説明

画像形成装置

【目的】用紙搬送経路の形状の差異によりドラム部に対する給紙速度に差異のある複数の給紙元を備えた画像形成装置において、印刷速度優先の条件に適合した給紙元を選択する制御を行う。
【構成】孔版印刷装置1は、3つの給紙元である給紙台部10、トレイ1部11、トレイ1部12を有する。各給紙元のドラム部6に対する各最大許容印刷速度は、各搬送経路16,17,18の形状差によって異なり、大きい順で給紙台部10、トレイ1部12、トレイ1部11であってデータとして記憶されている。ユーザが速度優先設定で印刷を実行すると、装置の制御部乃至給紙元選択手段は最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択して印刷を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイや給紙台等のような画像形成用紙の給紙元を複数備えており、必要とされる画像形成速度に最も適した給紙元を選択することができる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給紙トレイや給紙台等のような画像形成用紙の給紙元を複数備えた画像形成装置が知られている。下記特許文献1に示すように、このような画像形成装置において同一サイズの用紙を収容した用紙トレイが複数ある場合、ジャム率の低い用紙トレイを選択するように構成することができる。
【特許文献1】特開平6−24606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像形成装置においては、画像形成部における画像形成速度と、当該画像形成部に給紙元から用紙を供給する際の供給速度とが見合っている必要があるが、ここで画像形成部に給紙元から用紙を供給する際の供給速度は、当該給紙元と画像形成部の間に設けられた用紙の搬送経路の形状に依存し、直線的であれば供給速度を大きくすることができ、曲率の大きい曲線部分があれば、それだけ供給速度は小さくならざるを得ない。
【0004】
比較的画像形成速度の遅い画像形成装置の場合には、給紙元と画像形成部を結ぶ搬送経路の形状を気にする必要もなく、複数ある給紙元からいずれを選ぶかの選択基準を給紙速度に置く必要はなく、例えば、上記特許文献1記載の発明のようにジャム率による選択方法や、用紙の残存量を認知して用紙が多く残っている給紙元を選択する選択方法や、給紙元の消耗品の劣化を平均的にするために、複数ある給紙元を満遍なく選択する選択方法などを利用することができる。
【0005】
しかし、例えば孔版印刷装置などの高速印刷が可能な画像形成装置では、高速印刷性能を発揮するためには、当該印刷速度に対応しうるだけの高い給紙速度が給紙元に対しても求められることとなり、給紙元の位置や搬送経路の形状等によって定まる各給紙元の給紙速度は無視できなくなってきている。
【0006】
そこで本発明は、用紙搬送経路の形状の差異等によって画像形成部に対する給紙速度に差異のある複数の給紙元を備えた画像形成装置において、印刷速度の向上といったユーザの所望する条件に適合した給紙元を選択できるような制御を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された画像形成装置は、複数の給紙元を有する画像形成装置において、給紙元毎に設定された最大許容画像形成速度を基準として給紙元を選択する給紙元選択手段を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、ユーザが速度を優先する設定で画像形成を実行した場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された画像形成装置は、請求項2記載の画像形成装置において、複数の給紙元の最大許容画像形成速度が同じである場合に、前記給紙元選択手段は、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中で、最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中で、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された画像形成装置によれば、複数の給紙元を有する画像形成装置において、給紙元毎に設定された最大許容画像形成速度を基準として給紙元を選択することができる。
【0013】
請求項2に記載された画像形成装置によれば、請求項1の効果において、各給紙元にそれぞれ固有の最大許容印刷速度を基準として、複数の給紙元の中から使用する給紙元が選択されるので、ユーザが印刷速度を優先する場合に、印刷速度に最も適した給紙元を効率的に選択することができる。
