画像形成装置及び画像形成装置の駆動方法
【課題】画像の台形歪みを防止するための制御を容易にすることで、回路規模を小さくすることができる画像形成装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】反射面に光を反射させて投射面21に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、第1方向を走査する反射面を駆動する第1駆動工程と、第2方向を走査する反射面を駆動させる第2駆動工程と、を有し、第1駆動工程では第1方向を走査する反射面の駆動は、反射面に外部から駆動力を付与する駆動期間と、反射面に駆動力を付与しないで走査させる惰性駆動期間と、を有していて、駆動力を反射面に付与するかまたは付与しないかの制御を行う。
【解決手段】反射面に光を反射させて投射面21に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、第1方向を走査する反射面を駆動する第1駆動工程と、第2方向を走査する反射面を駆動させる第2駆動工程と、を有し、第1駆動工程では第1方向を走査する反射面の駆動は、反射面に外部から駆動力を付与する駆動期間と、反射面に駆動力を付与しないで走査させる惰性駆動期間と、を有していて、駆動力を反射面に付与するかまたは付与しないかの制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
共振を利用した水平共振を利用した水平走査用ミラーとガルバノミラー等の垂直走査用ミラーの2つのミラーを用いて描画するタイプのスキャンプロジェクターが広く用いられている。光射出部から射出した光を投影面に照射する。そして、水平方向と垂直方向に走査する。水平方向の走査を水平走査または主走査と称し、垂直方向の走査を垂直走査または副走査と称する。垂直走査の走査速度は水平走査の走査速度よりも遅くなっている。そして、スキャンプロジェクターは水平走査と垂直走査とで2次元的に走査し、投影面上に画像を描画する。通常、水平走査用ミラーの回動中心軸を中心とする振れ角は一定の角度となっている。
【0003】
このようなスキャンプロジェクターが投影面上に画像を描画する際、「台形歪み」と呼ばれる歪みが発生するため補正が必要となる。台形歪みは投影面上に描画された画像の上側と下側とで、水平方向の長さが異なる歪みである。台形歪みはミラーから投影面までの光路差が画像の場所によって異なることに起因する。投影面と直交する方向から投光するときにも生ずるが、投影面と直交する方向に対して斜めの方向から投光するときにより顕著に生ずる。
【0004】
歪みを補正するスキャンプロジェクターが特許文献1に開示されている。これによると、水平走査用ミラーの回動中心軸を中心とする振れ角を可変にし、徐々に変化させている。これにより画像の幅が変化する。そして、投影面に対し光を走査する際、投影面上の垂直方向の光の位置がスキャンプロジェクターから遠いほど、水平走査用ミラーの振れ角を小さくすることにより画像の台形歪みを防止している。
【0005】
また、水平走査用ミラーの駆動周波数は高いので水平走査用ミラーとしては、通常、エネルギー効率の良い共振駆動のものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−199251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スキャンプロジェクターで台形歪みを補正するとき、垂直走査方向の描画ラインに対応して水平走査用ミラーの振れ角が目標振れ角となるように水平走査用ミラーの振れ角制御が必要となる。この振れ角制御は水平走査の毎ライン、もしくは数ラインごとに行うため、制御が複雑となっていた。そこで、画像を形成するために光を走査する制御を簡易に行える画像形成装置の駆動方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
本適用例に係る画像形成装置の駆動方法は、反射面に光を反射させて投射面に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、前記反射面を回動させて第1方向に光を走査する第1駆動工程と、前記反射面を回動させて前記第1方向と交差する第2方向に光を走査する第2駆動工程と、を有し、前記反射面はばねと接続され、前記第1駆動工程は駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる駆動期間と、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させる惰性駆動期間と、を有していることを特徴とする。
【0010】
この画像形成装置の駆動方法によれば、第1駆動工程において前記反射面を回動させて第1方向に光を走査している。そして、第2駆動工程において反射面を回動させて第1方向と交差する第2方向に光を走査する。これにより、光を2つの方向に走査して画像を形成することができる。
【0011】
第1駆動工程は駆動期間と惰性駆動期間とを有している。駆動期間では前記駆動力を付与して反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積する。そして、惰性駆動期間ではばねの復元力を用いて反射面を回動させている。従って、所定の間隔を空けて反射面に駆動力を付与して反射面を回転することによりばねにエネルギーを蓄積し、ばねの復元力を用いて光を走査することができる。その結果、光を走査する制御を簡易に行うことができる。
【0012】
[適用例2]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記駆動期間では前記反射面が回転する方向と同じ方向に前記駆動力を加えることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、前記反射面の回転方向に合わせて駆動力を付与する。従って、回転方向と異なる方向に駆動力を付与する場合と比べて、効率よく反射面を回動させることができる。
【0014】
[適用例3]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記駆動期間は描画を行わない垂直帰線期間内に行われることを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、垂直帰線期間内で描画を行わないときに駆動力を付与している。反射面に駆動力を付与するとき反射面の回転速度が急激に変化するので、光を走査する早さが急激に変化する。そして、光の走査速度が急激に変化するときに描画すると画像に乱れが生じる。本適用例では、描画に影響を与えずに反射面に駆動力を付与する為、品質の良い画像を描画することができる。
【0016】
[適用例4]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、1つの前記駆動期間に前記駆動力を1回付与することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、1つの駆動期間に駆動力を1回のみ付与している。従って、1つの駆動期間に駆動力の付与を複数回実施する方法に比べて、簡易に駆動力を付与することができる。その結果、駆動力の付与を制御する回路を簡易にすることができる。
【0018】
[適用例5]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記第1方向を走査する光の範囲が前記画像の範囲より大きくなるように前記駆動力を付与することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、第1方向を走査する光の範囲が画像の範囲より大きくなるように駆動力を付与している。従って、第1方向においては確実に描画を行うことができる。
【0020】
[適用例6]
本適用例に係わる画像形成装置は、投射面に対して光を走査し画像を形成する画像形成装置であって、光を射出する射出部と、前記射出部から射出された光を反射させ回動可能に設けられた反射面を有し、前記投射面に対して第1方向に走査するとともに、前記第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で前記第1方向と交差する第2方向に走査する光走査部と、前記光走査部を制御する駆動制御部と、を有し、前記駆動制御部は前記反射面を前記第1方向に走査させる駆動部と、前記反射面の前記第2方向における角度を検出する角度検出部と、を有し、前記駆動部は前記角度検出部で検出した前記角度に応じて前記反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させ、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させることを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、射出部が光を射出する。光走査部は反射面を有し、射出された光は反射面を照射する。反射面を反射した光は投射面を照射する。そして、反射面は回動することにより光を第1方向と第2方向とに走査する。第1方向と第2方向とは交差する方向であり走査する光は画像を形成する。駆動制御部は光走査部を制御し、第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で第2方向に光を走査させる。
【0022】
駆動制御部は駆動部と角度検出部とを有している。角度検出部は反射面の第2方向における角度を検出する。そして、駆動部は検出した反射面の角度に応じて反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる。そして、ばねの復元力を用いて反射面を回動させている。これによりばねのエネルギーが消費され反射面には回転エネルギーが蓄積される。そして、ばねのエネルギーと反射面の回転エネルギーとの入れ替えを反復する。この入れ替えをする毎に反射面は回転方向を切換えるので、反射面を反射した光は投射面上を走査する。
【0023】
従って、本適用例では反射面の第2方向の角度に応じて駆動部が反射面に駆動力を付与することにより、光が第1方向の走査するように反射面の回動を制御している。つまり、駆動部が駆動力を付与する制御で光を走査する制御を行うことができる。その結果、光を走査する制御が簡易となるので簡単な制御で画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態にかかわる画像形成装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図3】アクチュエーターの構造を示す概略斜視図。
【図4】アクチュエーターの駆動を説明するための模式断面図。
【図5】ガルバノミラーの構成を示すブロック図。
【図6】作動制御装置の構成を示すブロック図。
【図7】画像形成装置の動作を説明するための模式図。
【図8】アクチュエーターの振れ角の推移を示すグラフ。
【図9】可動板を駆動する駆動信号の推移を示すグラフ。
【図10】可動板の回動と駆動信号との推移を示すグラフ。
【図11】可動板の振れ角の経時的変化を示すグラフ。
【図12】ガルバノミラーのミラー角度の経時的変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0026】
(第1実施形態)
本実施形態では、画像形成装置と画像形成装置の特徴的な駆動方法との例について、図1〜図12に従って説明する。
【0027】
図1は画像形成装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、画像形成装置1は机等の支持台2上に載置される。支持台2上において画像形成装置1が載置されている面を投影面21とするとき、画像形成装置1は投影面21上に光を走査して画像を形成する。換言すれば、画像形成装置1は投影面21上に投影して映像を描画する。すなわち、投影面21がスクリーンとして用いられ、投影面21に画像形成装置1から光が走査されることにより、静止画や動画等の所定の画像が描画される。画像形成装置1は支持台2の投影面21上に載置して使用される。これにより、投影面21上に描画される領域である描画領域142と画像形成装置1との位置関係は、所定の位置関係に維持される。
【0028】
描画領域142において、画像形成装置1が射出する光と投影面21とがなす俯角を変えるときに光が投影面21上を移動する方向を第2方向としての垂直方向21bとし、垂直方向21bと直交する方向を第1方向としての水平方向21aとする。水平方向21a及び垂直方向21bは画像形成装置1が光を走査する方向となっている。
【0029】
図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1は射出部としての光源ユニット4と光走査部5と駆動制御部としての作動制御装置8とを有している。光源ユニット4は光を射出する装置である。光走査部5は光源ユニット4から射出された光を投影面21に走査して照射する装置である。そして、作動制御装置8は光源ユニット4及び光走査部5の動作を制御する装置である。
【0030】
光源ユニット4は、赤色レーザー光44rを射出する赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光44gを射出する緑色レーザー光源41g、青色レーザー光44bを射出する青色レーザー光源41bを備えている。光源ユニット4は作動制御装置8と接続されている。そして、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g及び青色レーザー光源41bは作動制御装置8が出力する駆動信号に対応して変調したレーザー光44を射出する。
