説明

画像形成装置

【課題】複数のヘッドを並べて配列した記録ヘッドユニットを用いる場合に維持回復機構が複雑化、大型化する。
【解決手段】液滴を吐出する複数のヘッド101が千鳥状に配列されたヘッド列を、ヘッド配列方向と直交する方向に複数列配置した記録ヘッドユニット50と、記録ヘッドユニット50全体を覆う保湿用キャップ部材61と、記録ヘッドユニット50の2列分のヘッド列の各ヘッド101をそれぞれキャッピングする吸引用キャップ63及び吸引用キャップ62に接続された吸引ポンプ64を含む吸引用キャップユニット62とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置におけるインク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。
【0004】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)においては、記録ヘッドは、インクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、記録不良を起こすという問題を抱えていることから、ヘッドのノズルの状態を良好に維持するための維持回復機構を備えている。
【0005】
このような維持回復機構として、吸引手段が接続され、ヘッドのノズル面をキャッピングした状態でノズルから吸引を行うための吸引用キャップと、ヘッドのノズルの乾燥を防止して保湿状態を維持するための保湿用キャップを備えることや、吸引用キャップと保湿用キャップを兼用することなどが知られている。
【0006】
ところで、搬送される用紙の全幅に相当するノズル列を配置したライン型ヘッドを備えるライン型画像形成装置においては、ライン型記録ヘッドとして、例えば、液滴を吐出するノズルを並べたノズル列を有する短尺のヘッドを複数個、ノズル配列方向に沿って配置したヘッド列を千鳥状に配置したもの(マルチアレイヘッド、マルチヘッドユニットなどとも称される。)が用いられている。
【0007】
このようなマルチアレイヘッドの吸引や保湿を行う維持回復機構として、従来、特許文献1に記載されているように、記録ヘッドのインク吐出面に当接する少なくとも2個以上で且つマルチヘッドユニットの全記録ヘッド数よりも少ない数のキャップ部材と、キャップ部材をインク吐出面と平行に移動させる第1の移動手段と、キャップ部材をインク吐出面に対して当接してインク吸引を行う当接位置とインク吐出面から離れた非当接位置との間で各々個別に移動させる第2の移動手段と、キャップ部材が当接する記録ヘッドから該キャップ部材と連通するインク排出路を介してインクを吸引する吸引手段とを有するものが知られている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−096017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように複数のヘッドを並べて配置したマルチアレイヘッドを使用する場合、各ヘッドについてキャップ部材を配置するのでは、吸引機構が複雑になって維持回復装置が複雑化、大型化することになる。
【0010】
この場合、特許文献1に記載されているように吸引用のキャップ部材の数をヘッド数よりも少なくする構成を採用したとしても、全てのヘッドについてノズルの乾燥防止のための保湿を行う必要があり、維持回復装置の構成の簡略化、小型化を図る上では十分でない。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、マルチアレイヘッドを使用する場合の維持回復機構の簡略化、小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のヘッドが千鳥状に配列されたヘッド列を、ヘッド配列方向と直交する方向に複数列配置した記録ヘッドユニットと、
前記記録ヘッドユニット全体を覆う保湿用キャップ部材と、
前記記録ヘッドユニットの一部のヘッド列の各ヘッドをキャッピングする吸引用キャップ部材を有する吸引用キャップユニットと、を備えている
構成とした。
【0013】
ここで、前記記録ヘッドユニットは、前記ヘッドを一列にモジュールベース部材上に並べて配置した複数のヘッドモジュールが、前記ヘッドがヘッドモジュール間で千鳥状に配列される状態で共通のアレイベース部材に取り付けられている構成とできる。
【0014】
また、前記記録ヘッドユニットは、前記ヘッド列がモジュールベース部材上に配置された複数のヘッドモジュールが、共通のアレイベース部材に取り付けられている構成とできる。
【0015】
