説明

画像形成装置

【課題】装置構成の自由度が高く、情報制御の信頼性に優れる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、本体101の下側に4つの給紙カセット103a、103b、103c、103dを備える。本体101には、中央制御部105を有するメイン基板109が設けられている。中央制御部105は、下側に送受信用アンテナ111を有する。給紙カセット103aは、個別制御部107aおよびセンサ117aを備える。RFIDからなる個別制御部107aは、上側および下側にそれぞれ送受信用アンテナ113a、115aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複合型コピー機は、記録紙カセットの有無や、セットされた記録紙の有無、サイズなどをメカニカルセンサで検出する。センサの出力信号は、ワイヤーハーネスなどの有線でメイン基板と接続され、メイン基板上のCPUが、記録紙の有無、サイズなどを判別する。
【0003】
一方、近年、下記の特許文献1および特許文献2に示すように、有線を用いず、無線通信方式でメイン基板上のCPUとセンサとの間の通信を行うコピー機も開発されている。
【0004】
特許文献1には、カセット装着部に給紙カセットが装着されると、給紙カセットのセンサと本体部側のアンテナユニットの通信・制御部との間で無線通信方式による通信を行う画像形成装置が記載されている。そして、給紙ユニットは、通信・制御部から送信されるセンサー情報を受信した後、給紙カセットに装填された記録紙から1枚の記録紙を分離し、画像記録部へ給送する。特許文献1によれば、これにより、レーザープリンターの中央制御部は、給紙カセットに装填された記録紙を画像記録部へ給送開始する前の段階で、記録紙についてのサイズ、電気抵抗を判断できるようになる旨記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、RFIDを備える画像形成装置用用紙カセットが記載されている。図11は、この従来技術に記載の用紙カセットの概略図である。この用紙カセットは、用紙の幅方向を規制する用紙ガイド1、2および用紙の長さ方向を規制する用紙ガイド3を備える。
【0006】
特許文献2によれば、このような用紙カセットを画像形成装置本体に装着すると、非接触の情報伝達手段(RFIDなど)が本体の情報受信部と近接(約2mm)することにより、電力の供給を受け、カセット内の光学式の紙サイズセンサ(図示しない)がアクティブとなる。この紙サイズセンサが用紙ガイド1、2、3の位置を検出し、その情報により、紙サイズを算出する。例えば、A4サイズの紙がセットされている場合は、210mm×297mmとして紙サイズ情報が非接触の情報伝達手段4を通して画像形成装置本体に送られる。また、200mm×250mmのような不定形サイズの紙がセットされている場合でも、セットされている紙サイズ(この場合は200mm×250mm)の情報が非接触の情報伝達手段4を通して画像形成装置本体に送られる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−267559号公報
【特許文献2】特開2004−123366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
【0009】
第一に、従来技術のワイヤーハーネスなどの有線を用いる画像形成装置では、センサとメイン基板とを接続するワイヤーハーネスは、機器内のスペースを占有するため、画像形成装置の小型化が困難である。また、ワイヤーハーネスの分だけ、機器重量が増加する上、給紙カセットの配置に制限が加わるため、画像形成装置の構成変更の自由度が低い。
【0010】
第二に、特許文献1によれば、給紙カセット側のアンテナと本体側のアンテナとが、対向する位置に設けられているため、給紙カセットが複数設けられている場合には、給紙カセット側のアンテナも複数になる。このため、複数の給紙カセット側のアンテナに対向するように本体側のアンテナを大きくする必要が生じる。したがって、画像形成装置の小型化が困難である。また、給紙カセットの個数を増加させた場合には、本体側のアンテナの形状も変更する必要があり、同様に画像形成装置の構成変更の自由度が低い。
【0011】
第三に、特許文献2によれば、RFIDを設けた給紙カセットを上下方向に多段に配置した場合、RFIDの送信可能範囲はそれほど大きくない。また、給紙カセットを多段に配置した場合、メイン基板に実装されたリーダとRFIDとの間に設けられた給紙カセットにより、RFIDからの信号が遮断されやすい。