説明

画像形成装置および端末用プログラム

【課題】画像処理端末で加工された画像を画像形成装置で簡単に印刷することができる技術を提供する。
【解決手段】携帯電話100からフォトプリンター10に対し、画像データのみならず、当該画像データに対して行う加工処理の内容を示す加工情報も送信される。そして、フォトプリンター10は画像データおよび加工情報に基づき携帯電話100で加工処理された割付画像やフレーム付画像と同一の加工処理済画像を印刷する。このように簡単な操作により携帯電話100で加工された画像をフォトプリンター10で印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話やデジタルカメラなどの画像処理端末が有する画像データをフォトプリンター、レーザープリンターなどの画像形成装置に伝送して印刷する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデジタルカメラなどの画像処理端末により撮像した画像をフォトプリンターなどにより印刷するために、画像処理端末からフォトプリンターなどの画像形成装置にIrDA(Infrared Data Association)通信を用いて上記画像の画像データを伝送する技術が確立されている。例えば特許文献1に記載の装置では、ファクシミリ装置(本発明の「画像形成装置」に相当)には、IrDA送受信部が設けられており、携帯端末との間でIrDA接続可能となっている。そして、ファクシミリ装置はIrDA通信により携帯端末からの記録データ(本発明の「画像データ」に相当)を受信すると、プリンターモードに移行して受信した記録データを記録部に転送して記録を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−60298号公報(段落[0018]〜[0021])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電話やデジタルカメラなどの画像処理端末では単に画像を撮像することができるのみならず、それらの画像に対して割付処理、フレーム追加、トリミングなどの加工を施することが可能となっている。このような画像処理端末のユーザーとしては、加工処理した画像を画像処理端末のディスプレイ上で見るだけでなく、印刷を希望することがある。しかしながら、従来技術では、画像データのみを画像処理端末からフォトプリンターなどにIrDA通信により送信して画像を1枚ずつ印刷しているに過ぎず、画像処理端末のディスプレイに映し出された割付画像やフレーム付画像などをそのまま印刷することはできなかった。そのため、ユーザーは画像処理端末内の画像データを画像形成装置に記憶させ、さらに画像形成装置により画像データに対してデータ加工を再度施した後で印刷を行う必要があった。
【0005】
この発明にかかる幾つかの態様は、上記した課題のうち少なくとも1つを解決することで、画像処理端末で加工された画像を画像形成装置で簡単に印刷することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる画像形成装置の一態様は、画像データを含むIrDA信号を受信するIrDA通信部と、画像データに対して行う加工処理の内容を示す、加工情報を含むリモコン信号を受信するリモコン受信部と、リモコン受信部で受信されたリモコン信号から加工情報を取得するとともに、IrDA通信部で受信されたIrDA信号から画像データを取得し、画像データに対して加工情報が示す加工処理を適用して得られるデータに基づき印刷を実行する制御部とを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる端末用プログラムの一態様は、リモコン信号のリモコン送信部と、IrDA信号の送受信を行うIrDA通信部と、画像データに対して加工処理を施す画像処理部とを備え、画像データおよび加工処理の内容を示す加工情報を画像形成装置に送信する画像処理端末で用いられる端末用プログラムであって、加工処理の内容を示す加工情報をリモコン信号に含ませてリモコン送信部から送信する第1手段と、画像データをIrDA信号に含ませてIrDA通信部から送信する第2手段として画像処理端末に機能させることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(画像形成装置および端末用プログラム)では、画像データがIrDA通信により画像形成装置に与えられるとともに、当該画像データに対して行う加工処理の内容が加工情報としてリモコン通信により画像形成装置に与えられる。そして、画像形成装置は上記画像データに対して加工処理を適用し、加工処された画像を印刷する。このように画像データのみならず加工処理の内容を画像処理端末から画像形成装置に送信しているため、画像処理端末で加工された画像がそのまま画像形成装置で簡単に印刷される。
