説明

画像形成装置

【課題】省スペース性と使用性の両者を満足することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成済みの記録紙を胴内排紙部112に排紙する排紙ローラ45と、排紙ローラ45によって排紙された記録紙を載置するスタック部50とを備えた画像形成装置において、排紙ローラ45によって排紙され、スタック部50上に載置された用紙を、排紙ローラ45によって排紙される第1の排紙方向133に対して直交する第2の排紙方向134であって、装置本体のユーザに対して手前側(装置本体の正面側135)に移動させる搬送ローラ131を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらのうちの少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機等の画像形成装置に係り、特に排紙部から用紙を取り出す際に用紙を所定の位置に移動させて取り出すことが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に普及している電子写真方式の複写機では、原稿の読み取りを装置本体上部に配設された原稿読み取り部で行い、画像形成部において読み取った画像情報に基づいて感光体に光書き込みを行い、感光体上に形成された潜像をトナー現像し、転写部でトナー現像された画像を用紙に転写し、用紙に定着させた後に装置本体側面に取り付けた排紙トレイ上に用紙を排出するようになっている。ところがこの構造では、排紙トレイが複写機本体の外へ突出するので、機械の占有面積が大きくなり、狭い場所に設置しにくいという問題がある。
【0003】
そこで、原稿読み取り部の下方でかつ画像形成部の上方に、画像定着後の用紙を排紙し、収納する排紙収納部を設け、機械の占有面積を小さくした胴内排紙と称する構造を採用した複写機等の画像形成装置が提案されている。このような胴内排紙型の画像形成装置は、略中央に画像形成部を配し、この画像形成部の直下に複数の給紙段からなる給紙部を配し、画像形成部の上方に空間部を隔てて原稿を読み取る原稿読み取り部を配して構成してある。排紙収納部は、装置本体の正面を除く三方を、装置本体を形成する壁部によって取り囲むのが一般的であるが、フィニッシャ等の連結構造を考慮して、装置本体の排紙方向前方の側面を正面側に加えて開放した胴内排紙型の画像形成装置が提案されている。
【0004】
図11は一般的な胴内排紙型の排紙部を示す図である。排紙部上方に画像読み取り部(スキャナ部)114と排紙部下方に作像部(プリンタ部)110が設置され、画像読み取り部114と作像部110で挟む形でいわゆる胴内排紙部112(以下、単に排紙部とも称する)が設置されている。作像部110で作像された用紙は作像部110から縦搬送路を搬送され、定着された後、第1の排紙手段を構成する排紙ローラ45から排紙部112に排紙される。排紙された用紙は、排紙部112のスタック部50上に排紙され、スタックされる。
【0005】
なお、このような胴内排紙型の画像形成装置として、例えば特許文献1ないし4に記載されたものが公知である。
【特許文献1】特許第3287886号公報
【特許文献2】特許第3530311号公報
【特許文献3】特許第3611436号公報
【特許文献4】特許第3607807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図11に示した構成では、排紙部112が画像読み取り部114と作像部110との間に挟まれた空間であり、用紙は排紙部112の下側の面上に排紙される。そのため、立って作業するユーザの視点からは画像読み取り部114によってブラインドとなる部分が生じ、排紙された出力紙が確認しづらかった。
【0007】
また、画像が形成された出力紙を取り出す際に、上部に画像読み取り部114が位置しているため、かがんで取る体勢を取り、あるいは用紙が良く見えない状態で用紙を取る必要があり、省スペースという観点から見ると、非常に優れているが、使用性という観点から見ると問題があった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、省スペース性と使用性の両者を満足することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、画像形成済みの記録紙を排紙する排紙手段と、前記排紙手段によって排紙された記録紙を載置する載置手段とを備えた画像形成装置において、前記排紙手段によって排紙され、前記載置手段上に載置された記録紙を、所望の方向に移動させる移動手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、前記移動手段は、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して直交する第2の排紙方向であって、装置本体のユーザに対して手前側に