画像形成装置
【課題】搬送ベルトのクリーニングを行って記録媒体の裏汚れを防止する。
【解決手段】画像形成装置1は、複数の感光ドラム6(=6K〜6C)と、記録媒体Sを担持搬送する搬送ベルト12と、各感光ドラム6上のトナー画像を記録媒体Sに転写する各転写ローラ4(=4K〜4C)と、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段と、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段と、各感光ドラム6、搬送ベルト12、各転写ローラ4、及び幅情報入力手段を制御する制御手段とを有している。制御手段は、幅情報入力手段によって入力された幅情報に基づいて、各感光ドラム6上のトナー画像を搬送ベルト12上に転写する時とは逆極性のバイアスを各転写ローラ4に印加する。
【解決手段】画像形成装置1は、複数の感光ドラム6(=6K〜6C)と、記録媒体Sを担持搬送する搬送ベルト12と、各感光ドラム6上のトナー画像を記録媒体Sに転写する各転写ローラ4(=4K〜4C)と、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段と、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段と、各感光ドラム6、搬送ベルト12、各転写ローラ4、及び幅情報入力手段を制御する制御手段とを有している。制御手段は、幅情報入力手段によって入力された幅情報に基づいて、各感光ドラム6上のトナー画像を搬送ベルト12上に転写する時とは逆極性のバイアスを各転写ローラ4に印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写することにより画像を形成する電子写真方式の電子写真プリンタ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデム方式のカラー電子写真プリンタ等の画像形成装置では、記録媒体を搬送するための搬送ベルト上のトナーをクリーニングする場合、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、非印刷動作時に転写ローラに適切なバイアスを印加して、搬送ベルト上のトナーを感光体に逆転写してクリーニングしていた。
【0003】
【特許文献1】特開2007−316185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に記載された従来画像形成装置では、幅の狭い記録媒体へのトナ一画像転写を繰り返した後に幅の広い記録媒体を搬送ベルトに吸着すると、左右両端部で裏汚れが発生しやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、記録媒体を担持搬送する記録媒体担持体と、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体の幅情報を入力する幅情報入力手段と、前記像担持体、前記記録媒体担持体、前記転写手段、及び前記幅情報入力手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記幅情報入力手段によって入力された前記幅情報に基づいて、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷に用いる記録媒体が前回の印刷に用いた記録媒体よりも幅が広い時に、クリーニング動作を起動することができるので、記録媒体担持体上の記録媒体の吸着領域外に付着したトナーが、より幅の広い記録媒体の吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0008】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像形成装置(例えば、カラー画像形成装置)の構成例を示す概略の断面図である。図2(a)〜(c)は、図1のカラー画像形成装置に設けられる記録媒体幅検出機構を示す概略の構成図であり、同図(a)は外観の斜視図、同図(b)はその内部機構の模式図、及び、同図(c)は同図(b)中の部分拡大図である。
【0009】
図1に示すカラー画像形成装置1は、例えば、直接転写方式であるタンデム方式の電子写真プリンタであり、感光体、帯電手段、露光手段、及び現像手段等からなる4つの独立した画像形成ユニットである印刷機構2(=2K,2Y,2M,2C)を備え、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ユニットとして、搬送ベルト上に吸着されて搬送されてくる記録媒体S(例えば、用紙)上にトナー画像を重ね合わせながら転写することでフルカラー画像を形成する装置である。
【0010】
ここで、4つの印刷機構2(=2K,2Y,2M,2C)は、ブラックK、イエローY、マゼンタM、シアンCの画像を記録するための電子写真式の発光ダイオード(以下「LED」という。)プリント機構であり、記録媒体Sの挿入側から排出側へ向かう搬送路に沿って配置されている。
【0011】
各印刷機構2(=2K〜2C)の内部は、同様の構成であり、それぞれ像担持体(例えば、感光ドラム)6(=6K,6Y,6M,6C)を有している。各感光ドラム6の周囲には、この感光ドラム6を一様に帯電させる帯電ローラ(チャージローラ)5(=5K,5Y,5M,5C)、帯電された感光ドラム6に静電潜像を書き込むLEDヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)、静電潜像をトナーで現像する現像器ユニット11(=11K,11Y,11M,11C)、及び、感光ドラム表面をクリーニングするクリーニングブレード36(=36K,36Y,36M,36C)がそれぞれ配置されている。各現像器ユニット11(=11K〜11C)の上部には、各トナーカートリッジ10(=10K,10Y,10M,10C)が配置され、各現像器ユニット11にトナーを供給している。各現像器ユニット11は、各現像ローラ7(=7K,7Y,7M,7C)、この現像ローラ表面にトナーを擦りつけて帯電させながら供給する各スポンジローラ9(=9K,9Y,9M,9C)、及び、現像ローラ表面に供給されたトナーを薄層に均す各現像ブレード8(=8K,8Y,8M,8C)によりそれぞれ構成されている。
【0012】
各印刷機構2の下側には、記録媒体担持体(例えば、搬送ベルト)12と、この搬送ベルト12に接する転写手段(例えば、転写ローラ)4(=4K,4Y,4M,4C)とが設けられている。搬送ベルト12は、例えば、継目無しのエンドレス状に形成されている高抵抗の半導電性プラスチックフィルムであって、駆動ローラ13及び従動ローラ14に巻掛けられており、図示しないテンションばねにて図1中の矢印f方向にテンションが与えられている。駆動ローラ13は、図示しないベルトモータに回転駆動され、搬送ベルト12を図1中の矢印e方向に回転する。搬送ベルト12は、各感光ドラム6(=6K〜6C)と各転写ローラ4(=4K〜4C)との間に掛け渡されている。
【0013】
カラー画像形成装置1の右下側には、搬送路に記録媒体Sを供給するための給紙機構が設けられている。この給紙機構は、記録媒体収容カセット19、この記録媒体収容カセット19から記録媒体Sを送り出すホッピングローラ16、記録媒体Sを感光ドラム6Kと搬送ベルト12のニップ部に送り出すレジストローラ17、及び記録媒体Sのスキューを補正するピンチローラ18により構成されている。記録媒体収容カセット19は、図2に示す記録媒体幅検出機構101と一体となっている。
【0014】
レジストローラ17の近傍にはレジストセンサ21が配置され、更に、定着器28の出力側に排出センサ23が配置されている。レジストセンサ21及び排出センサ23は、いずれも記録媒体Sの先端位置と後端位置の通過タイミングを検出するためのセンサであって、画像形成タイミングを計ったり給紙ジャムや排出ジャムを監祝したりしている。定着器28は、ヒータ59が内蔵されたヒートローラ25、加圧ローラ26、及びサーミスタ27から構成されており、搬送ベルト12から分離された記録媒体Sに転写されたトナー画像を、溶融定着させている。定着器28にてトナー画像が定着された記録媒体Sは、最終的にガイド29を通過してスタッカ30に排出される構成となっている。なお、カラー画像生成装置1の筐体内には、環境温度センサ34等が設置されている。
【0015】
図2に示す記録媒体幅検出機構101は、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段としての機能を有している。この記録媒体幅検出機構101は、記録媒体収容カセット19と一体となっており、記録媒体Sの幅と同調する移動可能な媒体固定板102及び103と、この媒体幅固定板102及び103の間隔が狭くなると上から見て反時計回りに、広くなると時計周りに回転するギヤ104と、このギヤ104の回転を伝達する複数のギヤ105〜107と、このギヤ107によって回転されるカム108と、このカム108の回転角度に応じてオン/オフされるスイッチ109とにより構成されている。
【0016】
図3は、図2の媒体幅検知方法を説明するためのカム108とスイッチ109の詳細な構成を示す図である。図4は、図3における媒体幅検知スイッチ出力と記録媒体幅の関係を示す図である。
【0017】
カム108には、互いに周期が1対2対4対8になるように凹凸がつけられたリングが4個はめられており、4個のスイッチ109(=109a,109b,109c,109d)をオン/オフ動作させる。カム108の回転角度は、媒体固定板102及び103の間隔、即ち記録媒体Sの幅に連動しているので、記録媒体Sの幅によってスイッチ109a〜109dのオン/オフの組み合わせが変化する。例えば、カム108とスイッチ109a〜109dが位置Aで接触していれば、スイッチ109a〜109dのオン/オフ組み合わせは(オフ、オン、オン、オフ)であり、位置Bで接触していれば、オン/オフの組み合わせは(オン、オフ、オン、オフ)である。このようにスイッチ109a〜109dのオン/オフの組み合わせは、記録媒体Sに対応しており、図4に示す変換表110によって記録媒体Sの幅に読み替えられる。
【0018】
図5は、図1のカラー画像生成装置1における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【0019】
この制御回路には、図示しないホストコンピュータ(以下単に「ホスト」という。)側からのコマンド及び画像データを解釈あるいはビットマップに展開するコマンド/画像処理部51が設けられている。コマンド/画像処理部51は、マイクロプロセッサ(以下「MPU」という。)、メモリ(例えば、随時読み書き可能なメモリ(以下「RAM」という。))、及びビットマップ展開のための特別なハードウエア等からなり、カラー画像形成装置1の全体を制御する機能と、ビットマップに展開された画像データを各LEDヘッド3(=3K〜3C)に送信する機能等とを有している。コマンド/画像処理部51には、制御手段である機構制御部53が接続されている。
【0020】
機構制御部53には、センサ21,23、サーミスタ27、環境温度センサ34、ホッピングモータ54、レジストモータ55、ベルトモータ56、ヒータモータ57、ドラムモータ58、ヒータ59、高圧制御部60、不揮発性メモリ等のメモリ(例えば、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(以下「EEPROM」という。))66、メモリ(例えば、フラッシュメモリ)68、及び媒体幅検知機構101等が接続されている。
【0021】
