説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】災害報知器等からの災害発生予測通知を受けてから実際にその災害により動作停止となるまでの間に、送信待ちの文書やアドレス帳等のデータがなくなることを防ぐ等の処理を行う画像形成装置および画像形成システムを提供する。
【解決手段】事業所5で火災が発生すると、火災報知器11が火災発生を検知し接続される複合機100に火災発生通知を通知する。そして、火災発生通知を受信した複合機100は、災害発生用のジョブ制御を開始して、受信して出力しても焼失されるであろう着信ジョブの受信を行わず、システムデータ等をデータセンタのサーバ6に転送し、送信中であったジョブは、ENUMサーバ7を使用して最短時間で通信完了する通信手段を決定してその通信手段で送信する。火災により動作停止となるまで、複合機100は送信ジョブの送信を続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災等の災害への対応機能を備えた画像形成装置が存在する。
【0003】
特許文献1には、印刷装置内に本体とは独立した系で通信ユニットと電源管理ユニットそして熱センサ及び発煙感知センサを備えることにより、一定時間以上規定温度を超えた状態が続いたり発煙を検知した場合に印刷装置の主電源を切って管理者に通知を行うことによって火災などの災害を防止する印刷装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大規模な火災が発生して画像形成装置も燃えてしまうと、HDD(Hard Disk Drive)に記憶する送信待ちの文書や顧客データ等が消える。
【0006】
また、新たに受信して印刷出力した紙文書は結局火災により焼失してしまう可能性が高い。
【0007】
そこで、この発明は、災害報知器等からの災害発生予測通知を受けてから実際にその災害により動作停止となるまでの間に、送信待ちの文書やアドレス帳等のデータがなくなることを防ぐ等の処理を行う画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の画像形成装置は、災害発生を検知する災害発生検出装置から災害発生の通知を受信する受信手段と、前記受信手段が前記災害発生の通知を受信すると、災害発生用の画像形成処理の制御を開始し前記災害によって自装置が動作停止となるまで該画像形成処理の制御を継続する画像形成処理制御継続手段とを具備するように構成される。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記画像形成処理制御継続手段は、前記受信手段で前記通知を受信した際に実行中であった画像形成処理を停止するように構成される。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記画像形成処理制御継続手段は、実行中であったため停止された、画像を送信しようとする画像形成処理の宛先情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した宛先情報に基づき、自装置に接続されるENUMサーバより該宛先が通信可能な通信手段を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した通信手段の中から、当該画像を送信しようとする画像形成処理が送信に費やす転送時間の最も短くなる通信手段を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された通信手段によって、当該画像を送信しようとする画像形成処理を再開する送信再開手段とを具備するように構成される。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記選択手段は、前記画像を送信しようとする画像形成処理に際して画像変換処理が必要な場合には該画像変換処理に必要な時間を含めて、当該画像形成処理により画像が送信先に送信される転送時間を算出するように構成される。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記画像形成処理制御継続手段は、自装置に送られて画像を印刷する画像形成処理を受信しないように制御するように構成される。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記画像形成処理制御継続手段は、ポーリングによる画像形成処理を禁止するように制御するように構成される。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記画像形成処理制御継続手段は、自装置に接続される情報記憶サーバに、自装置内に記憶する情報を転送するように構成される。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、転送する前記データは、通信相手の宛先データ、または、自装置のシステムデータ、または、通信ログ、または、画像形成処理履歴、または、未印刷の印刷データのいずれかであるように構成される。
