説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】 画像形成装置において、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用することに起因するプロセッサーの負荷を軽減する。
【解決手段】 画像形成装置において、拡張I/O処理部34は、RAM内の非OS管理領域における、ユーザープロセス12からの指令により物理アドレスで指定された領域を使用して、ファイルシステム31上のファイルへのファイルアクセスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、画像データ用のパーティションと画像属性データ用のパーティションとを別々に設け、それらのパーティションにおけるそれぞれ異なるファイルシステムで画像データと画像属性データとを別々のファイルとして管理し、画像データのファイルアクセスには、主記憶装置における非OS(オペレーティングシステム)管理領域を使用し、画像属性データのファイルアクセスには、主記憶装置におけるOS管理領域を使用している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
通常、OS管理領域を使用したファイルアクセスとしては、バッファーI/O方式およびダイレクトI/O方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−20540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1の技術では、非OS管理領域にも仮想アドレスをマッピングしている。このため、OSがユーザープロセスごとに仮想アドレスを再マッピングすることになり、OSが稼働するプロセッサーの負荷が大きい。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用することに起因するプロセッサーの負荷を軽減する画像形成装置および画像形成プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、主記憶装置と、補助記憶装置と、補助記憶装置に保存されるファイルを管理するファイルシステムと、主記憶装置内の、オペレーティングシステムにより管理されていない記憶領域における、ユーザープロセスの指令により物理アドレスで指定された領域を使用してファイルシステム上のファイルへのファイルアクセスを行うI/O処理部とを備える。
【0009】
これにより、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用する場合、物理アドレスでデータ領域が指定されるため、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用することに起因するプロセッサーの負荷が軽減される。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、ファイルのファイルオープン指令においてI/O処理部によるファイルアクセスが指定された場合、I/O処理部が、ファイルのファイルクローズまで、ファイルに対するリードライトを担当する。
【0011】
これにより、ファイルごとに、非OS管理領域を使用したファイルアクセス方式と、通常の、OS管理領域を使用したファイルアクセス方式を任意に選択できる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、ファイルに対するリード指令またはライト指令においてI/O処理部によるファイルアクセスが指定された場合、I/O処理部が、リード指令に対応するリードまたはライト指令に対応するライトを担当する。
【0013】
これにより、リード指令およびライト指令ごとに、非OS管理領域を使用したファイルアクセス方式と、通常の、OS管理領域を使用したファイルアクセス方式を任意に選択できる。したがって、1つのファイルに対するリード指令とライト指令で異なるファイルアクセス方式を使用することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、I/O処理部は、バッファードI/Oモードのバッファーに残存しているデータがなくなった後に、リード指令に対応するリードまたはライト指令に対応するライトを実行する。
【0015】
これにより、1つのファイルにおいて、非OS管理領域を使用したファイルアクセス方式のリード指令および/またはライト指令と、通常の、OS管理領域を使用したファイルアクセス方式のリード指令および/またはライト指令とが混在しても、データの整合性が確保される。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述のファイルには画像データが保存される。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、主記憶装置に接続された画像処理回路をさらに備える。そして、画像データは、画像処理回路による画像処理に使用されるデータまたは画像処理回路による画像処理により得られたデータであって、I/O処理部は、リードおよびライトを画像処理回路に実行させる。
【0018】
本発明に係る画像形成プログラムは、画像形成装置のコンピューターを、主記憶装置、補助記憶装置、補助記憶装置に保存されるファイルを管理するファイルシステム、および主記憶装置内の、オペレーティングシステムにより管理されていない記憶領域における、ユーザープロセスの指令により物理アドレスで指定された領域を使用してファイルシステム上のファイルへのファイルアクセスを行うI/O処理部として機能させる。
【0019】
これにより、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用する場合、物理アドレスでデータ領域が指定されるため、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用することに起因するプロセッサーの負荷が軽減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置において、ファイルアクセスに非OS管理領域を使用することに起因するプロセッサーの負荷を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1におけるOSの、ファイルアクセスに関する部分の構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2におけるバッファードI/O処理部、ダイレクトI/O処理部、および拡張I/O処理部によるファイルアクセスを説明する図である。
【図4】図4は、図2におけるユーザープロセスの仮想アドレス空間とRAMの物理アドレス空間との対応関係を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
実施の形態1.