機構制御部53は、コマンド/画像処理部51からの指令に従い、各センサ21,22等の出力の監視、各モータ54〜58とヒータ59の制御、高圧制御部60への各高圧出力の指示等を行う機能と、記録媒体担持体走行距離検出手段(例えば、搬送ベルトの走行距離を検出する手段)又は像担持体走行距離検出手段(例えば、感光ドラムの走行距離を検出する手段)としての機能とを有している。ヒータ59は、図1に示すヒートローラ25の中に配置される例えばハロゲンランプであり、そのヒートローラ25上に配置されたサーミスタ27により、機構制御部53で監視されている。機構制御部53に接続されたEEPROM66及びフラッシュメモリ68の内、フラッシュメモリ68には、制御プログラムが記憶されており、搬送ベルトクリーニング動作プログラムも含まれている。一方、EEPROM66には、印刷に使用した記録媒体Sのサイズ情報を記憶する領域が設けてあり、印刷の度に機構制御部53がサイズ情報を更新している。
【0022】
機構制御部53に接続された高圧制御部60は、MPUあるいはカスタムの大規模集積回路(以下「LSI」という。)等から構成されている。機構制御部53には、チャージバイアス供給部61、現像バイアス供給部62、スポンジバイアス供給部65、プラス極性の転写バイアスTR+を供給するTR+バイアス供給部63、及び、マイナス極性の転写バイアスTR−を供給すTR−バイアス供給部64が接続され、このTR+バイアス供給部63及びTR−バイアス供給部64に、TR+スイッチ70及びTR−スイッチ71がそれぞれ接続され、更に、チャージバイアス供給部61、現像バイア供給部62、スポンジバイア供給部65、TR+スイッチ70、及びTR−スイッチ71の出力側に、各印刷機構部2(=2K〜2C)が接続されている。
【0023】
高圧制御部60は、各印刷機構2(=2K〜2C)に対するチャージバイアス、現像バイアス、スポンジバイアス、転写バイアス等の生成を司っている。チャージバイアス供給部61は、各チャージローラ5(=5K〜5C)へのチャージバイアスの供給、現像バイアス供給部62は、各現像ローラ7(=7K〜7C)への現像バイアスの供給、スポンジバイアス供給部65は、各スポンジローラ9(=9K〜9C)へのスポンジバイアスの供給をそれぞれ行っている。TR+バイアス供給部63は、各転写ローラ4(=4K〜4C)に対してプラス極性の転写バイアスTR+を供給しており、TR−バイアス供給部64は、各転写ローラ4(=4K〜4C)に対してマイナス極性の転写バイアスTR−を供給している。このTR+バイアス供給部63及びTR−バイアス供給部64には、電流/電圧検出回路が設けられ、この回路により定電流あるいは定電圧に制御を行っている。
【0024】
(実施例1の通常の印刷動作)
図6は、図1におけるトナーの帯電分布を説明する図である。
【0025】
図1、図5、図6等を参照しつつ、本実施例1のカラー画像形成装置1における通常の印刷動作を説明する。
【0026】
先ず、カラー画像形成装置1は、外部装置であるホストから送られてきた画像データを受信すると、コマンド/画像処理部51が機構制御部53に指示を出し、定着器28のウオームアップを開始する。機構制御部53は、サーミスタ27の出力を参照しながらヒータ59をオン/オフして、定着器28の温度が記録媒体S上とトナー画像を定着可能な温度に到達すると印刷動作に入る。
【0027】
機構制御部53は、ベルトモータ56及びドラムモータ58を制御して、ベルト駆動ローラ13及び各印刷機構2(=2K〜2C)を駆動する。機構制御部53は同時に、高圧制御部60に指令を出し、チャージバイアス供給部61、現像バイアス供給部62及びスポンジバイアス供給部65をオンして、各印刷機構2に所定の高電圧バイアスを供給する。
【0028】
ここで、各印刷機構2の内部の詳細動作について、印刷機構2Kを例にとって説明する。他の印刷機構2Y〜2Cについては同様なので省略する。
【0029】
高圧制御部60が高圧の各バイアス供給部61,62,65をオンすると、チャージローラ5Kには−1200Vのチャージバイアスが供給されて、感光ドラム6Kの表面を−600Vに帯電させる。又、現像ローラ7Kには−200Vの現像バイアスが供給されると共に、スポンジローラ9Kには250Vのスポンジバイアスが供給され、現像ローラ7Kとスポンジローラ9Kのニップ領域近傍では、現像ローラ7Kからスポンジローラ9Kに向かう方向の電界が形成される。
【0030】
トナーカートリッジ10Kから現像器ユニット11Kに供給されたトナーは、スポンジローラ9Kと現像ローラ7Kに強く擦られて摩擦帯電する。本実施例1においては、各スポンジローラ9及び各現像ローラ7の特性によって、トナーはマイナス極性に帯電するトナーと、各スポンジローラ9及び各現像ローラ7の特性とが組み合わされており、全体の平均としては、トナーはマイナスに帯電される。しかしながら、個々のトナーの帯電量は、図6に示すようにさまざまで、プラス極性あるいはほぼ無帯電のトナー(以下「帯電不良トナー」という。)も発生する。
【0031】
マイナス極性に摩擦帯電されたトナーは、現像ローラ7Kからスポンジローラ9Kの方向を向いた電界から受けるクーロン力によって、現像ローラ7K上に付着する。付着したトナーは、現像ローラ7Kの回転に伴って、この現像ローラ7Kと現像ブレード8Kの接触部に運ばれ、この現像ブレード8Kによって均一な厚さにならされる。現像ローラ7Kは更に回転を続けて、均一にならされたトナー層を感光ドラム6Kとのニップ部に運ばれる。なお、図6に示された帯電不良トナーも、ファンデルワールス力等によって現像ローラ7Kに付着するため、この現像ローラ7K上に形成されたトナー層には、このような帯電不良トナーも含まれる。
【0032】
各印刷機構2が駆動され始めるのと同時に、機構制御部53はホッピングモータ54を駆動し、給紙ローラ16を回転させ、記録媒体収容カセット19内の記録媒体Sを1枚だけガイド20へ送る。機構制御部53は、レジスト用センサ21の出力を監視して、記録媒体Sの先端がレジストローラ17とピンチローラ18の間に到達したことを検出すると、ホッピングモータ54が停止する。続いて、機構制御部53は、レジストモータ55を回転させてレジストローラ17を回転させ、記録媒体Sを感光ドラム6Kと搬送ベルト12とのニップ部に送り出す。
【0033】
次に、コマンド/画像処理部記51は、記録媒体Sが感光ドラム6Kと転写ベルト12のニップ領域に到達するタイミングを、レジスト用センサ21が記録媒体Sの先端を検出したタイミングから計算し、LEDヘッド3Kに画像データを送信する。LEDヘッド3Kは、送信された画像データに対応するLEDを点滅させて、−600Vに帯電された感光ドラム6Kを露光して−50V除電し、静電潜像を書き込む。
【0034】
感光ドラム6Kの回転に伴って、LEDヘッド3Kに書き込まれた静電潜像は、現像ローラ7Kとのニップ領域に到達する。現像ローラ7Kと感光ドラム6Kの間には、−50Vに除電された露光領域は感光ドラム6Kから現像ローラ7Kに向かう方向の電界が、−600Vのまま除電されていない非露光領域には逆向きの電界が形成されるので、現像ローラ7K上に形成されたマイナスに帯電したトナー層から、露光領域にのみ選択的にトナーが付着する。この時、前述の通り現像ローラ7K上のトナー層には帯電不良トナーも含まれており、これらはクーロン力やファンデルワールス力によって感光ドラム6K上の非画像形成部に付着する場合があり、このようなトナーを「カブリトナー」と呼ぶ。
【0035】
記録媒体Sの先端が感光ドラム6Kと転写ローラ4Kの間に到達した時点で、機構制御部53は、高圧制御部60に指令を出し、ブラックKの転写用電源であるTR+バイアス供給部63をオンする。転写ローラ4Kには、+1500Vの転写バイアスTR+が供給され、記録媒体Sから感光ドラム6Kに向かう電界が、記録媒体Sと感光ドラム6Kの間に形成される。これにより、感光ドラム6K表面のトナー画像は、転写ローラ4Kにより電気的に記録媒体S上に転写される。感光ドラム6Kの回転により、トナー画像は次々に記録媒体S上に転写され、1ページ分のブラック(K)画像が記録媒体Sに転写される。
【0036】
以上により、印刷機構2Kによる記録媒体SへのブラックKのトナー画像の転写が終了する。なお、前述の通り感光ドラム6Kの非露光部にはカブリトナーが付着しており、このようなカブリトナーは感光ドラム6Kと転写ローラ4Kの転写ニップ部で、記録媒体S上の非画像部や搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着していない部分に、ファンデルワールス力等によってある割合で転写される。
【0037】
搬送ベルト12は引続き移動しており、記録媒体Sは印刷機構2Kから印刷機構2Yへ移り、次に印刷機構2Yによるイエローのトナー画像の転写が行われる。イエローの画像形成動作は、ブラックKの画像形成動作と同様である。以下、マゼンタM、シアンCと連続して同様に画像が転写される。記録媒体Sは引き続き搬送ベルト12により搬送されて、定着器28へ案内される。
【0038】
記録媒体Sが定着器28に到達すると、既に定着可能温度に到達しているヒートローラ25と、これに圧接する加圧ローラ26に挟持搬送されて、トナー画像が記録媒体Sに定着される。定着が終了すると、記録媒体Sはガイド29に案内されて排出スタッカ30へ排出され、印刷動作が完了する。以上のようにして、給紙機構19から繰り出された記録媒体Sに、カラー画像が記録される。
【0039】
ところで、前記のカラー画像形成動作では、搬送ベルト12上の転写動作時に記録媒体Sが吸着していなかった部分にカブリトナーが付着する。搬送ベルト12にカブリトナーが付着している部分に記録媒体Sが吸着すると、カブリトナーが記録媒体Sの裏に付着して裏汚れを発生するので、搬送ベルト12上のカブリトナーをクリーニングする手段が必要である。
【0040】
次に、本実施例1でのクリーニング方法、即ち、各感光ドラム6への逆転写によるクリーニング方法を説明する。
【0041】
(実施例1のクリーニング方法)
図7は、図5における転写正バイアス印加と逆バイアス印加の切り替えを説明する図、図8は、本実施例1のクリーニング動作を説明するタイムチャート、及び、図9は、本実施例1の放電を説明する模式図である。
【0042】
機構制御部53は、搬送ベルトクリーニング動作の起動を判定すると、通常の印刷動作時と同様に、ベルトモータ56及びドラムモータ58を起動し、搬送ベルト12及び各印刷機構2を駆動する。続いて、機構制御部53は、高圧制御部60に指令を出し、図7に示す各TR+スイッチ70(=70K〜70C)とTR−スイッチ71(=71K〜71C)を交互にオン/オフし、転写バイアスTR+とTR−を交互に各転写ローラ4に印加する。転写バイアスTR+とTR−は、図8に示すように周期Tlで切り替える。
【0043】
周期T1は、転写ベルト12が、ある感光ドラム(例えば、6K)の転写ニップ位置から、隣に位置する感光ドラム(例えば、6Y)の転写ニップ位置まで走行する時間と等しくなるように設定する。例えば、感光ドラム6間の距離が80mm、転写ベルト12の走行速度が160mm/秒の場合、周期T1は0.5秒に設定する。
【0044】
各TR−スイッチ70がオンして供給される転写バイアスTR−は−2000Vであり、転写ベルト12上のマイナス帯電トナーが、各感光ドラム6に逆転送されてクリーニングされる。周期T1が経過すると、今度は各TR−スイッチ71がオフ、各TR+スイッチ70がオンして、各転写ローラ4に+3000Vの転写バイアスTR+が供給される。各転写ローラ4に+3000Vが供給されると、図9に示すように、各感光ドラム6と転写ベルト12の間で放電が発生し、転写ベルト12上のプラス帯電トナーにマイナス電荷が供給されて、帯電極性がマイナスへと変化する。
【0045】
