画像形成装置
【課題】 記録材の補給作業性及び装置自体の設置安定性を良好に保ち、しかも、装置の小型化、高速化、省エネルギ化(主として定着装置)という要請を容易に実現する。
【解決手段】 トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジン1と、この作像エンジン1の上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイ2と、前記作像エンジン1の下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイ3(3a,3b)と、前記作像エンジン1と上部供給トレイ2との間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5aを有し且つ作像エンジン1の転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置5とを備える。
【解決手段】 トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジン1と、この作像エンジン1の上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイ2と、前記作像エンジン1の下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイ3(3a,3b)と、前記作像エンジン1と上部供給トレイ2との間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5aを有し且つ作像エンジン1の転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に係り、特に、作像エンジンにて形成されたトナー像を記録材に転写した後定着装置にて熱定着する態様の画像形成装置(主としては中間転写型の画像形成装置にて有効)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の画像形成装置として、中間転写型のカラー画像形成装置を例に挙げると、感光体ドラム等の像形成担持体に形成された各色成分トナー像を中間転写体に順次一次転写し、中間転写体上の多色トナー像を二次転写装置にて用紙等の記録材に一括転写するようにしたものが知られている。
このようなカラー画像形成装置では、近年、高速化、小型化、省エネルギ化の要請が強く叫ばれている
特に、高速化の要請下にあっては、各色成分トナー像形成用の各色の画像形成ユニットを中間転写ベルト上に並列配置したタンデム構成が効果的であるが、各画像形成ユニットを並列に配置し、その延長上に定着装置を配置した態様では、装置が大型化し易いという技術的課題がある。
【0003】
このような装置の大型化に対する対応策としては、例えば図13に示すように、中間転写ベルト201を斜めに配置し、この中間転写ベルト201の上側傾斜面に沿って各画像形成ユニット202(202a〜202d)を並列配置すると共に、この中間転写ベルト201の下端部に一括転写装置(例えば一括転写ロールを使用)203を配設し、更に、斜め配置された中間転写ベルト201の下方空間部に定着装置204を配設したものが既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
本態様によれば、作像エンジン(各画像形成ユニット202及び中間転写ベルト201)自体の幅方向寸法を抑え、しかも、作像エンジンの下方に定着装置204を配設し、各画像形成ユニットと定着装置204とを並列配置しない態様にしたため、画像形成装置自体の幅方向寸法を短く設定することが可能になり、その分、画像形成装置の小型化を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3470696号公報(発明の実施の形態、図1)
【特許文献2】特開平4−274264号公報(実施例、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の画像形成装置にあっては、作像エンジンの下方に定着装置204を配設するようにしたので、長時間の稼働では定着装置204の熱気が上方に位置する各画像形成ユニット202に影響を与え、各画像形成ユニット熱によるトナー融着など画質欠陥につながる懸念がある。これを防止するには、例えば定着装置204と中間転写ベルト201との間に熱反射板205を配設したり、更には、図示外の排気装置を設置することにより、定着装置204からの熱気が各画像形成ユニット202側に移動しないように配慮することが必要不可欠であり、その分、装置構成が複雑化するという事態を生ずる。
また、上述したように、熱反射板205や図示外の排気装置を用いた態様にあっては、定着装置204にて定着に用いるエネルギの一部を外部に排出することになるため、定着装置204での熱エネルギ効率が未だ不十分になり易いという事態を生ずる。
更に、この種のカラー画像形成装置にあっては、作像エンジンの下端部に位置する一括転写装置203、及び、作像エンジンの下方に位置する定着装置204に対し、記録材206を通過させることからすれば、記録材供給トレイ(図示せず)の配設位置としては作像エンジンの下方領域が一般的である。この場合、記録材供給トレイの配設位置は画像形成装置筐体の下部寄りになってしまうため、記録材供給トレイへの記録材補給に際しては、しゃがみ込んだり、腰を曲げる必要があったり、ユーザーにやさしい装置とは言い難い。
【0006】
また、従来の別の画像形成装置としては、画像形成装置筐体内の下部領域に作像エンジン及び定着装置を配設すると共に、画像形成装置筐体の上部領域に記録材供給用の上部供給トレイを配設し、上部供給トレイからの記録材を略S字状の搬送経路を経て作像エンジン及び定着装置に導くようにしたものが既に提供されている(例えば特許文献2参照)。
本態様によれば、上部供給トレイが画像形成装置筐体の上部領域に配設されていることから、上部供給トレイへの記録材補給作業を立ったまま行うことが可能になり、その分、記録材の補給作業を容易に行うことができる。
しかしながら、本態様にあっては、上部供給トレイから作像エンジン、定着装置へ至るまでの記録材の搬送経路が略S字状経路にて構成されて長いため、最初の作像動作から記録材が出力されるまでの時間(FCOT:First Copy Output Time)が嵩むばかりか、定着装置が画像形成装置筐体寄りに配設されざるを得ないので、定着装置からの熱気が画像形成装置外部に排出され易くなり、その分、定着装置からの熱損失が多く、定着装置のエネルギ効率が悪いという技術的課題が生ずる。
更に、定着装置からの熱気は画像形成装置外部に殆ど排出されてしまうと共に、上部供給トレイの配設箇所は定着装置の直上領域には及んでおらず、しかも、定着装置と上部供給トレイとの間は非常に離れているため、定着装置からの熱気が上部供給トレイ内の記録材を予備的に加熱することはほとんど期待できない。このため、定着装置による定着過程では定着装置の熱が記録材に多く奪われることになり、その分、定着装置による消費エネルギが嵩むという技術的課題もある。
【0007】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、記録材の補給作業性及び装置自体の設置安定性を良好に保ち、しかも、装置の小型化、高速化、省エネルギ化(主として定着装置)という要請を容易に実現することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、図1(a)(b)に示すように、トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジン1と、この作像エンジン1の上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイ2と、前記作像エンジン1の下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイ3(本例では3a,3b)と、前記作像エンジン1と上部供給トレイ2との間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5aを有し且つ作像エンジン1の転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置5とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
このような技術的手段において、作像エンジン1の作像方式については、トナー像を形成するものであれば、電子写真方式に限らず、静電記録方式等をも含み、また、単色、カラーいずれでも差し支えないが、カラーへの適用が好ましい。
また、上部供給トレイ2は作像エンジン1の上方にあればよく、その数量、サイズなどは問わない。尚、上部供給トレイ2の上方に画像読取ユニットを配設するようにすれば、複写装置としての画像形成装置を構築することができる。
更に、下部供給トレイ3は作像エンジン1の下方にあればよく、その数量、サイズなどは問わない。
ここで、作像エンジン1を挟んで上方に上部供給トレイ2、下方に下部供給トレイ3を分けて配設するようにしたのは、画像形成装置の重心G位置を低く設定することを企図したものであり、これに伴って、装置の設置安定性及び画像形成装置稼働時の振動を抑えるようにしたものである。
仮に、図2に示す比較モデルのように、作像エンジン1の上方に複数の上部供給トレイ2(例えば2a〜2c)のみを多段に配設した態様にあっては、画像形成装置の重心G’位置が本件発明に比べて高くなってしまうため、その分、画像形成装置の設置安定性が不安定になる懸念があるほか、画像形成装置稼働時の振動が大きくなり、画像形成動作に影響を与え、しかも、振動に伴う騒音の懸念が生ずる。
【0010】
更に、定着装置5としてはトナー像を熱定着するものであれば、接触加熱方式、非接触加熱方式を問わず、また、加熱方式についても、加熱ランプなどのヒータ加熱方式や電磁誘導加熱方式など適宜選定して差し支えない。また、機内に無駄な熱を放出しないという観点からすれば、インスタントオンタイプの定着装置が好ましい(例えば特開2003−307964号公報,特開2002−148983号公報参照)。
ここで、定着装置5のレイアウトとして、「作像エンジン1と上部供給トレイ2との間」にしたのは、定着装置5からの熱気が上方に向かって放出されたとしても、上部供給トレイ2内の記録材に対する予備加熱として有効に利用され、かつ、下方側の作像エンジン1には影響し難い。
また、定着装置5のレイアウトとして、「少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5a」を要件にしたのは、画像形成装置内に定着装置5を配置した際に、熱定着部5aが装置の筐体側壁6a,6bに比べて装置の中央(筐体中央6c)寄りに位置する態様(図1(b)のmの範囲内)を全て含む趣旨であり、熱定着部5aを筐体側壁6a,6bから離間させることを企図したものである。このとき、定着装置5のケースが画像形成装置筐体(必要に応じて装置筐体という)6の側壁6a,6b側に位置していても差し支えない。
本態様によれば、装置外に排出される熱エネルギが少なくなり、かつ、上部供給トレイ2内の記録材への予備加熱のために熱エネルギが有効に利用され、その分、エネルギ効率が良好に保たれる。
【0011】
また、定着装置5の好ましい態様としては、作像エンジン1の直上領域内に配置されていることが好ましい。本態様によれば、定着装置5のレイアウトに伴う画像形成装置の設置面積増大を有効に回避することができ、画像形成装置の小型化を企図することができる。
更に、定着装置5の好ましい態様としては、少なくとも熱定着部5aが上部供給トレイ2の直下領域に配置されている。本態様によれば、定着装置5からの熱気にて上部供給トレイ2の記録材を効率的に予備加熱することが可能である。
これらの態様において、「作像エンジン1の直上領域」又は「上部供給トレイ2の直下領域」とは、画像形成装置の正面側(プロセス進行方向に直交する方向)から見た場合の領域を指し、プロセス進行方向から見て定着装置5の一部が作像エンジン1や上部供給トレイ2の配設領域の投影領域からはみ出していても差し支えない。
特に、本発明においては、定着装置5は前記筐体中央6cより作像エンジン1の転写部位寄りに配置されることが好ましい。この場合、上部供給トレイ2から定着装置5までの搬送経路4の距離をより一層短く設定でき、その分、FCOTの短縮化が可能である。
【0012】
また、記録材の搬送経路4の好ましい態様としては、上部供給トレイ2からの記録材の送出方向と、定着装置5からの記録材の排出方向とが反対であるものが挙げられる。このとき、記録材の搬送経路4が作像エンジン1と上部供給トレイ2との間のスペースを有効に利用して配置されるため、定着装置5に至る搬送経路4としてS字状経路を使用せずに済み、搬送経路長を短くすることができる。
更に、別の観点から見れば、上部供給トレイ2及び下部供給トレイからの記録材の搬送経路4が上部供給トレイ2と作像エンジン1との間を横切るように配置されていることが好ましい。
更にまた、記録材の搬送経路4のうち、両面記録を可能にする好ましい態様としては、定着装置5の下流側搬送経路が、作像エンジン1の転写部位の上流側へ記録材が反転した状態で戻される反転搬送経路4aを有し、この反転搬送経路4aの少なくとも一部が上部供給トレイ2と作像エンジン1との間に配置される態様が挙げられる。
【0013】
また、記録材を排出収容する排出トレイの好ましい配設態様としては、定着装置5の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ2及び下部供給トレイ3の記録材供給方向と反対側に配置されているものが挙げられる。本態様によれば、画像形成装置筐体6の高さ寸法を嵩ませることなく、記録材排出収容部を構成することができる。
