説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】印刷品位を向上させるとともに画像形成部の寿命を長期化させる。
【解決手段】画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体と、現像電圧が印加され、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、供給電圧が印加され、前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材とから成る画像形成部と、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替える制御部とを備え、前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像電圧と前記供給電圧との電位差を、前記第2の画像形成モードの前記現像電圧と前記供給電圧との電位差より小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機などの画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、帯電手段により均一に帯電された感光体ドラムの表面を露光手段により露光して静電潜像を形成し、画像形成部により静電潜像を現像して感光体ドラム上にトナー像を形成した後、トナー像を用紙に転写し定着する方式を採用している。例えば、一成分接触現像方式の画像形成部では、トナーカートリッジよりトナーが供給され、供給ローラと現像ローラとの間、および規制ブレードと現像ローラとの間で摩擦帯電することによりトナーが帯電され、規制ブレードにより現像ローラ上に均一にトナー薄層が形成される。現像ローラと感光体ドラムは接触させて配置されており、現像ローラと感光体ドラム表面に電界を形成して帯電した現像ローラ上のトナーを感光体ドラム上の静電潜像へ移動させる。続いて、感光体ドラム上のトナーを転写ベルトにより搬送される用紙上に直接転写させる直接転写方式では、感光体ドラムの回転により転写領域に移動したトナーを電界により用紙上へ移動させる。
【0003】
このような画像形成装置では、温湿度などの周囲環境、使用頻度、使用画像パターンなどの使用条件が異なる場合や、さらには経時において画像濃度が変動する場合があるが、画像濃度が安定した高品位の印刷出力を得るために、例えば搬送ベルト上に形成した濃度検出用パターンの濃度を検出し、濃度が一定になるように補正するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
高品位の印刷出力を得るために画像の最大濃度を高くすることが必要であるが、画像濃度を高く(例えば、ベタ画像等の画像面積率の高い印刷パターンを連続して印刷)するためには、供給ローラから現像ローラへのトナー供給能力を高くする必要があり、この対応として供給ローラの回転速度を速くしたり、供給ローラの現像ローラへの押圧力を大きくしたりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−341100号公報(段落「0013」〜段落「0016」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、画像形成部の供給ローラの磨耗量が大きく、経時でトナー供給能力が低下し、画像のかすれや残像等が発生して印刷品位が低下し、また画像形成部の寿命が短くなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、印刷品位を向上させるとともに画像形成部の寿命を長期化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体と、現像電圧が印加され、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、供給電圧が印加され、前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材とから成る画像形成部と、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替える制御部とを備え、前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像電圧と前記供給電圧との電位差を、前記第2の画像形成モードの前記現像電圧と前記供給電圧との電位差より小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、印刷品位を向上させるとともに画像形成部の寿命を長期化させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側面図
【図3】第1の実施例における画像形成処理の流れを示すフローチャート
【図4】第1の実施例における印刷枚数と残像レベルの関係を示す説明図
【図5】第2の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側面図
【図6】第2の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図
【図7】第2の実施例におけるトナー廃棄処理の流れを示すフローチャート
【図8】第2の実施例におけるトナー廃棄処理の変形例の流れを示すフローチャート
【図9】第2の実施例におけるトナーエンド検出処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による画像形成装置および画像形成方法の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
図2において、画像形成装置100は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色の画像を各々形成する画像形成部としての4つのプロセスカートリッジ11〜14を有し、これらのプロセスカートリッジ11〜14が記録媒体15の搬送経路16の上流側から順に画像形成装置100に着脱可能に配設されている。また、プロセスカートリッジ11〜14の各々に対向する位置には、露光手段としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド17〜20が配設されている。
【0012】