各転写ローラ4に+3000Vの転写バイアスTR+が供給されてから周期Tlが経過すると、再び各TR−スイッチ71がオン、各TR+スイッチ70がオフして、各転写ローラ4に−2000Vの転写バイアスTR−が供給されて、転写バイアスTR+の供給時に放電によって帯電極性がマイナスへと変化したトナーが、各感光ドラム6に逆転写されてクリーニングされる。
【0046】
以上の動作を転写ベルト12が2周する間繰り返すことで、転写ベルト12上のカブリトナーが十分にクリーニングされる。
【0047】
(実施例1のクリーニング動作起動判定方法)
図10は、本実施例1におけるクリーニング動作起動判定方法を示すフローチャートである。図11は、図10におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【0048】
図10のフローチャートにおいて、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS1)、機構制御部53は、媒体幅検知機構101における各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図11に示す判定テーブル111に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS2)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を読み出し(ステップ)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS4)。
【0049】
ステップS4において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合、機構制御部53は、クリーニング動作を起動する(ステップS5)。クリーニング動作が終了すると、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を、今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅に更新し(ステップ6)、印刷ジョブが実行される(ステップS7)。
【0050】
これに対し、ステップS4において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合(Y)、ステップS6へスキップして、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を、今回印刷に用いられる記録媒体の幅に更新し、ステップS7の印刷ジョブの実行へと進む。
【0051】
以上のようにして、記録媒体Sの幅が前回の印刷動作時よりも広くなった場合に、記録媒体Sが搬送ベルト12に吸着する前に、搬送ベルト12のクリーニングを実施することができる。
【0052】
(実施例1の変形例)
本実施例1においては、記録媒体収容カセット19と一体となっている記録媒体幅検出機構101によって記録媒体Sの幅を検出する構成について説明したが、記録媒体Sの幅を検出する方法については、これに限るものではない。オペパネルやプリンタドライバ等から入力する等、別の方法で記録媒体Sの幅を検知しても同様の効果を得られることは明らかである。
【0053】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い時に、ベルトクリーニング動作を起動することができるので、搬送ベルト12上の記録媒体Sの吸着領域外に付着したカブリトナーが、より幅の広い記録媒体Sの吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを防止することができる。
【0054】
(比較例)
従来、カラー電子写真プリンタ等のカラー画像形成装置においては、感光ドラム表面に形成された静電潜像に、現像器ユニット内で所定の電圧に摩擦帯電されたトナーを付着させて現像するが、一部のトナーが本来とは逆極性に帯電あるいはほとんど帯電せずに、感光ドラム表面の静電潜像が形成されていない領域にカブリトナーとして付着する場合がある。このようなカブリトナーは、搬送ベルト上の記録媒体が吸着していない部分に付着し、後の印刷工程でこの部分に記録媒体が吸着されると、記録媒体の裏汚れが発生する場合があるので、搬送ベルトのクリーニングが必要となる。そこで、従来のカラー画像形成装置では、非印刷動作時に転写ローラに適切なバイアスを印加して、搬送ベルト上のトナーを感光ドラムに逆転写してクリーニングしている。
【0055】
しかし、単に、搬送ベルト上のカブリトナーを感光ドラムに逆転写してクリーニングする方式では、記録媒体へのトナー画像の転写動作において、感光ドラムから搬送ベルトへのカブリトナーの移動は、感光ドラムが搬送ベルトに接触する度に発生するので、感光ドラムの搬送ベルトへの接触が繰り返されると、カブリトナーが蓄積し付着量が増加する。そのため、幅の狭い記録媒体へのトナー画像の転写を繰り返すと、記録媒体が吸着されず常に感光ドラムが搬送ベルトに接触している領域で、記録媒体が吸着される領域に比べてカブリトナー付着量が急速に増加するという問題が発生する。一方、搬送ベルト上のカブリトナー付着量が一定レベル以上になると、記録媒体が搬送ベルトに吸着する際に裏側にカブリトナーが付着し裏汚れが発生する。そのため、幅の狭い記録媒体へのトナー画像転写を繰り返した後に幅の広い記録媒体を搬送ベルトに吸着すると、左右両端部で裏汚れが発生しやすいという問題がある。
【0056】
これに対し、本実施例1では、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い時に、ベルトクリーニング動作を起動する構成にしているので、搬送ベルト12上の記録媒体Sの吸着領域外に付着したカブリトナーが、より幅の広い記録媒体Sの吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを、的確に防止することができる。
【実施例2】
【0057】
図12は、本発明の実施例2における印刷枚数とカブリトナー蓄積の関係を示す図である。
【0058】
実施例1では、印刷に用いられる記録媒体Sの幅が前回の印刷に用いられた記録媒体Sの幅より広くなった場合に逆転写クリーニングの実行を判定するようにしたので、前回の印刷で記録媒体幅より外側の搬送ベルト12上に付着したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止している。
【0059】
しかし、実施例1の構成では、記録媒体Sの幅が前回の記録媒体Sよりも広いことが逆転写クリーニングを起動する判定条件になっているので、例えば、幅が異なる記録媒体Sを交互に印刷したりすると、逆転写クリーニング動作が頻繁に起動されて、パフォーマンスの低下を招いたり、クリーニング動作のために費やされる走行距離が増えて搬送ベルト12や各感光ドラム6の消耗を早め、寿命を縮めたりするといった不都合がある。
【0060】
ところで、カブリトナーが搬送ベルト12上の記録媒体吸着範囲外側に付着しても、ある水準以上蓄積しないと幅の広い記録媒体Sが吸着した際の裏汚れを発生しないことが分かった。即ち、図12に示すように、搬送ベルト12上の記録媒体吸着範囲外側に付着するカブリトナーの量は印刷枚数が増えるにしたがって増加し、付着量が0.03mg/cm2以上になるとより幅の広い記録媒体Sが吸着した際に裏汚れを発生する。
【0061】
そこで、このような知見に基づき、本実施例2では、実施例1の前記不都合を下記のようにして除去している。
【0062】
(実施例2の構成)
図13は、本発明の実施例2の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図であり、実施例1を示す図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0063】
本実施例2の制御回路では、実施例1の制御回路において、クリーニング後に印刷した記録媒体Sの枚数を検出する記録媒体印刷枚数検出手段(例えば、印刷枚数カウンタ)67を新たに追加している。又、図11に示すように、印刷枚数カウンタ67の値から逆転写クリーニング起動の要否を判定するためのクリーニング起動判定テーブル111を備えている。クリーニング起動判定テーブル111は、クリーニング動作実施後、記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量が0.03mg/cm2に到達するのに必要な印刷枚数を表しており、各印刷機構2の消耗と周囲温度によって値が決まっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0064】
(実施例2の動作)
通常の印刷動作は、実施例1と同様であるので説明を省略し、以下、本実施例2に特有の動作について図14等を参照しつつ説明する。
【0065】
図14は、図13における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【0066】
図14において、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS11)、機構制御部53は、媒体幅検知機構101の各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図11のクリーニング動作起動判定テーブル111に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS12)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を読み出し(ステップS13)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS14)。
【0067】
ステップS14において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合(Y)、機構制御部53は、印刷枚数カウンタ67を参照に行く(ステップS15)。続いて、機構制御部53は、判定テーブル111を参照に行き、印刷枚数カウンタ67の値を比較する(ステップS17)。ステップS17において、印刷枚数カウンタ値がテーブル値よりも大きい場合(Y)、機構制御部53は、クリーニング動作を実行する(ステップS8)。クリーニング動作が終了すると、印刷枚数カウンタ67はクリアされ(ステップS19)、続いてEEPROM66の記録媒体幅記憶領域に、今回のジョブで印刷に用いられた印刷媒体Sの幅を上書きする(ステップS20)。クリーニング動作終了と共に、受信した印刷ジョブの印刷が開始される(ステップS21)。
【0068】
これに対し、ステップS14において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合(N)、ステップS15〜S19はスキップし、ステップS20に進む。又、ステップS17において、印刷枚数カウンタ67の値が判定テーブル111の値よりも小さいか同じ場合(N)は、ステップS18及びS19をスキップし、ステップS20に進む。
【0069】
以上のようにして、印刷動作開始時のクリーニング動作の起動について判定することで、搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着しない領域にカブリトナーが蓄積した状態で、前回よりも幅が広い記録媒体Sが吸着されて、前記蓄積したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止できる。
【0070】
(実施例2の変形例)
