説明

画像形成装置

【課題】複数の制御手段の一部の制御手段に異常が発生した場合でも他の制御手段により異常を外部に通知することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置12は、画像形成装置12内の複数のエリア1〜7に各々設けられると共に、少なくとも一つの他の制御部と接続された複数の制御部18−1〜18−7を備え、複数の制御部18−1〜18−7のうち2以上の他の制御部と接続された制御部18−3は、接続された2以上の他の制御部のうち通信異常が発生した他の制御部以外の他の制御部に、通信異常が発生したことを示す異常情報を送信し、複数の制御部18−1〜18−7のうち制御部18−1、18−2は、外部装置と通信するためのネットワーク16や電話回線40に接続され、異常情報を受信した場合は、受信した異常情報をネットワーク16や電話回線40を介して外部装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に異常な高温が発生した場合に、そのような状況に対処するための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷装置内に本体とは独立した系で通信ユニットと電源管理ユニット、熱センサ等を備えることにより、一定時間以上規定温度を超えた状態が続いたりした場合に、印刷装置の主電源を切って管理者に通知を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−154739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の制御手段の一部の制御手段に異常が発生した場合でも他の制御手段により異常を外部に通知することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、本画像形成装置内の複数の領域に各々設けられると共に、少なくとも一つの他の制御手段と接続された複数の制御手段を備え、前記複数の制御手段のうち2以上の他の制御手段と接続された制御手段は、接続された前記2以上の他の制御手段のうち通信異常が発生した他の制御手段以外の他の制御手段に、通信異常が発生したことを示す異常情報を送信し、前記複数の制御手段のうち少なくとも一つの制御手段は、外部装置と通信するための通信回線に接続され、前記異常情報を受信した場合は、受信した前記異常情報を前記通信回線を介して前記外部装置に送信する。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記異常情報は、前記通信異常が発生した領域及び前記通信異常が発生した時刻の少なくとも一つに関する情報を含む。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記複数の領域の少なくとも一つの領域の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記複数の制御手段のうち2以上の他の制御手段と接続された制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が、高温による異常を示す予め定めた閾値以上の場合に、前記通信異常が発生した他の制御手段以外の他の制御手段に、前記異常情報を送信する。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記異常情報は、前記温度検出手段により検出された温度に関する温度情報を含む。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、複数の制御手段が互いに通信の監視を行わない場合と比較して、複数の制御手段の一部の制御手段に異常が発生した場合でも他の制御手段により異常を外部に通知することができる、という効果を有する。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、異常情報に通信異常が発生した領域及び通信異常が発生した時刻の少なくとも一つに関する情報が含まれない場合と比較して、異常の発生状況を容易に把握することができる、という効果を有する。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、温度に拘わらず異常情報を送信してしまう場合と比較して、高温による異常以外の単なる通信異常で外部に異常情報が送信されてしまうのを防ぐことができる、という効果を有する。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、異常情報に温度情報が含まれない場合と比較して、異常が発生した領域の温度を容易に把握することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成システムの概略構成図である。
【図2】画像形成装置の概略構成図である。
【図3】画像形成装置の各制御部の配置について説明するためのイメージ図である。
【図4】各制御部で実行される監視処理の処理ルーチンを示す図である。
【図5】画像形成装置のあるエリアに高温による異常が発生した場合に異常情報がどのように送信されるのかを説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1には、本実施形態に係る画像形成システム10の概略構成を示した。同図に示すように、画像形成システム10は、複数の画像形成装置12及び外部サーバ14がネットワーク16を介して相互に接続された構成となっている。
【0017】
図2には、画像形成装置12の概略構成を示した。同図に示すように、画像形成装置12は、制御装置18を含んで構成されている。
【0018】
制御装置18は、詳細な後述するが、画像形成装置12を複数の領域に分けた場合の各領域に設けられ、複数の制御部18−1〜18−n(nは自然数、本実施形態では一例としてn=7)を含んで構成されている。なお、複数の制御部のうち1つの制御部を代表して説明する場合は、制御部18と称する。
【0019】
制御部18は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)等がバスを介して各々接続された構成である。
【0020】
制御装置18には、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、ネットワーク通信インターフェース(I/F)30、電話回線インターフェース(I/F)32、ハードディスク34、及び複数の温度センサ36等の各機能部が接続されている。