【0009】
ここでは、2種類の通信手段を用いているが、リモコン通信とIrDA通信とを比較した場合、リモコン通信は、通信可能距離がIrDA通信に比べて長いという優位性を持っている。そこで、画像処理端末からリモコン信号を送信した後にIrDA信号を送信するのが好ましい。例えば、後述するように画像形成装置から画像処理端末が比較的離れていると、画像形成装置によるリモコン信号の受信は可能であるもののIrDA信号を受信することができないことがある。この場合、画像形成装置は、リモコン受信部でのリモコン信号の受信後、所定時間内にIrDA通信部によるIrDA信号の受信ができない場合、画像データの送信要求を報知してもよい。これによって画像処理端末を操作しているユーザーに対して的確な報知を行うことができる。なお、その報知態様としては、画像形成装置側で画像データの送信要求をメッセージなどにより報知してもよいし、画像処理端末に対して送信要求信号を送信したり、画像処理端末側でメッセージなどにより報知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるフォトプリンターと、本発明の画像処理端末の一実施形態である携帯電話を示す斜視図。
【図2】図1のフォトプリンターおよび携帯電話の電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態での動作を示すタイミング図。
【図4】第1実施形態での動作を模式的に示す図。
【図5】第2実施形態での動作を示すタイミング図。
【図6】第2実施形態での動作を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の画像形成装置の一実施形態であるフォトプリンターと、本発明の画像処理端末の一実施形態である携帯電話を示す斜視図である。また、図2は図1のフォトプリンターおよび携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。このフォトプリンター10では、プリンター本体12の内部にはプリント機構部50(図2参照)が内蔵されており、フォトプリンター10の全体の制御を司るコントローラー70(図2参照)からの動作指令に応じて用紙への印刷を実行する。そして、こうして印刷された用紙がプリンター本体12の前面に排紙される。また、携帯電話100はメモリーに保存されている画像に対して加工処理(例えば割付処理やフレーム追加など)を実行可能となっており、後述するように加工処理の内容を示す加工情報が赤外線リモコン信号を介してフォトプリンター10に伝送され、また加工処理の対象となった画像やフレーム画像などの画像データがIrDA通信される。そして、このようにして加工情報と画像データを受け取ったフォトプリンター10は携帯電話100で加工処理して得られた画像と同一の画像を用紙に印刷する。以下、携帯電話100およびフォトプリンター10の構成をそれぞれ説明した後で、携帯電話100により加工処理された画像を印刷する動作について図3および図4を参照しつつ説明する。
【0012】
本実施形態で使用される携帯電話100は、いわゆるカメラ付携帯電話であり、図2に示すように、IrDA規格に準拠した赤外線通信機能を搭載している。この携帯電話100は、決定ボタン、キャンセルボタン、矢印キー、テンキー等からなるボタン群81と、各種画面(画像)を表示するディスプレイ82と、画像を撮影するCCDカメラ83と、画像データや加工情報などのデータ入出力インタフェースである送受信部84と、CCDカメラ83により撮像した画像の画像データや加工情報などを各種ファイル形式で保存可能なメモリー85と、赤外線の受発光を行う赤外線通信ポート87と、赤外線通信ポート87を制御してフォトプリンター10とデータの送受信を行うIrDAコントローラ86と、携帯電話全体の制御を司る携帯電話コントローラ88とを備えている。
【0013】
