画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置
【課題】外周面に補強部材を設けた無端ベルトの補強部材端部の剥離を防止する画像形成装置用ベルトを提供すること。
【解決手段】ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする画像形成装置用ベルト。
【解決手段】ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする画像形成装置用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置としては、例えば、中間転写ベルトを使用した中間転写方式のカラー画像形成装置がある。これは、電子写真プロセス等によりトナー像が形成される像保持体(例えば感光体ドラム)の転写部で接触して回転するような中間転写ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その像保持体上に形成される複数のトナー像を一旦中間転写ベルトの同じ位置に重ね合わせるように一次転写した後、その中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙に一括して二次転写するものである。そして、用紙上に二次転写された多色のトナー像は、その後定着装置により定着されてカラー画像となる。
【0003】
この他、ベルトを備えた画像形成装置としては、用紙を保持して複数の画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送する用紙搬送ベルトを使用した、いわゆるタンデムタイプのカラー画像形成装置もある。これは、各色成分のトナー像を個々に形成するため画像形成ユニットを複数並べて配置し、その各画像形成ユニットの転写部で接触して回転するように用紙搬送ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その用紙搬送ベルトに吸着して保持した用紙を各画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送することにより、各画像形成ユニットで形成される各トナー像を同じ用紙に順次重ね合わせるように転写し、最後に定着させてカラー画像とするものである。
【0004】
上記のごとく、画像形成装置の部材として利用される画像形成装置用ベルトは、疲労による破断を防ぐためにベルト端部にポリエステルなどの樹脂テープによる補強を行うことが行われている。
特許文献1には、無端ベルトの端部の補強を確実にし、無端ベルトが変形をして破壊するということがない画像形成装置を提供することを目的として、トナー像を保持して搬送するトナー像担持体としての無端ベルト及び該無端ベルトを張架搬送するための複数のロールからなるベルト張架手段を有する画像形成装置において、前記無端ベルトの外周面両端部に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を含むベルト補強テープを具備し、前記重ね合わせ部が、該ベルト補強テープに対する摺接体に対して順方向に構成されていることを特徴とする無端ベルトを用いた画像形成装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−219046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外周面に補強部材を設けた無端ベルトの補強部材端部の剥離を防止する画像形成装置用ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、以下の<1>、<4>及び<5>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>及び<3>とともに以下に記載する。
<1> ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする画像形成装置用ベルト、
<2> 前記リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅がテーパー状に細くなる、上記<1>に記載の画像形成装置用ベルト、
<3> 前記重ね合わせ部にさらに溶着部が形成され、前記溶着部がリブ部材の周方向端部隙間部に形成されている、上記<1>又は上記<2>に記載の画像形成装置用ベルト、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置、
<5> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
上記<1>に記載の発明によれば、外周面に補強部材を設けた無端ベルトの補強部材端部の剥離を防止する画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、長期の使用に耐えるベルト張架装置を提供することができた。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、長期の使用に耐える画像形成装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態の画像形成装置用ベルト(以下、「画像形成装置用ベルト」を、単に「ベルト」ともいう。)は、ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする。
また、本実施形態のベルト張架装置は、上記本実施形態のベルトと、該ベルトを内側から張架する複数のロールとを供えることを特徴とする。
さらに、本実施形態の画像形成装置は、上記本実施形態のベルトを備えることを特徴とする。
以下、図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には同一の符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0010】
(画像形成装置用ベルト)
図1は本実施形態の画像形成装置用ベルトの軸方向端部(側端部)の斜視図である。同図に示すように、画像形成装置用ベルト4の側端部の内周面側には該側端部に沿ってベルト本体40にリブ部材41が接着されている。リブ部材41の周方向端部は、隙間部BUTTを有している。
また、画像形成装置用ベルト4の側端部の外周面側には該側端部に沿ってベルト本体40にベルト補強部としての補強部材42が設けられている。補強部材42はベルト本体40を一周して、その先端同士が重なり合う、重ね合わせ部LAPを形成している。
本実施形態の画像形成装置用ベルト4において、補強部材42の最外層の周方向先端18は、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置している。すなわち、補強部材42の最外層の周方向先端18は、ベルト本体40を介して、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTと対向している。
【0011】
本実施形態の画像形成装置用ベルトは、補強部材の剥離が防止される。始めに、ベルト破断のメカニズムについて述べる。
図2は、画像形成装置用ベルト4を、該画像形成装置用ベルト4を内側から張架するロール(以下、駆動ロールを例にとって説明する。)11と接した状態で、ロール11の径方向から見た断面図であり、図3は、図2に記載のロール11と接した状態での画像形成装置用ベルト4をロール11の軸方向から見た側面図である。両図において、画像形成装置用ベルト4の内周面側のベルト軸方向端部には、ロール11の軸方向端面に接触して該画像形成装置用ベルト4の軸方向の動き(以下、「ウォーク」と表現する。)を防止するための凸状部材である、リブ部材41がベルト本体40の内周面に設けられている。
【0012】
複数のロールにより張架されている画像形成装置用ベルト4は、搬送される間にウォークを生ずる。一定量以上のウォークは、上述のリブ部材41及びロール11の軸方向端面によって規制される。したがって、ウォークによってリブ部材41及びロール11が接触し、互いに軸方向に押し合う状態が生じる。
【0013】
一般に、ベルトが破断に至るような強い力(上記押し合う状態)は、画像形成装置本体の水平度の不良によるベルト駆動系(後述する図13における、ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13、テンションロール14など)の平行度の精度低下、装置本体の前後側板の部品積み上げや組み立て誤差に起因するベルトのねじれ、ベルト自体の軸方向両端での周長差などが原因で発生する。ウォーク等によってベルトに生じる力についてさらに説明する。
【0014】
画像形成装置用ベルトがロールにかかり始める位置(画像形成装置用ベルト搬送方向において画像形成装置用ベルトとロールが接触し始める位置)及びロールから外れる位置(画像形成装置用ベルトとロールが接触し終わる位置)においてリブ部材の軸方向における中央側の側面(以下単に「軸方向中央側面」と呼ぶ)にかかる力について、図を用いてより詳細に説明する。
【0015】
図3を参照すれば、画像形成装置用ベルト4がウォーク(ベルトの軸方向への移動)を生じてロール11の軸方向端面にリブ部材41が接触した場合、該画像形成装置用ベルト4がロール11にかかり始める位置R1では、リブ部材41の軸方向中央側面には矢印F1方向への力が作用する。つまり、画像形成装置用ベルト4の片端部が浮き上がってロール11にリブ部材41が僅かに乗り上げてしまうような力が作用する。一旦片端部が浮き上がった画像形成装置用ベルト4には、画像形成装置用ベルト4がロール11から外れる位置R2でリブ部材41の軸方向中央側面に矢印F2方向への力が作用して画像形成装置用ベルト4の浮き上がりはなくなる。
【0016】
図4は、片端部の浮き上がりが生じた際の画像形成装置用ベルト4をロール11の径方向から見た断面図である。画像形成装置用ベルト4の片端部に浮き上がりが生じた際、リブ部材41の軸方向中央側面にはロール11との強い押し合いの力が作用するため、盛り上がり部分(屈曲部分)RUが生じる。この盛り上がり部分(屈曲部分)RUは、画像形成装置用ベルト4がロール11から外れる位置R2で解消する。すなわち、画像形成装置用ベルト4の片端部には、ロール11にかかり始める位置R1と外れる位置R2とで、一方向への変形とその反対方向への変形とが交互に発生し、応力集中と応力解放が繰り返されている。
【0017】
前記盛り上がり部分(屈曲部分)RUで応力集中と応力解放が繰り返され、そのまま搬送(駆動)を続けた場合、従来の無端ベルトであれば画像形成装置用ベルト4の片端部には疲労による局部的な亀裂CRが発生する(図5参照)。この局部的な亀裂CRはやがて画像形成装置用ベルト4全体の破断に至る。また、画像形成装置用ベルト4の軸方向端部にノッチNが存在している場合にも、画像形成装置用ベルト4全体の破断に至る(図6参照)。
【0018】
従来、ベルトの軸方向端部を補強部材(補強テープ)等により補強することで、ベルト端部における亀裂の発生を防止する対応が取られている。補強部材(補強テープ)の貼り付け面としては、ベルトの外周面(特開平11−219046号公報など)、ベルトの内周面(特開2001−255752号公報など)、及び、外周面と内周面の両方に貼り付けたもの(特開平5−289535号公報など)がある。しかしながら、ベルトの内周面への補強部材の貼り付けは、外周面への貼り付けに比べて難易度が高く、生産性の面からは、補強部材は外周面へ貼り付ける方が有利である。
【0019】
しかし、補強部材をベルト外周面に貼り付けた場合には、ベルトの回転によって、補強部材の周方向端部を剥離させる力が働く。すなわち、画像形成装置用ベルトを張架している各ロールを通過する際に上記補強部材の内周面側には収縮しようとする力が加わり、外周面側には伸長しようとする力が加わるため、その繰り返しによって補強部材を剥離させようとする力が働く。
この補強部材を剥離させようとする力は、補強部材がロールに沿って周方向に屈曲することにより生じる力と、ベルトの盛り上がり部分(屈曲部分)RUによって軸方向に屈曲することにより生じる力よりなるが、曲率の大きい、軸方向に屈曲することにより生じる力に起因する剥離力の方が、より大きいと考えられる。
特に補強部材の軸方向幅が小さく、盛り上がり部分(屈曲部分)RUから補強部材のベルト中心側軸方向端部の距離が小さい場合には、より補強部材の重ね合わせ部が剥離しやすくなる。
【0020】
本実施形態の画像形成装置用ベルトでは、補強部材42の最外層の周方向先端18が、リブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置している。
上述の通り、補強部材42の周方向端部剥離の主たる要因となる力は、ベルトの盛り上がり部分(屈曲部分)RUによってベルトが軸方向に屈曲することにより生じる力であると考えられる。画像形成装置用ベルトの軸方向への屈曲は、ベルトの蛇行防止用のリブ部材が、ロールに乗り上げることによって発生する。
