説明

画像形成装置および画像形成装置におけるジョブ履歴の管理方法

【課題】 ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 複合機は、ジョブの履歴であるジョブ履歴を記憶する不揮発性記憶装置と、ジョブ履歴を不揮発性記憶装置に書き込む履歴書込部と、ジョブ履歴を不揮発性記憶装置から読み出す履歴読出部とを備えており、履歴書込部は、同一のジョブに対するジョブ履歴を開始時履歴40、終了時履歴50に分割して不揮発性記憶装置に書き込み、履歴書込部は、開始時履歴40、終了時履歴50に互いを関連付けるためのジョブID41、51を含め、履歴読出部は、同一のジョブに対する開始時履歴40、終了時履歴50をジョブID41、51に基づいて読み出すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブの履歴(以下「ジョブ履歴」という。)を管理することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、管理者によって管理されるためや、不具合が発生したときに調査されるために、ジョブ毎にジョブ履歴を記憶している。このようなジョブ履歴には、例えば、ジョブの受付番号、ジョブの開始時刻、ジョブの終了時刻、ジョブの実行者、ジョブの結果など様々な情報が含まれている。
【0003】
ジョブ履歴を管理することができる画像形成装置として、不揮発メモリにジョブ履歴を記憶し、履歴確認キーが押下されたときにジョブ履歴を操作表示部に表示する複合機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−188589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置は、ジョブ履歴に含まれる複数の情報のうちジョブが発生したときに記憶されるべき情報のためだけでなく、ジョブが発生したときより後に記憶される情報のためにも、ジョブが発生したときにジョブ履歴のための記憶領域を予め確保しなければならないので、ジョブ履歴のための記憶容量に無駄があるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、ジョブの履歴であるジョブ履歴を記憶する履歴記憶部と、前記ジョブ履歴を前記履歴記憶部に書き込む履歴書込手段と、前記ジョブ履歴を前記履歴記憶部から読み出す履歴読出手段とを備えており、前記履歴書込手段は、同一の前記ジョブに対する前記ジョブ履歴を複数の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込み、前記履歴書込手段は、前記複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含め、前記履歴読出手段は、同一の前記ジョブに対する前記複数の履歴を前記識別情報に基づいて読み出すことを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、ジョブ履歴を分割した複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含めるので、ジョブ履歴を分割した複数の履歴のための複数の記憶領域を同時に確保する必要がなくそれぞれ適切な時期に生成すれば良い。したがって、本発明の画像形成装置は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記履歴書込手段によって分割された前記履歴は、複数の情報を含むとき、前記履歴書込手段によって同一の時期に前記複数の情報が書き込まれることが好ましい。
【0010】
この構成により、本発明の画像形成装置は、ジョブ履歴を分割した複数の履歴のうち同一の履歴に含まれる複数の情報の書き込み時期が同一であるので、ジョブ履歴を分割した複数の履歴のうち同一の履歴に含まれる複数の情報の書き込み時期が様々である構成と比較して、ジョブ履歴を分割した複数の履歴に対する書き込み回数を抑えることができる。したがって、本発明の画像形成装置は、書き込み回数によって寿命が決まる記憶デバイスによって履歴記憶部が構成されている場合、履歴記憶部の寿命の短縮を抑えることができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記複数の履歴は、前記ジョブの開始時に書き込まれる開始時履歴と、前記ジョブの終了時に書き込まれる終了時履歴とを含んでおり、前記履歴書込手段は、前記ジョブの結果を前記終了時履歴に含めることが好ましい。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、開始時履歴が書き込まれていて、ジョブの結果が何も書き込まれていないとき、ジョブが未だ終了していないと判断することができるので、ジョブが未だ終了していないことを示す情報をジョブの結果として書き込む必要がない。