説明

画像形成装置

【課題】複数の画像形成部を略水平方向に一列に配置した場合であっても、用紙搬送路の延長等の不具合を生じさせることなく、小型化が図られた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、レジストローラ5の箇所の上方に、第1の中間転写体である一次転写ベルト6を備える。一次転写ベルト6の上面には、異なる色のトナー像を形成して、一次転写ベルト6に一次転写する4台の画像形成部7をベルト回転方向に沿って一列にして備える。一次転写ベルト6の下方であって用紙搬送路との間には、一次転写ベルト6表面のトナー像が二次転写される第2の中間転写体である二次転写ベルト9を備える。二次転写ベルト9が用紙搬送路に懸かる箇所には、三次転写部11を備える。これにより、一次転写ベルト6を用紙搬送路からやや離れた箇所に配置することができ、定着部13と三次転写部11とを接近させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される画像形成装置に関する。特に、複数の異なる色のトナーを用いて印刷するカラー印刷用の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される画像形成装置のうち、カラー印刷用の画像形成装置では、複数の異なる色のトナー像を用紙に転写する方法として、1ドラム方式、またはタンデム方式が広く知られている。
【0003】
1ドラム方式とは、単一の感光体ドラムに対して、各色毎に複数回感光体ドラムを回転させて順次トナー像を現像する方式である。この方式では、感光体ドラムを、各色毎に複数回回転させる必要があるので、例えば4色のトナー像を形成する場合、モノクロ印刷の4倍の時間を必要とするという問題がある。
【0004】
これに対して、タンデム方式とは、複数の画像形成部を、中間転写体の回転方向に沿って一列にして配置し、順次トナー像を転写する方式である。この方式では、中間転写体を1回転させる間に、複数色のトナー像が重ね合わされた多重フルカラートナー像が完成するので、上記1ドラム方式の場合のように印刷に多くの時間を必要とすることはない。このようなタンデム方式の画像形成装置の一例を、特許文献1に見ることができる。
【特許文献1】特開2002−357938号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置のようなタンデム方式は、複数の画像形成部を、略水平方向に中間転写ベルト(中間転写体)の回転方向に沿って一列にして配置するので、例えば定着部といった他の構成要素と中間転写体との干渉を回避した配置構成を考える必要がある。その結果、上記構成のタンデム方式では、画像形成装置の大型化、特に横方向の大型化を招き、画像形成装置の設置面積の増大といった問題が生じることが懸念されている。
【0006】
また、特許文献1に記載されたタンデム方式の画像形成装置では、中間転写体との干渉を回避するために、定着部が、用紙にトナー像を転写する二次転写部に対して非常に離れた箇所に設けられている。これにより、用紙搬送路が長くなるので、印刷速度の低下を招く恐れがある。また、トナー像が用紙に転写されてから定着に至るまでの時間が延びることにより、その間に用紙表面のトナーが飛散し、画像品質が低下してしまうという問題が発生する可能性もある。
【0007】
さらに、二次転写部において、中間転写体の曲率が比較的小さく、用紙搬送路の曲率に非常に近い構成となっている。これにより、二次転写時、中間転写体に用紙が付着し易く、且つ分離し難い状態に陥る可能性がある。したがって、上記のような意図しない用紙搬送路の延長や用紙へのトナー像転写性能の低下といった不具合が生じないようにして、画像形成装置の小型化に向けた構成を提案することが望まれる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、複数の異なる色のトナーを用いて印刷するカラー印刷用の画像形成装置において、複数の画像形成部を略水平方向に一列にして配置した場合であっても、意図しない用紙搬送路の延長等といった不具合を生じさせることなく、小型化が図られ、好適な画像品質を保持しつつ高速印刷が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成部と、これらの画像形成部の少なくとも1台からトナー像が一次転写される第1の中間転写体と、この第1の中間転写体からトナー像が二次転写される第2の中間転写体と、この第2の中間転写体表面のトナー像を用紙に転写させる三次転写部とを備えることとした。
【0010】
また、上記構成の画像形成装置において、前記第2の中間転写体は、前記三次転写部の箇所において、その曲率が可変であることとした。
【0011】
また、上記構成の画像形成装置において、前記第1の中間転写体表面と、前記第2の中間転写体表面とに、前記複数の画像形成部を分配して設けることとした。
【0012】