【0031】
赤色レーザー光源41rから射出された赤色レーザー光44rはコリメーターレンズ42r及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。同様に、緑色レーザー光源41gから射出された緑色レーザー光44gはコリメーターレンズ42g、ダイクロイックミラー43g及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。青色レーザー光源41bから射出された青色レーザー光44bはコリメーターレンズ42b、ダイクロイックミラー43b、ダイクロイックミラー43g及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。
【0032】
コリメーターレンズ42r、42g、42bはレーザー光44を平行光にする光学素子である。そして、内蔵するハーフミラーを用いてダイクロイックミラー43r、43g、43bは各色のレーザー光44を結合して1つの光線にして射出する。これにより、光源ユニット4は作動制御装置8が指示する色調及び輝度のレーザー光44の光線を光走査部5に射出することができる。
【0033】
次に、光走査部5について説明する。この光走査部5はアクチュエーター51を備えている。アクチュエーター51は一面に反射面としての光反射部511eが設置された可動板511aを有している。そして、光源ユニット4が射出するレーザー光44は光反射部511eを照射し反射することにより進行方向をかえる。そして、光反射部511eにて反射するレーザー光44はガルバノミラー12を照射する。ガルバノミラー12はミラー121を有し、ガルバノミラー12を照射するレーザー光44はミラー121にて反射する。続いて、ミラー121にて反射するレーザー光44は投影面21を照射する。
【0034】
可動板511aは回動中心軸518を中心軸として回動可能となっている。そして、可動板511aが回動するとき光走査部5から射出したレーザー光44は投影面21に対し水平方向21aに走査する。同様に、ミラー121は回動中心軸125を中心軸として回動可能となっている。そして、ミラー121が回動するとき光走査部5から射出したレーザー光44は投影面21に対し垂直方向21bに走査する。
【0035】
ガルバノミラー12が垂直方向21bに走査する走査速度はアクチュエーター51が水平方向21aに走査する走査速度より遅い走査速度となっている。これにより、光走査部5はレーザー光44を2次元的に走査するようになっている。
【0036】
光走査部5はアクチュエーター51の回転角度を検出する角度検出部52を備えている。角度検出部52は可動板511aの回転角度を検出して作動制御装置8に出力する。さらに、光走査部5はミラー121の回転角度を検出する角度検出部13を備えている。角度検出部13はミラー121の回転角度を検出して作動制御装置8に出力する。作動制御装置8は光走査部5が出力する可動板511aとミラー121との角度からレーザー光44が投影面21を照射する場所を検出可能になっている。
【0037】
アクチュエーター51の回動中心軸518とガルバノミラー12の回動中心軸125とは直交して設置されている。アクチュエーター51とガルバノミラー12とをこのように設けることにより、投影面21に射出したレーザー光44を2次元的に直交する2方向に走査することができる。これにより、比較的簡単な構成で、投影面21に2次元画像を描画することができる。
【0038】
光源ユニット4から射出したレーザー光44はアクチュエーター51の光反射部511eの反射面で反射する。次に、レーザー光44はガルバノミラー12のミラー121の反射面で反射した後、支持台2の投影面21に照射される。そして、作動制御装置8は光反射部511eを回動させると共に、その角速度よりも遅い角速度でミラー121を回動させる。これにより、レーザー光44は、投影面21に対し水平方向21aに走査されると共に水平方向21aの走査速度よりも遅い走査速度で垂直方向21bに走査される。そして、レーザー光44は投影面21に対し2次元的に走査され投影面21には画像が描画される。
【0039】
図3はアクチュエーターの構造を示す概略斜視図である。図3に示すように、アクチュエーター51は矩形の対向基板513を備えている。対向基板513の材質は機械的強度があれば良く特に限定されない。例えば、各種ガラス、シリコン、SiO2などを用いることができる。そして、対向基板513と重ねて矩形の枠状のスペーサー部材512が設置され、スペーサー部材512と重ねて基体511が設置されている。
【0040】
基体511は枠状の支持部511bを備え、支持部511bはスペーサー部材512と重ねて配置されている。スペーサー部材512の上面は基体511の下面と接合している。また、スペーサー部材512は、可動板511aの平面視にて、支持部511bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサー部材512は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiO2などで構成されている。
【0041】
尚、スペーサー部材512と基体511との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよい。他にも、スペーサー部材512の構成材料などによっては接合方法に陽極接合等を用いてもよい。
【0042】
基体511の中央には可動板511aが配置され、可動板511aと支持部511bとはばねとしての連結部511cとばねとしての連結部511dとにより連結されている。連結部511cは可動板511aの図中左側に位置し、連結部511dは可動板511aの図中右側に位置している。
【0043】
連結部511c及び連結部511dは柱状に形成された弾性体からなっており、回動中心軸518に沿って配置されている。そして、可動板511aが回動中心軸518を中心として回転するように力が加わるとき、連結部511c及び連結部511dが捩れることにより可動板511aが回転する。このとき、連結部511c及び連結部511dはばねとして作用するので、連結部511c及び連結部511dには可動板511aを回転するエネルギーが蓄積される。
【0044】
基体511の材質は機械的強度を有する弾性体であれば良く特に限定されない。シリコンや金属等の各種材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、基体511の材質はシリコンを主材料として構成されている。そして、可動板511aと支持部511bと連結部511c、511dとが一体に形成されている。シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、シリコンは微細な加工が可能であり、アクチュエーター51を小型に形成することができる。
【0045】
可動板511aは平面視にて略長方形となっている。可動板511aにおいて対向基板513と逆側の面には光反射性を有する光反射部511eが設けられている。光反射部511eの表面は、レーザー光44を反射する反射面となっている。光反射部511eの材質は光を反射すれば良く、特に限定されない。例えば、Al、Ni等の金属膜を用いることができる。可動板511aの対向基板513側の面には直方体の永久磁石514が設置されている。
【0046】
永久磁石514は、可動板511aの平面視にて、回動中心軸518と直交する方向に磁化されている。詳しくは、永久磁石514のS極とN極との両極を結んだ線分が回動中心軸518に対して直交するように永久磁石514は磁化されている。本実施形態では、回動中心軸518の図中左上側がN極、図中右下側がS極となっている。永久磁石514の材質は磁化により磁性を有する材質であれば良く特に限定されない。例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
【0047】
対向基板513において永久磁石514側の面には可動板511aと対向する場所にコイル515が設置されている。コイル515は、可動板511aの平面視にて、永久磁石514の外周を囲むように設けられている。
【0048】
次に、アクチュエーター51の可動板511aの角度を検出する角度検出部52について説明する。アクチュエーター51の連結部511c上には圧電素子521が設置されている。圧電素子521には起電力検出部522が接続され、圧電素子521が発生する起電力を起電力検出部522が検出する。起電力検出部522には角度検知部523が接続され、角度検知部523は起電力検出部522の検出結果に基づいて可動板511aの角度を算出する。圧電素子521、起電力検出部522、角度検知部523により角度検出部52が構成されている。
【0049】
可動板511aの回動に伴って連結部511cが捩り変形するとき、連結部511cの変形に伴って圧電素子521が変形する。圧電素子521が変形するとき、外力が付与されていない自然状態に対する変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質を有している。そして、起電力検出部522が圧電素子521に生じた起電力を検出し、角度検知部523に出力する。角度検知部523は、圧電素子521の起電力の大きさに基づいて、連結部511cの捩れの程度を算出する。さらに、捩れの程度から角度検知部523は可動板511aの回動中心軸518を中心とする振れ角を求める。そして、可動板511aの角度及び振れ角の情報を含む信号は角度検知部523から作動制御装置8に送信される。
【0050】
コイル515に駆動信号が供給されていない状態をアクチュエーター51の初期状態とする。このとき、可動板511aが支持部511bとなす角度が0°となっており、角度が0°の状態を基準とする。尚、可動板511aの角度は、アクチュエーター51の初期状態のときを基準としたときに、可動板511aが所定方向に回動したときの角度である。すなわち、検出する可動板511aの角度は、アクチュエーター51の初期状態のときの光反射部511eと、可動板511aが所定方向に回動したときの光反射部511eとのなす角度である。
【0051】
また、可動板511aの角度の検出は、連続的にリアルタイムで行ってもよく、また、間欠的に行ってもよい。また、角度検出部52は可動板511aの角度を検出できれば良く、圧電素子を用いる方法に限定されない。
【0052】
図4はアクチュエーターの駆動を説明するための模式断面図である。図4(a)に示すように、アクチュエーター51は、コイル515に電流を供給する通電手段516を有している。通電手段516は電気回路であり、電流値の大きさや周波数等の各条件の電流をコイル515に供給する。通電手段516、コイル515及び永久磁石514等により、可動板511aを回動させる駆動部517が構成される。
【0053】
通電手段516は作動制御装置8と接続されている。作動制御装置8から所定の駆動信号が通電手段516に出力され、駆動信号に応じた電流が通電手段516からコイル515に供給される。詳細には、作動制御装置8の制御により通電手段516がコイル515に交番電流を供給する。交番電流がコイル515に流れ、可動板511aの厚さ方向に磁界が発生する。作動制御装置8は磁界の向きを周期的に切り換えるように駆動信号を出力する。コイル515の永久磁石514側がS極となり、コイル515の永久磁石514側に対する逆側がN極となる状態を第1状態とする。そして、コイル515の永久磁石514側がN極となり、コイル515の永久磁石514側に対する逆側がS極となる状態を第2状態とする。作動制御装置8が出力する駆動信号を切り換えることにより、コイル515は第1状態と第2状態とに交互に切り換わる。
【0054】
第1状態ではコイル515への通電によりコイル515の永久磁石514側がS極となる。これにより、コイル515へ発生する磁界と永久磁石514のS極側との間に反発力が生じて永久磁石514のS極がコイル515と離れる向きに変位する。同時にコイル515へ発生する磁界と永久磁石514のN極側との間に引力が生じて永久磁石514のN極がコイル515と接近する向きに変位する。これにより、可動板511aが反時計回りに回動して傾斜する。
【0055】
図4(b)に示すように、第2状態ではコイル515への通電によりコイル515の永久磁石514側がN極となる。これにより、コイル515へ発生する磁界と永久磁石514のN極側との間に反発力が生じて永久磁石514のN極がコイル515と離れる向きに変位する。同時にコイル515へ発生する磁界と永久磁石514のS極側との間に引力が生じて永久磁石514のS極がコイル515と接近する向きに変位する。これにより、可動板511aが時計回りに回動して傾斜する。
【0056】
第1状態と第2状態とを交互に繰り返すことにより、可動板511aが回動中心軸518を中心に時計回りと反時計回りに交互に回動する。可動板511aが回転するとき連結部511c、511dには捩り変形が生じる。作動制御装置8は通電手段516に所定の大きさ及び所定の周波数の駆動信号を出力する。これにより、作動制御装置8は可動板511aを共振駆動させることができる。
【0057】
通電手段516がコイル515に供給する駆動信号を作動制御装置8が制御する。これにより、可動板511aの振れ角を調整することができる。したがって、通電手段516及び作動制御装置8により、可動板511aの振れ角を調整する調整手段の主要部が構成される。この調整手段は、ガルバノミラー12のミラー121の角度に応じて可動板511aの振れ角を調整する。従って、光反射部511eの反射面はガルバノミラー12の角度に対応して動作を行うようになっている。