このため、メイン基板に実装されたリーダが最下段のRFIDの情報を読み取ることが困難になる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置構成の自由度が高く、データ通信の信頼性に優れる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、本体と、複数の被印刷媒体格納機構と、を備える画像形成装置であって、本体に設けられている中央制御部と、複数の被印刷媒体格納機構にそれぞれ一以上設けられており、被印刷媒体格納機構の状態を表すデータを取得するセンサと、複数の被印刷媒体格納機構にそれぞれ一以上設けられており、データを集積してなる情報を少なくとも1方向に順次転送する複数の個別制御部と、を備え、複数の個別制御部は、センサからデータを受信すると、センサから受信したデータを含む情報を作成し、隣接する別の個別制御部に情報を送信するように構成されている第一の個別制御部と、隣接する別の個別制御部から情報を受信すると、センサから前記データを受信し、センサから受信したデータを情報に付加し、隣接するさらに別の個別制御部または中央制御部に情報を送信するように構成されている第二の個別制御部と、を含み、中央制御部は、複数の個別制御部のうち1以上の個別制御部から情報を受信するように構成されている画像形成装置が提供される。
【0014】
この構成によれば、少なくとも1方向にリレー方式により信号を送受信する複数の個別制御部を備えるため、中央制御部は、それぞれの個別制御部により付加されたデータを含むデータのセットを1以上の個別制御部から受信する。このため、中央制御部は、結果的に複数の個別制御部からそれぞれデータを受け取った場合と同様の結果を得ることができる。そのため、画像形成装置の構成が全体として簡便になり、被印刷媒体格納機構の配置の変更の自由度が高い。また、中央制御部は、直接データを受信することが困難な位置に配置されている個別制御部からも、他の個別制御部を介して、データを信頼性よく受信できる。したがって、この構成によれば、画像形成装置の構成の自由度が高く、各被印刷媒体格納機構に備わるセンサにより取得されたデータの通信の信頼性に優れる画像形成装置が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定の構成からなる中央制御部および複数の個別制御部を備えるため、装置構成の自由度が高く、データ通信の信頼性に優れる画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る画像形成装置において、中央制御部および複数の個別制御部は、無線通信方式により、前記データを含む情報の送信または受信を行うように構成することができる。
【0017】
この構成によれば、センサとメイン基板上に設けられる中央制御部とを接続するワイヤーハーネスなどの有線を無くすことができる。このため、装置構成のレイアウトの自由度を向上させるとともに、装置の構成を簡単化できる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置において、上記個別制御部は、RF−IDタグを含んでもよい。
【0019】
この構成によれば、無線周波数識別(RF−ID)タグを用いた無線化により、センサとメイン基板上に設けられる中央制御部とを接続するハーネスを無くすことができる。また、センサの読み取りデータと個別制御部のIDデータとを容易に対応付けすることができる。このため、装置構成のレイアウトの自由度を向上させるとともに、装置の構成を簡単化できる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置において、個別制御部は、互いに異なる方向に向けて設けられている2以上の無線方式の送信部または受信部を有する構成とすることができる。
【0021】
この構成によれば、個別制御部は、一方向に設けられている他の個別制御部から信号を受け取り、他の方向に設けられているさらに別の個別制御部に信号を送信することができる。このため、複数の個別制御部の間で、少なくとも1方向にリレー方式により信号を送受信することができる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置において、上記複数の被印刷媒体格納機構は、複数の給紙カセットを含む構成とすることができる。
【0023】
この構成によれば、複数の給紙カセットにそれぞれ設けられている個別制御部は、それぞれ給紙カセットの状態をセンサにより読み取って、中央制御部に読み取ったデータを含む信号を送信できる。このため、中央制御部は、受け取った給紙カセットの状態に関するデータに基づいて、画像形成装置の動作を制御できる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置において、上記センサは、用紙有無センサまたは記録紙サイズセンサであってもよい。
【0025】
この構成によれば、複数の給紙カセットにそれぞれ設けられている個別制御部は、用紙有無センサまたは記録紙サイズセンサにより、給紙カセット内の記録紙の有無または記録紙のサイズを読み取って、中央制御部に読み取ったデータを含む信号を送信できる。このため、中央制御部は、受け取った給紙カセット内の記録紙の有無または記録紙のサイズに関するデータに基づいて、画像形成装置の動作を制御できる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0027】
<実施形態1>
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を模式的に示す断面図である。
