説明

画像形成装置及びその廃トナー回収容器の状態判定方法

【課題】専用のセンサを追加することなく、エンコーダの回転を監視するだけで、オペレータに廃トナー回収容器(以下単に容器)に対する正確な処理を行なわせることができる画像形成装置及びその容器の状態判定方法を提供する。
【解決手段】容器が装着部に装着されると容器内蔵の廃トナー搬入スクリューの回転軸が装置部側のエンコーダに連結される機構で、容器が装着部に未装着ならエンコーダは回転せず、新しい空の容器が装着部に装着された場合はエンコーダが正常に回転し、容器が廃トナーで満杯近くになるとエンコーダの回転遅延に基づいて、稼動初期の確認で装着部への容器装着ありを検出した以降において、エンコーダの回転遅延を検出したとき「容器交換」の予告を報知し、エンコーダの回転停止を検出したとき、予告が既に行われている場合は「満杯につき交換」の指示を報知し、予告が行われていない場合は「容器接続状態の確認」の警告を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられ画像形成部材に転写されずに残った廃トナーを回収する廃トナー回収容器を備えた画像形成装置及びその廃トナー回収容器の状態判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トナーを用いた電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置が急速に普及している。このようなトナーを用いる画像形成装置は、必然的に廃トナーが発生する傾向があり、そのため、この廃トナーを回収する廃トナー回収容器を本体装置内の適宜の場所に着脱自在に備えるようにしているのが一般的である。
【0003】
通常、廃トナー回収容器は、廃トナーで満杯になったら、空の新品と交換する必要がある。そこで、廃トナー回収容器の装着有無と、装着された廃トナー回収容器の廃トナーの満杯を検知する方法として、装着された廃トナー回収容器に連動するエンコーダの回転状態をセンサで測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この方法では、廃トナー回収容器を装着部に装着すると廃トナー回収容器に内蔵される廃トナー搬入スクリューの回転軸が装着部側のエンコーダに係合するようにし、廃トナー回収容器が装着部に未装着の場合にはエンコーダが回転しないこと、新しい空の廃トナー回収容器が装着部に装着された場合にはエンコーダが正常に回転すること、廃トナー回収容器が廃トナーで満杯近くになった場合には廃トナー搬入スクリューが廃トナーの負荷で回転が鈍くなる、すなわちエンコーダの回転が遅延することを検出して、廃トナー回収容器の状態を判定するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開特開2005−257813号公報(図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、廃トナー回収容器内の廃トナーの回収量が満杯近くになると、搬送スクリューへの抵抗が増して搬送スクリュー回転が鈍くなる、つまりエンコーダの回転が遅延するが、そのまま廃トナーを回収し続けると更に負荷が増大していき、限界値を超えると最終的に搬送スクリューの回転が停止する。
【0007】
そのため、廃トナー回収容器が未装着のときと、限界量が超過した満杯のときとでは区別できず、廃トナー回収容器の状態の正確な情報をオペレータに知らせることができないという問題点が残されていた。
【0008】
この問題を解決するためには、廃トナー回収容器が装着されているか否かと、限度を超えて満杯であるかの区別を個別に検出する専用センサーが別途必要となって、装置製造コストの上昇要因となる。
【0009】
また、上記の検出方法は、機構的に廃トナーによる負荷によりエンコーダの回転が遅延し不安定になることを利用しているため、場合によっては、満杯近くの状態でも振動等の衝撃で廃トナー回収容器内で廃トナーの堆積状態が平均化され、エンコーダの回転が遅延でないと判断されて満杯を検出しないことがある。
【0010】
その後、遅延が発生するまでに時間が掛かり満杯の判断が遅れてしまうことがあると、正確な状態を報知できないだけでなく、廃トナーが外部にこぼれ、機内を汚してしまう場合があった。
【0011】
その他にも、廃トナー回収容器が着脱可能であることから、初期状態では廃トナー回収容器が正しく装着されていても、駆動しているうちに何らかの要因で装置本体との接合部に対して、廃トナー回収容器の接続が外れてしまうことが稀にあり、この場合にもエンコーダの回転は停止するので、正しい判断が出来なくなる。
【0012】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、専用のセンサを追加することなく、エンコーダの回転を監視するだけで、オペレータに廃トナー回収容器に対する正確な処理を行なわせることができる画像形成装置及びその廃トナー回収容器の状態判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
