説明

画像形成装置

【課題】 スイッチバック中の記録紙が、たわみにより排出済の記録紙と不意に接触することを防止するとともに、記録紙が取出しやすく輸送時にも壊れにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成部において片面上に画像形成を受けた記録紙の画像未形成側に画像を形成するために記録紙を反転させるスイッチバック装置を有し、記録紙を排出する排紙トレイ15上にてスイッチバック動作を行う画像形成装置において、スイッチバック装置の経路上にスイッチバック中の記録紙の保持機構13を回動自在に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチバック装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置に用いられる給紙装置における反転装置としては種々の形式のものがあり、代表的な形式としては、画像を形成、定着された後の記録紙を逆転ローラ等によって反転させる所謂スイッチバック方式がある。また、画像形成装置においては省スペース化のため記録紙の排出トレイを装置上部に設ける上部排紙と呼ばれる方式が用いられている。この上部排紙方式では省スペース化のために記録紙のスイッチバックは記録紙の排出部上方で行われることが多い。
斯かる画像形成装置においては、記録紙のたわみにより排紙済の記録紙に接触して折れ等が生じたりする場合がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されている技術のように記録紙保持部材を設けてスイッチバック中の記録紙と排出された記録紙を分離する方法が容易に考えられる。
【特許文献1】特開2001−316025公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記発明では、記録紙保持部材が邪魔をして排出された記録紙が取出しにくくなったり、記録紙保持部材が空間に飛び出す形状であるために装置を輸送等のために梱包するときに破損する恐れがあった。
そこで本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、スイッチバック中の記録紙がたわみにより排出済の記録紙と接触することを防止するとともに、記録紙が取出しやすく輸送時にも壊れにくい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成部と、画像形成部において画像形成を受けて排紙された記録紙を受ける排紙トレイと、画像形成部において片面上に画像形成を受けた記録紙を反転させるために排紙トレイ上方に配置された排紙口を備えたスイッチバック装置と、を有した画像形成装置において、前記排紙口近傍位置には、排紙トレイ上方にオーバーハングするようにスイッチバック中の記録紙を保持するための保持機構を回動自在に設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記保持機構は一又は複数の棒状部材によって構成され、各々を回動自在に設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、2記載の画像形成装置において、前記保持機構は弾性部材により、一方向に付勢されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記保持機構は互いに伸縮自在に連結された複数の保持部材によって構成され、回動自在に設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記保持機構は弾性部材により、一方向に付勢されている画像形成装置を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、スイッチバック装置を有し、記録紙を排出する排紙トレイ上にてスイッチバック動作を行う画像形成装置において、スイッチバック装置の経路上にスイッチバック中の記録紙の保持機構を回動自在に設けているので、記録紙の取出し時に保持部材の移動が可能になり、記録紙の取出しが容易にでき、輸送時の梱包時に取り外すこと無く収納できるため、破損することが無い。
請求項2の発明によれば、請求項1記載の画像形成装置において、保持機構は複数の棒状部材によって構成され、各々を回動自在に設けているので、請求項1の効果が得られるのはもちろん、多点で記録紙を保持することができるため記録紙の保持が安定する。
請求項3の発明によれば、請求項1、2記載の画像形成装置において、保持機構は弾性部材により、一方向に荷重を受けているので、請求項1の効果が得られるのはもちろん、使用者が保持機構を移動させても自動的に定位置に戻すことができる。
