画像形成装置及びプログラム
【課題】決められた条件に従って動作する画像形成手段を、画像に特定のむらが生じないように動作させる。
【解決手段】画像形成装置は、中間転写ベルト105の移動方向(A2)に直交する方向の幅が連続的に変化する画像(ここでは二等辺三角形)をパターン画像として形成するとともに、これを濃度センサ301によって検出し、当該方向に沿って生じる筋状のむらが検出された場合には、画像形成条件を変更する。このようにして変更された画像形成条件で画像を形成すると、その後に形成される画像の幅がどのような幅であっても、筋状のむらは生じないようになる。なお、中間転写ベルト105のうちの破線より内側の領域は、トナーが転写され得る領域であり、この領域の幅は画像形成装置において用いられる記録媒体の最大サイズに応じて定まる。
【解決手段】画像形成装置は、中間転写ベルト105の移動方向(A2)に直交する方向の幅が連続的に変化する画像(ここでは二等辺三角形)をパターン画像として形成するとともに、これを濃度センサ301によって検出し、当該方向に沿って生じる筋状のむらが検出された場合には、画像形成条件を変更する。このようにして変更された画像形成条件で画像を形成すると、その後に形成される画像の幅がどのような幅であっても、筋状のむらは生じないようになる。なお、中間転写ベルト105のうちの破線より内側の領域は、トナーが転写され得る領域であり、この領域の幅は画像形成装置において用いられる記録媒体の最大サイズに応じて定まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、意図しないむらが画像に生じることがある。むらの原因としては、例えば、2次色以上の画像(すなわち2以上の原色を混色した画像)を転写する場合に、他の色のトナーの上に転写されるべきトナーが十分に転写されないことによる転写不良が挙げられる。このような転写不良は、リトランスファー(再転写)とも呼ばれる。このような転写不良の具体的な態様としては、例えば、用紙の移動方向に交差(典型的には直交)する方向に生じる筋状のむらがある。
【0003】
特許文献1には、画像に生じる「画像むら」や「すじ」を補正するために、変換テーブル(LUT)を用いて画像処理を実行することが記載されている。特許文献1に記載された技術は、より詳細には、特定の位置に生じる「画像むら」や「すじ」を補正するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−88562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、決められた条件に従って動作する画像形成手段を、画像に特定のむらが生じないように動作させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、前記制御手段の制御に応じて前記画像形成手段により形成されたパターン画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段と、前記検出手段により前記移動方向にわたって検出された濃度の変動に応じて前記条件を変更する変更手段とを備える構成を有する。
【0007】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記制御手段は、複数の前記パターン画像を、前記条件を画像毎に異ならせて形成させ、前記変更手段は、前記複数のパターン画像のうち、前記検出手段により検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を形成したときの前記条件を適用する構成を有する。
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記画像形成手段により形成され、前記検出手段により濃度が検出されたパターン画像を形成したときの前記条件を表すデータを記憶手段に記録する記録手段を備え、前記変更手段は、前記記録手段により前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記条件を変更する構成を有する。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項3に記載の構成において、前記画像形成手段により形成される画像を表す画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データが表す画像に2次色以上の領域が含まれる場合に、前記媒体における当該領域の移動方向に直交する方向の幅を特定する特定手段とを備え、前記記録手段は、前記検出手段により検出された濃度が前記単色の濃度と相違する位置における前記パターン画像の前記幅と、当該パターン画像を形成したときの前記条件との対応付けを前記データとして記録し、前記変更手段は、前記特定手段により特定された幅と前記記憶手段に記憶されたデータが表す幅との差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該幅と対応付けて記憶された前記条件を用いない構成を有する。
【0008】
本発明の請求項5に係るプログラムは、決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段とを備える画像形成装置のコンピュータに、2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御するステップと、前記画像形成手段により前記パターン画像が形成された場合に前記検出手段により検出された濃度を表す情報を受け付けるステップと、前記情報が表す濃度の変動に応じて前記条件を変更するステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、5に記載の発明によれば、決められた条件に従って動作する画像形成手段を、画像に特定のむらが生じないように動作させることが可能である。
請求項2に記載の発明によれば、パターン画像を形成して条件を変更する動作を繰り返す場合に比べ、条件の変更までに要する時間を短くすることが可能である。
請求項3に記載の発明によれば、条件を変更するタイミングによらずにパターン画像を形成することが可能である。
請求項4に記載の発明によれば、画像形成手段が画像を形成しようとしている画像において特定のむらが生じないような条件を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第1実施形態)
【図2】画像形成手段と検出手段の具体例を示す図
【図3】中間転写ベルトに形成されるパターン画像を例示する図
【図4】パターン画像に生じる筋状リトランスファーを例示する図
【図5】画像形成装置が実行するセットアップ動作の一例を示すフローチャート
【図6】濃度センサの出力値を例示する図
【図7】画像形成装置が実行するセットアップ動作の他の例を示すフローチャート
【図8】パターン画像を例示する図
【図9】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第2実施形態)
【図10】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第3実施形態)
【図11】筋状リトランスファーが発生する位置のパターン画像の幅と一次転写電流の相関を示す図
【図12】パターン画像を例示する図
【図13】制御装置の機能構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の要旨]
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、用紙などの記録媒体の移動方向に交差する方向に生じる筋状のむら(以下「筋状リトランスファー」という。)を抑制するためのものである。筋状リトランスファーは、複数色のトナーが転写される画像領域(すなわち2次色の画像領域)において、後に転写されるべきトナーが先に転写されているトナーの影響を受けて十分に転写されないことによって生じる。例えば、Y(イエロー)トナーにC(シアン)トナーを重ねてグリーンの画像を形成しようとする場合に生じる筋状リトランスファーは、Cトナーに転写不良を生じるため、本来のグリーンよりも黄色がかった色になる。ここでいう筋状リトランスファーは、記録媒体の移動方向に直交に生じるのが一般的であるが、移動方向に必ずしも直交せず、多少斜めになることもある。
【0012】
本発明の発明者は、かかる筋状リトランスファーの発生しやすさには画像の幅と相関関係があることを見出した。ここでいう画像の幅とは、記録媒体の移動方向に直交する方向の画像の長さのことである。画像形成装置が特定の条件で動作する場合、筋状リトランスファーは、特定の幅の画像(あるいは、画像の特定の幅の部分)において生じやすいことが確認された。なお、画像形成装置における動作の条件とは、例えば、トナーを現像するときの電位や、トナーを転写するときの圧力に関するものであり、以下においては「画像形成条件」と総称される。
【0013】
また、発明者は、画像形成条件を変更すると、筋状リトランスファーが発生しやすい位置も変化することを見出した。本発明は、この知見に基づき、画像に筋状リトランスファーが発生しない画像形成条件で画像を形成するように画像形成装置を制御することを主たる特徴とするものである。具体的には、本発明は、2次色以上の単色で形成されるパターン画像をあらかじめ形成し、筋状リトランスファーが発生しやすい幅や、筋状リトランスファーが発生しやすい画像形成条件をあらかじめ特定し、これに基づいて画像形成条件を調整するものである。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態である画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、画像形成手段100と、制御手段200と、検出手段300と、変更手段400とを少なくとも備える。なお、画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取る手段や、画像データを送受信する手段を別途備えていてもよい。すなわち、画像形成装置10は、いわゆるプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置であってもよい。
【0015】
画像形成手段100は、画像形成条件に従って動作し、記録媒体に画像を形成する手段である。画像形成手段100は、複数色のトナーを用いてトナー像を形成し、これを記録媒体に重ねて転写することにより画像を形成する。画像形成手段100において用いられるトナーは、例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色であるが、その他の色であってもよいし、より多色(例えば6色)のトナーが用いられてもよい。以下においては、トナーの色、すなわち混色の元となる色のことを「原色」という。なお、ここでいう原色は、いわゆる1次色のことであって、減法混色の3原色に限定されるわけではない。