画像形成部としてのプロセスカートリッジ11〜14の内部の構成は共通であり、例えばブラックのプロセスカートリッジ11は、画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体としての感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21の表面に電荷を供給して帯電させる帯電手段としての帯電ローラ22と、LEDヘッド17の露光により帯電された感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像に、トナー(現像剤)を現像する現像剤担持体としての現像ローラ23と、現像ローラ23にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ24と、現像ローラ23上のトナーを薄層化するための規制ブレード26とを配設し、それらを一体化した構成となっている。
【0013】
また、プロセスカートリッジ11〜14のそれぞれには、トナーカートリッジ27〜30が着脱可能に備えられ、各色のトナーが収容される。トナーカートリッジ27〜30の内部の構成も共通であり、例えばブラックのトナーカートリッジ27の内部には、ブラックのトナーが収容され、プロセスカートリッジ11に装着されることにより、トナーの供給口が開きプロセスカートリッジ11にトナーが補給される。なお、プロセスカートリッジ11〜14のそれぞれに、トナーカートリッジ27〜30を一体化する構成としても良い。
【0014】
画像形成装置100の下部には、記録媒体15を収容する給紙カセット31と、給紙カセット31に積層された記録媒体15を1枚ずつ分離して給紙するためのホッピングローラ32とが配設されている。
給紙カセット31に収容された記録媒体15は、ホッピングローラ32により給紙された後、斜行を矯正するレジストローラ対33、34により搬送経路16に沿って搬送され、さらに転写ベルトユニット35によって各プロセスカートリッジ11〜14を順次経由して搬送される。
【0015】
転送ベルトユニット35のプロセスカートリッジ11〜14に対向する位置には、転写ベルト36を介して感光体ドラム21に対して電界を形成するための電圧が印加される転写ローラ37が配設され、プロセスカートリッジ11〜14の感光体ドラム21に形成されたトナー像は記録媒体15へ転写される。
【0016】
定着器41は、加熱ローラとバックアップローラとが接触して配設され、記録媒体15上に転写されたトナーは加熱ローラおよびバックアップローラの加圧、加熱により記録媒体15に定着される。定着器41から排出された記録媒体15は、搬送経路16に沿って搬送され、排出ローラ42によりスタッカ43へ排出される。
【0017】
また、画像形成装置100は、帯電ローラ22、現像ローラ23、供給ローラ24、転写ローラ37等に電圧を印加する電圧制御部としての電圧供給回路と、液晶ディスプレイ等の表示部と、メモリ等の記憶部と、記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて画像形成装置100全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等を有する制御部とを備えている。
【0018】
このように構成された画像形成装置100は、外部の上位装置から送信された画像データを受信すると、その画像データをコントローラ内の画像処理部を介して記録制御部に送信し、記録媒体15の給紙を開始するとともに、LEDヘッド17〜20に画像データを送信し、記録媒体15がプロセスカートリッジ11〜14に達するタイミングで帯電ローラ22、現像ローラ23、供給ローラ24、および転写ローラ37に高電圧を印加し、LEDヘッド17〜20を画像データに応じて点灯する。そして、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像に現像ローラ23により現像されたトナー像が転写ローラ37によって記録媒体15上に転写されて画像が形成される。
【0019】
図1は第1の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図であり、画像形成装置の制御構成を図1および図2に基づいて説明する。
図1において、画像形成装置100の制御系は、画像形成装置100全体を制御する制御部60と、上位装置から画像データを受信するI/F部61と、帯電ローラ22に電圧を印加する帯電電圧制御部66と、現像ローラ23に電圧を印加する現像電圧制御部67と、供給ローラ24に電圧を印加する供給電圧制御部68と、LEDヘッド17を制御するLEDヘッド制御部70と、各ローラを回転させるモータ群51を制御するモータ制御部71と、表示部52を制御する表示制御部72と、操作部73とから構成されている。
【0020】
制御部60は、CPU62およびメモリ等の記憶部63を有し、画像形成装置100の各部を制御して画像形成処理等を行うものである。
記憶部63には、制御部60が実行するプログラム(ソフトウェア)が予め格納され、そのプログラムに用いる各種データおよび制御部60による処理結果等が記憶される。
【0021】
I/F部61は、図示しないコンピュータ等の外部の上位装置が通信回線を介して接続され、その上位装置から送信された画像データ等を受信し、その画像データを制御部60へ通知する。
制御部60は、I/F部61から画像データが通知されると、CPU62により生成される印刷タイミングにしたがって感光体ドラム21、転写ベルト36やホッピングローラ32を駆動するモータ群51の動作を制御するモータ制御部71に各モータの駆動信号を出力する。
【0022】
モータ制御部71に各モータの駆動信号を出力すると記録媒体15が給紙カセット31から繰出されて給紙が開始され、それとともに制御部60は、LEDヘッド17〜20の発光動作を制御するLEDヘッド制御部70に画像データを出力し、記録媒体15がプロセスカートリッジ11〜14に達するタイミングで、帯電電圧制御部66、現像電圧制御部67、および供給電圧制御部68に制御信号を出力して帯電ローラ22、現像ローラ23および供給ローラ24に高電圧を印加する。
【0023】
LEDヘッド17〜20は画像データに応じて点灯され、モータ制御部71により回転制御された各感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成された後、静電潜像に付着したトナー像が転写ローラ37に印加された転写電圧により記憶媒体15上に転写される。
表示制御部72は、トナー残量情報等の各種情報を表示部52に表示する制御を行う。
【0024】
操作部73は、画像形成装置100に表示部52とともに配置され、表示部52に表示されるメニューの選択や設定内容を変更するための入力キー等を備えたものである。
また、制御部60は、画像形成モードに応じて各画像形成条件を切り替える制御切替部64を備えている。
【0025】