【0058】
可動板511aの振れ角は、アクチュエーター51の初期状態のときを基準としたときに、可動板511aが所定方向に回動したときの最大の角度を示す。すなわち、振れ角とは、アクチュエーター51の初期状態のときの光反射部511eと、可動板511aが所定方向に最大に回動したときの光反射部511eとのなす角である。
【0059】
図5はガルバノミラーの構成を示すブロック図である。図5に示すように、ガルバノミラー12は、反射面にて光を反射するミラー121を備えている。ミラー121は回動中心軸125を中心に回動可能に設けられ、回動中心軸125にはミラー121を回動させるモーター122が接続されている。モーター122は駆動回路123と接続され、駆動回路123はモーター122を回転させる電力を供給する。そして、駆動回路123の出力によりモーター122が正転と反転とを交互に繰り返す。これにより、ミラー121が回動中心軸125まわりに回動する。モーター122及び駆動回路123等により駆動部124が構成されている。
【0060】
次に、ガルバノミラー12のミラー121の角度を検出する角度検出部13について説明する。角度検出部13は、エンコーダー131と角度検知部132とを有している。エンコーダー131はガルバノミラー12に設けられ、ミラー121の角度の変化に応じた信号を出力する。角度検知部132はエンコーダー131と接続され、エンコーダー131から出力される信号を受信する。そして、角度検知部132は信号に含まれる情報に基づいてミラー121の角度を算出する。
【0061】
駆動部124の作動によりミラー121が回動するとき、回動に応じた信号がエンコーダー131から角度検知部132に送信される。角度検知部132は、エンコーダー131から送信される信号に含まれる情報に基づいてミラー121の角度を算出する。次に、角度検知部132はミラー121の角度の情報を含む信号を作動制御装置8に送信する。
【0062】
ミラー121の角度における基準は特に限定されない。ガルバノミラー12の所定の角度の状態のときの角度を基準として設定してよい。また、ミラー121の角度検出は連続的に行っても良く間欠的に行っても良い。また、角度検出部13の構成はミラー121の角度を検出することができれば良く、特に限定されない。エンコーダー以外を用いる方法を採用しても良い。
【0063】
図6は作動制御装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、画像形成装置1は作動制御装置8を備え、作動制御装置8は光源ユニット4及び光走査部5と接続されている。作動制御装置8は、映像データ記憶部81と映像データ演算部82と描画タイミング生成部83と光源変調部84と駆動信号指示部85と角度指示部86とを有している。
【0064】
映像データ記憶部81は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、画像形成装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域が設定される。さらに、投影面21に投射する映像に係るデータを記憶するための記憶領域も設定される。
【0065】
映像データ演算部82は映像データ記憶部81に記憶された映像データから出力する映像のデータを抽出する。そして映像データ演算部82は光反射部511e及びミラー121の角度に合わせて映像データを出力する機能を備えている。描画タイミング生成部83は光反射部511e及びミラー121の角度の情報から同期信号を生成する機能を備えている。光源変調部84は映像データを赤青緑の各色の輝度に分離し各色の映像信号を光源ユニット4に出力する機能を備えている。駆動信号指示部85はアクチュエーター51を回動させる信号を生成する機能を備えている。角度指示部86はミラー121の角度を指示する信号を生成する機能を備えている。
【0066】
光源ユニット4において赤色レーザー光源41rは赤色駆動回路410rと接続されている。緑色レーザー光源41gは緑色駆動回路410gと接続され、青色レーザー光源41bは青色駆動回路410bと接続されている。赤色駆動回路410rは光源変調部84が出力する赤色の映像信号に対応して赤色レーザー光源41rを駆動する。同様に、緑色駆動回路410gは光源変調部84が出力する緑色の映像信号に対応して緑色レーザー光源41gを駆動する。さらに、青色駆動回路410bは光源変調部84が出力する青色の映像信号に対応して青色レーザー光源41bを駆動する。光源変調部84により映像データが赤色、緑色、青色の各信号に分離される。そして、光源ユニット4が赤色、緑色、青色のレーザー光44を投影面21に照射する。投影面21では各色のレーザー光44が混色されることによりカラー映像を照射することが可能となっている。
【0067】
次に、投影面21上に画像を描画する際の画像形成装置1の動作について説明する。まず、画像形成装置1に映像データが入力される。入力された映像データは映像データ記憶部81に一時的に記憶される。映像データ演算部82は映像データ記憶部81から映像データを読み出し、映像データを用いて画像の描画を行う。この場合、映像データ演算部82は映像データの総てを映像データ記憶部81に記憶した後に、画像の描画を開始してもよい。
【0068】
また、映像データの一部が映像データ記憶部81に記憶された時点で、映像データ演算部82は画像の描画を開始しても良い。この方法では作動制御装置8は画像の描画と並行して映像データを映像データ記憶部81に記憶する。初めに、少なくとも1フレーム分の映像データを映像データ記憶部81に記憶した後に画像の描画を開始する。
【0069】
光源変調部84は映像データ演算部82から各色の輝度データを入力する。そして、輝度データを各色の輝度データに分離して光源ユニット4に出力する。光源ユニット4の赤色駆動回路410r、緑色駆動回路410g、青色駆動回路410bは各色の輝度データに応じて赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bの変調を行う。すなわち、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bのオン/オフや、出力の調整等を行う。
【0070】
描画タイミング生成部83は描画タイミング情報及び描画ライン情報を生成する。描画タイミング情報は映像データ演算部82に出力され、描画ライン情報は駆動信号指示部85に出力される。描画タイミング情報には描画を行うタイミングの情報等が含まれる。描画ライン情報には画像を構成する描画ラインの垂直方向21bの位置の情報等が含まれる。描画ラインの位置情報は描画ラインの垂直方向21bの位置として設定してもよいが、例えば、描画ラインの位置情報は描画ラインの両端及び中央等の位置情報として設定しても良い。
【0071】
アクチュエーター51の角度検出部52はその可動板511aの角度及び振れ角を検出する。そして、角度検出部52は角度及び振れ角の情報を作動制御装置8の描画タイミング生成部83に出力する。また、ガルバノミラー12の角度検出部13はミラー121の角度を検出する。そして、その角度のミラー121の角度情報を作動制御装置8の角度指示部86に出力する。
【0072】
1つの描画ラインの描画が終了するとき、描画タイミング生成部83は角度指示部86に次に描画する描画ラインの目標角度情報を出力する。詳細には、次に描画する描画ラインの描画開始点をレーザー光44に照射されるときのミラー121の目標角度情報を描画タイミング生成部83が出力する。ミラー121の目標角度は、隣り合う描画開始点の垂直方向の間隔が一定になるように設定される。角度指示部86は、角度検出部13によって検出されたミラー121の角度と前記ミラー121の目標角度とを比較する。そして、その角度の差が0になるような補正を行い、ガルバノミラー12の駆動部124に駆動データを出力する。
【0073】
駆動部124は駆動データに基づいてモーター122を駆動する。これにより、描画開始点にレーザー光44が照射されたとき、ミラー121の角度は目標角度になる。
【0074】
尚、各描画ラインにおける描画開始点から描画終了点までミラー121の角速度が一定となるようにして、レーザー光44の垂直方向21bの走査速度を等速としても良い。また、ミラー121の角速度を徐々に変化させ、レーザー光44の垂直方向21bの走査速度を徐々に変化させてもよい。
【0075】
描画タイミング生成部83は駆動信号指示部85に描画ライン情報を出力する。描画ライン情報は駆動信号を付与するかしないかの情報である。そして、駆動信号指示部85は、アクチュエーター51の駆動部517に駆動信号の大きさ及び周波数を示すデータ等の駆動データを出力する。
【0076】
駆動部517は駆動データと対応する駆動信号をコイル515に供給する。コイル515は所定の大きさ及び所定の周波数の電流を流し、所定の磁界を発生させて可動板511aを共振させる。このように、画像形成装置1は可動板511aの振れ角を調整しつつ、描画領域142の描画ライン上に、順次、レーザー光44を走査して画像を描画する。
【0077】
図7は画像形成装置の動作を説明するための模式図である。図7の左側の図は画像形成装置1がレーザー光44を照射する様子を投影面21と平行な方向から見た図を示している。図7の右側の図は画像形成装置1が投影した映像の図を示している。図7に示すように、画像形成装置1は、垂直方向21bの走査(以下、垂直走査と称す)を行い、垂直走査の往路及び復路において、水平方向21aの走査(以下、水平走査と称す)を行う。尚、画像形成装置1は映像の描画を垂直走査の往路または復路のどちらか一方で行う。水平走査する工程を第1駆動工程とし、垂直走査する工程を第2駆動工程とする。描画するときには、垂直走査と水平走査とを並行して行う。
【0078】
投影面21と平行な方向と画像形成装置1がレーザー光44を照射する方向とは斜めに交差するように配置されている。従って、画像形成装置1が光反射部511eの振れ角を変えずに俯角を変えて水平走査するとき、レーザー光44が走査する長さは画像形成装置1に近い場所程短くなる。レーザー光44が投影面21に照射可能な場所の左端を左端線44aとし、照射可能な場所の右端を右端線44cとする。左端線44aと右端線44cとの水平方向21aの間隔をレーザー光44の振れ幅44dとする。尚、振れ幅44dは光射出状態で可動板511aが回動するときに、レーザー光44が照射する水平方向21aの間隔を示す。レーザー光44の振れ幅44dは画像形成装置1に近い場所ほど狭くなり、画像形成装置1から離れる場所ほど長くなる。
【0079】
レーザー光44が投影面21に照射する軌跡のうち直線となっている部分を描画ライン141とするとき、描画ライン141は複数形成されジグザグに配置される。各描画ライン141のうち図中左側の端部及び図中右側の端部はミラー121の角速度(速度)が小さいため描画に適さない。このため、両側の端部を除いて画像を描画する領域である描画領域142を設定する。尚、描画領域142の形状は特に限定されないが、例えば、長方形または正方形をなすように設定される。
【0080】
可動板511aの振れ角が一定の場合には光射出状態でのレーザー光44の振れ幅はミラー121の角度に応じて変化する。そして、レーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠いほど長くなる。そこで、この画像形成装置1ではレーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠い場所ほど、可動板511aの振れ角が小さくなるように調整する。そして、光射出状態でのレーザー光44の振れ幅が描画領域142の幅よりも常に大きくなるように調整する。
【0081】
具体的には、レーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠ざかるにつれて、可動板511aの振れ角を徐々に減少させて、光射出状態でのレーザー光44の振れ幅が描画領域142の幅よりも常に大きくなるようにする。
【0082】
つまり、画像形成装置1は可動板511aの振れ角を制御することにより左端線44aと右端線44cとが平行になるようにレーザー光44の振れ幅を制御する。これにより、1画面を走査する時間の中で描画が占める時間の割合である時間開効率を高くすることができる。
【0083】
描画領域142の図中上側から奇数番目の各描画ライン141について、隣り合う描画ライン141同士の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度や角速度を調整するのが好ましい。さらに、図中上側から偶数番目の各描画ライン141について、隣り合う描画ライン141同士の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度や角速度を調整するのが好ましい。これにより、画像の垂直方向の歪みを防止することができる。
【0084】
描画領域142の水平方向21aの両側端部において、隣り合う描画ライン141の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度と角速度を所定の値に設定する。すなわち、隣り合う描画開始点の垂直方向21bの間隔が一定になるようにミラー121の角度と角速度とを設定する。各描画ライン141の両側端部は描画開始点であり、両側端部の間隔を一定にすることにより映像を歪ませること無く投射することができる。尚、描画ライン141の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠い場所ほど、ミラー121の角速度は小さく設定される。これにより、比較的簡単な制御で画像の垂直方向21bの歪みを防止することができる。