そのため、本発明の画像形成装置は、ジョブが未だ終了していないことを示す情報をジョブの結果として書き込む構成と比較して、履歴記憶部に対する書き込み回数を抑えることができる。したがって、本発明の画像形成装置は、書き込み回数によって寿命が決まる記憶デバイスによって履歴記憶部が構成されている場合、履歴記憶部の寿命の短縮を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記履歴書込手段は、前記ジョブが外部の複数の宛先に送信を行う送信ジョブであるとき、前記複数の宛先を前記複数の履歴のうち別々の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込むことが好ましい。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、宛先を記憶する履歴のために宛先数に応じた適切なサイズの記憶領域を確保するので、宛先を記憶する履歴のために常に一定サイズの大きな記憶領域を確保する構成と比較して、ジョブ履歴のための記憶容量を抑えることができる。
【0015】
本発明の管理方法は、ジョブの履歴であるジョブ履歴を記憶する履歴記憶部を備えている画像形成装置における前記ジョブ履歴の管理方法であって、同一の前記ジョブに対する前記ジョブ履歴を複数の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込み、前記複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含め、同一の前記ジョブに対する前記複数の履歴を前記識別情報に基づいて読み出すことを特徴とする。
【0016】
この構成により、本発明の管理方法を実行する画像形成装置は、ジョブ履歴を分割した複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含めるので、ジョブ履歴を分割した複数の履歴のための複数の記憶領域を同時に確保する必要がなくそれぞれ適切な時期に生成すれば良い。したがって、本発明の管理方法を実行する画像形成装置は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る複合機のブロック図である。
【図2】図1に示す不揮発性記憶装置に登録されるアドレス帳のうち1つの相手の情報を示す図である。
【図3】(a)は、図1に示す不揮発性記憶装置に記憶される開始時履歴を示す図である。(b)は、図1に示す不揮発性記憶装置に記憶される終了時履歴を示す図である。
【図4】(a)は、図1に示す不揮発性記憶装置に記憶される宛先履歴を示す図である。(b)は、図1に示す不揮発性記憶装置に記憶される宛先履歴であって、図4(a)に示す例とは異なる例の宛先履歴を示す図である。
【図5】ジョブの開始によって開始させられる図1に示す制御部の動作のフローチャートである。
【図6】図5に示す宛先履歴書込処理を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す複合機が起動されたときの制御部の動作のフローチャートである。
【図8】ジョブ結果を表示するときの図1に示す制御部の動作のフローチャートである。
【図9】ジョブ履歴を削除するときの図1に示す制御部の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る複合機10のブロック図である。
【0022】
図1に示すように、複合機10は、複合機10全体を制御する制御部11と、種々の情報を記憶する不揮発性の記憶装置である不揮発性記憶装置12と、種々の情報を表示する図示していない操作パネル上の表示部13と、利用者によって種々の操作が入力される操作パネル上の操作部14と、原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナ部15と、用紙に印刷を実行するプリンタ部16と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線を介してFAX通信を行うためのFAX通信部17と、PC(Personal Computer)などの図示していない外部の装置とLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して通信を行うためのネットワーク通信部18とを備えている。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによって制御部11を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
制御部11は、CPUがプログラムを実行することによって、ジョブ履歴を不揮発性記憶装置12に書き込む本発明の履歴書込手段としての履歴書込部11aと、ジョブ履歴を不揮発性記憶装置12から読み出す本発明の履歴読出手段としての履歴読出部11bと、ジョブ履歴を不揮発性記憶装置12から削除する履歴削除部11cとして機能するようになっている。