【0021】
操作表示部20は、例えばコピー開始等を指示するためのスタートボタンやテンキー等の各種ボタン、コピー濃度等の各種の画像形成条件を設定するための設定画面や装置の状態等の各種画面を表示するためのタッチパネル等を含んで構成される。
【0022】
画像読取部22は、ラインCCD等の画像読取センサや当該画像読取センサを走査するための走査機構等を含んで構成され、装置にセットされた原稿の画像を読み取る。
【0023】
画像形成部24は、例えば所謂電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。具体的には、画像形成部24は、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上を画像に応じた光で露光することにより感光体ドラム上に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置、感光体ドラム上に形成された画像に応じたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された画像に応じたトナー像を定着する定着装置等を含んで構成される。
【0024】
なお、露光装置としては、半導体レーザや回転多面鏡、コリメータレンズやシリンドリカルレンズ、fθレンズ等の光学系を含んで構成された光走査装置、複数のLEDから成るLEDヘッド等がある。
【0025】
用紙供給部26は、記録用紙が収容される用紙トレイや、用紙トレイから画像形成部24へ記録用紙を供給する供給機構等を含んで構成される。
【0026】
用紙排出部28は、記録用紙が排出される排出トレイや、画像形成部24で画像が形成された記録用紙を排出トレイ上に排出させるための排出機構等を含んで構成される。
【0027】
ネットワーク通信I/F30は、ネットワーク16を介して外部サーバ14と予め定めたプロトコル、すなわち通信方式に従ってデータ通信を行うためのインターフェースである。通信方式としては、例えば、通信先とハンドシェイクしながらデータ通信を行うTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)や、通信先とハンドシェイクを行わずにデータ通信を行うUDP(User Datagram Protocol)等がある。
【0028】
電話回線通信I/F32は、図示しない電話回線を介して接続された他の画像形成装置とファクシミリ通信を行うためのインターフェースである。
【0029】
ハードディスク34は、例えば装置の各部の状態や稼働状況等のログデータ、コピーやファクシミリ通信、プリント等の処理結果のログデータ、各種の設定データ、制御プログラム等が記憶される。
【0030】
複数の温度センサ36は、画像形成装置12を複数の領域に分けた場合の各領域に設けられるようにしてもよいが、一部の領域に設けられるようにしてもよい。また、画像形成装置内部に限らず、画像形成装置外部近傍に設けても良い。
【0031】
画像形成装置12は、例えば図3に示すように、エリア1〜エリア7に分けられる。本実施形態では、一例として画像形成部24等が含まれる領域をエリア1〜エリア4に分け、用紙供給部26をエリア5、用紙排出部26をエリア6、画像読取部22をエリア7とし、各エリアに制御部18−1〜18−7が設けられた場合について説明する。
【0032】
なお、図3の例では、制御部18−1がネットワーク通信I/F30を介してネットワーク16に接続され、外部サーバ14や他の画像形成装置12とネットワーク16を介して通信することが可能である。また、制御部18−2が電話回線I/F32を介して電話回線40と接続され、他のファクシミリ装置等と電話回線40を介してファクシミリ通信することが可能である。
【0033】
なお、本実施形態では、温度センサ36は各エリアに設けられ、各温度センサ36が外部装置と通信可能な制御部18−1、18−2に接続された場合について説明する。図3の例では、例えば制御部18−1にエリア1以外のエリア2〜7に設けられた温度センサ36が接続され、制御部18−2にエリア2以外のエリア1、3〜7に設けられた温度センサ36が接続された場合について説明するが、温度センサ36の接続方法はこれに限られるものではない。
【0034】
制御部18−1〜18−7は、詳細は後述するが、自身に接続された他の制御部に異常が発生しているか否かを検出するために、予め定めたフォーマットの監視パケットを他の制御部に送信し、これに対する予め定めた応答パケットを受信したか否かにより、自身に接続された他の制御部に異常が発生したか否かを判断する監視制御を実行する。
【0035】
次に、本実施形態の作用として、制御部18−1〜18−7で実行される監視制御処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図4、図5に示す処理は、所定時間毎に実行される。
【0036】
まず、図4に示す処理について説明する。
【0037】
ステップ100では、自身に接続された他の制御部に対して予め定めた監視パケットを送信する。監視パケットを受信した他の制御部は、監視パケットを受信すると、これに対応した予め定めた応答パケットを監視パケットの送信元の制御部に送信する。応答パケットには、例えば制御部自身が設けられたエリアを特定するための情報や、応答パケットの送信時刻等が含まれる。
【0038】
ステップ102では、応答パケットを未受信の制御部が存在するか否かを判断し、応答パケットを未受信の制御部がある場合はステップ104へ移行し、応答パケットを未受信の制御部がない場合は、ステップ112へ移行する。
【0039】
ステップ104では、監視パケットを送信してから予め定めた所定時間経過したか否かを判断することによりタイムアウトしたか否かを判断する。ここで、所定時間は、監視パケットを送信してからこの時間以上経過しても応答パケットを受信しなかった場合に、他の制御部が設けられたエリアで異常が発生しており、制御部が応答できない状態になっていると判断できる時間に設定される。
【0040】
そして、タイムアウトしたと判断した場合には、ステップ106へ移行し、タイムアウトしていない場合には、ステップ102へ戻って上記と同様の処理を繰り返す。
【0041】
ステップ106では、応答パケットがタイムアウトした他の制御部のエリアに設けられた温度センサ36から温度を取得する。
【0042】