【0085】
図8はアクチュエーターの振れ角の推移を示すグラフである。図8において、縦軸は可動板の振れ角θを示し、図中上側が下側より大きな角度となっている。横軸は時間の経過を示し図中左側から右側に推移する。時間軸は駆動信号付与の区間、描画期間、帰線期間の順で移行し、帰線期間の次に描画期間に移行する。そして、帰線期間と描画期間とを繰り返すように推移する。振れ角遷移線30はアクチュエーター51の振れ角の遷移を示す線である。描画角遷移線31は描画角の遷移を示す線である。描画角は画像を描画する為に必要な可動板511aの振れ角を示している。
【0086】
駆動信号付与の区間において、作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与する。そして、通電手段516はコイル515に電流を流すことにより可動板511aを傾斜させる。従って、振れ角遷移線30は大きな角度となり、連結部511c及び連結部511dが捩れた状態となる。次に描画区間において、作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与しない。そして、通電手段516はコイル515への通電を停止する。このとき、可動板511aは回動運動をしながら連結部511c及び連結部511dに蓄えられたエネルギーを放出する。換言すれば、可動板511aは自由減衰振動する。従って、振れ角遷移線30は徐々に小さい角度へと減少する。
【0087】
垂直帰線期間としての帰線期間では作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与する。そして、通電手段516はコイル515に電流を流すことにより可動板511aを傾斜させる。従って、振れ角遷移線30は大きな角度となり、連結部511c及び連結部511dが捩れた状態となる。そして、帰線区間と描画区間とを反復する。各区間において、振れ角遷移線30は描画角遷移線31より大きな角度となるように設定されている。つまり、アクチュエーター51の最大振れ角は、可動板511aの振れ角が描画期間中、常に描画角を上回る振れ角となるように設定する。
【0088】
可動板511aの振れ角の制御は、通電手段516がコイル515に駆動信号を付与するかしないかで制御する。また、通電手段516は、共振状態での所望の最大振れ角θとなる大きさ及び周波数の駆動信号をコイル515に付与する。これにより、可動板511aを確実に共振させることができ、効率良く駆動することができる。帰線期間が駆動信号を付与する期間である駆動期間38に相当し、描画期間が駆動信号を付与しない期間である惰性駆動期間37に相当する。
【0089】
図9は可動板を駆動する駆動信号の推移を示すグラフである。図9において、縦軸は駆動信号の大きさを示し、駆動信号は作動制御装置8がコイル515を駆動する信号を示す。横軸は時間の経過を示し、左側から右側に時間が推移する。そして、時間軸では駆動期間38と惰性駆動期間37とが交互に切り替わる。
【0090】
駆動信号推移線32は作動制御装置8がコイル515を駆動する信号の推移を示す線である。駆動信号推移線32が示すように駆動期間38では駆動信号は正弦波となっている。駆動信号指示部85はアクチュエーター51の最大振れ角となる大きさ及び周波数の駆動信号を付与する。これにより、アクチュエーター51は1自由度振動系において共振駆動される形態となる。そして、惰性駆動期間37内では駆動信号を付与しない。また、駆動期間38内の間に付与する正弦波の波数は特に限定されない。可動板511aの振れ角が適切な振れ角が設定できれば良く、駆動期間38内の間に付与する正弦波の数は複数でも良く1回のみでもよい。正弦波の数が少ない方が多いときと比べて制御が容易となる為、制御する電気回路を簡易な回路にすることができる。
【0091】
図10は可動板の回動と駆動信号との推移を示すグラフである。図10において、縦軸はコイル515を駆動する駆動信号の大きさと可動板511aが回動する角度を示す。横軸は駆動期間38における時間の経過を示し、左側から右側に時間が推移する。可動板角度推移線33は可動板511aが回動する角度の推移を示す。駆動信号推移線34は作動制御装置8がコイル515を駆動する駆動信号の推移を示す。可動板角度推移線33の位相と駆動信号推移線34の位相とは同位相となっている。そして、可動板511aが回転する方向と同じ方向に永久磁石514とコイル515による駆動力を加えている。これにより駆動部517は効率よくアクチュエーター51を駆動することができる。
【0092】
図11は可動板の振れ角の経時的変化を示すグラフである。図11において、縦軸は可動板の振れ角を示し、図中上側が下側より大きい角度となっている。横軸は時間の経過を示し、時間は図中左側から右側へ推移する。そして、時間軸は惰性駆動期間37と駆動期間38とを交互に繰り返す。振れ角推移線35は描画の際の可動板511aの振れ角の推移を示している。従って、振れ角推移線35は水平走査の動作に対応する。1フレームを描画する時間内は惰性駆動期間37と駆動期間38を有している。惰性駆動区間において可動板511aの振れ角は最大振れ角から徐々に減少する。次に、振れ角が最小振れ角に到達した後、駆動区間において振れ角は最大振れ角に増大する。再び、惰性駆動区間において振れ角は徐々に減少する。以降、振れ角は同様の動作を繰り返す。
【0093】
図12はガルバノミラーのミラー角度の経時的変化を示すグラフである。図12において、縦軸はミラーの角度を示し、図中上側が下側より大きい角度となっている。横軸は時間の経過を示し、時間は図中左側から右側へ推移する。そして、時間軸は惰性駆動区間と駆動区間とを交互に繰り返す。ミラー角度推移線36はガルバノミラーのミラー角度の推移を示している。従って、ミラー角度推移線36は垂直走査の動作に対応する。画像の描画を行う表示期間は惰性駆動期間37に行われ、画像の描画を行わない非表示期間は駆動期間38に行われる。
【0094】
ミラー角度推移線36は惰性駆動区間において直線状にミラー角度を増加させる。この間に所定の回数の水平走査が行われる。そして、ミラー角度推移線36は駆動期間38にミラー角度を減少させる。駆動期間38において次のフレームの描画を開始するタイミング等の各タイミングを調整することができる。
【0095】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1駆動工程は駆動期間38と惰性駆動期間37とを有している。駆動期間38では駆動力を付与して可動板511aを回転させるとともにばね性を有する連結部511c及び連結部511dにエネルギーを蓄積する。そして、惰性駆動期間37では連結部511c及び連結部511dの復元力を用いて可動板511aを回動させている。従って、所定の間隔を空けて可動板511aに駆動力を付与して可動板511aを回転することにより連結部511c及び連結部511dの復元力を用いてレーザー光44を走査することができる。その結果、レーザー光44を走査する制御を簡易に行うことができる。
【0096】
(2)本実施形態によれば、可動板511aが回転する方向と同じ方向に永久磁石514とコイル515による駆動力を加えている。これにより駆動部517は効率よくアクチュエーター51を駆動することができる。
【0097】
(3)本実施形態によれば、垂直帰線期間内で描画を行わないときに通電手段516はコイル515に駆動信号を付与している。可動板511aに駆動力を付与するとき可動板511aの回転速度が急激に変化するので、レーザー光44を走査する早さが急激に変化する。そして、レーザー光44の走査速度が急激に変化するときに描画すると画像に乱れが生じる。本実施形態では、描画に影響を与えずに可動板511aに駆動力を付与する為、品質の良い画像を描画することができる。
【0098】
(4)本実施形態によれば、1つの駆動期間38に駆動力を1回のみ付与しても良いとしている。このとき、1つの駆動期間38に駆動力の付与を複数回実施する方法に比べて、簡易に駆動力を付与することができる。その結果、駆動力の付与を制御する回路を簡易にすることができる。
【0099】
(5)本実施形態によれば、図8における振れ角遷移線30が描画角遷移線31より大きな角度で推移するように作動制御装置8は可動板511aを作動させている。つまり、水平方向21aを走査するレーザー光44の範囲が描画領域142の範囲より大きくなるように駆動力を付与している。従って、水平方向21aにおいては確実に描画を行うことができる。
【0100】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザー光44を平行光線にするためにコリメーターレンズ42r、42g、42bを用いたが、これに限定されない。コリメーターミラー等の光学素子を用いても良い。この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bから平行光束が射出される場合、コリメーターレンズ42r、42g、42bは必ずとも必要でなく、省略することができる。光学素子を減らせるので簡易な装置にすることができる。
【0101】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bを用いたが、これに限らない。発光ダイオード等の光源を用いても良い。レーザー光源と同様の画像を形成することができる。さらに、簡易で軽量な装置にすることができる。
【0102】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、ダイクロイックミラー43r、43g、43bがこの順に配置され、レーザー光44を結合した。ダイクロイックミラー43r、43g、43bが結合する色の順番は特に限定されない。例えば、ダイクロイックミラー43g、43b、43rがこの順に配置されても良く、ダイクロイックミラー43b、43r、43gがこの順に配置されても良い。結合するレーザー光44の色の順序は自由に設定しても良い。
【0103】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、アクチュエーター51の駆動にコイル515と永久磁石514とを用いた電磁駆動を用いた。アクチュエーター51を駆動する方法はこの方法に限定されない。例えば、駆動方式については、圧電素子を用いた圧電駆動や静電引力を用いた静電駆動としてもよい。圧電駆動や静電駆動の場合は、駆動信号として、電圧信号を用いる。光反射部511eの大きさや重量に合わせて設定しても良い。
【0104】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、光源ユニット4から射出したレーザー光44をアクチュエーター51の光反射部511eに反射させ、次に、ガルバノミラー12のミラー121の反射面に反射させた。反射させる順番はこれに限らない。光源ユニット4から射出したレーザー光44を、先に、ガルバノミラー12のミラー121の反射面に反射させ、次に、アクチュエーター51の光反射部511eの反射面で反射させるようにしてもよい。すなわち、先に、垂直走査がなされ、次に、水平走査がなされるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…画像形成装置、4…射出部としての光源ユニット、5…光走査部、8…駆動制御部としての作動制御装置、21…投影面、37…惰性駆動期間、38…駆動期間、44…光としてのレーザー光、52…角度検出部、121…反射面としてのミラー、511c,511d…ばねとしての連結部、511e…反射面としての光反射部、517…駆動部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
共振を利用した水平共振を利用した水平走査用ミラーとガルバノミラー等の垂直走査用ミラーの2つのミラーを用いて描画するタイプのスキャンプロジェクターが広く用いられている。光射出部から射出した光を投影面に照射する。そして、水平方向と垂直方向に走査する。水平方向の走査を水平走査または主走査と称し、垂直方向の走査を垂直走査または副走査と称する。垂直走査の走査速度は水平走査の走査速度よりも遅くなっている。そして、スキャンプロジェクターは水平走査と垂直走査とで2次元的に走査し、投影面上に画像を描画する。通常、水平走査用ミラーの回動中心軸を中心とする振れ角は一定の角度となっている。
【0003】
このようなスキャンプロジェクターが投影面上に画像を描画する際、「台形歪み」と呼ばれる歪みが発生するため補正が必要となる。台形歪みは投影面上に描画された画像の上側と下側とで、水平方向の長さが異なる歪みである。台形歪みはミラーから投影面までの光路差が画像の場所によって異なることに起因する。投影面と直交する方向から投光するときにも生ずるが、投影面と直交する方向に対して斜めの方向から投光するときにより顕著に生ずる。
【0004】
歪みを補正するスキャンプロジェクターが特許文献1に開示されている。これによると、水平走査用ミラーの回動中心軸を中心とする振れ角を可変にし、徐々に変化させている。これにより画像の幅が変化する。そして、投影面に対し光を走査する際、投影面上の垂直方向の光の位置がスキャンプロジェクターから遠いほど、水平走査用ミラーの振れ角を小さくすることにより画像の台形歪みを防止している。
【0005】