【0025】
不揮発性記憶装置12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの記憶デバイスである。
【0026】
表示部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0027】
操作部14は、例えば、表示部13とともにタッチパネルを形成するボタンや、操作パネル上のボタンなどの入力デバイスである。
【0028】
プリンタ部16は、例えば、スキャナ部15によって生成された画像データのジョブや、外部のファクシミリ装置からFAX通信部17を介してFAX受信されたFAXのジョブや、外部の装置からネットワーク通信部18を介して受信された印刷データのジョブなどの各種のジョブを印刷する印刷デバイスである。
【0029】
FAX通信部17は、例えば、スキャナ部15によって生成された画像データを外部のファクシミリ装置にFAX送信したり、プリンタ部16で印刷されるための画像データを外部のファクシミリ装置からFAX受信したりする。
【0030】
ネットワーク通信部18は、例えば、スキャナ部15によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリンタ部16で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする。
【0031】
不揮発性記憶装置12は、FAXや電子メールなどによって外部の宛先に送信を行う送信ジョブにおいて送信時に使用される宛先を予め登録するためのアドレス帳30と、ジョブの開始時のみに書き込まれる履歴である開始時履歴40と、ジョブの終了時のみに書き込まれる履歴である終了時履歴50と、ジョブが送信ジョブである場合に書き込まれる履歴である宛先履歴60とを記憶するようになっている。開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60は、ジョブ毎に不揮発性記憶装置12に書き込まれる情報である。更に、宛先履歴60は、宛先毎に不揮発性記憶装置12に書き込まれる情報である。したがって、不揮発性記憶装置12には、例えば同報送信などの場合には1つのジョブに対して何百もの宛先履歴60が記憶されることも有り得る。
【0032】
アドレス帳30は、例えば、FAX通信部17を介したFAX通信による送信や、ネットワーク通信部18を介した電子メールによる送信などにおいて、利用者が操作部14を介して宛先を具体的に入力する手間を省くために、予め不揮発性記憶装置12に登録される情報である。アドレス帳30に含まれる各種の情報は、例えば、利用者によって操作部14を介して複合機10に入力されたり、ネットワーク通信部18を介して外部の装置から複合機10に入力されたりすることができる。
【0033】
図2は、不揮発性記憶装置12に登録されるアドレス帳30のうち1つの相手の情報を示す図である。
【0034】
アドレス帳30には、複数の相手の情報が含まれている。図2に示すように、アドレス帳30には、相手を特定するための情報であるアドレス帳ID31と、アドレス帳ID31に関連付けられたFAX用の宛先32と、アドレス帳ID31に関連付けられた電子メール用の宛先33とが相手毎に含まれている。FAX用の宛先32には、相手の名称やFAX番号などが含まれている。電子メール用の宛先33には、相手の名称や電子メールアドレスなどが含まれている。なお、図2に示すアドレス帳30は、一例に過ぎない。すなわち、アドレス帳30は、FAX用の宛先32および電子メール用の宛先33に限らず、様々な通信方式用の宛先を含むことができる。
【0035】
図3(a)は、不揮発性記憶装置12に記憶される開始時履歴40を示す図である。図3(b)は、不揮発性記憶装置12に記憶される終了時履歴50を示す図である。
【0036】
図3(a)に示すように、開始時履歴40には、ジョブを特定するための情報であるジョブID41と、ジョブが複合機10に受け付けられた順番を示す受付番号42と、ジョブが開始された時刻を示す開始時刻43と、ジョブの実行者を示す実行者44と、ジョブが送信ジョブである場合に宛先の件数を示す宛先件数45とが含まれている。なお、図3(a)に示す開始時履歴40は、一例に過ぎない。すなわち、開始時履歴40は、例示した情報に限らず、様々な情報を含むことができる。
【0037】
図3(b)に示すように、終了時履歴50には、ジョブを特定するための情報であるジョブID51と、正常なジョブの終了、エラーによるジョブの終了、キャンセルによるジョブの終了など、ジョブの結果を示すジョブ結果52と、ジョブが終了した時刻を示す終了時刻53とが含まれている。なお、図3(b)に示す終了時履歴50は、一例に過ぎない。すなわち、終了時履歴50は、例示した情報に限らず、様々な情報を含むことができる。
