説明

画像形成装置

【課題】 過去に使用されたプロセスユニットの履歴を知り得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】 プリンタエンジン13に脱着自在なトナーユニット14、ドラムユニット15をセットし、これらトナーユニット14、ドラムユニット15には、それぞれのシリアル番号を記憶した無線ICタグ14a、15aを備え、セット時、及び交換時に各無線ICタグ14a、15aのシリアル番号をRF−IDリーダ16で読み出して、RAM5のログ領域5aに履歴データとして記憶しておき、操作部8のログ出力キー8aを操作し、DISPLAYキー8cを操作すると、ログ領域5aに記憶する履歴データを読み出し、その履歴データを表示部7に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、複写装置、ファクシミリ機能・複写機能等の多機能を有する複合機、プリンタ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真の画像形成部の一部を着脱自在のユニット構成として、交換可能とした画像形成装置が知られている。これらのユニットは、例えばトナーユニット、ドラムユニット等であり、これらを総称してプロセスユニットと称している。
【0003】
従来、これらのプロセスユニットに無線ICタグを取り付け、この無線ICタグを画像形成装置本体のリーダで読み取り、無線ICタグとリーダとの間で通信を行い、データを比較して、プロセスユニットが純正部品か否かを判別する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、プロセスユニットにバーコードを付し、このバーコードからシリアルNoを読み取り、その履歴を記憶するようにした画像形成装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−134151号公報
【特許文献2】特開2003−195698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロセスユニットは、同じ型式の場合、特性は当然に同じはずである。しかしながら、実際にはプロセスユニットは製造ロット毎に特性が微妙に変化する。この理由は、トナーの特性や感光体のOPC(有機光電導体)の物性の変化に伴うものである。このため、純正品を使い続けていても、画質不良が生じることもあり、過去に使用したプロセスユニットのロット番号を知りたい場合もある。
【0006】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、過去に使用されたプロセスユニットの履歴を知り得る画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の画像形成装置は、着脱自在なプロセスユニットを備えた画像形成装置において、前記プロセスユニットには、製造番号を記憶した無線ICタグが設けられ、装置本体には、前記無線ICタグから製造番号を読み出すリーダーと、このリーダーで読み取られた製造番号を記憶する記憶部と、記憶部から読み出された製造番号を出力する出力部とを備えている。
【0008】
この発明の画像形成装置において、プロセスユニットの製造番号が無線ICタグから装置本体のリーダによって読み出され、装置本体の記憶部に記憶される。所要の時に、記憶部から製造番号が読み出され、出力部より出力される。
【0009】
この発明の画像形成装置において、出力部として、表示部、あるいは画像形成部が使用される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、プロセスユニットの製造番号を無線ICタグリーダで読み出して、装置本体の記憶部に記憶するので、プロセスユニットを交換毎に、その製造番号を記憶でき、所要の時に出力できるので、過去に使用されたプロセスユニットの履歴を知り、画像不良の原因を解析することができる。通常は画質不良の解析であるので、履歴をプリントするだけでなく、(プリントできない場合もあり得るので)、表示できるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1はこの発明の実施形態画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、ファクシミリ機能と、複写機能とを備えた複合機として構成したものであり、MPU1と、NCU(網制御回路:Network Control Unit)2と、MODEM3と、ROM4と、RAM5と、画像メモリ6と、表示部7と、操作部8と、スキャナ9と、CODEC10と、プリント用画像処理回路11と、LEDプリントヘッド12と、トナーユニット14及びドラムユニット15を有するプリンタエンジン13と、RD−IDリーダ16と、LANI/F17を備えている。