先ず、第1の発明の画像形成装置は、廃トナー回収容器が装着部に装着されると廃トナー回収容器に内蔵の廃トナー搬入スクリューの回転軸が上記装置部側のエンコーダに連結される機構を備えた画像形成装置において、上記廃トナー回収容器が上記装着部に未装着の場合には上記エンコーダが回転せず、新しい空の上記廃トナー回収容器が上記装着部に装着された場合には上記エンコーダが正常に回転し、上記廃トナー回収容器が廃トナーで満杯近くになった場合には上記エンコーダが満杯近くになった廃トナーの負荷で回転が遅延することを検出して、上記廃トナー回収容器の状態を判定する画像形成装置であって、稼動初期の確認で上記装着部への上記廃トナー回収容器の装着ありを検出した以降において、上記エンコーダの回転遅延を検出したとき「廃トナー回収容器交換近し」を意味する内容の予告報知を行う予告報知手段と、上記エンコーダの回転停止を検出したとき、上記予告報知が既に行われている場合は「廃トナー回収容器満杯につき交換」を意味する内容の指示報知を行い、上記予告報知が行われていない場合は「廃トナー回収容器の接続状態の確認」を意味する内容の警告報知を行う指示・警告報知手段と、を有して構成される。
【0014】
上記予告報知手段は、例えば、上記予告報知を行った以降において、上記エンコーダの正常回転が検出された場合でも、上記予告報知を維持するように構成される。
【0015】
また、この画像形成装置においては、例えば、上記指示・警告報知手段が上記指示報知、又は上記警告報知を行ったときは装置の稼動を停止する稼動停止手段を更に備えるように構成される。
次に、第2の発明の廃トナー回収容器の状態判定方法は、廃トナー回収容器が装着部に装着されると廃トナー回収容器に内蔵の廃トナー搬入スクリューの回転軸が上記装置部側のエンコーダに連結される機構を備えた画像形成装置において、上記廃トナー回収容器が上記装着部に未装着の場合には上記エンコーダが回転せず、新しい空の上記廃トナー回収容器が上記装着部に装着された場合には上記エンコーダが正常に回転し、上記廃トナー回収容器が廃トナーで満杯近くになった場合には上記エンコーダが満杯近くになった廃トナーの負荷で回転が遅延することを検出して、上記廃トナー回収容器の状態を判定する廃トナー回収容器の状態判定方法であって、稼動初期の確認で上記装着部への上記廃トナー回収容器の装着ありを検出した以降において、上記エンコーダの回転遅延を検出したとき「廃トナー回収容器交換近し」を意味する内容の予告報知を行う予告報知工程と、上記エンコーダの回転停止を検出したとき、上記予告報知が既に行われている場合は「廃トナー回収容器満杯につき交換」を意味する内容の指示報知を行い、上記予告報知が行われていない場合は「廃トナー回収容器の接続状態の確認」を意味する内容の警告報知を行う指示・警告報知工程と、を含んで構成される。
【0016】
上記予告報知工程は、例えば、上記予告報知を行った以降において、上記エンコーダの正常回転が検出された場合でも、上記予告報知を維持するように構成される。
【0017】
また、この廃トナー回収容器の状態判定方法において、例えば、上記指示・警告報知工程で上記指示報知、又は上記警告報知を行ったときは装置の稼動を停止する工程を更に含むように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、専用のセンサを追加することなく、エンコーダの回転を監視するだけで、オペレータに廃トナー回収容器に対する正確な処理を行なわせることができる画像形成装置及びその廃トナー回収容器の状態判定方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における非磁性1成分トナーを用いて画像を形成するカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0020】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0021】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成からなる。
【0022】
上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0023】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0024】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、光書込ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0025】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0026】
また、現像器12の下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0027】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14と、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16を備えている。
【0028】
上記の転写ベルト14は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0029】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0030】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0031】
そして、ベルト位置制御機構17は、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させる。
【0032】
すなわち、ベルト位置制御機構17は、中間転写ベルトユニット3の転写ベルト14の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14から離れる)に切換える。
