説明

画像形成装置

【課題】ロータリーガイド部材が動作しないという不具合が発生した場合のサービスマンの対応回数を可及的に低減することができる。
【解決手段】メンテナンスドアーが閉じられると(♯1でYES)、指示部はロータリーガイド部材を基準回転位置に位置させるための指示信号をステッピングモータに出力する(♯2)。判断部は指示信号をモータに出力してから所定時間内に基準位置検出部から検出信号を受信したか否かを判断し(♯3)、受信しなかった場合には(♯3でNO)、今回の指示信号に対応して検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数をカウントし、そのカウント値が1又は2である場合には(♯4でYES)、報知処理部は用紙ジャムが発生した旨の報知を行う一方(♯5)、前記カウント値が3以上の値である場合には(♯4でNO)、サービスマンに点検依頼を促す旨の報知等を行う(♯6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されつつあるシート体の搬送方向を切り換えるシート搬出方向切換機構を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置のシート搬送系統において使用されるシート搬出方向切換装置が知られている。このシート搬出方向切換装置は、画像形成処理が完了し表面にトナー画像が形成されたシート体の搬出先を、排出トレイと両面印刷処理のためのスイッチバック搬送路との間で切り換えるものであり、排出先の分岐点に設けられたロータリーガイド部材を備えている。
【0003】
このロータリーガイド部材は、シート幅寸法より若干長い間隔を置いて対向配置された一対の円形側板と、これら円形側板間に架設された4枚のガイド板と、各円形側板に突設された回転軸とを備えた構成である。各ガイド板間には、それぞれ異なった案内通路(中央部の直進案内通路、その両側の反転案内通路)が設けられている。そして、ロータリーガイド部材の基準位相からの回転量に基づいて、当該ロータリーガイド部材へ向けて搬送されてきたシートが、いずれの案内通路を通るかが決定される。通過する案内通路に応じて、シートは予め設定された搬出先へ向けて排出される。
【0004】
かかるロータリーガイド部材は、パルス信号のパルス数に応じて駆動回転するステッピングモータにより回転軸回りに一体回転するようにされている。これによって当該ロータリーガイド部材の姿勢設定(すなわち、搬送されてきたシート体の搬出先の設定)を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−86759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記ロータリーガイド部材の位置設定を行うためには、当該ロータリーガイド部材の基準姿勢を予め設定しておく必要がある。そのため、この種の画像形成装置においては、通常、前記ロータリーガイド部材の基準姿勢を検出するための基準姿勢検出センサが備えられている。
【0007】
一方、従来では、前記ロータリーガイド部材を駆動するモータの異常を直接検出する手段(センサ)を備えていなかった。そのため、前記ロータリーガイド部材の回転駆動を指示しても該ロータリーガイド部材が回転しないで前記基準姿勢検出センサから検出信号が出力されなかった場合は、その異常要因に関係なく、すなわちその異常要因が例えば単なる用紙ジャムによってロータリーガイド部材の回転が阻害された場合であっても、或いは前記ステッピングモータ自身の異常であっても、該ステッピングモータに異常が発生したものとみなしてその旨及びサービスマンに点検依頼を促す旨の報知を行うようにしていた。
【0008】
しかしながら、サービスマンに点検させなくてもユーザ自身で対処可能な異常要因がある。例えば前記用紙ジャムはその一例である。このようにユーザ自身でも対処が可能であるにも拘らず、そのような場合にまでサービスマンに連絡してその不具合の対処をサービスマンに行わせることは、装置のメンテナンスを行う側の負担が大きくなり、また、ユーザにとっても、サービスマンによる不具合の解消作業が完了するまで該画像形成装置の利用待機を余儀なくされ、好ましい状態とはいえない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、前記基準姿勢検出センサから検出信号が出力されない不具合が発生した場合のサービスマンによる作業回数を可及的に低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、搬送されてきたシート体を通過させ得る案内通路を備え、搬送方向と直交する方向に延びた支持軸回りに回動して少なくとも2つの搬送先のいずれかに前記案内通路の出口を向けるべく姿勢変更が可能なロータリーガイド部材と、前記ロータリーガイド部材を姿勢変更させるためのモータと、前記ロータリーガイド部材の予め定められた姿勢を検出したときに検出信号を出力する検出部と、前記検出部を用いて前記ロータリーガイド部材の稼働確認を行うための処理を開始すべきトリガとなる予め定められた操作が当該画像形成装置に対して実施されると、前記ロータリーガイド部材を稼働させるための指示信号を前記モータに出力する指示部と、前記指示部による今回の指示信号に対応して前記検出部から検出信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記判断部により、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと判断された場合に、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数をカウントし、その連続発生回数が予め定められた複数回に達したときに、当該画像形成装置の点検依頼を促す旨及びそれに関連する旨のうち少なくとも一方を報知する報知部とを備える画像形成装置である。
【0011】
この発明によれば、前記予め定められた操作が行われると、前記指示部により、前記ロータリーガイド部材を稼働させるための指示信号が前記モータに出力され、前記検出部を用いた前記ロータリーガイド部材の稼働確認が行われる。そして、前記指示部による今回の指示信号に対応して前記検出部から検出信号を受信したか否かが判断部により判断される。
【0012】
ここで、前記指示部による今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと判断部により判断された場合、報知部により、今回の指示信号に対応して前記検出信号が出力されなかったという判断結果の連続発生回数がカウントされ、その連続発生回数が予め定められた複数回に達したときに、サービスマンに当該画像形成装置の点検依頼を促す旨及びそれに関連する旨のうち少なくとも一方が報知される。
【0013】
これにより、今回の指示信号に対応して前記検出信号が出力されなかったという判断結果の連続発生回数が前記予め定められた複数回に達するまでは、ユーザがサービスマンに当該画像形成装置の点検依頼が行われることが回避される。
