画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、画像形成装置用のユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
【課題】弾性層の長手方向端部の一方又は両方の剥れが抑制された画像形成装置用の清掃部材を提供すること。
【解決手段】清掃部材100を、例えば、シャフト100Aと、弾性層100Bと、を備えたロール状の部材で構成する。弾性層100Bは、例えば、シャフト100Aの一端から他端にかけて、シャフト100Aの軸を螺旋軸とし、間隔を持ってシャフト100Aの軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に巻き付けた状態で配置されている。そして、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させる。具体的には、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方をそれぞれ配置させる。
【解決手段】清掃部材100を、例えば、シャフト100Aと、弾性層100Bと、を備えたロール状の部材で構成する。弾性層100Bは、例えば、シャフト100Aの一端から他端にかけて、シャフト100Aの軸を螺旋軸とし、間隔を持ってシャフト100Aの軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に巻き付けた状態で配置されている。そして、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させる。具体的には、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方をそれぞれ配置させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、画像形成装置用のユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、感光体等からなる像保持体の表面を帯電装置によって帯電して電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成する。その後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の被転写体に静電的に転写し、被転写体に定着することにより画像が得られる。
【0003】
ところで、特許文献1、2では、螺旋状の弾性部材で摺擦してクリーニングを行うクリーニングロールが開示されている。
また、特許文献3には、螺旋状に形成されたスリットを設けたクリーニングロールが開示されている。
また、特許文献4には、回転方向に対して斜めに形成された溝を有するクリーニングロールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−137208号公報
【特許文献2】特開2001−209238号公報
【特許文献3】特開2006−276404号公報
【特許文献4】特開2008−96822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された場合に比べ、弾性層の長手方向端部の一方又は両方の剥れが抑制された画像形成装置用の清掃部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された弾性層であって、前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が被清掃面に対して非接触な状態に配置された弾性層と、
を備える画像形成装置用の清掃部材。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記芯体の軸方向端部の一方又は両方に、前記芯体の外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部を備え、当該凹部に前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が、被清掃面に対して外側に配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記被清掃面に対して非接触な状態に配置された前記弾性層の長手方向端部が、前記清掃部材が回転したとき、前記弾性層の長手方向端面側から前記被清掃面に突入する側における端部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0010】
請求項5に係る発明は、
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置。
【0011】
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0012】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段であって、請求項5に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【0013】
請求項8に係る発明は、
被清掃部材と、
前記被清掃部材の表面に接触して配置され、前記被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える画像形成装置用のユニット。
【0014】
請求項9に係る発明は、
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0015】
請求項10に係る発明は、
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2、3に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両端部が被清掃面に接触する状態で配置された場合に比べ、弾性層の長手方向端部の両方の剥れが抑制された画像形成装置用の清掃部材が提供される。
請求項4に係る発明によれば、清掃部材が回転したとき、弾性層の長手方向端面側とは反対側から被清掃面に突入する側における端部に比べ弾性層の剥れが生じ易い、弾性層の長手方向端面側から被清掃面に突入する側における弾性層の長手方向端部の剥れが抑制される。
請求項5に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下が抑制された帯電装置が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下による画像欠陥が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、被清掃部材の表面汚染に起因する性能低下が抑制された画像形成装置用のユニットが提供される。
請求項9、10に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、被清掃部材の表面汚染に起因する性能低下による画像欠陥が抑制されたプロセスカートリッジ、画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図3】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図4】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材における弾性層を示す拡大平面図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の製造方法を示す工程図である。
【図7】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。
【図8】本実施形態に係る電子写真画像形成装置を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図10】図8及び図9における帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
【図11】本実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、同じ機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0019】
(清掃部材)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。図2は、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【0020】
本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材100(以下、単に清掃部材と称する)は、図1に示すように、芯体として実密構造(非中空構造)のシャフト100Aと、弾性層100Bと、を備えたロール状の部材である。弾性層100Bは、シャフト100Aの表面に螺旋状に配置されている。具体的には、弾性層100Bは、例えば、シャフト100Aの一端から他端にかけて、シャフト100Aの軸を螺旋軸とし、間隔を持ってシャフト100Aの軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に巻き付けた状態で配置されている。
【0021】
そして、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置されている。つまり、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの端部が被清掃面に対して接触することがないように構成されている。
【0022】
具体的には、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置されている。なお、本実施形態では、シャフト100Aの軸方向端部の両方に凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の両方がそれぞれ配置されている形態を示す。
【0023】
シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図2に示すように、シャフト100Aの軸方向端部の先端を半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工部)が挙げられる。無論、これに限られず、例えば、シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図3に示すように、シャフト100Aの軸方向端部の先端を残した状態で、当該端部を半円柱状に切欠いた切欠き部であってもよい。
そして、弾性層100Bの長手方向端部は、凹部100Cとしての切欠き部の底面に配置されると、当該弾性層100Bの長手方向端部が清掃部材100の外周面(清掃部材100の軸方向中央部における弾性層表面)よりも突出しない状態で配置される。言い換えれば、弾性層100Bの長手方向端部の表面は、清掃部材100の軸方向中央部における弾性層表面よりも清掃部材100の中心側(径方向の中心側)に凹んだ位置に配置される。
