説明

画像形成装置

【課題】装置を複雑化することなく内部で発生する騒音を有効に低減することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】反転モータ74が発生した音は、有孔反転シュート72の孔76を通って有孔反転シュート72と対向反転シュート73との間に形成された空間に入る。その空間は共鳴空間を構成するが、反転モータ74が発生する音は有孔反転シュート72に形成された複数の孔76に吸収されて小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、出力プーリやギヤ列などの駆動部品を遮音ケースで覆い、遮音ケースを画像形成装置の後側板に弾性体を介して後側板から浮かせた状態で取り付けることにより、低騒音化を図ったものが知られている。
【0003】
また、上記と同等の効果を奏するものとして、特許文献2に記載されているように、開口部が設けられた画像形成装置の開口部の内側に設けられた部分空間に吸音手段を設けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−302800号公報
【特許文献2】特開2002−307780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装置を複雑化することなく内部で発生する騒音を有効に低減することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、装置本体と、前記装置本体の側部に設けられた両面記録シート搬送手段と、前記装置本体の内部に設けられ回転する部分を有する音源とを備えた画像形成装置において、前記両面用紙搬送手段は、複数の孔が設けられた有孔板と、この有孔板に向き合う面を有する対向部材とを備え、前記音源と、前記有孔板と、前記対向部材とを、この順番で前記装置本体の内側から外側へ向けて配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記対向部材は、前記有孔板と対となって機能する記録シート搬送ガイドであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記対向部材は、前記両面記録シート搬送手段のハウジングであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記音源が発生する音の周波数をf、前記有孔板に設けられた孔の直径をd、隣接する孔の中心間距離を横方向と縦方向でaおよびb、前記有孔板の厚さをh、前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離をgとしたときに、下記[数1]および[数2]を満足することを特徴とする。
【数1】

【数2】

【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記有孔板に、直径が異なる複数種類の孔を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記有孔板を、前記音源の周囲を囲むように設け、前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離を、前記有孔板の部位毎に複数設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載の発明において、前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離を、前記有孔板の前記記録シートの搬送方向に沿う方向の中間部において前記[数1]に基づいて設定し、かつ、前記中間部から前記記録シートの搬送方向に沿う方向へ向かって離れるに従って漸次増加させるか、または漸次減少させたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記有孔板の記録シートをガイドする面に、記録シート側に突出し記録シートの搬送方向に沿って伸びる複数のリブを設け、前記リブどうしの間に前記孔を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記孔は、記録シートの搬送方向に伸びた形状であることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記孔は、前記対向部材側から有孔板を打ち抜くバーリング加工することで形成されることにより、その前記対向部材側の縁部に断面円弧状の面取りを有することを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、前記対向部材の前記有孔板と向き合う面に、多孔質部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項3に記載の発明において、前記ハウジングは、前記両面記録シート搬送手段の外装カバーであり、この外装カバーは、その一側が前記両面記録シート搬送手段にヒンジ結合されることにより、開閉自在に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、音源が発生する音を有孔板と対向部材との間の空間において小さくすることができる。