説明

画像形成装置

【課題】本発明は、原稿ジャムによって発生した無効用紙がステープル等の後処理部に搬送されることを防止して利用性の向上を図った画像形成装置に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、原稿Gを読み取り部60に搬送して該原稿Gを読み取る途中で原稿ジャムが発生して、該原稿ジャムによって、給紙部10から画像形成部20に搬送して画像形成する用紙Pに画像形成が未完了の無効用紙Pが発生すると、該無効用紙Pの後処理部40への搬送を規制する無効用紙搬送制御処理を実行する。したがって、原稿Gにジャムが発生した場合に、後処理部40に搬送されて、後処理部40の画像形成済みの用紙Pと混在することを安価にかつ適切に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳細には、原稿ジャム発生等の画像形成中止によって発生した無効シート状部材を後処理部での後処理対象から適切に除外する画像形成装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ装置等の画像形成装置は、多機能化してきており、大量の画像を記憶する記憶装置を備えた画像形成装置が主流となってきているとともに、画像形成装置の多機能化に伴って、画像形成された用紙等のシート状部材(以下、用紙という。)に対して後処理を施す後処理装置も、その機能が多機能化してきている。この後処理装置としては、ステープル処理、折り処理、綴じ処理等の種々の後処理を行う装置がある。
【0003】
一方、原稿の画像を読み取り部で読み取って、該読み取った原稿の画像を画像形成部で用紙に画像形成する画像形成装置においては、画像形成の処理速度を向上させるために、一般的に、原稿の画像の読み取りが完了する前に、画像形成部に給紙部から該原稿の画像を形成するための用紙の搬送を先出しする状態で開始する。
【0004】
そして、後処理装置を備えている画像形成装置は、原稿にジャムが発生すると、この先送りしている用紙が画像形成されずに白紙等の無効用紙となるが、該無効用紙に対する後処理の対策が重要となる。
【0005】
また、このような無効用紙は、プリンタ装置において、所定ページの画像データの画像を画像形成するための用紙の搬送が開始されてから、操作表示部やホスト装置から該画像形成の中止を指示する中止命令が入って、該画像形成を中止した場合にも発生する。
【0006】
そこで、従来、原稿を読み取り部に搬送して読み取り、該原稿の画像を記録するために用紙を給紙部から画像形成部に先出ししている場合に、該読み取り部での読み取りが完了する前に、該原稿に途中でジャムが発生すると、該先出しして画像の形成されない白紙の用紙を、仕分け用に設けられた複数のビントレイのうち空いているビントレイに排出して、該ビントレイから該用紙が取り除かれるまで複写動作を禁止する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、従来、原稿ジャムが検出されると、画像形成動作を停止させるとともに、画像形成されていない用紙を収納し再給紙可能状態とする再給紙手段を設けた画像形成装置が提案されている(特許文献2参照)。この画像形成装置では、再給紙手段として、通常の給紙部とは別に、再給紙部を設け、該再給紙部に原稿ジャム発生時の白紙を収納して、復帰時に該再給紙部から次の画像形成のための用紙として画像形成部に搬送するようにしている。
【0008】
【特許文献1】特許第3556421号公報
【特許文献2】特開平4−344660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術にあっては、安価にかつ利用性を向上させる上で、改良の必要があった。すなわち、上記特許文献1記載の従来技術にあっては、後処理機である仕分け機の空いているビントレイに白紙の用紙を排出しているため、後処理機に複数の排紙トレイがある場合には、この従来技術を適用することができるが、排紙トレイが1つしかない場合には、適用することができず、汎用性を向上させる上で、改良の必要があるとともに、この従来技術を適用するためには、複数の排紙トレイと排紙を選択する機構が別に必要となって、コストが高くつくこととなり、改良の必要があった。
【0010】
また、特許文献2記載の従来技術にあっては、原稿ジャム発生時の用紙の待避と再利用のために、専用の再給紙手段を設ける必要があり、コストが高くつくとともに、画像形成装置が大型化するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、画像形成中止理由によって発生した画像形成未完了の無効シート状部材が後処理手段に搬送されることを、安価にかつ適切に防止する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、所定の画像形成中止理由によって、搬送手段で画像形成手段に搬送して画像形成するシート状部材に、画像形成未完了の無効シート状部材が発生すると、該画像形成手段で画像形成された複数枚のシート状部材を纏めて所定の後処理を施す後処理手段への該無効シート状部材の搬送を規制する搬送制御処理を実行することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、原稿搬送手段によって読み取り手段に原稿を搬送して該読み取り手段で読み取る際に、該搬送中の原稿停止の発生を画像形成中止理由として、前記搬送制御処理を実行することを特徴としてもよい。
