画像形成装置及び画像形成方法
【課題】画像情報を補正することで、スキューずれやレジストずれに起因する重ね合わせずれを低減することに加えて、複数の潜像担持体でそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因する可視像の重ね合わせずれを低減する。
【解決手段】副走査方向倍率誤差eのデータをずれ量記憶部204に記憶させるとともに、Y,M,C,K用の感光体についてそれぞれ、潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、決定した前記書込時回転姿勢と、各種の誤差データ(副走査方向倍率誤差eを含む)に基づいて画像情報を補正するように画像データ補正部203を構成した。
【解決手段】副走査方向倍率誤差eのデータをずれ量記憶部204に記憶させるとともに、Y,M,C,K用の感光体についてそれぞれ、潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、決定した前記書込時回転姿勢と、各種の誤差データ(副走査方向倍率誤差eを含む)に基づいて画像情報を補正するように画像データ補正部203を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の潜像担持体にそれぞれ担持される可視像を、表面無端移動体の無端移動する表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、例えば、次のようなものが知られている。即ち、表面無端移動体たる無端状の中間転写ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる。この中間転写ベルトのおもて面には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を形成するための4つの感光体をそれぞれ当接させて4つの1次転写ニップを形成している。そして、Y,M,C,K用の感光体の表面に形成したY,M,C,Kトナー像を、Y,M,C,K用の1次転写ニップで中間転写ベルトに重ね合わせて転写してから、記録シートに一括2次転写する。これにより、記録シートにフルカラー画像を形成する。
【0003】
中間転写ベルトを用いる代わりに、無端移動する表面に記録シートを保持しながら搬送する紙搬送ベルトを用いる画像形成装置も知られている。この画像形成装置では、Y,M,C,K用の感光体の表面に形成したY,M,C,Kトナー像を紙搬送ベルト上の記録シートに直接重ね合わせて転写してフルカラー画像を得る。
【0004】
これらの画像形成装置のように、複数の感光体にそれぞれ形成したトナー像をベルトなどの表面無端移動体の表面、あるいはその表面に保持した記録シート、に重ね合わせて転写する方式は、タンデム方式と呼ばれている。
【0005】
タンデム方式の画像形成装置では、生産性(単位時間当たりに印刷できる記録紙の枚数)が大幅に改善されるという利点がある。この一方で、各色の画像形成部における感光体や光書込装置等の位置精度や径のずれ、光学系の精度ずれなどに起因して、各色のトナー像が互いに位置ずれして転写される現象である色ずれ(レジずれ)を引き起こし易いという欠点がある。このため、色ずれを補正する色ずれ補正制御(レジストレーション制御ともいう)を実行することが不可欠となる。
【0006】
この色ずれ補正制御の方法としては、次のようなものが知られている。即ち、まず、中間転写ベルト上に各色のテストトナー像を具備する色ずれ検出用のテストパターン像を形成する。そして、テストパターン像における各色のテストトナー像の位置をセンサーによって検知した結果に基づいて各色の色ずれ量(レジずれ量)を算出する。次いで、算出した色ずれ量(レジずれ量)に基づいて各色の光学系の光路を補正したり、各色の画像書き出し位置や画素クロック周波数を補正したりする。
【0007】
しかしながら、このような色ずれ補正制御では、主に2つの問題点があった。第1の問題点は、次のようなものである。即ち、光学系の光路を補正するためには、光源やf−θレンズを含む光学系の一部や、光路内のミラーなどを機械的に動かして、各色光学系の光路の位置を互いに合わせる必要がある。このためには、高精度な可動部材を設ける必要があることから、高コスト化を招いてしまう。更に、色ずれ補正制御を開始してから、光路の位置合わせを完了するまでに比較的長時間を要することから、短い時間間隔で色ずれを補正することができなかった。
【0008】
また、第2の問題点は、次のようなものである。即ち、機内温度の変化などにより光学系や支持部材などに変形が生じるなどして、色ずれ量(レジずれ量)が経時的に変化することがあり、色ずれ制御を行った直後の高品位な画像を、その後の長期間に渡って維持することが困難であった。
【0009】
第1の問題点を解決し得る画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、無端移動する転写ベルトの表面に保持した記録シートに対して、各色の感光体のトナー像を転写するようになっている。そして、所定のタイミングで次のような制御を行う。即ち、各色のテストトナー像を具備するテストパターン像を転写ベルト上に転写し、そのテストパターン像における各色のテストトナー像をセンサーによって検知した結果に基づいて、各色のテストトナー像の形成座標情報を得る。そして、その形成座標情報と、予め記憶している基準位置座標とに基づいて決定されるレジずれ量に基づいて、各色毎の画像データの出力座標位置について、レジストレーションずれを補正したものに自動変換する。
【0010】
また、第1の問題点を解決し得る画像形成装置としては、特許文献2に記載のものも知られている。この画像形成装置は、中間転写ベルト上に形成したレジずれ検出用パターンにおける各色のテストトナー像の位置を検知した結果に基づいて、各色の画像データの出力座標における主走査方向の位置及び副走査方向の位置を補正する。更に、出力座標における主走査方向の倍率、主走査方向の部分倍率、副走査方向の倍率、副走査方向の部分倍率、リードのスキュー、サイドのスキュー、リードのリニアリティ、及びサイドのリニアリティのうち、なくとも1つ以上を変更可能にしている。
【0011】
また、上記第2の問題点を解決し得る画像形成装置としては、次のようなものが知られている。即ち、機内の温度を検知しながら、一定の温度変化があったときに色ずれ補正制御を行ったり、一定時間の経過後とに色ずれ補正制御を繰り返し行ったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この画像形成装置では、色ずれ補正制御の直後には高品位な画像を形成することが可能であるが、時間経過するにつれて変化する色ずれ量は考慮していない。
【0013】
さらに、光書込位置において感光体1回転周期で生ずる感光体表面の移動方向の位置誤差(以下、「周期的位置誤差」という)に起因する色ずれを低減することができなかった。具体的には、感光体の回転軸や、回転軸とともに回転する感光体ギヤには、微妙な偏心がある。この偏心により、感光体に対して光書込がなされる光書込位置では、感光体が1回転あたりで1周期分のサインカーブを描く特性の線速変動を発生させる。この線速変動により、光書込位置において、感光体1回転あたりで1周期分のサインカーブを描く特性(以下、周期位置ずれ変動曲線という)の「周期的位置誤差」が発生するのである。Y,M,C,Kの感光体において、かかる「周期的位置誤差」の特性を表した位置変動曲線の振幅(=偏心量)が互いに異なっていたり、位置変動曲線の位相差が互いにずれていたりすると、「周期的位置誤差」に起因して各色トナー像に相対的位置ずれが発生して色ずれを引き起こしてしまうのである。従って、高品位な画像を形成することができない。
【0014】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置や画像形成方法を提供することである。即ち、色ずれ量の経時変化を考慮し、スキューずれ、レジストずれ、周期的位置誤差などに起因する色ずれを、画像情報を補正することで低減することにより、高品位な画像を形成することができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データとに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、色ずれ量の経時変化を考慮し、「周期的位置誤差」に起因する色ずれを低減することにより高品位な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】同画像形成装置におけるY用の作像ユニットを示す拡大構成図。
【図3】同画像形成装置の開閉扉の動作を説明するための部分構成図。
【図4】同画像形成装置のY,M,C,K用の感光体と転写ユニットとを、電気回路の一部とともに示す構成図。
【図5】位置ずれ検知用パターン像を示す拡大模式図。
【図6】同画像形成装置の第1光学センサーを示す拡大構成図。
【図7】同画像形成装置の制御装置によって実施されるずれ量データ更新処理における処理フローを示すフローチャート。
【図8】同ずれ量データ更新処理の処理フローの他の例を示すフローチャート。
【図9】Y,M,C,K用の感光体をそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図。
【図10】K用の感光体ギヤを示す斜視図。
【図11】同画像形成装置のK用の回転姿勢検知センサーを示す拡大構成図。
【図12】K用の感光体1Kにおける光書込位置Pwを説明するための拡大構成図。
【図13】基準姿勢タイミングと、各色の感光体1Y,M,C,Kの光書込位置Pwにおける位置ずれ変動曲線とを示すグラフ。
【図14】サンプリング開始時点における各種の基準距離を説明するための模式図。
【図15】制御装置における各種の処理をソフトウエアで実現する場合のソフトを実行するソフト実行部の回路構成を示すブロック図。
【図16】実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図。
【図17】同画像形成装置における各種のタイミングの一例を示すタイミングチャート。
【図18】第1実施例に係る画像形成装置の4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図。
【図19】第2実施例に係る画像形成装置のY,M,C,K用の感光体と転写ユニットとを、電気回路の一部とともに示す構成図。
【図20】周期位置ずれ測定処理において形成される周期ずれ検知用パターン像を示す模式図。
【図21】4つの周期ずれ検知用パターン像を、中間転写ベルトとともに示す拡大模式図。
【図22】サンプリング開始時点における周期ずれ検知用パターン像の各テスト画像と副走査方向倍率誤差eとの関係を説明するための拡大模式図。
【図23】「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の倍率eの誤差を示すグラフ。
【図24】収縮率測定処理において形成されるK周期位置ずれ検知用パターン像と基準姿勢タイミングとの関係を示す模式図。
【図25】記録シートの第1面に形成されたK周期位置ずれ検知用パターン像のサブユニット長さ(I’)と、第2面に形成されたK周期位置ずれ検知用パターン像のサブユニット長さ(I)との関係を示す模式図。
【図26】第3実施例に係る画像形成装置における周期位置ずれ測定処理の際に形成される各種の周期ずれ検知用パターン像を中間転写ベルトとともに示す模式図。
【図27】主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフ。
【図28】主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフ。
【図29】図27に示される特性が温度変化によって変化した状態の第1例を示すグラフ。
【図30】図27に示される特性が温度変化によって変化した状態の第2例を示すグラフ。
【図31】図28に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図32】図29に示される特性が温度変化によって更に変化した状態を示すグラフ。
【図33】第1光学特性(関数f(x))と区分領域と近似直線式との関係を示すグラフ。
【図34】第2光学特性(関数g(x))と区分領域と近似直線式との関係を示すグラフ。
【図35】第4実施例に係る画像形成装置における光学特性測定処理で形成されるテストチャート画像を示す模式図。
【図36】同テストチャート画像の変形例を示す模式図。
【図37】第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図。
【図38】同画像形成装置について、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフ。
【図39】図38に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図40】同画像形成装置について、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフ。
【図41】図40に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図42】第1光学特性と区分領域と近似直線との関係を示すグラフ。
【図43】第2光学特性と区分領域と近似直線との関係を示すグラフ。
【図44】第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルトと、これの表面に形成された各色の周期ずれ検知用パターン像とを示す模式図。
【図45】実施形態に係る画像形成装置の印刷ジョブ制御部によって実施される制御の処理フローを示すフローチャート。
【図46】傾き偏心を説明するための模式図。
【図47】第1ポイントP1における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線と、第2ポイントP2における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線との位相差を説明するための模式図。
【図48】周期ずれ検知用パターン像Ipcを説明するための模式図。
【図49】第8実施例に係る画像形成装置によって形成されるテストチャート画像を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式の画像形成装置の一実施形態について説明する。
まず、本画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1は、本画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つの作像ユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、色材として、互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を作像するための作像ユニット6Yを例にすると、これは図2に示されるように、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像器5Y等を有している。作像手段としての作像ユニット6Yは、ユニットの状態で画像形成装置本体に対して脱着される。
【0019】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電した感光体1Yの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器5Yによって現像されてYトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色の作像ユニット(6M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に重ね合わせて1次転写される。
【0020】
現像手段としての現像器5Yは、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ロール51Yを有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ55Y、ドクターブレード52Y、トナー濃度センサー56Yなども有している。
【0021】
現像器5Yのケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ55Yによって撹拌搬送されて摩擦帯電せしめられながら、現像ロール51Yの表面に担持される。そして、ドクターブレード52Yによってその層厚が規制されてからY用の感光体1Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体1Y上にYトナー像が形成される。現像器5Yにおいて、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール51Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0022】
2つの搬送スクリュウ55Yの間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール51Yや図中右側の搬送スクリュウ55Y等を収容する第1供給部53Yと、図中左側の搬送スクリュウ55Yを収容する第2供給部54Yとがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Y内のY現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール51Yに供給する。図中右側の搬送スクリュウ55Yによって第1供給部53Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部54Y内に進入する。第2供給部54Y内において、図中左側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Yから送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ55Yとは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ55Yによって第2供給部54Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部53Y内に戻る。
【0023】
透磁率センサーからなる上述のトナー濃度センサー56Yは、第2供給部54Yの底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と良好な相関を示すため、トナー濃度センサー56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像器に搭載された図示しないトナー濃度センサーからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部54Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器5Y内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、M,C,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
【0024】
先に示した図1において、作像ユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、光書込装置7が配設されている。潜像形成手段たる光書込装置7は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lにより、作像ユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体を光走査する。この光走査により、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置7は、光源から発したレーザー光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
【0025】
光書込装置7の図中下側には、シート収容カセット26、これらに組み込まれた給送ローラ27など有するシート収容手段が配設されている。シート収容カセット26は、シート状の記録体たる記録シートPを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の記録シートPに給送ローラ27を当接させている。給送ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の記録シートPがシート供給路70に向けて送り出される。
【0026】
このシート供給路70の末端付近には、レジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、記録シートPを挟み込むべく両ローラを回転させているが、挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで両ローラの回転を再開して記録シートPを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0027】
作像ユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、表面無端移動体たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、2次転写バイアスローラ19、クリーニング装置10などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、2次転写ニップ入口ローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら7つのローラにそれぞれ掛け回された状態で、駆動ローラ12の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0028】
1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このようにして無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これら1次転写バイアスローラには、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写転写バイアスが印加される。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0029】
中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0030】
駆動ローラ12は、接離部材たる2次転写バイアスローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで記録シートPに転写される。そして、記録シートPの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0031】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置10によってクリーニングされる。また、2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された記録シートPは、転写後搬送路71を経由して定着装置20に送られる。
【0032】
定着装置20は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラ20aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ20bとによって定着ニップを形成している。定着装置20内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ20aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0033】
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた記録シートPは、定着装置20を出た後、排紙路72と反転前搬送路73との分岐点にさしかかる。この分岐点には、第1切替爪75が揺動可能に配設されており、その揺動によって記録シートPの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前送路73に近づける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を排紙路72に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路73から遠ざける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を反転前搬送路73に向かう方向にする。
【0034】
第1切替爪75によって排紙路72に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは、排紙路72から排紙ローラ対100を経由した後、機外へと配設されて、画像形成装置筺体の上面に設けられたスタック50a上にスタックされる。これに対し、第1切替爪75によって反転前搬送路73に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは反転前搬送路73を経て、反転ローラ対21のニップに進入する。反転ローラ対21は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPをスタック部50aに向けて搬送するが、記録シートPの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、記録シートPがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、記録シートPの後端側が反転搬送路74内に進入する。
【0035】
反転搬送路74は、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対22、第2反転搬送ローラ対23、第3反転搬送ローラ対24を有している。記録シートPは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の記録シートPは、上述のシート供給路70に戻された後、再び2次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら2次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、転写後搬送路71、定着装置20、排紙路72、排紙ローラ対100を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、記録シートPの両面にフルカラー画像が形成される。
【0036】
転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル32Y,M,C,Kを搭載している。トナーボトル32Y,M,C,K内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ図示しないトナー搬送装置により、作像ユニット6Y,M,C,Kの現像器に適宜補給される。これらのトナーボトル32Y,M,C,Kは、作像ユニット6Y,M,C,Kとは独立して画像形成装置本体に脱着可能である。
【0037】
反転搬送路74は開閉扉内に形成されており、この開閉扉は、外部カバー61と揺動支持体62とを有している。具体的には、開閉扉の外部カバー61は、画像形成装置本体の筺体50に設けられた第1回動軸59を中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー61は、筺体50の図示しない開口を開閉する。また、開閉扉の揺動支持体62は、図3に示されるように、外部カバー61が開かれることで外部に露出し、外部カバー61に設けられた第2回動軸63を中心にして回動するように外部カバーに支持されている。この回動により、筺体50から開かれた状態にある外部カバー61に対して、揺動支持体62が揺動して、外部カバー61と揺動支持体62とが分かれることで、反転搬送路74が露出する。このようにして反転搬送路74が露出することで、反転搬送路74内のジャムシートが容易に取り除かれる。
【0038】
図4は、感光体1Y,M,C,Kと転写ユニット15とを、電気回路の一部とともに示す構成図である。本画像形成装置は、パターン画像データ生成部201、画像パス切替部202、画像データ補正部203、ずれ量記憶部204、書込制御部205、ずれ量演算部212、印刷ジョブ制御部213、テストパターン書出支持部217、検知信号生成部218、周期位置ずれ演算記憶部219、補正値記憶部220等からなる制御手段としての制御装置を備えている。
【0039】
パターン画像データ生成部1は、テストパターン出力指示信号(後述する)を受信すると、テストパターン画像を形成するためのパターン画像データを画像パス切替部202に送信する。テストパターン画像は、後述される位置ずれ検知用パターン像、あるいは線速変動検知用パターン像である。
【0040】
画像パス切換部202は、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナなどの外部機器から送られてくるカラー画像データと、パターン画像データ生成部201から送られてくるパターン画像データとを切り換えて出力するものである。受け取った画像データをそのまま転送するのではなく、Y,M,C,Kの色分解画像データに分解して出力する。
【0041】
画像パス切換部202から画像データ補正部203に送られたY,M,C,Kの色分解画像データが、外部機器から送られてきたカラー画像データに由来するものであったとする。この場合、画像データ補正部203は、それら色分解画像データに対して、後述するレジストずれやスキューずれを低減するための画像情報補正処理を施した後、補正後のY,M,C,Kの色分解画像データを書込制御部205に出力する。画像情報補正処理は、後述するずれ量記憶部204に記憶されているレジストずれ量やスキューずれ量のデータに基づいて行われる。一方、Y,M,C,Kの色分解画像データが、パターン画像データに由来するものであったとする。この場合、画像データ補正部203は、それら色分解画像データを通常の画像データと同様に補正するか、通常の画像データとは異なった方法で補正するか、あるいは、全く補正しないで書込制御部205に出力する。これらの補正については、後に詳述する。
【0042】
光書込装置7は、Y,M,C,K用のレーザー光をそれぞれ主走査方向の一端位置で個別に検知したタイミングで、Y,M,C,K用の主走査同期信号を生成して書込制御部205に出力する同期信号生成部を有している。
【0043】
印刷ジョブ制御部213は、各ページの画像形成の開始や、テストパターン画像の形成の開始を指示するための印刷ジョブ開始指示信号を書込制御部205に出力する。なお、本稿では、記録シート1枚分の画像を出力するための動作や、テストパターン画像を出力するための動作を、印刷ジョブと称している。
【0044】
光書込装置7は、印刷ジョブ制御部213から送られてくる印刷ジョブ開始指示信号の受信タイミングを基準とし、各感光体間の距離と中間転写ベルト8の線速とによって決まる各色間の書込タイムラグに基づいて、Y,M,C,K用の副走査同期信号を生成する図示しない同期信号生成回路を具備している。また、図示しない画素クロックを生成する画素クロック生成回路も具備している。そして、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対してそれぞれ、主走査方向に延びる画素ラインに対する光書込を次のようにして行う。即ち、画素クロックを基準として、主走査同期信号と副走査同期信号とに同期するタイミングで、画素クロックを基準としたレーザーダイオードの変調信号を生成して、画素ラインにおけるドット書込が必要な画素に対してドットを光書込する。このような光書込により、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kにはそれぞれ、カラー画像を形成するための静電潜像や、テストパターン画像を形成するための静電潜像が書き込まれる。
【0045】
制御装置は、所定の定期的なタイミングでずれ量データ更新処理を実施するようになっている。このずれ量データ更新処理では、図5に示される位置ずれ検知用パターン像を、中間転写ベルト(8)の幅方向における一端部、中央部、他端部にそれぞれ形成する。位置ずれ検知用パターン像は、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ第1位置検知用画像I1C,I1K,I1Y,I1Mと、それらに続く位置で副走査方向に所定の間隔で並ぶ第2位置検知用画像I2C,I2K,I2Y,I2Mとを具備している。図中矢印x方向は主走査方向(感光体軸線方向)である。また、図中矢印y方向は副走査方向(感光体表面移動方向)である。第1位置検知用画像I1C,I1K,I1Y,I1Mはそれぞれ主走査方向xに延在して形成されるのに対し、第2位置検知用画像I2C,I2K,I2Y,I2Mはそれぞれ主走査方向xから45[°]傾いて形成される。このような位置ずれ検知用パターン像が、図示しない中間転写ベルト(8)の幅方向(主走査方向と同じ)の一端部、中央部、他端部にそれぞれ形成されるのである。
【0046】
先に示した図4において、中間転写ベルト8の周方向における全域のうち、駆動ローラ12に対する掛け回し位置を通過した後、押圧ローラ11による押圧位置に進入する前の領域のおもて面(ループ外面)には、光学センサーユニット150が所定の間隙を介して対向している。この光学センサーユニット150は、中間転写ベルト8の幅方向の一端部に対向する第1光学センサーと、中央部に対向する第2光学センサーと、他端部に対向する第3光学センサーとを有している。
【0047】
図6は、第1光学センサー150aを示す拡大構成図である。第1光学センサー150aは、中間転写ベルト8のおもて面に向けて光を発する発光部151aと、ベルトおもて面で反射した反射光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光部152aとを有している。中間転写ベルト8のおもて面のうち、位置検知用画像が形成されていない領域、即ち、トナーが付着していない領域では、比較的多くの反射光が得られる。これに対し、位置検知用画像が形成されている領域、即ち、トナーが付着している領域では、得られる反射光の量が減少する。このように反射光量が減少することに基づいて、位置検知用画像が検知される。なお、第1光学センサー150aは、このようにして位置検知用画像を検知する他に、後述する線速変動パターン内に含まれる複数のテスト画像を検知することもできる。
【0048】
第1光学センサー150aについて説明したが、第2光学センサーや第3光学センサーも、第1光学センサー150aと同様の構成になっている。それぞれの光学センサーの受光部からの信号は、検知信号生成部218に送られる。検知信号生成部218は、受光部から送られてきたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を具備しており、デジタル変換後の値が所定の閾値を下回ったことに基づいて、位置検知用画像やテスト画像を検知する。そして、直ちに検知信号をレジストずれ量演算部212や周期位置ずれ演算記憶部219に出力する。
【0049】
各色の画像の位置ずれとしては、基準色であるKトナー像に対して、Y,M,Cトナー像の姿勢が傾いてしまうことによるスキューずれ、Kトナー像の形成位置に対して、Y,M,Cトナー像の形成位置が全体的に副走査方向にずれてしまう副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差によるずれ、主走査方向のレジストずれ、感光体1Y,M,C,Kに対する光書込位置での「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の位置ずれ(以下、「副走査周期位置ずれ」という)などが挙げられる。副走査方向レジストずれは、トナー像全体の形成位置が正規の位置から副走査方向にずれる現象である。レジストずれが発生しても、トナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係は正規の位置関係のままである。これに対し、副走査周期位置ずれは、感光体の「周期的位置誤差」に起因して、トナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係が正規の位置関係からずれる現象である。たとえレジストずれが発生していなくてトナー像全体が正規の位置に形成されていても、感光体の「周期的位置誤差」があれば、そのトナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係は「周期的位置誤差」に起因して正規の位置関係からずれてしまう。なお、位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて、前述した各ずれの量を算出する方法は、例えば、特許第3773884号に詳しく開示されているので、本稿では詳細な説明を省略する。
【0050】
先に示した図5において、Lckは、C第1位置検知用画像I1Cと、K第1位置検知用画像I1Kとの距離であるCK距離を表す符号である。K第1位置検知用画像I1Kと、Y第1位置検知用画像I1Yとの距離を、KY距離Lkyという。また、K第1位置検知用画像I1Kと、M第1位置検知用画像との距離を、KM距離Lkmという。
【0051】
Lkkは、K第1位置検知用画像I1Kと、K第2位置検知用画像I2Kとの距離であるKK距離を表す符号である。また、Lccは、C第1位置検知用画像I1Cと、C第2位置検知用画像I2Cとの距離であるCC距離を表す符号である。Y第1位置検知用画像I1Yと、Y第2位置検知用画像I2Yとの距離をYY距離Lyyという。また、M第1位置検知用画像I1Mと、M第2位置検知用画像I2Mとの距離をMM距離Lmmという。
【0052】
ずれ量演算部212は、検知信号生成部218から各種の位置検知用画像についての検知信号が送られてくるタイミングに基づいて、CK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、CC距離Lcc、KK距離Lkk、YY距離Lyy、MM距離Lmmをそれぞれ算出する。
【0053】
以下、CK距離Lckの設計上の値を第1基準距離L1refという。KY距離Lkyの設計上の値もCK距離Lckと同様に第1基準距離L1refである。また、KM距離Lkmの設計上の値は、第1基準距離L1refの2倍である。
【0054】
なお、以下、各種の距離の符号に「_a」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の一端位置に配設された第1光学センサー150aに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。また、各種の距離の符号に「_b」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の中央位置に配設された第2光学センサーに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。また、各種の距離の符号に「_c」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の他端位置に配設された第3光学センサーに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。
【0055】
CのKに対するスキューずれdcについては、
「dc=(Lck_c−Lck_a)/Lac」という数式によって求めることができる。なお、Lacは、ベルト幅方向における第1光学センサーと第3光学センサーとの距離であるセンサー間距離を表している。
また、YのKに対するスキューずれdyについては、
「dy=(Lky_c−Lky_a)/Lac」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対するスキューずれdmについては、
「dm=(Lkm_c−Lkm_a)/Lac」という数式によって求めることができる。
【0056】
CのKに対する副走査方向のレジストずれfcについては、
「fc={(0.25Lck_a+0.5Lck_b+0.25Lck_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。なお、κは距離の単位である[mm]を画素の単位である[dot]に変換する係数で、例えば1200[dpi]の解像度であるならばκは、1200を25.4で除算した値である。
また、YのKに対するレジストずれfyについては、
「fy={(0.25Lky_a+0.5Lky_b+0.25Lky_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対するレジストずれfmについては、
「fm={(0.25Lkm_a+0.5Lkm_b+0.25Lkm_c)−2L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
なお、光学センサーを画像形成領域から外れた領域だけに配設する場合には、第2光学センサーに関連する距離を省く代わりに、第1光学センサーや第3光学センサーに関連する距離の係数を0.25から0.5に変更すればよい。
例えば、CのKに対するレジストずれfcについては、
「fc={(0.5Lck_a+0.5Lck_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
【0057】
CのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれacについては、
「ac={(Lcc_c−Lkk_c)−(Lcc_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
また、YのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれayについては、
「ay={(Lyy_c−Lkk_c)−(Lyy_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれamについては、
「am={(Lmm_c−Lkk_c)−(Lmm_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
【0058】
CのKに対する主走査方向のレジストずれccについては、
「cc={(Lcc_a−Lkk_a)−Lbd×ac}κ」という数式によって求めることができる。なお、Lbdは、主走査同期信号を検知する検知部と第1光学センサーとの主走査方向における距離を表している。「Lbd×ac」項は主走査方向において走査光が前記検知部から第1光学センサーの位置まで移動する期間での主走査方向の全体倍率誤差によって生じる位置ずれである。
また、YのKに対する主走査方向のレジストずれcyについては、
「cy={(Lyy_a−Lkk_a)−Lbd×ay}κ」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対する主走査方向のレジストずれcmについては、
「cm={(Lmm_a−Lkk_a)−Lbd×am}κ」という数式によって求めることができる。
【0059】
本画像形成装置においては、各色の重ね合わせずれを、光学系ミラーの面倒れ補正などの機械的手法によって補正するのではなく、画像情報補正処理によって補正する。画像情報補正処理では、ずれ量記憶部204に記憶されている各種のずれ量のデータに基づいて、それらずれ量を相殺し得るように画像の形状や位置を補正する。位置ずれ検知用パターン像の画像データを取り扱う方法としては、通常の画像データと同様に補正してからパターン形成に用いる方法を採用している。
【0060】