更に、排出トレイの好ましい他の配設態様としては、定着装置5の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ2の上方若しくは複数の上部供給トレイ2の間に配置されているものが挙げられる。本態様によれば、排出トレイが画像形成装置筐体6の外部に突出せず、前記装置筐体6の上方にて記録材の取り出し作業を行うことができる点で好ましい。
更にまた、上部供給トレイ2、下部供給トレイ3の好ましい態様としては、上部供給トレイ2に使用頻度の高い記録材を収容し、下部供給トレイ3に使用頻度の低い記録材を収容することが挙げられる。本態様によれば、少なくとも使用頻度の高い記録材の補給作業については上部供給トレイに対する立ち姿勢のままの作業で済むため、使用頻度の高い記録材の補給作業性を容易に行うことができる。
また、上部供給トレイ2又は下部供給トレイ3については標準装備した態様でもよいが、オプションにて追加する態様も可能である。
【0014】
また、カラー画像を形成する作像エンジン1としては適宜選定して差し支えないが、代表的には、トナー像を形成担持する像形成担持体7と、この像形成担持体7上のトナー像を記録材へ転写する前の中間段階で一時的に転写保持する中間転写体8とを備えたものが挙げられる。
この場合、像形成担持体7の数については一若しくは複数で差し支えないが、高速化を企図する場合には、複数の像形成担持体7(例えば7a〜7d)を並列配置し、各像形成担持体7にて各色成分トナー像を形成した後に中間転写体8に順次転写するタンデム構成が好ましい。また、中間転写体8としては、ベルト状、ドラム状のいずれであっても差し支えないが、レイアウトの自由度や小型化する観点からベルト状部材が好ましい。
【0015】
更に、中間転写型のカラー画像形成装置の好ましいレイアウトとしては、像形成担持体7は中間転写体8を挟んで定着装置5の反対側に配置される態様が挙げられる。本態様によれば、中間転写体8にて定着装置5からの熱を遮断し、像形成担持体7に安定したトナー像形成を行うことができる。
更にまた、ベルト部材からなる中間転写体8の好ましい態様としては、上部供給トレイ2からの記録材送出側に二次転写部を具備し、この二次転写部と定着装置5の熱定着部5aとを略水平に配置すべく、定着装置5から離間して張架されている態様が挙げられる。
このとき、中間転写体8の二次転写部と定着装置5の熱定着部5aとを略水平に配置することができ、中間転写体8と定着装置5との干渉を防止し、かつ、二次転写部と熱定着部5aとの間の搬送経路4を直線経路にできる分FCOTを短縮することができる。
特に、この種の態様においては、ベルト部材からなる中間転写体8は、上部供給トレイ2からの記録材送出側が高くなるように画像形成装置筐体6に対して傾斜配置されるものであることが好ましい。このように、所定方向に傾斜配置するようにすれば、中間転写体8の引き回しを複雑にすることなく、二次転写部と熱定着部5aとを略水平に配置でき、しかも、タンデム型画像形成装置にあっては、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作像エンジンの上方に上部供給トレイを配設すると共に、作像エンジンの下方に下部供給トレイを配設し、作像エンジンと上部供給トレイとの間で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに定着装置を配設するようにしたので、以下のような基本的効果を奏することができる。
第一に、作像エンジンが定着装置の下方に配設されているため、定着装置からの熱が作像エンジンに影響し難く、作像エンジンによるトナー像の形成を安定的に行うことができる。特に、中間転写型の画像形成装置にあっては、中間転写体を遮熱機能部材として利用でき、効果的である。
第二に、定着装置が画像形成装置筐体の中央寄りに配設されており、装置筐体の側壁から離間していると共に、定着装置の上下は上部供給トレイ及び下部供給トレイで囲まれているため、定着装置からの熱が画像形成装置外部に不必要に排出される事態は無くなり、その分、定着装置からの熱損失を抑えることができる。
第三に、定着装置は上部供給トレイの下方で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに配設されているため、定着装置から放出される熱量を上部供給トレイ内の記録材を予備加熱することが可能になり、その分、定着エネルギを低減することができ、また、排熱のためのファン等を簡易化若しくは削減することができる。このため、定着装置のエネルギ効率を極めて良好に保つことができる。
特に、排熱ファン等を設ける場合には、画像形成装置筐体に通気孔を設けることが必要になるため、排熱ファン等に伴う騒音が通気孔を通じて外部に漏れる事態は回避し得ないが、排熱ファン等を設けない態様にあっては、画像形成装置稼働時の遮音効果をより一層高めることできる。
第四に、上部供給トレイが画像形成装置の上部領域に配置可能であるため、少なくとも上部供給トレイに対する記録材補給の際などに、しゃがみこむ若しくは腰を曲げる必要がなく、ユーザーに無理な姿勢を要求せずに記録材の補給作業を行うことが可能になるという「人にやさしい」画像形成装置を提供することができる。
第五に、上部供給トレイと作像エンジンとの間で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに定着装置を配設するようにしたので、上部供給トレイから定着装置に至るまでの搬送経路長を短く設定することが容易になり、その分、最初の作像動作から記録材が出力されるまでの時間を短縮することができる。
第六に、作像エンジンの上下に供給トレイを分けて配設するようにしたので、複数の上部供給トレイのみを備えた態様に比べて、画像形成装置の重心位置を低く設定することが可能である。このため、画像形成装置の設置安定性を良好に保つことができるばかりか、画像形成装置稼働時の振動を有効に防止することができ、その分、振動に起因する画像形成動作への影響を抑え、しかも、振動に伴う騒音を有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す概要図である。
同図において、画像形成装置は中間転写型のタンデムマシンであり、画像形成装置筐体(以下必要に応じて装置筐体という)20内には、例えばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分トナー像を形成するための作像エンジン21と、この作像エンジン21の上方に配設されて記録材Sを供給する上部供給トレイ22と、前記作像エンジンの下方に配設されて記録材Sを供給する下部供給トレイ23(本例では23a,23b)と、作像エンジン21と上部供給トレイ22との間に配設される定着装置25とを備えている。
【0018】
本実施の形態において、作像エンジン21は全体としてユニット化されており、図中左方向が上になるように傾斜配置されると共に、その図中右方向下端部に設けられた回転支軸55を中心に揺動自在になっている。
そして、作像エンジン21は、各色成分トナー像形成用の電子写真方式の四つの画像形成ユニット30(具体的には30a〜30d)を並列に配設し、この各画像形成ユニット30に面した箇所に中間転写ベルト50を配設したものである。
特に、本例では、中間転写ベルト50は図中左方向が上になるように傾斜配置されており、各画像形成ユニット30は中間転写ベルト50の下部傾斜面に沿って互いに段差をもって配設されている。
【0019】
各画像形成ユニット30は、図3及び図4に示すように、所定方向に回転する感光体ドラム31を有し、この感光体ドラム31の周囲には、当該感光体ドラム31を帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)32、帯電された感光体ドラム31上に静電潜像を書き込む露光装置33と、感光体ドラム31上の静電潜像を所定の色トナーにて現像する現像装置34と、感光体ドラム31上の残留トナーを清掃するドラムクリーナ35(本例ではブレード351によるクリーニング方式を採用)とを備えている。
【0020】
ここで、現像装置34は、感光体ドラム31に対向して開口し且つ例えば二成分現像剤が収容されるハウジング341を有し、このハウジング341の開口に面した箇所には現像ロール342を配設すると共に、この現像ロール342の背面側には現像剤撹拌用の撹拌搬送オーガ343,344を配設し、撹拌搬送オーガ343と現像ロール342との間には現像剤供給用の供給パドル345を設けたものである。
そして、感光体ドラム31には駆動モータ45からの駆動力がギアなどの駆動伝達系46を介して伝達されるようになっており、一方、現像ロール342、撹拌搬送オーガ343,344、供給パドル345には同じく駆動モータ45からの駆動力がギアなどの駆動伝達系47を介して伝達されるようになっている。
【0021】
また、各画像形成ユニット30(30a〜30d)の各現像装置34にはトナー補給装置40(具体的には40a〜40d)が夫々付設されている。
このトナー補給装置40は、装置筐体20のうち中間転写ベルト50の上方領域に夫々カートリッジ受部を設け、各カートリッジ受部には各色成分(YMCK)トナーが収容されるトナーカートリッジ41(41a〜41d)を着脱自在に取付ける共に、カートリッジ受部に面した箇所にはトナーカートリッジ41内のトナーが一時的に収容されるリザーブタンク42を設け、このリザーブタンク42と各現像装置34のハウジング341との間をトナー補給ダクト43にて連通接続するようにしたものである。尚、図3ではトナー補給ダクト43の図示を省略する。
特に、本実施の形態では、トナー補給装置40(40a〜40d)のうち、ブラック(K)用トナーカートリッジ41dが他の色(YMC)用トナーカートリッジ41a〜41cよりも大きく設定されており、YMC用トナーカートリッジ41a〜41cが中間転写ベルト50の上部傾斜面に沿って且つ定着装置25から離間した部位に並列配置されると共に、K用トナーカートリッジ41dがYMC用トナーカートリッジ41a〜41cの上方で且つ定着装置25から離間した部位に配置されている。
【0022】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト50は、例えばポリイミド樹脂に導電性カーボンブラックを混練し、体積抵抗率を109〜1012Ω・cm程度とした無端ベルトからなり、例えば三個の張架ロール51〜53に掛け渡されており、例えば張架ロール52を駆動ロールとし、張架ロール53をテンションロールとして、図の矢印方向に移動するようになっている。尚、符号57は、中間転写ベルト30上の残留トナー等を清掃するベルトクリーナである。
そして、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31に対向する中間転写ベルト50の背面側には一次転写装置(本例では一次転写ロール)36が夫々配設されており、また、中間転写ベルト50の上端部である張架ロール51と対向する部位に二次転写装置(本例では二次転写ロール)60が配設されており、張架ロール51をバックアップロールとして、図示外の二次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0023】
更に、本実施の形態において、上部供給トレイ22は装置筐体20の上部領域にて図中左右幅方向に亘って配設されており、また、下部供給トレイ23(23a,23b)は装置筐体20の下部領域にて図中左右幅方向に亘って上下二段に配設されており、更に、装置筐体20の上部には記録材Sを排出収容する排出トレイ26が配設されている。
特に、本実施の形態では、上部供給トレイ22に使用頻度の高い記録材S(例えばA4判サイズの記録材)が収容されており、一方、下部供給トレイ23(23a,23b)には使用頻度の低い記録材Sが収容されている。
そして、上部供給トレイ22及び下部供給トレイ23(23a,23b)は、その送出方向側に一枚ずつ捌くピックアップロール71を有し、このピックアップロール71の記録材送出方向下流側には搬送力付与のためのフィードロール72及び記録材Sを一枚ずつ捌くリタードロール73が接触転動可能に対向配置されている。
【0024】
また、上部供給トレイ22及び下部供給トレイ23からの記録材Sの搬送経路24は、上部供給トレイ22から供給されて作像エンジン21により片面記録された記録材Sが排出トレイ26に至るまでの通常搬送経路24aと、この通常搬送経路24aに対してバイパスする反転搬送経路24bと、第1の下部供給トレイ23aからの記録材Sを通常搬送経路24aに導く接続搬送経路24cと、第2の下部供給トレイ23bからの記録材Sを接続搬送経路24cに導く接続搬送経路24dとを備えている。
ここで、通常搬送経路24aは、上部供給トレイ22の記録材送出方向側端部からUターン状に湾曲した後、上部供給トレイ22と作像エンジン21との間を略水平方向に横切る水平搬送経路部241を有し、K用トナーカートリッジ41aを回避するように斜め上方に向かった後に上部供給トレイ22の記録材非送出方向側端部の背面を上方に向かって排出トレイ26へ至るものである。この通常搬送経路24aには適宜数の搬送ロール85が設けられており、この通常搬送経路24aの水平搬送経路部241のうち二次転写装置60の上流側直前には位置決め用のレジストロール80が配設されると共に、二次転写装置60の下流側には搬送ベルト81を介して定着装置25が設けられ、更に、水平搬送経路部241の下流側には正逆回転可能な反転搬送ロール82が配設され、通常搬送経路24aの排出口83の直前には排出ロール84が配設されている。
尚、本例では、搬送ベルト81としては、静電吸着方式やエアー吸引方式が利用でき、二次転写装置60によって記録材S上に転写された未定着トナーの画質劣化を防止している。
【0025】
