 APPE(Adobe PDF Print Engine)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷しようとする画像データを受け付ける受付手段と、
異なる描画方式による出力結果の違いの有無を検査する場合に、第1のページ記述言語で表現された画像データを第2のページ記述言語で表現された画像データに変換してから印刷データを作成する第1の描画方式と、第1のページ記述言語で表現された画像データから直接印刷データを作成する第2の描画方式とにより、前記受付手段により受け付けた第1のページ記述言語で表現された画像データの描画処理をそれぞれ行って2種類の印刷データを生成する描画処理手段と、
前記描画処理手段において生成された2種類の印刷データを画素単位で比較する比較手段と、
前記比較手段における比較結果を通知する通知手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記描画処理手段において生成された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる出力制御手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記比較手段において2種類の印刷データが同一であるとの比較結果が得られた場合、前記第2の描画方式により描画処理された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記描画処理手段において生成された印刷データに基づいて画像を出力する出力制御手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記比較手段において2種類の印刷データが同一でないとの比較結果が得られた場合、前記第1の描画方式により描画処理された印刷データに基づいて画像出力装置に画像を出力させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記比較手段は、比較する2種類の印刷データの全ての画素が同一である場合に、該2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記比較手段は、2種類の印刷データを比較して、比較する画素どうしのずれが1画素以内の場合に、該2種類の印刷データが同一であるとの比較結果を出力する請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のページ記述言語で表現された画像データがPDFデータであり、前記第2のページ記述言語で表現された画像データがPostScriptデータである請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷しようとする画像データを受け付けるステップと、
異なる描画方式による出力結果の違いの有無を検査する場合に、第1のページ記述言語で表現された画像データを第2のページ記述言語で表現された画像データに変換してから印刷データを作成する第1の描画方式と、第1のページ記述言語で表現された画像データから直接印刷データを作成する第2の描画方式とにより、受け付けた第1のページ記述言語で表現された画像データの描画処理をそれぞれ行って2種類の印刷データを生成するステップと、
生成された2種類の印刷データを画素単位で比較するステップと、
生成された2種類の印刷データの比較結果を通知するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63543(P2013−63543A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202780(P2011−202780)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】