位置ずれ検知用パターン像の画像データを通常の画像データと同様に補正してからパターン形成に用いる方法では、後述する数2の数式に対してa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、e(副走査方向倍率誤差)をそれぞれ代入して逆行列A−1を算出する。eは、「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の倍率誤差eであり、この倍率誤差eの乗算により、副走査方向の座標が「周期的位置誤差」を相殺し得る位置に変換される。逆行列A−1に基づく座標変換により、位置ずれ検知用パターンの画像データにおける4つの色分解画像データをそれぞれ補正する。補正後の色分解画像データに基づいて形成される位置ずれ検知用パターン像は、基本的には、各種のずれが補正されているが、経時での温度変化などがあると、新たなずれを発生させている。かかる位置ずれ検知用パターン像における各種の位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて検出されるa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)は、それぞれずれ量記憶部204に記憶されている値に基づいて画像データを補正してもなお、新たに発生してしまったものである。つまり、ずれ変動量である。よって、新たに検出したa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)を、それぞれずれ量記憶部204に記憶している値に加算することによって、a’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)の更新を行う。
【0061】
以下、画像データ補正部203に入力される色分解画像データの各画素の座標系を(x,y)と表す。また、画像データ補正部203によって補正された色分解画像データの各画素の座標系を(x’,y’)と表す。また、中間転写ベルト8上に転写された画像の各画素の座標系を(x",y")と表す。
【0062】
C,Y,MのKに対する各種のずれ量の各成分に基づいて、書込制御部208よりも処理フローの下流側で生じるずれは、それぞれ次の座標変換式によって表される。
【数1】
【0063】
この数式における行列Aは、次の数式によって求めることができる。
【数2】
【0064】
なお、全体倍率誤差ずれac,ay,amは、主走査方向の全体倍率誤差に起因するものであり、主走査方向の全体倍率a'c,a'y,a'mは、1+ac,1+ay,1+amとなる。画像データ補正部203は、各色毎に各種のずれ量を参照しながら、数1の数式における行列A(以下、色ずれ変換行列ともいう)の逆行列A−1(以下、色ずれ補正行列ともいう)を求めて、次のような座標変換を行う。
【数3】
【数4】
【数5】
【0065】
図7は、ずれ量データ更新処理における処理フローを示すフローチャートである。この処理フローが実施される前提として、ずれ量記憶部204には、a’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、及びe(副走査方向倍率誤差)が記憶されている。制御装置は、まず、連続プリントジョブ中の所定枚数出力毎など、ずれ量データ更新処理の実施トリガーとなる定期タイミングについて到来したか否かを判定する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、定期タイミングが到来した場合にのみ(S1でY)、S2以降のフローを実施する。
【0066】
定期タイミングが到来すると、まず、位置ずれ検知用パターン像を形成する(S2)。このとき、各種の位置検知用画像については、ずれ量記憶部204内に記憶されているa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、e(副走査方向倍率誤差)に基づいて画像データ補正部203によって補正したY,M,C,K色分解画像データを用いて形成する。位置ずれ検知用パターン像を形成すると、パターン内の各種の位置検知用画像を光学センサーによって検知したタイミングをサンプリングした後(S3)、サンプリング結果に基づいて、各種のずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)を算出する(S4)。基本的には、ずれ量記憶部204内に記憶されている各種のずれ量のデータをそれぞれずれ変動量の加算によって更新すればよいが、1つの位置ずれ検知用パターン像に基づいて算出したずれ量には、光学センサーの読み取り誤差(ノイズ)などが含まれることがあるので、単純に加算するだけだと不適切な値にしてしまうおそれがある。
【0067】
そこで、ずれ量を更新する際には(S5、S6)、ノイズを制限するために、例えば、全体倍率誤差ずれac,ay,amであれば、次のような数式によって補正を行う。
「a(n)=a(n−1)+Kp×△a(n)」
【0068】
この数式において、a(n)は、更新後の全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)である。また、a(n−1)は、ずれ量記憶部204内に記憶されているのデータである。また、△a(n)は、位置ずれ検知用パターン像を光学センサーによって検知した結果に基づいて検出された新たな全体倍率誤差ずれ(ずれ変動量)である。このように、ずれ変動量(△a(n))に所定の係数Kpを乗じた値の加算により、ノイズを制限することができる。
【0069】
前述した数式に代えて、次の数式のように、いわゆる比例積分型(PI)制御によって全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)を更新してもよい。
「a(n)=a(n−1)+Kp×Δa(n)+Ki×ΣΔa(n)」
【0070】
この数式において、ΣΔa(n)は1〜nまでのずれ変動量Δa(n)の積算値である。また、Kpは比例ゲイン係数である。また、Kiは積分ゲイン係数である。比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiとによって制御帯域が決まり、その制御帯域よりも高周波成分のノイズが制限される。こうすることで、複数組の位置ずれ検知用パターン像を形成し、これらの平均値を求める必要がなくなり、1組の短い位置ずれ検知用パターン像でも精度良くずれ量を求めることができる。また、前述の制御帯域以下の変動に対して追従させたずれ量が求めることができる。さらには、ずれ変動量Δa(n)の積算値も反映しているので、定常誤差を低減することもできる。ずれ量データ更新処理では、温度変化などによる緩やかな変動に対して追従させるようにずれ量を求めればよいので、例えばサンプリング周期を数秒オーダーとすれば、制御帯域はサンプリング周期の数十分の1〜数百分の1でよく、このようになるように比例ゲイン係数Kpや積分ゲイン係数Kiを決めればよい。
【0071】
なお、全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)と、スキューずれ(dc,dy,dm)と、副走査方向レジストずれ(fc,fy,fm)と、主走査方向のレジストずれ(cc,cy,cm)とで要求される制御帯域が異なるのであれば(例えば温度変化に敏感な種類のずれがあれば)、それぞれのずれで比例ゲイン係数Kpや積分ゲイン係数Kiを異ならせてもよい。
【0072】
全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)について説明したが、スキューずれ(dc,dy,dm)、副走査方向レジストずれ(fc,fy,fm)、主走査方向のレジストずれ(cc,cy,cm)についても、同様にして、ずれ量記憶部204内のデータを更新する。
【0073】
図8は、ずれ量データ更新処理における処理フローの他の例を示すフローチャートである。同図においては、図7の処理フローと同じ工程については図7と同じステップ番号を付している。図示のように、S4とS5との間に、S7を実施する点だけが、図7の処理フローと異なっている。S7では、S4で算出されたずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)について、正常であるか否か(所定範囲内に収まっているか否か)を判定し、正常であれば(S7でY)、S5に進んでずれ量を算出する。これに対し、正常でなければ(S7でN)、制御フローをS1にループさせる。これにより、正常でない場合には、ずれ量の更新が行われない。
【0074】
このようなS7の工程を追加したのは、次に説明する理由からである。即ち、中間転写ベルト8に傷などがあると、その傷が光学センサーの直下を通過したときのセンサー出力値が異常になる。位置ずれ検出用パターン像を形成したベルト箇所に傷があった場合、その影響によって大きな検知誤差を引き起こすことがある。このような場合には、S7において正常でないと判定されるため、大きな検知誤差のある状態でずれ量を更新してしまうという事態の発生を回避することができる。
【0075】
実施形態に係る画像形成装置においては、ずれ量データ更新処理の定期実施タイミングを、比較的短い時間間隔に設定している。かかる構成では、S4で算出されるずれ変動量がそれほど大きな値にならないので(短時間のうちにずれ量は大きく変化しないので)、ずれ変動量について正常か否かを判定するための閾値を比較的小さな値(例えば数十μm)に設定しておくことで、前述のような事態の発生を確実に回避することが可能である。
【0076】
なお、複数のずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)のうち、ある1つのずれ変動量において正常でないと判定される場合、別のずれ変動量も大きな誤差を含んでいる可能性がある。よって、各種のずれ変動量についてそれぞれ、ずれ変動量の算出と、算出結果について正常であるか否かの判定とをセットで実施していき、1つでも1つでも正常でないと判定される場合には、直ちに制御フローをS1にループさせるようにしてもよい。この場合、無駄なずれ量の算出や判定処理の実施を回避することができる。
【0077】
次に、本画像形成装置の特徴的な構成について説明する。
中間転写ベルト8上で発生する各種のずれとしては、これまで説明してきたものの他に、感光体1回転あたりの線速変動による「周期的位置誤差」に起因するものも発生する。以下、「周期的位置誤差」について説明する。
【0078】
図9は、4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図である。同図において、感光体ギヤ302Y,M,C,Kは、図示しないY,M,C,K用の感光体に回転駆動力を伝達するためのものであり、それぞれ感光体よりも大きな径になっている。図示しないY,M,C,K用の作像ユニットは、感光体ギヤ302Y,M,C,Kよりも図紙面に直交する方向の手前側に配設されており、Y,M,C,K用の感光体を回転可能に保持している。Y,M,C,K用の作像ユニットのケーシングからはそれぞれ、感光体の回転軸の端部を突出させており、その端部はカップリングになっている。Y用の感光体のカップリングは、Y用の感光体ギヤ302Yの中心に設けられたカップリング301Yと係合している。これにより、Y用の感光体ギヤ302Yの回転駆動力がY用の感光体に伝えられる。同様にして、M,C,Kの感光体のカップリングは、M,C,K用の感光体ギヤ302M,C,Kの中心に設けられたカップリング301M,C,Kと係合している。Y,M,C,K用の作像ユニットは、図中奧側から手前側に引き出されることで画像形成装置本体から取り外される。この際、Y,M,C,K用のカップリングが、カップリング301Y,M,C,Kから引き離される。
【0079】
M用の感光体ギヤ302MとC用の感光体ギヤ302Cとの間には、感光体モータのモータ軸に固定された原動ギヤ305が位置しており、M用の感光体ギヤ302MとC用の感光体ギヤ302Cとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、感光体モータの回転駆動力がM,C用の感光体ギヤ302M,Cにそれぞれ伝達される。
【0080】
Y用の感光体ギヤ302YとM用の感光体ギヤ302Mとの間には、第1中継ギヤ306が位置しており、Y用の感光体ギヤ302YとM用の感光体ギヤ302Mとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、M用の感光体ギヤ302Mの回転駆動力が、Y用の感光体ギヤ302Yに伝達される。また、C用の感光体ギヤ302CとK用の感光体ギヤ302Kとの間には、第2中継ギヤ307が位置しており、C用の感光体ギヤ302CとK用の感光体ギヤ302Kとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、C用の感光体ギヤ302Cの回転駆動力がK用の感光体ギヤ302Kに伝達される。このようにして、1つの感光体モータにより、4つの感光体がそれぞれ回転駆動される。
【0081】
図10は、K用の感光体ギヤ302Kを示す斜視図である。同図は、感光体ギヤ302Kを図9とは反対側のアングルから示している。K用の感光体ギヤ302Kにおける回転方向の全域のうち、所定の位置には、被検部材303Kが設けられている。また、K用の感光体ギヤ302Kの近傍には、回転姿勢検知センサー309Kが配設されている(図4参照)。この回転姿勢検知センサー309Kは、図11に示されるように、発光部310Kから発した光を、発光部310Kに対して所定の間隙を介して対向している透過型の受光部311Kによって受光する。受光部311Kは、受光量に応じた信号を出力する。図10に示される感光体ギヤ302Kが所定の回転角度姿勢になると、感光体ギヤ302Kの被検部材303Kが回転姿勢検知センサー309Kの前述の間隙に進入する。すると、発光部310Kからの光が被検部材303Kによって遮られて受光部311Kに受光されなくなる。そして、受光部311Kからの出力信号がLowレベルになる。図4に示されるテストパターン書出指示部217や周期位置ずれ演算記憶部219は、このように受光部311Kからの出力信号がHighレベルからLowレベルに変化したタイミングを、感光体1Kが所定の回転角度姿勢になった基準姿勢タイミングとして検出する。
【0082】
なお、回転姿勢検知手段として、透過型フォトセンサーによって被検部材303Y,M,C,Kを検知することによって基準姿勢タイミングを検知するものを設けた例について説明したが、他の方式のものを設けてもよい。例えば、ロータリーエンコーダーを設けてもよい。
【0083】
図9において、Y,M,C,K用の感光体ギヤ302Y,M,C,Kは、中継ギヤ(306,307)や原動ギヤ305を介して互いに連結された状態になっているので、常に互いに同期しながら同じ角度だけ回転する。このため、互いの回転位相の関係は常に一定である。よって、図10に示される回転姿勢検知センサー309Kによって基準姿勢タイミングが検知された場合、Y,M,Cの感光体ギヤ302Y,M,Cはそれぞれ1回転内における特定の回転角度姿勢になっている。
【0084】
図12は、K用の感光体1Kにおける光書込位置Pwを説明するための拡大構成図である。K用の感光体1Kの表面は、所定の回転角度位置に移動したときに、レーザー光Lによって潜像が光書込される。この所定の回転角度位置が像書込位置としての光書込位置Pwである。感光体1Kに回転駆動力を伝達する感光体ギヤ302Kは、感光体1Kと同一軸線上に位置しながら、図示しないカップリングによって感光体1Kと連結されている。この感光体ギヤ302Kには、製造精度の限界からどうしてもわずかな偏心が生じてしまうが、感光体ギヤ302Kの径が感光体1Kよりも大きいことから、その偏心は感光体1Kの挙動に大きな影響を与えてしまう。具体的には、光書込位置Pwにおいて、感光体1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性の線速変動を発生させる。これにより、光書込位置Pwにおいて、感光体1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性の「周期的位置誤差」が生じる。
【0085】
図13は、基準姿勢タイミングと、各色の感光体1Y,M,C,Kの光書込位置Pwにおける位置ずれ変動曲線とを示すグラフである。K用の感光体(1K)がK用の感光体ギヤ(302K)とともに所定の回転角度姿勢になると、図示のように、回転姿勢検知センサー(309K)からの出力信号がLowレベルになって基準姿勢タイミングが検出される。Y,M,C,K用の感光体(1Y,M,C,K)はそれぞれ、光書込位置Pwにおいて図示のようなサインカーブ状の特性の位置ずれ量変動を引き起こす。それぞれの位置ずれ変動曲線は感光体(1Y,M,C,K)1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性になっているが、その位相はY,M,C,Kでバラバラである。
【0086】
基準姿勢タイミングにおいて、K用の感光体(1K)は光書込位置Pwにて−αkという値の位置ずれ量を引き起こしている。なお、以下、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、スキューずれ、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれなどの各種のずれ量と、同図に示される、ギヤ偏心に起因する位置ずれとを明確に区別するために、後者の位置ずれを特に周期位置ずれという。また、その量を周期位置ずれ量という。
【0087】
同図においては、光書込位置Pwに進入する感光体表面箇所が設計上の箇所よりも感光体表面移動方向にずれている場合に、周期位置ずれ量の値に+の符号を付している。これに対し、光書込位置Pwに進入する感光体表面箇所が設計上の箇所よりも感光体表面移動方向とは反対方向にずれている場合に、周期位置ずれ量の値に−の符号を付している。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではK用の感光体(1K)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αkで一定であることがわかる。
【0088】
一方、基準姿勢タイミングにおいて、M用の感光体(1M)は光書込位置Pwにて+αmという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではM用の感光体(1M)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αmで一定であることがわかる。
【0089】
また、基準姿勢タイミングにおいて、Y用の感光体(1Y)は光書込位置Pwにて+αyという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではY用の感光体(1Y)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αyで一定であることがわかる。
【0090】
また、基準姿勢タイミングにおいて、C用の感光体(1C)は光書込位置Pwにて−αcという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではC用の感光体(1C)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αcで一定であることがわかる。
【0091】
基準姿勢タイミングにおいて、Y,M,C,Kの周期位置ずれ量がそれぞれ周回にかかわらず一定になることについて説明したが、基準タイミングに限らず、どのようなタイミングでも、そのタイミングにおけるY,M,C,Kの周期位置ずれ量は周回にかかわらず一定の値になる。
【0092】
先に示した図1において、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kは、感光体周長と同じピッチで並べられている。これにより、Y用の1次転写ニップの中心(ベルト移動方向の中心)とM用の1次転写ニップの中心との距離は、ちょうど感光体周長と同じ距離になっている。また、M用の1次転写ニップの中心とC用の1次転写ニップの中心との距離や、C用の1次転写ニップの中心とK用の1次転写ニップの中心との距離も、ちょうど感光体周長と同じ距離になっている。かかる構成において、互いに全く同じ大きさのY,M,C,Kトナー像を位置ずれなく重ね合わせる場合、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対する光書込開始タイミングを、ちょうど感光体1回転周期分ずつずらせばよい。まず、Y用の感光体1Yに対して所定のタイミングで光書込を開始し、その後、感光体1回転周期が経過した時点でM用の感光体1Mに対して光書込を開始する。また、その後、感光体1回転周期が経過した時点でC用の感光体1Cに対して光書込を開始する。更に、その後、感光体1回転周期が経過した時点でK用の感光体1Kに対して光書込を開始するのである。
【0093】
周期位置ずれ演算記憶部218は、図13に示されるY,M,C,K用の周期位置ずれ変動曲線のデータとして、それぞれ少なくとも感光体1周分のデータを記憶している。それぞれの周期位置ずれ変動曲線は、基準姿勢タイミングを基準にして描かれるものである。
【0094】
なお、この画像形成装置では、Y,M,C,Kという順で感光体に対する光書込が開始される。また、この画像形成装置では、上述したように、互いに隣り合う感光体間の距離を感光体の周長と同じ値に設定している。このため、M用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体1周期分だけ遅れて開始される。また、C用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体2周期分だけ遅れて開始される。また、K用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体3周期分だけ遅れて開始される。
【0095】
図14は、サンプリング開始時点における各種の基準距離を説明するための模式図である。制御装置は、位置ずれ検知用パターン像の形成のためにY用の感光体1Yに対する光書込を開始した後、所定の時間が経過した時点で、パターン内における各種の位置検知用画像の検知タイミングについてサンプリングを開始する。このサンプリング開始時点では、図示のように、位置ずれ検知用パターン像は光学センサー(図示の例では第1光学センサー150a)よりもベルト移動方向上流側に存在している。
【0096】
同図において、C第1基準距離Lsc1は、光学センサーと、C第1位置検知用画像I1Cとの距離であり、C第1位置検知用画像I1CにはC用の感光体1Cの偏心等に起因する周期位置ずれが発生していない。位置ずれ検知用パターン像は、副走査方向倍率誤差eに基づく画像情報の補正により、各色のトナー像の周期位置ずれを解消した状態で形成されるからである。よって、同図に示される位置ずれ検知用パターン像に含まれる全ての位置検知用画像は、感光体の偏心等に起因する周期位置ずれを発生させていない。なお、K第1基準距離Lsk1、Y第1基準距離Lsy1、M第1基準距離Lsm1は、光学センサーと、K第1位置検知用画像I1K、Y第1位置検知用画像I1Y、M第1位置検知用画像I1Mとの距離である。CK第1基準距離Lsc1、K第1基準距離Lsk1、Y第1基準距離Lsy1、M第1基準距離Lsm1は、何れも理論値であり、C第1位置検知用画像IC、K第1位置検知用画像I1K、Y第1位置検知用画像I1Y、M第1位置検知用画像I1Mが、周期位置ずれだけでなく、全ての位置ずれを全く引き起こしていない場合の距離である。以下、これらに対し、実測した距離を、C第1実測値Lsc1’、K第1実測値Lsk1’、Y第1実測値Lsy1’、M第1実測値Lsm1’という。
【0097】
また、C第2基準距離Lsc2は、光学センサーと、C第2位置検知用画像I2Cとの距離であり、これも理論値である。また、K第2基準距離Lsk2、Y第2基準距離Lsy2、M第2基準距離Lsm2は、同様に、光学センサーと、K第2位置検知用画像I2K、Y第2位置検知用画像I2Y、M第2位置検知用画像I2Mとの距離であり、これらも理論値である。以下、これらの理論値に対し、実測した距離を、C第2実測値Lsc2’、K第2実測値Lsk2’、Y第2実測値Lsy2’、M第2実測値Lsm2’という。
【0098】
制御装置は、C第1基準距離Lsc1とC第1実測値Lsc1’との差、K第1基準距離Lsk1とK第1実測値Lsk1’との差、Y第1基準距離Lsy1とY第1実測値Lsy1’との差、M第1基準距離Lsm1とM第1実測値Lsm1’との差、C第2基準距離Lsc2とC第2実測値Lsc2’との差、K第2基準距離Lsk2とK第2実測値Lsk2’との差、Y第2基準距離Lsy2とY第2実測値Lsy2’との差、及びM第2基準距離Lsm2とM第2実測値Lsm2’との差に基づいて、次に列記する各種の距離を求める。即ち、上述したCK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、KK距離Lkk、CC距離Lcc、YY距離Lyy、及びMM距離Lmmである。
【0099】
算出したCK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、CC距離Lcc、KK距離Lkk、YY距離Lyy、MM距離Lmmに基づいて各種のずれ量を求める方法については、既に述べた通りである。
【0100】
位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知した結果に基づいてユニット間におけるトナー像の相対位置ずれを示すずれ量データ(スキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、主走査方向のレジストずれ)に基づいて、画像データ補正部203が色分解画像データを補正することは既に述べた通りである。実施形態に係る画像形成装置においては、画像データ補正部203が、スキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、及び主走査方向のレジストずれだけでなく、周期変動特性データとしての各色の周期位置ずれ変動曲線(図13)を反映した副走査方向倍率誤差eにも基づいて、色分解画像データを補正する点が、従来と大きく異なっている。
【0101】
4つの感光体1Y,M,C,Kは、互いにギヤによって連結されている状態であるので、サインカーブ状の周期位置ずれ変動曲線を互いに所定の位相差の関係にした状態で回転している。例えば、Y用の感光体1Yにおける周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点に対して、+10°の位相差をもってM用の感光体1Mにおける周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点が発生する場合、+10°という位相差は、常に一定である。C用の感光体1Cや、K用の感光体1Kも同様に、常に一定の位相差をもって回転する。このため、複数のページにそれぞれ出力する画像について、そのページにおけるY用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で、そのページについて、全ての感光体の表面上において、潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標での「周期的位置誤差」との関係が確定する。
【0102】
より詳しくは、Y用の感光体1Yの表面上においては、例えば1ページ目の画像を形成するためのY用の感光体1Yに対する光書込を開始した時点で、1ページ目の潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。また、M用の感光体1Mに対する光書込開始は、Y用の感光体1Yに対する光書込開始から感光体1回転周期が経過した時点であり、その時点におけるM用の感光体1Mの回転角度姿勢は、Y用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で確定している。このため、M用の感光体1Mにおいても、1ページ目の画像を形成するためのY用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で、1ページ目の潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定している。C用の感光体1CやK用の感光体1Kも同様である。2ページ目以降も同様である。
【0103】
そこで、本画像形成装置は、画像情報補正処理において、まず、感光体に対する光書込開始タイミングを決定する。そして、決定した光書込開始タイミングに基づいて、Y,M,C,Kの色分解画像データを、それぞれ、ずれ量記憶部204に記憶されているスキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、主走査方向のレジストずれ、及び周期位置ずれ変動曲線に基づいて、それらのずれを相殺し得るものに補正する。
【0104】
この補正においては、まず、画像の光書込開始可能タイミングを、遅延時間tzに基づいて特定する。光書込開始可能タイミングは、補正後の色分解画像データに基づく光書込処理の開始が可能になるタイミングである。
【0105】
より詳しくは、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kについてそれぞれ、画像パス切替部202から送られてくる主走査方向画素ラインデータを、所定のN行分だけ内部バッファに蓄積する。色分解画像データを2次元座標変換に基づいて補正するためには、ある程度の行数分の主走査方向画素ラインデータを蓄積して、画像を2次元的に捉える必要があるからである。1行目の主走査方向画素ラインデータを受信してから、N行目の主走査方向画素ラインデータを受信するまでの間は、補正処理を実施することはできないので、データの蓄積に専念する。N行目の主走査方向画素ラインデータを受信した時点で、1行目〜N行目までの主走査方向画素ラインデータに基づいて、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正し、補正後の主走査方向画素ラインデータを書込制御部205に出力する。
【0106】
Y,M,C,Kについてそれぞれ、画像データ補正部203が1行目の主走査方向画素ラインデータを受信してから、補正後の1行目の主走査方向画素ラインデータを書込制御部205に送信し、書込制御部205がその主走査方向画素ラインデータに基づいてY用の感光体に対する光書込処理を開始するまでに要する時間が遅延時間tzである。
【0107】
なお、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kについてそれぞれ、1行分の主走査方向画素ラインデータを補正すると、注目画素ラインデータ群を1行ずつシフトさせた後、シフト後の注目画素ラインデータ群に基づいて次の行の主走査方向画素ラインデータを補正する。例えば、1行目については、上述したように、1行目〜N行目の主走査方向画素ラインデータの群を注目画素ラインデータ群とし、その注目画素ラインデータ群によって示される2次元画像データに基づいて、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。補正後の主走査方向画素ラインデータを出力すると、注目画素ラインデータ群を1行ずつシフトさせる。即ち、2行目から、新たに受信したN+1行目までの主走査方向画素ラインデータの群を注目画素ラインデータ群とする。そして、その注目画素ラインデータ群に基づいて、2行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。
【0108】
画像データ補正部203は、Yの色分解画像データの1行目ついて、上述のようにして光書込可能タイミングを特定すると、特定結果と、Yにおける直前の基準姿勢タイミングからの経過時間(=現時点でのY感光体の回転角度姿勢)と、Yの周期位置ずれ変動曲線とに基づいて、Y,M,C,Kのそれぞれについて、感光体に対する光書込開始タイミングにおける感光体の回転角度姿勢を特定する。次いで、Y,M,C,K用の感光体についてそれぞれ、特定した回転角度姿勢で1行目の主走査方向画素ラインの光書込を開始することを前提にする。つまり、光書込開始時の回転角度姿勢としての書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施するのである。
【0109】
画像データ補正部302は、Y用の感光体1Yが書込時回転姿勢になったときのYの周期位置ずれ量(副走査倍率誤差e)をYの周期位置ずれ変動曲線から特定する。そして、特定結果に基づいて、Yの1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。M,C,Kも同様にして、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。2行目以降の主走査方向画素ラインデータの補正にあたっては、先行する行の光書込開始から後続の行の光書込開始までに要する時間内における感光体の回転角変化量と、周期位置ずれ変動曲線とに基づいて、周期位置ずれ量を特定し、特定結果に基づいて主走査方向画素ラインデータを補正する。ずれ量に基づいて座標系を変換する方法は、既に述べた通りである。
【0110】
なお、2頁目以降も、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kの書込時回転姿勢を、1行目の主走査方向画素ラインデータを受信したタイミングと、遅延時間tzと、直前の基準姿勢タイミングとに基づいて、特定する。また、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kのぞれぞれにおける副走査方向倍率誤差eについては、工場出荷時の画像形成装置を用いて予め測定してずれ量記憶部204に記憶させている。
【0111】
以上のように、本画像形成装置においては、データ記憶手段たるずれ量記憶部204に記憶しているずれ量データ(例えばレジストずれデータ)に基づいて、画像データ補正部203がY,M,C,Kの色分解画像データを補正する画像情報補正処理を実施する。これにより、感光体に対する光書込位置を補正するための特別な機械構成を設けることなく、各色トナー像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0112】
また、画像データ補正部203が、画像情報補正処理にて、Y,M,C,Kの色分解画像データをレジストずれやスキューずれなどのずれ量データに基づいて補正することに加えて、周期位置ずれにも基づいて補正する。これにより、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対して、「周期的位置誤差」に起因する重ね合わせずれを低減し得るトナー像をそれぞれ形成する。よって、感光体1Y,M,C,Kに対する光書込位置を補正するための特別な機械構成を設けることなく、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kでそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因するトナー像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0113】
なお、本画像形成装置のように、1つの駆動モータよってY,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kを全て駆動するものでは、全ての感光体が常に同期して回転するので、全ての感光体の回転位相差が常に一定に保たれる。このため、回転姿勢決定処理において、遅延時間tz等に基づいて感光体の書込時回転姿勢を決定する必要は必ずしもない。遅延時間tzに基づいて書込時回転姿勢を決定する代わりに、予め定められた所定の回転角度姿勢を書込時回転姿勢として決定してもよい。この場合、基準姿勢タイミングに基づいて、各色の感光体についてそれぞれ予め定められた書込時回転姿勢になったことを検知した時点で、光書込を開始すればよい。
【0114】
図45は、実施形態に係る画像形成装置の印刷ジョブ制御部213によって実施される制御の処理フローを示すフローチャートである。印刷ジョブ制御部213は、まず、位置ずれ検知用パターン像の形成要求についてその有無を判定する(S11)。この形成要求は、印刷ジョブ制御部213よりも上流側で画像データを受け取る図示しないパターン形成要求判断部によって行われる。パターン形成要求判断部は、例えば、印刷ジョブ制御部213から各ページ毎に送られてくる画像データ転送要求信号の受信回数が所定回数に達する毎に、パターン形成要求信号を生成する。パターン形成要求判断部からのパターン形成要求信号を受信した印刷ジョブ制御部は(S11でY)、印刷ジョブ開始指示信号と、テストパターン出力指示信号とをパターン画像データ生成部201に発信する。これにより、パターン画像データ生成部201から画像パス切替部202に位置ずれ検知用パターン像の画像データが送信されて、ずれ量データ更新処理が開始される。そして、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像が形成される。
【0115】
なお、画像データ補正部203は、「方法1」を採用している場合には、1行目の主走査方向画素ラインデータを受信した時点で、各感光体の書込時回転姿勢を決定し、その結果に基づいて周期位置ずれ量を把握しながら位置ずれ検知用パターン像のY,M,C,Kの色分解画像データを補正する。この際、通常の画像と同様に、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差ずれ、副走査方向の倍率誤差ずれ、スキューずれ(「方法1」においては更に周期位置ずれ)を相殺し得るように、各画素の座標変換を行う。
【0116】
ずれ量データ更新処理実施のために、印刷ジョブ開始指示信号と、テストパターン出力指示信号とをパターン画像データ生成部201に発信した印刷ジョブ制御部は、その後、位置ずれ検知用パターン像の形成に要する時間(図17におけるTtp)だけ待機し、その間、通常の画像を形成するための印刷ジョブが行われないようにする(S13)。待機が終わると、制御フローを上記S11にループさせる。
【0117】
位置ずれ検知用パターン像の形成要求がない場合には(S11でN)、通常の画像を形成するためのプリントジョブに関する印刷要求の有無を判定する(S14)。そして、印刷要求がない場合には(S14でN)、制御フローを上記S11にループさせる。これに対し、印刷要求がある場合には(S14でY)、印刷ジョブ開始指示信号の発信と、画像データ転送要求信号の発信とを行う(S15)。これにより、画像パス切替部202に対して、次のページの画像情報が送られる。
【0118】
印刷ジョブ制御部213は、通常の画像を形成するための印刷ジョブ開始指示信号及び画像データ転送要求信号を発信したら、その画像の形成に要する時間(図11におけるTprint:印刷する記録シートのサイズにより異なる)だけ待機して、その間、位置ずれ検知用パターン像の形成のための印刷ジョブや、他のページの画像を形成するための印刷ジョブが行われないようにする(S16)。待機が終わると、制御フローを上記S11にループさせる。
【0119】
記録シートPの両面に画像を形成する両面プリントモードを実施する場合、画像データ補正部203は、第1面用の画像と、第2面用の画像とで、画像処理の方法を異ならせるようになっている。具体的には、両面プリントの場合には、記録シートPの第1面に形成された画像が定着装置20に2度通されるのに対し、第2面に形成された画像が定着装置20に1度しか通されない。記録シートPは、第1面に対する画像の定着のために初めに定着装置20に通される際に、水分を蒸発させて少しだけ収縮する。第2面に対する画像は、このように収縮した状態の記録シートPに転写される。すると、第1面と第2面とで、僅かではあるものの画像の倍率が異なってしまう。
【0120】
そこで、ずれ量記憶部204には、第2面の画像を記録シートPの収縮率に合わせて収縮させるための収縮率データを記憶させている。この収縮率データについては、ユーザーの入力操作によって任意に設定することが可能である。画像データ補正部203は、第2面に形成する画像のY,M,C,Kの色分解画像データについては、その収縮率データに基づいて、副走査方向の倍率を補正する。具体的には、ずれ量記憶部204に記憶されている収縮率データに基づいて、副走査方向の倍率eを求める。収縮率データによって示される収縮率がλであるとすると、第2面の画像における副走査方向の倍率eを、
「e=(1+ej)×λ−1」という式によって求める。そして、その結果を、上記数2の式における全体倍率誤差ずれの値に乗ずる。これにより、第2面の画像を記録シートの収縮率に応じた大きさに縮小する。
【0121】
ずれ量算出部212、ずれ量記憶部204、検知信号生成部218、周期位置ずれ演算記憶部219、補正値記憶部220、テストパターン書出指示部217、印刷ジョブ制御部213を、ハードウエア構成としてではなく、ソフトウエアで実現してもよい。図15は、ソフトウエアで実現する場合のソフトを実行するソフト実行部の回路構成を示すブロック図である。作像ユニットなどの動作タイミングの制御を行うエンジンコントローラの回路構成を利用してもよい。
【0122】
同図において、A/D変換器240は、各種のセンサーからの信号をアナログ信号からデジタル信号に変換した後、I/Oポート244に出力する。I/Oポート244に直接出力するのではなく、フィルタ処理などの信号処理を行う図示しない信号処理部やバッファメモリなどを介して出力してもよい。
【0123】
I/Oポート244は、A/D変換器240、CPU241、外部機器などと接続され、CPU241との信号のやり取りを行う。印刷要求信号の入力や印刷ジョブ開始指示信号の発行、画像データ補正部203への各種ずれ量の転送などは、このI/Oポート244を介して行われる。
【0124】
CPU241は、I/Oポート244を介して外部と信号の交信をしながら、各種のずれ量の演算や印刷ジョブ開始制御などを実行する。また、メモリバス245を介してRAM242やROM243に対するデータ読み書き処理を実施する。ROM234内には、各種のずれ量を演算するためのプログラムや、各種制御プログラムが格納されている。
【0125】
図16は、実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図である。同図において、第1シート対応領域Ap1は、中間転写ベルト8の全域のうち、連続プリントジョブにおける1枚目の記録シートに対応する領域(2次転写ニップで記録シートに密着する領域)である。また、第2シート対応領域Ap2は、第3シート対応領域Ap3、第4シート対応領域Ap4は、中間転写ベルト8の全域のうち、連続プリントジョブにおける2、3、4枚目の記録シートに対応する領域である。先行するシート対応領域と、後続のシート対応領域との間には、シート間対応領域が存在している。このシート間対応領域は、ベルト移動方向において、2次転写ニップで記録シートに密着しない領域である。
【0126】
同図においては、中間転写ベルト8上におけるシート対応領域とシート間対応領域とについて説明したが、Y,M,C,K用の感光体(1Y,M,C,K)の表面上においても、同様のシート対応領域やシート間対応領域が存在する。制御装置は、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ipp、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ipp、第3光学センサー150cによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ippをそれぞれ、感光体の表面における次のような領域に形成する。即ち、シート間対応領域であって、且つ、主走査方向(傾いていない状態の感光体軸線方向)においてシート対応領域と同じ位置範囲内の領域である。
【0127】
図16においては、第1シート対応領域(ベルト上ではAp1)と第2シート対応領域(ベルト上ではAp2)との間のシート間対応領域(以下、1−2シート間対応領域という)に3つの位置ずれ検知用パターン像Ippを形成した例を示している。同図において、第2シート対応領域(ベルト上ではAp2)と第3シート対応領域(ベルト上ではAp3)との間のシート間対応領域(以下、2−3シート間対応領域という)には、位置ずれ検知用パターン像Ippは形成されていない。位置ずれ検知用パターン像Ippが形成された1−2シート間対応領域と、位置ずれ検知用パターン像Ippが形成されていない2−3シート間対応領域とを比較すると、前者の方が後者に比べて副走査方向の長さが大きくなっている。通常のシート間対応領域の長さでは、位置ずれ検知用パターン像Ippが収まりきれないからである。