前記記録紙を移動させる第1の移動手段を含むことを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第2の手段において、前記移動手段は、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して、平行な第3の排紙方向に前記記録紙を移動させる第2の移動手段を含むことを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第3の手段において、前記移動手段は前記第1及び第2の移動手段の駆動を組み合わせ、用紙を所望の位置まで回転させることを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第2の手段において、前記第1の移動手段が、前記記録紙に接触して搬送する搬送ベルトまたは搬送ローラのいずれかであることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第2の手段において、前記第1の移動手段が、前記記録紙を押して移動させる移動部材であることを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第2の手段において、前記第1の移動手段が、前記記録紙を傾斜により滑らせて移動させる傾斜面を備えた前記載置手段からなることを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第2の手段において、前記第1の移動手段が、前記載置手段の上面に移動可能に置かれた排紙トレイであり、前記記録紙の移動は前記排紙トレイを介して行われることを特徴とする。
【0017】
第9の手段は、第8の手段において、前記排紙トレイは、前記第2の排紙方向にトレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上に載置され、前記第2の排紙方向に移動することを特徴とする。
【0018】
第10の手段は、第8の手段において、前記排紙トレイは、前記第1の排紙方向トレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上、及び前記第2の排紙方向にトレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上に載置され、前記第2の排紙方向に加え、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して、平行な第3の排紙方向、第2及び第3の排紙方向を合成した回転方向に移動することを特徴とする。
【0019】
第11の手段は、第8ないし第10のいずれかの手段において、前記排紙トレイの手前側に前記用紙を把持するための切り欠きが設けられていることを特徴とする。
【0020】
第12の手段は、第11の手段において、前記切り欠きが前記排紙トレイの手前側の一方の角部に設けられていることを特徴とする。
【0021】
なお、第1ないし第12のいずれかの手段に係る画像形成装置では、前記装置本体の上部に原稿画像を読み取り画像読み取り装置が装備され、前記載置手段が装置本体の作像部の上部と前記画像読み取り装置の下部の空間部に設けられている。
【0022】
後述の実施形態では、排紙手段は排紙ローラ45に、載置手段はスタック部50または排紙トレイ141に、記録紙は用紙に、第1の排紙方向は符号133に、第2の排紙方向は符号134に、第3の排紙方向は符号144に、第1の移動手段は搬送ベルト131、(第1の)搬送ローラ137、移動部材138、傾斜面139、排紙トレイ140,141に、第2の移動手段は第2の搬送ローラ143、排紙トレイ140に、切り欠きは符号142に、画像読み取り装置は画像読み取り部114に、画像形成装置は複写機本体10に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、排紙手段によって排紙され、前記載置手段上に載置された記録紙を、所望の方向に移動させる移動手段を備えているので、省スペース性と使用性の両者を満足することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照し、この発明を実施するための最良の形態につき説明する。
【0025】
図1及び図2に本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真式カラー複写機を示す斜視図で、図1は本体正面の右上から、図2は左上から見た図である。
【0026】
図1及び図2において、複写機本体10は、画像を形成して記録媒体に転写する画像形成部110、その下に位置し、記録媒体を収納するとともに当該記録媒体を1枚ずつ取り出して順次画像形成部110に向けて搬送する媒体収納部111、記録済みの記録媒体を排出する胴内排紙部112、記録済みの記録媒体の裏面にも記録を行うときに反転して画像形成部110に再給紙する両面装置113、原稿画像を読み取る画像読み取り部114、表示パネルや操作釦を有する操作表示部115などを備える。