【0014】
請求項3に記載された画像形成装置によれば、請求項2の効果において、複数の給紙元の最大許容画像形成速度が同じである場合に、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択されるので、給紙元の許容画像形成速度が印刷速度に適しているだけでなく、ジャム発生率を低く抑えることもできる。
【0015】
請求項4に記載された画像形成装置によれば、請求項1の効果において、ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合には、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中において、最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択される。
【0016】
請求項5に記載された画像形成装置によれば、請求項1の効果において、ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合に、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中において、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1(a)は第1実施形態の孔版印刷装置の全体構成図であり同図(b)は操作パネル部の正面図、図2は第1実施形態の孔版印刷装置のブロック構成図、図3は第1実施形態の孔版印刷装置の作用を示す流れ図、図4は第2実施形態の孔版印刷装置の作用を示す流れ図である。
図1及び図2に示すように、本発明の画像形成装置の一具体例である本実施形態の孔版印刷装置1は、筐体2を本体として以下に説明する各種構成を備えている。すなわち、原稿読取部3は、読取面に載置された原稿を読み取って画像データとして出力することができる。製版部4は、ロール状の孔版原紙5を収納保持しており、前記原稿読取部3が出力した画像データに基づいて孔版原紙5に画像を製版する。
【0018】
製版部4に隣接して設けられた画像形成手段である印刷手段としてのドラム部6は、内部にインク供給手段を有するインク通過性の周壁を有しており、前記製版部4で製版された孔版原紙5が巻装されて回転駆動される。なお、ドラム部6は、装置の制御に用いられるドラムの種別を記憶したドラム内メモリ7を有している。また、ドラム部6の下方には、プレスローラからなるプレス部8が昇降自在に設けられており、ドラム部6との間に印刷用紙9が供給されるタイミングに合わせて上昇し、該印刷用紙9をドラム部6の孔版原紙5に押し付けることにより、ドラム部6の回動に伴って印刷用紙9を搬送して印刷用紙9に印刷を施すことができる。
【0019】
この孔版印刷装置1は、筐体2の一側部に露出して設けられた給紙台部10と、筐体2の内部において前記ドラム部6及びプレス部8の下方に設けられたトレイ1部(上)11及びトレイ2部(下)12の合計3つの給紙元からなる給紙部13を有している。3つの給紙元は選択的に使用されて前記ドラム部6に印刷用紙9を供給する。
【0020】
なお、本例の孔版印刷装置1では、3つの給紙元には、違う種類やサイズの印刷用紙を入れておくことも可能であるが、ここでは同じ印刷用紙9が入れてあるものとして説明する。
【0021】
給紙台部10と、トレイ1部11(上)と、トレイ2部12(下)には、それぞれ印刷用紙9の有無を検知する用紙有無センサ15が設けられている。
【0022】
給紙台部10から送り出された印刷用紙9が、ドラム部6とプレス部8の間に至るまでに通過する搬送経路16は概ね直線である。これに対し、ドラム部6及びプレス部8の直下にあるトレイ1部11から送り出された印刷用紙9が、ドラム部6とプレス部8の間に至るまでに通過する搬送経路17は、略半円形の曲線状とされている。そして、トレイ1部11のさらに下方にあるトレイ2部12から送り出された印刷用紙9が、ドラム部6とプレス部8の間に至るまでに通過する搬送経路18は、トレイ1部11からの搬送経路17に比べて曲率の小さい略半円形の曲線状とされている。
【0023】
給紙台部10と、トレイ1部11(上)と、トレイ2部12(下)からドラム部6に至る3系統の搬送経路15,16,17には、それぞれ印刷用紙9のジャムを検知するジャム検知センサ18が設けられている。
【0024】
この孔版印刷装置1は、前記給紙台部10とは反対側となる筐体2の他側部に、前記ドラム部6から排出された印刷済みの印刷用紙9が排出される排紙部25を有している。筐体2内には、ドラム部6と排紙部25の間に搬送手段26が設けられており、印刷されてドラム部6から排出された印刷用紙9は、この搬送手段26に搬送されて筐体2外に排出され、排紙部25に積載されていく。