【0128】
制御装置は、位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するか否かを、次のようにして決定している。即ち、まず、ずれ量データ更新処理の実施の必要性について判定する。具体的には、連続プリントジョブにおいて、ずれ量データ更新処理を前回実施してからの連続プリント枚数が閾値を超える場合に、ずれ量データ更新処理の実施の必要ありと判定する。この判定は、実際に記録シートに画像を転写するときの枚数ではなく、画像データ補正部203によって画像データを補正するときのタイミングで行われる。つまり、画像データ補正部203は、補正対象となる色分解画像データのページについて、連続プリントが閾値を超えるページであるか否かを判定するのである。そして、閾値を超えるページである場合には、そのページと、それに続くページとの間のシート間対応領域を通常よりも大きくした上で、そのシート間対応領域に3つの位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するための画像データ処理を実施する。図示の例では、3枚プリント毎に、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像Ippを形成している。
【0129】
図17は、実施形態に係る画像形成装置における各種のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。同図における下向きの矢印は、印刷ジョブ開始タイミングを示している。1行目のチャートにおいて、TP1、TP2は、副走査方向において、1つ目の位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミング、2つ目の位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミングを表している。何れも、トリガータイミングである。なお、○で囲まれている数字は、ページ数を表しており、この数字の位置で立ち上がっている信号は、ページ対応領域へのジョブの実施時間を表している。
【0130】
2行目のチャート(Y)は、Y用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdyの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のY第1位置検知用画像I1YがY用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0131】
3行目のチャート(M)は、M用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdmの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のM第1位置検知用画像I1MがM用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0132】
4行目のチャート(C)は、C用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdcの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のC第1位検知用画像I1CがC用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0133】
5行目のチャート(K)は、K用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdkの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のK第1位置検知用画像I1KがK用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0134】
6行目のチャートは、光学センサー(150a,150b,150c)による画像検知のジョブタイミングを示している。ジョブ開始タイミングは、Y用の1次転写ニップの中心から光学センサーの直下までのベルト移動距離に応じたタイミングになる。ジョブタイミング及びその付近以外では、各光学センサーの発光部の発光をオフにしておくと、省電力化を図ることができる。
【0135】
7行目のチャートは、光学センサーによる位置ずれ検出用パターン像の検知が完了するタイミング(検知完了タイミング)を表したものである。印刷ジョブ開始タイミングにからのタイムラグTdsは、タイムラグTdyと、前記ベルト移動距離の移動に要する時間との合計に相当する。検知完了タイミングの後、各種のずれ量の演算に必要な時間τが経過した後、ずれ量記憶部204内における各種のずれ量のデータが演算後の値に更新される。この更新タイミングの後に発生する印刷ジョブ(同図の例では1行目のTp2以降)に対して、更新後のずれ量のデータが参照される。タイムラグTdsにずれ量の演算に必要な時間τを加えたものが、位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミングからずれ量データ更新までの時間となり、迅速なデータ更新の妨げになる時間となる(以下、無駄時間という)。同図において位置ずれ検知用パターン像の形成時間間隔Tsは、1つ目の位置ずれ検知用パターン像を検知してずれ量データ更新処理を終えた後、次のずれ量データ更新処理について必要と判断されたタイミングの後の基準姿勢タイミングまでの時間と同じ長さになっている(以下、その長さをパターン間隔基準時間という)。即ち、同図では、繰り越しが発生していない例を示している。本画像形成装置においては、前述のパターン間隔基準時間を無駄時間より長く設定している。
【0136】
各種のずれ量の経時的変動は温度変化が主因となるので、比較的遅く(緩やかに)変化する。例えば数分のオーダーで変化していく。その変化速度に対して、パターン間隔基準時間を短くすればよいので、例えばパターン間隔基準時間を数秒に設定した場合には、毎分60枚の印刷ができる画像形成装置において数枚プリント毎に位置ずれ検知用パターン像を形成することになる。図示の例では、3枚プリント毎に、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像Ippを形成している。
【0137】
8行目のチャートは、2次転写ニップにおける2次転写のジョブタイミングを示している。位置ずれ検知用パターン像は、ベルトおもて面に保持されたままの状態で2次転写ニップを通過する。このようにするために、位置ずれ検知用パターン像を2次転写ニップに進入させているタイミングでは、2次転写バイアスの印加が中止される。
【0138】
次に、実施形態に係る画像形成装置に、より特徴的な構成を付加した各実施例に係る画像形成装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図18は、第1実施例に係る画像形成装置の4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図である。第1実施例に係る画像形成装置においては、C用の感光体ギヤ302Cと、K用の感光体ギヤ302Kとで駆動を中継するための中継ギヤが設けられていない。このため、M用の感光体ギヤ302Mと、C用の感光体ギヤ302Cとの間に位置している原動ギヤ305が回転しても、その回転駆動力はK用の感光体ギヤ302Kには伝達されない。K用の感光体ギヤ302Kには、それを専用に駆動するための第2原動ギヤ308が噛み合っており、この第2原動ギヤ308は、原動ギヤ305に接続されたモータとは異なるモータのモータ軸に固定されている。即ち、第1実施例に係る画像形成装置においては、Y,M,Cの3つの感光体1Y,M,Cを1つのモータ(以下、カラー感光体モータという)で駆動する一方で、K用の感光体1Kを別の1つのモータ(以下、K感光体モータという)で駆動する。
【0139】
モノクロ画像を形成するモノクロモードでは、Y,M,C用の作像ユニット6Y,M,Cの駆動が不要である。そこで、制御装置は、モノクロモードの場合には、中間転写ベルト8の張架姿勢を変化させるためのソレノイドを駆動する。この駆動によるベルト張架姿勢の変化で、中間転写ベルト8はY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間する。この状態で、カラー感光体モータとK感光体モータとのうち、K感光体モータだけを駆動して、プリントジョブを行う。なお、モノクロモードの場合には、色ずれを発生させることがないので、プリント枚数にかかわらず、ずれ量データ更新処理や画像情報補正処理は省略される。
【0140】
このようにしてモノクロモードを実行すると、K用の感光体ギヤ302Kによって駆動される感光体1Kと、Y用の感光体ギヤ302Yによって駆動される感光体1Yとの回転位相差を、所定の標準位相差(組付時の回転位相差)からずらしてしまうおそれがある。但し、Y,M,Cの間においては、3つの感光体ギヤの何れか1つ又は2つを他の感光体ギヤから切り離して駆動することがないので、それら3色の間では感光体の回転位相差は、それぞれ組付時の回転位相差のままである。
【0141】
K用の感光体1Kと、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cとでは、それぞれ回転位相差の関係が一定にならないため、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cについては、K用の回転姿勢検知センサー309Kとは別のセンサーにより、回転角度の変化の挙動を監視する必要がある。そこで、第1実施例に係る画像形成装置においては、Y用の感光体1Yについて、所定の回転角度姿勢になったことを検知する回転姿勢検知センサーを設けている。そして、このY用の回転姿勢検知センサーによる検知結果に基づいて、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cの基準姿勢タイミングを検知する。
【0142】
なお、カラーモードで4つの感光体1Y,M,C,Kの回転駆動が開始してそれらの回転速度が安定化した後には、それらの回転駆動の停止処理を開始するまで、感光体1Y,M,C,Kにおける互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差は一定の関係に保たれる。そこで、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kの色分解画像データを補正するにあたり、まず、K用の感光体1Kについての基準姿勢タイミングと、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cについての基準姿勢タイミングとのずれを検知した結果に基づいて、位相差を把握する。そして、その位相差に基づいて、感光体1Y,M,C,Kについてそれぞれ、1ライン目の光書込開始時における回転角度姿勢を正確に予測して、各画素の副走査方向の周期位置ずれ量を特定する。
【0143】
[第2実施例]
Y,M,C,Kの何れかにおいて、感光体ギヤ(302Y,M,C,K)が交換された場合、その色の周期位置ずれ変動曲線が交換前のものとは異なってくる。交換前の感光体ギヤとは、偏心量や偏心位置が異なっているからである。にもかかわらず、交換前の感光体ギヤの周期位置ずれ変動曲線を用いて周期位置ずれ量を把握すると、実際の周期位置ずれ量との誤差が生じて、周期位置ずれに起因する色ずれを低減することが困難になってしまう。
【0144】
そこで、本画像形成装置においては、ユーザーの命令に基づいて、Y,M,C,Kの各色についてギヤ交換後の周期位置ずれ量を測定するための周期位置ずれ測定処理を実施するようになっている。
【0145】
図19は、第2実施例に係る画像形成装置の感光体1Y,M,C,Kと転写ユニット15とを、電気回路の一部とともに示す構成図である。本画像形成装置においては、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kにそれぞれ個別に対応させて、Y,M,C,K用の回転姿勢検知センサー309Y,M,C,Kを設けている。
【0146】
制御装置は、感光体ギヤの交換が行われた旨のメッセージをユーザーから受け取ると、周期位置ずれ測定処理を実施する。この周期位置ずれ測定処理では、中間転写ベルト8に、図20に示されるような周期ずれ検知用パターン像IpcをY,M,C,Kの4色についてそれぞれ個別に形成する。同図において、周期ずれ検知用パターン像Ipcは、ベルト移動方向(副走査方向)に沿って所定間隔rで並ぶn個のテスト画像からなる。n個のテスト画像のうち、ベルト移動方向(y方向)の先頭に形成される第1テスト画像It1から、最後のn個目に形成される第nテスト画像Itnまでの距離は、感光体円周以上になっている。即ち、周期ずれ検知用パターン像Ipcの副走査方向の長さは、感光体円周以上である。
【0147】
本画像形成装置においては、図21に示されるように、C周期ずれ検知用パターン像Ipc−Cと、Y周期ずれ検知用パターン像Ipc−Yとが、中間転写ベルト8の幅方向における全域のうち、第1光学センサー150aによる検知が可能な領域に、順に形成される。何れのパターン像も、1個目の第1テスト画像は、対応する色の感光体の基準姿勢タイミング、あるいは基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で、光書込が開始されたものである。つまり、第1テスト画像は、基準姿勢タイミング、又は基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で光書込位置に進入している感光体箇所に形成されたものである。
【0148】
M周期ずれ検知用パターン像Ipc−M、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kは、中間転写ベルト8の幅方向における全域のうち、第2光学センサー150bによる検知が可能な領域に、順に形成される。これらの第1テスト画像も、対応する色の感光体の基準姿勢タイミング、あるいは基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で、光書込が開始されたものである。
【0149】
図22は、サンプリング開始時点における周期ずれ検知用パターン像Ipcの各テスト画像と副走査方向倍率誤差eとの関係を説明するための拡大模式図である。同図において、第1実測距離r’1は、周期ずれ検知用パターン像Ipcの第1テスト画像It1における副走査方向の中心点と第2テスト画像It2における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第2実測距離r’2は、第2テスト画像It2における副走査方向の中心点と第3テスト画像It3における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第3実測距離r’3は、第3テスト画像It3における副走査方向の中心点と第4テスト画像It4における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第n実測距離r’nは、第nテスト画像Itnにおける副走査方向の中心点と第n+1テスト画像Itn+1における副走査方向の中心点との実測距離である。それらの距離は、感光体の偏心等に起因する副走査方向倍率誤差がなければ、基準距離rと同じ値として測定される。
【0150】
図22に示される各種の実測距離(r’1、r’2、r’3、r’n)と、基準距離rとの比が、それぞれの実測距離に対応するテスト画像の副走査方向倍率誤差である。周期位置ずれ演算記憶部219は、各種の副走査方向倍率誤差を、次のようにして求める。
「副走査方向倍率誤差e1=第1実測距離r’1/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差e2=第2実測距離r’2/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差e3=第1実測距離r’3/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差en=第1実測距離r’n/基準距離r」
このような副走査方向倍率誤差の算出をY,M,C,Kの各色についてそれぞれ実施する。
【0151】
周期位置ずれ演算記憶部219は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、このようにして感光体1周分の副走査方向倍率誤差eを求めて、その結果をずれ量記憶部204に記憶させる。
【0152】
かかる構成においては、ずれ量記憶部204に予め記憶しているY,M,C,Kの副走査方向倍率誤差eが感光体ギヤの交換によって実情にそぐわない値になったとしても、ギヤ交換後の新たな副走査方向倍率誤差eを測定及び記憶することで、ギヤの交換に起因する周期位置ずれ補正能力の悪化を回避することができる。
【0153】
なお、参考までに、感光体1周分の周期位置誤差eの一例を、図23に示す。
【0154】
制御装置は、ユーザーからの命令に基づいて、記録シートの収縮率λの測定を行う収縮率測定処理を実施するようになっている。具体的には、まず、中間転写ベルト8上にK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを形成する。このとき、作像については、画像データ補正部203により、K色分解画像データをKの周期位置ずれ変動曲線に基づいて補正した後、補正時に想定したタイミングでK用の感光体1Kに対する光書込を開始する。よって、形成されるK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの各テスト画像は、周期位置ずれが画像処理によって抑えられたものになっている。
【0155】
次に、制御装置は、形成したK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを、記録シートPの第1面に2次転写する。そして、記録シートPを定着装置20に送った後、2次転写ニップに再送する。この再送と並行して、中間転写ベルト8にK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを形成する。形成方法は、先に形成したK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kと同様である。そして、このK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを記録シートPの第2面に転写した後、記録シートPを定着装置20に送る。
【0156】
第2実施例に係る画像形成装置には、図示しない両面読取スキャナが接続されており、制御装置は、この両面読取スキャナの制御部と交信することが可能になっている。作業者は、両面にそれぞれK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを定着せしめた記録シートPを、両面読取スキャナにセットして、その両面に形成されているK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを読み取らせる。この読取によって得られた画像データは、本画像形成装置の制御装置に送られる。
【0157】
収縮率測定処理では、図24に示されるように、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kとして、感光体周長と全く同じ長さのサブユニットをベルト移動方向に3つ連ねた長さのものが形成される。なお、周期ずれ検知用パターン像の長さは、感光体周長に限られるものではない。
【0158】
両面のうち、第1面だけにK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kが形成された記録シートを定着装置20に送った際には、吸湿していた記録シートから水分が蒸発して、記録シートが収縮する。これに対し、第2面にもK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kが形成された記録シートを定着装置20に再送した際には、1回目の定着処理の際に殆どの水分を蒸発させた記録シートは、殆ど収縮しない。このため、図25に示されるように、記録シートの第2面に形成されたK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの3つのサブユニットは、それぞれその長さ(以下、第2面サブユニット長さIという)が、感光体周長とほぼ同じ大きさになる。これに対し、記録シートの第1面に形成されたK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの3つのサブユニットは、それぞれその長さ(以下、第1面サブユニット長さI’という)が、感光体周長よりも小さくなる。これは、1回目の定着処理の際に、記録シートが収縮したからである。
【0159】
制御装置は、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kにおける1個目、2個目、3個目のサブユニットについてそれぞれ、第1面サブユニット長さI’を第二面サブユニット長さIで除算する(I’/I)。そして、得られた3つの除算結果の平均値を収縮率λとして求めて、ずれ量記憶部204に記憶していた収縮率λのデータを、新たに求めた値に更新する。または、追加する。
【0160】
更新だけではなく、追加という態様も含めたのは、次に説明する理由による。即ち、記録シートの収縮率λは、シート材質(紙種)、シート厚み、定着温度などの条件に応じて異なってくる。このため、シート材質、シート厚み、及び定着温度などの条件において成立する個々の組み合わせについてそれぞれ、収縮率λを記憶しているからである。シート材質やシート厚みなどの条件の情報については、ユーザーの入力操作によって制御装置に提供される。
【0161】
[第3実施例]
第3実施例に係る画像形成装置も、ユーザーの命令に基づいて、Y,M,C,Kの各色についてギヤ交換後の周期位置ずれ量を測定するための周期位置ずれ測定処理を実施するようになっている。但し、周期位置ずれ測定処理において形成する各色の周期ずれ検知用パターン像Ipcの形成数や形成位置が、第2実施例とは異なっている。
【0162】
図26は、第3実施例に係る画像形成装置における周期位置ずれ測定処理の際に形成される各種の周期ずれ検知用パターン像Ipcを中間転写ベルト8とともに示す模式図である。第3実施例に係る画像形成装置においては、周期位置ずれ測定処理で、各色の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcが3つずつ形成される。同じ色の3つの周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、内部のテスト画像が互いにほぼ同じタイミングで形成されるように、ベルト幅方向に並ぶ態様で形成される。より詳しくは、同じ色の第1の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第1光学センサー150aによって検知されるように、ベルト幅方向の一端付近に形成される。また、同じ色の第2の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第2光学センサー150bによって検知されるように、ベルト幅方向の他端付近に形成される。また、同じ色の第3の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第3光学センサー150cによって検知されるように、ベルト幅方向の他端付近に形成される。
【0163】
周期位置ずれ演算部219は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、3つの周期位置ずれ検知用パターン像Ipcの各テスト画像の周期位置ずれ量をパターン間で平均する。例えば、Y周期位置ずれ検知用パターン像Ipc−Yであれば、ベルト幅方向の一端付近に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1と、ベルト幅方向の中央部に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1と、ベルト幅方向の他端付近に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1との合計を3で除算して平均を求める。同様にして、周期位置ずれ量△t2、△t3・・・△tnについても、ベルト幅方向一端付近での値と、中央部での値と、他端付近での値との平均を求める。このようにして平均を求めることで、ノイズ混入の影響を低減して、周期位置ずれ量を精度良く検出することができる。
【0164】
[第4実施例]
光書込装置7による潜像の光書込を行う構成では、光書込装置7の光学部品の光学特性に起因して、主走査方向(感光体回転軸線方向)の座標系における主走査方向の光書込位置誤差が発生する。以下、この光書込位置誤差の特性を第1光学特性という。また、前記光学特性に起因して、主走査方向の座標系における副走査方向(感光体表面移動方向)の光書込位置誤差も発生する。以下、この光書込位置誤差の特性を第2光学特性という。第1光学特性や第2光学特性はそれぞれ、非線形のグラフによって表されるものである。
【0165】
図27は、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフである。横軸で示される主走査方向の座標系(x)に対して、実際の主走査方向の光書込位置が縦軸(△x)のようにずれる特性である。このグラフで示される特性には、光学部品に起因する第1光学特性の他、主走査方向のレジストずれや、主走査方向の全体倍率誤差ずれなど、線形グラフによって表されるずれ要因も含まれている。
【0166】
このグラフを多項式で近似すると、次式によって表すことができる。
Δx(x)=α0+α1x+α2x2+α3x3+・・・→式(1)
【0167】
この式の0次の係数α0は、主走査方向のレジストずれを表している。また、1次の係数α1は、主走査方向の全体倍率誤差ずれを表している。非線形特性となる2次以降の高次成分の和を関数f(x)で表すと、式(1)については、次式に変形することが可能である。
Δx(x)=α0+α1x+f(x) →式(1’)
【0168】
図28は、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフである。横軸で示される主走査方向の座標系(x)におけるx座標に対応する理論上のy座標に対して、実際の副走査方向の光書込位置が縦軸(△y)のようにずれる特性である。このグラフで示される特性には、光学部品に起因する第2光学特性の他、副走査方向のレジストずれや、スキューずれなど、線形グラフによって表されるずれ要因も含まれている。
【0169】
このグラフを多項式で近似すると、次式によって表すことができる。
Δy(x)=β0+β1x+β2x2+β3x3+・・・→式(2)
【0170】
この式の0次の係数β0は、副走査方向のレジストずれを表している。また、1次の係数β1は、スキューずれを表している。非線形特性となる2次以降の高次成分の和を関数f(y)で表すと、式(2)については、次式に変形することが可能である。
Δy(x)=β0+β1x+g(x) →式(2’)
【0171】
連続プリントの際に機内温度が変化するなどすると、図27や図28に示した特性が、図示のものから変化する。但し、使用する光学部品の種類によっては、機内温度の変化に対して、レジストずれ、全体倍率誤差ずれ、スキューずれなどのずれ要因の線形特性が大きく変化するものの、非線形の第1光学特性である関数f(x)や、第2光学特性である関数g(x)はそれほど変化しないことがある。本画像形成装置においては、このように、非線形の第1光学特性や第2光学特性を機内温度変化に対して変化させなくすることが可能な光学部品を使用している。即ち、本画像形成装置では、機内温度が変化しても、非線形の第1光学特性や第2光学特性は殆ど変化しない。但し、線形の特性は機内温度の変化に対して敏感に変化するため、上述した4つの式における0次の係数(α0、β0)や1次の係数(α1、β1)が変化する。
【0172】
図27に示される特性は、温度変化があると例えば図29や図30に示されるような特性に変化することがある。図29に示される特性では、0次の係数α0や、1次の係数α1が図27の状態から大きく変化しているが、非線形の第1光学特性である関数f(x)は変化していない。また、図30に示される特性においても、0次の係数α0や、1次の係数α1が図27の状態から大きく変化しているが、関数f(x)は変化していない。
【0173】
また、図28に示される特性は、温度変化があると例えば図31や図32に示されるような特性に変化することがある。図31の特性では、0次の係数β0や、1次の係数β1が図28の状態から大きく変化しているが、非線形の第2光学特性である関数g(x)は変化していない。また、図32の特性においても、0次の係数β0や、1次の係数β1が図28の状態から大きく変化しているが、第2光学特性である関数g(x)は変化していない。
【0174】
ずれ量記憶部204は、主走査方向における光書込領域を複数の区分領域に分けて、それぞれの区分領域における第1光学特性(関数f(x))や第2光学特性(関数g(x))の近似直線データを記憶している。例えば、第1光学特性であれば、図33に示されるように、主走査方向の走査可能領域を第1区分領域(0)〜第8区分領域(8)の8つの区分領域に区分けし、それぞれの区分領域において、関数f(x)の近似直線式を第1光学特性データとして記憶している。また、第2光学特性であれば、図34に示されるように、主走査方向の走査可能領域を第1区分領域(0)〜第8区分領域(8)の8つの区分領域に区分けし、それぞれの区分領域において、関数g(x)の近似直線式を第2光学特性データとして記憶している。
【0175】
このように、主走査方向の走査可能領域を複数の区分領域に分けて、非線形関数式を区分領域における直線近似式に置き換えて記憶しておくことで、画像情報補正処理における色ずれ変換行列の領域数を少なくして、画像情報補正処理における演算処理を簡素化することができる。区分領域の数を増やすほど、直線近似式の精度を高めることが可能になるが、その分、画像情報補正処理における演算処理が複雑化する。各区分領域の大きさについては、必ずしも等しくする必要はない。例えば、非線形の曲線の極大点や極小点を区分領域の境界となるようにして、曲線と直線近似式によって示される近似直線との差を少なくするようにしてもよい。
【0176】
図33において、各区分領域における近似直線式の傾きは、主走査方向における区分領域での倍率誤差ずれの全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)からの偏差を示している。区分領域の番号をiで表すと、前述の偏差は、倍率誤差△a(i)で表される。各区分領域において、主走査方向における倍率誤差ずれは、主走査方向の全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)に、倍率誤差△a(i)を加算した値になる。また、0次の係数α0である画像全体の主走査方向のレジストずれ量(cc、cy、cm)に、区分領域の始点における主走査方向のずれ量である主走査ずれ量Δc(i)を加算したものが、区分領域における主走査方向のレジストずれ量となる。
【0177】
また、図34において、各区分領域における近似直線式の傾きは、区分領域における全体スキューずれからの偏差を示している。この偏差は、スキュー偏差△d(i)で表される。各区分領域におけるスキューずれは、全体スキューずれ(dc、dy、dm)に、近似直線式の傾きであるスキュー偏差△d(i)を加算した値になる。また、0次の係数β0である画像全体の副走査方向のレジストずれ(fc、fy、fm)に、区分領域の始点における副走査方向のずれ量である副走査ずれ量△f(i)を加算することで、区分領域の副走査方向のレジストずれ量を求めることができる。
【0178】
なお、0次の係数(α0、β0)や、1次の係数(α1、β1)については、実施形態と同様に、位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて求める。
【0179】
制御装置は、光学部品を交換したユーザーからの命令に基づいて、第1光学特性や第2光学特性を測定する光学特性測定処理を実施する。この光学特性測定処理では、まず、図35に示されるようなテストチャート画像を記録シートに形成する。本画像形成装置には、図示しないスキャナが接続されており、制御装置はこのスキャナの制御部と交信することが可能になっている。作業者は、テストチャート画像を定着せしめた記録シートPを、スキャナにセットして、テストチャート画像を読み取らせる。この読取によって得られた画像データは、本画像形成装置の制御装置に送られる。
【0180】
テストチャート画像は、複数のテストパターン画像Itpをマトリクス状に並べたものである。それぞれ直角に折れ曲がった形状のKテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、及びYテスト画像Ityを具備している。Mテスト画像Itmは、基準点を基準にして、Kテスト画像Itkに対して90[°]回転した姿勢で形成される。また、Cテスト画像Itcは、基準点を基準にして、Mテスト画像Itmに対して90[°]回転した姿勢で形成される。また、Yテスト画像Ityを、基準点を基準にして、Cテスト画像Itcに対して90[°]回転した姿勢で形成される。このようなテストパターン画像Itpが、13列(主走査方向)×9行(主走査方向)のマトリクス状に117個形成される。なお、テストパターン画像Itpの数は、117個に限定されるものではない。また、例えば図36に示されるように、テストチャート画像に、各色の周期位置ずれ検知用パターン像を形成し、それらパターン像内の各位置検知用画像をスキャナで読み込んだ結果に基づいて、各色の周期位置ずれ変動曲線を構築させるようにしてもよい。この場合、各色の周期位置ずれ検知用パターン像については、基準姿勢タイミングを基準にした所定のタイミングで形成を開始する。
【0181】
制御装置は、スキャナから送られてくるテストチャート画像についての画像データに基づいて、複数のテストパターン画像Itpについてそれぞれ、Kテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、Yテスト画像Ityにおけるそれぞれの折れ曲がり頂点の座標を求める。そして、それら頂点の座標について、それぞれ理想座標からのずれを計算して、それぞれのテストパターン画像Itpにおける各種のずれ量を求める。
【0182】
j列k行に位置するテストパターン画像Itpの主走査方向のずれ量を主走査ずれ量△xjkとして記憶する。また、j列k行に位置するテストパターン画像Itpの副走査方向のずれ量を副走査ずれ量△yjkとして記憶する。j列について、主走査ずれ量△xjと、副走査ずれ量△yjとをそれぞれ、k=1〜9の9行のテストパターン画像パターン画像Itpで平均を算出する。そして、その結果をそれぞれ、主走査ずれ量△xj、副走査ずれ量△yjとして記憶する。平均化することで、ノイズ混入の影響を除去して、ずれ量を精度良く検出することが可能になる。なお、本段落では、第1光学特性だけをもつ例について説明している。
【0183】
次に、主走査ずれ量△xjついて、x軸−y軸の2次元平面上におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との近似直線を求める。そして、この近似直線における0次の係数α0、1次の係数α1をそれぞれ、前記2次元座標上におけるx座標と△x座標との関係を示す関数式から差し引くことで、関数f(x)、即ち、第1光学特性を求める。
【0184】
また、副走査ずれ量△yjについて、2次元平面上におけるx座標と副走査方向ずれ量座標(△y座標)との近似直線を求める。そして、この近似直線における0次の係数β0、1次の係数β1をそれぞれ、前記2次元座標上におけるx座標と△y座標との関係を示す関数式から差し引くことで、関数g(x)、即ち、第2光学特性を求める。
【0185】
その後、主走査方向の走査可能領域を、1列目(j=1)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心と、2列目(j=2)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心との間の領域を第1区分領域とする。また、2列目のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心と、3列目(j=3)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心との間の領域を第2区分領域とする。同様にして、第3区分領域(j=3〜4)、第4区分領域(j=4〜5)、第5区分領域(j=5〜6)、第6区分領域(j=6〜7)、第7区分領域(j=7〜8)、第8区分領域(j=8〜9)、第9区分領域(j=9〜10)、第10区分領域(j=10〜11)、第11区分領域(j=11〜12)、第12区分領域(j=12〜13)を特定する。
【0186】
12の区分領域の位置を特定したら、それぞれの区分領域について、関数f(x)や関数g(x)の近似直線式f’(xj)、g’(xj)を求める。そして、それらの近似直線式f’(xj)、g’(xj)を、ずれ量記憶部203に記憶する。近似直線式f’(xj)、g’(xj)から、各種のずれ量を求める方法は、既に述べた通りである。なお、区分領域の数を、テストパターン画像Itpのマトリクスの列数(j)に合わせる必要は必ずしもない。
【0187】
テストチャート画像については、各種のずれのうち、「副走査周期位置ずれ」を除くずれを画像データ補正部203による画像情報補正処理で補正した画像データで作像してもよいし、各種のずれの補正を全く行わない画像データで作像してもよい。何れの場合であっても、テストチャート画像を形成するための1ライン目の光書込を、基準姿勢タイミングに基づく所定のタイミングで開始して、ラインの位置と、感光体における周方向の位置とを特定の関係にした条件で、テストチャート画像を作像する。そして、テストパターン画像ItpにおけるKのテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、Yテスト画像Ityの折れ曲がり頂点のy座標を、それに対応するライン番号(主走査ライン)の副走査周期位置ずれ量によって補正する。全てのテストパターン画像Itpについて、同様のy座標の補正を行って、周期位置ずれを除去した頂点位置にした後、主走査ずれ量△xjや副走査ずれ量△yjを求める。この結果に基づいて算出した関数f(x)や関数g(x)を、そのまま第1光学特性や第2光学特性として扱って、各区分領域における近似直線式f’(xj)、g’(xj)を算出する。
【0188】
上記数2で示した色ずれ変換用の行列Aや、上記数3、4、5で示した各数式については、各区分領域についてそれぞれ個別に実施する。例えば行列Aであれば、i=1〜13(但し、自然数)という13の区分領域についてそれぞれ、行列Aiを求めるのである。これにより、第1光学特性や第2光学特性に起因する重ね合わせずれをそれぞれの区分領域において精度良く低減することができる。
【0189】
各区分領域の行列Aiは、次のように表される。
【数6】
【0190】
画像データ補正部203は、注目画素の主走査方向の座標xから、その座標xが属する区分領域の行列Aiを特定し、その行列Aiによって座標変換を行う。
【0191】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向の倍率誤差ずれai’を、次式によって求める。
ai’=a’+Δa(i)
この式におけるa’は、全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)であり、実施形態と同様にして求める。倍率誤差△a(i)は、区分領域iのx軸−y軸の2次元平面上におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との近似直線の傾きである。
【0192】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向のレジストずれciを、次式によって求める。
ci=c+Δc(i)
この式におけるcは、画像全体の主走査方向のレジストずれ(cc、cy、cm)であり、実施形態と同様にして求める。主走査ずれ量Δc(i)は、区分領域iの始点におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との主走査方向のずれ量である。
【0193】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおけるスキューずれdiを、次式によって求める。
di=d+Δd(i)
この式におけるdは、全体スキューずれ(dc、dy、dm)であり、実施形態と同様にして求める。スキュー偏差△d(i)は、x座標と副走査方向ずれ座標(△y座標)との2次元平面上における区分領域iの近似直線の傾きである。
【0194】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向のレジストずれfiを、次式によって求める。
fi=f+Δf(i)
この式におけるfは、画像全体の主走査方向のレジストずれ(fc、fy、fm)であり、実施形態と同様にして求める。副走査ずれ量△f(i)は、2次元平面の区分領域iの始点におけるx座標と副走査方向ずれ量座標(△y座標)との副走査方向のずれ量である。
【0195】
周期位置ずれについては、実施形態と同様にして、補正値記憶部220に記憶されている周期位置ずれ変動曲線に基づいて求める。
【0196】
色ずれ変換用の行列Aは、機内温度の変化に伴って変化するものであるので、ずれ量データ更新処理と同様に、定期的に更新する。これにより、機内温度が変化しても、各種のずれ量を精度良く検出することができる。なお、非線形の第1光学特性や第2光学特性については、機内温度にかかわらず、安定しているので、光学部品が交換されない限り、同じアルゴリズムを用いればよい。また、先に図8に示したフローチャートと同様に、複数のずれ量のうち、何れか1つでも正常でない場合に、ずれ量の更新を中止するようにしてよい。
【0197】
[第5実施例]
光書込装置7に搭載される光学部品の種類によっては、機内温度の変化に伴って、非線形の第1光学特性や第2光学特性も変化してしまう場合がある。第5実施例では、このように、機内温度の変化に伴って第1光学特性や第2光学特性を変化させる光学部品を光書込装置7に搭載している。
【0198】
図37は、第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図である。同図においては、中間転写ベルト8の全域のうち、1枚目の記録シートに対応する第1シート対応領域Ap1と、2枚目の記録シートに対応する第2シート対応領域Ap2との間のシート間対応領域に、位置ずれ検知用パターン像Ippを形成した例を示している。
【0199】
第5実施例に係る画像形成装置は、光学センサーとして、第1光学センサー150a、第2光学センサー150b、第3光学センサー150c、第4光学センサー150d、第5光学センサー150e、第6光学センサー150f、及び第7光学センサー150gの7個を有している。第1光学センサー150aは、実施形態に係る画像形成装置と同様に、ベルト幅方向における一端付近のベルト領域に対応するように配設されているが、第2光学センサー150bや第3光学センサー150cの配設位置は、実施形態とは異なっている。
【0200】
7個の光学センサーは、ベルト幅方向の一端側から他端側に向けて、番号の小さいものから順に、所定のピッチで並ぶように配設されている。よって、番号の最も大きい第7光学センサー150gが、ベルト幅方向の他端付近のベルト領域に対向している。
【0201】
ずれ量データ更新処理では、ベルト幅方向に所定のピッチで並ぶ7個の位置ずれ検知用パターン像Ippが、中間転写ベルト8のシート間対応領域に形成される。ベルト幅方向において、7個の位置ずれ検知用パターン像Ippがそれぞれ形成される位置は、7個の光学センサーに対応している。つまり、7個の位置ずれ検知用パターン像Ippにおける位置検知用画像が、7個の光学センサー(150a〜150g)によって並行して検知される。
