説明

画像形成装置

【課題】画像処理モジュールによる画像処理の優先度に応じて、画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定して、装置全体におけるデータバスへのアクセスのバランスを保持することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】バスクロック信号CLK2に同期してデータの転送を行うデータバス10と、動作クロック信号CLK1に同期して画像処理及びデータバス10へのアクセスを行う画像処理モジュール1と、画像処理モジュール1が行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュール1がデータバス10へアクセスする優先度を判定する優先度判定手段80と、優先度判定手段80による優先度に応じて、動作クロック信号CLK1の周波数を設定する設定手段9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、画像処理モジュールによる画像処理の優先度に応じて、画像処理モジュールによる画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定して、装置全体におけるデータバスへのアクセスのバランスを保持することができる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置、イメージスキャナ、コピー機などの画像形成装置の中には、複数の画像処理手段を画像処理モジュールに備えることで、回路規模を縮小した画像形成装置が存在する。例えば、特許文献1において、スキャナシステム及びプリンタシステムを画像処理部が有している画像形成装置が提案されている(特許文献1;図1)。
【0003】
この種の画像形成装置では、スキャナシステムは、原稿を読み取って入力画像を一旦メインメモリに記憶させ、その後、入力画像に一定の画像処理を施し、画像処理後の入力画像を出力画像として出力させるか、メモリやハードディスクなどに保存させる。
【0004】
また、プリンタシステムは、メインメモリに一旦記憶された入力画像にスキャナシステムとは異なる一定の画像処理を施し、画像処理後の入力画像を印刷させる。
【特許文献1】特開2006−166251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の画像形成装置では、画像処理部は、供給される動作クロック信号に同期して、画像処理及びデータバスへのアクセスを行って、データバスに対してアドレスデータ及び入力画像を転送させ、メインメモリやハードディスクなどの記憶手段への入力画像の書き込み及び読み出しを行う。
【0006】
また、データバスは、供給されるバスクロック信号に同期してアドレスデータ及び入力画像を転送するようにされており、このようなアドレスデータ及び入力画像の転送能力はバスクロック信号の周波数により一義的に決定されている。
【0007】
データバスの転送能力は、先述したように、バスクロック信号の周波数により一義的に決定されているので、画像処理部及びその他のモジュールの動作クロック信号の周波数は、バスクロック信号の周波数の大きさを超えない範囲内で設定されている。
【0008】
しかしながら、動作クロック信号の周波数が、バスクロック信号の周波数の大きさを超えない範囲内で設定されていても、画像処理部を含む種々のモジュールの各々がデータバスへアクセスした時点で、他の種々のモジュールが既にデータバスへアクセスしてデータバスの転送能力が限界に達しようとしているような状態では、新たなアドレスデータ及び入力画像を転送させることができない事態が生ずる。 以下、このような状態を「アクセスの競合」と呼ぶ。その際には、例えば、以下の問題が生じる。
【0009】
すなわち、画像処理部は、先述のように、スキャナシステム及びプリンタシステムを備えており、例えば、スキャナシステムが原稿を読み取りメインメモリに記憶させる際には、原稿を読み取る処理は予め線速度が設定されているため、設定された線速度で原稿を読み取るためには、データバスへのアクセスを、他のモジュールに対して優先させる必要がある。
【0010】
一方、プリンタシステムがメインメモリに記憶された入力画像を画像処理し、画像処理された入力画像をメモリやハードディスクに記憶させる際には、メインメモリに記憶された入力画像の読み出し、及び、画像処理された入力画像のメモリやハードディスクへの記憶を行う処理は、予め線速度が設定されていないため、データバスへのアクセスを、他のモジュールに対して優先させる必要は特にない。
【0011】
しかしながら、画像処理部は、スキャナシステムとプリンタシステムとに共有されているので、両者のいずれで使用するかにかかわらず、常に、動作クロックが一定である。そのため、消費電力がかさむ他、データバスへのアクセスを他のモジュールに優先するような動作クロックが設定されている際には、画像処理部のユースケースにかかわらず、データバスの使用権が他のモジュールに回りにくくなり、装置全体の動作バランスが悪化する。