これにより、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの長手方向端部が被清掃面に対して接触することがなくなる。
【0024】
また、シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図4に示すように、シャフト100Aの軸方向端部(その外周面)に、シャフト100Aの径方向に深さを持つよういに開口させた開口部であってもよい。
そして、弾性層100Bの長手方向端部を、凹部100Cとしての開口部に配置させることで(つまり、開口部に入り込ませて配置させることで)、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの長手方向端部が被清掃面に対して接触することがなくなる。
【0025】
以下、各部材について詳細に説明する。
まず、シャフトにについて説明する。
シャフト100Aに用いる材質としては、金属(例えば、快削鋼又はステンレス鋼等)、又は樹脂(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)やポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は必要に応じて選択するのが望ましい。
特に、シャフト100Aが金属で構成される場合メッキ処理を施すのが望ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0026】
次に、弾性層について説明する。
弾性層100Bは、螺旋状に配置されているが、具体的には、例えば、螺旋角度θが10°以上65°以下、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下であることがよい。また、螺旋ピッチR2は、螺旋角度θと螺旋幅R1によって決定されるものであるが、上記螺旋角度θと螺旋幅R1の組み合わせによっては、弾性層が重なりある可能性があるため、螺旋ピッチR2としては0mm以上であることがよく、具体的には例えば、5mm以上10mm以下であることがよい。
【0027】
ここで、図5に示すように、螺旋角度θとは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)と清掃部材の軸方向Q(シャフト軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋幅R1とは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った、隣合う弾性層100B間の長さを意味する。
また、弾性層100Bとは100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
【0028】
弾性層100Bの材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂、或いは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、CR、塩素化ポリイソプレン、イソプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム等のゴム材料を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。なお、これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、又は加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0029】
これらの中も、気泡を有する材料(いわゆる発泡体)がよく、特に、擦れによる被清掃部材の表面に傷を付けない、長期に渡り千切れや破損が生じないようにする観点から、引っ張りに強い発泡ポリウレタンであることが望ましい。
ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリーエテルポリエステルやアクリルポリール等)と、イソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、の反応物が挙げられ、鎖延長剤(1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン)が含まれたものであってもよい。そして、ポリウレタンの発泡は、例えば、水やアゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)等の発泡剤を用いて行われるのが一般的である。また、発泡ポリウレタンには、必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
【0030】
弾性層100Bの構成としては、1層構成でも積層構成でも構わない。具体的には、弾性層100Bの構成としては、例えば、発泡体1層からなる構成でも、ソリッド層と発泡層との2層の構成でも構わない。
【0031】
次に、本実施形態に係る清掃部材100の製造方法について説明する。
本実施形態に係る清掃部材100の製造方法としては、例えば、シート状の弾性層用部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備し、これに両面テープを貼り付けた後、打ち抜いて短冊を得て、これをシャフト100Aに巻き付けて、弾性層100Bを形成して清掃部材100を得る方法が挙げられる。
【0032】
本方法をより詳細に説明すると、まず、図6(A)に示すように、目的の厚みとなるようにスライス加工を施したシート状の弾性層用部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備する。このシート状の弾性層用部材の片面に、例えば、両面テープ(不図示)に代表される粘着部材を貼り付けた後、打ち抜き型により当該部材を打ち抜いて、目的とする幅・長さの短冊100E(両面テープ付き短冊)を得る。一方で、予め軸方向端部に凹部100Cを設けたシャフト100Aも準備する。
次に、図6(B)に示すように、両面テープが付いた面を上方にして短冊100Eを配置し、この状態で両面テープの剥離紙の一端を剥がし、当該剥離紙を剥離した両面テープ上に、シャフト100Aをその軸方向端部に設けた凹部100Cに位置するように載せる。
次に、図6(C)に示すように、両面テープの剥離紙を剥がしながら、目的とする速度でシャフト100Aを回転させて、シャフト100Aの外周面に短冊100Eを螺旋状に巻き付けていき、シャフト100Aの外周面に螺旋状に配置された弾性層100Bを有する清掃部材100を得る。なお、図示しないが、短冊100Eの巻き終わりの端部も、シャフト100Aを軸方向端部に設けた凹部100Cに位置するようにする。
【0033】
以上、説明した本実施形態に係る清掃部材100は、回転に伴い、螺旋状に配置された弾性層100Bが被清掃部材の表面(被清掃面)に対して接触・離間を繰り返して清掃を行い、被清掃部材の表面(被清掃面)を基準にして見ると、弾性層100Bの螺旋幅方向両端部の角部がシャフト100Aの軸方向側(螺旋軸方向側)に力が付加されて清掃を行う。
【0034】
この際、弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)端部が被清掃面に接触すると、当該弾性層100Bの端部が剥れ易くなる。
【0035】
そこで、本実施形態に係る清掃部材100では、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に(本実施形態では両方)、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方(本実施形態では両方)がそれぞれ配置されている。これにより、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置させている。
したがって、本実施形態に係る清掃部材100では、弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方の剥れが抑制される。
【0036】
ここで、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置させているが、特に、清掃部材100の回転したとき、弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側から被清掃面に突入する側における弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端部を被清掃面に対して非接触な状態に配置させることがよい。
弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側から被清掃面に突入する側における弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端部とは、当該端部の端面が清掃部材100の回転方向側に向く端部である(図2、図3及び図4参照:ここで、矢印は清掃部材100の回転方向、101は被清掃面を示す。)。
この弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側の端部の方が、被清掃面と接触する際、弾性層100Bが剥れる方向に力が付加され易くなることから、当該弾性層100Bの端部での剥れが抑制される。
【0037】
そして、この本実施形態に係る清掃部材100を、帯電装置(帯電部材とこれに接触して配置される清掃部材とのユニット)では、弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両端部の剥れが抑制されるので、弾性層100B全体の剥れも抑制され、清掃能力が維持されることから、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能の低下が抑制される。
また、上記本実施形態に係る清掃部材100と帯電部材とを備える帯電装置を適用した画像形成装置(又はプロセスカートリッジ)では、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下に起因する画像欠陥が抑制される。
【0038】
なお、本実施形態に係る清掃部材100では、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に(本実施形態では両方)、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方(本実施形態では両方)がそれぞれ配置させることで、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させている形態を説明したが、これに限られず、例えば、図7に示すように、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して外側に配置させた形態であってもよい。
この形態によっても、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させられる。
【0039】
