画像形成装置
【課題】使用される環境の条件に関わらず、画像形成動作を停止することを精度よく、かつ迅速に行うことのできる画像形成装置の提供。
【解決手段】加熱ローラの端部の温度を検出するサイドサーミスタ74によって検出された温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する。さらに、温度勾配は所定の間隔で判別される。所定の間隔で判別された温度勾配が連続して負である場合には、サーモスタット76が作動して熱源65への通電が遮断されたと判断し、画像形成動作を停止させる。
【解決手段】加熱ローラの端部の温度を検出するサイドサーミスタ74によって検出された温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する。さらに、温度勾配は所定の間隔で判別される。所定の間隔で判別された温度勾配が連続して負である場合には、サーモスタット76が作動して熱源65への通電が遮断されたと判断し、画像形成動作を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタをはじめとした電子写真方式の画像形成装置には、画像形成動作によって用紙に転写されたトナー像を加熱部材および加圧部材でニップして熱定着させる定着装置が設けられている。また、定着装置には加熱部材の温度を適正な定着温度に制御するために、加熱部材の温度を検出する温度検出手段(サーミスタ)が設けられている。サーミスタによって温度検出されることで、定着装置は適正な定着温度を保つように制御されている。
【0003】
また、一般的に、画像形成装置に設けられた定着装置には、制御回路の暴走などに起因する過度の昇温を防止するために、遮断部材としてサーモスタットが設けられている。定着装置の異常昇温等が原因でサーモスタットが働くと、加熱部材を加熱するための熱源へ通電を遮断することができる(例えば、先行文献1)。熱源への通電が遮断されると、定着装置内はそれ以上昇温しないので、定着装置の熱暴走を防止することができる。
【0004】
一方、加熱部材が正常な定着温度に制御されていないとトナー像を用紙に対して完全に熱定着ができないので、定着装置に異常があった場合には画像形成装置がそれ以上画像形成動作を行わないように、その動作を停止させることが実際に行われている。
【0005】
例えば、定着装置への通電を遮断されたときに画像形成動作を停止させる方法として、サーモスタットが働いたことを検出したら画像形成動作を停止させるという方法が考えられる。しかしそのためには特別に回路を設計しなければならないため、コスト的に不利である。そこで、サーミスタで定着装置内の温度を検出し、ある温度(停止温度)まで下がったことが検出されると、それをサーモスタットが作動にともなうものと判断して画像形成動作を停止するようにする制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−149002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、画像形成装置においては定着装置の停止をはじめとした画像形成動作を適切な時期に停止させる手段が必要である。しかし、上述のような温度のみを閾値とした制御では、画像形成装置が使用される環境の条件によっては、適切に画像形成動作を停止させることが困難であった。
【0008】
例えば、画像形成装置が低温環境、もしくは電源から供給される電圧が低電圧の環境で使用され、画像形成動作が行われる場合、画像形成動作時には定着装置内の温度があがりにくいので、通常よりも低い温度領域で熱定着を行わなければならなくなる。すると、上述のように温度そのものを閾値として画像形成動作を判断する構成では、通常よりも低下した加熱部材の温度を検出して通常の印刷時に画像形成動作を誤停止させてしまうおそれがある。したがって、これを回避するために停止温度を必要以上に低くしなければならないため、適切な時期における画像形成動作の停止が困難であった。
【0009】
以上の問題点に鑑み、本発明は使用される環境の条件に関わらず画像形成動作を停止することを適切に行うことができる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、熱源と、前記熱源により加熱される定着部材とを有し、現像剤による画像が形成された用紙を前記定着部材に通紙して当該画像を熱定着する画像形成動作を行う画像形成装置であって、前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段によって検出された前記温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する勾配判別手段と、前記勾配判別手段が前記温度勾配を判別した結果が所定回数以上連続して負であった場合に、前記画像形成動作を停止させる停止手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
このとき、前記温度検出手段は、前記定着部材を通過する前記用紙と接触しない通紙領域外の前記定着部材の温度を検出するようにしてもよい。
【0012】
また、前記定着部材が前記画像形成動作中に定着温度を保つように所定の上限値と下限値の温度範囲で前記熱源を制御する温度制御手段と、前記温度検出手段が検出した前記温度が、前記下限値より低い所定温度を下回ったか否かを判別する温度判別手段とを更に備え、前記停止手段は、前記温度勾配の判別結果が連続して負であり、かつ前記温度判別手段が前記温度について前記所定温度を下回ったと判断した場合に前記画像形成動作を停止するようにしてもよい。
【0013】
また、前記温度検出手段は前記定着部材の端部の温度を検出する第一の温度検出部材と、前記定着部材の中央部の温度を検出する第二の温度検出部材よりなり、前記用紙の位置を検出する用紙検出手段と、前記用紙検出手段からの検出信号に応じて前記用紙が前記端部を通紙されるか前記中央部を通紙されるかを判断する位置判断手段と、前記位置判断手段が前記用紙について前記端部を通紙すると判断した場合は前記第一の温度検出手段からの信号を選択し、前記中央部を通紙すると判断した場合は前記第二の温度検出手段からの信号を選択する選択手段と、を更に備え、前記勾配判別手段は、前記選択手段によって選択された信号に基づき、前記温度勾配が負であるか否か判別するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定着部材の温度勾配が負であるか否かを判別するので、定着部材の温度の時間経過に対する変化の傾向が検出できる。そして、温度勾配が連続して負を示したか判断することで定着部材の温度が下がり続ける傾向にあるか否かを判別するので、定着部材の温度低下を確実に検出して画像形成動作を停止させることができる。また、温度のみを画像形成動作停止の閾値とする場合のように、使用環境の影響を考慮して必要以上に停止条件を厳しく設定する必要がない。したがって適切に画像形成動作を停止させることが可能である。
【0015】
さらに、温度検出手段が通紙領域外の温度を検出することによって(請求項2)、通紙によって定着部材の熱が奪われてしまった部分の温度を検出することがない。すなわち、通紙に伴い生じる負の温度勾配を検出して画像形成動作を停止することがないので、画像形成動作を停止する精度が向上する。
【0016】
さらに、定着温度を保つために一定の温度範囲で制御されている中で、温度勾配が負であると連続的に判別し、かつ制御される温度範囲の下限値より低い所定温度以下になったら画像形成動作を止めるようにすることで(請求項3)、通常の画像形成動作中の温度制御に伴って現れる負の温度勾配を連続して検出しても画像形成動作を停止することがない。したがって精度が向上する。
【0017】