一方、反転搬送経路24bは、通常搬送経路24aの反転搬送ロール82の配設部位にて分岐し、上部供給トレイ22と作像エンジン21との間を横切った後レジストロール80の上流側に至るものであり、この反転搬送経路24bにも適宜数の搬送ロール85が設けられている。
更に、接続搬送経路24cは第1の下部供給トレイ23aの記録材送出方向側端部から略鉛直方向に延び、通常搬送経路24aのレジストロール80の上流側に合流するものであり、更に、接続搬送経路24dは第2の下部供給トレイ23bの記録材送出方向側端部から略鉛直方向に延びて前記接続搬送経路24cに合流するものである。尚、接続搬送経路24cには適宜数の搬送ロール85が設けられている。
更にまた、本実施の形態では、搬送経路24として、図示外の手差しトレイからの手差し搬送経路24eが通常搬送経路24aのレジストロール80の上流側に接続されており、また、通常搬送経路24aの反転搬送ロール82の下流側には分岐搬送経路24fが図示外の切替ゲートにて切替可能に分岐配置され、上部供給トレイ22の背面側に位置する装置筐体20の側壁開口まで延びている。この分岐搬送経路24fの下流端には図示外の側方排出トレイ又は図示外の後処理装置(ステープラ,パンチャ,折機構等の後処理ユニットを具備)等が設けられ、この分岐搬送経路24fの下流側には排出ロール86が配設されている。
【0026】
また、本実施の形態において、定着装置25は、図3及び図5に示すように、水平搬送経路部241の二次転写装置60の下流側に配設されており、上部定着ユニット100及び下部定着ユニット105で構成されている。上部定着ユニット100は加圧ロール101及びこの加圧ロール101の周囲が覆われる遮熱カバー102を有し、また、下部定着ユニット105は内部にヒータ107が内蔵された加熱ロール106及びこの加熱ロール106の周囲が覆われる遮熱カバー108を有している。
ここで、加圧ロール101は例えば芯金の表面にウレタンゴム等の弾性層を形成した弾性ロールにて構成され、一方、加熱ロール106も例えば芯金の表面にウレタンゴム等の弾性層を形成し、更に、その表面に離型層を形成した弾性ロールにて構成されている。そして、加圧ロール101は加熱ロール106に接触転動可能に圧接配置されており、両ロール101,106間には略水平方向に延び且つ下に凸になるニップ域が形成され、このニップ域を通過した記録材の剥離性を確保するようになっている。
尚、加圧ロール101、加熱ロール106の構成については特にこれに限定されないことは勿論である。
また、遮熱カバー102,108は、加圧ロール101又は加熱ロール106側に金属製の熱輻射板102a,108aを備え、その外側を真空断熱材102b,108bで覆い、更にその外装をプラスチックの外装カバー102c,108cで覆った構成を採っている。
更に、ヒータ107の温度制御については、加熱ロール106の表面温度を温度センサ109にて検知し、この検知情報を制御装置110に取り込み、制御装置110にてヒータ107をオンオフ制御するという方式が採用されている。
【0027】
また、本例では、熱輻射板102a,108aとしては、例えば鏡面加工されたアルミニウム等の金属が用いられ、輻射率0.5以下の表面とすることで、表面での反射率が高くなるようになっている。また、真空断熱材102b,108bは、例えば熱伝導率0.03W/(m・K)以下の部材を厚さ3mm以上備えたもので構成されている。更に、外装カバー102c,108cは熱伝導率の小さいプラスチックによって構成されている。
また、本実施の形態では、加圧ロール101及び加熱ロール106と夫々の遮熱カバー102a,108aとは、例えば3〜20mmの距離を隔てて配置され、遮熱カバー102a,108aが加圧ロール101及び加熱ロール106を互いに上下方向から挟み込むような形となっている。そのため、加熱ロール106による熱が定着装置25外へ余分に漏れないようになっている。
更に、本実施の形態では、定着装置25の下流側には、図3に示すように、冷却板87が配設され、定着装置25によって定着された後の記録材の温度低下を行い、定着されたトナーの固化を促進するようになっている。尚、このような冷却板87を用いなくてもよいことは勿論である。
【0028】
また、本実施の形態において、定着装置25の加圧ロール101と加熱ロール102とのニップ域(熱定着部HPに相当)は、例えば図6に示すように、装置筐体20の側壁M1,M2に比べて筐体中央Mc寄りに配置されている。
そして、本態様においては、定着装置25は、画像形成装置の正面側から見て、作像エンジン21の直上領域内に配置されると共に、上部供給トレイ22の直下領域内に配置されている。
特に、本実施の形態では、定着装置25は、筐体中央Mc位置よりも作像エンジン21の二次転写部位寄りに配置されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
今、各色成分(イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))画像の画像データが各画像形成ユニット30(30a〜30d)の露光装置33に送出されると、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上には色成分毎の静電潜像が形成されると共に、対応する色トナーが収容された現像装置34にて静電潜像が顕像化され、感光ドラム31上に未定着な各色成分トナー像が形成される。
そして、各色成分トナー像は、各感光体ドラム31と中間転写ベルト50とが接する一次転写部位において、一次転写ロール36によって中間転写ベルト50上に順次一次転写され、色重ねされる。
このようにして中間転写ベルト50上に一次転写された各色成分トナー像は、中間転写ベルト50の移動に伴って、二次転写位置(二次転写ロール60と張架ロール51によって構成される)へと移動する。
【0030】
一方、上部供給トレイ22又は下部供給トレイ23(23a,23b)からは記録材Sが所定のタイミングにて通常搬送経路24aと順次供給される。そして、この通常搬送経路24aに搬送された記録材Sは、レジストロール80によって位置合わせされた後に二次転写位置へ搬送され、二次転写ロール60によって中間転写ベルト50上の各色成分トナー像が一括転写(二次転写)される。
各色成分トナー像が一括転写された記録材Sは搬送ベルト81によって吸着搬送されて定着装置25に搬送され、この定着装置25にて未定着トナー像が定着される。
しかる後、定着装置25を通過した記録材Sは、搬送ロール85及び反転ロール82を経由して排出ロール84に搬送され、排出トレイ26にフェイスアップ(トナー像が上向き)の状態で排出される。尚、図示外の側方排出トレイ又は後処理装置を設けた態様において、分岐搬送経路24f側に記録材Sを搬送する態様にあっては、定着装置25を通過した記録材Sは、搬送ロール85及び反転ロール82を経由して排出ロール86に搬送され、側方排出トレイ(トナー像が下向きの状態のフェースダウン姿勢にて排出)又は後処理装置に向けて排出される。
また、両面記録モードを選択した場合には、定着装置25を通過した片面記録済みの記録材Sは、その後端部が通常搬送経路24aの反転搬送ロール82にニップされた状態で一旦停止し、反転搬送ロール82を逆転させることにより、反転搬送経路24b側に反転搬送された後に再度作像エンジン21の二次転写部位に戻される。このとき、作像エンジン21では裏面側の各色成分トナー像が形成され、二次転写部位にて記録材Sの裏面に転写される。この後、記録材Sは、搬送ベルト81を経て定着装置25に導かれ、定着装置25にて裏面トナー像を定着された後に例えば排出トレイ26へと導かれる。
【0031】
このような作像プロセスにおいて、定着装置25からの熱気は遮熱カバー102,108にて有効に遮断されるが、定着装置25の記録材S通路や遮熱カバー102,108の一部から定着装置25外に漏れる。
すると、定着装置25からの熱気の一部は、図6のAに示すように、上方へと移動していくが、定着装置25の直上には上部供給トレイ22が配設されていることから、定着装置25からの熱気により、上部供給トレイ22及び上部供給トレイ22内の記録材Sが予備加熱される。このとき、記録材Sは予備加熱された状態で定着装置25に搬送されることから、定着装置25の加熱ロール106から記録材Sが奪う熱自体を低減することができ、その分、定着装置25による消費熱エネルギを低減することができる。また、定着装置25からの熱気は予備加熱源として利用されるため、排熱のための排熱・排気ファンを設置する必要性は少ない。このため、排熱・排気ファンを設ける態様に比べて、画像形成装置稼動時の遮音効果を良好に保つことができる。つまり、排熱・排気ファンを設ける態様にあっては、装置筐体20の側壁M1,M2に通気孔を設ける必要があるため、通気孔を通じて排熱・排気ファンの音が外部に漏れる懸念があるが、このような排熱・排気ファンを設置しない態様では装置筐体20に通気孔を設ける構造が必要でないため、画像形成装置可動時に排熱・排気ファンは勿論、画像形成装置内部からの騒音漏れを有効に回避することができる。
更に、定着装置25は筐体中央Mc寄りに配置されているため、図6のBに示すように、定着装置25と装置筐体20の側壁M1,M2(外気環境温度条件を具備)との間の距離が長くなる分、定着装置25からの熱気が装置筐体20の側壁M1,M2を通じて外部に漏れる排熱量は極めて少ない。また、定着装置25の上下は上部供給トレイ22、下部供給トレイ23で囲まれているため、定着装置25の熱気が装置筐体20の上下からも外部に漏れ難い。
このため、定着装置25の熱エネルギが不必要に消費される事態は有効を抑えられることになり、その分、定着装置25の熱エネルギ効率が向上する。
【0032】
また、定着装置25から漏れる熱気の多くは上方に移動していくが、図6のCに示すように、その一部は下方側に移動する。
しかしながら、本実施の形態では、各画像形成ユニット30(30a〜30d)は中間転写ベルト50を介して定着装置25の反対側(本例では下方側)に配設されているため、定着装置25からの熱気が中間転写ベルト50で遮断され、定着装置25からの熱気が各画像形成ユニット30側に影響することはほとんど皆無である。それゆえ、例えば現像装置34内のトナーが熱の影響を受けて局部的に凝集する等にして劣化し、これに伴って、画像品質が低下したり、現像剤が短寿命化するという懸念はない。
【0033】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト50が各画像形成ユニット30の上方領域に配置されているため、画像形成ユニット30の例えば現像装置34からのトナー浮遊等による機内汚染に起因する画質劣化が防止され、一層画質の安定した画像形成が確実に実現されている。
特に、本実施の形態では、作像エンジン21は全体として斜め配置されているため、作像エンジン21の図6中左右方向の寸法を短寸に選定することができ、その分、装置筐体20の設置面積を小さくすることができる。
更に、作像エンジン21は回転支軸55を中心に揺動自在になっているため、例えば二次転写部位を挟んだ箇所で記録材Sがジャムしたような場合には、作像エンジン21を回転支軸55を中心に下方側に揺動退避させるようにすれば、ジャム処理作業を行うことができる。
【0034】
更にまた、本実施の形態では、定着装置25は筐体中央Mc寄りに配置されているため、上部供給トレイ22からの定着装置25に至るまでの通常搬送経路24aの長さは比較的短く設定される。このため、作像エンジン21の二次転写部位と定着装置25の熱定着部HPとの間の距離が短くなり、作像エンジン21にて転写された記録材Sの未定着トナー像は比較的早いタイミングで定着装置25の熱定着部HPを通過し、定着される。従って、記録材Sが未定着トナー像を保持した状態で搬送される距離は少なく抑えられることになり、記録材Sの搬送過程で未定着トナー像が乱れるという懸念は有効に防止される。
更に、トナー供給トレイ22から定着装置25に至るまでの搬送経路長が短くなるため、定着装置25と排出トレイ26や側方排出トレイとの間の距離を最小限に設計するようにすれば、FCOTを短くすることができる。
【0035】
特に、本実施の形態では、定着装置25は、筐体中央Mcよりも作像エンジン21の二次転写部位寄りに配置されているため、記録材Sが熱定着部HPを出た後に記録材Sの排出速度を上げることによってFCOTを更に短く設定できるばかりか、装置筐体20内スペースのうち定着装置25の下流側スペースを広く確保することができ、このスペースを利用してトナー補給装置40(40a〜40d)の各トナーカートリッジ41(41a〜41d)を定着装置25からある程度離間して配設することが可能になる。このため、トナーカートリッジ41内のトナーが定着装置25からの熱の影響を受け難い点で好ましい。
【0036】
また、本実施の形態では、上部供給トレイ22は作像エンジン21、定着装置25の上方に配設されるため、装置筐体20の上部領域に配置される。この状態では、ユーザーは、上部供給トレイ22への記録材Sの補給作業を立ち姿勢のまま行うことが可能であり、装置筐体20の下部領域にある下部供給トレイ23に対する記録材Sの補給作業に比べて、記録材Sの補給作業性を簡単にすることができる。
特に、本実施の形態では、上部供給トレイ22に使用頻度の高い記録材Sを収容するようにしているので、上部供給トレイ22に対する記録材Sの補給作業回数は下部供給トレイ23に比べて多くなり、その分、全体として記録材Sの補給作業性を良好に保つことができる。
更に、本実施の形態では、作像エンジン21の上下に上部供給トレイ22、下部供給トレイ23が分かれて配設されているため、画像形成装置の重心G位置は低く設定される。このため、画像形成装置稼動時に画像形成装置が不必要に振動することはなく、安定的に設置される。
【0037】
更に、本実施の形態では、定着装置25はスタンバイモードを必要とする態様であるか否かを問わず広く適用可能であるが、スタンバイモードを必要としない態様である所謂インスタントオン型の定着装置25を用いると、以下のような点で好ましい。
