説明

画像形成装置

【課題】低コストでプリント前の画像を確認して画像形成可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿に光照射して情報を読み取る読取部と画像形成部とを有する画像形成装置において、前記原稿をプラテンガラスに押さえる圧板2と、圧板2内に設けられ、回転可能なエンドレスベルト状の電子ペーパー15と、前記電子ペーパー15に情報を書き込むための書き込み手段と、圧板2に設けられ、前記電子ペーパー15を露出させて前記電子ペーパー15に書き込んだ情報を表示する表示窓18と、を有し、前記電子ペーパー15に書き込んだ情報を前記表示窓18に表示した後に前記プラテンガラスと対向させて前記読取部で読み取り可能に構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿に光照射して原稿情報を読み取る読取部と、像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿に光をあてて、その反射光により感光体ドラムに潜像を書き込むアナログ複写機に、レーザスキャナの書き込み手段を追加した装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この構成においては、原稿台ガラス面上の画像を照射して感光体ドラム面上に露光するアナログ読書部と、原稿の画像情報を読み出して光電変換し、選択的に出力するデジタル読取部とを有し、アナログ、デジタル両方で画像形成が可能な構成となっている。
【0004】
一方、使用者が画像形成装置でプリントする際に、ミスプリントを防止可能とし、あるいはファクシミリ等のように、一旦受信した画像情報の内容を確認した後にプリント可能としたものがある。これは、装置の操作部の液晶などの表示部に一旦、プリントする画像を表示した後、プリントするか使用者が選択する機能をもたせたものである。
【0005】
また、原稿を搬送する搬送ベルトに電子ペーパーを取り付け、その電子ペーパーに画像を書き込むとともに、書き込んだ画像を読み取ってプリントする装置が提案されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開平9−114205号公報
【特許文献2】特開2004−56374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に示すように、アナログ複写機にレーザスキャナを追加した装置においては、レーザ光学系を追加することで、装置の大型化及びコストアップを招いてしまう。また、感光体ドラム周辺に配置するため、装置の変更が大きく、書き込み手段をもたない装置とで筐体を共通にするのが困難であった。
【0008】
さらに、アナログ複写機の照射光と、レーザでは波長が異なるため、同一の感光体ドラムに露光すると画像の劣化やドラムが特殊になる等、コストアップの原因となっていた。
【0009】
一方、プリントする画像を事前に装置の操作部に表示する装置においては、液晶表示部が小型であり、事前に表示したものと、最終的にプリントするものの、イメージが異なってしまい、ミスプリントにつながってしまうことがある。そして、その解決のために大型の液晶表示を追加すれば、装置のコストアップとなる。
【0010】
さらに、特許文献2に係る装置ではプリント前にプリント画像を確認することができなかった。
【0011】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストでプリント前の画像を確認して画像形成可能な画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、原稿に光照射して情報を読み取る読取部と画像形成部とを有する画像形成装置において、前記原稿をプラテン部材に押さえる原稿押さえ部材と、前記原稿押さえ部材内に設けられ、回転可能なエンドレスベルト状の電子ペーパーと、前記電子ペーパーに情報を書き込むための書き込み手段と、前記押さえ部材に設けられ、前記電子ペーパーを露出させて前記電子ペーパーに書き込んだ情報を表示する表示部と、を有し、前記電子ペーパーに書き込んだ情報を前記表示部に表示した後に前記プラテン部材と対向させて前記読取部で読み取り可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、電子ペーパーに書き込まれて読み取られる情報をプリント前に等倍で確認すること可能であり、プリントされる画像と同等のイメージを事前に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
<全体構成>
まず、画像形成装置の全体構成について画像形成動作とともに説明する。図1は実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す模式説明図である。
【0016】
本実施形態の画像形成装置は、装置本体の上部に画像読取部Aが配置され、その下に画像形成部Bが配置されている。そして、画像形成部の下方にシートSを搬送するシート搬送部Cが設けられている。
【0017】
画像読取部Aは原稿を載置するための原稿台1が設けられ、この原稿台1には開閉可能な原稿押さえ部材である圧板2が取り付けられている。この圧板2を開いて原稿Pを原稿台1のプラテン部材であるプラテンガラス3上に載置した後、圧板2を閉じることで原稿Pを押さえてガラス面に密着させる。
【0018】