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置は、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、ハードディスクドライブ3、画像処理回路4、印刷装置5、および画像読取装置6を有する。
【0025】
CPU1は、各種プログラムを実行するプロセッサーである。CPU1は、オペレーティングシステム(OS)のプログラムを実行して、OS11を実現するとともに、アプリケーションプログラムをユーザープロセスとして実行する
【0026】
RAM2は、例えばDDR−SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などのDRAMであって、CPU1の主記憶装置である。
【0027】
RAM2の記憶領域の一部がOS管理領域21とされる。OS管理領域21は、OS11により管理される(つまり、OS11により使用可能な)領域である。RAM2の記憶領域のうち、OS管理領域21以外の領域は、非OS管理領域22となる。
【0028】
OS管理領域21には仮想アドレスが割り当てられ、ユーザープロセスは、仮想アドレスを指定して、OS11を介してOS管理領域21にアクセスする。
【0029】
ハードディスクドライブ3は、補助記憶装置である。ハードディスクドライブ3には、OS11のファイルシステムで管理されるファイルが保存される。そのファイルには、画像データまたは画像属性データが保存される。
【0030】
画像処理回路4は、CPU1に接続されており、画像処理を行う画像処理部と、RAM2に接続されたメモリーコントローラーと、ハードディスクドライブ3に対するアクセスを行うインターフェイスとを有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0031】
例えば、画像処理回路4の画像処理部は、ユーザープロセス12により指定された画像データ(または、画像データおよび画像属性データ)をRAM2から読み出して、ユーザープロセス12により指定された画像処理を実行し、画像処理後の画像データ(または、画像データおよび画像属性データ)をRAM2に書き込む。
【0032】
また、印刷装置5は、画像処理回路4から画像処理後の画像データを供給され、その画像データに基づく画像を印刷する。また、画像読取装置6は、原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データおよび画像属性データを生成して画像処理回路4へ出力する。
【0033】
図2は、図1におけるOS11の、ファイルアクセスに関する部分の構成例を示す図である。図2に示すように、OS11では、ユーザープロセス12からの、単一のファイルシステム31内のファイルに対するファイルアクセス(ファイルオープン、ファイルクローズ、リード、およびライト)が、ファイルシステム31により受け付けられ、バッファードI/O処理部32、ダイレクトI/O処理部33、および拡張I/O処理部34のいずれかにより処理される。
【0034】
ファイルシステム31は、ハードディスクドライブ3に保存されるファイルを管理する。また、バッファードI/O処理部32、ダイレクトI/O処理部33、および拡張I/O処理部34は、それぞれ、ブロックデバイスドライバー35、およびDMA(Direct Memory Access)ドライバー36を使用して、RAM2の記憶領域を使用してハードディスクドライブ3に対するリードおよびライトを画像処理回路4のメモリーコントローラーに実行させる。
【0035】
図3は、図2におけるバッファードI/O処理部32、ダイレクトI/O処理部33、および拡張I/O処理部34によるファイルアクセスを説明する図である。
【0036】
バッファードI/O処理部32は、ユーザープロセスからの指令によりバッファードI/Oモードが指定された場合、OS管理領域21を使用して、ファイルシステム31上のファイルへの、バッファードI/Oモードでのファイルアクセスを行う。具体的には、図3(A)に示すように、バッファードI/O処理部32は、OS管理領域21に保持されるリードまたはライト対象のデータを、OS管理領域21に設けられるバッファー21aに一時的に記憶させつつ、所定条件でハードディスクドライブ3へのアクセスを実行させる。これにより、リードまたはライト対象のデータがバッファー21a内に存在すれば、高速にデータへのアクセスが可能になる。ただし、画像データのようにサイズの大きいデータを連続して入出力する場合、データがバッファー21aから溢れ、ハードディスクドライブ3へのアクセスが頻繁に発生するため、データアクセスの高速化は望めない。
【0037】
ダイレクトI/O処理部33は、ユーザープロセス12からの指令によりダイレクトI/Oモードが指定された場合、OS管理領域21を使用して、ファイルシステム31上のファイルへの、ダイレクトI/Oモードでのファイルアクセスを行う。具体的には、図3(B)に示すように、ダイレクトI/O処理部32は、OS管理領域21に保持されるデータについての、ハードディスクドライブ3に対するリードまたはライトを、バッファー21aを介さずに実行させる。