また、上記構成の画像形成装置において、カラートナーを用いる複数の前記画像形成部を、前記第1の中間転写体表面に一列にして設け、ブラックトナーを用いる画像形成部を、前記第2の中間転写体表面に設けることとした。
【0013】
また、上記構成の画像形成装置において、前記第2の中間転写体は、感光体ドラムであることとした。
【0014】
また、上記構成の画像形成装置において、前記感光体ドラムは、ブラックトナー像を形成することとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、画像形成装置において、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成部と、これらの画像形成部の少なくとも1台からトナー像が一次転写される第1の中間転写体と、この第1の中間転写体からトナー像が二次転写される第2の中間転写体と、この第2の中間転写体表面のトナー像を用紙に転写させる三次転写部とを備えることとしたので、第1の中間転写体に対して、複数の画像形成部を略水平方向に一列にして配置した構成であっても、その第1の中間転写体を用紙搬送路からやや離れた箇所に配置することができる。これにより、定着部とトナー像を用紙に転写させる三次転写部とを接近させて設けることができ、その間の用紙搬送路も短くすることが可能である。したがって、印刷速度の低下や、トナーの飛散といった不具合の発生を防止することができる。このようにして、小型化が図られ、好適な画像品質を保持しつつ高速印刷が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0016】
また、第2の中間転写体は、三次転写部の箇所において、その曲率が可変であることとしたので、曲率を比較的大きく設定することが可能である。これにより、用紙へのトナー像転写時、第2の中間転写体に用紙が付着し難く、且つ分離し易くすることができる。したがって、用紙に対するトナー像転写性能を高めることが可能であり、画像形成装置の小型化に加えて、画像品質の更なる向上を図ることができる。
【0017】
また、第1の中間転写体表面と、第2の中間転写体表面とに、複数の画像形成部を分配して設けることとしたので、複数の画像形成部を、略水平方向に一列にして配置する場合と比較して、さらに狭いスペースの中に収めることが可能である。したがって、より一層小型化が図られた画像形成装置を提供することができる。
【0018】
また、カラートナーを用いる複数の画像形成部を、第1の中間転写体表面に一列にして設け、ブラックトナーを用いる画像形成部を、第2の中間転写体表面に設けることとしたので、画像形成装置全体の大型化を抑制しつつ、ブラックトナーの画像形成部のみ大型化することが可能である。これにより、感光体ドラムをより大径化したり、使用するトナーの種類を変更して現像装置を大きくしたりすることもできる。感光体ドラムを大径化することにより、高速印刷が可能になる。現像装置を変更することにより、画像品質の向上を図ることができる。また、モノクロ印刷時のファーストコピータイムを短縮することが可能であり、画像形成装置をストレスなく使用することができる。さらに、カラートナーの画像形成部を一列にすることにより、転写ずれを防止することができる。したがって、画像形成装置全体の小型化に加えて、より一層画像品質の向上や印刷の高速化、使い勝手の向上を図ることが可能となる。
【0019】
また、第2の中間転写体は、感光体ドラムであることとしたので、例えば第2の中間転写体を無端状の二次転写ベルトとして構成し、この二次転写ベルト表面に別途画像形成部を設ける構成と比較して、二次転写ベルトの分だけ部品点数の削減、占有スペースの低減を図ることができる。さらに、三次転写部において、この感光体ドラムから直接用紙にトナー像を転写できるので、印刷の大幅な高速化が可能である。したがって、画像形成装置の小型化、高速印刷性能、低コスト化をさらに高めることができる。
【0020】
また、感光体ドラムは、ブラックトナー像を形成することとしたので、画像形成装置は、単一の感光体ドラムを備えた通常のモノクロ印刷用のタイプに、カラートナーを用いる複数の画像形成部が配置された中間転写体を併合したような構成になる。これにより、モノクロ印刷時のファーストコピータイムの短縮、印刷の高速化をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基づき説明する。
【0022】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。この画像形成装置は、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷タイプのものである。なお、図中の実線矢印は用紙の搬送経路、及び搬送方向を示す。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の下部には、用紙収容部であるカセット式給紙部20が配置されている。カセット式給紙部20には、通常の汎用用紙カセット21、及び大容量用紙カセット22が備えられている。大容量用紙カセット22は、同容量のものが水平方向に同じ高さで2個並べられ、上流側大容量用紙カセット22A、及び下流側大容量用紙カセット22Bとされている。これらの用紙カセットには、印刷前のカットペーパー等の用紙Pが積載して収容され、ここから1枚ずつ分離して用紙Pが送り出される。