さらに、温度検出手段を定着部材の端部と中央部に設けられた温度検出部材とし、さらに用紙検出手段、および位置判断手段を設け、定着手段に通紙される用紙の位置を検出した結果に基づいて温度勾配を導くのに用いる方の温度検出部材を選択するようにすることで(請求項4)、通紙領域外にあるほうの温度検出部材を用いて、温度勾配に基づき画像形成動作を停止するか否かを判別することができる。したがって、通紙される用紙のサイズや、その搬送経路がかわっても通紙の影響を受けずに正確な判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】レーザプリンタ1の要部断面図である。
【図2】定着装置6の要部側断面図である。
【図3】レーザプリンタ1において、定着装置6の各部との配置と、制御回路を示したブロック図である。
【図4】レーザプリンタ1において、定着装置6の各部の配置と、幅狭の用紙が片寄せされて通紙される場合の位置を示した図面である。
【図5】通常環境(気温20℃,定格電圧から給電)における画像形成時の加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図6】制御部100に含まれるCPUによる画像形成動作停止の判断処理に関するフローチャートである。
【図7】通常環境における画像形成動作から、サーモスタット76が作動したときの加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図8】低温環境(気温10℃)で、給電される電圧が定格電圧よりも20%低い環境における画像形成時の加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図9】他の実施形態としての画像形成動作停止の判断処理に関するフローチャートである。
【図10】センタサーミスタ、またはサイドサーミスタいずれの検出信号を選択するかを判断する処理に関するフローチャートである。
【図11】他の実施形態としての定着装置6の各部との配置と、用紙検出センサ10,11と、制御回路を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施例1]
(レーザプリンタの概略構成)
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1はレーザプリンタ1の構成を示す断面図である。
【0020】
まずレーザプリンタ1の構成および画像形成動作について説明する。ここで、以下の説明において方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で前後左右を定義して説明する。
【0021】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙Pに転写されたトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。本体筐体2の前側には、開閉自在なフロントカバー21が設けられており、フロントカバー21を開いたときにできる開口からプロセスカートリッジ5が着脱可能に装着される。また、本体筐体2の上面には、本体筐体2の外部に排出された用紙Pが蓄積される排紙トレイ22が設けられている。
【0022】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31内に用紙Pが蓄積されている。給紙トレイ31内の用紙Pは、給紙部3に備えられた各種ローラの間を通ってプロセスカートリッジ5に搬送される。
【0023】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動されるポリゴンミラー41と、各種レンズおよびミラーを主に備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザ光は、鎖線で示すように反射または通過して、プロセスカートリッジ5の感光体ドラム52の表面上に高速走査にて照射される。
【0024】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に設けられ、本体筐体2に対して着脱自在に装着される。このプロセスカートリッジ5は、外枠を構成する中空のケーシング51内に、感光体ドラム52と、帯電器53と、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56と、トナー収容部57と、転写ローラ58とを主に備えている。
【0025】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム52の表面が、帯電器53により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0026】
このとき、トナー収容部57内のトナー(図示せず)は、アジテータ57Aの回転により供給ローラ55に供給され、供給ローラ55と現像ローラ54の回転により、供給ローラ55と現像ローラ54が摺接することで、現像ローラ54上に供給される。現像ローラ54上に供給されたトナーは、現像ローラ54の回転により、層厚規制ブレード56と現像ローラ54との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0027】
現像ローラ54上に担持されたトナーは、現像ローラ54と感光体ドラム52とが対向して接触するときに感光体ドラム52上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム52上にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム52と転写ローラ58との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム52上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0028】
定着装置6は、プロセスカートリッジ5の後方(用紙Pの搬送方向下流側)に設けられ、加熱部材の一例としての加熱ローラ61と、加熱ローラ61に対向して配置され、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧部材の一例としての加圧ローラ62とを主に備えている。定着装置6の詳細な構成については後述する。
【0029】
用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pが加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を挟持されて搬送されながら熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、定着装置6から排出経路23に搬送され、排出経路23から排出ローラ24によって本体筐体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に蓄積されて画像形成動作が終了する。
【0030】
なお、本体筐体2内には制御部100が設けられている。制御部100は、CPUなどを備えた制御回路であって、画像形成動作や定着装置6の温度などを制御している。制御部100は、本発明の勾配判別手段、停止手段、温度制御手段、温度判別手段、位置判断手段、選択手段に相当する。
(定着装置の構成)
次に、定着装置6の構成について図2ないし4を用いて説明する。図2,3に示すように、定着装置6はケーシング60の中に加熱ローラ61、加圧ローラ62を備え、加熱ローラ61の周囲には本発明の温度検出手段の一例としてのセンタサーミスタ72およびサイドサーミスタ74、熱源への通電を遮断する遮断部材の一例としてのサーモスタット76が備えられている。なお、サイドサーミスタ74が第2の温度検出部材、センタサーミスタ72が第1の温度検出部材に相当する。
【0031】
加熱ローラ61は、本発明の定着部材に相当する金属製の本体ローラ64と、その本体ローラ64の内部において軸方向に設けられる熱源65とを備えており、ケーシング60に回転可能に支持されている。
【0032】