【0016】
また、請求項9の発明の画像形成システムは、災害発生を検知する災害発生検出装置と、前記災害発生装置が接続される画像形成装置とを備え、前記災害発生検出装置は、前記画像形成装置に被害が及ぼすと予想される災害の発生を前記画像形成装置に通知する災害発生通知手段を具備し、前記画像形成装置は、前記災害発生通知手段による前記災害発生の通知を受信する受信手段と、前記受信手段が前記災害発生の通知を受信すると、災害発生用の画像形成処理の制御を開始し前記災害によって自装置が動作停止となるまで該画像形成処理の制御を継続する画像形成処理制御継続手段とを具備するように構成される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、災害発生が検知されると、災害発生用の画像形成処理の制御が行われる。
【0018】
請求項2の発明によれば、災害発生が検知されると、実行中であった画像形成処理が停止される。
【0019】
請求項3の発明によれば、災害発生が検知されると、最も高速に通信が完了する通信手段によって、画像送信を再開するという効果を奏する。
【0020】
請求項4の発明によれば、災害発生が検知されると、画像変換処理時間も含めて最も高速に通信が完了する通信手段によって、画像送信が再開されるという効果を奏する。
【0021】
請求項5の発明によれば、災害発生が検知されると、自装置に送られる画像形成処理を受信しない。
【0022】
請求項6の発明によれば、災害発生が検知されると、ポーリングによる画像形成処理が行われない。
【0023】
請求項7の発明によれば、災害発生が検知されると、記憶する情報がサーバに転送されるという効果を奏する。
【0024】
請求項8の発明によれば、災害発生が検知されると、通信相手の宛先データ、または、自装置のシステムデータ、または、通信ログ、または、画像形成処理履歴、または、未印刷の印刷データのいずれかの情報がサーバに転送されるという効果を奏する。
【0025】
請求項9の発明によれば、災害発生が検知されると、災害発生用の画像形成処理の制御が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は画像形成システム1の構成図である。
【図2】図2は複合機100のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3はソフトウェアのモジュール構成を示す模式図である。
【図4】図4は複合機100の処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は図4のステップ408の内容を示すフローチャートである。
【図6】図6は転送時間算出テーブルを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
まず、画像形成システム1について図1を参照して説明する。
【0029】
図1は、画像形成システム1の概略を示す構成図である。
【0030】
画像形成システム1は、図1に示すように、事務所5内のイントラネット4がインターネット2に接続されて、更に、インターネット2にデータを蓄積するデータセンタのサーバ6とENUMサーバ7とプレゼンスサーバ13とが接続されて構成される。
【0031】
データセンタのサーバ6は、複合機100から転送される各種データを記憶するサーバである。
【0032】
ENUMサーバ7は、ENUMシステムで利用されるサーバであり、電話番号に対応したENUMのドメイン名を受け取ると、それに対応する通信手段やアドレスをNAPTRリソースレコードで返すサーバである。
【0033】
プレゼンスサーバ13は、端末の通信状態や通信アドレスを管理するサーバであり、プレゼンスサービスで使用される。
【0034】
また、画像形成システム1は、イントラネット4に接続される複合機100が公衆電話交換回線網であるPSTN(Public Switched Telephone Networks)3に接続されて、PSTN3に事務所5以外の場所に存在するファクシミリ通信機8が接続されている。事務所5以外の場所でPSTN3に接続されるファクシミリ通信機8は、ファクシミリ通信機能を有する複合機であってよい。ここでいう複合機(複合機100を含む)は、用紙に画像形成する機能や、ファクシミリ通信機能などの機能を有する画像形成装置である。
【0035】
画像形成システム1において、火災は事業所5で発生するものとして説明を行う。
【0036】