【0038】
図4(a)は、不揮発性記憶装置12に記憶される宛先履歴60を示す図である。図4(b)は、不揮発性記憶装置12に記憶される宛先履歴60であって、図4(a)に示す例とは異なる例の宛先履歴60を示す図である。
【0039】
宛先履歴60には、図4(a)に示すものと、図4(b)に示すものとの2種類が存在する。図4(a)に示す宛先履歴60と、図4(b)に示す宛先履歴60との何れが不揮発性記憶装置12に書き込まれるかについては、後述する。図4(a)に示す宛先履歴60には、ジョブを特定するための情報であるジョブID61と、宛先を特定するための情報である宛先特定情報としての宛先ID62と、具体的な宛先を示す文字列である宛先63とが含まれている。宛先ID62は、例えば数字だけの少ない情報で良いので、文字列である宛先63より必要な記憶容量が少ない。図4(b)に示す宛先履歴60は、図4(a)に示す宛先履歴60と比較して、宛先63が省略された情報である。なお、図4に示す宛先履歴60は、一例に過ぎない。すなわち、宛先履歴60は、例示した情報に限らず、様々な情報を含むことができる。
【0040】
なお、同一のジョブに関する開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60は、ジョブID41、ジョブID51およびジョブID61が互いに同一である。つまり、ジョブID41、ジョブID51およびジョブID61は、開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60を互いに関連付けるための識別情報である。
【0041】
以上に説明したように、不揮発性記憶装置12は、開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60からなるジョブ履歴を記憶するようになっており、本発明の履歴記憶部を構成している。
【0042】
次に、複合機10の動作について説明する。
【0043】
<ジョブ履歴の書き込み>
複合機10の制御部11は、ジョブを開始したときに、図5に示す処理を開始する。
【0044】
図5は、ジョブの開始によって開始させられる制御部11の動作のフローチャートである。
【0045】
図5に示すように、制御部11は、開始時履歴40を履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込む(S101)。
【0046】
次いで、制御部11は、ジョブが送信ジョブであるか否かを判断する(S102)。
【0047】
制御部11は、ジョブが送信ジョブであるとS102において判断すると、図6に示す宛先履歴書込処理の実行を開始する(S103)。
【0048】
図6は、宛先履歴書込処理を示すフローチャートである。
【0049】
図6に示すように、制御部11は、ジョブに含まれる宛先のうち1つの宛先を対象とし(S121)、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一であるか否かを判断する(S122)。制御部11は、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一であるか否かを実際にアドレス帳30を検索して判断するようになっていても良い。また、制御部11は、対象の宛先が利用者によって具体的に直接入力されている場合に、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一ではないと判断し、対象の宛先がアドレス帳30の利用によって入力されている場合に、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一であると判断するようになっていても良い。
【0050】
制御部11は、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一であるとS122において判断すると、対象の宛先と同一であるとS122において判断した宛先のアドレス帳ID31と、ジョブの通信方式とを宛先ID62とした図4(b)に示す宛先履歴60を、履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込む(S123)。上述したように、アドレス帳30には、同一のアドレス帳ID31に対してFAX用の宛先32や電子メール用の宛先33など、様々な通信方式用の宛先が含まれている。したがって、制御部11は、アドレス帳ID31と、ジョブの通信方式とを履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込むことによって、FAX用の宛先32や電子メール用の宛先33など、具体的な通信方式用の宛先を特定することができる。なお、S123において書き込まれる宛先履歴60のジョブID61は、S101で書き込まれた開始時履歴40のジョブID41と同一のIDである。