【0014】
さらに、本発明は、前記画像形成手段で片面に画像形成済みの前記シート状部材を表裏反転させて該画像形成手段に搬送する反転手段を、備えていて、前記搬送制御処理として前記無効シート状部材を該反転手段に搬送することを特徴としてもよい。
【0015】
また、本発明は、前記搬送制御処理として、前記無効シート状部材の搬送先として、前記後処理手段または該後処理手段及び前記反転手段以外の別の搬送先を検索し、該別の搬送先があるときには、該別の搬送先に該無効シート状部材を搬送することを特徴としてもよい。
【0016】
さらに、本発明は、前記後処理手段が、前記後処理として、複数枚のシート状部材を束ねて綴じるステープル処理を実行することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像形成中止理由によって発生した画像形成未完了の無効シート状部材が後処理手段に搬送されることを、安価にかつ適切に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0019】
図1〜図3は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を適用した複写装置、複合装置等の画像形成装置1の正面概略構成図である。
【0020】
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2内に、下部から用紙給紙部10、画像形成部20、定着部30、後処理部40、排紙トレイ50、読み取り部60、原稿搬送部70が順次設けられており、画像形成装置1の本体筐体2内には、用紙給紙部10から画像形成部20を通って定着部30に至る用紙搬送路80が形成されている。
【0021】
本体筐体2の側面に、両面ユニット(反転手段)90が連結されており、両面ユニット90は、反転部91と両面搬送路92が形成されている。両面ユニット90には、側面排紙トレイ93と手差しトレイ94が設けられており、側面排紙トレイ93には、一旦反転部91に送り込まれた用紙(シート状部材)Pが表裏面反転されて排出される。両面ユニット90内には、反転部91の入口部分に配設された用紙センサ95、両面ユニット90から本体筐体2の用紙搬送路80に送り出される用紙Pを検出する用紙センサ96等が取り付けられており、これらの用紙センサ95、96の検出結果に基づいて、画像形成部20で片面に画像形成された用紙Pを一旦反転部91に送り込んだ後に両面搬送路92を通して表裏反転させた用紙Pを画像形成部20の用紙搬送路80に送り出す反転処理、画像形成部20で画像形成された用紙Pを反転部91で反転させて側面排紙トレイ93上に排出する反転排出処理及び手差しトレイ94にセットされた用紙Pを画像形成部20の用紙搬送路80に送り出す手差し給紙処理を行う。
【0022】
用紙給紙部10には、複数(図1では、2個)の給紙トレイ11a、11bが設けられていおり、各給紙トレイ11a、11bには、それぞれ異なる紙サイズの用紙Pを複数枚収納可能である。用紙給紙部10は、各給紙トレイ11a、11bの収納する用紙Pを、それぞれ送り出しローラ12a、12bによって、最上段の用紙Pから1枚ずつ分離して送り出し、該送り出された用紙Pを、送給ローラ13a、13bによってそれぞれ用紙搬送路80に送給する。また、用紙給紙部10は、各給紙トレイ11a、11bにセットされている用紙Pを用紙有無センサ14a、14bで検出する。
【0023】
画像形成部(画像形成手段)20は、複数のローラ21に張り渡された転写ベルト22、該転写ベルト22に沿って並んで配置されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の4つの画像形成ユニット23Y、23M、23C、23K及び転写ローラ24等を備えており、各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、各色の感光体25Y、25M、25C、25Kの周囲に帯電部、露光部、現像部、一次転写部、除電部、クリーニング部等を備えている。画像形成部20は、転写ベルト22が、ローラ21の少なくとも1つが図示しない駆動モータによって回転駆動されることで、図1の反時計方向に回転搬送され、この搬送される転写ベルト22に、各色の画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kから各色のトナー画像を順次重ね合わせて転写することで、カラーのトナー画像を形成する。画像形成部20は、転写ベルト22上のトナー画像が転写ローラ24の位置に搬送されたときに、転写ローラ24により、該タイミングにあわせて転写ベルト22と転写ローラ24との間に用紙搬送路80上を搬送されてきた用紙Pに転写する。
【0024】