本実施例2では、印刷枚数のカウント値からカブリトナーの蓄積量を推定したが、これに限るものではない。ベルトモータ56の回転数を検出する手段を設けて搬送ベルト12の走行距離を算出し、その結果からカブリトナーの蓄積量を推定して逆転写クリーニング動作の起動判定を行っても良い。あるいは、ドラムモータ58の回転数を検出する手段を設けて各感光ドラム6の回転距離を算出し、その結果からカブリトナーの蓄積量を推定して逆転写クリーニング動作の起動判定を行っても良い。
【0071】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い場合であって、なお且つ記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量が記録媒体Sの裏汚れを発生する程度まで蓄積している場合にのみ、逆転写クリーニング動作を起動するので、印刷パフォーマンスの低下や、搬送ベルト12等の消耗の加速を防止しつつ、記録媒体Sの裏汚れを確実に防止することができる。
【実施例3】
【0072】
実施例2では、前回の印刷に用いられた記録媒体幅より幅が広い記録媒体Sを印刷する時に、前回逆転写クリーニングを実施してからの印刷枚数をカウントし、記録媒体Sが吸着していない部分に付着しているカブリトナーが記録媒体Sの裏汚れを発生するレベルまで蓄積していると想定される場合のみ逆転写クリーニングを起動するので、パフォーマンスの低下や寿命の進行を防止しつつ記録媒体Sの裏汚れを防止することができる。
【0073】
しかし、実施例2において、どの程度搬送ベルト12上にカブリトナーが蓄積すると記録媒体Sの裏汚れを発生するかは記録媒体Sの種類に依存しており、より少ないカブリトナーの蓄積で裏汚れを発生する記録媒体Sの印刷時には、より頻繁に逆転写クリーニング動作を起動しないと裏汚れが発生するといった不都合がある。逆により多くのカブリトナーが付着しないと裏汚れが発生しない記録媒体Sの印刷時には、逆転写クリーニング動作の起動頻度を下げることで印刷速度パフォーマンスを高めたり、搬送ベルト12等の消耗を遅くすることができる。そこで、本発明の実施例3では、以下のように構成している。
【0074】
(実施例3の構成)
図15は、本発明の実施例3の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図であり、実施例2を示す図13中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0075】
図16は、図15におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
本実施例3の制御回路では、実施例2の制御回路において、記録媒体Sの種類を入力する入力手段(例えば、記録媒体種類入力部)112と、図16に示すような記録媒体種類毎のクリーニング動作起動判定テーブル113とを、新たに追加している。記録媒体種類入力部112は、図示しないプリンタドライバから規則媒体種類を入力する機能を有している。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0076】
(実施例3の動作)
通常の印刷動作は、実施例2と同様であるので説明を省略し、以下、本実施例3に特有の動作について図17等を参照しつつ説明する。
【0077】
図17は、図15における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【0078】
図17において、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS31)、機構制御部53は、各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図16に示すクリーニング動作起動判定テーブル113に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS32)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅読み出し(ステップS33)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS34)。
【0079】
ステップS34において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合(Y)、機構制御部53は記録媒体種類入力部112の入力を参照し(ステップS35)、同時に印刷枚数カウンタ67を参照に行く(ステップS36)。続いて、機構制御部53は判定テーブル113を参照に行き(ステップS37)、記録媒体種類入力部112の入力値から参照すべき判定テーブル113の領域を判断して、印刷枚数カウンタ67の値を比較する(ステップS38)。
【0080】
ステップS38において、印刷枚数カウンタ値がテーブル値よりも大きい場合(Y)、機構制御部53はクリーニング動作を実行する(ステップS39)。クリーニング動作が終了すると、印刷枚数カウンタ67はクリアされ(ステップS40)、続いて、EEPROM66の記録媒体幅記憶領域に、今回のジョブで印刷に用いられた記録媒体Sの幅を上書きする(ステップS41)。クリーニング動作終了と共に、受信した印刷ジョブの印刷が開始される(ステップS42)。
【0081】
これに対し、ステップS34において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合、ステップS35〜S40はスキップし、ステップ41に進む。又、ステップS38において、印刷枚数カウンタ67の値が判定テーブル113の値よりも小さいか又は同じ場合(N)は、ステップS39及びS40をスキップし、ステップS41に進む。
【0082】
以上のようにして、印刷動作開始時のクリーニング動作の起動について判定することで、搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着しない領域にカブリトナーが蓄積した状態で、前回よりも幅が広い記録媒体Sが吸着されて、前記蓄積したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止できる。
【0083】
(実施例3の変形例)
本実施例3では、記録媒体種類入力部112の入力としてプリンタドライバを用いて説明したが、これに限るものではなく、オペパネルからの入力等でも良い。又、判定テーブル113では、記録媒体の種類を普通紙、再生紙、光沢紙、OHPとしたが、これに限るものではなく、必要に応じて種類を更に増やしても減らしても良い。
【0084】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量がより幅が広い記録媒体Sの裏汚れを発生する程度まで蓄積するのに必要な印刷枚数を記録媒体種類毎に保持しているので、記録媒体Sの種類が変化しても最適なタイミングで逆転写クリーニングを行える。そのため、印刷パフォーマンスの低下や搬送ベルト12等の消耗の加速を防止しつつ、記録媒体Sの裏汚れを確実に防止することができる。
【0085】
(実施例の他の変形例)
本発明は、上記実施例や変形例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(i)、(ii)のようなものがある。
【0086】
(i) 図1のカラー画像形成装置1及び図5、図13、図15の制御回路は、図示以外の他の構成に変更しても良い。
【0087】
(ii) 実施例1〜3とも、直接転写方式の電子写真プリンタを例に説明したが、本発明は、プリンタに限らず、同様の電子写真画像形成プロセスをもつ複写機等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施例1における画像形成装置(例えば、カラー画像形成装置)の構成例を示す概略の断面図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置に設けられる記録媒体幅検出機構を示す概略の構成図である。
【図3】図2の媒体幅検知方法を説明するためのカムとスイッチの詳細な構成を示す図である。
【図4】図3における媒体幅検知スイッチ出力と記録媒体幅の関係を示す図である。
【図5】図1のカラー画像生成装置1における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図6】図1におけるトナーの帯電分布を説明する図である。
【図7】図5における転写正バイアス印加と逆バイアス印加の切り替えを説明する図である。
【図8】本発明の実施例1におけるクリーニング動作を説明するタイムチャートである。
【図9】本発明の実施例1における放電を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施例1におけるクリーニング動作起動判定方法を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施例2における印刷枚数とカブリトナー蓄積の関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例2の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図14】図13における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例3の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図16】図15におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【図17】図15における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 カラー画像形成装置
2,2K〜2C 印刷機構
4,4K〜4C 転写ローラ
6,6K〜6C 感光ドラム
12 転送ベルト
53 機構制御部
60 高圧制御部
63 TR+発生部
64 TR−発生部
66 EEPROM
67 印刷枚数カウンタ
68 フラッシュメモリ
70 TR+スイッチ
71 TR−スイッチ
101 媒体幅検知機構
109,109a〜109d スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写することにより画像を形成する電子写真方式の電子写真プリンタ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タンデム方式のカラー電子写真プリンタ等の画像形成装置では、記録媒体を搬送するための搬送ベルト上のトナーをクリーニングする場合、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、非印刷動作時に転写ローラに適切なバイアスを印加して、搬送ベルト上のトナーを感光体に逆転写してクリーニングしていた。
【0003】
