画像形成装置及びプロセスカートリッジ
【課題】様々な環境条件で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置潜像は、潜像を担持する像担持体63と、該像担持体63の表面に近接配置して該像担持体63の表面を帯電させる帯電部材(帯電ローラ)101と、を有する画像形成装置において、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分に空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けたものとする。
【解決手段】本発明の画像形成装置潜像は、潜像を担持する像担持体63と、該像担持体63の表面に近接配置して該像担持体63の表面を帯電させる帯電部材(帯電ローラ)101と、を有する画像形成装置において、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分に空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けたものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等として用いられる画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(感光体)に対して帯電処理を行う部材として、帯電部材が用いられている。図8は、従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【0003】
図8に示されてるように、従来の電子写真方式の画像形成装置は、静電潜像が形成される像担持体511、接触あるいは近接配置されて帯電処理を行う帯電部材512、帯電部材512の表面をクリーニングするクリーニング部材512a、露光手段513、像担持体511上の静電潜像にトナー515を付着させるトナー担持体514、像担持体511上のトナー像を記録媒体517に転写処理する転写部材516、転写処理後の静電潜像担持体をクリーニングするためのクリーニング部材518から構成されている。図8において、519は、像担持体511上に残留したトナー515がクリーニング部材518により除去された廃トナーであり、520は、現像装置であり、そして、521は、クリーニング装置である。また、この電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体511の放電による摩耗を低減させたり、トナークリーニング性を向上させたりするために、潤滑剤522が、潤滑剤塗布部材523により、像担持体511の表面に塗布されている。なお、図9では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本明細書においては必要としないので省略してある。
【0004】
次に、従来の電子写真方式の画像形成装置の基本的な作像動作について説明する。
【0005】
像担持体(感光体ドラム)511に接触された帯電ローラ512に対してDC電圧をパワーパックから給電すると、感光体ドラム511の表面は、一様に高電位に帯電する。その直後に、画像光が感光体ドラム511の表面に露光手段513により照射されると、感光体ドラム511の照射された部分は、その電位が低下する。このような帯電ローラ512による感光体ドラム511の表面への帯電メカニズムは、帯電ローラ512と感光体ドラム511との間の微少空間におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。
【0006】
画像光は、画像の白/黒に応じた光量の分布であるので、かかる画像光が照射されると、画像光の照射によって感光体ドラム511の面に記録画像に対応する電位分布、即ち、静電潜像が形成される。このように静電潜像が形成された感光体ドラム511の部分が現像ローラ514を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電画像を可視像化したトナー像が形成される。かかるトナー像が形成された感光体ドラム511の部分に、記録紙517が所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により搬送され、前記トナー像に重なる。そして、このトナー像が転写ローラ516によって記録紙に転写された後、該記録紙517は、感光体ドラム511から分離される。分離された記録紙517は、搬送経路を通って搬送され、定着ユニット(図示せず)によって、加熱定着された後、機外へ排出される。このようにして転写が終了すると、感光体ドラム511は、その表面がクリーニング装置518によりクリーニング処理され、さらに、クエンチングランプ(図示せず)により、残留電荷が除去されて、次回の作像処理に備えられる。
【0007】
図9は、従来の画像形成装置において、帯電部材(帯電ローラ)を像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の一例を示す模式図である。図10は、図9に示される帯電ローラの断面図である。図11は、従来の画像形成装置において、帯電ローラを像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の他の一例を示す模式図である。図12は、図11に示される帯電ローラの断面図である。
【0008】
図11,12に示されているように、従来の帯電部材(帯電ローラ)401を用いた帯電方式には、像担持体(感光体ドラム)63に帯電ローラ401を接触させる接触帯電方式の帯電装置(特許文献1,2を参照。)があるが、このような従来の接触帯電方式の帯電装置は、
(1)帯電ローラ401を構成している物質が帯電ローラ401から染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ401の跡を残すこと、
(2)感光体ドラム61の上のトナーが帯電ローラ401に付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラ401の帯電性能が低下すること、
(3)放電により帯電ローラ401の表面が劣化するので、トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ401に付着しやすくなり、そのために、帯電性能の低下及び画像不良が発生すること、
といった問題があった。
【0009】
そこで、このような問題を解決するために、図11,12に示されているように、導電性支持体406の上に形成された電気抵抗調整層404の表面に保護層405を形成した帯電部材(帯電ローラ)401として、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいようにしている。図11において、406は、導電性支持体であり、そして、407は、軸受である。
【0010】
また、従来の帯電ローラを用いた帯電方式による帯電装置には、図9,10に示されているように、像担持体(感光体ドラム)63に帯電ローラ301を近接させて帯電させる近接(非接触)帯電方式の帯電装置(特許文献3〜5を参照。)がある。
【0011】
この近接(非接触)帯電方式による帯電装置は、前記接触帯電方式による帯電装置の前記問題点(1)、(2)を解決するために、帯電部材(帯電ローラ)301と像担持体63との最近接距離(空隙)が50〜300μmになるように対向させて、帯電ローラ301に電圧を印加することにより、像担持体63の帯電を行うものである。この近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラ301と像担持体63とが接触していないので、接触帯電装置で問題となる「帯電ローラ301を構成している物質の像担持体(感光体ドラム)61への付着」及び「像担持体63を長期停止したときに生ずる、永久変形」は問題とならない。また、「像担持体63の上のトナー等が帯電ローラ301に付着することによる帯電性能の低下」に関しても、帯電ローラ301に付着するトナーが少なくなるので、近接帯電方式による帯電装置が優れている。図9において、303は、空隙形成部材であり、304は、電気抵抗調整層であり、305は、保護層であり、306は、導電性支持体であり、307は、軸受であり、そして、308は、圧縮バネである。
【0012】
特許文献3に示される帯電装置では、帯電ローラと感光体間の空隙を保持する手段として、帯電ローラの両端部にスペーサリング層を設ける方法が開示されている。しかしながら、この技術には、空隙を精密に設定する具体的な手段が無く、また、帯電ローラ及びスペーサリングの寸法精度がばらつくことによって空隙が変動し、その結果、像担持体の帯電電位が均一にならずに変動するという問題があった。
【0013】
そこで、このような問題を解決するために、所定の厚みを持ったテープ状の空隙保持手段(特許文献6を参照。)が提案されている。しかしながら、この空隙保持手段には、テープ状部材の磨耗、テープ粘着剤のはみ出しによるトナーの固着等により、長期間使用すると、像担持体と帯電ローラとの間の空隙が維持できなくなるという問題があった。また、テープ、接着層の厚みがばらつくので、高精度の空隙を形成することができないという問題があった。これらの問題を解決するために、図9に示すように、電気抵抗調整層304の両端部に空隙形成部材303を配置し、空隙形成部材303と電気抵抗調整層304とを同時に切削加工することにより、高精度の空隙Gを形成する帯電部材(帯電ローラ)301(特許文献5を参照。)が提案された。この帯電ローラ301においては、空隙形成部材303及び電気抵抗調整層304は、それぞれの要求機能を満足させるために、異なった材料を使用する必要がある。それ故、空隙形成部材303は、トナー固着性、像担持体へのダメージを与えない材質で形成するが、電気抵抗調整層304は電気抵抗値を調整する必要があるので、電気抵抗調整剤として、イオン導電剤が使用されている。しかし、このイオン導電剤は、吸水性が高い。したがって、これらの材質の違いのために、環境変動、特に、高温高湿環境においては、空隙形成部材303は吸湿しないが、電気抵抗調整層304が吸湿して寸法変動が発生し、空隙形成部材303と電気抵抗調整層304との間に形成された空隙量が変動してしまうといった問題が発生した。
【特許文献1】特公平3−52058号公報
【特許文献2】特公平8−30915号公報
【特許文献3】特開平3−240076号公報
【特許文献4】特開2001−312121号公報
【特許文献5】特開2005−91818号公報
【特許文献6】特開2001−296723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0015】
即ち、本発明は、様々な環境条件で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面に近接配置して該像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、を有する画像形成装置において、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項8に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が、形成されていないことを特徴とするものである。
【0025】
請求項10に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材における電気抵抗調整層が、前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項11に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記空隙の量が、5〜100μmの範囲内とされていることを特徴とするものである。
【0027】
請求項12に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が、帯電されていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項13に記載された発明は、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0029】
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載された発明において、前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載された発明によれば、前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたので、様々な環境条件で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0031】
請求項2に記載された発明によれば、前記空隙形成部材がリング状であるので、帯電部材及び像担持体を回転駆動させて使用することができ、そのために、帯電部材及び像担持体の耐久性を高めることができる。
【0032】
請求項3に記載された発明によれば、前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されているので、環境変動における像担持体と帯電部材の間の空隙変動量を低減させることができ、そのために、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持することができる。
【0033】
請求項4に記載された発明によれば、前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されているので、空隙形成部材へのトナー、及び、トナー構成材料の固着を防止することができ、そのために、経時及び環境変動において、像担持体と帯電部材との間の微少な空隙をいっそう安定して維持することができる。
【0034】
請求項5に記載された発明によれば、前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されているので、空隙形成部材が経時及び環境変動においてずれ、回転等が起こらないようにすることができる。
【0035】
請求項6に記載された発明によれば、前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の微少な空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられているので、像担持体と帯電部材との間の微少な空隙を精度良く一定に保つことができできる。
【0036】
請求項7に記載された発明によれば、前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されているので、前記帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に形成される微少な空隙の変動(振れ)を小さくして微少な空隙の精度をいっそう高めることができる。
【0037】
請求項8に記載された発明によれば、前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されているので、経時及び環境変動における帯電部材の表面へのトナー、トナー構成材料等が固着することを防止することができる。
【0038】
請求項9に記載された発明によれば、前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が形成されていないので、経時での保護層の磨耗による空隙量の変動を防止することができる。
【0039】
請求項10に記載された発明によれば、前記帯電部材における電気抵抗調整層が前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられているので、像担持体の非塗工領域におけるリークを防止することができる。
【0040】
請求項11に記載された発明によれば、前記空隙の量が5〜100μmの範囲内とされているので、帯電部材の汚れを防止することができ、そのために、異常放電が発生することを防止することができる。
【0041】
請求項12に記載された発明によれば、前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が帯電されているので、該像担持体の回転時における空隙量変動に対する帯電ムラを防止することができる。
【0042】
請求項13記載された発明によれば、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたので、様々な環境条件使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高いプロセスカートリッジを提供することができ、しかも、プロセスカートリッジとすることにより、交換可能にしすると共にメンテナンスを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体と帯電部材との位置関係を示す部分概略説明図であって、(a)は、像担持体上に帯電部材を配置した状態を示し、(b)は、像担持体を示す。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体上に帯電部材を配置した状態を示す部分概略説明図である。図3は、本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体の説明図である。図4は、空隙を測定する寸法測定器の説明図である。図5は、本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。図6は、本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。図7は、トナーの形状を模式的に示す図である。
【0045】
図1に示されているように、本発明の画像形成装置潜像は、潜像を担持する像担持体(感光体ドラム)63と、該像担持体63の表面に近接配置して該像担持体63の表面を帯電させる帯電部材(帯電ローラ)101と、を有している。そして、前記画像形成装置潜像においては、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分に空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けたものとする。図1において、104は、電気抵抗調整層であり、105は、保護層であり、106は、導電性支持体であり、107は、軸受であり、そして、308は、圧縮バネである。
【0046】
