説明

画像形成装置

【課題】簡素な構成でありながら、レーザ書込装置の冷却効率並びに防音化を向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像データを生成する画像読取ユニット11で生成された画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光を偏向するポリゴンミラーを備えたレーザ書込装置12と、ポリゴンミラーを覆うミラーカバーと、レーザ光源から斜設ミラーに至る光学系をユニット状態で覆う筐体と、筐体の底面を支持するベース16と、筐体を包囲する周壁としての側板14,15とを備えていると共に、画像読取ユニット11とベース16との間に位置するように開口部18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリ或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のプリンタ・複写機・ファクシミリ・スキャナ或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置、特に、電子写真方式の画像形成装置においては、レーザ書込装置を用いて感光体等の像担持体に形成された静電潜像を形成するのが一般的である。
【0003】
この際、レーザ書込装置は、画像形成装置の本体内部にレーザ光路を確保しつつ配置されているのが一般的である。
【0004】
また、レーザ書込装置が配置される場所は、画像形成装置がプリンタ・複写機・ファクシミリ等の専用機であるのか複合機であるのか、モノクロ機かフルカラー機か等、さらにはこれらの機種(グレード等)によって決定される画像形成部のレイアウトで異なるものの、大分すると像坦持体の上部または下部(特に、直上・直下)に配置されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
レーザ書込装置は、画像形成の元となる画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光をポリゴンミラーで反射し、その反射光を像担持体に照射・結像することで静電潜像を形成するが、これらの光学系は筐体内に配置されてユニット状態とされる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平06−043723号公報
【特許文献2】特開2007−171296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年における画像形成処理速度の高速化に伴い、ポリゴンミラーの回転速度も高速化され、これに起因する筐体内での回転音の発生や温度上昇を無視することができない状況にある。
【0007】
そこで、上述した特許文献1では、積極的に風路を形成してレーザ書込装置を冷却している。
【0008】
しかしながら、このような冷却構造は、その構造が複雑であるうえ、特に、フルカラーの画像形成装置にあっては、各色(例えば、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K))に対応したレーザ書込装置と像担持体とが配置されていることにより、一つの冷却ファンで取り入れた外気等をダクトで各レーザ書込装置に案内するのはダクト配管構造が複雑化して装置本体の大型化の要因となってしまうばかりでなく、充分な外気を取り入れることが困難であるという問題が生じていた。
【0009】
尚、上記引用文献1では、画像形成部とレーザ書込装置とは装置本体の内壁の一部を構成する一対の側板間に固定されている。
【0010】
このとき、一対の側板の最上縁部はレーザ書込装置の上面よりも高い位置にあるため、ポリゴンミラーの高回転により蓄熱したレーザ書込装置を冷却しようとして回転ファンによる風の流れを作るとすると、回転ファンの吸排気位置に側板があることになり冷却効率が阻害されるという問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、簡素な構成でありながら、レーザ書込装置の冷却効率並びに防音化を向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置は、画像データを生成する画像読取ユニットと、該画像読取ユニットで生成された画像データに基づいてレーザ光を照射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を走査方向に偏向するポリゴンミラーと、該ポリゴンミラーで偏向されたレーザ光を結像する結像レンズと、該結像レンズで結像したレーザ光を反射する斜設ミラーと、該斜設ミラーに対向配置された像担持体と、前記ポリゴンミラーを覆うミラーカバーと、前記レーザ光源から前記斜設ミラーに至る光学系をユニット状態で覆う筐体と、該筐体の底面を支持するベースと、前記筐体を包囲する周壁と、を備え、前記周壁には、前記画像読取ユニットと前記ベースとの間に位置するように開口部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この際、前記像担持体は前記ベースの下方に配置されているのが好ましい。
【0014】