このように構成された携帯電話100ではCCDカメラ83が内蔵されており、ユーザーはボタン群81を操作して画像を撮像し、メモリー85に保存することができる。また、メモリー85に予め記憶されているプログラムを起動してメモリー85内の画像を読み出し、種々の加工処理を施すことが可能となっている。例えば複数枚の画像をメモリ^85から読み出し、いわゆる割付処理を施してディスプレイ82に表示させることが可能となっている。また、ユーザーは自分で撮像した画像を予めメモリー85に保存されているフレーム画像を追加してオリジナル画像を作成する(本明細書では、「フレーム追加」と称する)ことも可能となっている。このような画像に対する加工処理は、メモリー85内に保存されたプログラムにしたがって携帯電話コントローラ88により実行され、携帯電話コントローラ88が画像処理端末における「画像処理部」として機能している。また、当該加工処理の内容を示す加工情報が携帯電話コントローラ88により作成され、メモリー85に一時的に保存される。したがって、適宜、画像の画像データおよび加工情報をメモリー85から読み出し、画像データに対して加工情報で示される加工処理を加えることで上記した割付画像やオリジナル画像などをディスプレイ82に表示させることができ、また画像データおよび加工情報をフォトプリンター10に伝送することで割付画像やオリジナル画像などを用紙に印刷することも可能である。そこで、本実施形態では、特許文献1に記載の装置のように単に画像データをIrDA通信によりフォトプリンター10に伝送するだけでなく、赤外線リモコン信号を用いて加工情報をフォトプリンター10に伝送することが可能となっている。
【0014】
本実施形態では、IrDA通信と赤外線リモコン通信を実行可能とするために、赤外線通信ポート87は赤外線リモコン信号を送信するリモコン信号送信機能を兼ね備えており、画像処理端末における「IrDA通信部」および「リモコン送信部」として機能している。すなわち、赤外線通信ポート87はIrDAコントローラ86により制御されてIrDA規格に準拠した赤外線信号(以下「IrDA信号」という)を送受信可能であるのみならず、各種フォーマットの赤外線リモコン信号を送信可能となっている。このように本実施形態では、従来より市販されている携帯電話100の基本構成を変更することなく、メモリー85内の端末用プログラムにしたがって各部を制御することで、後述するように加工情報をリモコン信号のデータコードに書き込みフォトプリンター10に送信したり、IrDA信号により画像データをフォトプリンター10に送信する機能を発揮させている。なお、本実施形態では、いわゆるNECフォーマットのリモコン信号を使用するが、赤外線リモコン信号のフォーマットはこれに限定されるものではなく、従来より使用されているものを選択的に使用してもよい。
【0015】
次に、上記のように構成された携帯電話100から送信されてくる画像データや加工情報に基づき割付画像やオリジナル画像などを印刷するフォトプリンター10の構成について説明する。このプリンター本体12の前面には、図1に示すように、前面扉14が開閉自在に取り付けられている。この前面扉14はプリンター本体12の前面を開閉するための蓋である。そして、開状態のときには、プリンター本体12の内部に設けられたプリント機構部50(図2参照)から排紙される用紙を受けるための排紙トレイとして機能する。また、プリンター本体12の前面に設けられた各種のメモリーカードスロット16をユーザーが利用可能な状態となる。つまり、この状態でユーザーは印刷対象となる画像ファイルを記憶したメモリーカードをメモリーカードスロット16に差し込むことができる。画像ファイルデータを記憶する外部記憶媒体としてはメモリーカードに限定されず、USBメモリーやディスク媒体など他のものであってもよい。
【0016】
また、メモリーカードスロット16の側方には、赤外線通信ポート71(図2参照)の受発光部71aが配置されており、携帯電話100の赤外線通信ポート87との間で双方向赤外線通信が可能となっている。また、これとは別に、携帯電話100から送信される赤外線を受光して、受光した赤外線をリモコン信号として変換して出力するリモコン受信部72(図2参照)の受光センサー72aがプリンター本体12の正面左下部に設けられている。このように本実施形態では、赤外線通信ポート71が画像形成装置における「IrDA通信部」として機能している。
【0017】
また、プリンター本体12の上面には操作パネル20が設けられる一方、プリンター本体12の上面における奥の一辺に対してカバー30が開閉自在に取り付けられている。このカバー30は、プリンター本体12の上面を覆うことのできる大きさに成形された樹脂板であり、開状態では操作パネル20の表面を外部に露出する(図1参照)。一方、カバー30が閉状態に閉じられると、操作パネル20全体を覆う。
【0018】