【0012】
MPU1は、ROM4に格納するプログラムに従い、この装置を構成する各部を制御する機能を有する。NCU2は、電話回線網(PSTN)18との接続を制御するとともに、相手先の電話番号(FAX番号を含む)に対応した選択(ダイヤル)信号を送出する機能、及び呼出信号を検出するための機能を備えている。MODEM3は、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30に従ったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17、V.27ter、V.29等に従った送信データの変調及び受信データの復調を行う。あるいは、これらに加えてV.34に従った送信データの変調及び受信データの復調を行う。
【0013】
ROM4は、この装置を制御するためのプログラムを記憶する。RAM5はMPU1が処理するデータ等を一時的に記憶する。このRAM5は、ログ領域5aを有する。画像メモリ6は、受信した画像データやスキャナで読み取った画像データを記憶する。表示部7は、装置からオペレータへの伝達情報等を表示する。操作部8は、ログ出力キー8a、UP/PRINTキー8b、DOWN/DISPLAYキー8c、STOPキー8dの他、テンキー、FAXキー、COPYキー、スタートキー、ワンタッチキー等の操作キースイッチを有する。ここで、UP/PRINTキー8b、DOWN/DISPLAYキー8cは、もちろん個別キーであっても良い。スキャナ9は、FAX送信するとき、又はコピーするときに、原稿の画像データを読み取る。CODEC10は、読み取った画像データを送信するために、MH、MR、MMR方式等により符号化(エンコード)し、受信した画像データを復号(デコード)する。
【0014】
プリント画像処理回路11は、ページメモリに格納された印字すべき画像データを読み出し、画像処理を施し、LEDプリントヘッド12に印字データ、クロック信号、ストローブ信号等を供給する。
【0015】
プリンタエンジン13は、本体に脱着自在なトナーユニット14、ドラムユニット15を備える。トナーユニット14には、自身の製造番号を記憶した無線ICタグ14aを付設し、同様にドラムユニット15には、自身の製造番号を記憶した無線ICタグ15aを付設している。RF−IDリーダ16は、無線ICタグ14a、15aの記憶内容を読み取り可能である。
【0016】
図6に、この実施形態装置のプリントエンジンの機構上の構成を概略的に示している。ここでは、トナー35を収容する現像器33と、現像ローラ34とで一体的にトナーユニット14を構成し、感光ドラム31と帯電ローラ32とで一体的にドラムユニット15を構成している。なお、37は転写ローラ、38はハロゲンランプ、39はヒートローラ、40は温度センサ、41は定着器ローラである。また、図示は省略しているが、トナーユニット14に無線ICタグ14aを付設し、ドラムユニット15に無線ICタグ15aを付設している。
【0017】
この実施形態画像形成装置において、プロセスユニットを交換する場合、プリンタエンジンのカバーを開き、交換後カバーを閉じる。そこで、プリンタエンジンのカバーを閉じた場合に実行する処理について、図2のフロー図を参照して説明する。先ず、ステップST1においては、RF−IDリーダ16により、無線ICタグ14aに記憶されているトナーユニット14のシリアル番号(製造番号)を読み出す。次に、ステップST2へ移行する。
【0018】
ステップST2においては、今回無線ICタグ14aより読み出したシリアル番号と記憶されてある直前に装着されていたトナーユニットのシリアル番号とを比較し、同じか否か判定する。同じでない場合は、ステップST3へ移行する。一方、シリアル番号が同じである場合は、ステップST3へスキップして、ステップST4へ移行する。
【0019】
ステップST3においては、装着されているトナーユニット14が交換された新しいものであるとして、読み取ったシリアル番号をRAM5のログ領域5aに記録する。ステップST2において、シリアル番号が同じ場合は、トナーユニット14が変更されていないので、シリアル番号も新たにログ領域5aに記憶しない。ステップST4においては、RF−IDリーダ16により、無線ICタグ15aに記憶されているドラムユニット15のシリアル番号(製造番号)を読み出す。次に、ステップST5へ移行する。
【0020】
ステップST5においては、今回、無線ICタグ15aより読み出したシリアル番号と、ログ領域5aに記憶されている直前に装着されていたドラムユニットのシリアル番号と比較し、同じか否か判定する。同じでない場合は、ステップST6へ移行する。一方、シリアル番号が同じである場合は、ステップST6をスキップして、リターンする。
【0021】