【0051】
制御部11は、対象の宛先がアドレス帳30に登録済みの宛先と同一ではないとS122において判断すると、対象の宛先が既存の宛先履歴60に記憶済みの宛先63と同一であるか否かを判断する(S124)。
【0052】
制御部11は、対象の宛先が既存の宛先履歴60に記憶済みの宛先63と同一であるとS124において判断すると、対象の宛先と同一であるとS124において判断した宛先63を記憶している宛先履歴60の宛先ID62を宛先ID62とした図4(b)に示す宛先履歴60を、履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込む(S125)。なお、S125において書き込まれる宛先履歴60のジョブID61は、S101で書き込まれた開始時履歴40のジョブID41と同一のIDである。
【0053】
制御部11は、対象の宛先が既存の宛先履歴60に記憶済みの宛先63と同一ではないとS124において判断すると、新たな宛先IDを宛先ID62とし、対象の宛先を宛先63とした図4(a)に示す宛先履歴60を、履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込む(S126)。なお、S126において書き込まれる宛先履歴60のジョブID61は、S101で書き込まれた開始時履歴40のジョブID41と同一のIDである。
【0054】
制御部11は、S123、S125またはS126において宛先履歴60を不揮発性記憶装置12に書き込むと、ジョブに含まれる全ての宛先を対象としたか否かを判断する(S127)。
【0055】
制御部11は、ジョブに含まれる何れかの宛先を未だ対象としていないとS127において判断すると、未だ対象としていない宛先についてS121の処理を実行する。
【0056】
一方、制御部11は、ジョブに含まれる全ての宛先を対象としたとS127において判断すると、図6に示す宛先履歴書込処理の実行を終了する。
【0057】
図5に示すように、制御部11は、S103における宛先履歴書込処理の実行を終了すると、ジョブが終了したと判断するまで、ジョブが終了したか否かを判断する(S104)。
【0058】
なお、制御部11は、ジョブが送信ジョブではないとS102において判断したとき、S103における宛先履歴書込処理を実行せずに、S104の処理を実行する。
【0059】
制御部11は、ジョブが終了したとS104において判断すると、終了時履歴50を履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込んで(S105)、図5に示す処理を終了する。なお、S105において書き込まれる終了時履歴50のジョブID51は、S101で書き込まれた開始時履歴40のジョブID41と同一のIDである。
【0060】
制御部11は、ジョブの実行中、すなわち、図5に示すS104の処理の実行中に複合機10の電源が切断されると、複合機10が再び起動されたとき、電源が切断される前に実行中であったジョブをエラーとして終了するようになっている。
【0061】
図7は、複合機10が起動されたときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0062】
図7に示すように、制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないジョブ、すなわち、開始時履歴40が存在していて終了時履歴50が存在していないジョブがあるか否かを判断する(S141)。
【0063】
制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないジョブがあるとS141において判断すると、ジョブ結果52が記憶されていないとS141において判断したジョブのうち1つのジョブを対象とする(S142)。
【0064】
次いで、制御部11は、対象のジョブの終了時履歴50を履歴書込部11aによって不揮発性記憶装置12に書き込む(S143)。なお、S143において書き込まれる終了時履歴50のジョブID51は、対象のジョブの開始時履歴40のジョブID41と同一のIDである。ジョブ結果52としては、例えば「電源切断のエラーによるジョブの終了」という旨が書き込まれる。終了時刻53としては、例えばS143の実行時刻が書き込まれる。
【0065】
次いで、制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないとS141において判断した全てのジョブを対象としたか否かを判断する(S144)。
【0066】
制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないとS141において判断したジョブのうち何れかのジョブを未だ対象としていないとS144において判断すると、未だ対象としていないジョブについてS142の処理を実行する。