【0202】
図38は、本画像形成装置について、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフである。図中の点線で示される曲線は、第1光学特性を示したものである。また、実線で示される直線は、その曲線を区分領域毎に近似直線化したものである。
【0203】
図39は、図38に示される特性が温度変化によって変化した状態を示している。図中の実線で示される曲線は、変化後の第1光学特性を示すものである。また、図中の点線で示される曲線は、変化前の第1光学特性をしたもの(図38と同じもの)である。図示のように、本画像形成装置においては、機内温度が変化すると、それにより、0次の係数α0や1次の係数α1によって示される線形特性(図中一点鎖線の直線)が変化することに加えて、非線形の第1光学特性も変化する。図39における点線曲線と実線曲線との差分が、温度変化に伴う第1光学特性の変化分である。
【0204】
図40は、本画像形成装置について、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフである。図中の点線で示される曲線は、第2光学特性を示したものである。また、実線で示される直線は、その曲線を区分領域毎に近似直線化したものである。
【0205】
図41は、図40に示される特性が温度変化によって変化した状態を示している。図中の実線で示される曲線は、変化後の第2光学特性を示すものである。また、図中の点線で示される曲線は、変化前の第2光学特性をしたもの(図40と同じもの)である。図示のように、本画像形成装置においては、機内温度が変化すると、それにより、0次の係数β0や1次の係数β1によって示される線形特性(図中一点鎖線の直線)が変化することに加えて、非線形の第2光学特性も変化する。図41における点線曲線と実線曲線との差分が、温度変化に伴う第2光学特性の変化分である。
【0206】
このように、光学部品を交換していないにもかかわらず、第1光学特性や第2光学特性が経時的に変化すると、各種のずれ量を精度良く検出することができなくなってしまう。そこで、本画像形成装置の制御装置は、光学特性測定処理を定期的に実施するようになっている。第4実施例に係る画像形成装置が、光学部品を交換したユーザーからの命令があったときだけ光学特性測定処理を実施するのに対し、本画像形成装置は、ユーザーからの命令に基づかずに、光学特性測定処理を定期的に実施する。
【0207】
光学特性測定処理の方法としては、第4実施例に係る画像形成装置とほぼ同様であるが、主走査方向における走査可能領域を6つに区分する点が、第4実施例と異なっている。図37において、ベルト幅方向は、感光体上における主走査方向(回転軸線方向)に対応している。そしてベルト幅方向における第1光学センサー150aの配設位置(図37におけるa)は、主走査方向の第1区分領域(i=1)よりも一端側に外れた領域と、第1区分領域との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第2光学センサー150bの配設位置(図37におけるb)は、主走査方向の第1区分領域と第2区分領域(i=2)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第3光学センサー150cの配設位置(図37におけるc)は、主走査方向の第2区分領域と第3区分領域(i=3)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第4光学センサー150dの配設位置(図37におけるd)は、主走査方向の第3区分領域と第4区分領域(i=4)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第5光学センサー150eの配設位置(図37におけるe)は、主走査方向の第4区分領域と第5区分領域(i=5)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第6光学センサー150fの配設位置(図37におけるf)は、主走査方向の第5区分領域と第6区分領域(i=6)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第7光学センサー150gの配設位置(図37におけるb)は、主走査方向の第6区分領域と、それよりもベルト幅方向他端側の領域との境界位置に対応している。
【0208】
第4実施例と同様にして、第1区分領域〜第6区分領域についてそれぞれ、テストチャート画像の画像を解析した結果に基づいて関数f(x)や関数g(x)の近似直線式f’(xj)、g’(xj)を求める。このようにして、図42に示されるように、第1光学特性の関数f(x)についての各区分領域の近似直線を求めたり、図43に示されるように、第2光学特性の関数g(x)についての各区分領域の近似直線を求めたりしたら、それらの近似直線を、ずれ量記憶部204に記憶する。
【0209】
以下、Kに対するCの色ずれについてのみ、各種のずれ量の算出方法を説明するが、Kに対するMのずれ量や、Kに対するYのずれ量についても、同様の方法によって算出することが可能である。
【0210】
図37において、第1光学センサー150aのベルト幅方向における中心位置(a)と、第2光学センサー150bのベルト幅方向における中心位置(b)との間の領域は、感光体表面上における第1区分領域に対応している。以下、ベルト幅方向における第1光学センサー150aと第2光学センサー150bとの距離を、ab距離Labという。
【0211】
ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCのスキューずれd1(c)を、次式によって求める。
d1(c)=(Lck_b−Lck_a)/Lab」
この数式におけるLck_bは、第2光学センサー150bに検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCK距離Lckである。また、Lck_aは、第1光学センサー150aに検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCK距離Lckである。
【0212】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの副走査方向のレジストずれf1(c)を、次式によって求める。
f1(c)=(Lck_a−L1ref)×κ
この数式におけるL1refは、CK距離Lckの設計上の値としての第1基準距離である。また、κは距離の単位である[mm]を画素の単位である[dot]に変換する係数である。
【0213】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの主走査方向の倍率誤差ずれa1(c)を、次式によって求める。
a1(c)={(Lcc_b−Lkk_b)−(Lcc_a−Lkk_a)}/Lab
この数式におけるLcc_bは、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCC距離Lccである。また、Lkk_bは、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるKK距離Lkkである。また、Lcc_aは、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCC距離Lccである。また、Lkk_aは、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるKK距離Lkkである。
【0214】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの主走査方向のレジストずれc1(c)を、次式によって求める。
c1(c)=Lkk_a×κ
【0215】
なお、区分領域の境界での連続性が保たれるように、オフセットの修正を適宜行うものとする。第1区分領域よりも主走査方向の一端側に外れた領域や、第6区分領域よりも主走査方向の他端側に外れた領域における行列Aについては、スキューずれをゼロとし、且つ、主走査方向の倍率誤差ずれを1とした上で(a’=0)、隣接する領域で近似直線を連続させるように主副のレジストずれを求める。
【0216】
第1区分領域だけについて説明したが、第2区分領域〜第6区分領域についても、同様にして各ずれ量を算出する。周期位置ずれについては、実施形態と同様にして、補正値記憶部220に記憶されている周期位置ずれ変動曲線に基づいて求める。
【0217】
画像データ補正部203は、第4実施例に係る画像形成装置と同様にして、各区分領域についてそれぞれ、倍率誤差ずれai’、主走査方向のレジストずれci、スキューずれdi、主走査方向のレジストずれfiを求める。かかる構成では、温度変化に伴って第1光学特性や第2光学特性を変化させてしまう光学部品を用いていても、各種のずれ量を長期に渡って精度良く検出することができる。
【0218】
本画像形成装置は、周期位置ずれ測定処理において、図44に示されるように、ベルト幅方向に並ぶ7つの周期ずれ検知用パターン像を形成する。それら周期ずれ検知用パターン像のテスト画像は、7つの光学センサー(150a〜150g)によって検知される。7つのパターンのうち、4つは、Y周期ずれ検知用パターン像Ipc−Y、M周期ずれ検知用パターン像Ipc−M、C周期ずれ検知用パターン像Ipc−C、及びK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kである。全ての色について、周期ずれ検知用パターン像Ipcのテスト画像を並行して検知することで、周期位置ずれ測定処理の実施時間の短縮化を図ることができる。
【0219】
同図においては、基準となる色であるKについてのK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを4つ形成して、4つの検知結果の平均をとる例を示している。かかる例に代えて、例えば3色についてはそれぞれパターンを2つずつ形成し、残りの1つについてはパターンを1つだけ形成する態様を採用してもよい。
【0220】
[第6実施例]
第6実施例に係る画像形成装置は、以下に説明する点の他が、第2実施例に係る画像形成装置と同様の構成になっている。即ち、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kを、それぞれ個別のモータによって駆動する。4つの感光体1Y,M,C,Kがそれぞれ独立した状態で回転することが可能であるため、それぞれの周期位置ずれ変動曲線の位相差が、経時的に大きく変化する。このため、全ての感光体ギヤ302Y,M,C,Kに対してそれぞれ、回転姿勢検知センサー309Y,M,C,Kを設けている。
【0221】
カラーモードで4つの感光体1Y,M,C,Kの回転駆動が開始してそれらの回転速度が安定化した後には、それらの回転駆動の停止処理を開始するまで、感光体1Y,M,C,Kにおける互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差は一定の関係に保たれる。そこで、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kの色分解画像データを補正するにあたり、まず、全ての感光体1Y,M,C,Kについて、基準姿勢タイミングを把握した結果に基づいて互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差を特定する。そして、その位相差に基づいて、感光体1Y,M,C,Kについてそれぞれ、1ライン目の光書込開始時における回転角度姿勢を正確に予測して、各画素の副走査方向の周期位置ずれ量を特定する。
【0222】
[第7実施例]
これまで説明してきた「周期的位置誤差」は、感光体の偏心に起因するものであり、その偏心は、ドラム状の感光体の中心軸と回転軸とが互いに平行な状態でずれているというものであった。以下、この偏心を平行偏心という。感光体の偏心には、平行偏心の他に、傾き偏心がある。
【0223】
図46は、傾き偏心を説明するための模式図である。同図において、点線は感光体1の回転軸を示している。また、一点鎖線は、感光体1の中心軸を示している。傾き偏心があると、図示のように感光体1が自らの中心軸を回転軸に対して傾けた状態で回転軸を中心にして回転する。同図において、第1ポイントP1は、感光体の中心軸線方向における一端側に位置している点である。また、第2ポイントP2は、感光体の中心軸線方向における他端側に位置している点である。
【0224】
感光体1に傾き偏心があると、図47で示されるように、第1ポイントP1における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線と、第2ポイントP2における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線とに位相差が発生する。また、感光体1の中心軸線方向における中央付近では、位相差が発生するだけでなく、位置ずれ変動曲線の振幅が他の位置における位置ずれ変動曲線の振幅とは異なってくる。
【0225】
そこで、第7実施例に係る画像形成装置では、感光体1の回転軸線方向における領域を複数に分割し、それぞれの分割領域について副走査方向の副走査方向倍率誤差eを個別に測定する。測定方法としては、例えば、図21のように各色の周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する代わりに、各色についてそれぞれ、周期ずれ検知用パターン像Ipcを3つずつ形成する。第1光学センサー150aに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipc、第2光学センサー150bに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipc、及び第3光学センサー150cに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipcの3つである。各色についてそれぞれ、それら3つの周期ずれ検知用パターン像Ipcを検知した結果に基づいて、感光体1の回転軸線方向における一端側の領域の副走査方向倍率誤差eと、中央部の領域の副走査方向倍率誤差eと、他端側の領域の副走査方向倍率誤差eとを算出する。副走査方向倍率誤差eの算出方法は、既に述べた通りである。
【0226】
各色についてそれぞれ3つずつ算出した副走査方向倍率誤差eについては、ずれ量記憶部204に記憶する。そして、各色についてそれぞれ、ずれ量記憶部304に記憶した3つの副走査方向倍率誤差eに基づいて、感光体1の回転軸線方向における一端側の領域と、中央部の領域と、他端側領域とで、副走査方向倍率誤差eに基づく色分解画像データの補正をそれぞれ個別に実施する。なお、感光体1の回転軸線方向における領域を3つに分割してそれぞれの副走査方向倍率誤差eを測定する例について説明したが、より多くの分割領域に分割して、精度良い周期位置ずれ補正を実現してもよい。
【0227】
この場合、多くの光学センサーを設けることによるコストアップを回避するために、それぞれの分割領域に対応する周期ずれ検知用パターン像Ipcを個別の光学センサーによって検知する代わりに、スキャナで読み込んでもよい。例えば、感光体の回転軸線方向における領域を14個の分割領域に分けて、図48に示されるように、それら14個の分割領域にそれぞれ個別に対応する14個の周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する。そして、それら周期ずれ検知用パターン像Ipcを記録シートに印刷した後、スキャナで読み込んだ結果に基づいてそれら周期ずれ検知用パターン像Ipcにそれぞれ個別に対応する副走査方向倍率誤差eを求める。このような工程を、各色毎に行うのである。
【0228】
位置ずれ検知用パターン像を形成するときには、画像データ補正部2033により、14個の分割領域についてそれぞれ対応する倍率誤差eをずれ量記憶部204から読み出す。また、スキューずれd、レジストずれf、全体倍率誤差ずれa、レジストずれcについては、14個の分割領域(i=1〜14)で共通の値となるものをずれ量記憶部204から読み出す。そして、それらの結果に基づいて、画像データの座標変換を行う。座標変換する方法は、後述する第8実施例と同様であるので説明を省略する。
【0229】
[第8実施例]
第8実施例に係る画像形成装置は、以下に説明する点の他が、第4実施例と同様の構成になっている。
第8実施例に係る画像形成装置においても、第7実施形態に係る画像形成装置と同様に、感光体の傾き偏心に起因する周期的位置ずれの発生を抑えるようになっている。そのために、感光体の回転軸線方向における領域を14個の分割領域に分割し、それぞれ個別の倍率誤差eを用いて色分解画像データを補正する。
【0230】
テストチャート画像としては、図36に示されるものに代えて、図49に示されるものを各色毎に形成する。14個の分割領域にそれぞれ個別に対応する14個のテストパターン画像Itpを具備するテストチャート画像を各色毎に形成するのである。
【0231】
色ずれ変換用の行列を求める際には、上記数6の数式に代えて、次の数7の数式を用いる。
【数7】
【0232】
この数式において、eiは、番号iに対応する分割領域における倍率誤差を示している。つまり、行列Aiは、区分領域毎に個別に求められる。位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するときには、まず、第1分割領域(i=1)に対応する倍率誤差eiをずれ量記憶部204から読み出した結果に基づいて、位置ずれ検知用パターンの色分解画像データの第1分割領域における座標変換を行う。同様の座標変換を、第2分割領域(i=2)〜第14分割領域(i=14)についても行う。
【0233】
なお、副走査方向の倍率誤差eiの測定精度を向上させるため、光学系の色ずれ(副走査オフセットずれ、スキューずれ)が無い状態で周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成してもよい。この場合、まず、図49に示されるテストチャート画像をスキャナで読み込んだ結果に基づいて、第1光学特性や第2光学特性の測定を行う。次に、図5に示される位置ずれ検知用パターン像を形成して各種のずれ量(スキューずれd、レジストずれf、全体倍率誤差ずれa、レジストずれc)を測定する。その後、周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成するための色分解画像データに対し、第1光学特性、第2光学特性、及び各種のずれ量に基づいた座標変換を行いながら、周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する。なお、その座標変換において、副走査方向の倍率誤差eiを1として各種の計算を行う。
【0234】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
画像情報を取得する画像情報取得手段(例えば画像パス切替部202)と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体(例えば感光体1Y,M,C,K)と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段(例えば光書込装置7)と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段(例えば現像器5Y,M,C,K)と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体(例えば中間転写ベルト8)と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段(例えば転写ユニット15)と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段(例えばずれ量記憶部204)と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段(例えば第1〜第3光学センサー)と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段(例えば制御装置:201〜220)とを備える画像形成装置において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0235】
態様Aは、画像情報を補正することで、スキューずれやレジストずれに起因する重ね合わせずれを低減することに加えて、複数の潜像担持体でそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因する可視像の重ね合わせずれを低減するという目的に鑑みてなされた発明である。
【0236】
態様Aでは、複数の潜像担持体をそれぞれ安定した速度で回転させている状態において、潜像の書込開始タイミングを決定した時点で、潜像担持体の表面上の潜像における各画素の潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標での「周期的位置誤差」との関係が全ての潜像担持体の表面上で確定する。例えば、配設順序に従って、第1潜像担持体、第2潜像担持体、第3潜像担持体、第4潜像担持体という順序で潜像の書き込みを開始する構成を採用したとする。そして、第1潜像担持体に対する潜像の書込開始タイミングとして、第1潜像担持体のサインカーブ状の周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点を迎えたタイミングを決定したとする。周期位置ずれ変動曲線は、潜像担持体の表面上における潜像書込位置での「周期的位置誤差」の経時変化を示すものであるので、潜像書込位置でプラス側ピーク点の「周期的位置誤差」が発生しているときに、潜像の潜像担持体表面移動方向における1行目の画素列に対して書込処理が行われることになる。よって、潜像の潜像担持体表面移動方向における1行目の画素列の「周期的位置誤差」はプラス側ピーク点とほぼ同じ値となる。また、潜像の潜像担持体表面移動方向における2行目の画素列の「周期的位置誤差」は、周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点よりも1画素分の潜像担持体回転角度だけずれた箇所とほぼ同じ値となる。このように、第1潜像担持体の表面上において、潜像の各画素の潜像担持体表面移動方向における座標と、「周期的位置誤差」との関係が確定する。
【0237】
態様Aにおいて、第2潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングは、第1潜像担持体に対する潜像の書き込み開始時点から所定時間経過後である。そして、その所定時間はレイアウトによって決まるものであるので、常に一定である。また、第1潜像担持体や第2潜像担持体はそれぞれ等しい線速で安定して回転している限り、周回にかかわらず、互いに一定の位相差をもって回転する。これらの結果、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、第2潜像担持体に対する潜像書込開始時点における第2潜像担持体の回転角度姿勢が確定している。例えば、第1潜像担持体に対して潜像の書き込みを開始してから、潜像担持体1回転周期が経過した時点で第2潜像担持体に対する潜像の書き込みを開始し、且つ第2潜像担持体が第1潜像担持体に対して+10°の位相差をもって回転しているとする。また、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングとして、周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点を迎えたタイミングを決定したとする。この場合、第2潜像担持体に対する潜像書込開始時点での第2潜像担持体の回転角度姿勢は、周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点を潜像書込位置に進入させる回転角度姿勢よりも+10°だけずれた回転角度姿勢である。よって、第2潜像担持体においても、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、潜像の各画素における潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。
【0238】
第3潜像担持体、第4潜像担持体においても、同様に、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、第3潜像担持体、第4潜像担持体の表面上における潜像の各画素の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。以上のように、態様Aでは、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、全ての潜像担持体において、潜像の各画素における潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。
【0239】
そこで、態様Aの制御手段は、画像情報補正処理において、潜像書込開始タイミングの決定により、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく。例えば、全ての潜像担持体を1つの駆動源で駆動する構成を採用している場合には、それぞれの潜像担持体を常に互いに同期させて回転させることから、それぞれの潜像担持体を常に所定の回転位相差の関係で回転させることになる。すると、それぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢が常に互いに所定の回転位相差をもった姿勢になるため、その所定の回転位相差を成立させる条件でそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を決定すればよい。また、複数の潜像担持体をそれぞれ互いに異なる駆動源で駆動する構成を採用している場合には、各駆動源の応答性の違いなどによってそれぞれの潜像担持体の回転位相差が経時的に変化するが、それぞれの潜像担持体の回転速度が安定化した後には、駆動停止まで回転位相差が一定に保たれる。このため、それぞれの潜像担持体の回転速度が安定化した後の位相差をそれぞれの潜像担持体に設けたエンコーダーなどによって把握し、その位相差を成立させる条件でそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を決定すればよい。
【0240】
このように、潜像書込処理先立って、画像情報補正処理においてそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を予め決定しておくことで、それぞれの潜像担持体について潜像の各画素の潜像担持体表面移動方向における座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」との関係を予め決定しておく。そして、データ記憶手段に記憶しているずれ量データに基づいて画像情報を補正することに加えて、各座標についてそれぞれ特定した「周期的位置誤差」にも基づいて画像情報を補正することで、スキューずれやレジストずれに起因する重ね合わせずれを低減することに加えて、複数の潜像担持体でそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因する可視像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0241】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、複数の潜像担持体を1つの駆動源で駆動するようにし、複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段(例えば回転姿勢検知センサー309K及び制御装置)を設け、且つ、前記回転姿勢決定処理にて、複数の潜像担持体にそれぞれ個別に対応する前記書込時回転姿勢として、それぞれ予め定められた所定の回転角度姿勢を決定した後、前記潜像書込処理にて、複数の潜像担持体に対して、それぞれ前記回転挙動把握手段によって前記所定の回転角度姿勢になったことが把握されたタイミングで、潜像の書込を開始する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、回転挙動把握手段によって複数の潜像担持体の回転挙動を把握することなく、複数の潜像担持体についてそれぞれ書込時回転姿勢を決定することができる。
【0242】
[態様C]
態様C(例えば第1実施例)は、態様Aにおいて、複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、前記回転姿勢決定処理にて、前記回転挙動把握手段による把握結果に基づいて複数の潜像担持体についてそれぞれ前記書込時回転姿勢を決定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、複数の潜像担持体をそれぞれ互いに異なる駆動源で駆動する場合であっても、回転挙動把握手段による把握結果に基づいて、それら潜像担持体を等しい線速で安定して回転させているときの回転位相差を把握して、複数の潜像担持体についてそれぞれ適切な書込時回転姿勢を決定することができる。
【0243】
[態様D]
態様D(例えば第7実施例、第8実施例)は、態様A〜Cの何れかにおいて、複数の潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の回転軸線方向における領域を複数に分割した複数の分割領域に個別に対応する複数の周期変動特性データを記憶させ、且つ、複数の分割領域についてそれぞれ、その分割領域に対応する前記周期変動特性データと、前記ずれ量データとに基づいて前記画像情報の補正を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、潜像担持体の傾き偏心に起因する周期位置ずれの発生を抑えることができる。
【0244】
[態様E]
態様E(例えば第2実施例や第3実施例)は、態様A〜Dの何れかにおいて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の周方向に所定ピッチで並ぶ複数のテスト画像からなる周期変動検知用パターン像を潜像担持体の表面上に形成して前記表面無端移動体の表面に転写した後、それらテスト画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて前記周期変動特性データを構築する周期変動特性データ構築処理を、所定の条件が具備されたことに基づいて実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【0245】
[態様F]
態様F(例えば第4実施例)は、態様A〜Eの何れかにおいて、複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第1光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、かかる構成においては、第1光学特性による光書込位置誤差に起因する重ね合わせずれを低減することができる。
【0246】
[態様G]
態様G(例えば第4実施例)は、態様A〜Fの何れかにおいて、複数の前記像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、第2光学特性による光書込位置誤差に起因する重ね合わせずれを低減することができる。
【0247】
[態様H]
態様H(例えば実施形態)は、態様A〜Gの何れかにおいて、前記転写手段を通過した後の記録シートに対して可視像の定着処理を施す定着手段と、両面のうち、第1面だけに可視像が転写及び定着された記録シートの第2面にも可視像を転写及び定着せしめるために、前記記録シートを反転せしめながら前記転写手段に再送する再送手段とを設け、前記定着手段を通る際の記録シートの収縮率に関するデータである収縮率データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記第2面に対応する画像情報については、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、及び前記周期変動特性データに加えて、前記収縮率データにも基づいて画像情報を補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、記録シートの収縮に起因する第1面と第2面との画像倍率の誤差を抑えることができる。
【0248】
[態様I]
態様I(例えば第3実施例)は、態様Eにおいて、前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記画像検知手段を並べて配設し、前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、それら画像検知手段によってそれぞれ個別に検知される複数の前記周期変動検知用パターン像を形成し、それら周期変動検知用パターン像におけるそれぞれのテスト画像の検知タイミングに対して平滑化処理を行った結果に基づいて前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、画像検知手段に対するノイズ混入による検知位置誤差の発生を低減して、周期位置ずれ量を精度良く検出することができる。
【0249】
[態様J]
態様J(例えば図36)は、態様Eにおいて、前記記録シートに転写された画像を読み取る画像読取手段(例えばスキャナ)を設けるとともに、前記周期変動特性データ構築処理にて、前記周期変動検知用パターン像のテスト画像を前記画像検知手段によって検知する代わりに、記録シートに転写された前記周期変動検知用パターン像を前記画像読取手段によって読み取り、その結果に基づいて、前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、表面無端移動体の表面移動速度の変動による周期位置ずれの検知誤差の発生を抑えることができる。
【0250】
[態様K]
態様K(例えば第5実施例)は、態様Eにおいて、前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記潜像担持体と同数以上の前記画像検知手段を並べて配設し、前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体にそれぞれ形成した前記周期変動検知用パターン像を前記方向に並べて前記表面に転写し、それら周期変動検知用パターン像のテスト画像の検知を並行する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、全ての潜像担持体について、周期変動検知用パターン像のテスト画像を並行して検知することで、周期位置ずれ測定処理の実施時間の短縮化を図ることができる。
【0251】
[態様L]
態様Lは、態様Eにおいて、複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データと、前記光学特性に起因する前記座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データとを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施し、且つ前記周期変動検知用パターンを形成するための画像情報に対して前記ずれ量データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づく補正を行いながら前記周期変動検知用パターンを形成する処理を前記周期変動特性データ構築処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、周期的位置誤差とは異なる要因による位置ずれをほぼなくした状態の周期変動検知パターンを形成して、周期変動特性を容易に検出することができる。
【符号の説明】
【0252】
1Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
7:光書込装置(潜像書込手段)
5Y:現像器(現像手段)
6Y,M,C,K:作像ユニット
8:中間転写ベルト(表面無端移動体)
15:転写ユニット(転写手段)
20:定着装置(定着手段)
204:ずれ量記憶手段(データ記憶手段)
150a:第1光学センサー(画像検知手段)
202:画像パス切替部(画像情報取得手段、制御手段の一部)
203:画像データ補正部(制御手段の一部)
205:書込制御部(制御手段の一部)
212:ずれ量演算部(制御手段の一部)
213:印刷ジョブ制御部(制御手段の一部)
217:テストパターン書出指示部(制御手段の一部)
218:検知信号生成部(制御手段の一部)
219:周期位置ずれ演算記憶部(制御手段の一部)
220:補正値記憶部(制御手段の一部)
309Y,M,C,K:回転姿勢検知センサー(回転姿勢検知手段)
Ipc:周期ずれ検知用パターン像(周期変動検知用パターン像)
Ipp:位置ずれ検知用パターン像(位置ずれ検知用パターン像
P:記録シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0253】
【特許文献1】特開平8−85236号公報
【特許文献2】特開2000−274919号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の潜像担持体にそれぞれ担持される可視像を、表面無端移動体の無端移動する表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、例えば、次のようなものが知られている。即ち、表面無端移動体たる無端状の中間転写ベルトを複数の張架ローラによって張架しながら無端移動せしめる。この中間転写ベルトのおもて面には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を形成するための4つの感光体をそれぞれ当接させて4つの1次転写ニップを形成している。そして、Y,M,C,K用の感光体の表面に形成したY,M,C,Kトナー像を、Y,M,C,K用の1次転写ニップで中間転写ベルトに重ね合わせて転写してから、記録シートに一括2次転写する。これにより、記録シートにフルカラー画像を形成する。
【0003】
中間転写ベルトを用いる代わりに、無端移動する表面に記録シートを保持しながら搬送する紙搬送ベルトを用いる画像形成装置も知られている。この画像形成装置では、Y,M,C,K用の感光体の表面に形成したY,M,C,Kトナー像を紙搬送ベルト上の記録シートに直接重ね合わせて転写してフルカラー画像を得る。
【0004】
これらの画像形成装置のように、複数の感光体にそれぞれ形成したトナー像をベルトなどの表面無端移動体の表面、あるいはその表面に保持した記録シート、に重ね合わせて転写する方式は、タンデム方式と呼ばれている。
【0005】
タンデム方式の画像形成装置では、生産性(単位時間当たりに印刷できる記録紙の枚数)が大幅に改善されるという利点がある。この一方で、各色の画像形成部における感光体や光書込装置等の位置精度や径のずれ、光学系の精度ずれなどに起因して、各色のトナー像が互いに位置ずれして転写される現象である色ずれ(レジずれ)を引き起こし易いという欠点がある。このため、色ずれを補正する色ずれ補正制御(レジストレーション制御ともいう)を実行することが不可欠となる。
【0006】
この色ずれ補正制御の方法としては、次のようなものが知られている。即ち、まず、中間転写ベルト上に各色のテストトナー像を具備する色ずれ検出用のテストパターン像を形成する。そして、テストパターン像における各色のテストトナー像の位置をセンサーによって検知した結果に基づいて各色の色ずれ量(レジずれ量)を算出する。次いで、算出した色ずれ量(レジずれ量)に基づいて各色の光学系の光路を補正したり、各色の画像書き出し位置や画素クロック周波数を補正したりする。
【0007】
しかしながら、このような色ずれ補正制御では、主に2つの問題点があった。第1の問題点は、次のようなものである。即ち、光学系の光路を補正するためには、光源やf−θレンズを含む光学系の一部や、光路内のミラーなどを機械的に動かして、各色光学系の光路の位置を互いに合わせる必要がある。このためには、高精度な可動部材を設ける必要があることから、高コスト化を招いてしまう。更に、色ずれ補正制御を開始してから、光路の位置合わせを完了するまでに比較的長時間を要することから、短い時間間隔で色ずれを補正することができなかった。
【0008】
また、第2の問題点は、次のようなものである。即ち、機内温度の変化などにより光学系や支持部材などに変形が生じるなどして、色ずれ量(レジずれ量)が経時的に変化することがあり、色ずれ制御を行った直後の高品位な画像を、その後の長期間に渡って維持することが困難であった。
【0009】
第1の問題点を解決し得る画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、無端移動する転写ベルトの表面に保持した記録シートに対して、各色の感光体のトナー像を転写するようになっている。そして、所定のタイミングで次のような制御を行う。即ち、各色のテストトナー像を具備するテストパターン像を転写ベルト上に転写し、そのテストパターン像における各色のテストトナー像をセンサーによって検知した結果に基づいて、各色のテストトナー像の形成座標情報を得る。そして、その形成座標情報と、予め記憶している基準位置座標とに基づいて決定されるレジずれ量に基づいて、各色毎の画像データの出力座標位置について、レジストレーションずれを補正したものに自動変換する。
【0010】
また、第1の問題点を解決し得る画像形成装置としては、特許文献2に記載のものも知られている。この画像形成装置は、中間転写ベルト上に形成したレジずれ検出用パターンにおける各色のテストトナー像の位置を検知した結果に基づいて、各色の画像データの出力座標における主走査方向の位置及び副走査方向の位置を補正する。更に、出力座標における主走査方向の倍率、主走査方向の部分倍率、副走査方向の倍率、副走査方向の部分倍率、リードのスキュー、サイドのスキュー、リードのリニアリティ、及びサイドのリニアリティのうち、なくとも1つ以上を変更可能にしている。
【0011】
また、上記第2の問題点を解決し得る画像形成装置としては、次のようなものが知られている。即ち、機内の温度を検知しながら、一定の温度変化があったときに色ずれ補正制御を行ったり、一定時間の経過後とに色ずれ補正制御を繰り返し行ったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この画像形成装置では、色ずれ補正制御の直後には高品位な画像を形成することが可能であるが、時間経過するにつれて変化する色ずれ量は考慮していない。
【0013】
さらに、光書込位置において感光体1回転周期で生ずる感光体表面の移動方向の位置誤差(以下、「周期的位置誤差」という)に起因する色ずれを低減することができなかった。具体的には、感光体の回転軸や、回転軸とともに回転する感光体ギヤには、微妙な偏心がある。この偏心により、感光体に対して光書込がなされる光書込位置では、感光体が1回転あたりで1周期分のサインカーブを描く特性の線速変動を発生させる。この線速変動により、光書込位置において、感光体1回転あたりで1周期分のサインカーブを描く特性(以下、周期位置ずれ変動曲線という)の「周期的位置誤差」が発生するのである。Y,M,C,Kの感光体において、かかる「周期的位置誤差」の特性を表した位置変動曲線の振幅(=偏心量)が互いに異なっていたり、位置変動曲線の位相差が互いにずれていたりすると、「周期的位置誤差」に起因して各色トナー像に相対的位置ずれが発生して色ずれを引き起こしてしまうのである。従って、高品位な画像を形成することができない。
【0014】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置や画像形成方法を提供することである。即ち、色ずれ量の経時変化を考慮し、スキューずれ、レジストずれ、周期的位置誤差などに起因する色ずれを、画像情報を補正することで低減することにより、高品位な画像を形成することができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データとに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、色ずれ量の経時変化を考慮し、「周期的位置誤差」に起因する色ずれを低減することにより高品位な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】同画像形成装置におけるY用の作像ユニットを示す拡大構成図。