このように、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けると、様々な環境条件下で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材101と像担持体63との間に安定した微少な空隙Gを維持して、像担持体63の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0047】
本発明においては、空隙形成部材62は、好ましくは、リング状である。図1に示されているように、前記リング状の空隙形成部材62は、円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に設けられる。そして、前記リング状の空隙形成部材62は、好ましくは、リング状部材を前記円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に外挿されて固定されたものであるが、テープ部材を前記円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に卷回されて固定されたものであってもかまわない。このように、空隙形成部材62がリング状であると、帯電部材101及び像担持体63を回転駆動させて使用することができ、そのために、帯電部材及び像担持体の耐久性を高めることができる。また、導電性支持体がベルト状に形成されたもの(図示せず)である場合には、テープ部材が、ベルト状の導電性支持体の両端より内側の部分に卷回されて固定される。
【0048】
前記空隙形成部材62は、好ましくは、電気絶縁性材料で構成されている。このように、前記空隙形成部材62が、電気絶縁性材料で構成されていると、環境変動における像担持体63と帯電部材101の間の空隙変動量を低減させることができ、そのために、帯電部材101と像担持体63との間に安定した微少な空隙を維持することができる。
【0049】
前記空隙形成部材62を構成する電気絶縁性材料は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されている。このように、前記電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていると、空隙形成部材62へのトナー、及び、トナー構成材料の固着を防止することができ、そのために、経時及び環境変動において、像担持体63と帯電部材101との間の微少な空隙をいっそう安定して維持することができる。
【0050】
前記空隙形成部材62は、好ましくは、前記像担持体63における導電性支持体61の表面に接着されている。このように、前記空隙形成部材62が、前記像担持体63における導電性支持体61の表面に接着されていると、空隙形成部材62が経時及び環境変動においてずれ、回転等が起こらないようにすることができる。
【0051】
本発明においては、前記空隙形成部材62の外周面が前記帯電部材101の外周面に当接したときに、該帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体61の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する該空隙形成部材62の外周面の高低差が設けられている。このように、前記空隙形成部材62の外周面が前記帯電部材101の外周面に当接したときに、該帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体61の外周面との間に一定間隔の微少な空隙Gが形成されるように、該像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する該空隙形成部材62の外周面の高低差が設けられていると、像担持体63と帯電部材101との間の微少な空隙Gを精度良く一定に保つことができできる。
【0052】
本発明においては、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する前記空隙形成部材62の外周面の高低差は、好ましくは、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面と該像担持体63の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されている。このように、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する前記空隙形成部材62の外周面の高低差が、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面と該像担持体63の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていると、前記帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体62の外周面との間に形成される微少な空隙Gの変動(振れ)を小さくして微少な空隙Gの精度をいっそう高めることができる。
【0053】
本発明においては、前記帯電部材101は、導電性支持体306と、該導電性支持体306の上に形成された電気抵抗調整層104と、該電気抵抗調整層104の表面に形成された保護層105と、で構成されている。このように、前記帯電部材101が、導電性支持体306と、該導電性支持体306の上に形成された電気抵抗調整層104と、該電気抵抗調整層104の表面に形成された保護層105と、で構成されていると、経時及び環境変動における帯電部材101の表面へのトナー、トナー構成材料等が固着することを防止することができる。
【0054】
前記帯電部材101と前記空隙形成部材62とが当接する部分においては、好ましくは、前記帯電部材101の前記保護層105が形成されていないものとされる。このように、前記帯電部材101と前記空隙形成部材62とが当接する部分においては、前記帯電部材101の前記保護層105が形成されていないと、経時での保護層105の磨耗による空隙量の変動を防止することができる。
【0055】
前記帯電部材101における電気抵抗調整層104は、好ましくは、前記像担持体63における感光層非塗工領域よりも内側に設けられている。このように、前記帯電部材101における電気抵抗調整層104が、前記像担持体63における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていると、像担持体63の非塗工領域におけるリークを防止することができる。
【0056】
本発明においては、前記空隙Gの量は、好ましくは、5〜100μmの範囲内とされている。このように、前記空隙Gの量が5〜100μmの範囲内とされていると、帯電部材101の汚れを防止することができ、そのために、異常放電が発生を防止することを防止することができる。
【0057】
本発明においては、前記帯電部材101に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体63の表面は帯電されている。このように、前記帯電部材101に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体63の表面が帯電されていると、該像担持体63の回転時における空隙量変動に対する帯電ムラを防止することができる。
【0058】
図5は、本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。本発明の画像形成装置の全体を説明すると次のとおりとなる。図5に示されているように、本発明のフルカラー画像を形成できる画像形成装置は、複数の支持ローラ4,5,6に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト3と、その中間転写ベルト3に対向配置された第1乃至第4のプロセスカートリッジ7Y,7C,7M,7BKを有している。各プロセスカートリッジ7Y乃至7BKは、それぞれ異なった色のトナー像が形成されるドラム状の感光体として構成された像担持体2Y,2C,2M,2BKを有し、その各像担持体上に異なった色のトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像が中間転写ベルト3上に重ねて転写される。中間転写ベルト3は、像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材の一例を構成するものである。また、図5における符号1は、画像形成装置本体を示している。
【0059】
第1乃至第4のプロセスカートリッジ7Y乃至7BKの各像担持体2Y乃至2BK上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、トナー像の色が異なるだけであって、実質的に全て同一であるので、第1のプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yにトナー像を形成し、これを中間転写ベルト3に転写する構成だけを説明する。
【0060】
図6は、本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。ここに示されたプロセスカートリッジは、図5に示された画像形成装置における第1のプロセスカートリッジに対応している。ここに示したプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yは、ユニットケース8に回転自在に支持されていて、図示していない駆動装置によって時計方向に回転駆動される。このとき、ユニットケース8に回転自在に支持された帯電ローラ9に帯電電圧が印加され、これによって像担持体2Yの表面が所定の極性に帯電される。帯電後の像担持体2Yには、プロセスカートリッジ7Yとは別体の図5に示した光書き込み装置10から出射する光変調されたレーザ光Lが照射され、これによって像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置11によってイエロートナー像として可視像化される。
【0061】
現像装置11は、ユニットケース8の一部によって構成された現像ケース12を有し、この現像ケース12には、トナーとキャリアを有する二成分系の乾式現像剤Dが収容されている。また、この現像ケース12には、現像剤Dを撹拌する2本のスクリュー13,13と、図6における反時計方向に回転駆動される現像ローラ23とが配置され、その現像ローラ23の周面に汲み上げられた現像剤は、該現像ローラ23の周面に担持されて、当該現像ローラ23の回転方向に搬送され、ドクターブレード24を通過した現像剤が現像ローラ23と像担持体2Yの間の現像領域に運ばれる。このとき、その現像剤中のトナーが像担持体2Yに形成された静電潜像に静電的に移行して、その潜像がトナー像として可視像化される。現像領域を通過した現像剤は、現像ローラ23から分離され、スクリュー13,14によって撹拌される。このようにして、像担持体2Yにトナー像が形成されるのである。キャリアを有さない一成分系現像剤を用いる現像装置を採用することもできる。
【0062】
一方、中間転写ベルト3を挟んでプロセスカートリッジ7Yと反対側には一次転写ローラ25が配置され、この一次転写ローラ25に転写電圧が印加されることによって、像担持体2Y上のトナー像が、矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の像担持体2Y上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置26によって除去される。本例のクリーニング装置26は、ユニットケース8の一部によって構成されたクリーニングケース27と、先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接したクリーニングブレード28と、そのクリーニングブレード28を保持するブレードホルダ29と、クリーニングケース27内に配置されたトナー搬送スクリュー30とを有している。クリーニングブレード28は、像担持体2Yの表面移動方向に対してカウンタ向きに配置されている。かかるクリーニングブレード28は、ゴムなどの弾性体により構成され、そのクリーニングブレード28の基端側が、例えば接着剤によってブレードホルダ29に固定されている。かかるクリーニングブレード28の先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接することによって、像担持体2Y上の転写残トナーが掻き取り除去される。除去されたトナーは、回転駆動されるトナー搬送スクリュー30によってクリーニングケース外に搬送される。このようにして、クリーニングブレード28は、トナー像が転写材(図5の例では中間転写ベルト3)に転写された後の像担持体を清掃する用をなす。また、プロセスカートリッジ7Yには、像担持体2Yに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置31と、像担持体2Yに塗布された潤滑剤を均す潤滑剤均し手段の一例である均しブレード32が設けられているが、これらについては後に詳しく説明する。
【0063】
上述したものと全く同様にして、図5に示した第2乃至第4の像担持体2C,2M,2BK上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各像担持体2C,2M,2BK上の転写残トナーがクリーニング装置により除去されることも第1の像担持体2Yの場合と変わりはない。
【0064】
一方、図5に示すように、画像形成装置本体1の内の下部には、例えば、転写紙より成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、レジストローラ対17によって、所定のタイミングで支持ローラ4に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。合成トナー像を二次転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置19を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体Pは、画像形成装置本体1の上部の排紙部22に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置20によって除去される。
【0065】
ここで、図5に示したクリーニングブレード28と像担持体2Yとの摩耗を抑え、しかも、小粒径の球形トナーを用いたときも、クリーニングブレード28による高いクリーニング性能が維持されるように、この画像形成装置1には、前述の潤滑剤塗布装置31が設けられている。かかる潤滑剤塗布装置31は、第2乃至第4のプロセスカートリッジ7C,7M,7BKにも設けられているが、その構成と作用は全て同一であるため、ここでも図6に示したプロセスカートリッジ7Yの潤滑剤塗布装置31だけを説明する。図6に示した潤滑剤塗布装置31は、像担持体2Yの表面に当接するブラシローラ33と、このブラシローラ33に対置された固形潤滑剤34と、その固形潤滑剤34を固定支持する潤滑剤ホルダ35と、その潤滑剤ホルダ35を介して固形潤滑剤34を案内するガイド36と、加圧手段の一例である圧縮コイルばね37とを有している。ブラシローラ33は、芯軸38と、その芯軸38に基端部が固定された多数のブラシ繊維39とを有している。かかるブラシローラ33は、像担持体2Yに対してほぼ平行に、しかもその像担持体2Yに沿って長く延びていて、ブラシローラ33の芯軸38の長手方向各端部が図示していない軸受を介して、ユニットケース8に対して回転自在に支持されている。画像形成動作時には、ブラシローラ33は図6における反時計方向に回転駆動される。
【0066】
また、固形潤滑剤34は、ブラシローラ33に対して平行に長く延びた直方体状に形成され、そのブラシローラ33を向いた側の先端面がブラシローラ33のブラシ繊維39に当接し、これとは反対の基端側の面が潤滑剤ホルダ35に固定されている。本例のガイド36は、互いに平行に間隔をあけて対向配置された一対のガイド板40,41を有し、これらのガイド板40,41は連結板42によって一体化されている。一対のガイド板40,41と連結板42は、ユニットケース8の一部によって構成されている。潤滑剤ホルダ35は、一対のガイド板40,41の間に配置され、その各ガイド板40,41の互いに対向した面に潤滑剤ホルダ35が摺動可能に当接する。潤滑剤をブラシローラへ押圧する方法は、バネ等の手段によって達成でき、潤滑剤ホルダ35を介して、固形潤滑剤34をブラシローラ33に対して加圧する。図6には、この加圧方向を矢印Cで示してある。圧縮コイルばねに代えて、ねじりコイルばねや板ばねなどから成る加圧手段を用いることもできる。上述のようにして、固形潤滑剤34がブラシローラ33のブラシ繊維39に圧接すると共に、そのブラシ繊維39が像担持体2Yの表面に圧接し、このときブラシローラ33が回転するので、固形潤滑剤34の潤滑剤がブラシ繊維39によって削り取られ、その削り取られた粉体状の潤滑剤が像担持体2Yの表面に塗布される。このように、ブラシローラ33は、固形潤滑剤34から削り取られた粉体状の潤滑剤を像担持体表面に供給する潤滑剤供給部材の一例を構成している。固形潤滑剤34はブラシローラ33によって削り取られて消費され、経時的にその厚みが減少するが、固形潤滑剤34は圧縮コイルばね37によって加圧されているので、その固形潤滑剤34は常時ブラシローラ33のブラシ繊維39に当接することができる。
【0067】
前記したように、像担持体2Yの表面には、潤滑剤が塗布されるので、像担持体表面の摩擦係数を低く抑えることができ、これによって像担持体2Yとクリーニングブレード28の摩耗を抑え、その寿命を伸ばすことができる。しかも、トナーとして後述するように、小粒径で球形のトナーを用いたときも、クリーニングブレード28による像担持体2Yのクリーニング性能が大きく低下することを阻止できる。しかも、本例の潤滑剤塗布装置31には、ガイド36が設けられ、そのガイド36によって、潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向、すなわち圧縮コイルばね37による加圧方向Cと、その逆の方向にだけ移動できるように、その潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が案内される。このため、固形潤滑剤34が、この方向と直交する方向Eに大きく振れ動くことはない。これによって、固形潤滑剤34は常にほぼ同じ面積でブラシローラ33に当接することができ、常にほぼ一定量の潤滑剤が、ブラシローラ33を介して、像担持体表面に供給され、像担持体表面への潤滑剤の塗布むらを防止できる。
【0068】