本実施形態の画像形成装置用ベルトでは、補強部材の剥離の開始点となる周方向端部を、リブ部材の乗り上げが発生しないリブ部材の周方向端部隙間部に位置させることによって、画像形成装置用ベルトの補強部材の端部の剥離が防止される。
【0021】
上記重ね合わせ部LAPは、該重ね合わせ部LAPで上側になっている補強部材42Aの先端18が画像形成装置用ベルト4の周回方向Rに対して上流側に配置された状態、つまり該補強部材42に接触して摺動する構成物(摺接体)に対して順方向に構成されていることが好ましい。
画像形成装置用ベルト4の外周面側軸方向端部にはベルトクリーナのクリーニングブレード両側に配置されるサイドシールを有する場合がある。該サイドシールは、前記摺接体に相当し、前記補強部材42の先端18がベルト4の周回方向Rに対して下流側に配置されていると、該サイドシールが前記先端18に接触して補強部材42の重ね合わせ部LAPで剥離が生じるおそれがあるので、重ね合わせ部LAPは上述のように順方向に構成されていることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態において、補強部材の周方向端部には、重ね合わせ部を形成する。補強部材の端部に隙間が生じると、その隙間部分でベルトが破断しやすくなり、隙間も重ね合わせ部も作らないように正確に補強部材の端部を付き合わせるためには、かなりの精度が必要となりコストアップとなる。したがって、本実施形態において、補強部材の周方向端部は重ね合わせ部を有する。
以下、本実施形態の画像形成装置用ベルトを構成する各部材について詳述する。
【0023】
(ベルト本体)
ベルト本体の材質としては、ヤング率2,000MPa以上8,000MPa以下の樹脂材料が好適に用いられる。ベルト本体の材質としては、熱硬化性樹脂が望ましく、具体的にはポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
ベルト本体の材質として特に好適には、例えばポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂を用いることができる。
【0024】
特に、ベルト本体の材質としては、ヤング率が3,000MPa以上の樹脂材料が好ましい。ヤング率が3,000MPa以上の樹脂材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられるが、特に高ヤング率の樹脂材料であるポリイミド樹脂が好ましい。例えば、宇部興産(株)のユーピレックスSなどのポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散した場合のヤング率は、6,200MPaである。
また、ベルト本体のヤング率は大きいほど好ましいが、実用上は8,000MPaあれば十分である。ヤング率は、使用する樹脂材料の化学構造を選択することで上記範囲に制御することができ、芳香環構造を含むものほどヤング率を高くすることができる。
なお、ヤング率は、JIS K7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求めることができる。測定条件としては、短冊状試験片(幅6mm、長さ130mm)、ダンベル1号、試験速度500mm/分、厚さはベルト本体の厚さの各設定で測定するものとする。
【0025】
ベルト本体は環状(無端状)であれば、つなぎ目があってもなくてもよい。ベルト本体の厚さは、通常、0.02mm以上0.2mm以下程度が好ましく、より好ましくは0.06mm以上0.1mm以下程度である。
【0026】
ベルト本体の一例を挙げると、電子写真方式を用いた画像形成装置等における中間転写ベルト及び転写搬送ベルトの場合、導電性フィラー(導電剤)を含有するポリイミド系樹脂を含んで構成される半導電性ベルト等が好適に使用される。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が107Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が107以上1013Ωcm以下であることを意味する。以下同様である。
【0027】
ここで、例えば、本実施形態の画像形成装置用ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして用いる場合、1×109Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲に表面抵抗率を、1×108Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲に体積抵抗率を制御するために、ベルト本体には必要に応じて導電性フィラーを配合することが好ましい。この導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウム又は酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、又はポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどが好適に使用できる。これら導電性フィラーは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。安価及び抵抗調整が容易であるという観点からはカーボンブラックを使用することが好適である。さらに、必要に応じて分散剤、滑剤などの加工助剤をベルト本体中に添加することができる。
【0028】
ベルト本体は、画像形成装置用ベルトの用途に応じて、上記樹脂の単層構成であってもよいし、その他、機能層を外周面に設けてもよいし、上述の通り導電性を付与してもよい。具体的には、画像形成装置用ベルトを感光体ベルトとして適用する場合、機能層として感光層を設けることが例示でき、定着ベルトとして適用する場合、機能層として離型層(例えばフッ素樹脂層)を設けることが例示できる。
【0029】
(リブ部材)
リブ部材41は、図1に示すように、ベルト本体40の軸方向における少なくとも片側縁部の内周面(ベルトの幅方向における少なくとも片側縁部の内周面)に、当該ベルト本体40の周方向に沿って帯状に連続して、かつ、ベルト本体40の内周面から突出するように配設されている。なお、上述の通り、リブ部材41は、周方向端部に隙間部BUTTを有している。
【0030】
リブ部材41は、例えば、その端面がベルト本体40の一端面(ベルト本体40軸方向外側の一端面)と所定の間隙を持って配設されている。リブ部材41の配設位置(接着位置即ち、ベルト本体側縁からの距離)は、画像形成装置の用途、機能、画像形成装置用ベルトを用いる装置等に応じて設定される。なお、リブ部材41は、その端面がベルト本体40の幅方向端面と面一で設けてもよい。
【0031】
リブ部材は、デュロメータ硬さがA60以上A90以下の部材であることが好ましく、特に好ましくは、A60以上A80以下の範囲である。ここで、デュロメータ硬さとは、JIS K6253(1997)に規定されるゴム硬度である。
【0032】
リブ部材の材質としては、ポリウレタン樹脂、ネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の適度な硬度を有する弾性材料等が使用できる。これらの中でも、ポリウレタンゴムやシリコーンゴムが好適に用いられる。
リブ部材の厚みは、0.2mm〜2.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmであり、さらに好ましくは0.8〜1.2mmである。リブ部材の厚みが上記範囲内であると、ウォークが抑制されるとともに、ロールに乗り上げて屈曲部分が生じた場合のベルトの破断が抑制されるので好ましい。
【0033】
リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTの間隔は特に限定されないが、2mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以上4mm以下である。リブ部材の周方向端部隙間部の間隔が10mm以下であると、隙間部BUTTが駆動ロール上にかかった位置でベルトが長時間停止した場合でも、リブ側面と駆動ロール端部との軸方向の押し合う力のリブ単位面積あたりの荷重が適切な範囲に保たれ、接着剤強度によりリブの軸方向へのずれが抑制できるので好ましい。また、隙間部BUTTの間隔が2mm以上であると、リブ端部同士が干渉してベルト表面を周方向に押し上げることがなく、ベルト破断を抑制できるので好ましい。また、隙間部BUTTの間隔が上記範囲内であると、ベルト製造工程におけるベルト裏面へのリブ接着工程での精度の管理が容易であり、経済的であるので好ましい。
【0034】
ここで、リブ部材41は接着部を介してベルト本体40に取り付けることができ、該接着部としては以下の接着剤が好適に用いられる。
(1)弾性接着剤
接着剤としては、硬化後の接着剤のデュロメータ硬さがA30以上A50以下の範囲内の弾性を有することが好ましく、例えば、セメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008、コニシ(株)製の特殊変性シリコンポリマーを主成分とするサイレックス100などを挙げることができる。ベルト本体との接着強度よりセメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008がより好ましく用いられる。
【0035】
(2)感熱性接着剤シート
感熱性接着剤シートとしては、ベルト本体40とリブ部材41との接着性に優れたものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系、シリコン系、天然又は合成のゴム系、ウレタン系、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂系などの樹脂系材料を主材料とする接着剤シートを用いることができる。
【0036】
具体的には、東洋紡績(株)製ポリエステル系接着剤シートGM−913、GM−920、ソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着剤シートD3600などを挙げることができる。画像形成装置用ベルトとの接着強度よりソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着剤シートD3600、東洋紡績(株)製ポリエステル系接着剤シートGM−920がより望ましくは用いられる。
【0037】
弾性接着剤又は感熱性接着剤シートを用いた接着部の厚みは、0.01mm以上0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.02mm以上0.05mm以下である。
【0038】
弾性接着剤又は感熱性接着シートを用いたベルト本体40へのリブ部材41の貼設は、シート状のベルト本体40を用い、まず該ベルト本体40にリブ部材41を貼設して、その後ベルト本体40の端部と他端部とを接着して環状に形成してもよいし、まずベルト本体40を環状に形成した後にリブ部材41を貼設してもよい。
【0039】
リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅は、テーパー状に細くなることが好ましい。
ベルト回転方向における下流側は、ベルトの周回によってロールが引っ掛かるおそれがあるため、下流側となるリブ部材の端部の幅を、テーパー状に細くすることが好ましい。これにより、ロールがスムーズにリブ部材の端部間隙部を通過することができる。
すなわち、リブ部材の端部をテーパー状とすることによって、ロールへの急な乗り上がりが抑制でき、これにより、補強部材の最外層の周方向先端にかかる軸方向の剥離力を少なくすることができる。その結果、補強部材の剥離をより効果的に抑制することができるので好ましい。
ここで、テーパー状に細くなるとは、勾配をもって徐々に細くなることを意味する。したがって、階段状に細くなる場合には、「テーパー状に細くなる」に該当するものではない。
【0040】
図7はリブ部材の周方向端部隙間部を有する本実施形態の画像形成装置用ベルトの斜視図であり、図8はリブ部材の周方向端部隙間部の拡大平面図である。
図8において、画像形成装置用ベルト4の周回方向は符号Rの方向であり、符号Sfは、ロールの摺動面を示す。
ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の、ロールへの急な乗り上がりを抑制する観点から、少なくともベルト回転方向の下流側となるリブ部材のリブガイド摺動面がテーパー状(勾配を有する)ことが好ましい。
リブ部材の上流側となるリブ部材の端部の幅は特に限定されず、図8(a)に示すように、リブ部材の下流側となるリブ部材の端部の幅のみがテーパー状に細くなっていてもよく、図8(b)に示すように、リブ部材の上流側となるリブ部材の端部の幅もテーパー状に細くすることもできる。