また、前記保湿用キャップは、未使用時には前記吸引用キャップユニットの下方で待機し、使用時に前記吸引用キャップユニットを避けて保湿位置に移動可能に設けられている構成とできる。
【0016】
また、前記吸引用キャップユニットは、前記保湿用キャップ部材内に配置されている構成とできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドユニット全体を覆う保湿用キャップ部材と、記録ヘッドユニットの一部のヘッド列の各ヘッドをキャッピングする吸引用キャップ部材を有する吸引用キャップユニットとを備えているので、維持回復機構の構成が簡単になり、小型化を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図、図2は同装置の模式的平面説明図である。
【0019】
この画像形成装置はライン型画像形成装置であり、装置本体1と、用紙Pを積載し給紙する給紙トレイ2と、印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイ3と、用紙Pを給紙トレイ2から排紙トレイ3まで搬送する搬送ユニット4と、搬送ユニット4によって搬送される用紙Pに液滴を吐出し印字する本発明におけるヘッドモジュール51を含む画像形成ユニット5と、印刷終了後又は所要のタイミングで画像形成ユニット5の各記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構であるクリーニング装置6と、クリーニング装置6を開閉する搬送ガイド部7と、画像形成ユニット5のヘッドモジュール51にインクを供給するインクタンクユニット8と、インクタンクユニット8にインクを供給するメインタンクユニット9とを備えている。
【0020】
装置本体1は、図示しない前後側板及びステーなどで構成されており、給紙トレイ2上に積載されている用紙Pは、分離ローラ21及び給紙ローラ22によって1枚ずつ搬送ユニット4に給紙される。
【0021】
搬送ユニット4は、搬送駆動ローラ41Aと搬送従動ローラ41Bと、これらのローラ41A、41B間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。この搬送ベルト43の表面には複数の図示しない穴が形成されており、搬送ベルト43の下部には用紙Pを吸引する吸引ファン44が配置されている。また、搬送駆動ローラ41A、搬送従動ローラ41B上部には、それぞれ搬送ガイドローラ42A、42Bが図示しないガイドに保持されて、自重にてベルト43に当接している。
【0022】
搬送ベルト43は、搬送駆動ローラ41Aが図示しないモータにより回転されることで周回移動し、用紙Pは搬送ベルト43上に吸引ファン44により吸い付けられ、搬送ベルト43の周回移動によって搬送される。なお、搬送従動ローラ41B、搬送ガイドローラ42A、42Bは搬送ベルト43に従動して回転する。
【0023】
搬送ユニット4の上部には用紙Pに印字する液滴を吐出する複数のヘッドモジュール51で構成される画像形成ユニット5が矢示A方向(及び逆方向)に移動可能に配置されている。この画像形成ユニット5は、維持回復動作時(クリーニング時)にはヘッドクリーニング装置6上方まで移動され、画像形成時には図1の位置に戻される。
【0024】
画像形成ユニット5は、図3に示すように、複数のヘッド101をモジュールベース53上に一列に配列したヘッド列を構成するヘッドモジュール51A、51B、51C、51D(区別しないときは「ヘッドモジュール51」という。)を、ヘッドモジュール51Aと51B間、51Cと51D間で千鳥状配置になるように、用紙搬送方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿って並べて共通のアレイベース部材52上に配置された記録ヘッドユニット(マルチアレイヘッド)50を備えている。なお、ヘッドモジュール51には各ヘッド101にインクを分配する分配部材54が一体的に備えられている。
【0025】
ここで、1つのヘッド101は、図4に示すように、液滴を吐出する複数のノズル102をノズル面103に配列したノズル列102A、102Bを二列有している。そして、ヘッドモジュール51A、51Bの2つのノズル列の一方でイエロー(Y)の液滴を、他方でマゼンタ(M)の液滴を吐出し、また、ヘッドモジュール51C、51Dの2つのノズル列の一方でシアン(C)の液滴を、他方でブラック(K)の液滴を吐出する。
【0026】
つまり、この画像形成ユニット5の記録ヘッドユニット50は、同じ色の液滴を吐出する2つのヘッドモジュール51が用紙搬送方向に並べて配置され、2つのヘッドモジュール51で用紙幅相当の1列分のノズル列が構成されている構成としている。