図6に示された画像形成装置においては、潤滑剤ホルダ35が一対のガイド板40、41に当接し、その潤滑剤ホルダ35を介して、固形潤滑剤34がガイド36によって案内されるように構成されているが、固形潤滑剤34をガイド36によって直に案内するように構成することもできる。また、固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向Cにだけ移動できるように、固形潤滑剤34がガイド36により案内されるとは、固形潤滑剤34が、この方向Cに対して直交する方向Eに、多少の遊び分だけ遊動してもよいことを示している。
【0069】
前記潤滑剤塗布装置31は、回転しながら像担持体2Yに当接するブラシローラ33より成る潤滑剤供給部材と、その潤滑剤供給部材に対置された固形潤滑剤34と、該固形潤滑剤34が、実質的に、潤滑剤供給部材に対して接近又は離間する方向にだけ移動できるように、該固形潤滑剤34を案内するガイド36と、該固形潤滑剤34を潤滑剤供給部材に対して加圧する加圧手段とを有している。また、図6に示された画像形成装置は、均しブレード32として構成された潤滑剤均し手段を有しており、この均しブレード32は、ゴムなどの弾性体より成り、その先端エッジ部が像担持体2Yの表面に当接し、その基端側がホルダ45に固定されている。均しブレード32は像担持体2Yの表面の移動方向に対してトレーリング向きに配置されている。一方、前述のブラシローラ33より成る潤滑剤供給部材は、図6から明らかなように、クリーニングブレード28よりも像担持体2Yの表面移動方向の下流側に配置されている。
【0070】
上述した構成によれば、トナー像転写後の像担持体表面に付着する転写残トナーはクリーニングブレード28により除去され、これによってクリーンな状態となった像担持体2Yの表面に、ブラシローラ33によって潤滑剤が塗布される。次いでその塗布された潤滑剤は、像担持体表面に当接した均しブレード32を通過するとき、像担持体2Yの表面に一様に押し広げられて均一に均される。これにより、像担持体上に厚みの均一な潤滑剤層が形成される。このように、像担持体2Yを清掃した直後に、潤滑剤を塗布し、その潤滑剤を均すことによって、像担持体表面への潤滑剤塗布量の偏りやその表面の摩擦係数の偏りが生じることを防止でき、記録媒体上に形成された画像の画質を高めることができる。しかも、均しブレード32は、像担持体表面の移動方向に対してトレーリング向きに配置されているので、像担持体2Yの駆動トルクが過度に大きくなることを阻止できる。
【0071】
潤滑剤塗布装置31のブラシローラ33のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維39の密度は2万〜10万本/inch2が好ましい。ブラシ繊維39の太さが細すぎると、ブラシローラ33が像担持体表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなり、逆にブラシ繊維39が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと像担持体表面に当接するブラシ繊維の本数が少なくなるため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足してしまう。
【0072】
固形潤滑剤34としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0073】
また、現像装置11において使用するトナーとしては、体積平均粒径が10μm以下で、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比Dv/Dn(分散度)が、1.00乃至1.40の範囲にあるトナーを用いることが好ましく、特に体積平均粒径が3〜8μmであることが望ましい。小粒径のトナーを用いることで、静電潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。しかしながら、トナーの体積平均粒径が小さすぎると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のクリーニングブレードへのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径が大きすぎると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。また、粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
【0074】
なお、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。ここでは、コールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続し、測定した。
【0075】
上記のようなトナーは、トナーに内添、あるいは外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等がトナー中に占める割合が、小粒径化されたことで高くなっており、これらの添加剤が像担持体上に発生する付着物質の要因となっている。ところが、潤滑剤塗布装置31を搭載することにより、像担持体表面全域にわたって均一な潤滑剤の薄膜を形成させ、これらの付着物質の像担持体表面への付着力を低減させることができ、しかも、像担持体表面とクリーニング装置26のクリーニングブレード28、均しブレード32との間に働く摩擦力を低減させてクリーニングを良好に行うことができる。
【0076】
現像装置11において、平均円形度が0.93乃至1.00の範囲にあるトナーを用いた場合、像担持体に潤滑剤を塗布する効果を大きく得ることができる。像担持体に潤滑剤を塗布することによって、このような円形度の高いトナーを用いても、そのトナーがクリーニングブレード28をすり抜ける不具合を効果的に抑えることができるからである。トナーの平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。また、現像装置11で使用するトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0077】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード28と像担持体との間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1又はSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は180を越えない方が好ましい。なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算する。
【0078】
本例の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー組成物であるトナー材料液を、水系溶媒中で、樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。
【0079】
以上説明した画像形成装置においては、像担持体がドラム状に形成され、中間転写体が中間転写ベルトによって構成されているが、像担持体が無端ベルトにより構成され、中間転写体がドラム状に構成されているときも、本発明に係る構成を採用することができる。また、本発明にかかる各構成は、トナー像が形成される像担持体が中間転写体より成り、その像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材が記録媒体より成るときにも適用できる。この場合には、トナー像転写後の中間転写体上に付着する転写残トナーを除去するクリーニングブレードと、その中間転写体上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置が設けられ、これらに前述の各構成がそれぞれ採用される。さらに、本発明は、感光体より成る1つの像担持体上に形成したトナー像を、記録媒体より成る転写材に直に転写する形式の画像形成装置などにも支障なく適用することができる。
【0080】
(帯電装置について)
図6の帯電装置(点線で囲んだ部分)は、帯電ローラ9の汚染を除去するためのクリーニング部材を備える。クリーニング部材の形状は、ローラ状、パッド形状でもよいが、本発明ではローラ形状とした。クリーニング部材は、帯電装置の図示しないハウジングに設けられる軸受に嵌合され、回転可能に軸支される。このクリーニング部材は、帯電ローラに当接して、外周面をクリーニングする。そのために、クリーニング部材の軸受け部をバネ等の加圧手段により帯電ローラへ押し付ける。帯電ローラ9の表面にトナー、紙粉、部材の破損物等の異物が付着すると、電界が異物部分に集中するために優先的に放電が生ずる異常放電を起こす。逆に、電気的絶縁性の異物が広い範囲に付着すると、その部分では放電が生じないために、像担持体に帯電ムラが生ずる。このために、帯電装置には帯電ローラ9の表面をクリーニングするクリーニング部材を設けることが好ましい。クリーニング部材としては、ポリエステル等の繊維によるブラシ、メラミン樹脂等の多孔質(スポンジ)のようなものを用いることができる。クリーニング部材は、帯電ローラと等速回転されることが望ましく、連れ回りあるいは、ギアによる等速駆動を行っても良い。また、離間して間欠等の形式で回転させても良い。線速差をつけると帯電ローラ表面への付着物をクリーニングできず、逆に帯電ローラ表面に押し付けてしまう。
【0081】
また、帯電装置は、帯電ローラ9に電圧を印加する電源を備えている。電圧としては、直流電圧だけでも良いが、直流電圧と交流電圧を重畳することが好ましい。特に、非接触方式の場合、感光体と帯電ローラの空隙(ギャップ)の変動により帯電ムラが生じやすく、直流電圧のみを印加すると像担持体の表面電位が不均一になることがある。交流電圧を重畳した電圧では、帯電ローラ9表面が等電位となり、放電が安定して像担持体を均一に帯電させることができる。重畳する電圧における交流電圧は、ピ−ク間電圧を像担持体の帯電開始電圧の2倍以上にすることが好ましい。帯電開始電圧とは、帯電ローラ9に直流のみを印加した場合に像担持体が帯電され始めるときの電圧の絶対値である。これにより、像担持体から帯電ローラ9への逆放電が生じ、そのならし効果で像担持体をより安定した状態で均一に帯電させることができる。また、交流電圧の周波数は像担持体の周速度(プロセススピード)の7倍以上であることが望ましい。7倍以上の周波数にすることにより、モアレ画像が(目視)認識できなくなる。本発明の実施例では、クリーニング部材は、メラミン樹脂のスポンジローラを用いて、帯電ローラと連れ回りで回転させる方式とした。
【0082】
図1に示されているように、導電性支持体106上に形成された電気抵抗調整層104の表面には、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいように、保護層105が形成されている。帯電部材101の形状は、特に限定されず、ベルト状、板状、又は、半円柱状で固定されて配設されていても良い。また、帯電部材101の形状は、円柱状で両端をギア又は軸受で回転可能に支持されていても良い。このように、帯電部材101は、像担持体63への最近接部から像担持体63の移動方向の上下流に漸次離間する曲面で形成されていると、像担持体63をより均一に帯電させることができる。像担持体63に対向する帯電部材101が、先鋭な部分があると、その部分の電位が高くなるために優先的に放電が開始され、像担持体63の均一な帯電が困難になる。従って、円柱状の形状で、曲面を有することで均一な像担持体63の帯電が可能になる。また、帯電部材101の放電している表面は強いストレスを受ける。放電が常に同じ面で発生するので、その劣化が促進され、さらに、削り落ちることがある。そのために、帯電部材101の全面を放電する面として使用できるのであれば、回転させることで、早期の劣化を防止することで、長期にわたって使用することができる。このことは、非接触、接触に関わらず同じである。帯電部材の回転方法としては、像担持体に帯電部材を当接させて連れ回りさせても良いが、より安定的に帯電部材を回転させる場合は、像担持体のフランジ(不図示)に設けられた駆動ギアと帯電部材の端部に設置したギアを介して等速駆動させることもできる。
【0083】
(微少空隙の形成方法)
図1に示されているように、帯電部材101と像担持体63との間隙Gは、像担持体63の空隙形成部材62により100μm以下、特に、5〜70μm程度の範囲にする。これにより、帯電装置の作動時における異常画像の形成を抑えることができる。間隙Gが、100μm以上では、像担持体63に到達するまでの距離も長くなることで、パッシェンの法則の放電開始電圧が大きくなり、さらに、像担持体63までの放電空間が大きくなることで、像担持体63を所定の帯電をさせるためには放電による放電生成物が多量に必要となり、これが画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体63に付着して、像担持体63の経時劣化を促進する原因になる。また、この間隙Gが小さいと、像担持体63までの到達距離も短く、放電エネルギーも小さくても像担持体63を帯電させることができる。しかし、帯電部材101と像担持体63により形成される空間が狭くなり、空気の流が悪くなってしまう。そのために、放電空間で形成された放電生成物はこの空間内に滞留するために、間隙Gが大きい場合と同様に、画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体63に付着して、像担持体63の経時劣化を促進する原因になる。従って、放電エネルギーを小さくして放電生成物の生成を少なくし、かつ、空気が滞留しない程度の空間を形成することが好ましい。そのために、間隙Gは、100μm以下であって、5〜70μmの範囲にすることが好ましい。これにより、ストリーマ放電の発生を防止し、放電生成物の生成を少なくして像担持体63に堆積する量を少なくして、斑点状の画像ムラ・像流れを防止することができる。
【0084】
また、図1に示されているように、帯電部材101は、帯電装置の図示しないハウジングの側板に設けられる軸受に嵌合され、軸受には従動しない摩擦係数の低い樹脂による軸受107に設ける圧縮バネ108により像担持体63表面方向に押圧されている。これにより、機械的振動、芯金の偏位があっても一定の間隙Gを形成することができる。押圧する荷重は、4〜25Nにする。好ましくは、6〜15Nにする。帯電部材101は、軸受107で固定されていても、回転するときの振動、帯電部材101の偏心、その表面の凹凸により間隙Gの大きさが変動し、間隙Gが適正な範囲からはずれる場合があり、このために、経時的には像担持体63の劣化を促進することになる。空隙形成部材62は、像担持体63における導電性支持体61の上の両端部方向に配置されて、感光層領域に対して段差を形成している。非接触帯電方式においては、像担持体63及び帯電部材101を高精度に形成して組み合わせることで、両者の空隙Gを高精度に形成することができる。そのため、空隙形成部材62の外表面と像担持体63における導電性支持体(基体)61の外表面とに切削加工、研削加工等の除去加工を同時加工することにより、空隙を高精度に形成することが可能となる。像担持体63と帯電部材101の当接(配置)については、帯電部材101の電気抵抗調整層104は、像担持体63の導電性支持体61に対向させないことが必要である。感光層領域外の導電性支持体61と対向してしまうと、導電性支持体61に対して、微小な間隙Gでリークが発生することがある。そのため、電気抵抗調整層104は像担持体63の感光層非塗工領域である、導電性支持体61に対向させないような関係にする必要がある。
【0085】
図1には、帯電部材101と、像担持体63の感光層領域及び画像領域、非画像領域と、の位置関係が示されている。帯電部材101は、像担持体63に微少間隙Gを持たせて対向して配設されている。帯電部材101と像担持体63との間の間隙Gは、像担持体63の上の空隙保形成部材62を帯電部材101の両端部方向の電気抵抗調整層104の上に当接させることにより形成する。空隙形成部材62のエッジが帯電部材101の表面に当接する際、エッジ部が凸になって空隙変動を起こす可能性があるので、図1(b)に示されているように、エッジを面取り形状にしても良い。また、図2に示されているように、帯電部材201の両端部に段差を形成して、その段差部に空隙形成部材62を当接することで、横方向のずれを防止することもできる。また、図1(b)に示されているのと同様に、空隙形成部材62のエッジ部や帯電部材101の段差部のエッジにおいて、空隙変動をより小さくするためには、面取り形状にしても良い。また、図3に示されているように、空隙形成部材62の位置決めとして、像担持体63の導電性支持体61の上に段差を形成することで、空隙形成部材62の位置ずれ防止をすることができる。
【0086】
(像担持体及び空隙形成部材について)
空隙形成部材62の必要な特性としては、帯電部材101,201との空隙Gを環境及び長期(経時)に渡って安定して形成することであり、そのためには、吸湿性、耐摩耗性が小さい材料が望ましい。また、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいことや、帯電部材と当接し、摺動するために、帯電部材を摩耗させないということも重要であり、種々の条件に応じて、適宜選択されるものである。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、ウレタン、PTFE等フッ素樹脂があげられる。また、空隙形成部材62を確実に固定するためには、接着剤を塗布して接着することが有効である。空隙形成部材62は絶縁性材料が好ましく、体積固有抵抗で10-13 Ωcm以上であることが好ましい。絶縁性が必要な理由は、帯電部材101,102の電気抵抗調整層104,204とのリークの発生を無くすためである。空隙形成部材62は、成型加工により成形されたものである。
【0087】
本発明で用いる像担持体63の製造方法としては、導電性支持体61として、電気、機械、化学的などの諸特性を満足するステンレス、銅、真鍮などの金属の他、圧縮紙や樹脂或いはガラスに、金やアルミ、白金、クロム等を蒸着或いはスパッタリングした導電層、さらにはカーボン、錫等の微粒子を分散した導電層を塗工したもの等の前記空隙形成部材62を形成し、切削加工あるいは、研削加工により、空隙形成部材62と導電性支持体62とを同時加工する。このように同時加工することにより、空隙形成部材62と導電性支持体61の同軸度高めると共に、導電性支持体61の振れ、真直度を高精度に形成することができる。その後、洗浄を行い、公知の感光層である電荷発生層と電荷輸送層を、ディッピング、スプレー工法等の塗工方法により、導電性支持体61の上に形成する。更に、耐摩耗性を向上させるために、その表面にフィラーを分散した保護層を形成しても良い。その際、感光層は少なくとも空隙形成部材62の内側に形成する。感光層を塗工後、導電性支持体61と導通を取る電極板、両端部にフランジを配置して像担持体63とする。