【0014】
その結果、前記ロータリーガイド部材が動作しなかった場合に、その異常要因に関係なくサービスマンに当該画像形成装置の点検依頼を促す旨の報知を行う構成に比して、ユーザ自身に点検等を行わせるようにした分、サービスマンへの報知回数を低減することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記報知部は、前記判断部により今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと1回目判断された後から前記連続発生回数が前記予め定められた複数回に達するまでは、前記シート体のジャムが発生したものとみなしてその旨を報知するものである。
【0016】
この発明によれば、前記判断部により今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと1回目判断された後から前記連続発生回数が前記予め定められた複数回に達するまでは、ユーザ自身で対処可能な前記シート体のジャムが発生したものとみなしてその旨を報知するようにしたので、前記連続発生回数が前記予め定められた複数回に達するまでは、異常の確認や該異常に対する対処をできる限りユーザに実施させることができる。
【0017】
前記ロータリーガイド部材に前記予め定められた姿勢をとらせるための処理を開始すべきトリガとなる予め定められた操作は、例えば請求項3に記載の発明のように、当該画像形成装置の内部を露出するための開閉扉を閉じる操作や、請求項4に記載の発明のように、当該画像形成装置の各部に要する電力供給を行わせるべく電源ボタンをオンする操作が一例として想定される。
【0018】
前記連続発生回数(前記複数回)は、請求項5に記載の発明のように、サービスマンへの報知回数(作業回数)の低減と、ユーザの手間(不具合の発生の報知がなくなるまで開閉扉を開閉したり電源ボタンをオンオフしたりされる操作に因る手間)とのバランスを考慮して3回に設定するのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来に比してサービスマンへの報知回数を低減できるから、サービスマン側にかかる負担を低減することができるとともに、サービスマンにより不具合が解消されるまでユーザが画像形成装置の利用待機を余儀なくされる機会を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の概要を説明するための正面断面視の説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の装置本体内に形成された搬出方向切換装置の機構部分を示す拡大説明図である。
【図3】図2に示す搬出方向切換部の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、斜め上から見た状態を示している。
【図4】図3に示す搬出方向切換部を斜め下から見た状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示す搬出方向切換部のV−V線断面図である。
【図6】ロータリーガイド部材の用紙ガイド姿勢を説明するための正面断面視の説明図であり、(A)は、ロータリーガイド部材が基準姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、ロータリーガイド部材が起立姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図7】ロータリーガイド部材の用紙ガイド姿勢を説明するための正面断面視の説明図であり、(A)は、ロータリーガイド部材が胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、ロータリーガイド部材が逆送搬送路向け姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図8】図1に示す画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図9】画像形成装置の報知動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る画像形成装置10の一構成例の正面断面視の説明図、図2は、図1に示す搬出方向切換装置20の機構部分である搬出方向切換部109周辺の拡大説明図である。搬出方向切換部109は、画像形成装置10の装置本体11内に形成されている。なお、図1及び図2においてX−X方向を左右方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方という。
【0022】
図1に示す画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に、画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とが設けられている。そして、排紙部15の一部(後述の胴内排紙トレイ151)は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
【0023】
装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15の胴内排紙トレイ151を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物である。
【0024】
そして、下部本体111には、画像形成部12、定着部13及び用紙貯留部14が内装されているとともに、上部本体112には画像読取部16が装着されている。操作部17は、上部本体112の前縁部に設けられている。
【0025】
操作部17は、画像形成処理に関する操作入力を受け付けるものであり、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキーやその他の各種の操作キー171、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)を備えたタッチパネル172、当該画像形成装置1の各部に要する電力供給のオンオフを行うための電源ボタン173等が設けられている。
【0026】
また、操作部17は、用紙貯留部14や手差しトレイ18等の用紙収容部に収容されている用紙P(シート体)が普通紙であるか、厚紙であるか、あるいはOHP(OverHead Projector)用の透明樹脂シートであるか、といった用紙P(シート体)の種別情報を受け付ける。なお、以下の説明においては、OHPシートのような紙以外のシート部材についても、用紙Pとして記載する。
【0027】
用紙貯留部14は、下部本体111内における画像形成部12の直下方位置に設けられた挿脱可能な用紙カセット141と、この用紙カセット141のさらに下方位置に設けられた挿脱可能な大量の用紙(シート体)Pを貯留することができる大容量デッキ142とを有している。本実施形態においては、用紙カセット141は2段で設けられ、大容量デッキ142は2列で設けられている。