事務所5にあるイントラネット4には、クライアントPC9、サーバ10、複合機100、火災報知器11などが接続されている。
【0037】
クライアントPC9は、一般的な事務作業や開発・研究業務に使用するもので、PCプリント、DirectFax、蓄積文書のNet転送などの各種の処理をイントラネット4に接続される複合機100に指示できる。
【0038】
サーバ10は、イントラネット4を構成するファイルサーバや認証サーバなどの各種サーバである。
【0039】
複合機100は、プリント、スキャニング、複写、ファクシミリ機能等を有する画像形成装置である。
【0040】
また、複合機100には、シリアルインタフェース121を介して、火災報知器11とIC(Integrated Circuit)カードリーダ12とが接続されている。
【0041】
火災報知器11は、少なくとも熱センサ、煙センサ、炎センサ、音響装置及び無線LAN(LocalArea Network)接続装置を備え、火災や発煙を検知すると、音響装置で火災の発生を音とメッセージで報知すると共に予め設定された他の火災報知器にイントラネット4を介して火災の発生を通知する。火災報知器11とイントラネット4とは無線LANで接続される。
【0042】
ICカードリーダ12は、非接触ICカードにより、接続される複合機100の利用者を認証し、予め定められたセキュリティポリシに従って動作する。
【0043】
このように構成される画像形成システム1では、事務所5で火災が発生すると、火災報知器11がその火災を検知する。
【0044】
そして、事務所5のイントラネット4に接続される複合機100は、火が迫ってきて自装置が動作しなくなるまでの間に、実行中ジョブ、待ちジョブ、着信ジョブ、ポーリングジョブ等の制御や、文書データのデータセンタへの転送、プレゼンスサーバ13に対する処理、送信系ジョブに対する制御などの処理を行う。 そうして、画像形成システム1では、火災(災害)による新規印刷文書の焼失や、蓄積データの焼失などを防ぐ。
【0045】
ジョブとは、画像形成処理の処理要求である。 また、送信系ジョブは、送信相手に画像を形成させる意味があるので、広義の意味の画像形成処理に含まれる。
【0046】
また、ポーリングジョブとは、画像形成の送信要求があるかどうかを、イントラネット4に接続されるクライアントPC9や他の複合機100に聞いて回り、画像形成の送信要求があるクライアントPC9や他の複合機100からその送信要求を受信して印刷出力する処理要求のことをいう。
【0047】
次に、複合機100のハードウェア構成について図2を参照して説明を行う。
【0048】
図2は、複合機100のハードウェア構成について示した図である。
【0049】
複合機100のハードウェア構成は、図2に示すように、印刷装置部101、読取装置部102、操作装置103がコントローラーボード110に接続されている。
【0050】
印刷装置部101は、複合機100で印刷出力を行うプリントエンジンを示す。
【0051】
読取装置部102は、スキャナー機能を有し、配置される原稿の画像を読み取ることができる。
【0052】
操作装置103は、複合機100を使用するユーザとのインタフェース群であり、表示部104、操作部105を備えて構成される。
【0053】
表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などを示し、画像処理の設定情報を表示したり画像処理の状態を表示したりする。
【0054】
操作部105は、ユーザからの指示を受け付けるボタンなどを示す。
【0055】
なお、ユーザインタフェース103は、タッチパネルを用いる場合には、表示部104と操作部105とを一つにすることもできる。
【0056】
また、コントローラーボード110は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Reed Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、NVRAM(Non Volatile RAM)114、HDD(Hard Disk Drive)115、画像処理部116、操作装置インタフェース117、通信インタフェース(図面では通信IFと記す)118、デバイスインタフェース(図面ではデバイスIFと記す)119がバス130に接続されて構成される。
【0057】
CPU111は、複合機100が有する機能の主制御を行う。各処理部はCPU111による指示に基づいて処理を行い、その処理結果を指定された処理部に対して通知する。
【0058】
ROM112は、複合機100の制御、ユーザ認証、画像処理等を行うための各種プログラムや、複合機100が固有に持つ固有情報を記憶し、CPU111からのプログラム実行命令などによってNVRAM114などに記憶された情報を参照しながら実行する。ここで、ROM112に記憶される固有情報とは、複合機100と物理的に識別するシリアル番号、製造番号、製造年月日、製造工場名などの書き換える必要のない情報を示す。