また、上記空間内に空気の流れが生じるので、そこでの温度上昇や結露の発生を抑制することができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、部品を付加する必要がないので装置が複雑化、大型化することがない。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、上記と同様に部品を付加する必要がないので装置が複雑化、大型化することがない。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、音源が発生する音の周波数に対応して最も効果的な遮音効果を得ることができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、音源が発生する音の周波数が変わった場合であっても効果的な遮音効果を得ることができる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、上記と同様に音源が発生する音の周波数が変わった場合であっても効果的な遮音効果を得ることができるとともに、音の漏洩が低減される。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、音源が発生する音の周波数に対応して最も効果的な遮音効果を得ることができるとともに、音源が発生する音の周波数が変わった場合であっても効果的な遮音効果を得ることができる。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、搬送される記録シートがリブによってガイドされ、搬送の抵抗を少なくすることができる。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、記録シートが有孔板に接触するときの孔との接触面積が少なく、抵抗を少なくすることができる。
【0027】
請求項10に係る発明によれば、記録シートが孔と接触したときの抵抗が滑らかとなり、抵抗を少なくすることができる。
【0028】
請求項11に係る発明によれば、記録シートから蒸発した水分が多孔質部材に吸収され、結露の発生を有効に抑制することができる。
【0029】
請求項12に係る発明によれば、有孔板等の保守点検を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置を示す断面図である。
【図2】実施形態における用紙反転搬送機構を示す側断面図である。
【図3】実施形態における遮音機構を示す斜視図である。
【図4】実施形態の遮音機構の第1変形例を示す側断面図である。
【図5】実施形態の遮音機構の第1変形例を示す斜視図である。
【図6】実施形態の遮音機構の第3変形例を示す平面図である。
【図7】実施形態の遮音機構の第4変形例を示す側断面図である。
【図8】実施形態の遮音機構の第5変形例を示す側断面図である。
【図9】実施形態の遮音機構の第6変形例を示す斜視図である。
【図10】実施形態の遮音機構の第7変形例を示す平面図である。
【図11】実施形態の遮音機構の第8変形例を示す図であり、(A)はその斜視図、(B)は一部を拡大した斜視図、(C)は断面図である。
【図12】実施形態の遮音機構の第9変形例を示す図13(B)におけるXII-XII線側断面図である。
【図13】(A)は実施形態の遮音機構の第9変形例を示す側断面図であり、(B)は平面図である。
【図14】実施形態の遮音機構の第10変形例を示す側断面図である。
【図15】実施形態の遮音機構の第10変形例を示す側断面図であり、図13に示す状態から外装カバーを開いた状態を示す。
【図16】実施形態の遮音機構の第11変形例を示す側断面図である。
【図17】実施形態の遮音機構の第11変形例を示す側断面図であり、図16に示す状態から外部給紙トレイを倒した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.画像形成装置の全体構成
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。まず、実施形態の画像形成装置の全体構成について説明する。図1において符号10は画像形成装置Aの本体である。本体1の内部には、画像形成部20が配置され、画像形成部20には、感光体ドラム、感光体ドラムに静電潜像を形成する露光部、静電潜像が形成された感光体ドラムをトナーで現像する現像部などが設けられている。画像形成部20の上方には、転写部30が画像形成部2に接近して配置されており、画像形成部20で形成されたトナー像は転写部30の転写ベルト31に1次転写される。