請求項4の発明によれば、請求項1記載の画像形成装置において、保持機構は伸縮自在の部材によって構成され、回動自在に設けているので、請求項1の効果が得られるのはもちろん、縮小時により少ないスペースで収納ができる。
請求項5の発明によれば、請求項4記載の画像形成装置において、保持機構は弾性部材により、一方向に荷重を受けているので、請求項1の効果が得られるのはもちろん、使用者が保持機構を移動させても自動的に定位置に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、図1に基づき、本発明における電子写真式の画像形成装置1の基本動作を説明する。給紙トレイ2内に配置された底板3上の記録紙は給紙コロ4により上方に位置する画像形成部Aへと搬送される。
画像形成部Aは、感光体ドラム5、感光体ドラム5を一様に帯電する図示しない帯電部、感光体ドラム上に原稿反射光などの画像情報を書き込むことにより静電潜像を形成する書込み光学系、静電潜像をトナーによって現像してトナー像とする現像部、トナー像を記録紙に転写する転写部5a、未定着トナー像を担持した記録紙を加熱、加圧することによって定着する定着部6などから構成されている。
給紙コロ4等の搬送手段によって画像形成部Aの転写位置に記録紙が搬送されてくると、感光体ドラム5上のトナー像が記録紙上に転写され、定着装置6にて記録紙に定着する。
このとき、片面のみに画像形成を行う片面プロセスでは、片面に定着を受けた記録紙は分岐爪9aにより排紙ローラ7a、7b方向に送られ、排紙トレイ15に排出される。一方、両面に画像形成を行う両面プロセスではスイッチバック装置Bに送られる。スイッチバック装置Bはスイッチバックローラ8a、8b、分岐爪9b、反転装置12によって形成されている。
ここで、記録紙はスイッチバックローラ8a、8bに挟持されたまま途中まで胴内排紙部15側に排出されるが、図示しないセンサにより記録紙後端が分岐爪9aを抜けたことが確認されると、スイッチバックローラ8a、8bが逆転を開始して再び機内に戻し、分岐爪9bにより反転装置12方向に搬送する。反転装置12では、搬送ローラ対10、再給紙ローラ対11によって記録紙を搬送し、その裏面に画像形成、定着を行い、排紙ローラ7a、7bによって排紙トレイ15に排出する。
【0007】
本発明の特徴(実施例1)を図2に基づいて説明する。
本発明の保持機構は、画像形成部Aと、画像形成部Aにおいて画像形成を受けて排紙された記録紙を受ける排紙トレイ15と、画像形成部において片面上に画像形成を受けた記録紙を反転させるために排紙トレイ上方に配置された排紙口14bを備えたスイッチバック装置Bと、を有した画像形成装置において、排紙口近傍位置には、排紙トレイ上方にオーバーハングするようにスイッチバック中の記録紙を保持するための保持機構13を回動自在に設けた構成が特徴的である。排紙口14bは、排紙側壁に開口形成されており、下方の排紙口14aの上方に位置している。排紙側壁の外側下方には排紙トレイ15が位置している。
即ち、画像形成装置の排紙側には、排紙ローラ7a、7bによって形成される排紙口14aと、スイッチバックローラ8a、8b下流に設けられた排紙口14bとがあり、排紙口14bの近傍位置からは棒状部材により形成されている保持機構13が排紙方向へ(排紙トレイに対してオーバーハング状に)延びている。記録紙が排出口14bから排紙トレイ15に搬送されてくると、記録紙下面が保持機構13により保持されるため、下側の排紙口14aから排紙トレイ15上に排出済の記録紙が有ってもスイッチバック中の記録紙との引っかかりを生じない。また、保持機構13は支点13’を中心に上下方向、或いは/及び、左右横方向へ回動自在に保持されている。これにより記録紙取出時に保持部材13を矢印の上方向に回動、退避させることで記録紙取出時に保持部材13が邪魔になることが無い。そして、輸送等の梱包時には保持部材13を機器から突出しない方向に回動させることで、空間に飛び出す部分が無くなり破損の恐れが無くなる。なお、保持部材13の本数は、2本に限らず1本、或いは2本以上でもよい。
次に、本発明の別の実施例を図3に基づいて説明する。実施例2では、保持機構は保持部材13a、13bの複数で構成されている。また前実施例と同様に保持部材13a、13bは各々支点13’を中心に上下方向、或いは/及び、左右上下方向へ回動自在に保持されている。これにより実施例1と同様な効果を持ち且つより記録紙の保持が安定する。
【0008】