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、画像処理モジュールによる画像処理の優先度に応じて、画像処理モジュールによる画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定して、装置全体におけるデータバスへのアクセスのバランスを保持することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明の画像処理装置は、バスクロック信号に同期してデータの転送を行うデータバスと、動作クロック信号に同期して画像処理及び前記データバスへのアクセスを行う画像処理モジュールと、前記画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、前記画像処理モジュールが前記データバスへアクセスする優先度を判定する優先度判定手段と、前記優先度判定手段による前記優先度に応じて、前記動作クロック信号の周波数を設定する設定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、優先度判定手段が、画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュールがデータバスへアクセスする優先度を判定し、その優先度に応じて、設定手段が、画像処理モジュールの動作クロック信号の周波数を設定する。そのため、画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュールによる画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定して、装置全体におけるデータバスへのアクセスのバランスを保持することができ、装置全体における動作バランスが向上する。
【0015】
請求項2に記載の発明の画像形成装置は、請求項1に記載の発明の画像形成装置であって、前記設定手段は、前記優先度判定手段が前記優先度を低く判定するほど、前記動作クロック信号の周波数を減少させることを特徴とする。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、設定手段が、画像処理モジュールによる画像処理の優先度が低いほど、動作クロック信号の周波数を減少させる。そのため、画像処理モジュールによる画像処理の優先度が低いほどデータバスへのアクセス頻度が、動作クロックの周波数を減少させない場合に比べて小さくなり、消費電力の抑制ができる他、他のモジュールのデータバスへのアクセスの競合の頻度が、動作クロック信号の周波数を減少させない場合に比べて小さくなり、他のモジュールに対してデータバスの使用権が回りやすくなる。
【0017】
請求項3に記載の発明の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記設定手段は、前記動作クロック信号を所定の分周比で分周することにより、前記動作クロックの周波数を減少させる分周手段を備えることを特徴とする。そのため、簡易な構成で、画像処理モジュールの動作クロックの周波数を減少させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記設定手段は、前記動作クロック信号のクロックパルスのうち、所定の数のクロックパルスを所定のクロックパルス数間隔でマスク処理することにより、前記動作クロックの周波数を減少させるマスク処理手段を備えることを特徴とする。そのため、簡易な構成で、画像処理モジュールの動作クロックの周波数を減少させることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、優先度判定手段が、画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュールがデータバスへアクセスする優先度を判定し、その優先度に応じて、設定手段が、画像処理モジュールの動作クロック信号の周波数を設定するため、画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュールによる画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定して、装置全体におけるデータバスへのアクセスのバランスを保持することができ、装置全体における動作バランスが向上する。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、設定手段が、画像処理モジュールによる画像処理の優先度が低いほど、動作クロック信号の周波数を減少させるため、画像処理モジュールによる画像処理の優先度が低いほどデータバスへのアクセス頻度が、動作クロックの周波数を減少させない場合に比べて小さくなり、消費電力の抑制ができる他、他のモジュールのデータバスへのアクセスの競合の頻度が小さくなり、他のモジュールに対してデータバスの使用権が回りやすくなる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、設定手段は、動作クロック信号を所定の分周比で分周することにより、動作クロックの周波数を減少させる分周手段を備えるため、簡易な構成で、画像処理モジュールの動作クロックの周波数を減少させることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、設定手段は、動作クロック信号のクロックパルスのうち、所定の数のクロックパルスを所定のクロックパルス数間隔でマスク処理することにより、動作クロックの周波数を減少させるマスク処理手段を備えるため、簡易な構成で、画像処理モジュールの動作クロックの周波数を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。 図1に示す画像形成装置Aにおいて、画像処理モジュール1は、複数の機能ブロック2〜4を備えており、機能ブロック2〜4の各々は、外部クロック信号CLKを、必要に応じ所定の分周比で分周することにより生成した動作クロック信号CLK1の供給を受けて、画像処理及びデータバス10へのアクセスを行う。