すなわち、インスタントオン型の定着装置25を用いるようにすれば、画像形成動作時のみ発熱させることができるため、機内に不要な熱を発することなく、定着装置25稼働時の熱については上部供給トレイ22及びこの上部供給トレイ22内の記録材Sに吸収させることができる。このとき、定着装置25の周辺環境が熱気で異常に高温になることはないため、排熱のための排熱・排気ファンを設置する必要がない。この種の排熱・排気ファンを設置する場合には、装置筐体20に通気孔を開設する必要が生ずるため、この通気孔からの音漏れを引き起こす懸念があるが、この種のファンを設置しない態様であれば、画像形成装置の遮音効果をより一層高めることができる。
【0038】
ここで、インスタントオン型の定着装置25の代表的態様としては、例えば図7(a)に示すように、加圧ロール111と定着ベルト112とを接触転動可能に配設し、駆動ロール113、従動ロール114及びヒータ支持体116に支持されたヒータ115(例えば低熱容量の線状ヒータを使用)にて定着ベルト112を掛け渡し、かつ、前記ヒータ115と加圧ロール111との間で定着ベルト112をニップ搬送するようにしたものが挙げられる。
また、同型の定着装置25の別の態様としては、例えば図7(b)に示すように、加圧ロール121と定着ベルト122とを接触転動可能に配設し、加圧ロール121と定着ベルト122とのニップ域に対応した定着ベルト122内には弾性パッド123を配設する一方、図示外の駆動源にて前記加圧ロール121を駆動すると共に、定着ベルト122を従動させ、更に、定着ベルト122には基層、電磁誘導発熱層(電磁誘導作用による発熱作用を奏する材料、例えば銅、銀、アルミニウム又はこれに相当する耐熱性有機導電体など)、表面離型層を具備させ、定着ベルト122のニップ域の例えば反対側外側に加熱装置125を配設するようにしたものが挙げられる。ここで、加熱装置125としては、例えば定着ベルト122の湾曲形状に対応した形状を持つ台座126と、この台座126内の略中央に設置されるフェライト等の磁性コア127と、この磁性コア127に巻き回されて定着ベルト122の厚さ方向に向かって変動磁界を生成する励磁コイル128と、台座126の外側に向かう磁場を遮蔽する磁場遮蔽板129とを備えていればよい。
尚、図7(a)(b)中、符号Tは記録材S上の未定着トナーである。
【0039】
また、本実施の形態においては、一つの上部供給トレイ22を備えているが、これに限られるものではなく、図8に示すように、複数の上部供給トレイ22(例えば22a,22b)を備えるようにしても差し支えない。
図8に示す態様では、画像形成装置は、作像エンジン21及び定着装置25の上方に第1の上部供給トレイ22aを配設すると共に、この第1の上部供給トレイ22aの上方に第2の上部供給トレイ22bを配設し、この第2の上部供給トレイ22bの上方に排出トレイ26を配設したものである。尚、図3に示すモデルと同様な構成要素については図3に示すモデルと同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。また、図8中、符号24gは第2の上部排出トレイ22bから通常搬送経路24aにつながる接続搬送経路である。
【0040】
◎実施の形態2
図9は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態2を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、作像エンジン21の上方に上部供給トレイ22を配設すると共に、作像エンジン21の下方に下部供給トレイ23(本例では23a,23b)を配設し、前記上部供給トレイ22と作像エンジン21との間で装置筐体20の中央寄り(本例では略中央)に定着装置25を配設したものであるが、作像エンジン21の構成、及び、記録材Sの搬送経路24のレイアウトを一部変更したものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施の形態において、作像エンジン21は、実施の形態1と同様に、中間転写ベルト50の下方に四つの各色成分画像形成ユニット30(30a〜30d)を配設したものであるが、実施の形態1と異なり、中間転写ベルト50は、三つの内側張架ロール51〜53と一つの外側張架ロール54にて張架され、張架ロール52,53間に掛け渡されるベルト部分を下部水平面501として形成し、張架ロール52、51及び54に掛け渡されるベルト部分を上方に突出する突出部502として形成し、張架ロール54,51間に掛け渡されるベルト部分を上部水平面503として形成し、突出部502上端に対し上部水平面503を下方側に変位配置することで、定着装置25の配設スペースを確保するようにしたものである。そして、各画像形成ユニット30は、中間転写ベルト50の下部水平面501に沿って略水平方向に並列配置されている。
【0042】
また、本実施の形態では、トナー補給装置40(40a〜40d)の各トナーカートリッジ41(41a〜41d)は定着装置25と上部供給トレイ22との間のスペースを利用し、かつ、定着装置25の上部領域周辺を除いた部位にて水平方向に四つ配設されている。尚、図中点線示す符号40eは、トナー補給装置の予備の配設スペースであり、例えばブラックトナーに関するトナーカートリッジを増設したいような場合に利用される。
更に、本実施の形態では、二次転写装置60は搬送ベルト88の張架ロールを兼用した二次転写ロールにて構成されており、中間転写ベルト50の張架ロール51に対向配置されている。特に、本実施の形態では、二次転写装置60は中間転写ベルト50上の各色成分トナー像を記録材Sに二次転写したと同時に搬送ベルト88に沿って搬送されるので、トナー像の転写性能は良好に保たれ、かつ、記録材Sの剥離性能が損なわれる懸念もない。
更に、本実施の形態では、反転搬送経路24bは作像エンジン21の下方領域を横切った形で設けられている。
【0043】
従って、本実施の形態によれば、実施の形態1と略同様に、(1)定着装置25による上部供給トレイ22内の記録材Sに対する予備加熱、(2)定着装置25による装置筐体20外部への排熱量の低減、(3)画像形成ユニット30に対する定着装置25による熱遮断、(4)FCOTの短縮、(5)上部供給トレイ22に対する記録材の補給作業性改善、(6)画像形成装置の設置安定性などの作用を奏する。
また、本実施の形態において、定着装置25として所謂インスタントオン型の定着装置(例えば図7参照)を用いたり、あるいは、図8に示すように、上部供給トレイ22を複数設けるようにしてもよい。
【0044】
◎実施の形態3
図10は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態3を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、下部供給トレイ23(例えば23a,23b)をオプションユニットとしての下部供給ユニット130内に格納し、上部供給トレイ22のみを備えた画像形成装置の筐体20の下方に下部供給ユニット130を増設するようにしたものである。
本態様によれば、ユーザーの要請に基づいて画像形成装置の記録材供給トレイを適宜増設することが可能である。
ここで、オプションユニットの態様としては、これに限定されるものではなく、例えば図11又は図12に示すように、一つの上部供給トレイ22aのみを備えた画像形成装置の筐体20の下方に下部供給ユニット130(下部供給トレイ23(23a,23b)を具備)を増設し、更に、前記筐体20の上方に第2の上部供給トレイ22bが格納されたオプションユニットとしての上部供給ユニット140を増設するようにしてもよい。
【0045】
本態様において、装置筐体20の上方に配置される排出トレイ26については、例えば図11に示すように、増設前の装置筐体20の上方に配置されていた排出トレイ26を一旦取り外し、装置筐体20上部に上部供給ユニット140を配設すると共に、この上部供給ユニット140の上部に排出トレイ26をセットするようにしてもよい。また、例えば図12に示すように、上部供給ユニット140に脚部141を具備させ、増設前の装置筐体20の上方に上部供給ユニット140を脚部141を介して配設し、上部供給ユニット140と装置筐体20との間に凹所142確保し、この凹所142内に装置筐体20の上方に配置されていた排出トレイ26を配置するようにしてもよい。
尚、本態様では、下部供給トレイ23の全部をオプションユニットとしての下部供給ユニット130に格納するようにしているが、下部供給トレイ23の一部を標準装備とし、他をオプションユニットとして構成してもよいし、また、下部供給トレイ23全てを標準装備とし、上部供給トレイ22の全部若しく一部が格納された上部供給ユニット140をオプションユニットとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は定着装置の配設可能位置を示す説明図である。
【図2】比較モデルに係る画像形成装置を示す説明図である。
【図3】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図4】実施の形態1で用いられる画像形成ユニットの詳細を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられる定着装置の詳細を示す説明図である。
【図6】実施の形態1に係る画像形成装置の作用を模式的に示す説明図である。
【図7】(a)(b)はインスタントオン型の定着装置例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1に係る画像形成装置の変形形態を示す説明図である。
【図9】実施の形態2に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図10】実施の形態3に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図11】実施の形態3に係る画像形成装置の変形形態を示す説明図である。
【図12】実施の形態3に係る画像形成装置の別の変形形態を示す説明図である。
【図13】従来例の画像形成装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…作像エンジン,2…上部供給トレイ,3(3a,3b)…下部供給トレイ,4…搬送経路,5…定着装置,5a…熱定着部,6…画像形成装置筐体,6a,6b…筐体側壁,6c…筐体中央,7(7a〜7d)…像形成担持体,8…中間転写体,G…重心
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に係り、特に、作像エンジンにて形成されたトナー像を記録材に転写した後定着装置にて熱定着する態様の画像形成装置(主としては中間転写型の画像形成装置にて有効)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の画像形成装置として、中間転写型のカラー画像形成装置を例に挙げると、感光体ドラム等の像形成担持体に形成された各色成分トナー像を中間転写体に順次一次転写し、中間転写体上の多色トナー像を二次転写装置にて用紙等の記録材に一括転写するようにしたものが知られている。
このようなカラー画像形成装置では、近年、高速化、小型化、省エネルギ化の要請が強く叫ばれている
特に、高速化の要請下にあっては、各色成分トナー像形成用の各色の画像形成ユニットを中間転写ベルト上に並列配置したタンデム構成が効果的であるが、各画像形成ユニットを並列に配置し、その延長上に定着装置を配置した態様では、装置が大型化し易いという技術的課題がある。
【0003】
このような装置の大型化に対する対応策としては、例えば図13に示すように、中間転写ベルト201を斜めに配置し、この中間転写ベルト201の上側傾斜面に沿って各画像形成ユニット202(202a〜202d)を並列配置すると共に、この中間転写ベルト201の下端部に一括転写装置(例えば一括転写ロールを使用)203を配設し、更に、斜め配置された中間転写ベルト201の下方空間部に定着装置204を配設したものが既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
本態様によれば、作像エンジン(各画像形成ユニット202及び中間転写ベルト201)自体の幅方向寸法を抑え、しかも、作像エンジンの下方に定着装置204を配設し、各画像形成ユニットと定着装置204とを並列配置しない態様にしたため、画像形成装置自体の幅方向寸法を短く設定することが可能になり、その分、画像形成装置の小型化を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3470696号公報(発明の実施の形態、図1)
【特許文献2】特開平4−274264号公報(実施例、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の画像形成装置にあっては、作像エンジンの下方に定着装置204を配設するようにしたので、長時間の稼働では定着装置204の熱気が上方に位置する各画像形成ユニット202に影響を与え、各画像形成ユニット熱によるトナー融着など画質欠陥につながる懸念がある。これを防止するには、例えば定着装置204と中間転写ベルト201との間に熱反射板205を配設したり、更には、図示外の排気装置を設置することにより、定着装置204からの熱気が各画像形成ユニット202側に移動しないように配慮することが必要不可欠であり、その分、装置構成が複雑化するという事態を生ずる。
また、上述したように、熱反射板205や図示外の排気装置を用いた態様にあっては、定着装置204にて定着に用いるエネルギの一部を外部に排出することになるため、定着装置204での熱エネルギ効率が未だ不十分になり易いという事態を生ずる。