【0028】
そして、画像形成処理が行われるに際し、用紙カセット141又は大容量デッキ142に貯留されている用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに対して画像形成処理(印刷処理)が実行される。
【0029】
排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成された胴内排紙トレイ(スイッチバックトレイ)151と、装置本体11の外部に形成された胴外排紙トレイ(外部トレイ)152と、胴内排紙トレイ151の直上位置に設けられた胴内フィニッシャー153とを有している。画像形成部12から送り込まれたトナー画像転写済みの用紙Pは、連結部113内に設けられた搬出方向切換部109を介し、予め排出先が設定された胴内排紙トレイ151、胴外排紙トレイ152及び胴内フィニッシャー153のいずれかに向けて排出される。胴内フィニッシャー153は、排出された用紙Pに対してパンチング処理やステイプル処理等の後処理を施すものである。
【0030】
胴内排紙トレイ151は、単純に用紙Pの排出用に使用される他、用紙Pに対して両面印刷処理を施すに際し、表面側の印刷処理が完了した用紙Pに対して裏面側に印刷処理を施すべく、当該用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックトレイとしても利用される。すなわち、表面側の印刷処理が完了した用紙Pは、この胴内排紙トレイ151に一旦排出された後、今までの最後尾が最先端になった状態でスイッチバックされ、画像形成部12へ戻される。そして、片面印刷が完了している用紙Pは、画像形成部12で裏面側に印刷処理が施され、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0031】
画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、この原稿押さえカバー162に装着された原稿自動読取部163と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構164とを備えている。
【0032】
そして、コンタクトガラス161上に載置され、あるいは原稿自動読取部163によってコンタクトガラス161上へ供給された原稿の画像は、走査機構164によってアナログ情報として読み取られたのちデジタル信号に変換されて後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0033】
また、下部本体111の右面における用紙貯留部14の直上位置には手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。このような手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、用紙縦搬送路101を介して後述の感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0034】
また、下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられている。胴外排紙トレイ152は、このメンテナンスドアー19の上部位置に設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152及び胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0035】
画像形成部12には、上下方向の略中央部であって左寄りの位置に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電処理される。
【0036】
感光体ドラム121の右側位置には、画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づくレーザービームを感光体ドラム121の周面に照射する露光ユニット123が設けられている。そして、この露光ユニット123からのレーザービームの照射によって感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124からトナーが供給され、これによって感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
【0037】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙カセット141又は大容量デッキ142から搬送されてきた用紙Pが、上下方向に延びた用紙縦搬送路101を上昇し、タイミングを取るためのレジストローラ対143を介して送り込まれる。そして、感光体ドラム121へ到達した用紙Pには、左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0038】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄にされ、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0039】
定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、左方でこの加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132及び加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、左側でこの定着ベルト133の表面と対向配置された加圧ローラ134とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部を通過しながら加熱ローラ131の熱を定着ベルト133を介して受熱し、これによってトナー像の用紙Pに対する定着処理が実行される。
【0040】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方の搬出方向切換部109を介し、排紙搬送路102を通って胴外排紙トレイ152へ排出されたり、往復搬送路103を通って胴内排紙トレイ151へ排出されたり、さらには両面印刷のために往復搬送路103を通ってスイッチバックトレイとして兼用される胴内排紙トレイ151へ一時的に排出されたりする。
【0041】
そして、両面印刷の場合、往復搬送路103を介して前半部分が胴内排紙トレイ151に排紙された片面印刷処理済みの用紙Pは、メンテナンスドアー19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0042】