熱源65は、本体ローラ64の内部の中心において、その本体ローラ64の軸方向にそって、本体ローラ64とほぼ同じ長さで設けられている。熱源65は制御部100に接続されており、画像形成動作時には制御部100からの通電に伴い発熱して本体ローラ64を加熱する。
【0033】
センタサーミスタ72、およびサイドサーミスタ74は、本体ローラ64の表面に接触しながらケーシング60に支持され、本体筐体2内の制御部100に接続されている。センタサーミスタ72は、本体ローラ64の軸方向中央部付近にて接触し、本体ローラ64中央部の温度を検出し、その検出信号を制御部100に送出する。なお、センタサーミスタ72の配置は、図4に示すように小サイズ紙P2がサイドサーミスタ74寄り(片寄せ)で進入してきた場合に通紙領域外になるように配置されることが望ましい。すなわち、センタサーミスタ72は加熱ローラ61の軸方向中心よりも、サイドサーミスタ74の配置された端部の軸方向反対側寄りに配置すると良い。
【0034】
一方、サイドサーミスタ74は本体ローラ64の軸方向から見てセンタサーミスタ72と重なる位置にて本体ローラ64に接触しながら本体ローラ64端部付近の温度を検出している。図3に示すように、サイドサーミスタ74は本体ローラ64の軸方向端部に設けられており、加熱ローラ61の軸方向の領域のうち、中央寄せで定着装置6に進入してくる用紙P1(例えばA4サイズ)が接触および通紙される通紙領域Aの外に設けられている。
【0035】
つまり、サイドサーミスタ74は加熱ローラ61のうち通紙領域外の温度を検出しており、その検出信号を制御部100に送出している。制御部100は、サイドサーミスタ74、センタサーミスタ72から送出された検出信号を受信し、予め設定された所定の定着温度に保つように熱源65への通電をオンオフ制御している。これによって、加熱ローラ61は、通常の画像形成動作中は所定の定着温度を保つように、所定の上限値と下限値の温度範囲で温度制御されている。なお、本実施例ではサーミスタ72,74を接触式のサーミスタとして適用したが、非接触式のサーミスタであってもよい。
【0036】
サーモスタット76は、加熱ローラ61の過度の加熱を防止するための部材であって、サーモスタット76が働くと制御部100から熱源65への通電が遮断される。サーモスタットは、円板状をなしておりその表面に所定の上限温度になると接触が解除されるバイメタルを有しており、そのバイメタルが本体ローラ64と所定の間隔を隔てて対向する状態で、ケーシング60に取り付けられている。
【0037】
なお、本実施例では、上限温度は制御温度の上限値付近に設定されている。サーモスタット76周囲の雰囲気温度が上限温度を超えるとサーモスタット76が作動し、熱源65への通電を迅速に遮断する。また、本実施例では遮断部材としてバイメタルを有するサーモスタットを適用したが、それに限らず、導電性の樹脂材料から構成され、上限温度になると樹脂が溶融して通電を遮断する温度ヒューズのような部材を用いても良い。
【0038】
上記のように構成された定着装置6には、制御部100から定着装置6へ画像形成動作命令が送出されると、熱源65への通電を開始される。まず、加熱ローラ61はウォームアップ動作として所定時間加熱され、図5に示すようにその表面温度が上昇する。所定時間経過後、用紙が定着装置6に通紙され、通紙に伴い熱定着が行われる。本実施例での通常の印刷環境では、所定時間経過後の定着温度は加熱ローラ61の中央部で検出される温度が定着温度としての213℃になるように設定されている。
【0039】
なお、加熱ローラ61の中央部は通紙領域であることと、制御部100が定着温度を保つようにするため熱源65のオンオフ制御を行っていることに起因し、センタサーミスタ72にて検出される加熱ローラ61の中央部の温度は213℃付近で下限値210℃から上限値216℃の間で温度制御されている。一方、加熱ローラ61の端部は中央部よりも少し遅れて温度上昇する。加熱ローラ61の中央部の温度が定着温度に達した時点では、端部の温度は定着温度に達しておらず、所定時間経過すると中央部の温度とほぼ同じになる。
【0040】
なお、画像形成処理が行われると、加熱ローラ61の中央部の温度は、用紙が通紙されることに伴い熱が奪われるが、非通紙領域である端部には熱が蓄積されていく。したがって所定時間が画像形成動作が行われると、中央部よりも端部の温度のほうが若干高くなる。
(画像形成動作停止の判断処理)
次に、サーモスタット76の作動に伴う画像形成動作停止の判断処理について、図6ないし8を用いて説明する。ここでは、図7に示すように、時刻t1にてサーモスタット76が作動して熱源65への通電が遮断された場合を例として説明する。
【0041】
ウォームアップ動作中を除き、画像形成動作中は、図6に示した画像形成動作停止の判断処理が行われている。画像形成動作の判断処理とは、サーミスタに検出された加熱ローラ61の温度の時間変化に対する変化量から導かれる温度勾配が連続して負であるかについて判断を行うことを指す。なお、ここでは、画像形成動作の停止とは加熱ローラ61および加圧ローラ62の回転を停止させることを指すが、そのほかにも感光ドラム52や給紙動作の停止など、画像形成動作に関する構成要素の動作を合わせて停止させても良い。
【0042】
まず、画像形成動作が始まった時点では、S101のように温度勾配が負を示した回数をカウントした値であるカウント値Nを0に設定する。次に、S102に進んで加熱ローラ61の端部の温度が、サイドサーミスタ74によって検出される。この温度は1秒ごとに検出され、制御部100内のメモリに記憶される。
【0043】
次に、S103にて、S102で検出された温度の時間経過に対する変化量から、温度勾配αが導出される。具体的には、検出された最新の温度と、そのひとつまえ(1秒前)に検出された温度に基づいて温度勾配αが導出される。ここでは、図7の時刻t1に検出された温度T1と、時刻(t1+1)に検出された温度T2(T1>T2)から温度勾配α1が導出される。
【0044】
次に、S104に進み、S102で導かれた温度勾配αが負であるか否かが判断される。温度勾配αが負である場合(S104:YES)は、温度が低下していると判断され、S105に進み、温度勾配αが負を示した回数をカウントするカウント値Nに1加算される。ここでは、α1が負であるので、N=1となる。温度勾配α1が負を示していないと判断された場合(S104:NO)は、S101に戻ってそれまでのカウント値がリセットされる。
【0045】
S106では、温度勾配αが所定の回数連続して負を示したか否かが判断される。具体的には、カウント値Nが7になったか否かが判断される。つまり、ここでは7秒間のうちに算出された温度勾配α1,α2,・・・α6,α7が、全て負であったかが1秒ごとに判断され、N=7に到達しない場合(S106:NO)には、S102にて戻ってN=7に到達するまで温度の検出および温度勾配αの導出を行う。
【0046】
カウント値Nが7になったと判断された場合(S106:YES)は、サーモスタット76が作動したことに伴い、図7に示すように加熱ローラ61の温度が十分低下したと判断され、S107にすすんで画像形成動作の停止(ここでは加熱ローラ61および加圧ローラ62の停止)を行い、処理を終了する。このような処理を行うことによって、サーモスタット76の作動による加熱ローラ61の温度低下に伴う画像形成動作の停止を、精度よく、かつ迅速に行うことが可能となる。
【0047】
図8に示すように、レーザプリンタ1の周囲が低温であって、かつ電源が低格より低電圧であるような環境でレーザプリンタ1が使用される場合には、加熱ローラ61の中央部、端部ともに通常の印刷環境(図5参照)よりも定着時の温度が低い。特に、通紙領域(中央部)では紙の通紙とともに紙に熱が奪われ、温度が低下する。したがって、従来のように加熱ローラ61の温度そのものが画像形成動作停止の閾値であると、図8に示したような印刷環境にて誤って画像形成動作を停止させてしまわないように、閾値としての温度を十分低く設定する必要があり、適切な時期での画像形成動作の停止が困難である。
【0048】