該勾配は、図8(a)に示すように一定の勾配を有するものに限定されず、図8(c)に示すように円弧に形成されていてもよい。
また、図8(d)では、ベルト周方向の下流側となるリブ部材の端部が、斜めに形成されている。
【0041】
(補強部材)
次に補強部材について説明する。
補強部材42は、図1に示すように、ベルト本体40の少なくとも片端部(ベルト軸方向の片端部)の外周面に、ベルト本体40の周方向に沿って巻き付けられて配設されている。補強部材42は、例えば、その端面がベルト本体40の一端面(ベルト本体40軸方向外側の一端面)と面一となるように配設されている。補強部材42は一本のテープで巻き付けてもよいし、複数本重ねて巻き付けてもよい。
【0042】
なお、図1では、補強部材42は、その端面がベルト本体40の幅方向端面と面一で設けられているが、補強部材42の配設位置(接着位置、即ち、ベルト本体側縁からの距離)は、画像形成装置用ベルトの用途、機能、画像形成装置用ベルトを用いる装置等に応じて設定される。
【0043】
そして、図1に示すように、補強部材42の周方向の一端部がベルト本体40に巻き付けられた補強部材42の外周面上に重ね合わされて、重ね合わせ部LAPを形成している。この重ね合わせ部LAPにおいて、補強部材42の周方向の一端部に相当する外側(ベルト外周面側)の補強部材を上補強部材42Aと標記し、当該一端部の下層となる内側(ベルト内周面側)の補強部材を下補強部材42Bと標記する。
【0044】
なお、本実施形態において、少なくとも補強部材42の最外層の周方向先端18がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していればよく、重ね合わせ部LABの全部がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していなくてもよい。
好ましくは、補強部材の最外層42Aの周方向先端及びその前後1mm以上がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していることが好ましく、補強部材42の最外層の周方向先端18及びその前後2mm以上がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していることがより好ましい。
【0045】
図9は、本実施形態の画像形成装置用ベルト4をロール11に張架した状態でのロールの径方向から見た断面図である。
前記補強部材42は、画像形成装置用ベルト4の軸方向端部における微小な傷から、ベルト本体40の軸方向全域に破損が進展しないように、その側端面が少なくともベルト本体40の側端面(軸方向端面)と合致するように画像形成装置用ベルト4に沿って貼付けられていることが好ましい。また、補強部材42の内側端面(画像形成装置用ベルト4の軸方向中央側面)は、リブ部材41の内側端面よりも画像形成装置用ベルト4の軸方向中央寄りに位置していることが好ましい。補強部材42に画像形成装置用ベルト4の側端部を保護する機能をもたせるとともに、前述の盛り上がり部分(屈曲部分)RUを発生しにくくする機能をもたせるためである。
【0046】
また、ロール11との関係では、ロール11がリブ部材41に接触したときに、補強部材42の内側端面の位置は、ロール11のリブ部材41の接触面の位置よりもロール11の軸方向中央に位置するように設定することが好ましい。補強部材42とロール11との重なり幅RT(図9参照)は、ロール11がリブ部材41に接触した状態で2mm以上であることが好ましい。画像形成装置用ベルトがウォークして片端のロール側面に接触したときに発生する盛り上がり部分(屈曲部分)RU(図4参照)の幅が、通常2mm以下であるので、重なり幅RTは2mm以上とすることが好ましい。
【0047】
既述のように、補強部材42の重ね合わせ部LAPは、画像形成装置用ベルト4の周回方向において摺接体に対して順方向に構成されていることが好ましい。これにより、補強部材の剥離をより効果的に抑制することができるので好ましい。
また、補強部材42の重ね合わせ部LAPは、補強部材42とベルト本体40との接着と同様に、接着剤等により貼り合わされている。
【0048】
重ね合わせ部LAPには、上補強部材42Aと下補強部材42Bを接合する溶着部43を設けることが好ましい。図10は、補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの一例である。溶着部43は、重ね合わせ部LAPの少なくとも一部において上補強部材42Aの少なくとも一部と下補強部材42Bの少なくとも一部とを溶融させ接合している領域である。溶着部43は、補強部材42の幅方向に対し、全幅で溶融接合させてもよく、一部を溶融接合させてもよい。また、溶着部43は、補強部材42の周方向に対し、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。溶着部43の補強部材の周方向長さは、上記範囲より小さければ接着の効果が薄れ、上記範囲よりも大きければ、駆動ロール上を通過する際、その周方向の曲率に追随できず補強部材が破断する場合がある。なお、溶着部43を含む、重ね合わせ部LAPの引張強度が、重ね合わせ部LAP以外の補強部材42の引張強度よりも大きいことが望ましい。
【0049】
溶着部を形成する方法について説明する。溶着部は、溶融・凝固により形成することができ、熱溶着及び超音波溶着が例示できるが、超音波溶着が好ましい。超音波溶着又は熱溶着を用いる場合、溶着ホーンの形状により、溶着部の形状又は個数を制御することができる。
【0050】
図11は、補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの周方向の断面図(図10におけるX−X’断面図)である。本実施態様において、溶着部を設ける場合、図11(a)に示すように、溶着部43がリブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置していることが好ましい。図11(b)では、補強部材42の最外層の周方向先端は、リブ部材41の周方向隙間部BUTTに位置しているが、溶着部43は、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置していない。
補強部材42の溶着部43は、剥離強度は高くなるが、脆くなるため引っ張り強度が低くなる傾向がある。溶着部43をリブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに設けることにより、ベルトがロールへ乗り上げることによる溶着部43の変形を生じることがなく、より効果的に補強部材42の剥離を抑制することができるので好ましい。
【0051】
重ね合わせ部LAPが形成された補強部材42は、例えば、厚み0.03mm以上0.1mm以下で、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリイミド、オルトフェニルポリプロピレン(OPP)等の熱可塑性樹脂を含んで構成されたものが挙げられる。
なお、補強部材とベルト本体との接着、及び、重なり部における補強部材同士の接着については、リブ部材とベルト本体との接着と同様の方法を使用することができる。
【0052】
(ベルト張架装置)
本実施形態において、ベルト張架装置は、本実施形態の画像形成装置用ベルトと、該ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とする。
画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持するロールは、特に限定されるものではなく、公知のロールから適宜選択して用いることができる。複数のロールは、同一種類のロールでもよく、複数種のロールを併用することもできる。
図12は、本実施形態の画像形成装置用ベルト4をロール11に張架した状態でのロールの径方向から見た部分断面図である。図12(a)に示すように、ロール11の軸方向外側面をリブ部材41との摺接面とすることもできるし、図12(b)に示すように、ロール11にリブ部材41のガイド溝15を形成してもよく、特に限定されない。
【0053】
(画像形成装置)
本実施態様の画像形成装置は、本実施態様の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする。
図13は、ベルト状中間転写体として、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。同図において、感光体ドラム等の潜像保持体(以下、「感光体ドラム」で代表して説明する)1の表面は帯電器2により所定の電荷で帯電され、レーザー光Lの書き込み走査で第1色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム1の、A方向への回転で現像装置ユニット3の第1色の現像器との対向位置に到り、第1色の現像器でトナー現像される。感光体ドラム1はトナー像Tを保持してさらに回転する。
【0054】
上記トナー現像動作に合わせて、中間転写ベルト4は感光体ドラム1の周速と略同一の速度で移動し、感光体ドラム1と中間転写ベルト4とが接触する位置(1次転写部)に移動する。1次転写部では、感光体ドラム1とは逆側から中間転写ベルト4に接して配置される1次転写ロール5によって上記トナーの帯電極性とは逆極性の転写電界が印加され、感光体ドラム1に保持されていたトナー像Tが中間転写ベルト4に1次転写される。以上で、1次転写サイクルが終了する。
【0055】
中間転写ベルト4に1次転写されたトナー像は中間転写ベルト4の周回移動によって2次転写ロール6が配置されている2次転写部に到る。フルカラー画像形成装置の場合には潜像の形成からトナー像の1次転写までを予定色(一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk))分だけ繰り返して中間転写ベルト4上に多色トナーを重ね合わせたカラートナー像を形成する。
【0056】
各色のトナー像を形成するため、例えば現像装置ユニット3は、イエロー現像器3−1、マゼンタ現像器3−2、シアン現像器3−3及びブラック現像器3−4の4色現像器を備える回転装置で構成され、感光体ドラム1に形成された各色の潜像を順次現像できるように構成されている。
【0057】
感光体ドラム1に保持された第1色のトナー像が1次転写部で中間転写ベルト4上に転写された後、感光体ドラム1上の残留トナーは感光体クリーナ7で除去されるとともに図示しない除電器で電荷が中和された後、次の第2色に対応する潜像の形成がなされる。第2色の静電潜像も第1色と同様にして現像され、その第2色のトナー像が中間転写ベルト4上の、先に転写された第1色のトナー像に重ねて転写される。以下、第3色及び第4色についても同様にして中間転写ベルト4に多重転写され、その結果中間転写ベルト4には未定着の複数色トナーが重畳したカラートナー像が形成される。
【0058】
すべての色のトナー像が1次転写された中間転写ベルト4が2次転写位置に達する時点で、タイミングを合わせて給紙手段8から送り出された記録媒体としての記録紙Pが2次転写位置に給送される。
【0059】
記録紙Pを2次転写ロール6及び中間転写ベルト4によって挟持して搬送する際、前記トナー像の帯電極性と逆極性の転写電圧で形成される転写電界が2次転写ロール6に印加されることにより、中間転写ベルト4のトナー像が記録紙Pに2次転写される。
【0060】
トナー像が2次転写された記録紙Pは定着器9に送られ、加熱・加圧処理等の定着処理によりトナー像を記録紙Pに固定し、作像プロセスを終了する。なお、トナー像が2次転写された記録紙Pを除電するための除電器(図示せず)が2次転写ロール6の記録紙Pの搬送方向下流に配置される。
【0061】
2次転写ロール6は、中間転写ベルト4に対して矢印C方向に接触・離間自在に設けられていて、記録紙Pの進入に合わせて接触し、排出に合わせて離間する。2次転写の終了とともに2次転写ロール6は中間転写ベルト4から離間して待避位置に戻る。
【0062】
また、2次転写終了後に、記録紙Pへ転写されずに中間転写ベルト4上に残留したトナー像等を除去するため、中間転写ベルト4に対向してクリーナ10が、接触・離間自在に配置されている。クリーナ10は、2次転写終了後の残留トナー除去時に中間転写ベルト4に接触し、残留トナーが残る領域が通過した後は中間転写ベルト4から離間して退避位置に戻る。
【0063】
前記中間転写ベルト4は、ロール(駆動ロール)11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13及びテンションロール14により張架され、駆動ロール11により矢印B方向に搬送される。中間転写ベルト4には、該中間転写ベルト4が駆動ロール11等の各ロールの軸方向での位置を規制するためのリブ部材が設けられている。
【0064】
一方、前記駆動ロール11には、ベルトクリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4がスリップしないように、その表面に高摩擦材料の被覆層が形成されている。
