説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】潜像担持体表面の帯電処理およびクリーニング処理を少ない部品数で、しかも良好に行うことができる画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】導電性ブレード4により感光体2表面からトナーをクリーニング除去しているが、このとき潤滑剤層の表層部の一部も掻き取るため、導電性ブレード4の先端部のうち感光体2表面と当接している稜線部分4aにトナーがステアリン酸亜鉛(潤滑剤)とともに堆積し、しかもステアリン酸亜鉛の影響によりトナーが固着される。しかしながら、トナーには研磨効果を有する外添剤が含まれているため、導電性ブレード4の稜線部分4aに固着したトナーや潤滑剤は上記外添剤により研磨されるため、固着部分ARが成長するのを確実に抑制することができ、画像形成を長期間継続してしたとしても、導電性ブレード4による感光体2の一次帯電処理およびクリーニング処理を良好に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜像担持体の表面に形成される静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する画像形成装置および画像形成方法、特に潜像担持体表面のクリーニングおよび帯電に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像することでトナー像を形成し、該トナー像を転写媒体に転写する画像形成装置および方法が知られている。この画像形成装置および方法においては、潜像担持体から転写媒体への転写効率が100%以下であるため、転写後の潜像担持体表面に少量ながらトナーが残留している場合がある。そこで、この種の画像形成装置では、潜像担持体の回転方向において転写位置よりも下流のクリーニング位置にクリーニングブレードを潜像担持体の表面に当接させて残留トナーを除去する、いわゆるブレード方式のクリーニング手段が多用されていた。
【0003】
しかしながら、近年では、画像の高精細化、プロセスの高速化および定着温度の低温化などの目的のために、これまでより粒径の小さなトナー(例えば体積平均粒径が5μm以下であり、トナーの円形度は0.95以上であるトナー)の採用が検討されつつある。このような小粒径トナーでは、クリーニングブレードをすり抜けて潜像担持体からの残存トナーの除去が難しいという問題がある。また、このような残存トナーにより徐々にフィルミング層が潜像担持体表面に形成されて転写性能が低下したり、クリーニングブレードと潜像担持体の摩擦係数が増大し、潜像担持体にダメージを与えてしまう等の問題が発生することがあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、感光体表面に潤滑剤を塗布して上記問題の解消を図っている。すなわち、固形化したステアリン酸亜鉛(潤滑剤)に塗布ブラシを接触させてステアリン酸亜鉛を削りとり、塗布ブラシにより感光体表面上に塗布している。これにより感光体表面に潤滑剤層が感光体の保護膜として形成され、小粒径トナーを用いて画像形成を行う場合であっても、クリーニングブレードにより小粒径トナーを感光体表面から確実にクリーニング除去することが可能となっている。そして、こうしてクリーニングブレードによりクリーニング除去された感光体表面をクリーニング位置の下流に配置された帯電部材により所定の表面電位に帯電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−86262号公報(図1)
【特許文献2】特開平4−304476号公報(図2、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、装置の小型化や部品数の低減などの観点から、例えば特許文献2に記載の技術、つまりクリーニングブレードに帯電機能とクリーニング機能を付加する技術を特許文献1に記載の装置に適用することが考えられる。しかしながら、このような組み合わせを有する画像形成装置では、感光体ドラムや感光体ベルトなどの潜像担持体の表面を帯電させるためにクリーニングブレードに対して帯電バイアスが印加されている。また、潜像担持体表面に対してクリーニングブレードを押し付けるために荷重が与えられている。このような帯電バイアスや荷重の影響により、クリーニングブレードの先端部のうち潜像担持体表面と当接している稜線部分(後で説明する図1の符号4a)にトナーが固着し、さらにステアリン酸亜鉛(潤滑剤)の影響によりトナー固着が促進される。このように潤滑剤を用いたことにより潜像担持体表面でのフィルミング層の形成は抑制されるが、その一方でクリーニングブレードの先端部にトナーが固着し、帯電が不安定となったり、クリーニング不良により画像不良が発生するという別の問題が発生する。