【0067】
一方、制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないとS141において判断した全てのジョブを対象としたとS144において判断すると、図7に示す処理を終了する。
【0068】
制御部11は、ジョブ結果52が記憶されていないジョブがないとS141において判断すると、S142〜S144の処理を実行せずに、図7に示す処理を終了する。
【0069】
<ジョブ履歴の読み出し>
以上のようにして不揮発性記憶装置12に書き込まれたジョブ履歴は、利用者によって確認されることができる。例えば、制御部11は、操作部14からの指示に応じて履歴読出部11bによってジョブ履歴を読み出し、読み出したジョブ履歴を表示部13に表示させることができる。また、制御部11は、ネットワーク通信部18を介した外部の装置からの指示に応じて履歴読出部11bによってジョブ履歴を読み出し、読み出したジョブ履歴をネットワーク通信部18を介して外部の装置に送信して、外部の装置の表示部にジョブ履歴を表示させることができる。ここで、履歴読出部11bは、ジョブID41、ジョブID51およびジョブID61に基づいて同一のジョブに対する開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60を読み出すことができる。すなわち、履歴読出部11bは、ジョブID41、ジョブID51およびジョブID61が互いに同一である開始時履歴40、終了時履歴50および宛先履歴60を、同一のジョブに対するジョブ履歴として扱うことができる。
【0070】
なお、終了時履歴50の書き込みがジョブの終了後のS105の処理において行われるので、終了時履歴50に含まれる情報であるジョブ結果52は、ジョブが実行中であるとき、未だ不揮発性記憶装置12に書き込まれていない。したがって、制御部11は、ジョブ結果52を表示するときに図8に示す処理を実行することができる。
【0071】
図8は、ジョブ結果52を表示するときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0072】
図8に示すように、制御部11は、ジョブ履歴を表示させるジョブに対して不揮発性記憶装置12にジョブ結果52が記憶されているか否かを判断する(S161)。
【0073】
制御部11は、ジョブ履歴を表示させるジョブに対して不揮発性記憶装置12にジョブ結果52が記憶されているとS161において判断すると、不揮発性記憶装置12に記憶されているジョブ結果52を履歴読出部11bによって読み出し(S162)、読み出したジョブ結果52を表示部13や外部の装置の表示部に表示させて(S163)、図8に示す処理を終了する。
【0074】
一方、制御部11は、ジョブ履歴を表示させるジョブに対して不揮発性記憶装置12にジョブ結果52が記憶されていないとS161において判断すると、ジョブが実行中であることを表示部13や外部の装置の表示部に表示させて(S164)、図8に示す処理を終了する。
【0075】
<ジョブ履歴の削除>
ジョブ履歴は、ジョブ履歴の数が所定の数以上になったり、最古のジョブ履歴が現在より所定の期間以上前のジョブ履歴になったりなど、所定の条件によって最古のものから削除される。
【0076】
図9は、ジョブ履歴を削除するときの制御部11の動作のフローチャートである。
【0077】
図9に示すように、制御部11は、削除対象のジョブ履歴に宛先履歴60が含まれているか否かを判断する(S181)。
【0078】
制御部11は、削除対象のジョブ履歴に宛先履歴60が含まれているとS181において判断すると、削除対象のジョブ履歴に含まれている宛先履歴60のうち1つの宛先履歴60を対象とし(S182)、対象の宛先履歴60に宛先63が含まれているか否かを判断する(S183)。
【0079】
制御部11は、対象の宛先履歴60に宛先63が含まれているとS183において判断すると、不揮発性記憶装置12に記憶されている他の宛先履歴60に対象の宛先履歴60の宛先ID62と同一の宛先ID62が記憶されているか否かを判断する(S184)。
【0080】
制御部11は、不揮発性記憶装置12に記憶されている他の宛先履歴60に対象の宛先履歴60の宛先ID62と同一の宛先ID62が記憶されているとS184において判断すると、対象の宛先履歴60の宛先ID62と同一の宛先ID62が記憶されている宛先履歴60のうち最新の宛先履歴60(図4(b)参照。)に、図4(a)に示すように宛先63を履歴書込部11aによって書き込んで(S185)、削除対象のジョブ履歴に含まれる全ての宛先履歴60を対象としたか否かを判断する(S186)。
【0081】