【0016】
制御手段200は、画像形成手段100を制御する手段である。制御手段200は、画像形成手段100に画像を形成させるために、画像形成手段100に画像データを供給したり、画像形成手段100に必要な指示を与えたりする。また、制御手段200は、適当なタイミングで、後述するパターン画像を画像形成手段100に形成させる。制御手段200がパターン画像を形成させるタイミングは、あらかじめ決められたタイミング(電源の投入時や、周期的なタイミングなど)であってもよいし、ユーザが指定したタイミングであってもよい。
【0017】
検出手段300は、制御手段200の制御に応じて画像形成手段100によって形成されたパターン画像の濃度を検出する手段である。検出手段300は、例えば、パターン画像に光を照射し、その反射光を感知してパターン画像の濃度を検出する。ここでいう濃度は、画像の色の濃さを表すものであり、例えば、照射光の強度と感知した反射光の強度の比率によって定まる。
【0018】
変更手段400は、検出手段300によって検出された濃度の変動に応じて、画像形成手段100において適用される画像形成条件を変更する手段である。ここにおいて、検出手段300によって検出された濃度が変動するということは、筋状リトランスファーが発生していることを意味する。すなわち、ここでいう濃度の変動は、筋状リトランスファーが発生しているとみなされる程度に(すなわち有意に)濃度が変化することを指す。
【0019】
なお、制御手段200及び変更手段400は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを備えたコンピュータ、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用の集積回路、若しくはこれらの協働によって実現される。
【0020】
図2は、画像形成装置10の機器構成を示す図であり、特に、画像形成手段100と検出手段300の具体例を示す図である。画像形成手段100は、同図に示す感光体ドラム101と、帯電ロール102と、露光装置103と、現像器104と、中間転写ベルト105と、一次転写ロール106と、複数の支持ロール107と、二次転写ロール108と、クリーニングブレード109と、定着装置110とを含んで構成される。また、検出手段300は、濃度センサ301を含んで構成される。
【0021】
感光体ドラム101は、静電潜像及びトナー像を保持し、図中の矢印A1が示す方向に回転する部材である。感光体ドラム101は、光導電層が形成されており、光が照射されることによってその表面電位を変化させる。帯電ロール102は、感光体ドラム101に接触してこれを帯電させる部材である。なお、感光体ドラム101を帯電させる手段は、コロトロンやスコロトロンのように、感光体ドラム101に接触しないタイプのものであってもよい。露光装置103は、帯電した感光体ドラム101に光を照射し、部分的に電位差を生じさせて静電潜像を形成する手段である。
【0022】
現像器104は、Y、M、C、K各色のトナーをキャリアとともに収容し、必要なトナーを供給する手段である。現像器104は、いわゆるロータリー方式の現像器であって、それぞれの色のトナーを供給する位置(角度)があらかじめ決められており、供給するトナーの色に応じて回転するように構成されている。現像器104は、各色のトナーを感光体ドラム101の表面に供給することによって、感光体ドラム101に形成された静電潜像に対応する各色のトナー像を形成する。
【0023】
中間転写ベルト105は、トナー像を移動させる無端のベルト状の部材である。中間転写ベルト105は、複数の支持ロール107により支持され、図中の矢印A2が示す方向に回転されることによってその位置を変化させる。支持ロール107は、その少なくともいずれかがモータなどの駆動手段によって駆動され、中間転写ベルト105を回転させる。一次転写ロール106は、感光体ドラム101に形成されたトナー像を中間転写ベルト105に転写する部材である。
【0024】
一次転写ロール106は、感光体ドラム101との間に所望の電位差を生じさせるための電流(以下「一次転写電流」という。)によって、トナー像を感光体ドラム101から中間転写ベルト105へと転移させる。また、一次転写ロール106は、中間転写ベルト105を感光体ドラム101に押し付けるように、適当な圧力(以下「ニップ圧」という。)を加える。
【0025】
二次転写ロール108は、中間転写ベルト105に転写されたトナー像を、図中の破線の矢印A3に沿って搬送される記録媒体に転写する手段である。クリーニングブレード109は、二次転写ロール108によって転写されなかったトナー像(又はその一部)があった場合に、これを取り除く手段である。クリーニングブレード109が取り除くトナーには、二次転写ロール108において記録媒体に十分に転写されずに中間転写ベルト105に残留したトナーと、記録媒体に転写される必要がないトナーとがあり、後者にはパターン画像が含まれる。定着装置110は、トナー像が転写された記録媒体に熱と圧力とを加え、トナーを記録媒体に定着させる手段である。
【0026】
濃度センサ301は、中間転写ベルト105に転写されたトナー像の濃度を検出し、その濃度を表す濃度情報を出力する手段である。濃度センサ301は、変更手段400と有線又は無線で電気的に接続され、濃度情報を変更手段400に供給可能なように構成されている。
【0027】
図3は、中間転写ベルト105に形成されるパターン画像を例示する図である。なお、図中の矢印A2が示す方向は、図1の場合と同様に、中間転写ベルト105の移動方向に相当する。また、中間転写ベルト105のうちの破線より内側の領域は、トナーが転写され得る領域であり、この領域の幅は画像形成装置10において用いられる記録媒体の最大サイズに応じて定まる。
【0028】
パターン画像は、2次色以上の単色で形成される画像であり、例えば、YトナーとCトナーを重ねたグリーンの画像である。ここにおいて、単色とは、全体が単一の色であることをいい、パターン画像にグラデーションなどの階調変化が存在しないことを意味している。すなわち、パターン画像は、理想的には、そのどの位置においても同じ濃度になるべき画像である。しかし、パターン画像は、筋状リトランスファーが生じた場合には、筋状リトランスファーが生じた位置において濃度が変化する。
【0029】
パターン画像は、図3に示すように、中間転写ベルト105の移動方向に直交する方向の幅が連続的に変化する決められたパターンの形状を有する画像である。この例において示すパターン画像は、1辺が中間転写ベルト105の移動方向に直交する方向に平行な二等辺三角形になるように形成されている。この辺の長さは、トナーが転写され得る領域の幅と等しくなるように設定される。
【0030】
また、パターン画像の頂点の1つ(頂角)の位置は、濃度センサ301の位置に応じて決められる。換言すれば、濃度センサ301は、パターン画像の幅が最小である位置から最大である位置までを中間転写ベルト105の移動方向にわたって読み取れる位置に設けられる。ただし、濃度センサ301として、パターン画像の最大の幅までを1回で読み取れる長さを有するラインセンサを用いる場合にあっては、パターン画像の頂角の位置に制約はない。
【0031】
なお、パターン画像は、記録媒体に転写される必要はない。すなわち、パターン画像は、記録媒体に転写されずに、クリーニングブレード109によって中間転写ベルト105から取り除かれてもよい。この場合、パターン画像が形成される媒体に相当するのは、中間転写ベルト105である。一方、パターン画像が記録媒体に転写される場合にあっては、中間転写ベルト105と記録媒体のいずれもが、パターン画像が形成される媒体に相当し得る。
【0032】
図4は、パターン画像に生じる筋状リトランスファーを例示する図である。筋状リトランスファーは、このように、中間転写ベルト105の移動方向に交差する方向に長く、筋状に生じる。典型的な筋状リトランスファーは、一次転写ロール106の軸方向に沿って生じる。ただし、同図に示す筋状リトランスファーは、図示の都合上強調的に示されている。筋状リトランスファーは、実際には、1mm未満の幅で生じることもあるし、その長さも一定ではない。
【0033】
筋状リトランスファーは、いわゆるベタ画像のように、画像が高濃度である場合、すなわち単位面積当たりのトナーの量(被覆率)が多い場合に生じやすい。そのため、パターン画像も、比較的高濃度で形成される。代表的なパターン画像は、各色のトナーの被覆率がそれぞれ100%の画像である。なお、ここでいう被覆率は、記録媒体をトナーで覆う割合を示す入力値(input coverage)のことである。
【0034】
画像形成装置10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、画像形成装置10は、ユーザの指示に応じた画像や取得した画像データに応じた画像を形成するほか、必要に応じて、パターン画像を形成する。画像形成装置10は、特定の画像形成条件でパターン画像を形成し、形成したパターン画像に筋状リトランスファーが生じている場合には、画像形成条件を筋状リトランスファーが生じなくなるように変更する。以下においては、パターン画像を形成し、必要に応じて画像形成条件を変更する一連の動作のことを「セットアップ動作」という。
【0035】
図5は、画像形成装置10が実行するセットアップ動作の一例を示すフローチャートである。セットアップ動作において、画像形成装置10は、まず、あらかじめ決められた画像形成条件(変更前の画像形成条件)に従ってパターン画像を形成する(ステップSa1)。このとき、画像形成装置10においては、制御手段200が画像形成手段100にパターン画像を形成させている。
【0036】
パターン画像を形成すると、画像形成装置10は、濃度センサ301によってこれを検出し、濃度情報を得る(ステップSa2)。このとき得られる濃度情報は、パターン画像の濃度を中間転写ベルト105の移動方向について先端側から後端側へと検出した情報である。また、画像形成装置10は、濃度情報に基づいてパターン画像の濃度の変動を判定し、筋状リトランスファーが発生しているか否かを判断する(ステップSa3)。
【0037】
図6は、濃度センサ301の出力値を例示する図である。図6に示す例は、濃度センサ301が正反射光を検出する場合のものであり、パターン画像が形成されていない位置では出力値が大きく、パターン画像が形成されている位置では出力値が小さくなっている。また、筋状リトランスファーが生じている位置の出力値は、パターン画像が形成されている位置の出力値よりも大きく、かつ、パターン画像が形成されていない位置の出力値よりも小さくなる。そこで、画像形成装置10は、濃度センサ301の出力値が、上限に相当する閾値Th1以下であり、かつ、下限に相当する閾値Th2以上である場合に、かかる出力値を示す位置において筋状リトランスファーが発生していると判断する。
【0038】