【0024】
そして、画像処理モジュール1において、機能ブロック2〜4は、以下のブロックとされている。
【0025】
スキャナブロック2は、原稿を読み取って画像データ(以下、入力画像という)を生成し、シェーディング、マスキング処理、ガンマ補正、エッジ強調、スムーシング、色変換などの画像処理を行い、その後、圧縮処理を行ってメモリ6又はハードディスク7に記憶させる機能を備える。そのため、スキャナブロック2は、CCD20、画像処理部21、圧縮部22を備える。
【0026】
プリンタブロック3は、メモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像を伸長し、伸長された入力画像に対して、マトリクス演算、ガンマ補正、誤差拡散などの画像処理を行って、印字出力する機能を備える。そのため、プリンタブロック3は、伸長部30、画像処理部31、印字部32を備える。
【0027】
FAXブロック4は、メモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像に対して、傾き補正、ノイズ除去などの画像処理を行い、その後、圧縮してFAX送信する機能、及び、受信した入力画像を伸長して、傾き補正、ノイズ除去などの画像処理を行い、その後、圧縮してメモリ6又はハードディスク7に記憶させる機能、を備える。そのため、FAXブロック4は、FAX送受信部40、伸長部41、画像処理部42、圧縮部43を備える。
【0028】
また、画像形成装置Aにおいて、画像処理モジュール1の他に、表示モジュール5が設けられている。この表示モジュール5は、外部クロック信号CLKの供給を受けて、メモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像を読み出し、伸長し、表示する機能を備える。そのため、表示モジュール5は、伸長部50、表示部51を備える。
【0029】
データバス10は、画像処理モジュール1、メモリ6、ハードディスク7が接続されており、アドレスデータADを転送するアドレスバス及び入力画像DAを転送するデータバスを含んでおり、バスクロック信号CLK2に同期して、アドレスデータAD及び入力画像DAを転送するように構成されている。
【0030】
そのため、データバス10は、画像処理モジュール1のアクセスを受け付け、画像処理モジュール1から出力されたアドレスデータADをメモリ6又はハードディスク7へ転送することができる。また、データバス10は、画像処理モジュール1から出力された入力画像DAをメモリ6又はハードディスク7に転送し、メモリ6又はハードディスク7に対して、画像処理モジュール1から出力されたアドレスデータADで示された番地(アドレス)に記憶させることができる。
【0031】
また、データバス10は、メモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像DAのうち、画像処理モジュール1から出力されたアドレスデータADで示された番地から読み出し、画像処理モジュール1へ転送することができる。
【0032】
また、データバス10には、表示モジュール5が接続されており、外部クロックCLKの供給を受けて、メモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像DAを伸長し、液晶パネルなどに表示する機能を備える。そのため、表示ブロック5は、伸長部50、表示部51を備える。
【0033】
この表示モジュール5も、画像処理モジュール1と同様に、アドレスデータDAを転送することで、入力画像DAをメモリ6又はハードディスク7から読み出し、読み出した入力画像DAを伸長し、表示する。
【0034】
制御部8は、図示しないコントロールバス(例えば、CPUバス)を通じて画像処理モジュール1に接続されており、画像処理モジュール1が行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュール1がデータバス10へアクセスする優先度を判定する。尚、優先度判定部80による具体的な判定手法については後述する。
【0035】
設定部9は、優先度判定部80により判定された優先度に応じて、動作クロック信号CLK1の周波数を設定する。そのため、設定部9は、外部クロック信号CLKを所定の分周比で分周することにより動作クロック信号CLK1を生成する分周回路90を備えている。尚、分周回路90は、公知の分周回路で構成することができ、例えば、フリップフロップ回路を使用した2分周回路、3分周回路などで構成することができる。
【0036】
図2は、画像処理モジュール1の動作クロックCLK1と、データバス10のバスクロックCLK2との相関関係を示す図であり、図2(a)は動作クロックCLK1の周波数が減少していない状態の一例を示し、図2(b)は動作クロックCLK1の周波数が減少している状態の一例を示す。
【0037】
図2(a)は、動作クロック信号CLK1の周波数が50MHz、バスクロック信号CLK2の周波数が100MHzである状態を示しており、動作クロック信号CLK1が1サイクル供給されている間に、バスクロック信号CLK2が2サイクル供給されている。
【0038】
図2(b)は、動作クロック信号CLK1の周波数を、図2(a)に示す動作クロック信号CLK1の周波数の2分の1にした25MHzであり、バスクロック信号の周波数が100MHzのままの状態を示しており、動作クロック信号CLK1が1サイクル供給されている間に、バスクロック信号CLK2が4サイクル供給されている。
【0039】