また、前記周壁に前記筐体と対向する冷却ファンが設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置は、簡素な構成でありながら、レーザ書込装置の冷却効率並びに防音化を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機の正面図、図2は本発明の一実施形態に係る画像形成装置における配置関係の説明図、図3は本発明の一実施形態に係る画像形成装置における要部の配置関係の説明図、図4は本発明の一実施形態に係る画像形成装置における冷却構造のダクト配管前の説明図、図5は本発明の一実施形態に係る画像形成装置における冷却構造のダクト配管後の説明図、図6は本発明の一実施形態に係る画像形成装置に用いられるレーザ書込装置を簡略化した分解斜視図、図7本発明の一実施形態に係る画像形成装置に用いられるレーザ書込装置の要部の平面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機1は、装置本体2に引き出し可能に設けられた転写紙収納用の給紙カセット3,4,5,6と、複合機1を複写機或いはスキャナとして用いる場合に原稿を載置する自動原稿送り装置(ADF)7と、タッチパネル方式の液晶表示器8と併用して各種操作を行う操作部9と、画像形成処理後の転写紙を集積する排紙トレイ10とを備えている。
【0019】
また、図2乃至図5に示すように、装置本体2の内部には、ADF7で送り出した原稿の画像読み取りや図示しないパーソナルコンピュータ或いは電話回線(FAX)等から送信された印刷データを受信して画像データを生成する画像読取ユニット11と、画像データに基づいてレーザ光を出射するレーザ書込装置12と、レーザ書込装置12の下方に配置されて出射されたレーザ光が照射される感光体ドラム等の像担持体13と、装置本体2の内壁(周壁)の一部を構成するように対向配置された一対の側板14,15と、側板14,15の上方寄りに固定されたベース16と、側板14,15又はベース16から立ち上げられてその上端で画像読取ユニット11を支持する支柱17とを備えている。
【0020】
側板14,15は、操作部9側を前面とした場合、装置本体2の前後、即ち、像担持体13の両端側に配置されている。また、側板14,15の上端は、画像読取ユニット11とベース16との間に開口部18を有するように、その高さ方向の一部をレーザ書込装置12の上面よりも低くしている。さらに、側板14には、各レーザ書込装置12に対向するように冷却ファン19が設けられている。尚、冷却ファン19の高さは、画像読取ユニット11とベース16との離間距離と略同一としている。また、冷却ファン19の背面側から側板15に至る間には、ベース16に固定されたダクト20が配置されている。尚、このダクト20の中途部にはレーザ書込装置12の一部が位置している。
【0021】
支柱17は、円柱状又は角柱状とされ、装置本体2内の4角付近の側板14,15又はベース16から立ち上げられており、各上面で画像読取ユニット11を支持している。また、支柱17の高さは、レーザ書込装置12の上面と面一以上で画像読取ユニット11を支持する高さに設定されている。
【0022】
尚、本実施の形態では、フルカラーの複合機1として、各色(例えば、イエロー,マゼンダ,シアン,ブラック)に対応したレーザ書込装置12と像担持体13とが配置されている。また、画像読取ユニット11の機能並びに構成は公知のものであるため、その詳細な説明は省略する。
【0023】
図6及び図7に示すように、レーザ書込装置12は、図示を略する書込制御回路によって画像データに基づいてレーザ光を照射するレーザ光源21と、レーザ光源21から出射されたレーザ光を走査方向に偏向するポリゴンミラー22と、ポリゴンミラー22で偏向されたレーザ光を結像する結像レンズ23,24と、結像レンズ23,24で結像したレーザ光を像担持体13に向けて反射する斜設ミラー25と、ポリゴンミラー22を覆うミラーカバー26と、レーザ光源21から斜設ミラー25に至る光学系をユニット状態で覆う筐体27とを備えている。
【0024】
より具体的には、レーザ光源21は、画像データをレーザ光に変調して出射する。また、レーザ光源21から出射されたレーザ光は、例えば、コリメータレンズやプリズム等によって構成されるレンズ28,29によって平行光に変換される。
【0025】
ポリゴンミラー22は、平面視正六角形の平板状に形成されており、図示を略すモータ駆動により所定方向(図7では反時計回りの矢印方向)に回転しながらレンズ29を透過したレーザ光を結像レンズ23に向けて偏向するように構成されている。
【0026】
結像レンズ(例えば、fθレンズ)23,24は、互いのアーチ部分が対向するように筐体27内の適所に配設されており、ポリゴンミラー22で偏向されたレーザ光を像担持体13上で等速走査させる機能を有している。
【0027】
斜設ミラー25は、結像レンズ24からのレーザ光を筐体27の開口部27aを通過して像担持体13に導くために設けられている。
【0028】
ミラーカバー26は、レーザ光源21から出射されたレーザ光をポリゴンミラー22へと導くと共に、ポリゴンミラー22で偏向されたレーザ光を結像レンズ23へと導くように、開口部26aが形成されている。また、ミラーカバー26は、その開口部26aを除いたポリゴンミラー22の周囲並びに上方を覆うことによって、ポリゴンミラー22の高速回転に伴って発生する回転音等を筐体27の内部に漏れ難くしている。
【0029】
筐体27は、その上方を開放しており、カバー30によって閉成されている。また、筐体27には、ポリゴンミラー22の配設位置底面付近に多条放熱フィン27bが形成されている。尚、冷却ファン19は、多条放熱フィン27bと対向する位置に配置するのが好ましく、多条放熱フィン27bのフィン配列方向を装置本体2の左右方向に沿って配置することにより、冷却ファン19からの冷却風との接触面積を広く確保することができる。また、ダクト20の中途部に多条放熱フィン27bを位置させることで、より一層効率の良い冷却構造とすることができる。