一方、加熱ローラ61の温度勾配が負であるか否かを判別するので、加熱ローラ61の温度の時間経過に対する変化の傾向が検出できる。そして、温度勾配の判断結果が所定回数以上連続して負を示したことで加熱ローラ61の温度が下がり続ける傾向にあることを判別するので、サーモスタットの作動に伴う加熱ローラの温度低下を確実に検出して画像形成動作を停止させることができる。
【0049】
また、負の温度勾配が連続したかを判別するようにすると、一時的な温度低下、すなわち加熱ローラ61の中央部に設けられたセンタサーミスタ72が通紙に伴う温度の低下を検出したとしても、その時点で誤って画像形成動作を停止させてしまうことがない。さらに、温度そのものを画像形成動作停止の閾値とする場合のように、使用環境の影響を考慮して必要以上に停止条件を厳しく設定する必要がない。したがって適切に画像形成動作を停止させることが可能である。
【0050】
さらに、本実施形態のように加熱ローラ61を通過する用紙と接触しない通紙領域外の温度を検出するサイドサーミスタ74が検出した温度に基づいて温度勾配を算出するようにすれば、通紙によって熱が奪われてしまった部分の温度を検出することがない。したがって、判別の精度を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態ではサイドサーミスタ74から検出された温度に基づいて判断を行ったが、センタサーミスタ72を用いても良い。また、センタサーミスタ72およびサイドサーミスタ74で検出された温度からそれぞれ温度勾配を算出し、それぞれから算出された温度勾配がいずれも連続して負になった場合に画像形成動作を停止するようにしても良い。
【0052】
また、本実施形態ではサーミスタが加熱ローラ61の温度を検出する間隔を1秒毎とし、7連続で負の温度勾配が検出されたら画像形成動作を停止させるとした。その検出間隔および判断回数は種々の値をとりうるが、加熱ローラ61が通紙による温度低下(図8参照)から復帰するまでの時間や、通常の画像形成時における温度制御によって現れる負の温度勾配の間隔よりも長くなるように設定することが望ましい。
[実施例2]
次に、本発明に関する他の実施形態について図9を用いて説明する。なお、実施例1に記載した内容と重複する部分に関しては説明を割愛し、同じ符号を用いる。実施例1と異なる点は、画像形成動作を停止させる条件として、温度勾配と温度そのものを併用して判断するという点である。本実施例では、予め定着温度の制御範囲の下限値よりも低い温度が画像形成動作停止のための閾値として制御部100に記憶されている。すなわち、閾値として190℃が設定される。
【0053】
図9に示すように、S201からS206までは実施例1と同様に加熱ローラ61の温度を検出し、温度勾配αを導いてそれが連続的に負を示したか否かが判断される。S206にて温度勾配が負を示したことをカウントするカウント値Nが7回に達したと判断された場合(S206:YES)は、S207に進み、検出された温度の最新の値が閾値よりも低いか否かが判断される。
【0054】
最新の検出温度が閾値(190℃)よりも高い場合(S207:NO)は、画像形成動作を停止させずにS202に戻って同様の処理を繰り返す。閾値(190℃)よりも低い場合(S207:YES)は、S208に進んで画像形成動作を停止して、処理を終了する。
【0055】
以上のように制御することによって、通常の画像形成動作中の温度制御に伴って現れる負の温度勾配(図5参照)を連続して検出しても画像形成動作を停止することがない。したがって画像形成動作停止の精度が向上する。
[実施例3]
次に、本発明に関する他の実施形態について、図10および図11を用いて説明する。本実施形態においては、図11に示すように用紙搬送経路の途中に本発明の用紙検出手段としての用紙検出センサ10,11が設けられている。用紙検出センサ10は接触式のセンサであり、その配置は、用紙Pが加熱ローラ61の中央部を通紙される場合(図11のP1)に用紙検知センサ10,11とともに接触し、端部を通紙される場合(図11のP2)は用紙検知センサ11しか接触しない位置である。通紙に伴い用紙Pが用紙検出センサ10と接触すると、用紙検出センサ10は検出信号を制御部100に送出する。
【0056】
以上のように構成されたレーザプリンタは、図10に示すようにセンタサーミスタ72とサイドサーミスタ74のいずれのサーミスタを用いて画像形成動作の判断処理を行うかを選択し、選択されたサーミスタからの検出信号を用いて画像形成動作停止の判断処理を行う。
【0057】
まず、給紙部3から用紙Pが給紙されると、S301にて用紙検出センサ10,11が用紙Pを検出したか否かが判断される。用紙検出センサ10,11がONまたは用紙検知センサ10のみONになったと判断される場合(S301:YES)は、図11に示すように用紙Pは加熱ローラ61の端部を通紙領域としないので、温度検出に対し通紙の影響を受けにくいサイドサーミスタ74から送出される温度検出信号が選択され(S302)、S304にて選択された温度検出信号に基づき画像形成動作停止の判断処理(実施例1参照)が行われる。用紙検出センサ10がOFF,用紙検知センサ11がONとなった場合(S301:NO)は、図11に示すように加熱ローラ61の端部が通紙領域になるので、S303に進んでセンタサーミスタ72から送出される温度検出信号が選択され、同様にS304にて選択された温度検出信号に基づき画像形成動作停止の判断処理が行われる。
【0058】
このように搬送される用紙の搬送位置によって使用するサーミスタを選択することで、これによって、通紙領域内にあるほうの温度検出手段を用いずに、温度勾配に基づき画像形成動作を停止するか否かを判別することができる。したがって、通紙される用紙のサイズや、用紙の搬送経路がかわっても通紙の影響を受けずに正確な判別が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 レーザプリンタ
6 定着装置
10 紙検出センサ
61 加熱ローラ
62 加圧ローラ
72 センタサーミスタ
74 サイドサーミスタ
76 サーモスタット
100 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタをはじめとした電子写真方式の画像形成装置には、画像形成動作によって用紙に転写されたトナー像を加熱部材および加圧部材でニップして熱定着させる定着装置が設けられている。また、定着装置には加熱部材の温度を適正な定着温度に制御するために、加熱部材の温度を検出する温度検出手段(サーミスタ)が設けられている。サーミスタによって温度検出されることで、定着装置は適正な定着温度を保つように制御されている。
【0003】
また、一般的に、画像形成装置に設けられた定着装置には、制御回路の暴走などに起因する過度の昇温を防止するために、遮断部材としてサーモスタットが設けられている。定着装置の異常昇温等が原因でサーモスタットが働くと、加熱部材を加熱するための熱源へ通電を遮断することができる(例えば、先行文献1)。熱源への通電が遮断されると、定着装置内はそれ以上昇温しないので、定着装置の熱暴走を防止することができる。
【0004】
一方、加熱部材が正常な定着温度に制御されていないとトナー像を用紙に対して完全に熱定着ができないので、定着装置に異常があった場合には画像形成装置がそれ以上画像形成動作を行わないように、その動作を停止させることが実際に行われている。
【0005】
例えば、定着装置への通電を遮断されたときに画像形成動作を停止させる方法として、サーモスタットが働いたことを検出したら画像形成動作を停止させるという方法が考えられる。しかしそのためには特別に回路を設計しなければならないため、コスト的に不利である。そこで、サーミスタで定着装置内の温度を検出し、ある温度(停止温度)まで下がったことが検出されると、それをサーモスタットが作動にともなうものと判断して画像形成動作を停止するようにする制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−149002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、画像形成装置においては定着装置の停止をはじめとした画像形成動作を適切な時期に停止させる手段が必要である。しかし、上述のような温度のみを閾値とした制御では、画像形成装置が使用される環境の条件によっては、適切に画像形成動作を停止させることが困難であった。