【0027】
なお、記録ヘッドユニット50の構成は上記の例に限るものではなく、図5に示すように、1つのモジュールベース部材53に複数のヘッド101を千鳥状に配置してヘッドモジュール51を構成し、4個のヘッドモジュール51を共通のアレイベース部材52上に用紙搬送方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿って配列した構成とすることもできる。また、図6に示すように、全色分のヘッド101をアレイベース部材52上に千鳥状に配列し、かつ、用紙搬送方向(ノズル配列方向と直交する方向)に沿って配列した構成とすることもできる。
【0028】
この画像形成ユニット5の上流側にはインクタンクユニット8のインクタンク81(図示の都合上1つのインクタンクのみ符号を付している。)が配置され、供給チューブ82を介して各ヘッドモジュール51に供給され、インクタンク81とヘッドモジュール51との水頭差によりヘッドモジュール51の各ヘッド101に対する負圧が形成される。このインクタンクユニット8は画像形成ユニット5とともに矢示A方向に移動可能に配置されている。なお、インクタンク81からヘッドモジュール51に対する供給チューブ82は分かり易くするためヘッドモジュール51の上方から接続して状態で図示しているが、実際にはヘッドモジュール51の長手方向(用紙搬送方向と直交する方向)の端部に接続される。
【0029】
さらに、インクタンク81の上流側にはメインタンクユニット9が配置され、メインタンク91から供給チューブ92を介してインクがインクタンク81に供給される。
【0030】
搬送ユニット4の下流側には用紙Pを排紙トレイ3に排紙する搬送ガイド部7が設けられている。搬送ガイド部7の搬送ガイド板71にて案内されて搬送される用紙Pは排紙トレイ3に排紙される。排紙トレイ3は、用紙Pの幅方向を規制する対のサイドフェンス31と用紙Pの先端を規制するエンドフェンス32を備えている。
【0031】
維持回復機構(ヘッドクリーニング装置)6は、画像形成ユニット5の記録ヘッドユニット50全体をキャッピングする保湿用キャップ部材61と、2列のヘッドモジュール51の6個分のヘッド101をそれぞれキャッピングする6個の千鳥状に配置された吸引用キャップ(部材)63と、各吸引用キャップ63に接続された吸引手段である吸引ポンプ64などを有する吸引用キャップユニット62とを備えている。なお、吸引用キャップユニット62にはヘッド101のノズル面を払拭するワイパ部材なども備えているが図示を省略している。
【0032】
この画像形成装置においては、印刷終了後、液滴を吐出するヘッドモジュール51の各ヘッド101のノズル面を吸引用キャップユニット62のキャップ63でキャッピングした状態でノズル102からインクを吸引する場合、あるいは、ヘッドモジュール51の各ヘッド101のノズル面に付着したインクをワイピング部材で清掃する場合は、図1にも示すように、印刷停止後、搬送ユニット4全体が搬送従動ローラ41Bを支点に矢印B方向に回動し、画像形成ユニット5との間の空間を画像形成時よりも大きくすることで、画像形成ユニット5の移動スペースを確保するようにしている。このとき、ヘッドクリーニング装置6上部に配置されている搬送ガイド部7の搬送ガイド板71も支点72にて矢印C方向上方に回動され、ヘッドクリーニング装置6の上方が開放される。
【0033】
そして、搬送ユニット4と搬送ガイド部7がそれぞれ解放(解除)された後に、画像形成ユニット5が用紙通紙方向(矢示A方向)に移動し、ヘッドクリーニング装置6上方で停止され、吸引用キャップユニット62のキャップ63が上昇して2つのヘッドモジュール51のヘッド101からの吸引及び図示しないワイパ部材による清掃を行い、その後画像形成ユニット5が移動して残りの2つのヘッドモジュール51のヘッド101についても同様に吸引及び払拭を行う。
【0034】
また、印刷動作が終了し、待機状態になるときには、画像形成ユニット5がヘッドクリーニング装置6上方に移動して、保湿用キャップ部材61が上昇して記録ヘッドユニット50のアレイベース部材52に当接して記録ヘッドユニット50のヘッド101を一括して全体をキャッピングする。
【0035】
このように、記録ヘッドユニット全体を覆う保湿用キャップ部材と、記録ヘッドユニットの一部のヘッド列の各ヘッドをキャッピングする吸引用キャップ部材を有する吸引用キャップユニットとを備えることで、維持回復機構の構成が簡単になり、小型化を図れる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について図7ないし図11を参照して説明する。なお、図7は同実施形態の説明に供する維持回復機構(ヘッドクリーニング装置)の吸引時の平面説明図、図8は同じく図7の正面説明図、図9は同じく保湿時の平面説明図、図10は同じく図9の正面説明図、図11は同じく他の吸引位置での図7の正面説明図である。
