説明

画像形成装置

【課題】 電子写真方式を利用した画像形成装置において、像担持体の表面の摩耗や傷の発生を少なくし、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどが像担持体の表面に固着してフィルミングされるのを適切に防止する。
【解決手段】 回転駆動される像担持体1の表面を帯電装置2により帯電させ、この像担持体の表面に潜像形成装置3により静電潜像を形成し、現像装置4により静電潜像の部分にトナーtを供給してトナー像を形成し、このトナー像を転写装置5により転写媒体6に転写させる画像形成装置において、転写装置よりも像担持体の移動方向下流側で帯電装置との間における像担持体の表面に、発泡弾性体11を用いた非回転式の研磨部材10を接触させ、この研磨部材を像担持体の移動方向と交差する方向に往復移動させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に係り、特に、回転駆動される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像の部分にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写媒体に転写させる転写装置とを備えた画像形成装置において、像担持体の表面の摩耗や傷の発生を少なくし、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどがこの像担持体の表面に固着してフィルミングされるのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、一般に図1に示すように、回転する像担持体1の表面を帯電装置2によって帯電させた後、この像担持体1の表面にレーザ等を用いた潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0003】
そして、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4からトナーtを供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応するトナー像を形成し、このように像担持体10の表面に形成されたトナー像を転写装置5により転写媒体である記録紙6に転写させる一方、転写後において上記の像担持体1の表面に残留しているトナーtをクリーニング装置7によって像担持体1の表面から除去し、その後、前記のように帯電装置2によって像担持体1の表面を帯電させ、上記の操作を繰り返して画像形成を行うようにしている。
【0004】
しかし、上記のように像担持体1の表面に残留しているトナーtをクリーニング装置7によって除去した場合、除去されたトナーtを一般に廃棄するようにしていたため、トナーtが無駄に消費されると共に、廃棄したトナーtの処理が問題になっている。
【0005】
このため、最近においては、上記のクリーニング装置をなくし、上記の現像装置において像担持体に形成された静電潜像の部分にトナーを供給すると共に、この現像装置においてトナー像が形成されていない像担持体の部分に残留しているトナーを回収させるようにしたクリーナレスの画像形成装置が開発されている。
【0006】
しかし、このようなクリーナレスの画像形成装置において、転写後における像担持体の表面に多くのトナーが残留すると、像担持体の表面に残留しているトナーによって帯電不良の部分が生じたり、潜像形成装置による静電潜像が適切に形成されなくなったりし、形成される画像にムラが生じたり、次の画像にメモリーとして現れたりする等の問題があった。
【0007】
このため、近年においては、転写後における像担持体の表面に、発泡体ローラや回転ブラシ等の分散部材を接触させ、この分散部材により、転写後の像担持体の表面に残留するトナーを分散させ、このように分散させたトナーを現像装置において回収させるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0008】
しかし、上記のように発泡体ローラや回転ブラシ等の分散部材により転写後の像担持体の表面に残留するトナーを分散させて、現像装置において回収させるようにした場合においても、転写後のトナーやこのトナーの外添剤や帯電時における放電生成物などを像担持体の表面から適切に除去することができず、これらが像担持体の表面に固着してフィルミングされ、形成される画像の画質が低下するなどの問題があった。
【0009】
また、従来においては、トナーに研磨粒子を添加させ、この研磨粒子により像担持体の表面を研磨させるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
しかし、このように研磨粒子により像担持体の表面を研磨させるものにおいては、この研磨粒子をトナーと一緒にクリーニング装置によって回収させるようになっており、従来のものと同様の問題があり、またこの研磨粒子により像担持体の表面が大きく削られて、像担持体の表面粗さが大きくなり、形成される画像に悪影響を及ぼすという問題があった。
【特許文献1】特開平7−114311号公報
【特許文献2】特開2003−84518号公報