【0033】
上記の中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器19が着脱自在に配置されている。
【0034】
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット21を備え、2個の給紙カセット21の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。
【0035】
待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0036】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置27が配置されて、ベルト式熱定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。
【0037】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。
【0038】
上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0039】
また、本例において中間転写ベルトユニット3の上面部には、クリーニング部35及び取り込みローラ36が配置されている。
【0040】
クリーニング部35は、転写ベルト14の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ36はクリーニング部35が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器19に送り込んでいる。この廃トナー回収容器19は、先行技術の図3及び図4に示されているものと同様の構成である。
【0041】
また、上記のクリーニング部35を適度の圧力で転写ベルト14に圧接させるために、中間転写ベルトユニット3側には、下方から転写ベルト14をクリーニング部35に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。
【0042】
図1に示すように、この画像形成装置1は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対25により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト14を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0043】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図1の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0044】
そして、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図1の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、長手方向に入れ替え操作するだけの小さなスペースで良いように構成されている。
【0045】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化が図られている。また、光書込みヘッド自体も小型化され、感光体ドラムに、より近接している構成となっている。
【0046】
図2は、上記構成のプリンタ1における、内部の回路構成を示す図である。同図に示すように回路は、インターフェイス(I/F)40、プリンタコントローラ部41、EEPROM(electrically erasable programable ROM)42、ROM(read only memory)43、操作パネル44、ヘッドコントローラ部45で構成されている。
【0047】
プリンタコントローラ部41には、本体装置1の内部の適宜の位置に配設されている温湿度センサ46と廃トナー回収容器19の本体装置1側に形成されている装着部に配置された廃トナーセンサ47が接続されている。
【0048】
廃トナーセンサ47は、光反射型又は光透過型の光学センサから成り、装着部において廃トナー回収容器19に内蔵されている廃トナー搬入スクリューの回転軸に係合するエンコーダの回転を検知して、その検知パルス信号を、プリンタコントローラ部41に出力する。
【0049】
廃トナー搬入スクリュー、つまりエンコーダは、廃トナー回収容器19が装着部に未装着の状態では回転せず、空の新しい廃トナー回収容器19が装着部に装着されたときは正常に回転し、装着された廃トナー回収容器19内の廃トナーが満杯近くなるにつれ、廃トナーの負荷により回転が減速し、廃トナー回収容器19内の廃トナーが限度一杯に満杯になると回転が停止する。
【0050】
また、図1には図示を省略したが、高圧電源を含む高圧ユニット48が接続されている。高圧ユニット48は、帯電ローラ9、現像ローラ13、一次転写ローラ18、二次転写ローラ26等に所定のバイアス電圧を供給するプラス又はマイナスの高圧電源を備えている。
【0051】
また、他方のヘッドコントローラ部45には、図1に示した4個の光書込ヘッド11が接続されている。
【0052】
インターフェイス(I/F)40は不図示のホスト機器から送られてくる印刷データを入力し、印刷データの中の画像データをヘッドコントローラ部45に出力し、印刷データの中のコマンドをプリンタコントローラ部41に出力する。
【0053】