【0027】
図3は、図1及び図2に示したカラー複写機の複写機本体10の内部構成の概略を示す図である。同図において、複写機本体の画像形成部110には、4つの作像装置A、B、C、D、1次像担持装置E、2次像担持装置F、媒体搬送装置G、定着装置H、トナー補給装置Jなどを備えている。同様に、図中符号111は媒体収納部、符号112は胴内排紙部、符号113は両面装置、符号114は画像読み取り部をそれぞれ示す。
【0028】
4つの作像装置A、B、C、Dは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーを用いて異なる単色画像を形成するものであり、それぞれ回転可能に支持するドラム状の作像担持体12をタンデム式に並べて備え、それら各作像担持体12のまわりに、帯電部13、現像部14、作像転写部15、作像クリーニング部16、作像除電部17を配置している。更に、前記作像装置A、B、C、Dの下には、個々の作像担持体12上を各々別々別に露光する共通の露光部18が設けられている。なお、図では、作像装置Aのみ前記符号を付しているが、作像装置B,C,Dにおいても同様である。
【0029】
露光部18は、不図示の光源からのレーザ光を不図示の光学部品で作像担持体12の表面に向けて照射し、前記作像担持体12の表面を光学的に走査し、光書き込みを行うものである。
【0030】
1次像担持装置Eは、各作像装置A、B、C、Dで形成した画像をそれぞれ転写して担持するものであり、ベルト状の1次像担持体20を、各作像担持体12に接触させて、各作像担持体12とそれに対応する各作像転写部15との間を通して3つの1次ローラ21、22、23に掛け回し、まわりに1次クリーニング部24、1次転写部25を配置している。
【0031】
2次像担持装置Fは、1次像担持装置Eで担持する画像を1次転写して担持するものであり、ベルト状の2次像担持体30を、1次像担持体20に接触してそれとの間で所定の転写ニップを形成し、その1次像担持体20と1次転写部25との間を通して3つの2次ローラ32、33、34に掛け回し、まわりに2次クリーニング部35、2次転写部36が配置されている。
【0032】
媒体搬送装置Gは、1次像担持装置Eと2次像担持装置F間を通過して図中下方から上方へとのびる媒体搬送路を通して記録媒体Pを搬送するものである。この媒体搬送装置Gは、媒体収納容器40、供給ローラ41、媒体ガイド42、レジストローラ43、排出ガイド44、排紙ローラ45を備えている。媒体収納容器40は上下2段構成で、各々に記録媒体Pを収納する。給紙ローラ41は前記2段の媒体収納容器40から各々記録媒体Pを上から1枚ずつ送り出す。媒体ガイド42は、供給ローラ41によって送出された記録媒体Pを案内する。レジストローラ43は、ニップに媒体ガイド42で案内して搬送する記録媒体Pの先端を突き当てて止め、用紙の傾きを補正した上で、2次像担持体30上の画像とタイミングを取って記録媒体Pを送出す。排出ガイド44は画像定着後の記録媒体Pを案内し、排紙ローラ45は排出ガイド44で案内して搬送する記録媒体Pを排紙部112に向けて矢印a方向(後述の第1の排紙方向133に同じ)に排出する。なお、排紙ローラ45は2対設けられている。
【0033】
定着装置Hは、1次像担持装置E及び2次像担持装置Fから記録媒体Pに転写した転写画像を定着するものであり、一対の加熱ローラ47を備えている。また、トナー補給装置Jは、各作像装置A、B、C、Dに粉体ポンプ等を用いて新規トナーを補給するもので、トナー収納部52内に各色のトナーカートリッジ53を備えている。
【0034】
このカラー複写機で、記録媒体Pの表裏両面にカラー画像を形成するときは、画像読み取り部114のコンタクトガラス上に原稿をセットし、操作表示部115にあるスタートスイッチを押す。すると、作像担持体12、1次ローラ21、22、23の1つ、2次ローラ32、33、34の1つ、供給ローラ41などが、それぞれタイミングを取って回転する。
【0035】
各作像装置A、B、C、Dでは、個々の作像担持体12が図中時計まわりに回転するのにともない、それぞれ各帯電部13で表面を一様に帯電し、共通の露光部18からの個別の書き込み光で書き込みを行って色別の潜像を形成し、各現像部14で各色のトナーを付着して個々の作像担持体12上にそれぞれ色別のトナー画像を形成する。
【0036】
1次像担持装置Eでは、1次ローラ21、22、23の1つのローラを回転するとともに他の2つのローラを従動回転し、1次像担持体20を作像担持体12に同期して図中反時計まわりに回転搬送し、その1次像担持体20に、各作像転写部15でバイアス電圧を印加してそれぞれ作像担持体12上のトナー画像を順次転写し、4色重ね合わせた第1のフルカラー画像を形成する。
【0037】