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、潜像担持体表面の帯電処理およびクリーニング処理を少ない部品数で、しかも良好に行うことができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に周回移動する潜像担持体と、所定の塗布位置で、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、回転方向において塗布位置より下流の現像位置で、潤滑剤が塗布された潜像担持体表面に、研磨効果を有する外添剤を含むトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、回転方向において現像位置より上流のクリーニング帯電位置で、潜像担持体の表面に当接して潜像担持体表面上のトナーをクリーニング除去するとともに潜像担持体表面を帯電させる導電性ブレードとを備えたことを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するため、所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程と、潤滑剤が塗布された潜像担持体表面にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程と、トナー像を転写媒体に転写する転写工程と、潜像担持体の表面に導電性ブレードを当接して潜像担持体表面に残存する転写残りトナーをクリーニング除去するとともに潜像担持体表面を帯電させるクリーニング帯電工程とを備え、トナーとして、研磨効果を有する外添剤を含むトナーを用いることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(画像形成装置および画像形成方法)では、クリーニング帯電位置で潜像担持体表面と当接する導電性ブレードにより潜像担持体表面のクリーニングが実行される。また、このクリーニングと同時に導電性ブレードにより潜像担持体表面が帯電される。このように導電性ブレードが帯電機能とクリーニング機能を兼ね備えており、これにより少ない部品点数で帯電処理とクリーニング処理を行うことができる。
【0011】
また、導電性ブレードが潜像担持体と当接している稜線部分にトナーが固着すると、これが帯電性やクリーニング性の低下要因となる。しかも、この発明では潤滑剤を潜像担持体表面に塗布しているため、稜線部分へのトナーの固着が潤滑剤により促進される傾向にある。しかしながら、当該トナーには研磨効果を有する外添剤が含まれているため、導電性ブレードの稜線部分に固着したトナーや潤滑剤は上記外添剤により研磨され、固着トナーの成長が抑制される。このため、長期間にわたって潜像担持体表面の帯電処理およびクリーニング処理を良好に行うことができる。なお、このような研磨効果を有する外添剤としては例えばチタン酸ストロンチウムを用いることができる。
【0012】
ここで、クリーニング帯電位置と塗布位置の位置関係は任意であるが、回転方向においてクリーニング帯電位置が塗布位置より下流に位置するように構成するのが望ましい。このような配置関係を採用することで潤滑剤塗布手段により潜像担持体表面に塗布された潤滑剤が導電性ブレードにより均されて潜像担持体表面上に均一な潤滑剤膜を形成することができる。
【0013】
また、潜像担持体表面に対する帯電処理については、導電性ブレードのみによる1段階帯電であってもよいし、導電性ブレードと帯電器による2段階帯電であってもよい。後者の場合、帯電器は回転方向において導電性ブレードの下流側に配置される。そして、導電性ブレードによりクリーニング帯電位置で潜像担持体表面は第1電位に帯電され、さらに第1電位に帯電された潜像担持体表面は帯電器により二次帯電位置で第2電位に帯電される。このように2段階帯電を用いることで潜像担持体表面をより均一に帯電することができる。
【0014】
また、2段階帯電の一例として、導電性ブレードによりトナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧が印加されて潜像担持体表面を正規帯電極性と同極性の第1電位に帯電させ、帯電器により正規帯電極性と逆極性の電荷を付与して潜像担持体表面の電位を第2電位に調整するように構成してもよい。これにより潜像担持体表面をより均一に帯電させることができる。
【0015】
また、1段階帯電では、導電性ブレードによりトナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧に対して交流電圧を重畳させたバイアスが印加されて潜像担持体表面を帯電させるように構成してもよい。このように直流電圧のみならず交流電圧を重畳させることで直流電圧のみをバイアスとして導電性ブレードに印加する1段階帯電に比べて潜像担持体表面をより均一に帯電させることができる。
【0016】