【0008】
例えば、画像形成装置が低温環境、もしくは電源から供給される電圧が低電圧の環境で使用され、画像形成動作が行われる場合、画像形成動作時には定着装置内の温度があがりにくいので、通常よりも低い温度領域で熱定着を行わなければならなくなる。すると、上述のように温度そのものを閾値として画像形成動作を判断する構成では、通常よりも低下した加熱部材の温度を検出して通常の印刷時に画像形成動作を誤停止させてしまうおそれがある。したがって、これを回避するために停止温度を必要以上に低くしなければならないため、適切な時期における画像形成動作の停止が困難であった。
【0009】
以上の問題点に鑑み、本発明は使用される環境の条件に関わらず画像形成動作を停止することを適切に行うことができる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、熱源と、前記熱源により加熱される定着部材とを有し、現像剤による画像が形成された用紙を前記定着部材に通紙して当該画像を熱定着する画像形成動作を行う画像形成装置であって、前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段によって検出された前記温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する勾配判別手段と、前記勾配判別手段が前記温度勾配を判別した結果が所定回数以上連続して負であった場合に、前記画像形成動作を停止させる停止手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
このとき、前記温度検出手段は、前記定着部材を通過する前記用紙と接触しない通紙領域外の前記定着部材の温度を検出するようにしてもよい。
【0012】
また、前記定着部材が前記画像形成動作中に定着温度を保つように所定の上限値と下限値の温度範囲で前記熱源を制御する温度制御手段と、前記温度検出手段が検出した前記温度が、前記下限値より低い所定温度を下回ったか否かを判別する温度判別手段とを更に備え、前記停止手段は、前記温度勾配の判別結果が連続して負であり、かつ前記温度判別手段が前記温度について前記所定温度を下回ったと判断した場合に前記画像形成動作を停止するようにしてもよい。
【0013】
また、前記温度検出手段は前記定着部材の端部の温度を検出する第一の温度検出部材と、前記定着部材の中央部の温度を検出する第二の温度検出部材よりなり、前記用紙の位置を検出する用紙検出手段と、前記用紙検出手段からの検出信号に応じて前記用紙が前記端部を通紙されるか前記中央部を通紙されるかを判断する位置判断手段と、前記位置判断手段が前記用紙について前記端部を通紙すると判断した場合は前記第一の温度検出手段からの信号を選択し、前記中央部を通紙すると判断した場合は前記第二の温度検出手段からの信号を選択する選択手段と、を更に備え、前記勾配判別手段は、前記選択手段によって選択された信号に基づき、前記温度勾配が負であるか否か判別するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定着部材の温度勾配が負であるか否かを判別するので、定着部材の温度の時間経過に対する変化の傾向が検出できる。そして、温度勾配が連続して負を示したか判断することで定着部材の温度が下がり続ける傾向にあるか否かを判別するので、定着部材の温度低下を確実に検出して画像形成動作を停止させることができる。また、温度のみを画像形成動作停止の閾値とする場合のように、使用環境の影響を考慮して必要以上に停止条件を厳しく設定する必要がない。したがって適切に画像形成動作を停止させることが可能である。
【0015】
さらに、温度検出手段が通紙領域外の温度を検出することによって(請求項2)、通紙によって定着部材の熱が奪われてしまった部分の温度を検出することがない。すなわち、通紙に伴い生じる負の温度勾配を検出して画像形成動作を停止することがないので、画像形成動作を停止する精度が向上する。
【0016】
さらに、定着温度を保つために一定の温度範囲で制御されている中で、温度勾配が負であると連続的に判別し、かつ制御される温度範囲の下限値より低い所定温度以下になったら画像形成動作を止めるようにすることで(請求項3)、通常の画像形成動作中の温度制御に伴って現れる負の温度勾配を連続して検出しても画像形成動作を停止することがない。したがって精度が向上する。
【0017】
さらに、温度検出手段を定着部材の端部と中央部に設けられた温度検出部材とし、さらに用紙検出手段、および位置判断手段を設け、定着手段に通紙される用紙の位置を検出した結果に基づいて温度勾配を導くのに用いる方の温度検出部材を選択するようにすることで(請求項4)、通紙領域外にあるほうの温度検出部材を用いて、温度勾配に基づき画像形成動作を停止するか否かを判別することができる。したがって、通紙される用紙のサイズや、その搬送経路がかわっても通紙の影響を受けずに正確な判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】レーザプリンタ1の要部断面図である。
【図2】定着装置6の要部側断面図である。
【図3】レーザプリンタ1において、定着装置6の各部との配置と、制御回路を示したブロック図である。
【図4】レーザプリンタ1において、定着装置6の各部の配置と、幅狭の用紙が片寄せされて通紙される場合の位置を示した図面である。
【図5】通常環境(気温20℃,定格電圧から給電)における画像形成時の加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図6】制御部100に含まれるCPUによる画像形成動作停止の判断処理に関するフローチャートである。
【図7】通常環境における画像形成動作から、サーモスタット76が作動したときの加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図8】低温環境(気温10℃)で、給電される電圧が定格電圧よりも20%低い環境における画像形成時の加熱ローラ61の中央部および端部の温度の時間変化を示したグラフである。
【図9】他の実施形態としての画像形成動作停止の判断処理に関するフローチャートである。
【図10】センタサーミスタ、またはサイドサーミスタいずれの検出信号を選択するかを判断する処理に関するフローチャートである。
【図11】他の実施形態としての定着装置6の各部との配置と、用紙検出センサ10,11と、制御回路を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施例1]
(レーザプリンタの概略構成)
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1はレーザプリンタ1の構成を示す断面図である。
【0020】
まずレーザプリンタ1の構成および画像形成動作について説明する。ここで、以下の説明において方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で前後左右を定義して説明する。
【0021】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙Pに転写されたトナー像を熱定着させる定着装置6とを主に備えている。本体筐体2の前側には、開閉自在なフロントカバー21が設けられており、フロントカバー21を開いたときにできる開口からプロセスカートリッジ5が着脱可能に装着される。また、本体筐体2の上面には、本体筐体2の外部に排出された用紙Pが蓄積される排紙トレイ22が設けられている。