制御部11は、対象の宛先履歴60に宛先63が含まれていないとS183において判断すると、S184の処理およびS185の処理を実行せずにS186の処理を実行する。また、制御部11は、不揮発性記憶装置12に記憶されている他の宛先履歴60に対象の宛先履歴60の宛先ID62と同一の宛先ID62が記憶されていないとS184において判断すると、S185の処理を実行せずにS186の処理を実行する。
【0082】
制御部11は、削除対象のジョブ履歴に含まれる何れかの宛先履歴60を未だ対象としていないとS186において判断すると、未だ対象としていない宛先履歴60についてS182の処理を実行する。
【0083】
一方、制御部11は、削除対象のジョブ履歴に含まれる全ての宛先履歴60を対象としたとS186において判断すると、削除対象のジョブ履歴を履歴削除部11cによって削除して(S187)、図9に示す処理を終了する。また、制御部11は、削除対象のジョブ履歴に宛先履歴60が含まれていないとS181において判断したときも、削除対象のジョブ履歴を履歴削除部11cによって削除して(S187)、図9に示す処理を終了する。
【0084】
以上に説明したように、複合機10は、ジョブ履歴を分割した複数の履歴である開始時履歴40、終了時履歴50、宛先履歴60に、互いを関連付けるための識別情報であるジョブID41、ジョブID51、ジョブID61を含めるので、開始時履歴40、終了時履歴50、宛先履歴60のための複数の記憶領域を同時に確保する必要がなくそれぞれ適切な時期に生成すれば良い。したがって、複合機10は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる。
【0085】
また、履歴書込部11aは、ジョブ履歴に含まれる情報をその情報の書き込み時期によって開始時履歴40、終了時履歴50、宛先履歴60の何れかに分類するようになっている。そのため、複合機10は、開始時履歴40という同一の履歴に書き込まれる情報である受付番号42、開始時刻43、実行者44および宛先件数45の書き込み時期が同一であるので、受付番号42、開始時刻43、実行者44および宛先件数45の書き込み時期が様々である構成と比較して、開始時履歴40に対する書き込み回数を抑えることができる。同様に、複合機10は、終了時履歴50という同一の履歴に書き込まれる情報であるジョブ結果52および終了時刻53の書き込み時期が同一であるので、ジョブ結果52および終了時刻53の書き込み時期が様々である構成と比較して、終了時履歴50に対する書き込み回数を抑えることができる。したがって、複合機10は、EEPROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリなど、書き込み回数によって寿命が決まる記憶デバイスによって不揮発性記憶装置12が構成されている場合、不揮発性記憶装置12の寿命の短縮を抑えることができる。
【0086】
また、複合機10は、開始時履歴40が書き込まれていて、ジョブのジョブ結果52が何も書き込まれていないとき、ジョブが未だ終了していない、すなわちジョブの実行中であると判断することができるので、ジョブが未だ終了していないことを示す情報をジョブの結果として書き込む必要がない。そのため、複合機10は、ジョブが未だ終了していないことを示す情報をジョブの結果として書き込む構成と比較して、不揮発性記憶装置12に対する書き込み回数を抑えることができる。したがって、複合機10は、半導体メモリなど、書き込み回数によって寿命が決まる記憶デバイスによって不揮発性記憶装置12が構成されている場合、不揮発性記憶装置12の寿命の短縮を抑えることができる。
【0087】
また、複合機10は、宛先を記憶する履歴である宛先履歴60のために宛先数に応じた適切なサイズの記憶領域を確保するので、宛先を記憶する履歴のために常に一定サイズの大きな記憶領域を確保する構成と比較して、ジョブ履歴のための記憶容量を抑えることができる。
【0088】
また、複合機10は、宛先63が不揮発性記憶装置12上の宛先履歴60に既に記憶されている場合には(S124でYES)、宛先63を書き込む代わりに宛先ID62を書き込めば良い(S125)ので、宛先63そのものを書き込む構成と比較して、ジョブ履歴のための記憶容量を抑えることができる。したがって、複合機10は、ジョブ履歴のための記憶容量を従来より抑えることができる。
【0089】
また、複合機10は、宛先が不揮発性記憶装置12上のアドレス帳30に既に登録されている場合には(S122でYES)、宛先63を書き込む代わりに宛先ID62を書き込めば良い(S123)ので、宛先63そのものを書き込む構成と比較して、ジョブ履歴のための記憶容量を抑えることができる。
【0090】
また、複合機10は、宛先63が含まれる宛先履歴60を削除するときに、宛先63が含まれる宛先履歴60を新たに生成する(S185)ので、宛先63が含まれる宛先履歴60を削除しても、宛先ID62に基づいて宛先63を読み出すことができる。
【0091】