上記原稿台1及び圧板2は、図示しない駆動手段により、一体となって図1の矢印a方向にスライド可能に設けられている。そして、前記原稿台1の移動に際して原稿に光照射し、その反射光をスリット部から短焦点結像レンズ4を介して感光体ドラム5に露光することで原稿情報を読み取る如く構成されている。なお、原稿読み取り後は前記原稿台1及び圧板2は再び待機位置に戻る。
【0019】
一方、画像形成部Bには感光体ドラム5が回転可能に設けられ、その周囲に帯電器6、現像器7、転写ローラ8が配置されている。そして、回転する感光体ドラム5の表面を帯電器6で一様に帯電した後、前記読取部Aからの露光により静電潜像を形成し、該潜像を現像器7でトナー現像して可視像化する。
【0020】
前記トナー像の形成と同期して、給送トレイ9からシートSを給送ローラ10、レジストローラ11等からなるシート搬送部Cを介して感光体ドラム5と転写ローラ8とのニップ部に搬送する。そして、前記転写ローラ8へのバイアス印加により感光体ドラム5上のトナー像を搬送されたシートSに転写する。その後、シートを定着器12に搬送して前記トナー像を加熱、加圧定着し、排出ローラ13により排出トレイ14へ排出する。
【0021】
なお、本実施形態では、前記感光体ドラム5、帯電器6、現像器7等をカートリッジ化して装置本体に対して着脱可能に構成している。
【0022】
<外部機器からの画像情報のプリント>
本実施形態の読取部Aは前記のようにプラテンガラス3上に載置した原稿Pの反射光を感光体ドラム5に露光する以外にも、パソコン等の外部機器からの画像情報により感光体ドラム5に露光可能となっている。次に外部機器からの画像情報を感光体ドラム5に露光する構成について説明する。
【0023】
図1において、圧板2の内部にはフレキシブルに屈曲可能なエンドレスベルト状の電子ペーパー15が駆動ローラ16aと従動ローラ16b間に架け渡されている。本実施形態の電子ペーパー15は有機ELで構成され、バックライトを用いることなく画像情報書き換え手段17により所定の画像情報を書き込むことができ、且つ図示しない電極への制御により書き込み画像情報を保持し得るようになっている。そして、駆動ローラ16aを図示しないモータにより駆動することで電子ペーパー15は回転可能となっている。
【0024】
また、前記圧板2は電子ペーパー15がプラテンガラス3と対向した面は透明窓になっている。このため、電子ペーパー15に書き込んだ画像はプラテンガラス3と対向した状態では、該プラテンガラス3上に載置した原稿を読み取るときと同様に読み取ることが可能とである。
【0025】
また、前記圧板2の外表面側には表示部としての表示窓18(図3参照)が形成されている。このため、電子ペーパー15に書き込んだ画像が前記表示窓18と対向した状態では、その画像が表示窓18から使用者が視認可能となっている。なお、前記表示窓18のサイズは読取部Aで読み取れる最大原稿サイズと同じであり、本実施形態ではA4サイズとなっている。
【0026】
上記構成において、外部機器からの画像情報をシートSに画像形成する場合について説明する。
【0027】
まず、スタートキーを押下してパソコンなどの外部機器から画像信号が書き換え手段17に送られてくると、電子ペーパー15が回転するとともに、該画像が書き込まれ、かつ、書き込まれた状態で保持される。
【0028】
次に、電子ペーパー15を回転させ、図2に示すように、書き込んだ画像Iが表示窓18と対向する位置で停止させる。なお、図2における点線部分が画像書き込み部分を示す。この状態では、図3に示すように、電子ペーパー15に書き込んだ画像Iが表示窓18から視認できる。このとき表示される画像Iはシートに記録される画像と等倍である。このため、事前に最終的にプリントするものとイメージが異なることなく確認することができる。
【0029】
使用者は表示内容を確認し、表示内容が良ければ、再度スタートキーを押下することで、停止していた電子ペーパー15が回転し、図4に示すように、書き込んだ画像がプラテンガラス3と対向する位置で停止する。なお、図5は前記状態で圧板2を開いた状態を示している。
【0030】
上記状態から前記電子ペーパー15に光照射しながら原稿台1と圧板2とが一体となってスライドすることで、電子ペーパー15に書き込まれた画像情報が読み取られ、その反射光により感光体ドラム5に静電潜像が形成される。これにより、電子ペーパー15に書き込まれた画像がシートSに記録されて排出される。
【0031】
上記のように本実施形態の画像形成装置にあってはプリントされる画像を事前に等倍サイズで確認できる。この画像表示用に設けた表示窓18を操作部の表示として兼用可能である。このため、専用操作部が必要なくなり、装置の小型化、コストダウンが可能となる。
【0032】
また、外部機器からの画像情報をプリントするにあたり、読み取った画像情報を画像読取部Aから画像形成部Bにアナログ的に露光してプリントでき、アナログ複写機のドラムを含めたプロセス条件を同一にできる。このために、低コストで書き込み手段を追加可能となる。
【0033】
なお、前記電子ペーパー15への画像情報を書き込み、表示窓18から表示する場合、最初の1枚目は画像形成部Bが画像形成準備できる前の待機時間(定着器12が所定の温度に達するまでの時間や、画像形成部Bの初期チェックのための時間)行うようにする。このようにすることで、前記画像情報を感光体ドラム5に出力してシートに画像形成するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0034】