この操作パネル20には、文字や図形、記号などを表示する例えばLCDディスプレイにより構成された表示部22と、この表示部22の周囲に配置されたボタン群24とを備えている。ボタン群24は、電源のオンオフを行うための電源ボタン、メインメニュー画面を呼び出すためのメニューボタン、操作を途中でキャンセルしたり用紙への印刷を途中で中断したりするためのキャンセルボタン、用紙への印刷実行を指示するための印刷ボタン、メモリーカードスロット16に挿入されたメモリーカードに編集画像などを保存するための保存ボタン、表示部22に表示された複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択したりカーソルを移動したりするときに操作される上下左右の各矢印ボタン、この上下左右の各矢印ボタンの中央に配置され各矢印ボタンによって選択されている選択肢に決定したことを指示するためのOKボタン、表示部22での画面表示を切り替えるための表示切替ボタン、表示部22に表示される左ガイドを選択する左ガイド選択ボタン、表示部22に表示される右ガイドを選択する右ガイド選択ボタン、排紙トレイとしての機能を備えた前面扉14を開く排紙トレイオープンボタンなどで構成されている。
【0019】
また、表示部22の表示内容を確認するために、カバー30には表示部22と同じ大きさの窓32が設けられている。つまり、カバー30が閉状態にあるときにはユーザーはこの窓32を介して表示部22の表示内容を確認することができる。一方、カバー30は開状態のときには、表示部22を図1に示すように好みの角度に調整することが可能となっている。
【0020】
このようにカバー30を開状態としたときには、操作パネル20に対して斜め後方に傾斜した状態でカバー30は保持され、用紙をプリント機構部50へ供給するためのトレイとして利用可能となっている。また、操作パネル20の奥には、プリント機構部50の給紙口40が設けられるとともに、ガイド幅が用紙の幅に合うように左右方向にスライド操作される一対の用紙ガイド42が設けられている。そして、給紙口40を介して用紙がプリント機構部50に送り込まれるとともに、コントローラー70によりプリント機構部50の各部が制御されて印刷が実行される。
【0021】
このコントローラー70は、図2に示すように、CPU70aを中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種プログラムや各種テーブルなどを記憶したROM70bと、一時的にデータを記憶するRAM70cと、操作パネル20との通信を可能とする内部通信インタフェース70dとを備え、これらはバス73を介して互いに信号のやり取りが可能なように接続されている。そして、コントローラー70は操作パネル20の表示部22に対して制御指令を出力する。また、コントローラー70はIrDAコントローラ74を介して携帯電話100などの端末とIrDA信号による双方向通信を行うとともに、リモコン受信部72により携帯電話100などの端末から送信される赤外線リモコン信号を受信する。これらの信号はバス73を介してコントローラー70に送られ、リモコン信号に含まれる加工情報が取得されるとともに、IrDA信号に含まれる画像データが取得される。そして、コントローラー70は加工情報で示す加工処理を画像データに適用してデータを得るとともに、当該データに対応する画像を用紙に印刷させる。以下、図3および図4を参照しつつ携帯電話100とフォトプリンター10とによる画像形成動作について説明する。
【0022】
図3は第1実施形態にかかるフォトプリンターと携帯電話との間で実行される動作のタイミング図である。また、図4は携帯電話とフォトプリンターとで実行される動作を模式的に示す図である。携帯電話100の画像処理能力は年々進歩しており、フォトプリンター10と同程度の画像処理能力を有している。このため、携帯電話100のCCDカメラ83により撮像された写真や既にメモリー85に保存されている写真や画像などに基づき種々の画像処理を実行可能となっている。例えばユーザーはそれらの画像に対して割付処理、フレーム追加などの加工を施すことができ(図3の「割付、フレーム追加の操作」)、当該加工処理済の画像をディスプレイ82で見ることができる。なお、図4(a)では4枚の画像A〜Dを割り付けた割付画像がディスプレイ82に表示されている。
【0023】
