説明

画像形成装置

【課題】本発明は、簡易な構成で、かつ、操作性及び視認性を良好に維持した状態で、操作パネルを可動させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に所定の情報を表示する液晶画面48と操作ボタン50とを備えた操作パネル46と、操作パネル46の表面の傾斜角度を一定にした状態で操作パネル46の移動が可能となるように操作パネル46を支持する支持部材34、36と、操作パネル46の表面の傾斜角度を一定にした状態で操作パネル46を移動させる駆動機構56、60、62と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、傾斜角度を変更可能な操作パネルを備えた画像形成装置が提案されている。これによれば、誰でも見やすいように操作パネルの傾斜角度を調節することができる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−206157号公報
【特許文献2】特開2007−166215号公報
【特許文献3】特開2008−233392号公報
【特許文献4】特開2006−251190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術によれば、操作パネルの傾斜角度を調節した場合でも、操作パネルの液晶画面に対する光(日光あるいは室内灯の光)の照射角度によっては、操作パネルの液晶画面に表示される情報を判別し難くなる問題が残る。また、操作パネルの傾斜角度を変えた場合に、操作パネルに設けられた操作ボタン等を入力操作し難くなることがある。さらに、操作パネルの傾斜角度のみを変える構成では、傾斜角度の変更時において操作パネルの動作を実現するための駆動機構、及び操作パネルの動作自体が複雑になり、故障の原因、あるいは操作パネル及びその周辺部材の大型化に繋がる別の問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構成で、かつ、操作性及び視認性を良好に維持した状態で、操作パネルを可動させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面に所定の情報を表示する液晶画面と操作ボタンとを備えた操作パネルと、前記操作パネルの前記表面の傾斜角度を一定にした状態で前記操作パネルの移動が可能となるように前記操作パネルを支持する支持部材と、前記操作パネルの前記表面の傾斜角度を一定にした状態で前記操作パネルを移動させる駆動機構と、を有する。
【0007】
本発明によれば、駆動機構の作用により、操作パネルが表面の傾斜角度を一定にした状態で移動する。これにより、操作パネルが自動的に移動していくため、使用者に適正な位置に操作パネルを停止させることにより、操作パネルの液晶画面に表示された情報を確認することができる。また、操作パネルを移動しても、操作パネルの位置によって操作ボタンの押圧方向が変わらないため、操作ボタンが操作し難くなることを防止できる。
【0008】
この場合、前記駆動機構は、駆動モータと、前記駆動モータの駆動力を前記操作パネルに伝達し、前記操作パネルの移動を実現する駆動力伝達部材と、を有することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、駆動機構は、駆動モータと、駆動力伝達部材と、で構成されているため、簡易な構成で、操作パネルを移動させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で、かつ、操作性及び視認性を良好に維持した状態で、操作パネルを可動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2Aは、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の操作パネルが下方位置にあるときの側面図であり、図2Bは、その操作パネルが上方位置にあるときの側面図である。
【図3】図3Aは、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の操作パネルが下方位置にあるときの側面図であり、図3Bは、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の操作パネルが上方位置にあるときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置10は、筐体12を備えている。この筐体12の内部には、用紙に所定の画像を形成するための画像形成部14が配置されている。筐体12の上部には、原稿台16が設けられている。原稿台16の内部には、ガラス面30上にセットした原稿の画像を読み取る画像読取部18が設けられている。原稿台16には、画像形成に関する動作を入力するための操作部20が設けられている。また、原稿台16には、原稿台16のガラス面30を開放又は閉塞する原稿押さえカバー(カバー部材)32が取り付けられている。
【0014】
原稿押さえカバー32は、所定軸の軸回りに回動可能となるように原稿台16側に設けられている。原稿押さえカバー32は、筐体12に対してスプリングを組み込んだヒンジ部31を介して取り付けられている。このため、原稿押さえカバー32を開ける場合(原稿台30の上面を開放する場合)には、スプリングの弾性力が原稿押さえカバー32に作用する重力に逆らって原稿押さえカバー32を押し上げるように作用するため、小さな力で原稿押さえカバー32を開けることができる。一方、開けた状態の原稿押さえカバー32を閉める場合(原稿台30の上面を閉塞する場合)には、スプリングの弾性力が原稿押さえカバー32に作用する重力に逆らって原稿押さえカバー32を押し上げるように作用するため、原稿押さえカバー32が勢い良く閉まってしまうことがない。
【0015】
また、原稿押さえカバー32の上面には、原稿を所定の読取部位に送るためのADF装置(Auto Document Feeder:原稿自動送り装置)22が設けられている。また、ADF装置22には、ADF装置22に供給する原稿を載せるための原稿トレイが接続されている。この原稿トレイは、所定軸の軸回りに回動可能に構成されている。