EEPROM42には装置内の温湿度や、後述するエンコーダの回転パルス、予告中フラグ、予告後廃トナーの回収量などが記憶される。また、ROM43には印刷プログラムや、制御プログラムが記憶されている。
【0054】
ヘッドコントローラ部45には、特には図示しないが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に対応する4つの領域で構成されたフレームメモリを備えている。ヘッドコントローラ部45は、インターフェイス(I/F)40から入力される画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のビットマップデータを作成する。
【0055】
そして、イエロー(Y)のビットマップデータはフレームメモリのイエロー(Y)の記憶エリアに記憶され、マゼンタ(M)のビットマップデータはフレームメモリのマゼンタ(M)の記憶エリアに記憶され、シアン(C)のビットマップデータはフレームメモリのシアン(C)の記憶エリアに記憶され、クロ(K)のビットマップデータはフレームメモリのクロ(K)の記憶エリアに記憶される。
【0056】
プリンタコントローラ部41は、本例のプリンタ1の印刷制御及びシステム制御を行うCPUを備えた中央制御部であり、特には図示しないが、時間カウンタ、印刷枚数カウンタ、実印字ドット数カウンタ等の数値カウンタや、レジスタ等が内蔵され、ROM43に記憶されているプログラムに従って各部の制御を行う。
【0057】
このプリンタコントローラ部41は、操作パネル44に設けられた不図示のキー操作部からの操作信号を入力し、また、これも不図示の表示部に表示信号を出力する。
【0058】
そして、プリンタコントローラ部41は、インターフェイス(I/F)40から供給されるコマンドに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、クロ(K)毎に、印字指令をヘッドコントローラ部45に出力する。
【0059】
ヘッドコントローラ部45は、上記の印字指令に基づいて、イエロー(Y)の印字データを画像形成ユニット6Kの光書込ヘッド11に供給し、マゼンタ(M)の印字データを画像形成ユニット6Mの光書込ヘッド11に供給し、シアン(C)の印字データを画像形成ユニット6Cの光書込ヘッド11に供給し、ブラック(K)の印字データを画像形成ユニット6Kの光書込ヘッド11に供給する。そして、各画像形成ユニット6によって各色の印字が行われる。
【0060】
また、ヘッドコントローラ部45は、上記の印字データを各光書込ヘッド11に供給すると共に、その実印字ドット数等を、プリンタコントローラ部41に通知する。この実印字ドット数により、転写ベルト14上に発生する廃トナー量が推計され、後述する予告後廃トナーの回収量が算出される。
【0061】
前述したように、廃トナー回収容器19の廃トナー搬入スクリュー、つまり本体装置1の装着部側にあるエンコーダは、廃トナー回収容器19が装着部に未装着の状態では回転せず、空の新しい廃トナー回収容器19が装着部に装着されたときは正常に回転し、装着された廃トナー回収容器19内の廃トナーが満杯近くなるにつれ、廃トナーの負荷により回転が減速し、廃トナー回収容器19内の廃トナーが限度一杯に満杯になると回転が停止する。
【0062】
図3は、そのようなエンコーダの回転を検出する廃トナーセンサ47の出力に基づいてプリンタコントローラ部41により廃トナー回収容器19の状態を判断する処理のフローチャートである。
【0063】
尚、この処理は、電源が入力されると、所定の周期の割り込み処理として実行される。また、エンコーダの回転を検出する廃トナーセンサ47の出力信号を単に「パルス」ということにする。
【0064】
図3に示す処理において、先ず、パルスが停止している(パルスが発生していない)か否かを判別する(ステップS01)。そして、パルスが発生していれば(S01がNo)、更にそのパルスが正常な周期よりも遅延しているか否か判別する(ステップS02)。
【0065】
そして、遅延していなければ(S02がNo)、エンコーダは減速せずに正常な速度で回転していると判断し、次に、予告中であるか否か判別する(ステップS06)。
【0066】
この処理は、パスルの判別でパスルが正常値よりも遅延しているときに行われる後述の廃トナー回収容器19の新品との交換時期が近づいていることを予告する予告報知が操作パネルに表地されているか否かを判別する処理である。
【0067】
そして、予告中でなければ(S06がNo)、全てが正常であるので処理を終了する。このように、エンコーダが正常な速度で回転していて且つ予告中でなければ、新品又は比較的新しい廃トナー回収容器19が装着部に装着されていると判断する。
【0068】
そして、上述した予告後に、振動等の衝撃で廃トナー回収容器内で廃トナーの堆積状態が平均化され、エンコーダの回転が遅延と判断されるほどには遅くなっていない場合もあるので、そのような万一の場合に備えて、エンコーダが正常な速度で回転している場合でも、ステップS06では、予告中であるか否かを判断している。
【0069】
そして、ステップS06の判別で、予告中であった場合は(S06がYes)、いまはエンコーダの回転が遅延と判断されるほどには遅くなっていないが、前の処理周期ではエンコーダの回転が遅延している判断されて、廃トナー回収容器19の新品との交換時期が近づいていることが予告報知されている。
【0070】
その場合は、操作パネルの「コウカンヨコク」(交換予告)の予告報知の表示をそのまま継続し(ステップS04)、予告後に行なわれている廃トナー回収量の計測結果をEEPROM42に格納して(ステップS05)、処理を終了する。