ステップST6においては、装着されているドラムユニット15が交換された新しいものであるとして、読み取ったシリアル番号をRAM5のログ領域5aに記録する。ステップST5において、シリアル番号が同じ場合は、ドラムユニット15が変更されていないので、シリアル番号を新たにログ領域5aに記憶しない。ログ領域5aに記憶されるトナーユニットのシリアル番号の記憶例を図7に示している。各シリアル番号は、交換された、つまりセットされた記録日とともに記憶されている。もちろん、記録日は時分等も記憶しても良い。ドラムユニットも同様の態様で記憶される。
【0022】
この実施形態において、RAM5のログ領域5aに記録してある履歴データをログ出力する場合の処理を、図3〜図5に示すフロー図を参照して説明する。この処理ルーチンに入ると、ステップST11において、所定のキー操作か否か判定する。オペレータが操作部8のログ出力キー8aを操作すると、判定YESでステップST12へ移行する。ログ出力キー8aの操作でないと、リターンする。
【0023】
ステップST12においては、次の処理がプリントか否か判定する。オペレータが操作部8のUP/PRINTキー8bを操作すると、プリントの指示入力であり、次に、ステップST13へ移行する。一方、オペレータが操作部8のDOWN/DISPLAYキー8cを操作すると、表示の指示入力であり、次に、ステップST16へ移行する。
【0024】
ステップST13においては、RAM5のログ領域5aのログデータを読み出す。次に、ステップST14へ移行する。ステップST14においては、読み出したログデータのイメージデータを生成する。続いて、ステップST15へ移行する。ステップST15においては、ログイメージデータをLEDプリントヘッド12及びプリントエンジン13により、プリントアウトする。このプリントアウトデータは、図7に例示するようなトナーユニット14とドラムユニット15の履歴データである。
【0025】
ステップST16においては、ドラムユニットかトナーユニットかを判定する。ドラムユニットの場合は、ステップST17へ移行する。一方、トナーユニットの場合は、ステップST27へ移行する。ステップST17においては、ログ領域5aよりドラムユニットの最新5件分のデータを読み出す。次に、ステップST18へ移行する。ステップST18においては、表示部7にドラムユニットのその最新の5件分のシリアル番号を表示する。次に、ステップST19へ移行する。
【0026】
ステップST19においては、DOWN(ダウン)キー8cが操作オンされたか否か判定する。DOWNキー8cがオンされた場合には、ステップST20へ移行する。一方、DOWNキー8cのオンでない場合は、ステップST22へ移行する。ステップST22においては、UP(アップ)キー8bが操作オンされたか否かを判定する。UPキー8bがオンされた場合には、ステップST23へ移行する。一方、UPキー8bのオンでない場合は、ステップST25へ移行する。ステップST25においては、STOP(ストップ)キー8dがオンされたか否かを判定する。STOPキー8dがオンの場合には、ステップST26へ移行する。一方、STOPキー8dのオンでない場合は、ステップST19へ戻る。
【0027】
ステップST20においては、ログ領域5aに、更に過去5件分のデータ(ドラムユニットのシリアルナンバー)有りか否かを判定する。ここで過去データがない場合は、ステップST19へ戻る。一方、更に過去5件分のデータ有りの場合は、ステップST21へ移行する。なお、5件分がない場合でも、1件でも有れば、同様にステップST21へ移行すると良い。ステップST21においては、表示部7に表示中のデータより、更に過去5件分のデータをログ領域5aより読み出す。そして、その5件分を表示部7に表示する。
【0028】
ステップST23においては、更に新しい5件分のデータがあるか否かを判定する。表示中のデータよりも新しいデータがない場合は、ステップST39へ戻る。一方、新しい側に、更に5件分のデータがあると、ステップST24へ移行する。ステップST24においては、表示中のデータよりも更に新しい5件分のデータを読み出す。そして、その5件分を表示部7に表示し、ステップST19へ戻る。
【0029】
ステップST26においては、STOPキー8dのオンに応答し、表示部7をFAX待機時の通常表示とする。
【0030】
ステップST27においては、ログ領域5aよりトナーユニットの最新5件分のデータを読み出す。次に、ステップST28へ移行する。ステップST28においては、表示部7にトナーユニットのその最新の5件分のシリアル番号を表示する。次に、ステップST29へ移行する。
【0031】