【特許文献1】特開2007−316185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に記載された従来画像形成装置では、幅の狭い記録媒体へのトナ一画像転写を繰り返した後に幅の広い記録媒体を搬送ベルトに吸着すると、左右両端部で裏汚れが発生しやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、記録媒体を担持搬送する記録媒体担持体と、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体の幅情報を入力する幅情報入力手段と、前記像担持体、前記記録媒体担持体、前記転写手段、及び前記幅情報入力手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記幅情報入力手段によって入力された前記幅情報に基づいて、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷に用いる記録媒体が前回の印刷に用いた記録媒体よりも幅が広い時に、クリーニング動作を起動することができるので、記録媒体担持体上の記録媒体の吸着領域外に付着したトナーが、より幅の広い記録媒体の吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0008】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像形成装置(例えば、カラー画像形成装置)の構成例を示す概略の断面図である。図2(a)〜(c)は、図1のカラー画像形成装置に設けられる記録媒体幅検出機構を示す概略の構成図であり、同図(a)は外観の斜視図、同図(b)はその内部機構の模式図、及び、同図(c)は同図(b)中の部分拡大図である。
【0009】
図1に示すカラー画像形成装置1は、例えば、直接転写方式であるタンデム方式の電子写真プリンタであり、感光体、帯電手段、露光手段、及び現像手段等からなる4つの独立した画像形成ユニットである印刷機構2(=2K,2Y,2M,2C)を備え、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ユニットとして、搬送ベルト上に吸着されて搬送されてくる記録媒体S(例えば、用紙)上にトナー画像を重ね合わせながら転写することでフルカラー画像を形成する装置である。
【0010】
ここで、4つの印刷機構2(=2K,2Y,2M,2C)は、ブラックK、イエローY、マゼンタM、シアンCの画像を記録するための電子写真式の発光ダイオード(以下「LED」という。)プリント機構であり、記録媒体Sの挿入側から排出側へ向かう搬送路に沿って配置されている。
【0011】
各印刷機構2(=2K〜2C)の内部は、同様の構成であり、それぞれ像担持体(例えば、感光ドラム)6(=6K,6Y,6M,6C)を有している。各感光ドラム6の周囲には、この感光ドラム6を一様に帯電させる帯電ローラ(チャージローラ)5(=5K,5Y,5M,5C)、帯電された感光ドラム6に静電潜像を書き込むLEDヘッド3(=3K,3Y,3M,3C)、静電潜像をトナーで現像する現像器ユニット11(=11K,11Y,11M,11C)、及び、感光ドラム表面をクリーニングするクリーニングブレード36(=36K,36Y,36M,36C)がそれぞれ配置されている。各現像器ユニット11(=11K〜11C)の上部には、各トナーカートリッジ10(=10K,10Y,10M,10C)が配置され、各現像器ユニット11にトナーを供給している。各現像器ユニット11は、各現像ローラ7(=7K,7Y,7M,7C)、この現像ローラ表面にトナーを擦りつけて帯電させながら供給する各スポンジローラ9(=9K,9Y,9M,9C)、及び、現像ローラ表面に供給されたトナーを薄層に均す各現像ブレード8(=8K,8Y,8M,8C)によりそれぞれ構成されている。
【0012】
各印刷機構2の下側には、記録媒体担持体(例えば、搬送ベルト)12と、この搬送ベルト12に接する転写手段(例えば、転写ローラ)4(=4K,4Y,4M,4C)とが設けられている。搬送ベルト12は、例えば、継目無しのエンドレス状に形成されている高抵抗の半導電性プラスチックフィルムであって、駆動ローラ13及び従動ローラ14に巻掛けられており、図示しないテンションばねにて図1中の矢印f方向にテンションが与えられている。駆動ローラ13は、図示しないベルトモータに回転駆動され、搬送ベルト12を図1中の矢印e方向に回転する。搬送ベルト12は、各感光ドラム6(=6K〜6C)と各転写ローラ4(=4K〜4C)との間に掛け渡されている。
【0013】
カラー画像形成装置1の右下側には、搬送路に記録媒体Sを供給するための給紙機構が設けられている。この給紙機構は、記録媒体収容カセット19、この記録媒体収容カセット19から記録媒体Sを送り出すホッピングローラ16、記録媒体Sを感光ドラム6Kと搬送ベルト12のニップ部に送り出すレジストローラ17、及び記録媒体Sのスキューを補正するピンチローラ18により構成されている。記録媒体収容カセット19は、図2に示す記録媒体幅検出機構101と一体となっている。
【0014】
レジストローラ17の近傍にはレジストセンサ21が配置され、更に、定着器28の出力側に排出センサ23が配置されている。レジストセンサ21及び排出センサ23は、いずれも記録媒体Sの先端位置と後端位置の通過タイミングを検出するためのセンサであって、画像形成タイミングを計ったり給紙ジャムや排出ジャムを監祝したりしている。定着器28は、ヒータ59が内蔵されたヒートローラ25、加圧ローラ26、及びサーミスタ27から構成されており、搬送ベルト12から分離された記録媒体Sに転写されたトナー画像を、溶融定着させている。定着器28にてトナー画像が定着された記録媒体Sは、最終的にガイド29を通過してスタッカ30に排出される構成となっている。なお、カラー画像生成装置1の筐体内には、環境温度センサ34等が設置されている。
【0015】
図2に示す記録媒体幅検出機構101は、記録媒体Sの幅情報を入力する幅情報入力手段としての機能を有している。この記録媒体幅検出機構101は、記録媒体収容カセット19と一体となっており、記録媒体Sの幅と同調する移動可能な媒体固定板102及び103と、この媒体幅固定板102及び103の間隔が狭くなると上から見て反時計回りに、広くなると時計周りに回転するギヤ104と、このギヤ104の回転を伝達する複数のギヤ105〜107と、このギヤ107によって回転されるカム108と、このカム108の回転角度に応じてオン/オフされるスイッチ109とにより構成されている。
【0016】
図3は、図2の媒体幅検知方法を説明するためのカム108とスイッチ109の詳細な構成を示す図である。図4は、図3における媒体幅検知スイッチ出力と記録媒体幅の関係を示す図である。
【0017】
カム108には、互いに周期が1対2対4対8になるように凹凸がつけられたリングが4個はめられており、4個のスイッチ109(=109a,109b,109c,109d)をオン/オフ動作させる。カム108の回転角度は、媒体固定板102及び103の間隔、即ち記録媒体Sの幅に連動しているので、記録媒体Sの幅によってスイッチ109a〜109dのオン/オフの組み合わせが変化する。例えば、カム108とスイッチ109a〜109dが位置Aで接触していれば、スイッチ109a〜109dのオン/オフ組み合わせは(オフ、オン、オン、オフ)であり、位置Bで接触していれば、オン/オフの組み合わせは(オン、オフ、オン、オフ)である。このようにスイッチ109a〜109dのオン/オフの組み合わせは、記録媒体Sに対応しており、図4に示す変換表110によって記録媒体Sの幅に読み替えられる。
【0018】
図5は、図1のカラー画像生成装置1における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【0019】
この制御回路には、図示しないホストコンピュータ(以下単に「ホスト」という。)側からのコマンド及び画像データを解釈あるいはビットマップに展開するコマンド/画像処理部51が設けられている。コマンド/画像処理部51は、マイクロプロセッサ(以下「MPU」という。)、メモリ(例えば、随時読み書き可能なメモリ(以下「RAM」という。))、及びビットマップ展開のための特別なハードウエア等からなり、カラー画像形成装置1の全体を制御する機能と、ビットマップに展開された画像データを各LEDヘッド3(=3K〜3C)に送信する機能等とを有している。コマンド/画像処理部51には、制御手段である機構制御部53が接続されている。
【0020】
機構制御部53には、センサ21,23、サーミスタ27、環境温度センサ34、ホッピングモータ54、レジストモータ55、ベルトモータ56、ヒータモータ57、ドラムモータ58、ヒータ59、高圧制御部60、不揮発性メモリ等のメモリ(例えば、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(以下「EEPROM」という。))66、メモリ(例えば、フラッシュメモリ)68、及び媒体幅検知機構101等が接続されている。
【0021】
機構制御部53は、コマンド/画像処理部51からの指令に従い、各センサ21,22等の出力の監視、各モータ54〜58とヒータ59の制御、高圧制御部60への各高圧出力の指示等を行う機能と、記録媒体担持体走行距離検出手段(例えば、搬送ベルトの走行距離を検出する手段)又は像担持体走行距離検出手段(例えば、感光ドラムの走行距離を検出する手段)としての機能とを有している。ヒータ59は、図1に示すヒートローラ25の中に配置される例えばハロゲンランプであり、そのヒートローラ25上に配置されたサーミスタ27により、機構制御部53で監視されている。機構制御部53に接続されたEEPROM66及びフラッシュメモリ68の内、フラッシュメモリ68には、制御プログラムが記憶されており、搬送ベルトクリーニング動作プログラムも含まれている。一方、EEPROM66には、印刷に使用した記録媒体Sのサイズ情報を記憶する領域が設けてあり、印刷の度に機構制御部53がサイズ情報を更新している。
【0022】
機構制御部53に接続された高圧制御部60は、MPUあるいはカスタムの大規模集積回路(以下「LSI」という。)等から構成されている。機構制御部53には、チャージバイアス供給部61、現像バイアス供給部62、スポンジバイアス供給部65、プラス極性の転写バイアスTR+を供給するTR+バイアス供給部63、及び、マイナス極性の転写バイアスTR−を供給すTR−バイアス供給部64が接続され、このTR+バイアス供給部63及びTR−バイアス供給部64に、TR+スイッチ70及びTR−スイッチ71がそれぞれ接続され、更に、チャージバイアス供給部61、現像バイア供給部62、スポンジバイア供給部65、TR+スイッチ70、及びTR−スイッチ71の出力側に、各印刷機構部2(=2K〜2C)が接続されている。
【0023】
高圧制御部60は、各印刷機構2(=2K〜2C)に対するチャージバイアス、現像バイアス、スポンジバイアス、転写バイアス等の生成を司っている。チャージバイアス供給部61は、各チャージローラ5(=5K〜5C)へのチャージバイアスの供給、現像バイアス供給部62は、各現像ローラ7(=7K〜7C)への現像バイアスの供給、スポンジバイアス供給部65は、各スポンジローラ9(=9K〜9C)へのスポンジバイアスの供給をそれぞれ行っている。TR+バイアス供給部63は、各転写ローラ4(=4K〜4C)に対してプラス極性の転写バイアスTR+を供給しており、TR−バイアス供給部64は、各転写ローラ4(=4K〜4C)に対してマイナス極性の転写バイアスTR−を供給している。このTR+バイアス供給部63及びTR−バイアス供給部64には、電流/電圧検出回路が設けられ、この回路により定電流あるいは定電圧に制御を行っている。
【0024】
(実施例1の通常の印刷動作)
図6は、図1におけるトナーの帯電分布を説明する図である。
【0025】
図1、図5、図6等を参照しつつ、本実施例1のカラー画像形成装置1における通常の印刷動作を説明する。
【0026】
先ず、カラー画像形成装置1は、外部装置であるホストから送られてきた画像データを受信すると、コマンド/画像処理部51が機構制御部53に指示を出し、定着器28のウオームアップを開始する。機構制御部53は、サーミスタ27の出力を参照しながらヒータ59をオン/オフして、定着器28の温度が記録媒体S上とトナー画像を定着可能な温度に到達すると印刷動作に入る。
【0027】