【0088】
(帯電部材における電気抵抗調整層について)
非接触方式の帯電部材101,201は、接触方式とは異なり、電気抵抗調整層104,204をゴム等の弾性体で形成する必要はなく、むしろ、高硬度の熱可塑性樹脂が望ましい。電気抵抗調整層104,204は高分子型イオン導電材料が分散された熱可塑性樹脂組成物により形成されている。電気抵抗調整層104,204の体積固有抵抗は10-6〜10-9Ωcmであることが望ましい。10-9Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、10-6Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体全体への電流集中によるリークが生じてしまう。電気抵抗調整層104,204に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS,ABS)、ポリアミド、ポリカーボーネート(PS)等の汎用樹脂であれば、成形加工が容易であり好ましい。
【0089】
その熱可塑性樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。したがって、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のばらつきが生じない。また、帯電部材として、高い印加電圧を掛ける際には、電子伝導系導電剤の場合、局所的に電気の流れやすい経路が形成されるため、像担持体へのリーク電流が発生し、帯電部材の場合、異常画像である白・黒ポチ画像が発生する。ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。配合量については、抵抗値を所望の値にする必要があることから、熱可塑性樹脂が20〜70重量%、高分子型イオン導電剤が80〜20重量%とする必要がある。
【0090】
更に、抵抗値を調整するために、電解質(塩)を添加することも可能である。塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩、リチウムビスイミド、リチウムトリスメチド等のリチウムイミド塩、エチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。導電剤は物性を損なわない範囲で、単独若しくは、複数をブレンドして用いても構わない。導電材料をマトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散させるためには、相溶化剤を添加することにより、導電材料のミクロ分散が可能になるため、相溶化剤を適宜使用しても構わない。相溶化剤としては、反応基であるグリシジルメタクリレート基を有するものが挙げられる。その他、物性を損なわない範囲において、酸化防止剤等の添加剤を使用しても構わない。
【0091】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料を混合し二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。電気抵抗調整層104,204としての導電性支持体106,206の上への形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体106,206に前記導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。導電性支持体106,206の上に電気抵抗調整層104,204のみを形成して帯電部材101,201を構成すると、電気抵抗調整層104,204にトナー及びトナーの添加剤等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層104,204に保護層105,205を形成することで、防止することができる。
【0092】
(帯電部材の表面層について)
帯電部材101,201は、経時で、その表面が、トナーあるいは、トナー構成成分の付着により機能が低下する場合があるので、電気抵抗調整層104,204の上に保護層(表面層)105,205を形成することが望ましい。表面層105,205の抵抗値は、電気抵抗調整層104,204のそれよりも大きくなるように形成され、それによって像担持体63の欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することができる。ただし、表面層105,205の抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうので、表面層105,205と電気抵抗調整層104,204との抵抗値の差を103 Ωcm以下にすることが好ましい。表面層105,205を形成する材料としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が非粘着性に優れ、トナー及びトナー構成材料固着防止の面で好ましい。また、樹脂材料は電気的に絶縁性であるため樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層105,205の電気抵抗を調整する。表面層105,205の電気抵抗調整層104,204の上への形成は、上記表面層構成材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々のコーティング方法で行う。膜厚については、5〜30μm程度が望ましい。導電性材料としては、各種イオン導電剤、カーボンブラック、金属酸化物等の種々の物を用いることができる。
【0093】
図6に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ7Yは、潜像を担持する像担持体2Yと、該像担持体2Yの表面を帯電する帯電部材9と、該像担持体2Yの表面に形成された潜像を可視像化する現像手段23と、該像担持体2Yの表面をクリーニングするクリーニング手段26と、を少なくとも有している。そして、前記プロセスカートリッジ7Yにおいては、前記像担持体2Yにおける導電性支持体(図1における61を参照。)の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材(図1における62を参照。)を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材9(図1における101を参照。)の表面に当接させて、前記像担持体2Yと前記帯電部材9との間に微少な空隙(図1におけるGを参照。)を設けたものとする。
【0094】
このように、前記像担持体2Yにおける導電性支持体(図1における61を参照。)の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材(図1における62を参照。)を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材9(図1における101を参照。)の表面に当接させて、前記像担持体2Yと前記帯電部材9との間に微少な空隙(図1におけるGを参照。)を設けたものとすると、様々な環境条件使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材9と像担持体2Yとの間に安定した微少な空隙(図1におけるGを参照。)を維持して、像担持体2Yの表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高いプロセスカートリッジ7Yを提供することができ、しかも、プロセスカートリッジ7Yとすることにより、交換可能にすると共にメンテナンスを容易にすることができる。
【0095】
(実施例1)
(1)外径41mm、厚さ1.7mmのアルミニウム製の円筒体の表面における両端方向の位置に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる外径42mmのリング状の空隙形成部材を圧入しシアノアクリレート系瞬間接着剤で接着した。そして、前記アルミニウム製の円筒体の内径を保持しながら、該アルミニウム製の円筒体の外径が40mmとなると共に、前記空隙形成部材の外径が40.12mmになるように、該アルミニウム製の円筒体と該空隙形成部材とを切削加工により同時除去加工を行った。次に、前記アルミニウム製の円筒体に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、及び、表面保護層を順次形成して約30μmの感光層を形成することにより像担持体を得た。
【0096】
(2)ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合してなる樹脂組成物100重量部とポリカーボネートグリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)とを混合した後、これらを溶融混練して得た樹脂組成物をNiメッキされたSUMからなる外形10mmの芯軸上に射出成形して電気抵抗調整層を成形した。そして、この電気抵抗調整層に切削加工による除去加工を施して、該電気抵抗調整部の外径を12.6mmに仕上げた。次に、前記電気抵抗調整部の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料社製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物をスプレイコーティングすることにより膜厚約10μmの保護層(表面層)を形成した。続いて、オーブンにおいて80℃で1時間の加熱処理を施して、保護層を構成する塗料樹脂を加熱硬化させ帯電部材を得た。
【0097】
(3)そして、前記(1)で得た像担持体の上に前記(2)で得た帯電部材を配置して、画像形成装置とした。
【0098】
(実施例2)
前記空隙形成部材を超分子量ポリエチレン樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0099】
(実施例3)
前記空隙形成部材をポリプロピレン樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0100】
(実施例4)
前記空隙形成部材をポリアセタール樹脂(POM)で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0101】
(実施例5)
前記空隙形成部材をフッ素樹脂(PTFE)樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0102】
(実施例6)
前記帯電部材の両端部の空隙形成部材が当接する部分の外径を外径切削により12mmとし、そして、前記空隙形成部材の外径を外径切削により41.2mmとして、帯電部材の形状を図2のような形状にした以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0103】
(比較例1)
(1)前記アルミニウム製の円筒体の表面における両端方向の位置にリング状の空隙形成部材を圧入しない以外は、実施例1と同様にして像担持体を得た。
【0104】
(2)ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合してなる樹脂組成物100重量部とポリカーボネートグリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)とを混合した後、これらを溶融混練して得た樹脂組成物をNiメッキされたSUMからなる外形10mmの芯軸上に射出成形して電気抵抗調整層を成形した。そして、ゲートカット及び長さ調整を行った後、電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)で構成されるリング状の空隙形成部材を圧入した。次に、このリング状の空隙形成部材を圧入した芯軸に切削加工による同時除去加工を施して、空隙形成部材の外径を12.5mmとすると共に、電気抵抗調整部の外径を124mmに仕上げた。次に、前記電気抵抗調整部の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料社製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物をスプレイコーティングすることにより膜厚約10μmの保護層(表面層)を形成した。続いて、オーブンにおいて80℃で1時間の加熱処理を施して、保護層を構成する塗料樹脂を加熱硬化させ帯電部材を得た。
【0105】
(3)そして、前記(1)で得た像担持体の上に前記(2)で得た帯電部材を配置して、画像形成装置とした。
【0106】
(比較例2)
エピクロロヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物とし、このゴム組成物を外形8mmのステンレスからなる芯軸に押出成形、加硫工程を経て被覆し、研削により外径12mmに仕上げして、電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる塗布組成物を塗布して10μm厚の保護層(表面層)を形成した。次に、電気抵抗調整層を被覆した芯軸の両端部周囲に厚さ50μmのテープ状部材(材質;PET、ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて、帯電部材を得た。このように帯電部材を得た以外は、実施例1と同様にして像担持体を得た。
【0107】
以上、実施例1〜6及び比較例1〜2で得た像担持体及び帯電部材を常温常湿(23℃、50%RH)に24時間放置した後、高温高湿(30℃、90%RH)に36時間放置し、その後、帯電部材を像担持体に当接させて、微小な空隙を測定した。そして、測定された微小な空隙の環境変動量(高温高湿−常温常湿)として評価した。微小な空隙の測定は、図14に示すように、(透過型)寸法測定機(LS7000型;キーエンス)を用いて、中央部のギャップを測定した。評価結果は、次の表1に示される。判定基準は、○:高温高湿ギャップ−常温常湿ギャップが10μm以下のものとし、そして、×:高温高湿ギャップ−常温常湿ギャップが10μmを超えるものとした。
【0108】
【表1】
【0109】
表1から次のことがわかる。即ち、実施例1〜6では、いずれも、環境でのギャップ変動量が3〜5μmであること、及び、環境変動があっても高精度のギャップを維持することができることがわかる。そして、比較例1〜2では、ギャップ変動が大きく、高温高湿では、ギャップが小さくなるので、帯電ローラ汚れが発生しやすくなることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体と帯電部材との位置関係を示す部分概略説明図であって、(a)は、像担持体上に帯電部材を配置した状態を示し、(b)は、像担持体を示す。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体上に帯電部材を配置した状態を示す部分概略説明図である。
【図3】本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体の説明図である。
【図4】空隙を測定する寸法測定器の説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。
【図7】トナーの形状を模式的に示す図である。
【図8】従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【図9】従来の画像形成装置において、帯電部材(帯電ローラ)を像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の一例を示す模式図である。
【図10】図9に示される帯電ローラの断面図である。
【図11】従来の画像形成装置において、帯電ローラを像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の他の一例を示す模式図である。
【図12】図11に示される帯電ローラの断面図である。
【符号の説明】
【0111】
61 導電性支持体
62 空隙形成部材
63 像担持体(感光体ドラム)
101,201 帯電部材(帯電ローラ)
104,204 電気抵抗調整層
105,205 保護層(表面層)
106,206 導電性支持体
107,207 軸受
108,208 圧縮バネ
G 空隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等として用いられる画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(感光体)に対して帯電処理を行う部材として、帯電部材が用いられている。図8は、従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【0003】
図8に示されてるように、従来の電子写真方式の画像形成装置は、静電潜像が形成される像担持体511、接触あるいは近接配置されて帯電処理を行う帯電部材512、帯電部材512の表面をクリーニングするクリーニング部材512a、露光手段513、像担持体511上の静電潜像にトナー515を付着させるトナー担持体514、像担持体511上のトナー像を記録媒体517に転写処理する転写部材516、転写処理後の静電潜像担持体をクリーニングするためのクリーニング部材518から構成されている。図8において、519は、像担持体511上に残留したトナー515がクリーニング部材518により除去された廃トナーであり、520は、現像装置であり、そして、521は、クリーニング装置である。また、この電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体511の放電による摩耗を低減させたり、トナークリーニング性を向上させたりするために、潤滑剤522が、潤滑剤塗布部材523により、像担持体511の表面に塗布されている。なお、図9では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本明細書においては必要としないので省略してある。
【0004】
次に、従来の電子写真方式の画像形成装置の基本的な作像動作について説明する。
【0005】
像担持体(感光体ドラム)511に接触された帯電ローラ512に対してDC電圧をパワーパックから給電すると、感光体ドラム511の表面は、一様に高電位に帯電する。その直後に、画像光が感光体ドラム511の表面に露光手段513により照射されると、感光体ドラム511の照射された部分は、その電位が低下する。このような帯電ローラ512による感光体ドラム511の表面への帯電メカニズムは、帯電ローラ512と感光体ドラム511との間の微少空間におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。