ここで、画像形成モードとは、印刷品位を向上させるために高濃度印刷を行う第1の画像形成モード(高濃度印刷設定)およびプロセスカートリッジを長寿命化させるための低濃度印刷を行う第2の画像形成モード(長寿命設定)をいい、本実施例では、操作部73を操作し、表示部52に選択メニューを表示させ、第1の画像形成モードまたは第2の画像形成モードを選択して設定するものとし、設定された画像形成モードは、記憶部63に記憶される。
【0026】
すなわち、制御切替部64は、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替えるものである。
この第1の画像形成モードは、表現できる色再現範囲が広く、画像のコントラストを強調することができるため、DTP(DeskTop Publishing)やPOP(Point Of Purchase)等の用途にも適した、いわゆる高画質モードである。
【0027】
一方、第2の画像形成モードは、ベタ画像を印刷する頻度が少ない、または高コントラストの印刷を特に必要としないなどの理由で高濃度画像を強く要求されないオフィス等の用途に適し、プロセスカートリッジ11の寿命を長くすることができる、いわゆる長寿命モードである。
画像形成装置100の利用者は、使用目的に応じて適宜、第1の画像形成モードまたは第2の画像形成モードを選択して設定するものとする。
【0028】
上述した構成の作用について説明する。
画像形成装置の制御部が行う画像形成処理を図3の第1の実施例における画像形成処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、プロセスカートリッジ11について説明するが、プロセスカートリッジ12〜14も同様の処理を行うものとする。
【0029】
S101:画像形成装置100の制御部60は、I/F部61から画像データが通知されると、CPU62により生成される印刷タイミングにしたがって画像形成処理を開始し、記憶部63に記憶された画像形成モードが第1の画像形成モードであるか、第2の画像形成モードであるかを判定する。制御部60が第1の画像形成モードであると判定すると処理をS102へ移行し、一方第2の画像形成モードであると判定すると処理をS103へ移行する。
【0030】
S102:制御部60は、第1の画像形成モードであると判定すると、制御切替部64により、高濃度画像を形成するための設定条件である現像電圧Vd1および供給電圧Vs1とする制御信号をそれぞれ現像電圧制御部67および供給電圧制御部68へ出力し、処理をS104へ移行する。
【0031】
本実施例では、負帯電性のトナーを使用し、解像度が600DPI(Dots Per Inch)として説明すると、画像面積率の高い印刷パターン(以下、「ベタ画像」という。)の画像濃度(ベタ画像濃度)をOD(Optical Density:光学濃度)値1.5とするため、感光体ドラム21の帯電電位が−500Vとなるように帯電電圧を−1000Vとして帯電ローラ22に印加し、LEDヘッド17の露光後の感光体ドラム21の残留電位を−50Vとし、現像電圧Vd1を−250V、供給電圧Vs1を−350Vとするものとする。なお、これは一例であり、トナー帯電量などにより適宜決定するものとする。
【0032】
S103:制御部60は、第2の画像形成モードであると判定すると、制御切替部64により、高濃度画像を形成するための設定条件である現像電圧Vd2および供給電圧Vs2とする制御信号をそれぞれ現像電圧制御部67および供給電圧制御部68へ出力し、処理をS104へ移行する。
【0033】
本実施例では、負帯電性のトナーを使用し、解像度が600DPI(Dots Per Inch)として説明すると、ベタ画像濃度を第1の画像形成モードのベタ画像濃度より低いOD値1.2とするため、感光体ドラム21の帯電電位が−500Vとなるように帯電電圧を−1000Vとして帯電ローラ22に印加し、LEDヘッド17の露光後の感光体ドラム21の残留電位を−50Vとし、現像電圧Vd2を−150V、供給電圧Vs2を−300Vとするものとする。なお、これは一例であり、トナー帯電量などにより適宜決定するものとする。
【0034】
S104:S102において第1の画像形成モードの設定条件である現像電圧Vd1および供給電圧Vs1を設定した制御部60は、第1の画像形成モードの画像形成条件により画像形成を実行する。すなわち、制御部60は、現像電圧と感光体ドラム残留電位の電位差である現像コントラスト電圧が200V(=|(−250V)−(−50V)|)の設定であり、また現像電圧と感光体ドラムの非潜像形成部電圧との電位差である背景部コントラスト電圧は250V(=|(−250V)−(−500V)|)、現像電圧と供給電圧との電位差は100V(=|(−250V)−(−350V)|)の設定で画像形成を行う。
【0035】
一方、S103において第2の画像形成モードの設定条件である現像電圧Vd2および供給電圧Vs2を設定した制御部60は、第2の画像形成モードの画像形成条件により画像形成を実行する。すなわち、制御部60は、現像電圧と感光体ドラム残留電位の電位差である現像コントラスト電圧が100V(=|(−150V)−(−50V)|)の設定であり、また現像電圧と感光体ドラムの非潜像形成部電圧との電位差である背景部コントラスト電圧は350V(=|(−150V)−(−500V)|)、現像電圧と供給電圧との電位差は150V(=|(−150V)−(−300V)|)の設定で画像形成を行う。
【0036】
このように制御部60は、第1の画像形成モードを選択したとき、現像電圧と供給電圧との電位差を、第2の画像形成モードの現像電圧と供給電圧との電位差より小さくする。
第1の画像形成モードは、ベタ画像濃度をOD値1.5とする設定であり、表現できる色再現範囲が広く、画像のコントラストを強調することができるため、DTPやPOP等の用途にも適した高画質モードである。
【0037】
高画質濃度を得るためには、感光体ドラム21上に形成するトナー像のトナーの付着量を多くする必要があり、トナーの付着量を多くするために、現像ローラ23に形成するトナー層の厚みが厚くなるように、現像ローラ23の材料を選択し、また規制ブレード26の押圧力などを設定している。
【0038】
このとき、印刷する画像の面積率の低い、いわゆる低デューティ画像を連続して印刷すると、現像ローラ23上のトナーが殆ど消費されない状態となり、消費されないトナーが現像ローラ23上に留まり続けると、トナーの摩擦帯電回数が増加することによりトナーの帯電量が上昇する。トナーの付着量が多い状態でトナーの帯電量が高くなり過ぎると、現像ローラ23上に形成されるトナー層の表面電位が微小領域で背景部コントラスト電圧を上回り、静電潜像が形成されていない背景部までトナーが現像される、いわゆる汚れ印刷が発生してしまう。
【0039】