画像転写後、各作像装置A、B、C、Dの作像担持体12では、それぞれ残留トナーが作像クリーニング部16で除去され、作像除電部17で除電される。その後、再び各帯電部13で帯電して露光部18で書き込みを行い、各現像部14で現像して個々の作像担持体12上にそれぞれ再度色別のトナー画像が形成される。
【0038】
2次像担持装置Fでは、2次ローラ32、33、34の1つのローラを回転するとともに他のローラを従動回転し、2次像担持体30を1次像担持体20に同期して図中時計まわりに回転搬送し、その2次像担持体30に、1次転写部25でバイアス電圧を印加して1次像担持体20上の画像を転写する。このとき、2次クリーニング部35は、支軸56を中心として回動して2次像担持体30から離れた、非クリーニング状態にある。
【0039】
画像転写後、1次像担持装置Eの1次像担持体20は、残留トナーを1次クリーニング部24で静電的に除去する。その後、再びその1次像担持体20上に各作像転写部15でそれぞれ作像担持体12上の画像を順次転写し、4色重ね合わせた第2のフルカラー画像を形成する。
【0040】
画像転写後、各作像装置A、B、C、Dの作像担持体12は、それぞれ残留トナーを作像クリーニング部16で除去し、作像除電部17で除電して次の作像サイクルに備える。
【0041】
一方、媒体搬送装置Gでは、適宜選択的に供給ローラ41の1つを回転して媒体収納容器40内の記録媒体Pを送り出し、媒体ガイド42で案内して先端をレジストローラ43間に突き当てて止め、上述した第1のフルカラー画像及び第2のフルカラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ43を回転し、1次像担持体20と2次像担持体30間の転写ニップに送り込む。
【0042】
そして、まず、転写ニップにて記録媒体Pの裏面側から1次転写部25でバイアス電圧を印加して、1次像担持体20上の第2のフルカラー画像を記録媒体Pの表面に転写し、次いで記録媒体Pを若干上方へと搬送したところで表面側から2次転写部36でバイアス電圧を印加して、2次像担持体30上の第1のフルカラー画像を記録媒体Pの裏面に転写する。その後、表裏両面に画像転写後の記録媒体Pを定着装置Hへと導き、一対の加熱ローラ47を通して熱と圧力とを加えて両面の転写画像を定着し、排出ガイド44で案内して不図示の切換爪で適宜振り分け、一方の排紙ローラ45で外装カバー10の外に排出し、排紙部112のスタック部50上に表面を下にしてフェイスダウンでスタックする。
【0043】
画像転写後、1次像担持装置Eの1次像担持体20は、残留トナーを1次クリーニング部24で除去する。また、2次像担持装置Fの2次像担持体30は、予め、2次クリーニング部35を、支軸56を中心として回動して2次像担持体30に接触させてクリーニング状態とし、その2次クリーニング部35で残留トナーを除去し、それぞれ次の画像担持に備える。
【0044】
使用により、各現像部14のトナーがなくなったときには、トナー補給装置Jのトナー収納部52の、対応するトナーカートリッジ53から粉体ポンプ等で搬送して同色のトナーを補給する。また、ジャムにより記録媒体Pの搬送が妨げられたときには、両面装置113を、支軸55を中心として矢印d方向に開き、媒体搬送路を開放してジャム処理を行う。
【0045】
このカラー複写機で、記録媒体Pの片面にフルカラー画像を形成するときは、作像装置A、B、C、Dの各作像担持体12上に形成した画像を1次像担持装置Eの1次像担持体20に転写して後、その画像を2次像担持装置Fの2次像担持体30に転写することなく、媒体搬送装置Gで搬送する記録媒体Pの片面に順次直接転写するようにする。そして、定着装置Hで転写画像を定着し、排出スタック装置Iにフェイスダウンで頁順に揃えて排出する。
【0046】
また、図示カラー複写機で、記録媒体Pに2色画像やモノクロ画像を形成するときは、4つの作像装置A、B、C、Dのうちの対応する色の作像装置を用いて画像を形成し、その画像を1次像担持装置Eの1次像担持体20や2次像担持装置Fの2次像担持体30を介して記録媒体Pに転写する。
【0047】
以下、排紙部112の各実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、排紙ローラ45は1対として示しているが、2対でも同様である。
【実施例1】
【0048】
図4は本実施形態における実施例1に係る画像形成装置としての複写機本体の排紙部の構成を示す図である。図Zに示したように、複写機本体10は排紙部112の上方に画像読み取り部(スキャナ部)114が、排紙部112の下方に作像部(プリンタ部)110が設置され、画像読み取り部114と作像部110で挟む形で排紙部112が設置されている。作像部110で作像された用紙130は作像部110から縦搬送路に沿って搬送され、定着された後、排紙ローラ45から排紙部112に排紙される。排紙された用紙130は、重力により排紙部112のスタック部50上に載置される。
【0049】