【0006】
画像光は、画像の白/黒に応じた光量の分布であるので、かかる画像光が照射されると、画像光の照射によって感光体ドラム511の面に記録画像に対応する電位分布、即ち、静電潜像が形成される。このように静電潜像が形成された感光体ドラム511の部分が現像ローラ514を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電画像を可視像化したトナー像が形成される。かかるトナー像が形成された感光体ドラム511の部分に、記録紙517が所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により搬送され、前記トナー像に重なる。そして、このトナー像が転写ローラ516によって記録紙に転写された後、該記録紙517は、感光体ドラム511から分離される。分離された記録紙517は、搬送経路を通って搬送され、定着ユニット(図示せず)によって、加熱定着された後、機外へ排出される。このようにして転写が終了すると、感光体ドラム511は、その表面がクリーニング装置518によりクリーニング処理され、さらに、クエンチングランプ(図示せず)により、残留電荷が除去されて、次回の作像処理に備えられる。
【0007】
図9は、従来の画像形成装置において、帯電部材(帯電ローラ)を像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の一例を示す模式図である。図10は、図9に示される帯電ローラの断面図である。図11は、従来の画像形成装置において、帯電ローラを像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の他の一例を示す模式図である。図12は、図11に示される帯電ローラの断面図である。
【0008】
図11,12に示されているように、従来の帯電部材(帯電ローラ)401を用いた帯電方式には、像担持体(感光体ドラム)63に帯電ローラ401を接触させる接触帯電方式の帯電装置(特許文献1,2を参照。)があるが、このような従来の接触帯電方式の帯電装置は、
(1)帯電ローラ401を構成している物質が帯電ローラ401から染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ401の跡を残すこと、
(2)感光体ドラム61の上のトナーが帯電ローラ401に付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラ401の帯電性能が低下すること、
(3)放電により帯電ローラ401の表面が劣化するので、トナー及びトナー構成物質が帯電ローラ401に付着しやすくなり、そのために、帯電性能の低下及び画像不良が発生すること、
といった問題があった。
【0009】
そこで、このような問題を解決するために、図11,12に示されているように、導電性支持体406の上に形成された電気抵抗調整層404の表面に保護層405を形成した帯電部材(帯電ローラ)401として、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいようにしている。図11において、406は、導電性支持体であり、そして、407は、軸受である。
【0010】
また、従来の帯電ローラを用いた帯電方式による帯電装置には、図9,10に示されているように、像担持体(感光体ドラム)63に帯電ローラ301を近接させて帯電させる近接(非接触)帯電方式の帯電装置(特許文献3〜5を参照。)がある。
【0011】
この近接(非接触)帯電方式による帯電装置は、前記接触帯電方式による帯電装置の前記問題点(1)、(2)を解決するために、帯電部材(帯電ローラ)301と像担持体63との最近接距離(空隙)が50〜300μmになるように対向させて、帯電ローラ301に電圧を印加することにより、像担持体63の帯電を行うものである。この近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラ301と像担持体63とが接触していないので、接触帯電装置で問題となる「帯電ローラ301を構成している物質の像担持体(感光体ドラム)61への付着」及び「像担持体63を長期停止したときに生ずる、永久変形」は問題とならない。また、「像担持体63の上のトナー等が帯電ローラ301に付着することによる帯電性能の低下」に関しても、帯電ローラ301に付着するトナーが少なくなるので、近接帯電方式による帯電装置が優れている。図9において、303は、空隙形成部材であり、304は、電気抵抗調整層であり、305は、保護層であり、306は、導電性支持体であり、307は、軸受であり、そして、308は、圧縮バネである。
【0012】
特許文献3に示される帯電装置では、帯電ローラと感光体間の空隙を保持する手段として、帯電ローラの両端部にスペーサリング層を設ける方法が開示されている。しかしながら、この技術には、空隙を精密に設定する具体的な手段が無く、また、帯電ローラ及びスペーサリングの寸法精度がばらつくことによって空隙が変動し、その結果、像担持体の帯電電位が均一にならずに変動するという問題があった。
【0013】
そこで、このような問題を解決するために、所定の厚みを持ったテープ状の空隙保持手段(特許文献6を参照。)が提案されている。しかしながら、この空隙保持手段には、テープ状部材の磨耗、テープ粘着剤のはみ出しによるトナーの固着等により、長期間使用すると、像担持体と帯電ローラとの間の空隙が維持できなくなるという問題があった。また、テープ、接着層の厚みがばらつくので、高精度の空隙を形成することができないという問題があった。これらの問題を解決するために、図9に示すように、電気抵抗調整層304の両端部に空隙形成部材303を配置し、空隙形成部材303と電気抵抗調整層304とを同時に切削加工することにより、高精度の空隙Gを形成する帯電部材(帯電ローラ)301(特許文献5を参照。)が提案された。この帯電ローラ301においては、空隙形成部材303及び電気抵抗調整層304は、それぞれの要求機能を満足させるために、異なった材料を使用する必要がある。それ故、空隙形成部材303は、トナー固着性、像担持体へのダメージを与えない材質で形成するが、電気抵抗調整層304は電気抵抗値を調整する必要があるので、電気抵抗調整剤として、イオン導電剤が使用されている。しかし、このイオン導電剤は、吸水性が高い。したがって、これらの材質の違いのために、環境変動、特に、高温高湿環境においては、空隙形成部材303は吸湿しないが、電気抵抗調整層304が吸湿して寸法変動が発生し、空隙形成部材303と電気抵抗調整層304との間に形成された空隙量が変動してしまうといった問題が発生した。
【特許文献1】特公平3−52058号公報
【特許文献2】特公平8−30915号公報
【特許文献3】特開平3−240076号公報
【特許文献4】特開2001−312121号公報
【特許文献5】特開2005−91818号公報
【特許文献6】特開2001−296723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0015】
即ち、本発明は、様々な環境条件で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面に近接配置して該像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、を有する画像形成装置において、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載された発明において、前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項8に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が、形成されていないことを特徴とするものである。
【0025】
請求項10に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材における電気抵抗調整層が、前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項11に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記空隙の量が、5〜100μmの範囲内とされていることを特徴とするものである。
【0027】
請求項12に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が、帯電されていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項13に記載された発明は、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0029】
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載された発明において、前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載された発明によれば、前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたので、様々な環境条件で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0031】
請求項2に記載された発明によれば、前記空隙形成部材がリング状であるので、帯電部材及び像担持体を回転駆動させて使用することができ、そのために、帯電部材及び像担持体の耐久性を高めることができる。
【0032】
請求項3に記載された発明によれば、前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されているので、環境変動における像担持体と帯電部材の間の空隙変動量を低減させることができ、そのために、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持することができる。
【0033】
請求項4に記載された発明によれば、前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されているので、空隙形成部材へのトナー、及び、トナー構成材料の固着を防止することができ、そのために、経時及び環境変動において、像担持体と帯電部材との間の微少な空隙をいっそう安定して維持することができる。
【0034】
請求項5に記載された発明によれば、前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されているので、空隙形成部材が経時及び環境変動においてずれ、回転等が起こらないようにすることができる。
【0035】
請求項6に記載された発明によれば、前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の微少な空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられているので、像担持体と帯電部材との間の微少な空隙を精度良く一定に保つことができできる。
【0036】
請求項7に記載された発明によれば、前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されているので、前記帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に形成される微少な空隙の変動(振れ)を小さくして微少な空隙の精度をいっそう高めることができる。
【0037】
請求項8に記載された発明によれば、前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されているので、経時及び環境変動における帯電部材の表面へのトナー、トナー構成材料等が固着することを防止することができる。
【0038】
請求項9に記載された発明によれば、前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が形成されていないので、経時での保護層の磨耗による空隙量の変動を防止することができる。
【0039】
請求項10に記載された発明によれば、前記帯電部材における電気抵抗調整層が前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられているので、像担持体の非塗工領域におけるリークを防止することができる。
【0040】
請求項11に記載された発明によれば、前記空隙の量が5〜100μmの範囲内とされているので、帯電部材の汚れを防止することができ、そのために、異常放電が発生することを防止することができる。
【0041】
請求項12に記載された発明によれば、前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が帯電されているので、該像担持体の回転時における空隙量変動に対する帯電ムラを防止することができる。
【0042】
請求項13記載された発明によれば、潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたので、様々な環境条件使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材と像担持体との間に安定した微少な空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高いプロセスカートリッジを提供することができ、しかも、プロセスカートリッジとすることにより、交換可能にしすると共にメンテナンスを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体と帯電部材との位置関係を示す部分概略説明図であって、(a)は、像担持体上に帯電部材を配置した状態を示し、(b)は、像担持体を示す。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体上に帯電部材を配置した状態を示す部分概略説明図である。図3は、本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体の説明図である。図4は、空隙を測定する寸法測定器の説明図である。図5は、本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。図6は、本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。図7は、トナーの形状を模式的に示す図である。
【0045】
図1に示されているように、本発明の画像形成装置潜像は、潜像を担持する像担持体(感光体ドラム)63と、該像担持体63の表面に近接配置して該像担持体63の表面を帯電させる帯電部材(帯電ローラ)101と、を有している。そして、前記画像形成装置潜像においては、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分に空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けたものとする。図1において、104は、電気抵抗調整層であり、105は、保護層であり、106は、導電性支持体であり、107は、軸受であり、そして、308は、圧縮バネである。
【0046】
このように、前記像担持体63における導電性支持体61の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材62を設け、この空隙形成部材62を前記帯電部材101の表面に当接させて、前記像担持体63と前記帯電部材101との間に微少な空隙Gを設けると、様々な環境条件下で使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材101と像担持体63との間に安定した微少な空隙Gを維持して、像担持体63の表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0047】
本発明においては、空隙形成部材62は、好ましくは、リング状である。図1に示されているように、前記リング状の空隙形成部材62は、円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に設けられる。そして、前記リング状の空隙形成部材62は、好ましくは、リング状部材を前記円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に外挿されて固定されたものであるが、テープ部材を前記円筒体状の導電性支持体61の両端より内側の部分に卷回されて固定されたものであってもかまわない。このように、空隙形成部材62がリング状であると、帯電部材101及び像担持体63を回転駆動させて使用することができ、そのために、帯電部材及び像担持体の耐久性を高めることができる。また、導電性支持体がベルト状に形成されたもの(図示せず)である場合には、テープ部材が、ベルト状の導電性支持体の両端より内側の部分に卷回されて固定される。
【0048】
前記空隙形成部材62は、好ましくは、電気絶縁性材料で構成されている。このように、前記空隙形成部材62が、電気絶縁性材料で構成されていると、環境変動における像担持体63と帯電部材101の間の空隙変動量を低減させることができ、そのために、帯電部材101と像担持体63との間に安定した微少な空隙を維持することができる。
【0049】
前記空隙形成部材62を構成する電気絶縁性材料は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されている。このように、前記電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていると、空隙形成部材62へのトナー、及び、トナー構成材料の固着を防止することができ、そのために、経時及び環境変動において、像担持体63と帯電部材101との間の微少な空隙をいっそう安定して維持することができる。
【0050】
前記空隙形成部材62は、好ましくは、前記像担持体63における導電性支持体61の表面に接着されている。このように、前記空隙形成部材62が、前記像担持体63における導電性支持体61の表面に接着されていると、空隙形成部材62が経時及び環境変動においてずれ、回転等が起こらないようにすることができる。
【0051】