機構制御部53は、ベルトモータ56及びドラムモータ58を制御して、ベルト駆動ローラ13及び各印刷機構2(=2K〜2C)を駆動する。機構制御部53は同時に、高圧制御部60に指令を出し、チャージバイアス供給部61、現像バイアス供給部62及びスポンジバイアス供給部65をオンして、各印刷機構2に所定の高電圧バイアスを供給する。
【0028】
ここで、各印刷機構2の内部の詳細動作について、印刷機構2Kを例にとって説明する。他の印刷機構2Y〜2Cについては同様なので省略する。
【0029】
高圧制御部60が高圧の各バイアス供給部61,62,65をオンすると、チャージローラ5Kには−1200Vのチャージバイアスが供給されて、感光ドラム6Kの表面を−600Vに帯電させる。又、現像ローラ7Kには−200Vの現像バイアスが供給されると共に、スポンジローラ9Kには250Vのスポンジバイアスが供給され、現像ローラ7Kとスポンジローラ9Kのニップ領域近傍では、現像ローラ7Kからスポンジローラ9Kに向かう方向の電界が形成される。
【0030】
トナーカートリッジ10Kから現像器ユニット11Kに供給されたトナーは、スポンジローラ9Kと現像ローラ7Kに強く擦られて摩擦帯電する。本実施例1においては、各スポンジローラ9及び各現像ローラ7の特性によって、トナーはマイナス極性に帯電するトナーと、各スポンジローラ9及び各現像ローラ7の特性とが組み合わされており、全体の平均としては、トナーはマイナスに帯電される。しかしながら、個々のトナーの帯電量は、図6に示すようにさまざまで、プラス極性あるいはほぼ無帯電のトナー(以下「帯電不良トナー」という。)も発生する。
【0031】
マイナス極性に摩擦帯電されたトナーは、現像ローラ7Kからスポンジローラ9Kの方向を向いた電界から受けるクーロン力によって、現像ローラ7K上に付着する。付着したトナーは、現像ローラ7Kの回転に伴って、この現像ローラ7Kと現像ブレード8Kの接触部に運ばれ、この現像ブレード8Kによって均一な厚さにならされる。現像ローラ7Kは更に回転を続けて、均一にならされたトナー層を感光ドラム6Kとのニップ部に運ばれる。なお、図6に示された帯電不良トナーも、ファンデルワールス力等によって現像ローラ7Kに付着するため、この現像ローラ7K上に形成されたトナー層には、このような帯電不良トナーも含まれる。
【0032】
各印刷機構2が駆動され始めるのと同時に、機構制御部53はホッピングモータ54を駆動し、給紙ローラ16を回転させ、記録媒体収容カセット19内の記録媒体Sを1枚だけガイド20へ送る。機構制御部53は、レジスト用センサ21の出力を監視して、記録媒体Sの先端がレジストローラ17とピンチローラ18の間に到達したことを検出すると、ホッピングモータ54が停止する。続いて、機構制御部53は、レジストモータ55を回転させてレジストローラ17を回転させ、記録媒体Sを感光ドラム6Kと搬送ベルト12とのニップ部に送り出す。
【0033】
次に、コマンド/画像処理部記51は、記録媒体Sが感光ドラム6Kと転写ベルト12のニップ領域に到達するタイミングを、レジスト用センサ21が記録媒体Sの先端を検出したタイミングから計算し、LEDヘッド3Kに画像データを送信する。LEDヘッド3Kは、送信された画像データに対応するLEDを点滅させて、−600Vに帯電された感光ドラム6Kを露光して−50V除電し、静電潜像を書き込む。
【0034】
感光ドラム6Kの回転に伴って、LEDヘッド3Kに書き込まれた静電潜像は、現像ローラ7Kとのニップ領域に到達する。現像ローラ7Kと感光ドラム6Kの間には、−50Vに除電された露光領域は感光ドラム6Kから現像ローラ7Kに向かう方向の電界が、−600Vのまま除電されていない非露光領域には逆向きの電界が形成されるので、現像ローラ7K上に形成されたマイナスに帯電したトナー層から、露光領域にのみ選択的にトナーが付着する。この時、前述の通り現像ローラ7K上のトナー層には帯電不良トナーも含まれており、これらはクーロン力やファンデルワールス力によって感光ドラム6K上の非画像形成部に付着する場合があり、このようなトナーを「カブリトナー」と呼ぶ。
【0035】
記録媒体Sの先端が感光ドラム6Kと転写ローラ4Kの間に到達した時点で、機構制御部53は、高圧制御部60に指令を出し、ブラックKの転写用電源であるTR+バイアス供給部63をオンする。転写ローラ4Kには、+1500Vの転写バイアスTR+が供給され、記録媒体Sから感光ドラム6Kに向かう電界が、記録媒体Sと感光ドラム6Kの間に形成される。これにより、感光ドラム6K表面のトナー画像は、転写ローラ4Kにより電気的に記録媒体S上に転写される。感光ドラム6Kの回転により、トナー画像は次々に記録媒体S上に転写され、1ページ分のブラック(K)画像が記録媒体Sに転写される。
【0036】
以上により、印刷機構2Kによる記録媒体SへのブラックKのトナー画像の転写が終了する。なお、前述の通り感光ドラム6Kの非露光部にはカブリトナーが付着しており、このようなカブリトナーは感光ドラム6Kと転写ローラ4Kの転写ニップ部で、記録媒体S上の非画像部や搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着していない部分に、ファンデルワールス力等によってある割合で転写される。
【0037】
搬送ベルト12は引続き移動しており、記録媒体Sは印刷機構2Kから印刷機構2Yへ移り、次に印刷機構2Yによるイエローのトナー画像の転写が行われる。イエローの画像形成動作は、ブラックKの画像形成動作と同様である。以下、マゼンタM、シアンCと連続して同様に画像が転写される。記録媒体Sは引き続き搬送ベルト12により搬送されて、定着器28へ案内される。
【0038】
記録媒体Sが定着器28に到達すると、既に定着可能温度に到達しているヒートローラ25と、これに圧接する加圧ローラ26に挟持搬送されて、トナー画像が記録媒体Sに定着される。定着が終了すると、記録媒体Sはガイド29に案内されて排出スタッカ30へ排出され、印刷動作が完了する。以上のようにして、給紙機構19から繰り出された記録媒体Sに、カラー画像が記録される。
【0039】
ところで、前記のカラー画像形成動作では、搬送ベルト12上の転写動作時に記録媒体Sが吸着していなかった部分にカブリトナーが付着する。搬送ベルト12にカブリトナーが付着している部分に記録媒体Sが吸着すると、カブリトナーが記録媒体Sの裏に付着して裏汚れを発生するので、搬送ベルト12上のカブリトナーをクリーニングする手段が必要である。
【0040】
次に、本実施例1でのクリーニング方法、即ち、各感光ドラム6への逆転写によるクリーニング方法を説明する。
【0041】
(実施例1のクリーニング方法)
図7は、図5における転写正バイアス印加と逆バイアス印加の切り替えを説明する図、図8は、本実施例1のクリーニング動作を説明するタイムチャート、及び、図9は、本実施例1の放電を説明する模式図である。
【0042】
機構制御部53は、搬送ベルトクリーニング動作の起動を判定すると、通常の印刷動作時と同様に、ベルトモータ56及びドラムモータ58を起動し、搬送ベルト12及び各印刷機構2を駆動する。続いて、機構制御部53は、高圧制御部60に指令を出し、図7に示す各TR+スイッチ70(=70K〜70C)とTR−スイッチ71(=71K〜71C)を交互にオン/オフし、転写バイアスTR+とTR−を交互に各転写ローラ4に印加する。転写バイアスTR+とTR−は、図8に示すように周期Tlで切り替える。
【0043】
周期T1は、転写ベルト12が、ある感光ドラム(例えば、6K)の転写ニップ位置から、隣に位置する感光ドラム(例えば、6Y)の転写ニップ位置まで走行する時間と等しくなるように設定する。例えば、感光ドラム6間の距離が80mm、転写ベルト12の走行速度が160mm/秒の場合、周期T1は0.5秒に設定する。
【0044】
各TR−スイッチ70がオンして供給される転写バイアスTR−は−2000Vであり、転写ベルト12上のマイナス帯電トナーが、各感光ドラム6に逆転送されてクリーニングされる。周期T1が経過すると、今度は各TR−スイッチ71がオフ、各TR+スイッチ70がオンして、各転写ローラ4に+3000Vの転写バイアスTR+が供給される。各転写ローラ4に+3000Vが供給されると、図9に示すように、各感光ドラム6と転写ベルト12の間で放電が発生し、転写ベルト12上のプラス帯電トナーにマイナス電荷が供給されて、帯電極性がマイナスへと変化する。
【0045】
各転写ローラ4に+3000Vの転写バイアスTR+が供給されてから周期Tlが経過すると、再び各TR−スイッチ71がオン、各TR+スイッチ70がオフして、各転写ローラ4に−2000Vの転写バイアスTR−が供給されて、転写バイアスTR+の供給時に放電によって帯電極性がマイナスへと変化したトナーが、各感光ドラム6に逆転写されてクリーニングされる。
【0046】
以上の動作を転写ベルト12が2周する間繰り返すことで、転写ベルト12上のカブリトナーが十分にクリーニングされる。
【0047】
(実施例1のクリーニング動作起動判定方法)
図10は、本実施例1におけるクリーニング動作起動判定方法を示すフローチャートである。図11は、図10におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【0048】
図10のフローチャートにおいて、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS1)、機構制御部53は、媒体幅検知機構101における各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図11に示す判定テーブル111に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS2)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を読み出し(ステップ)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS4)。
【0049】
ステップS4において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合、機構制御部53は、クリーニング動作を起動する(ステップS5)。クリーニング動作が終了すると、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を、今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅に更新し(ステップ6)、印刷ジョブが実行される(ステップS7)。
【0050】
これに対し、ステップS4において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合(Y)、ステップS6へスキップして、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を、今回印刷に用いられる記録媒体の幅に更新し、ステップS7の印刷ジョブの実行へと進む。
【0051】
以上のようにして、記録媒体Sの幅が前回の印刷動作時よりも広くなった場合に、記録媒体Sが搬送ベルト12に吸着する前に、搬送ベルト12のクリーニングを実施することができる。
【0052】
(実施例1の変形例)
本実施例1においては、記録媒体収容カセット19と一体となっている記録媒体幅検出機構101によって記録媒体Sの幅を検出する構成について説明したが、記録媒体Sの幅を検出する方法については、これに限るものではない。オペパネルやプリンタドライバ等から入力する等、別の方法で記録媒体Sの幅を検知しても同様の効果を得られることは明らかである。
【0053】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い時に、ベルトクリーニング動作を起動することができるので、搬送ベルト12上の記録媒体Sの吸着領域外に付着したカブリトナーが、より幅の広い記録媒体Sの吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを防止することができる。