また、スタック部50の上面には、ユーザから見て装置の正面側135の方向(矢印134方向)に回転する無端状の搬送ベルト131が設けられている。このベルト131は用紙130の排紙方向に平行な2つの図示しないプーリ間に張設され、前記搬送ベルト131を矢印134方向に回転させることにより用紙130を第2の移動方向である矢印134方向に移動させることができる。搬送ベルト131は図示しないモータによって駆動され、モータは図示しない制御回路の指示に基づいて駆動される。矢印134方向は、前記矢印133方向から見ると直交する方向になり、これにより矢印133方向(第1の排紙方向)に排出された用紙130を矢印134方向(第2の排紙方向)に移動させ、画像形成装置の正面側135から突出させることができる。移動量は装置正面部分から指で楽につかめる量だけあれば十分である。また、この用紙130の移動に対応するため、スタック部50を複写機本体10の正面部分から所定量だけ突出させ、突出部136を設けるようにしても良い。床への投影面積を考えると、前記突出部136の分だけ面積は増加するが、操作側へ突出しただけであるので、側面を壁や他の機器に隣接させて使用できるだけでなく、操作性も保証できる。
【0050】
用紙130の複写機本体10の正面側への移動は、ユーザが指示したジョブが終了したときに行われる。それ故、複数枚の複写を1つのジョブとして行った場合には、その1つのジョブに対応する複写枚数の用紙が終了したときに前記移動が実行される。
【0051】
このように構成すると、排紙部112に排紙された用紙130を更にユーザから見て手前側に搬送することによって、ユーザの用紙130に対する視認性を向上させることができると共に、用紙130を取り出し易くすることが可能となる。
【0052】
なお、本実施例では、画像形成装置として複写機を例にとっているが、プリンタやファクシミリにおいても同様である。
【実施例2】
【0053】
図5は実施例2に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例2では、実施例1における搬送ベルト131を搬送ローラ137に置き換えたものである。この搬送ローラ137は図示しないモータによって駆動され、用紙130を矢印134方向、すなわち、ユーザ側から見て手前側に搬送することができる。これにより、実施例1と同様の効果を奏することになる。
【0054】
その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例3】
【0055】
図6は実施例3に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例3では、実施例1における搬送ベルト131に代えて排紙部112の奥側から手前側に用紙130を搬送する押し出し部材138としたものである。この押し出し部材を移動させる構成としては、例えばスクリューをモータによって駆動して移動させる構成、リニアモータを使用して移動させる構成、電磁力を利用して移動させる構成など種々の構成が適用できる。
【0056】
その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例4】
【0057】
図7は実施例4に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例4では、実施例1における搬送ベルト131に代えてスタック部50を複写機本体50の正面側が下がった傾斜面139としたものである。この実施例4では、第1の排紙方向133に排紙された用紙は、スタック部50に放出された後、第2の排紙方向に重力により自然に移動し、スタック部50の手前側にくることになる。
【0058】
この実施例では、図7に示すようにスタック部50の傾斜は平面状ではなく、曲面状に設けられている。このように曲面状に設け、手前側135を水平にしておくと、用紙130の手間側に当たる部分、言い換えれば移動方向先端部が摩擦力により水平部分で停止し、スタック部50から落ちてしまうことがない。これにより、用紙をユーザが取り易い部分まで移動させ、停止させることができる。
【0059】
このように構成すると、実施例1ないし3に示したようなモータや搬送ベルト131、搬送ローラ137のような搬送部材は不要となり、イニシャルコスト、ランニングコストの点で最もローコストな装置となる。
【0060】
その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例5】
【0061】
図8は実施例5に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例5では、実施例1における搬送ベルト131に代え、移動可能な排紙トレイ140としたものである。排紙トレイ140は排紙部112内に収まる大きさであり、排紙部112内に位置しているときには、複写機本体10の上からの投影面積内に収まる大きさとなって、実施例1のような突出部136は不要である。