【0032】
本体10の下部には、給紙部40が配置されている。図1において符号41は用紙のトレイカセットであり、トレイカセット41に収容された用紙(記録シート)Pは、上から1枚づつフィードローラ42によって取り出され、搬送機構50によって搬送される。
【0033】
図1において符号51はレジストレーションローラであり、レジストレーションローラ51は、そこに用紙Pの先端縁を突き当てて上流側のフィードローラ42との間で用紙を撓ませ、用紙Pの向きを真っ直ぐにしてから搬送する。このレジストレーションローラ51は、レジストレーションモータ52によって回転させられる。レジストレーションローラ51の下流側には、転写ローラ32が配置され、転写ローラ32によって転写ベルト31上のトナー像は用紙Pに2次転写される。
【0034】
転写部30の上方には定着部60が配置されている。用紙Pに2次転写されたトナー像は、定着部60の定着ローラ61から受ける熱と圧力によって用紙Pに定着される。定着部60の上方には、排紙ローラ53が配置され、排紙ローラ53は、定着が終わった用紙Pを排紙トレイ54に排出する。なお、図中符号55は結露防止ファンであり、結露防止ファン55は、周辺の空気を撹拌して各部品に結露が生じるのを防止する。また、符号56は用紙ガイドであり、搬送されて来た用紙Pを排紙ローラ53へガイドする。
【0035】
次に、図中符号70は、用紙反転搬送機構である。用紙反転搬送機構(両面記録シート搬送手段)70は、用紙Pの片面に画像形成した後に用紙Pを反転させて搬送し、用紙Pの他の面に画像形成できるようにする。用紙反転搬送機構70は、一対の反転ローラ71aを備えている。排紙ローラ53が用紙Pを途中まで送り出した後に逆回転すると、用紙Pは、その腰の強さによって用紙ガイド56に乗り上げ、反転ローラ71aへ搬送される。
【0036】
反転ローラ71aの下流側には、有孔反転シュート(有孔板)72と対向反転シュート(対向部材)73とが向き合って配置され、それらの搬送方向中央部と下流側端部には、二対の搬送ローラ71b、71cが配置されている。対となった反転ローラ71aおよび搬送ローラ71b、71cの一方は駆動ローラであり、他方は従動ローラである。それら駆動ローラは、反転モータ74によって回転させられる。
【0037】
搬送ローラ71cによって搬送された用紙Pは、用紙ガイド71dを経て転写部30に送られる。この時点で用紙Pは、既に画像形成された面の反対側の面が転写部30を向いており、その面にトナー画像が2次転写される。用紙Pに2次転写されたトナー像は、定着部60の定着ローラ61から受ける熱と圧力によって用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ53によって排紙トレイ54に排出される。
【0038】
2.遮音機構の構成
用紙反転搬送機構70は、図2に示すように、内装カバー75と、この内装カバー75にヒンジ76によって回転自在に接続された外装カバー77とに収容された1つのユニットとして構成され、その内部に配置された有孔反転シュート72と対向反転シュート73は、本実施形態における遮音機構を構成する。用紙反転搬送機構70の内部には、反転ローラ71a、搬送ローラ71b,71c、および反転モータ74が収容され、この場合、反転モータ74が音源である。反転モータ74、有孔反転シュート72、および対向反転シュート73は、この順番で画像形成装置Aの内側から外側へ向けて配置されている。
【0039】
図3に示すように、有孔反転シュート72には、複数の孔76が縦方向と横方向にそれぞれ等間隔に形成されている。これに対して、対向反転シュート73はソリッドな板で構成されている。用紙Pは、これら有孔反転シュート72および対向反転シュート73の内面にガイドされて図中下方へ搬送される。
【0040】
3.画像形成装置の動作
トレイカセット41に収容された用紙Pは、フィードローラ42によって取り出され、レジストレーションローラ51を経て転写部30に送られて2次転写される。次いで、用紙Pは、定着部60に送られてトナー画像が定着され、排紙ローラ53によって排紙トレイ54に排出される。以上は、用紙Pの片面に画像形成する場合の動作である。用紙Pの両面に画像形成する場合には、排紙ローラ53は用紙Pを途中まで途中まで送り出した後に逆回転し、用紙Pは、その腰の強さによって用紙ガイド56に乗り上げ、反転ローラ71aへ搬送される。そして、用紙Pは、反転ローラ71a、搬送ローラ71b,71cによって有孔反転シュート72と対向反転シュート73との間を搬送され、用紙ガイド71dを経て転写部30に送られ、上記と同様に2次転写と定着が施されて排紙トレイ54に排出される。
【0041】
ここで、両面画像形成を行う場合には、反転モータ74が回転する。反転モータ74が例えばステッピングモータの場合には、回転軸が高周波でステップ回転するから、高い周波数の騒音が発生する。しかも、反転モータ74は、画像形成装置Aの外寄りにおいてユニット化された用紙反転搬送機構70に配置されているから、騒音が漏洩し易い。