この汚れ印刷を防止するために、プロセスカートリッジ11の設定としてスポンジ材料からなる供給ローラ24を現像ローラ23に強く押し付け、現像ローラ23上の残留トナーを掻き落とす作用により、現像ローラ23上に残留トナーが留まり続けることを防止している。
【0040】
また、供給電圧の設定においては、現像電圧と供給電圧との電位差を大きくすると現像ローラ23へのトナー供給性が上がるため、現像ローラ23上のトナーの付着量が増加する。高濃度でカスレのない高画質印刷を行うためには、現像ローラ23上のトナーの付着量を確保するため供給電圧を増加させることが望ましいが、現像ローラ23上のトナーの付着量が増加し過ぎても上述したように汚れ印刷が発生してしまうので、現像電圧と供給電圧との電位差を汚れ印刷を発生させない現像電圧と供給電圧との電位差の領域内である100Vに設定している。
【0041】
このようにプロセスカートリッジ11の設定を行うことにより、高画質モードに適した印刷出力を得ることができるが、上述したようにスポンジ材料の供給ローラ24を現像ローラ23に強く押し付けると、供給ローラ24が磨耗しやすくなり、供給ローラ24が磨耗すると、トナーの掻き落とし能力が低下するとともに、現像ローラ23へのトナー供給性能も低下するため、例えばベタ画像を印刷するときに供給ローラ24の回転数が増加するに従いトナー供給量が低下し、ローラの回転周期の濃度段差に伴う残像が発生しやすくなる。
【0042】
図4は第1の実施例における印刷枚数と残像レベルの関係を示す説明図である。
図4は、例えば画像濃度の高い背景に白抜きのボールド文字が配列されている画像を印刷したときのボールド文字の印刷品位の指標としての残像レベルを示したものであるが、印刷枚数が多くなるに従い、残像レベルが低下、すなわち印刷品位が低下するという傾向が分かる。
このため、破線で示す第1の画像形成モードでは、印刷枚数に伴って低下する残像レベルが、初期の残像レベルに対して許容レベルを下回らない印刷枚数Lf1をプロセスカートリッジ11の寿命としていた。
【0043】
一方、第2の画像形成モードは、ベタ画像濃度をOD値1.2とする設定であり、ベタ画像を印刷する頻度が少ない、または高コントラストの印刷を特に必要としないなどの理由で高濃度画像を強く要求されないオフィス等の用途に適し、プロセスカートリッジ11の寿命を長くすることができる長寿命モードである。
【0044】
この第2の画像形成モードでは、低画像濃度とするため、感光体ドラム21上のトナー像のトナー付着量が少なく、したがって現像ローラ23に形成されるトナー層の厚みは高画像濃度を形成するときと比較して薄くてもよく、供給ローラ24が経時で磨耗し、トナーの供給性が低下した場合でも、画像への影響は少なくなる。
【0045】
図4の実線で示すように、第2の画像形成モードでは、印刷枚数に対する残像レベルの低下は第1の画像形成モードと比較すると緩やかな傾向であり、印刷枚数に伴って低下する残像レベルが、初期の残像レベルに対して許容レベルを下回らない印刷枚数Lf2をプロセスカートリッジ11の寿命とするため、第1の画像形成モードと比較して寿命を長くすることができる。
【0046】
また、プロセスカートリッジ11を長期間、使用していると、トナーから遊離してトナー帯電とは逆極性に帯電した外添剤が規制ブレード26をすり抜けて感光体ドラム21の表面に固着し、ベタ画像を印刷したときに外添剤が付着している箇所に白点状に見える、いわゆるフィルミング印刷が発生し、その状態が悪化する場合がある。
【0047】
第2の画像形成モードでは、現像電圧と供給電圧との電位差を大きくし、正帯電している遊離外添剤を供給ローラ24側に強く引き付けられるように電界を形成することにより、正帯電の遊離外添剤が規制ブレードをすり抜けてフィルミング印刷が発生することを抑制するようにしている。
このようにしたことにより、印刷枚数に対するフィルミング印刷の悪化の傾向も緩やかにすることができ、長期間使用による印刷の品位の悪化を抑制することができる。
【0048】
さらに、第2の画像形成モードでは、低濃度設定として現像電圧を低下させるため、背景部のコントラスト電圧が第1の画像形成モードと比較して大きくなるように設定している。このため、現像電圧と供給電圧との電位差が大きくなり、現像ローラ23上のトナー付着量が多くなっても汚れ印刷を発生させないようにすることができる。
なお、本実施例において説明した電圧値等の設定値は、一例に過ぎず、これに限られるものでなく、環境等によりトナーの帯電量が変化した場合等は適宜、最適値に変更するようにしても良い。
【0049】
また、本実施例では、画像濃度を高くする第1の画像形成モードと、画像濃度を低くする第2の画像形成モードとを選択可能とし、画像濃度を切替えるために現像電圧を切替える例として説明したが、例えばLEDヘッドの露光エネルギーを変更して画像濃度を切替えるようにしても良い。このとき、第1の画像形成モードでは、露光エネルギーを高く、第2の画像形成モードでは、露光エネルギーを低くすれば良い。
【0050】
さらに、画像形成装置が濃度補正を実施する場合にも本発明を適用することができる。例えば、濃度補正の目標濃度を第1の画像形成モードでは高く、第2の画像形成モードでは低くする構成とする。このとき、最大画像濃度は切替えるが、中間調濃度は同一の目標濃度とすることにより、第2の画像形成モードにおいても中間調パターンを多く用いる写真画像などの印刷品位を低下させることなく、長寿命化することができる。
【0051】
またさらに、本実施例では、供給ローラに印加する供給電圧を制御して現像電圧との電位差を第1の画像形成モードよりも第2の画像形成モードで大きくする例で説明したが、例えば第1の画像形成モードと第2の画像形成モードで規制電圧と現像電圧との電位差を切替えて、第2の画像形成モードのときには正極性に帯電した遊離外添剤を規制ブレード側に引き付けるように電界を大きくし、外添剤が規制ブレードを通過しにくくなるように構成するようにしてもよい。
【0052】
またさらに、本実施例では、第1の画像形成モードと第2の画像形成モードとの切替を表示部に表示されるメニュー項目で選択することにより行う例で説明したが、上位装置のプリンタドライバ(ソフトウェア)が表示する画面に第1の画像形成モードと第2の画像形成モードとを切替るメニューを設け、プリンタドライバにより第1の画像形成モードと第2の画像形成モードとを切替るようにしても良い。
【0053】
以上説明したように、第1の実施例では、高濃度で画像を形成する第1の画像形成モードと低濃度で画像を形成する第2の画像形成モードとを制御切替部で切り替えて画像を形成するようにしたことにより、低濃度で画像を形成する第2の画像形成モードでは、経時において形成する画像の品質の劣化を緩やかにすることができ、また画像形成部としてのプロセスカートリッジの寿命を長くすることができ、形成する画像の高品質化およびプロセスカートリッジの長寿命化を両立することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0054】