メンテナンスドアー19には、逆送搬送路104の直ぐ右側に、右面が画像形成部12の左面に対向されるカバー部材191が設けられている。このカバー部材191は、メンテナンスドアー19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドアー19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材191の右面と画像形成部12の左面との間に用紙カセット141や大容量デッキ142さらには手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための用紙縦搬送路101の一部が形成されている。
【0043】
搬出方向切換部109は、図2に示すように、定着部13の筐体135の直上位置であって胴内排紙トレイ151の左側壁151aの左方の空間に設定されている。搬出方向切換部109の右上方には、胴内排紙トレイ151の左側壁151aの上縁部を越えて胴内排紙トレイ151内へと延設された下に凹の第1円弧ガイド板108aが設けられているとともに、搬出方向切換部109の左上方には、用紙Pを定着部13の左側を通って下方の逆送搬送路104へ向かわせるように下へ凹の円弧状に形成された第2円弧ガイド板108bが設けられている。
【0044】
そして、第1円弧ガイド板108aの左端部と第2円弧ガイド板108bの右端部との間には定着部13から上方へ向けて排出された用紙Pを受け入れるように隙間が形成され、この隙間の上部には、上方へ延びる用紙縦搬送路101の一部としての上端搬送路101aが形成されている。
【0045】
この上端搬送路101aの直上位置には、略二等辺三角形状を呈した切換ガイド部材107が設けられている。この切換ガイド部材107は、上端搬送路101aから送り出された用紙Pの排出先を胴内フィニッシャー153と胴外排紙トレイ152との間で切り換えるものであり、二等辺三角形の頂点に当たる部分が下方に向くように姿勢設定されている。
【0046】
そして、かかる切換ガイド部材107は、その略重心位置を軸支したガイド軸107a回りに時計方向へ向けて回動することにより用紙Pを右面に沿わせて胴内フィニッシャー153へ案内するフィニッシャー向け姿勢と、ガイド軸107a回りに反時計方向へ回動することにより用紙Pを左面に沿わせて胴外排紙トレイ152へ案内する胴外排紙トレイ向け姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
【0047】
すなわち、画像形成部12での画像形成処理が完了し、定着部13において定着処理が施された用紙は、一旦搬出方向切換部109へ導出された後に、目的に応じて各所へ排出されるのである。そして、搬出方向切換部109は、従来の三角形状の切換ガイドに代えてロータリーガイド部材30を備えている。
【0048】
そして、このロータリーガイド部材30の周りには、複数の搬送ローラが設けられ、これらの搬送ローラによりロータリーガイド部材30に対する用紙Pの入出が円滑に行われる。かかる搬送ローラとしては、定着部13の出口位置であって、ロータリーガイド部材30の直前位置(直下位置)に設けられた定着部出口ローラ106aと、第1円弧ガイド板108aの下方位置(すなわち往復搬送路103上)であって胴内排紙トレイ151の直前に設けられて用紙Pの胴内排紙トレイ151への排出に荷担する第1排出ローラ106b、第2円弧ガイド板108bの下方位置に設けられて用紙Pの逆送搬送路104へ向かう搬送に荷担する逆送搬送路向け搬送ローラ106cと、上端搬送路101aの下流端で切換ガイド部材107の直下位置に設けられて切換ガイド部材107へ向かう用紙Pの搬送に荷担する切換ガイド部材向け搬送ローラ106dと、胴外排紙トレイ152の上流端に設けられた第2排出ローラ106eと、胴内フィニッシャー153の入口側に設けられた第3排出ローラ106fとが採用されている。
【0049】
また、ロータリーガイド部材30を介した用紙Pの搬送状態を検出するべく、ロータリーガイド部材30の周りには、各種の用紙センサが設けられている。かかる用紙センサとしては、定着部13の下流端(定着部13の筐体の上部)に設けられた定着上センサ105a(先端入タイミング取得部)と、胴内排紙トレイ151の入口部分に設けられた第1排出センサ105bと、逆送搬送路104の上流端位置に設けられた逆送センサ105cと、胴外排紙トレイ152の上流端における第2排出ローラ106eの近傍に設けられた第2排出センサ105dと、胴内フィニッシャー153の入口側における第3排出ローラ106fの近傍に設けられた第3排出センサ105eとが採用されている。
【0050】
これらのセンサによる用紙Pの検出と、この検出結果に基づく搬出方向切換部109及び切換ガイド部材107の予め設定された動作とによって定着部13から送り出された用紙Pは、所定の位置へ向けて搬出されることになる。
【0051】
以下、図3〜図5に基づき搬出方向切換部109について説明する。図3及び図4は、搬出方向切換部109の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図3は、斜め上から見た状態、図4は、斜め下から見た状態をそれぞれ示している。また、図5は、図3に示す搬出方向切換部109のV−V線断面図であり、二点鎖線でロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定された状態、実線でロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図3〜図5において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0052】
まず、図3に示すように、搬出方向切換部109は、定着部13(図2)から定着部出口ローラ106aを介して送り出された用紙Pを受け、予め設定された所定の位置に向けて当該用紙Pの排出を案内するロータリーガイド部材30と、このロータリーガイド部材30に付設され用紙Pに形成されたトナー画像に悪影響を与えないように案内する案内プーリー40と、ロータリーガイド部材30を所定のガイド軸(支持軸)34回りに正逆回転させることによって当該ロータリーガイド部材30の姿勢を変更させる姿勢変更部50と、この姿勢変更部50によって姿勢変更されるロータリーガイド部材30の基準回転位置を検出するための基準位置検出部60とを備えている。
【0053】
ロータリーガイド部材30は、前後方向一対の側板31と、各側板31間に架設された左右方向一対の円弧ガイド板32と、前後方向に並設された状態で左側の円弧ガイド板32に固定された複数枚のガイドフィン33と、前後の側板31の略重心位置から同心で互いに反対方向に向けて突設された前後一対のガイド軸34と、一対の側板31の上縁部間に架設されたカバー体35とを備えている。
【0054】
各側板31は、正面視での基本形状が略正方形に設定された上で正方形状の各所が変形させられることによって形成されている。これら一対の側板31間に左右の円弧ガイド板32が架設されることにより、これら一対の円弧ガイド板32が構造材の役割を果たし、ロータリーガイド部材30が構造的に強固に形成されている。