このように、動作クロック信号CLK2の周波数を2分の1にすることにより、動作クロック信号CLK1が1サイクル供給される間に供給されるバスクロック信号CLK2のサイクル数が大きくなるので、画像処理モジュール1がデータバス10へ転送するアドレスデータ及び入力画像の量が減り、代わりに、他のモジュールがデータバス10へ転送できるアドレスデータ及び入力画像の量が増加する。そのため、他のモジュールのデータバス10の使用権に空きを確保することができる。
【0040】
また、動作クロック信号CLK1の周波数を減少させる手法は、先述のように分周回路90により分周する手法の他、外部クロック信号CLKのクロックパルスをマスク処理する手法も考えられる。そのため、分周回路22の代わりに、マスク処理回路91を設けることが考えられる。
【0041】
図3は、マスク処理回路の回路構成の一例を示す図である。
【0042】
図3において、マスク処理回路91は、2つの入力端子を有したANDゲート92と、NOTゲート93とで構成されており、ANDゲート92の一方の入力端子T1にはNOTゲート93で反転されたマスク信号sigが入力され、他方の入力端子T2にはクロックパルスが入力されるようになっている。ここに、マスク信号sigは、ハイレベル(以下、Hレベルという)でクロックパルスのマスク処理を要求する信号である。
【0043】
このようなマスク処理回路91において、マスク信号sigがローレベル(以下、Lレベルという)でありクロックパルスのマスク処理を要求していない場合には、NOTゲート93の入力端子T4はLレベルであるので、NOTゲート93の出力端子T5はHレベルとなり、ANDゲート92の入力端子T1の電圧レベルがHレベルとなる。
【0044】
このように、マスク信号sigがLレベルである場合には、ANDゲート92の入力端子T1の電圧レベルが常時Hレベルとなっているので、ANDゲート92の出力端子T3から出力されるクロックパルスの電圧レベルは、ANDゲート92の入力端子T2に入力されるクロックパルスの電圧レベルによって一義的に決定される。
【0045】
一方、マスク処理回路91において、マスク信号sigがHレベルでありクロックパルスのマスク処理を要求している場合には、NOTゲート93の入力端子T4はHレベルであるので、NOTゲート93の出力端子T5はLレベルとなり、ANDゲート92の入力端子T1の電圧レベルがLレベルとなる。
【0046】
このように、マスク信号sigがHレベルである場合には、ANDゲート92の入力端子T1の電圧レベルが常時Lレベルとなっているので、ANDゲート92の出力端子T3から出力されるクロックパルスの電圧レベルは、ANDゲート92の入力端子T2に入力されるクロックパルスの電圧レベルがHレベルかLレベルかにかかわらず、Lレベルとされる。
【0047】
このように、マスク処理回路91は、マスク信号sigがHレベルで入力されている場合には、ANDゲート92から出力されるクロックパルスの電圧レベルがLレベルとされるので、マスク信号sigを所定サイクルおきに所定回数入力するだけで、動作クロック信号CLK1の周波数を設定することができ、簡易な構成で設定部9を設けることができる。
【0048】
図4は、動作クロック信号CLK1の周波数を設定する処理の一例を説明するためのフローチャートを示している。
【0049】
優先度判定部80は、制御部8が、画像処理モジュール1及び表示モジュール5、その他のモジュールへ処理を行わせるための制御信号を出力した際には、以下のような処理を行う。
【0050】
優先度判定部80は、前記画像処理が、線速度が予め設定されている画像処理であるか、線速度が予め設定されていない画像処理であるかを判定する。例えば、スキャニングを行うか(ステップS1)、印字を行うか(ステップS2)を判定する。
【0051】
そして、スキャニングを行うと判定した際、(ステップS1;YES)、又は、印字を行うと判定した際(ステップS2;YES)には、これら各々の処理には先述したように線速度が予め設定されているから、設定部9による外部クロックCLKの分周比を1にする(ステップS3)。すなわち、外部クロックCLKの周波数がそのまま動作クロックCLK1の周波数に設定され、画像処理モジュール1が外部クロック信号CLKと同じ周波数を有する動作クロック信号CLK1の供給を受けて、スキャニング又は印字を行う。
【0052】
尚、線速度が予め設定されている処理を行う際には、外部クロックCLKを逓倍した動作クロック信号CLK1を生成すれば、画像処理モジュール1が他のモジュールよりも優先してデータバス10へアクセスでき、画像処理モジュール1の処理性能が向上する。
【0053】
ここに、「スキャニング」とは、スキャナブロック2がCCD20により原稿を読み取って画像データ(入力画像)を生成し、メモリ6へ1ライン毎に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、画像処理部21がメモリ6に記憶された入力画像を読み出して画像処理を施して再度メモリに記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、圧縮部22がメモリ6に記憶された入力画像を読み出して圧縮し、メモリ6又はハードディスク7へ記憶させる処理のことをいう。
【0054】
また、「印字」とは、伸長部30がメモリ6又はハードディスク7に記憶された入力画像を読み出して伸長し、これをメモリ6へ1ライン毎に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、画像処理部31がメモリ6に記憶された入力画像を読み出して画像処理を施して再度メモリ6へ記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、印字部32がメモリ6に記憶された入力画像を読み出して印字出力する処理のことをいう。