【0028】
本実施形態に係る画像形成装置100は、本体101の下側に4つの給紙カセット103a、103b、103c、103dを備える。本体101には、中央制御部105を有するメイン基板109が設けられている。中央制御部105は、下側に送受信用アンテナ111を有する。
【0029】
給紙カセット103aは、個別制御部107aおよびセンサ117aを備える。RFIDからなる個別制御部107aとセンサ117aとは、配線で接続されている。個別制御部107aは、上側および下側にそれぞれ送受信用アンテナ113a、115aを有する。給紙カセット103bは、個別制御部107bおよびセンサ117bを備える。RFIDからなる個別制御部107bとセンサ117bとは、配線で接続されている。個別制御部107bは、上側および下側にそれぞれ送受信用アンテナ113b、115bを有する。
【0030】
給紙カセット103cは、個別制御部107cおよびセンサ117cを備える。RFIDからなる個別制御部107cとセンサ117cとは、配線で接続されている。個別制御部107cは、上側および下側にそれぞれ送受信用アンテナ113c、115cを有する。給紙カセット103dは、個別制御部107dおよびセンサ117dを備える。RFIDからなる個別制御部107dとセンサ117dとは、配線で接続されている。個別制御部107dは、上側および下側にそれぞれ送受信用アンテナ113d、115dを有する。
【0031】
図2は、本実施形態に用いる個別制御部の構成を説明するための機能ブロック図である。
【0032】
本実施形態に用いる個別制御部107は、基板129上に、ロジック回路121、メモリ123、RF回路125、127を備える。ロジック回路121は、メモリ123およびRF回路125、127と接続している。RF回路とは、Radio Frequency回路の略であり、電気信号を電波の波形に変換したり、逆に電波の波形を電気信号に変換したりする機能を有する。すなわち、RF回路125、127は、リーダーとしても機能しうる。
【0033】
ロジック回路121は、外部に設けられているセンサ117と接続している。上段の別の個別制御部107または中央制御部105との間で送受信される電波の波形を電気信号に変換し、その逆の変換も行いうるように構成されているRF回路125には、送受信用アンテナ113が接続している。下段の別の個別制御部107との間で送受信される電波の波形を電気信号に変換し、その逆の変換も行いうるように構成されているRF回路127には、下側の送受信用アンテナ115が接続している。これらの送受信用アンテナ113、115の先端部は、基板129の外部に突出している。
【0034】
本実施形態に係る画像形成装置の動作について、以下説明する。
図3は、本実施形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。
図1に示す画像形成装置100は、このフローチャートで説明する動作を行う。具体的には、まずメイン基板109の中央制御部105が、下段に向けて信号を発信する(S301)。なお、中央制御部105(CPU)は、所定周期で個別制御部107aにセンサ読取命令を含む信号を発信する。1段目の個別制御部107aは、上段から信号を受信する(S303)と、下段にRFIDからなる別の個別制御部107bが設けられているか否かを、後述のようにメモリからIDデータおよび給紙カセットの配置についてのデータテーブルを受け取り、両者を照合して判断する(S305)。
【0035】
本実施形態では、下段にRFIDからなる別の個別制御部107bが設けられているので、1段目の個別制御部107aは、下段に向けてデータの要求命令を含む信号を発信する(S307)。なお、仮に下段にRFIDからなる別の個別制御部107bが設けられてない場合には、後述するステップ(S343)に進む。
【0036】
2段目の個別制御部107b、3段目の個別制御部107cにおいても、上記の1段目の個別制御部107aと同様の動作を行う(S309〜S319)。
【0037】
4段目の個別制御部107dは、上段から信号を受信する(S321)と、下段にRFIDからなる別の個別制御部107が設けられているか否かを、後述のようにメモリからIDデータおよび給紙カセットの配置についてのデータテーブルを受け取り、両者を照合して判断する(S323)。
【0038】
図4は、本実施形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。
本実施形態では、下段にRFIDからなる別の個別制御部107が設けられていないため、4段目の個別制御部107dは、後述するデータテーブル中の自己のIDに該当するフィールドに、センサ117dを介して読み取った4段目の給紙カセット103dの用紙の有無のデータを書き込む(S325)。4段目の個別制御部107dは、上段に向けてセンサ117dを介して読み取ったデータを書き込んだデータテーブルを含む信号を発信する(S327)。
【0039】