【0024】
本体2の右側面上部の外部には、手差し給紙部3が備えられている。手差し給紙部3には、カセット式給紙部20の用紙カセットに収容していないサイズの用紙Pや、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
【0025】
画像形成装置1は、その内部に垂直搬送部4を備えている。垂直搬送部4は、カセット式給紙部20に関して言えば、その給紙方向である右方に位置し、手差し給紙部3に関して言えば、その左方に位置する。カセット式給紙部20から送り出された用紙Pは垂直搬送部4により本体2の側面に沿って垂直上方に、手差し給紙部3から送り出された用紙Pは略水平左方に搬送される。2個の大容量用紙カセット22のうち、左側の上流側大容量用紙カセット22Aから送り出された用紙Pは、右側の下流側大容量用紙カセット22Bのすぐ上方を略水平に右方に送られた後、本体2の側面に沿って垂直上方に搬送される。
【0026】
垂直搬送部4の用紙搬送方向下流端であって、三次転写部11のすぐ上流側には、レジストローラ5が備えられている。レジストローラ5は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、二次転写ベルト9表面に形成されるトナー像と同期をとって、三次転写部11に向けて用紙Pを送り出す。
【0027】
レジストローラ5の箇所の上方には、無端ベルトの形で用いた第1の中間転写体である一次転写ベルト6が備えられている。一次転写ベルト6は、複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において反時計方向に回転する。
【0028】
一次転写ベルト6の周囲には、計4台の画像形成部7が備えられている。4台の画像形成部7は、一次転写ベルト6の回転方向に沿って、回転方向上流側から下流側に向けて一列に並べて配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部7とは、上流側から順に、シアン用の画像形成部7C、マゼンタ用の画像形成部7M、イエロー用の画像形成部7Y、及びブラック用の画像形成部7Bである。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「C」「M」「Y」「B」の識別記号は省略するものとする。
【0029】
各画像形成部7では、図示しない露光装置によって照射されたレーザ光により原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。各画像形成部7が一次転写ベルト6と接触する箇所には一次転写部8(図2参照)が設けられ、この一次転写部8において、画像形成部7で形成されたトナー像が一次転写ベルト6表面に一次転写される。そして、一次転写ベルト6の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部7のトナー像が一次転写ベルト6に順次転写されることにより、一次転写ベルト6表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされた多重フルカラートナー像が形成される。
【0030】
一次転写ベルト6の下方であって、用紙搬送路との間には、一次転写ベルト6と同様の、無端ベルトの形で用いた第2の中間転写体である二次転写ベルト9が備えられている。二次転写ベルト9は、複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において時計方向に回転する。二次転写ベルト9は、一次転写ベルト6に接触しながら回転し、この接触箇所において一次転写ベルト6表面のカラートナー像が二次転写される。
【0031】
二次転写後、一次転写ベルト6表面に残留するトナーは、シアン用の画像形成部7Cに対してベルト回転方向上流側に設けられたベルト用クリーニング装置10によってクリーニング、回収される。
【0032】
二次転写ベルト9が用紙搬送路に懸かる箇所には、三次転写部11が配置されている。二次転写ベルト9表面のカラートナー像は、レジストローラ5によって同期をとって送られてきた用紙Pに、三次転写部11において三次転写される。
【0033】
三次転写後、二次転写ベルト9表面に残留するトナーは、三次転写部11に対してベルト回転方向下流側に設けられたベルト用クリーニング装置12によってクリーニング、回収される。
【0034】