【0042】
この実施形態においては、反転モータ74が発生した音は、有孔反転シュート72の孔76を通って有孔反転シュート72と対向反転シュート73との間に形成された空間に入る。その空間は共鳴空間を構成するが、音は有孔反転シュート72に形成された複数の孔76に吸収されて小さくなる。また、上記共鳴空間は閉鎖されたものではなく内部に空気の流れが生じるので、そこでの温度上昇や結露の発生を抑制することができる。
【0043】
特に、上記実施形態では、反転シュートという既存の部品の一方に孔76を設けて遮音機構を構成しているから、吸音材などの部品を付加する必要がないので装置が複雑化、大型化することがなく、内部で発生する騒音を有効に低減することができる。なお、音の発生源としては、反転モータ74の他に、レジストレーションモータ52と結露防止ファン55がある。これらが発生する音も、上記した遮音機構によって低減される。
【0044】
4.変形例
(1)第1変形例
図4および図5は上記実施形態の第1変更例を示す図である。この変形例では、対向反転シュート73に代えて、ユニットとして構成された用紙反転搬送機構70の外装カバー(ハウジング)77の内面に、上下方向に伸びるリブ78を複数設けている。このような構成では、用紙Pは有孔反転シュート72とリブ78との間でガイドされる。
【0045】
上記のような変形例においても前記と同様の遮音効果と温度上昇や結露の発生を抑制する効果を得ることができる。また、外装カバー77の内面にリブ78を複数設け構成は既存のものであるから、この変形例においても部品を付加する必要がないので装置が複雑化、大型化することがなく、内部で発生する騒音を有効に低減することができる。
【0046】
(2)第2変形例
この変更例では、反転モータ74が発生する音の周波数をf、有孔反転シュート72に形成された孔76の直径をd、隣接する孔76の中心間距離を横方向と縦方向でaおよびb、有孔反転シュート72の厚さをh、有孔反転シュート72と対向反転シュート73との向き合う面どうしの距離をgとしたときに、下記[数3]および[数4]を満足するように上記各パラメータを設定する。
【0047】
【数3】

【数4】

【0048】
上記[数3]は、周波数fの音に対して最も効果的に音を減衰させ得る条件である。したがって、この変形例では、音源が発生する音の周波数に合わせて上記各パラメータを設定することにより、最も効果的な遮音効果を得ることができる。
【0049】
(3)第3変形例
図6は、実施形態の第3変形例を示す図である。この変形例では、有孔反転シュート72の孔として、大径孔76aと小径孔76bとを千鳥状に配置している。大径孔76aは周波数の高い音を吸収し、小径孔76bは周波数の低い音を吸収する。したがって、この変形例では、反転モータ74の回転数が、高速運転用と標準運転用の2種類に設定された場合であっても、いずれの運転時にも効果的な遮音効果を得ることができる。
【0050】
(4)第4変形例
図7は、実施形態の第4変形例を示す図である。この変形例では、有孔反転シュート80は、上下方向に伸びる上下方向板部80aと、上下板部80aの上端から斜め内側(装置本体10の内側)へ伸びる傾斜板部80bと、傾斜板部80bの上端から横方向に伸びる横方向板部80cとから構成されている。これにより、有孔反転シュート80は、反転モータ74の周囲を部分的に囲んでいる。また、有孔反転シュート80と対向して対向反転シュート81が配置され、この対向反転シュート81は、上下方向に伸びる上下方向板部81aと、上下板部81aの上端から斜め内側へ伸びる傾斜板部81bと、傾斜板部81bの上端から横方向に伸びる横方向板部81cとから構成されている。
【0051】
有孔反転シュート80の上下方向板部80aと、対向反転シュート81の上下方向板部81aとの間隔はAとされ、傾斜板部80bおよび横方向板部80cと傾斜板部81bおよび横方向板部81cとの間隔はAよりも小さいBとされている。すなわち、[数2]における「g」がAとBに相当するから、間隔Aの部分の方が間隔Bの部分よりも周波数が小さい。したがって、この変形例では、間隔Aの部分で周波数の低い音を吸収し、間隔Bの部分で周波数の高い音を吸収するから、反転モータ74の回転数が、高速運転用と標準運転用の2種類に設定された場合であっても、いずれの運転時にも効果的な遮音効果を得ることができる。しかも、有孔反転シュート80および対向反転シュート81が反転モータ74の周囲を囲っているから、音の漏洩が有孔に低減される。
【0052】
(5)第5変形例