【0071】
このように、一旦「コウカンヨコク」(交換予告)が出た後では、電源断から復帰した後のイニシャル処理や印字中に、エンコーダパルスの減速が検出されなくても、継続して予告を報知することができる。
【0072】
また、このように予告後の回収量が規定値に到達していても、エンコーダの減速が確認されなければ満杯とは判断せずに、継続して予告を表示する場合は、その規定値として、エンコーダの減速(満杯近く)から停止(限界量超過)するまでの収容量に対しては充分に余裕のある値を設定するものとする。
【0073】
尚、廃トナー回収量の計測は、サイズ毎の印刷枚数を計測し、その計測結果を基準サイズの用紙枚数に換算し、転写ベルト14に現像された現像密度が平均的な5%の印字密度の画像データの現像密度であると推定し、その場合に発生する廃トナーの回収量を予め知られている量に基づいて算出する。
【0074】
また、ステップS02の判別で、エンコーダの回転が遅くなっている、すなわちパルスが遅延しているときは(S2Yes)、続いて、予告後の廃トナー回収量が規定値に達しているか否かを判別する(ステップS03)。
【0075】
この判別は、上記予告後に算出されている廃トナー回収量が、廃トナー回収容器19に予め定められている回収限界量(規定値)に達しているか否かを判断する処理である。
【0076】
そして算出されている廃トナー回収量が規定値に達していないときは(S03がNo)、上記のステップS02のパスル遅延検出が最初の検出であるときは、ステップS04で操作パネルに、廃トナー回収容器19の交換時期が近いことをオペレータに知らせる「コウカンヨコク」(交換予告)の予告報知の表示は、最初の表示として行われる。そして、ステップS05で予告後の廃トナー回収量の計測が開始される。
【0077】
また、上記のステップS02のパスル遅延検出が最初の検出でないときは、ステップS04で操作パネルに「コウカンヨコク」の予告報知の表示は、表示の継続として表示される。そして、ステップS05では予告後の廃トナー回収量の計測結果をEEPROM42に格納する、
【0078】
このように、パスルの遅延が検出されたときは、最初の検出であれば勿論、2回目以降の検出の場合でも、「コウカンヨコク」の予告報知の表示が、表示され続ける。
【0079】
また、ステップS01の判別で、パルスが停止しているときは(S01がYes)、続いて、電源起動時又はカバー類が開閉された際のイニシャル処理中であるか否かを判別する(ステップS07)。
【0080】
そして、イニシャル処理中であるときは(S07がYes)、イニシャル時にオペレータが廃トナー回収容器19を装着部に未装着であると判断して、操作パネル44の表示装置に、廃トナー回収容器19の接続状態の確認を意味する「ソウチャクカクニン」と表示して、オペレータに警告報知し(ステップS12)、装置全体を停止させて(ステップS11)、処理を終了する。
【0081】
ただし、装置全体を停止といっても、回転駆動部その他の機構的な動作部の駆動を停止させるのであり、操作パネル44の表示装置の表示、入力キー等のイベント検出等の電気回路は停止しない。
【0082】
また、上記ステップS07の判別で、イニシャル処理中でないときは(S07がNo)、印刷中モードであるので、更に続いて、予告中であるが否かを判別する(ステップS08)。この処理は、ステップS04の処理で行われた「コウカンヨコク」の予告報知の表示が表示中であるか否かを判別する処理である。
【0083】
そして、予告中でないときは(S08がNo)、正常に印刷を実行中のはずである場合のパルスの停止であるので、廃トナー回収容器19の装着部との接続が、初期の不完全装着、又は振動等により、接続不良が発生したことによる回転停止と判断する。
【0084】
そして、この場合も、ステップS12で廃トナー回収容器19の接続状態の確認を意味する「ソウチャクカクニン」の表示でオペレータに警告報知し、ステップS11で装置全体を停止させて処理を終了する。
【0085】
このように、イニシャル処理中のときは勿論、イニシャル処理中のとき以外の正常な印字実行中でもパルスの回転停止を検出した場合には、廃トナー回収容器19の接続状態の確認を警告して、オペレータへ正確な処理を促すことができる。
【0086】
また、上記ステップS08の判別で、予告中であるときは(S08がYes)、廃トナーの満杯による搬入スクリューの負荷の超過でエンコーダの回転が停止したと判断して、廃トナー回収容器19が廃トナーで満杯になったことを知らせる「マンパイ」の警告報知を表示して、オペレータに新品の廃トナー回収容器19の交換を促し(ステップS10)、ステップS11で装置全体を停止させて、処理を終了する。
【0087】
このように、イニシャル処理も含め、廃トナー回収容器19の寿命(交換時期)予告中に回転停止を検出した場合は、廃トナー回収容器19の廃トナー満杯による搬入スクリューの負荷の超過で停止したと判断して満杯を報知する。
【0088】
これにより、予告発生後から更に使用し続け、万一、規定の収容量を超過して回収が継続された場合でも、更なる回収を防ぎ、且つ、オペレータへ正確な処理を促すことができる。
【0089】
尚、上記の実施形態では、廃トナー回収容器の満杯の判断する条件を交換予告後の廃トナーの回収量としたが、単純な印刷枚数の計数値で設定するようにしてもよい。また、エンコーダの回転遅延の検出に代えて、新品の廃トナー回収容器の交換後からの廃トナー回収量(計算値)が、或る一定量(例えば70%など)以上となったら予告中としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態1における非磁性1成分トナーを用いて画像を形成するカラー画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施形態1におけるプリンタの内部の回路構成を示す図である。