【0065】
上記電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト4には、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ボリイミド系樹脂をベースに、抵抗調整材料を含有する厚さ50〜100μmの半導電性フィルムが好適に用いられる。
【0066】
なお、本実施形態では、画像形成装置用ベルトとして中間転写ベルトを例として説明したが、用紙(被記録媒体)を搬送する用紙搬送ベルト(被記録媒体搬送ベルト)として使用することもできる。
また、画像形成装置は、感光体ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、帯電ベルト、定着ベルト等を備えた画像形成装置であってもよく、これらのベルトとして本実施多様の画像形成装置用ベルトを適用することもできる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
−補強部の形成−
幅334mm、外径φ168mmのポリイミド製無端ベルト(ベルト本体)を、2分割された半円状割型に入れ、テンションをかけた。その後、ベルト本体の外周面側の軸方向両端に幅10mmの粘着剤付き補強部材(日東電工製、ポリエステルテープNo.31C)をベルト軸端部面に沿って貼り付けた。そのとき、補強部材の重ね合わせ部として周方向10mmの重ね合わせ部ができるようにして、補強部材をベルト端部と垂直に切断した。そして、補強部材の重ね部に気泡などが入らないように注意しながら、上面を十分押し付けた。次いで、ベルト本体の軸方向幅が330mm、補強部材幅が8mmとなるように、ベルトをカットした。
【0068】
−溶着部の形成−
補強部材重ね合わせ部に、最外周テープの周方向先端から1mmの位置に、周方向3mm×テープ幅全体の溶着による溶着部を、超音波溶着ホーン(超音波工業社製、商品名:超音波プラスチックウエルダ)で形成した。
【0069】
−蛇行防止用リブの貼り付け−
ベルト本体の内周面側にウレタンゴム製の蛇行防止用リブ(リブ部材)を接着剤により貼り付けた。リブ部材はベルト径方向522mm、高さ1mm、ベルト軸方向幅5mmの矩形であり、リブ部材の貼り付け位置は、ベルト軸方向端面より0.5mm中央側に沿って貼り付けた。このとき、リブ部材の周方向隙間部(BUTT)は、周方向に約5.5mmであった。そして、周方向の貼り付け位置は、図11(a)に示すように、補強部材端部及び溶着部全域が、リブ部材の周方向端部隙間に位置するようにした。
【0070】
上記ベルトを図13に記載の転写システムに装着し、ベルトを200mm/secの速度で搬送させた
上記ベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止し、ベルトの状態を観察したが、1,000時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題が生じなかった。
【0071】
(実施例2)
補強部材に溶着をおこなわず、補強部材の重なり部最外層先端を、リブ隙間の中央に位置させた以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したが、480時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題が生じなかった。
【0072】
(実施例3)
ベルト回転方向の上流側であって、駆動ロールに侵入していく側のリブ先端に、長さ15mm、幅4.5mmのテーパーをつけた以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。リブ形状の簡略図を図8(a)に示す。なお、本実施例では、ベルト回転方向の上流側であるリブ先端の幅が4.5mmとなるように、リブの先端から、0.25mm×15mmの直角三角形を切り出した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したが、1,200時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題がなかった。
【0073】
(実施例4)
リブ部材の周方向貼り付け位置において、図11(b)に示すように、補強部材の最外層42Aの周方向先端をリブ部材の周方向隙間部(BUTT)に位置するようにし、補強部材の重ね合わせ部(LAP)の一部及び補強部材の溶着部全域は、ベルト内面直下にリブが存在する位置にした以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したところ、1,000時間まで観察してもベルトには問題が生じなかったが、1,000時間を越えたところで、補強部材の溶着部のごく一部にわずかな「浮き」が観察された。
【0074】
(比較例1)
リブの先端隙間位置を、補強部材の重ね合わせ部から周方向に100mmほどずらした以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。補強部材の周方向先端及び溶着部のベルト内面直下にリブが存在する。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したところ、144時間後の観察で溶着部にひびが入っている様子が観察され、その後も継続して回転を続けたところ、264時間に達する前にベルトが破断した。
【0075】
(ベルト表面凸部の観察)
実施例1で作製したベルトを図13に記載の転写システムに装着し、ベルトを200mm/secの速度で搬送させたところ、ベルトは軸方向片側にウォークしながら回転し、しばらく回転を続けると、ウォークを規制するためにベルトの片側リブ(ウォークによって進んだ方向とは逆方向のリブ)がベルト駆動ロールと接触したまま安定して回転を続けた。そのベルト駆動ロールと接触したリブ部材のベルト周方向外側は、凸状に変形した。この変形による凸部の形状及び高さをレーザー変位計(キーエンス社製LK−030)で、ベルトの周方向における各位置においてベルトを停止させた状態で測定したところ、ベルトの周方向位置によって凸部の形状と高さが異なっていた。
この凸高さはベルトの周方向位置と相関があることが分かった。すなわち、リブ部材の真直度によって、リブ部材がベルトの幅方向内側に入り込んだときには凸が高く、リブ部材がベルトの幅方向外側にあるときには凸が小さかった。また、リブの周方向隙間部(BUTT)がベルト駆動ロールにかかったときには、ほとんど凸が発生していなかった。リブの真直度は、ベルトを切り開いて展開し、リブ部材のベルト内周面の長手方向両端部を直線で結び、その直線からリブの最内側面と最外側面に垂線を引き、その距離の合計で定義する。
図14は、ベルトを切り開いて展開し、ベルト内周面を観察した部分平面図である。図14において、リブ部材のベルトの長手方向両端部を結んだ線を点線で示している。リブ部材の最内側面に引いた垂線の長さがAで表されており、最外側面に引いた垂線の長さがBで表されている。図14において、真直度は、A+Bで定義される。また、リブ部材がベルトの幅方向の外側にあるとき(図14におけるBの測定位置)は凸が小さく、また、リブ部材がベルト幅方向の内側に入り込んだとき(図14におけるAの測定位置)は、凸が大きかった。
上記ベルトの真直度は、0.42mmであった。
【0076】
<実施例1及び比較例1>
次に、実施例1及び比較例1にて作製したベルトを上記と同様な方法にて搬送し、補強部材の重ね合わせ部における凸部について測定を行った。
図15(a)は、比較例1のベルトの測定結果であり、図15(b)は、実施例1のベルトの測定結果である。
図15(a)の測定結果によれば、走行中のベルトは、図15(A)のようになっていると想定される。すなわち、補強テープ幅を約8mmとしているので、軸方向端部から約8mmの位置で表面高さが補強部材の厚み分(重ね合わせ部のため、補強テープ厚みの約2倍)増加している。また、ベルトは屈曲部分RUを生じているため、凸を有していると考えられる。上記のベルトはリブ部材が軸方向端部から約1mm乃至約4mmに形成されており、リブ部材が形成されている位置よりも軸方向中央側で凸が生じていることが分かる。
図15(a)における凸高さは、180μmであった。
このベルトを転写システムに装着し、実施例1と同様に補強部材表面の軸方向プロファイルを測定したところ、補強部材の重ね合わせ部の図8における凸高さは、180μmであった。
【0077】
一方、図15(b)の測定結果によると、ベルト内面直下にリブの隙間がある位置(すなわち、補強部材の重なり部最外層先端及び溶着部付近)では凸がなく、補強部材剥離に対するストレスが小さいことが分かる。
すなわち、図15(b)の測定結果によれば、走行中のベルトは、図15(B)のようになっていると想定される。リブ部材の周方向端部隙間部は、ベルト内面にリブ部材を有していないため、ロールへの乗り上がりを生じることがない。なお、図15(b)において、ベルトの軸方向端部は内周側に向かって撓んでいるために、ベルト表面の凸高さが、なだらかに低下していると考えられる。
【0078】
図15の結果から、本実施形態の画像形成装置用ベルトは、補強部材の先端部で屈曲部分を生じないため、補強部材の剥離を効果的に抑制できるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態の画像形成装置用ベルトの軸方向端部(側端部)の斜視図である。
【図2】ロールと接した状態での画像形成装置用ベルトをロール径方向から見た断面図である。
【図3】図2に記載のロールと接した状態での画像形成装置用ベルトを駆動ロールの軸方向から見た断面図である。
【図4】片端部の浮き上がりが生じた際の画像形成装置用ベルトを駆動ロールの径方向から見た断面図である。
【図5】画像形成装置用ベルトの片端部に局部的な亀裂が発生した状態を示す斜視図である。
【図6】画像形成装置用ベルトの片端部にノッチが存在している場合の、局部的な亀裂発生を示す斜視図である。
【図7】リブ部材の周方向端部隙間部を有する本実施形態の画像形成装置用ベルトの斜視図である。
【図8】リブ部材の周方向端部隙間部の拡大平面図である。
【図9】本実施形態の画像形成装置用ベルトをロールに張架した状態でのロールの径方向から見た断面図である。
【図10】補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの一例である。
【図11】補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの周方向の断面図である。
【図12】本実施形態の画像形成装置用ベルトをロールに張架した状態でのロールの径方向から見た部分断面図である。
【図13】ベルト状中間転写体として、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。
【図14】ベルトを切り開いて展開し、ベルト内周面を観察した部分平面図である。
【図15】実施例における凸部の測定結果である。
【符号の説明】
【0080】
1 感光体ドラム
2 帯電器
3 現像装置ユニット
3−1 イエロー現像器
3−2 マゼンタ現像器
3−3 シアン現像器
3−4 ブラック現像器
4 画像形成装置用ベルト(中間転写ベルト)
5 1次転写ロール
6 2次転写ロール
7 感光体クリーナ
8 給紙手段
9 定着器
10 クリーナ
11 ロール
12 アイドルロール
13 2次転写バックアップロール
14 テンションロール
15 ガイド溝
18 補強部材の最外層の周方向先端
40 ベルト本体
41 リブ部材
42 補強部材
43 溶着部
L レーザー光
T トナー像
P 記録紙
R 周回方向(回転方向)
R1 中間転写ベルトが駆動ロールにかかり始める位置
R2 中間転写ベルトが駆動ロールから外れる位置
RU 盛り上がり部分
CR 局部的な亀裂
N ノッチ
LAP 重ね合わせ部
BUTT 隙間部
Sf ロールの摺動面
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置としては、例えば、中間転写ベルトを使用した中間転写方式のカラー画像形成装置がある。これは、電子写真プロセス等によりトナー像が形成される像保持体(例えば感光体ドラム)の転写部で接触して回転するような中間転写ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その像保持体上に形成される複数のトナー像を一旦中間転写ベルトの同じ位置に重ね合わせるように一次転写した後、その中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙に一括して二次転写するものである。そして、用紙上に二次転写された多色のトナー像は、その後定着装置により定着されてカラー画像となる。
【0003】