また、リーク機能を有する外添剤がトナーに含まれるように構成してもよい。これにより帯電電位の低下を防止することができる。すなわち、導電性ブレードによりクリーニング帯電を繰り返していく間にクリーニング帯電位置での帯電が不安定となり、帯電電位の低下などが発生することがある。しかしながら、トナーにリーク機能を有する外添剤が含まれていると、長期間使用により導電性ブレードにトナーが付着したとしてもリーク外添剤を介して電荷を潜像担持体表面に付与して潜像担持体表面を良好に帯電させることができる。その結果、長期間にわたって帯電不良を発生させることなく、良好な画像形成を行うことができる。このようなリーク機能を有する外添剤としては、例えばチタニア、酸化物半導体、または表面の少なくとも一部に半導電性被膜を被覆した無機微粒子を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一実施形態の主要構成を模式的に示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】図1の装置におけるブレード印加電圧とブレード電流の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の一実施形態の主要構成を模式的に示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1においては、非磁性一成分系負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。すなわち、この実施形態では、負極性が「正規帯電極性」である。もちろん、正極性を正規帯電極性とする正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、単に「トナー」という場合には、トナー母粒子に外添剤が外添されてなる粒子全体を指すものとする。
【0019】
図1に示すように、この画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。このように本実施形態では、感光体2が本発明の「潜像担持体」に相当している。
【0020】
感光体2の周囲には、潤滑剤を感光体2の表面に塗布する潤滑剤塗布ユニット3と、クリーニング機能と一次帯電機能を兼ね備えた導電性ブレード4と、上記導電性ブレード4により一次帯電された感光体2の表面に対して二次帯電処理を施して感光体2の表面電位を所定電位に調整する帯電器5と、感光体2表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット6と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット7と、該トナー像を転写される転写ユニット8とが、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向D2(図1では、時計回り)に沿って配設されている。なお、以下の説明においては、潤滑剤塗布ユニット3により潤滑剤を塗布する位置を塗布位置P0、導電性ブレード4が感光体2表面と当接してクリーニングおよび一次帯電を行う位置をクリーニング帯電位置P1、帯電器5により二次帯電する位置を二次帯電位置P2、感光体2表面に露光ユニット6からの光ビームLが照射される位置を露光位置P3、現像ユニット7の現像ローラー7aと感光体2との対向位置を現像位置P4、感光体2と中間転写ベルト8aとの当接位置を転写位置P5と称する。この実施形態では、これらの各位置が感光体2の回転方向D2の上流側から下流側に向けて上記順序で設けられている。
【0021】
この実施形態では、本発明の「潤滑剤塗布手段」に相当する潤滑剤塗布ユニット3により感光体2表面に潤滑剤が塗布されるのに続いて、感光体2に対して2段階帯電が行われる。すなわち、導電性ブレード4により感光体2の表面が一次帯電された後、さらに帯電器5により二次帯電されて感光体2表面が所望の電位で一様に帯電される。なお、潤滑剤塗布ユニット3、導電性ブレード4および帯電器5の構成および動作については、転写残りトナーのクリーニング動作を含めて後で詳述する。
【0022】
このように帯電された感光体2の表面に対し、露光ユニット6により静電潜像が形成される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLにより感光体2表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。より具体的には、図2に示すように、画像信号を生成するホストコンピュータなどの外部装置からインターフェース112を介して画像信号が与えられると、この画像信号が画像処理ユニット111によって所定の処理を施される。この画像信号は、装置全体の動作を制御するCPU101を介して露光ユニット6に受け渡される。露光ユニット6は画像信号に応じて感光体2表面に光ビームLを照射して露光し、露光された感光体2の表面領域(露光部)では電荷が中和されて、露光されなかった表面領域(非露光部)とは異なる表面電位に変化する。こうして感光体2上に画像信号に対応した静電潜像が形成される。このように本実施形態では、露光ユニット6が本発明の「潜像形成手段」に相当している。
【0023】