【図3】実施形態1におけるプリンタにおいてエンコーダの回転を検出する廃トナーセンサの出力に基づいてプリンタコントローラ部により廃トナー回収容器の状態を判断する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 中間転写ベルトユニット
4 給紙部
5 両面印刷用搬送ユニット
6(6M、6C、6Y、6K) 画像形成ユニット
7(7m、7c、7y、7k) 感光体ドラム
8 クリーナ
9 帯電ローラ
11 光書込ヘッド
12 現像器
13 現像ローラ
14 転写ベルト
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 ベルト位置制御機構
18 一次転写ローラ
19 廃トナー回収容器
21 給紙カセット
22 用紙取出ローラ
23 給送ローラ
24 捌きローラ
25 待機搬送ローラ対
26 二次転写ローラ
27 ベルト式熱定着装置
28 搬出ローラ対
29 排紙トレー
31 排紙ローラ対
32a 開始返送路
32b 中間返送路
32c 終端返送路
33a、33b、33c、33d 返送ローラ対
35 クリーニング部
36 取り込みローラ
37 押圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃トナー回収容器が装着部に装着されると廃トナー回収容器に内蔵の廃トナー搬入スクリューの回転軸が前記装置部側のエンコーダに連結される機構を備えた画像形成装置において、前記廃トナー回収容器が前記装着部に未装着の場合には前記エンコーダが回転せず、新しい空の前記廃トナー回収容器が前記装着部に装着された場合には前記エンコーダが正常に回転し、前記廃トナー回収容器が廃トナーで満杯近くになった場合には前記エンコーダが満杯近くになった廃トナーの負荷で回転が遅延することを検出して、前記廃トナー回収容器の状態を判定する画像形成装置であって、
稼動初期の確認で前記装着部への前記廃トナー回収容器の装着ありを検出した以降において、
前記エンコーダの回転遅延を検出したとき「廃トナー回収容器交換近し」を意味する内容の予告報知を行う予告報知手段と、
前記エンコーダの回転停止を検出したとき、前記予告報知が既に行われている場合は「廃トナー回収容器満杯につき交換」を意味する内容の指示報知を行い、前記予告報知が行われていない場合は「廃トナー回収容器の接続状態の確認」を意味する内容の警告報知を行う指示・警告報知手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記予告報知手段は、前記予告報知を行った以降において、前記エンコーダの正常回転が検出された場合でも、前記予告報知を維持する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記指示・警告報知手段が前記指示報知、又は前記警告報知を行ったときは装置の稼動を停止する稼動停止手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
廃トナー回収容器が装着部に装着されると廃トナー回収容器に内蔵の廃トナー搬入スクリューの回転軸が前記装置部側のエンコーダに連結される機構を備えた画像形成装置において、前記廃トナー回収容器が前記装着部に未装着の場合には前記エンコーダが回転せず、新しい空の前記廃トナー回収容器が前記装着部に装着された場合には前記エンコーダが正常に回転し、前記廃トナー回収容器が廃トナーで満杯近くになった場合には前記エンコーダが満杯近くになった廃トナーの負荷で回転が遅延することを検出して、前記廃トナー回収容器の状態を判定する廃トナー回収容器の状態判定方法であって、
稼動初期の確認で前記装着部への前記廃トナー回収容器の装着ありを検出した以降において、
前記エンコーダの回転遅延を検出したとき「廃トナー回収容器交換近し」を意味する内容の予告報知を行う予告報知工程と、
前記エンコーダの回転停止を検出したとき、前記予告報知が既に行われている場合は「廃トナー回収容器満杯につき交換」を意味する内容の指示報知を行い、前記予告報知が行われていない場合は「廃トナー回収容器の接続状態の確認」を意味する内容の警告報知を行う指示・警告報知工程と、
を含むことを特徴とする廃トナー回収容器の状態判定方法。
【請求項5】
前記予告報知工程は、前記予告報知を行った以降において、前記エンコーダの正常回転が検出された場合でも、前記予告報知を維持する、ことを特徴とする請求項4記載の廃トナー回収容器の状態判定方法。
【請求項6】
前記指示・警告報知工程で前記指示報知、又は前記警告報知を行ったときは装置の稼動を停止する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項4記載の廃トナー回収容器の状態判定方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−26276(P2010−26276A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188120(P2008−188120)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】