この他、ベルトを備えた画像形成装置としては、用紙を保持して複数の画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送する用紙搬送ベルトを使用した、いわゆるタンデムタイプのカラー画像形成装置もある。これは、各色成分のトナー像を個々に形成するため画像形成ユニットを複数並べて配置し、その各画像形成ユニットの転写部で接触して回転するように用紙搬送ベルトを複数のロール間に張架して配設したものであり、その用紙搬送ベルトに吸着して保持した用紙を各画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送することにより、各画像形成ユニットで形成される各トナー像を同じ用紙に順次重ね合わせるように転写し、最後に定着させてカラー画像とするものである。
【0004】
上記のごとく、画像形成装置の部材として利用される画像形成装置用ベルトは、疲労による破断を防ぐためにベルト端部にポリエステルなどの樹脂テープによる補強を行うことが行われている。
特許文献1には、無端ベルトの端部の補強を確実にし、無端ベルトが変形をして破壊するということがない画像形成装置を提供することを目的として、トナー像を保持して搬送するトナー像担持体としての無端ベルト及び該無端ベルトを張架搬送するための複数のロールからなるベルト張架手段を有する画像形成装置において、前記無端ベルトの外周面両端部に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を含むベルト補強テープを具備し、前記重ね合わせ部が、該ベルト補強テープに対する摺接体に対して順方向に構成されていることを特徴とする無端ベルトを用いた画像形成装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−219046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、外周面に補強部材を設けた無端ベルトの補強部材端部の剥離を防止する画像形成装置用ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、以下の<1>、<4>及び<5>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>及び<3>とともに以下に記載する。
<1> ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする画像形成装置用ベルト、
<2> 前記リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅がテーパー状に細くなる、上記<1>に記載の画像形成装置用ベルト、
<3> 前記重ね合わせ部にさらに溶着部が形成され、前記溶着部がリブ部材の周方向端部隙間部に形成されている、上記<1>又は上記<2>に記載の画像形成装置用ベルト、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置、
<5> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
上記<1>に記載の発明によれば、外周面に補強部材を設けた無端ベルトの補強部材端部の剥離を防止する画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より耐久性に優れた画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、長期の使用に耐えるベルト張架装置を提供することができた。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、長期の使用に耐える画像形成装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態の画像形成装置用ベルト(以下、「画像形成装置用ベルト」を、単に「ベルト」ともいう。)は、ベルト本体と、前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする。
また、本実施形態のベルト張架装置は、上記本実施形態のベルトと、該ベルトを内側から張架する複数のロールとを供えることを特徴とする。
さらに、本実施形態の画像形成装置は、上記本実施形態のベルトを備えることを特徴とする。
以下、図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には同一の符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0010】
(画像形成装置用ベルト)
図1は本実施形態の画像形成装置用ベルトの軸方向端部(側端部)の斜視図である。同図に示すように、画像形成装置用ベルト4の側端部の内周面側には該側端部に沿ってベルト本体40にリブ部材41が接着されている。リブ部材41の周方向端部は、隙間部BUTTを有している。
また、画像形成装置用ベルト4の側端部の外周面側には該側端部に沿ってベルト本体40にベルト補強部としての補強部材42が設けられている。補強部材42はベルト本体40を一周して、その先端同士が重なり合う、重ね合わせ部LAPを形成している。
本実施形態の画像形成装置用ベルト4において、補強部材42の最外層の周方向先端18は、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置している。すなわち、補強部材42の最外層の周方向先端18は、ベルト本体40を介して、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTと対向している。
【0011】
本実施形態の画像形成装置用ベルトは、補強部材の剥離が防止される。始めに、ベルト破断のメカニズムについて述べる。
図2は、画像形成装置用ベルト4を、該画像形成装置用ベルト4を内側から張架するロール(以下、駆動ロールを例にとって説明する。)11と接した状態で、ロール11の径方向から見た断面図であり、図3は、図2に記載のロール11と接した状態での画像形成装置用ベルト4をロール11の軸方向から見た側面図である。両図において、画像形成装置用ベルト4の内周面側のベルト軸方向端部には、ロール11の軸方向端面に接触して該画像形成装置用ベルト4の軸方向の動き(以下、「ウォーク」と表現する。)を防止するための凸状部材である、リブ部材41がベルト本体40の内周面に設けられている。
【0012】
複数のロールにより張架されている画像形成装置用ベルト4は、搬送される間にウォークを生ずる。一定量以上のウォークは、上述のリブ部材41及びロール11の軸方向端面によって規制される。したがって、ウォークによってリブ部材41及びロール11が接触し、互いに軸方向に押し合う状態が生じる。
【0013】
一般に、ベルトが破断に至るような強い力(上記押し合う状態)は、画像形成装置本体の水平度の不良によるベルト駆動系(後述する図13における、ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13、テンションロール14など)の平行度の精度低下、装置本体の前後側板の部品積み上げや組み立て誤差に起因するベルトのねじれ、ベルト自体の軸方向両端での周長差などが原因で発生する。ウォーク等によってベルトに生じる力についてさらに説明する。
【0014】
画像形成装置用ベルトがロールにかかり始める位置(画像形成装置用ベルト搬送方向において画像形成装置用ベルトとロールが接触し始める位置)及びロールから外れる位置(画像形成装置用ベルトとロールが接触し終わる位置)においてリブ部材の軸方向における中央側の側面(以下単に「軸方向中央側面」と呼ぶ)にかかる力について、図を用いてより詳細に説明する。
【0015】
図3を参照すれば、画像形成装置用ベルト4がウォーク(ベルトの軸方向への移動)を生じてロール11の軸方向端面にリブ部材41が接触した場合、該画像形成装置用ベルト4がロール11にかかり始める位置R1では、リブ部材41の軸方向中央側面には矢印F1方向への力が作用する。つまり、画像形成装置用ベルト4の片端部が浮き上がってロール11にリブ部材41が僅かに乗り上げてしまうような力が作用する。一旦片端部が浮き上がった画像形成装置用ベルト4には、画像形成装置用ベルト4がロール11から外れる位置R2でリブ部材41の軸方向中央側面に矢印F2方向への力が作用して画像形成装置用ベルト4の浮き上がりはなくなる。
【0016】
図4は、片端部の浮き上がりが生じた際の画像形成装置用ベルト4をロール11の径方向から見た断面図である。画像形成装置用ベルト4の片端部に浮き上がりが生じた際、リブ部材41の軸方向中央側面にはロール11との強い押し合いの力が作用するため、盛り上がり部分(屈曲部分)RUが生じる。この盛り上がり部分(屈曲部分)RUは、画像形成装置用ベルト4がロール11から外れる位置R2で解消する。すなわち、画像形成装置用ベルト4の片端部には、ロール11にかかり始める位置R1と外れる位置R2とで、一方向への変形とその反対方向への変形とが交互に発生し、応力集中と応力解放が繰り返されている。
【0017】
前記盛り上がり部分(屈曲部分)RUで応力集中と応力解放が繰り返され、そのまま搬送(駆動)を続けた場合、従来の無端ベルトであれば画像形成装置用ベルト4の片端部には疲労による局部的な亀裂CRが発生する(図5参照)。この局部的な亀裂CRはやがて画像形成装置用ベルト4全体の破断に至る。また、画像形成装置用ベルト4の軸方向端部にノッチNが存在している場合にも、画像形成装置用ベルト4全体の破断に至る(図6参照)。
【0018】
従来、ベルトの軸方向端部を補強部材(補強テープ)等により補強することで、ベルト端部における亀裂の発生を防止する対応が取られている。補強部材(補強テープ)の貼り付け面としては、ベルトの外周面(特開平11−219046号公報など)、ベルトの内周面(特開2001−255752号公報など)、及び、外周面と内周面の両方に貼り付けたもの(特開平5−289535号公報など)がある。しかしながら、ベルトの内周面への補強部材の貼り付けは、外周面への貼り付けに比べて難易度が高く、生産性の面からは、補強部材は外周面へ貼り付ける方が有利である。
【0019】
しかし、補強部材をベルト外周面に貼り付けた場合には、ベルトの回転によって、補強部材の周方向端部を剥離させる力が働く。すなわち、画像形成装置用ベルトを張架している各ロールを通過する際に上記補強部材の内周面側には収縮しようとする力が加わり、外周面側には伸長しようとする力が加わるため、その繰り返しによって補強部材を剥離させようとする力が働く。
この補強部材を剥離させようとする力は、補強部材がロールに沿って周方向に屈曲することにより生じる力と、ベルトの盛り上がり部分(屈曲部分)RUによって軸方向に屈曲することにより生じる力よりなるが、曲率の大きい、軸方向に屈曲することにより生じる力に起因する剥離力の方が、より大きいと考えられる。
特に補強部材の軸方向幅が小さく、盛り上がり部分(屈曲部分)RUから補強部材のベルト中心側軸方向端部の距離が小さい場合には、より補強部材の重ね合わせ部が剥離しやすくなる。
【0020】
本実施形態の画像形成装置用ベルトでは、補強部材42の最外層の周方向先端18が、リブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置している。
上述の通り、補強部材42の周方向端部剥離の主たる要因となる力は、ベルトの盛り上がり部分(屈曲部分)RUによってベルトが軸方向に屈曲することにより生じる力であると考えられる。画像形成装置用ベルトの軸方向への屈曲は、ベルトの蛇行防止用のリブ部材が、ロールに乗り上げることによって発生する。
本実施形態の画像形成装置用ベルトでは、補強部材の剥離の開始点となる周方向端部を、リブ部材の乗り上げが発生しないリブ部材の周方向端部隙間部に位置させることによって、画像形成装置用ベルトの補強部材の端部の剥離が防止される。
【0021】
上記重ね合わせ部LAPは、該重ね合わせ部LAPで上側になっている補強部材42Aの先端18が画像形成装置用ベルト4の周回方向Rに対して上流側に配置された状態、つまり該補強部材42に接触して摺動する構成物(摺接体)に対して順方向に構成されていることが好ましい。
画像形成装置用ベルト4の外周面側軸方向端部にはベルトクリーナのクリーニングブレード両側に配置されるサイドシールを有する場合がある。該サイドシールは、前記摺接体に相当し、前記補強部材42の先端18がベルト4の周回方向Rに対して下流側に配置されていると、該サイドシールが前記先端18に接触して補強部材42の重ね合わせ部LAPで剥離が生じるおそれがあるので、重ね合わせ部LAPは上述のように順方向に構成されていることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態において、補強部材の周方向端部には、重ね合わせ部を形成する。補強部材の端部に隙間が生じると、その隙間部分でベルトが破断しやすくなり、隙間も重ね合わせ部も作らないように正確に補強部材の端部を付き合わせるためには、かなりの精度が必要となりコストアップとなる。したがって、本実施形態において、補強部材の周方向端部は重ね合わせ部を有する。