なお、仮に下段にRFIDからなる別の個別制御部107が設けられている場合には、さらに上記の2段目の個別制御部107b、3段目の個別制御部107cの場合と同様のステップを繰り返す。
【0040】
3段目の個別制御部107cは、下段から信号を受信する(S329)と、後述するデータテーブル中の自己のIDに該当するフィールドに、センサ117cを介して読み取った3段目の給紙カセット103cの用紙の有無のデータを書き込む(S331)。3段目の個別制御部107cは、上段に向けてセンサ117cを介して読み取ったデータを書き込んだデータテーブルを含む信号を発信する(S333)。
【0041】
2段目の個別制御部107bは、下段から信号を受信する(S335)と、後述するデータテーブル中の自己のIDに該当するフィールドに、センサ117bを介して読み取った2段目の給紙カセット103bの用紙の有無のデータを書き込む(S337)。2段目の個別制御部107bは、上段に向けてセンサ117bを介して読み取ったデータを書き込んだデータテーブルを含む信号を発信する(S339)。
【0042】
1段目の個別制御部107aは、下段から信号を受信する(S341)と、後述するデータテーブル中の自己のIDに該当するフィールドに、センサ117aを介して読み取った1段目の給紙カセット103aの用紙の有無のデータを書き込む(S343)。1段目の個別制御部107aは、上段に向けてセンサ117aを介して読み取ったデータを書き込んだデータテーブルを含む信号を発信する(S345)。
【0043】
中央制御部105は、下段から信号を受信する(S347)と、受信した信号に含まれるデータテーブルにより、1段目から4段目の給紙カセット103a、107b、107c、107dの用紙の有無をそれぞれ判断する。そして、中央制御部105は、判断結果に応じて、画像形成装置100全体を制御する。
【0044】
図5は、本実施形態に用いる個別制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【0045】
図2に示す個別制御部107は、このフローチャートで説明する動作を行う。具体的には、個別制御部107は、上段に配置されている中央制御部105または別の個別制御部107から送出された電波を上側の送受信用アンテナ113により受信する(S501)と、上側のRF回路125(リーダ回路としても機能する)が受信した電波の波形を電気信号に変換する(S503)。そして、ロジック回路121は、上側のRF回路125が変換したセンサ読み取り命令を含む信号を受け取る(S505)。
【0046】
ロジック回路121は、センサ読み取り命令を受け取ると、メモリ123から自己のIDデータおよび個別制御部の配置に関するデータテーブルを受け取る(S507)。ロジック回路121は、自己のIDデータおよび個別制御部の配置に関するデータテーブルを照合することにより、自己のIDデータよりも大きな数値からなるIDデータが存在しているため、さらに下段に別の個別制御部107が設けられていると判断する(S509)と、センサ読み取り命令を含む電気信号を下側のRF回路127により電波の波形に変換させる(S511)。そして、下側の送受信用アンテナ115が電波を下段へ向けて発信する(S513)。
【0047】
なお、ロジック回路121は、自己のIDデータおよび個別制御部の配置に関するデータテーブルを照合することにより、自己のIDデータが最大のIDデータであるため、さらに下段に別の個別制御部107が設けられていないと判断する(S509)と、後述するステップ(S607)に進む。
【0048】
図6は、本実施形態に用いる個別制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
一方、個別制御部107は、下段に配置されている別の個別制御部107から送出された電波を下側の送受信用アンテナ115により受信する(S601)と、下側のRF回路127(リーダ回路としても機能する)が受信した電波の波形を電気信号に変換する(S603)。そして、ロジック回路121は、下側のRF回路127が変換したデータテーブルを含む信号を受け取る(S605)。
【0049】
ロジック回路121は、データテーブルを含む信号を受け取ると、センサ117に給紙カセット103の状態(用紙の有無)を読み取るように指示を出し、センサ117から給紙カセット103の状態(用紙の有無)について読み取ったデータを取得する。また、ロジック回路121は、メモリ123から自己のIDデータを受け取り、受けたとったデータテーブルのうち自己のIDに該当するフィールドをセンサ117から受け取ったデータに書き換える(S607)。
【0050】
そして、個別制御部107は、センサ117から受け取ったデータの書き込まれたデータテーブルを含む電気信号を上側のRF回路125により電波の波形に変換して(S609)、上側の送受信用アンテナ113から電波として発信する(S611)。
【0051】
図7は、実施の形態に用いるデータテーブルの構成を説明するためのデータ構造図である。
本実施形態では、給紙カセット103が4段、給紙カセット103内のセンサ117(用紙有無センサ)が各1個設けられている。そして、センサ117一つにつき、後述するようにデータテーブルのうち1ビットのセルが、センサ117が読み取ったデータを格納するために割り当てられる。