【0062】
排紙トレイ140は、実施例2に示したような搬送ローラを排紙部112のスタック部50の手前側と奥側の2個所に平行に設置し、その上に載置することにより、第1の排紙方向133に対して直交する第2の排紙方向への往復動が可能となる。また、実施例3における押し出し部材138の駆動機構と同様に、スクリューをモータによって駆動して移動させる構成、リニアモータを使用して移動させる構成、電磁力を利用して移動させる構成など種々の駆動機構が適用できる。
【0063】
排紙トレイ140はユーザの1つのジョブ(作業単位)毎に手前側に移動させ、次のジョブが開始される前に、すなわち、同じユーザが他の書類の複写作業を開始する前、あるいは、他のユーザが複写作業を開始する前に手前に搬送し、次の作業が開始され、最初の用紙が排紙される前に奥側に戻るようにする。あるいは、1人のユーザが自分の作業を全て終了した時点で排紙トレイ140を手前に移動させ、取り出した時点で奥側に戻るようにしても良い。
【0064】
なお、これらの移動タイミングは、操作パネルからユーザが選択できるようにしておく。また、本実施例に限らず、スタック部50に排紙された用紙130の第2の排紙方向134への移動タイミングは操作パネルからユーザが選択できるようにしておくことが望ましい。
【0065】
その他の各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例6】
【0066】
図9は実施例6に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例6は前記実施例5における排紙トレイ140の手前側の角部に切り欠き142を設けた排紙トレイ141としたものである。
【0067】
切り欠き142の大きさは、ユーザの指もしくは手が入る大きさで、用紙140が排紙トレイ141から落ちることのない大きさ、あるいは、撓むことのない大きさに設定する。
【0068】
その他、特に説明しない各部は実施例1及び5と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例7】
【0069】
図10は実施例7に係る複写機本体10の排紙部112の構成を示す図である。この実施例7は第1及び第2の排紙方向133,134に加えて、更に第3の排紙方向に用紙を排紙できるようにした例である。
【0070】
実施例1ないし6において示した例は、複写機本体10の正面(操作部)側から用紙を取り出すことのみを前提としていた。これは、胴内排紙方式の画像形成装置が床に対する投影面積を小さくすることも目的としてなされた排紙方式のものであるからである。この胴内排紙方式の画像形成装置では、図1及び図2に示すように、一般に、排紙部112は本体の正面側(操作側−前面)135と、正面側135から見て左側145が開放され、この開放された部分から用紙130を取り出すことができるようになっている。すなわち、複写機本体10の左側145が壁や他の機器と隣接していない場合には、左側145からも取り出すことができる。
【0071】
しかし、この場合も用紙130はスタック部50上で排紙部112の内部に排紙され、しかも、小サイズであれば用紙先端部は左側145の開口部から遠い位置に位置していることになり、正面側よりも更に取り出しにくくなっている。そこで、本実施例では、第1の排紙方向133とは同方向ではあるが、一旦スタック部50に排紙された用紙130を更に第3の排紙方向144に移動させることができるようにしたものである。そこで、第3の排紙方向144に送るために本実施例では、実施例2における排紙ローラ137(以下、第1の排紙ローラと称す)に加えて第1の排紙方向133と平行に回転する複数の排紙ローラ143(以下、第2の排紙ローラと称す)をスタック部50に配置した。これら第1及び第2の排紙ローラ137,143はスタック部50の上面から同じ量突出して用紙130の下面と接触することができるようになっている。複数の第2の排紙ローラ143の回転軸は用紙の排紙方向である第1の排紙方向133と直交する方向、言い換えれば前記第1の排紙ローラ137の回転軸と直交する方向に設けられている。
【0072】
これにより、左側145から用紙130を取り出したい場合には、前記第2の排紙ローラ143を所定量駆動する。これにより、当該所定量に見合った搬送量だけ用紙を第3の排紙方向144に搬送することができる。この搬送量は、用紙サイズに応じて左側145の開放部との距離が変化するので、その距離に応じて図示しない制御回路側で左側145の開放部からの突出量を自動的に設定して搬送する。
【0073】
これにより、複写機本体10の左側からも用紙130を容易に取り出すことができる。
【0074】
