説明

画像形成装置

【課題】割り込み複写を禁止した場合に、複写以外の機能は支障なく使用できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】まず、本発明は、複写を実行する複写手段と、この複写に対して割り込み複写を実行する割込手段と、他の画像形成に関する特定の機能を実行する実行手段とを備える画像形成装置を前提としている。そして、上記割込み複写を禁止する禁止手段と、この禁止手段が作動した際に、上記特定の機能の実行を許可する許可手段とを備える。これにより、割り込み複写を禁止した場合に、複写以外の特定の機能は支障なく使用できる。なお、この特定の機能としては、ファクシミリ機能やスキャナ機能を主に想定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機能とファクシミリ機能やスキャナ機能などを併せ持つ画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の一つの形態として、複写機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能などを併せ持つ複合機が多数登場してきている。そして、会社内などにおいては、このような複合機が例えば一つの部署に1台設置され、その部署の全員が共同で使用するようになっていることが多い。
【0003】
このような状況において、例えば、あるユーザが数百枚程度の大量複写を行っているとすると、複写を行おうとする他のユーザは、この大量複写が終了するまで待機しなければならない。これでは、この他のユーザの複写が急を要する場合に不都合が生ずるので、いわゆる割り込み複写という機能を備えた複合機が登場してきている。
【0004】
即ち、上記の場合において他のユーザが割り込み複写機能を選択すると、上記大量複写を一旦中断し、上記他のユーザの複写を実行し、これが終了した後で、上記大量複写の続きを再開するのである。
【0005】
しかし、これでは、大量複写の印刷物の間に、他のユーザの複写による印刷物が混入して排紙されることになるので、印刷物を人手で仕分けしなければならないなど、不都合な事態も生じうる。特に、上記他のユーザが複数いたような場合には、この仕分けは煩雑な作業となる。
【0006】
そこで、ユーザの指示により、割り込み複写を禁止できる画像形成装置が、下記の特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平9−218616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の従来技術には、次のような問題点がある。
【0008】
この技術では、割り込み複写が禁止されると、他の一切のジョブが実行できなくなる。
【0009】
しかしながら、上述のようにファクシミリ機能やスキャナ機能を併せ持つ複合機の場合であれば、割り込み複写が禁止された場合に、他のユーザの複写だけ実行できなくなるようにすれば上述の不都合を回避するのに十分である。即ち、複写以外のファクシミリ機能やスキャナ機能については、実行可能にしておいても不都合は生じず、むしろそうしておいたほうが、上記のような一つの部署内において、仕事がはかどる訳である。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、割り込み複写を禁止した場合に、複写以外の機能は支障なく使用できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するために、本発明では以下のような手段を採用している。
【0012】
まず、本発明は、複写を実行する複写手段と、この複写に対して割り込み複写を実行する割込手段と、他の画像形成に関する特定の機能を実行する実行手段とを備える画像形成装置を前提としている。
【0013】
そして、このような画像形成装置において、上記割込み複写を禁止する禁止手段と、この禁止手段が作動した際に、上記特定の機能の実行を許可する許可手段とを備える。これにより、割り込み複写を禁止した場合に、複写以外の特定の機能は支障なく使用できる。
なお、この特定の機能としては、ファクシミリ機能やスキャナ機能を主に想定している。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、割り込み複写を禁止した場合にも、複写以外の機能は支障なく使用することが可能となり、会社内等での仕事の効率化に資することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。この実施の形態では、画像形成装置の一形態であるデジタル複合機として本発明を具体化している。
【0016】
図1は、本実施の形態における複合機100の全体構成の概略図である。ユーザが複合機を利用して原稿の複写を行う場合、原稿を例えば原稿台103に載置し、原稿台103近傍に備えられたタッチパネル300の操作ボタンに対して複写の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が作動することで、複写が行われる。
【0017】
画像読取部101において、光源104から照射された光は、原稿台103に置かれた原稿に反射し、ミラー105、106、107によってCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子108に導かれる。撮像素子108は受光した光を光電変換し、原稿の画像データを生成する。このようにして原稿の画像データが、画像読取部101にて読み取られる。
【0018】
画像形成部102に備えられた感光体ドラム109は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器110、露光器111、現像器112、転写器113などが配置されている。帯電器111は、感光体ドラム109表面を一様に帯電させる。露光器111は、画像読取部101によって読み取られた画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム109上に静電潜像を形成する。現像器112は、上記露光器111によって形成された静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム109上にトナー像を形成する。転写器113は、感光体ドラム109上のトナー像を用紙に転写する。このようにして、感光体ドラム109が回転することによりこれらの一連のプロセスが画像形成部102において行われる。
【0019】