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット7からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この例の画像形成装置1の現像ユニット7は、現像ローラー7aが感光体2に接触しない非接触現像方式の現像手段である。現像ローラー7aは感光体2と所定のギャップ、例えば100μm以上を隔てて対向配置されており、図1の矢印方向D7に回転駆動される。現像ローラー7aには現像バイアス電源71から所定の現像バイアスVbが印加される。このように本実施形態では、現像ローラー7aが本発明の「トナー担持体」に相当している。また、本実施形態では、上記導電性ブレード4による帯電処理およびクリーニング処理を良好に行うために、研磨効果を有する外添剤としてチタン酸ストロンチウムを含有するトナーを用いている。なお、トナーに研磨効果を有する外添剤が含有されることによる作用効果については、後で詳述する。
【0024】
転写ユニット8は、表面にトナー像を担持可能な無端状ベルトであり図1の矢印方向D8に周回移動する中間転写ベルト8aを有しており、感光体2に近接配置されたバックアップローラー8bによって、中間転写ベルト8aは感光体2の表面に当接されている。さらに、中間転写ベルト8aには転写バイアス電源81からトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスVt1が印加されており、その作用により感光体2上で現像されたトナー像が中間転写ベルト8aに転写(一次転写)される。中間転写ベルト8aに転写されたトナー像はさらに図示しない記録紙に二次転写され、定着ユニット9によって記録紙上に永久定着されて出力される。
【0025】
感光体2の回転方向D2において転写位置P5より下流の塗布位置P0に潤滑剤塗布ユニット3が配置されている。この潤滑剤塗布ユニット3は、塗布ブラシローラー31と、潤滑剤を固形状に固めた潤滑剤バー32とを有している。塗布ブラシローラー31は、回転可能に設けられたローラー本体31aと、ローラー本体31aの外周面に植毛された複数のブラシ毛31bとを有している。なお、ブラシ毛31bとしては例えば、繊度6D(デニール)のナイロン製で原糸抵抗2.0×10Ωcm(東英産業株式会社製、型番UUN(6ナイロン、カーボンタイプ、均一分散タイプ)に相当する)、ブラシ密度が120KF/inchのものを用いることができる。
【0026】
そして、ブラシ毛31bが感光体2の表面に当接するように塗布ブラシローラー31は感光体2に対して対向配置された状態で、ローラー本体31aが感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛31bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛31bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)、すなわちいわゆるウィズ回転で回転するように構成されている。
【0027】
また、塗布ブラシローラー31を挟んで感光体2の反対側(図1中の右手側)に潤滑剤バー32が配置されており、上記のように回転する塗布ブラシローラー31のブラシ毛31bが潤滑剤バー32に当接して削りとり、感光体2表面に運んで感光体2表面に塗布する。このようにして塗布位置P0で潤滑剤が感光体2の表面に塗布されて潤滑剤層が感光体2表面に形成される。なお、潤滑剤としては、例えば脂肪酸金属塩を使用することができ、上記したように固形状のものを用いる以外に粉状の潤滑剤を用いてもよいが、飛散等の問題をなくすためにも固形状で使用するのが望ましい。また、脂肪酸金属塩を構成する金属塩としては、例えば亜鉛、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉛およびニッケル等を用いることができる。さらに、脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等を用いることができる。中でも、固形状として用いる場合はステアリン酸亜鉛を好適に使用することができる。
【0028】
また、回転方向D2において塗布位置P0より下流のクリーニング帯電位置P1に導電性ブレード4が配置されている。この導電性ブレード4は、ゴムや樹脂などに導電性を付与したもの等、従来より感光体2に対してクリーニング処理を施すものを用いることができる。また、この実施形態では、導電性ブレード4は幅方向(図1紙面の垂直方向)に延びたプレート形状を有しており、その幅方向サイズは感光体2の画像形成領域の幅よりも若干長くなっている。例えば、画像形成領域の幅方向サイズが291mmであるとき、導電性ブレード4の幅方向サイズは310mmに設定することができる。
【0029】