更に、この種のカラー画像形成装置にあっては、作像エンジンの下端部に位置する一括転写装置203、及び、作像エンジンの下方に位置する定着装置204に対し、記録材206を通過させることからすれば、記録材供給トレイ(図示せず)の配設位置としては作像エンジンの下方領域が一般的である。この場合、記録材供給トレイの配設位置は画像形成装置筐体の下部寄りになってしまうため、記録材供給トレイへの記録材補給に際しては、しゃがみ込んだり、腰を曲げる必要があったり、ユーザーにやさしい装置とは言い難い。
【0006】
また、従来の別の画像形成装置としては、画像形成装置筐体内の下部領域に作像エンジン及び定着装置を配設すると共に、画像形成装置筐体の上部領域に記録材供給用の上部供給トレイを配設し、上部供給トレイからの記録材を略S字状の搬送経路を経て作像エンジン及び定着装置に導くようにしたものが既に提供されている(例えば特許文献2参照)。
本態様によれば、上部供給トレイが画像形成装置筐体の上部領域に配設されていることから、上部供給トレイへの記録材補給作業を立ったまま行うことが可能になり、その分、記録材の補給作業を容易に行うことができる。
しかしながら、本態様にあっては、上部供給トレイから作像エンジン、定着装置へ至るまでの記録材の搬送経路が略S字状経路にて構成されて長いため、最初の作像動作から記録材が出力されるまでの時間(FCOT:First Copy Output Time)が嵩むばかりか、定着装置が画像形成装置筐体寄りに配設されざるを得ないので、定着装置からの熱気が画像形成装置外部に排出され易くなり、その分、定着装置からの熱損失が多く、定着装置のエネルギ効率が悪いという技術的課題が生ずる。
更に、定着装置からの熱気は画像形成装置外部に殆ど排出されてしまうと共に、上部供給トレイの配設箇所は定着装置の直上領域には及んでおらず、しかも、定着装置と上部供給トレイとの間は非常に離れているため、定着装置からの熱気が上部供給トレイ内の記録材を予備的に加熱することはほとんど期待できない。このため、定着装置による定着過程では定着装置の熱が記録材に多く奪われることになり、その分、定着装置による消費エネルギが嵩むという技術的課題もある。
【0007】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、記録材の補給作業性及び装置自体の設置安定性を良好に保ち、しかも、装置の小型化、高速化、省エネルギ化(主として定着装置)という要請を容易に実現することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、図1(a)(b)に示すように、トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジン1と、この作像エンジン1の上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイ2と、前記作像エンジン1の下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイ3(本例では3a,3b)と、前記作像エンジン1と上部供給トレイ2との間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5aを有し且つ作像エンジン1の転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置5とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
このような技術的手段において、作像エンジン1の作像方式については、トナー像を形成するものであれば、電子写真方式に限らず、静電記録方式等をも含み、また、単色、カラーいずれでも差し支えないが、カラーへの適用が好ましい。
また、上部供給トレイ2は作像エンジン1の上方にあればよく、その数量、サイズなどは問わない。尚、上部供給トレイ2の上方に画像読取ユニットを配設するようにすれば、複写装置としての画像形成装置を構築することができる。
更に、下部供給トレイ3は作像エンジン1の下方にあればよく、その数量、サイズなどは問わない。
ここで、作像エンジン1を挟んで上方に上部供給トレイ2、下方に下部供給トレイ3を分けて配設するようにしたのは、画像形成装置の重心G位置を低く設定することを企図したものであり、これに伴って、装置の設置安定性及び画像形成装置稼働時の振動を抑えるようにしたものである。
仮に、図2に示す比較モデルのように、作像エンジン1の上方に複数の上部供給トレイ2(例えば2a〜2c)のみを多段に配設した態様にあっては、画像形成装置の重心G’位置が本件発明に比べて高くなってしまうため、その分、画像形成装置の設置安定性が不安定になる懸念があるほか、画像形成装置稼働時の振動が大きくなり、画像形成動作に影響を与え、しかも、振動に伴う騒音の懸念が生ずる。
【0010】
更に、定着装置5としてはトナー像を熱定着するものであれば、接触加熱方式、非接触加熱方式を問わず、また、加熱方式についても、加熱ランプなどのヒータ加熱方式や電磁誘導加熱方式など適宜選定して差し支えない。また、機内に無駄な熱を放出しないという観点からすれば、インスタントオンタイプの定着装置が好ましい(例えば特開2003−307964号公報,特開2002−148983号公報参照)。
ここで、定着装置5のレイアウトとして、「作像エンジン1と上部供給トレイ2との間」にしたのは、定着装置5からの熱気が上方に向かって放出されたとしても、上部供給トレイ2内の記録材に対する予備加熱として有効に利用され、かつ、下方側の作像エンジン1には影響し難い。
また、定着装置5のレイアウトとして、「少なくとも画像形成装置筐体6の側壁6a,6bに比べて中央寄りに位置する熱定着部5a」を要件にしたのは、画像形成装置内に定着装置5を配置した際に、熱定着部5aが装置の筐体側壁6a,6bに比べて装置の中央(筐体中央6c)寄りに位置する態様(図1(b)のmの範囲内)を全て含む趣旨であり、熱定着部5aを筐体側壁6a,6bから離間させることを企図したものである。このとき、定着装置5のケースが画像形成装置筐体(必要に応じて装置筐体という)6の側壁6a,6b側に位置していても差し支えない。
本態様によれば、装置外に排出される熱エネルギが少なくなり、かつ、上部供給トレイ2内の記録材への予備加熱のために熱エネルギが有効に利用され、その分、エネルギ効率が良好に保たれる。
【0011】
また、定着装置5の好ましい態様としては、作像エンジン1の直上領域内に配置されていることが好ましい。本態様によれば、定着装置5のレイアウトに伴う画像形成装置の設置面積増大を有効に回避することができ、画像形成装置の小型化を企図することができる。
更に、定着装置5の好ましい態様としては、少なくとも熱定着部5aが上部供給トレイ2の直下領域に配置されている。本態様によれば、定着装置5からの熱気にて上部供給トレイ2の記録材を効率的に予備加熱することが可能である。
これらの態様において、「作像エンジン1の直上領域」又は「上部供給トレイ2の直下領域」とは、画像形成装置の正面側(プロセス進行方向に直交する方向)から見た場合の領域を指し、プロセス進行方向から見て定着装置5の一部が作像エンジン1や上部供給トレイ2の配設領域の投影領域からはみ出していても差し支えない。
特に、本発明においては、定着装置5は前記筐体中央6cより作像エンジン1の転写部位寄りに配置されることが好ましい。この場合、上部供給トレイ2から定着装置5までの搬送経路4の距離をより一層短く設定でき、その分、FCOTの短縮化が可能である。
【0012】
また、記録材の搬送経路4の好ましい態様としては、上部供給トレイ2からの記録材の送出方向と、定着装置5からの記録材の排出方向とが反対であるものが挙げられる。このとき、記録材の搬送経路4が作像エンジン1と上部供給トレイ2との間のスペースを有効に利用して配置されるため、定着装置5に至る搬送経路4としてS字状経路を使用せずに済み、搬送経路長を短くすることができる。
更に、別の観点から見れば、上部供給トレイ2及び下部供給トレイからの記録材の搬送経路4が上部供給トレイ2と作像エンジン1との間を横切るように配置されていることが好ましい。
更にまた、記録材の搬送経路4のうち、両面記録を可能にする好ましい態様としては、定着装置5の下流側搬送経路が、作像エンジン1の転写部位の上流側へ記録材が反転した状態で戻される反転搬送経路4aを有し、この反転搬送経路4aの少なくとも一部が上部供給トレイ2と作像エンジン1との間に配置される態様が挙げられる。
【0013】
また、記録材を排出収容する排出トレイの好ましい配設態様としては、定着装置5の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ2及び下部供給トレイ3の記録材供給方向と反対側に配置されているものが挙げられる。本態様によれば、画像形成装置筐体6の高さ寸法を嵩ませることなく、記録材排出収容部を構成することができる。
更に、排出トレイの好ましい他の配設態様としては、定着装置5の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ2の上方若しくは複数の上部供給トレイ2の間に配置されているものが挙げられる。本態様によれば、排出トレイが画像形成装置筐体6の外部に突出せず、前記装置筐体6の上方にて記録材の取り出し作業を行うことができる点で好ましい。
更にまた、上部供給トレイ2、下部供給トレイ3の好ましい態様としては、上部供給トレイ2に使用頻度の高い記録材を収容し、下部供給トレイ3に使用頻度の低い記録材を収容することが挙げられる。本態様によれば、少なくとも使用頻度の高い記録材の補給作業については上部供給トレイに対する立ち姿勢のままの作業で済むため、使用頻度の高い記録材の補給作業性を容易に行うことができる。
また、上部供給トレイ2又は下部供給トレイ3については標準装備した態様でもよいが、オプションにて追加する態様も可能である。
【0014】
また、カラー画像を形成する作像エンジン1としては適宜選定して差し支えないが、代表的には、トナー像を形成担持する像形成担持体7と、この像形成担持体7上のトナー像を記録材へ転写する前の中間段階で一時的に転写保持する中間転写体8とを備えたものが挙げられる。
この場合、像形成担持体7の数については一若しくは複数で差し支えないが、高速化を企図する場合には、複数の像形成担持体7(例えば7a〜7d)を並列配置し、各像形成担持体7にて各色成分トナー像を形成した後に中間転写体8に順次転写するタンデム構成が好ましい。また、中間転写体8としては、ベルト状、ドラム状のいずれであっても差し支えないが、レイアウトの自由度や小型化する観点からベルト状部材が好ましい。
【0015】
更に、中間転写型のカラー画像形成装置の好ましいレイアウトとしては、像形成担持体7は中間転写体8を挟んで定着装置5の反対側に配置される態様が挙げられる。本態様によれば、中間転写体8にて定着装置5からの熱を遮断し、像形成担持体7に安定したトナー像形成を行うことができる。
更にまた、ベルト部材からなる中間転写体8の好ましい態様としては、上部供給トレイ2からの記録材送出側に二次転写部を具備し、この二次転写部と定着装置5の熱定着部5aとを略水平に配置すべく、定着装置5から離間して張架されている態様が挙げられる。
このとき、中間転写体8の二次転写部と定着装置5の熱定着部5aとを略水平に配置することができ、中間転写体8と定着装置5との干渉を防止し、かつ、二次転写部と熱定着部5aとの間の搬送経路4を直線経路にできる分FCOTを短縮することができる。
特に、この種の態様においては、ベルト部材からなる中間転写体8は、上部供給トレイ2からの記録材送出側が高くなるように画像形成装置筐体6に対して傾斜配置されるものであることが好ましい。このように、所定方向に傾斜配置するようにすれば、中間転写体8の引き回しを複雑にすることなく、二次転写部と熱定着部5aとを略水平に配置でき、しかも、タンデム型画像形成装置にあっては、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作像エンジンの上方に上部供給トレイを配設すると共に、作像エンジンの下方に下部供給トレイを配設し、作像エンジンと上部供給トレイとの間で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに定着装置を配設するようにしたので、以下のような基本的効果を奏することができる。
第一に、作像エンジンが定着装置の下方に配設されているため、定着装置からの熱が作像エンジンに影響し難く、作像エンジンによるトナー像の形成を安定的に行うことができる。特に、中間転写型の画像形成装置にあっては、中間転写体を遮熱機能部材として利用でき、効果的である。
第二に、定着装置が画像形成装置筐体の中央寄りに配設されており、装置筐体の側壁から離間していると共に、定着装置の上下は上部供給トレイ及び下部供給トレイで囲まれているため、定着装置からの熱が画像形成装置外部に不必要に排出される事態は無くなり、その分、定着装置からの熱損失を抑えることができる。
第三に、定着装置は上部供給トレイの下方で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに配設されているため、定着装置から放出される熱量を上部供給トレイ内の記録材を予備加熱することが可能になり、その分、定着エネルギを低減することができ、また、排熱のためのファン等を簡易化若しくは削減することができる。このため、定着装置のエネルギ効率を極めて良好に保つことができる。
特に、排熱ファン等を設ける場合には、画像形成装置筐体に通気孔を設けることが必要になるため、排熱ファン等に伴う騒音が通気孔を通じて外部に漏れる事態は回避し得ないが、排熱ファン等を設けない態様にあっては、画像形成装置稼働時の遮音効果をより一層高めることできる。
第四に、上部供給トレイが画像形成装置の上部領域に配置可能であるため、少なくとも上部供給トレイに対する記録材補給の際などに、しゃがみこむ若しくは腰を曲げる必要がなく、ユーザーに無理な姿勢を要求せずに記録材の補給作業を行うことが可能になるという「人にやさしい」画像形成装置を提供することができる。