ここで、図7では、被清掃部材として、導電性シャフト14Aの周囲に弾性層14Bが形成された帯電部材14を示しており、被清掃面は、当該帯電部材14の弾性層14Bの外周面が相当する。そして、弾性層100Bの長手方向端部を被清掃面の外側に位置させるとは、具体的には、例えば、当該被清掃面を構成する部材(帯電部材14の弾性層14B)の軸方向外側を示す。
また、弾性層100Bの長手方向端部を被清掃面の外側に位置させるには、例えば、シャフト100Aの軸方向長さを被清掃面に対して長くして、当該弾性層100Bの端部を被清掃面外側に位置させる領域を確保する手法や、被清掃面に切削加工を施し(例えば帯電部材14の場合、弾性層14Bを軸方向中央部側に向かって短くなるように切削加工を施し)て、弾性層100Bの端部を被清掃面外側に位置させる領域を確保する手法等が挙げられる。
【0040】
なお、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方にシャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設ける形態では、被清掃部材の大きさを考慮することなく、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部と被清掃面との非接触状態が実現される利点がある。
一方、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部を被清掃面に対して外側に配置させた形態では、清掃部材100のシャフト100A等に加工を施すことなく、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部と被清掃面との非接触状態が実現される利点がある。
【0041】
(画像形成装置等)
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置10は、例えば、図8に示すように、タンデム方式のカラーの画像形成装置である。本実施形態に係る画像形成装置10の内部には、感光体(像保持体)12や帯電部材14や現像装置等が、イエロー(18Y)、マゼンタ(18M)、シアン(18C)、及び黒(18K)が各色毎にプロセスカートリッジ(図9参照)として備えられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置10に脱着される構成となっている。
【0043】
感光体12としては、例えば、表面に有機感材等よりなる感光体層が被覆された直径が25mmの導電性円筒体が用いられ、図示しないモータにより、150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0044】
感光体12の表面は、感光体12表面に配置された帯電部材14によって帯電された後、帯電部材14より感光体12の回転方向下流側に、露光装置16から出射されるレーザービームLBによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0045】
感光体12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置19Y、19M、19C、19Kによって現像され、各色のトナー像となる。
【0046】
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0047】
感光体12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体12と用紙搬送ベルト20を介して転写装置22が接する箇所にて、感光体12の外周に用紙搬送ベルト20上を搬送される記録用紙24へ転写される。さらに、感光体12上からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱・加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上にそのまま排出される。
【0048】
−方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出部68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト20上へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24(被転写体)を排出部68上に排出する。
【0049】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体12の表面は、感光体12が1回転する毎に、感光体12の表面であって、転写装置22が接する箇所よりも感光体12の回転方向下流側に配置された清掃ブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0050】
ここで、図10及び図11に示すごとく、帯電部材14は、例えば、導電性シャフト14Aの周囲に弾性層14Bが形成されたロールであり、シャフト14Aは回転自在に支持されている。帯電部材14の感光体12と反対側には、帯電部材14の清掃部材100が接触して、帯電装置(ユニット)を構成している。この清掃部材100として、本実施形態に係る清掃部材100が用いられる。
【0051】
帯電部材14はシャフト14Aの両端へ荷重Fをかけて感光体12へ押付け、弾性層14Bの周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。更に、清掃部材100はシャフト100Aの両端へ荷重F’をかけて帯電部材14へ押付け、弾性層100Bが帯電部材14の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成することで、帯電部材14の撓みを抑えて、帯電部材14と感光体12の軸方向のニップ部を形成している。
【0052】
感光体12は、図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動され、感光体12の回転により帯電部材14が矢印Y方向に従動回転する。また、帯電部材14の回転により清掃部材100が矢印Z方向に従動回転する。
【0053】
−帯電部材の構成−
以下、帯電部材の説明をするが、以下の構成に限定されるものではない。符号は省略して説明する。
【0054】
帯電部材の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、シャフト、弾性層、若しくは弾性層の代わりに樹脂層を有する構成が挙げられる。弾性層は単層構成からなるものであってよく、幾つもの機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。更には、弾性層の上に表面処理を行ってもよい。
【0055】
シャフトの材質としては快削鋼、ステンレス鋼等を使用し、摺動性等の用途に応じて材質及び表面処理方法は適時選択するのが望ましい。また、メッキ処理するのが望ましい。導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0056】
弾性層は導電性弾性層とするが、導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ又は炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフトの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等が用いられる。また、弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0057】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びこれらのブレンドゴムが好適に挙げられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0058】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
【0059】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが望ましく、一方、イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましい。
【0060】
帯電部材の表面は、表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好適に挙げられる。
共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが望ましい。
【0061】
高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが望ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより望ましい。
【0062】
また表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。
【0063】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
【0064】
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
カーボンブラックはpH4.0以下が望ましい。
【0065】
抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、何れの粒径であってもよいが、望ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が望ましい。
【0066】
さらに、表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が好適に用いられる。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが望ましい。また、表面層の中に粒子を添加してもよい。また、アルミナやシリカ等の絶縁性粒子を添加して、帯電部材の表面に凹部を付与し、感光体との摺擦時の負担を小さくして帯電部材と感光体相互の耐磨耗性を向上させてもよい。
【0067】
帯電部材の外径としては8mm以上16mm以下が望ましい。また、外径の測定方法としては市販のノギスやレーザー方式外径測定装置を用いて測定される。
【0068】
帯電部材のマイクロ硬度は45°以上60°以下が望ましい。低硬度化にする為には可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴム等の低硬度の材料を使用することが考えられる。
【0069】
また、帯電部材のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定した値を用いている。
【0070】
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、感光体(像保持体)、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)、現像装置、清掃ブレード(クリーング装置)を備えたプロセスカートリッジを説明したが、これに限られず、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)を備え、その他必要に応じて、感光体(像保持体)、露光装置、転写装置、及び現像装置、清掃ブレード(クリーング装置)から選択されるものを備えたプロセスカートリッジとしてもよい。なお、これら装置や部材をカートリッジ化せず、画像形成装置に直接配置した形態であってもよい。