この導電性ブレード4の後端部は、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、リン青銅などの金属(合金を含む)材料、あるいは、導電性樹脂、もしくは樹脂等にアルミニウムなど導電性を持つ金属等を蒸着し導電性を持たせた材料により形成された支持部材41により支持される。一方、導電性ブレード4の先端部は支持部材41の先端から突き出されてクリーニング帯電位置P1で感光体2表面に当接されている。この実施形態では感光体2の回転方向D2に対して導電性ブレード4の先端部はカウンター方向で当接されており、導電性ブレード4の当接角(クリーニング帯電位置P1での感光体2表面の接線方向に対する導電性ブレード4の傾斜角)は約10゜に設定されている。また、本実施形態では、感光体2に対する導電性ブレード4の荷重を13g/cmに設定している。このようなクリーニング条件で感光体2表面に残存するトナーが導電性ブレード4により掻き取られて感光体2表面からトナーがクリーニング除去される。なお、こうして掻き取られたトナーは導電性ブレード4および支持部材41の下方位置に配置されたトナー回収ボックス42に回収される。
【0030】
また、導電性ブレード4にはクリーニング帯電バイアス電源43が電気的に接続され、導電性ブレード4に対して負の直流(DC)のクリーニング帯電バイアスVbdが印加される。このバイアス印加により感光体2表面は負電位に帯電される。例えば新品の導電性ブレード4に対して直流の(−1.4kV)のクリーニング帯電バイアスVbdを印加すると、クリーニング帯電位置P1での感光体2の表面電位を(−600)Vに帯電させることができる。なお、クリーニング帯電バイアスVbdと、クリーニング帯電位置P1での感光体2の表面電位(本発明の「第1電位」に相当)との関係は導電性ブレード4の耐久に応じて変化していくため、この実施形態では、後述するように導電性ブレード4の耐久に応じてクリーニング帯電バイアスVbdの値を可変可能となっている。
【0031】
こうして一次帯電された感光体2の表面電位を均一に均すとともに、当該表面電位を画像形成に適した電位(本発明の「第2電位」に相当)に二次帯電させるため、感光体2の回転方向D2においてクリーニング帯電位置P1より下流の二次帯電位置P2に帯電器5が設けられている。この実施形態では、当該帯電器5として、感光体2の表面に接触しないものであり、従来周知慣用のスコロトロン帯電器5が用いられている。このスコロトロン帯電器5は帯電バイアス電源51と電気的に接続され、スコロトロン帯電器5のチャージワイヤ5bには正のワイヤ電流Iwが流されるとともに、グリッド5aには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVgが印加される。これにより、帯電器5によりトナーと逆極性(正極性)の電荷が感光体2に与えられて感光体2の表面の電位が略均一となり、しかも第1電位から第2電位、より具体的には画像形成時に設定される表面電位に調整される。例えば、金メッキのチャージワイヤ5bに(+4kV)の直流電圧を印加して(+400μA)のワイヤ電流Iwを流すとともに、グリッド5aには(−500V)の直流電圧を印加すると、一次帯電により−600Vに帯電していた感光体2の表面電位は略均一の(−500V)に調整される。
【0032】
なお、このように所望の第2電位に帯電された感光体2の表面に対して上記した露光処理および現像処理が順次実行されてトナー像が形成されるとともに、当該トナー像が転写ユニット8により中間転写ベルト(転写媒体)8aに転写される。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、導電性ブレード4により感光体2表面からトナーをクリーニング除去しているが、このとき潤滑剤層の表層部の一部も掻き取るため、図1の「クリーニング帯電位置P1近傍の拡大図」に示すように、導電性ブレード4の先端部のうち感光体2表面と当接している稜線部分4aにトナーが固着し、さらにステアリン酸亜鉛(潤滑剤)の影響によりトナー固着が促進される。なお、当該固着部分ARについては、同図に太線で示している。このような固着部分ARがそのまま残存してしまうと、導電性ブレード4による一次帯電が不安定となったり、導電性ブレード4によるクリーニングを良好に行うことができない等の問題が生じて画像不良が発生することがある。しかしながら、本実施形態で使用しているトナーには研磨効果を有する外添剤が含まれているため、導電性ブレード4の稜線部分4aに固着したトナーや潤滑剤は上記外添剤により研磨されるため、固着部分ARが成長するのを確実に抑制することができる。その結果、画像形成を長期間継続してしたとしても、導電性ブレード4による感光体2の一次帯電処理およびクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0034】
また、本実施形態では、クリーニング帯電位置P1で感光体2表面と当接する導電性ブレード4により感光体2表面からトナーをクリーニング除去するとともに、感光体2表面を第1電位に一次帯電している。このように導電性ブレード4により一次帯電処理とクリーニング処理を同時に行っているため、少ない部品点数で帯電処理とクリーニング処理を行うことができ、装置の小型化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、回転方向D2においてクリーニング帯電位置P1が塗布位置P0より下流に位置しているので、潤滑剤塗布ユニット3により感光体2表面に塗布された潤滑剤が導電性ブレード4により均されて感光体2表面上に均一な潤滑剤膜を形成することができる。したがって、潤滑剤による感光体2の劣化防止や放電発生物の発生抑制を感光体2表面全体にわたって発揮させることができる。