本発明においては、前記空隙形成部材62の外周面が前記帯電部材101の外周面に当接したときに、該帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体61の外周面との間に一定間隔の空隙Gが形成されるように、該像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する該空隙形成部材62の外周面の高低差が設けられている。このように、前記空隙形成部材62の外周面が前記帯電部材101の外周面に当接したときに、該帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体61の外周面との間に一定間隔の微少な空隙Gが形成されるように、該像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する該空隙形成部材62の外周面の高低差が設けられていると、像担持体63と帯電部材101との間の微少な空隙Gを精度良く一定に保つことができできる。
【0052】
本発明においては、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する前記空隙形成部材62の外周面の高低差は、好ましくは、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面と該像担持体63の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されている。このように、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面に対する前記空隙形成部材62の外周面の高低差が、前記像担持体63における導電性支持体61の外周面と該像担持体63の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていると、前記帯電部材101の外周面と前記像担持体63における導電性支持体62の外周面との間に形成される微少な空隙Gの変動(振れ)を小さくして微少な空隙Gの精度をいっそう高めることができる。
【0053】
本発明においては、前記帯電部材101は、導電性支持体306と、該導電性支持体306の上に形成された電気抵抗調整層104と、該電気抵抗調整層104の表面に形成された保護層105と、で構成されている。このように、前記帯電部材101が、導電性支持体306と、該導電性支持体306の上に形成された電気抵抗調整層104と、該電気抵抗調整層104の表面に形成された保護層105と、で構成されていると、経時及び環境変動における帯電部材101の表面へのトナー、トナー構成材料等が固着することを防止することができる。
【0054】
前記帯電部材101と前記空隙形成部材62とが当接する部分においては、好ましくは、前記帯電部材101の前記保護層105が形成されていないものとされる。このように、前記帯電部材101と前記空隙形成部材62とが当接する部分においては、前記帯電部材101の前記保護層105が形成されていないと、経時での保護層105の磨耗による空隙量の変動を防止することができる。
【0055】
前記帯電部材101における電気抵抗調整層104は、好ましくは、前記像担持体63における感光層非塗工領域よりも内側に設けられている。このように、前記帯電部材101における電気抵抗調整層104が、前記像担持体63における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていると、像担持体63の非塗工領域におけるリークを防止することができる。
【0056】
本発明においては、前記空隙Gの量は、好ましくは、5〜100μmの範囲内とされている。このように、前記空隙Gの量が5〜100μmの範囲内とされていると、帯電部材101の汚れを防止することができ、そのために、異常放電が発生を防止することを防止することができる。
【0057】
本発明においては、前記帯電部材101に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体63の表面は帯電されている。このように、前記帯電部材101に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体63の表面が帯電されていると、該像担持体63の回転時における空隙量変動に対する帯電ムラを防止することができる。
【0058】
図5は、本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。本発明の画像形成装置の全体を説明すると次のとおりとなる。図5に示されているように、本発明のフルカラー画像を形成できる画像形成装置は、複数の支持ローラ4,5,6に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端状の中間転写ベルト3と、その中間転写ベルト3に対向配置された第1乃至第4のプロセスカートリッジ7Y,7C,7M,7BKを有している。各プロセスカートリッジ7Y乃至7BKは、それぞれ異なった色のトナー像が形成されるドラム状の感光体として構成された像担持体2Y,2C,2M,2BKを有し、その各像担持体上に異なった色のトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像が中間転写ベルト3上に重ねて転写される。中間転写ベルト3は、像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材の一例を構成するものである。また、図5における符号1は、画像形成装置本体を示している。
【0059】
第1乃至第4のプロセスカートリッジ7Y乃至7BKの各像担持体2Y乃至2BK上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、トナー像の色が異なるだけであって、実質的に全て同一であるので、第1のプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yにトナー像を形成し、これを中間転写ベルト3に転写する構成だけを説明する。
【0060】
図6は、本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。ここに示されたプロセスカートリッジは、図5に示された画像形成装置における第1のプロセスカートリッジに対応している。ここに示したプロセスカートリッジ7Yの像担持体2Yは、ユニットケース8に回転自在に支持されていて、図示していない駆動装置によって時計方向に回転駆動される。このとき、ユニットケース8に回転自在に支持された帯電ローラ9に帯電電圧が印加され、これによって像担持体2Yの表面が所定の極性に帯電される。帯電後の像担持体2Yには、プロセスカートリッジ7Yとは別体の図5に示した光書き込み装置10から出射する光変調されたレーザ光Lが照射され、これによって像担持体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置11によってイエロートナー像として可視像化される。
【0061】
現像装置11は、ユニットケース8の一部によって構成された現像ケース12を有し、この現像ケース12には、トナーとキャリアを有する二成分系の乾式現像剤Dが収容されている。また、この現像ケース12には、現像剤Dを撹拌する2本のスクリュー13,13と、図6における反時計方向に回転駆動される現像ローラ23とが配置され、その現像ローラ23の周面に汲み上げられた現像剤は、該現像ローラ23の周面に担持されて、当該現像ローラ23の回転方向に搬送され、ドクターブレード24を通過した現像剤が現像ローラ23と像担持体2Yの間の現像領域に運ばれる。このとき、その現像剤中のトナーが像担持体2Yに形成された静電潜像に静電的に移行して、その潜像がトナー像として可視像化される。現像領域を通過した現像剤は、現像ローラ23から分離され、スクリュー13,14によって撹拌される。このようにして、像担持体2Yにトナー像が形成されるのである。キャリアを有さない一成分系現像剤を用いる現像装置を採用することもできる。
【0062】
一方、中間転写ベルト3を挟んでプロセスカートリッジ7Yと反対側には一次転写ローラ25が配置され、この一次転写ローラ25に転写電圧が印加されることによって、像担持体2Y上のトナー像が、矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の像担持体2Y上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置26によって除去される。本例のクリーニング装置26は、ユニットケース8の一部によって構成されたクリーニングケース27と、先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接したクリーニングブレード28と、そのクリーニングブレード28を保持するブレードホルダ29と、クリーニングケース27内に配置されたトナー搬送スクリュー30とを有している。クリーニングブレード28は、像担持体2Yの表面移動方向に対してカウンタ向きに配置されている。かかるクリーニングブレード28は、ゴムなどの弾性体により構成され、そのクリーニングブレード28の基端側が、例えば接着剤によってブレードホルダ29に固定されている。かかるクリーニングブレード28の先端エッジ部が像担持体2Yの表面に圧接することによって、像担持体2Y上の転写残トナーが掻き取り除去される。除去されたトナーは、回転駆動されるトナー搬送スクリュー30によってクリーニングケース外に搬送される。このようにして、クリーニングブレード28は、トナー像が転写材(図5の例では中間転写ベルト3)に転写された後の像担持体を清掃する用をなす。また、プロセスカートリッジ7Yには、像担持体2Yに潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置31と、像担持体2Yに塗布された潤滑剤を均す潤滑剤均し手段の一例である均しブレード32が設けられているが、これらについては後に詳しく説明する。
【0063】
上述したものと全く同様にして、図5に示した第2乃至第4の像担持体2C,2M,2BK上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各像担持体2C,2M,2BK上の転写残トナーがクリーニング装置により除去されることも第1の像担持体2Yの場合と変わりはない。
【0064】
一方、図5に示すように、画像形成装置本体1の内の下部には、例えば、転写紙より成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、レジストローラ対17によって、所定のタイミングで支持ローラ4に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。合成トナー像を二次転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置19を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体Pは、画像形成装置本体1の上部の排紙部22に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置20によって除去される。
【0065】
ここで、図5に示したクリーニングブレード28と像担持体2Yとの摩耗を抑え、しかも、小粒径の球形トナーを用いたときも、クリーニングブレード28による高いクリーニング性能が維持されるように、この画像形成装置1には、前述の潤滑剤塗布装置31が設けられている。かかる潤滑剤塗布装置31は、第2乃至第4のプロセスカートリッジ7C,7M,7BKにも設けられているが、その構成と作用は全て同一であるため、ここでも図6に示したプロセスカートリッジ7Yの潤滑剤塗布装置31だけを説明する。図6に示した潤滑剤塗布装置31は、像担持体2Yの表面に当接するブラシローラ33と、このブラシローラ33に対置された固形潤滑剤34と、その固形潤滑剤34を固定支持する潤滑剤ホルダ35と、その潤滑剤ホルダ35を介して固形潤滑剤34を案内するガイド36と、加圧手段の一例である圧縮コイルばね37とを有している。ブラシローラ33は、芯軸38と、その芯軸38に基端部が固定された多数のブラシ繊維39とを有している。かかるブラシローラ33は、像担持体2Yに対してほぼ平行に、しかもその像担持体2Yに沿って長く延びていて、ブラシローラ33の芯軸38の長手方向各端部が図示していない軸受を介して、ユニットケース8に対して回転自在に支持されている。画像形成動作時には、ブラシローラ33は図6における反時計方向に回転駆動される。
【0066】
また、固形潤滑剤34は、ブラシローラ33に対して平行に長く延びた直方体状に形成され、そのブラシローラ33を向いた側の先端面がブラシローラ33のブラシ繊維39に当接し、これとは反対の基端側の面が潤滑剤ホルダ35に固定されている。本例のガイド36は、互いに平行に間隔をあけて対向配置された一対のガイド板40,41を有し、これらのガイド板40,41は連結板42によって一体化されている。一対のガイド板40,41と連結板42は、ユニットケース8の一部によって構成されている。潤滑剤ホルダ35は、一対のガイド板40,41の間に配置され、その各ガイド板40,41の互いに対向した面に潤滑剤ホルダ35が摺動可能に当接する。潤滑剤をブラシローラへ押圧する方法は、バネ等の手段によって達成でき、潤滑剤ホルダ35を介して、固形潤滑剤34をブラシローラ33に対して加圧する。図6には、この加圧方向を矢印Cで示してある。圧縮コイルばねに代えて、ねじりコイルばねや板ばねなどから成る加圧手段を用いることもできる。上述のようにして、固形潤滑剤34がブラシローラ33のブラシ繊維39に圧接すると共に、そのブラシ繊維39が像担持体2Yの表面に圧接し、このときブラシローラ33が回転するので、固形潤滑剤34の潤滑剤がブラシ繊維39によって削り取られ、その削り取られた粉体状の潤滑剤が像担持体2Yの表面に塗布される。このように、ブラシローラ33は、固形潤滑剤34から削り取られた粉体状の潤滑剤を像担持体表面に供給する潤滑剤供給部材の一例を構成している。固形潤滑剤34はブラシローラ33によって削り取られて消費され、経時的にその厚みが減少するが、固形潤滑剤34は圧縮コイルばね37によって加圧されているので、その固形潤滑剤34は常時ブラシローラ33のブラシ繊維39に当接することができる。
【0067】
前記したように、像担持体2Yの表面には、潤滑剤が塗布されるので、像担持体表面の摩擦係数を低く抑えることができ、これによって像担持体2Yとクリーニングブレード28の摩耗を抑え、その寿命を伸ばすことができる。しかも、トナーとして後述するように、小粒径で球形のトナーを用いたときも、クリーニングブレード28による像担持体2Yのクリーニング性能が大きく低下することを阻止できる。しかも、本例の潤滑剤塗布装置31には、ガイド36が設けられ、そのガイド36によって、潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向、すなわち圧縮コイルばね37による加圧方向Cと、その逆の方向にだけ移動できるように、その潤滑剤ホルダ35と固形潤滑剤34が案内される。このため、固形潤滑剤34が、この方向と直交する方向Eに大きく振れ動くことはない。これによって、固形潤滑剤34は常にほぼ同じ面積でブラシローラ33に当接することができ、常にほぼ一定量の潤滑剤が、ブラシローラ33を介して、像担持体表面に供給され、像担持体表面への潤滑剤の塗布むらを防止できる。
【0068】
図6に示された画像形成装置においては、潤滑剤ホルダ35が一対のガイド板40、41に当接し、その潤滑剤ホルダ35を介して、固形潤滑剤34がガイド36によって案内されるように構成されているが、固形潤滑剤34をガイド36によって直に案内するように構成することもできる。また、固形潤滑剤34が、実質的に、ブラシローラ33に対して接近又は離間する方向Cにだけ移動できるように、固形潤滑剤34がガイド36により案内されるとは、固形潤滑剤34が、この方向Cに対して直交する方向Eに、多少の遊び分だけ遊動してもよいことを示している。
【0069】
前記潤滑剤塗布装置31は、回転しながら像担持体2Yに当接するブラシローラ33より成る潤滑剤供給部材と、その潤滑剤供給部材に対置された固形潤滑剤34と、該固形潤滑剤34が、実質的に、潤滑剤供給部材に対して接近又は離間する方向にだけ移動できるように、該固形潤滑剤34を案内するガイド36と、該固形潤滑剤34を潤滑剤供給部材に対して加圧する加圧手段とを有している。また、図6に示された画像形成装置は、均しブレード32として構成された潤滑剤均し手段を有しており、この均しブレード32は、ゴムなどの弾性体より成り、その先端エッジ部が像担持体2Yの表面に当接し、その基端側がホルダ45に固定されている。均しブレード32は像担持体2Yの表面の移動方向に対してトレーリング向きに配置されている。一方、前述のブラシローラ33より成る潤滑剤供給部材は、図6から明らかなように、クリーニングブレード28よりも像担持体2Yの表面移動方向の下流側に配置されている。
【0070】
上述した構成によれば、トナー像転写後の像担持体表面に付着する転写残トナーはクリーニングブレード28により除去され、これによってクリーンな状態となった像担持体2Yの表面に、ブラシローラ33によって潤滑剤が塗布される。次いでその塗布された潤滑剤は、像担持体表面に当接した均しブレード32を通過するとき、像担持体2Yの表面に一様に押し広げられて均一に均される。これにより、像担持体上に厚みの均一な潤滑剤層が形成される。このように、像担持体2Yを清掃した直後に、潤滑剤を塗布し、その潤滑剤を均すことによって、像担持体表面への潤滑剤塗布量の偏りやその表面の摩擦係数の偏りが生じることを防止でき、記録媒体上に形成された画像の画質を高めることができる。しかも、均しブレード32は、像担持体表面の移動方向に対してトレーリング向きに配置されているので、像担持体2Yの駆動トルクが過度に大きくなることを阻止できる。
【0071】
潤滑剤塗布装置31のブラシローラ33のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維39の密度は2万〜10万本/inch2が好ましい。ブラシ繊維39の太さが細すぎると、ブラシローラ33が像担持体表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなり、逆にブラシ繊維39が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと像担持体表面に当接するブラシ繊維の本数が少なくなるため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足してしまう。
【0072】
固形潤滑剤34としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0073】