【0059】
RAM113は、ROM112に記憶されたプログラムを動作させるための環境変数などのシステム変数や、画像処理を行うための一時的なデータ等を記憶する。
【0060】
NVRAM114は、電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性メモリであって、ROM112に記憶されたプログラムを動作させるための各種パラメータを記憶するほか、履歴情報などを記憶する。
【0061】
HDD115は、制御内容に基づいて画像処理を行う画像データを記憶する。
【0062】
画像処理部116は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成され、画像データの伸張圧縮処理、各種の画像処理を行う。
【0063】
操作装置インタフェース117は、ユーザによる値の入力、処理内容の指定などを装置に伝えることができる。
【0064】
通信インタフェース118は、外部装置との通信を実現するためのインタフェース群であり、LAN(LocalArea Network)120、シリアルインタフェース(図面ではSerialと記す)121、USB(Universal Serial Bus)122、モデム123を備えて構成される。
【0065】
LAN120は、イーサネット(登録商標)ケーブルを接続するLANポートなどを示し、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会)が定めた通信方式に従って通信を実現するためのポートである。
【0066】
シリアルインタフェース121は、RS-232C規格に準拠したポートなどを示し、各種外部周辺装置への接続を実現する。
【0067】
USB122は、共通のコネクタで、様々な周辺機器を接続することができるインタフェース規格であり、各種の周辺機器を接続するためのインタフェースである。
【0068】
モデム123は、ファクシミリ通信のためにPSTN4と接続される。
【0069】
また、デバイスインタフェース119は、複合機100を構成する各種機器との通信を実現する。
【0070】
デバイスインタフェース119に接続される各種機器には、読取装置部102と印刷装置部101とがある。
【0071】
このように構成される複合機100のシリアルインタフェース121に、火災報知器11を接続する接続ケーブルとICカードリーダ12を接続する接続ケーブルとが接続されている。
【0072】
次に、複合機100のハードウェアを制御するコントローラのソフトウェアのモジュール構成について図3を参照して説明を行う。
【0073】
図3は、複合機100のハードウェアを制御するコントローラのソフトウェアのモジュール構成を示す模式図である。
【0074】
図3に示すように、ソフトウェアは、OS(Operating System)301、ミドルウェア302、機能モジュール303、アプリケーション304の各階層から構成される。
【0075】
OS301は、組み込み用とのリアルタイムOSで、汎用的なものから複合機100用に製作されたものなどが使用できる。
【0076】
ミドルウェア302は、OS301と機能モジュール303との仲立ちを行う層で、OS301の上位に位置し、ハードウェア固有の影響などを抑え、機能モジュール303、アプリケーション304といった上位モジュールに共通のAPI(Application Program Interface)を提供するモジュール群である。このようなソフトウェア階層にすることにより、ハードウェアやOS301の変更があっても、機能モジュール303レベル、アプリケーション304レベルの階層への(実装の変更という)影響を抑えることが出来る。
【0077】
そして、ミドルウェア302は、システムマネジャ305とデバイスドライバライブラリ306とを有している。
【0078】
システムマネジャ305は、状態・リソース管理、ジョブ管理、ファイル管理、バッファー管理、タイマー管理、各種ログ管理などの複合機100の中核を管理するモジュールで、これらの管理機能への機能モジュールへの提供も行う。
【0079】
デバイスドライバライブラリ306は、機能モジュール303に対して外部システムやハードウェアのもつ機能を提供するモジュール群で、各種プロトコル、各種デバイスのロウレベルの制御を行う。
【0080】
そして、デバイスドライバライブラリ306は、モードライブラリ307、メーラ308、ドキュメントボリュームライブラリ309、アクセサリインタフェース(図面ではアクセサリIFと記す)310を有する。
【0081】
モードライブラリ307は、モードという概念により、複合機100の通常の使用状態、メンテナンス用の特殊状態、診断機能を実施する特殊状態などを管理する管理機能を各機能モジュールに提供する。