三次転写部11の用紙搬送方向下流側には、定着部13が備えられている。三次転写部11にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部13へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0035】
定着部13の下流側であって、本体2の左側面の近傍には、分岐部14が備えられている。定着部13から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合には、分岐部14から機外の用紙排出部である用紙受けトレイ15に排出される。
【0036】
レジストローラ5の箇所から分岐部14にかけての部分の下方であって、カセット式給紙部20の上方には、両面印刷装置である両面印刷部16が備えられている。両面印刷を行う場合には、第一面の印刷が終了して定着部13から排出された用紙Pが、分岐部14を通って両面印刷部16へと送られる。両面印刷部16へ送られた用紙Pは、続いて第二面の印刷のために搬送方向が切り替えられ、再度垂直搬送部4、レジストローラ5を介して三次転写部11へと送られる。
【0037】
続いて、画像形成装置1の一次転写ベルト6、画像形成部7、及び二次転写ベルト9周辺の詳細な構成について、図2を用いて説明する。図2は、一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。図中の実線矢印は用紙の搬送経路、及び搬送方向を、破線矢印は転写ベルトの回転方向を示す。
【0038】
図2に示すように、一次転写ベルト6は、複数のローラ6a〜6cに巻き掛けられて支持されている。そして、一次転写ベルト6は、各ローラの軸線方向と直角をなす断面形状が略三角形状になるようにして、各ローラに巻き掛けられている。一次転写ベルト6は、その上面が略水平になるようにして設けられ、用紙搬送方向下流部、すなわち図2において左側の箇所が定着部13の上方に位置するように配置されている。一次転写ベルト6は、図示しない駆動装置により図2において反時計方向に回転する。
【0039】
画像形成部7は、略水平になった一次転写ベルト6の上面に、ベルト回転方向上流側から下流側に向けて順に、シアン用画像形成部7C、マゼンタ用画像形成部7M、イエロー用画像形成部7Y、及びブラック用画像形成部7Bが設けられている。各画像形成部7には、感光体ドラム7aを中心として、その他の画像形成に必要な構成要素が配置されている。
【0040】
各画像形成部7が一次転写ベルト6と接触する箇所には、一次転写ローラ8aを備えた一次転写部8が設けられている。一次転写ローラ8aは、駆動装置を有することなく、一次転写ベルト6に接触することによって、一次転写ベルト6の回転に従って回転する。そして、一次転写ローラ8aには、必要に応じて、感光体ドラム7aやトナーの帯電電荷とは逆極性であるマイナスの一次転写バイアスが印加される。これにより、トナーが感光体ドラム7aから一次転写ローラ8aに向かって移動しようとして、トナー像が一次転写ベルト6に一次転写される。
【0041】
一次転写ベルト6が巻き掛けられている各ローラのうち、ローラ6cの箇所には、一次転写ベルト6に下方から二次転写ベルト9が接触して設けられている。二次転写ベルト9は、複数のローラ9a、9bの軸線方向と直角をなす断面形状がオーバル状になるようにして、各ローラに巻き掛けられている。二次転写ベルト9は、上下方向に略垂直なるようにして設けられ、図示しない駆動装置により図2において時計方向に回転する。
【0042】
二次転写ベルト9が一次転写ベルト6と接触するローラ9aの箇所は、二次転写部として作用する。このローラ9aは、二次転写ローラとして機能し、必要に応じて、トナーの帯電電荷とは逆極性であるマイナスの二次転写バイアスが印加される。これにより、トナーが一次転写ベルト6から二次転写ローラであるローラ9aに向かって移動しようとして、トナー像が二次転写ベルト9に二次転写される。
【0043】
また、二次転写ベルト9は、上方から、三次転写部11の三次転写ローラ11aに接触している。三次転写ローラ11aには、レジストローラ5によって送られてきた用紙Pと同期をとり、トナーの帯電電荷とは逆極性であるマイナスの三次転写バイアスが印加される。これにより、トナーが二次転写ベルト9から三次転写ローラ11aに向かって移動しようとして、トナー像が用紙Pに三次転写される。
【0044】
なお、二次転写ベルト9は、ベルトが巻き掛けられたローラ9bの直径を変えることにより、三次転写部11の箇所において、その曲率を変更することが可能である。
【0045】
そして、前述のように、一次転写ベルト6表面に残留するトナーは、二次転写後ベルト用クリーニング装置10により、二次転写ベルト9表面に残留するトナーは、三次転写後ベルト用クリーニング装置12によりクリーニング、回収される。
【0046】