【0030】
このような構成のレーザ書込装置12においては、レーザ光源21から発射されたレーザ光がレンズ28,29を介してポリゴンミラー22へと導かれる。そして、回転するポリゴンミラー22に入射したレーザ光は、ポリゴンミラー22の鏡面で反射偏向されたのち結像レンズ23,24を通って斜設ミラー25で反射されることにより、所定の走査方向に水平走査されながらその走査方向と直交する軸心回りに回転する像担持体13上の露光位置に導かれるようになっている。なお、ポリゴンミラー22が一定速度で回転駆動するように構成しているため、結像レンズ23,24を透過して像担持体13の表面に到達するレーザ光が像担持体13上を一定速度で走査して像担持体13上の電荷を除去して静電潜像を形成する。
【0031】
そして、この静電潜像を形成する際のポリゴンミラー22の高速回転に伴う回転音等の音漏れ並びに発熱は、ミラーカバー26と筐体27とでユニット単位で抑制していることから、画像読取ユニット11とベース16との間に開口部18を形成しても、その開口部18から音漏れすることが防止されている。
【0032】
従って、多条放熱フィン27b並びにそれ以外の筐体27に発生した熱は、側板14,15の上端をレーザ書込装置12の上面よりも低くすることで画像読取ユニット11とベース16との間に形成された開口部18から効率良く排出することができる。
【0033】
このように、本発明の画像形成装置としての複合機1によれば、画像データを生成する画像読取ユニット11と、画像読取ユニット11で生成された画像データに基づいてレーザ光を照射するレーザ光源21と、レーザ光源21から出射されたレーザ光を走査方向に偏向するポリゴンミラー22と、ポリゴンミラー22で偏向されたレーザ光を結像する結像レンズ23,24と、結像レンズ23,24で結像したレーザ光を反射する斜設ミラー25と、斜設ミラー25に対向配置された像担持体13と、ポリゴンミラー22を覆うミラーカバー26と、レーザ光源21から斜設ミラー25に至る光学系をユニット状態で覆う筐体27と、筐体27の底面を支持するベース16と、筐体27を包囲する周壁としての側板14,15とを備えていると共に、画像読取ユニット11とベース16との間に位置するように開口部18が形成されていることにより、簡素な構成でありながら、レーザ書込装置12の冷却効率並びに防音化を向上することができる。
【0034】
ところで、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置をフルカラーの複合機1に適用して説明したが、例えば、プリンタ・複写機・ファクシミリ等の専用機やモノクロ機等、画像形成装置全般に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における配置関係の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における要部の配置関係の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における冷却構造のダクト配管前の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における冷却構造のダクト配管後の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に用いられるレーザ書込装置を簡略化した分解斜視図である。
【図7】発明の一実施形態に係る画像形成装置に用いられるレーザ書込装置の要部の平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…複合機(画像形成装置)
2…装置本体
11…画像読取ユニット
12…レーザ書込装置
13…像担持体
14…側板(周壁)
15…側便(周壁)
16…ベース
17…支柱
18…開口
21…レーザ光源
22…ポリゴンミラー
23…結像レンズ
24…結像レンズ
25…斜設ミラー
26…ミラーカバー
27…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを生成する画像読取ユニットと、該画像読取ユニットで生成された画像データに基づいてレーザ光を照射するレーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を走査方向に偏向するポリゴンミラーと、該ポリゴンミラーで偏向されたレーザ光を結像する結像レンズと、該結像レンズで結像したレーザ光を反射する斜設ミラーと、該斜設ミラーに対向配置された像担持体と、前記ポリゴンミラーを覆うミラーカバーと、前記レーザ光源から前記斜設ミラーに至る光学系をユニット状態で覆う筐体と、該筐体の底面を支持するベースと、前記筐体を包囲する周壁と、を備え、
前記周壁には、前記画像読取ユニットと前記ベースとの間に位置するように開口部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体が前記ベースの下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記周壁に前記筐体と対向する冷却ファンが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42429(P2009−42429A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206232(P2007−206232)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】