第五に、上部供給トレイと作像エンジンとの間で且つ画像形成装置筐体の中央寄りに定着装置を配設するようにしたので、上部供給トレイから定着装置に至るまでの搬送経路長を短く設定することが容易になり、その分、最初の作像動作から記録材が出力されるまでの時間を短縮することができる。
第六に、作像エンジンの上下に供給トレイを分けて配設するようにしたので、複数の上部供給トレイのみを備えた態様に比べて、画像形成装置の重心位置を低く設定することが可能である。このため、画像形成装置の設置安定性を良好に保つことができるばかりか、画像形成装置稼働時の振動を有効に防止することができ、その分、振動に起因する画像形成動作への影響を抑え、しかも、振動に伴う騒音を有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す概要図である。
同図において、画像形成装置は中間転写型のタンデムマシンであり、画像形成装置筐体(以下必要に応じて装置筐体という)20内には、例えばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分トナー像を形成するための作像エンジン21と、この作像エンジン21の上方に配設されて記録材Sを供給する上部供給トレイ22と、前記作像エンジンの下方に配設されて記録材Sを供給する下部供給トレイ23(本例では23a,23b)と、作像エンジン21と上部供給トレイ22との間に配設される定着装置25とを備えている。
【0018】
本実施の形態において、作像エンジン21は全体としてユニット化されており、図中左方向が上になるように傾斜配置されると共に、その図中右方向下端部に設けられた回転支軸55を中心に揺動自在になっている。
そして、作像エンジン21は、各色成分トナー像形成用の電子写真方式の四つの画像形成ユニット30(具体的には30a〜30d)を並列に配設し、この各画像形成ユニット30に面した箇所に中間転写ベルト50を配設したものである。
特に、本例では、中間転写ベルト50は図中左方向が上になるように傾斜配置されており、各画像形成ユニット30は中間転写ベルト50の下部傾斜面に沿って互いに段差をもって配設されている。
【0019】
各画像形成ユニット30は、図3及び図4に示すように、所定方向に回転する感光体ドラム31を有し、この感光体ドラム31の周囲には、当該感光体ドラム31を帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)32、帯電された感光体ドラム31上に静電潜像を書き込む露光装置33と、感光体ドラム31上の静電潜像を所定の色トナーにて現像する現像装置34と、感光体ドラム31上の残留トナーを清掃するドラムクリーナ35(本例ではブレード351によるクリーニング方式を採用)とを備えている。
【0020】
ここで、現像装置34は、感光体ドラム31に対向して開口し且つ例えば二成分現像剤が収容されるハウジング341を有し、このハウジング341の開口に面した箇所には現像ロール342を配設すると共に、この現像ロール342の背面側には現像剤撹拌用の撹拌搬送オーガ343,344を配設し、撹拌搬送オーガ343と現像ロール342との間には現像剤供給用の供給パドル345を設けたものである。
そして、感光体ドラム31には駆動モータ45からの駆動力がギアなどの駆動伝達系46を介して伝達されるようになっており、一方、現像ロール342、撹拌搬送オーガ343,344、供給パドル345には同じく駆動モータ45からの駆動力がギアなどの駆動伝達系47を介して伝達されるようになっている。
【0021】
また、各画像形成ユニット30(30a〜30d)の各現像装置34にはトナー補給装置40(具体的には40a〜40d)が夫々付設されている。
このトナー補給装置40は、装置筐体20のうち中間転写ベルト50の上方領域に夫々カートリッジ受部を設け、各カートリッジ受部には各色成分(YMCK)トナーが収容されるトナーカートリッジ41(41a〜41d)を着脱自在に取付ける共に、カートリッジ受部に面した箇所にはトナーカートリッジ41内のトナーが一時的に収容されるリザーブタンク42を設け、このリザーブタンク42と各現像装置34のハウジング341との間をトナー補給ダクト43にて連通接続するようにしたものである。尚、図3ではトナー補給ダクト43の図示を省略する。
特に、本実施の形態では、トナー補給装置40(40a〜40d)のうち、ブラック(K)用トナーカートリッジ41dが他の色(YMC)用トナーカートリッジ41a〜41cよりも大きく設定されており、YMC用トナーカートリッジ41a〜41cが中間転写ベルト50の上部傾斜面に沿って且つ定着装置25から離間した部位に並列配置されると共に、K用トナーカートリッジ41dがYMC用トナーカートリッジ41a〜41cの上方で且つ定着装置25から離間した部位に配置されている。
【0022】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト50は、例えばポリイミド樹脂に導電性カーボンブラックを混練し、体積抵抗率を109〜1012Ω・cm程度とした無端ベルトからなり、例えば三個の張架ロール51〜53に掛け渡されており、例えば張架ロール52を駆動ロールとし、張架ロール53をテンションロールとして、図の矢印方向に移動するようになっている。尚、符号57は、中間転写ベルト30上の残留トナー等を清掃するベルトクリーナである。
そして、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31に対向する中間転写ベルト50の背面側には一次転写装置(本例では一次転写ロール)36が夫々配設されており、また、中間転写ベルト50の上端部である張架ロール51と対向する部位に二次転写装置(本例では二次転写ロール)60が配設されており、張架ロール51をバックアップロールとして、図示外の二次転写バイアスが印加されるようになっている。
【0023】
更に、本実施の形態において、上部供給トレイ22は装置筐体20の上部領域にて図中左右幅方向に亘って配設されており、また、下部供給トレイ23(23a,23b)は装置筐体20の下部領域にて図中左右幅方向に亘って上下二段に配設されており、更に、装置筐体20の上部には記録材Sを排出収容する排出トレイ26が配設されている。
特に、本実施の形態では、上部供給トレイ22に使用頻度の高い記録材S(例えばA4判サイズの記録材)が収容されており、一方、下部供給トレイ23(23a,23b)には使用頻度の低い記録材Sが収容されている。
そして、上部供給トレイ22及び下部供給トレイ23(23a,23b)は、その送出方向側に一枚ずつ捌くピックアップロール71を有し、このピックアップロール71の記録材送出方向下流側には搬送力付与のためのフィードロール72及び記録材Sを一枚ずつ捌くリタードロール73が接触転動可能に対向配置されている。
【0024】
また、上部供給トレイ22及び下部供給トレイ23からの記録材Sの搬送経路24は、上部供給トレイ22から供給されて作像エンジン21により片面記録された記録材Sが排出トレイ26に至るまでの通常搬送経路24aと、この通常搬送経路24aに対してバイパスする反転搬送経路24bと、第1の下部供給トレイ23aからの記録材Sを通常搬送経路24aに導く接続搬送経路24cと、第2の下部供給トレイ23bからの記録材Sを接続搬送経路24cに導く接続搬送経路24dとを備えている。
ここで、通常搬送経路24aは、上部供給トレイ22の記録材送出方向側端部からUターン状に湾曲した後、上部供給トレイ22と作像エンジン21との間を略水平方向に横切る水平搬送経路部241を有し、K用トナーカートリッジ41aを回避するように斜め上方に向かった後に上部供給トレイ22の記録材非送出方向側端部の背面を上方に向かって排出トレイ26へ至るものである。この通常搬送経路24aには適宜数の搬送ロール85が設けられており、この通常搬送経路24aの水平搬送経路部241のうち二次転写装置60の上流側直前には位置決め用のレジストロール80が配設されると共に、二次転写装置60の下流側には搬送ベルト81を介して定着装置25が設けられ、更に、水平搬送経路部241の下流側には正逆回転可能な反転搬送ロール82が配設され、通常搬送経路24aの排出口83の直前には排出ロール84が配設されている。
尚、本例では、搬送ベルト81としては、静電吸着方式やエアー吸引方式が利用でき、二次転写装置60によって記録材S上に転写された未定着トナーの画質劣化を防止している。
【0025】
一方、反転搬送経路24bは、通常搬送経路24aの反転搬送ロール82の配設部位にて分岐し、上部供給トレイ22と作像エンジン21との間を横切った後レジストロール80の上流側に至るものであり、この反転搬送経路24bにも適宜数の搬送ロール85が設けられている。
更に、接続搬送経路24cは第1の下部供給トレイ23aの記録材送出方向側端部から略鉛直方向に延び、通常搬送経路24aのレジストロール80の上流側に合流するものであり、更に、接続搬送経路24dは第2の下部供給トレイ23bの記録材送出方向側端部から略鉛直方向に延びて前記接続搬送経路24cに合流するものである。尚、接続搬送経路24cには適宜数の搬送ロール85が設けられている。
更にまた、本実施の形態では、搬送経路24として、図示外の手差しトレイからの手差し搬送経路24eが通常搬送経路24aのレジストロール80の上流側に接続されており、また、通常搬送経路24aの反転搬送ロール82の下流側には分岐搬送経路24fが図示外の切替ゲートにて切替可能に分岐配置され、上部供給トレイ22の背面側に位置する装置筐体20の側壁開口まで延びている。この分岐搬送経路24fの下流端には図示外の側方排出トレイ又は図示外の後処理装置(ステープラ,パンチャ,折機構等の後処理ユニットを具備)等が設けられ、この分岐搬送経路24fの下流側には排出ロール86が配設されている。
【0026】
また、本実施の形態において、定着装置25は、図3及び図5に示すように、水平搬送経路部241の二次転写装置60の下流側に配設されており、上部定着ユニット100及び下部定着ユニット105で構成されている。上部定着ユニット100は加圧ロール101及びこの加圧ロール101の周囲が覆われる遮熱カバー102を有し、また、下部定着ユニット105は内部にヒータ107が内蔵された加熱ロール106及びこの加熱ロール106の周囲が覆われる遮熱カバー108を有している。
ここで、加圧ロール101は例えば芯金の表面にウレタンゴム等の弾性層を形成した弾性ロールにて構成され、一方、加熱ロール106も例えば芯金の表面にウレタンゴム等の弾性層を形成し、更に、その表面に離型層を形成した弾性ロールにて構成されている。そして、加圧ロール101は加熱ロール106に接触転動可能に圧接配置されており、両ロール101,106間には略水平方向に延び且つ下に凸になるニップ域が形成され、このニップ域を通過した記録材の剥離性を確保するようになっている。
尚、加圧ロール101、加熱ロール106の構成については特にこれに限定されないことは勿論である。
また、遮熱カバー102,108は、加圧ロール101又は加熱ロール106側に金属製の熱輻射板102a,108aを備え、その外側を真空断熱材102b,108bで覆い、更にその外装をプラスチックの外装カバー102c,108cで覆った構成を採っている。
更に、ヒータ107の温度制御については、加熱ロール106の表面温度を温度センサ109にて検知し、この検知情報を制御装置110に取り込み、制御装置110にてヒータ107をオンオフ制御するという方式が採用されている。
【0027】
また、本例では、熱輻射板102a,108aとしては、例えば鏡面加工されたアルミニウム等の金属が用いられ、輻射率0.5以下の表面とすることで、表面での反射率が高くなるようになっている。また、真空断熱材102b,108bは、例えば熱伝導率0.03W/(m・K)以下の部材を厚さ3mm以上備えたもので構成されている。更に、外装カバー102c,108cは熱伝導率の小さいプラスチックによって構成されている。
また、本実施の形態では、加圧ロール101及び加熱ロール106と夫々の遮熱カバー102a,108aとは、例えば3〜20mmの距離を隔てて配置され、遮熱カバー102a,108aが加圧ロール101及び加熱ロール106を互いに上下方向から挟み込むような形となっている。そのため、加熱ロール106による熱が定着装置25外へ余分に漏れないようになっている。
更に、本実施の形態では、定着装置25の下流側には、図3に示すように、冷却板87が配設され、定着装置25によって定着された後の記録材の温度低下を行い、定着されたトナーの固化を促進するようになっている。尚、このような冷却板87を用いなくてもよいことは勿論である。
【0028】
また、本実施の形態において、定着装置25の加圧ロール101と加熱ロール102とのニップ域(熱定着部HPに相当)は、例えば図6に示すように、装置筐体20の側壁M1,M2に比べて筐体中央Mc寄りに配置されている。
そして、本態様においては、定着装置25は、画像形成装置の正面側から見て、作像エンジン21の直上領域内に配置されると共に、上部供給トレイ22の直下領域内に配置されている。
特に、本実施の形態では、定着装置25は、筐体中央Mc位置よりも作像エンジン21の二次転写部位寄りに配置されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
今、各色成分(イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))画像の画像データが各画像形成ユニット30(30a〜30d)の露光装置33に送出されると、各画像形成ユニット30の感光体ドラム31上には色成分毎の静電潜像が形成されると共に、対応する色トナーが収容された現像装置34にて静電潜像が顕像化され、感光ドラム31上に未定着な各色成分トナー像が形成される。