以下、本実施形態の画像形成装置用ベルトを構成する各部材について詳述する。
【0023】
(ベルト本体)
ベルト本体の材質としては、ヤング率2,000MPa以上8,000MPa以下の樹脂材料が好適に用いられる。ベルト本体の材質としては、熱硬化性樹脂が望ましく、具体的にはポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
ベルト本体の材質として特に好適には、例えばポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂を用いることができる。
【0024】
特に、ベルト本体の材質としては、ヤング率が3,000MPa以上の樹脂材料が好ましい。ヤング率が3,000MPa以上の樹脂材料としては、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられるが、特に高ヤング率の樹脂材料であるポリイミド樹脂が好ましい。例えば、宇部興産(株)のユーピレックスSなどのポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散した場合のヤング率は、6,200MPaである。
また、ベルト本体のヤング率は大きいほど好ましいが、実用上は8,000MPaあれば十分である。ヤング率は、使用する樹脂材料の化学構造を選択することで上記範囲に制御することができ、芳香環構造を含むものほどヤング率を高くすることができる。
なお、ヤング率は、JIS K7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求めることができる。測定条件としては、短冊状試験片(幅6mm、長さ130mm)、ダンベル1号、試験速度500mm/分、厚さはベルト本体の厚さの各設定で測定するものとする。
【0025】
ベルト本体は環状(無端状)であれば、つなぎ目があってもなくてもよい。ベルト本体の厚さは、通常、0.02mm以上0.2mm以下程度が好ましく、より好ましくは0.06mm以上0.1mm以下程度である。
【0026】
ベルト本体の一例を挙げると、電子写真方式を用いた画像形成装置等における中間転写ベルト及び転写搬送ベルトの場合、導電性フィラー(導電剤)を含有するポリイミド系樹脂を含んで構成される半導電性ベルト等が好適に使用される。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が107Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が107以上1013Ωcm以下であることを意味する。以下同様である。
【0027】
ここで、例えば、本実施形態の画像形成装置用ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして用いる場合、1×109Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲に表面抵抗率を、1×108Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲に体積抵抗率を制御するために、ベルト本体には必要に応じて導電性フィラーを配合することが好ましい。この導電性フィラーとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウム又は酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、又はポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどが好適に使用できる。これら導電性フィラーは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。安価及び抵抗調整が容易であるという観点からはカーボンブラックを使用することが好適である。さらに、必要に応じて分散剤、滑剤などの加工助剤をベルト本体中に添加することができる。
【0028】
ベルト本体は、画像形成装置用ベルトの用途に応じて、上記樹脂の単層構成であってもよいし、その他、機能層を外周面に設けてもよいし、上述の通り導電性を付与してもよい。具体的には、画像形成装置用ベルトを感光体ベルトとして適用する場合、機能層として感光層を設けることが例示でき、定着ベルトとして適用する場合、機能層として離型層(例えばフッ素樹脂層)を設けることが例示できる。
【0029】
(リブ部材)
リブ部材41は、図1に示すように、ベルト本体40の軸方向における少なくとも片側縁部の内周面(ベルトの幅方向における少なくとも片側縁部の内周面)に、当該ベルト本体40の周方向に沿って帯状に連続して、かつ、ベルト本体40の内周面から突出するように配設されている。なお、上述の通り、リブ部材41は、周方向端部に隙間部BUTTを有している。
【0030】
リブ部材41は、例えば、その端面がベルト本体40の一端面(ベルト本体40軸方向外側の一端面)と所定の間隙を持って配設されている。リブ部材41の配設位置(接着位置即ち、ベルト本体側縁からの距離)は、画像形成装置の用途、機能、画像形成装置用ベルトを用いる装置等に応じて設定される。なお、リブ部材41は、その端面がベルト本体40の幅方向端面と面一で設けてもよい。
【0031】
リブ部材は、デュロメータ硬さがA60以上A90以下の部材であることが好ましく、特に好ましくは、A60以上A80以下の範囲である。ここで、デュロメータ硬さとは、JIS K6253(1997)に規定されるゴム硬度である。
【0032】
リブ部材の材質としては、ポリウレタン樹脂、ネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の適度な硬度を有する弾性材料等が使用できる。これらの中でも、ポリウレタンゴムやシリコーンゴムが好適に用いられる。
リブ部材の厚みは、0.2mm〜2.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmであり、さらに好ましくは0.8〜1.2mmである。リブ部材の厚みが上記範囲内であると、ウォークが抑制されるとともに、ロールに乗り上げて屈曲部分が生じた場合のベルトの破断が抑制されるので好ましい。
【0033】
リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTの間隔は特に限定されないが、2mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以上4mm以下である。リブ部材の周方向端部隙間部の間隔が10mm以下であると、隙間部BUTTが駆動ロール上にかかった位置でベルトが長時間停止した場合でも、リブ側面と駆動ロール端部との軸方向の押し合う力のリブ単位面積あたりの荷重が適切な範囲に保たれ、接着剤強度によりリブの軸方向へのずれが抑制できるので好ましい。また、隙間部BUTTの間隔が2mm以上であると、リブ端部同士が干渉してベルト表面を周方向に押し上げることがなく、ベルト破断を抑制できるので好ましい。また、隙間部BUTTの間隔が上記範囲内であると、ベルト製造工程におけるベルト裏面へのリブ接着工程での精度の管理が容易であり、経済的であるので好ましい。
【0034】
ここで、リブ部材41は接着部を介してベルト本体40に取り付けることができ、該接着部としては以下の接着剤が好適に用いられる。
(1)弾性接着剤
接着剤としては、硬化後の接着剤のデュロメータ硬さがA30以上A50以下の範囲内の弾性を有することが好ましく、例えば、セメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008、コニシ(株)製の特殊変性シリコンポリマーを主成分とするサイレックス100などを挙げることができる。ベルト本体との接着強度よりセメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008がより好ましく用いられる。
【0035】
(2)感熱性接着剤シート
感熱性接着剤シートとしては、ベルト本体40とリブ部材41との接着性に優れたものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系、シリコン系、天然又は合成のゴム系、ウレタン系、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂系などの樹脂系材料を主材料とする接着剤シートを用いることができる。
【0036】
具体的には、東洋紡績(株)製ポリエステル系接着剤シートGM−913、GM−920、ソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着剤シートD3600などを挙げることができる。画像形成装置用ベルトとの接着強度よりソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着剤シートD3600、東洋紡績(株)製ポリエステル系接着剤シートGM−920がより望ましくは用いられる。
【0037】
弾性接着剤又は感熱性接着剤シートを用いた接着部の厚みは、0.01mm以上0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.02mm以上0.05mm以下である。
【0038】
弾性接着剤又は感熱性接着シートを用いたベルト本体40へのリブ部材41の貼設は、シート状のベルト本体40を用い、まず該ベルト本体40にリブ部材41を貼設して、その後ベルト本体40の端部と他端部とを接着して環状に形成してもよいし、まずベルト本体40を環状に形成した後にリブ部材41を貼設してもよい。
【0039】
リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅は、テーパー状に細くなることが好ましい。
ベルト回転方向における下流側は、ベルトの周回によってロールが引っ掛かるおそれがあるため、下流側となるリブ部材の端部の幅を、テーパー状に細くすることが好ましい。これにより、ロールがスムーズにリブ部材の端部間隙部を通過することができる。
すなわち、リブ部材の端部をテーパー状とすることによって、ロールへの急な乗り上がりが抑制でき、これにより、補強部材の最外層の周方向先端にかかる軸方向の剥離力を少なくすることができる。その結果、補強部材の剥離をより効果的に抑制することができるので好ましい。
ここで、テーパー状に細くなるとは、勾配をもって徐々に細くなることを意味する。したがって、階段状に細くなる場合には、「テーパー状に細くなる」に該当するものではない。
【0040】
図7はリブ部材の周方向端部隙間部を有する本実施形態の画像形成装置用ベルトの斜視図であり、図8はリブ部材の周方向端部隙間部の拡大平面図である。
図8において、画像形成装置用ベルト4の周回方向は符号Rの方向であり、符号Sfは、ロールの摺動面を示す。
ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の、ロールへの急な乗り上がりを抑制する観点から、少なくともベルト回転方向の下流側となるリブ部材のリブガイド摺動面がテーパー状(勾配を有する)ことが好ましい。
リブ部材の上流側となるリブ部材の端部の幅は特に限定されず、図8(a)に示すように、リブ部材の下流側となるリブ部材の端部の幅のみがテーパー状に細くなっていてもよく、図8(b)に示すように、リブ部材の上流側となるリブ部材の端部の幅もテーパー状に細くすることもできる。
該勾配は、図8(a)に示すように一定の勾配を有するものに限定されず、図8(c)に示すように円弧に形成されていてもよい。
また、図8(d)では、ベルト周方向の下流側となるリブ部材の端部が、斜めに形成されている。
【0041】
(補強部材)
次に補強部材について説明する。
補強部材42は、図1に示すように、ベルト本体40の少なくとも片端部(ベルト軸方向の片端部)の外周面に、ベルト本体40の周方向に沿って巻き付けられて配設されている。補強部材42は、例えば、その端面がベルト本体40の一端面(ベルト本体40軸方向外側の一端面)と面一となるように配設されている。補強部材42は一本のテープで巻き付けてもよいし、複数本重ねて巻き付けてもよい。
【0042】
なお、図1では、補強部材42は、その端面がベルト本体40の幅方向端面と面一で設けられているが、補強部材42の配設位置(接着位置、即ち、ベルト本体側縁からの距離)は、画像形成装置用ベルトの用途、機能、画像形成装置用ベルトを用いる装置等に応じて設定される。
【0043】
そして、図1に示すように、補強部材42の周方向の一端部がベルト本体40に巻き付けられた補強部材42の外周面上に重ね合わされて、重ね合わせ部LAPを形成している。この重ね合わせ部LAPにおいて、補強部材42の周方向の一端部に相当する外側(ベルト外周面側)の補強部材を上補強部材42Aと標記し、当該一端部の下層となる内側(ベルト内周面側)の補強部材を下補強部材42Bと標記する。