ここでは、前述した図6で説明した構成の記録ヘッドユニット50を使用している。ヘッドクリーニング装置6は、前述した第1実施形態と同様に、記録ヘッドユニット50全体をキャッピングする保湿用キャップ部材61と、一部(ここでは2列分)のヘッド列のヘッド101をそれぞれキャッピングするキャップ63及び吸引ポンプ64を有する吸引用キャップユニット62とを備えている。
【0037】
保湿用キャップ部材61は、記録ヘッドユニット50のアレイベース部材52に当接して記録ヘッドユニット50の全てのヘッド101を覆うようにキャップする。つまり、保湿用キャップ61のニップ位置はヘッド101のノズル面ではなく、ヘッド101を取り付けたアレイベース部材(ヘッド取付けベース部材)52である。保湿用キャップ部材61は、少なくともアレイベース部材52に当接するニップ部61aが弾性を有する部材で形成されている。また、この保湿用キャップ部材61は、例えば、カム65によって上下動される。
【0038】
吸引用キャップユニット62は、キャップホルダ66にばね67を介して吸引用キャップ62が保持され、キャップホルダ66がユニットベース部材68に対してカム69によって上下動される。吸引用キャップ63は、個々のヘッド101のノズル面103に当接してキャッピングする。この例では、記録ヘッドユニット50が2列のノズル列で1色分の液滴を吐出する構成であるので、吸引用キャップユニット62で吸引を行うのは1色分の6個のヘッド101である。
【0039】
この実施形態においても、吸引動作を行うときには、図7及び図8に示すように、画像形成ユニット5を移動して記録ヘッドユニット50の2つのヘッド列を吸引用キャップユニット62に対向する位置にして、吸引用キャップユニット62のカム69を回転駆動して吸引用キャップ62を上昇させ各ヘッド101をキャッピングする。その後、吸引ポンプ64を駆動してヘッド101のノズル102からインクを吸引する。そして、図9にも示すように、画像形成ユニット50を移動して残りのヘッド列についても同様な吸引動作を繰り返す。
【0040】
また、保湿動作を行うときには、図10及び図11に示すように、画像形成ユニット5を移動して記録ヘッドユニット50を保湿用キャップ部材61に対向する位置にして、カム65を回転駆動して保湿用キャップ部材61を上昇させ、保湿用キャップ部材61のニップ部61aをアレイベース部材52に当接させて記録ヘッドユニット50の全てのヘッド101を覆うようにキャップする。
【0041】
この実施形態においても、記録ヘッドユニットのすべてのヘッドについて個々に保湿用キャップ部材を備える場合に比べて構成が簡単になる。
【0042】
次に、本発明の第3実施形態について図12を参照して説明する。なお、図12は同実施形態の説明に供する維持回復機構の吸引時の正面説明図である。
この実施形態では、2つの吸引用キャップユニット62A、62Bを備え、4列分のヘッド列に属するヘッド101を吸引用キャップ63でキャッピングして吸引動作を行うことができるようにしている。この例では、記録ヘッドユニット50が2列のノズル列で1色分の液滴を吐出する構成であるので、吸引用キャップユニット62A、62Bで吸引を行うのは2色分の12個のヘッド101である。
【0043】
このように構成しても、記録ヘッドユニットのすべてのヘッドについて個々に保湿用キャップ部材を備える場合に比べて構成が簡単になる。
【0044】
次に、本発明の第4実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同実施形態の説明に供する維持回復機構の待機時の正面説明図、図14は同じく保湿時の正面説明図である。
保湿用キャップ部材61は、昇降機構(カム65など)を含めて、吸引用キャップユニット62及び搬送ベルト43の下方に位置する待機位置と、吸引用キャップユニット62の用紙搬送方向下流側で記録ヘッドユニット50をキャッピングする保湿位置(キャップ位置)との間で水平方向(矢示D方向)及び上下方向(矢示E方向)に移動可能に配置している。
【0045】
つまり、保湿用キャップ部材61は保湿のみの機能を有することから構成がシンプルとなるため、保湿用キャップ部材61の配置、移動が容易となる。そこで、保湿用キャップ部材61を使用しないとき(未使用時)には、搬送ユニット4の下部に待機させることができ、維持回復装置の小型化が可能となる。