【0055】
一対の円弧ガイド板32は、正面視で互いに対向面が対向方向に向けて円弧状に膨出されて形成されている。かかる一対の円弧ガイド板32は、下縁部間の左右方向の距離が、上方に向かうに従い漸減するように設定されている。かかる一対の円弧ガイド板32間に、定着部13から送り込まれた用紙Pを案内する案内通路320が形成されている。
【0056】
そして、かかる一対の円弧ガイド板32における下縁部間に定着部13から導出された用紙Pを受け入れるための受入開口321(入口)が形成され、同上縁部間に用紙Pを排出する排出開口(出口)322が形成されている。そして、定着部13から導出された用紙Pは、定着上センサ105aを介して受入開口321から一対の円弧ガイド板32間に導入され、排出開口322及びカバー体35に設けられた後述の排出口351(出口)を通って上方に向けて排出される。ロータリーガイド部材30の案内通路320を通って排出口351から排出された用紙Pがその後どこへ向かわされるかについては、ロータリーガイド部材30の姿勢に応じて予め決められているが、これについては後に詳述する。
【0057】
ガイドフィン33は、ロータリーガイド部材30が後述する逆送搬送路向け姿勢S4(図7(B)参照)に姿勢設定された状態で、一時貯留されていた胴内排紙トレイ151から逆送搬送路104へ向かう、裏面側に印刷処理を施すべき両面印刷用の用紙Pを受けて案内するためのものである。かかるガイドフィン33は、逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定された状態(図7(B))において、上縁面が側板31の上縁面と同様に上に凸の円弧状に形成され、これによって下に凹の円弧状に形成された前記第2円弧ガイド板108bとの間に逆送搬送路104の上流端の部分が形成される。
【0058】
また、一対の側板31から互いに反対方向に向けて同心で突設された一対のガイド軸34は、装置本体11の図略のフレームに支持され、姿勢変更部50の駆動により軸心回りにロータリーガイド部材30と正逆一体回動が可能とされている。
【0059】
カバー体35は、粉塵等の異物のロータリーガイド部材30内への進入を防止するためのものであり、図3に示すように、ロータリーガイド部材30の上部を覆うものであって、一対の側板31の図3における上縁部間に架設されている。かかるカバー体35の頂部には、一対の円弧ガイド板32の排出開口322に対向した位置に、用紙Pを排出するための前後方向へ延びた排出口351(出口)が設けられている。
【0060】
案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32を挟んで前後に複数対で設けられている。かかる複数対の案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32の左右の外側の位置において各ガイドフィン33を貫通した状態で一対の側板31間に架設された左右一対のプーリー軸41回りに回転自在に軸支されている。
【0061】
一方、左右の円弧ガイド板32には、各案内プーリー40に対応した位置に、図4に示すような貫通窓323がそれぞれ設けられている。そして、各一対の案内プーリー40は、それぞれの一部がこれらの貫通窓323を潜って一対の円弧ガイド板32間の案内通路320内に入り込み、これによって各案内プーリー40の周面が案内通路320内で互いに対向した状態になっている。
【0062】
従って、定着部13から導出された用紙Pは、受入開口321を通って一対の円弧ガイド板32間に導入された状態で、用紙Pの画像形成面がこれら一対の円弧ガイド板32に当接することなく左右の案内プーリー40の周面間を通過することになる。そしてこのとき、たとえ用紙Pの画像形成面が案内プーリー40の周面に接触しても、この接触によって案内プーリー40がプーリー軸41回りに回転するため、用紙Pの原稿形成面が円弧ガイド板32の内面と摺接するようなことが起こらない。従って、用紙Pの原稿形成面が摺接されることによって画像が乱れるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0063】
姿勢変更部50は、後述の制御部200からの制御信号に基づき、ロータリーガイド部材30の姿勢を設定するためのものである。かかる姿勢変更部50は、ステッピングモータ51と、このステッピングモータ51の駆動軸511に同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤ52と、後方のガイド軸34に一体回動可能に固定され、かつ、駆動ギヤ52に噛合するセクトギヤ53とを備えている。
【0064】
ステッピングモータ51は、パルス信号のパルス数に応じて回転角度が設定されるように構成されているため、目的に応じて予め設定されたパルス数の信号をステッピングモータ51に供給することにより当該ステッピングモータ51の回転角度、すなわちロータリーガイド部材30の姿勢が極めて精密に制御される。
【0065】
従って、ステッピングモータ51を使用した場合には、従来のように、例えばソレノイドへの電力供給のオン・オフによって所定の案内部材に姿勢変更させて案内先を変えるようにしたものを採用した場合に比べて極めて精度よく姿勢を変更させることができるばかりか、異音が発生するような不都合が生じることがない。
【0066】
かかるステッピングモータ51は、その駆動軸511が前方に向くように横置きでロータリーガイド部材30の後方上部に据え付けられている。そして、ステッピングモータ51の駆動力は、駆動ギヤ52及びセクトギヤ53を介してロータリーガイド部材30に伝達される。従って、ステッピングモータ51が正逆駆動されることにより、ロータリーガイド部材30は、ガイド軸34回りに正逆回動して姿勢変更されることになる。
【0067】
基準位置検出部60は、セクトギヤ53から径方向の外方に向けて突設された遮光片61と、ロータリーガイド部材30がホームポジションである基準姿勢S1(図6(A))に姿勢設定された状態で遮光片61と対向するように当該遮光片61のガイド軸34回りの回動軌跡上に配設された光センサ62とを備えている。
【0068】
光センサ62は、一対の素子支持アーム622を備えた二股状の支持ケース621にそれぞれ発光素子623と受光素子624とが対向配置されることによって構成された、いわゆるフォトインタラプタである。
【0069】
支持ケース621は、各素子支持アーム622が遮光片61の回動軌跡を挟み込み、かつ、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に設定された状態で遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置するように設置位置が設定されている。そして、発光素子623は、一方の素子支持アーム622に設けられているとともに、受光素子624は、他方の素子支持アーム622に設けられて発光素子623と対向配置されている。基準姿勢S1は、前記予め定められた姿勢の一例である。