【0082】
メーラ308は、電子メールのプロトコルを使用する機能を提供する。
【0083】
ドキュメントボリュームライブラリ309は、用紙のプリント枚数、即ち、カウンタ制御の機能を提供する。
【0084】
アクセサリIF310は、火災報知器11、ICカードリーダ12とのインタフェースを制御する制御APIである。
【0085】
更に、デバイスドライバライブラリ306は、図示しないファクシミリ通信の通信モデム制御、LAN制御、HDDアクセス制御、印刷装置101/読取装置102/操作装置103などとのインタフェース制御を行う図示しないモジュールがある。
【0086】
機能モジュール303は、リクエスト処理、操作装置103との通信処理、各種アプリケーションを実現するための画像処理、リモートのデバイスに各種状態などを通知するモジュール群である。
【0087】
また、機能モジュール303は、リクエストマネジャ321、印刷装置コントローラ322、読取装置コントローラ323、スプールコントローラ324、デコンポーザ325、レポートジェネレーション326、ファックスコントローラ327、ネットコントローラ328、認証マネージャ329、HTTP(HyperText Transfer Protocol)コントローラ330、SNMP(Simple Network Management Protocol)コントローラ331を有する。
【0088】
リクエストマネジャ321は、リクエスト処理と操作装置103との通信処理を行う。
【0089】
印刷装置コントローラ322は、印刷装置部101の制御を行う。
【0090】
読取装置コントローラ323は、読取装置部102の制御を行う。
【0091】
スプールコントローラ324は、ジョブの蓄積の制御を行う。
【0092】
デコンポーザ325は、プリントデータを印刷可能な中間表現への変換処理を行う。
【0093】
レポートジェネレーション326は、レポート作成処理を行う。
【0094】
ファックスコントローラ327は、ファクシミリ通信の通信制御を行う。
【0095】
ファックスコントローラ327は、LANの通信制御を行う。
【0096】
ネットコントローラ328は、LANの通信制御を行う。
【0097】
認証マネージャ329は、認証管理を行う。
【0098】
HTTPコントローラ330は、HTTPによるリモートのデバイスに各種状態などの通知処理を行う。
【0099】
SNMPコントローラ331は、SNMPによるリモートのデバイスに各種状態などの通知処理を行う。
【0100】
アプリケーション304は、コピー、ファックス、スキャナーといったユーザに対して提供する機能処理のまとまりであり、各機能モジュールの処理によって実現される。
【0101】
複合機100におけるジョブの処理の流れとしては、例えば、コピーがユーザから指示されると、その指示を操作装置103から受け取ったリクエストマネジャ321が、原稿サイズ、用紙サイズなどの指示・設定パラメータをコピージョブ起動情報として設定し、コピーのジョブを生成する。
【0102】
システムマネジャ305は、状態・リソース管理情報などコピー起動に必要なシステムの情報をチェックして、問題が無ければコピージョブを起動し、待ち状態にする。
【0103】
続いてシステムマネジャ305は、所定のジョブ・スケジューリング制御に従ってコピーのジョブを動作状態に変更する。
【0104】
コピーのジョブの予め定められた処理手順に従って、読取装置部102への読み取り指示、スプールコントローラ324への読み取った画像データの蓄積指示、印刷装置部101へのプリント指示を行うことによりユーザにコピー機能が提供される。
【0105】
次に、事務所5で火災が発生して火災報知器11で検知された場合に、複合機100で行われる処理について図4のフローチャートで説明する。
【0106】
図4は、事務所5で発生した火災が火災報知器11によって検知された際に行われる、複合機100の処理を示すフローチャートである。
【0107】
まず、事務所5内で火災が発生すると、発生した火災は火災報知器11で検知される。
【0108】
火災報知器11は、火災発生を検知すると、その火災の発生をベルなどで報知すると共に、イントラネット4を介して、イントラネット4に接続される他の火災報知器11に対して火災の発生をブロードキャストする。
【0109】
火災報知器11は、火災の発生をブロードキャストする際に、火災を検知した火災報知器11の位置情報も通知して、通知を受けた側の火災報知器11に火災発生の位置情報を受信させるようにしてもよい。 そして、ブロードキャストによって火災の発生の通知を受けた側の火災報知器11では、受信する火災発生の位置情報に基づき、ベル音と共に「○○フロアで火災が発生しました。至急、避難を開始して下さい。」などと火災の発生場所についてのアナウンスが行われてもよい。