図5は第2の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側面図であり、図6は第2の実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図5において、画像形成装置200は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色の画像を各々形成する画像形成部としての4つのプロセスカートリッジ211〜214を有し、これらのプロセスカートリッジ211〜214が記録媒体15の搬送経路16の上流側から順に画像形成装置200に着脱可能に配設されている。また、プロセスカートリッジ211〜214の各々に対向する位置には、露光手段としてのLEDヘッド17〜20が配設されている。
【0056】
画像形成部としてのプロセスカートリッジ211〜214の内部の構成は共通であり、例えばブラックのプロセスカートリッジ211は、画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体としての感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21の表面に電荷を供給して帯電させる帯電手段としての帯電ローラ22と、LEDヘッド17の露光により帯電された感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像に、トナー(現像剤)を現像させる現像剤担持体としての現像ローラ23と、現像ローラ23にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ24と、現像ローラ23上のトナーを薄層化するための規制ブレード26とを配設し、それらを一体化した構成となっている。
【0057】
また、プロセスカートリッジ211〜214のそれぞれには、トナーカートリッジ27〜30が一体化して備えられ、各色のトナーが収容される。トナーカートリッジ27〜30の内部の構成も共通であり、例えばブラックのトナーカートリッジ27の内部には、ブラックのトナーが収容され、プロセスカートリッジ211にトナーを補給する。
【0058】
さらに、プロセスカートリッジ211〜214には、トナーの残量を検知するためのトナー残量検出機構220が備えられている。
トナー残量検出機構220は、一定速度で回転するギアと、そのギアの回転軸と略同軸を回転軸とし、ギアに形成された突起部に当接するシャフトを有する攪拌シャフト220aにより構成されている。この攪拌シャフト220aの先端部には、トナーを攪拌するための攪拌部が設けられ、その攪拌部は回転するギアの突起部に当接するシャフトの回転により下死点から上死点まで上昇し、上死点に達すると自重で下死点へ回転し、下降するように構成されている。
【0059】
攪拌部が上死点まで回転してきたとき、プロセスカートリッジ211内のトナーの残量が少ない場合は、直ちに下死点まで自重で回転し、回転するギアの突起に押されるまで下死点に位置し続け、一方トナーの残量が多い場合は、トナーの抵抗力により上死点から下死点への回転に時間がかかり、回転するギアの突起に押されて下死点へと回転する。
【0060】
下死点に位置する攪拌部をトナー残量検出部の光学式センサ等で検知するとともに、その攪拌部が下死点に位置する時間をタイマ等の計時手段で計測し、計測した時間に基づいてトナーの残量を検出する。
トナー残量検出部は、検出したトナーの残量が所定量以下になったとき、トナーの残量が少なくなったこと(トナーロー状態)が検出されたことを制御部へ通知する。
【0061】
次に、画像形成装置200の制御系の構成を図6および図5に基づいて説明する。
図6において、画像形成装置200の制御系は、画像形成装置200全体を制御する制御部260と、上位装置から画像データを受信するI/F部61と、トナー残量検出機構220によりプロセスカートリッジ内のトナー残量を検出するトナー残量検出部261と、帯電ローラ22に電圧を印加する帯電電圧制御部66と、現像ローラ23に電圧を印加する現像電圧制御部67と、供給ローラ24に電圧を印加する供給電圧制御部68と、LEDヘッド17を制御するLEDヘッド制御部70と、各ローラを回転させるモータ群51を制御するモータ制御部71と、表示部52を制御する表示制御部72と、操作部73とから構成されている。
【0062】
現像剤残量検出手段としてのトナー残量検出部261は、プロセスカートリッジ211内のトナー残量検出機構220の攪拌シャフトの回転周期を検出する光学式センサやタイマ等を備え、トナー残量を検出する。トナー残量検出部261は、トナー残量検出機構220の攪拌シャフトの回転周期が閾値よりも小さくなったことを検出したとき、すなわち攪拌シャフトが下死点に位置する時間が閾値よりも長くなったとき、トナーの残量が少なくなったトナーロー状態であると判定し、トナーエンドとしてプロセスカートリッジの使用を停止と判断する処理を実行するとともに表示部52にトナーロー状態であることを表示させる。
【0063】
制御部260は、第1の実施例と同様に、画像形成モードに応じて各画像形成条件を切り替える制御切替部264を備え、操作部73を操作し、表示部52に選択メニューを表示させ、第1の画像形成モードまたは第2の画像形成モードを選択して設定するものとし、設定された画像形成モードは、記憶部63に記憶される。
【0064】
また、制御部260は、画像を形成する画像データの画像面積率が閾値より小さいとき、プロセスカートリッジに残留しているトナー(現像剤)を廃棄する現像剤廃棄手段としてのトナー廃棄制御部265を備え、そのトナー廃棄制御部265は、CPU62により生成されるトナー廃棄タイミングに従い、プロセスカートリッジ内に残留しているトナーを転写ベルト上に廃棄する。廃棄されたトナーは、クリーニング部により回収され、画像形成装置200に備えられている廃トナーボックスへ搬送される。
【0065】
なお、トナー廃棄制御部265は、感光体ドラム21上に形成するトナー像の画像パターンにより、廃棄するトナー量を制御することができるようになっている。また、トナー廃棄タイミングは、例えば画像データ(印刷ジョブ)を上位装置から受信したタイミング等である。
【0066】
このように構成された画像形成装置200は、高濃度印刷設定とする第1の画像形成モードと低濃度で長寿命設定とする第2の画像形成モードとを選択設定可能にし、また第1の画像形成モードおよび第2の画像形成モードでプロセスカートリッジ内のトナー廃棄条件およびトナーエンド表示条件を切替える。