また、現像装置11において使用するトナーとしては、体積平均粒径が10μm以下で、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比Dv/Dn(分散度)が、1.00乃至1.40の範囲にあるトナーを用いることが好ましく、特に体積平均粒径が3〜8μmであることが望ましい。小粒径のトナーを用いることで、静電潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。しかしながら、トナーの体積平均粒径が小さすぎると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のクリーニングブレードへのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径が大きすぎると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。また、粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
【0074】
なお、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。ここでは、コールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)及びパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続し、測定した。
【0075】
上記のようなトナーは、トナーに内添、あるいは外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等がトナー中に占める割合が、小粒径化されたことで高くなっており、これらの添加剤が像担持体上に発生する付着物質の要因となっている。ところが、潤滑剤塗布装置31を搭載することにより、像担持体表面全域にわたって均一な潤滑剤の薄膜を形成させ、これらの付着物質の像担持体表面への付着力を低減させることができ、しかも、像担持体表面とクリーニング装置26のクリーニングブレード28、均しブレード32との間に働く摩擦力を低減させてクリーニングを良好に行うことができる。
【0076】
現像装置11において、平均円形度が0.93乃至1.00の範囲にあるトナーを用いた場合、像担持体に潤滑剤を塗布する効果を大きく得ることができる。像担持体に潤滑剤を塗布することによって、このような円形度の高いトナーを用いても、そのトナーがクリーニングブレード28をすり抜ける不具合を効果的に抑えることができるからである。トナーの平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。また、現像装置11で使用するトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることが好ましい。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0077】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと像担持体との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、また、トナーと像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード28と像担持体との間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1又はSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は180を越えない方が好ましい。なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算する。
【0078】
本例の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー組成物であるトナー材料液を、水系溶媒中で、樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。
【0079】
以上説明した画像形成装置においては、像担持体がドラム状に形成され、中間転写体が中間転写ベルトによって構成されているが、像担持体が無端ベルトにより構成され、中間転写体がドラム状に構成されているときも、本発明に係る構成を採用することができる。また、本発明にかかる各構成は、トナー像が形成される像担持体が中間転写体より成り、その像担持体に形成されたトナー像が転写される転写材が記録媒体より成るときにも適用できる。この場合には、トナー像転写後の中間転写体上に付着する転写残トナーを除去するクリーニングブレードと、その中間転写体上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置が設けられ、これらに前述の各構成がそれぞれ採用される。さらに、本発明は、感光体より成る1つの像担持体上に形成したトナー像を、記録媒体より成る転写材に直に転写する形式の画像形成装置などにも支障なく適用することができる。
【0080】
(帯電装置について)
図6の帯電装置(点線で囲んだ部分)は、帯電ローラ9の汚染を除去するためのクリーニング部材を備える。クリーニング部材の形状は、ローラ状、パッド形状でもよいが、本発明ではローラ形状とした。クリーニング部材は、帯電装置の図示しないハウジングに設けられる軸受に嵌合され、回転可能に軸支される。このクリーニング部材は、帯電ローラに当接して、外周面をクリーニングする。そのために、クリーニング部材の軸受け部をバネ等の加圧手段により帯電ローラへ押し付ける。帯電ローラ9の表面にトナー、紙粉、部材の破損物等の異物が付着すると、電界が異物部分に集中するために優先的に放電が生ずる異常放電を起こす。逆に、電気的絶縁性の異物が広い範囲に付着すると、その部分では放電が生じないために、像担持体に帯電ムラが生ずる。このために、帯電装置には帯電ローラ9の表面をクリーニングするクリーニング部材を設けることが好ましい。クリーニング部材としては、ポリエステル等の繊維によるブラシ、メラミン樹脂等の多孔質(スポンジ)のようなものを用いることができる。クリーニング部材は、帯電ローラと等速回転されることが望ましく、連れ回りあるいは、ギアによる等速駆動を行っても良い。また、離間して間欠等の形式で回転させても良い。線速差をつけると帯電ローラ表面への付着物をクリーニングできず、逆に帯電ローラ表面に押し付けてしまう。
【0081】
また、帯電装置は、帯電ローラ9に電圧を印加する電源を備えている。電圧としては、直流電圧だけでも良いが、直流電圧と交流電圧を重畳することが好ましい。特に、非接触方式の場合、感光体と帯電ローラの空隙(ギャップ)の変動により帯電ムラが生じやすく、直流電圧のみを印加すると像担持体の表面電位が不均一になることがある。交流電圧を重畳した電圧では、帯電ローラ9表面が等電位となり、放電が安定して像担持体を均一に帯電させることができる。重畳する電圧における交流電圧は、ピ−ク間電圧を像担持体の帯電開始電圧の2倍以上にすることが好ましい。帯電開始電圧とは、帯電ローラ9に直流のみを印加した場合に像担持体が帯電され始めるときの電圧の絶対値である。これにより、像担持体から帯電ローラ9への逆放電が生じ、そのならし効果で像担持体をより安定した状態で均一に帯電させることができる。また、交流電圧の周波数は像担持体の周速度(プロセススピード)の7倍以上であることが望ましい。7倍以上の周波数にすることにより、モアレ画像が(目視)認識できなくなる。本発明の実施例では、クリーニング部材は、メラミン樹脂のスポンジローラを用いて、帯電ローラと連れ回りで回転させる方式とした。
【0082】
図1に示されているように、導電性支持体106上に形成された電気抵抗調整層104の表面には、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいように、保護層105が形成されている。帯電部材101の形状は、特に限定されず、ベルト状、板状、又は、半円柱状で固定されて配設されていても良い。また、帯電部材101の形状は、円柱状で両端をギア又は軸受で回転可能に支持されていても良い。このように、帯電部材101は、像担持体63への最近接部から像担持体63の移動方向の上下流に漸次離間する曲面で形成されていると、像担持体63をより均一に帯電させることができる。像担持体63に対向する帯電部材101が、先鋭な部分があると、その部分の電位が高くなるために優先的に放電が開始され、像担持体63の均一な帯電が困難になる。従って、円柱状の形状で、曲面を有することで均一な像担持体63の帯電が可能になる。また、帯電部材101の放電している表面は強いストレスを受ける。放電が常に同じ面で発生するので、その劣化が促進され、さらに、削り落ちることがある。そのために、帯電部材101の全面を放電する面として使用できるのであれば、回転させることで、早期の劣化を防止することで、長期にわたって使用することができる。このことは、非接触、接触に関わらず同じである。帯電部材の回転方法としては、像担持体に帯電部材を当接させて連れ回りさせても良いが、より安定的に帯電部材を回転させる場合は、像担持体のフランジ(不図示)に設けられた駆動ギアと帯電部材の端部に設置したギアを介して等速駆動させることもできる。
【0083】
(微少空隙の形成方法)
図1に示されているように、帯電部材101と像担持体63との間隙Gは、像担持体63の空隙形成部材62により100μm以下、特に、5〜70μm程度の範囲にする。これにより、帯電装置の作動時における異常画像の形成を抑えることができる。間隙Gが、100μm以上では、像担持体63に到達するまでの距離も長くなることで、パッシェンの法則の放電開始電圧が大きくなり、さらに、像担持体63までの放電空間が大きくなることで、像担持体63を所定の帯電をさせるためには放電による放電生成物が多量に必要となり、これが画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体63に付着して、像担持体63の経時劣化を促進する原因になる。また、この間隙Gが小さいと、像担持体63までの到達距離も短く、放電エネルギーも小さくても像担持体63を帯電させることができる。しかし、帯電部材101と像担持体63により形成される空間が狭くなり、空気の流が悪くなってしまう。そのために、放電空間で形成された放電生成物はこの空間内に滞留するために、間隙Gが大きい場合と同様に、画像形成後も放電空間に多量に残留し、像担持体63に付着して、像担持体63の経時劣化を促進する原因になる。従って、放電エネルギーを小さくして放電生成物の生成を少なくし、かつ、空気が滞留しない程度の空間を形成することが好ましい。そのために、間隙Gは、100μm以下であって、5〜70μmの範囲にすることが好ましい。これにより、ストリーマ放電の発生を防止し、放電生成物の生成を少なくして像担持体63に堆積する量を少なくして、斑点状の画像ムラ・像流れを防止することができる。
【0084】
また、図1に示されているように、帯電部材101は、帯電装置の図示しないハウジングの側板に設けられる軸受に嵌合され、軸受には従動しない摩擦係数の低い樹脂による軸受107に設ける圧縮バネ108により像担持体63表面方向に押圧されている。これにより、機械的振動、芯金の偏位があっても一定の間隙Gを形成することができる。押圧する荷重は、4〜25Nにする。好ましくは、6〜15Nにする。帯電部材101は、軸受107で固定されていても、回転するときの振動、帯電部材101の偏心、その表面の凹凸により間隙Gの大きさが変動し、間隙Gが適正な範囲からはずれる場合があり、このために、経時的には像担持体63の劣化を促進することになる。空隙形成部材62は、像担持体63における導電性支持体61の上の両端部方向に配置されて、感光層領域に対して段差を形成している。非接触帯電方式においては、像担持体63及び帯電部材101を高精度に形成して組み合わせることで、両者の空隙Gを高精度に形成することができる。そのため、空隙形成部材62の外表面と像担持体63における導電性支持体(基体)61の外表面とに切削加工、研削加工等の除去加工を同時加工することにより、空隙を高精度に形成することが可能となる。像担持体63と帯電部材101の当接(配置)については、帯電部材101の電気抵抗調整層104は、像担持体63の導電性支持体61に対向させないことが必要である。感光層領域外の導電性支持体61と対向してしまうと、導電性支持体61に対して、微小な間隙Gでリークが発生することがある。そのため、電気抵抗調整層104は像担持体63の感光層非塗工領域である、導電性支持体61に対向させないような関係にする必要がある。
【0085】
図1には、帯電部材101と、像担持体63の感光層領域及び画像領域、非画像領域と、の位置関係が示されている。帯電部材101は、像担持体63に微少間隙Gを持たせて対向して配設されている。帯電部材101と像担持体63との間の間隙Gは、像担持体63の上の空隙保形成部材62を帯電部材101の両端部方向の電気抵抗調整層104の上に当接させることにより形成する。空隙形成部材62のエッジが帯電部材101の表面に当接する際、エッジ部が凸になって空隙変動を起こす可能性があるので、図1(b)に示されているように、エッジを面取り形状にしても良い。また、図2に示されているように、帯電部材201の両端部に段差を形成して、その段差部に空隙形成部材62を当接することで、横方向のずれを防止することもできる。また、図1(b)に示されているのと同様に、空隙形成部材62のエッジ部や帯電部材101の段差部のエッジにおいて、空隙変動をより小さくするためには、面取り形状にしても良い。また、図3に示されているように、空隙形成部材62の位置決めとして、像担持体63の導電性支持体61の上に段差を形成することで、空隙形成部材62の位置ずれ防止をすることができる。
【0086】
(像担持体及び空隙形成部材について)
空隙形成部材62の必要な特性としては、帯電部材101,201との空隙Gを環境及び長期(経時)に渡って安定して形成することであり、そのためには、吸湿性、耐摩耗性が小さい材料が望ましい。また、トナー及びトナー添加剤が付着しにくいことや、帯電部材と当接し、摺動するために、帯電部材を摩耗させないということも重要であり、種々の条件に応じて、適宜選択されるものである。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、ウレタン、PTFE等フッ素樹脂があげられる。また、空隙形成部材62を確実に固定するためには、接着剤を塗布して接着することが有効である。空隙形成部材62は絶縁性材料が好ましく、体積固有抵抗で10-13 Ωcm以上であることが好ましい。絶縁性が必要な理由は、帯電部材101,102の電気抵抗調整層104,204とのリークの発生を無くすためである。空隙形成部材62は、成型加工により成形されたものである。
【0087】
本発明で用いる像担持体63の製造方法としては、導電性支持体61として、電気、機械、化学的などの諸特性を満足するステンレス、銅、真鍮などの金属の他、圧縮紙や樹脂或いはガラスに、金やアルミ、白金、クロム等を蒸着或いはスパッタリングした導電層、さらにはカーボン、錫等の微粒子を分散した導電層を塗工したもの等の前記空隙形成部材62を形成し、切削加工あるいは、研削加工により、空隙形成部材62と導電性支持体62とを同時加工する。このように同時加工することにより、空隙形成部材62と導電性支持体61の同軸度高めると共に、導電性支持体61の振れ、真直度を高精度に形成することができる。その後、洗浄を行い、公知の感光層である電荷発生層と電荷輸送層を、ディッピング、スプレー工法等の塗工方法により、導電性支持体61の上に形成する。更に、耐摩耗性を向上させるために、その表面にフィラーを分散した保護層を形成しても良い。その際、感光層は少なくとも空隙形成部材62の内側に形成する。感光層を塗工後、導電性支持体61と導通を取る電極板、両端部にフランジを配置して像担持体63とする。
【0088】
(帯電部材における電気抵抗調整層について)
非接触方式の帯電部材101,201は、接触方式とは異なり、電気抵抗調整層104,204をゴム等の弾性体で形成する必要はなく、むしろ、高硬度の熱可塑性樹脂が望ましい。電気抵抗調整層104,204は高分子型イオン導電材料が分散された熱可塑性樹脂組成物により形成されている。電気抵抗調整層104,204の体積固有抵抗は10-6〜10-9Ωcmであることが望ましい。10-9Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、10-6Ωcmよりも体積固有抵抗が低いと、感光体全体への電流集中によるリークが生じてしまう。電気抵抗調整層104,204に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)およびその共重合体(AS,ABS)、ポリアミド、ポリカーボーネート(PS)等の汎用樹脂であれば、成形加工が容易であり好ましい。
【0089】
その熱可塑性樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドはイオン導電性の高分子材料であり、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。したがって、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う抵抗値のばらつきが生じない。また、帯電部材として、高い印加電圧を掛ける際には、電子伝導系導電剤の場合、局所的に電気の流れやすい経路が形成されるため、像担持体へのリーク電流が発生し、帯電部材の場合、異常画像である白・黒ポチ画像が発生する。ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるため、ブリードアウトが生じ難い。配合量については、抵抗値を所望の値にする必要があることから、熱可塑性樹脂が20〜70重量%、高分子型イオン導電剤が80〜20重量%とする必要がある。
【0090】
更に、抵抗値を調整するために、電解質(塩)を添加することも可能である。塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩、リチウムビスイミド、リチウムトリスメチド等のリチウムイミド塩、エチルトリフェニルホスホニウム・テトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウム・ブロマイド等の四級ホスホニウム塩が挙げられる。導電剤は物性を損なわない範囲で、単独若しくは、複数をブレンドして用いても構わない。導電材料をマトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散させるためには、相溶化剤を添加することにより、導電材料のミクロ分散が可能になるため、相溶化剤を適宜使用しても構わない。相溶化剤としては、反応基であるグリシジルメタクリレート基を有するものが挙げられる。その他、物性を損なわない範囲において、酸化防止剤等の添加剤を使用しても構わない。