ステップ108では、取り込んだ温度が予め定めた閾値以上であるか否かを判断する。この閾値は、取り込んだ温度がこの値以上の場合には、そのエリアが高温による異常状態となっていると判断できる値に設定される。
【0043】
そして、取り込んだ温度が閾値以上の場合には、ステップ110へ移行し、取り込んだ温度が閾値以上でない場合には、ステップ112へ移行する。なお、ステップ106、108の処理は、温度センサ36が接続された制御部のみ実行され、温度センサ36が非接続の制御部では省略される。すなわち、本実施形態の場合には、制御部18−1、18−2が実行する処理である。
【0044】
ステップ110では、応答パケットを未受信の他の制御部に異常が発生していることを示す異常情報を他の制御部へ送信する。また、外部装置と通信可能な制御部の場合は、外部装置へ異常情報を送信する。この異常情報には、通信異常が発生した領域に関する情報や検出した温度に関する情報、通信異常が発生した時刻等の情報が含まれる。
【0045】
例えば、制御部18−1が制御部18−3からの応答パケットを未受信で、制御部18−3が設けられたエリア3に設けられた温度センサ36により検出された温度が閾値以上の場合は、制御部18−2に異常情報を送信すると共に、ネットワーク16を介して他の外部装置に異常情報を送信する。これにより、通信異常が発生した場合でも、温度が閾値以上の場合のみ異常情報が他の制御部や外部装置に送信され、温度が閾値未満の場合には、異常情報は他の制御部や外部装置には送信されない。
【0046】
ステップ112では、他の制御部から異常情報を受信したか否かを判断し、受信した場合には、ステップ114へ移行し、受信していない場合には、本ルーチンを終了する。
【0047】
ステップ114では、他の制御部から受信した異常情報を、異常情報を受信した他の制御部以外の他の制御部に送信する。また、外部装置と通信可能な制御部の場合は、外部装置へ異常情報を送信する。例えば制御部18−1が制御部18−3から異常情報を受信した場合は、制御部18−2に異常情報を送信すると共に、ネットワーク16を介して他の外部装置に異常情報を送信する。なお、ステップ112、114は、他の一つの制御部とのみ接続された制御部18−4〜18−7では実行されない処理である。
【0048】
図5には、一例として、例えばエリア4に高温による異常が発生し、図5の破線で示すように、制御部18−3と制御部18−4との通信に異常が発生した場合の異常情報の流れを矢印で示した。
【0049】
この場合、エリア3の制御部18−3は、制御部18−4から応答パケットが未受信となり、エリア4に設けられた温度センサ36により検出された温度が閾値以上となると、その他の制御部18−1、18−5、18−6に送信する。制御部18−5、18−6は、制御部18−3以外の制御部とは接続されていないので、異常情報の送信は行わない。
【0050】
一方、制御部18−1は、ネットワーク16に接続されていると共に、制御部18−2、制御部18−2と接続されているので、制御部18−3から受信した異常情報をネットワーク16に例えばメール等で送信すると共に、制御部18−2、18−7に送信する。
【0051】
制御部18−7は、制御部18−1以外の他の制御部とは接続されていないので、異常情報の送信は行わない。一方、制御部18−2は、電話回線40と接続されているので、制御部18−1から受信した異常情報を電話回線40を介して他の装置へファクシミリ送信する。
【0052】
このように、エリア4で高温による異常が発生した場合には、制御部18−3から制御部18−1、制御部18−2を介して異常情報が外部へ送信される。
【0053】
なお、本実施形態では、監視パケットを他の制御部に送信することにより他の制御部の異常を検知する場合について説明したが、予め定めた監視パケットを他の制御部に送信するのではなく、通常の画像形成動作において各制御部が通信する制御データ等の授受ができなかった場合に、通信異常と判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 画像形成システム
12 画像形成装置
14 外部サーバ
16 ネットワーク(通信回線)
18 制御装置
18−1〜18−7 制御部(制御手段)
20 操作表示部
22 画像読取部
24 画像形成部
26 用紙供給部
28 用紙排出部
30 ネットワーク通信I/F
32 電話回線通信I/F
34 ハードディスク
36 温度センサ(温度検出手段)
40 電話回線(通信回線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本画像形成装置内の複数の領域に各々設けられると共に、少なくとも一つの他の制御手段と接続された複数の制御手段を備え、
前記複数の制御手段のうち2以上の他の制御手段と接続された制御手段は、接続された前記2以上の他の制御手段のうち通信異常が発生した他の制御手段以外の他の制御手段に、通信異常が発生したことを示す異常情報を送信し、
前記複数の制御手段のうち少なくとも一つの制御手段は、外部装置と通信するための通信回線に接続され、前記異常情報を受信した場合は、受信した前記異常情報を前記通信回線を介して前記外部装置に送信する
画像形成装置。
【請求項2】
前記異常情報は、前記通信異常が発生した領域及び前記通信異常が発生した時刻の少なくとも一つに関する情報を含む
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の領域の少なくとも一つの領域の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記複数の制御手段のうち2以上の他の制御手段と接続された制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が、高温による異常を示す予め定めた閾値以上の場合に、前記通信異常が発生した他の制御手段以外の他の制御手段に、前記異常情報を送信する
請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常情報は、前記温度検出手段により検出された温度に関する温度情報を含む
請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−268034(P2010−268034A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115387(P2009−115387)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】