【図3】同画像形成装置の開閉扉の動作を説明するための部分構成図。
【図4】同画像形成装置のY,M,C,K用の感光体と転写ユニットとを、電気回路の一部とともに示す構成図。
【図5】位置ずれ検知用パターン像を示す拡大模式図。
【図6】同画像形成装置の第1光学センサーを示す拡大構成図。
【図7】同画像形成装置の制御装置によって実施されるずれ量データ更新処理における処理フローを示すフローチャート。
【図8】同ずれ量データ更新処理の処理フローの他の例を示すフローチャート。
【図9】Y,M,C,K用の感光体をそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図。
【図10】K用の感光体ギヤを示す斜視図。
【図11】同画像形成装置のK用の回転姿勢検知センサーを示す拡大構成図。
【図12】K用の感光体1Kにおける光書込位置Pwを説明するための拡大構成図。
【図13】基準姿勢タイミングと、各色の感光体1Y,M,C,Kの光書込位置Pwにおける位置ずれ変動曲線とを示すグラフ。
【図14】サンプリング開始時点における各種の基準距離を説明するための模式図。
【図15】制御装置における各種の処理をソフトウエアで実現する場合のソフトを実行するソフト実行部の回路構成を示すブロック図。
【図16】実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図。
【図17】同画像形成装置における各種のタイミングの一例を示すタイミングチャート。
【図18】第1実施例に係る画像形成装置の4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図。
【図19】第2実施例に係る画像形成装置のY,M,C,K用の感光体と転写ユニットとを、電気回路の一部とともに示す構成図。
【図20】周期位置ずれ測定処理において形成される周期ずれ検知用パターン像を示す模式図。
【図21】4つの周期ずれ検知用パターン像を、中間転写ベルトとともに示す拡大模式図。
【図22】サンプリング開始時点における周期ずれ検知用パターン像の各テスト画像と副走査方向倍率誤差eとの関係を説明するための拡大模式図。
【図23】「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の倍率eの誤差を示すグラフ。
【図24】収縮率測定処理において形成されるK周期位置ずれ検知用パターン像と基準姿勢タイミングとの関係を示す模式図。
【図25】記録シートの第1面に形成されたK周期位置ずれ検知用パターン像のサブユニット長さ(I’)と、第2面に形成されたK周期位置ずれ検知用パターン像のサブユニット長さ(I)との関係を示す模式図。
【図26】第3実施例に係る画像形成装置における周期位置ずれ測定処理の際に形成される各種の周期ずれ検知用パターン像を中間転写ベルトとともに示す模式図。
【図27】主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフ。
【図28】主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフ。
【図29】図27に示される特性が温度変化によって変化した状態の第1例を示すグラフ。
【図30】図27に示される特性が温度変化によって変化した状態の第2例を示すグラフ。
【図31】図28に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図32】図29に示される特性が温度変化によって更に変化した状態を示すグラフ。
【図33】第1光学特性(関数f(x))と区分領域と近似直線式との関係を示すグラフ。
【図34】第2光学特性(関数g(x))と区分領域と近似直線式との関係を示すグラフ。
【図35】第4実施例に係る画像形成装置における光学特性測定処理で形成されるテストチャート画像を示す模式図。
【図36】同テストチャート画像の変形例を示す模式図。
【図37】第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図。
【図38】同画像形成装置について、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフ。
【図39】図38に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図40】同画像形成装置について、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフ。
【図41】図40に示される特性が温度変化によって変化した状態を示すグラフ。
【図42】第1光学特性と区分領域と近似直線との関係を示すグラフ。
【図43】第2光学特性と区分領域と近似直線との関係を示すグラフ。
【図44】第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルトと、これの表面に形成された各色の周期ずれ検知用パターン像とを示す模式図。
【図45】実施形態に係る画像形成装置の印刷ジョブ制御部によって実施される制御の処理フローを示すフローチャート。
【図46】傾き偏心を説明するための模式図。
【図47】第1ポイントP1における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線と、第2ポイントP2における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線との位相差を説明するための模式図。
【図48】周期ずれ検知用パターン像Ipcを説明するための模式図。
【図49】第8実施例に係る画像形成装置によって形成されるテストチャート画像を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式の画像形成装置の一実施形態について説明する。
まず、本画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1は、本画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つの作像ユニット6Y,M,C,Kを備えている。これらは、色材として、互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を作像するための作像ユニット6Yを例にすると、これは図2に示されるように、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像器5Y等を有している。作像手段としての作像ユニット6Yは、ユニットの状態で画像形成装置本体に対して脱着される。
【0019】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電した感光体1Yの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器5Yによって現像されてYトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、1次転写工程を経た後の感光体1Y表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色の作像ユニット(6M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に重ね合わせて1次転写される。
【0020】
現像手段としての現像器5Yは、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ロール51Yを有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ55Y、ドクターブレード52Y、トナー濃度センサー56Yなども有している。
【0021】
現像器5Yのケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含む図示しないY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ55Yによって撹拌搬送されて摩擦帯電せしめられながら、現像ロール51Yの表面に担持される。そして、ドクターブレード52Yによってその層厚が規制されてからY用の感光体1Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体1Y上にYトナー像が形成される。現像器5Yにおいて、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール51Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0022】
2つの搬送スクリュウ55Yの間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール51Yや図中右側の搬送スクリュウ55Y等を収容する第1供給部53Yと、図中左側の搬送スクリュウ55Yを収容する第2供給部54Yとがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Y内のY現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール51Yに供給する。図中右側の搬送スクリュウ55Yによって第1供給部53Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部54Y内に進入する。第2供給部54Y内において、図中左側の搬送スクリュウ55Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部53Yから送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ55Yとは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ55Yによって第2供給部54Yの端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部53Y内に戻る。
【0023】
透磁率センサーからなる上述のトナー濃度センサー56Yは、第2供給部54Yの底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度と良好な相関を示すため、トナー濃度センサー56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像器に搭載された図示しないトナー濃度センサーからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、トナー濃度センサー56Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部54Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器5Y内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、M,C,K用のトナー搬送装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
【0024】
先に示した図1において、作像ユニット6Y,M,C,Kの図中下方には、光書込装置7が配設されている。潜像形成手段たる光書込装置7は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lにより、作像ユニット6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体を光走査する。この光走査により、感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置7は、光源から発したレーザー光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
【0025】
光書込装置7の図中下側には、シート収容カセット26、これらに組み込まれた給送ローラ27など有するシート収容手段が配設されている。シート収容カセット26は、シート状の記録体たる記録シートPを複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の記録シートPに給送ローラ27を当接させている。給送ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の記録シートPがシート供給路70に向けて送り出される。
【0026】
このシート供給路70の末端付近には、レジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、記録シートPを挟み込むべく両ローラを回転させているが、挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで両ローラの回転を再開して記録シートPを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0027】
作像ユニット6Y,M,C,Kの図中上方には、表面無端移動体たる中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、2次転写バイアスローラ19、クリーニング装置10などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y,M,C,K、駆動ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、2次転写ニップ入口ローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら7つのローラにそれぞれ掛け回された状態で、駆動ローラ12の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0028】
1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kは、このようにして無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これら1次転写バイアスローラには、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写転写バイアスが印加される。1次転写バイアスローラ9Y,M,C,Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。
【0029】
中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0030】
駆動ローラ12は、接離部材たる2次転写バイアスローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで記録シートPに転写される。そして、記録シートPの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0031】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置10によってクリーニングされる。また、2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された記録シートPは、転写後搬送路71を経由して定着装置20に送られる。
【0032】
定着装置20は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラ20aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ20bとによって定着ニップを形成している。定着装置20内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ20aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0033】
定着装置20内でフルカラー画像が定着せしめられた記録シートPは、定着装置20を出た後、排紙路72と反転前搬送路73との分岐点にさしかかる。この分岐点には、第1切替爪75が揺動可能に配設されており、その揺動によって記録シートPの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前送路73に近づける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を排紙路72に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路73から遠ざける方向に動かすことにより、記録シートPの進路を反転前搬送路73に向かう方向にする。
【0034】
第1切替爪75によって排紙路72に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは、排紙路72から排紙ローラ対100を経由した後、機外へと配設されて、画像形成装置筺体の上面に設けられたスタック50a上にスタックされる。これに対し、第1切替爪75によって反転前搬送路73に向かう進路が選択されている場合には、記録シートPは反転前搬送路73を経て、反転ローラ対21のニップに進入する。反転ローラ対21は、ローラ間に挟み込んだ記録シートPをスタック部50aに向けて搬送するが、記録シートPの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、記録シートPがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、記録シートPの後端側が反転搬送路74内に進入する。
【0035】
反転搬送路74は、鉛直方向上側から下側に向けて湾曲しながら延在する形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対22、第2反転搬送ローラ対23、第3反転搬送ローラ対24を有している。記録シートPは、これらローラ対のニップを順次通過しながら搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の記録シートPは、上述のシート供給路70に戻された後、再び2次転写ニップに至る。そして、今度は、画像非担持面を中間転写ベルト8に密着させながら2次転写ニップに進入して、その画像非担持面に中間転写ベルトの第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、転写後搬送路71、定着装置20、排紙路72、排紙ローラ対100を経由して、機外のスタック部50a上にスタックされる。このような反転搬送により、記録シートPの両面にフルカラー画像が形成される。
【0036】
転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部50aとの間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル32Y,M,C,Kを搭載している。トナーボトル32Y,M,C,K内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ図示しないトナー搬送装置により、作像ユニット6Y,M,C,Kの現像器に適宜補給される。これらのトナーボトル32Y,M,C,Kは、作像ユニット6Y,M,C,Kとは独立して画像形成装置本体に脱着可能である。
【0037】
反転搬送路74は開閉扉内に形成されており、この開閉扉は、外部カバー61と揺動支持体62とを有している。具体的には、開閉扉の外部カバー61は、画像形成装置本体の筺体50に設けられた第1回動軸59を中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー61は、筺体50の図示しない開口を開閉する。また、開閉扉の揺動支持体62は、図3に示されるように、外部カバー61が開かれることで外部に露出し、外部カバー61に設けられた第2回動軸63を中心にして回動するように外部カバーに支持されている。この回動により、筺体50から開かれた状態にある外部カバー61に対して、揺動支持体62が揺動して、外部カバー61と揺動支持体62とが分かれることで、反転搬送路74が露出する。このようにして反転搬送路74が露出することで、反転搬送路74内のジャムシートが容易に取り除かれる。
【0038】
図4は、感光体1Y,M,C,Kと転写ユニット15とを、電気回路の一部とともに示す構成図である。本画像形成装置は、パターン画像データ生成部201、画像パス切替部202、画像データ補正部203、ずれ量記憶部204、書込制御部205、ずれ量演算部212、印刷ジョブ制御部213、テストパターン書出支持部217、検知信号生成部218、周期位置ずれ演算記憶部219、補正値記憶部220等からなる制御手段としての制御装置を備えている。
【0039】
パターン画像データ生成部1は、テストパターン出力指示信号(後述する)を受信すると、テストパターン画像を形成するためのパターン画像データを画像パス切替部202に送信する。テストパターン画像は、後述される位置ずれ検知用パターン像、あるいは線速変動検知用パターン像である。
【0040】
画像パス切換部202は、図示しないパーソナルコンピュータやスキャナなどの外部機器から送られてくるカラー画像データと、パターン画像データ生成部201から送られてくるパターン画像データとを切り換えて出力するものである。受け取った画像データをそのまま転送するのではなく、Y,M,C,Kの色分解画像データに分解して出力する。
【0041】
画像パス切換部202から画像データ補正部203に送られたY,M,C,Kの色分解画像データが、外部機器から送られてきたカラー画像データに由来するものであったとする。この場合、画像データ補正部203は、それら色分解画像データに対して、後述するレジストずれやスキューずれを低減するための画像情報補正処理を施した後、補正後のY,M,C,Kの色分解画像データを書込制御部205に出力する。画像情報補正処理は、後述するずれ量記憶部204に記憶されているレジストずれ量やスキューずれ量のデータに基づいて行われる。一方、Y,M,C,Kの色分解画像データが、パターン画像データに由来するものであったとする。この場合、画像データ補正部203は、それら色分解画像データを通常の画像データと同様に補正するか、通常の画像データとは異なった方法で補正するか、あるいは、全く補正しないで書込制御部205に出力する。これらの補正については、後に詳述する。
【0042】
光書込装置7は、Y,M,C,K用のレーザー光をそれぞれ主走査方向の一端位置で個別に検知したタイミングで、Y,M,C,K用の主走査同期信号を生成して書込制御部205に出力する同期信号生成部を有している。
【0043】
印刷ジョブ制御部213は、各ページの画像形成の開始や、テストパターン画像の形成の開始を指示するための印刷ジョブ開始指示信号を書込制御部205に出力する。なお、本稿では、記録シート1枚分の画像を出力するための動作や、テストパターン画像を出力するための動作を、印刷ジョブと称している。
【0044】
光書込装置7は、印刷ジョブ制御部213から送られてくる印刷ジョブ開始指示信号の受信タイミングを基準とし、各感光体間の距離と中間転写ベルト8の線速とによって決まる各色間の書込タイムラグに基づいて、Y,M,C,K用の副走査同期信号を生成する図示しない同期信号生成回路を具備している。また、図示しない画素クロックを生成する画素クロック生成回路も具備している。そして、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対してそれぞれ、主走査方向に延びる画素ラインに対する光書込を次のようにして行う。即ち、画素クロックを基準として、主走査同期信号と副走査同期信号とに同期するタイミングで、画素クロックを基準としたレーザーダイオードの変調信号を生成して、画素ラインにおけるドット書込が必要な画素に対してドットを光書込する。このような光書込により、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kにはそれぞれ、カラー画像を形成するための静電潜像や、テストパターン画像を形成するための静電潜像が書き込まれる。
【0045】
制御装置は、所定の定期的なタイミングでずれ量データ更新処理を実施するようになっている。このずれ量データ更新処理では、図5に示される位置ずれ検知用パターン像を、中間転写ベルト(8)の幅方向における一端部、中央部、他端部にそれぞれ形成する。位置ずれ検知用パターン像は、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ第1位置検知用画像I1C,I1K,I1Y,I1Mと、それらに続く位置で副走査方向に所定の間隔で並ぶ第2位置検知用画像I2C,I2K,I2Y,I2Mとを具備している。図中矢印x方向は主走査方向(感光体軸線方向)である。また、図中矢印y方向は副走査方向(感光体表面移動方向)である。第1位置検知用画像I1C,I1K,I1Y,I1Mはそれぞれ主走査方向xに延在して形成されるのに対し、第2位置検知用画像I2C,I2K,I2Y,I2Mはそれぞれ主走査方向xから45[°]傾いて形成される。このような位置ずれ検知用パターン像が、図示しない中間転写ベルト(8)の幅方向(主走査方向と同じ)の一端部、中央部、他端部にそれぞれ形成されるのである。
【0046】
先に示した図4において、中間転写ベルト8の周方向における全域のうち、駆動ローラ12に対する掛け回し位置を通過した後、押圧ローラ11による押圧位置に進入する前の領域のおもて面(ループ外面)には、光学センサーユニット150が所定の間隙を介して対向している。この光学センサーユニット150は、中間転写ベルト8の幅方向の一端部に対向する第1光学センサーと、中央部に対向する第2光学センサーと、他端部に対向する第3光学センサーとを有している。
【0047】
図6は、第1光学センサー150aを示す拡大構成図である。第1光学センサー150aは、中間転写ベルト8のおもて面に向けて光を発する発光部151aと、ベルトおもて面で反射した反射光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光部152aとを有している。中間転写ベルト8のおもて面のうち、位置検知用画像が形成されていない領域、即ち、トナーが付着していない領域では、比較的多くの反射光が得られる。これに対し、位置検知用画像が形成されている領域、即ち、トナーが付着している領域では、得られる反射光の量が減少する。このように反射光量が減少することに基づいて、位置検知用画像が検知される。なお、第1光学センサー150aは、このようにして位置検知用画像を検知する他に、後述する線速変動パターン内に含まれる複数のテスト画像を検知することもできる。
【0048】
第1光学センサー150aについて説明したが、第2光学センサーや第3光学センサーも、第1光学センサー150aと同様の構成になっている。それぞれの光学センサーの受光部からの信号は、検知信号生成部218に送られる。検知信号生成部218は、受光部から送られてきたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を具備しており、デジタル変換後の値が所定の閾値を下回ったことに基づいて、位置検知用画像やテスト画像を検知する。そして、直ちに検知信号をレジストずれ量演算部212や周期位置ずれ演算記憶部219に出力する。
【0049】
各色の画像の位置ずれとしては、基準色であるKトナー像に対して、Y,M,Cトナー像の姿勢が傾いてしまうことによるスキューずれ、Kトナー像の形成位置に対して、Y,M,Cトナー像の形成位置が全体的に副走査方向にずれてしまう副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差によるずれ、主走査方向のレジストずれ、感光体1Y,M,C,Kに対する光書込位置での「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の位置ずれ(以下、「副走査周期位置ずれ」という)などが挙げられる。副走査方向レジストずれは、トナー像全体の形成位置が正規の位置から副走査方向にずれる現象である。レジストずれが発生しても、トナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係は正規の位置関係のままである。これに対し、副走査周期位置ずれは、感光体の「周期的位置誤差」に起因して、トナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係が正規の位置関係からずれる現象である。たとえレジストずれが発生していなくてトナー像全体が正規の位置に形成されていても、感光体の「周期的位置誤差」があれば、そのトナー像を構成する各画素のトナー像内における相対位置関係は「周期的位置誤差」に起因して正規の位置関係からずれてしまう。なお、位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて、前述した各ずれの量を算出する方法は、例えば、特許第3773884号に詳しく開示されているので、本稿では詳細な説明を省略する。
【0050】
先に示した図5において、Lckは、C第1位置検知用画像I1Cと、K第1位置検知用画像I1Kとの距離であるCK距離を表す符号である。K第1位置検知用画像I1Kと、Y第1位置検知用画像I1Yとの距離を、KY距離Lkyという。また、K第1位置検知用画像I1Kと、M第1位置検知用画像との距離を、KM距離Lkmという。
【0051】
Lkkは、K第1位置検知用画像I1Kと、K第2位置検知用画像I2Kとの距離であるKK距離を表す符号である。また、Lccは、C第1位置検知用画像I1Cと、C第2位置検知用画像I2Cとの距離であるCC距離を表す符号である。Y第1位置検知用画像I1Yと、Y第2位置検知用画像I2Yとの距離をYY距離Lyyという。また、M第1位置検知用画像I1Mと、M第2位置検知用画像I2Mとの距離をMM距離Lmmという。
【0052】
ずれ量演算部212は、検知信号生成部218から各種の位置検知用画像についての検知信号が送られてくるタイミングに基づいて、CK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、CC距離Lcc、KK距離Lkk、YY距離Lyy、MM距離Lmmをそれぞれ算出する。
【0053】
以下、CK距離Lckの設計上の値を第1基準距離L1refという。KY距離Lkyの設計上の値もCK距離Lckと同様に第1基準距離L1refである。また、KM距離Lkmの設計上の値は、第1基準距離L1refの2倍である。
【0054】
なお、以下、各種の距離の符号に「_a」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の一端位置に配設された第1光学センサー150aに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。また、各種の距離の符号に「_b」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の中央位置に配設された第2光学センサーに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。また、各種の距離の符号に「_c」という添字を付した場合には、上述した3つの光学センサーのうち、ベルト幅方向の他端位置に配設された第3光学センサーに検知される画像に関連する数字であることを表すものとする。
【0055】
CのKに対するスキューずれdcについては、
「dc=(Lck_c−Lck_a)/Lac」という数式によって求めることができる。なお、Lacは、ベルト幅方向における第1光学センサーと第3光学センサーとの距離であるセンサー間距離を表している。
また、YのKに対するスキューずれdyについては、
「dy=(Lky_c−Lky_a)/Lac」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対するスキューずれdmについては、
「dm=(Lkm_c−Lkm_a)/Lac」という数式によって求めることができる。
【0056】
CのKに対する副走査方向のレジストずれfcについては、
「fc={(0.25Lck_a+0.5Lck_b+0.25Lck_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。なお、κは距離の単位である[mm]を画素の単位である[dot]に変換する係数で、例えば1200[dpi]の解像度であるならばκは、1200を25.4で除算した値である。
また、YのKに対するレジストずれfyについては、
「fy={(0.25Lky_a+0.5Lky_b+0.25Lky_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対するレジストずれfmについては、
「fm={(0.25Lkm_a+0.5Lkm_b+0.25Lkm_c)−2L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
なお、光学センサーを画像形成領域から外れた領域だけに配設する場合には、第2光学センサーに関連する距離を省く代わりに、第1光学センサーや第3光学センサーに関連する距離の係数を0.25から0.5に変更すればよい。
例えば、CのKに対するレジストずれfcについては、
「fc={(0.5Lck_a+0.5Lck_c)−L1ref}κ」という数式によって求めることができる。
【0057】
CのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれacについては、
「ac={(Lcc_c−Lkk_c)−(Lcc_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
また、YのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれayについては、
「ay={(Lyy_c−Lkk_c)−(Lyy_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対する主走査方向の全体倍率誤差ずれamについては、
「am={(Lmm_c−Lkk_c)−(Lmm_a−Lkk_a)}/Lac」という数式によって求めることができる。
【0058】
CのKに対する主走査方向のレジストずれccについては、
「cc={(Lcc_a−Lkk_a)−Lbd×ac}κ」という数式によって求めることができる。なお、Lbdは、主走査同期信号を検知する検知部と第1光学センサーとの主走査方向における距離を表している。「Lbd×ac」項は主走査方向において走査光が前記検知部から第1光学センサーの位置まで移動する期間での主走査方向の全体倍率誤差によって生じる位置ずれである。
また、YのKに対する主走査方向のレジストずれcyについては、
「cy={(Lyy_a−Lkk_a)−Lbd×ay}κ」という数式によって求めることができる。
また、MのKに対する主走査方向のレジストずれcmについては、
「cm={(Lmm_a−Lkk_a)−Lbd×am}κ」という数式によって求めることができる。
【0059】
本画像形成装置においては、各色の重ね合わせずれを、光学系ミラーの面倒れ補正などの機械的手法によって補正するのではなく、画像情報補正処理によって補正する。画像情報補正処理では、ずれ量記憶部204に記憶されている各種のずれ量のデータに基づいて、それらずれ量を相殺し得るように画像の形状や位置を補正する。位置ずれ検知用パターン像の画像データを取り扱う方法としては、通常の画像データと同様に補正してからパターン形成に用いる方法を採用している。
【0060】
位置ずれ検知用パターン像の画像データを通常の画像データと同様に補正してからパターン形成に用いる方法では、後述する数2の数式に対してa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、e(副走査方向倍率誤差)をそれぞれ代入して逆行列A−1を算出する。eは、「周期的位置誤差」に起因する副走査方向の倍率誤差eであり、この倍率誤差eの乗算により、副走査方向の座標が「周期的位置誤差」を相殺し得る位置に変換される。逆行列A−1に基づく座標変換により、位置ずれ検知用パターンの画像データにおける4つの色分解画像データをそれぞれ補正する。補正後の色分解画像データに基づいて形成される位置ずれ検知用パターン像は、基本的には、各種のずれが補正されているが、経時での温度変化などがあると、新たなずれを発生させている。かかる位置ずれ検知用パターン像における各種の位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて検出されるa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)は、それぞれずれ量記憶部204に記憶されている値に基づいて画像データを補正してもなお、新たに発生してしまったものである。つまり、ずれ変動量である。よって、新たに検出したa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)を、それぞれずれ量記憶部204に記憶している値に加算することによって、a’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)の更新を行う。
【0061】
以下、画像データ補正部203に入力される色分解画像データの各画素の座標系を(x,y)と表す。また、画像データ補正部203によって補正された色分解画像データの各画素の座標系を(x’,y’)と表す。また、中間転写ベルト8上に転写された画像の各画素の座標系を(x",y")と表す。
【0062】
C,Y,MのKに対する各種のずれ量の各成分に基づいて、書込制御部208よりも処理フローの下流側で生じるずれは、それぞれ次の座標変換式によって表される。
【数1】
【0063】
この数式における行列Aは、次の数式によって求めることができる。
【数2】
【0064】
なお、全体倍率誤差ずれac,ay,amは、主走査方向の全体倍率誤差に起因するものであり、主走査方向の全体倍率a'c,a'y,a'mは、1+ac,1+ay,1+amとなる。画像データ補正部203は、各色毎に各種のずれ量を参照しながら、数1の数式における行列A(以下、色ずれ変換行列ともいう)の逆行列A−1(以下、色ずれ補正行列ともいう)を求めて、次のような座標変換を行う。
【数3】
【数4】
【数5】
【0065】
図7は、ずれ量データ更新処理における処理フローを示すフローチャートである。この処理フローが実施される前提として、ずれ量記憶部204には、a’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、及びe(副走査方向倍率誤差)が記憶されている。制御装置は、まず、連続プリントジョブ中の所定枚数出力毎など、ずれ量データ更新処理の実施トリガーとなる定期タイミングについて到来したか否かを判定する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。そして、定期タイミングが到来した場合にのみ(S1でY)、S2以降のフローを実施する。
【0066】
定期タイミングが到来すると、まず、位置ずれ検知用パターン像を形成する(S2)。このとき、各種の位置検知用画像については、ずれ量記憶部204内に記憶されているa’(主走査方向倍率誤差)、c(主走査方向レジストずれ)、d(スキューずれ)、f(副走査方向レジストずれ)、e(副走査方向倍率誤差)に基づいて画像データ補正部203によって補正したY,M,C,K色分解画像データを用いて形成する。位置ずれ検知用パターン像を形成すると、パターン内の各種の位置検知用画像を光学センサーによって検知したタイミングをサンプリングした後(S3)、サンプリング結果に基づいて、各種のずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)を算出する(S4)。基本的には、ずれ量記憶部204内に記憶されている各種のずれ量のデータをそれぞれずれ変動量の加算によって更新すればよいが、1つの位置ずれ検知用パターン像に基づいて算出したずれ量には、光学センサーの読み取り誤差(ノイズ)などが含まれることがあるので、単純に加算するだけだと不適切な値にしてしまうおそれがある。
【0067】
そこで、ずれ量を更新する際には(S5、S6)、ノイズを制限するために、例えば、全体倍率誤差ずれac,ay,amであれば、次のような数式によって補正を行う。
「a(n)=a(n−1)+Kp×△a(n)」
【0068】
この数式において、a(n)は、更新後の全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)である。また、a(n−1)は、ずれ量記憶部204内に記憶されているのデータである。また、△a(n)は、位置ずれ検知用パターン像を光学センサーによって検知した結果に基づいて検出された新たな全体倍率誤差ずれ(ずれ変動量)である。このように、ずれ変動量(△a(n))に所定の係数Kpを乗じた値の加算により、ノイズを制限することができる。
【0069】
前述した数式に代えて、次の数式のように、いわゆる比例積分型(PI)制御によって全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)を更新してもよい。
「a(n)=a(n−1)+Kp×Δa(n)+Ki×ΣΔa(n)」
【0070】
この数式において、ΣΔa(n)は1〜nまでのずれ変動量Δa(n)の積算値である。また、Kpは比例ゲイン係数である。また、Kiは積分ゲイン係数である。比例ゲイン係数Kpと積分ゲイン係数Kiとによって制御帯域が決まり、その制御帯域よりも高周波成分のノイズが制限される。こうすることで、複数組の位置ずれ検知用パターン像を形成し、これらの平均値を求める必要がなくなり、1組の短い位置ずれ検知用パターン像でも精度良くずれ量を求めることができる。また、前述の制御帯域以下の変動に対して追従させたずれ量が求めることができる。さらには、ずれ変動量Δa(n)の積算値も反映しているので、定常誤差を低減することもできる。ずれ量データ更新処理では、温度変化などによる緩やかな変動に対して追従させるようにずれ量を求めればよいので、例えばサンプリング周期を数秒オーダーとすれば、制御帯域はサンプリング周期の数十分の1〜数百分の1でよく、このようになるように比例ゲイン係数Kpや積分ゲイン係数Kiを決めればよい。
【0071】
なお、全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)と、スキューずれ(dc,dy,dm)と、副走査方向レジストずれ(fc,fy,fm)と、主走査方向のレジストずれ(cc,cy,cm)とで要求される制御帯域が異なるのであれば(例えば温度変化に敏感な種類のずれがあれば)、それぞれのずれで比例ゲイン係数Kpや積分ゲイン係数Kiを異ならせてもよい。
【0072】
全体倍率誤差ずれ(ac,ay,am)について説明したが、スキューずれ(dc,dy,dm)、副走査方向レジストずれ(fc,fy,fm)、主走査方向のレジストずれ(cc,cy,cm)についても、同様にして、ずれ量記憶部204内のデータを更新する。
【0073】
図8は、ずれ量データ更新処理における処理フローの他の例を示すフローチャートである。同図においては、図7の処理フローと同じ工程については図7と同じステップ番号を付している。図示のように、S4とS5との間に、S7を実施する点だけが、図7の処理フローと異なっている。S7では、S4で算出されたずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)について、正常であるか否か(所定範囲内に収まっているか否か)を判定し、正常であれば(S7でY)、S5に進んでずれ量を算出する。これに対し、正常でなければ(S7でN)、制御フローをS1にループさせる。これにより、正常でない場合には、ずれ量の更新が行われない。
【0074】