【0070】
従って、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていないときには、発光素子623から照射された光が受光素子624によって受光され、これによってロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていないことを検出することができる。
【0071】
これに対し、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されているときには、遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623からの光が遮光片61によって遮光された状態になるため、受光素子624がオフする。これによってロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていることを検出することができる。
【0072】
また、受光素子624がオフしたときのステッピングモータ51の回転位置を基準位置として、この基準位置からステッピングモータ51に励磁パルスを供給することにより、当該励磁パルスの数に応じて所望の回転角度だけステッピングモータ51を回転させて、ロータリーガイド部材30を所望の姿勢にさせることができる。
【0073】
以下、図6及び図7を基に、ロータリーガイド部材30の用紙ガイド姿勢について説明する。図6及び図7は、ロータリーガイド部材30の用紙ガイド姿勢を説明するためのロータリーガイド部材30の正面断面視の説明図である。図6(A)は、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定された状態、図6(B)は、ロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【0074】
また、図7(A)は、ロータリーガイド部材30が胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3に姿勢設定された状態、図7(B)は、ロータリーガイド部材30が逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図6及び図7におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。
【0075】
まず、図6(A)に示すように、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されたときには、当該ロータリーガイド部材30は、一対の円弧ガイド板32間の案内通路320が垂直位置からガイド軸34回りに略30°程度反時計方向に向けて回動し、これによって左方へ向けて傾倒した状態になっている。
【0076】
そして、この状態でセクトギヤ53に固定された遮光片61が光センサ62の一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623(図3)からの光が遮光されて受光素子624へ入光されなくなっている。これによって、ロータリーガイド部材30が基準姿勢S1に姿勢設定されていることが検出されると共に、ステッピングモータの基準位置が検出される。
【0077】
また、図6(B)に示すように、ロータリーガイド部材30が起立姿勢S2に姿勢設定されたときには、排出口351が、上端搬送路101aに向く位置に位置決めされる。起立姿勢S2では、定着部13から導出された用紙Pは、定着上センサ105aを介して受入開口321からロータリーガイド部材30の案内通路320内へ導入され、一対の案内プーリー40間を通り、排出口351から上方の上端搬送路101aへ向けて排出される。
【0078】
その後、用紙Pは、胴外排紙トレイ152へ直接排出されたり、一旦胴内フィニッシャー153へ排出されてステイプル処理等の後処理が施された後、用紙束として胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
【0079】
また、図7(A)に示すように、ロータリーガイド部材30が胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3に姿勢設定されたときには、排出口351が、排出ローラ106bに向く位置に位置決めされる。胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3では、定着部13から導出された用紙Pは、ロータリーガイド部材30の案内通路320を通り、排出口351を抜け出たのち第1円弧ガイド板108aに案内されつつ胴内排紙トレイ151へ排出されることになる。胴内排紙トレイ向け傾斜姿勢S3は、用紙Pに対して両面印刷を行う場合に、用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックを行う際にも用いられる。
【0080】
そして、図7(B)に示すように、ロータリーガイド部材30が逆送搬送路向け姿勢S4に姿勢設定されたときには、第1排出ローラ106bと逆送搬送路104との間をガイドフィン33が架け渡すように配置される。これにより、両面印刷を行う際のスイッチバックにおいて、胴内排紙トレイ151側から第1排出ローラ106bによって逆送されてきた用紙Pが、ガイドフィン33によりガイドされて逆送搬送路104へ搬送可能にされている。
【0081】
図8は、図1に示す画像形成装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置10は、上述の機構部に加えて、制御部200を備えている。図8では、用紙を搬送する各種ローラや切替ガイド等を、まとめて搬送機構120として記載している。
【0082】
制御部200は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部200には、画像読取部16、画像形成部12、定着部13、搬送機構120及び操作部17が接続されている。
【0083】
また、制御部200には、光センサ62、定着上センサ105a等の各種センサが接続されている。さらに、制御部200には、ステッピングモータ51が接続されている。そして、制御部200は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、複写制御部201、指示部202、判断部203及び報知処理部204として機能する。
【0084】
定着上センサ105aは、レバー形状にされている。そして、用紙Pが、定着部13から定着部出口ローラ106aによって排出されてくると、用紙Pによって定着上センサ105aが押し上げられて、定着上センサ105aがオンし、用紙Pが検出される。また、用紙Pが搬送されて、用紙Pの後端が定着上センサ105aの位置を越えると、定着上センサ105aが元の位置に戻ってオフする。
【0085】