【0071】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、帯電装置として、帯電部材と清掃部材とのユニットで構成した形態を説明したが、つまり、被清掃部材として帯電部材を採用した形態を説明したが、これに限られず、被清掃部材としては、感光体(像保持体)、転写装置(転写部材;転写ロール)、中間転写体(中間転写ベルト)が挙げられる。そして、これら被清掃部材とこれに接触して配置される清掃部材とのユニットを、画像形成装置に直接配置してもよいし、上記同様にプロセスカートリッジのようにカートリッジ化して画像形成装置に配置してもよい。これら、帯電部材以外を被清掃部材として適用したユニット、又は画像形成装置でも、繰り返し使用により付着した被清掃部材の汚れ(表面汚染)に起因する画像欠陥が抑制される。
【0072】
また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
[実施例1]
(クリーニングロールの作製)
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製EP70)を厚さ2.35mmのシート状にスライスし、両面テープ(住友スリーエム製、F−9460PC)を貼り付けた後、幅6mm、長さ232mm(長さは最低長)の短冊状に裁断した。この短冊を、ステンレス(SUS304)製シャフト(外径Φ5mm、軸方向長さ230mm)へ、巻き付け角度(螺旋角度)26°で巻き付けて、螺旋状に弾性層を形成し、クリーニングロールを得た。なお、弾性層は、螺旋角度(θ)が26°、螺旋幅(R1)が6mm、螺旋ピッチ(R2)が6.5mm、螺旋方向中央部での厚み(肉厚)が2mmであった。
【0075】
(帯電ロールの作製)
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(ダイソー社製、EPION301)100質量部にイオン導電剤PEL−100(日本カーリット社製)3質量部を添加して十分混練した後、これを押し出し成形後、径φ6、軸方向長さL=240mmのSUM−Ni製シャフト(硫黄快削鋼にニッケルメッキを施したもの)を挿入し、プレス成形機にて成形・加硫を行った後、研磨によって所望の外径に加工を行い、端部外径Φ8.95mm、中央部外径φ9.00mmとなるようにゴム層(弾性層)を加工した。
次いで、当該帯電ロールのゴム層(弾性層)端部を切断加工し、ゴム層の軸方向長さを215mmとした。この時、後述する印字テスト装置に組み込む際に、上記クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該クリーニングロール弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、帯電ロールのゴム層(弾性層)切断加工位置をシャフト軸方向一端部側のみ施し調整した。その後、この帯電ロール表面に、四フッ化エチレンとビニルエーテルとの共重合体樹脂(ダイキン工業社製ゼッフルGK−500)100質量部及びイソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL)2質量部を含む表面層用分散液に浸漬コーティング方法によってフッ素系樹脂を、膜厚5μmでコーティングを実施した。
【0076】
(印字テスト)
作製したクリーニングロールと帯電ロールを当該ロール間の食い込み量を決める専用軸受け(導電性POM製)と共にDELL製C3110cnのプロセスカートリッジに組み込み、当該プロセスカートリッジをDELL製C3110cnに取り付けて連続印字テストを実施した。
ここで、クリーニングロールと帯電ロールとの取り付け方法であるが、クリーニングロールが0.3mmだけ帯電ロールに食い込むようそれぞれの軸間距離を固定(定変位取り付け)し、従動回転するよう取り付けて使用した。
また、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0077】
印字テストは、クリーニングロールの弾性層の端部剥がれは、断続回転動作の繰り返しが原因となり易いため、用紙1枚ずつ印字されるように指示を送り、クリーニングロールの回転動作が断続するように実施した。
そして、クリーニングロールの弾性層の端部剥がれは、クリーニングロールを感光体25,000回転毎に目視で観察した結果であり、そのときの帯電ロールのクリーニング性能如何にか関わらず、剥がれを確認した時点でテスト終了した結果である。
結果を表1に示す。
【0078】
[実施例2]
クリーニングロールとして実施例1と同様な方法で作製したものを準備した。
ゴム層のシャフト軸方向長を210mm(シャフトに対するゴム層の非被覆領域は両端とも同一長)とした以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。つまり、上記クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)と接触しないように、帯電ロールのゴム層(弾性層)切断加工位置をシャフト軸方向両端部に施し調整した以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。
【0079】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った(図7参照)。
【0080】
[実施例3]
ステンレス製シャフトの軸方方向一端部のみに、半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工による切欠き部)からなる凹部を形成したものを準備し、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部が、当該D面加工による切欠き部の底面に位置するようにして、短冊をシャフトへ巻き付けた以外は(図1、図2参照)、実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
ゴム層のシャフト軸方向長を230mm(シャフトに対するゴム層の非被覆領域は両端とも同一長)とした以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。
【0081】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触せずに、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0082】
[実施例4]
ステンレス製シャフトの軸方方向両端部に、半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工による切欠き部)からなる凹部を形成したものを準備し、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方が、当該D面加工による切欠き部の底面に位置するようにして、短冊をシャフトへ巻き付けた以外は(図1、図2参照)、実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
一方、実施例3と同様にして帯電ロールを作製した。
【0083】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触せずに、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った(図11参照)。
【0084】
(比較例)
実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
一方、実施例3と同様にして帯電ロールを作製した。
【0085】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触して、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0086】
【表1】
【0087】
上記結果から、実施例では、比較例に比べ、クリーニングロールの弾性層剥れ(弾性層の長手方向端部の剥れ)が抑制されることがわかる。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置、12 感光体、14 帯電ロール、14A シャフト、14B 弾性層、16 露光装置、19Y、19M、19C、19K 現像装置、20 用紙搬送ベルト、22 転写装置、24 記録媒体、53 帯電ロール、64 定着装置、66 排出ロール、68 排出部、70 用紙搬送路、72 搬送ロール、80 清掃ブレード、100 清掃部材、100A シャフト、100B 弾性層
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用の清掃部材、帯電装置、画像形成装置用のユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、感光体等からなる像保持体の表面を帯電装置によって帯電して電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成する。その後、帯電したトナーにより静電潜像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の被転写体に静電的に転写し、被転写体に定着することにより画像が得られる。
【0003】
ところで、特許文献1、2では、螺旋状の弾性部材で摺擦してクリーニングを行うクリーニングロールが開示されている。
また、特許文献3には、螺旋状に形成されたスリットを設けたクリーニングロールが開示されている。
また、特許文献4には、回転方向に対して斜めに形成された溝を有するクリーニングロールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−137208号公報
【特許文献2】特開2001−209238号公報
【特許文献3】特開2006−276404号公報
【特許文献4】特開2008−96822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された場合に比べ、弾性層の長手方向端部の一方又は両方の剥れが抑制された画像形成装置用の清掃部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された弾性層であって、前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が被清掃面に対して非接触な状態に配置された弾性層と、