【0016】
筐体12の底部には、複数の用紙収容カセット26、28が引き出し可能に設けられている。具体的には、重力作用方向上流側には、第1用紙収容カセット26が設けられており、第1用紙収容カセット26の重力作用方向下側には、第2用紙収容カセット28が設けられている。
【0017】
筐体12には、一対の支持部材34、36が取り付けられている。各支持部材34、36には、傾斜部38、40が形成されている。また、各支持部材34、36には、厚み方向に貫通したガイド孔42、44がそれぞれ形成されている。各ガイド孔42、44は、長孔状に形成されている。一対の支持部材34、36には、操作パネル46が傾斜部38、40に対して平行移動可能に支持されている。操作パネル46は、所定の情報が表示される液晶画面48と、所定の操作を指示するときに押圧する操作ボタン50と、が設けられている。
【0018】
図2に示すように、各支持部材34、36には、取付片52が接続されている。取付片52には、取付片52の延びる方向に対して直交する方向に突出したガイド軸54が取り付けられている。ガイド軸54は、ガイド孔42に挿通された状態になっている。このガイド軸54は、操作パネル46を支持部材34、36に支持された状態にするとともに、操作パネル46の移動を円滑かつ確実に実行させるために機能している。
【0019】
取付片52の先端部には、ギア片56が取り付けられている。ギア片56は、支持部材34に対して平行に延びるものである。ギア片56の一辺には、複数のギア歯58が連続して形成されている。ギア歯58には、駆動ギア60が噛み合っている。駆動ギア60は、駆動モータ62の駆動シャフトギア(図示省略)が機械的に接続されている。なお、駆動モータ62の駆動は、図示しないコントローラにより制御される。
【0020】
これにより、駆動モータ62が駆動したときに、駆動ギア60が回転する。駆動ギア60が回転することにより、ギア片56が直線運動する。この結果、操作パネル46が支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。このように、駆動モータ62の駆動力は、駆動ギア60及びギア片56を介して、操作パネル46の直線運動に変換される。この意味で、駆動ギア60及びギア片56は、駆動モータ62の駆動力を操作パネル46の直線運動に変換するための駆動力変換機構として機能する。
【0021】
なお、本発明の「駆動機構」とは、第1実施形態の駆動モータ62と、駆動ギア60と、ギア片56と、を含む概念である。また、本発明の「駆動力伝達部材」とは、駆動ギア60と、ギア片56と、を意味するものである。さらに、駆動機構は、一対の支持部材34、36のうち一方側の支持部材34のみに設けられている構成が好ましい。
【0022】
次に、第1実施形態の画像形成装置10の作用及び効果について説明する。
なお、以下の説明では、操作パネル46が支持部材34、36の最下位の位置にあるときを基準にして説明する。
【0023】
図2Aに示すように、操作パネル46を上方向に向って移動する場合には、コントローラによって駆動モータ62が正方向に回転させられる。これにより、駆動モータ62が駆動して、駆動ギア60が正方向に回転する。そして、ギア片56が上方向に移動する。この結果、図2Bに示すように、操作パネル46は、ギア片56と共に上方向に移動して、支持部材34、36の最上位の位置に到達する。なお、操作パネル46の移動時において、ガイド軸54がガイド孔42に案内されていくため、操作パネル46は、支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。
【0024】
一方、操作パネル46が支持部材34、36間の最上位の位置に到達した状態で、操作パネル46を下方向に向って移動する場合には、コントローラによって駆動モータ62が逆方向に回転させられる。これにより、駆動モータ62が駆動して、駆動ギア60が逆方向に回転する。そして、ギア片56が下方向に移動する。この結果、図2Aに示すように、操作パネル46は、ギア片56と共に下方向に移動して、支持部材34、36の最下位の位置に到達する。なお、このときも、操作パネル46の移動時において、ガイド軸54がガイド孔42に案内されていくため、操作パネル46は、支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。
【0025】
以上のように、操作パネル46を支持部材34、36の傾斜部38、40に対して電動的(自動的)に平行移動させることができる。これによって、使用者の身体的特徴あるいは光の照射具合をみながら、操作パネル46を最適な位置に移動することができる。この結果、操作パネル46の液晶画面48に表示される情報を判別し易くすることができる。また、操作パネル46の傾斜角度を変えることがないため、操作パネル46が移動しても操作ボタン50等の押圧方向が変化せず、操作ボタン50等の入力操作が困難になることを防止できる。さらに、操作パネル46の平行移動は、駆動モータ62、駆動ギア60及びギア片56で構成された駆動機構により実現することができるため、駆動機構の構成を簡易なものにすることができ、ひいては操作パネル46及び周辺部材の大型化を防止できる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。第1実施形態の画像形成装置の構成と重複する構成には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0027】
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、操作パネル46を平行移動させるための駆動機構が異なる態様となる。すなわち、図3Aに示すように、操作パネル46の取付片52の先端部には、ベルト68に固定するための固定部70が設けられている。固定部70がベルト68に固定されることにより、操作パネル46がベルト68の移動と共に移動する。
【0028】