【0052】
このため、中央制御部105に備わるCPUは、図7に示すように、データ格納領域が4ビット以上であるデータテーブルを受信する。このデータテーブルは、10のセルから構成されており、IDデータを記録するデータレコードと、センサ117を介して読み取った給紙カセット103内の用紙の有無を記録するデータレコードを含む。IDデータの数値1、2、3、4は、それぞれ給紙カセット103の配置されている段数を表す。また、用紙の有無の数値については、0:不明、1:用紙あり、2:用紙なしを表す。
【0053】
本実施形態では、中央制御部105が、複数の個別制御部107の一方の末端に位置する個別制御部107aに対してセンサ読み取り要求を送信し、複数の個別制御部107がリレー方式により信号を送信することにより、個別制御部107aから中央制御部105に対して、複数の個別制御部107がそれぞれ読み取ったデータをすべて含む1つのデータテーブルを送信するという動作を行う。
【0054】
具体的には、中央制御部105に備わるCPUのセンサ読み取り要求は、まず最上段の給紙カセット103aのRFIDからなる個別制御部107aに対して送信される。個別制御部107aに送信されたセンサ読み取り要求命令を含む信号は、リレー方式により個別制御部107b、107c、107dに送信される。
【0055】
個別制御部107dは、下段にさらに別の個別制御部107が設けられていないと判断すると、メモリ123から自己のIDデータ(数値は4:4段目を意味する)を受け取り、センサ117dから給紙カセット117d内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、データテーブルのうち、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータを書き込む(図7(a))。そして、個別制御部107dは、データを書き込んだデータテーブルを含む信号を上段の個別制御部107cに送信する。
【0056】
個別制御部107cは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取ると、メモリ123から自己のIDデータ(数値は3:3段目を意味する)を受け取り、センサ117cから給紙カセット117c内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、データテーブルのうち、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータを書き込む(図7(b))。そして、個別制御部107cは、データを書き込んだデータテーブルを上段の個別制御部107bに送信する。
【0057】
個別制御部107bは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取ると、メモリ123から自己のIDデータ(数値は2:2段目を意味する)を受け取り、センサ117bから給紙カセット117b内の用紙の有無のデータ(数値は2:用紙なしを意味する)を受け取り、データテーブルのうち、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータを書き込む(図7(c))。そして、個別制御部107bは、データを書き込んだデータテーブルを上段の個別制御部107aに送信する。
【0058】
個別制御部107aは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取ると、メモリ123から自己のIDデータ(数値は1:1段目を意味する)を受け取り、センサ117aから給紙カセット117a内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、データテーブルのうち、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータを書き込む(図7(d))。そして、個別制御部107aは、データを書き込んだデータテーブルを中央制御部105に送信する。
【0059】
中央制御部105は、受信したデータテーブルに基づいて、1段目の給紙カセットには用紙あり、2段目の給紙カセットには用紙なし、3段目の給紙カセットには用紙あり、4段目の給紙カセットには用紙ありと判断し、画像形成装置100全体を制御する。
【0060】
本実施形態に係る画像形成装置の作用効果について、以下説明する。
【0061】
本実施形態によれば、装置構成の自由度が高く、情報制御の信頼性に優れる画像形成装置100が得られる。すなわち、画像形成装置100は、直列に配置されており、双方向にリレー方式により信号の授受を行う複数の個別制御部107を備えるため、中央制御部105は、個別制御部107aと信号の授受を行うことにより、結果的に複数の個別制御部107a、107b、107c、107dと信号の授受を行った場合と同様の結果を得ることができる。そのため、装置の構成が全体として簡便になり、個別制御部107の設けられる部材などの配置の変更の自由度が高い。また、中央制御部105は、遠隔領域に設けられている個別制御部107dとも、中間領域に設けられている個別制御部107a、107b、107cを介して、信頼性よく信号の授受を行うことができる。したがって、この構成によれば、装置構成の自由度が高く、情報制御の信頼性に優れる画像形成装置100が得られる。