【0110】
また、火災報知器11は、火災報知器11だけでなくイントラネット4に接続される全クライアントPC9にも、火災発生についての通知をブロードキャストしてよい。
【0111】
そして、火災報知器11は、火災発生を検知、或いは、他の火災報知器11からの火災発生の通知を受信すると、接続される複合機100に対して火災発生を通知する。
【0112】
火災報知器11から火災発生の通知を受けた複合機100では(ステップ401でYES)、NVRAM114に火災発生を書き込む(ステップ402)。
【0113】
そして、複合機100は、火災報知器11からの通知に基づき、表示部104に「○○フロアで火災発生。至急、避難して下さい。」などと表示して、複合機100を操作しているユーザに注意喚起を行う(ステップ403)。
【0114】
複合機100は、全実行中のジョブを中止させて、全待ちジョブを一時停止させる(ステップ404)。
【0115】
全実行中のジョブが中止されることにより、実行中のジョブが外部から受信する通信を行う受信系のジョブである場合には受信中の受信文書がプリントされた後に火災により焼失されるのを防ぐことができ、また、そのジョブを送信した複合機100に送信した送信側にはエラー表示がされて正常に複合機100が受信できなかったことが明確になる。
【0116】
また、ステップ404の全実行中のジョブの中止と全待ちジョブの一時停止は、複合機100を操作しているユーザに早く逃げてもらいたい為でもあり、さらに重要文書が引き出されることを防ぐ為でもある。
【0117】
また、コピー、PCプリント、各種受信プリント(Fax/IP-Fax/iFax)、親展ボックスに関連付けられた各種のプリントジョブは、プリントしても火災により焼失する可能性があるので、プリントさせないようにジョブ制御される。
【0118】
各種受信プリント(Fax/IP-Fax/iFax)を受信してプリントしても、火災により焼失する可能性があり、また、ポーリングした文書をプリントしても同様に焼失する可能性がある為、複合機100は、着信ジョブやポーリングジョブを禁止する(ステップ405)。 複合機100は、ポーリングジョブを禁止することで、自装置ないで管理する文書がイントラネット4を介した外部の端末から不正に引き出しされないようにすることができる。
【0119】
着信ジョブの禁止は、着信ジョブを受け付けないように設定変更することにより行われる。それで、例えば、着信ジョブが禁止されている複合機100にファクシミリ送信を行ったファクシミリ通信機8には「BUSY」等のエラー表示がされて、ファクシミリ送信が受け付けられなかったことがファクシミリ通信機8側に確認される。仮に、複合機100が着信ジョブを禁止しないでいると、ファクシミリ通信機8が送った注文表が複合機100でプリントされて通信完了となってしまい、プリントされた内容が火災により焼失してもファクシミリ通信機8で注文表を送った側は、注文表が受理されたと勘違いする場合が予想されてしまう。
【0120】
また、複合機100は、自装置内に記憶する各種データを、データセンタのサーバ6に転送する処理を行う(ステップ406)。
【0121】
サーバ6に転送される各種データは、アドレス帳、システムデータ、通信ログ、通信管理レポート、ジョブ履歴、未プリントジョブの印刷データ等であるが、他のデータが複合機100からサーバ6に転送されてもよい。
【0122】
また、複合機100は、自局の全通信手段を通信不能な状態であることを示すオフラインであることを示すプレゼンス文書を作成してプレゼンスサーバ13に送信する(ステップ407)。
【0123】
このように、プレゼンス文書を送ることにより、複合機100のプレゼンス情報がオフラインとなるので、IP-Faxなどのプレゼンスサービスを使った他拠点からの送信・ポーリングがなくなる。
【0124】
また、複合機100は、ステップ404で中止または一時停止させたジョブの中で、送信に関するジョブについては、少しでも早く相手先へ送信されるようにジョブ再開処理を行う(ステップ408)。
【0125】
ステップ408で行われる送信系ジョブの再開処理について、図5を参照して説明する。
【0126】
図5は、サブルーチンであるステップ408で行われる送信系ジョブの再開処理について示したフローチャートである。
【0127】
送信系ジョブの再開処理は、図5に示すように、ステップ404で中止または一時停止させたジョブの中の送信系ジョブの宛先情報が取得される(ステップ501)。
【0128】
そして、取得された送信系ジョブの宛先情報が、NAPTRリソースレコードを要求するためのドメイン名に変換されて、ENUMサーバ7に送られる(ステップ502)。
【0129】
複合機100は、ENUMサーバ7より、送信したドメイン名に対応するNAPTRリソースレコードを受信する。