なお、画像形成装置10は、濃度センサ301の出力値をそのまま濃度情報として用いてもよいが、出力値に対して信号処理を実行したものを濃度情報として用いてもよい。例えば、画像形成装置10は、出力値に含まれるノイズ成分を除去ないし低減する信号処理を実行してもよい。ノイズ成分は、例えば、パルス状の急峻に変化する成分である。また、中間転写ベルト105に接合部分などの段差がある場合には、段差がある位置においてもノイズ成分が発生する可能性がある。
【0039】
画像形成装置10は、このようにして筋状リトランスファーの有無を判断し、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像形成条件を変更し(ステップSa4)、変更後の画像形成条件でパターン画像を再度形成する(ステップSa1)。画像形成装置10は、この動作を、筋状リトランスファーが発生していないと判断するまで繰り返し、筋状リトランスファーが発生していないと判断したらセットアップ動作を終了する。セットアップ動作の終了後、画像形成装置10は、変更後の画像形成条件で画像を形成する。
【0040】
ステップSa4において変更される画像形成条件は、画像の濃度を変更するための画像形成条件であり、例えば、ニップ圧、一次転写電流、現像器104におけるトナーの帯電量やトナー濃度、現像時の電位条件などである。画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像の濃度が(変更前よりも)薄くなるように画像形成条件を変更する。ここにおいて、トナー濃度とは、トナーとキャリアの混合比をいう。また、電位条件とは、感光体ドラム101の露光部分の電位と非露光部分の電位の電位差や、露光部分の電位と現像器104側の電位の電位差をいう。なお、トナーの帯電量が高い場合には、これが低い場合よりも筋状リトランスファーが発生しやすくなる。トナーの帯電量を低下させるには、トナーを強制的に吐出させ、新たなトナーを供給するようにすればよい。この場合、強制的に吐出されたトナーは、クリーニングブレード109によって取り除かれる。
【0041】
また、画像形成装置10は、LUTによって画像データ自体を変更してもよい。この場合には、LUTを変更することが画像形成条件を変更することに相当する。例えば、画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像データの入力値を全体的に低濃度になるように変換してもよい。また、筋状リトランスファーは比較的高濃度の画像において発生しやすいため、画像形成装置10は、画像データの入力値のうちの比較的高濃度の値のみを変更し、その他の入力値を変更しなくてもよい。
【0042】
なお、画像形成装置10は、上述した画像形成条件のすべてを変更する必要はなく、その少なくともいずれかを変更すればよい。また、画像形成装置10は、本実施形態においては、パターン画像の形成に用いられるすべての色について画像形成条件を変更するが、後述するように、パターン画像の形成に用いられる色の一部の画像形成条件のみを変更してもよい。
【0043】
図7は、画像形成装置10が実行するセットアップ動作の他の例を示すフローチャートである。図5に示したセットアップ動作は、パターン画像を1つずつ形成及び検出して画像形成条件を1回ずつ変更するものであったが、本例のセットアップ動作は、画像形成条件が異なる複数のパターン画像をまとめて連続的に形成し、その検出結果に基づいて画像形成条件を設定するものである。なお、画像形成装置10は、変更に時間を要しない画像形成条件を変更する場合であれば、これらのセットアップ動作のいずれを実行してもよいが、変更に時間を要する画像形成条件を変更する場合であれば、図5に示したセットアップ動作を実行するのが望ましい。
【0044】
図8は、本例において形成されるパターン画像を例示する図であり、パターン画像P1、P2及びP3を適当な間隔で続けて形成したものを示している。パターン画像P1、P2及びP3は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成される画像であり、例えば、電位条件やトナーの被覆率を段階的に異ならせてある。ここでは、パターン画像P1、P2及びP3は、それぞれ、トナーの被覆率が100%(P1)、98%(P2)、96%(P3)になるように形成されるものとする。
【0045】
本例において、画像形成装置10は、図8に示した複数のパターン画像を形成する(ステップSb1)。また、画像形成装置10は、形成した複数のパターン画像を検出し、それぞれの濃度情報を得る(ステップSb2)。画像形成装置10は、それぞれの濃度情報に基づき、パターン画像に筋状リトランスファーが発生しているか否かをパターン画像毎に判断する(ステップSb3)。
【0046】
画像形成装置10は、すべてのパターン画像に筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像形成条件を変更して再度パターン画像を形成する(ステップSb4)。例えば、ステップSb4の処理が2回目の場合には、画像形成装置10は、トナーの被覆率が94%(P1)、92%(P2)、90%(P3)になるようにパターン画像P1、P2、P3を形成する。
【0047】
一方、筋状リトランスファーが発生していないパターン画像があると判断した場合、画像形成装置10は、当該パターン画像を形成したときの画像形成条件を設定し(ステップSb5)、その後の画像形成にこれを用いる。また、画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していないパターン画像が複数ある場合には、濃度(すなわち被覆率)が最も高くなる画像形成条件を採用し、これを設定する。
【0048】
なお、画像形成装置10は、ステップSb4の処理を実行しなくてもよい。例えば、画像形成装置10は、すべてのパターン画像に筋状リトランスファーが発生していると判断した場合に、筋状リトランスファーが最も目立たないパターン画像、すなわち、検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を特定し、そのパターン画像を形成したときの画像形成条件を設定するようにしてもよい。筋状リトランスファーが最も目立たないパターン画像とは、換言すれば、パターン画像において筋状リトランスファーが発生している位置の色とそれ以外の位置(本来の色の位置)との色差が最小であるパターン画像のことである。
【0049】
セットアップ動作後の画像形成条件は、画像の幅の大小を問わず、筋状リトランスファーが発生しにくい画像形成条件となる。したがって、セットアップ動作後の画像形成装置は、セットアップ動作前に比べ、あらゆる幅の画像において筋状リトランスファーが発生しにくくなる。ただし、セットアップ動作によって画像形成条件が変更されなかった場合にあっては、セットアップ動作の前後において筋状リトランスファーの発生しやすさに有意な差は生じない。
【0050】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態である画像形成装置20の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の符号を用いて説明する構成は、第1実施形態において説明された構成と共通の特徴を有するものである。本実施形態においては、かかる構成について、重複する説明が省略される。
【0051】
画像形成装置20は、画像形成手段100、制御手段200、検出手段300及び変更手段400に加え、記録手段500と記憶手段600とを備える。すなわち、画像形成装置20は、記録手段500及び記憶手段600を備える点が、第1実施形態の画像形成装置10と異なる点である。
【0052】
記憶手段600は、データを記憶する手段であり、記録手段500は、記憶手段600にデータを記録する手段である。記憶手段600は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶装置によって実現される。また、記録手段500は、制御手段200及び変更手段400を実現するコンピュータの一機能として実現される。なお、記憶手段600は、画像形成装置20そのものの構成要素ではなく、例えば、いわゆる外付けの記憶装置であったり、あるいは画像形成装置20に接続された他の情報処理装置の構成要素であったりしてもよい。
【0053】
画像形成装置20は、画像形成装置10のようにパターン画像の形成に連動して画像形成条件を変更するのではなく、あらかじめパターン画像を形成してその検出結果を記録しておき、その後、必要なタイミングが到来したときに画像形成条件を変更する。記録手段500は、筋状リトランスファーが発生したと判断される場合の画像形成条件を表すデータを記憶手段600に記録する。あるいは、記録手段500は、筋状リトランスファーが発生しなかった場合の画像形成条件を記録してもよい。記録手段500は、このようなデータを複数のパターン画像のそれぞれについて記録してもよい。
【0054】
画像形成装置20は、パターン画像以外の画像を形成するときに、記憶手段に記憶されたデータを参照して画像形成条件を変更する。すなわち、画像形成装置20は、筋状リトランスファーが発生しないような画像形成条件を用いて画像を形成する。このとき、画像形成装置20は、筋状リトランスファーが発生しなかった場合の画像形成条件を用いて動作してもよいし、筋状リトランスファーが発生した場合の画像形成条件を回避するように画像形成条件を変更して動作してもよい。
【0055】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3の実施形態である画像形成装置30の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、第2実施形態と同一の符号を用いて説明する構成は、第2実施形態において説明された構成と共通の特徴を有するものである。本実施形態においては、かかる構成について、重複する説明が省略される。
【0056】
画像形成装置30は、画像形成手段100、制御手段200、検出手段300、変更手段400、記録手段500及び記憶手段600に加え、取得手段700と、特定手段800とを備える。すなわち、画像形成装置30は、取得手段700及び特定手段800を備える点が、第2実施形態の画像形成装置20と異なる点である。
【0057】
取得手段700は、画像形成手段100により形成される画像を表す画像データを取得する手段である。取得手段700は、例えば、外部の情報処理装置から画像データを受信する通信インターフェースであってもよいし、いわゆるスキャナのような、原稿を光学的に読み取る手段であってもよい。
【0058】