【特許文献3】特開平5−181306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のように回転駆動される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像の部分にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写媒体に転写させる転写装置とを備えた画像形成装置において、像担持体の表面の摩耗や傷の発生を少なくし、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどがこの像担持体の表面に固着してフィルミングされるのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、回転駆動される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像の部分にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写媒体に転写させる転写装置とを備えた画像形成装置において、上記の転写装置よりも像担持体の移動方向下流側で、この転写装置と上記の帯電装置との間の位置における像担持体の表面に、発泡弾性体を用いた非回転式の研磨部材を接触させて、この研磨部材を上記の像担持体の移動方向と交差する方向に往復移動させるようにした。
【0013】
ここで、上記のように研磨部材を像担持体の表面に接触させるにあたり、その接触圧が弱いと、像担持体の表面粗さが大きくなる一方、接触圧が強くなりすぎると、像担持体の表面の削れが大きくなるため、その接触圧を0.02MPa〜0.05MPaの範囲にすることが好ましい。
【0014】
また、上記の研磨部材における発泡弾性体の表面に導電性フィルムなどを用いたフィルムシートを設け、このフィルムシートを上記の像担持体の表面に接触させることもできる。また、このように発泡弾性体の表面に設けたフィルムシートを像担持体の表面に所定の接触圧で接触させた場合に、このフィルムシートが発泡弾性体の表面からずれて、均一な接触が行えなくなるのを防止するため、このフィルムシートを発泡弾性体の表面に接着させることが好ましい。
【0015】
そして、上記の研磨部材を像担持体の表面に接触させて、像担持体の表面を研磨させる場合において、この像担持体の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以下になると共に、像担持体の摩耗量が0.1〜3.0μm/105回転の範囲になるようにすることが好ましい。
【0016】
また、上記の研磨部材に対して、転写後の像担持体の表面に残留するトナーの荷電を制御するバイアス電圧を作用させることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における画像形成装置においては、上記のように転写装置よりも像担持体の移動方向下流側で、この転写装置と帯電装置との間の位置における像担持体の表面に発泡弾性体を用いた非回転式の研磨部材を接触させ、この研磨部材を像担持体の移動方向と交差する方向に往復移動させるようにしたため、この研磨部材によって像担持体の表面が適切に研磨されるようになり、像担持体の表面の摩耗や傷の発生を少なくしながら、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどがこの像担持体の表面に固着してフィルミングされるのが適切に防止され、良好な画質の画像が安定して得られるようになる。
【0018】
ここで、上記のように研磨部材を像担持体の表面に接触させるにあたり、その接触圧を0.02MPa〜0.05MPaの範囲にすると、像担持体の表面粗さが大きくなったり、像担持体の表面の削れが大きくなったりするのが防止されると共に、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどが固着してフィルミングされるのも適切に防止されるようになる。
【0019】
特に、この研磨部材によって研磨された像担持体の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以下になるようにすると、像担持体の表面粗さが大きくなって形成される画像に悪影響を及ぼすということが防止される。また、この研磨部材による像担持体の摩耗量が0.1〜3.0μm/105回転の範囲になるようにすると、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどが適切に除去されてフィルミングされるのが防止されると共に、像担持体の表面の削れが大きくなって像担持体の寿命が短くなるのも防止される。
【0020】
また、上記の研磨部材にバイアス電圧を印加させて、像担持体の表面に残留するトナーの荷電を制御させるようにすると、転写後の像担持体の表面に残留するトナーが現像装置に適切に回収されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、この発明の実施形態に係る画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態における画像形成装置においても、図2に示すように、回転する像担持体1の表面を帯電装置2によって帯電させた後、この像担持体1の表面にレーザ等を用いた潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0023】
そして、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4からトナーtを供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応するトナー像を形成し、このように像担持体1の表面に形成されたトナー像を、転写装置5により転写媒体である記録紙6に転写させるようにしている。
【0024】
そして、この実施形態における画像形成装置においては、図3に示すように発泡弾性体11を基台12に取り付けた研磨部材10を用い、図2に示すように、トナー像を記録紙6に転写させた後における像担持体1の表面に、この研磨部材10における発泡弾性体11を接触させ、図4に示すように、この研磨部材10を像担持体1の移動方向と交差する方向である像担持体1の軸方向に沿って往復移動させ、この研磨部材10により像担持体1の表面を研磨させて、像担持体1の表面にトナーtなどが固着するのを防止すると共に、この研磨部材10にバイアス電源20からバイアス電圧を作用させ、像担持体1の表面に残留するトナーtの荷電を適切に制御するようにしている。