【0062】
<実施形態2>
図8は、本実施形態に係る画像形成装置を説明するための装置構成の断面図である。本実施形態に係る画像形成装置400の構成および作用効果は、基本的には実施形態1に係る画像形成装置100と同様であるが、1つの給紙トレイ403に用紙有無センサ417、記録紙サイズセンサ418がそれぞれ設けられている点が異なる。また、画像形成装置400では、最下段の無線送受信器407dは、上側の送信用アンテナ413dしか有さない点も異なる。
【0063】
具体的には、画像形成装置400は、本体401の下側に4つの給紙カセット403a、403b、403c、403dを備える。本体401には、受信用アンテナ411を備える無線送受信器405を有する検出基板(メイン基板)409を備える。
【0064】
給紙トレイ403aは、無線送受信器407aおよび用紙有無センサ417a、記録紙サイズセンサ418aを備える。RFIDからなる無線送受信器407aと用紙有無センサ417a、記録紙サイズセンサ418aとは、それぞれ配線で接続されている。無線送受信器407aは、上側および下側にそれぞれ送信用アンテナ413a、受信用アンテナ415aを有する。給紙トレイ403bは、無線送受信器407bおよび用紙有無センサ417b、記録紙サイズセンサ418bを備える。RFIDからなる無線送受信器407bと用紙有無センサ417b、記録紙サイズセンサ418bとは、それぞれ配線で接続されている。無線送受信器407bは、上側および下側にそれぞれ送信用アンテナ413b、受信用アンテナ415bを有する。
【0065】
給紙トレイ403cは、無線送受信器407cおよび用紙有無センサ417c、記録紙サイズセンサ418cを備える。RFIDからなる無線送受信器407cと用紙有無センサ417c、記録紙サイズセンサ418cとは、それぞれ配線で接続されている。無線送受信器407cは、上側および下側にそれぞれ送信用アンテナ413c、受信用アンテナ415cを有する。給紙トレイ403dは、無線送受信器407dおよび用紙有無センサ417d、記録紙サイズセンサ418dを備える。RFIDからなる無線送受信器407dと用紙有無センサ417d、記録紙サイズセンサ418dとは、それぞれ配線で接続されている。無線送受信器407dは、上側に送信用アンテナ413dを有する。
【0066】
本実施形態に係る画像形成装置400全体の動作について、以下説明する。
図9は、実施の形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。図10は、実施の形態に用いるデータテーブルの構成を説明するためのデータ構造図である。
【0067】
本実施形態では、カセットが4段、カセット内のセンサが2個なので、無線送受信器405内のCPUは8ビット以上のデータ格納セルを有するデータテーブルを読み取る。センサ417(用紙有無センサ)、センサ418(記録紙サイズセンサ)の読み取り値を示すセルはあらかじめ決められている。
【0068】
4段目の無線送受信器407dは、画像形成装置400の電源がONになると、所定時間待機した後(S901)、内部メモリから自己のIDデータ(数値は4:4段目を意味する)を受け取り、用紙有無センサ417dから給紙トレイ403d内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、記録紙サイズセンサ418dから給紙トレイ403d内の用紙のサイズのデータ(数値は1:B3サイズを意味する)を受け取る。
【0069】
その後、無線送受信器407dは、当初はいずれのID番号についても、用紙の有無のデータおよび用紙のサイズのデータとも0(0は不明であることを意味する)となっているデータテーブルのうち、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータおよび用紙のサイズのデータを書き込む(S903、図10(a))。
【0070】
そして、無線送受信器407dは、データを書き込んだデータテーブルを含む信号を上段の無線送受信器407cに送信する(S905)。
【0071】
3段目の無線送受信器407cは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取る(S907)と、内部メモリから自己のIDデータ(数値は3:3段目を意味する)を受け取り、用紙有無センサ417cから給紙トレイ403c内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、記録紙サイズセンサ418cから給紙トレイ403c内の用紙のサイズのデータ(数値は2:B4サイズを意味する)を受け取る。
【0072】