【0130】
複合機100は、受信するNAPTRリソースレコードから、送信相手が受信可能な通信手段の種類を取得する(ステップ503)。
【0131】
そして、取得した通信手段の中から、送信系ジョブの送信時間が最も短くなる通信手段が選択される(ステップ504)。
【0132】
ここで送信時間が最も短くなる通信手段の選択は、ステップ503で取得される各通信手段で送信系ジョブの送信が行われた場合に各々の通信手段で費やされる転送時間がそれぞれ計算されて、最も演奏時間が短いと計算された通信手段が選択される。
【0133】
つまり、図6に示す転送時間算出テーブルより算出される転送時間であって、ある通信手段で送信する際に必要となる1頁当たりの転送時間をAとし、その通信手段で送信する際に必要となる画像変換処理に要する1頁当たりの画像変換時間をB、その通信手段で送信する場合の送信系ジョブの頁数をCとする。
【0134】
そうすると、その通信手段で必要な転送時間は、「(A+B)×C」となる。
【0135】
このようにして各々の通信手段での転送時間が計算されて、最も転送時間の短い通信手段が選択される(ステップ504)。 そして、複合機100は、選択した通信手段に対応する通信相手のIPアドレスを図示しないDNSサーバ(domain name server)より取得する(ステップ505)。
【0136】
複合機100は、ステップ404で中止または一時停止させた送信系ジョブに対して、最も転送時間が短いとして選択した通信手段で送信するために必要とあらば画像変換処理を行い、ステップ505で取得したIPアドレス宛にその通信手段で送信する(ステップ506)。
【0137】
尚、ステップ504で選択される通信手段がファクシミリ通信の場合には、IPアドレスを取得するステップ505の処理は行われない。
【0138】
このように、ステップ501からステップ506までの処理が行われて、送信系のひとつのジョブの送信が行われると、送信系の他のジョブについても同様にステップ501からステップ506までの処理が再度行われて送信処理が行われる(ステップ507でYES)。
【0139】
このようにして、一時停止或いは中止した全ての送信系ジョブが送信されるまで、複合機100は動作を続ける。
【0140】
複合機100は、事務所5の火災拡大により炎状して機能停止となる可能性があるが、機能停止となる直前まで図4、図5を参照して説明した処理を行い、送信系のジョブを送信し続ける。
【0141】
このように複合機100は、送信系のジョブを、通信時間の最も短くなる通信手段によって送信するように処理するので、火災によって複合機100が機能停止となるまでの間に少しでも多くの送信系ジョブを送信することができる。
【0142】
尚、複合機100は、送信系のジョブを全て送信し終わると、自らシャットダウンするように構成されてもよい。
【0143】
尚、「ステップ405で説明した着信・ポーリングの禁止」、「ステップ406で説明した各種データのサーバ6への転送」、「ステップ407で説明したプレゼンス文書の作成と送信」、「ステップ408で説明した送信系ジョブの再開処理」の処理は、図4で説明した順序ではなく、それぞれの処理の有無も含めて処理の順序、仔細がシステムデータで規定され、複合機100を設置する顧客の要望通りにカスタマイズ可能としてもよい。
【0144】
このように、画像形成システム1は、火災報知器11による通知を受けてから実際に火災により動作停止となるまでの間に、種々の処理を行う。
【0145】
それで、画像形成システム1は、建物の火災のように、複合機100のへの被害予測開始から実際に複合機100に被害があって動作停止となるまでの間にある程度の時間(数秒以上)がある災害に適用可能である。
【0146】
画像形成システム1は、天災、人災の区別に限らず、複合機100が被害に合って動作停止となるまでの数秒後を予測可能な、津波、洪水、台風、ハリケーンやある種の破壊行為に適用可能である。
【0147】
画像形成システム1において、火災報知器11の代わりに、気象庁からの緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信端末や、自らが内蔵する地震計によりP波を検知して地震発生を予測する地震発生予測装置などを使用してもよい。
【0148】
更に、火災報知器11に代わる適用例として、ガス漏れ検知器を使用してもよい。 飲食店が入居しているビルなどでは、ガス漏れによる爆発、火災発生の可能性もあるので、例えば階下の飲食店でガス漏れが発生した場合、上階にある事務所の人々に早期に避難の必要性を知らせるとともに、上階にある複合機100で、画像形成システム1で説明した複合機100の処理を行わせることができる。
【0149】