を備える画像形成装置用の清掃部材。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記芯体の軸方向端部の一方又は両方に、前記芯体の外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部を備え、当該凹部に前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が、被清掃面に対して外側に配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記被清掃面に対して非接触な状態に配置された前記弾性層の長手方向端部が、前記清掃部材が回転したとき、前記弾性層の長手方向端面側から前記被清掃面に突入する側における端部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【0010】
請求項5に係る発明は、
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置。
【0011】
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0012】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段であって、請求項5に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【0013】
請求項8に係る発明は、
被清掃部材と、
前記被清掃部材の表面に接触して配置され、前記被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える画像形成装置用のユニット。
【0014】
請求項9に係る発明は、
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0015】
請求項10に係る発明は、
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2、3に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両端部が被清掃面に接触する状態で配置された場合に比べ、弾性層の長手方向端部の両方の剥れが抑制された画像形成装置用の清掃部材が提供される。
請求項4に係る発明によれば、清掃部材が回転したとき、弾性層の長手方向端面側とは反対側から被清掃面に突入する側における端部に比べ弾性層の剥れが生じ易い、弾性層の長手方向端面側から被清掃面に突入する側における弾性層の長手方向端部の剥れが抑制される。
請求項5に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下が抑制された帯電装置が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下による画像欠陥が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、被清掃部材の表面汚染に起因する性能低下が抑制された画像形成装置用のユニットが提供される。
請求項9、10に係る発明によれば、螺旋状に設けられ弾性層の長手方向端部の両方が被清掃面に接触する状態で配置された清掃部材を適用した場合に比べ、被清掃部材の表面汚染に起因する性能低下による画像欠陥が抑制されたプロセスカートリッジ、画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図3】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図4】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材における弾性層を示す拡大平面図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の製造方法を示す工程図である。
【図7】他の本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。
【図8】本実施形態に係る電子写真画像形成装置を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図10】図8及び図9における帯電部材(帯電装置)周辺部分を拡大した概略構成図である。
【図11】本実施形態に係る帯電装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、同じ機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0019】
(清掃部材)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材を示す概略平面図である。図2は、本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材の軸方向端部を示す拡大斜視図である。
【0020】
本実施形態に係る画像形成装置用の清掃部材100(以下、単に清掃部材と称する)は、図1に示すように、芯体として実密構造(非中空構造)のシャフト100Aと、弾性層100Bと、を備えたロール状の部材である。弾性層100Bは、シャフト100Aの表面に螺旋状に配置されている。具体的には、弾性層100Bは、例えば、シャフト100Aの一端から他端にかけて、シャフト100Aの軸を螺旋軸とし、間隔を持ってシャフト100Aの軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に巻き付けた状態で配置されている。
【0021】
そして、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置されている。つまり、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの端部が被清掃面に対して接触することがないように構成されている。
【0022】
具体的には、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置されている。なお、本実施形態では、シャフト100Aの軸方向端部の両方に凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の両方がそれぞれ配置されている形態を示す。
【0023】
シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図2に示すように、シャフト100Aの軸方向端部の先端を半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工部)が挙げられる。無論、これに限られず、例えば、シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図3に示すように、シャフト100Aの軸方向端部の先端を残した状態で、当該端部を半円柱状に切欠いた切欠き部であってもよい。
そして、弾性層100Bの長手方向端部は、凹部100Cとしての切欠き部の底面に配置されると、当該弾性層100Bの長手方向端部が清掃部材100の外周面(清掃部材100の軸方向中央部における弾性層表面)よりも突出しない状態で配置される。言い換えれば、弾性層100Bの長手方向端部の表面は、清掃部材100の軸方向中央部における弾性層表面よりも清掃部材100の中心側(径方向の中心側)に凹んだ位置に配置される。
これにより、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの長手方向端部が被清掃面に対して接触することがなくなる。
【0024】
また、シャフト100Aの軸方向端部に設ける凹部100Cとしては、図4に示すように、シャフト100Aの軸方向端部(その外周面)に、シャフト100Aの径方向に深さを持つよういに開口させた開口部であってもよい。
そして、弾性層100Bの長手方向端部を、凹部100Cとしての開口部に配置させることで(つまり、開口部に入り込ませて配置させることで)、清掃部材100が周方向に一回転する間、当該弾性層100Bの長手方向端部が被清掃面に対して接触することがなくなる。
【0025】
以下、各部材について詳細に説明する。
まず、シャフトにについて説明する。
シャフト100Aに用いる材質としては、金属(例えば、快削鋼又はステンレス鋼等)、又は樹脂(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)やポリアセタール樹脂(POM)等)が挙げられる。なお、材質及び表面処理方法等は必要に応じて選択するのが望ましい。
特に、シャフト100Aが金属で構成される場合メッキ処理を施すのが望ましい。また、樹脂等で導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等の一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0026】
次に、弾性層について説明する。
弾性層100Bは、螺旋状に配置されているが、具体的には、例えば、螺旋角度θが10°以上65°以下、螺旋幅R1が3mm以上25mm以下であることがよい。また、螺旋ピッチR2は、螺旋角度θと螺旋幅R1によって決定されるものであるが、上記螺旋角度θと螺旋幅R1の組み合わせによっては、弾性層が重なりある可能性があるため、螺旋ピッチR2としては0mm以上であることがよく、具体的には例えば、5mm以上10mm以下であることがよい。
【0027】
ここで、図5に示すように、螺旋角度θとは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)と清掃部材の軸方向Q(シャフト軸方向)とが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋幅R1とは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った長さを意味する。
螺旋ピッチR2とは、弾性層100Bの長手方向P(螺旋方向)に対して直交する方向に沿った、隣合う弾性層100B間の長さを意味する。
また、弾性層100Bとは100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
【0028】
弾性層100Bの材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、又はポリプロピレン等の発泡性の樹脂、或いは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、CR、塩素化ポリイソプレン、イソプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム等のゴム材料を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。なお、これらには必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、又は加硫促進剤等の助剤を加えてもよい。
【0029】
これらの中も、気泡を有する材料(いわゆる発泡体)がよく、特に、擦れによる被清掃部材の表面に傷を付けない、長期に渡り千切れや破損が生じないようにする観点から、引っ張りに強い発泡ポリウレタンであることが望ましい。
ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリーエテルポリエステルやアクリルポリール等)と、イソシアネート(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、の反応物が挙げられ、鎖延長剤(1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン)が含まれたものであってもよい。そして、ポリウレタンの発泡は、例えば、水やアゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)等の発泡剤を用いて行われるのが一般的である。また、発泡ポリウレタンには、必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えてもよい。
【0030】
弾性層100Bの構成としては、1層構成でも積層構成でも構わない。具体的には、弾性層100Bの構成としては、例えば、発泡体1層からなる構成でも、ソリッド層と発泡層との2層の構成でも構わない。
【0031】
次に、本実施形態に係る清掃部材100の製造方法について説明する。
本実施形態に係る清掃部材100の製造方法としては、例えば、シート状の弾性層用部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備し、これに両面テープを貼り付けた後、打ち抜いて短冊を得て、これをシャフト100Aに巻き付けて、弾性層100Bを形成して清掃部材100を得る方法が挙げられる。
【0032】
本方法をより詳細に説明すると、まず、図6(A)に示すように、目的の厚みとなるようにスライス加工を施したシート状の弾性層用部材(発泡ポリウレタンシート等)を準備する。このシート状の弾性層用部材の片面に、例えば、両面テープ(不図示)に代表される粘着部材を貼り付けた後、打ち抜き型により当該部材を打ち抜いて、目的とする幅・長さの短冊100E(両面テープ付き短冊)を得る。一方で、予め軸方向端部に凹部100Cを設けたシャフト100Aも準備する。
次に、図6(B)に示すように、両面テープが付いた面を上方にして短冊100Eを配置し、この状態で両面テープの剥離紙の一端を剥がし、当該剥離紙を剥離した両面テープ上に、シャフト100Aをその軸方向端部に設けた凹部100Cに位置するように載せる。
次に、図6(C)に示すように、両面テープの剥離紙を剥がしながら、目的とする速度でシャフト100Aを回転させて、シャフト100Aの外周面に短冊100Eを螺旋状に巻き付けていき、シャフト100Aの外周面に螺旋状に配置された弾性層100Bを有する清掃部材100を得る。なお、図示しないが、短冊100Eの巻き終わりの端部も、シャフト100Aを軸方向端部に設けた凹部100Cに位置するようにする。
【0033】
以上、説明した本実施形態に係る清掃部材100は、回転に伴い、螺旋状に配置された弾性層100Bが被清掃部材の表面(被清掃面)に対して接触・離間を繰り返して清掃を行い、被清掃部材の表面(被清掃面)を基準にして見ると、弾性層100Bの螺旋幅方向両端部の角部がシャフト100Aの軸方向側(螺旋軸方向側)に力が付加されて清掃を行う。
【0034】
この際、弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)端部が被清掃面に接触すると、当該弾性層100Bの端部が剥れ易くなる。
【0035】
そこで、本実施形態に係る清掃部材100では、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に(本実施形態では両方)、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方(本実施形態では両方)がそれぞれ配置されている。これにより、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置させている。
したがって、本実施形態に係る清掃部材100では、弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方の剥れが抑制される。
【0036】
ここで、螺旋状に配置された弾性層100Bは、その長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)が、被清掃面に対して非接触な状態に配置させているが、特に、清掃部材100の回転したとき、弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側から被清掃面に突入する側における弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端部を被清掃面に対して非接触な状態に配置させることがよい。
弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側から被清掃面に突入する側における弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端部とは、当該端部の端面が清掃部材100の回転方向側に向く端部である(図2、図3及び図4参照:ここで、矢印は清掃部材100の回転方向、101は被清掃面を示す。)。
この弾性層100Bの長手方向(螺旋方向)の端面側の端部の方が、被清掃面と接触する際、弾性層100Bが剥れる方向に力が付加され易くなることから、当該弾性層100Bの端部での剥れが抑制される。
【0037】
そして、この本実施形態に係る清掃部材100を、帯電装置(帯電部材とこれに接触して配置される清掃部材とのユニット)では、弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両端部の剥れが抑制されるので、弾性層100B全体の剥れも抑制され、清掃能力が維持されることから、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能の低下が抑制される。
また、上記本実施形態に係る清掃部材100と帯電部材とを備える帯電装置を適用した画像形成装置(又はプロセスカートリッジ)では、帯電部材の表面汚染に起因する帯電能力の低下に起因する画像欠陥が抑制される。
【0038】
なお、本実施形態に係る清掃部材100では、例えば、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方に(本実施形態では両方)、シャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設け、当該凹部100Cに弾性層100Bの長手方向端部の一方又は両方(本実施形態では両方)がそれぞれ配置させることで、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させている形態を説明したが、これに限られず、例えば、図7に示すように、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して外側に配置させた形態であってもよい。
この形態によっても、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部の一方又は両方(本実施形態では両方)を、被清掃面に対して非接触な状態に配置させられる。
【0039】
ここで、図7では、被清掃部材として、導電性シャフト14Aの周囲に弾性層14Bが形成された帯電部材14を示しており、被清掃面は、当該帯電部材14の弾性層14Bの外周面が相当する。そして、弾性層100Bの長手方向端部を被清掃面の外側に位置させるとは、具体的には、例えば、当該被清掃面を構成する部材(帯電部材14の弾性層14B)の軸方向外側を示す。
また、弾性層100Bの長手方向端部を被清掃面の外側に位置させるには、例えば、シャフト100Aの軸方向長さを被清掃面に対して長くして、当該弾性層100Bの端部を被清掃面外側に位置させる領域を確保する手法や、被清掃面に切削加工を施し(例えば帯電部材14の場合、弾性層14Bを軸方向中央部側に向かって短くなるように切削加工を施し)て、弾性層100Bの端部を被清掃面外側に位置させる領域を確保する手法等が挙げられる。
【0040】
なお、シャフト100Aの軸方向端部の一方又は両方にシャフト100Aの外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部100Cを設ける形態では、被清掃部材の大きさを考慮することなく、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部と被清掃面との非接触状態が実現される利点がある。
一方、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部を被清掃面に対して外側に配置させた形態では、清掃部材100のシャフト100A等に加工を施すことなく、螺旋状に配置された弾性層100Bの長手方向(つまり螺旋方向)の端部と被清掃面との非接触状態が実現される利点がある。
【0041】
(画像形成装置等)
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置10は、例えば、図8に示すように、タンデム方式のカラーの画像形成装置である。本実施形態に係る画像形成装置10の内部には、感光体(像保持体)12や帯電部材14や現像装置等が、イエロー(18Y)、マゼンタ(18M)、シアン(18C)、及び黒(18K)が各色毎にプロセスカートリッジ(図9参照)として備えられている。このプロセスカートリッジは、画像形成装置10に脱着される構成となっている。
【0043】
感光体12としては、例えば、表面に有機感材等よりなる感光体層が被覆された直径が25mmの導電性円筒体が用いられ、図示しないモータにより、150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0044】
感光体12の表面は、感光体12表面に配置された帯電部材14によって帯電された後、帯電部材14より感光体12の回転方向下流側に、露光装置16から出射されるレーザービームLBによって画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0045】
感光体12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置19Y、19M、19C、19Kによって現像され、各色のトナー像となる。
【0046】
例えば、カラーの画像を形成する場合、各色の感光体12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して行なわれ、各色の感光体12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0047】
感光体12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体12と用紙搬送ベルト20を介して転写装置22が接する箇所にて、感光体12の外周に用紙搬送ベルト20上を搬送される記録用紙24へ転写される。さらに、感光体12上からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱・加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上にそのまま排出される。
【0048】