その後、無線送受信器407cは、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータおよび用紙のサイズのデータを書き込む(S909、図10(b))。
【0073】
そして、無線送受信器407cは、データを書き込んだデータテーブルを含む信号を上段の無線送受信器407bに送信する(S911)。
【0074】
2段目の無線送受信器407bは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取る(S913)と、内部メモリから自己のIDデータ(数値は2:2段目を意味する)を受け取り、用紙有無センサ417bから給紙トレイ403b内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、記録紙サイズセンサ418bから給紙トレイ403b内の用紙のサイズのデータ(数値は3:A4サイズを意味する)を受け取る。
【0075】
その後、無線送受信器407bは、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータおよび用紙のサイズのデータを書き込む(S915、図10(c))。
【0076】
そして、無線送受信器407bは、データを書き込んだデータテーブルを含む信号を上段の無線送受信器407aに送信する(S917)。
【0077】
1段目の無線送受信器407aは、下段からデータテーブルを含む信号を受け取る(S919)と、内部メモリから自己のIDデータ(数値は1:1段目を意味する)を受け取り、用紙有無センサ417aから給紙トレイ403a内の用紙の有無のデータ(数値は1:用紙ありを意味する)を受け取り、記録紙サイズセンサ418aから給紙トレイ403a内の用紙のサイズのデータ(数値は4:B5サイズを意味する)を受け取る。
【0078】
その後、無線送受信器407aは、自己のIDデータに相当するフィールドに、用紙の有無のデータおよび用紙のサイズのデータを書き込む(S921、図10(d))。
【0079】
そして、無線送受信器407aは、データを書き込んだデータテーブルを含む信号を検出基板(メイン基板)409に設けられている無線送受信器405に送信する(S923)。
【0080】
無線送受信器405は、下段から信号を受信する(S925)と、受信した信号に含まれるデータテーブルにより、1段目から4段目の給紙トレイ403a、403b、403c、403dの用紙の有無および用紙のサイズをそれぞれ判断する。そして、無線送受信器405が設けられている検出基板(メイン基板)409は、判断結果に応じて、画像形成装置400全体を制御する。
【0081】
本実施形態に係る画像形成装置の作用効果について、以下説明する。
【0082】
本実施形態では、画像形成装置400の装置構成および動作をさらに簡単化できる。すなわち、画像形成装置400では、最下段の無線送受信器407dは、所定周期で給紙トレイ403dの状態をセンサ417d、418dから読み取ってデータを上側の無線送受信器407cに送信し、無線送受信器407c、407b、407aにより、さらに給紙トレイ403c、403b、403aに備わるセンサ417c、418c、417b、418b、417a、418aの読み取り値が付加されたデータを無線送受信器405が受信する。このため、下段へのセンサ読み取り命令を含む信号の送信を行う必要が無く、そのための構成も不要なため、画像形成装置400の装置構成および動作をさらに簡単化できる。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0084】
たとえば、上記の実施形態1において、メイン基板109の中央制御部105は、複数の個別制御部107に対して、必要なデータ(センサ状態)を選択的に要求することもできる。具体的には、時分割で種類毎に分けて必要なデータを要求することができる。
【0085】
また、上記の実施形態1および2において、給紙カセットまたは給紙トレイは、4つ設けたが、特に限定されず、2以上であれば任意の個数を設けることができる。さらに、給紙カセットまたは給紙トレイは、上下方向に縦1列に設ける必要はなく、水平方向に複数設けてもよく、2列になるように設けてもよい。
【0086】
また、実施形態1において、個別制御部107は、さらに下段に別の個別制御部が設けられているか否かの判断をするために、下側の送受信用アンテナ115により、下側に向けて電波を送出してもよい。下段にRFIDが設けられている場合には、後述するようにデータテーブルを含む信号が変換されてなる電波が下側から送出されてくる。そのため、下側の送受信用アンテナ115が、そのような電波を受信した場合には、ロジック回路121は、下側に別の個別制御部107が設けられていると判断する。一方、一定の時間待っても下側の送受信用アンテナ115が、そのような電波を受信しない場合には、ロジック回路121は、自己が最下段の個別制御部107であると判断する。このような動作をするように構成しても、個別制御部107は、さらに下段に別の個別制御部が設けられているか否かの判断をすることができる。
【0087】