ジョブ履歴は、通常、最古のものから削除されることが多い。複合機10は、宛先63が含まれる宛先履歴60を削除するときに、宛先ID62が含まれる宛先履歴60のうち最新の宛先履歴60に宛先63を追加するので、宛先ID62が含まれる宛先履歴60のうち最新の宛先履歴60以外の宛先履歴60に宛先63を追加する構成と比較して、宛先63が含まれる宛先履歴60を削除する回数を減らすことができ、その結果、宛先履歴60に宛先63を追加する回数を抑えることができる。したがって、複合機10は、半導体メモリなど、書き込み回数によって寿命が決まる記憶デバイスによって不揮発性記憶装置12が構成されている場合、不揮発性記憶装置12の寿命の短縮を抑えることができる。なお、複合機10は、宛先ID62が含まれる宛先履歴60のうち最新の宛先履歴60以外の宛先履歴60に宛先63を追加する構成であっても良い。
【0092】
なお、複合機10は、ジョブ履歴の書き込み、読み出しおよび削除において、ジョブ履歴を利用者毎に扱うようになっていても良い。例えば、複合機10は、ジョブ履歴を書き込む場合、今回書き込む予定のジョブ履歴の基となったジョブの実行者が実行した他のジョブの宛先履歴60のみを、S124の処理における判断対象とするようになっていても良い。同様に、複合機10は、ジョブ履歴を削除する場合、今回削除予定のジョブ履歴の基となったジョブの実行者が実行した他のジョブの宛先履歴60のみを、S184の処理における判断対象とするようになっていても良い。
【0093】
また、本発明の画像形成装置は、本実施の形態において複合機であるが、コピー機、プリンタなど、複合機以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0094】
10 複合機(画像形成装置)
11a 履歴書込部(履歴書込手段)
11b 履歴読出部(履歴読出手段)
12 不揮発性記憶装置(履歴記憶部)
40 開始時履歴(ジョブ履歴)
41 ジョブID(識別情報)
50 終了時履歴(ジョブ履歴)
51 ジョブID(識別情報)
52 ジョブ結果(ジョブの結果)
60 宛先履歴(ジョブ履歴)
61 ジョブID(識別情報)
63 宛先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの履歴であるジョブ履歴を記憶する履歴記憶部と、前記ジョブ履歴を前記履歴記憶部に書き込む履歴書込手段と、前記ジョブ履歴を前記履歴記憶部から読み出す履歴読出手段とを備えており、
前記履歴書込手段は、同一の前記ジョブに対する前記ジョブ履歴を複数の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込み、
前記履歴書込手段は、前記複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含め、
前記履歴読出手段は、同一の前記ジョブに対する前記複数の履歴を前記識別情報に基づいて読み出すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記履歴書込手段によって分割された前記履歴は、複数の情報を含むとき、前記履歴書込手段によって同一の時期に前記複数の情報が書き込まれることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の履歴は、前記ジョブの開始時に書き込まれる開始時履歴と、前記ジョブの終了時に書き込まれる終了時履歴とを含んでおり、
前記履歴書込手段は、前記ジョブの結果を前記終了時履歴に含めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記履歴書込手段は、前記ジョブが外部の複数の宛先に送信を行う送信ジョブであるとき、前記複数の宛先を前記複数の履歴のうち別々の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込むことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
ジョブの履歴であるジョブ履歴を記憶する履歴記憶部を備えている画像形成装置における前記ジョブ履歴の管理方法であって、
同一の前記ジョブに対する前記ジョブ履歴を複数の履歴に分割して前記履歴記憶部に書き込み、前記複数の履歴に互いを関連付けるための識別情報を含め、同一の前記ジョブに対する前記複数の履歴を前記識別情報に基づいて読み出すことを特徴とする管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−205351(P2011−205351A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69952(P2010−69952)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】