そして、加工処理内容が確定し、当該加工処理済画像の印刷をユーザーが希望する場合、ユーザーは携帯電話100のボタン群81を押動して印刷を指示する。すると、携帯電話100のメモリー85に予め記憶されている端末用プログラムにしたがって携帯電話コントローラ88がリモコン通信による加工情報の送信、およびIrDA通信による画像データの送信をこの順序で実行する。すなわち、携帯電話コントローラ88は上記加工処理の内容を示す加工情報を印刷コマンドとともに8ビットのデータに変換し、リモコン信号に含ませる。この実施形態では、NECフォーマットを有する赤外線リモコン信号を用いており、8ビットのデータコードに上記8ビットのデータを書き込み、当該リモコン信号の送信を開始する(図4(b)参照)。なお、上記したようにリモコン信号の通信範囲は比較的広く、携帯電話100がフォトプリンター10から比較的離れていたとしてもリモコン信号はフォトプリンター10に確実に受信される。
【0024】
フォトプリンター10は、電源ON状態では、リモコン信号を常に受信可能となっており、上記リモコン信号を受信すると、そのリモコン信号が印刷に関する印刷コマンドを含んでいるか否かを判定する。そして、印刷コマンドではない場合には以下に説明する印刷処理を実行することなく、リモコン信号に含まれるコマンドに対応した処理を実行する。一方、印刷コマンドが含まれている場合には、さらにリモコン信号から加工情報を取得するとともに、当該加工情報をRAM70cに一時的に蓄積する。
【0025】
また、フォトプリンター10はリモコン信号に続いてIrDA信号が送られてくるのを待機する。ここで、例えば図4(c)に示すように、携帯電話100のフォトプリンター10からの離間距離がIrDAの通信可能距離を超えている場合には、上記したように携帯電話100はリモコン信号に続いてIrDA信号を送信しているにもかかわらず、フォトプリンター10はIrDA信号を受信することができず、印刷処理を実行することができない。そこで、本実施形態では、リモコン信号の受信後、さらに所定時間が経過した時点においても、依然としてIrDA信号を受信しない場合、コントローラー70は表示部22に対して報知指令を出す。これに応じて表示部22では、例えば「端末を近づけて再度送信ください」というメッセージが表示される。このように、本実施形態では表示部22が画像処理装置における「報知部」として機能している。
【0026】
このメッセージを確認したユーザーが携帯電話100をフォトプリンター10に近づけて再度操作ボタンを押動すると、再びリモコン信号およびIrDA信号がこの順序で送信される。すると、フォトプリンター10は上記と同様にしてリモコン信号を受信するのに続いてIrDA信号を受信する。フォトプリンター10は、受信したIrDA信号から画像データを取得するとともに、RAM70cに一時的に蓄積する。そして、コントローラー70は、画像データに対して加工情報で示される加工処理を適用して割付画像やフレーム付画像を示す画像データを作成し、当該画像データに基づきプリント機構部50を制御して割付画像やフレーム付画像などの加工処理済画像の印刷を実行する。
【0027】
以上のように、第1実施形態によれば、携帯電話100からフォトプリンター10に対し、画像データのみならず、当該画像データに対して行う加工処理の内容を示す加工情報も送信される。そして、フォトプリンター10は画像データおよび加工情報に基づき携帯電話100で加工処理された割付画像やフレーム付画像などの加工処理済画像と同一画像を印刷する。このように簡単な操作により携帯電話100で加工された画像をフォトプリンター10で印刷することができる。
【0028】
また、リモコン通信の通信可能距離がIrDA通信に比べて長いという優位性を考慮し、携帯電話100からリモコン信号を送信した後にIrDA信号を送信するように構成しているので、次のような作用効果も得られる。すなわち、携帯電話100がフォトプリンター10から比較的離れていたとしてもリモコン信号によりフォトプリンター10を確実に遠隔制御することができる。そして、仮に携帯電話100がフォトプリンター10からIrDA通信の通信可能距離を超えた位置にあったとしても、このようなIrDA通信不能状態をフォトプリンター10側で認識することができ、それに対して適切に対応することができる。つまり、上記実施形態では、IrDA通信不能状態となっているとき、フォトプリンター10の表示部22に適切な対応策を報知することができ、ユーザーに対して適切なアドバイス、つまりフォトプリンター10に近づいて画像データを再送信する旨を提示することができる。
【0029】
ところで、上記実施形態では、IrDA通信不能状態となった場合、ユーザー側で採り得る対応策をフォトプリンター10の表示部22で表示しているが、フォトプリンター10と携帯電話100との間のIrDA通信はいわゆる双方向通信であるため、次に説明する第2実施形態ではフォトプリンター10でのメッセージ表示とともに、あるいは同メッセージ表示に代えて、携帯電話100のディスプレイ82に上記と同様のメッセーを表示してもよい。以下、図5および図6を参照しつつ本発明の第2実施形態について説明する。