また、上記の実施形態1および2において、被印刷媒体格納機構として、給紙カセットまたは給紙トレイを例に挙げたが、特に限定するものではない。被印刷媒体格納機構としては、他にも、印刷済の用紙を格納するためのソータなどを挙げることができる。
【0088】
また、上記の実施形態1および2において、被印刷媒体として、印刷用のB3やA4などの用紙を挙げたが、特に限定されず、OHP用の透明フィルムなども好適に用いることができる。
【0089】
また、上記実施形態1において、送受信用アンテナ113、115の先端部は、基板129の外部に突出している構成としたが、特に限定するものではない。例えば、送受信用アンテナ113、115の先端部は、基板129上に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を模式的に示す断面図である。
【図2】実施の形態に用いる個別制御部の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】実施の形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態に用いる個別制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施の形態に用いる個別制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施の形態に用いるデータテーブルの構成を説明するためのデータ構造図である。
【図8】実施の形態に係る画像形成装置を説明するための装置構成の断面図である。
【図9】実施の形態に用いる画像形成装置全体の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態に用いるデータテーブルの構成を説明するためのデータ構造図である。
【図11】従来技術に記載の用紙カセットの概略図である。
【符号の説明】
【0091】
100 画像形成装置
101 本体
103 給紙カセット
105 中央制御部
107 個別制御部
109 メイン基板
111 送受信用アンテナ
113 送受信用アンテナ
115 送受信用アンテナ
117 センサ
121 ロジック回路
123 メモリ
125 RF回路
127 RF回路
129 基板
400 画像形成装置
403 給紙トレイ
407 無線送受信器
413 送信用アンテナ
415 受信用アンテナ
417 記録紙有無センサ
418 記録紙サイズセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、複数の被印刷媒体格納機構と、を備える画像形成装置であって、
前記本体に設けられている中央制御部と、
前記複数の被印刷媒体格納機構にそれぞれ一以上設けられており、前記被印刷媒体格納機構の状態を表すデータを取得するセンサと、
前記複数の被印刷媒体格納機構にそれぞれ一以上設けられており、前記データを集積してなる情報を少なくとも1方向に順次転送する複数の個別制御部と、
を備え、
前記複数の個別制御部は、
前記センサから前記データを受信すると、前記センサから受信した前記データを含む情報を作成し、隣接する別の個別制御部に前記情報を送信するように構成されている第一の個別制御部と、
隣接する別の個別制御部から前記情報を受信すると、前記センサから前記データを受信し、前記センサから受信したデータを前記情報に付加し、隣接するさらに別の個別制御部または前記中央制御部に前記情報を送信するように構成されている第二の個別制御部と、
を含み、
前記中央制御部は、
前記複数の個別制御部のうち1以上の個別制御部から前記情報を受信するように構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記中央制御部および前記複数の個別制御部は、
無線通信方式により、前記データを含む情報の送信または受信を行うように構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記複数の個別制御部は、RF−IDタグを含む
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の画像形成装置において、
前記個別制御部は、
互いに異なる方向に向けて設けられている2以上の無線方式の送信部または受信部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成装置において、
前記複数の被印刷媒体格納機構は、複数の給紙カセットである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記センサは、用紙有無センサまたは記録紙サイズセンサである
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−58507(P2006−58507A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239050(P2004−239050)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】