【0038】
バッファードI/O処理部32およびダイレクトI/O処理部33は、リードまたはライトの対象となるデータの記憶領域(OS管理領域21内)を仮想アドレスで指定される。この仮想アドレスは、OS11により、ページテーブルなどに基づいて、物理アドレスに変換される。DMAドライバー36は、その物理アドレスで、RAM2上の記憶領域を指定する。
【0039】
拡張I/O処理部34は、ユーザープロセス12からの指令により拡張I/Oモードが指定された場合、非OS管理領域22を使用して、ファイルシステム31上のファイルへの、拡張I/Oモードでのファイルアクセスを行う。具体的には、図3(C)に示すように、拡張I/O処理部34は、非OS管理領域22に保持されるデータについての、ハードディスクドライブ3に対するリードまたはライトを、バッファー21aを介さずに実行させる。
【0040】
非OS管理領域22について仮想アドレスが割り当てられないため、拡張I/O処理部34は、リードまたはライトの対象となるデータの記憶領域(非OS管理領域22内)をユーザープロセス12により物理アドレスで指定される。拡張I/O処理部34は、その物理アドレスをDMAドライバー36に通知し、DMAドライバー36は、その物理アドレスで、RAM2上の記憶領域を指定する。
【0041】
図4は、図2におけるユーザープロセス12の仮想アドレス空間とRAM2の物理アドレス空間との対応関係を説明する図である。図4に示すように、RAM2におけるOS管理領域21は、OS11のカーネル領域と、汎用領域を有し、ユーザープロセス12の仮想アドレス空間は汎用領域にマッピングされる。OS管理領域21以外の領域である非OS管理領域22における物理アクセス領域が、拡張I/O処理部34により取り扱われるデータの領域として使用される。
【0042】
なお、実施の形態1において、拡張I/O処理部34によるファイルアクセスが、バッファードI/O処理部32またはダイレクトI/O処理部33によるファイルアクセスと競合した場合、拡張I/O処理部34によるファイルアクセスが、バッファードI/O処理部32またはダイレクトI/O処理部33によるファイルアクセスより優先的に処理される。
【0043】
例えば、画像データおよび画像属性データのうち、画像データは、拡張I/O処理部34により、ファイルシステム31上の1つのファイルに対してリードライトされ、画像属性データは、バッファードI/O処理部32またはダイレクトI/O処理部33により、ファイルシステム31上の別の1つのファイルに対してリードライトされる。これにより、同一のファイルシステム31上で画像データおよび画像属性データを管理することができる。
【0044】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0045】
この画像形成装置が起動すると、OS11が起動する。その後、アプリケーションプログラムがユーザープロセス12で実行される。ユーザープロセス12では、CPU1および画像処理回路4により、OS管理領域21または非OS管理領域22内のデータに対して各種処理が実行される。
【0046】
そして、ユーザープロセス12においてファイルアクセスの指令が発生すると、OS11では、ファイルアクセスの指令で指定されたモードに対応するI/O処理部(バッファードI/O処理部32、ダイレクトI/O処理部33、および拡張I/O処理部34のいずれか)が、その指令に対応するファイルアクセスを、ブロックデバイスドライバー35およびDMAドライバー36に実行させる。このとき、各I/O処理部は、DMAドライバー36に対して、RAM2における物理アドレスおよびデータ長、およびファイルシステム31により特定されるハードディスクドライブ3のアドレス(ファイルシステム31から得られるファイル格納場所のアドレス)を指定する。このとき、拡張I/O処理部34は、ユーザープロセス22により指定された非OS管理領域22内の物理アドレスを指定し、バッファードI/O処理部32およびダイレクトI/O処理部33は、ユーザープロセス22により指定された仮想アドレスから変換されたOS管理領域21内の物理アドレスを指定する。
【0047】
DMAドライバー36は、そのI/O処理部からの要求に応じて、RAM2とハードディスクドライブ3との間でのファイルアクセスを画像処理回路4に実行させる。
【0048】
以上のように、上記実施の形態1によれば、拡張I/O処理部34は、RAM2内の非OS管理領域22における、ユーザープロセスからの指令により物理アドレスで指定された領域を使用して、ファイルシステム31上のファイルへのファイルアクセスを行う。
【0049】
これにより、ファイルアクセスに非OS管理領域22を使用する場合、物理アドレスでデータ領域が指定されるため、ユーザープロセス12ごとの、非OS管理領域22についての仮想アドレスのマッピングが不要となる。したがって、ファイルアクセスに非OS管理領域22を使用することに起因するCPU1の負荷が軽減される。
【0050】
実施の形態2.