上記のようにして、画像形成装置1は、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成部7と、これらの画像形成部7からトナー像が一次転写される第1の中間転写体である一次転写ベルト6と、この一次転写ベルト6からトナー像が二次転写される第2の中間転写体である二次転写ベルト9と、この二次転写ベルト9表面のトナー像を用紙Pに転写させる三次転写部11とを備えるので、一次転写ベルト6に対して、複数の画像形成部7を略水平方向に一列にして配置した構成であっても、その一次転写ベルト6を用紙搬送路からやや離れた箇所に配置することができる。これにより、定着部13とトナー像を用紙Pに転写させる三次転写部11とを接近させて設けることができ、その間の用紙搬送路も短くすることが可能である。したがって、印刷速度の低下や、トナーの飛散といった不具合の発生を防止することができる。このようにして、小型化が図られ、好適な画像品質を保持しつつ高速印刷が可能な画像形成装置1を提供することができる。
【0047】
また、二次転写ベルト9は、三次転写部11の箇所において、その曲率が可変であるので、曲率を比較的大きく設定することが可能である。これにより、用紙Pへのトナー像転写時、二次転写ベルト9に用紙Pが付着し難く、且つ分離し易くすることができる。したがって、用紙Pに対するトナー像転写性能を高めることが可能であり、画像形成装置1の小型化に加えて、画像品質の更なる向上を図ることができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置について、その一次転写ベルト、画像形成部、及び二次転写ベルト周辺の詳細な構成を、図3を用いて説明する。図3は、一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は、図1、及び図2を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、共通する箇所の図面の描画、及び説明は省略するものとする。
【0049】
第2の実施形態において、複数の画像形成部7は、図3に示すように、シアン用画像形成部7C、マゼンタ用画像形成部7M、及びイエロー用画像形成部7Yのカラートナーを用いる3台の画像形成部7と、ブラックトナーを用いるブラック用画像形成部7Bとが、一次転写ベルト6表面と、二次転写ベルト9表面とに、分配されて設けられている。
【0050】
すなわち、カラートナーを用いる3台の画像形成部7は、一次転写ベルト6の表面であって、略水平になったその上面に一列にして設けられている。一方、ブラック用画像形成部7Bは、二次転写ベルト9の表面であって、三次転写部11に対してベルト回転方向上流側に設けられている。
【0051】
このようにして、一次転写ベルト6表面と、二次転写ベルト9表面とに、複数の画像形成部7を分配して設けたので、複数の画像形成部7を、略水平方向に一列にして配置する場合と比較して、さらに狭いスペースの中に収めることが可能である。したがって、より一層小型化が図られた画像形成装置1を提供することができる。
【0052】
また、カラートナーを用いる3台の画像形成部7を、一次転写ベルト6表面に一列にして設け、ブラックトナーを用いる画像形成部7Bを、二次転写ベルト9表面に設けたので、画像形成装置1全体の大型化を抑制しつつ、ブラックトナーの画像形成部7Bのみ大型化することが可能である。これにより、感光体ドラム7aをより大径化したり、使用するトナーの種類を変更して現像装置を大きくしたりすることもできる。感光体ドラム7aを大径化することにより、高速印刷が可能になる。現像装置を変更することにより、画像品質の向上を図ることができる。また、モノクロ印刷時のファーストコピータイムを短縮することが可能であり、画像形成装置1をストレスなく使用することができる。さらに、カラートナーの画像形成部7を一列にすることにより、転写ずれを防止することができる。したがって、画像形成装置全体1の小型化に加えて、より一層画像品質の向上や印刷の高速化、使い勝手の向上を図ることが可能となる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置について、その一次転写ベルト、画像形成部、及び二次転写ベルト周辺の詳細な構成を、図4を用いて説明する。図4は、一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は、前記第1、及び第2の実施形態と同じであるので、これらの実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、共通する箇所の図面の描画、及び説明は省略するものとする。
【0054】
第3の実施形態において、二次転写体は、図4に示すように、ブラックトナーを用いるブラック用画像形成部7Bの感光体ドラム7aで構成されている。この感光体ドラム7aは、図4において時計方向に回転する。
【0055】