そして、各色成分トナー像は、各感光体ドラム31と中間転写ベルト50とが接する一次転写部位において、一次転写ロール36によって中間転写ベルト50上に順次一次転写され、色重ねされる。
このようにして中間転写ベルト50上に一次転写された各色成分トナー像は、中間転写ベルト50の移動に伴って、二次転写位置(二次転写ロール60と張架ロール51によって構成される)へと移動する。
【0030】
一方、上部供給トレイ22又は下部供給トレイ23(23a,23b)からは記録材Sが所定のタイミングにて通常搬送経路24aと順次供給される。そして、この通常搬送経路24aに搬送された記録材Sは、レジストロール80によって位置合わせされた後に二次転写位置へ搬送され、二次転写ロール60によって中間転写ベルト50上の各色成分トナー像が一括転写(二次転写)される。
各色成分トナー像が一括転写された記録材Sは搬送ベルト81によって吸着搬送されて定着装置25に搬送され、この定着装置25にて未定着トナー像が定着される。
しかる後、定着装置25を通過した記録材Sは、搬送ロール85及び反転ロール82を経由して排出ロール84に搬送され、排出トレイ26にフェイスアップ(トナー像が上向き)の状態で排出される。尚、図示外の側方排出トレイ又は後処理装置を設けた態様において、分岐搬送経路24f側に記録材Sを搬送する態様にあっては、定着装置25を通過した記録材Sは、搬送ロール85及び反転ロール82を経由して排出ロール86に搬送され、側方排出トレイ(トナー像が下向きの状態のフェースダウン姿勢にて排出)又は後処理装置に向けて排出される。
また、両面記録モードを選択した場合には、定着装置25を通過した片面記録済みの記録材Sは、その後端部が通常搬送経路24aの反転搬送ロール82にニップされた状態で一旦停止し、反転搬送ロール82を逆転させることにより、反転搬送経路24b側に反転搬送された後に再度作像エンジン21の二次転写部位に戻される。このとき、作像エンジン21では裏面側の各色成分トナー像が形成され、二次転写部位にて記録材Sの裏面に転写される。この後、記録材Sは、搬送ベルト81を経て定着装置25に導かれ、定着装置25にて裏面トナー像を定着された後に例えば排出トレイ26へと導かれる。
【0031】
このような作像プロセスにおいて、定着装置25からの熱気は遮熱カバー102,108にて有効に遮断されるが、定着装置25の記録材S通路や遮熱カバー102,108の一部から定着装置25外に漏れる。
すると、定着装置25からの熱気の一部は、図6のAに示すように、上方へと移動していくが、定着装置25の直上には上部供給トレイ22が配設されていることから、定着装置25からの熱気により、上部供給トレイ22及び上部供給トレイ22内の記録材Sが予備加熱される。このとき、記録材Sは予備加熱された状態で定着装置25に搬送されることから、定着装置25の加熱ロール106から記録材Sが奪う熱自体を低減することができ、その分、定着装置25による消費熱エネルギを低減することができる。また、定着装置25からの熱気は予備加熱源として利用されるため、排熱のための排熱・排気ファンを設置する必要性は少ない。このため、排熱・排気ファンを設ける態様に比べて、画像形成装置稼動時の遮音効果を良好に保つことができる。つまり、排熱・排気ファンを設ける態様にあっては、装置筐体20の側壁M1,M2に通気孔を設ける必要があるため、通気孔を通じて排熱・排気ファンの音が外部に漏れる懸念があるが、このような排熱・排気ファンを設置しない態様では装置筐体20に通気孔を設ける構造が必要でないため、画像形成装置可動時に排熱・排気ファンは勿論、画像形成装置内部からの騒音漏れを有効に回避することができる。
更に、定着装置25は筐体中央Mc寄りに配置されているため、図6のBに示すように、定着装置25と装置筐体20の側壁M1,M2(外気環境温度条件を具備)との間の距離が長くなる分、定着装置25からの熱気が装置筐体20の側壁M1,M2を通じて外部に漏れる排熱量は極めて少ない。また、定着装置25の上下は上部供給トレイ22、下部供給トレイ23で囲まれているため、定着装置25の熱気が装置筐体20の上下からも外部に漏れ難い。
このため、定着装置25の熱エネルギが不必要に消費される事態は有効を抑えられることになり、その分、定着装置25の熱エネルギ効率が向上する。
【0032】
また、定着装置25から漏れる熱気の多くは上方に移動していくが、図6のCに示すように、その一部は下方側に移動する。
しかしながら、本実施の形態では、各画像形成ユニット30(30a〜30d)は中間転写ベルト50を介して定着装置25の反対側(本例では下方側)に配設されているため、定着装置25からの熱気が中間転写ベルト50で遮断され、定着装置25からの熱気が各画像形成ユニット30側に影響することはほとんど皆無である。それゆえ、例えば現像装置34内のトナーが熱の影響を受けて局部的に凝集する等にして劣化し、これに伴って、画像品質が低下したり、現像剤が短寿命化するという懸念はない。
【0033】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト50が各画像形成ユニット30の上方領域に配置されているため、画像形成ユニット30の例えば現像装置34からのトナー浮遊等による機内汚染に起因する画質劣化が防止され、一層画質の安定した画像形成が確実に実現されている。
特に、本実施の形態では、作像エンジン21は全体として斜め配置されているため、作像エンジン21の図6中左右方向の寸法を短寸に選定することができ、その分、装置筐体20の設置面積を小さくすることができる。
更に、作像エンジン21は回転支軸55を中心に揺動自在になっているため、例えば二次転写部位を挟んだ箇所で記録材Sがジャムしたような場合には、作像エンジン21を回転支軸55を中心に下方側に揺動退避させるようにすれば、ジャム処理作業を行うことができる。
【0034】
更にまた、本実施の形態では、定着装置25は筐体中央Mc寄りに配置されているため、上部供給トレイ22からの定着装置25に至るまでの通常搬送経路24aの長さは比較的短く設定される。このため、作像エンジン21の二次転写部位と定着装置25の熱定着部HPとの間の距離が短くなり、作像エンジン21にて転写された記録材Sの未定着トナー像は比較的早いタイミングで定着装置25の熱定着部HPを通過し、定着される。従って、記録材Sが未定着トナー像を保持した状態で搬送される距離は少なく抑えられることになり、記録材Sの搬送過程で未定着トナー像が乱れるという懸念は有効に防止される。
更に、トナー供給トレイ22から定着装置25に至るまでの搬送経路長が短くなるため、定着装置25と排出トレイ26や側方排出トレイとの間の距離を最小限に設計するようにすれば、FCOTを短くすることができる。
【0035】
特に、本実施の形態では、定着装置25は、筐体中央Mcよりも作像エンジン21の二次転写部位寄りに配置されているため、記録材Sが熱定着部HPを出た後に記録材Sの排出速度を上げることによってFCOTを更に短く設定できるばかりか、装置筐体20内スペースのうち定着装置25の下流側スペースを広く確保することができ、このスペースを利用してトナー補給装置40(40a〜40d)の各トナーカートリッジ41(41a〜41d)を定着装置25からある程度離間して配設することが可能になる。このため、トナーカートリッジ41内のトナーが定着装置25からの熱の影響を受け難い点で好ましい。
【0036】
また、本実施の形態では、上部供給トレイ22は作像エンジン21、定着装置25の上方に配設されるため、装置筐体20の上部領域に配置される。この状態では、ユーザーは、上部供給トレイ22への記録材Sの補給作業を立ち姿勢のまま行うことが可能であり、装置筐体20の下部領域にある下部供給トレイ23に対する記録材Sの補給作業に比べて、記録材Sの補給作業性を簡単にすることができる。
特に、本実施の形態では、上部供給トレイ22に使用頻度の高い記録材Sを収容するようにしているので、上部供給トレイ22に対する記録材Sの補給作業回数は下部供給トレイ23に比べて多くなり、その分、全体として記録材Sの補給作業性を良好に保つことができる。
更に、本実施の形態では、作像エンジン21の上下に上部供給トレイ22、下部供給トレイ23が分かれて配設されているため、画像形成装置の重心G位置は低く設定される。このため、画像形成装置稼動時に画像形成装置が不必要に振動することはなく、安定的に設置される。
【0037】
更に、本実施の形態では、定着装置25はスタンバイモードを必要とする態様であるか否かを問わず広く適用可能であるが、スタンバイモードを必要としない態様である所謂インスタントオン型の定着装置25を用いると、以下のような点で好ましい。
すなわち、インスタントオン型の定着装置25を用いるようにすれば、画像形成動作時のみ発熱させることができるため、機内に不要な熱を発することなく、定着装置25稼働時の熱については上部供給トレイ22及びこの上部供給トレイ22内の記録材Sに吸収させることができる。このとき、定着装置25の周辺環境が熱気で異常に高温になることはないため、排熱のための排熱・排気ファンを設置する必要がない。この種の排熱・排気ファンを設置する場合には、装置筐体20に通気孔を開設する必要が生ずるため、この通気孔からの音漏れを引き起こす懸念があるが、この種のファンを設置しない態様であれば、画像形成装置の遮音効果をより一層高めることができる。
【0038】
ここで、インスタントオン型の定着装置25の代表的態様としては、例えば図7(a)に示すように、加圧ロール111と定着ベルト112とを接触転動可能に配設し、駆動ロール113、従動ロール114及びヒータ支持体116に支持されたヒータ115(例えば低熱容量の線状ヒータを使用)にて定着ベルト112を掛け渡し、かつ、前記ヒータ115と加圧ロール111との間で定着ベルト112をニップ搬送するようにしたものが挙げられる。
また、同型の定着装置25の別の態様としては、例えば図7(b)に示すように、加圧ロール121と定着ベルト122とを接触転動可能に配設し、加圧ロール121と定着ベルト122とのニップ域に対応した定着ベルト122内には弾性パッド123を配設する一方、図示外の駆動源にて前記加圧ロール121を駆動すると共に、定着ベルト122を従動させ、更に、定着ベルト122には基層、電磁誘導発熱層(電磁誘導作用による発熱作用を奏する材料、例えば銅、銀、アルミニウム又はこれに相当する耐熱性有機導電体など)、表面離型層を具備させ、定着ベルト122のニップ域の例えば反対側外側に加熱装置125を配設するようにしたものが挙げられる。ここで、加熱装置125としては、例えば定着ベルト122の湾曲形状に対応した形状を持つ台座126と、この台座126内の略中央に設置されるフェライト等の磁性コア127と、この磁性コア127に巻き回されて定着ベルト122の厚さ方向に向かって変動磁界を生成する励磁コイル128と、台座126の外側に向かう磁場を遮蔽する磁場遮蔽板129とを備えていればよい。
尚、図7(a)(b)中、符号Tは記録材S上の未定着トナーである。
【0039】
また、本実施の形態においては、一つの上部供給トレイ22を備えているが、これに限られるものではなく、図8に示すように、複数の上部供給トレイ22(例えば22a,22b)を備えるようにしても差し支えない。
図8に示す態様では、画像形成装置は、作像エンジン21及び定着装置25の上方に第1の上部供給トレイ22aを配設すると共に、この第1の上部供給トレイ22aの上方に第2の上部供給トレイ22bを配設し、この第2の上部供給トレイ22bの上方に排出トレイ26を配設したものである。尚、図3に示すモデルと同様な構成要素については図3に示すモデルと同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。また、図8中、符号24gは第2の上部排出トレイ22bから通常搬送経路24aにつながる接続搬送経路である。
【0040】
◎実施の形態2
図9は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態2を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、作像エンジン21の上方に上部供給トレイ22を配設すると共に、作像エンジン21の下方に下部供給トレイ23(本例では23a,23b)を配設し、前記上部供給トレイ22と作像エンジン21との間で装置筐体20の中央寄り(本例では略中央)に定着装置25を配設したものであるが、作像エンジン21の構成、及び、記録材Sの搬送経路24のレイアウトを一部変更したものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施の形態において、作像エンジン21は、実施の形態1と同様に、中間転写ベルト50の下方に四つの各色成分画像形成ユニット30(30a〜30d)を配設したものであるが、実施の形態1と異なり、中間転写ベルト50は、三つの内側張架ロール51〜53と一つの外側張架ロール54にて張架され、張架ロール52,53間に掛け渡されるベルト部分を下部水平面501として形成し、張架ロール52、51及び54に掛け渡されるベルト部分を上方に突出する突出部502として形成し、張架ロール54,51間に掛け渡されるベルト部分を上部水平面503として形成し、突出部502上端に対し上部水平面503を下方側に変位配置することで、定着装置25の配設スペースを確保するようにしたものである。そして、各画像形成ユニット30は、中間転写ベルト50の下部水平面501に沿って略水平方向に並列配置されている。
【0042】
また、本実施の形態では、トナー補給装置40(40a〜40d)の各トナーカートリッジ41(41a〜41d)は定着装置25と上部供給トレイ22との間のスペースを利用し、かつ、定着装置25の上部領域周辺を除いた部位にて水平方向に四つ配設されている。尚、図中点線示す符号40eは、トナー補給装置の予備の配設スペースであり、例えばブラックトナーに関するトナーカートリッジを増設したいような場合に利用される。