【0055】
また、優先度判定部80は、制御部8が、スキャニング、印字のいずれでもなく、予め線速度が設定されていない処理を行わせるための制御信号を出力する際には以下の処理を行う。この際、優先度判定部80により判定される優先度は、制御部8が、予め線速度が設定されている処理を行わせるための制御信号を出力する際に比べて低い。
【0056】
すなわち、優先度判定部80は、制御部8が、予め線速度が設定されていない処理を行わせるための制御信号を2以上出力したか否かを判定する(ステップS4)。
【0057】
そして、前記制御信号を2以上出力したと判断できない際には(ステップS4のNO)、設定部9による外部クロックCLKの分周比を4分の3にする(ステップS5)。すなわち、外部クロックCLKの周波数の4分の3の周波数が動作クロックCLK1の周波数に設定され、画像処理モジュール1が外部クロック信号CLKの4分の3の周波数を有する動作クロック信号CLK1の供給を受けて、処理を行う。
【0058】
ここに、処理としては、画像編集、PC送信、FAX受信が考えられる。
【0059】
「画像編集」とは、図示しない画像編集ブロックが、ハードディスク7に記憶された入力画像を読み出して伸長してメモリ6へ記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して画像編集を行い、再度メモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して圧縮し、ハードディスク7に記憶させる処理のことをいう。
【0060】
また、「PC送信」とは、図示しないPC送信ブロックが、ハードディスク7に記憶された入力画像を読み出して伸長してメモリ6へ記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して画像処理を行い、再度メモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して圧縮し、画像形成装置Aに付加接続されているパーソナルコンピュータへ送信する処理のことをいう。
【0061】
また、「FAX受信」とは、FAX受信ブロック4が、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して伸長してメモリ6へ記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して画像処理を行い、再度メモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して圧縮し、電話回線を通じて送信する処理のことをいう。
【0062】
また、優先度判定部80は、前記制御信号を2以上出力したと判断した際には(ステップS4のYES)、以下の処理を行う。この際、優先度判定部80は、制御部8が、制御信号を2以上出力していない際に比べて優先度を低く判定する。
【0063】
すなわち、優先度判定部80は、FAX受信処理を行わせるための制御信号を含むか否か判断する(ステップS6)。ここに、FAX受信処理を行わせるための制御信号を含むか否か判断する理由は、FAX受信処理を他の処理に優先して行わせたいことが考えられるからである。例えば、FAX受信処理と、他のモジュールにより行われるハードディスク7に記憶されている入力画像の回転処理とを同時に行わせる場合(FAX受信中にハードディスク7に記憶された入力画像を回転させる場合)であって、FAX受信処理を優先させたいことが考えられる。
【0064】
優先度判定部80は、FAX受信処理を行わせるための制御信号を含むと判断した際には(ステップS6のYES)、ユーザによるFAX受信を優先させる操作を受け付け(ステップS7のYES)、その後、設定部9による外部クロックCLKの分周比を2分の1にする(ステップS9)。すなわち、外部クロックCLKの周波数の2分の1の周波数が動作クロックCLK1の周波数に設定され、画像処理モジュール1が外部クロック信号CLKの2分の1の周波数を有する動作クロック信号CLK1の供給を受けて、FAXブロック4によりFAX受信処理を行う。
【0065】
尚、このように、図示したフローチャートにおいて、外部クロックCLKの分周比を2分の1にすること(ステップS9)は、FAX受信した入力画像を表示する処理を行わない場合(ステップS8のNO)に限られる。
【0066】
このように、優先度判定部80は、FAX受信処理を優先すべきと判断した際には、画像処理モジュール1が、外部クロック信号CLKの2分の1の周波数を有する動作クロック信号CLK1の供給を受けて、FAX受信処理を行うので、FAX受信処理を他の処理(ここではハードディスク7に記憶されている入力画像の回転処理)に優先して行うことができる。
【0067】
ここに、ハードディスク7に記憶されている入力画像の回転処理とは、他のモジュールが、ハードディスク7に記憶されている入力画像を読み出して伸長してメモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して回転させてメモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して圧縮しハードディスク7へ記憶させる処理のことをいう。
【0068】