【0036】
また、感光体2表面に対する帯電処理については、例えば特許文献2に記載の装置のように導電性ブレードのみによる1段階帯電であってもよいが、本実施形態では上記したように2段階帯電を行っているため、次のような作用効果も得られる。
【0037】
1段階帯電を行う場合、例えば特許文献2に記載されているように、導電性ブレードに対して交流と直流を重畳させた、いわゆる重畳バイアスを印加している。この場合、感光体2表面と導電性ブレード4の間で極性や電位差が大きく変動し、感光体2の劣化により膜削れやクリーニング性の低下などが発生したり、振動によるクリーニング不良などが発生することがある。これに対し、本実施形態では、導電性ブレード4に対してトナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧(ブレード印加電圧)を印加して感光体2表面の一次帯電を図っているため、感光体2の劣化やクリーニング不良などを抑制しながら、一次帯電処理およびクリーニング処理を良好に行うことができる。
【0038】
また、CPU101からの動作指令に応じてクリーニング帯電バイアス電源43が導電性ブレード4に印加する直流電圧を定電圧制御しており、これに対応して除電手段を設けていない、いわゆる除電レス構成を採用している。すなわち、本実施形態では、感光体2表面のうち転写位置P5を通過した表面領域は除電されない状態のままクリーニング帯電位置P1に達するように構成されている。このため、当該表面領域が非露光部である場合、光ビームLの照射を受けていないために当該表面領域の表面電位は直前の二次帯電処理により調整された電位(つまり第2電位)のままであり、当該非露光部と導電性ブレード4の電位差は小さく、その間に流れる電流(ブレード電流)も少ない。したがって、感光体2の劣化や導電性ブレード4の劣化を効果的に抑制することができ、装置の長寿命化を図ることができる。特に、平均印字デューティーが低い、つまり非露光部が比較的広い、モノクロ印字の場合、上記作用効果は顕著となり、効果的である。したがって、単色印字を専門に行うモノクロ画像形成装置に対して本発明を適用することは非常に有効である。
【0039】
累積稼働時間や累積印字枚数などが増えていくにしたがって導電性ブレード4の耐久が進行すると、図3に示すように、帯電ムラが発生してしまうことがある。例えば導電性ブレード4に対して直流の(−1.4kV)のクリーニング帯電バイアスVbdを印加したまま印字枚数を重ねていくと、耐久枚数が2000枚以下程度では良好な画像形成を行うことができるものの、それを超えると、同図中の1点鎖線に示すように導電性ブレード4と感光体2との間を流れるブレード電流が減少し、感光体2表面に帯電ムラが発生して画像品質が落ちることが実験により確認された。つまり、感光体2表面を良好に帯電させるためには、ブレード電流を所定値Ith(例えば25μA)以上に維持する必要があることがわかる。そこで、本実施形態では、耐久枚数が1000枚、2000枚、3000枚、5000枚に達する毎に、導電性ブレード4に印加する直流電圧(ブレード印加電圧)をステップ状に増大させている。これによって、導電性ブレード4と感光体2表面との間に流れるブレード電流を常に所定値Ith以上に維持して感光体2の表面を良好に帯電させている。したがって、長期間にわたって感光体2表面を均一に、しかも良好に帯電させることができる。なお、本実施形態では、導電性ブレード4の耐久を耐久枚数により判断しているが、これ以外の指標、例えば累積稼働時間や感光体2の累積回転数などに基づきブレード印加電圧の増大タイミングを制御してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、一次帯電された感光体2表面に対して、いわゆる正極性スコロトロン帯電器5により二次帯電を行っているため、放電生成物やオゾンの発生が少ないという作用効果が得られる。また、チャージワイヤ5bの長寿命化も可能となる。なお、上記のように構成された画像形成装置1において放電生成物を全く発生させないというのは非現実的であるため、クリーニング帯電位置P1および二次帯電位置P2の周囲を排気する排気手段を設けるのが望ましい。また、クリーニング帯電位置P1や二次帯電位置P2に気流を案内するフィンなどの気流形成手段を設けてクリーニング帯電位置P1および二次帯電位置P2からの放電生成物の排出効率を高めるのが好適である。
【0041】