【0025】
ここで、上記の研磨部材10を像担持体1の軸方向に沿って往復移動させるにあたっては、様々な手段を用いることができ、例えば、図5に示すように、上記の研磨部材10の一端側に設けた圧縮バネ31により、この研磨部材10の他端側に突出するように設けたガイド部材32をカム部材33に圧接させるように付勢し、この状態で、上記のカム部材33を駆動モータ34によりギア35を介して回転させ、このカム部材33の回転に伴って上記の研磨部材10を往復移動させるようにすることができる。また、図6に示すように、上記の研磨部材10の一端側に設けた引っ張りバネ36によって、研磨部材10をその一端側に引き付けるように付勢すると共に、上記の研磨部材10の他端側から下方に延出させたガイド部材32の一端を、回転部材37の外周面に周方向に対して傾斜した形成された案内溝37a内に嵌め込み、この状態で、この回転部材37を駆動モータ34により回転させ、上記の案内溝37aに嵌め込んだガイド部材32に伴って上記の研磨部材10を往復移動させるようにすることができる。さらに、図示していないが、シリンダやラック・ピニオンなどにより、上記の研磨部材10を往復移動させるようにすることもできる。なお、上記の駆動モータ34としては、上記の像担持体1を回転させるものと共用させることもできる。
【0026】
その後は、前記のようにこの像担持体1の表面を帯電装置2により帯電させ、この像担持体1の表面に潜像形成装置3により静電潜像を形成した後、現像装置4からこの像担持体1の表面にトナーtを供給して静電潜像に対応するトナー像を形成すると共に、トナー像が形成されていない像担持体1の表面に残留している上記のトナーtをこの現像装置4に回収させるようにしている。この場合、像担持体1の表面に残留しているトナーtは、上記のように研磨部材10によって適切に荷電されているため、このトナーtが現像装置4に適切に回収されるようになる。
【0027】
ここで、上記のように研磨部材10を像担持体1の表面に接触させるにあたっては、前記のようにその接触圧を0.02MPa〜0.05MPaの範囲にすることが好ましく、またこの研磨部材10における発泡弾性体11としては、発泡ポリウレタンなどの柔軟な発泡体を用いることが好ましい。さらに、この発泡弾性体11の体積抵抗が大きくなりすぎると、上記のバイアス電源20によって像担持体1の表面に残留するトナーtを適切に荷電させることが困難になるため、一般にはカーボンなどを分散させて体積抵抗を104〜108Ω程度にしたものを用いることが好ましい。
【0028】
また、上記のように研磨部材10にバイアス電源20からバイアス電圧を作用させて、像担持体1の表面に残留するトナーtの荷電を適切に制御するにあたっては、環境などの使用状況に対応させて、バイアス電源20から研磨部材10に作用させるバイアス電圧を変更させることが好ましい。例えば、上記のトナーtが負帯電性の場合、低温・低湿度の環境下では−300V程度のバイアス電圧を、通常環境下では−500V程度のバイアス電圧を、高温・高湿度の環境下では−700V程度のバイアス電圧を作用させるようにし、また逆極性のトナーtが多い場合には−1000V程度のバイアス電圧を、逆に高荷電のトナーtが多い場合には+500V程度のバイアス電圧を作用させるようにし、さらに画像形成時には−500V程度のバイアス電圧を、画像形成時以外の清掃時には−700V程度のバイアス電圧を作用させるようにするなど、それぞれの条件に対応させて、研磨部材10に作用させるバイアス電圧を適宜変更させるようにする。
【0029】
なお、この実施形態においては、研磨部材10として、上記のように発泡弾性体11を基台12に取り付けて、基台12の長手方向に対して垂直方向の断面形状において像担持体1と接触する部分が凸状の曲線になったものを用いるようにしたが、研磨部材10は上記のようなものに限定されない。例えば、図7(A)に示すように、基台12に取り付けた発泡弾性体11の表面に導電性フィルム13を接着させたものや、同図(B)に示すように、発泡弾性体11の表面に導電性フィルム13を接着させたものや、同図(C)に示すように、発泡弾性体11を収容体14内から突出するように設け、この発泡弾性体11の表面を覆うようにして導電性フィルム13を収容体14に取り付けたものなどを用いることも可能である。
【0030】
そして、上記のように発泡弾性体11の表面に導電性フィルム13を設けた研磨部材10を用いるにあたっては、図8に示すように、発泡弾性体11の表面に設けた導電性フィルム13を像担持体1の表面に所定の接触圧で接触させ、この研磨部材10を上記のように像担持体1の移動方向と交差する方向である像担持体1の軸方向に沿って往復移動させるようにする。
【0031】
ここで、このように発泡弾性体11の表面に設けた導電性フィルム13を像担持体1の表面に所定の接触圧で接触させて、像担持体1の軸方向に沿って往復移動させる場合に、この導電性フィルム13が発泡弾性体11からずれて均一な接触が行えなくなるのを防止するため、前記の図7(A),(B)に示すように、導電性フィルム13を発泡弾性体11の表面に接着させた研磨部材10を用いることが好ましい。
【0032】
また、この導電性フィルム13としては、上記のように像担持体1の表面に接触させて像担持体1の軸方向に沿って往復移動させる場合に、摩耗に対して充分な耐久性が得られると共に、適切な接触圧が得られるようにするため、厚みが50〜200μm程度のものを用いることが好ましい。さらに、この導電性フィルム13の表面抵抗が大きくなりすぎると、上記のバイアス電源20によって像担持体1の表面に残留するトナーtを適切に荷電させることが困難になるため、一般には表面抵抗が104〜108Ω程度のものを用いることが好ましい。