また、水平走査用ミラーの駆動周波数は高いので水平走査用ミラーとしては、通常、エネルギー効率の良い共振駆動のものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−199251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スキャンプロジェクターで台形歪みを補正するとき、垂直走査方向の描画ラインに対応して水平走査用ミラーの振れ角が目標振れ角となるように水平走査用ミラーの振れ角制御が必要となる。この振れ角制御は水平走査の毎ライン、もしくは数ラインごとに行うため、制御が複雑となっていた。そこで、画像を形成するために光を走査する制御を簡易に行える画像形成装置の駆動方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
本適用例に係る画像形成装置の駆動方法は、反射面に光を反射させて投射面に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、前記反射面を回動させて第1方向に光を走査する第1駆動工程と、前記反射面を回動させて前記第1方向と交差する第2方向に光を走査する第2駆動工程と、を有し、前記反射面はばねと接続され、前記第1駆動工程は駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる駆動期間と、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させる惰性駆動期間と、を有していることを特徴とする。
【0010】
この画像形成装置の駆動方法によれば、第1駆動工程において前記反射面を回動させて第1方向に光を走査している。そして、第2駆動工程において反射面を回動させて第1方向と交差する第2方向に光を走査する。これにより、光を2つの方向に走査して画像を形成することができる。
【0011】
第1駆動工程は駆動期間と惰性駆動期間とを有している。駆動期間では前記駆動力を付与して反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積する。そして、惰性駆動期間ではばねの復元力を用いて反射面を回動させている。従って、所定の間隔を空けて反射面に駆動力を付与して反射面を回転することによりばねにエネルギーを蓄積し、ばねの復元力を用いて光を走査することができる。その結果、光を走査する制御を簡易に行うことができる。
【0012】
[適用例2]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記駆動期間では前記反射面が回転する方向と同じ方向に前記駆動力を加えることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、前記反射面の回転方向に合わせて駆動力を付与する。従って、回転方向と異なる方向に駆動力を付与する場合と比べて、効率よく反射面を回動させることができる。
【0014】
[適用例3]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記駆動期間は描画を行わない垂直帰線期間内に行われることを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、垂直帰線期間内で描画を行わないときに駆動力を付与している。反射面に駆動力を付与するとき反射面の回転速度が急激に変化するので、光を走査する早さが急激に変化する。そして、光の走査速度が急激に変化するときに描画すると画像に乱れが生じる。本適用例では、描画に影響を与えずに反射面に駆動力を付与する為、品質の良い画像を描画することができる。
【0016】
[適用例4]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、1つの前記駆動期間に前記駆動力を1回付与することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、1つの駆動期間に駆動力を1回のみ付与している。従って、1つの駆動期間に駆動力の付与を複数回実施する方法に比べて、簡易に駆動力を付与することができる。その結果、駆動力の付与を制御する回路を簡易にすることができる。
【0018】
[適用例5]
上記適用例にかかる画像形成装置の駆動方法において、前記第1方向を走査する光の範囲が前記画像の範囲より大きくなるように前記駆動力を付与することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、第1方向を走査する光の範囲が画像の範囲より大きくなるように駆動力を付与している。従って、第1方向においては確実に描画を行うことができる。
【0020】
[適用例6]
本適用例に係わる画像形成装置は、投射面に対して光を走査し画像を形成する画像形成装置であって、光を射出する射出部と、前記射出部から射出された光を反射させ回動可能に設けられた反射面を有し、前記投射面に対して第1方向に走査するとともに、前記第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で前記第1方向と交差する第2方向に走査する光走査部と、前記光走査部を制御する駆動制御部と、を有し、前記駆動制御部は前記反射面を前記第1方向に走査させる駆動部と、前記反射面の前記第2方向における角度を検出する角度検出部と、を有し、前記駆動部は前記角度検出部で検出した前記角度に応じて前記反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させ、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させることを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、射出部が光を射出する。光走査部は反射面を有し、射出された光は反射面を照射する。反射面を反射した光は投射面を照射する。そして、反射面は回動することにより光を第1方向と第2方向とに走査する。第1方向と第2方向とは交差する方向であり走査する光は画像を形成する。駆動制御部は光走査部を制御し、第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で第2方向に光を走査させる。
【0022】
駆動制御部は駆動部と角度検出部とを有している。角度検出部は反射面の第2方向における角度を検出する。そして、駆動部は検出した反射面の角度に応じて反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる。そして、ばねの復元力を用いて反射面を回動させている。これによりばねのエネルギーが消費され反射面には回転エネルギーが蓄積される。そして、ばねのエネルギーと反射面の回転エネルギーとの入れ替えを反復する。この入れ替えをする毎に反射面は回転方向を切換えるので、反射面を反射した光は投射面上を走査する。
【0023】
従って、本適用例では反射面の第2方向の角度に応じて駆動部が反射面に駆動力を付与することにより、光が第1方向の走査するように反射面の回動を制御している。つまり、駆動部が駆動力を付与する制御で光を走査する制御を行うことができる。その結果、光を走査する制御が簡易となるので簡単な制御で画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態にかかわる画像形成装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図3】アクチュエーターの構造を示す概略斜視図。
【図4】アクチュエーターの駆動を説明するための模式断面図。
【図5】ガルバノミラーの構成を示すブロック図。
【図6】作動制御装置の構成を示すブロック図。
【図7】画像形成装置の動作を説明するための模式図。
【図8】アクチュエーターの振れ角の推移を示すグラフ。
【図9】可動板を駆動する駆動信号の推移を示すグラフ。
【図10】可動板の回動と駆動信号との推移を示すグラフ。
【図11】可動板の振れ角の経時的変化を示すグラフ。
【図12】ガルバノミラーのミラー角度の経時的変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0026】
(第1実施形態)
本実施形態では、画像形成装置と画像形成装置の特徴的な駆動方法との例について、図1〜図12に従って説明する。
【0027】
図1は画像形成装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、画像形成装置1は机等の支持台2上に載置される。支持台2上において画像形成装置1が載置されている面を投影面21とするとき、画像形成装置1は投影面21上に光を走査して画像を形成する。換言すれば、画像形成装置1は投影面21上に投影して映像を描画する。すなわち、投影面21がスクリーンとして用いられ、投影面21に画像形成装置1から光が走査されることにより、静止画や動画等の所定の画像が描画される。画像形成装置1は支持台2の投影面21上に載置して使用される。これにより、投影面21上に描画される領域である描画領域142と画像形成装置1との位置関係は、所定の位置関係に維持される。
【0028】
描画領域142において、画像形成装置1が射出する光と投影面21とがなす俯角を変えるときに光が投影面21上を移動する方向を第2方向としての垂直方向21bとし、垂直方向21bと直交する方向を第1方向としての水平方向21aとする。水平方向21a及び垂直方向21bは画像形成装置1が光を走査する方向となっている。
【0029】
図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1は射出部としての光源ユニット4と光走査部5と駆動制御部としての作動制御装置8とを有している。光源ユニット4は光を射出する装置である。光走査部5は光源ユニット4から射出された光を投影面21に走査して照射する装置である。そして、作動制御装置8は光源ユニット4及び光走査部5の動作を制御する装置である。
【0030】
光源ユニット4は、赤色レーザー光44rを射出する赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光44gを射出する緑色レーザー光源41g、青色レーザー光44bを射出する青色レーザー光源41bを備えている。光源ユニット4は作動制御装置8と接続されている。そして、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g及び青色レーザー光源41bは作動制御装置8が出力する駆動信号に対応して変調したレーザー光44を射出する。
【0031】
赤色レーザー光源41rから射出された赤色レーザー光44rはコリメーターレンズ42r及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。同様に、緑色レーザー光源41gから射出された緑色レーザー光44gはコリメーターレンズ42g、ダイクロイックミラー43g及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。青色レーザー光源41bから射出された青色レーザー光44bはコリメーターレンズ42b、ダイクロイックミラー43b、ダイクロイックミラー43g及びダイクロイックミラー43rを通過した後に光走査部5を照射する。
【0032】
コリメーターレンズ42r、42g、42bはレーザー光44を平行光にする光学素子である。そして、内蔵するハーフミラーを用いてダイクロイックミラー43r、43g、43bは各色のレーザー光44を結合して1つの光線にして射出する。これにより、光源ユニット4は作動制御装置8が指示する色調及び輝度のレーザー光44の光線を光走査部5に射出することができる。
【0033】
次に、光走査部5について説明する。この光走査部5はアクチュエーター51を備えている。アクチュエーター51は一面に反射面としての光反射部511eが設置された可動板511aを有している。そして、光源ユニット4が射出するレーザー光44は光反射部511eを照射し反射することにより進行方向をかえる。そして、光反射部511eにて反射するレーザー光44はガルバノミラー12を照射する。ガルバノミラー12はミラー121を有し、ガルバノミラー12を照射するレーザー光44はミラー121にて反射する。続いて、ミラー121にて反射するレーザー光44は投影面21を照射する。
【0034】
可動板511aは回動中心軸518を中心軸として回動可能となっている。そして、可動板511aが回動するとき光走査部5から射出したレーザー光44は投影面21に対し水平方向21aに走査する。同様に、ミラー121は回動中心軸125を中心軸として回動可能となっている。そして、ミラー121が回動するとき光走査部5から射出したレーザー光44は投影面21に対し垂直方向21bに走査する。
【0035】
ガルバノミラー12が垂直方向21bに走査する走査速度はアクチュエーター51が水平方向21aに走査する走査速度より遅い走査速度となっている。これにより、光走査部5はレーザー光44を2次元的に走査するようになっている。
【0036】
光走査部5はアクチュエーター51の回転角度を検出する角度検出部52を備えている。角度検出部52は可動板511aの回転角度を検出して作動制御装置8に出力する。さらに、光走査部5はミラー121の回転角度を検出する角度検出部13を備えている。角度検出部13はミラー121の回転角度を検出して作動制御装置8に出力する。作動制御装置8は光走査部5が出力する可動板511aとミラー121との角度からレーザー光44が投影面21を照射する場所を検出可能になっている。
【0037】
アクチュエーター51の回動中心軸518とガルバノミラー12の回動中心軸125とは直交して設置されている。アクチュエーター51とガルバノミラー12とをこのように設けることにより、投影面21に射出したレーザー光44を2次元的に直交する2方向に走査することができる。これにより、比較的簡単な構成で、投影面21に2次元画像を描画することができる。