また、優先度判定部80は、FAX受信処理を行わせるための制御信号を含むと判断した場合であって(ステップS6のYES)、FAX受信した入力画像を表示する処理を行わせるための制御信号を含むと判断した際には(ステップS8のYES)、ユーザによるFAX受信した画像を優先的に表示させる操作を受け付け(ステップS10のYES)、その後、設定部9による外部クロックCLKの分周比を4分の1にする(ステップS11)。すなわち、外部クロックCLKの周波数の4分の1の周波数が動作クロックCLK1の周波数に設定され、画像処理モジュール1が外部クロック信号CLKの4分の1の周波数を有する動作クロック信号CLK1の供給を受けて、FAXブロック4によりFAX受信処理を行う。
【0069】
ここに、FAX受信した入力画像を表示する処理とは、表示モジュール5において、ハードディスク7に記憶された入力画像を読み出して伸長してメモリ6に記憶させ、数ライン分記憶させることができれば、メモリ6に記憶された入力画像を読み出して表示する処理のことをいう。
【0070】
また、線速度が設定されていない処理としては、前記した処理以外に、画像処理モジュール1が行う画像処理として、メモリ送信処理及び送信予約処理が考えられる。
【0071】
メモリ送信処理は、原稿から読み取って生成した画像データを一旦メモリ6へ保存してから送信する処理をいい、画像データをメモリ6へ保存してから送信する際には、画像処理モジュール1の動作クロック信号CLK1の周波数を小さくすることが考えられる。このように、画像データをメモリ6へ保存してから送信する際に、動作クロック信号CLK1の周波数が小さくなれば、画像処理モジュール1がメモリ送信処理を行うのに要する消費電力が抑制される。
【0072】
一方、送信予約処理は、読み取った原稿の画像データを一旦メモリ6へ保存しておき、指定時間が到来した際には、メモリ6へ保存された画像データを送信する処理をいい、画像データをメモリ6へ保存してから指定時間が到来するまでの間は、画像処理モジュール1の動作クロック信号CLK1の周波数を小さくすることが考えられる。このように、画像データをメモリ6へ保存してから指定時間が到来するまでの間、動作クロック信号CLK1の周波数が小さくなれば、画像処理モジュール1が送信予約処理を行うのに要する消費電力が抑制される。
【0073】
このように、優先度判定部80は、画像処理モジュール1が行う画像処理の内容に応じて優先度を判定し、判定した優先度に応じた周波数を有する動作クロック信号CLK1を設定部9により生成させるため、画像処理モジュール1が行う画像処理の内容に応じて、画像処理モジュール1による画像処理及びデータバスへのアクセス頻度を設定することができ、画像形成装置A全体における動作バランスが向上する。
【0074】
また、優先度判定部80は、画像処理モジュール1が行う画像処理が、他のモジュールが行う処理よりも優先度が低い場合には、動作クロック信号CLK1の周波数を減少させることができるので、消費電力の抑制ができる他、他のモジュールのデータバス10の使用権を十分に確保することができ、他のモジュールがデータバス10へアクセスして行う処理を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【図2】画像処理モジュールの動作クロックと、データバスのバスクロックとの相関関係を示す図であり、図2(a)は動作クロックの周波数が減少していない状態の一例を示し、図2(b)は動作クロックの周波数が減少している状態の一例を示す。
【図3】マスク処理回路の回路構成の一例を示す図である。
【図4】動作クロック信号の周波数を設定する処理の一例を説明するためのフローチャートを示している。
【符号の説明】
【0076】
A 画像形成装置
1 画像処理モジュール
80 優先度判定部
9 設定部
90 分周回路
91 マスク処理回路
10 データバス
CLK1 動作クロック信号
CLK2 バスクロック信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスクロック信号に同期してデータの転送を行うデータバスと、
動作クロック信号に同期して画像処理及び前記データバスへのアクセスを行う画像処理モジュールと、
前記画像処理モジュールが行う画像処理の内容に応じて、前記画像処理モジュールが前記データバスへアクセスする優先度を判定する優先度判定手段と、
前記優先度判定手段による前記優先度に応じて、前記動作クロック信号の周波数を設定する設定手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記優先度判定手段が前記優先度を低く判定するほど、前記動作クロック信号の周波数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記動作クロック信号を所定の分周比で分周することにより、前記動作クロックの周波数を減少させる分周手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記動作クロック信号のクロックパルスのうち、所定の数のクロックパルスを所定のクロックパルス数間隔でマスク処理することにより、前記動作クロックの周波数を減少させるマスク処理手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−62984(P2010−62984A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228231(P2008−228231)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】