特定手段800は、取得手段700により取得された画像データに基づいて画像の特徴を解析し、画像が特定の領域を有する場合に、当該領域の幅(すなわち中間転写ベルト105に転写された場合の移動方向に直交する方向の長さ)を特定する。特定手段800は、画像データにより表される画像が2次色以上の領域(より詳細には、パターン画像を形成する色と同色の領域)が含まれる場合に、当該領域の幅を特定する。特定手段800は、このような条件を満たす領域が複数ある場合には、それぞれの領域毎に幅を特定する。また、特定手段800は、このような条件を満たす領域の幅が一定でない場合(例えば、パターン画像のように移動方向の幅が変化する場合)には、その幅の最小値から最大値までを特定する。
【0059】
また、記録手段500は、本実施形態においては、パターン画像において筋状リトランスファーが発生した場合に、筋状リトランスファーが発生した位置におけるパターン画像の幅と当該パターン画像を形成したときの画像形成条件とを対応付けたデータを記憶手段600に記録する。ここにおいて、記録手段500は、パターン画像が検出された長さ(すなわち先端から後端までの長さ)に対する筋状リトランスファーが発生した位置の相対的な位置関係に基づいて、筋状リトランスファーが発生した位置のパターン画像の幅を算出する。パターン画像の形状はあらかじめ決められているため、筋状リトランスファーが発生した位置のパターン画像の幅は、筋状リトランスファーが発生した位置から一意的に求められる。
【0060】
この構成のもと、画像形成装置30は、形成すべき画像に特定色の領域が含まれている場合に、当該領域の幅を特定し、特定した幅において筋状リトランスファーが発生しないような画像形成条件で当該画像を形成する。具体的には、画像形成装置30は、記憶手段600に記憶されたデータを参照して、特定手段800により特定された幅と、記憶手段600に記憶されたデータが表す幅とを比較し、その差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該データにおいて当該幅と対応付けて記憶されている画像形成条件を用いないようにし、それ以外の画像形成条件で画像を形成するようにする。画像形成装置30がこのとき変更する画像形成条件は、例えば、一次転写電流である。
【0061】
図11は、パターン画像において筋状リトランスファーが発生する位置の幅と一次転写電流の相関を概略的に示す図である。なお、この例においては、一次転写電流以外の画像形成条件は不変であるとする。図11に示すように、筋状リトランスファーが発生する位置の幅は、一次転写電流が大きいほど小さく(短く)なり、一次転写電流が小さいほど大きく(長く)なる。
【0062】
例えば、図11の例において、一次転写電流がI1である場合に、グリーンのパターン画像の幅W1の位置において筋状リトランスファーが発生したと仮定する。この場合において、画像データが表す画像にグリーンの領域が含まれ、その幅がW1(又はこれに近似する値)であったときには、画像形成装置10は、一次転写電流をI1より大きい(又は小さい)値に設定する。一方、画像データが表す画像にグリーンの領域が含まれるが、その幅がW1(又はこれに近似する値)でない場合であれば、画像形成装置10は、一次転写電流としてI1を設定しても差し支えはない。
【0063】
つまり、画像形成装置30は、適用する画像形成条件を、そのとき形成する画像に応じて変更する。換言すれば、画像形成装置30は、そのとき形成する画像において筋状リトランスファーが発生しにくいのであれば、パターン画像において筋状リトランスファーが発生しやすい画像形成条件がそのときに設定されていたとしても、その画像形成条件を変更することなく用いて画像を形成するように構成されている。したがって、画像形成装置30においては、画像形成装置10や画像形成装置20に比べ、画像形成条件を変更する回数が少なくなることが期待される。
【0064】
[変形例]
本発明の実施の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す形態であってもよい。また、これらの形態は、必要に応じて、併用したりその一部を置き換えたりすることによって、互いに組み合わされてもよい。
【0065】
(1)パターン画像の形状は、三角形である必要はなく、円形(半楕円形を含む。)などであってもよい。また、パターン画像の幅の変化は、連続的ではなく段階的であってもよい。
図12は、パターン画像の他の例を示す図である。同図において、パターン画像Paは、半楕円形のパターン画像の一例である。また、パターン画像Pb、Pcは、幅の変化が連続的でないパターン画像の一例である。
【0066】
なお、パターン画像の幅は、画像の幅として想定され得る最小値から最大値までをすべて網羅している必要はない。パターン画像は、筋状リトランスファーが発生しやすい幅や、筋状リトランスファーが人間の目に知覚されやすい幅を含んでいれば十分であるともいえる。例えば、画像の幅が非常に小さい場合には、たとえその位置において筋状リトランスファーが発生したとしても、人間の目にほとんど知覚されることがないため、これが補正されるように画像形成条件を変更する必要性も高くない。したがって、パターン画像は、図12のPdのように、台形であってもよい。
【0067】
(2)筋状リトランスファーは、既にトナーが転写されている面にさらにトナーを転写することによって発生する。また、筋状リトランスファーが発生するか否かは、後に転写されるトナーの量よりも、先に転写されるトナーの量に強く依存する。さらに、本発明における画像形成条件の変更は、主として、転写されるトナーの量が少なくなるように作用するものである。
【0068】
したがって、本発明は、パターン画像の形成に用いられるすべてのトナーについて画像形成条件を変更するのではなく、先に転写されるトナーについてのみ画像形成条件を変更するようにしても、効果を奏し得る。例えば、本発明は、グリーンの画像に発生する筋状リトランスファーを抑制するために、先に転写されるYトナーを転写するときの画像形成条件を変更する一方、Cトナーを転写するときの画像形成条件を変更しないようにしてもよい。このようなセットアップ動作を実行し、Yトナーが転写される量が少なくなるようにすると、結果としてCトナーの転写不良が発生しにくくなる。
【0069】
ただし、このようにして一部の色の画像形成条件を変更しなかった場合には、カラーバランスが崩れる可能性がある。すなわち、このようなセットアップ動作を実行した場合には、YトナーとCトナーとを同じ比率で含んで構成されるべき画像であっても、Yトナーの量が少なくなってしまうため、想定されていた本来の色と異なる色として知覚される画像が形成される可能性がある。そこで、このような問題が生じる可能性がある場合には、本発明に係る画像形成条件の変更とは別の処理によって、色のずれを補うようにすればよい。かかる処理としては、例えば、LUTを用いた画像データの補正が考えられる。
【0070】
(3)本発明に係る画像形成装置は、ロータリー方式の現像器を備えるものに限定されない。例えば、本発明に係る画像形成装置は、各色の現像器を独立に備え、これを中間転写ベルトの移動方向に沿って直列に配置したもの(いわゆるタンデム方式)であってもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、中間転写ベルトを備えず、感光体から記録媒体に直接トナーを転写する構成であってもよい。
【0071】
(4)本発明は、画像形成装置に限らず、画像形成装置を制御する制御装置としても提供される。
図13は、本発明に係る制御装置50の機能構成を示すブロック図である。制御装置50は、制御手段200と、変更手段400と、受付手段900とを備える。なお、同図において第1実施形態(図1参照)と同一の符号を付した構成要素は、第1実施形態において説明された各手段と機能的に共通する。受付手段900は、検出手段300により検出された濃度を表す情報を受け付ける手段である。かかる情報は、上述した濃度情報であってもよいし、濃度センサ301の出力値であってもよい。つまり、制御装置50は、濃度センサ301の出力値を受け付け、出力値に対して信号処理を実行する構成であってもよい。
【0072】
また、本発明は、このような制御装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムや、かかるプログラムを記録した記録媒体の形態で提供されてもよい。また、本発明に係るプログラムは、ネットワークやその他の通信手段を介して外部装置から取得され、コンピュータにダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、20、30…画像形成装置、50…制御装置、100…画像形成手段、200…制御手段、300…検出手段、400…変更手段、500…記録手段、600…記憶手段、700…取得手段、800…特定手段、900…受付手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、意図しないむらが画像に生じることがある。むらの原因としては、例えば、2次色以上の画像(すなわち2以上の原色を混色した画像)を転写する場合に、他の色のトナーの上に転写されるべきトナーが十分に転写されないことによる転写不良が挙げられる。このような転写不良は、リトランスファー(再転写)とも呼ばれる。このような転写不良の具体的な態様としては、例えば、用紙の移動方向に交差(典型的には直交)する方向に生じる筋状のむらがある。
【0003】
特許文献1には、画像に生じる「画像むら」や「すじ」を補正するために、変換テーブル(LUT)を用いて画像処理を実行することが記載されている。特許文献1に記載された技術は、より詳細には、特定の位置に生じる「画像むら」や「すじ」を補正するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−88562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、決められた条件に従って動作する画像形成手段を、画像に特定のむらが生じないように動作させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、前記制御手段の制御に応じて前記画像形成手段により形成されたパターン画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段と、前記検出手段により前記移動方向にわたって検出された濃度の変動に応じて前記条件を変更する変更手段とを備える構成を有する。
【0007】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記制御手段は、複数の前記パターン画像を、前記条件を画像毎に異ならせて形成させ、前記変更手段は、前記複数のパターン画像のうち、前記検出手段により検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を形成したときの前記条件を適用する構成を有する。