尚、ステップ406で説明した、各種データをデータセンタのサーバ6に転送する場合には、転送後には、転送済みのデータを複合機100より削除するようにして、データの保護を徹底してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0150】
この発明は、画像形成装置および画像形成システムにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 画像形成システム
2 インターネット
3 PSTN
4 イントラネット
5 事業所
6 サーバ
7 ENUMサーバ
8 ファクシミリ通信機
11 火災報知器
12 ICカードリーダ
13 プレゼンスサーバ
100 複合機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生を検知する災害発生検出装置から災害発生の通知を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記災害発生の通知を受信すると、災害発生用の画像形成処理の制御を開始し前記災害によって自装置が動作停止となるまで該画像形成処理の制御を継続する画像形成処理制御継続手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成処理制御継続手段は、
前記受信手段で前記通知を受信した際に実行中であった画像形成処理を停止する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成処理制御継続手段は、
実行中であったため停止された、画像を送信しようとする画像形成処理の宛先情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した宛先情報に基づき、自装置に接続されるENUMサーバより該宛先が通信可能な通信手段を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した通信手段の中から、当該画像を送信しようとする画像形成処理が送信に費やす転送時間の最も短くなる通信手段を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された通信手段によって、当該画像を送信しようとする画像形成処理を再開する送信再開手段と
を具備する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、
前記画像を送信しようとする画像形成処理に際して画像変換処理が必要な場合には該画像変換処理に必要な時間を含めて、当該画像形成処理により画像が送信先に送信される転送時間を算出する
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成処理制御継続手段は、
自装置に送られる画像形成処理を受信しないように制御する
請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成処理制御継続手段は、
ポーリングによる画像形成処理を禁止するように制御する
請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成処理制御継続手段は、
自装置に接続される情報記憶サーバに、自装置内に記憶する情報を転送する
請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
転送する前記データは、
通信相手の宛先データ、または、自装置のシステムデータ、または、通信ログ、または、画像形成処理履歴、または、未印刷の印刷データのいずれかである
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
災害発生を検知する災害発生検出装置と、前記災害発生装置が接続される画像形成装置とを備え、
前記災害発生検出装置は、
前記画像形成装置に被害が及ぼすと予想される災害の発生を前記画像形成装置に通知する災害発生通知手段
を具備し、
前記画像形成装置は、
前記災害発生通知手段による前記災害発生の通知を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記災害発生の通知を受信すると、災害発生用の画像形成処理の制御を開始し前記災害によって自装置が動作停止となるまで該画像形成処理の制御を継続する画像形成処理制御継続手段と
を具備する画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−10067(P2011−10067A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151913(P2009−151913)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】