【0044】
なお、本実施形態において、少なくとも補強部材42の最外層の周方向先端18がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していればよく、重ね合わせ部LABの全部がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していなくてもよい。
好ましくは、補強部材の最外層42Aの周方向先端及びその前後1mm以上がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していることが好ましく、補強部材42の最外層の周方向先端18及びその前後2mm以上がリブ部材の周方向端部隙間部BUTTに位置していることがより好ましい。
【0045】
図9は、本実施形態の画像形成装置用ベルト4をロール11に張架した状態でのロールの径方向から見た断面図である。
前記補強部材42は、画像形成装置用ベルト4の軸方向端部における微小な傷から、ベルト本体40の軸方向全域に破損が進展しないように、その側端面が少なくともベルト本体40の側端面(軸方向端面)と合致するように画像形成装置用ベルト4に沿って貼付けられていることが好ましい。また、補強部材42の内側端面(画像形成装置用ベルト4の軸方向中央側面)は、リブ部材41の内側端面よりも画像形成装置用ベルト4の軸方向中央寄りに位置していることが好ましい。補強部材42に画像形成装置用ベルト4の側端部を保護する機能をもたせるとともに、前述の盛り上がり部分(屈曲部分)RUを発生しにくくする機能をもたせるためである。
【0046】
また、ロール11との関係では、ロール11がリブ部材41に接触したときに、補強部材42の内側端面の位置は、ロール11のリブ部材41の接触面の位置よりもロール11の軸方向中央に位置するように設定することが好ましい。補強部材42とロール11との重なり幅RT(図9参照)は、ロール11がリブ部材41に接触した状態で2mm以上であることが好ましい。画像形成装置用ベルトがウォークして片端のロール側面に接触したときに発生する盛り上がり部分(屈曲部分)RU(図4参照)の幅が、通常2mm以下であるので、重なり幅RTは2mm以上とすることが好ましい。
【0047】
既述のように、補強部材42の重ね合わせ部LAPは、画像形成装置用ベルト4の周回方向において摺接体に対して順方向に構成されていることが好ましい。これにより、補強部材の剥離をより効果的に抑制することができるので好ましい。
また、補強部材42の重ね合わせ部LAPは、補強部材42とベルト本体40との接着と同様に、接着剤等により貼り合わされている。
【0048】
重ね合わせ部LAPには、上補強部材42Aと下補強部材42Bを接合する溶着部43を設けることが好ましい。図10は、補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの一例である。溶着部43は、重ね合わせ部LAPの少なくとも一部において上補強部材42Aの少なくとも一部と下補強部材42Bの少なくとも一部とを溶融させ接合している領域である。溶着部43は、補強部材42の幅方向に対し、全幅で溶融接合させてもよく、一部を溶融接合させてもよい。また、溶着部43は、補強部材42の周方向に対し、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。溶着部43の補強部材の周方向長さは、上記範囲より小さければ接着の効果が薄れ、上記範囲よりも大きければ、駆動ロール上を通過する際、その周方向の曲率に追随できず補強部材が破断する場合がある。なお、溶着部43を含む、重ね合わせ部LAPの引張強度が、重ね合わせ部LAP以外の補強部材42の引張強度よりも大きいことが望ましい。
【0049】
溶着部を形成する方法について説明する。溶着部は、溶融・凝固により形成することができ、熱溶着及び超音波溶着が例示できるが、超音波溶着が好ましい。超音波溶着又は熱溶着を用いる場合、溶着ホーンの形状により、溶着部の形状又は個数を制御することができる。
【0050】
図11は、補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの周方向の断面図(図10におけるX−X’断面図)である。本実施態様において、溶着部を設ける場合、図11(a)に示すように、溶着部43がリブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置していることが好ましい。図11(b)では、補強部材42の最外層の周方向先端は、リブ部材41の周方向隙間部BUTTに位置しているが、溶着部43は、リブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに位置していない。
補強部材42の溶着部43は、剥離強度は高くなるが、脆くなるため引っ張り強度が低くなる傾向がある。溶着部43をリブ部材41の周方向端部隙間部BUTTに設けることにより、ベルトがロールへ乗り上げることによる溶着部43の変形を生じることがなく、より効果的に補強部材42の剥離を抑制することができるので好ましい。
【0051】
重ね合わせ部LAPが形成された補強部材42は、例えば、厚み0.03mm以上0.1mm以下で、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリイミド、オルトフェニルポリプロピレン(OPP)等の熱可塑性樹脂を含んで構成されたものが挙げられる。
なお、補強部材とベルト本体との接着、及び、重なり部における補強部材同士の接着については、リブ部材とベルト本体との接着と同様の方法を使用することができる。
【0052】
(ベルト張架装置)
本実施形態において、ベルト張架装置は、本実施形態の画像形成装置用ベルトと、該ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とする。
画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持するロールは、特に限定されるものではなく、公知のロールから適宜選択して用いることができる。複数のロールは、同一種類のロールでもよく、複数種のロールを併用することもできる。
図12は、本実施形態の画像形成装置用ベルト4をロール11に張架した状態でのロールの径方向から見た部分断面図である。図12(a)に示すように、ロール11の軸方向外側面をリブ部材41との摺接面とすることもできるし、図12(b)に示すように、ロール11にリブ部材41のガイド溝15を形成してもよく、特に限定されない。
【0053】
(画像形成装置)
本実施態様の画像形成装置は、本実施態様の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする。
図13は、ベルト状中間転写体として、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。同図において、感光体ドラム等の潜像保持体(以下、「感光体ドラム」で代表して説明する)1の表面は帯電器2により所定の電荷で帯電され、レーザー光Lの書き込み走査で第1色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム1の、A方向への回転で現像装置ユニット3の第1色の現像器との対向位置に到り、第1色の現像器でトナー現像される。感光体ドラム1はトナー像Tを保持してさらに回転する。
【0054】
上記トナー現像動作に合わせて、中間転写ベルト4は感光体ドラム1の周速と略同一の速度で移動し、感光体ドラム1と中間転写ベルト4とが接触する位置(1次転写部)に移動する。1次転写部では、感光体ドラム1とは逆側から中間転写ベルト4に接して配置される1次転写ロール5によって上記トナーの帯電極性とは逆極性の転写電界が印加され、感光体ドラム1に保持されていたトナー像Tが中間転写ベルト4に1次転写される。以上で、1次転写サイクルが終了する。
【0055】
中間転写ベルト4に1次転写されたトナー像は中間転写ベルト4の周回移動によって2次転写ロール6が配置されている2次転写部に到る。フルカラー画像形成装置の場合には潜像の形成からトナー像の1次転写までを予定色(一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk))分だけ繰り返して中間転写ベルト4上に多色トナーを重ね合わせたカラートナー像を形成する。
【0056】
各色のトナー像を形成するため、例えば現像装置ユニット3は、イエロー現像器3−1、マゼンタ現像器3−2、シアン現像器3−3及びブラック現像器3−4の4色現像器を備える回転装置で構成され、感光体ドラム1に形成された各色の潜像を順次現像できるように構成されている。
【0057】
感光体ドラム1に保持された第1色のトナー像が1次転写部で中間転写ベルト4上に転写された後、感光体ドラム1上の残留トナーは感光体クリーナ7で除去されるとともに図示しない除電器で電荷が中和された後、次の第2色に対応する潜像の形成がなされる。第2色の静電潜像も第1色と同様にして現像され、その第2色のトナー像が中間転写ベルト4上の、先に転写された第1色のトナー像に重ねて転写される。以下、第3色及び第4色についても同様にして中間転写ベルト4に多重転写され、その結果中間転写ベルト4には未定着の複数色トナーが重畳したカラートナー像が形成される。
【0058】
すべての色のトナー像が1次転写された中間転写ベルト4が2次転写位置に達する時点で、タイミングを合わせて給紙手段8から送り出された記録媒体としての記録紙Pが2次転写位置に給送される。
【0059】
記録紙Pを2次転写ロール6及び中間転写ベルト4によって挟持して搬送する際、前記トナー像の帯電極性と逆極性の転写電圧で形成される転写電界が2次転写ロール6に印加されることにより、中間転写ベルト4のトナー像が記録紙Pに2次転写される。
【0060】
トナー像が2次転写された記録紙Pは定着器9に送られ、加熱・加圧処理等の定着処理によりトナー像を記録紙Pに固定し、作像プロセスを終了する。なお、トナー像が2次転写された記録紙Pを除電するための除電器(図示せず)が2次転写ロール6の記録紙Pの搬送方向下流に配置される。
【0061】
2次転写ロール6は、中間転写ベルト4に対して矢印C方向に接触・離間自在に設けられていて、記録紙Pの進入に合わせて接触し、排出に合わせて離間する。2次転写の終了とともに2次転写ロール6は中間転写ベルト4から離間して待避位置に戻る。
【0062】
また、2次転写終了後に、記録紙Pへ転写されずに中間転写ベルト4上に残留したトナー像等を除去するため、中間転写ベルト4に対向してクリーナ10が、接触・離間自在に配置されている。クリーナ10は、2次転写終了後の残留トナー除去時に中間転写ベルト4に接触し、残留トナーが残る領域が通過した後は中間転写ベルト4から離間して退避位置に戻る。
【0063】
前記中間転写ベルト4は、ロール(駆動ロール)11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13及びテンションロール14により張架され、駆動ロール11により矢印B方向に搬送される。中間転写ベルト4には、該中間転写ベルト4が駆動ロール11等の各ロールの軸方向での位置を規制するためのリブ部材が設けられている。
【0064】
一方、前記駆動ロール11には、ベルトクリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4がスリップしないように、その表面に高摩擦材料の被覆層が形成されている。
【0065】
上記電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト4には、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ボリイミド系樹脂をベースに、抵抗調整材料を含有する厚さ50〜100μmの半導電性フィルムが好適に用いられる。
【0066】
なお、本実施形態では、画像形成装置用ベルトとして中間転写ベルトを例として説明したが、用紙(被記録媒体)を搬送する用紙搬送ベルト(被記録媒体搬送ベルト)として使用することもできる。
また、画像形成装置は、感光体ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、帯電ベルト、定着ベルト等を備えた画像形成装置であってもよく、これらのベルトとして本実施多様の画像形成装置用ベルトを適用することもできる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
−補強部の形成−
幅334mm、外径φ168mmのポリイミド製無端ベルト(ベルト本体)を、2分割された半円状割型に入れ、テンションをかけた。その後、ベルト本体の外周面側の軸方向両端に幅10mmの粘着剤付き補強部材(日東電工製、ポリエステルテープNo.31C)をベルト軸端部面に沿って貼り付けた。そのとき、補強部材の重ね合わせ部として周方向10mmの重ね合わせ部ができるようにして、補強部材をベルト端部と垂直に切断した。そして、補強部材の重ね部に気泡などが入らないように注意しながら、上面を十分押し付けた。次いで、ベルト本体の軸方向幅が330mm、補強部材幅が8mmとなるように、ベルトをカットした。