ブラック用画像形成部7Bのその他の構成要素は、三次転写部11に対してドラム回転方向下流側に、回転方向に沿って順に、クリーニング装置7b、帯電装置7c、及び現像装置7dが設けられている。このドラム回転方向に沿って、現像装置7dと、三次転写部11との間には、一次転写ベルト6表面のトナー像をブラック用画像形成部7Bの感光体ドラム7aに二次転写するための二次転写部が設けられ、一次転写ベルト6が感光体ドラム7aに接触している。なお、この二次転写部の箇所に設けられたローラ6cは、図示しない移動手段により必要に応じて、ブラック用画像形成部7Bの感光体ドラム7aから一次転写ベルト6を離間させるように移動することができる。
【0056】
二次転写時、ローラ6cには、トナーの帯電電荷と同極性のプラスであって、トナーやブラック用画像形成部7Bの感光体ドラム7aの帯電電位よりも高い二次転写バイアスが印加される。これにより、一次転写ベルト6表面のトナーは、ローラ6cに反発するようにしてブラック用画像形成部7Bの感光体ドラム7aに向かって移動し、その表面にトナー像が二次転写される。
【0057】
このようにして、第2の中間転写体は、感光体ドラム7aであるので、例えば前記第2の実施形態のように、第2の中間転写体を無端状の二次転写ベルト9として構成し、この二次転写ベルト9表面に別途画像形成部7を設ける構成と比較して、二次転写ベルト9の分だけ部品点数の削減、占有スペースの低減を図ることができる。さらに、三次転写部11において、この感光体ドラム7aから直接用紙Pにトナー像を転写できるので、印刷の大幅な高速化が可能である。したがって、画像形成装置1の小型化、高速印刷性能、低コスト化をさらに高めることができる。
【0058】
また、感光体ドラム7aは、ブラックトナー像を形成するので、画像形成装置1は、単一の感光体ドラム7aを備えた通常のモノクロ印刷用のタイプに、カラートナーを用いる複数の画像形成部7が配置された中間転写体である一次転写ベルト6を併合したような構成になる。これにより、モノクロ印刷時のファーストコピータイムの短縮、印刷の高速化をさらに向上させることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0060】
例えば、本発明の実施形態において、一次転写ベルト6、及び二次転写ベルト9の形状は、略三角形状、及びオーバル状であることとしたが、これらに限定されるわけではなく、巻き掛けたローラの本数を変更する等して他の形状に構成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、複数の画像形成部で異なる色のトナーを用いて形成するトナー像を、中間転写体に順次転写する形で印刷動作を実行するカラー印刷用の画像形成装置において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の一次転写ベルト、画像形成部及び二次転写ベルト周辺を示す模型的垂直断面拡大正面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 本体
5 レジストローラ
6 一次転写ベルト(第1の中間転写体)
6a〜6c ローラ
7 画像形成部
7C シアン用画像形成部
7M マゼンタ用画像形成部
7Y イエロー用画像形成部
7B ブラック用画像形成部
7a 感光体ドラム
8 一次転写部
9 二次転写ベルト(第2の中間転写体)
9a、9b ローラ
11 三次転写部
13 定着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成部と、これらの画像形成部の少なくとも1台からトナー像が一次転写される第1の中間転写体と、この第1の中間転写体からトナー像が二次転写される第2の中間転写体と、この第2の中間転写体表面のトナー像を用紙に転写させる三次転写部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の中間転写体は、前記三次転写部の箇所において、その曲率が可変であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の中間転写体表面と、前記第2の中間転写体表面とに、前記複数の画像形成部を分配して設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
カラートナーを用いる複数の前記画像形成部を、前記第1の中間転写体表面に一列にして設け、ブラックトナーを用いる画像形成部を、前記第2の中間転写体表面に設けたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の中間転写体は、感光体ドラムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体ドラムは、ブラックトナー像を形成することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−240893(P2007−240893A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63499(P2006−63499)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】