−方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出部68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、用紙搬送ベルト20上へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録媒体24(被転写体)を排出部68上に排出する。
【0049】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体12の表面は、感光体12が1回転する毎に、感光体12の表面であって、転写装置22が接する箇所よりも感光体12の回転方向下流側に配置された清掃ブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0050】
ここで、図10及び図11に示すごとく、帯電部材14は、例えば、導電性シャフト14Aの周囲に弾性層14Bが形成されたロールであり、シャフト14Aは回転自在に支持されている。帯電部材14の感光体12と反対側には、帯電部材14の清掃部材100が接触して、帯電装置(ユニット)を構成している。この清掃部材100として、本実施形態に係る清掃部材100が用いられる。
【0051】
帯電部材14はシャフト14Aの両端へ荷重Fをかけて感光体12へ押付け、弾性層14Bの周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。更に、清掃部材100はシャフト100Aの両端へ荷重F’をかけて帯電部材14へ押付け、弾性層100Bが帯電部材14の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成することで、帯電部材14の撓みを抑えて、帯電部材14と感光体12の軸方向のニップ部を形成している。
【0052】
感光体12は、図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動され、感光体12の回転により帯電部材14が矢印Y方向に従動回転する。また、帯電部材14の回転により清掃部材100が矢印Z方向に従動回転する。
【0053】
−帯電部材の構成−
以下、帯電部材の説明をするが、以下の構成に限定されるものではない。符号は省略して説明する。
【0054】
帯電部材の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、シャフト、弾性層、若しくは弾性層の代わりに樹脂層を有する構成が挙げられる。弾性層は単層構成からなるものであってよく、幾つもの機能を持った複数の異なる層からなる積層構成であってもよい。更には、弾性層の上に表面処理を行ってもよい。
【0055】
シャフトの材質としては快削鋼、ステンレス鋼等を使用し、摺動性等の用途に応じて材質及び表面処理方法は適時選択するのが望ましい。また、メッキ処理するのが望ましい。導電性を有さない材質の場合、メッキ処理等一般的な処理により加工して導電化処理を行ってもよいし、そのまま使用してもよい。
【0056】
弾性層は導電性弾性層とするが、導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ又は炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフトの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等が用いられる。また、弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0057】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びこれらのブレンドゴムが好適に挙げられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0058】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
【0059】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが望ましく、一方、イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましい。
【0060】
帯電部材の表面は、表面層を形成させてもよい。表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好適に挙げられる。
共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンよりなる重合単位が共重合体中に含まれる割合は、重量比で合わせて10%以上であるのが望ましい。
【0061】
高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが望ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより望ましい。
【0062】
また表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。
【0063】
また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤等の電子及びイオンの少なくとも一方を電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。
【0064】
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
カーボンブラックはpH4.0以下が望ましい。
【0065】
抵抗値を調整するための導電性粒子である導電性金属酸化物粒子は、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、ITO等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤あれば何れも用いることができ、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、何れの粒径であってもよいが、望ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、更に、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫が望ましい。
【0066】
さらに、表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が好適に用いられる。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが望ましい。また、表面層の中に粒子を添加してもよい。また、アルミナやシリカ等の絶縁性粒子を添加して、帯電部材の表面に凹部を付与し、感光体との摺擦時の負担を小さくして帯電部材と感光体相互の耐磨耗性を向上させてもよい。
【0067】
帯電部材の外径としては8mm以上16mm以下が望ましい。また、外径の測定方法としては市販のノギスやレーザー方式外径測定装置を用いて測定される。
【0068】
帯電部材のマイクロ硬度は45°以上60°以下が望ましい。低硬度化にする為には可塑剤添加量を増量する方法、シリコーンゴム等の低硬度の材料を使用することが考えられる。
【0069】
また、帯電部材のマイクロ硬度は高分子計器株式会社製MD−1型硬度計にて測定した値を用いている。
【0070】
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、感光体(像保持体)、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)、現像装置、清掃ブレード(クリーング装置)を備えたプロセスカートリッジを説明したが、これに限られず、帯電装置(帯電部材と清掃部材とのユニット)を備え、その他必要に応じて、感光体(像保持体)、露光装置、転写装置、及び現像装置、清掃ブレード(クリーング装置)から選択されるものを備えたプロセスカートリッジとしてもよい。なお、これら装置や部材をカートリッジ化せず、画像形成装置に直接配置した形態であってもよい。
【0071】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、帯電装置として、帯電部材と清掃部材とのユニットで構成した形態を説明したが、つまり、被清掃部材として帯電部材を採用した形態を説明したが、これに限られず、被清掃部材としては、感光体(像保持体)、転写装置(転写部材;転写ロール)、中間転写体(中間転写ベルト)が挙げられる。そして、これら被清掃部材とこれに接触して配置される清掃部材とのユニットを、画像形成装置に直接配置してもよいし、上記同様にプロセスカートリッジのようにカートリッジ化して画像形成装置に配置してもよい。これら、帯電部材以外を被清掃部材として適用したユニット、又は画像形成装置でも、繰り返し使用により付着した被清掃部材の汚れ(表面汚染)に起因する画像欠陥が抑制される。
【0072】
また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成に限られず、中間転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
[実施例1]
(クリーニングロールの作製)
ポリエーテルとイソシアネートとを混合し、得られたウレタン樹脂を加熱硬化させ、3次元網目構造からなるウレタン材料(INOAC社製EP70)を厚さ2.35mmのシート状にスライスし、両面テープ(住友スリーエム製、F−9460PC)を貼り付けた後、幅6mm、長さ232mm(長さは最低長)の短冊状に裁断した。この短冊を、ステンレス(SUS304)製シャフト(外径Φ5mm、軸方向長さ230mm)へ、巻き付け角度(螺旋角度)26°で巻き付けて、螺旋状に弾性層を形成し、クリーニングロールを得た。なお、弾性層は、螺旋角度(θ)が26°、螺旋幅(R1)が6mm、螺旋ピッチ(R2)が6.5mm、螺旋方向中央部での厚み(肉厚)が2mmであった。
【0075】
(帯電ロールの作製)
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(ダイソー社製、EPION301)100質量部にイオン導電剤PEL−100(日本カーリット社製)3質量部を添加して十分混練した後、これを押し出し成形後、径φ6、軸方向長さL=240mmのSUM−Ni製シャフト(硫黄快削鋼にニッケルメッキを施したもの)を挿入し、プレス成形機にて成形・加硫を行った後、研磨によって所望の外径に加工を行い、端部外径Φ8.95mm、中央部外径φ9.00mmとなるようにゴム層(弾性層)を加工した。