また、上記のように小粒径トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置1では、トナーの一部が導電性ブレード4をすり抜けてブレード面4bに付着することがあり、導電性ブレード4によりクリーニング帯電を繰り返していく間にブレード面4bにトナーが堆積していきクリーニング帯電位置P1での一次帯電が不安定となり、帯電電位の低下などが発生することがある。この問題を解消するためには、リーク機能を有する外添剤をトナーに含有させるのが好ましい。つまり、上記のように導電性ブレード4に付着したトナーにリーク機能を有する外添剤(以下「リーク外添剤」という)が含まれると、長期間使用により導電性ブレード4にトナーが付着したとしてもリーク外添剤を介して電荷を感光体2表面に付与して感光体2表面を良好に帯電させることができる。その結果、長期間にわたって帯電不良を発生させることなく、良好な画像形成を行うことができる。ここで、遊離率が低いリーク外添剤を用いることでトナーからのリーク外添剤の離脱が抑制され、上記作用効果を確実に得ることができ、好適である。また、リーク外添剤の外径を、トナーに含まれる絶縁性外添剤の外径よりも大きくすることで一次帯電をより安定化することができる。なお、このようなリーク外添剤としては、チタニア、酸化物半導体(酸化亜鉛、酸化スズなど)、または表面の少なくとも一部にATO(スズ酸化物にアンチモンをドープしたもの)、ITO(スズ酸化物にインジウムをドープしたもの)等の半導電性被膜を被覆した、シリカなどの無機微粒子などを用いることができる。特に、これらの中でも遊離率が低いものとしては酸化亜鉛を挙げることができる。
【0042】
さらに、上記実施形態では、感光体2に対して非接触対向配置された現像ローラー(トナー担持体)7aからトナーを感光体2表面に与えて静電潜像を現像する、いわゆる非接触現像方式を採用しているため、次のような作用効果も得られる。すなわち、トナーから遊離した外添剤は感光体2表面の均一帯電に対する阻害要因のひとつである。したがって、現像ローラー7aに付着している遊離外添剤が現像ローラー7aから飛散して感光体2に付着すると、感光体2表面を適切に帯電させることができなくなり、画像不良の発生要因となる。これに対し、本実施形態では、現像ローラー7aと感光体2が離間しているため、トナーから遊離して現像ローラー7aに付着している外添剤が感光体2に飛散しにくく、上記問題発生を抑制することができる。また、現像ローラー7aからの遊離外添剤の飛散をより効果的に抑制するためには、例えば現像ローラー7aを金属現像ローラーで構成するのが望ましい。というのも、このような構成を採用した場合、現像ローラー7aに対する外添剤の鏡像力が大きくなり、感光体2からの遊離外添剤の飛び出しが難しくなるからである。
【0043】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、二次帯電を行う帯電器5として正極性スコロトロン帯電器5を用いているが、非接触式ローラー帯電器や接触式ローラー帯電器などの他の帯電器を用いてもよい。すなわち、正規帯電極性と逆極性の電荷を一次帯電された感光体2表面に付与して感光体2の表面電位を第2電位に調整することができるものを帯電器5として用いることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、導電性ブレード4に印加する直流電圧を定電圧制御しているが、導電性ブレード4と感光体2との間に流れるブレード電流を定電流制御してもよい。ただし、定電流制御を行った場合、クリーニング帯電位置P1で非露光部と導電性ブレードの間にも所定の電流が流れ、非露光部が過帯電状態となってしまう。これを防止するためには、転写位置P5とクリーニング帯電位置P1との間に除電手段を設けるのが好適である。
【0045】
また、上記実施形態では、2段階帯電方式で感光体2表面を所望の表面電位に帯電させているが、例えば特許文献2に記載の装置のように導電性ブレードのみによる1段階帯電を行ってもよい。すなわち、導電性ブレード4に対して重畳バイアスを印加してクリーニング帯電位置P1でクリーニング処理と同時に感光体2表面の帯電を完結させてもよい。この場合、帯電器5の設置は不要となり、装置の簡素化および小型化をさらに進めることができる。
【0046】
また、例えば、上記実施形態の説明において示した各数値は一例にすぎず、本発明がこれらに限定されるものではない。また、本実施形態では負帯電トナーを使用しているが、正帯電トナーを使用する画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。この場合には各部の電位関係を上記と逆転させればよい。
【0047】