このようなS7の工程を追加したのは、次に説明する理由からである。即ち、中間転写ベルト8に傷などがあると、その傷が光学センサーの直下を通過したときのセンサー出力値が異常になる。位置ずれ検出用パターン像を形成したベルト箇所に傷があった場合、その影響によって大きな検知誤差を引き起こすことがある。このような場合には、S7において正常でないと判定されるため、大きな検知誤差のある状態でずれ量を更新してしまうという事態の発生を回避することができる。
【0075】
実施形態に係る画像形成装置においては、ずれ量データ更新処理の定期実施タイミングを、比較的短い時間間隔に設定している。かかる構成では、S4で算出されるずれ変動量がそれほど大きな値にならないので(短時間のうちにずれ量は大きく変化しないので)、ずれ変動量について正常か否かを判定するための閾値を比較的小さな値(例えば数十μm)に設定しておくことで、前述のような事態の発生を確実に回避することが可能である。
【0076】
なお、複数のずれ変動量(dc,dy,dm,fc,fy,fm,ac,ay,am,cc,cy,cm)のうち、ある1つのずれ変動量において正常でないと判定される場合、別のずれ変動量も大きな誤差を含んでいる可能性がある。よって、各種のずれ変動量についてそれぞれ、ずれ変動量の算出と、算出結果について正常であるか否かの判定とをセットで実施していき、1つでも1つでも正常でないと判定される場合には、直ちに制御フローをS1にループさせるようにしてもよい。この場合、無駄なずれ量の算出や判定処理の実施を回避することができる。
【0077】
次に、本画像形成装置の特徴的な構成について説明する。
中間転写ベルト8上で発生する各種のずれとしては、これまで説明してきたものの他に、感光体1回転あたりの線速変動による「周期的位置誤差」に起因するものも発生する。以下、「周期的位置誤差」について説明する。
【0078】
図9は、4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図である。同図において、感光体ギヤ302Y,M,C,Kは、図示しないY,M,C,K用の感光体に回転駆動力を伝達するためのものであり、それぞれ感光体よりも大きな径になっている。図示しないY,M,C,K用の作像ユニットは、感光体ギヤ302Y,M,C,Kよりも図紙面に直交する方向の手前側に配設されており、Y,M,C,K用の感光体を回転可能に保持している。Y,M,C,K用の作像ユニットのケーシングからはそれぞれ、感光体の回転軸の端部を突出させており、その端部はカップリングになっている。Y用の感光体のカップリングは、Y用の感光体ギヤ302Yの中心に設けられたカップリング301Yと係合している。これにより、Y用の感光体ギヤ302Yの回転駆動力がY用の感光体に伝えられる。同様にして、M,C,Kの感光体のカップリングは、M,C,K用の感光体ギヤ302M,C,Kの中心に設けられたカップリング301M,C,Kと係合している。Y,M,C,K用の作像ユニットは、図中奧側から手前側に引き出されることで画像形成装置本体から取り外される。この際、Y,M,C,K用のカップリングが、カップリング301Y,M,C,Kから引き離される。
【0079】
M用の感光体ギヤ302MとC用の感光体ギヤ302Cとの間には、感光体モータのモータ軸に固定された原動ギヤ305が位置しており、M用の感光体ギヤ302MとC用の感光体ギヤ302Cとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、感光体モータの回転駆動力がM,C用の感光体ギヤ302M,Cにそれぞれ伝達される。
【0080】
Y用の感光体ギヤ302YとM用の感光体ギヤ302Mとの間には、第1中継ギヤ306が位置しており、Y用の感光体ギヤ302YとM用の感光体ギヤ302Mとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、M用の感光体ギヤ302Mの回転駆動力が、Y用の感光体ギヤ302Yに伝達される。また、C用の感光体ギヤ302CとK用の感光体ギヤ302Kとの間には、第2中継ギヤ307が位置しており、C用の感光体ギヤ302CとK用の感光体ギヤ302Kとにそれぞれ噛み合っている。この噛み合いにより、C用の感光体ギヤ302Cの回転駆動力がK用の感光体ギヤ302Kに伝達される。このようにして、1つの感光体モータにより、4つの感光体がそれぞれ回転駆動される。
【0081】
図10は、K用の感光体ギヤ302Kを示す斜視図である。同図は、感光体ギヤ302Kを図9とは反対側のアングルから示している。K用の感光体ギヤ302Kにおける回転方向の全域のうち、所定の位置には、被検部材303Kが設けられている。また、K用の感光体ギヤ302Kの近傍には、回転姿勢検知センサー309Kが配設されている(図4参照)。この回転姿勢検知センサー309Kは、図11に示されるように、発光部310Kから発した光を、発光部310Kに対して所定の間隙を介して対向している透過型の受光部311Kによって受光する。受光部311Kは、受光量に応じた信号を出力する。図10に示される感光体ギヤ302Kが所定の回転角度姿勢になると、感光体ギヤ302Kの被検部材303Kが回転姿勢検知センサー309Kの前述の間隙に進入する。すると、発光部310Kからの光が被検部材303Kによって遮られて受光部311Kに受光されなくなる。そして、受光部311Kからの出力信号がLowレベルになる。図4に示されるテストパターン書出指示部217や周期位置ずれ演算記憶部219は、このように受光部311Kからの出力信号がHighレベルからLowレベルに変化したタイミングを、感光体1Kが所定の回転角度姿勢になった基準姿勢タイミングとして検出する。
【0082】
なお、回転姿勢検知手段として、透過型フォトセンサーによって被検部材303Y,M,C,Kを検知することによって基準姿勢タイミングを検知するものを設けた例について説明したが、他の方式のものを設けてもよい。例えば、ロータリーエンコーダーを設けてもよい。
【0083】
図9において、Y,M,C,K用の感光体ギヤ302Y,M,C,Kは、中継ギヤ(306,307)や原動ギヤ305を介して互いに連結された状態になっているので、常に互いに同期しながら同じ角度だけ回転する。このため、互いの回転位相の関係は常に一定である。よって、図10に示される回転姿勢検知センサー309Kによって基準姿勢タイミングが検知された場合、Y,M,Cの感光体ギヤ302Y,M,Cはそれぞれ1回転内における特定の回転角度姿勢になっている。
【0084】
図12は、K用の感光体1Kにおける光書込位置Pwを説明するための拡大構成図である。K用の感光体1Kの表面は、所定の回転角度位置に移動したときに、レーザー光Lによって潜像が光書込される。この所定の回転角度位置が像書込位置としての光書込位置Pwである。感光体1Kに回転駆動力を伝達する感光体ギヤ302Kは、感光体1Kと同一軸線上に位置しながら、図示しないカップリングによって感光体1Kと連結されている。この感光体ギヤ302Kには、製造精度の限界からどうしてもわずかな偏心が生じてしまうが、感光体ギヤ302Kの径が感光体1Kよりも大きいことから、その偏心は感光体1Kの挙動に大きな影響を与えてしまう。具体的には、光書込位置Pwにおいて、感光体1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性の線速変動を発生させる。これにより、光書込位置Pwにおいて、感光体1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性の「周期的位置誤差」が生じる。
【0085】
図13は、基準姿勢タイミングと、各色の感光体1Y,M,C,Kの光書込位置Pwにおける位置ずれ変動曲線とを示すグラフである。K用の感光体(1K)がK用の感光体ギヤ(302K)とともに所定の回転角度姿勢になると、図示のように、回転姿勢検知センサー(309K)からの出力信号がLowレベルになって基準姿勢タイミングが検出される。Y,M,C,K用の感光体(1Y,M,C,K)はそれぞれ、光書込位置Pwにおいて図示のようなサインカーブ状の特性の位置ずれ量変動を引き起こす。それぞれの位置ずれ変動曲線は感光体(1Y,M,C,K)1回転あたりに1周期分のサインカーブを描く特性になっているが、その位相はY,M,C,Kでバラバラである。
【0086】
基準姿勢タイミングにおいて、K用の感光体(1K)は光書込位置Pwにて−αkという値の位置ずれ量を引き起こしている。なお、以下、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、スキューずれ、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれなどの各種のずれ量と、同図に示される、ギヤ偏心に起因する位置ずれとを明確に区別するために、後者の位置ずれを特に周期位置ずれという。また、その量を周期位置ずれ量という。
【0087】
同図においては、光書込位置Pwに進入する感光体表面箇所が設計上の箇所よりも感光体表面移動方向にずれている場合に、周期位置ずれ量の値に+の符号を付している。これに対し、光書込位置Pwに進入する感光体表面箇所が設計上の箇所よりも感光体表面移動方向とは反対方向にずれている場合に、周期位置ずれ量の値に−の符号を付している。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではK用の感光体(1K)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αkで一定であることがわかる。
【0088】
一方、基準姿勢タイミングにおいて、M用の感光体(1M)は光書込位置Pwにて+αmという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではM用の感光体(1M)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αmで一定であることがわかる。
【0089】
また、基準姿勢タイミングにおいて、Y用の感光体(1Y)は光書込位置Pwにて+αyという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではY用の感光体(1Y)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αyで一定であることがわかる。
【0090】
また、基準姿勢タイミングにおいて、C用の感光体(1C)は光書込位置Pwにて−αcという値の周期位置ずれを引き起こしている。どのような周回においても、基準姿勢タイミングではC用の感光体(1C)の光書込位置Pwにおける周期位置ずれ量が−αcで一定であることがわかる。
【0091】
基準姿勢タイミングにおいて、Y,M,C,Kの周期位置ずれ量がそれぞれ周回にかかわらず一定になることについて説明したが、基準タイミングに限らず、どのようなタイミングでも、そのタイミングにおけるY,M,C,Kの周期位置ずれ量は周回にかかわらず一定の値になる。
【0092】
先に示した図1において、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kは、感光体周長と同じピッチで並べられている。これにより、Y用の1次転写ニップの中心(ベルト移動方向の中心)とM用の1次転写ニップの中心との距離は、ちょうど感光体周長と同じ距離になっている。また、M用の1次転写ニップの中心とC用の1次転写ニップの中心との距離や、C用の1次転写ニップの中心とK用の1次転写ニップの中心との距離も、ちょうど感光体周長と同じ距離になっている。かかる構成において、互いに全く同じ大きさのY,M,C,Kトナー像を位置ずれなく重ね合わせる場合、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対する光書込開始タイミングを、ちょうど感光体1回転周期分ずつずらせばよい。まず、Y用の感光体1Yに対して所定のタイミングで光書込を開始し、その後、感光体1回転周期が経過した時点でM用の感光体1Mに対して光書込を開始する。また、その後、感光体1回転周期が経過した時点でC用の感光体1Cに対して光書込を開始する。更に、その後、感光体1回転周期が経過した時点でK用の感光体1Kに対して光書込を開始するのである。
【0093】
周期位置ずれ演算記憶部218は、図13に示されるY,M,C,K用の周期位置ずれ変動曲線のデータとして、それぞれ少なくとも感光体1周分のデータを記憶している。それぞれの周期位置ずれ変動曲線は、基準姿勢タイミングを基準にして描かれるものである。
【0094】
なお、この画像形成装置では、Y,M,C,Kという順で感光体に対する光書込が開始される。また、この画像形成装置では、上述したように、互いに隣り合う感光体間の距離を感光体の周長と同じ値に設定している。このため、M用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体1周期分だけ遅れて開始される。また、C用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体2周期分だけ遅れて開始される。また、K用の感光体のページ先端対応領域に対する光書込は、Y用の感光体のページ先端対応領域に対応する光書込よりも感光体3周期分だけ遅れて開始される。
【0095】
図14は、サンプリング開始時点における各種の基準距離を説明するための模式図である。制御装置は、位置ずれ検知用パターン像の形成のためにY用の感光体1Yに対する光書込を開始した後、所定の時間が経過した時点で、パターン内における各種の位置検知用画像の検知タイミングについてサンプリングを開始する。このサンプリング開始時点では、図示のように、位置ずれ検知用パターン像は光学センサー(図示の例では第1光学センサー150a)よりもベルト移動方向上流側に存在している。
【0096】
同図において、C第1基準距離Lsc1は、光学センサーと、C第1位置検知用画像I1Cとの距離であり、C第1位置検知用画像I1CにはC用の感光体1Cの偏心等に起因する周期位置ずれが発生していない。位置ずれ検知用パターン像は、副走査方向倍率誤差eに基づく画像情報の補正により、各色のトナー像の周期位置ずれを解消した状態で形成されるからである。よって、同図に示される位置ずれ検知用パターン像に含まれる全ての位置検知用画像は、感光体の偏心等に起因する周期位置ずれを発生させていない。なお、K第1基準距離Lsk1、Y第1基準距離Lsy1、M第1基準距離Lsm1は、光学センサーと、K第1位置検知用画像I1K、Y第1位置検知用画像I1Y、M第1位置検知用画像I1Mとの距離である。CK第1基準距離Lsc1、K第1基準距離Lsk1、Y第1基準距離Lsy1、M第1基準距離Lsm1は、何れも理論値であり、C第1位置検知用画像IC、K第1位置検知用画像I1K、Y第1位置検知用画像I1Y、M第1位置検知用画像I1Mが、周期位置ずれだけでなく、全ての位置ずれを全く引き起こしていない場合の距離である。以下、これらに対し、実測した距離を、C第1実測値Lsc1’、K第1実測値Lsk1’、Y第1実測値Lsy1’、M第1実測値Lsm1’という。
【0097】
また、C第2基準距離Lsc2は、光学センサーと、C第2位置検知用画像I2Cとの距離であり、これも理論値である。また、K第2基準距離Lsk2、Y第2基準距離Lsy2、M第2基準距離Lsm2は、同様に、光学センサーと、K第2位置検知用画像I2K、Y第2位置検知用画像I2Y、M第2位置検知用画像I2Mとの距離であり、これらも理論値である。以下、これらの理論値に対し、実測した距離を、C第2実測値Lsc2’、K第2実測値Lsk2’、Y第2実測値Lsy2’、M第2実測値Lsm2’という。
【0098】
制御装置は、C第1基準距離Lsc1とC第1実測値Lsc1’との差、K第1基準距離Lsk1とK第1実測値Lsk1’との差、Y第1基準距離Lsy1とY第1実測値Lsy1’との差、M第1基準距離Lsm1とM第1実測値Lsm1’との差、C第2基準距離Lsc2とC第2実測値Lsc2’との差、K第2基準距離Lsk2とK第2実測値Lsk2’との差、Y第2基準距離Lsy2とY第2実測値Lsy2’との差、及びM第2基準距離Lsm2とM第2実測値Lsm2’との差に基づいて、次に列記する各種の距離を求める。即ち、上述したCK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、KK距離Lkk、CC距離Lcc、YY距離Lyy、及びMM距離Lmmである。
【0099】
算出したCK距離Lck、KY距離Lky、KM距離Lkm、CC距離Lcc、KK距離Lkk、YY距離Lyy、MM距離Lmmに基づいて各種のずれ量を求める方法については、既に述べた通りである。
【0100】
位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知した結果に基づいてユニット間におけるトナー像の相対位置ずれを示すずれ量データ(スキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、主走査方向のレジストずれ)に基づいて、画像データ補正部203が色分解画像データを補正することは既に述べた通りである。実施形態に係る画像形成装置においては、画像データ補正部203が、スキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、及び主走査方向のレジストずれだけでなく、周期変動特性データとしての各色の周期位置ずれ変動曲線(図13)を反映した副走査方向倍率誤差eにも基づいて、色分解画像データを補正する点が、従来と大きく異なっている。
【0101】
4つの感光体1Y,M,C,Kは、互いにギヤによって連結されている状態であるので、サインカーブ状の周期位置ずれ変動曲線を互いに所定の位相差の関係にした状態で回転している。例えば、Y用の感光体1Yにおける周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点に対して、+10°の位相差をもってM用の感光体1Mにおける周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点が発生する場合、+10°という位相差は、常に一定である。C用の感光体1Cや、K用の感光体1Kも同様に、常に一定の位相差をもって回転する。このため、複数のページにそれぞれ出力する画像について、そのページにおけるY用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で、そのページについて、全ての感光体の表面上において、潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標での「周期的位置誤差」との関係が確定する。
【0102】
より詳しくは、Y用の感光体1Yの表面上においては、例えば1ページ目の画像を形成するためのY用の感光体1Yに対する光書込を開始した時点で、1ページ目の潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。また、M用の感光体1Mに対する光書込開始は、Y用の感光体1Yに対する光書込開始から感光体1回転周期が経過した時点であり、その時点におけるM用の感光体1Mの回転角度姿勢は、Y用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で確定している。このため、M用の感光体1Mにおいても、1ページ目の画像を形成するためのY用の感光体1Yに対する光書込開始タイミングを決定した時点で、1ページ目の潜像の各画素における副走査方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定している。C用の感光体1CやK用の感光体1Kも同様である。2ページ目以降も同様である。
【0103】
そこで、本画像形成装置は、画像情報補正処理において、まず、感光体に対する光書込開始タイミングを決定する。そして、決定した光書込開始タイミングに基づいて、Y,M,C,Kの色分解画像データを、それぞれ、ずれ量記憶部204に記憶されているスキューずれ、副走査方向レジストずれ、主走査方向の全体倍率誤差ずれ、主走査方向のレジストずれ、及び周期位置ずれ変動曲線に基づいて、それらのずれを相殺し得るものに補正する。
【0104】
この補正においては、まず、画像の光書込開始可能タイミングを、遅延時間tzに基づいて特定する。光書込開始可能タイミングは、補正後の色分解画像データに基づく光書込処理の開始が可能になるタイミングである。
【0105】
より詳しくは、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kについてそれぞれ、画像パス切替部202から送られてくる主走査方向画素ラインデータを、所定のN行分だけ内部バッファに蓄積する。色分解画像データを2次元座標変換に基づいて補正するためには、ある程度の行数分の主走査方向画素ラインデータを蓄積して、画像を2次元的に捉える必要があるからである。1行目の主走査方向画素ラインデータを受信してから、N行目の主走査方向画素ラインデータを受信するまでの間は、補正処理を実施することはできないので、データの蓄積に専念する。N行目の主走査方向画素ラインデータを受信した時点で、1行目〜N行目までの主走査方向画素ラインデータに基づいて、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正し、補正後の主走査方向画素ラインデータを書込制御部205に出力する。
【0106】
Y,M,C,Kについてそれぞれ、画像データ補正部203が1行目の主走査方向画素ラインデータを受信してから、補正後の1行目の主走査方向画素ラインデータを書込制御部205に送信し、書込制御部205がその主走査方向画素ラインデータに基づいてY用の感光体に対する光書込処理を開始するまでに要する時間が遅延時間tzである。
【0107】
なお、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kについてそれぞれ、1行分の主走査方向画素ラインデータを補正すると、注目画素ラインデータ群を1行ずつシフトさせた後、シフト後の注目画素ラインデータ群に基づいて次の行の主走査方向画素ラインデータを補正する。例えば、1行目については、上述したように、1行目〜N行目の主走査方向画素ラインデータの群を注目画素ラインデータ群とし、その注目画素ラインデータ群によって示される2次元画像データに基づいて、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。補正後の主走査方向画素ラインデータを出力すると、注目画素ラインデータ群を1行ずつシフトさせる。即ち、2行目から、新たに受信したN+1行目までの主走査方向画素ラインデータの群を注目画素ラインデータ群とする。そして、その注目画素ラインデータ群に基づいて、2行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。
【0108】
画像データ補正部203は、Yの色分解画像データの1行目ついて、上述のようにして光書込可能タイミングを特定すると、特定結果と、Yにおける直前の基準姿勢タイミングからの経過時間(=現時点でのY感光体の回転角度姿勢)と、Yの周期位置ずれ変動曲線とに基づいて、Y,M,C,Kのそれぞれについて、感光体に対する光書込開始タイミングにおける感光体の回転角度姿勢を特定する。次いで、Y,M,C,K用の感光体についてそれぞれ、特定した回転角度姿勢で1行目の主走査方向画素ラインの光書込を開始することを前提にする。つまり、光書込開始時の回転角度姿勢としての書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施するのである。
【0109】
画像データ補正部302は、Y用の感光体1Yが書込時回転姿勢になったときのYの周期位置ずれ量(副走査倍率誤差e)をYの周期位置ずれ変動曲線から特定する。そして、特定結果に基づいて、Yの1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。M,C,Kも同様にして、1行目の主走査方向画素ラインデータを補正する。2行目以降の主走査方向画素ラインデータの補正にあたっては、先行する行の光書込開始から後続の行の光書込開始までに要する時間内における感光体の回転角変化量と、周期位置ずれ変動曲線とに基づいて、周期位置ずれ量を特定し、特定結果に基づいて主走査方向画素ラインデータを補正する。ずれ量に基づいて座標系を変換する方法は、既に述べた通りである。
【0110】
なお、2頁目以降も、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kの書込時回転姿勢を、1行目の主走査方向画素ラインデータを受信したタイミングと、遅延時間tzと、直前の基準姿勢タイミングとに基づいて、特定する。また、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kのぞれぞれにおける副走査方向倍率誤差eについては、工場出荷時の画像形成装置を用いて予め測定してずれ量記憶部204に記憶させている。
【0111】
以上のように、本画像形成装置においては、データ記憶手段たるずれ量記憶部204に記憶しているずれ量データ(例えばレジストずれデータ)に基づいて、画像データ補正部203がY,M,C,Kの色分解画像データを補正する画像情報補正処理を実施する。これにより、感光体に対する光書込位置を補正するための特別な機械構成を設けることなく、各色トナー像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0112】
また、画像データ補正部203が、画像情報補正処理にて、Y,M,C,Kの色分解画像データをレジストずれやスキューずれなどのずれ量データに基づいて補正することに加えて、周期位置ずれにも基づいて補正する。これにより、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kに対して、「周期的位置誤差」に起因する重ね合わせずれを低減し得るトナー像をそれぞれ形成する。よって、感光体1Y,M,C,Kに対する光書込位置を補正するための特別な機械構成を設けることなく、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kでそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因するトナー像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0113】
なお、本画像形成装置のように、1つの駆動モータよってY,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kを全て駆動するものでは、全ての感光体が常に同期して回転するので、全ての感光体の回転位相差が常に一定に保たれる。このため、回転姿勢決定処理において、遅延時間tz等に基づいて感光体の書込時回転姿勢を決定する必要は必ずしもない。遅延時間tzに基づいて書込時回転姿勢を決定する代わりに、予め定められた所定の回転角度姿勢を書込時回転姿勢として決定してもよい。この場合、基準姿勢タイミングに基づいて、各色の感光体についてそれぞれ予め定められた書込時回転姿勢になったことを検知した時点で、光書込を開始すればよい。
【0114】
図45は、実施形態に係る画像形成装置の印刷ジョブ制御部213によって実施される制御の処理フローを示すフローチャートである。印刷ジョブ制御部213は、まず、位置ずれ検知用パターン像の形成要求についてその有無を判定する(S11)。この形成要求は、印刷ジョブ制御部213よりも上流側で画像データを受け取る図示しないパターン形成要求判断部によって行われる。パターン形成要求判断部は、例えば、印刷ジョブ制御部213から各ページ毎に送られてくる画像データ転送要求信号の受信回数が所定回数に達する毎に、パターン形成要求信号を生成する。パターン形成要求判断部からのパターン形成要求信号を受信した印刷ジョブ制御部は(S11でY)、印刷ジョブ開始指示信号と、テストパターン出力指示信号とをパターン画像データ生成部201に発信する。これにより、パターン画像データ生成部201から画像パス切替部202に位置ずれ検知用パターン像の画像データが送信されて、ずれ量データ更新処理が開始される。そして、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像が形成される。
【0115】
なお、画像データ補正部203は、「方法1」を採用している場合には、1行目の主走査方向画素ラインデータを受信した時点で、各感光体の書込時回転姿勢を決定し、その結果に基づいて周期位置ずれ量を把握しながら位置ずれ検知用パターン像のY,M,C,Kの色分解画像データを補正する。この際、通常の画像と同様に、主走査方向のレジストずれ、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差ずれ、副走査方向の倍率誤差ずれ、スキューずれ(「方法1」においては更に周期位置ずれ)を相殺し得るように、各画素の座標変換を行う。
【0116】
ずれ量データ更新処理実施のために、印刷ジョブ開始指示信号と、テストパターン出力指示信号とをパターン画像データ生成部201に発信した印刷ジョブ制御部は、その後、位置ずれ検知用パターン像の形成に要する時間(図17におけるTtp)だけ待機し、その間、通常の画像を形成するための印刷ジョブが行われないようにする(S13)。待機が終わると、制御フローを上記S11にループさせる。
【0117】
位置ずれ検知用パターン像の形成要求がない場合には(S11でN)、通常の画像を形成するためのプリントジョブに関する印刷要求の有無を判定する(S14)。そして、印刷要求がない場合には(S14でN)、制御フローを上記S11にループさせる。これに対し、印刷要求がある場合には(S14でY)、印刷ジョブ開始指示信号の発信と、画像データ転送要求信号の発信とを行う(S15)。これにより、画像パス切替部202に対して、次のページの画像情報が送られる。
【0118】
印刷ジョブ制御部213は、通常の画像を形成するための印刷ジョブ開始指示信号及び画像データ転送要求信号を発信したら、その画像の形成に要する時間(図11におけるTprint:印刷する記録シートのサイズにより異なる)だけ待機して、その間、位置ずれ検知用パターン像の形成のための印刷ジョブや、他のページの画像を形成するための印刷ジョブが行われないようにする(S16)。待機が終わると、制御フローを上記S11にループさせる。
【0119】
記録シートPの両面に画像を形成する両面プリントモードを実施する場合、画像データ補正部203は、第1面用の画像と、第2面用の画像とで、画像処理の方法を異ならせるようになっている。具体的には、両面プリントの場合には、記録シートPの第1面に形成された画像が定着装置20に2度通されるのに対し、第2面に形成された画像が定着装置20に1度しか通されない。記録シートPは、第1面に対する画像の定着のために初めに定着装置20に通される際に、水分を蒸発させて少しだけ収縮する。第2面に対する画像は、このように収縮した状態の記録シートPに転写される。すると、第1面と第2面とで、僅かではあるものの画像の倍率が異なってしまう。
【0120】
そこで、ずれ量記憶部204には、第2面の画像を記録シートPの収縮率に合わせて収縮させるための収縮率データを記憶させている。この収縮率データについては、ユーザーの入力操作によって任意に設定することが可能である。画像データ補正部203は、第2面に形成する画像のY,M,C,Kの色分解画像データについては、その収縮率データに基づいて、副走査方向の倍率を補正する。具体的には、ずれ量記憶部204に記憶されている収縮率データに基づいて、副走査方向の倍率eを求める。収縮率データによって示される収縮率がλであるとすると、第2面の画像における副走査方向の倍率eを、
「e=(1+ej)×λ−1」という式によって求める。そして、その結果を、上記数2の式における全体倍率誤差ずれの値に乗ずる。これにより、第2面の画像を記録シートの収縮率に応じた大きさに縮小する。
【0121】
ずれ量算出部212、ずれ量記憶部204、検知信号生成部218、周期位置ずれ演算記憶部219、補正値記憶部220、テストパターン書出指示部217、印刷ジョブ制御部213を、ハードウエア構成としてではなく、ソフトウエアで実現してもよい。図15は、ソフトウエアで実現する場合のソフトを実行するソフト実行部の回路構成を示すブロック図である。作像ユニットなどの動作タイミングの制御を行うエンジンコントローラの回路構成を利用してもよい。
【0122】
同図において、A/D変換器240は、各種のセンサーからの信号をアナログ信号からデジタル信号に変換した後、I/Oポート244に出力する。I/Oポート244に直接出力するのではなく、フィルタ処理などの信号処理を行う図示しない信号処理部やバッファメモリなどを介して出力してもよい。
【0123】
I/Oポート244は、A/D変換器240、CPU241、外部機器などと接続され、CPU241との信号のやり取りを行う。印刷要求信号の入力や印刷ジョブ開始指示信号の発行、画像データ補正部203への各種ずれ量の転送などは、このI/Oポート244を介して行われる。
【0124】
CPU241は、I/Oポート244を介して外部と信号の交信をしながら、各種のずれ量の演算や印刷ジョブ開始制御などを実行する。また、メモリバス245を介してRAM242やROM243に対するデータ読み書き処理を実施する。ROM234内には、各種のずれ量を演算するためのプログラムや、各種制御プログラムが格納されている。
【0125】
図16は、実施形態に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図である。同図において、第1シート対応領域Ap1は、中間転写ベルト8の全域のうち、連続プリントジョブにおける1枚目の記録シートに対応する領域(2次転写ニップで記録シートに密着する領域)である。また、第2シート対応領域Ap2は、第3シート対応領域Ap3、第4シート対応領域Ap4は、中間転写ベルト8の全域のうち、連続プリントジョブにおける2、3、4枚目の記録シートに対応する領域である。先行するシート対応領域と、後続のシート対応領域との間には、シート間対応領域が存在している。このシート間対応領域は、ベルト移動方向において、2次転写ニップで記録シートに密着しない領域である。
【0126】
同図においては、中間転写ベルト8上におけるシート対応領域とシート間対応領域とについて説明したが、Y,M,C,K用の感光体(1Y,M,C,K)の表面上においても、同様のシート対応領域やシート間対応領域が存在する。制御装置は、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ipp、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ipp、第3光学センサー150cによって検知される位置ずれ検知用パターン像Ippをそれぞれ、感光体の表面における次のような領域に形成する。即ち、シート間対応領域であって、且つ、主走査方向(傾いていない状態の感光体軸線方向)においてシート対応領域と同じ位置範囲内の領域である。
【0127】
図16においては、第1シート対応領域(ベルト上ではAp1)と第2シート対応領域(ベルト上ではAp2)との間のシート間対応領域(以下、1−2シート間対応領域という)に3つの位置ずれ検知用パターン像Ippを形成した例を示している。同図において、第2シート対応領域(ベルト上ではAp2)と第3シート対応領域(ベルト上ではAp3)との間のシート間対応領域(以下、2−3シート間対応領域という)には、位置ずれ検知用パターン像Ippは形成されていない。位置ずれ検知用パターン像Ippが形成された1−2シート間対応領域と、位置ずれ検知用パターン像Ippが形成されていない2−3シート間対応領域とを比較すると、前者の方が後者に比べて副走査方向の長さが大きくなっている。通常のシート間対応領域の長さでは、位置ずれ検知用パターン像Ippが収まりきれないからである。
【0128】
制御装置は、位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するか否かを、次のようにして決定している。即ち、まず、ずれ量データ更新処理の実施の必要性について判定する。具体的には、連続プリントジョブにおいて、ずれ量データ更新処理を前回実施してからの連続プリント枚数が閾値を超える場合に、ずれ量データ更新処理の実施の必要ありと判定する。この判定は、実際に記録シートに画像を転写するときの枚数ではなく、画像データ補正部203によって画像データを補正するときのタイミングで行われる。つまり、画像データ補正部203は、補正対象となる色分解画像データのページについて、連続プリントが閾値を超えるページであるか否かを判定するのである。そして、閾値を超えるページである場合には、そのページと、それに続くページとの間のシート間対応領域を通常よりも大きくした上で、そのシート間対応領域に3つの位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するための画像データ処理を実施する。図示の例では、3枚プリント毎に、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像Ippを形成している。
【0129】
図17は、実施形態に係る画像形成装置における各種のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。同図における下向きの矢印は、印刷ジョブ開始タイミングを示している。1行目のチャートにおいて、TP1、TP2は、副走査方向において、1つ目の位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミング、2つ目の位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミングを表している。何れも、トリガータイミングである。なお、○で囲まれている数字は、ページ数を表しており、この数字の位置で立ち上がっている信号は、ページ対応領域へのジョブの実施時間を表している。
【0130】
2行目のチャート(Y)は、Y用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdyの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のY第1位置検知用画像I1YがY用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0131】
3行目のチャート(M)は、M用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdmの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のM第1位置検知用画像I1MがM用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0132】
4行目のチャート(C)は、C用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdcの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のC第1位検知用画像I1CがC用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0133】
5行目のチャート(K)は、K用の1次転写ニップにおけるジョブタイミングを示している。印刷ジョブ開始信号が生成されてから、タイムラグTdkの後に、1つ目の位置ずれ検知用パターン像のK第1位置検知用画像I1KがK用の1次転写ニップで中間転写ベルト8に転写され始める。
【0134】
6行目のチャートは、光学センサー(150a,150b,150c)による画像検知のジョブタイミングを示している。ジョブ開始タイミングは、Y用の1次転写ニップの中心から光学センサーの直下までのベルト移動距離に応じたタイミングになる。ジョブタイミング及びその付近以外では、各光学センサーの発光部の発光をオフにしておくと、省電力化を図ることができる。
【0135】
7行目のチャートは、光学センサーによる位置ずれ検出用パターン像の検知が完了するタイミング(検知完了タイミング)を表したものである。印刷ジョブ開始タイミングにからのタイムラグTdsは、タイムラグTdyと、前記ベルト移動距離の移動に要する時間との合計に相当する。検知完了タイミングの後、各種のずれ量の演算に必要な時間τが経過した後、ずれ量記憶部204内における各種のずれ量のデータが演算後の値に更新される。この更新タイミングの後に発生する印刷ジョブ(同図の例では1行目のTp2以降)に対して、更新後のずれ量のデータが参照される。タイムラグTdsにずれ量の演算に必要な時間τを加えたものが、位置ずれ検知用パターン像の印刷ジョブ開始タイミングからずれ量データ更新までの時間となり、迅速なデータ更新の妨げになる時間となる(以下、無駄時間という)。同図において位置ずれ検知用パターン像の形成時間間隔Tsは、1つ目の位置ずれ検知用パターン像を検知してずれ量データ更新処理を終えた後、次のずれ量データ更新処理について必要と判断されたタイミングの後の基準姿勢タイミングまでの時間と同じ長さになっている(以下、その長さをパターン間隔基準時間という)。即ち、同図では、繰り越しが発生していない例を示している。本画像形成装置においては、前述のパターン間隔基準時間を無駄時間より長く設定している。
【0136】
各種のずれ量の経時的変動は温度変化が主因となるので、比較的遅く(緩やかに)変化する。例えば数分のオーダーで変化していく。その変化速度に対して、パターン間隔基準時間を短くすればよいので、例えばパターン間隔基準時間を数秒に設定した場合には、毎分60枚の印刷ができる画像形成装置において数枚プリント毎に位置ずれ検知用パターン像を形成することになる。図示の例では、3枚プリント毎に、中間転写ベルト8におけるシート間対応領域に位置ずれ検知用パターン像Ippを形成している。
【0137】
8行目のチャートは、2次転写ニップにおける2次転写のジョブタイミングを示している。位置ずれ検知用パターン像は、ベルトおもて面に保持されたままの状態で2次転写ニップを通過する。このようにするために、位置ずれ検知用パターン像を2次転写ニップに進入させているタイミングでは、2次転写バイアスの印加が中止される。
【0138】
次に、実施形態に係る画像形成装置に、より特徴的な構成を付加した各実施例に係る画像形成装置について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係る画像形成装置の構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図18は、第1実施例に係る画像形成装置の4つの感光体1Y,M,C,Kをそれぞれ回転駆動させるための駆動系の一部を示す拡大構成図である。第1実施例に係る画像形成装置においては、C用の感光体ギヤ302Cと、K用の感光体ギヤ302Kとで駆動を中継するための中継ギヤが設けられていない。このため、M用の感光体ギヤ302Mと、C用の感光体ギヤ302Cとの間に位置している原動ギヤ305が回転しても、その回転駆動力はK用の感光体ギヤ302Kには伝達されない。K用の感光体ギヤ302Kには、それを専用に駆動するための第2原動ギヤ308が噛み合っており、この第2原動ギヤ308は、原動ギヤ305に接続されたモータとは異なるモータのモータ軸に固定されている。即ち、第1実施例に係る画像形成装置においては、Y,M,Cの3つの感光体1Y,M,Cを1つのモータ(以下、カラー感光体モータという)で駆動する一方で、K用の感光体1Kを別の1つのモータ(以下、K感光体モータという)で駆動する。
【0139】
モノクロ画像を形成するモノクロモードでは、Y,M,C用の作像ユニット6Y,M,Cの駆動が不要である。そこで、制御装置は、モノクロモードの場合には、中間転写ベルト8の張架姿勢を変化させるためのソレノイドを駆動する。この駆動によるベルト張架姿勢の変化で、中間転写ベルト8はY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間する。この状態で、カラー感光体モータとK感光体モータとのうち、K感光体モータだけを駆動して、プリントジョブを行う。なお、モノクロモードの場合には、色ずれを発生させることがないので、プリント枚数にかかわらず、ずれ量データ更新処理や画像情報補正処理は省略される。
【0140】
このようにしてモノクロモードを実行すると、K用の感光体ギヤ302Kによって駆動される感光体1Kと、Y用の感光体ギヤ302Yによって駆動される感光体1Yとの回転位相差を、所定の標準位相差(組付時の回転位相差)からずらしてしまうおそれがある。但し、Y,M,Cの間においては、3つの感光体ギヤの何れか1つ又は2つを他の感光体ギヤから切り離して駆動することがないので、それら3色の間では感光体の回転位相差は、それぞれ組付時の回転位相差のままである。