図8は、実施形態の第5変形例を示す図である。実施形態の有孔反転シュート72および対向反転シュート73は、図8(A)に模式的に示すように上下方向に互いに平行に伸びている。この変形例では、有孔反転シュート82は上下方向に伸びているが、対向反転シュート83は中央部で屈曲し、有孔反転シュート82との間隔Cは中央部で最も狭くなっている。このため、有孔反転シュート82と、対向反転シュート83との間隔は、中央部から上下方向へ向かって離れるに従って漸次増加している。そして、間隔Cは、上記[数2]に基づいて設定されている。
【0053】
この変形例では、画像形成装置Aの定格の運転速度に合わせて間隔Cが設定されているので、通常の運転では間隔Cの部分において効果的な遮音効果が得られる。また、何らかの事情により運転速度が遅くなった場合には、間隔Cの部分以外の部分で効果的に遮音効果を得ることができる。すなわち、この変形例では、[数2]における「g」が連続的に変化するから、意図しない運転速度の低下が生じて音の周波数が小さくなっても効果的に遮音効果を得ることができる。なお、この変形例においては、有孔反転シュート82と、対向反転シュート83との間隔は、中央部から上下方向へ向かって離れるに従って漸次減少させることもできる。
【0054】
(6)第6変形例
図9は実施形態の第6変形例を示す図である。この変形例では、有孔反転シュート84の対向反転シュート側の面に、対向反転シュート側に突出し用紙Pの搬送方向(上下方向)に沿って伸びる複数のリブ85が形成されている。そして、有孔反転シュート84のリブ85が設けられていない部分には、複数の孔76が上下方向に等間隔に、また、横方向にも等間隔に形成されている。
【0055】
この変形例では、搬送される用紙Pがリブ85によってガイドされ、搬送の抵抗を少なくすることができる。なお、リブ85は、対向反転シュートに設けることもできる。
【0056】
(7)第7変形例
図10は実施形態の第7変形例を示す図である。この変形例では、図10(A)に示すように、リブ85を設ける代わりに、用紙P7の搬送方向に細長い長円形または楕円形の孔86や、図10(B)に示すように、有孔反転シュート72に用紙P7の搬送方向に伸びた菱形の孔87を設けている。このような変形例では、用紙Pが有孔反転シュート72に接触するときの孔86(87)との接触面積が少なく、抵抗を少なくすることができる。
【0057】
(8)第8変形例
図11は実施形態の第8変形例を示す図である。この変形例では、孔88は、対向反転シュート73側から有孔反転シュート72を打ち抜くバーリング加工することで形成されている。このため、対向反転シュート73側の縁部には、断面円弧状の面取りRが形成されている。
【0058】
この変形例では、用紙Pは孔88の面取りRと接触するから、その際の抵抗が滑らかとなり、抵抗を少なくすることができる。
【0059】
(9)第9変形例
図12および図13は実施形態の第9変形例を示す図である。これらの図に示すように、対向反転シュート90の有孔反転シュート72側を向く面には、用紙Pの搬送方向(上下方向)に沿って伸びる複数のリブ91が上下に分けて形成され、さらに、その上半部には、コルクなどの多孔質部材92が、リブ91を避けて設けられている。このような変形例では、用紙Pから蒸発した水分が多孔質部材92に吸収されるので、結露の発生を有効に抑制することができる。
【0060】
(10)第10変形例
図14は実施形態の第10変形例を示す図である。この変形例は、図4および図5に示す第1変形例において、外装カバー77をヒンジ93によって本体10に回転自在にしたものである。この変形例では、外装カバー77が開閉自在であるため、有孔反転シュート72等から構成される遮音機構の保守点検を容易に行うことができる。
【0061】
(11)第11変形例
図16および図17は実施形態の第11変形例を示す図である。この変形例では、本体10に外部給紙トレイ100が設けられている。外部給紙トレイ100は、トレイ本体101と、このトレイ本体101に引出し自在に取り付けられた補助トレイ102とを備えている。このような外部給紙トレイ100は、使用時には、図17に示すように、図示しないヒンジ機構によって傾けた姿勢とし、補助トレイ102をトレイ本体101から引き出してその上に用紙Pを乗せて使用する。
【0062】
この変形例では、本体の左側側面には格子状のルーバ103が形成され、隙間から排気されるようになっている。したがって、本体10内で発生する音も隙間から漏洩する。そこで、この変形例では、外部給紙トレイ100に遮音機構を設けている。すなわち、トレイ本体101の本体10側のプレート101aには複数の孔が形成され、補助トレイ102が対向部材として機能する。図16に示す状態において、本体10から漏洩した音はプレート101aと補助トレイ102とが形成する空間に孔を通じて入り、孔に吸収されて小さくなる。
【0063】
なお、図16に示す状態において、補助トレイ102を引き出して使用することもできる。この場合、トレイ本体101の両側のプレート101a,101bによって空間が形成されるため、空間の幅が広くなる。これにより、より周波数の低い音を吸収することができる。
【0064】