また、ベルト68は、2つのプーリ64、66に掛け渡されている。2つのプーリ64、66のうち、一方のプーリ64(66)を他方のプーリ66(64)との離間距離が調整可能な構成にしておくことにより、常に、適切な張力をベルト68に付与することができる。
【0029】
2つのプーリ64、66は、支持部材34により回転可能に支持されている。また、2つのプーリ64、66のうち一方のプーリ64の軸部には、駆動ギア60が機械的に接続されている。これにより、駆動ギア60が回転することにより、一方のプーリ64に駆動ギア60の回転駆動力が伝達されて回転する。また、駆動ギア60は、駆動モータ62の駆動シャフトギア(図示省略)が機械的に接続されている。なお、駆動モータ62の駆動は、図示しないコントローラにより制御される。
【0030】
これにより、駆動モータ62が駆動したときに、駆動ギア60が回転する。駆動ギア60が回転することにより、2つのプーリ64、66が回転してベルト68が直線運動する。この結果、操作パネル46が支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。このように、駆動モータ62の駆動力は、駆動ギア60、2つのプーリ64、66及びベルト68を介して、操作パネル46の直線運動に変換される。この意味で、駆動ギア60、2つのプーリ64、66及びベルト68は、駆動モータ62の駆動力を操作パネル46の直線運動に変換するための駆動力変換機構として機能する。
【0031】
なお、本発明の「駆動機構」とは、第2実施形態の駆動モータ62と、駆動ギア60と、2つのプーリ64、66と、ベルト68と、を含む概念である。また、本発明の「駆動力伝達部材」とは、駆動ギア60と、2つのプーリ64、66と、ベルト68と、を意味するものである。さらに、駆動機構は、一対の支持部材34、36のうち一方側の支持部材34のみに設けられている構成が好ましい。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の作用について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、操作パネル46が支持部材34、36の最下位の位置にあるときを基準にして説明する。
【0033】
図3Aに示すように、操作パネル46を上方向に向って移動する場合には、コントローラによって駆動モータ62が正方向に回転される。これにより、駆動モータ62が駆動して、駆動ギア60が正方向に回転する。駆動ギア60が正方向に回転することにより、各プーリ64、66も正方向に回転する。そして、ベルト68が正方向に回転して上方向に移動する。この結果、図3Bに示すように、操作パネル46は、固定部70及びベルト68と共に上方向に移動して、支持部材34、36の最上位の位置に到達する。なお、操作パネル46の移動時において、ガイド軸54がガイド孔42に案内されていくため、操作パネル46は、支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。
【0034】
一方、図3Bに示すように、操作パネル46が支持部材34、36間の最上位の位置に到達した状態で、操作パネル46を下方向に向って移動する場合には、コントローラによって駆動モータ62が逆方向に回転される。これにより、駆動モータ62が駆動して、駆動ギア60が逆方向に回転する。駆動ギア60が逆方向に回転することにより、各プーリ64、66も逆方向に回転する。そして、ベルト68が逆方向に回転して下方向に移動する。この結果、図3Aに示すように、操作パネル46は、固定部70及びベルト68と共に下方向に移動して、支持部材34、36の最下位の位置に到達する。なお、このときも、操作パネル46の移動時において、ガイド軸54がガイド孔42に案内されていくため、操作パネル46は、支持部材34、36の傾斜部38、40に対して平行移動する。
【0035】
以上のように、第2実施形態によれば、ベルト68を使用して操作パネル46を平行移動させることができる。これによって、使用者の身体的特徴あるいは光の照射具合をみながら、操作パネル46を最適な位置に移動することができる。この結果、操作パネル46の液晶画面48に表示される情報を判別し易くすることができる。また、操作パネル46の傾斜角度を変えることがないため、操作パネル46が移動しても操作ボタン50等の押圧方向が変化せず、操作ボタン50等の入力操作が困難になることを防止できる。さらに、操作パネル46の平行移動は、駆動モータ62、駆動ギア60、2つのプーリ64、66及びベルト68で構成された駆動機構により実現することができるため、駆動機構の構成を簡易なものにすることができ、ひいては操作パネル46及び周辺部材の大型化を防止できる。
【符号の説明】
【0036】
10 画像形成装置
34、36 支持部材
46 操作パネル
48 液晶画面
50 操作ボタン
56 ギア片(駆動機構、駆動力伝達部材)
60 駆動ギア(駆動機構、駆動力伝達部材)
62 駆動モータ(駆動機構)
64 プーリ(駆動機構、駆動力伝達部材)
66 プーリ(駆動機構、駆動力伝達部材)
68 ベルト(駆動機構、駆動力伝達部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に所定の情報を表示する液晶画面と操作ボタンとを備えた操作パネルと、
前記操作パネルの前記表面の傾斜角度を一定にした状態で前記操作パネルの移動が可能となるように前記操作パネルを支持する支持部材と、
前記操作パネルの前記表面の傾斜角度を一定にした状態で前記操作パネルを移動させる駆動機構と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、
駆動モータと、
前記駆動モータの駆動力を前記操作パネルに伝達し、前記操作パネルの移動を実現する駆動力伝達部材と、
を有する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−253773(P2010−253773A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105631(P2009−105631)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】