【0038】
光源ユニット4から射出したレーザー光44はアクチュエーター51の光反射部511eの反射面で反射する。次に、レーザー光44はガルバノミラー12のミラー121の反射面で反射した後、支持台2の投影面21に照射される。そして、作動制御装置8は光反射部511eを回動させると共に、その角速度よりも遅い角速度でミラー121を回動させる。これにより、レーザー光44は、投影面21に対し水平方向21aに走査されると共に水平方向21aの走査速度よりも遅い走査速度で垂直方向21bに走査される。そして、レーザー光44は投影面21に対し2次元的に走査され投影面21には画像が描画される。
【0039】
図3はアクチュエーターの構造を示す概略斜視図である。図3に示すように、アクチュエーター51は矩形の対向基板513を備えている。対向基板513の材質は機械的強度があれば良く特に限定されない。例えば、各種ガラス、シリコン、SiO2などを用いることができる。そして、対向基板513と重ねて矩形の枠状のスペーサー部材512が設置され、スペーサー部材512と重ねて基体511が設置されている。
【0040】
基体511は枠状の支持部511bを備え、支持部511bはスペーサー部材512と重ねて配置されている。スペーサー部材512の上面は基体511の下面と接合している。また、スペーサー部材512は、可動板511aの平面視にて、支持部511bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサー部材512は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiO2などで構成されている。
【0041】
尚、スペーサー部材512と基体511との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよい。他にも、スペーサー部材512の構成材料などによっては接合方法に陽極接合等を用いてもよい。
【0042】
基体511の中央には可動板511aが配置され、可動板511aと支持部511bとはばねとしての連結部511cとばねとしての連結部511dとにより連結されている。連結部511cは可動板511aの図中左側に位置し、連結部511dは可動板511aの図中右側に位置している。
【0043】
連結部511c及び連結部511dは柱状に形成された弾性体からなっており、回動中心軸518に沿って配置されている。そして、可動板511aが回動中心軸518を中心として回転するように力が加わるとき、連結部511c及び連結部511dが捩れることにより可動板511aが回転する。このとき、連結部511c及び連結部511dはばねとして作用するので、連結部511c及び連結部511dには可動板511aを回転するエネルギーが蓄積される。
【0044】
基体511の材質は機械的強度を有する弾性体であれば良く特に限定されない。シリコンや金属等の各種材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、基体511の材質はシリコンを主材料として構成されている。そして、可動板511aと支持部511bと連結部511c、511dとが一体に形成されている。シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、シリコンは微細な加工が可能であり、アクチュエーター51を小型に形成することができる。
【0045】
可動板511aは平面視にて略長方形となっている。可動板511aにおいて対向基板513と逆側の面には光反射性を有する光反射部511eが設けられている。光反射部511eの表面は、レーザー光44を反射する反射面となっている。光反射部511eの材質は光を反射すれば良く、特に限定されない。例えば、Al、Ni等の金属膜を用いることができる。可動板511aの対向基板513側の面には直方体の永久磁石514が設置されている。
【0046】
永久磁石514は、可動板511aの平面視にて、回動中心軸518と直交する方向に磁化されている。詳しくは、永久磁石514のS極とN極との両極を結んだ線分が回動中心軸518に対して直交するように永久磁石514は磁化されている。本実施形態では、回動中心軸518の図中左上側がN極、図中右下側がS極となっている。永久磁石514の材質は磁化により磁性を有する材質であれば良く特に限定されない。例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
【0047】
対向基板513において永久磁石514側の面には可動板511aと対向する場所にコイル515が設置されている。コイル515は、可動板511aの平面視にて、永久磁石514の外周を囲むように設けられている。
【0048】
次に、アクチュエーター51の可動板511aの角度を検出する角度検出部52について説明する。アクチュエーター51の連結部511c上には圧電素子521が設置されている。圧電素子521には起電力検出部522が接続され、圧電素子521が発生する起電力を起電力検出部522が検出する。起電力検出部522には角度検知部523が接続され、角度検知部523は起電力検出部522の検出結果に基づいて可動板511aの角度を算出する。圧電素子521、起電力検出部522、角度検知部523により角度検出部52が構成されている。
【0049】
可動板511aの回動に伴って連結部511cが捩り変形するとき、連結部511cの変形に伴って圧電素子521が変形する。圧電素子521が変形するとき、外力が付与されていない自然状態に対する変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質を有している。そして、起電力検出部522が圧電素子521に生じた起電力を検出し、角度検知部523に出力する。角度検知部523は、圧電素子521の起電力の大きさに基づいて、連結部511cの捩れの程度を算出する。さらに、捩れの程度から角度検知部523は可動板511aの回動中心軸518を中心とする振れ角を求める。そして、可動板511aの角度及び振れ角の情報を含む信号は角度検知部523から作動制御装置8に送信される。
【0050】
コイル515に駆動信号が供給されていない状態をアクチュエーター51の初期状態とする。このとき、可動板511aが支持部511bとなす角度が0°となっており、角度が0°の状態を基準とする。尚、可動板511aの角度は、アクチュエーター51の初期状態のときを基準としたときに、可動板511aが所定方向に回動したときの角度である。すなわち、検出する可動板511aの角度は、アクチュエーター51の初期状態のときの光反射部511eと、可動板511aが所定方向に回動したときの光反射部511eとのなす角度である。
【0051】
また、可動板511aの角度の検出は、連続的にリアルタイムで行ってもよく、また、間欠的に行ってもよい。また、角度検出部52は可動板511aの角度を検出できれば良く、圧電素子を用いる方法に限定されない。
【0052】
図4はアクチュエーターの駆動を説明するための模式断面図である。図4(a)に示すように、アクチュエーター51は、コイル515に電流を供給する通電手段516を有している。通電手段516は電気回路であり、電流値の大きさや周波数等の各条件の電流をコイル515に供給する。通電手段516、コイル515及び永久磁石514等により、可動板511aを回動させる駆動部517が構成される。
【0053】
通電手段516は作動制御装置8と接続されている。作動制御装置8から所定の駆動信号が通電手段516に出力され、駆動信号に応じた電流が通電手段516からコイル515に供給される。詳細には、作動制御装置8の制御により通電手段516がコイル515に交番電流を供給する。交番電流がコイル515に流れ、可動板511aの厚さ方向に磁界が発生する。作動制御装置8は磁界の向きを周期的に切り換えるように駆動信号を出力する。コイル515の永久磁石514側がS極となり、コイル515の永久磁石514側に対する逆側がN極となる状態を第1状態とする。そして、コイル515の永久磁石514側がN極となり、コイル515の永久磁石514側に対する逆側がS極となる状態を第2状態とする。作動制御装置8が出力する駆動信号を切り換えることにより、コイル515は第1状態と第2状態とに交互に切り換わる。
【0054】
第1状態ではコイル515への通電によりコイル515の永久磁石514側がS極となる。これにより、コイル515へ発生する磁界と永久磁石514のS極側との間に反発力が生じて永久磁石514のS極がコイル515と離れる向きに変位する。同時にコイル515へ発生する磁界と永久磁石514のN極側との間に引力が生じて永久磁石514のN極がコイル515と接近する向きに変位する。これにより、可動板511aが反時計回りに回動して傾斜する。
【0055】
図4(b)に示すように、第2状態ではコイル515への通電によりコイル515の永久磁石514側がN極となる。これにより、コイル515へ発生する磁界と永久磁石514のN極側との間に反発力が生じて永久磁石514のN極がコイル515と離れる向きに変位する。同時にコイル515へ発生する磁界と永久磁石514のS極側との間に引力が生じて永久磁石514のS極がコイル515と接近する向きに変位する。これにより、可動板511aが時計回りに回動して傾斜する。
【0056】
第1状態と第2状態とを交互に繰り返すことにより、可動板511aが回動中心軸518を中心に時計回りと反時計回りに交互に回動する。可動板511aが回転するとき連結部511c、511dには捩り変形が生じる。作動制御装置8は通電手段516に所定の大きさ及び所定の周波数の駆動信号を出力する。これにより、作動制御装置8は可動板511aを共振駆動させることができる。
【0057】
通電手段516がコイル515に供給する駆動信号を作動制御装置8が制御する。これにより、可動板511aの振れ角を調整することができる。したがって、通電手段516及び作動制御装置8により、可動板511aの振れ角を調整する調整手段の主要部が構成される。この調整手段は、ガルバノミラー12のミラー121の角度に応じて可動板511aの振れ角を調整する。従って、光反射部511eの反射面はガルバノミラー12の角度に対応して動作を行うようになっている。
【0058】
可動板511aの振れ角は、アクチュエーター51の初期状態のときを基準としたときに、可動板511aが所定方向に回動したときの最大の角度を示す。すなわち、振れ角とは、アクチュエーター51の初期状態のときの光反射部511eと、可動板511aが所定方向に最大に回動したときの光反射部511eとのなす角である。
【0059】
図5はガルバノミラーの構成を示すブロック図である。図5に示すように、ガルバノミラー12は、反射面にて光を反射するミラー121を備えている。ミラー121は回動中心軸125を中心に回動可能に設けられ、回動中心軸125にはミラー121を回動させるモーター122が接続されている。モーター122は駆動回路123と接続され、駆動回路123はモーター122を回転させる電力を供給する。そして、駆動回路123の出力によりモーター122が正転と反転とを交互に繰り返す。これにより、ミラー121が回動中心軸125まわりに回動する。モーター122及び駆動回路123等により駆動部124が構成されている。
【0060】
次に、ガルバノミラー12のミラー121の角度を検出する角度検出部13について説明する。角度検出部13は、エンコーダー131と角度検知部132とを有している。エンコーダー131はガルバノミラー12に設けられ、ミラー121の角度の変化に応じた信号を出力する。角度検知部132はエンコーダー131と接続され、エンコーダー131から出力される信号を受信する。そして、角度検知部132は信号に含まれる情報に基づいてミラー121の角度を算出する。
【0061】
駆動部124の作動によりミラー121が回動するとき、回動に応じた信号がエンコーダー131から角度検知部132に送信される。角度検知部132は、エンコーダー131から送信される信号に含まれる情報に基づいてミラー121の角度を算出する。次に、角度検知部132はミラー121の角度の情報を含む信号を作動制御装置8に送信する。
【0062】
ミラー121の角度における基準は特に限定されない。ガルバノミラー12の所定の角度の状態のときの角度を基準として設定してよい。また、ミラー121の角度検出は連続的に行っても良く間欠的に行っても良い。また、角度検出部13の構成はミラー121の角度を検出することができれば良く、特に限定されない。エンコーダー以外を用いる方法を採用しても良い。
【0063】
図6は作動制御装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、画像形成装置1は作動制御装置8を備え、作動制御装置8は光源ユニット4及び光走査部5と接続されている。作動制御装置8は、映像データ記憶部81と映像データ演算部82と描画タイミング生成部83と光源変調部84と駆動信号指示部85と角度指示部86とを有している。
【0064】
映像データ記憶部81は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、画像形成装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域が設定される。さらに、投影面21に投射する映像に係るデータを記憶するための記憶領域も設定される。
【0065】