これにより、用紙Pが定着上センサ105aの位置、すなわち定着部13から出た用紙Pが案内通路320の受入開口321に入る位置を通過する間、定着上センサ105aがオンすることとなる。従って、定着上センサ105aがオフからオンに変化したタイミングは、用紙Pの先端が受入開口321に入るタイミングを示し、定着上センサ105aがオンからオフに変化したタイミングは、用紙Pの後端が受入開口321に入るタイミングを示す。
【0086】
なお、定着上センサ105aは、必ずしもレバー式のセンサに限らず、例えば光センサや静電センサ等を用いた用紙センサであってもよい。
【0087】
複写制御部201は、装置内の各部の動作を制御して、原稿画像の複写を実行する。具体的には、複写制御部201は、搬送機構120によって用紙Pを搬送させると共に、画像読取部16によって原稿から読み取られた画像データを画像形成部12へ送信し、画像形成部12によって、用紙Pへの画像形成を実行させる。
【0088】
指示部202は、前記メンテナンスドアー19を閉じる操作が行われると、画像形成装置10の各部にウォーミングアップ動作の実施を指示するものである。ウォーミングアップ動作には、例えば定着ローラや各種ユニットを昇温させたり、感光体ドラム121を回転させたりする動作が含まれる。また、指示部202は、ウォーミングアップ動作の実行指示とともに、前記ロータリーガイド部材30の稼働確認を実施する指示を示す指示信号を前記ステッピングモータ51に出力する。前記ロータリーガイド部材30の稼働確認が行われる場合には、前記ロータリーガイド部材30の回転駆動が行われ、ウォーミングアップ動作の完了時には前記ロータリーガイド部材30の姿勢が前記基準姿勢S1に設定される。
【0089】
判断部203は、前記指示部202により出力された今回のステッピングモータ51への指示信号に対応して、前記ロータリーガイド部材30が前記基準回転位置に位置した旨を示す検出信号を前記基準位置検出部60から受信したか否かを判断するものである。
【0090】
報知処理部204は、前記指示部202による今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと前記判断部203により判断された場合には、今回の指示信号に対応して前記検出信号が出力されなかったという判断結果の連続発生回数をカウントする。そして、報知処理部204は、そのカウント値が「3」に達したか否かを判断し、前記カウント値が「3」に達していない場合には、今回前記指示部202から出力された指示信号を受信しなかった要因を用紙ジャムに因るものとみなし、用紙ジャムが発生した旨を例えば前記LCDに視覚的に報知させる。
【0091】
この用紙ジャムの態様としては、例えば、定着部13から送り込まれた用紙Pを案内通路320に案内する際に、用紙の湾曲状態が想定範囲外のものとなることによって該用紙の先端が前記円弧ガイド板32に衝突して発生する用紙ジャムや、ロータリーガイド部材30の前記排出開口322から排出された用紙を切換ガイド部材向け搬送ローラ106d側に向けて搬送する途中で、用紙の湾曲状態が想定範囲外のものとなることによって該用紙の先端が装置内部のフレーム等に衝突して発生する用紙ジャムが想定される。このような用紙ジャムが発生すると、ロータリーガイド部材30の回転が阻害されることとなる。
【0092】
一方、報知処理部204は、そのカウント値が「3」に達した場合には、ステッピングモータ51に異常が発生した旨、及び、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨を前記LCDに視覚的に報知させる。なお、報知形態は、視覚的な報知形態に限定されず、スピーカ等を用いた聴覚的な報知形態も採用可能である。
【0093】
次に、上述のように構成された画像形成装置10の一連の報知動作について説明する。図9は、図1に示す画像形成装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0094】
まず、図9に示すように、制御部200は、開放されたメンテナンスドアー19が閉じられたことを検出すると(ステップ♯1でYES)、指示部202は、画像形成装置10内の各部にウォーミングアップ動作を開始する指示を行うとともに、前記ロータリーガイド部材30の稼働確認を実施する指示を示す指示信号を前記ステッピングモータ51に出力する(ステップ♯2)。
【0095】
次に、判断部203は、ステップ♯2の前記指示信号を前記ステッピングモータ51に出力してから所定時間内に前記ロータリーガイド部材30が前記基準回転位置に位置した旨を示す検出信号を前記基準位置検出部60から受信したか否かを判断し(ステップ♯3)、前記検出信号を受信したものと判断した場合には(ステップ♯3でYES)、制御部200は、前記ウォーミングアップ動作の完了後、画像形成装置10を待機状態に設定する(ステップ♯4)。
【0096】
一方、判断部203は、前記検出信号を前記基準位置検出部60から受信しなかったものと判断した場合には(ステップ♯3でNO)、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数をカウントし、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという今回の判断結果が1回目若しくは2回目のものであるか否かを判断する(ステップ♯4)。
【0097】
判断部203は、前記今回の判断結果が1回目若しくは2回目のものであると判断した場合には(ステップ♯4でYES)、報知処理部204は、用紙ジャムが発生した旨の報知を例えばLCDに視覚的に行わせる一方(ステップ♯5)、判断部203は、前記今回の判断結果が1回目若しくは2回目のものではない、すなわち前記今回の判断結果が3回目以降のものであると判断した場合には(ステップ♯4でNO)、ステッピングモータ51に異常が発生した旨、及び、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨を例えばLCDに視覚的に報知させる(ステップ♯6)。
【0098】
以上のように、本実施形態では、メンテナンスドアー19が閉じられると、ロータリーガイド部材30を前記基準回転位置に位置させるための指示信号をステッピングモータ51に出力し、前記指示信号を前記ステッピングモータ51に出力してから所定時間内に基準位置検出部60から検出信号を受信しなかった場合には、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数をカウントし、判断結果が1回目若しくは2回目のものである場合には、用紙ジャムが発生した旨の報知を行わせる一方、前記判断結果が3回目以降のものである場合には、ステッピングモータ51に異常が発生した旨、及び、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨の報知を行わせるようにした。
【0099】