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記画像形成手段により形成され、前記検出手段により濃度が検出されたパターン画像を形成したときの前記条件を表すデータを記憶手段に記録する記録手段を備え、前記変更手段は、前記記録手段により前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記条件を変更する構成を有する。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項3に記載の構成において、前記画像形成手段により形成される画像を表す画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像データが表す画像に2次色以上の領域が含まれる場合に、前記媒体における当該領域の移動方向に直交する方向の幅を特定する特定手段とを備え、前記記録手段は、前記検出手段により検出された濃度が前記単色の濃度と相違する位置における前記パターン画像の前記幅と、当該パターン画像を形成したときの前記条件との対応付けを前記データとして記録し、前記変更手段は、前記特定手段により特定された幅と前記記憶手段に記憶されたデータが表す幅との差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該幅と対応付けて記憶された前記条件を用いない構成を有する。
【0008】
本発明の請求項5に係るプログラムは、決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段とを備える画像形成装置のコンピュータに、2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御するステップと、前記画像形成手段により前記パターン画像が形成された場合に前記検出手段により検出された濃度を表す情報を受け付けるステップと、前記情報が表す濃度の変動に応じて前記条件を変更するステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、5に記載の発明によれば、決められた条件に従って動作する画像形成手段を、画像に特定のむらが生じないように動作させることが可能である。
請求項2に記載の発明によれば、パターン画像を形成して条件を変更する動作を繰り返す場合に比べ、条件の変更までに要する時間を短くすることが可能である。
請求項3に記載の発明によれば、条件を変更するタイミングによらずにパターン画像を形成することが可能である。
請求項4に記載の発明によれば、画像形成手段が画像を形成しようとしている画像において特定のむらが生じないような条件を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第1実施形態)
【図2】画像形成手段と検出手段の具体例を示す図
【図3】中間転写ベルトに形成されるパターン画像を例示する図
【図4】パターン画像に生じる筋状リトランスファーを例示する図
【図5】画像形成装置が実行するセットアップ動作の一例を示すフローチャート
【図6】濃度センサの出力値を例示する図
【図7】画像形成装置が実行するセットアップ動作の他の例を示すフローチャート
【図8】パターン画像を例示する図
【図9】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第2実施形態)
【図10】画像形成装置の機能構成を示すブロック図(第3実施形態)
【図11】筋状リトランスファーが発生する位置のパターン画像の幅と一次転写電流の相関を示す図
【図12】パターン画像を例示する図
【図13】制御装置の機能構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の要旨]
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、用紙などの記録媒体の移動方向に交差する方向に生じる筋状のむら(以下「筋状リトランスファー」という。)を抑制するためのものである。筋状リトランスファーは、複数色のトナーが転写される画像領域(すなわち2次色の画像領域)において、後に転写されるべきトナーが先に転写されているトナーの影響を受けて十分に転写されないことによって生じる。例えば、Y(イエロー)トナーにC(シアン)トナーを重ねてグリーンの画像を形成しようとする場合に生じる筋状リトランスファーは、Cトナーに転写不良を生じるため、本来のグリーンよりも黄色がかった色になる。ここでいう筋状リトランスファーは、記録媒体の移動方向に直交に生じるのが一般的であるが、移動方向に必ずしも直交せず、多少斜めになることもある。
【0012】
本発明の発明者は、かかる筋状リトランスファーの発生しやすさには画像の幅と相関関係があることを見出した。ここでいう画像の幅とは、記録媒体の移動方向に直交する方向の画像の長さのことである。画像形成装置が特定の条件で動作する場合、筋状リトランスファーは、特定の幅の画像(あるいは、画像の特定の幅の部分)において生じやすいことが確認された。なお、画像形成装置における動作の条件とは、例えば、トナーを現像するときの電位や、トナーを転写するときの圧力に関するものであり、以下においては「画像形成条件」と総称される。
【0013】
また、発明者は、画像形成条件を変更すると、筋状リトランスファーが発生しやすい位置も変化することを見出した。本発明は、この知見に基づき、画像に筋状リトランスファーが発生しない画像形成条件で画像を形成するように画像形成装置を制御することを主たる特徴とするものである。具体的には、本発明は、2次色以上の単色で形成されるパターン画像をあらかじめ形成し、筋状リトランスファーが発生しやすい幅や、筋状リトランスファーが発生しやすい画像形成条件をあらかじめ特定し、これに基づいて画像形成条件を調整するものである。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態である画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、画像形成手段100と、制御手段200と、検出手段300と、変更手段400とを少なくとも備える。なお、画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取る手段や、画像データを送受信する手段を別途備えていてもよい。すなわち、画像形成装置10は、いわゆるプリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置であってもよい。
【0015】
画像形成手段100は、画像形成条件に従って動作し、記録媒体に画像を形成する手段である。画像形成手段100は、複数色のトナーを用いてトナー像を形成し、これを記録媒体に重ねて転写することにより画像を形成する。画像形成手段100において用いられるトナーは、例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色であるが、その他の色であってもよいし、より多色(例えば6色)のトナーが用いられてもよい。以下においては、トナーの色、すなわち混色の元となる色のことを「原色」という。なお、ここでいう原色は、いわゆる1次色のことであって、減法混色の3原色に限定されるわけではない。
【0016】
制御手段200は、画像形成手段100を制御する手段である。制御手段200は、画像形成手段100に画像を形成させるために、画像形成手段100に画像データを供給したり、画像形成手段100に必要な指示を与えたりする。また、制御手段200は、適当なタイミングで、後述するパターン画像を画像形成手段100に形成させる。制御手段200がパターン画像を形成させるタイミングは、あらかじめ決められたタイミング(電源の投入時や、周期的なタイミングなど)であってもよいし、ユーザが指定したタイミングであってもよい。
【0017】
検出手段300は、制御手段200の制御に応じて画像形成手段100によって形成されたパターン画像の濃度を検出する手段である。検出手段300は、例えば、パターン画像に光を照射し、その反射光を感知してパターン画像の濃度を検出する。ここでいう濃度は、画像の色の濃さを表すものであり、例えば、照射光の強度と感知した反射光の強度の比率によって定まる。
【0018】
変更手段400は、検出手段300によって検出された濃度の変動に応じて、画像形成手段100において適用される画像形成条件を変更する手段である。ここにおいて、検出手段300によって検出された濃度が変動するということは、筋状リトランスファーが発生していることを意味する。すなわち、ここでいう濃度の変動は、筋状リトランスファーが発生しているとみなされる程度に(すなわち有意に)濃度が変化することを指す。
【0019】
なお、制御手段200及び変更手段400は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを備えたコンピュータ、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用の集積回路、若しくはこれらの協働によって実現される。
【0020】
図2は、画像形成装置10の機器構成を示す図であり、特に、画像形成手段100と検出手段300の具体例を示す図である。画像形成手段100は、同図に示す感光体ドラム101と、帯電ロール102と、露光装置103と、現像器104と、中間転写ベルト105と、一次転写ロール106と、複数の支持ロール107と、二次転写ロール108と、クリーニングブレード109と、定着装置110とを含んで構成される。また、検出手段300は、濃度センサ301を含んで構成される。
【0021】
感光体ドラム101は、静電潜像及びトナー像を保持し、図中の矢印A1が示す方向に回転する部材である。感光体ドラム101は、光導電層が形成されており、光が照射されることによってその表面電位を変化させる。帯電ロール102は、感光体ドラム101に接触してこれを帯電させる部材である。なお、感光体ドラム101を帯電させる手段は、コロトロンやスコロトロンのように、感光体ドラム101に接触しないタイプのものであってもよい。露光装置103は、帯電した感光体ドラム101に光を照射し、部分的に電位差を生じさせて静電潜像を形成する手段である。
【0022】
現像器104は、Y、M、C、K各色のトナーをキャリアとともに収容し、必要なトナーを供給する手段である。現像器104は、いわゆるロータリー方式の現像器であって、それぞれの色のトナーを供給する位置(角度)があらかじめ決められており、供給するトナーの色に応じて回転するように構成されている。現像器104は、各色のトナーを感光体ドラム101の表面に供給することによって、感光体ドラム101に形成された静電潜像に対応する各色のトナー像を形成する。
【0023】
中間転写ベルト105は、トナー像を移動させる無端のベルト状の部材である。中間転写ベルト105は、複数の支持ロール107により支持され、図中の矢印A2が示す方向に回転されることによってその位置を変化させる。支持ロール107は、その少なくともいずれかがモータなどの駆動手段によって駆動され、中間転写ベルト105を回転させる。一次転写ロール106は、感光体ドラム101に形成されたトナー像を中間転写ベルト105に転写する部材である。