【0030】
図5は第2実施形態にかかるフォトプリンターと携帯電話との間で実行される動作のタイミング図である。また、図6は携帯電話100とフォトプリンター10とで実行される動作を模式的に示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、IrDA通信による画像データの送信タイミングである。すなわち、第2実施形態では、図6(a)に示すようにユーザーが所望の画像に対して割付処理、フレーム追加などの加工を施した後、携帯電話100のボタン群81を押動して当該加工処理内容を確定させるとともに印刷を指示する。すると、同図(b)に示すように携帯電話100のメモリー85に予め記憶されている端末用プログラムにしたがって携帯電話コントローラ88がリモコン通信により加工情報を送信する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、リモコン送信直後にIrDA通信による画像データの送信は行わない。
【0031】
このリモコン信号を受信したフォトプリンター10は、第1実施形態と同様に、そのリモコン信号が印刷に関する印刷コマンドを含んでいる場合に、リモコン信号から加工情報を取得するとともに、当該加工情報をRAM70cに一時的に蓄積する。そして、図6(c)に示すようにIrDA通信によりフォトプリンター10は画像データの送信を要求する信号を携帯電話100に送信する(図5中の「画像データの送信要求」)。
【0032】
携帯電話100では、リモコン信号を送信した後、フォトプリンター10から画像データの送信を要求するIrDA信号が送信されてくるのを待機している。ここで、同図(c)に示すように、携帯電話100のフォトプリンター10からの離間距離がIrDA通信の通信可能距離を超えている場合には、上記したようにフォトプリンター10はIDA信号を送信しているにもかかわらず、携帯電話100はIrDA信号を受信することができない。そこで、本実施形態では、リモコン信号の送信後、さらに所定時間が経過した時点においても、依然としてIrDA信号を受信しない場合、携帯電話コントローラ88はメモリー85に記憶されたプログラムにしたがってディスプレイ82に対して報知指令を出す。これに応じてディスプレイ82では、例えば「端末をプリンターに近づけてください」というメッセージが表示される。また、フォトプリンター10側においても、IrDA信号の送信後、さらに所定時間が経過した時点においても依然として画像データが携帯電話100から送信されてこない場合、フォトプリンター10の表示部22に上記メッセージを表示する。
【0033】
このメッセージを確認したユーザーが携帯電話100をフォトプリンター10に近づけて携帯電話100のフォトプリンター10からの離間距離がIrDA通信の通信可能距離以内となると、携帯電話100の赤外線通信ポート87が画像データの送信要求信号を受信する。すると、携帯電話100からフォトプリンター10に画像データがIrDA通信により送信される。このIrDA信号を受信したフォトプリンター10はIrDA信号から画像データを取得するとともに、RAM70cに一時的に蓄積する。そして、コントローラー70は、画像データに対して加工情報で示される加工処理を適用して割付画像やフレーム付画像を示す画像データを作成し、当該画像データに基づきプリント機構部50を制御して割付画像やフレーム付画像の印刷を実行する。
【0034】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、携帯電話100からフォトプリンター10に対し、画像データのみならず、当該画像データに対して行う加工処理の内容を示す加工情報も送信されるため、簡単な操作により携帯電話100で加工された画像をフォトプリンター10で印刷することができる。
【0035】