【0051】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置において、あるファイルのファイルオープン時に、そのファイルに対するファイルアクセスを担当するI/O処理部を指定する。
【0052】
つまり、ユーザープロセス12からのファイルのファイルオープン指令においてバッファードI/Oモードが指定された場合、バッファードI/O処理部32が、そのファイルがファイルクローズされるまで、そのファイルに対するリードおよびライトを担当する。ユーザープロセス12からのファイルのファイルオープン指令においてダイレクトI/Oモードが指定された場合、ダイレクトI/O処理部33が、そのファイルがファイルクローズされるまで、そのファイルに対するリードおよびライトを担当する。
【0053】
また、ユーザープロセス12からのファイルのファイルオープン指令において拡張I/Oモードが指定された場合、拡張I/O処理部34が、そのファイルがファイルクローズされるまで、そのファイルに対するリードおよびライトを担当する。
【0054】
例えば、ユーザープロセス12は、共通のファイルオープン指令において、引数、パラメーターなどの値で、I/O処理部を指定する。
【0055】
ユーザープロセス12は、バッファードI/O、ダイレクトI/O、および拡張I/Oについて共通のリード指令およびライト指令を使用し、ファイルオープン時に指定されたI/O処理部が、そのリード指令およびライト指令を処理する。
【0056】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置におけるその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
以上のように、上記実施の形態2によれば、あるファイルのファイルオープン指令において第1モード(バッファードI/OモードまたはダイレクトI/Oモード)が指定された場合、バッファードI/O処理部32またはダイレクトI/O処理部33がそのファイルのファイルクローズまで、そのファイルに対するリードライトを担当し、あるファイルのファイルオープン指令において第2モード(拡張I/Oモード)が指定された場合、拡張I/O処理部34が、そのファイルのファイルクローズまで、そのファイルに対するリードライトを担当する。
【0058】
これにより、単一のファイルシステム内で、ファイルごとに、非OS管理領域22を使用したファイルアクセス方式(第2モード)とOS管理領域21を使用したファイルアクセス方式(第1モード)を任意に選択できる。
【0059】
実施の形態3.
【0060】
本発明の実施の形態3に係る画像形成装置は、実施の形態1に係る画像形成装置において、あるファイルのファイルオープン時にはI/O処理部を指定せずに、そのファイルに対するリード時またはライト時に、ファイルアクセスを担当するI/O処理部を指定する。
【0061】
実施の形態3では、ユーザープロセス12は、バッファードI/O、ダイレクトI/O、および拡張I/Oについて共通のファイルオープン指令およびファイルクローズ指令を使用し、リード指令またはライト指令で、I/O処理部を指定する。例えば、ユーザープロセス12は、共通のリード指令において引数、パラメーターなどの値でI/O処理部を指定したり、異なるリード指令(つまり、異なる関数名の関数)でI/O処理部を指定する。同様に、例えば、ユーザープロセス12は、共通のライト指令において引数、パラメーターなどの値でI/O処理部を指定したり、異なるライト指令(つまり、異なる関数名の関数)でI/O処理部を指定する。
【0062】
あるファイルのファイルオープン後、そのファイルに対するリード指令またはライト指令においてバッファードI/Oモードが指定された場合、バッファードI/O処理部32が、そのリード指令に対応するリード、またはそのライト指令に対応するライトを担当する。あるファイルのファイルオープン後、そのファイルに対するリード指令またはライト指令においてダイレクトI/Oモードが指定された場合、ダイレクトI/O処理部33が、そのリード指令に対応するリード、またはそのライト指令に対応するライトを担当する。
【0063】
また、あるファイルのファイルオープン後、そのファイルに対するリード指令またはライト指令において拡張I/Oモードが指定された場合、拡張I/O処理部34が、そのリード指令に対応するリード、またはそのライト指令に対応するライトを担当する。
【0064】
さらに、実施の形態3では、同一のファイルに対して、ファイルオープンからファイルクローズまでの間に、バッファードI/Oモードによるファイルアクセスと、拡張I/Oモードによるファイルアクセスとが混在可能である。このため、データの整合性を保証するために、拡張I/O処理部34は、あるファイルについてバッファー21aに残存しているデータをバッファードI/O処理部32に解消させ、バッファー21aに残存しているデータがなくなってから、そのファイルについてのリード指令に対応するリードまたはライト指令に対応するライトを実行する。
【0065】
なお、実施の形態3に係る画像形成装置におけるその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
以上のように、上記実施の形態3によれば、あるファイルに対するリード指令またはライト指令において第1モード(バッファードI/OモードまたはダイレクトI/Oモード)が指定された場合、バッファードI/O処理部32またはダイレクトI/O処理部33が、そのリード指令に対応するリードまたはそのライト指令に対応するライトを担当する。また、あるファイルに対するリード指令またはライト指令において第2モード(拡張I/Oモード)が指定された場合、拡張I/O処理部34が、そのリード指令に対応するリードまたはそのライト指令に対応するライトを担当する。
【0067】
これにより、リード指令およびライト指令ごとに、非OS管理領域22を使用したファイルアクセス方式(第2モード)とOS管理領域21を使用したファイルアクセス方式(第1モード)を任意に選択できる。したがって、1つのファイルに対するリード指令とライト指令で異なるファイルアクセス方式を使用することができる。
【0068】
実施の形態4.