映像データ演算部82は映像データ記憶部81に記憶された映像データから出力する映像のデータを抽出する。そして映像データ演算部82は光反射部511e及びミラー121の角度に合わせて映像データを出力する機能を備えている。描画タイミング生成部83は光反射部511e及びミラー121の角度の情報から同期信号を生成する機能を備えている。光源変調部84は映像データを赤青緑の各色の輝度に分離し各色の映像信号を光源ユニット4に出力する機能を備えている。駆動信号指示部85はアクチュエーター51を回動させる信号を生成する機能を備えている。角度指示部86はミラー121の角度を指示する信号を生成する機能を備えている。
【0066】
光源ユニット4において赤色レーザー光源41rは赤色駆動回路410rと接続されている。緑色レーザー光源41gは緑色駆動回路410gと接続され、青色レーザー光源41bは青色駆動回路410bと接続されている。赤色駆動回路410rは光源変調部84が出力する赤色の映像信号に対応して赤色レーザー光源41rを駆動する。同様に、緑色駆動回路410gは光源変調部84が出力する緑色の映像信号に対応して緑色レーザー光源41gを駆動する。さらに、青色駆動回路410bは光源変調部84が出力する青色の映像信号に対応して青色レーザー光源41bを駆動する。光源変調部84により映像データが赤色、緑色、青色の各信号に分離される。そして、光源ユニット4が赤色、緑色、青色のレーザー光44を投影面21に照射する。投影面21では各色のレーザー光44が混色されることによりカラー映像を照射することが可能となっている。
【0067】
次に、投影面21上に画像を描画する際の画像形成装置1の動作について説明する。まず、画像形成装置1に映像データが入力される。入力された映像データは映像データ記憶部81に一時的に記憶される。映像データ演算部82は映像データ記憶部81から映像データを読み出し、映像データを用いて画像の描画を行う。この場合、映像データ演算部82は映像データの総てを映像データ記憶部81に記憶した後に、画像の描画を開始してもよい。
【0068】
また、映像データの一部が映像データ記憶部81に記憶された時点で、映像データ演算部82は画像の描画を開始しても良い。この方法では作動制御装置8は画像の描画と並行して映像データを映像データ記憶部81に記憶する。初めに、少なくとも1フレーム分の映像データを映像データ記憶部81に記憶した後に画像の描画を開始する。
【0069】
光源変調部84は映像データ演算部82から各色の輝度データを入力する。そして、輝度データを各色の輝度データに分離して光源ユニット4に出力する。光源ユニット4の赤色駆動回路410r、緑色駆動回路410g、青色駆動回路410bは各色の輝度データに応じて赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bの変調を行う。すなわち、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bのオン/オフや、出力の調整等を行う。
【0070】
描画タイミング生成部83は描画タイミング情報及び描画ライン情報を生成する。描画タイミング情報は映像データ演算部82に出力され、描画ライン情報は駆動信号指示部85に出力される。描画タイミング情報には描画を行うタイミングの情報等が含まれる。描画ライン情報には画像を構成する描画ラインの垂直方向21bの位置の情報等が含まれる。描画ラインの位置情報は描画ラインの垂直方向21bの位置として設定してもよいが、例えば、描画ラインの位置情報は描画ラインの両端及び中央等の位置情報として設定しても良い。
【0071】
アクチュエーター51の角度検出部52はその可動板511aの角度及び振れ角を検出する。そして、角度検出部52は角度及び振れ角の情報を作動制御装置8の描画タイミング生成部83に出力する。また、ガルバノミラー12の角度検出部13はミラー121の角度を検出する。そして、その角度のミラー121の角度情報を作動制御装置8の角度指示部86に出力する。
【0072】
1つの描画ラインの描画が終了するとき、描画タイミング生成部83は角度指示部86に次に描画する描画ラインの目標角度情報を出力する。詳細には、次に描画する描画ラインの描画開始点をレーザー光44に照射されるときのミラー121の目標角度情報を描画タイミング生成部83が出力する。ミラー121の目標角度は、隣り合う描画開始点の垂直方向の間隔が一定になるように設定される。角度指示部86は、角度検出部13によって検出されたミラー121の角度と前記ミラー121の目標角度とを比較する。そして、その角度の差が0になるような補正を行い、ガルバノミラー12の駆動部124に駆動データを出力する。
【0073】
駆動部124は駆動データに基づいてモーター122を駆動する。これにより、描画開始点にレーザー光44が照射されたとき、ミラー121の角度は目標角度になる。
【0074】
尚、各描画ラインにおける描画開始点から描画終了点までミラー121の角速度が一定となるようにして、レーザー光44の垂直方向21bの走査速度を等速としても良い。また、ミラー121の角速度を徐々に変化させ、レーザー光44の垂直方向21bの走査速度を徐々に変化させてもよい。
【0075】
描画タイミング生成部83は駆動信号指示部85に描画ライン情報を出力する。描画ライン情報は駆動信号を付与するかしないかの情報である。そして、駆動信号指示部85は、アクチュエーター51の駆動部517に駆動信号の大きさ及び周波数を示すデータ等の駆動データを出力する。
【0076】
駆動部517は駆動データと対応する駆動信号をコイル515に供給する。コイル515は所定の大きさ及び所定の周波数の電流を流し、所定の磁界を発生させて可動板511aを共振させる。このように、画像形成装置1は可動板511aの振れ角を調整しつつ、描画領域142の描画ライン上に、順次、レーザー光44を走査して画像を描画する。
【0077】
図7は画像形成装置の動作を説明するための模式図である。図7の左側の図は画像形成装置1がレーザー光44を照射する様子を投影面21と平行な方向から見た図を示している。図7の右側の図は画像形成装置1が投影した映像の図を示している。図7に示すように、画像形成装置1は、垂直方向21bの走査(以下、垂直走査と称す)を行い、垂直走査の往路及び復路において、水平方向21aの走査(以下、水平走査と称す)を行う。尚、画像形成装置1は映像の描画を垂直走査の往路または復路のどちらか一方で行う。水平走査する工程を第1駆動工程とし、垂直走査する工程を第2駆動工程とする。描画するときには、垂直走査と水平走査とを並行して行う。
【0078】
投影面21と平行な方向と画像形成装置1がレーザー光44を照射する方向とは斜めに交差するように配置されている。従って、画像形成装置1が光反射部511eの振れ角を変えずに俯角を変えて水平走査するとき、レーザー光44が走査する長さは画像形成装置1に近い場所程短くなる。レーザー光44が投影面21に照射可能な場所の左端を左端線44aとし、照射可能な場所の右端を右端線44cとする。左端線44aと右端線44cとの水平方向21aの間隔をレーザー光44の振れ幅44dとする。尚、振れ幅44dは光射出状態で可動板511aが回動するときに、レーザー光44が照射する水平方向21aの間隔を示す。レーザー光44の振れ幅44dは画像形成装置1に近い場所ほど狭くなり、画像形成装置1から離れる場所ほど長くなる。
【0079】
レーザー光44が投影面21に照射する軌跡のうち直線となっている部分を描画ライン141とするとき、描画ライン141は複数形成されジグザグに配置される。各描画ライン141のうち図中左側の端部及び図中右側の端部はミラー121の角速度(速度)が小さいため描画に適さない。このため、両側の端部を除いて画像を描画する領域である描画領域142を設定する。尚、描画領域142の形状は特に限定されないが、例えば、長方形または正方形をなすように設定される。
【0080】
可動板511aの振れ角が一定の場合には光射出状態でのレーザー光44の振れ幅はミラー121の角度に応じて変化する。そして、レーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠いほど長くなる。そこで、この画像形成装置1ではレーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠い場所ほど、可動板511aの振れ角が小さくなるように調整する。そして、光射出状態でのレーザー光44の振れ幅が描画領域142の幅よりも常に大きくなるように調整する。
【0081】
具体的には、レーザー光44が走査される投影面21上の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠ざかるにつれて、可動板511aの振れ角を徐々に減少させて、光射出状態でのレーザー光44の振れ幅が描画領域142の幅よりも常に大きくなるようにする。
【0082】
つまり、画像形成装置1は可動板511aの振れ角を制御することにより左端線44aと右端線44cとが平行になるようにレーザー光44の振れ幅を制御する。これにより、1画面を走査する時間の中で描画が占める時間の割合である時間開効率を高くすることができる。
【0083】
描画領域142の図中上側から奇数番目の各描画ライン141について、隣り合う描画ライン141同士の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度や角速度を調整するのが好ましい。さらに、図中上側から偶数番目の各描画ライン141について、隣り合う描画ライン141同士の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度や角速度を調整するのが好ましい。これにより、画像の垂直方向の歪みを防止することができる。
【0084】
描画領域142の水平方向21aの両側端部において、隣り合う描画ライン141の垂直方向の間隔が一定になるようにミラー121の角度と角速度を所定の値に設定する。すなわち、隣り合う描画開始点の垂直方向21bの間隔が一定になるようにミラー121の角度と角速度とを設定する。各描画ライン141の両側端部は描画開始点であり、両側端部の間隔を一定にすることにより映像を歪ませること無く投射することができる。尚、描画ライン141の垂直方向21bの位置が画像形成装置1から遠い場所ほど、ミラー121の角速度は小さく設定される。これにより、比較的簡単な制御で画像の垂直方向21bの歪みを防止することができる。
【0085】
図8はアクチュエーターの振れ角の推移を示すグラフである。図8において、縦軸は可動板の振れ角θを示し、図中上側が下側より大きな角度となっている。横軸は時間の経過を示し図中左側から右側に推移する。時間軸は駆動信号付与の区間、描画期間、帰線期間の順で移行し、帰線期間の次に描画期間に移行する。そして、帰線期間と描画期間とを繰り返すように推移する。振れ角遷移線30はアクチュエーター51の振れ角の遷移を示す線である。描画角遷移線31は描画角の遷移を示す線である。描画角は画像を描画する為に必要な可動板511aの振れ角を示している。
【0086】
駆動信号付与の区間において、作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与する。そして、通電手段516はコイル515に電流を流すことにより可動板511aを傾斜させる。従って、振れ角遷移線30は大きな角度となり、連結部511c及び連結部511dが捩れた状態となる。次に描画区間において、作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与しない。そして、通電手段516はコイル515への通電を停止する。このとき、可動板511aは回動運動をしながら連結部511c及び連結部511dに蓄えられたエネルギーを放出する。換言すれば、可動板511aは自由減衰振動する。従って、振れ角遷移線30は徐々に小さい角度へと減少する。
【0087】
垂直帰線期間としての帰線期間では作動制御装置8は通電手段516に駆動信号を付与する。そして、通電手段516はコイル515に電流を流すことにより可動板511aを傾斜させる。従って、振れ角遷移線30は大きな角度となり、連結部511c及び連結部511dが捩れた状態となる。そして、帰線区間と描画区間とを反復する。各区間において、振れ角遷移線30は描画角遷移線31より大きな角度となるように設定されている。つまり、アクチュエーター51の最大振れ角は、可動板511aの振れ角が描画期間中、常に描画角を上回る振れ角となるように設定する。
【0088】
可動板511aの振れ角の制御は、通電手段516がコイル515に駆動信号を付与するかしないかで制御する。また、通電手段516は、共振状態での所望の最大振れ角θとなる大きさ及び周波数の駆動信号をコイル515に付与する。これにより、可動板511aを確実に共振させることができ、効率良く駆動することができる。帰線期間が駆動信号を付与する期間である駆動期間38に相当し、描画期間が駆動信号を付与しない期間である惰性駆動期間37に相当する。
【0089】
図9は可動板を駆動する駆動信号の推移を示すグラフである。図9において、縦軸は駆動信号の大きさを示し、駆動信号は作動制御装置8がコイル515を駆動する信号を示す。横軸は時間の経過を示し、左側から右側に時間が推移する。そして、時間軸では駆動期間38と惰性駆動期間37とが交互に切り替わる。
【0090】
駆動信号推移線32は作動制御装置8がコイル515を駆動する信号の推移を示す線である。駆動信号推移線32が示すように駆動期間38では駆動信号は正弦波となっている。駆動信号指示部85はアクチュエーター51の最大振れ角となる大きさ及び周波数の駆動信号を付与する。これにより、アクチュエーター51は1自由度振動系において共振駆動される形態となる。そして、惰性駆動期間37内では駆動信号を付与しない。また、駆動期間38内の間に付与する正弦波の波数は特に限定されない。可動板511aの振れ角が適切な振れ角が設定できれば良く、駆動期間38内の間に付与する正弦波の数は複数でも良く1回のみでもよい。正弦波の数が少ない方が多いときと比べて制御が容易となる為、制御する電気回路を簡易な回路にすることができる。