【0141】
K用の感光体1Kと、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cとでは、それぞれ回転位相差の関係が一定にならないため、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cについては、K用の回転姿勢検知センサー309Kとは別のセンサーにより、回転角度の変化の挙動を監視する必要がある。そこで、第1実施例に係る画像形成装置においては、Y用の感光体1Yについて、所定の回転角度姿勢になったことを検知する回転姿勢検知センサーを設けている。そして、このY用の回転姿勢検知センサーによる検知結果に基づいて、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cの基準姿勢タイミングを検知する。
【0142】
なお、カラーモードで4つの感光体1Y,M,C,Kの回転駆動が開始してそれらの回転速度が安定化した後には、それらの回転駆動の停止処理を開始するまで、感光体1Y,M,C,Kにおける互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差は一定の関係に保たれる。そこで、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kの色分解画像データを補正するにあたり、まず、K用の感光体1Kについての基準姿勢タイミングと、Y,M,C用の感光体1Y,M,Cについての基準姿勢タイミングとのずれを検知した結果に基づいて、位相差を把握する。そして、その位相差に基づいて、感光体1Y,M,C,Kについてそれぞれ、1ライン目の光書込開始時における回転角度姿勢を正確に予測して、各画素の副走査方向の周期位置ずれ量を特定する。
【0143】
[第2実施例]
Y,M,C,Kの何れかにおいて、感光体ギヤ(302Y,M,C,K)が交換された場合、その色の周期位置ずれ変動曲線が交換前のものとは異なってくる。交換前の感光体ギヤとは、偏心量や偏心位置が異なっているからである。にもかかわらず、交換前の感光体ギヤの周期位置ずれ変動曲線を用いて周期位置ずれ量を把握すると、実際の周期位置ずれ量との誤差が生じて、周期位置ずれに起因する色ずれを低減することが困難になってしまう。
【0144】
そこで、本画像形成装置においては、ユーザーの命令に基づいて、Y,M,C,Kの各色についてギヤ交換後の周期位置ずれ量を測定するための周期位置ずれ測定処理を実施するようになっている。
【0145】
図19は、第2実施例に係る画像形成装置の感光体1Y,M,C,Kと転写ユニット15とを、電気回路の一部とともに示す構成図である。本画像形成装置においては、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kにそれぞれ個別に対応させて、Y,M,C,K用の回転姿勢検知センサー309Y,M,C,Kを設けている。
【0146】
制御装置は、感光体ギヤの交換が行われた旨のメッセージをユーザーから受け取ると、周期位置ずれ測定処理を実施する。この周期位置ずれ測定処理では、中間転写ベルト8に、図20に示されるような周期ずれ検知用パターン像IpcをY,M,C,Kの4色についてそれぞれ個別に形成する。同図において、周期ずれ検知用パターン像Ipcは、ベルト移動方向(副走査方向)に沿って所定間隔rで並ぶn個のテスト画像からなる。n個のテスト画像のうち、ベルト移動方向(y方向)の先頭に形成される第1テスト画像It1から、最後のn個目に形成される第nテスト画像Itnまでの距離は、感光体円周以上になっている。即ち、周期ずれ検知用パターン像Ipcの副走査方向の長さは、感光体円周以上である。
【0147】
本画像形成装置においては、図21に示されるように、C周期ずれ検知用パターン像Ipc−Cと、Y周期ずれ検知用パターン像Ipc−Yとが、中間転写ベルト8の幅方向における全域のうち、第1光学センサー150aによる検知が可能な領域に、順に形成される。何れのパターン像も、1個目の第1テスト画像は、対応する色の感光体の基準姿勢タイミング、あるいは基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で、光書込が開始されたものである。つまり、第1テスト画像は、基準姿勢タイミング、又は基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で光書込位置に進入している感光体箇所に形成されたものである。
【0148】
M周期ずれ検知用パターン像Ipc−M、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kは、中間転写ベルト8の幅方向における全域のうち、第2光学センサー150bによる検知が可能な領域に、順に形成される。これらの第1テスト画像も、対応する色の感光体の基準姿勢タイミング、あるいは基準姿勢タイミングから所定時間経過した時点で、光書込が開始されたものである。
【0149】
図22は、サンプリング開始時点における周期ずれ検知用パターン像Ipcの各テスト画像と副走査方向倍率誤差eとの関係を説明するための拡大模式図である。同図において、第1実測距離r’1は、周期ずれ検知用パターン像Ipcの第1テスト画像It1における副走査方向の中心点と第2テスト画像It2における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第2実測距離r’2は、第2テスト画像It2における副走査方向の中心点と第3テスト画像It3における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第3実測距離r’3は、第3テスト画像It3における副走査方向の中心点と第4テスト画像It4における副走査方向の中心点との実測距離である。また、第n実測距離r’nは、第nテスト画像Itnにおける副走査方向の中心点と第n+1テスト画像Itn+1における副走査方向の中心点との実測距離である。それらの距離は、感光体の偏心等に起因する副走査方向倍率誤差がなければ、基準距離rと同じ値として測定される。
【0150】
図22に示される各種の実測距離(r’1、r’2、r’3、r’n)と、基準距離rとの比が、それぞれの実測距離に対応するテスト画像の副走査方向倍率誤差である。周期位置ずれ演算記憶部219は、各種の副走査方向倍率誤差を、次のようにして求める。
「副走査方向倍率誤差e1=第1実測距離r’1/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差e2=第2実測距離r’2/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差e3=第1実測距離r’3/基準距離r」
「副走査方向倍率誤差en=第1実測距離r’n/基準距離r」
このような副走査方向倍率誤差の算出をY,M,C,Kの各色についてそれぞれ実施する。
【0151】
周期位置ずれ演算記憶部219は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、このようにして感光体1周分の副走査方向倍率誤差eを求めて、その結果をずれ量記憶部204に記憶させる。
【0152】
かかる構成においては、ずれ量記憶部204に予め記憶しているY,M,C,Kの副走査方向倍率誤差eが感光体ギヤの交換によって実情にそぐわない値になったとしても、ギヤ交換後の新たな副走査方向倍率誤差eを測定及び記憶することで、ギヤの交換に起因する周期位置ずれ補正能力の悪化を回避することができる。
【0153】
なお、参考までに、感光体1周分の周期位置誤差eの一例を、図23に示す。
【0154】
制御装置は、ユーザーからの命令に基づいて、記録シートの収縮率λの測定を行う収縮率測定処理を実施するようになっている。具体的には、まず、中間転写ベルト8上にK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを形成する。このとき、作像については、画像データ補正部203により、K色分解画像データをKの周期位置ずれ変動曲線に基づいて補正した後、補正時に想定したタイミングでK用の感光体1Kに対する光書込を開始する。よって、形成されるK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの各テスト画像は、周期位置ずれが画像処理によって抑えられたものになっている。
【0155】
次に、制御装置は、形成したK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを、記録シートPの第1面に2次転写する。そして、記録シートPを定着装置20に送った後、2次転写ニップに再送する。この再送と並行して、中間転写ベルト8にK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを形成する。形成方法は、先に形成したK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kと同様である。そして、このK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを記録シートPの第2面に転写した後、記録シートPを定着装置20に送る。
【0156】
第2実施例に係る画像形成装置には、図示しない両面読取スキャナが接続されており、制御装置は、この両面読取スキャナの制御部と交信することが可能になっている。作業者は、両面にそれぞれK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを定着せしめた記録シートPを、両面読取スキャナにセットして、その両面に形成されているK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを読み取らせる。この読取によって得られた画像データは、本画像形成装置の制御装置に送られる。
【0157】
収縮率測定処理では、図24に示されるように、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kとして、感光体周長と全く同じ長さのサブユニットをベルト移動方向に3つ連ねた長さのものが形成される。なお、周期ずれ検知用パターン像の長さは、感光体周長に限られるものではない。
【0158】
両面のうち、第1面だけにK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kが形成された記録シートを定着装置20に送った際には、吸湿していた記録シートから水分が蒸発して、記録シートが収縮する。これに対し、第2面にもK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kが形成された記録シートを定着装置20に再送した際には、1回目の定着処理の際に殆どの水分を蒸発させた記録シートは、殆ど収縮しない。このため、図25に示されるように、記録シートの第2面に形成されたK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの3つのサブユニットは、それぞれその長さ(以下、第2面サブユニット長さIという)が、感光体周長とほぼ同じ大きさになる。これに対し、記録シートの第1面に形成されたK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kの3つのサブユニットは、それぞれその長さ(以下、第1面サブユニット長さI’という)が、感光体周長よりも小さくなる。これは、1回目の定着処理の際に、記録シートが収縮したからである。
【0159】
制御装置は、K周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kにおける1個目、2個目、3個目のサブユニットについてそれぞれ、第1面サブユニット長さI’を第二面サブユニット長さIで除算する(I’/I)。そして、得られた3つの除算結果の平均値を収縮率λとして求めて、ずれ量記憶部204に記憶していた収縮率λのデータを、新たに求めた値に更新する。または、追加する。
【0160】
更新だけではなく、追加という態様も含めたのは、次に説明する理由による。即ち、記録シートの収縮率λは、シート材質(紙種)、シート厚み、定着温度などの条件に応じて異なってくる。このため、シート材質、シート厚み、及び定着温度などの条件において成立する個々の組み合わせについてそれぞれ、収縮率λを記憶しているからである。シート材質やシート厚みなどの条件の情報については、ユーザーの入力操作によって制御装置に提供される。
【0161】
[第3実施例]
第3実施例に係る画像形成装置も、ユーザーの命令に基づいて、Y,M,C,Kの各色についてギヤ交換後の周期位置ずれ量を測定するための周期位置ずれ測定処理を実施するようになっている。但し、周期位置ずれ測定処理において形成する各色の周期ずれ検知用パターン像Ipcの形成数や形成位置が、第2実施例とは異なっている。
【0162】
図26は、第3実施例に係る画像形成装置における周期位置ずれ測定処理の際に形成される各種の周期ずれ検知用パターン像Ipcを中間転写ベルト8とともに示す模式図である。第3実施例に係る画像形成装置においては、周期位置ずれ測定処理で、各色の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcが3つずつ形成される。同じ色の3つの周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、内部のテスト画像が互いにほぼ同じタイミングで形成されるように、ベルト幅方向に並ぶ態様で形成される。より詳しくは、同じ色の第1の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第1光学センサー150aによって検知されるように、ベルト幅方向の一端付近に形成される。また、同じ色の第2の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第2光学センサー150bによって検知されるように、ベルト幅方向の他端付近に形成される。また、同じ色の第3の周期位置ずれ検知用パターン像Ipcは、第3光学センサー150cによって検知されるように、ベルト幅方向の他端付近に形成される。
【0163】
周期位置ずれ演算部219は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、3つの周期位置ずれ検知用パターン像Ipcの各テスト画像の周期位置ずれ量をパターン間で平均する。例えば、Y周期位置ずれ検知用パターン像Ipc−Yであれば、ベルト幅方向の一端付近に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1と、ベルト幅方向の中央部に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1と、ベルト幅方向の他端付近に形成した第1テスト画像It1における周期位置ずれ量△t1との合計を3で除算して平均を求める。同様にして、周期位置ずれ量△t2、△t3・・・△tnについても、ベルト幅方向一端付近での値と、中央部での値と、他端付近での値との平均を求める。このようにして平均を求めることで、ノイズ混入の影響を低減して、周期位置ずれ量を精度良く検出することができる。
【0164】
[第4実施例]
光書込装置7による潜像の光書込を行う構成では、光書込装置7の光学部品の光学特性に起因して、主走査方向(感光体回転軸線方向)の座標系における主走査方向の光書込位置誤差が発生する。以下、この光書込位置誤差の特性を第1光学特性という。また、前記光学特性に起因して、主走査方向の座標系における副走査方向(感光体表面移動方向)の光書込位置誤差も発生する。以下、この光書込位置誤差の特性を第2光学特性という。第1光学特性や第2光学特性はそれぞれ、非線形のグラフによって表されるものである。
【0165】
図27は、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフである。横軸で示される主走査方向の座標系(x)に対して、実際の主走査方向の光書込位置が縦軸(△x)のようにずれる特性である。このグラフで示される特性には、光学部品に起因する第1光学特性の他、主走査方向のレジストずれや、主走査方向の全体倍率誤差ずれなど、線形グラフによって表されるずれ要因も含まれている。
【0166】
このグラフを多項式で近似すると、次式によって表すことができる。
Δx(x)=α0+α1x+α2x2+α3x3+・・・→式(1)
【0167】
この式の0次の係数α0は、主走査方向のレジストずれを表している。また、1次の係数α1は、主走査方向の全体倍率誤差ずれを表している。非線形特性となる2次以降の高次成分の和を関数f(x)で表すと、式(1)については、次式に変形することが可能である。
Δx(x)=α0+α1x+f(x) →式(1’)
【0168】
図28は、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示すグラフである。横軸で示される主走査方向の座標系(x)におけるx座標に対応する理論上のy座標に対して、実際の副走査方向の光書込位置が縦軸(△y)のようにずれる特性である。このグラフで示される特性には、光学部品に起因する第2光学特性の他、副走査方向のレジストずれや、スキューずれなど、線形グラフによって表されるずれ要因も含まれている。
【0169】
このグラフを多項式で近似すると、次式によって表すことができる。
Δy(x)=β0+β1x+β2x2+β3x3+・・・→式(2)
【0170】
この式の0次の係数β0は、副走査方向のレジストずれを表している。また、1次の係数β1は、スキューずれを表している。非線形特性となる2次以降の高次成分の和を関数f(y)で表すと、式(2)については、次式に変形することが可能である。
Δy(x)=β0+β1x+g(x) →式(2’)
【0171】
連続プリントの際に機内温度が変化するなどすると、図27や図28に示した特性が、図示のものから変化する。但し、使用する光学部品の種類によっては、機内温度の変化に対して、レジストずれ、全体倍率誤差ずれ、スキューずれなどのずれ要因の線形特性が大きく変化するものの、非線形の第1光学特性である関数f(x)や、第2光学特性である関数g(x)はそれほど変化しないことがある。本画像形成装置においては、このように、非線形の第1光学特性や第2光学特性を機内温度変化に対して変化させなくすることが可能な光学部品を使用している。即ち、本画像形成装置では、機内温度が変化しても、非線形の第1光学特性や第2光学特性は殆ど変化しない。但し、線形の特性は機内温度の変化に対して敏感に変化するため、上述した4つの式における0次の係数(α0、β0)や1次の係数(α1、β1)が変化する。
【0172】
図27に示される特性は、温度変化があると例えば図29や図30に示されるような特性に変化することがある。図29に示される特性では、0次の係数α0や、1次の係数α1が図27の状態から大きく変化しているが、非線形の第1光学特性である関数f(x)は変化していない。また、図30に示される特性においても、0次の係数α0や、1次の係数α1が図27の状態から大きく変化しているが、関数f(x)は変化していない。
【0173】
また、図28に示される特性は、温度変化があると例えば図31や図32に示されるような特性に変化することがある。図31の特性では、0次の係数β0や、1次の係数β1が図28の状態から大きく変化しているが、非線形の第2光学特性である関数g(x)は変化していない。また、図32の特性においても、0次の係数β0や、1次の係数β1が図28の状態から大きく変化しているが、第2光学特性である関数g(x)は変化していない。
【0174】
ずれ量記憶部204は、主走査方向における光書込領域を複数の区分領域に分けて、それぞれの区分領域における第1光学特性(関数f(x))や第2光学特性(関数g(x))の近似直線データを記憶している。例えば、第1光学特性であれば、図33に示されるように、主走査方向の走査可能領域を第1区分領域(0)〜第8区分領域(8)の8つの区分領域に区分けし、それぞれの区分領域において、関数f(x)の近似直線式を第1光学特性データとして記憶している。また、第2光学特性であれば、図34に示されるように、主走査方向の走査可能領域を第1区分領域(0)〜第8区分領域(8)の8つの区分領域に区分けし、それぞれの区分領域において、関数g(x)の近似直線式を第2光学特性データとして記憶している。
【0175】
このように、主走査方向の走査可能領域を複数の区分領域に分けて、非線形関数式を区分領域における直線近似式に置き換えて記憶しておくことで、画像情報補正処理における色ずれ変換行列の領域数を少なくして、画像情報補正処理における演算処理を簡素化することができる。区分領域の数を増やすほど、直線近似式の精度を高めることが可能になるが、その分、画像情報補正処理における演算処理が複雑化する。各区分領域の大きさについては、必ずしも等しくする必要はない。例えば、非線形の曲線の極大点や極小点を区分領域の境界となるようにして、曲線と直線近似式によって示される近似直線との差を少なくするようにしてもよい。
【0176】
図33において、各区分領域における近似直線式の傾きは、主走査方向における区分領域での倍率誤差ずれの全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)からの偏差を示している。区分領域の番号をiで表すと、前述の偏差は、倍率誤差△a(i)で表される。各区分領域において、主走査方向における倍率誤差ずれは、主走査方向の全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)に、倍率誤差△a(i)を加算した値になる。また、0次の係数α0である画像全体の主走査方向のレジストずれ量(cc、cy、cm)に、区分領域の始点における主走査方向のずれ量である主走査ずれ量Δc(i)を加算したものが、区分領域における主走査方向のレジストずれ量となる。
【0177】
また、図34において、各区分領域における近似直線式の傾きは、区分領域における全体スキューずれからの偏差を示している。この偏差は、スキュー偏差△d(i)で表される。各区分領域におけるスキューずれは、全体スキューずれ(dc、dy、dm)に、近似直線式の傾きであるスキュー偏差△d(i)を加算した値になる。また、0次の係数β0である画像全体の副走査方向のレジストずれ(fc、fy、fm)に、区分領域の始点における副走査方向のずれ量である副走査ずれ量△f(i)を加算することで、区分領域の副走査方向のレジストずれ量を求めることができる。
【0178】
なお、0次の係数(α0、β0)や、1次の係数(α1、β1)については、実施形態と同様に、位置ずれ検知用パターン像の各位置検知用画像を検知したタイミングに基づいて求める。
【0179】
制御装置は、光学部品を交換したユーザーからの命令に基づいて、第1光学特性や第2光学特性を測定する光学特性測定処理を実施する。この光学特性測定処理では、まず、図35に示されるようなテストチャート画像を記録シートに形成する。本画像形成装置には、図示しないスキャナが接続されており、制御装置はこのスキャナの制御部と交信することが可能になっている。作業者は、テストチャート画像を定着せしめた記録シートPを、スキャナにセットして、テストチャート画像を読み取らせる。この読取によって得られた画像データは、本画像形成装置の制御装置に送られる。
【0180】
テストチャート画像は、複数のテストパターン画像Itpをマトリクス状に並べたものである。それぞれ直角に折れ曲がった形状のKテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、及びYテスト画像Ityを具備している。Mテスト画像Itmは、基準点を基準にして、Kテスト画像Itkに対して90[°]回転した姿勢で形成される。また、Cテスト画像Itcは、基準点を基準にして、Mテスト画像Itmに対して90[°]回転した姿勢で形成される。また、Yテスト画像Ityを、基準点を基準にして、Cテスト画像Itcに対して90[°]回転した姿勢で形成される。このようなテストパターン画像Itpが、13列(主走査方向)×9行(主走査方向)のマトリクス状に117個形成される。なお、テストパターン画像Itpの数は、117個に限定されるものではない。また、例えば図36に示されるように、テストチャート画像に、各色の周期位置ずれ検知用パターン像を形成し、それらパターン像内の各位置検知用画像をスキャナで読み込んだ結果に基づいて、各色の周期位置ずれ変動曲線を構築させるようにしてもよい。この場合、各色の周期位置ずれ検知用パターン像については、基準姿勢タイミングを基準にした所定のタイミングで形成を開始する。
【0181】
制御装置は、スキャナから送られてくるテストチャート画像についての画像データに基づいて、複数のテストパターン画像Itpについてそれぞれ、Kテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、Yテスト画像Ityにおけるそれぞれの折れ曲がり頂点の座標を求める。そして、それら頂点の座標について、それぞれ理想座標からのずれを計算して、それぞれのテストパターン画像Itpにおける各種のずれ量を求める。
【0182】
j列k行に位置するテストパターン画像Itpの主走査方向のずれ量を主走査ずれ量△xjkとして記憶する。また、j列k行に位置するテストパターン画像Itpの副走査方向のずれ量を副走査ずれ量△yjkとして記憶する。j列について、主走査ずれ量△xjと、副走査ずれ量△yjとをそれぞれ、k=1〜9の9行のテストパターン画像パターン画像Itpで平均を算出する。そして、その結果をそれぞれ、主走査ずれ量△xj、副走査ずれ量△yjとして記憶する。平均化することで、ノイズ混入の影響を除去して、ずれ量を精度良く検出することが可能になる。なお、本段落では、第1光学特性だけをもつ例について説明している。
【0183】
次に、主走査ずれ量△xjついて、x軸−y軸の2次元平面上におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との近似直線を求める。そして、この近似直線における0次の係数α0、1次の係数α1をそれぞれ、前記2次元座標上におけるx座標と△x座標との関係を示す関数式から差し引くことで、関数f(x)、即ち、第1光学特性を求める。
【0184】
また、副走査ずれ量△yjについて、2次元平面上におけるx座標と副走査方向ずれ量座標(△y座標)との近似直線を求める。そして、この近似直線における0次の係数β0、1次の係数β1をそれぞれ、前記2次元座標上におけるx座標と△y座標との関係を示す関数式から差し引くことで、関数g(x)、即ち、第2光学特性を求める。
【0185】
その後、主走査方向の走査可能領域を、1列目(j=1)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心と、2列目(j=2)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心との間の領域を第1区分領域とする。また、2列目のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心と、3列目(j=3)のテストパターン画像パターン画像Itpの主走査方向の中心との間の領域を第2区分領域とする。同様にして、第3区分領域(j=3〜4)、第4区分領域(j=4〜5)、第5区分領域(j=5〜6)、第6区分領域(j=6〜7)、第7区分領域(j=7〜8)、第8区分領域(j=8〜9)、第9区分領域(j=9〜10)、第10区分領域(j=10〜11)、第11区分領域(j=11〜12)、第12区分領域(j=12〜13)を特定する。
【0186】
12の区分領域の位置を特定したら、それぞれの区分領域について、関数f(x)や関数g(x)の近似直線式f’(xj)、g’(xj)を求める。そして、それらの近似直線式f’(xj)、g’(xj)を、ずれ量記憶部203に記憶する。近似直線式f’(xj)、g’(xj)から、各種のずれ量を求める方法は、既に述べた通りである。なお、区分領域の数を、テストパターン画像Itpのマトリクスの列数(j)に合わせる必要は必ずしもない。
【0187】
テストチャート画像については、各種のずれのうち、「副走査周期位置ずれ」を除くずれを画像データ補正部203による画像情報補正処理で補正した画像データで作像してもよいし、各種のずれの補正を全く行わない画像データで作像してもよい。何れの場合であっても、テストチャート画像を形成するための1ライン目の光書込を、基準姿勢タイミングに基づく所定のタイミングで開始して、ラインの位置と、感光体における周方向の位置とを特定の関係にした条件で、テストチャート画像を作像する。そして、テストパターン画像ItpにおけるKのテスト画像Itk、Mテスト画像Itm、Cテスト画像Itc、Yテスト画像Ityの折れ曲がり頂点のy座標を、それに対応するライン番号(主走査ライン)の副走査周期位置ずれ量によって補正する。全てのテストパターン画像Itpについて、同様のy座標の補正を行って、周期位置ずれを除去した頂点位置にした後、主走査ずれ量△xjや副走査ずれ量△yjを求める。この結果に基づいて算出した関数f(x)や関数g(x)を、そのまま第1光学特性や第2光学特性として扱って、各区分領域における近似直線式f’(xj)、g’(xj)を算出する。
【0188】
上記数2で示した色ずれ変換用の行列Aや、上記数3、4、5で示した各数式については、各区分領域についてそれぞれ個別に実施する。例えば行列Aであれば、i=1〜13(但し、自然数)という13の区分領域についてそれぞれ、行列Aiを求めるのである。これにより、第1光学特性や第2光学特性に起因する重ね合わせずれをそれぞれの区分領域において精度良く低減することができる。
【0189】
各区分領域の行列Aiは、次のように表される。
【数6】
【0190】
画像データ補正部203は、注目画素の主走査方向の座標xから、その座標xが属する区分領域の行列Aiを特定し、その行列Aiによって座標変換を行う。
【0191】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向の倍率誤差ずれai’を、次式によって求める。
ai’=a’+Δa(i)
この式におけるa’は、全体倍率誤差ずれ(ac、ay、am)であり、実施形態と同様にして求める。倍率誤差△a(i)は、区分領域iのx軸−y軸の2次元平面上におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との近似直線の傾きである。
【0192】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向のレジストずれciを、次式によって求める。
ci=c+Δc(i)
この式におけるcは、画像全体の主走査方向のレジストずれ(cc、cy、cm)であり、実施形態と同様にして求める。主走査ずれ量Δc(i)は、区分領域iの始点におけるx座標と主走査方向ずれ量座標(△x座標)との主走査方向のずれ量である。
【0193】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおけるスキューずれdiを、次式によって求める。
di=d+Δd(i)
この式におけるdは、全体スキューずれ(dc、dy、dm)であり、実施形態と同様にして求める。スキュー偏差△d(i)は、x座標と副走査方向ずれ座標(△y座標)との2次元平面上における区分領域iの近似直線の傾きである。
【0194】
また、画像データ補正部203は、区分領域iにおける主走査方向のレジストずれfiを、次式によって求める。
fi=f+Δf(i)
この式におけるfは、画像全体の主走査方向のレジストずれ(fc、fy、fm)であり、実施形態と同様にして求める。副走査ずれ量△f(i)は、2次元平面の区分領域iの始点におけるx座標と副走査方向ずれ量座標(△y座標)との副走査方向のずれ量である。
【0195】
周期位置ずれについては、実施形態と同様にして、補正値記憶部220に記憶されている周期位置ずれ変動曲線に基づいて求める。
【0196】
色ずれ変換用の行列Aは、機内温度の変化に伴って変化するものであるので、ずれ量データ更新処理と同様に、定期的に更新する。これにより、機内温度が変化しても、各種のずれ量を精度良く検出することができる。なお、非線形の第1光学特性や第2光学特性については、機内温度にかかわらず、安定しているので、光学部品が交換されない限り、同じアルゴリズムを用いればよい。また、先に図8に示したフローチャートと同様に、複数のずれ量のうち、何れか1つでも正常でない場合に、ずれ量の更新を中止するようにしてよい。
【0197】
[第5実施例]
光書込装置7に搭載される光学部品の種類によっては、機内温度の変化に伴って、非線形の第1光学特性や第2光学特性も変化してしまう場合がある。第5実施例では、このように、機内温度の変化に伴って第1光学特性や第2光学特性を変化させる光学部品を光書込装置7に搭載している。
【0198】
図37は、第5実施例に係る画像形成装置の中間転写ベルト8上における各種の領域を説明するための模式図である。同図においては、中間転写ベルト8の全域のうち、1枚目の記録シートに対応する第1シート対応領域Ap1と、2枚目の記録シートに対応する第2シート対応領域Ap2との間のシート間対応領域に、位置ずれ検知用パターン像Ippを形成した例を示している。
【0199】
第5実施例に係る画像形成装置は、光学センサーとして、第1光学センサー150a、第2光学センサー150b、第3光学センサー150c、第4光学センサー150d、第5光学センサー150e、第6光学センサー150f、及び第7光学センサー150gの7個を有している。第1光学センサー150aは、実施形態に係る画像形成装置と同様に、ベルト幅方向における一端付近のベルト領域に対応するように配設されているが、第2光学センサー150bや第3光学センサー150cの配設位置は、実施形態とは異なっている。
【0200】
7個の光学センサーは、ベルト幅方向の一端側から他端側に向けて、番号の小さいものから順に、所定のピッチで並ぶように配設されている。よって、番号の最も大きい第7光学センサー150gが、ベルト幅方向の他端付近のベルト領域に対向している。
【0201】
ずれ量データ更新処理では、ベルト幅方向に所定のピッチで並ぶ7個の位置ずれ検知用パターン像Ippが、中間転写ベルト8のシート間対応領域に形成される。ベルト幅方向において、7個の位置ずれ検知用パターン像Ippがそれぞれ形成される位置は、7個の光学センサーに対応している。つまり、7個の位置ずれ検知用パターン像Ippにおける位置検知用画像が、7個の光学センサー(150a〜150g)によって並行して検知される。
【0202】
図38は、本画像形成装置について、主走査方向の座標系の主走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフである。図中の点線で示される曲線は、第1光学特性を示したものである。また、実線で示される直線は、その曲線を区分領域毎に近似直線化したものである。
【0203】
図39は、図38に示される特性が温度変化によって変化した状態を示している。図中の実線で示される曲線は、変化後の第1光学特性を示すものである。また、図中の点線で示される曲線は、変化前の第1光学特性をしたもの(図38と同じもの)である。図示のように、本画像形成装置においては、機内温度が変化すると、それにより、0次の係数α0や1次の係数α1によって示される線形特性(図中一点鎖線の直線)が変化することに加えて、非線形の第1光学特性も変化する。図39における点線曲線と実線曲線との差分が、温度変化に伴う第1光学特性の変化分である。
【0204】
図40は、本画像形成装置について、主走査方向の座標系の副走査方向における光書込位置誤差の特性の一例を示したグラフである。図中の点線で示される曲線は、第2光学特性を示したものである。また、実線で示される直線は、その曲線を区分領域毎に近似直線化したものである。
【0205】
図41は、図40に示される特性が温度変化によって変化した状態を示している。図中の実線で示される曲線は、変化後の第2光学特性を示すものである。また、図中の点線で示される曲線は、変化前の第2光学特性をしたもの(図40と同じもの)である。図示のように、本画像形成装置においては、機内温度が変化すると、それにより、0次の係数β0や1次の係数β1によって示される線形特性(図中一点鎖線の直線)が変化することに加えて、非線形の第2光学特性も変化する。図41における点線曲線と実線曲線との差分が、温度変化に伴う第2光学特性の変化分である。
【0206】
このように、光学部品を交換していないにもかかわらず、第1光学特性や第2光学特性が経時的に変化すると、各種のずれ量を精度良く検出することができなくなってしまう。そこで、本画像形成装置の制御装置は、光学特性測定処理を定期的に実施するようになっている。第4実施例に係る画像形成装置が、光学部品を交換したユーザーからの命令があったときだけ光学特性測定処理を実施するのに対し、本画像形成装置は、ユーザーからの命令に基づかずに、光学特性測定処理を定期的に実施する。
【0207】
光学特性測定処理の方法としては、第4実施例に係る画像形成装置とほぼ同様であるが、主走査方向における走査可能領域を6つに区分する点が、第4実施例と異なっている。図37において、ベルト幅方向は、感光体上における主走査方向(回転軸線方向)に対応している。そしてベルト幅方向における第1光学センサー150aの配設位置(図37におけるa)は、主走査方向の第1区分領域(i=1)よりも一端側に外れた領域と、第1区分領域との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第2光学センサー150bの配設位置(図37におけるb)は、主走査方向の第1区分領域と第2区分領域(i=2)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第3光学センサー150cの配設位置(図37におけるc)は、主走査方向の第2区分領域と第3区分領域(i=3)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第4光学センサー150dの配設位置(図37におけるd)は、主走査方向の第3区分領域と第4区分領域(i=4)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第5光学センサー150eの配設位置(図37におけるe)は、主走査方向の第4区分領域と第5区分領域(i=5)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第6光学センサー150fの配設位置(図37におけるf)は、主走査方向の第5区分領域と第6区分領域(i=6)との境界位置に対応している。また、ベルト幅方向における第7光学センサー150gの配設位置(図37におけるb)は、主走査方向の第6区分領域と、それよりもベルト幅方向他端側の領域との境界位置に対応している。
【0208】
第4実施例と同様にして、第1区分領域〜第6区分領域についてそれぞれ、テストチャート画像の画像を解析した結果に基づいて関数f(x)や関数g(x)の近似直線式f’(xj)、g’(xj)を求める。このようにして、図42に示されるように、第1光学特性の関数f(x)についての各区分領域の近似直線を求めたり、図43に示されるように、第2光学特性の関数g(x)についての各区分領域の近似直線を求めたりしたら、それらの近似直線を、ずれ量記憶部204に記憶する。
【0209】
以下、Kに対するCの色ずれについてのみ、各種のずれ量の算出方法を説明するが、Kに対するMのずれ量や、Kに対するYのずれ量についても、同様の方法によって算出することが可能である。
【0210】
図37において、第1光学センサー150aのベルト幅方向における中心位置(a)と、第2光学センサー150bのベルト幅方向における中心位置(b)との間の領域は、感光体表面上における第1区分領域に対応している。以下、ベルト幅方向における第1光学センサー150aと第2光学センサー150bとの距離を、ab距離Labという。
【0211】
ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCのスキューずれd1(c)を、次式によって求める。
d1(c)=(Lck_b−Lck_a)/Lab」
この数式におけるLck_bは、第2光学センサー150bに検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCK距離Lckである。また、Lck_aは、第1光学センサー150aに検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCK距離Lckである。
【0212】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの副走査方向のレジストずれf1(c)を、次式によって求める。
f1(c)=(Lck_a−L1ref)×κ
この数式におけるL1refは、CK距離Lckの設計上の値としての第1基準距離である。また、κは距離の単位である[mm]を画素の単位である[dot]に変換する係数である。
【0213】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの主走査方向の倍率誤差ずれa1(c)を、次式によって求める。
a1(c)={(Lcc_b−Lkk_b)−(Lcc_a−Lkk_a)}/Lab
この数式におけるLcc_bは、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCC距離Lccである。また、Lkk_bは、第2光学センサー150bによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるKK距離Lkkである。また、Lcc_aは、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるCC距離Lccである。また、Lkk_aは、第1光学センサー150aによって検知される位置ずれ検知用パターン像IppにおけるKK距離Lkkである。
【0214】
また、ずれ量演算部212は、第1区分領域におけるCの主走査方向のレジストずれc1(c)を、次式によって求める。
c1(c)=Lkk_a×κ
【0215】
なお、区分領域の境界での連続性が保たれるように、オフセットの修正を適宜行うものとする。第1区分領域よりも主走査方向の一端側に外れた領域や、第6区分領域よりも主走査方向の他端側に外れた領域における行列Aについては、スキューずれをゼロとし、且つ、主走査方向の倍率誤差ずれを1とした上で(a’=0)、隣接する領域で近似直線を連続させるように主副のレジストずれを求める。
【0216】
第1区分領域だけについて説明したが、第2区分領域〜第6区分領域についても、同様にして各ずれ量を算出する。周期位置ずれについては、実施形態と同様にして、補正値記憶部220に記憶されている周期位置ずれ変動曲線に基づいて求める。
【0217】
画像データ補正部203は、第4実施例に係る画像形成装置と同様にして、各区分領域についてそれぞれ、倍率誤差ずれai’、主走査方向のレジストずれci、スキューずれdi、主走査方向のレジストずれfiを求める。かかる構成では、温度変化に伴って第1光学特性や第2光学特性を変化させてしまう光学部品を用いていても、各種のずれ量を長期に渡って精度良く検出することができる。
【0218】
本画像形成装置は、周期位置ずれ測定処理において、図44に示されるように、ベルト幅方向に並ぶ7つの周期ずれ検知用パターン像を形成する。それら周期ずれ検知用パターン像のテスト画像は、7つの光学センサー(150a〜150g)によって検知される。7つのパターンのうち、4つは、Y周期ずれ検知用パターン像Ipc−Y、M周期ずれ検知用パターン像Ipc−M、C周期ずれ検知用パターン像Ipc−C、及びK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kである。全ての色について、周期ずれ検知用パターン像Ipcのテスト画像を並行して検知することで、周期位置ずれ測定処理の実施時間の短縮化を図ることができる。
【0219】
同図においては、基準となる色であるKについてのK周期ずれ検知用パターン像Ipc−Kを4つ形成して、4つの検知結果の平均をとる例を示している。かかる例に代えて、例えば3色についてはそれぞれパターンを2つずつ形成し、残りの1つについてはパターンを1つだけ形成する態様を採用してもよい。