【0024】
一次転写ロール106は、感光体ドラム101との間に所望の電位差を生じさせるための電流(以下「一次転写電流」という。)によって、トナー像を感光体ドラム101から中間転写ベルト105へと転移させる。また、一次転写ロール106は、中間転写ベルト105を感光体ドラム101に押し付けるように、適当な圧力(以下「ニップ圧」という。)を加える。
【0025】
二次転写ロール108は、中間転写ベルト105に転写されたトナー像を、図中の破線の矢印A3に沿って搬送される記録媒体に転写する手段である。クリーニングブレード109は、二次転写ロール108によって転写されなかったトナー像(又はその一部)があった場合に、これを取り除く手段である。クリーニングブレード109が取り除くトナーには、二次転写ロール108において記録媒体に十分に転写されずに中間転写ベルト105に残留したトナーと、記録媒体に転写される必要がないトナーとがあり、後者にはパターン画像が含まれる。定着装置110は、トナー像が転写された記録媒体に熱と圧力とを加え、トナーを記録媒体に定着させる手段である。
【0026】
濃度センサ301は、中間転写ベルト105に転写されたトナー像の濃度を検出し、その濃度を表す濃度情報を出力する手段である。濃度センサ301は、変更手段400と有線又は無線で電気的に接続され、濃度情報を変更手段400に供給可能なように構成されている。
【0027】
図3は、中間転写ベルト105に形成されるパターン画像を例示する図である。なお、図中の矢印A2が示す方向は、図1の場合と同様に、中間転写ベルト105の移動方向に相当する。また、中間転写ベルト105のうちの破線より内側の領域は、トナーが転写され得る領域であり、この領域の幅は画像形成装置10において用いられる記録媒体の最大サイズに応じて定まる。
【0028】
パターン画像は、2次色以上の単色で形成される画像であり、例えば、YトナーとCトナーを重ねたグリーンの画像である。ここにおいて、単色とは、全体が単一の色であることをいい、パターン画像にグラデーションなどの階調変化が存在しないことを意味している。すなわち、パターン画像は、理想的には、そのどの位置においても同じ濃度になるべき画像である。しかし、パターン画像は、筋状リトランスファーが生じた場合には、筋状リトランスファーが生じた位置において濃度が変化する。
【0029】
パターン画像は、図3に示すように、中間転写ベルト105の移動方向に直交する方向の幅が連続的に変化する決められたパターンの形状を有する画像である。この例において示すパターン画像は、1辺が中間転写ベルト105の移動方向に直交する方向に平行な二等辺三角形になるように形成されている。この辺の長さは、トナーが転写され得る領域の幅と等しくなるように設定される。
【0030】
また、パターン画像の頂点の1つ(頂角)の位置は、濃度センサ301の位置に応じて決められる。換言すれば、濃度センサ301は、パターン画像の幅が最小である位置から最大である位置までを中間転写ベルト105の移動方向にわたって読み取れる位置に設けられる。ただし、濃度センサ301として、パターン画像の最大の幅までを1回で読み取れる長さを有するラインセンサを用いる場合にあっては、パターン画像の頂角の位置に制約はない。
【0031】
なお、パターン画像は、記録媒体に転写される必要はない。すなわち、パターン画像は、記録媒体に転写されずに、クリーニングブレード109によって中間転写ベルト105から取り除かれてもよい。この場合、パターン画像が形成される媒体に相当するのは、中間転写ベルト105である。一方、パターン画像が記録媒体に転写される場合にあっては、中間転写ベルト105と記録媒体のいずれもが、パターン画像が形成される媒体に相当し得る。
【0032】
図4は、パターン画像に生じる筋状リトランスファーを例示する図である。筋状リトランスファーは、このように、中間転写ベルト105の移動方向に交差する方向に長く、筋状に生じる。典型的な筋状リトランスファーは、一次転写ロール106の軸方向に沿って生じる。ただし、同図に示す筋状リトランスファーは、図示の都合上強調的に示されている。筋状リトランスファーは、実際には、1mm未満の幅で生じることもあるし、その長さも一定ではない。
【0033】
筋状リトランスファーは、いわゆるベタ画像のように、画像が高濃度である場合、すなわち単位面積当たりのトナーの量(被覆率)が多い場合に生じやすい。そのため、パターン画像も、比較的高濃度で形成される。代表的なパターン画像は、各色のトナーの被覆率がそれぞれ100%の画像である。なお、ここでいう被覆率は、記録媒体をトナーで覆う割合を示す入力値(input coverage)のことである。
【0034】
画像形成装置10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、画像形成装置10は、ユーザの指示に応じた画像や取得した画像データに応じた画像を形成するほか、必要に応じて、パターン画像を形成する。画像形成装置10は、特定の画像形成条件でパターン画像を形成し、形成したパターン画像に筋状リトランスファーが生じている場合には、画像形成条件を筋状リトランスファーが生じなくなるように変更する。以下においては、パターン画像を形成し、必要に応じて画像形成条件を変更する一連の動作のことを「セットアップ動作」という。
【0035】
図5は、画像形成装置10が実行するセットアップ動作の一例を示すフローチャートである。セットアップ動作において、画像形成装置10は、まず、あらかじめ決められた画像形成条件(変更前の画像形成条件)に従ってパターン画像を形成する(ステップSa1)。このとき、画像形成装置10においては、制御手段200が画像形成手段100にパターン画像を形成させている。
【0036】
パターン画像を形成すると、画像形成装置10は、濃度センサ301によってこれを検出し、濃度情報を得る(ステップSa2)。このとき得られる濃度情報は、パターン画像の濃度を中間転写ベルト105の移動方向について先端側から後端側へと検出した情報である。また、画像形成装置10は、濃度情報に基づいてパターン画像の濃度の変動を判定し、筋状リトランスファーが発生しているか否かを判断する(ステップSa3)。
【0037】
図6は、濃度センサ301の出力値を例示する図である。図6に示す例は、濃度センサ301が正反射光を検出する場合のものであり、パターン画像が形成されていない位置では出力値が大きく、パターン画像が形成されている位置では出力値が小さくなっている。また、筋状リトランスファーが生じている位置の出力値は、パターン画像が形成されている位置の出力値よりも大きく、かつ、パターン画像が形成されていない位置の出力値よりも小さくなる。そこで、画像形成装置10は、濃度センサ301の出力値が、上限に相当する閾値Th1以下であり、かつ、下限に相当する閾値Th2以上である場合に、かかる出力値を示す位置において筋状リトランスファーが発生していると判断する。
【0038】
なお、画像形成装置10は、濃度センサ301の出力値をそのまま濃度情報として用いてもよいが、出力値に対して信号処理を実行したものを濃度情報として用いてもよい。例えば、画像形成装置10は、出力値に含まれるノイズ成分を除去ないし低減する信号処理を実行してもよい。ノイズ成分は、例えば、パルス状の急峻に変化する成分である。また、中間転写ベルト105に接合部分などの段差がある場合には、段差がある位置においてもノイズ成分が発生する可能性がある。
【0039】
画像形成装置10は、このようにして筋状リトランスファーの有無を判断し、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像形成条件を変更し(ステップSa4)、変更後の画像形成条件でパターン画像を再度形成する(ステップSa1)。画像形成装置10は、この動作を、筋状リトランスファーが発生していないと判断するまで繰り返し、筋状リトランスファーが発生していないと判断したらセットアップ動作を終了する。セットアップ動作の終了後、画像形成装置10は、変更後の画像形成条件で画像を形成する。
【0040】
ステップSa4において変更される画像形成条件は、画像の濃度を変更するための画像形成条件であり、例えば、ニップ圧、一次転写電流、現像器104におけるトナーの帯電量やトナー濃度、現像時の電位条件などである。画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像の濃度が(変更前よりも)薄くなるように画像形成条件を変更する。ここにおいて、トナー濃度とは、トナーとキャリアの混合比をいう。また、電位条件とは、感光体ドラム101の露光部分の電位と非露光部分の電位の電位差や、露光部分の電位と現像器104側の電位の電位差をいう。なお、トナーの帯電量が高い場合には、これが低い場合よりも筋状リトランスファーが発生しやすくなる。トナーの帯電量を低下させるには、トナーを強制的に吐出させ、新たなトナーを供給するようにすればよい。この場合、強制的に吐出されたトナーは、クリーニングブレード109によって取り除かれる。
【0041】
また、画像形成装置10は、LUTによって画像データ自体を変更してもよい。この場合には、LUTを変更することが画像形成条件を変更することに相当する。例えば、画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像データの入力値を全体的に低濃度になるように変換してもよい。また、筋状リトランスファーは比較的高濃度の画像において発生しやすいため、画像形成装置10は、画像データの入力値のうちの比較的高濃度の値のみを変更し、その他の入力値を変更しなくてもよい。
【0042】
なお、画像形成装置10は、上述した画像形成条件のすべてを変更する必要はなく、その少なくともいずれかを変更すればよい。また、画像形成装置10は、本実施形態においては、パターン画像の形成に用いられるすべての色について画像形成条件を変更するが、後述するように、パターン画像の形成に用いられる色の一部の画像形成条件のみを変更してもよい。
【0043】
図7は、画像形成装置10が実行するセットアップ動作の他の例を示すフローチャートである。図5に示したセットアップ動作は、パターン画像を1つずつ形成及び検出して画像形成条件を1回ずつ変更するものであったが、本例のセットアップ動作は、画像形成条件が異なる複数のパターン画像をまとめて連続的に形成し、その検出結果に基づいて画像形成条件を設定するものである。なお、画像形成装置10は、変更に時間を要しない画像形成条件を変更する場合であれば、これらのセットアップ動作のいずれを実行してもよいが、変更に時間を要する画像形成条件を変更する場合であれば、図5に示したセットアップ動作を実行するのが望ましい。
【0044】