この実施例では、第2の排紙方向134については第1の搬送ローラ137で、第3の排紙方向144については第2の搬送ローラ143で搬送することができるため、両者を組み合わせれば用紙130もしくは用紙束をスタック部50上で回転させることができる。すなわち、第1の搬送ローラ137を手前方向に回転させ、第2の搬送ローラ144を左側に回転させると、用紙は図示時計方向に回転し、用紙130の右手前側の角部が最も排紙部112から最も突出する。そこで、取り出すのに適した突出した時点で回転を停止するように設定しておけば、用紙130の右手前の角部が最も取り出し易い位置で突出しているので、この部分を持って取り出せば良い。
【0075】
逆に、第1の搬送ローラ137を手前方向に回転させ、第2の搬送ローラ144を右側に回転させると、用紙は図示反時計方向に回転し、用紙130の左手前側の角部が最も排紙部112から最も突出する。そこで、取り出すのに適した突出した時点で回転を停止するように設定しておけば、用紙130の左手前の角部が最も取り出し易い位置で突出しているので、この部分を持って取り出せば良い。
【0076】
なお、これらの回転操作においては、用紙130の角部が排紙部112の形成する壁面と干渉することがある。そのような場合には、予め用紙130が前記壁面と干渉しないように第2及び第3の方向に移動させ、その位置から回転させるようにすれば良い。
【0077】
更に、本実施例において、前記第1及び第2の搬送ローラ137,143の上に図8に示した実施例5の排紙トレイ141を載置すれば、用紙130は平面上に積載され、第2の排紙方向134、第3の排紙方向144、あるいは回転方向146の移動がスムーズに行える。回転方向に移動させて用紙130を取り出すように設定した場合、図9に示した実施例6の切り欠き142を設けると、回転して最も取り出し易い個所に切り欠き142が位置するよう制御することも可能になる。
【0078】
また、本実施例では、第1の搬送ローラ137と、複数の第2の搬送ローラ144とによって用紙130または排紙トレイ141を移動させているが、ローラ駆動に代えてベルト駆動とすることも、両者を組み合わせることも可能である。
【0079】
その他、特に説明しない各部は実施例1、5、6と同等に構成され、同等に機能する。
【0080】
なお、本実施形態においては、用紙を移動させる駆動機構についての詳細は特に説明していないが、公知の機械的手段を使用すれば、一方向の移動とその組み合わせなので、当業者であれば用意に実現することができる。
【0081】
また、本実施形態では、胴内排紙と称される排紙方式を取る複写機を例にとっているが、排紙部で用紙を移動させる形式のものであれば、胴内排紙方式の画像形成装置に限定されるものではない。
【0082】
以上のように本実施形態によれば、
1)排紙された用紙130を更に手前側に移動させるので、ユーザの用紙に対する視認性を向上させるとともに、用紙の取り出し性を向上させることができる。
2)移動機構として、無端状の搬送ベルト131、排紙ローラ137、移動部材138を導入し、これらを使用して移動させるので、簡単な構成で移動機構を実現することができる。
3)移動機構として傾斜面139を利用するので、移動させる動力が不要となり、低コストで移動機構を実現することができる。
4)移動機構としてスタック部50上に設けた排紙トレイ140そのものを移動させるので、移動させる際、積載された用紙が乱れることがない。
5)移動方向を組み合わせることにより、ユーザが最も取り出し易い方向に用紙もしくは用紙束を移動させることができる。
6)排紙トレイ141に切り欠き142を設けることにより、更に取り出し易くすることができる。
等の効果を奏する。
【0083】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項全てに及ぶことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真式カラー複写機を示す斜視図で、本体正面の右上から見た図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真式カラー複写機を示す斜視図で、本体正面の左上から見た図である。
【図3】図1及び図2に示したカラー複写機の複写機本体の内部構成の概略を示す図である。
【図4】本実施形態における実施例1に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図5】本実施形態における実施例2に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図6】本実施形態における実施例3に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図7】本実施形態における実施例4に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図8】本実施形態における実施例5に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図9】本実施形態における実施例6に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図10】本実施形態における実施例7に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【図11】従来例に係る複写機本体の排紙部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 複写機本体