また、上記実施形態の画像形成装置は、均一に帯電された感光体2表面を露光ユニット6により露光することで静電潜像を形成する装置であるが、帯電された潜像担持体の表面に静電潜像を形成することができるものであれば、上記のように露光によるもの以外の潜像形成手段を用いてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では現像ユニット7の個数について特に言及していないが、本発明は、回転自在のロータリー現像ユニットに複数の現像ユニットを装着したカラー画像形成装置や、複数の現像ユニットを中間転写媒体の周囲に配置したいわゆるタンデム型の画像形成装置、現像ユニットを1個だけ備えてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置などに対して好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成装置、 2…感光体(潜像担持体)、 4…導電性ブレード、 5…正極性スコロトロン帯電器、 6…露光ユニット(潜像形成手段)、 7…現像ユニット(現像手段)、 7a…現像ローラー(トナー担持体)、 8…転写ユニット、 8a…中間転写ベルト(転写媒体)、 D2…(感光体の)回転方向、 P0…塗布位置、 P1…クリーニング帯電位置、 P2…二次帯電位置、 P4…現像位置、 P5…転写位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体と、
所定の塗布位置で、前記潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、
前記回転方向において前記塗布位置より下流の現像位置で、前記潤滑剤が塗布された前記潜像担持体表面に、研磨効果を有する外添剤を含むトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、
前記回転方向において前記現像位置より上流のクリーニング帯電位置で、前記潜像担持体の表面に当接して前記潜像担持体表面上のトナーをクリーニング除去するとともに前記潜像担持体表面を帯電させる導電性ブレードと
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転方向において前記クリーニング帯電位置は前記塗布位置より下流に位置している請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転方向において前記クリーニング帯電位置よりも下流で、かつ前記現像位置より上流の二次帯電位置で前記潜像担持体表面を帯電させる帯電器を備え、
前記導電性ブレードは前記クリーニング帯電位置で前記潜像担持体表面を第1電位に帯電させ、
前記帯電器は前記第1電位に帯電された前記潜像担持体表面を第2電位に帯電させる請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導電性ブレードは前記トナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧が印加されて前記潜像担持体表面を前記正規帯電極性と同極性の第1電位に帯電させ、
前記帯電器は前記正規帯電極性と逆極性の電荷を付与して前記潜像担持体表面の電位を第2電位に調整する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導電性ブレードは、前記トナーの正規帯電極性と同極性の直流電圧に対して交流電圧を重畳させたバイアスが印加されて前記潜像担持体表面を帯電させる請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記研磨効果を有する外添剤はチタン酸ストロンチウムである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーはリーク機能を有する外添剤を含む請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記リーク機能を有する外添剤は、チタニア、酸化物半導体、または表面の少なくとも一部に半導電性被膜を被覆した無機微粒子である請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーの体積平均粒径が5μm以下であり、前記トナーの円形度は0.95以上である請求項1ないし8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
所定の回転方向に周回移動する潜像担持体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程と、
前記潤滑剤が塗布された前記潜像担持体表面にトナーを付着させてトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を転写媒体に転写する転写工程と、
前記潜像担持体の表面に導電性ブレードを当接して前記潜像担持体表面に残存する転写残りトナーをクリーニング除去するとともに前記潜像担持体表面を帯電させるクリーニング帯電工程とを備え、
前記トナーとして、研磨効果を有する外添剤を含むトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−230906(P2010−230906A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77269(P2009−77269)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】