ステップST29においては、DOWNキー8cが操作オンされたか否か判定する。DOWNキー8cがオンされた場合には、ステップST30へ移行する。一方、DOWNキー8cのオンでない場合は、ステップST32へ移行する。ステップST32においては、UPキー8bが操作オンされたか否かを判定する。UPキー8bがオンされた場合には、ステップST33へ移行する。一方、UPキー8bのオンでない場合は、ステップST35へ移行する。ステップST35においては、STOPキー8dがオンされたか否かを判定する。STOPキー8dがオンの場合には、ステップST36へ移行する。一方、STOPキー8dのオンでない場合は、ステップST29へ戻る。
【0032】
ステップST30においては、ログ領域5aに、更に過去5件分のデータ(トナーユニットのシリアルナンバー)有りか否かを判定する。ここで過去データがない場合は、ステップST29へ戻る。一方、更に過去5件分のデータ有りの場合は、ステップST31へ移行する。なお、5件分がない場合でも、1件でも有れば、同様にステップST31へ移行すると良い。ステップST31においては、表示部7に表示中のデータより、更に過去5件分のデータをログ領域5aより読み出す。そして、その5件分を表示部7に表示する。
【0033】
ステップST33においては、更に新しい5件分のデータがあるか否かを判定する。表示中のデータよりも新しいデータがない場合は、ステップST29へ戻る。一方、新しい側に、更に5件分のデータがあると、ステップST34へ移行する。ステップST34においては、表示中のデータよりも更に新しい5件分のデータを読み出す。そして、その5件分を表示部7に表示し、ステップST29へ戻る。
【0034】
ステップST36においては、STOPキー8dのオンに応答し、表示部7をFAX待機時の通常表示とする。
【0035】
なお、上記実施形態においては、プロセスユニットとして、ドラムユニットと、トナーユニット(現像器)とを例に挙げているが、本発明はこれに限るものではなく、ドラムユニット、トナーユニットが一体となったプロセスユニット、その他のプロセスユニットにも適用できる。
【0036】
また、上記実施形態では、プロセスユニットの製造番号の履歴を表示又はプリントするようにしているが、LANI/F17より直接又はネットワーク経由でPCが読み出すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明が実施される画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態画像形成装置のプロセスユニットの使用履歴の記録処理を説明するフロー図である。
【図3】同実施形態画像形成装置のプロセスユニットの使用履歴のプリント出力処理を説明するフロー図である。
【図4】同プロセスユニットの使用履歴の表示処理を説明するフロー図である。
【図5】図4とともに、同プロセスユニットの使用履歴の表示処理を説明するフロー図である。
【図6】同実施形態画像形成装置のプリントエンジンの機構的構成を示す概略図である。
【図7】同実施形態画像形成装置のログ領域に記憶させるトナーユニットの履歴データの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 MPU
2 NCU
3 MODEM
4 ROM
5 RAM
5a ログ領域
6 画像メモリ
7 表示部
8 操作部
8a ログ出力キー
8b UP/PRINTキー
8c DOWN/DISPLAYキー
8d STOPキー
9 スキャナ
10 CODEC
11 プリント用画像処理回路
12 LEDプリントヘッド
13 プリンタエンジン
14 トナーユニット
14a トナーユニットの無線ICタグ
15 ドラムユニット
15a ドラムユニットの無線ICタグ
16 RF−IDリーダ
17 LANI/F
18 電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在なプロセスユニットを備えた画像形成装置において、
前記プロセスユニットには、製造番号を記憶した無線ICタグが設けられ、装置本体には、前記無線ICタグから製造番号を読み出すリーダーと、このリーダーで読み取られた製造番号を記憶する記憶部と、記憶部から読み出された製造番号を出力する出力部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力部は、表示部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力部は、画像形成部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−39251(P2006−39251A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219774(P2004−219774)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】