45 排紙ローラ
50 スタック部
112 (胴内)排紙部
114 画像読み取り部
120 排紙部
131 搬送ベルト
133 第1の排紙方向
134 第2の排紙方向
134 正面側
137 (第1の)搬送ローラ
138 移動部材
139 傾斜面
140,141 排紙トレイ
142 切り欠き
143 第2の搬送ローラ
144 第3の排紙方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成済みの記録紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙された記録紙を載置する載置手段と、
を備え、
前記装置本体の上部に原稿画像を読み取り画像読み取り装置が装備され、
前記載置手段が装置本体の作像部の上部と前記画像読み取り装置の下部の空間部に設けられた画像形成装置において、
前記排紙手段によって排紙され、前記載置手段上に載置された記録紙を、所望の方向に移動させる移動手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記移動手段は、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して直交する第2の排紙方向であって、前記載置手段上で装置本体のユーザに対して手前側に前記記録紙を移動させる第1の移動手段を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記移動手段は、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して、平行な第3の排紙方向に前記記録紙を移動させる第2の移動手段を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記移動手段は前記第1及び第2の移動手段の駆動を組み合わせ、用紙を所望の位置まで回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2記載の画像形成装において、
前記第1の移動手段が、前記記録紙に接触して搬送する搬送ベルト及び搬送ローラのいずれかであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記第1の移動手段が、前記記録紙を押して移動させる移動部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記第1の移動手段が、前記記録紙を傾斜により滑らせて移動させる傾斜面を備えた前記載置手段からなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記第1の移動手段が、前記載置手段の上面に移動可能に置かれた排紙トレイであり、前記記録紙の移動は前記排紙トレイを介して行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記排紙トレイは、前記第2の排紙方向にトレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上に載置され、前記第2の排紙方向に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記排紙トレイは、前記第1の排紙方向トレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上、及び前記第2の排紙方向にトレイを移動させる搬送ベルトまたは搬送ローラ上に載置され、前記第2の排紙方向に加え、前記排紙手段によって記録紙が排紙される第1の排紙方向に対して、平行な第3の排紙方向、第2及び第3の排紙方向を合成した回転方向に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記排紙トレイの手前側に前記用紙を把持するための切り欠きが設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
前記切り欠きが前記排紙トレイの手前側の一方の角部に設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−220987(P2009−220987A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69664(P2008−69664)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】