図8は、本例において形成されるパターン画像を例示する図であり、パターン画像P1、P2及びP3を適当な間隔で続けて形成したものを示している。パターン画像P1、P2及びP3は、異なる画像形成条件でそれぞれ形成される画像であり、例えば、電位条件やトナーの被覆率を段階的に異ならせてある。ここでは、パターン画像P1、P2及びP3は、それぞれ、トナーの被覆率が100%(P1)、98%(P2)、96%(P3)になるように形成されるものとする。
【0045】
本例において、画像形成装置10は、図8に示した複数のパターン画像を形成する(ステップSb1)。また、画像形成装置10は、形成した複数のパターン画像を検出し、それぞれの濃度情報を得る(ステップSb2)。画像形成装置10は、それぞれの濃度情報に基づき、パターン画像に筋状リトランスファーが発生しているか否かをパターン画像毎に判断する(ステップSb3)。
【0046】
画像形成装置10は、すべてのパターン画像に筋状リトランスファーが発生していると判断した場合には、画像形成条件を変更して再度パターン画像を形成する(ステップSb4)。例えば、ステップSb4の処理が2回目の場合には、画像形成装置10は、トナーの被覆率が94%(P1)、92%(P2)、90%(P3)になるようにパターン画像P1、P2、P3を形成する。
【0047】
一方、筋状リトランスファーが発生していないパターン画像があると判断した場合、画像形成装置10は、当該パターン画像を形成したときの画像形成条件を設定し(ステップSb5)、その後の画像形成にこれを用いる。また、画像形成装置10は、筋状リトランスファーが発生していないパターン画像が複数ある場合には、濃度(すなわち被覆率)が最も高くなる画像形成条件を採用し、これを設定する。
【0048】
なお、画像形成装置10は、ステップSb4の処理を実行しなくてもよい。例えば、画像形成装置10は、すべてのパターン画像に筋状リトランスファーが発生していると判断した場合に、筋状リトランスファーが最も目立たないパターン画像、すなわち、検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を特定し、そのパターン画像を形成したときの画像形成条件を設定するようにしてもよい。筋状リトランスファーが最も目立たないパターン画像とは、換言すれば、パターン画像において筋状リトランスファーが発生している位置の色とそれ以外の位置(本来の色の位置)との色差が最小であるパターン画像のことである。
【0049】
セットアップ動作後の画像形成条件は、画像の幅の大小を問わず、筋状リトランスファーが発生しにくい画像形成条件となる。したがって、セットアップ動作後の画像形成装置は、セットアップ動作前に比べ、あらゆる幅の画像において筋状リトランスファーが発生しにくくなる。ただし、セットアップ動作によって画像形成条件が変更されなかった場合にあっては、セットアップ動作の前後において筋状リトランスファーの発生しやすさに有意な差は生じない。
【0050】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態である画像形成装置20の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の符号を用いて説明する構成は、第1実施形態において説明された構成と共通の特徴を有するものである。本実施形態においては、かかる構成について、重複する説明が省略される。
【0051】
画像形成装置20は、画像形成手段100、制御手段200、検出手段300及び変更手段400に加え、記録手段500と記憶手段600とを備える。すなわち、画像形成装置20は、記録手段500及び記憶手段600を備える点が、第1実施形態の画像形成装置10と異なる点である。
【0052】
記憶手段600は、データを記憶する手段であり、記録手段500は、記憶手段600にデータを記録する手段である。記憶手段600は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶装置によって実現される。また、記録手段500は、制御手段200及び変更手段400を実現するコンピュータの一機能として実現される。なお、記憶手段600は、画像形成装置20そのものの構成要素ではなく、例えば、いわゆる外付けの記憶装置であったり、あるいは画像形成装置20に接続された他の情報処理装置の構成要素であったりしてもよい。
【0053】
画像形成装置20は、画像形成装置10のようにパターン画像の形成に連動して画像形成条件を変更するのではなく、あらかじめパターン画像を形成してその検出結果を記録しておき、その後、必要なタイミングが到来したときに画像形成条件を変更する。記録手段500は、筋状リトランスファーが発生したと判断される場合の画像形成条件を表すデータを記憶手段600に記録する。あるいは、記録手段500は、筋状リトランスファーが発生しなかった場合の画像形成条件を記録してもよい。記録手段500は、このようなデータを複数のパターン画像のそれぞれについて記録してもよい。
【0054】
画像形成装置20は、パターン画像以外の画像を形成するときに、記憶手段に記憶されたデータを参照して画像形成条件を変更する。すなわち、画像形成装置20は、筋状リトランスファーが発生しないような画像形成条件を用いて画像を形成する。このとき、画像形成装置20は、筋状リトランスファーが発生しなかった場合の画像形成条件を用いて動作してもよいし、筋状リトランスファーが発生した場合の画像形成条件を回避するように画像形成条件を変更して動作してもよい。
【0055】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3の実施形態である画像形成装置30の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、第2実施形態と同一の符号を用いて説明する構成は、第2実施形態において説明された構成と共通の特徴を有するものである。本実施形態においては、かかる構成について、重複する説明が省略される。
【0056】
画像形成装置30は、画像形成手段100、制御手段200、検出手段300、変更手段400、記録手段500及び記憶手段600に加え、取得手段700と、特定手段800とを備える。すなわち、画像形成装置30は、取得手段700及び特定手段800を備える点が、第2実施形態の画像形成装置20と異なる点である。
【0057】
取得手段700は、画像形成手段100により形成される画像を表す画像データを取得する手段である。取得手段700は、例えば、外部の情報処理装置から画像データを受信する通信インターフェースであってもよいし、いわゆるスキャナのような、原稿を光学的に読み取る手段であってもよい。
【0058】
特定手段800は、取得手段700により取得された画像データに基づいて画像の特徴を解析し、画像が特定の領域を有する場合に、当該領域の幅(すなわち中間転写ベルト105に転写された場合の移動方向に直交する方向の長さ)を特定する。特定手段800は、画像データにより表される画像が2次色以上の領域(より詳細には、パターン画像を形成する色と同色の領域)が含まれる場合に、当該領域の幅を特定する。特定手段800は、このような条件を満たす領域が複数ある場合には、それぞれの領域毎に幅を特定する。また、特定手段800は、このような条件を満たす領域の幅が一定でない場合(例えば、パターン画像のように移動方向の幅が変化する場合)には、その幅の最小値から最大値までを特定する。
【0059】
また、記録手段500は、本実施形態においては、パターン画像において筋状リトランスファーが発生した場合に、筋状リトランスファーが発生した位置におけるパターン画像の幅と当該パターン画像を形成したときの画像形成条件とを対応付けたデータを記憶手段600に記録する。ここにおいて、記録手段500は、パターン画像が検出された長さ(すなわち先端から後端までの長さ)に対する筋状リトランスファーが発生した位置の相対的な位置関係に基づいて、筋状リトランスファーが発生した位置のパターン画像の幅を算出する。パターン画像の形状はあらかじめ決められているため、筋状リトランスファーが発生した位置のパターン画像の幅は、筋状リトランスファーが発生した位置から一意的に求められる。
【0060】
この構成のもと、画像形成装置30は、形成すべき画像に特定色の領域が含まれている場合に、当該領域の幅を特定し、特定した幅において筋状リトランスファーが発生しないような画像形成条件で当該画像を形成する。具体的には、画像形成装置30は、記憶手段600に記憶されたデータを参照して、特定手段800により特定された幅と、記憶手段600に記憶されたデータが表す幅とを比較し、その差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該データにおいて当該幅と対応付けて記憶されている画像形成条件を用いないようにし、それ以外の画像形成条件で画像を形成するようにする。画像形成装置30がこのとき変更する画像形成条件は、例えば、一次転写電流である。
【0061】
図11は、パターン画像において筋状リトランスファーが発生する位置の幅と一次転写電流の相関を概略的に示す図である。なお、この例においては、一次転写電流以外の画像形成条件は不変であるとする。図11に示すように、筋状リトランスファーが発生する位置の幅は、一次転写電流が大きいほど小さく(短く)なり、一次転写電流が小さいほど大きく(長く)なる。
【0062】
例えば、図11の例において、一次転写電流がI1である場合に、グリーンのパターン画像の幅W1の位置において筋状リトランスファーが発生したと仮定する。この場合において、画像データが表す画像にグリーンの領域が含まれ、その幅がW1(又はこれに近似する値)であったときには、画像形成装置10は、一次転写電流をI1より大きい(又は小さい)値に設定する。一方、画像データが表す画像にグリーンの領域が含まれるが、その幅がW1(又はこれに近似する値)でない場合であれば、画像形成装置10は、一次転写電流としてI1を設定しても差し支えはない。
【0063】
つまり、画像形成装置30は、適用する画像形成条件を、そのとき形成する画像に応じて変更する。換言すれば、画像形成装置30は、そのとき形成する画像において筋状リトランスファーが発生しにくいのであれば、パターン画像において筋状リトランスファーが発生しやすい画像形成条件がそのときに設定されていたとしても、その画像形成条件を変更することなく用いて画像を形成するように構成されている。したがって、画像形成装置30においては、画像形成装置10や画像形成装置20に比べ、画像形成条件を変更する回数が少なくなることが期待される。
【0064】
[変形例]
本発明の実施の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す形態であってもよい。また、これらの形態は、必要に応じて、併用したりその一部を置き換えたりすることによって、互いに組み合わされてもよい。
【0065】
(1)パターン画像の形状は、三角形である必要はなく、円形(半楕円形を含む。)などであってもよい。また、パターン画像の幅の変化は、連続的ではなく段階的であってもよい。