これにより、今回の指示信号に対応して前記検出信号が出力されなかったという判断結果の連続発生回数が3回に達するまでは、ユーザに異常の対処を行わせることができ、該サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼が行われることが回避されるため、前記ロータリーガイド部材30が動作しなかった場合に、その異常要因に関係なくサービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨の報知を行う構成に比して、連続発生回数が2回まではユーザ自身で点検等を行わせる分、サービスマンへの報知回数やサービスマンによる点検回数を低減することができる。
【0100】
その結果、従来に比してサービスマン側にかかる負担を低減することができるとともに、サービスマンにより異常が解消される作業が完了するまでユーザが該画像形成装置10の利用待機を余儀なくされる機会を低減することができる。
【0101】
また、今回の指示信号に対応して前記検出信号が出力されなかったという判断結果の連続発生回数が前記予め定められた複数回(ここでは3回)に達するまでの報知内容を、異常の確認や該異常に対する対処をユーザが実施する確度の高い用紙ジャムの発生の旨の報知内容としたので、ユーザに異常の確認や該異常に対する対処を確実に行わせることができる。
【0102】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0103】
[1]ロータリーガイド部材30を回転駆動するモータは前記ステッピングモータ51に限られるものではない。
【0104】
[2]前記第1の実施形態では、前記ロータリーガイド部材30の稼働確認を行うための処理を開始すべきトリガとなる予め定められた操作として、メンテナンスドアー19を閉じる操作を想定したが、これに限定されるものではなく、当該画像形成装置1の各部に要する電力供給のオンオフを行うための電源ボタン173に対し、前記電力供給をオンする操作も一例として想定される。
【0105】
[3]前記第1の実施形態では、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数が3回目以降のものであると判断した場合に、ステッピングモータ51に異常が発生した旨やサービスマンにその旨を連絡するように指示する旨を報知するようにしたが、前記連続発生回数についての判断基準値は3回に限定されず、複数回であればよい。
【0106】
ただし、前記判断基準値が大きくなるほど、サービスマンにその旨を連絡するまでにユーザに課す操作(メンテナンスドアー19を開閉したり電源ボタン173をオンオフしたりする操作)の回数が増えてユーザに手間をかけることとなる一方、前記判断基準値を2回に設定すると、用紙ジャムが発生した旨が初めて報知された場合、ユーザは用紙ジャムについてのチェックを確実に行うことなく、メンテナンスドアー19を開閉したり電源ボタン173をオンオフしたりする可能性が高い。
【0107】
そこで、前記第1の実施形態では、サービスマンへの連絡回数の低減と、ユーザに課す操作による手間とのバランスの点から最も好ましいと考えられる3回に設定している。
【0108】
[4]今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続生回数が3回に達すると、ステッピングモータ51に異常が発生した旨、及び、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨の両方を報知するようにしたが、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促す旨の報知、及び、サービスマンに当該画像形成装置10の点検依頼を促すことにつながる報知のうちいずれか一方を行うようにしてもよい。
【0109】
[5]画像形成装置10として複写機が採用されているが、画像形成装置10は、複写機に限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
20 搬出方向切換装置
30 ロータリーガイド部材
51 ステッピングモータ
105a 定着上センサ
200 制御部
201 複写制御部
202 指示部
203 判断部
204 報知処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシート体を通過させ得る案内通路を備え、搬送方向と直交する方向に延びた支持軸回りに回動して少なくとも2つの搬送先のいずれかに前記案内通路の出口を向けるべく姿勢変更が可能なロータリーガイド部材と、
前記ロータリーガイド部材を姿勢変更させるためのモータと、
前記ロータリーガイド部材の予め定められた姿勢を検出したときに検出信号を出力する検出部と、
前記検出部を用いて前記ロータリーガイド部材の稼働確認を行うための処理を開始すべきトリガとなる予め定められた操作が当該画像形成装置に対して実施されると、前記ロータリーガイド部材を稼働させるための指示信号を前記モータに出力する指示部と、
前記指示部による今回の指示信号に対応して前記検出部から検出信号を受信したか否かを判断する判断部と、
前記判断部により、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと判断された場合に、今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったという判断結果の連続発生回数をカウントし、その連続発生回数が予め定められた複数回に達したときに、当該画像形成装置の点検依頼を促す旨及びそれに関連する旨のうち少なくとも一方を報知する報知部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記判断部により今回の指示信号に対応して前記検出信号を受信しなかったと1回目判断された後から前記連続発生回数が前記予め定められた複数回に達するまでは、前記シート体のジャムが発生したものとみなしてその旨を報知する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
当該画像形成装置の内部を露出するための開閉扉を備え、
前記予め定められた操作は、前記開閉扉を閉じる操作である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像形成装置の各部に要する電力供給のオンオフを行うための電源ボタンを備え、
前記予め定められた操作は、前記電力供給を行わせるべく前記電源ボタンをオンする操作である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数回は、3回である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−286537(P2010−286537A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138179(P2009−138179)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】