【0069】
図5は、本発明の実施の形態4に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0070】
実施の形態4では、CPU1aがメモリーコントローラーを内蔵しており、CPU1aに直接接続されるRAM7を有する。RAM7は、RAM2と同様の主記憶装置である。RAM7には、OS管理領域71が確保され、OS11のカーネル処理に関連するデータは、OS管理領域71に記憶される。このため、実施の形態4では、バッファードI/Oモードでのバッファー21aは、OS管理領域71に設けられる。また、実施の形態4では、画像処理回路4に接続されたRAM2のOS管理領域21および非管理領域22には、画像処理回路4が取り扱う画像データなどのデータが記憶される。
【0071】
なお、実施の形態4に係る画像形成装置におけるその他の構成および動作については実施の形態1〜3のいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0073】
例えば、上述の各実施の形態において、補助記憶装置としてハードディスクドライブ3が使用されているが、その代わりに、SSD(Solid State Drive)などの他のブロックデバイスを使用するようにしてもよい。
【0074】
また、上述の各実施の形態において、ダイレクトI/O処理部33を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、プリンター、スキャナー、複写機、ファクシミリ機、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1a CPU(プロセッサーの一例)
2 RAM(主記憶装置の一例)
3 ハードディスクドライブ(補助記憶装置の一例)
4 画像処理回路
11 オペレーティングシステム
21,71 OS管理領域
22 非OS管理領域
31 ファイルシステム
34 拡張I/O処理部(I/O処理部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主記憶装置と、
補助記憶装置と、
前記補助記憶装置に保存されるファイルを管理するファイルシステムと、
前記主記憶装置内の、オペレーティングシステムにより管理されていない記憶領域における、ユーザープロセスの指令により物理アドレスで指定された領域を使用して前記ファイルシステム上のファイルへのファイルアクセスを行うI/O処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ファイルのファイルオープン指令において前記I/O処理部によるファイルアクセスが指定された場合、前記I/O処理部が、前記ファイルのファイルクローズまで、前記ファイルに対するリードライトを担当することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ファイルに対するリード指令またはライト指令において前記I/O処理部によるファイルアクセスが指定された場合、前記I/O処理部が、前記リード指令に対応するリードまたは前記ライト指令に対応するライトを担当することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記I/O処理部は、バッファードI/Oモードのバッファーに残存しているデータがなくなった後に、前記リード指令に対応するリードまたは前記ライト指令に対応するライトを実行することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ファイルには画像データが保存されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記主記憶装置に接続された画像処理回路をさらに備え、
前記画像データは、前記画像処理回路による画像処理に使用されるデータまたは前記画像処理回路による画像処理により得られたデータであって、
前記I/O処理部は、前記リードおよび前記ライトを前記画像処理回路に実行させること、
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置のコンピューターを、
主記憶装置、
補助記憶装置、
前記補助記憶装置に保存されるファイルを管理するファイルシステム、および
前記主記憶装置内の、オペレーティングシステムにより管理されていない記憶領域における、ユーザープロセスの指令により物理アドレスで指定された領域を使用して前記ファイルシステム上のファイルへのファイルアクセスを行うI/O処理部、
として機能させることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37589(P2013−37589A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174392(P2011−174392)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】