【0025】
この孔版印刷装置1は、筐体2内において、ドラム部6を挟んで前記製版部4とは反対側に、排版部27を有している。排版部27は、使用済みの孔版原紙5をドラム部6から剥ぎ取り、容器内に収納して廃棄するための装置である。
【0026】
図1(a)及び(b)に示すように、この孔版印刷装置1は筐体2の上面側に操作パネル部30を有している。この操作パネル部30は、読取・製版・印刷・排版等の各種動作における各種設定(給紙元自動選択の設定と手動設定の切り替えを含む)及び動作開始等の操作を指示するとともに、設定内容等を表示部にて確認等することもできる。
【0027】
図1には示していないが、図2に示すように、本孔版印刷装置1は、上述した各構成部分を含む本装置全体を制御するための制御部40を有している。制御部40には、制御プログラムを格納したROM41と、設定された制御用の各種データや読み取った画像データ等を格納するRAM42とが接続されている。また、制御部40には、前述した給紙台部10とトレイ1部11(上)とトレイ2部12(下)のいずれの給紙元を印刷時に使用するかを選択するための給紙元選択手段45が接続され、この給紙元選択手段45には、この給紙元選択手段45が給紙元を選択する際の基準となるデータを下記表1に示すような最大許容印刷速度テーブル46の形式で格納した記憶手段が接続されている。さらに、制御部40には、ジャム率判定手段47が接続されており、本装置が使用されている中で前記各ジャム検知センサがジャムの発生を検知した場合には、所定の手法により各給紙元ごとにジャムの発生か否かを判定し、ジャムであると判定した場合にはジャム率を算出してジャム率のデータとして記憶手段等に格納しておく。
【0028】
【表1】

【0029】
本例のような孔版印刷装置1は、ドラム部6を高速回転させて高速で印刷を行うことが可能であるが、このような高速印刷においては、ドラム部6の印刷速度と、ドラム部6に給紙元から印刷用紙9を供給する際の供給速度とが見合っている必要がある。ここで給紙元からドラム部6に印刷用紙9を供給する際の供給速度(給紙元がドラム部6に許容できる最大許容印刷速度)は、当該給紙元とドラム部6の間に設けられた印刷用紙9の搬送経路の形状に依存している。搬送経路が直線的であれば供給速度を大きくすることができるが、曲線部分があれば、それだけ供給速度は小さくせざるを得ず、その曲線部分についても曲率が大きいほど供給速度は小さくなる。
【0030】
すなわち、各給紙元ごとに最大許容印刷速度が違うのは、各給紙元とドラム部6の位置関係が異なるからである。上述したように、給紙台部10からドラム部6への搬送経路16はまっすぐ直線になっており、印刷用紙9に対してなんら外的要因が加わることはない。それに比べ、トレイ1部11はドラム部6の真下近傍にあり、印刷用紙9が大きな曲率半径の搬送経路17で反転しながら搬送されていく。用紙が硬い厚紙などを搬送する場合は、トレイ1部11の搬送経路17では、印刷速度を上げると、印刷用紙9の折れやしわ、搬送不良などの原因となり、不都合が生じてくる。よって、トレイ1部11は、給紙台部10のような直線で搬送できる給紙元に比べ、最大許容印刷速度を低く設定しなくてはならない。また、トレイ2部12は、トレイ1部11と比較すれば、搬送経路18の湾曲が厳しくない(曲率が小さい)ので、若干高い印刷速度にも対応することができる。
【0031】
このように、本例の孔版印刷装置1の3つの給紙元は、印刷用紙9の搬送経路16,17,18の形状の差異等によってドラム部6に対する給紙速度に差異がある。そこで、本例では、各給紙元ごとに異なる給紙可能な速度を、各給紙元に固有の最大許容印刷速度として前記表1に示すようなテーブル形式で記憶手段に記憶して最大許容印刷速度テーブル46とし、給紙元選択手段45がドラム部6の印刷速度と比較して使用するための基準としたものである。
【0032】
次に、図3を参照して本例の孔版印刷装置1における印刷時の給紙元の選択の流れを説明する。
制御部40は、ROM41のプログラムに従い、RAM42のデータを含むその他のデータにより本装置の全体を統轄制御するとともに、さらに必要に応じて以下に詳述するように給紙元選択手段45を機能させ、前記表1に示した最大許容印刷速度テーブル46のデータをも使用して後述する印刷時の給紙元の選択機能を発揮させる。
【0033】
まず、印刷開始の指示が与えられて動作がスタートすると、制御部40は、給紙元自動選択が設定されているかを判断する(S11)。されていない場合(S11、NO)には、操作パネル部30の表示部等に適当な表示等を行ってユーザーの注意を促す等して、ユーザに手動で給紙元を選択させる(S12)。その後、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0034】