【0067】
上述した構成の作用について説明する。なお、以下の説明では、プロセスカートリッジ211について説明するが、プロセスカートリッジ212〜214も同様の処理を行うものとする。また、画像形成装置の制御部が行う画像形成処理は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0068】
画像形成装置の制御部が行うトナー廃棄処理を図7の第2の実施例におけるトナー廃棄処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図5および図6を参照しながら説明する。
【0069】
S201:画像形成装置100の制御部260は、CPU62により生成されるトナー廃棄タイミングにしたがってトナー廃棄処理を開始し、記憶部63に記憶された画像形成モードが第1の画像形成モードであるか、第2の画像形成モードであるかを判定する。制御部260が第1の画像形成モードであると判定すると処理をS202へ移行し、一方第2の画像形成モードであると判定すると処理をS203へ移行する。
【0070】
S202:制御部260は、第1の画像形成モードであると判定すると、制御切替部264により、トナーを廃棄するか否か判定するための閾値TW1を記憶部63に記憶(設定)し、処理をS204へ移行する。
【0071】
トナー廃棄処理は、画像形成処理で現像されずにプロセスカートリッジ内に留まっているトナーを定期的にプロセスカートリッジ外へ吐き出す処理である。印刷画像密度の低い低デューティの画像を継続して印刷している場合には、現像ローラ23上のトナーが使用されず、そのトナーは感光体ドラム21、供給ローラ24や規制ブレード26への摩擦が繰り返されることによるダメージを受け、帯電量の増加や現像ローラ23への付着量増加による汚れ印刷が発生する場合がある。
【0072】
トナー廃棄制御部265は、以前(例えば、直前または現時点まで)に印刷された画像パターンの画像デューティを算出し、その画像デューティが閾値よりも低い場合に、予め決められた量のトナーを廃棄し、トナーが受けたダメージによる汚れ印刷を防止する。トナー廃棄制御部265は、トナー廃棄タイミングで記憶部63に記憶された廃棄用画像パターンを感光体ドラム21上に静電潜像として形成し、その静電潜像にトナーを現像することによりトナーを廃棄する。なお、画像デューティとは、画像面積率であり、印刷可能な全画素に対して印刷を行う画素の割合である。
【0073】
第1の画像形成モードでは、第1の実施例で説明したように、現像ローラ23上のトナー層が厚く、トナーのダメージによる汚れ印刷が発生し易い設定であるため、頻繁にトナーを廃棄する設定とする。例えば、トナーを廃棄するか否か判定するための閾値TW1を5%として設定する。
【0074】
S203:一方、制御部260は、S201において第2の画像形成モードであると判定すると、制御切替部264により、トナーを廃棄するか否か判定するための閾値TW2を記憶部63に記憶(設定)し、処理をS204へ移行する。
【0075】
第2の画像形成モードでは、第1の実施例で説明したように、背景部コントラスト電圧を大きくしているため、トナーが受けるダメージによる汚れ印刷が発生し難く、第1の画像形成モードより少ない頻度でトナーを廃棄する設定、すなわち閾値TW2<閾値TW1とする。例えば、トナーを廃棄するか否か判定するための閾値TW2を2%として設定する。
【0076】
S204:トナー廃棄制御部265は、記憶部63に設定された閾値を用いて画像デューティが閾値以下であるか否かを判定し、画像デューティが閾値以下であると判定すると処理をS205へ移行し、画像デューティが閾値より大きいと判定するとトナーを廃棄することなく処理を終了し、制御部260により通常の画像形成処理が開始される。
【0077】
S205:トナー廃棄制御部265は、画像デューティが閾値以下であると判定するとトナーの廃棄を実行する。例えば、第1の画像形成モードでは画像デューティが5%以下であった場合、A4判用紙相当で5%印刷した場合に相当するトナーを廃棄し、第2の画像形成モードでは画像デューティが2%以下であった場合、A4判用紙相当で2%印刷した場合に相当するトナーを廃棄する。
【0078】
このようにトナー廃棄制御部265は、第1の画像形成モードではトナーを廃棄するか否か判定するための閾値およびトナーを廃棄すると判定したときのトナー廃棄量を第2の画像形成モードよりも多くし、一方第2の画像形成モードではトナーを廃棄するか否か判定するための閾値およびトナーを廃棄すると判定したときのトナー廃棄量を第1の画像形成モードよりも少なくする。
【0079】
なお、図8に示すようにS301において、トナー廃棄制御部265は画像形成モードが第2の画像形成モードであると判定したとき、直ちにトナー廃棄処理を中止(終了)するようにしてトナーの廃棄を行わないようにしても良い。
【0080】
次に、本実施例において、プロセスカートリッジはトナーカートリッジと一体化した構成であるため、プロセスカートリッジの使用量が所定の使用量を超えたことによる寿命により停止する以前に、収容するトナーの残量が無くなった場合もプロセスカートリッジの寿命として停止し交換が必要となる。
【0081】
そこで、画像形成装置の制御部が行うトナーエンド検出処理を図9の第2の実施例におけるトナーエンド検出処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図5および図6を参照しながら説明する。
【0082】
S401:画像形成装置200が受信した画像データによる印刷動作を終了すると、トナー残量検出部261は制御部260の指令によりトナーエンド検出処理を開始し、プロセスカートリッジ211内のトナー残量を検出し、トナー残量がトナーロー閾値以上の場合はトナーロー状態でないとしてトナーエンド検出処理を終了し、トナー残量がトナーロー閾値以下の場合はトナーロー状態であるとして処理をS402へ移行する。
【0083】
S402:制御部260は、記憶部63に記憶された画像形成モードが第1の画像形成モードであるか、第2の画像形成モードであるかを判定する。制御部260が第1の画像形成モードであると判定すると処理をS403へ移行し、一方第2の画像形成モードであると判定すると処理をS404へ移行する。
【0084】
S403:制御部260は、第1の画像形成モードであると判定すると、制御切替部264により、トナーエンドを判定するための現像剤残量判定量としてのトナーエンド閾値TE1を記憶部63に記憶(設定)し、処理をS405へ移行する。
【0085】