次いで、当該帯電ロールのゴム層(弾性層)端部を切断加工し、ゴム層の軸方向長さを215mmとした。この時、後述する印字テスト装置に組み込む際に、上記クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該クリーニングロール弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、帯電ロールのゴム層(弾性層)切断加工位置をシャフト軸方向一端部側のみ施し調整した。その後、この帯電ロール表面に、四フッ化エチレンとビニルエーテルとの共重合体樹脂(ダイキン工業社製ゼッフルGK−500)100質量部及びイソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHL)2質量部を含む表面層用分散液に浸漬コーティング方法によってフッ素系樹脂を、膜厚5μmでコーティングを実施した。
【0076】
(印字テスト)
作製したクリーニングロールと帯電ロールを当該ロール間の食い込み量を決める専用軸受け(導電性POM製)と共にDELL製C3110cnのプロセスカートリッジに組み込み、当該プロセスカートリッジをDELL製C3110cnに取り付けて連続印字テストを実施した。
ここで、クリーニングロールと帯電ロールとの取り付け方法であるが、クリーニングロールが0.3mmだけ帯電ロールに食い込むようそれぞれの軸間距離を固定(定変位取り付け)し、従動回転するよう取り付けて使用した。
また、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0077】
印字テストは、クリーニングロールの弾性層の端部剥がれは、断続回転動作の繰り返しが原因となり易いため、用紙1枚ずつ印字されるように指示を送り、クリーニングロールの回転動作が断続するように実施した。
そして、クリーニングロールの弾性層の端部剥がれは、クリーニングロールを感光体25,000回転毎に目視で観察した結果であり、そのときの帯電ロールのクリーニング性能如何にか関わらず、剥がれを確認した時点でテスト終了した結果である。
結果を表1に示す。
【0078】
[実施例2]
クリーニングロールとして実施例1と同様な方法で作製したものを準備した。
ゴム層のシャフト軸方向長を210mm(シャフトに対するゴム層の非被覆領域は両端とも同一長)とした以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。つまり、上記クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)と接触しないように、帯電ロールのゴム層(弾性層)切断加工位置をシャフト軸方向両端部に施し調整した以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。
【0079】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触しないように、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った(図7参照)。
【0080】
[実施例3]
ステンレス製シャフトの軸方方向一端部のみに、半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工による切欠き部)からなる凹部を形成したものを準備し、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部が、当該D面加工による切欠き部の底面に位置するようにして、短冊をシャフトへ巻き付けた以外は(図1、図2参照)、実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
ゴム層のシャフト軸方向長を230mm(シャフトに対するゴム層の非被覆領域は両端とも同一長)とした以外は、実施例1と同様に帯電ロールを作製した。
【0081】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)のうちで、当該弾性層の長手方向端面側から帯電ロールに突入する側における端部と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触せずに、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0082】
[実施例4]
ステンレス製シャフトの軸方方向両端部に、半円柱状に切欠いた切欠き部(所謂D面加工による切欠き部)からなる凹部を形成したものを準備し、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方が、当該D面加工による切欠き部の底面に位置するようにして、短冊をシャフトへ巻き付けた以外は(図1、図2参照)、実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
一方、実施例3と同様にして帯電ロールを作製した。
【0083】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触せずに、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った(図11参照)。
【0084】
(比較例)
実施例1と同様にしてクリーニングロールを作製した。
一方、実施例3と同様にして帯電ロールを作製した。
【0085】
そして、得られたクリーニングロールと帯電ロールとを用いて、実施例1と同様にして印字テストを行った。結果を表1に示す。
なお、クリーニングロールの弾性層の長手方向端部(短冊端部)の両方と帯電ロールのゴム層(弾性層)とが接触して、クリーニングロールと帯電ロールをプロセスカートリッジに組み込んで、印字テストを行った。
【0086】
【表1】
【0087】
上記結果から、実施例では、比較例に比べ、クリーニングロールの弾性層剥れ(弾性層の長手方向端部の剥れ)が抑制されることがわかる。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置、12 感光体、14 帯電ロール、14A シャフト、14B 弾性層、16 露光装置、19Y、19M、19C、19K 現像装置、20 用紙搬送ベルト、22 転写装置、24 記録媒体、53 帯電ロール、64 定着装置、66 排出ロール、68 排出部、70 用紙搬送路、72 搬送ロール、80 清掃ブレード、100 清掃部材、100A シャフト、100B 弾性層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された弾性層であって、前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が被清掃面に対して非接触な状態に配置された弾性層と、
を備える画像形成装置用の清掃部材。
【請求項2】
前記芯体の軸方向端部の一方又は両方に、前記芯体の外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部を備え、当該凹部に前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項3】
前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が、被清掃面に対して外側に配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項4】
前記被清掃面に対して非接触な状態に配置された前記弾性層の長手方向端部が、前記清掃部材が回転したとき、前記弾性層の長手方向端面側から前記被清掃面に突入する側における端部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項5】
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段であって、請求項5に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
被清掃部材と、
前記被清掃部材の表面に接触して配置され、前記被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える画像形成装置用のユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを備える画像形成装置。
【請求項1】
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の軸方向の一端から他端にかけて螺旋状に配置された弾性層であって、前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が被清掃面に対して非接触な状態に配置された弾性層と、
を備える画像形成装置用の清掃部材。
【請求項2】
前記芯体の軸方向端部の一方又は両方に、前記芯体の外周面側から中心軸側に向かって凹む凹部を備え、当該凹部に前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方がそれぞれ配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項3】
前記弾性層の長手方向端部の一方又は両方が、被清掃面に対して外側に配置された請求項1に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項4】
前記被清掃面に対して非接触な状態に配置された前記弾性層の長手方向端部が、前記清掃部材が回転したとき、前記弾性層の長手方向端面側から前記被清掃面に突入する側における端部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材。
【請求項5】
被帯電体を帯電させる帯電部材と、
前記帯電部材の表面に接触して配置され、当該帯電部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える帯電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電装置を少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段であって、請求項5に記載の帯電装置を有する帯電手段と、
帯電された前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体に形成された前記潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
被清掃部材と、
前記被清掃部材の表面に接触して配置され、前記被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用の清掃部材と、
を備える画像形成装置用のユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを少なくとも備え、
画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載の画像形成装置用のユニットを備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−145418(P2011−145418A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5280(P2010−5280)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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