給紙元自動選択が設定されていた場合(S11、YES)は、印刷しようとする原稿のサイズに合致するサイズの用紙を格納した給紙台部10又は用紙トレイ11,12(給紙元)が存在するかを判断する(S13)。存在しない場合(S13、NO)には、操作パネル部30の表示部等に適当な表示等を行ってユーザーの注意を促す等して、ユーザに手動で交換させることにより必要な給紙元を選択させる(S12)。その後、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0035】
印刷しようとする原稿のサイズに合致するサイズの用紙を格納した給紙台部10又は用紙トレイ11,12(給紙元)が存在する場合(S13、YES)は、そのような給紙元が複数あるか否かを判断する(S14)。複数はなく、すなわち1つしかない場合(S14、NO)は、その唯一の給紙元を選択し(S15)、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0036】
印刷しようとする原稿のサイズに合致するサイズの用紙を格納した給紙台部10又は用紙トレイ11,12(給紙元)が複数ある場合(S14、YES)は、ユーザが印刷に際して速度優先を希望しているか否かを判断する(S16)。ここで、例えば、ユーザによって、あえて速度優先を希望しない設定が選択された場合(S16、NO)には、別の条件にて選択することになる(S17)。例えば、ジャム率や、給紙元の収容枚数などの条件から任意の条件を選択し、その条件に合致した給紙元を選択する(S17)。その後、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0037】
ユーザが速度優先を選択した場合(S16、YES)には、制御部40は給紙元選択手段45を機能させ、表1に示した最大許容印刷速度テーブル46を参照して、一番早い速度の給紙元を選択する(S18)。その後、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0038】
ここで、ユーザによる速度優先の設定は、毎回の印刷ごとに確認してもいいし、初期ユーザ設定にて事前に登録しておいてもよい。また、ここでは各給紙元内に印刷用紙9があるものとして説明したが、本来は、各給紙元ごとに印刷用紙9の有無を確認している。もちろん印刷用紙9の有無を確認し、印刷用紙9がなかったらエラーを出してもいいし、印刷用紙9がある他の給紙元の中から選択する設定にしても良い。
【0039】
次に、図4を参照して本例の変形例の作用について説明する。
この変形例では、図3を参照して説明した給紙元の選択において、特に選択可能な給紙元が複数存在する場合(給紙元について複数の選択候補が存在する場合)に、これらの中からジャム率の高低によって一の給紙元を選択する。従って、図3と内容が同一である工程については図3と同一の符号を付して説明を省略し、図3と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図4において、給紙元選択手段45が、表1に示した最大許容印刷速度テーブル46を参照して最適な給紙元を選択した場合(S18)、該当する給紙元が一つだけである場合(S30,NO)には、最大許容印刷速度テーブル46を参照して選択した唯一の当該給紙元を選択し(S31)、同一の最大許容印刷速度の給紙元が複数ある場合(S30,YES)には、ジャム率の低い順に選択を実行する(S32)。その後、当該給紙元から給紙して印刷を行い(S19)、所定枚数を印刷した後に印刷を終了する(S20、S21)。
【0041】
次に、さらに他の変形例を表2を参照して説明する。
これは、印刷速度が制限されたときのパターンの第1の例である。
例えば、後処理(ステープル、パンチング)を実行する時や、本発明を両面印刷機に採用した場合において両面印刷を行う時などが考えられる。この場合、ユーザが希望しなくても印刷速度は制限されることになる。つまり、特殊な後処理等を実行するためには所定画像形成速度よりも小さい速度でなければならず、この上限が定められた中において、適当な給紙元を選ぶ必要がある。
【0042】
本変形例のような場合には、制限された印刷速度より、最大許容印刷速度が高い給紙元が複数存在する可能性が考えられるが、この場合には制限された印刷速度よりも最大許容印刷速度が大きい給紙元の中から、よりジャム率の低い給紙元を選択することとする。
【0043】