また画像形成部102は、複写を行うときは、何れか1つの給紙カセット114から用紙1枚がピックアップローラ115を用いて搬送路Lへ引き出される。各給紙カセット114には、それぞれ異なるサイズの用紙が収納されており、ユーザが用途に応じて選んだサイズの用紙が給紙される。搬送路Lに引き出された用紙は、搬送ローラ116やレジストローラ117によって感光体ドラム109と転写器113の間に送り込まれる。
【0020】
定着装置118において、加熱ローラ119と加圧ローラ120の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。定着を適切に行うため、加熱ローラの熱量は用紙サイズに応じて最適に設定されている。画像形成部102は、定着装置118を通過した用紙を排紙トレイ121へ排紙する。
【0021】
図2は、本実施の形態における複合機100の制御関連の概略構成図である。
【0022】
複合機100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び上記複写における各駆動部に対応するドライバ205が内部バス206を介して接続されている。
【0023】
上記CPU201は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM203やHDD204等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ205とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図3に示す)についても、CPU201がプログラムを実行することで各手段として動作する。
【0024】
図3は、本実施の形態における複合機100のソフトウェア構成図である。
【0025】
あるユーザ(ユーザA)が上記のように複写を行うときには、上記タッチパネル300を操作して、複写手段303を作動させる。この複写中において、上記背景技術で説明したように、他のユーザ(ユーザB)が割り込み複写を実行したい場合には、同様にタッチパネル300を操作して、割込手段302を作動させる。すると、この割込手段302がユーザAのジョブを中断し、ユーザBのジョブを実行し、これが終了した後にユーザAのジョブを再開する。
【0026】
このようにして割り込み複写が行われるのであるが、上記背景技術で説明したように、割り込み複写が行われると、ユーザAの印刷物の間にユーザBの印刷物が混入して排紙されることになり、後で印刷物を人手で仕分けしなければならないなど、不都合な事態も生じうる。
【0027】
そこで、本発明でも上記従来技術と同様に、ユーザAはユーザBの割り込み複写を禁止することができるようになっている。即ち、ユーザAがタッチパネル300を操作して禁止手段301を作動させると、割込手段302が作動しなくなる。これにより、ユーザBは割り込み複写が実行できなくなるのである。
【0028】
このとき、複写以外の他の特定の機能、例えばファクシミリ機能やスキャナ機能も実行できなくなるのが従来技術であった。しかし、例えば、ユーザAのジョブが5ページの原稿を100部複写するという内容だったとしよう。すると、上記画像読取部101によるこの5ページの原稿の読み取りはすぐに終了してしまい、もっぱら上記画像形成部102による印刷の作業だけが継続しているという事態が起こる。
【0029】
そうすると、画像形成部102を使用せずに、画像読取部101のみを使用する機能、即ち上述のようなファクシミリ機能やスキャナ機能は使用可能にしておくことができ、むしろそうしておいたほうが、これらの機能を使用したいと考えている他のユーザ(ユーザC)の仕事がはかどることになる。
【0030】
そこで、本発明の複合機100は、複写以外の画像形成に関する特定の機能を実行する実行手段310と、上記禁止手段301が作動した際に、上記特定の機能の実行を許可する許可手段304とを備えている。ここで、特定の機能とは上述の通りファクシミリ機能やスキャナ機能を主に想定しており、このため上記実行手段310が、ファクシミリ機能を実行するFAX手段311とスキャナ機能を実行するスキャナ手段312とから構成されている。
【0031】
これにより、上記ユーザAがユーザBの割り込み複写をタッチパネル300の操作で禁止した場合でも、例えばファクシミリ送信を行いたいユーザCは、ユーザAのジョブ(複写)実行中に、所望のファクシミリ送信を行うことができる。
【0032】
以上のように、本発明によれば、割り込み複写が禁止された場合でも、複写以外の特定の機能は引き続き使用することができるので、会社内等での事務作業の効率化に資することができる。
なお、上記特定の機能としてはファクシミリ機能やスキャナ機能を主に想定して説明したが、これらに限定する趣旨ではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る画像形成装置は、割り込み複写を禁止した場合にも、複写以外のファクシミリ機能やスキャナ機能などは支障なく使用することが可能となり、会社内等での仕事の効率化に資することができる。従って、複写機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能などを併せ持つ複合機等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成図。
【図2】本発明の画像形成装置のハードウェア構成図。
【図3】本発明の画像形成装置のソフトウェア構成図。
【符号の説明】
【0035】
100 複合機
101 画像読取部
102 画像形成部
300 タッチパネル
301 禁止手段
302 割込手段
303 複写手段
304 許可手段
310 実行手段
311 FAX手段
312 スキャナ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写を実行する複写手段と、該複写に対して割り込み複写を実行する割込手段と、他の画像形成に関する特定の機能を実行する実行手段とを備える画像形成装置において、
上記割込み複写を禁止する禁止手段と、
上記禁止手段が作動した際に、上記特定の機能の実行を許可する許可手段と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
上記特定の機能がファクシミリ機能である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記特定の機能がスキャナ機能である、請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−177407(P2009−177407A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12792(P2008−12792)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】