プロセスカートリッジ211内のトナー残量が少なくなり過ぎると、かすれ印刷が発生し、またトナー残量が少ない状態で画像形成処理を継続すると、トナーはダメージを受けやすく帯電の増加などによる汚れ印刷が発生する場合がある。したがって、プロセスカートリッジ211の寿命まで画像出力の品質を維持するため、第1の画像形成モードでは所定量のトナーがプロセスカートリッジ211内に残るようにトナーエンド閾値TE1を設定する。
【0086】
S404:制御部260は、第2の画像形成モードであると判定すると、制御切替部264により、トナーエンドを判定するための現像剤残量判定量としてのトナーエンド閾値TE2を記憶部63に記憶(設定)し、処理をS405へ移行する。
【0087】
第2の画像形成モードでは、上述したように背景部コントラスト電圧を大きくしているため、トナーが受けるダメージによる汚れ印刷が発生し難くい設定となっている。したがって、トナーエンド判定のトナーエンド閾値TE2は、第1の画像形成モードのトナーエンド判定のトナーエンド閾値TE1よりもプロセスカートリッジ211内に残るトナー量が少ない閾値として設定し、トナーエンド判定のトナーエンド閾値TE1は、第2の画像形成モードのトナーエンド判定のトナーエンド閾値TE2よりもプロセスカートリッジ211内に残るトナー量が多い閾値として設定する。
【0088】
S405:制御部260は、記憶部63に設定されたトナーエンド閾値を用いてトナーローを検出した以降のトナー使用量がその閾値を上回ったか否かを判定し、トナー使用量がトナーエンド閾値を上回ったと判定すると処理をS406へ移行し、トナー使用量がトナーエンド閾値に達していないと判定すると処理をS407へ移行する。
【0089】
すなわち、制御部260は、第1の画像形成モードのとき、記憶部63に設定されたトナーエンド閾値TE1を用いてトナーローを検出した以降のトナー使用量がトナーエンド閾値TE1を上回ったか否かを判定し、トナー使用量がトナーエンド閾値TE1を上回ったと判定すると処理をS406へ移行し、トナー使用量がトナーエンド閾値TE1に達していないと判定すると処理をS407へ移行する。
【0090】
また、制御部260は、第2の画像形成モードのとき、記憶部63に設定されたトナーエンド閾値TE2を用いてトナーローを検出した以降のトナー使用量がトナーエンド閾値TE2を上回ったか否かを判定し、トナー使用量がトナーエンド閾値TE2を上回ったと判定すると処理をS406へ移行し、トナー使用量がトナーエンド閾値TE2に達していないと判定すると処理をS407へ移行する。
【0091】
S406:制御部260は、トナー使用量がトナーエンド閾値を上回ったと判定すると表示部52にトナーエンド状態であるとことを表示させ、プロセスカートリッジの交換が必要であることを報知して処理を終了する。
S407:制御部260は、トナー使用量がトナーエンド閾値に達していないと判定すると表示部52にトナーロー状態であるとことを表示させて処理を終了する。
【0092】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、高濃度で画像を形成する第1の画像形成モードと低濃度で画像を形成する第2の画像形成モードとを制御切替部で切り替えてプロセスカートリッジ内のダメージを受けたトナーを廃棄するようにしたことにより、第1の画像形成モードでも形成する画像の高品質化を図ることができるという効果が得られる。
【0093】
また、プロセスカートリッジ内のトナーがダメージを受け難い第2の画像形成モードでは、トナーエンドを検出するための閾値を低く設定するようにしたことにより、トナーの使用量を増加させることができるという効果が得られる。
なお、第2の実施例では、トナーカートリッジを一体化した構成のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の例で説明したが、第1の実施例と同様に、トナーカートリッジが着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置としても良い。
【符号の説明】
【0094】
11〜14、211〜214 プロセスカートリッジ
16 搬送経路
17〜20 LEDヘッド
21 感光体ドラム
22 帯電ローラ
23 現像ローラ
24 供給ローラ
26 規制ブレード
31 給紙カセット
35 転写ベルトユニット
36 転写ベルト
41 定着器
52 表示部
60、260 制御部
62 CPU
63 記憶部
64、264 制御切替部
66 帯電電圧制御部
67 現像電圧制御部
68 供給電圧制御部
70 LEDヘッド制御部
71 モータ制御部
72 表示制御部
73 操作部
100、200 画像形成装置
261 トナー残量検出部
265 トナー廃棄制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体と、現像電圧が印加され、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、供給電圧が印加され、前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材とから成る画像形成部と、
高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替える制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像電圧と前記供給電圧との電位差を、前記第2の画像形成モードの前記現像電圧と前記供給電圧との電位差より小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体と、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材とから成る画像形成部と、
画像データの画像面積率が閾値より小さいとき、前記画像形成部に残留している現像剤を廃棄する現像剤廃棄手段と、
高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替える制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄量を、前記第2の画像形成モードの現像剤廃棄量より多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像データに応じて静電潜像を形成する像担持体と、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体へ現像剤を供給する現像剤供給部材とから成る画像形成部と、
前記画像形成部の現像剤の残量が現像剤残量判定量より少なくなったことを検出したとき、現像剤が不足したことを報知する現像剤残量検出手段と、