更に、本実施の形態では、二次転写装置60は搬送ベルト88の張架ロールを兼用した二次転写ロールにて構成されており、中間転写ベルト50の張架ロール51に対向配置されている。特に、本実施の形態では、二次転写装置60は中間転写ベルト50上の各色成分トナー像を記録材Sに二次転写したと同時に搬送ベルト88に沿って搬送されるので、トナー像の転写性能は良好に保たれ、かつ、記録材Sの剥離性能が損なわれる懸念もない。
更に、本実施の形態では、反転搬送経路24bは作像エンジン21の下方領域を横切った形で設けられている。
【0043】
従って、本実施の形態によれば、実施の形態1と略同様に、(1)定着装置25による上部供給トレイ22内の記録材Sに対する予備加熱、(2)定着装置25による装置筐体20外部への排熱量の低減、(3)画像形成ユニット30に対する定着装置25による熱遮断、(4)FCOTの短縮、(5)上部供給トレイ22に対する記録材の補給作業性改善、(6)画像形成装置の設置安定性などの作用を奏する。
また、本実施の形態において、定着装置25として所謂インスタントオン型の定着装置(例えば図7参照)を用いたり、あるいは、図8に示すように、上部供給トレイ22を複数設けるようにしてもよい。
【0044】
◎実施の形態3
図10は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態3を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、下部供給トレイ23(例えば23a,23b)をオプションユニットとしての下部供給ユニット130内に格納し、上部供給トレイ22のみを備えた画像形成装置の筐体20の下方に下部供給ユニット130を増設するようにしたものである。
本態様によれば、ユーザーの要請に基づいて画像形成装置の記録材供給トレイを適宜増設することが可能である。
ここで、オプションユニットの態様としては、これに限定されるものではなく、例えば図11又は図12に示すように、一つの上部供給トレイ22aのみを備えた画像形成装置の筐体20の下方に下部供給ユニット130(下部供給トレイ23(23a,23b)を具備)を増設し、更に、前記筐体20の上方に第2の上部供給トレイ22bが格納されたオプションユニットとしての上部供給ユニット140を増設するようにしてもよい。
【0045】
本態様において、装置筐体20の上方に配置される排出トレイ26については、例えば図11に示すように、増設前の装置筐体20の上方に配置されていた排出トレイ26を一旦取り外し、装置筐体20上部に上部供給ユニット140を配設すると共に、この上部供給ユニット140の上部に排出トレイ26をセットするようにしてもよい。また、例えば図12に示すように、上部供給ユニット140に脚部141を具備させ、増設前の装置筐体20の上方に上部供給ユニット140を脚部141を介して配設し、上部供給ユニット140と装置筐体20との間に凹所142確保し、この凹所142内に装置筐体20の上方に配置されていた排出トレイ26を配置するようにしてもよい。
尚、本態様では、下部供給トレイ23の全部をオプションユニットとしての下部供給ユニット130に格納するようにしているが、下部供給トレイ23の一部を標準装備とし、他をオプションユニットとして構成してもよいし、また、下部供給トレイ23全てを標準装備とし、上部供給トレイ22の全部若しく一部が格納された上部供給ユニット140をオプションユニットとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は定着装置の配設可能位置を示す説明図である。
【図2】比較モデルに係る画像形成装置を示す説明図である。
【図3】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図4】実施の形態1で用いられる画像形成ユニットの詳細を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられる定着装置の詳細を示す説明図である。
【図6】実施の形態1に係る画像形成装置の作用を模式的に示す説明図である。
【図7】(a)(b)はインスタントオン型の定着装置例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1に係る画像形成装置の変形形態を示す説明図である。
【図9】実施の形態2に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図10】実施の形態3に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図11】実施の形態3に係る画像形成装置の変形形態を示す説明図である。
【図12】実施の形態3に係る画像形成装置の別の変形形態を示す説明図である。
【図13】従来例の画像形成装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…作像エンジン,2…上部供給トレイ,3(3a,3b)…下部供給トレイ,4…搬送経路,5…定着装置,5a…熱定着部,6…画像形成装置筐体,6a,6b…筐体側壁,6c…筐体中央,7(7a〜7d)…像形成担持体,8…中間転写体,G…重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジンと、
この作像エンジンの上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイと、
前記作像エンジンの下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイと、
前記作像エンジンと上部供給トレイとの間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体の側壁に比べて中央寄りに位置する熱定着部を有し且つ作像エンジンの転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、作像エンジンの直上領域内に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、少なくとも熱定着部が上部供給トレイの直下領域に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、前記筐体の中央位置より作像エンジンの転写部位寄りに配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイからの記録材の送出方向と、定着装置からの記録材の排出方向とが反対であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイ及び下部供給トレイからの記録材の搬送経路が上部供給トレイと作像エンジンとの間を横切るように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ及び下部供給トレイの記録材供給方向と反対側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイの上方若しくは複数の上部供給トレイの間に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側搬送経路は、作像エンジンの転写部位の上流側へ記録材が反転した状態で戻される反転搬送経路を有し、この反転搬送経路の少なくとも一部が上部供給トレイと作像エンジンとの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイは使用頻度の高い記録材を収容し、下部供給トレイは使用頻度の低い記録材を収容することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイ又は下部供給トレイはオプションにて追加可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1記載の画像形成装置において、
作像エンジンは、トナー像を形成担持する一若しくは複数の像形成担持体と、この像形成担持体上のトナー像を記録材へ転写する前の中間段階で一時的に転写保持する中間転写体とを有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
像形成担持体は中間転写体を挟んで定着装置の反対側に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12記載の画像形成装置において、
中間転写体はベルト部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項14記載の画像形成装置において、
ベルト部材からなる中間転写体は、上部供給トレイからの記録材送出側に二次転写部を具備し、この二次転写部と定着装置の熱定着部とを略水平に配置すべく、定着装置から離間して張架されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15記載の画像形成装置において、
ベルト部材からなる中間転写体は、上部供給トレイからの記録材送出側が高くなるように画像形成装置筐体に対して傾斜配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を形成し且つ転写部位にて記録材にトナー像を転写する作像エンジンと、
この作像エンジンの上方に配設されて記録材が供給可能に収容される上部供給トレイと、
前記作像エンジンの下方に配設されて記録材が供給可能に収容される下部供給トレイと、
前記作像エンジンと上部供給トレイとの間に配設され、少なくとも画像形成装置筐体の側壁に比べて中央寄りに位置する熱定着部を有し且つ作像エンジンの転写部位にて記録材に転写されたトナー像を熱定着する定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、作像エンジンの直上領域内に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、少なくとも熱定着部が上部供給トレイの直下領域に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置は、前記筐体の中央位置より作像エンジンの転写部位寄りに配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイからの記録材の送出方向と、定着装置からの記録材の排出方向とが反対であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイ及び下部供給トレイからの記録材の搬送経路が上部供給トレイと作像エンジンとの間を横切るように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイ及び下部供給トレイの記録材供給方向と反対側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側に記録材の排出トレイを有し、この排出トレイが上部供給トレイの上方若しくは複数の上部供給トレイの間に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1記載の画像形成装置において、
定着装置の下流側搬送経路は、作像エンジンの転写部位の上流側へ記録材が反転した状態で戻される反転搬送経路を有し、この反転搬送経路の少なくとも一部が上部供給トレイと作像エンジンとの間に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイは使用頻度の高い記録材を収容し、下部供給トレイは使用頻度の低い記録材を収容することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1記載の画像形成装置において、
上部供給トレイ又は下部供給トレイはオプションにて追加可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1記載の画像形成装置において、
作像エンジンは、トナー像を形成担持する一若しくは複数の像形成担持体と、この像形成担持体上のトナー像を記録材へ転写する前の中間段階で一時的に転写保持する中間転写体とを有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
像形成担持体は中間転写体を挟んで定着装置の反対側に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12記載の画像形成装置において、
中間転写体はベルト部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項14記載の画像形成装置において、
ベルト部材からなる中間転写体は、上部供給トレイからの記録材送出側に二次転写部を具備し、この二次転写部と定着装置の熱定着部とを略水平に配置すべく、定着装置から離間して張架されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15記載の画像形成装置において、
ベルト部材からなる中間転写体は、上部供給トレイからの記録材送出側が高くなるように画像形成装置筐体に対して傾斜配置されることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−85088(P2006−85088A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272480(P2004−272480)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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