【0091】
樹脂組成物の製造方法に関しては特に制限はなく、各材料を混合し二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に製造できる。電気抵抗調整層104,204としての導電性支持体106,206の上への形成は、押出成形や射出成形等の手段で導電性支持体106,206に前記導電性樹脂組成物を被覆することによって、容易に行うことができる。導電性支持体106,206の上に電気抵抗調整層104,204のみを形成して帯電部材101,201を構成すると、電気抵抗調整層104,204にトナー及びトナーの添加剤等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層104,204に保護層105,205を形成することで、防止することができる。
【0092】
(帯電部材の表面層について)
帯電部材101,201は、経時で、その表面が、トナーあるいは、トナー構成成分の付着により機能が低下する場合があるので、電気抵抗調整層104,204の上に保護層(表面層)105,205を形成することが望ましい。表面層105,205の抵抗値は、電気抵抗調整層104,204のそれよりも大きくなるように形成され、それによって像担持体63の欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)を回避することができる。ただし、表面層105,205の抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうので、表面層105,205と電気抵抗調整層104,204との抵抗値の差を103 Ωcm以下にすることが好ましい。表面層105,205を形成する材料としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が非粘着性に優れ、トナー及びトナー構成材料固着防止の面で好ましい。また、樹脂材料は電気的に絶縁性であるため樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層105,205の電気抵抗を調整する。表面層105,205の電気抵抗調整層104,204の上への形成は、上記表面層構成材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、スプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の種々のコーティング方法で行う。膜厚については、5〜30μm程度が望ましい。導電性材料としては、各種イオン導電剤、カーボンブラック、金属酸化物等の種々の物を用いることができる。
【0093】
図6に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ7Yは、潜像を担持する像担持体2Yと、該像担持体2Yの表面を帯電する帯電部材9と、該像担持体2Yの表面に形成された潜像を可視像化する現像手段23と、該像担持体2Yの表面をクリーニングするクリーニング手段26と、を少なくとも有している。そして、前記プロセスカートリッジ7Yにおいては、前記像担持体2Yにおける導電性支持体(図1における61を参照。)の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材(図1における62を参照。)を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材9(図1における101を参照。)の表面に当接させて、前記像担持体2Yと前記帯電部材9との間に微少な空隙(図1におけるGを参照。)を設けたものとする。
【0094】
このように、前記像担持体2Yにおける導電性支持体(図1における61を参照。)の両端より内側の部分にリング状の空隙形成部材(図1における62を参照。)を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材9(図1における101を参照。)の表面に当接させて、前記像担持体2Yと前記帯電部材9との間に微少な空隙(図1におけるGを参照。)を設けたものとすると、様々な環境条件使用されても、また、長期間にわたって使用されても、帯電部材9と像担持体2Yとの間に安定した微少な空隙(図1におけるGを参照。)を維持して、像担持体2Yの表面を均一に帯電させることにより、高画質な画像を得ることができる耐久性の高いプロセスカートリッジ7Yを提供することができ、しかも、プロセスカートリッジ7Yとすることにより、交換可能にすると共にメンテナンスを容易にすることができる。
【0095】
(実施例1)
(1)外径41mm、厚さ1.7mmのアルミニウム製の円筒体の表面における両端方向の位置に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなる外径42mmのリング状の空隙形成部材を圧入しシアノアクリレート系瞬間接着剤で接着した。そして、前記アルミニウム製の円筒体の内径を保持しながら、該アルミニウム製の円筒体の外径が40mmとなると共に、前記空隙形成部材の外径が40.12mmになるように、該アルミニウム製の円筒体と該空隙形成部材とを切削加工により同時除去加工を行った。次に、前記アルミニウム製の円筒体に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、及び、表面保護層を順次形成して約30μmの感光層を形成することにより像担持体を得た。
【0096】
(2)ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合してなる樹脂組成物100重量部とポリカーボネートグリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)とを混合した後、これらを溶融混練して得た樹脂組成物をNiメッキされたSUMからなる外形10mmの芯軸上に射出成形して電気抵抗調整層を成形した。そして、この電気抵抗調整層に切削加工による除去加工を施して、該電気抵抗調整部の外径を12.6mmに仕上げた。次に、前記電気抵抗調整部の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料社製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物をスプレイコーティングすることにより膜厚約10μmの保護層(表面層)を形成した。続いて、オーブンにおいて80℃で1時間の加熱処理を施して、保護層を構成する塗料樹脂を加熱硬化させ帯電部材を得た。
【0097】
(3)そして、前記(1)で得た像担持体の上に前記(2)で得た帯電部材を配置して、画像形成装置とした。
【0098】
(実施例2)
前記空隙形成部材を超分子量ポリエチレン樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0099】
(実施例3)
前記空隙形成部材をポリプロピレン樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0100】
(実施例4)
前記空隙形成部材をポリアセタール樹脂(POM)で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0101】
(実施例5)
前記空隙形成部材をフッ素樹脂(PTFE)樹脂で構成した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0102】
(実施例6)
前記帯電部材の両端部の空隙形成部材が当接する部分の外径を外径切削により12mmとし、そして、前記空隙形成部材の外径を外径切削により41.2mmとして、帯電部材の形状を図2のような形状にした以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置とした。
【0103】
(比較例1)
(1)前記アルミニウム製の円筒体の表面における両端方向の位置にリング状の空隙形成部材を圧入しない以外は、実施例1と同様にして像担持体を得た。
【0104】
(2)ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合してなる樹脂組成物100重量部とポリカーボネートグリシジルメタクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(モデイパーCL440−G、日本油脂社製)とを混合した後、これらを溶融混練して得た樹脂組成物をNiメッキされたSUMからなる外形10mmの芯軸上に射出成形して電気抵抗調整層を成形した。そして、ゲートカット及び長さ調整を行った後、電気抵抗調整層の両端部に高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)で構成されるリング状の空隙形成部材を圧入した。次に、このリング状の空隙形成部材を圧入した芯軸に切削加工による同時除去加工を施して、空隙形成部材の外径を12.5mmとすると共に、電気抵抗調整部の外径を124mmに仕上げた。次に、前記電気抵抗調整部の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤(川上塗料社製)、及びカーボンブラック(全固形分に対して30重量%)からなる混合物をスプレイコーティングすることにより膜厚約10μmの保護層(表面層)を形成した。続いて、オーブンにおいて80℃で1時間の加熱処理を施して、保護層を構成する塗料樹脂を加熱硬化させ帯電部材を得た。
【0105】
(3)そして、前記(1)で得た像担持体の上に前記(2)で得た帯電部材を配置して、画像形成装置とした。
【0106】
(比較例2)
エピクロロヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部に過塩素酸アンモニウム3重量部を配合したゴム組成物とし、このゴム組成物を外形8mmのステンレスからなる芯軸に押出成形、加硫工程を経て被覆し、研削により外径12mmに仕上げして、電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる塗布組成物を塗布して10μm厚の保護層(表面層)を形成した。次に、電気抵抗調整層を被覆した芯軸の両端部周囲に厚さ50μmのテープ状部材(材質;PET、ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて、帯電部材を得た。このように帯電部材を得た以外は、実施例1と同様にして像担持体を得た。
【0107】
以上、実施例1〜6及び比較例1〜2で得た像担持体及び帯電部材を常温常湿(23℃、50%RH)に24時間放置した後、高温高湿(30℃、90%RH)に36時間放置し、その後、帯電部材を像担持体に当接させて、微小な空隙を測定した。そして、測定された微小な空隙の環境変動量(高温高湿−常温常湿)として評価した。微小な空隙の測定は、図14に示すように、(透過型)寸法測定機(LS7000型;キーエンス)を用いて、中央部のギャップを測定した。評価結果は、次の表1に示される。判定基準は、○:高温高湿ギャップ−常温常湿ギャップが10μm以下のものとし、そして、×:高温高湿ギャップ−常温常湿ギャップが10μmを超えるものとした。
【0108】
【表1】
【0109】
表1から次のことがわかる。即ち、実施例1〜6では、いずれも、環境でのギャップ変動量が3〜5μmであること、及び、環境変動があっても高精度のギャップを維持することができることがわかる。そして、比較例1〜2では、ギャップ変動が大きく、高温高湿では、ギャップが小さくなるので、帯電ローラ汚れが発生しやすくなることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体と帯電部材との位置関係を示す部分概略説明図であって、(a)は、像担持体上に帯電部材を配置した状態を示し、(b)は、像担持体を示す。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体上に帯電部材を配置した状態を示す部分概略説明図である。
【図3】本発明の他の一実施の形態を示す画像形成装置における像担持体の説明図である。
【図4】空隙を測定する寸法測定器の説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示すフルカラー画像を形成できる画像形成装置の全体説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの拡大説明図である。
【図7】トナーの形状を模式的に示す図である。
【図8】従来の電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
【図9】従来の画像形成装置において、帯電部材(帯電ローラ)を像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の一例を示す模式図である。
【図10】図9に示される帯電ローラの断面図である。
【図11】従来の画像形成装置において、帯電ローラを像担持体(感光体ドラム)上に配置した状態の他の一例を示す模式図である。
【図12】図11に示される帯電ローラの断面図である。
【符号の説明】
【0111】
61 導電性支持体
62 空隙形成部材
63 像担持体(感光体ドラム)
101,201 帯電部材(帯電ローラ)
104,204 電気抵抗調整層
105,205 保護層(表面層)
106,206 導電性支持体
107,207 軸受
108,208 圧縮バネ
G 空隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面に近接配置して該像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、を有する画像形成装置において、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とする請求項1に記載の空隙形成部材。
【請求項3】
前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が、形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記帯電部材における電気抵抗調整層が、前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記空隙の量が、5〜100μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が、帯電されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項1】
潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面に近接配置して該像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、を有する画像形成装置において、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とする請求項1に記載の空隙形成部材。
【請求項3】
前記空隙形成部材が、電気絶縁性材料で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記空隙形成部材を構成する電気絶縁性材料が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂から選ばれる1種の樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記空隙形成部材が、前記像担持体における導電性支持体の表面に接着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記空隙形成部材の外周面が前記帯電部材の外周面に当接したときに、該帯電部材の外周面と前記像担持体における導電性支持体の外周面との間に一定間隔の空隙が形成されるように、該像担持体における導電性支持体の外周面に対する該空隙形成部材の外周面の高低差が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体における導電性支持体の外周面に対する前記空隙形成部材の外周面の高低差が、前記像担持体における導電性支持体の外周面と該像担持体の外周面とに施された切削加工、研削加工等の除去加工による一体加工で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電部材が、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の表面に形成された保護層と、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電部材と前記空隙形成部材とが当接する部分においては、前記帯電部材の前記保護層が、形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記帯電部材における電気抵抗調整層が、前記像担持体における感光層非塗工領域よりも内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記空隙の量が、5〜100μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記帯電部材に印可された直流電圧と交流電圧とによって、前記像担持体の表面が、帯電されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
潜像を担持する像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電部材と、該像担持体の表面に形成された潜像を可視像化する現像手段と、該像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記像担持体における導電性支持体の両端より内側の部分に空隙形成部材を設け、この空隙形成部材を前記帯電部材の表面に当接させて、前記像担持体と前記帯電部材との間に微少な空隙を設けたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記空隙形成部材が、リング状であることを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−233267(P2008−233267A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69543(P2007−69543)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]