高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替える制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤残量判定量を前記第2の画像形成モードの現像剤残量判定量より多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
画像データの画像面積率が閾値より小さいとき、前記画像形成部に残留している現像剤を廃棄する現像剤廃棄手段を備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄量を、前記第2の画像形成モードの現像剤廃棄量より多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第2の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、請求項4または請求項5のいずれか1項の画像形成装置において、
前記画像形成部の現像剤の残量が現像剤残量判定量より少なくなったことを検出したとき、現像剤が不足したことを報知する現像剤残量検出手段を備え、
前記制御部は、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤残量判定量を前記第2の画像形成モードの現像剤残量判定量より多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の画像形成装置において、
前記画像形成部は、画像形成装置に、着脱可能なプロセスカートリッジとしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジは、現像剤を収容するトナーカートリッジが着脱可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7の画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジは、現像剤を収容するトナーカートリッジが一体に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像データに応じて静電潜像を像担持体に形成するステップと、現像剤担持体に現像電圧を印加し、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像するステップと、現像剤供給部材に供給電圧を印加し、前記現像剤担持体へ現像剤を供給するステップとを有する画像形成方法において、
制御部が、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替えるステップと、
前記制御部が、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像電圧と前記供給電圧との電位差を、前記第2の画像形成モードの前記現像電圧と前記供給電圧との電位差より小さくするステップとを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
画像データに応じて静電潜像を像担持体に形成するステップと、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像するステップと、前記現像剤担持体へ現像剤を供給するステップとを有する画像形成方法において、
画像データの画像面積率が閾値より小さいとき、現像剤廃棄手段が前記画像形成部に残留している現像剤を廃棄するステップと、
制御部が、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替えるステップと、
前記制御部が、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄量を、前記第2の画像形成モードの現像剤廃棄量より多くするステップとを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
画像データに応じて静電潜像を像担持体に形成するステップと、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に現像剤を現像するステップと、前記現像剤担持体へ現像剤を供給するステップとを有する画像形成方法において、
現像剤残量検出手段が、画像形成部の現像剤の残量が現像剤残量判定量より少なくなったことを検出したとき、現像剤が不足していることを報知するステップと、
制御部が、高濃度画像を得る画像形成条件を有する第1の画像形成モードと、前記第1の画像形成モードより低い濃度の画像を得る画像形成条件を有する第2の画像形成モードとを切り替えるステップと、
前記制御部が、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤残量判定量を前記第2の画像形成モードの現像剤残量判定量より多くするステップとを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項13】
請求項10の画像形成方法において、
画像データの画像面積率が閾値より小さいとき、現像剤廃棄手段が前記画像形成部に残留している現像剤を廃棄するステップと、
前記制御部が、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄量を、前記第2の画像形成モードの現像剤廃棄量より多くするステップとを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
請求項13の画像形成方法において、
前記制御部が、前記第2の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤廃棄手段による現像剤廃棄を中止するステップを含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
請求項10、請求項13または請求項14のいずれか1項の画像形成方法において、
現像剤残量検出手段が、画像形成部の現像剤の残量が現像剤残量判定量より少なくなったことを検出したとき、現像剤が不足していることを報知するステップと、
前記制御部が、前記第1の画像形成モードを選択したとき、前記現像剤残量判定量を前記第2の画像形成モードの現像剤残量判定量より多くするステップとを含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3415(P2013−3415A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135782(P2011−135782)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】