また、携帯電話100がフォトプリンター10から比較的離れていたとしてもリモコン信号によりフォトプリンター10を確実に遠隔制御することができるとともに、仮にIrDA通信不能状態となっている場合であっても、フォトプリンター10側および携帯電話100側で認識することができ、それに対して適切に対応することができる。つまり、第2実施形態では、IrDA通信不能状態となっているとき、フォトプリンター10の表示部22に対しても、また携帯電話100のディスプレイ82に対しても適切な対応策を報知することができ、ユーザーに対して適切なアドバイス、つまり携帯電話100をフォトプリンター10に近づける旨を提示することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、本発明にかかる画像形成装置は、フォトプリンター10に限らず、ファクシミリ機能やスキャナー機能などを備えた複合機としての画像形成装置なども含まれる。また、本発明にかかる端末用プログラムは携帯電話100に対するプログラムに限定されるものではなく、デジタルカメラなどの画像処理端末に対して適合するプログラムなども含まれる。つまり、リモコン信号のリモコン送信部と、IrDA信号の送信を行うIrDA通信部と、画像データに対して加工処理を施す画像処理部とを備え、画像データを画像形成装置に送信する画像処理端末全般に対して本発明を適用することができる。
【0037】
また、上記実施形態では、表示部22やディスプレイ82にメッセージを表示することでIrDA通信不能状態を報知しているが、報知手段や報知態様についてはメッセージ表示に限定されるものではなく、音声やランプ点滅などにより報知してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…フォトプリンター(画像形成装置)、70…コントローラー(制御部)、70a…CPU(制御部)、71…赤外線通信ポート(IrDA通信部)、72…リモコン受信部、87…赤外線通信ポート(IrDA通信部、リモコン送信部)、88…携帯電話コントローラ(画像処理部)、100…携帯電話(画像処理端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを含むIrDA信号を受信するIrDA通信部と、
前記画像データに対して行う加工処理の内容を示す、加工情報を含むリモコン信号を受信するリモコン受信部と、
前記リモコン受信部で受信された前記リモコン信号から前記加工情報を取得するとともに、前記IrDA通信部で受信された前記IrDA信号から前記画像データを取得し、前記画像データに対して前記加工情報が示す前記加工処理を適用して得られるデータに基づき印刷を実行する制御部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記リモコン受信部での前記リモコン信号の受信後、所定時間内に前記IrDA通信部が前記IrDA信号を受信しない場合、前記画像データの送信要求を報知する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部からの指令に応じて前記画像データの送信要求を報知する報知部を備える請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は前記IrDA通信部を制御して前記画像データの送信要求が含まれるIrDA信号を前記IrDA通信部から前記リモコン信号の発信元に送信して前記画像データの送信要求を前記発信元に報知する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
リモコン信号のリモコン送信部と、IrDA信号の送受信を行うIrDA通信部と、画像データに対して加工処理を施す画像処理部とを備え、前記画像データおよび前記加工処理の内容を示す加工情報を画像形成装置に送信する画像処理端末で用いられる端末用プログラムであって、
前記加工処理の内容を示す加工情報を前記リモコン信号に含ませて前記リモコン送信部から送信する第1手段と、
前記画像データを前記IrDA信号に含ませて前記IrDA通信部から送信する第2手段と
して前記画像処理端末に機能させることを特徴とする端末用プログラム。
【請求項6】
前記リモコン信号を送信した後に前記IrDA信号を送信するように前記画像処理端末を動作させる請求項5に記載の端末用プログラム。
【請求項7】
前記リモコン信号の送信後、所定時間内に前記IrDA通信部が前記画像データの送信要求を含む前記IrDA信号を受信しない場合、前記画像データの送信要求の発信元に対して前記画像処理端末を近づけるように報知する請求項6に記載の端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−56888(P2011−56888A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211378(P2009−211378)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】