【0091】
図10は可動板の回動と駆動信号との推移を示すグラフである。図10において、縦軸はコイル515を駆動する駆動信号の大きさと可動板511aが回動する角度を示す。横軸は駆動期間38における時間の経過を示し、左側から右側に時間が推移する。可動板角度推移線33は可動板511aが回動する角度の推移を示す。駆動信号推移線34は作動制御装置8がコイル515を駆動する駆動信号の推移を示す。可動板角度推移線33の位相と駆動信号推移線34の位相とは同位相となっている。そして、可動板511aが回転する方向と同じ方向に永久磁石514とコイル515による駆動力を加えている。これにより駆動部517は効率よくアクチュエーター51を駆動することができる。
【0092】
図11は可動板の振れ角の経時的変化を示すグラフである。図11において、縦軸は可動板の振れ角を示し、図中上側が下側より大きい角度となっている。横軸は時間の経過を示し、時間は図中左側から右側へ推移する。そして、時間軸は惰性駆動期間37と駆動期間38とを交互に繰り返す。振れ角推移線35は描画の際の可動板511aの振れ角の推移を示している。従って、振れ角推移線35は水平走査の動作に対応する。1フレームを描画する時間内は惰性駆動期間37と駆動期間38を有している。惰性駆動区間において可動板511aの振れ角は最大振れ角から徐々に減少する。次に、振れ角が最小振れ角に到達した後、駆動区間において振れ角は最大振れ角に増大する。再び、惰性駆動区間において振れ角は徐々に減少する。以降、振れ角は同様の動作を繰り返す。
【0093】
図12はガルバノミラーのミラー角度の経時的変化を示すグラフである。図12において、縦軸はミラーの角度を示し、図中上側が下側より大きい角度となっている。横軸は時間の経過を示し、時間は図中左側から右側へ推移する。そして、時間軸は惰性駆動区間と駆動区間とを交互に繰り返す。ミラー角度推移線36はガルバノミラーのミラー角度の推移を示している。従って、ミラー角度推移線36は垂直走査の動作に対応する。画像の描画を行う表示期間は惰性駆動期間37に行われ、画像の描画を行わない非表示期間は駆動期間38に行われる。
【0094】
ミラー角度推移線36は惰性駆動区間において直線状にミラー角度を増加させる。この間に所定の回数の水平走査が行われる。そして、ミラー角度推移線36は駆動期間38にミラー角度を減少させる。駆動期間38において次のフレームの描画を開始するタイミング等の各タイミングを調整することができる。
【0095】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1駆動工程は駆動期間38と惰性駆動期間37とを有している。駆動期間38では駆動力を付与して可動板511aを回転させるとともにばね性を有する連結部511c及び連結部511dにエネルギーを蓄積する。そして、惰性駆動期間37では連結部511c及び連結部511dの復元力を用いて可動板511aを回動させている。従って、所定の間隔を空けて可動板511aに駆動力を付与して可動板511aを回転することにより連結部511c及び連結部511dの復元力を用いてレーザー光44を走査することができる。その結果、レーザー光44を走査する制御を簡易に行うことができる。
【0096】
(2)本実施形態によれば、可動板511aが回転する方向と同じ方向に永久磁石514とコイル515による駆動力を加えている。これにより駆動部517は効率よくアクチュエーター51を駆動することができる。
【0097】
(3)本実施形態によれば、垂直帰線期間内で描画を行わないときに通電手段516はコイル515に駆動信号を付与している。可動板511aに駆動力を付与するとき可動板511aの回転速度が急激に変化するので、レーザー光44を走査する早さが急激に変化する。そして、レーザー光44の走査速度が急激に変化するときに描画すると画像に乱れが生じる。本実施形態では、描画に影響を与えずに可動板511aに駆動力を付与する為、品質の良い画像を描画することができる。
【0098】
(4)本実施形態によれば、1つの駆動期間38に駆動力を1回のみ付与しても良いとしている。このとき、1つの駆動期間38に駆動力の付与を複数回実施する方法に比べて、簡易に駆動力を付与することができる。その結果、駆動力の付与を制御する回路を簡易にすることができる。
【0099】
(5)本実施形態によれば、図8における振れ角遷移線30が描画角遷移線31より大きな角度で推移するように作動制御装置8は可動板511aを作動させている。つまり、水平方向21aを走査するレーザー光44の範囲が描画領域142の範囲より大きくなるように駆動力を付与している。従って、水平方向21aにおいては確実に描画を行うことができる。
【0100】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザー光44を平行光線にするためにコリメーターレンズ42r、42g、42bを用いたが、これに限定されない。コリメーターミラー等の光学素子を用いても良い。この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bから平行光束が射出される場合、コリメーターレンズ42r、42g、42bは必ずとも必要でなく、省略することができる。光学素子を減らせるので簡易な装置にすることができる。
【0101】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、赤色レーザー光源41r、緑色レーザー光源41g、青色レーザー光源41bを用いたが、これに限らない。発光ダイオード等の光源を用いても良い。レーザー光源と同様の画像を形成することができる。さらに、簡易で軽量な装置にすることができる。
【0102】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、ダイクロイックミラー43r、43g、43bがこの順に配置され、レーザー光44を結合した。ダイクロイックミラー43r、43g、43bが結合する色の順番は特に限定されない。例えば、ダイクロイックミラー43g、43b、43rがこの順に配置されても良く、ダイクロイックミラー43b、43r、43gがこの順に配置されても良い。結合するレーザー光44の色の順序は自由に設定しても良い。
【0103】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、アクチュエーター51の駆動にコイル515と永久磁石514とを用いた電磁駆動を用いた。アクチュエーター51を駆動する方法はこの方法に限定されない。例えば、駆動方式については、圧電素子を用いた圧電駆動や静電引力を用いた静電駆動としてもよい。圧電駆動や静電駆動の場合は、駆動信号として、電圧信号を用いる。光反射部511eの大きさや重量に合わせて設定しても良い。
【0104】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、光源ユニット4から射出したレーザー光44をアクチュエーター51の光反射部511eに反射させ、次に、ガルバノミラー12のミラー121の反射面に反射させた。反射させる順番はこれに限らない。光源ユニット4から射出したレーザー光44を、先に、ガルバノミラー12のミラー121の反射面に反射させ、次に、アクチュエーター51の光反射部511eの反射面で反射させるようにしてもよい。すなわち、先に、垂直走査がなされ、次に、水平走査がなされるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…画像形成装置、4…射出部としての光源ユニット、5…光走査部、8…駆動制御部としての作動制御装置、21…投影面、37…惰性駆動期間、38…駆動期間、44…光としてのレーザー光、52…角度検出部、121…反射面としてのミラー、511c,511d…ばねとしての連結部、511e…反射面としての光反射部、517…駆動部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面に光を反射させて投射面に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、
前記反射面を回動させて第1方向に光を走査する第1駆動工程と、前記反射面を回動させて前記第1方向と交差する第2方向に光を走査する第2駆動工程と、を有し、
前記反射面はばねと接続され、前記第1駆動工程は駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる駆動期間と、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させる惰性駆動期間と、を有していることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記駆動期間では前記反射面が回転する方向と同じ方向に前記駆動力を加えることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記駆動期間は描画を行わない垂直帰線期間内に行われることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
1つの前記駆動期間に前記駆動力を1回付与することを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記第1方向を走査する光の範囲が前記画像の範囲より大きくなるように前記駆動力を付与することを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項6】
投射面に対して光を走査し画像を形成する画像形成装置であって、
光を射出する射出部と、
前記射出部から射出された光を反射させ回動可能に設けられた反射面を有し、前記投射面に対して第1方向に走査するとともに、前記第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で前記第1方向と交差する第2方向に走査する光走査部と、
前記光走査部を制御する駆動制御部と、を有し、
前記駆動制御部は前記反射面を前記第1方向に走査させる駆動部と、前記反射面の前記第2方向における角度を検出する角度検出部と、を有し、
前記駆動部は前記角度検出部で検出した前記角度に応じて前記反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させ、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
反射面に光を反射させて投射面に画像を形成する画像形成装置の駆動方法であって、
前記反射面を回動させて第1方向に光を走査する第1駆動工程と、前記反射面を回動させて前記第1方向と交差する第2方向に光を走査する第2駆動工程と、を有し、
前記反射面はばねと接続され、前記第1駆動工程は駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させる駆動期間と、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させる惰性駆動期間と、を有していることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記駆動期間では前記反射面が回転する方向と同じ方向に前記駆動力を加えることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記駆動期間は描画を行わない垂直帰線期間内に行われることを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
1つの前記駆動期間に前記駆動力を1回付与することを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置の駆動方法であって、
前記第1方向を走査する光の範囲が前記画像の範囲より大きくなるように前記駆動力を付与することを特徴とする画像形成装置の駆動方法。
【請求項6】
投射面に対して光を走査し画像を形成する画像形成装置であって、
光を射出する射出部と、
前記射出部から射出された光を反射させ回動可能に設けられた反射面を有し、前記投射面に対して第1方向に走査するとともに、前記第1方向に走査する走査速度よりも遅い走査速度で前記第1方向と交差する第2方向に走査する光走査部と、
前記光走査部を制御する駆動制御部と、を有し、
前記駆動制御部は前記反射面を前記第1方向に走査させる駆動部と、前記反射面の前記第2方向における角度を検出する角度検出部と、を有し、
前記駆動部は前記角度検出部で検出した前記角度に応じて前記反射面に駆動力を付与して前記反射面を回転させるとともにばねにエネルギーを蓄積させ、前記ばねの復元力を用いて前記反射面を回動させることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−132976(P2012−132976A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282743(P2010−282743)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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