そして、連続プリントするときに、電子ペーパー15への2枚目以降の画像情報の書き込みは、プラテンガラス3と対向した面側の画像情報を画像読取部Aが読み取っている間に、表示窓18と対向した面側に書き込む。これにより、連続プリントの際の間の時間を短縮することが可能となる。
【0035】
また、前述した実施形態では電子ペーパー15上に保持した画像を読み取る際に、電子ペーパー15を停止させた状態で原稿台1を移動して画像面を読み取った。しかし、図6に示すように、読み取り位置Rに対して、原稿台1を矢印a1方向に移動させながら、電子ペーパー15を矢印に示すように反時計回り方向に移動させるようにしてもよい。このようにすると、電子ペーパー15の移動方向、即ち、画像の副走査方向の解像度を高めることが可能となる。
【0036】
さらに、前述した実施形態において、図7に示すように、表示窓18に透明フィルムのタッチパネル19を設けるようにしてもよい。このようにすると、使用者が表示された等倍画像の上でタッチペン20などを用いてタッチパネル19上をなぞり、その情報を電子ペーパー15に書き込み、それを読み取ることで、等倍サイズでのタッチペン20で加筆や消去などのイメージ編集が可能となる。
【0037】
また、タッチパネル19を設けることで、電子ペーパー上に操作部のキーやアイコンを表示すれば、キーやアイコンを使用者がタッチパネル上から押すことで、操作部も兼ねる用途にも使用でき、且つ専用の操作部を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】画像形成装置の模式説明図である。
【図2】電子ペーパーに書き込んだ画像が表示窓と対向している状態を示す模式説明図である。
【図3】電子ペーパーに書き込んだ画像が表示窓と対向している状態を示す斜視説明図である。
【図4】電子ペーパーに書き込んだ画像がプラテンガラスと対向している状態を示す模式説明図である。
【図5】電子ペーパーに書き込んだ画像がプラテンガラスと対向しているときに圧板を開いた状態の斜視説明図である。
【図6】電子ペーパーに書き込んだ画像を電子ペーパーを移動させながら読み取る状態の模式説明図である。
【図7】電子ペーパーに書き込んだ画像に対してタッチペンにより加筆する状態を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0039】
A …画像読取部
B …画像形成部
C …シート搬送部
P …原稿
S …シート
1 …原稿台
2 …圧板
3 …プラテンガラス
4 …短焦点結像レンズ
5 …感光体ドラム
6 …帯電器
7 …現像器
8 …転写ローラ
9 …給送トレイ
10 …給送ローラ
11 …レジストローラ
12 …定着器
13 …排出ローラ
14 …排出トレイ
15 …電子ペーパー
16a …駆動ローラ
16b …従動ローラ
17 …情報書き換え手段
18 …表示窓
19 …タッチパネル
20 …タッチペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に光照射して情報を読み取る読取部と画像形成部とを有する画像形成装置において、
前記原稿をプラテン部材に押さえる原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材内に設けられ、回転可能なエンドレスベルト状の電子ペーパーと、
前記電子ペーパーに情報を書き込むための書き込み手段と、
前記押さえ部材に設けられ、前記電子ペーパーを露出させて前記電子ペーパーに書き込んだ情報を表示する表示部と、
を有し、
前記電子ペーパーに書き込んだ情報を前記表示部に表示した後に前記プラテン部材と対向させて前記読取部で読み取り可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記読取部で読み取った情報により像担持体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像して画像を形成する画像形成部を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記読取部は読み取るときに前記プラテン部材及び前記原稿押さえ部材を移動させながら前記電子ペーパーを回転させて情報を読み取ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電子ペーパーへの最初の書き込み及び書き込んだ情報の前記表示部からの表示は、画像形成部が画像形成準備の待機時間に行うことをことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数枚の情報を連続して読み込むときは、前記電子ペーパーへの2枚目以降の書き込み及び書き込んだ情報の前記表示部からの表示は、その前のページを前記読取部が読み取っているときに行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記表示部にタッチパネルを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−34899(P2008−34899A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202679(P2006−202679)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】