【0046】
次に、本発明の第5実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は同実施形態の説明に供する維持回復機構の保湿時の正面説明図、図16は同じく吸引時の正面説明図である。
保湿用キャップ部材61の内部に凹み部61bを形成し、この凹み部61b内に吸引用キャップユニット62を格納している。そして、保湿時には、図15に示すように、吸引用キャップユニット62のキャップ63を下降させた状態とし、吸引時には、図16に示すように、吸引用キャップユニット62のキャップ63を下降させた状態として記録ヘッドユニット50のヘッド101をキャッピングしながら吸引動作を行う。
【0047】
このように、吸引用キャップユニット62を保湿用キャップ部材61内に格納することによって、維持回復装置の一層の小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例の全体構成を説明する側面概略説明図である。
【図2】同じく要部平面説明図である。
【図3】ヘッドモジュールの説明図である。
【図4】ヘッドの説明図である。
【図5】ヘッドモジュールの他の例を示す説明図である。
【図6】記録ヘッドユニットの他の例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態の説明に供する維持回復機構の吸引時の平面説明図である。
【図8】同じく図7の正面説明図である。
【図9】同じく保湿時の平面説明図である。
【図10】同じく図9の正面説明図である。
【図11】同じく他の吸引位置での図7の正面説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態の説明に供する維持回復機構の吸引時の正面説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態の説明に供する維持回復機構の待機時の正面説明図である。
【図14】同じく保湿時の正面説明図である。
【図15】本発明の第5実施形態の説明に供する維持回復機構の保湿時の正面説明図である。
【図16】同じく吸引時の正面説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1…装置本体
4…搬送ユニット(搬送部)
5…画像形成ユニット
6…ヘッドクリーニング装置(維持回復機構)
7…搬送ガイド部
8…インクタンクユニット
9…メインタンクユニット
50…記録ヘッドユニット
51…ヘッドモジュール
61…保湿用キャップ部材
62…吸引用キャップユニット
63…吸引用キャップ
64…吸引ポンプ
101…ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のヘッドが千鳥状に配列されたヘッド列を、ヘッド配列方向と直交する方向に複数列配置した記録ヘッドユニットと、
前記記録ヘッドユニット全体を覆う保湿用キャップ部材と、
前記記録ヘッドユニットの一部のヘッド列の各ヘッドをキャッピングする吸引用キャップ部材を有する吸引用キャップユニットと、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドユニットは、前記ヘッドを一列にモジュールベース部材上に並べて配置した複数のヘッドモジュールが、前記ヘッドがヘッドモジュール間で千鳥状に配列される状態で共通のアレイベース部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドユニットは、前記ヘッド列がモジュールベース部材上に配置された複数のヘッドモジュールが、共通のアレイベース部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保湿用キャップは、未使用時には前記吸引用キャップユニットの下方で待機し、使用時に前記吸引用キャップユニットを避けて保湿位置に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸引用キャップユニットは、前記保湿用キャップ部材内に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−58268(P2010−58268A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223024(P2008−223024)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】