【0054】
(比較例)
従来、カラー電子写真プリンタ等のカラー画像形成装置においては、感光ドラム表面に形成された静電潜像に、現像器ユニット内で所定の電圧に摩擦帯電されたトナーを付着させて現像するが、一部のトナーが本来とは逆極性に帯電あるいはほとんど帯電せずに、感光ドラム表面の静電潜像が形成されていない領域にカブリトナーとして付着する場合がある。このようなカブリトナーは、搬送ベルト上の記録媒体が吸着していない部分に付着し、後の印刷工程でこの部分に記録媒体が吸着されると、記録媒体の裏汚れが発生する場合があるので、搬送ベルトのクリーニングが必要となる。そこで、従来のカラー画像形成装置では、非印刷動作時に転写ローラに適切なバイアスを印加して、搬送ベルト上のトナーを感光ドラムに逆転写してクリーニングしている。
【0055】
しかし、単に、搬送ベルト上のカブリトナーを感光ドラムに逆転写してクリーニングする方式では、記録媒体へのトナー画像の転写動作において、感光ドラムから搬送ベルトへのカブリトナーの移動は、感光ドラムが搬送ベルトに接触する度に発生するので、感光ドラムの搬送ベルトへの接触が繰り返されると、カブリトナーが蓄積し付着量が増加する。そのため、幅の狭い記録媒体へのトナー画像の転写を繰り返すと、記録媒体が吸着されず常に感光ドラムが搬送ベルトに接触している領域で、記録媒体が吸着される領域に比べてカブリトナー付着量が急速に増加するという問題が発生する。一方、搬送ベルト上のカブリトナー付着量が一定レベル以上になると、記録媒体が搬送ベルトに吸着する際に裏側にカブリトナーが付着し裏汚れが発生する。そのため、幅の狭い記録媒体へのトナー画像転写を繰り返した後に幅の広い記録媒体を搬送ベルトに吸着すると、左右両端部で裏汚れが発生しやすいという問題がある。
【0056】
これに対し、本実施例1では、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い時に、ベルトクリーニング動作を起動する構成にしているので、搬送ベルト12上の記録媒体Sの吸着領域外に付着したカブリトナーが、より幅の広い記録媒体Sの吸着によって記録媒体裏面に付着して汚れることを、的確に防止することができる。
【実施例2】
【0057】
図12は、本発明の実施例2における印刷枚数とカブリトナー蓄積の関係を示す図である。
【0058】
実施例1では、印刷に用いられる記録媒体Sの幅が前回の印刷に用いられた記録媒体Sの幅より広くなった場合に逆転写クリーニングの実行を判定するようにしたので、前回の印刷で記録媒体幅より外側の搬送ベルト12上に付着したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止している。
【0059】
しかし、実施例1の構成では、記録媒体Sの幅が前回の記録媒体Sよりも広いことが逆転写クリーニングを起動する判定条件になっているので、例えば、幅が異なる記録媒体Sを交互に印刷したりすると、逆転写クリーニング動作が頻繁に起動されて、パフォーマンスの低下を招いたり、クリーニング動作のために費やされる走行距離が増えて搬送ベルト12や各感光ドラム6の消耗を早め、寿命を縮めたりするといった不都合がある。
【0060】
ところで、カブリトナーが搬送ベルト12上の記録媒体吸着範囲外側に付着しても、ある水準以上蓄積しないと幅の広い記録媒体Sが吸着した際の裏汚れを発生しないことが分かった。即ち、図12に示すように、搬送ベルト12上の記録媒体吸着範囲外側に付着するカブリトナーの量は印刷枚数が増えるにしたがって増加し、付着量が0.03mg/cm2以上になるとより幅の広い記録媒体Sが吸着した際に裏汚れを発生する。
【0061】
そこで、このような知見に基づき、本実施例2では、実施例1の前記不都合を下記のようにして除去している。
【0062】
(実施例2の構成)
図13は、本発明の実施例2の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図であり、実施例1を示す図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0063】
本実施例2の制御回路では、実施例1の制御回路において、クリーニング後に印刷した記録媒体Sの枚数を検出する記録媒体印刷枚数検出手段(例えば、印刷枚数カウンタ)67を新たに追加している。又、図11に示すように、印刷枚数カウンタ67の値から逆転写クリーニング起動の要否を判定するためのクリーニング起動判定テーブル111を備えている。クリーニング起動判定テーブル111は、クリーニング動作実施後、記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量が0.03mg/cm2に到達するのに必要な印刷枚数を表しており、各印刷機構2の消耗と周囲温度によって値が決まっている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0064】
(実施例2の動作)
通常の印刷動作は、実施例1と同様であるので説明を省略し、以下、本実施例2に特有の動作について図14等を参照しつつ説明する。
【0065】
図14は、図13における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【0066】
図14において、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS11)、機構制御部53は、媒体幅検知機構101の各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図11のクリーニング動作起動判定テーブル111に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS12)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅を読み出し(ステップS13)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS14)。
【0067】
ステップS14において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合(Y)、機構制御部53は、印刷枚数カウンタ67を参照に行く(ステップS15)。続いて、機構制御部53は、判定テーブル111を参照に行き、印刷枚数カウンタ67の値を比較する(ステップS17)。ステップS17において、印刷枚数カウンタ値がテーブル値よりも大きい場合(Y)、機構制御部53は、クリーニング動作を実行する(ステップS8)。クリーニング動作が終了すると、印刷枚数カウンタ67はクリアされ(ステップS19)、続いてEEPROM66の記録媒体幅記憶領域に、今回のジョブで印刷に用いられた印刷媒体Sの幅を上書きする(ステップS20)。クリーニング動作終了と共に、受信した印刷ジョブの印刷が開始される(ステップS21)。
【0068】
これに対し、ステップS14において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合(N)、ステップS15〜S19はスキップし、ステップS20に進む。又、ステップS17において、印刷枚数カウンタ67の値が判定テーブル111の値よりも小さいか同じ場合(N)は、ステップS18及びS19をスキップし、ステップS20に進む。
【0069】
以上のようにして、印刷動作開始時のクリーニング動作の起動について判定することで、搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着しない領域にカブリトナーが蓄積した状態で、前回よりも幅が広い記録媒体Sが吸着されて、前記蓄積したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止できる。
【0070】
(実施例2の変形例)
本実施例2では、印刷枚数のカウント値からカブリトナーの蓄積量を推定したが、これに限るものではない。ベルトモータ56の回転数を検出する手段を設けて搬送ベルト12の走行距離を算出し、その結果からカブリトナーの蓄積量を推定して逆転写クリーニング動作の起動判定を行っても良い。あるいは、ドラムモータ58の回転数を検出する手段を設けて各感光ドラム6の回転距離を算出し、その結果からカブリトナーの蓄積量を推定して逆転写クリーニング動作の起動判定を行っても良い。
【0071】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、印刷に用いる記録媒体Sが前回の印刷に用いた記録媒体Sよりも幅が広い場合であって、なお且つ記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量が記録媒体Sの裏汚れを発生する程度まで蓄積している場合にのみ、逆転写クリーニング動作を起動するので、印刷パフォーマンスの低下や、搬送ベルト12等の消耗の加速を防止しつつ、記録媒体Sの裏汚れを確実に防止することができる。
【実施例3】
【0072】
実施例2では、前回の印刷に用いられた記録媒体幅より幅が広い記録媒体Sを印刷する時に、前回逆転写クリーニングを実施してからの印刷枚数をカウントし、記録媒体Sが吸着していない部分に付着しているカブリトナーが記録媒体Sの裏汚れを発生するレベルまで蓄積していると想定される場合のみ逆転写クリーニングを起動するので、パフォーマンスの低下や寿命の進行を防止しつつ記録媒体Sの裏汚れを防止することができる。
【0073】
しかし、実施例2において、どの程度搬送ベルト12上にカブリトナーが蓄積すると記録媒体Sの裏汚れを発生するかは記録媒体Sの種類に依存しており、より少ないカブリトナーの蓄積で裏汚れを発生する記録媒体Sの印刷時には、より頻繁に逆転写クリーニング動作を起動しないと裏汚れが発生するといった不都合がある。逆により多くのカブリトナーが付着しないと裏汚れが発生しない記録媒体Sの印刷時には、逆転写クリーニング動作の起動頻度を下げることで印刷速度パフォーマンスを高めたり、搬送ベルト12等の消耗を遅くすることができる。そこで、本発明の実施例3では、以下のように構成している。
【0074】
(実施例3の構成)
図15は、本発明の実施例3の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図であり、実施例2を示す図13中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0075】
図16は、図15におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
本実施例3の制御回路では、実施例2の制御回路において、記録媒体Sの種類を入力する入力手段(例えば、記録媒体種類入力部)112と、図16に示すような記録媒体種類毎のクリーニング動作起動判定テーブル113とを、新たに追加している。記録媒体種類入力部112は、図示しないプリンタドライバから規則媒体種類を入力する機能を有している。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0076】
(実施例3の動作)
通常の印刷動作は、実施例2と同様であるので説明を省略し、以下、本実施例3に特有の動作について図17等を参照しつつ説明する。
【0077】
図17は、図15における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【0078】