【0022】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31内に用紙Pが蓄積されている。給紙トレイ31内の用紙Pは、給紙部3に備えられた各種ローラの間を通ってプロセスカートリッジ5に搬送される。
【0023】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動されるポリゴンミラー41と、各種レンズおよびミラーを主に備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザ光は、鎖線で示すように反射または通過して、プロセスカートリッジ5の感光体ドラム52の表面上に高速走査にて照射される。
【0024】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に設けられ、本体筐体2に対して着脱自在に装着される。このプロセスカートリッジ5は、外枠を構成する中空のケーシング51内に、感光体ドラム52と、帯電器53と、現像ローラ54と、供給ローラ55と、層厚規制ブレード56と、トナー収容部57と、転写ローラ58とを主に備えている。
【0025】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム52の表面が、帯電器53により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0026】
このとき、トナー収容部57内のトナー(図示せず)は、アジテータ57Aの回転により供給ローラ55に供給され、供給ローラ55と現像ローラ54の回転により、供給ローラ55と現像ローラ54が摺接することで、現像ローラ54上に供給される。現像ローラ54上に供給されたトナーは、現像ローラ54の回転により、層厚規制ブレード56と現像ローラ54との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ54上に担持される。
【0027】
現像ローラ54上に担持されたトナーは、現像ローラ54と感光体ドラム52とが対向して接触するときに感光体ドラム52上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム52上にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム52と転写ローラ58との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム52上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0028】
定着装置6は、プロセスカートリッジ5の後方(用紙Pの搬送方向下流側)に設けられ、加熱部材の一例としての加熱ローラ61と、加熱ローラ61に対向して配置され、加熱ローラ61との間で用紙Pを挟持する加圧部材の一例としての加圧ローラ62とを主に備えている。定着装置6の詳細な構成については後述する。
【0029】
用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pが加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を挟持されて搬送されながら熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、定着装置6から排出経路23に搬送され、排出経路23から排出ローラ24によって本体筐体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に蓄積されて画像形成動作が終了する。
【0030】
なお、本体筐体2内には制御部100が設けられている。制御部100は、CPUなどを備えた制御回路であって、画像形成動作や定着装置6の温度などを制御している。制御部100は、本発明の勾配判別手段、停止手段、温度制御手段、温度判別手段、位置判断手段、選択手段に相当する。
(定着装置の構成)
次に、定着装置6の構成について図2ないし4を用いて説明する。図2,3に示すように、定着装置6はケーシング60の中に加熱ローラ61、加圧ローラ62を備え、加熱ローラ61の周囲には本発明の温度検出手段の一例としてのセンタサーミスタ72およびサイドサーミスタ74、熱源への通電を遮断する遮断部材の一例としてのサーモスタット76が備えられている。なお、サイドサーミスタ74が第2の温度検出部材、センタサーミスタ72が第1の温度検出部材に相当する。
【0031】
加熱ローラ61は、本発明の定着部材に相当する金属製の本体ローラ64と、その本体ローラ64の内部において軸方向に設けられる熱源65とを備えており、ケーシング60に回転可能に支持されている。
【0032】
熱源65は、本体ローラ64の内部の中心において、その本体ローラ64の軸方向にそって、本体ローラ64とほぼ同じ長さで設けられている。熱源65は制御部100に接続されており、画像形成動作時には制御部100からの通電に伴い発熱して本体ローラ64を加熱する。
【0033】
センタサーミスタ72、およびサイドサーミスタ74は、本体ローラ64の表面に接触しながらケーシング60に支持され、本体筐体2内の制御部100に接続されている。センタサーミスタ72は、本体ローラ64の軸方向中央部付近にて接触し、本体ローラ64中央部の温度を検出し、その検出信号を制御部100に送出する。なお、センタサーミスタ72の配置は、図4に示すように小サイズ紙P2がサイドサーミスタ74寄り(片寄せ)で進入してきた場合に通紙領域外になるように配置されることが望ましい。すなわち、センタサーミスタ72は加熱ローラ61の軸方向中心よりも、サイドサーミスタ74の配置された端部の軸方向反対側寄りに配置すると良い。
【0034】
一方、サイドサーミスタ74は本体ローラ64の軸方向から見てセンタサーミスタ72と重なる位置にて本体ローラ64に接触しながら本体ローラ64端部付近の温度を検出している。図3に示すように、サイドサーミスタ74は本体ローラ64の軸方向端部に設けられており、加熱ローラ61の軸方向の領域のうち、中央寄せで定着装置6に進入してくる用紙P1(例えばA4サイズ)が接触および通紙される通紙領域Aの外に設けられている。
【0035】
つまり、サイドサーミスタ74は加熱ローラ61のうち通紙領域外の温度を検出しており、その検出信号を制御部100に送出している。制御部100は、サイドサーミスタ74、センタサーミスタ72から送出された検出信号を受信し、予め設定された所定の定着温度に保つように熱源65への通電をオンオフ制御している。これによって、加熱ローラ61は、通常の画像形成動作中は所定の定着温度を保つように、所定の上限値と下限値の温度範囲で温度制御されている。なお、本実施例ではサーミスタ72,74を接触式のサーミスタとして適用したが、非接触式のサーミスタであってもよい。
【0036】
サーモスタット76は、加熱ローラ61の過度の加熱を防止するための部材であって、サーモスタット76が働くと制御部100から熱源65への通電が遮断される。サーモスタットは、円板状をなしておりその表面に所定の上限温度になると接触が解除されるバイメタルを有しており、そのバイメタルが本体ローラ64と所定の間隔を隔てて対向する状態で、ケーシング60に取り付けられている。
【0037】
なお、本実施例では、上限温度は制御温度の上限値付近に設定されている。サーモスタット76周囲の雰囲気温度が上限温度を超えるとサーモスタット76が作動し、熱源65への通電を迅速に遮断する。また、本実施例では遮断部材としてバイメタルを有するサーモスタットを適用したが、それに限らず、導電性の樹脂材料から構成され、上限温度になると樹脂が溶融して通電を遮断する温度ヒューズのような部材を用いても良い。
【0038】
上記のように構成された定着装置6には、制御部100から定着装置6へ画像形成動作命令が送出されると、熱源65への通電を開始される。まず、加熱ローラ61はウォームアップ動作として所定時間加熱され、図5に示すようにその表面温度が上昇する。所定時間経過後、用紙が定着装置6に通紙され、通紙に伴い熱定着が行われる。本実施例での通常の印刷環境では、所定時間経過後の定着温度は加熱ローラ61の中央部で検出される温度が定着温度としての213℃になるように設定されている。