ユーザーが「速度優先」を選択する。しかし、上述したような後処理や両面印刷を設定している場合には、機械側から「速度の制限」がかかる。例えばMAX120rpmと制限されたとすると、その時に選択可能な給紙トレイは、下記表2のように給紙トレイ(1) 〜(4) までの4つがある場合には、給紙トレイ(1),(2),(3) の3つであるが、その中のいずれのトレイを選択しても速度は制限されて120rpmしか出ないので、本変形例ではジャム率を優先して給紙トレイを選択し、上記3つの中で最もジャム率の低い給紙トレイ(3) (ジャム率0.2%)を選択する。
【0044】
【表2】

【0045】
次に、さらに他の変形例を表3を参照して説明する。
これは、印刷速度が制限されたときのパターンの第2の例である。
本変形例では、印刷条件によって制限された印刷速度より、最大許容印刷速度が高い給紙元が複数存在する場合には、制限された印刷速度よりも最大許容印刷速度が大きい給紙元の中で、最も最大許容印刷速度が大きい給紙トレイを選択する。
【0046】
ユーザーが「速度優先」を選択する。しかし、上述したような後処理や両面印刷を設定している場合には、機械側から「速度の制限」がかかる。例えばMAX120rpmと制限されたとすると、その時に選択可能な給紙トレイは、下記表3のように給紙トレイ(1) 〜(4) までの4つがある場合には、給紙トレイ(1),(2),(3) の3つであるが、その中のいずれのトレイを選択しても速度は制限されて120rpmしか出ず、また他の条件(ジャム率)を参照しても差が出ない場合は(本変形例では3つともジャム率が0.2%)、最大許容印刷速度が大きい給紙トレイ(1) を選択する。これは、最大許容印刷速度が大きい給紙トレイの方が、搬送経路が他に比べてよりフラットであるので、ジャム率は変わらなくても、用紙のスリップなどに関係してくる可能性も否定できないからである。
【0047】
【表3】

【0048】
以上説明した実施形態では、本願発明による効果が特に顕著に得られる高速の画像形成を行う画像形成装置として孔版印刷装置を例示したが、その他の原理の印刷装置について適用しても同様の効果が得られ、さらに印刷装置以外の画像形成装置に適用した場合においても、その画像形成速度の大きさに応じた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1(a)は第1実施形態の孔版印刷装置の全体構成図であり同図(b)は操作パネル部の正面図である。
【図2】図2は第1実施形態の孔版印刷装置のブロック構成図である。
【図3】図3は第1実施形態の孔版印刷装置の作用を示す流れ図である。
【図4】図4は第2実施形態の孔版印刷装置の作用を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0050】
1…画像形成装置としての孔版印刷装置
6…画像形成手段である印刷手段としてのドラム部
10…給紙台部
11…トレイ1部
12…トレイ2部
13…給紙部
16.17.18…搬送経路
40…制御部
45…給紙元選択手段
46…最大許容画像形成速度テーブルとしての最大許容印刷速度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給紙元を有する画像形成装置において、給紙元毎に設定された最大許容画像形成速度を基準として給紙元を選択する給紙元選択手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ユーザが速度を優先する設定で画像形成を実行した場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の給紙元の最大許容画像形成速度が同じである場合に、前記給紙元選択手段は、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中で、最大許容画像形成速度が速い給紙元から順に選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザが選択した画像形成条件により画像形成速度が所定画像形成速度以下に制限され、該所定画像形成速度以上の最大許容画像形成速度である給紙元が存在する場合に、前記給紙元選択手段は、最大許容画像形成速度が前記所定画像形成速度以上の給紙元の中で、ジャム発生率が低い給紙元から順に選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285313(P2008−285313A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134328(P2007−134328)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】