図17において、機構制御部53が印刷ジョブを受信すると(ステップS31)、機構制御部53は、各スイッチ109(=109a〜109d)の出力を検出し、図16に示すクリーニング動作起動判定テーブル113に基づいて、今回印刷に用いる記録媒体幅を算出する(ステップS32)。続いて、EEPROM66に記憶されている、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体幅読み出し(ステップS33)、今回の印刷に用いる記録媒体Sの幅と前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅を比較する(ステップS34)。
【0079】
ステップS34において、前回の印刷実行時に用いられた記録媒体Sの幅の方が狭い場合(Y)、機構制御部53は記録媒体種類入力部112の入力を参照し(ステップS35)、同時に印刷枚数カウンタ67を参照に行く(ステップS36)。続いて、機構制御部53は判定テーブル113を参照に行き(ステップS37)、記録媒体種類入力部112の入力値から参照すべき判定テーブル113の領域を判断して、印刷枚数カウンタ67の値を比較する(ステップS38)。
【0080】
ステップS38において、印刷枚数カウンタ値がテーブル値よりも大きい場合(Y)、機構制御部53はクリーニング動作を実行する(ステップS39)。クリーニング動作が終了すると、印刷枚数カウンタ67はクリアされ(ステップS40)、続いて、EEPROM66の記録媒体幅記憶領域に、今回のジョブで印刷に用いられた記録媒体Sの幅を上書きする(ステップS41)。クリーニング動作終了と共に、受信した印刷ジョブの印刷が開始される(ステップS42)。
【0081】
これに対し、ステップS34において、前回印刷時に用いられた記録媒体Sの幅が今回印刷に用いられる記録媒体Sの幅よりも広い場合、ステップS35〜S40はスキップし、ステップ41に進む。又、ステップS38において、印刷枚数カウンタ67の値が判定テーブル113の値よりも小さいか又は同じ場合(N)は、ステップS39及びS40をスキップし、ステップS41に進む。
【0082】
以上のようにして、印刷動作開始時のクリーニング動作の起動について判定することで、搬送ベルト12上の記録媒体Sが吸着しない領域にカブリトナーが蓄積した状態で、前回よりも幅が広い記録媒体Sが吸着されて、前記蓄積したカブリトナーが記録媒体Sの裏面に付着して汚れることを防止できる。
【0083】
(実施例3の変形例)
本実施例3では、記録媒体種類入力部112の入力としてプリンタドライバを用いて説明したが、これに限るものではなく、オペパネルからの入力等でも良い。又、判定テーブル113では、記録媒体の種類を普通紙、再生紙、光沢紙、OHPとしたが、これに限るものではなく、必要に応じて種類を更に増やしても減らしても良い。
【0084】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、記録媒体吸着範囲外のカブリトナー付着量がより幅が広い記録媒体Sの裏汚れを発生する程度まで蓄積するのに必要な印刷枚数を記録媒体種類毎に保持しているので、記録媒体Sの種類が変化しても最適なタイミングで逆転写クリーニングを行える。そのため、印刷パフォーマンスの低下や搬送ベルト12等の消耗の加速を防止しつつ、記録媒体Sの裏汚れを確実に防止することができる。
【0085】
(実施例の他の変形例)
本発明は、上記実施例や変形例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(i)、(ii)のようなものがある。
【0086】
(i) 図1のカラー画像形成装置1及び図5、図13、図15の制御回路は、図示以外の他の構成に変更しても良い。
【0087】
(ii) 実施例1〜3とも、直接転写方式の電子写真プリンタを例に説明したが、本発明は、プリンタに限らず、同様の電子写真画像形成プロセスをもつ複写機等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施例1における画像形成装置(例えば、カラー画像形成装置)の構成例を示す概略の断面図である。
【図2】図1のカラー画像形成装置に設けられる記録媒体幅検出機構を示す概略の構成図である。
【図3】図2の媒体幅検知方法を説明するためのカムとスイッチの詳細な構成を示す図である。
【図4】図3における媒体幅検知スイッチ出力と記録媒体幅の関係を示す図である。
【図5】図1のカラー画像生成装置1における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図6】図1におけるトナーの帯電分布を説明する図である。
【図7】図5における転写正バイアス印加と逆バイアス印加の切り替えを説明する図である。
【図8】本発明の実施例1におけるクリーニング動作を説明するタイムチャートである。
【図9】本発明の実施例1における放電を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施例1におけるクリーニング動作起動判定方法を示すフローチャートである。
【図11】図10におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施例2における印刷枚数とカブリトナー蓄積の関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例2の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図14】図13における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施例3の画像形成装置における制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図16】図15におけるクリーニング動作起動判定テーブルを示す図である。
【図17】図15における逆転写クリーニング起動判定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 カラー画像形成装置
2,2K〜2C 印刷機構
4,4K〜4C 転写ローラ
6,6K〜6C 感光ドラム
12 転送ベルト
53 機構制御部
60 高圧制御部
63 TR+発生部
64 TR−発生部
66 EEPROM
67 印刷枚数カウンタ
68 フラッシュメモリ
70 TR+スイッチ
71 TR−スイッチ
101 媒体幅検知機構
109,109a〜109d スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
記録媒体を担持搬送する記録媒体担持体と、
前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体の幅情報を入力する幅情報入力手段と、
前記像担持体、前記記録媒体担持体、前記転写手段、及び前記幅情報入力手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記幅情報入力手段によって入力された前記幅情報に基づいて、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記逆極性のバイアスを印加することにより、前記記録媒体担持体上に付着したトナーをクリーニングすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
記録媒体の印刷枚数を検出する記録媒体印刷枚数検出手段を有し、
前記制御手段は、前記記録媒体印刷枚数検出手段により検出された前記記録媒体の印刷枚数に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記記録媒体担持体の走行距離を検出する記録媒体担持体走行距離検出手段を有し、
前記制御手段は、前記記録媒体担持体走行距離検出手段により検出された前記記録媒体担持体の走行距離に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記像担持体の走行距離を検出する像担持体走行距離検出手段を有し、
前記制御手段は、前記像担持体走行距離検出手段により検出された前記像担持体の走行距離に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置は、更に、
前記記録媒体の種類を入力する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段により入力された前記記録媒体の種類に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体は、感光ドラムであり、
前記記録媒体担持体は、搬送ベルトであり、
前記転写手段は、転写ローラであることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
記録媒体を担持搬送する記録媒体担持体と、
前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体の幅情報を入力する幅情報入力手段と、
前記像担持体、前記記録媒体担持体、前記転写手段、及び前記幅情報入力手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記幅情報入力手段によって入力された前記幅情報に基づいて、前記像担持体上のトナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記逆極性のバイアスを印加することにより、前記記録媒体担持体上に付着したトナーをクリーニングすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
記録媒体の印刷枚数を検出する記録媒体印刷枚数検出手段を有し、
前記制御手段は、前記記録媒体印刷枚数検出手段により検出された前記記録媒体の印刷枚数に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記記録媒体担持体の走行距離を検出する記録媒体担持体走行距離検出手段を有し、
前記制御手段は、前記記録媒体担持体走行距離検出手段により検出された前記記録媒体担持体の走行距離に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の画像形成装置は、更に、
前記像担持体の走行距離を検出する像担持体走行距離検出手段を有し、
前記制御手段は、前記像担持体走行距離検出手段により検出された前記像担持体の走行距離に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置は、更に、
前記記録媒体の種類を入力する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段により入力された前記記録媒体の種類に基づいて、前記像担持体上の前記トナー画像を前記記録媒体担持体上に転写する時とは逆極性のバイアスを前記転写手段に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体は、感光ドラムであり、
前記記録媒体担持体は、搬送ベルトであり、
前記転写手段は、転写ローラであることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−113041(P2010−113041A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283897(P2008−283897)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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