【0068】
−溶着部の形成−
補強部材重ね合わせ部に、最外周テープの周方向先端から1mmの位置に、周方向3mm×テープ幅全体の溶着による溶着部を、超音波溶着ホーン(超音波工業社製、商品名:超音波プラスチックウエルダ)で形成した。
【0069】
−蛇行防止用リブの貼り付け−
ベルト本体の内周面側にウレタンゴム製の蛇行防止用リブ(リブ部材)を接着剤により貼り付けた。リブ部材はベルト径方向522mm、高さ1mm、ベルト軸方向幅5mmの矩形であり、リブ部材の貼り付け位置は、ベルト軸方向端面より0.5mm中央側に沿って貼り付けた。このとき、リブ部材の周方向隙間部(BUTT)は、周方向に約5.5mmであった。そして、周方向の貼り付け位置は、図11(a)に示すように、補強部材端部及び溶着部全域が、リブ部材の周方向端部隙間に位置するようにした。
【0070】
上記ベルトを図13に記載の転写システムに装着し、ベルトを200mm/secの速度で搬送させた
上記ベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止し、ベルトの状態を観察したが、1,000時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題が生じなかった。
【0071】
(実施例2)
補強部材に溶着をおこなわず、補強部材の重なり部最外層先端を、リブ隙間の中央に位置させた以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したが、480時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題が生じなかった。
【0072】
(実施例3)
ベルト回転方向の上流側であって、駆動ロールに侵入していく側のリブ先端に、長さ15mm、幅4.5mmのテーパーをつけた以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。リブ形状の簡略図を図8(a)に示す。なお、本実施例では、ベルト回転方向の上流側であるリブ先端の幅が4.5mmとなるように、リブの先端から、0.25mm×15mmの直角三角形を切り出した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したが、1,200時間まで観察しても補強部材には剥離の発生がなく、ベルトには問題がなかった。
【0073】
(実施例4)
リブ部材の周方向貼り付け位置において、図11(b)に示すように、補強部材の最外層42Aの周方向先端をリブ部材の周方向隙間部(BUTT)に位置するようにし、補強部材の重ね合わせ部(LAP)の一部及び補強部材の溶着部全域は、ベルト内面直下にリブが存在する位置にした以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したところ、1,000時間まで観察してもベルトには問題が生じなかったが、1,000時間を越えたところで、補強部材の溶着部のごく一部にわずかな「浮き」が観察された。
【0074】
(比較例1)
リブの先端隙間位置を、補強部材の重ね合わせ部から周方向に100mmほどずらした以外は、実施例1と同様にベルトを作製した。補強部材の周方向先端及び溶着部のベルト内面直下にリブが存在する。
このベルトを転写システムに装着したまま回転を続け、24時間の搬送毎にベルトを停止しベルトの状態を観察したところ、144時間後の観察で溶着部にひびが入っている様子が観察され、その後も継続して回転を続けたところ、264時間に達する前にベルトが破断した。
【0075】
(ベルト表面凸部の観察)
実施例1で作製したベルトを図13に記載の転写システムに装着し、ベルトを200mm/secの速度で搬送させたところ、ベルトは軸方向片側にウォークしながら回転し、しばらく回転を続けると、ウォークを規制するためにベルトの片側リブ(ウォークによって進んだ方向とは逆方向のリブ)がベルト駆動ロールと接触したまま安定して回転を続けた。そのベルト駆動ロールと接触したリブ部材のベルト周方向外側は、凸状に変形した。この変形による凸部の形状及び高さをレーザー変位計(キーエンス社製LK−030)で、ベルトの周方向における各位置においてベルトを停止させた状態で測定したところ、ベルトの周方向位置によって凸部の形状と高さが異なっていた。
この凸高さはベルトの周方向位置と相関があることが分かった。すなわち、リブ部材の真直度によって、リブ部材がベルトの幅方向内側に入り込んだときには凸が高く、リブ部材がベルトの幅方向外側にあるときには凸が小さかった。また、リブの周方向隙間部(BUTT)がベルト駆動ロールにかかったときには、ほとんど凸が発生していなかった。リブの真直度は、ベルトを切り開いて展開し、リブ部材のベルト内周面の長手方向両端部を直線で結び、その直線からリブの最内側面と最外側面に垂線を引き、その距離の合計で定義する。
図14は、ベルトを切り開いて展開し、ベルト内周面を観察した部分平面図である。図14において、リブ部材のベルトの長手方向両端部を結んだ線を点線で示している。リブ部材の最内側面に引いた垂線の長さがAで表されており、最外側面に引いた垂線の長さがBで表されている。図14において、真直度は、A+Bで定義される。また、リブ部材がベルトの幅方向の外側にあるとき(図14におけるBの測定位置)は凸が小さく、また、リブ部材がベルト幅方向の内側に入り込んだとき(図14におけるAの測定位置)は、凸が大きかった。
上記ベルトの真直度は、0.42mmであった。
【0076】
<実施例1及び比較例1>
次に、実施例1及び比較例1にて作製したベルトを上記と同様な方法にて搬送し、補強部材の重ね合わせ部における凸部について測定を行った。
図15(a)は、比較例1のベルトの測定結果であり、図15(b)は、実施例1のベルトの測定結果である。
図15(a)の測定結果によれば、走行中のベルトは、図15(A)のようになっていると想定される。すなわち、補強テープ幅を約8mmとしているので、軸方向端部から約8mmの位置で表面高さが補強部材の厚み分(重ね合わせ部のため、補強テープ厚みの約2倍)増加している。また、ベルトは屈曲部分RUを生じているため、凸を有していると考えられる。上記のベルトはリブ部材が軸方向端部から約1mm乃至約4mmに形成されており、リブ部材が形成されている位置よりも軸方向中央側で凸が生じていることが分かる。
図15(a)における凸高さは、180μmであった。
このベルトを転写システムに装着し、実施例1と同様に補強部材表面の軸方向プロファイルを測定したところ、補強部材の重ね合わせ部の図8における凸高さは、180μmであった。
【0077】
一方、図15(b)の測定結果によると、ベルト内面直下にリブの隙間がある位置(すなわち、補強部材の重なり部最外層先端及び溶着部付近)では凸がなく、補強部材剥離に対するストレスが小さいことが分かる。
すなわち、図15(b)の測定結果によれば、走行中のベルトは、図15(B)のようになっていると想定される。リブ部材の周方向端部隙間部は、ベルト内面にリブ部材を有していないため、ロールへの乗り上がりを生じることがない。なお、図15(b)において、ベルトの軸方向端部は内周側に向かって撓んでいるために、ベルト表面の凸高さが、なだらかに低下していると考えられる。
【0078】
図15の結果から、本実施形態の画像形成装置用ベルトは、補強部材の先端部で屈曲部分を生じないため、補強部材の剥離を効果的に抑制できるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態の画像形成装置用ベルトの軸方向端部(側端部)の斜視図である。
【図2】ロールと接した状態での画像形成装置用ベルトをロール径方向から見た断面図である。
【図3】図2に記載のロールと接した状態での画像形成装置用ベルトを駆動ロールの軸方向から見た断面図である。
【図4】片端部の浮き上がりが生じた際の画像形成装置用ベルトを駆動ロールの径方向から見た断面図である。
【図5】画像形成装置用ベルトの片端部に局部的な亀裂が発生した状態を示す斜視図である。
【図6】画像形成装置用ベルトの片端部にノッチが存在している場合の、局部的な亀裂発生を示す斜視図である。
【図7】リブ部材の周方向端部隙間部を有する本実施形態の画像形成装置用ベルトの斜視図である。
【図8】リブ部材の周方向端部隙間部の拡大平面図である。
【図9】本実施形態の画像形成装置用ベルトをロールに張架した状態でのロールの径方向から見た断面図である。
【図10】補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの一例である。
【図11】補強部材の重ね合わせ部に溶着部を設けた画像形成装置用ベルトの周方向の断面図である。
【図12】本実施形態の画像形成装置用ベルトをロールに張架した状態でのロールの径方向から見た部分断面図である。
【図13】ベルト状中間転写体として、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。
【図14】ベルトを切り開いて展開し、ベルト内周面を観察した部分平面図である。
【図15】実施例における凸部の測定結果である。
【符号の説明】
【0080】
1 感光体ドラム
2 帯電器
3 現像装置ユニット
3−1 イエロー現像器
3−2 マゼンタ現像器
3−3 シアン現像器
3−4 ブラック現像器
4 画像形成装置用ベルト(中間転写ベルト)
5 1次転写ロール
6 2次転写ロール
7 感光体クリーナ
8 給紙手段
9 定着器
10 クリーナ
11 ロール
12 アイドルロール
13 2次転写バックアップロール
14 テンションロール
15 ガイド溝
18 補強部材の最外層の周方向先端
40 ベルト本体
41 リブ部材
42 補強部材
43 溶着部
L レーザー光
T トナー像
P 記録紙
R 周回方向(回転方向)
R1 中間転写ベルトが駆動ロールにかかり始める位置
R2 中間転写ベルトが駆動ロールから外れる位置
RU 盛り上がり部分
CR 局部的な亀裂
N ノッチ
LAP 重ね合わせ部
BUTT 隙間部
Sf ロールの摺動面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体と、
前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、
前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、
前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする
画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
前記リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅がテーパー状に細くなる、請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
前記重ね合わせ部にさらに溶着部が形成され、前記溶着部がリブ部材の周方向端部隙間部に形成されている、請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
ベルト本体と、
前記ベルト本体の外周面側の側縁に沿って設けられ、端部での重ね合わせ部を有する補強部材と、
前記ベルト本体の内周面側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたリブ部材と、を備え、
前記リブ部材の周方向端部隙間部に、前記補強部材の最外層の周方向先端が位置していることを特徴とする
画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
前記リブ部材の周方向端部のうち、ベルト回転方向における下流側となるリブ部材の端部の幅がテーパー状に細くなる、請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
前記重ね合わせ部にさらに溶着部が形成され、前記溶着部がリブ部材の周方向端部隙間部に形成されている、請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1つに記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−2659(P2010−2659A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161288(P2008−161288)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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