次に、本発明の別の実施例を図4に基づいて説明する。実施例3では、保持部材13a、13bの支点13’近傍に各々、コイルバネ、トーションバネ等々の弾性部材16a、16bが設けられている。この弾性部材16a、16bは、保持部材13a、13bを矢印側に加圧しており、保持部材13a、13bは各々ストッパ13c、13dによって位置決めされている。これにより、使用者が排紙トレイ15上の記録紙を取出す際に保持部材13a、13bを矢印と反対側に移動させても弾性部材16a、16bの働きにより自動的に定位置に戻すことができる。
次に、本発明の別の実施例を図5に基づいて説明する。実施例4では、保持機構13は軸方向に伸縮自在に連結された複数の保持部材13e、13f、13gにより構成されている。保持部材13e及び13fは後端面が開口した中空形状であり、各保持部材13e、13fの後端開口内には、後方に位置する保持部材13f、13gの先端が嵌合している。保持部材13f、13gの先端にはフック20が突設され、各フック20は保持部材13e、13fに設けたスリット21から外部へ突出することにより、スリット21から離脱しないように構成されている。
この保持機構13は、縮小時には13f、13gが13eの中に収まる。また実施例1と同様に保持部材13e、13f、13gは支点13’を中心に上下方向、及び/或いは、横方向へ、回動自在に保持されている。これにより実施例1と同様な効果を持ち、且つ縮小時により少ないスペースで収納ができる。但し部品の数が増えてしまう欠点もある。なお、本実施例では2本の保持部材となっているが、複数であれば同じ効果が得られることは明白である。
次に、本発明の別の実施例を図6に基づいて説明する。実施例5では、保持機構は保持部材13e、13f、13gと各々の保持部材間に弾性部材16c、16dで構成されている。また、この弾性部材16c、16dは保持部材13e、13f、13gを伸長させる方向に加圧しており、各々に図示しないストッパによって脱落しない様になっている。これにより、使用者が排紙トレイ15上の記録紙を取出す際に保持部材13e、13f、13gを伸縮させても弾性部材16c、16dの働きにより自動的に定位置に戻すことができる。なお、本実施例では3本の保持部材となっているが、複数であれば同じ効果が得られることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例の一例を示す配置図。
【図2】本発明の第1の実施例の要部を示す斜視図。
【図3】本発明の第2の実施例の要部を示す斜視図。
【図4】本発明の第3の実施例の要部を示す斜視図。
【図5】本発明の第4の実施例の要部を示す斜視図。
【図6】本発明の第5の実施例の要部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0010】
1 画像形成装置、2 給紙トレイ、3 底板、4 給紙コロ、5 ドラム、 6 定着装置、7a、b 排紙ローラ、8a、b スイッチバックローラ、9a、b 分岐爪、10 搬送ローラ、11 再給紙ローラ、12 反転装置、13 保持機構、14 排出口、15 排紙トレイ、16 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と、画像形成部において画像形成を受けて排紙された記録紙を受ける排紙トレイと、画像形成部において片面上に画像形成を受けた記録紙を反転させるために排紙トレイ上方に配置された排紙口を備えたスイッチバック装置と、を有した画像形成装置において、前記排紙口近傍位置には、排紙トレイ上方にオーバーハングするようにスイッチバック中の記録紙を保持するための保持機構を回動自在に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記保持機構は一又は複数の棒状部材によって構成され、各々を回動自在に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1、2記載の画像形成装置において、前記保持機構は弾性部材により、一方向に付勢されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、前記保持機構は互いに伸縮自在に連結された複数の保持部材によって構成され、回動自在に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、前記保持機構は弾性部材により、一方向に付勢されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−21903(P2006−21903A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202803(P2004−202803)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】