【0033】
また、この実施形態における画像形成装置においては、トナー像を記録紙6に転写させた後における像担持体1の表面に上記のような研磨部材10を1つ接触させるようにしただけであるが、このような研磨部材10を2以上接触させるようにしたり、またこのような研磨部材10と従来分散部材として用いられている発泡体ローラや回転ブラシなどを組み合わせて用いるようにすることも可能である。
【0034】
さらに、この実施形態における画像形成装置においては、1つの像担持体1に1つの現像装置4からトナーtを供給してトナー像を形成し、このトナー像を転写媒体である記録紙6に転写させるようにしたが、画像形成装置もこのようなものに限定されない。
【0035】
例えば、図示していないが、色彩が異なるトナーを収容させた複数の現像装置を用いると共に、各現像装置に対応してそれぞれ像担持体を設け、各現像装置により各像担持体に各色のトナー像を形成し、このように各像担持体に形成された各色のトナー像を転写媒体である中間転写ベルトに転写させて、この中間転写ベルトにフルカラーのトナー像を形成し、このフルカラーのトナー像を中間転写ベルトから記録紙に転写させるようにしたタンデム式のフルカラーの画像形成装置であってもよい。そして、このようなタンデム式のフルカラーの画像形成装置においても、中間転写ベルトにトナー像を転写させた後の各像担持体の表面に対してそれぞれ上記の研磨部材を接触させ、この研磨部材をそれぞれ像担持体の軸方向に沿って往復移動させて、各像担持体の表面を均一に研磨させると共に、各研磨部材にバイアス電源からバイアス電圧を作用させて、各像担持体の表面に残留するトナーの荷電を適切に制御させるようにすることができる。
【実施例】
【0036】
次に、研磨部材を用いたこの発明の具体的な実施例に係る画像形成装置について説明する。
【0037】
ここで、この実施例においては、上記の研磨部材10として、上記の図7(A)に示すように、基台12に体積抵抗が105〜106Ω程度のカーボン分散発泡ポリウレタン(イノアック社製:EMM−C)からなる発泡弾性体11を取り付けると共に、この発泡弾性体11の表面に、厚みが100μm,表面抵抗が105〜106Ω程度のカーボン分散ポリエチレンシート(アキレス社製:クロポリシート)からなる導電性フィルム13を接着させたものを用いるようにした。
【0038】
そして、この研磨部材を市販の画像形成装置(コニカミノルタ社製:magicolor5440DL)を改造させたものに搭載し、温度10℃、湿度15%の低温・低湿度の環境下において、像担持体に対するこの研磨部材のニップ幅を2mm、この研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる振幅を10mm、像担持体1回転あたりこの研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる周期を0.8にすると共に、その接触圧を下記の表1に示すように変更させて3万回の耐久試験を行い、像担持体の摩耗量(μm/105回転)及び像担持体の表面における算術平均粗さRaを求め、その結果を下記の表1、表2及び図9(A),(B)に示した。
【0039】
ここで、像担持体の摩耗量(μm/105回転)については、3万回の回転時における像担持体の摩耗量をFISCHERSCOPE(FISCHER社製)により求め、これに基づいて10万回の回転時における摩耗量を算出した。
【0040】
また、像担持体の表面における算術平均粗さRaについては、JIS B0601に準拠し、SURFCOM 480A(東京精密社製)を用いて測定した。
【0041】
ここで、上記の像担持体の摩耗量が0.1μm/105回転未満であると、転写後の像担持体の表面に残留するトナーなどがフィルミングされるのを適切に防止することが困難になる一方、摩耗量が3.0μm/105回転を超えると、像担持体の表面の摩耗が大きくなって像担持体の寿命が大きく低下し、また像担持体の表面の算術平均粗さRaが0.2μmを超えると、形成される画像に悪影響を及ぼすため、像担持体の摩耗量は0.1〜3.0μm/105回転の範囲、像担持体の表面粗さRaは0.2μm以下であることが好ましい。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
この結果、像担持体に対する研磨部材の接触圧を0.02MPa〜0.05MPaの範囲にした場合には、像担持体の摩耗量が0.1〜3.0μm/105回転の範囲になると共に、像担持体の表面粗さRaも0.2μm以下になることが分かった。
【0045】
次に、上記と同じ温度10℃、湿度15%の低温・低湿度の環境下において、像担持体に対するこの研磨部材のニップ幅を2mm、像担持体に対する研磨部材の接触圧を0.04MPa、研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる振幅10mmにし、像担持体の1回転あたりに研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる周期を0.8、1.5、2.2に変更させて、それぞれ3万回の耐久試験を行い、上記の場合と同様にして、像担持体の摩耗量(μm/105回転)及び像担持体の表面における算術平均粗さRaを求め、その結果を下記の表3に示した。
【0046】
【表3】

【0047】
この結果、像担持体の1回転あたりに研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる周期を多くするほど、像担持体の摩耗量が大きくなる一方、像担持体の表面における算術平均粗さRaが若干小さくなる傾向にあることが分かった。