【0039】
なお、加熱ローラ61の中央部は通紙領域であることと、制御部100が定着温度を保つようにするため熱源65のオンオフ制御を行っていることに起因し、センタサーミスタ72にて検出される加熱ローラ61の中央部の温度は213℃付近で下限値210℃から上限値216℃の間で温度制御されている。一方、加熱ローラ61の端部は中央部よりも少し遅れて温度上昇する。加熱ローラ61の中央部の温度が定着温度に達した時点では、端部の温度は定着温度に達しておらず、所定時間経過すると中央部の温度とほぼ同じになる。
【0040】
なお、画像形成処理が行われると、加熱ローラ61の中央部の温度は、用紙が通紙されることに伴い熱が奪われるが、非通紙領域である端部には熱が蓄積されていく。したがって所定時間が画像形成動作が行われると、中央部よりも端部の温度のほうが若干高くなる。
(画像形成動作停止の判断処理)
次に、サーモスタット76の作動に伴う画像形成動作停止の判断処理について、図6ないし8を用いて説明する。ここでは、図7に示すように、時刻t1にてサーモスタット76が作動して熱源65への通電が遮断された場合を例として説明する。
【0041】
ウォームアップ動作中を除き、画像形成動作中は、図6に示した画像形成動作停止の判断処理が行われている。画像形成動作の判断処理とは、サーミスタに検出された加熱ローラ61の温度の時間変化に対する変化量から導かれる温度勾配が連続して負であるかについて判断を行うことを指す。なお、ここでは、画像形成動作の停止とは加熱ローラ61および加圧ローラ62の回転を停止させることを指すが、そのほかにも感光ドラム52や給紙動作の停止など、画像形成動作に関する構成要素の動作を合わせて停止させても良い。
【0042】
まず、画像形成動作が始まった時点では、S101のように温度勾配が負を示した回数をカウントした値であるカウント値Nを0に設定する。次に、S102に進んで加熱ローラ61の端部の温度が、サイドサーミスタ74によって検出される。この温度は1秒ごとに検出され、制御部100内のメモリに記憶される。
【0043】
次に、S103にて、S102で検出された温度の時間経過に対する変化量から、温度勾配αが導出される。具体的には、検出された最新の温度と、そのひとつまえ(1秒前)に検出された温度に基づいて温度勾配αが導出される。ここでは、図7の時刻t1に検出された温度T1と、時刻(t1+1)に検出された温度T2(T1>T2)から温度勾配α1が導出される。
【0044】
次に、S104に進み、S102で導かれた温度勾配αが負であるか否かが判断される。温度勾配αが負である場合(S104:YES)は、温度が低下していると判断され、S105に進み、温度勾配αが負を示した回数をカウントするカウント値Nに1加算される。ここでは、α1が負であるので、N=1となる。温度勾配α1が負を示していないと判断された場合(S104:NO)は、S101に戻ってそれまでのカウント値がリセットされる。
【0045】
S106では、温度勾配αが所定の回数連続して負を示したか否かが判断される。具体的には、カウント値Nが7になったか否かが判断される。つまり、ここでは7秒間のうちに算出された温度勾配α1,α2,・・・α6,α7が、全て負であったかが1秒ごとに判断され、N=7に到達しない場合(S106:NO)には、S102にて戻ってN=7に到達するまで温度の検出および温度勾配αの導出を行う。
【0046】
カウント値Nが7になったと判断された場合(S106:YES)は、サーモスタット76が作動したことに伴い、図7に示すように加熱ローラ61の温度が十分低下したと判断され、S107にすすんで画像形成動作の停止(ここでは加熱ローラ61および加圧ローラ62の停止)を行い、処理を終了する。このような処理を行うことによって、サーモスタット76の作動による加熱ローラ61の温度低下に伴う画像形成動作の停止を、精度よく、かつ迅速に行うことが可能となる。
【0047】
図8に示すように、レーザプリンタ1の周囲が低温であって、かつ電源が低格より低電圧であるような環境でレーザプリンタ1が使用される場合には、加熱ローラ61の中央部、端部ともに通常の印刷環境(図5参照)よりも定着時の温度が低い。特に、通紙領域(中央部)では紙の通紙とともに紙に熱が奪われ、温度が低下する。したがって、従来のように加熱ローラ61の温度そのものが画像形成動作停止の閾値であると、図8に示したような印刷環境にて誤って画像形成動作を停止させてしまわないように、閾値としての温度を十分低く設定する必要があり、適切な時期での画像形成動作の停止が困難である。
【0048】
一方、加熱ローラ61の温度勾配が負であるか否かを判別するので、加熱ローラ61の温度の時間経過に対する変化の傾向が検出できる。そして、温度勾配の判断結果が所定回数以上連続して負を示したことで加熱ローラ61の温度が下がり続ける傾向にあることを判別するので、サーモスタットの作動に伴う加熱ローラの温度低下を確実に検出して画像形成動作を停止させることができる。
【0049】
また、負の温度勾配が連続したかを判別するようにすると、一時的な温度低下、すなわち加熱ローラ61の中央部に設けられたセンタサーミスタ72が通紙に伴う温度の低下を検出したとしても、その時点で誤って画像形成動作を停止させてしまうことがない。さらに、温度そのものを画像形成動作停止の閾値とする場合のように、使用環境の影響を考慮して必要以上に停止条件を厳しく設定する必要がない。したがって適切に画像形成動作を停止させることが可能である。
【0050】
さらに、本実施形態のように加熱ローラ61を通過する用紙と接触しない通紙領域外の温度を検出するサイドサーミスタ74が検出した温度に基づいて温度勾配を算出するようにすれば、通紙によって熱が奪われてしまった部分の温度を検出することがない。したがって、判別の精度を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態ではサイドサーミスタ74から検出された温度に基づいて判断を行ったが、センタサーミスタ72を用いても良い。また、センタサーミスタ72およびサイドサーミスタ74で検出された温度からそれぞれ温度勾配を算出し、それぞれから算出された温度勾配がいずれも連続して負になった場合に画像形成動作を停止するようにしても良い。
【0052】
また、本実施形態ではサーミスタが加熱ローラ61の温度を検出する間隔を1秒毎とし、7連続で負の温度勾配が検出されたら画像形成動作を停止させるとした。その検出間隔および判断回数は種々の値をとりうるが、加熱ローラ61が通紙による温度低下(図8参照)から復帰するまでの時間や、通常の画像形成時における温度制御によって現れる負の温度勾配の間隔よりも長くなるように設定することが望ましい。
[実施例2]
次に、本発明に関する他の実施形態について図9を用いて説明する。なお、実施例1に記載した内容と重複する部分に関しては説明を割愛し、同じ符号を用いる。実施例1と異なる点は、画像形成動作を停止させる条件として、温度勾配と温度そのものを併用して判断するという点である。本実施例では、予め定着温度の制御範囲の下限値よりも低い温度が画像形成動作停止のための閾値として制御部100に記憶されている。すなわち、閾値として190℃が設定される。
【0053】
図9に示すように、S201からS206までは実施例1と同様に加熱ローラ61の温度を検出し、温度勾配αを導いてそれが連続的に負を示したか否かが判断される。S206にて温度勾配が負を示したことをカウントするカウント値Nが7回に達したと判断された場合(S206:YES)は、S207に進み、検出された温度の最新の値が閾値よりも低いか否かが判断される。
【0054】
最新の検出温度が閾値(190℃)よりも高い場合(S207:NO)は、画像形成動作を停止させずにS202に戻って同様の処理を繰り返す。閾値(190℃)よりも低い場合(S207:YES)は、S208に進んで画像形成動作を停止して、処理を終了する。