【0220】
[第6実施例]
第6実施例に係る画像形成装置は、以下に説明する点の他が、第2実施例に係る画像形成装置と同様の構成になっている。即ち、Y,M,C,K用の感光体1Y,M,C,Kを、それぞれ個別のモータによって駆動する。4つの感光体1Y,M,C,Kがそれぞれ独立した状態で回転することが可能であるため、それぞれの周期位置ずれ変動曲線の位相差が、経時的に大きく変化する。このため、全ての感光体ギヤ302Y,M,C,Kに対してそれぞれ、回転姿勢検知センサー309Y,M,C,Kを設けている。
【0221】
カラーモードで4つの感光体1Y,M,C,Kの回転駆動が開始してそれらの回転速度が安定化した後には、それらの回転駆動の停止処理を開始するまで、感光体1Y,M,C,Kにおける互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差は一定の関係に保たれる。そこで、画像データ補正部203は、Y,M,C,Kの色分解画像データを補正するにあたり、まず、全ての感光体1Y,M,C,Kについて、基準姿勢タイミングを把握した結果に基づいて互いの周期位置ずれ変動曲線の位相差を特定する。そして、その位相差に基づいて、感光体1Y,M,C,Kについてそれぞれ、1ライン目の光書込開始時における回転角度姿勢を正確に予測して、各画素の副走査方向の周期位置ずれ量を特定する。
【0222】
[第7実施例]
これまで説明してきた「周期的位置誤差」は、感光体の偏心に起因するものであり、その偏心は、ドラム状の感光体の中心軸と回転軸とが互いに平行な状態でずれているというものであった。以下、この偏心を平行偏心という。感光体の偏心には、平行偏心の他に、傾き偏心がある。
【0223】
図46は、傾き偏心を説明するための模式図である。同図において、点線は感光体1の回転軸を示している。また、一点鎖線は、感光体1の中心軸を示している。傾き偏心があると、図示のように感光体1が自らの中心軸を回転軸に対して傾けた状態で回転軸を中心にして回転する。同図において、第1ポイントP1は、感光体の中心軸線方向における一端側に位置している点である。また、第2ポイントP2は、感光体の中心軸線方向における他端側に位置している点である。
【0224】
感光体1に傾き偏心があると、図47で示されるように、第1ポイントP1における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線と、第2ポイントP2における周期位置ずれの位置ずれ変動曲線とに位相差が発生する。また、感光体1の中心軸線方向における中央付近では、位相差が発生するだけでなく、位置ずれ変動曲線の振幅が他の位置における位置ずれ変動曲線の振幅とは異なってくる。
【0225】
そこで、第7実施例に係る画像形成装置では、感光体1の回転軸線方向における領域を複数に分割し、それぞれの分割領域について副走査方向の副走査方向倍率誤差eを個別に測定する。測定方法としては、例えば、図21のように各色の周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する代わりに、各色についてそれぞれ、周期ずれ検知用パターン像Ipcを3つずつ形成する。第1光学センサー150aに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipc、第2光学センサー150bに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipc、及び第3光学センサー150cに検知させる周期ずれ検知用パターン像Ipcの3つである。各色についてそれぞれ、それら3つの周期ずれ検知用パターン像Ipcを検知した結果に基づいて、感光体1の回転軸線方向における一端側の領域の副走査方向倍率誤差eと、中央部の領域の副走査方向倍率誤差eと、他端側の領域の副走査方向倍率誤差eとを算出する。副走査方向倍率誤差eの算出方法は、既に述べた通りである。
【0226】
各色についてそれぞれ3つずつ算出した副走査方向倍率誤差eについては、ずれ量記憶部204に記憶する。そして、各色についてそれぞれ、ずれ量記憶部304に記憶した3つの副走査方向倍率誤差eに基づいて、感光体1の回転軸線方向における一端側の領域と、中央部の領域と、他端側領域とで、副走査方向倍率誤差eに基づく色分解画像データの補正をそれぞれ個別に実施する。なお、感光体1の回転軸線方向における領域を3つに分割してそれぞれの副走査方向倍率誤差eを測定する例について説明したが、より多くの分割領域に分割して、精度良い周期位置ずれ補正を実現してもよい。
【0227】
この場合、多くの光学センサーを設けることによるコストアップを回避するために、それぞれの分割領域に対応する周期ずれ検知用パターン像Ipcを個別の光学センサーによって検知する代わりに、スキャナで読み込んでもよい。例えば、感光体の回転軸線方向における領域を14個の分割領域に分けて、図48に示されるように、それら14個の分割領域にそれぞれ個別に対応する14個の周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する。そして、それら周期ずれ検知用パターン像Ipcを記録シートに印刷した後、スキャナで読み込んだ結果に基づいてそれら周期ずれ検知用パターン像Ipcにそれぞれ個別に対応する副走査方向倍率誤差eを求める。このような工程を、各色毎に行うのである。
【0228】
位置ずれ検知用パターン像を形成するときには、画像データ補正部2033により、14個の分割領域についてそれぞれ対応する倍率誤差eをずれ量記憶部204から読み出す。また、スキューずれd、レジストずれf、全体倍率誤差ずれa、レジストずれcについては、14個の分割領域(i=1〜14)で共通の値となるものをずれ量記憶部204から読み出す。そして、それらの結果に基づいて、画像データの座標変換を行う。座標変換する方法は、後述する第8実施例と同様であるので説明を省略する。
【0229】
[第8実施例]
第8実施例に係る画像形成装置は、以下に説明する点の他が、第4実施例と同様の構成になっている。
第8実施例に係る画像形成装置においても、第7実施形態に係る画像形成装置と同様に、感光体の傾き偏心に起因する周期的位置ずれの発生を抑えるようになっている。そのために、感光体の回転軸線方向における領域を14個の分割領域に分割し、それぞれ個別の倍率誤差eを用いて色分解画像データを補正する。
【0230】
テストチャート画像としては、図36に示されるものに代えて、図49に示されるものを各色毎に形成する。14個の分割領域にそれぞれ個別に対応する14個のテストパターン画像Itpを具備するテストチャート画像を各色毎に形成するのである。
【0231】
色ずれ変換用の行列を求める際には、上記数6の数式に代えて、次の数7の数式を用いる。
【数7】
【0232】
この数式において、eiは、番号iに対応する分割領域における倍率誤差を示している。つまり、行列Aiは、区分領域毎に個別に求められる。位置ずれ検知用パターン像Ippを形成するときには、まず、第1分割領域(i=1)に対応する倍率誤差eiをずれ量記憶部204から読み出した結果に基づいて、位置ずれ検知用パターンの色分解画像データの第1分割領域における座標変換を行う。同様の座標変換を、第2分割領域(i=2)〜第14分割領域(i=14)についても行う。
【0233】
なお、副走査方向の倍率誤差eiの測定精度を向上させるため、光学系の色ずれ(副走査オフセットずれ、スキューずれ)が無い状態で周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成してもよい。この場合、まず、図49に示されるテストチャート画像をスキャナで読み込んだ結果に基づいて、第1光学特性や第2光学特性の測定を行う。次に、図5に示される位置ずれ検知用パターン像を形成して各種のずれ量(スキューずれd、レジストずれf、全体倍率誤差ずれa、レジストずれc)を測定する。その後、周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成するための色分解画像データに対し、第1光学特性、第2光学特性、及び各種のずれ量に基づいた座標変換を行いながら、周期ずれ検知用パターン像Ipcを形成する。なお、その座標変換において、副走査方向の倍率誤差eiを1として各種の計算を行う。
【0234】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
画像情報を取得する画像情報取得手段(例えば画像パス切替部202)と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体(例えば感光体1Y,M,C,K)と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段(例えば光書込装置7)と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段(例えば現像器5Y,M,C,K)と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体(例えば中間転写ベルト8)と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段(例えば転写ユニット15)と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段(例えばずれ量記憶部204)と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段(例えば第1〜第3光学センサー)と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段(例えば制御装置:201〜220)とを備える画像形成装置において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0235】
態様Aは、画像情報を補正することで、スキューずれやレジストずれに起因する重ね合わせずれを低減することに加えて、複数の潜像担持体でそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因する可視像の重ね合わせずれを低減するという目的に鑑みてなされた発明である。
【0236】
態様Aでは、複数の潜像担持体をそれぞれ安定した速度で回転させている状態において、潜像の書込開始タイミングを決定した時点で、潜像担持体の表面上の潜像における各画素の潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標での「周期的位置誤差」との関係が全ての潜像担持体の表面上で確定する。例えば、配設順序に従って、第1潜像担持体、第2潜像担持体、第3潜像担持体、第4潜像担持体という順序で潜像の書き込みを開始する構成を採用したとする。そして、第1潜像担持体に対する潜像の書込開始タイミングとして、第1潜像担持体のサインカーブ状の周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点を迎えたタイミングを決定したとする。周期位置ずれ変動曲線は、潜像担持体の表面上における潜像書込位置での「周期的位置誤差」の経時変化を示すものであるので、潜像書込位置でプラス側ピーク点の「周期的位置誤差」が発生しているときに、潜像の潜像担持体表面移動方向における1行目の画素列に対して書込処理が行われることになる。よって、潜像の潜像担持体表面移動方向における1行目の画素列の「周期的位置誤差」はプラス側ピーク点とほぼ同じ値となる。また、潜像の潜像担持体表面移動方向における2行目の画素列の「周期的位置誤差」は、周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点よりも1画素分の潜像担持体回転角度だけずれた箇所とほぼ同じ値となる。このように、第1潜像担持体の表面上において、潜像の各画素の潜像担持体表面移動方向における座標と、「周期的位置誤差」との関係が確定する。
【0237】
態様Aにおいて、第2潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングは、第1潜像担持体に対する潜像の書き込み開始時点から所定時間経過後である。そして、その所定時間はレイアウトによって決まるものであるので、常に一定である。また、第1潜像担持体や第2潜像担持体はそれぞれ等しい線速で安定して回転している限り、周回にかかわらず、互いに一定の位相差をもって回転する。これらの結果、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、第2潜像担持体に対する潜像書込開始時点における第2潜像担持体の回転角度姿勢が確定している。例えば、第1潜像担持体に対して潜像の書き込みを開始してから、潜像担持体1回転周期が経過した時点で第2潜像担持体に対する潜像の書き込みを開始し、且つ第2潜像担持体が第1潜像担持体に対して+10°の位相差をもって回転しているとする。また、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングとして、周期位置ずれ変動曲線におけるプラス側ピーク点を迎えたタイミングを決定したとする。この場合、第2潜像担持体に対する潜像書込開始時点での第2潜像担持体の回転角度姿勢は、周期位置ずれ変動曲線のプラス側ピーク点を潜像書込位置に進入させる回転角度姿勢よりも+10°だけずれた回転角度姿勢である。よって、第2潜像担持体においても、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、潜像の各画素における潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。
【0238】
第3潜像担持体、第4潜像担持体においても、同様に、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、第3潜像担持体、第4潜像担持体の表面上における潜像の各画素の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。以上のように、態様Aでは、第1潜像担持体に対する潜像書込開始タイミングを決定した時点で、全ての潜像担持体において、潜像の各画素における潜像担持体表面移動方向の座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」とが確定する。
【0239】
そこで、態様Aの制御手段は、画像情報補正処理において、潜像書込開始タイミングの決定により、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく。例えば、全ての潜像担持体を1つの駆動源で駆動する構成を採用している場合には、それぞれの潜像担持体を常に互いに同期させて回転させることから、それぞれの潜像担持体を常に所定の回転位相差の関係で回転させることになる。すると、それぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢が常に互いに所定の回転位相差をもった姿勢になるため、その所定の回転位相差を成立させる条件でそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を決定すればよい。また、複数の潜像担持体をそれぞれ互いに異なる駆動源で駆動する構成を採用している場合には、各駆動源の応答性の違いなどによってそれぞれの潜像担持体の回転位相差が経時的に変化するが、それぞれの潜像担持体の回転速度が安定化した後には、駆動停止まで回転位相差が一定に保たれる。このため、それぞれの潜像担持体の回転速度が安定化した後の位相差をそれぞれの潜像担持体に設けたエンコーダーなどによって把握し、その位相差を成立させる条件でそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を決定すればよい。
【0240】
このように、潜像書込処理先立って、画像情報補正処理においてそれぞれの潜像担持体の書込時回転姿勢を予め決定しておくことで、それぞれの潜像担持体について潜像の各画素の潜像担持体表面移動方向における座標と、それぞれの座標における「周期的位置誤差」との関係を予め決定しておく。そして、データ記憶手段に記憶しているずれ量データに基づいて画像情報を補正することに加えて、各座標についてそれぞれ特定した「周期的位置誤差」にも基づいて画像情報を補正することで、スキューずれやレジストずれに起因する重ね合わせずれを低減することに加えて、複数の潜像担持体でそれぞれ発生する「周期的位置誤差」に起因する可視像の重ね合わせずれを低減することができる。
【0241】
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、複数の潜像担持体を1つの駆動源で駆動するようにし、複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段(例えば回転姿勢検知センサー309K及び制御装置)を設け、且つ、前記回転姿勢決定処理にて、複数の潜像担持体にそれぞれ個別に対応する前記書込時回転姿勢として、それぞれ予め定められた所定の回転角度姿勢を決定した後、前記潜像書込処理にて、複数の潜像担持体に対して、それぞれ前記回転挙動把握手段によって前記所定の回転角度姿勢になったことが把握されたタイミングで、潜像の書込を開始する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、回転挙動把握手段によって複数の潜像担持体の回転挙動を把握することなく、複数の潜像担持体についてそれぞれ書込時回転姿勢を決定することができる。
【0242】
[態様C]
態様C(例えば第1実施例)は、態様Aにおいて、複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、前記回転姿勢決定処理にて、前記回転挙動把握手段による把握結果に基づいて複数の潜像担持体についてそれぞれ前記書込時回転姿勢を決定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、複数の潜像担持体をそれぞれ互いに異なる駆動源で駆動する場合であっても、回転挙動把握手段による把握結果に基づいて、それら潜像担持体を等しい線速で安定して回転させているときの回転位相差を把握して、複数の潜像担持体についてそれぞれ適切な書込時回転姿勢を決定することができる。
【0243】
[態様D]
態様D(例えば第7実施例、第8実施例)は、態様A〜Cの何れかにおいて、複数の潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の回転軸線方向における領域を複数に分割した複数の分割領域に個別に対応する複数の周期変動特性データを記憶させ、且つ、複数の分割領域についてそれぞれ、その分割領域に対応する前記周期変動特性データと、前記ずれ量データとに基づいて前記画像情報の補正を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、潜像担持体の傾き偏心に起因する周期位置ずれの発生を抑えることができる。
【0244】
[態様E]
態様E(例えば第2実施例や第3実施例)は、態様A〜Dの何れかにおいて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の周方向に所定ピッチで並ぶ複数のテスト画像からなる周期変動検知用パターン像を潜像担持体の表面上に形成して前記表面無端移動体の表面に転写した後、それらテスト画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて前記周期変動特性データを構築する周期変動特性データ構築処理を、所定の条件が具備されたことに基づいて実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【0245】
[態様F]
態様F(例えば第4実施例)は、態様A〜Eの何れかにおいて、複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第1光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、かかる構成においては、第1光学特性による光書込位置誤差に起因する重ね合わせずれを低減することができる。
【0246】
[態様G]
態様G(例えば第4実施例)は、態様A〜Fの何れかにおいて、複数の前記像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、第2光学特性による光書込位置誤差に起因する重ね合わせずれを低減することができる。
【0247】
[態様H]
態様H(例えば実施形態)は、態様A〜Gの何れかにおいて、前記転写手段を通過した後の記録シートに対して可視像の定着処理を施す定着手段と、両面のうち、第1面だけに可視像が転写及び定着された記録シートの第2面にも可視像を転写及び定着せしめるために、前記記録シートを反転せしめながら前記転写手段に再送する再送手段とを設け、前記定着手段を通る際の記録シートの収縮率に関するデータである収縮率データを前記データ記憶手段に記憶させ、前記第2面に対応する画像情報については、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、及び前記周期変動特性データに加えて、前記収縮率データにも基づいて画像情報を補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、記録シートの収縮に起因する第1面と第2面との画像倍率の誤差を抑えることができる。
【0248】
[態様I]
態様I(例えば第3実施例)は、態様Eにおいて、前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記画像検知手段を並べて配設し、前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、それら画像検知手段によってそれぞれ個別に検知される複数の前記周期変動検知用パターン像を形成し、それら周期変動検知用パターン像におけるそれぞれのテスト画像の検知タイミングに対して平滑化処理を行った結果に基づいて前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、画像検知手段に対するノイズ混入による検知位置誤差の発生を低減して、周期位置ずれ量を精度良く検出することができる。
【0249】
[態様J]
態様J(例えば図36)は、態様Eにおいて、前記記録シートに転写された画像を読み取る画像読取手段(例えばスキャナ)を設けるとともに、前記周期変動特性データ構築処理にて、前記周期変動検知用パターン像のテスト画像を前記画像検知手段によって検知する代わりに、記録シートに転写された前記周期変動検知用パターン像を前記画像読取手段によって読み取り、その結果に基づいて、前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成においては、表面無端移動体の表面移動速度の変動による周期位置ずれの検知誤差の発生を抑えることができる。
【0250】
[態様K]
態様K(例えば第5実施例)は、態様Eにおいて、前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記潜像担持体と同数以上の前記画像検知手段を並べて配設し、前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体にそれぞれ形成した前記周期変動検知用パターン像を前記方向に並べて前記表面に転写し、それら周期変動検知用パターン像のテスト画像の検知を並行する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、全ての潜像担持体について、周期変動検知用パターン像のテスト画像を並行して検知することで、周期位置ずれ測定処理の実施時間の短縮化を図ることができる。
【0251】
[態様L]
態様Lは、態様Eにおいて、複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データと、前記光学特性に起因する前記座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データとを前記データ記憶手段に記憶させ、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施し、且つ前記周期変動検知用パターンを形成するための画像情報に対して前記ずれ量データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づく補正を行いながら前記周期変動検知用パターンを形成する処理を前記周期変動特性データ構築処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、周期的位置誤差とは異なる要因による位置ずれをほぼなくした状態の周期変動検知パターンを形成して、周期変動特性を容易に検出することができる。
【符号の説明】
【0252】
1Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
7:光書込装置(潜像書込手段)
5Y:現像器(現像手段)
6Y,M,C,K:作像ユニット
8:中間転写ベルト(表面無端移動体)
15:転写ユニット(転写手段)
20:定着装置(定着手段)
204:ずれ量記憶手段(データ記憶手段)
150a:第1光学センサー(画像検知手段)
202:画像パス切替部(画像情報取得手段、制御手段の一部)
203:画像データ補正部(制御手段の一部)
205:書込制御部(制御手段の一部)
212:ずれ量演算部(制御手段の一部)
213:印刷ジョブ制御部(制御手段の一部)
217:テストパターン書出指示部(制御手段の一部)
218:検知信号生成部(制御手段の一部)
219:周期位置ずれ演算記憶部(制御手段の一部)
220:補正値記憶部(制御手段の一部)
309Y,M,C,K:回転姿勢検知センサー(回転姿勢検知手段)
Ipc:周期ずれ検知用パターン像(周期変動検知用パターン像)
Ipp:位置ずれ検知用パターン像(位置ずれ検知用パターン像
P:記録シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0253】
【特許文献1】特開平8−85236号公報
【特許文献2】特開2000−274919号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、
潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、
前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
複数の潜像担持体を1つの駆動源で駆動するようにし、
複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、
且つ、前記回転姿勢決定処理にて、複数の潜像担持体にそれぞれ個別に対応する前記書込時回転姿勢として、それぞれ予め定められた所定の回転角度姿勢を決定した後、前記潜像書込処理にて、複数の潜像担持体に対して、それぞれ前記回転挙動把握手段によって前記所定の回転角度姿勢になったことが把握されたタイミングで、潜像の書込を開始する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、
前記回転姿勢決定処理にて、前記回転挙動把握手段による把握結果に基づいて複数の潜像担持体についてそれぞれ前記書込時回転姿勢を決定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、
複数の潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の回転軸線方向における領域を複数に分割した複数の分割領域に個別に対応する複数の周期変動特性データを記憶させ、
且つ、複数の分割領域についてそれぞれ、その分割領域に対応する前記周期変動特性データと、前記ずれ量データとに基づいて前記画像情報の補正を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の周方向に所定ピッチで並ぶ複数のテスト画像からなる周期変動検知用パターン像を潜像担持体の表面上に形成して前記表面無端移動体の表面に転写した後、それらテスト画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて前記周期変動特性データを構築する周期変動特性データ構築処理を、所定の条件が具備されたことに基づいて実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第1光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
複数の前記像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、
前記転写手段を通過した後の記録シートに対して可視像の定着処理を施す定着手段と、両面のうち、第1面だけに可視像が転写及び定着された記録シートの第2面にも可視像を転写及び定着せしめるために、前記記録シートを反転せしめながら前記転写手段に再送する再送手段とを設け、
前記定着手段を通る際の記録シートの収縮率に関するデータである収縮率データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記第2面に対応する画像情報については、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、及び前記周期変動特性データに加えて、前記収縮率データにも基づいて画像情報を補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項5の画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記画像検知手段を並べて配設し、
前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、それら画像検知手段によってそれぞれ個別に検知される複数の前記周期変動検知用パターン像を形成し、それら周期変動検知用パターン像におけるそれぞれのテスト画像の検知タイミングに対して平滑化処理を行った結果に基づいて前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項5の画像形成装置において、
前記記録シートに転写された画像を読み取る画像読取手段を設けるとともに、
前記周期変動特性データ構築処理にて、前記周期変動検知用パターン像のテスト画像を前記画像検知手段によって検知する代わりに、記録シートに転写された前記周期変動検知用パターン像を前記画像読取手段によって読み取り、その結果に基づいて、前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項5の画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記潜像担持体と同数以上の前記画像検知手段を並べて配設し、
前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体にそれぞれ形成した前記周期変動検知用パターン像を前記方向に並べて前記表面に転写し、それら周期変動検知用パターン像のテスト画像の検知を並行する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項5の画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データと、前記光学特性に起因する前記座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データとを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施し、且つ前記周期変動検知用パターンを形成するための画像情報に対して前記ずれ量データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づく補正を行いながら前記周期変動検知用パターンを形成する処理を前記周期変動特性データ構築処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
画像情報取得手段によって画像情報を取得する工程と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する現像工程と、表面無端移動体の表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる工程と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する工程と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データをデータ記憶手段に記憶させる工程と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正工程と、補正後の画像情報に基づいて複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込工程と、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新工程とを実施する画像形成方法において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正工程にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データとに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、回転する自らの表面に潜像を担持する複数の潜像担持体と、複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込手段と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する複数の現像手段と、自らの表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる表面無端移動体と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する転写手段と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データを記憶するデータ記憶手段と、前記表面無端移動体の表面に形成された画像を検知する画像検知手段と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正処理を実施した後、補正後の画像情報に基づいて前記潜像書込手段の駆動を制御して複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込処理を実施し、且つ、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新処理を所定のタイミングで実施する制御手段とを備える画像形成装置において、
潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、
前記画像情報補正処理にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
複数の潜像担持体を1つの駆動源で駆動するようにし、
複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、
且つ、前記回転姿勢決定処理にて、複数の潜像担持体にそれぞれ個別に対応する前記書込時回転姿勢として、それぞれ予め定められた所定の回転角度姿勢を決定した後、前記潜像書込処理にて、複数の潜像担持体に対して、それぞれ前記回転挙動把握手段によって前記所定の回転角度姿勢になったことが把握されたタイミングで、潜像の書込を開始する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
複数の潜像担持体についてそれぞれ回転角度姿勢の変化の挙動を把握する回転挙動把握手段を設け、
前記回転姿勢決定処理にて、前記回転挙動把握手段による把握結果に基づいて複数の潜像担持体についてそれぞれ前記書込時回転姿勢を決定する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの画像形成装置において、
複数の潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の回転軸線方向における領域を複数に分割した複数の分割領域に個別に対応する複数の周期変動特性データを記憶させ、
且つ、複数の分割領域についてそれぞれ、その分割領域に対応する前記周期変動特性データと、前記ずれ量データとに基づいて前記画像情報の補正を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、潜像担持体の周方向に所定ピッチで並ぶ複数のテスト画像からなる周期変動検知用パターン像を潜像担持体の表面上に形成して前記表面無端移動体の表面に転写した後、それらテスト画像を前記画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて前記周期変動特性データを構築する周期変動特性データ構築処理を、所定の条件が具備されたことに基づいて実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第1光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
複数の前記像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかの画像形成装置において、
前記転写手段を通過した後の記録シートに対して可視像の定着処理を施す定着手段と、両面のうち、第1面だけに可視像が転写及び定着された記録シートの第2面にも可視像を転写及び定着せしめるために、前記記録シートを反転せしめながら前記転写手段に再送する再送手段とを設け、
前記定着手段を通る際の記録シートの収縮率に関するデータである収縮率データを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記第2面に対応する画像情報については、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、及び前記周期変動特性データに加えて、前記収縮率データにも基づいて画像情報を補正する処理を前記画像情報補正処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項5の画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記画像検知手段を並べて配設し、
前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体についてそれぞれ、それら画像検知手段によってそれぞれ個別に検知される複数の前記周期変動検知用パターン像を形成し、それら周期変動検知用パターン像におけるそれぞれのテスト画像の検知タイミングに対して平滑化処理を行った結果に基づいて前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項5の画像形成装置において、
前記記録シートに転写された画像を読み取る画像読取手段を設けるとともに、
前記周期変動特性データ構築処理にて、前記周期変動検知用パターン像のテスト画像を前記画像検知手段によって検知する代わりに、記録シートに転写された前記周期変動検知用パターン像を前記画像読取手段によって読み取り、その結果に基づいて、前記周期変動特性データを構築する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項5の画像形成装置において、
前記表面無端移動体の表面に沿いつつ前記表面の無端移動方向と直交する方向に、複数の前記潜像担持体と同数以上の前記画像検知手段を並べて配設し、
前記周期変動特性データ構築処理にて、複数の前記潜像担持体にそれぞれ形成した前記周期変動検知用パターン像を前記方向に並べて前記表面に転写し、それら周期変動検知用パターン像のテスト画像の検知を並行する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項5の画像形成装置において、
複数の前記潜像担持体として、複数の感光体を用い、
前記潜像書込手段として、それら感光体に対して静電潜像を光書込する光書込手段を用い、
前記光書込手段の光学系部品の光学特性に起因する感光体の回転軸線方向の座標系における回転軸線方向の光書込位置誤差の特性データである第1光学特性データと、前記光学特性に起因する前記座標系における感光体表面移動方向の光書込位置誤差の特性データである第2光学特性データとを前記データ記憶手段に記憶させ、
前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ、前記周期変動特性データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づいて補正する処理を前記画像情報補正処理で実施し、且つ前記周期変動検知用パターンを形成するための画像情報に対して前記ずれ量データ、前記第1光学特性データ、及び前記第2光学特性データに基づく補正を行いながら前記周期変動検知用パターンを形成する処理を前記周期変動特性データ構築処理で実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
画像情報取得手段によって画像情報を取得する工程と、複数の潜像担持体上の潜像をそれぞれ現像する現像工程と、表面無端移動体の表面を複数の潜像担持体との対向位置に順次通すように無端移動させる工程と、複数の潜像担持体上でそれぞれ現像された可視像を、前記表面無端移動体の表面に重ね合わせて転写してから記録シートに転写するか、あるいは、前記表面に保持される記録シートに重ね合わせて転写する工程と、表面無端移動体又は記録シートの表面上での可視像の重ね合わせずれを示すずれ量データをデータ記憶手段に記憶させる工程と、複数の潜像担持体に書き込む潜像についてそれぞれ重ね合わせずれを低減し得る潜像にするために、前記画像情報取得手段によって取得された画像情報を前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データに基づいて補正する画像情報補正工程と、補正後の画像情報に基づいて複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込工程と、複数の潜像担持体の表面にそれぞれ形成した所定の位置検知用画像を前記表面無端移動体の表面に転写して位置ずれ検知用パターン像を得た後、それら位置検知用画像を画像検知手段によって検知したタイミングに基づいて、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データを更新するずれ量データ更新工程とを実施する画像形成方法において、潜像担持体の表面上の周方向における所定位置にある潜像書込位置にて潜像担持体1回転周期で生ずる潜像担持体表面移動方向における潜像書込位置ずれの変動特性のデータである周期変動特性データを、複数の潜像担持体についてそれぞれ前記データ記憶手段に記憶させるとともに、前記画像情報補正工程にて、複数の潜像担持体についてそれぞれ潜像の書き込みを開始する際の回転角度姿勢である書込時回転姿勢を予め決定しておく回転姿勢決定処理を実施し、複数の像担持体についてそれぞれ個別に決定した前記書込時回転姿勢と、前記データ記憶手段に記憶されている前記ずれ量データ及び前記周期変動特性データとに基づいて前記画像情報を補正する処理を実施することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公開番号】特開2013−76983(P2013−76983A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174354(P2012−174354)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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