【0048】
また、上記と同じ温度10℃、湿度15%の低温・低湿度の環境下において、像担持体に対するこの研磨部材のニップ幅を2mm、像担持体に対する研磨部材の接触圧を0.04MPa、像担持体の1回転あたりに研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる周期を1.5にし、研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる振幅を6mm,10mm,20mmに変更させて、それぞれ3万回の耐久試験を行い、上記の場合と同様にして、像担持体の摩耗量(μm/105回転)及び像担持体の表面における算術平均粗さRaを求め、その結果を下記の表4に示した。
【0049】
【表4】

【0050】
この結果、研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる振幅が大きくなるほど、像担持体の摩耗量が若干大きくなる一方、像担持体の表面における算術平均粗さRaが小さくなる傾向にあることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】クリーニング装置を用いた従来の画像形成装置の概略説明図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る画像形成装置において使用した研磨部材の概略説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る画像形成装置において、上記の研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる状態を示した概略説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る画像形成装置において、上記の研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる1つの例を示した概略説明図である。
【図6】上記の実施形態に係る画像形成装置において、上記の研磨部材を像担持体の軸方向に往復移動させる他の例を示した概略説明図である。
【図7】上記の実施形態に係る画像形成装置において使用する研磨部材の変更例を示した概略説明図である。
【図8】上記の変更例の1つの研磨部材を用いた画像形成装置の概略説明図である。
【図9】この発明の実施例における画像形成装置において、像担持体に対する研磨部材の接触圧と像担持体の摩耗量との関係を示した図、及び像担持体に対する研磨部材の接触圧と像担持体の表面粗さRaとの関係を示した図である。
【符号の説明】
【0052】
1 像担持体
2 帯電装置
3 潜像形成装置
4 現像装置
5 転写装置
6 記録紙(転写媒体)
10 研磨部材
11 発泡弾性体
12 基台
13 導電性フィルム
14 収容体
20 バイアス電源
31 圧縮バネ
32 ガイド部材
33 カム部材
34 駆動モータ
35 ギア
36 引っ張りバネ
37 回転部材
37a 案内溝
t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される像担持体と、この像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像の部分にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を転写媒体に転写させる転写装置とを備えた画像形成装置において、上記の転写装置よりも像担持体の移動方向下流側でこの転写装置と上記の帯電装置との間の位置における像担持体の表面に、発泡弾性体を用いた非回転式の研磨部材を接触させて、この研磨部材を上記の像担持体の移動方向と交差する方向に往復移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、上記の研磨部材を像担持体の表面に接触させる接触圧を0.02MPa〜0.05MPaの範囲にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、上記の研磨部材における発泡弾性体の表面にフィルムシートを設け、このフィルムシートを上記の像担持体の表面に接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、上記のフィルムシートが発泡弾性体の表面に接着されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置において、上記のフィルムシートが導電性フィルムであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置において、上記の研磨部材により像担持体の表面を研磨させた場合に、この像担持体の表面の算術平均粗さRaが0.2μm以下になると共に、像担持体の摩耗量が0.1〜3.0μm/105回転の範囲になるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置において、上記の研磨部材に、転写後の像担持体の表面に残留するトナーの荷電を制御するバイアス電圧を作用させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−304222(P2007−304222A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130920(P2006−130920)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】