図12は、パターン画像の他の例を示す図である。同図において、パターン画像Paは、半楕円形のパターン画像の一例である。また、パターン画像Pb、Pcは、幅の変化が連続的でないパターン画像の一例である。
【0066】
なお、パターン画像の幅は、画像の幅として想定され得る最小値から最大値までをすべて網羅している必要はない。パターン画像は、筋状リトランスファーが発生しやすい幅や、筋状リトランスファーが人間の目に知覚されやすい幅を含んでいれば十分であるともいえる。例えば、画像の幅が非常に小さい場合には、たとえその位置において筋状リトランスファーが発生したとしても、人間の目にほとんど知覚されることがないため、これが補正されるように画像形成条件を変更する必要性も高くない。したがって、パターン画像は、図12のPdのように、台形であってもよい。
【0067】
(2)筋状リトランスファーは、既にトナーが転写されている面にさらにトナーを転写することによって発生する。また、筋状リトランスファーが発生するか否かは、後に転写されるトナーの量よりも、先に転写されるトナーの量に強く依存する。さらに、本発明における画像形成条件の変更は、主として、転写されるトナーの量が少なくなるように作用するものである。
【0068】
したがって、本発明は、パターン画像の形成に用いられるすべてのトナーについて画像形成条件を変更するのではなく、先に転写されるトナーについてのみ画像形成条件を変更するようにしても、効果を奏し得る。例えば、本発明は、グリーンの画像に発生する筋状リトランスファーを抑制するために、先に転写されるYトナーを転写するときの画像形成条件を変更する一方、Cトナーを転写するときの画像形成条件を変更しないようにしてもよい。このようなセットアップ動作を実行し、Yトナーが転写される量が少なくなるようにすると、結果としてCトナーの転写不良が発生しにくくなる。
【0069】
ただし、このようにして一部の色の画像形成条件を変更しなかった場合には、カラーバランスが崩れる可能性がある。すなわち、このようなセットアップ動作を実行した場合には、YトナーとCトナーとを同じ比率で含んで構成されるべき画像であっても、Yトナーの量が少なくなってしまうため、想定されていた本来の色と異なる色として知覚される画像が形成される可能性がある。そこで、このような問題が生じる可能性がある場合には、本発明に係る画像形成条件の変更とは別の処理によって、色のずれを補うようにすればよい。かかる処理としては、例えば、LUTを用いた画像データの補正が考えられる。
【0070】
(3)本発明に係る画像形成装置は、ロータリー方式の現像器を備えるものに限定されない。例えば、本発明に係る画像形成装置は、各色の現像器を独立に備え、これを中間転写ベルトの移動方向に沿って直列に配置したもの(いわゆるタンデム方式)であってもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、中間転写ベルトを備えず、感光体から記録媒体に直接トナーを転写する構成であってもよい。
【0071】
(4)本発明は、画像形成装置に限らず、画像形成装置を制御する制御装置としても提供される。
図13は、本発明に係る制御装置50の機能構成を示すブロック図である。制御装置50は、制御手段200と、変更手段400と、受付手段900とを備える。なお、同図において第1実施形態(図1参照)と同一の符号を付した構成要素は、第1実施形態において説明された各手段と機能的に共通する。受付手段900は、検出手段300により検出された濃度を表す情報を受け付ける手段である。かかる情報は、上述した濃度情報であってもよいし、濃度センサ301の出力値であってもよい。つまり、制御装置50は、濃度センサ301の出力値を受け付け、出力値に対して信号処理を実行する構成であってもよい。
【0072】
また、本発明は、このような制御装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムや、かかるプログラムを記録した記録媒体の形態で提供されてもよい。また、本発明に係るプログラムは、ネットワークやその他の通信手段を介して外部装置から取得され、コンピュータにダウンロードされてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、20、30…画像形成装置、50…制御装置、100…画像形成手段、200…制御手段、300…検出手段、400…変更手段、500…記録手段、600…記憶手段、700…取得手段、800…特定手段、900…受付手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、
2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、
前記制御手段の制御に応じて前記画像形成手段により形成されたパターン画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段と、
前記検出手段により前記移動方向にわたって検出された濃度の変動に応じて前記条件を変更する変更手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
複数の前記パターン画像を、前記条件を画像毎に異ならせて形成させ、
前記変更手段は、
前記複数のパターン画像のうち、前記検出手段により検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を形成したときの前記条件を適用する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段により形成され、前記検出手段により濃度が検出されたパターン画像を形成したときの前記条件を表すデータを記憶手段に記録する記録手段を備え、
前記変更手段は、
前記記録手段により前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記条件を変更する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段により形成される画像を表す画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データが表す画像に2次色以上の領域が含まれる場合に、前記媒体における当該領域の移動方向に直交する方向の幅を特定する特定手段とを備え、
前記記録手段は、
前記検出手段により検出された濃度が前記単色の濃度と相違する位置における前記パターン画像の前記幅と、当該パターン画像を形成したときの前記条件との対応付けを前記データとして記録し、
前記変更手段は、
前記特定手段により特定された幅と前記記憶手段に記憶されたデータが表す幅との差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該幅と対応付けて記憶された前記条件を用いない
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段とを備える画像形成装置のコンピュータに、
2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御するステップと、
前記画像形成手段により前記パターン画像が形成された場合に前記検出手段により検出された濃度を表す情報を受け付けるステップと、
前記情報が表す濃度の変動に応じて前記条件を変更するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、
2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、
前記制御手段の制御に応じて前記画像形成手段により形成されたパターン画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段と、
前記検出手段により前記移動方向にわたって検出された濃度の変動に応じて前記条件を変更する変更手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
複数の前記パターン画像を、前記条件を画像毎に異ならせて形成させ、
前記変更手段は、
前記複数のパターン画像のうち、前記検出手段により検出された濃度の変動が最も少ないパターン画像を形成したときの前記条件を適用する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段により形成され、前記検出手段により濃度が検出されたパターン画像を形成したときの前記条件を表すデータを記憶手段に記録する記録手段を備え、
前記変更手段は、
前記記録手段により前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記条件を変更する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段により形成される画像を表す画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像データが表す画像に2次色以上の領域が含まれる場合に、前記媒体における当該領域の移動方向に直交する方向の幅を特定する特定手段とを備え、
前記記録手段は、
前記検出手段により検出された濃度が前記単色の濃度と相違する位置における前記パターン画像の前記幅と、当該パターン画像を形成したときの前記条件との対応付けを前記データとして記録し、
前記変更手段は、
前記特定手段により特定された幅と前記記憶手段に記憶されたデータが表す幅との差があらかじめ決められた範囲内である場合に、当該幅と対応付けて記憶された前記条件を用いない
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
決められた条件に従って動作し、複数色のトナーを媒体に転写して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像の濃度を前記媒体の移動方向にわたって検出する検出手段とを備える画像形成装置のコンピュータに、
2次色以上の単色のパターン画像であって、前記媒体の移動方向に直交する方向の幅が連続的又は段階的に変化するパターン画像を前記媒体に形成するように前記画像形成手段を制御するステップと、
前記画像形成手段により前記パターン画像が形成された場合に前記検出手段により検出された濃度を表す情報を受け付けるステップと、
前記情報が表す濃度の変動に応じて前記条件を変更するステップと
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−24978(P2013−24978A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158010(P2011−158010)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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