なお、本発明では上記以外に種々の変形が可能である。たとえば、図6に示す第3変形例で孔の直径は2種類としたが、3種類以上にすればもっと多くの周波数に対応可能である。また、図11に示す第8変形例では、孔をバーリング加工で形成しているが、普通のプレス穴明け加工でパンチとダイのクリアランスを大きく設定すれば、孔の縁部に断面円弧状の面取りを形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびこれらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 本体
52 レジストレーションモータ(音源)
55 結露防止ファン(音源)
70 用紙反転搬送機構(両面記録シート搬送手段)
72,80,82,84 有孔反転シュート(有孔板)
73,77,81,83,90 対向反転シュート(対向部材)
74 反転モータ(音源)
76,76a,76b,86,87,88 孔
78 リブ
101a プレート(有孔板)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の側部に設けられた両面記録シート搬送手段と、
前記装置本体の内部に設けられ回転する部分を有する音源とを備えた画像形成装置において、
前記両面用紙搬送手段は、複数の孔が設けられた有孔板と、この有孔板に向き合う面を有する対向部材とを備え、
前記音源と、前記有孔板と、前記対向部材とを、この順番で前記装置本体の内側から外側へ向けて配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対向部材は、前記有孔板と対となって機能する記録シート搬送ガイドであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対向部材は、前記両面記録シート搬送手段のハウジングであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記音源が発生する音の周波数をf、前記有孔板に設けられた孔の直径をd、隣接する孔の中心間距離を横方向と縦方向でaおよびb、前記有孔板の厚さをh、前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離をgとしたときに、下記[数1]および[数2]を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【数1】

【数2】

【請求項5】
前記有孔板に、直径が異なる複数種類の孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記有孔板を、前記音源の周囲を囲むように設け、前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離を、前記有孔板の部位毎に複数設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記有孔板と前記対向部材との向き合う面どうしの距離を、前記有孔板の前記記録シートの搬送方向に沿う方向の中間部において前記[数1]および[数2]に基づいて設定し、かつ、前記中間部から前記記録シートの搬送方向に沿う方向へ向かって離れるに従って漸次増加させるか、または漸次減少させたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記有孔板の記録シートをガイドする面に、記録シート側に突出し記録シートの搬送方向に沿って伸びる複数のリブを設け、前記リブどうしの間に前記孔を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記孔は、記録シートの搬送方向に伸びた形状であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記孔は、前記対向部材側から有孔板を打ち抜くバーリング加工することで形成されることにより、その前記対向部材側の縁部に断面円弧状の面取りを有することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記対向部材の前記有孔板と向き合う面に、多孔質部材を設けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記両面記録シート搬送手段の外装カバーであり、この外装カバーは、その一側が前記両面記録シート搬送手段にヒンジ結合されることにより、開閉自在に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−191056(P2010−191056A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33847(P2009−33847)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】