【0055】
以上のように制御することによって、通常の画像形成動作中の温度制御に伴って現れる負の温度勾配(図5参照)を連続して検出しても画像形成動作を停止することがない。したがって画像形成動作停止の精度が向上する。
[実施例3]
次に、本発明に関する他の実施形態について、図10および図11を用いて説明する。本実施形態においては、図11に示すように用紙搬送経路の途中に本発明の用紙検出手段としての用紙検出センサ10,11が設けられている。用紙検出センサ10は接触式のセンサであり、その配置は、用紙Pが加熱ローラ61の中央部を通紙される場合(図11のP1)に用紙検知センサ10,11とともに接触し、端部を通紙される場合(図11のP2)は用紙検知センサ11しか接触しない位置である。通紙に伴い用紙Pが用紙検出センサ10と接触すると、用紙検出センサ10は検出信号を制御部100に送出する。
【0056】
以上のように構成されたレーザプリンタは、図10に示すようにセンタサーミスタ72とサイドサーミスタ74のいずれのサーミスタを用いて画像形成動作の判断処理を行うかを選択し、選択されたサーミスタからの検出信号を用いて画像形成動作停止の判断処理を行う。
【0057】
まず、給紙部3から用紙Pが給紙されると、S301にて用紙検出センサ10,11が用紙Pを検出したか否かが判断される。用紙検出センサ10,11がONまたは用紙検知センサ10のみONになったと判断される場合(S301:YES)は、図11に示すように用紙Pは加熱ローラ61の端部を通紙領域としないので、温度検出に対し通紙の影響を受けにくいサイドサーミスタ74から送出される温度検出信号が選択され(S302)、S304にて選択された温度検出信号に基づき画像形成動作停止の判断処理(実施例1参照)が行われる。用紙検出センサ10がOFF,用紙検知センサ11がONとなった場合(S301:NO)は、図11に示すように加熱ローラ61の端部が通紙領域になるので、S303に進んでセンタサーミスタ72から送出される温度検出信号が選択され、同様にS304にて選択された温度検出信号に基づき画像形成動作停止の判断処理が行われる。
【0058】
このように搬送される用紙の搬送位置によって使用するサーミスタを選択することで、これによって、通紙領域内にあるほうの温度検出手段を用いずに、温度勾配に基づき画像形成動作を停止するか否かを判別することができる。したがって、通紙される用紙のサイズや、用紙の搬送経路がかわっても通紙の影響を受けずに正確な判別が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 レーザプリンタ
6 定着装置
10 紙検出センサ
61 加熱ローラ
62 加圧ローラ
72 センタサーミスタ
74 サイドサーミスタ
76 サーモスタット
100 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源と、前記熱源により加熱される定着部材とを有し、現像剤による画像が形成された用紙を前記定着部材に通紙して当該画像を熱定着する画像形成動作を行う画像形成装置であって、
前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、
温度検出手段によって検出された前記温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する勾配判別手段と、
前記勾配判別手段が前記温度勾配を判別した結果が所定回数以上連続して負であった場合に、前記画像形成動作を停止させる停止手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記温度検出手段は、前記定着部材を通過する前記用紙と接触しない通紙領域外の前記定着部材の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着部材が前記画像形成動作中に定着温度を保つように所定の上限値と下限値の温度範囲で前記熱源を制御する温度制御手段と、
前記温度検出手段が検出した前記温度が、前記下限値より低い所定温度を下回ったか否かを判別する温度判別手段とを更に備え、
前記停止手段は、前記温度勾配の判別結果が連続して負であり、かつ前記温度判別手段が前記温度について前記所定温度を下回ったと判断した場合に前記画像形成動作を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温度検出手段は前記定着部材の端部の温度を検出する第一の温度検出部材と、前記定着部材の中央部の温度を検出する第二の温度検出部材よりなり、
前記用紙の位置を検出する用紙検出手段と、
前記用紙検出手段からの検出信号に応じて前記用紙が前記端部を通紙されるか前記中央部を通紙されるかを判断する位置判断手段と、
前記位置判断手段が前記用紙について前記端部を通紙すると判断した場合は前記第一の温度検出手段からの信号を選択し、前記中央部を通紙すると判断した場合は前記第二の温度検出手段からの信号を選択する選択手段と、
を更に備え、
前記勾配判別手段は、前記選択手段によって選択された信号に基づき、前記温度勾配が負であるか否か判別することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
熱源と、前記熱源により加熱される定着部材とを有し、現像剤による画像が形成された用紙を前記定着部材に通紙して当該画像を熱定着する画像形成動作を行う画像形成装置であって、
前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、
温度検出手段によって検出された前記温度の時間経過に対する変化量から導かれる温度勾配が負であるか否かを所定の間隔で判別する勾配判別手段と、
前記勾配判別手段が前記温度勾配を判別した結果が所定回数以上連続して負であった場合に、前記画像形成動作を停止させる停止手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記温度検出手段は、前記定着部材を通過する前記用紙と接触しない通紙領域外の前記定着部材の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着部材が前記画像形成動作中に定着温度を保つように所定の上限値と下限値の温度範囲で前記熱源を制御する温度制御手段と、
前記温度検出手段が検出した前記温度が、前記下限値より低い所定温度を下回ったか否かを判別する温度判別手段とを更に備え、
前記停止手段は、前記温度勾配の判別結果が連続して負であり、かつ前記温度判別手段が前記温度について前記所定温度を下回ったと判断した場合に前記画像形成動作を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温度検出手段は前記定着部材の端部の温度を検出する第一の温度検出部材と、前記定着部材の中央部の温度を検出する第二の温度検出部材よりなり、
前記用紙の位置を検出する用紙検出手段と、
前記用紙検出手段からの検出信号に応じて前記用紙が前記端部を通紙されるか前記中央部を通紙されるかを判断する位置判断手段と、
前記位置判断手段が前記用紙について前記端部を通紙すると判断した場合は前記第一の温度検出手段からの信号を選択し、前記中央部を通紙すると判断した場合は前記第二の温度検出手段からの信号を選択する選択手段と、
を更に備え、
前記勾配判別手段は、前記選択手段によって選択された信号に基づき、前記温度勾配が負であるか否か判別することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−224351(P2010−224351A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73436(P2009−73436)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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