用紙搬送路80には、複数の搬送ローラ81、82、レジストローラ83及び各給紙トレイ11a、11bから送り出されてきた用紙Pを検出する用紙センサ(例えば、反射型フォトセンサ)84、85及びレジストローラ83に搬送される用紙Pを検出するレジストセンサ86が配設されている。用紙搬送路80では、用紙給紙部10の各給紙トレイ11a、11bから送り出されてきた用紙P及び手差しトレイ94から送り出されてきた用紙Pを搬送ローラ81、82によって順次搬送してレジストローラ83に搬送し、この用紙給紙部10の各給紙トレイ11a、11bから送り出されてきた用紙Pをそれぞれ対応する位置の用紙センサ84、85で検出し、また、手差しトレイ94から送り出される用紙Pを両面ユニット90の用紙センサ96で検出する。
【0025】
そして、画像形成装置1は、用紙搬送路80上をレジストローラ83に搬送される用紙Pがレジストセンサ86で検出して、転写ベルト22上のトナー画像とタイミングを合わせて、レジストローラ83を駆動させて、用紙Pを転写ローラ24と転写ベルト22との間に搬送する。
【0026】
画像形成部20は、上記用紙搬送路80上を搬送されてきた用紙Pに転写ベルト22上のトナー画像を転写ローラ24によって転写し、該トナー画像の転写を行いつつ用紙Pを定着部30に搬送する。
【0027】
定着部30は、所定の定着温度に加熱され回転駆動される定着ローラ31と加圧ローラ32、定着後の用紙Pを後処理部40に送り出す後処理側用紙経路33と両面ユニット90に送り出す両面側用紙経路34及び後処理側用紙経路33を通して後処理部40に送り出す用紙Pを検出する用紙センサ35等を備えている。定着部30は、画像形成部20でトナー画像の形成された用紙Pを加熱しつつ搬送してトナー画像を用紙Pに定着させ、用紙経路を、後処理側用紙経路33と両面側用紙経路34のいずれかに切り替えて、該用紙Pを後処理部40または両面ユニット90に送り出す。
【0028】
後処理部(後処理手段)40は、定着部30で定着の完了した用紙Pに対して各種後処理、例えば、ステープル処理やシフト処理を施して、排紙トレイ50上に排出する。後処理部40は、画像形成装置1の本体筐体2内に設けられており、ステープル処理を行う場合には、指定されたステープル枚数の用紙Pを後処理部40内に順次載置して、指定された枚数の用紙Pが溜まると該複数枚の用紙Pを纏めて綴じるステープル処理を施して、排紙トレイ50上に排出する。
【0029】
読み取り部(読み取り手段)60は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したラインイメージスキャナ等が用いられており、上部に原稿搬送部70が設けられている。原稿搬送部(原稿搬送手段)70は、複数枚の原稿Gがセットされる原稿台71と、読み取り部60で画像の読み取られた原稿Gが排出される原稿排紙部72及び原稿台71の原稿Gを1枚ずつ読み取り部60の読み取り位置に搬送して読み取り部60で画像の読み取られた原稿Gを原稿排紙部72に排紙する原稿搬送部73等を備えている。読み取り部60は、原稿搬送部70によって読み取り位置に搬送されてきた原稿Gを走査し、原稿Gの画像を所定の解像度で読み取る。
【0030】
そして、画像形成装置1は、図2に示すように、メイン制御部100、操作表示部101、画像記憶部102、用紙搬送部103を備えているとともに、上記読み取り部60、原稿搬送部70及び画像形成部20等を備えており、読み取りb60、原稿搬送部70及び画像形成部20は、メイン制御部100の制御下で、上記の動作処理を行う。
【0031】
メイン制御部(搬送制御手段)100は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM内には、画像形成装置1の基本制御プログラム及び本発明の無効用紙搬送制御処理(搬送制御処理)を伴う画像形成制御処理を実行する画像形成制御プログラムが格納されている。メイン制御部100は、CPUがROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ画像形成装置1の各部を制御して画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、無効用紙搬送制御処理を伴う画像形成制御処理を実行する。すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の無効用紙搬送制御方法の実行を伴う画像形成制御方法を実行する画像形成制御プログラムを読み込んでメイン制御部100のROM等に導入することで、後述する原稿ジャム発生等を画像形成中止理由として発生する無効用紙Pを後処理部40へ搬送するのを抑制する無効用紙搬送制御方法を伴う画像形成制御方法を実行する画像形成装置として構築されている。この画像形成制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0032】
操作表示部(選択手段、報知手段)101は、テンキーやスタートキー及びファンクションキー等の各種操作キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を備えている。操作表示部101は、その操作キーから、ソートコピー操作、ステープルコピー操作等の各種命令が入力操作され、そのディスプレイには、入力操作された命令内容や画像形成装置1からオペレータに通知する各種情報、特に、後述する無効用紙搬送制御処理においてオペレータに通知する各種メッセージ等を表示する。
【0033】
画像記憶部102は、大容量のRAMやハードディスク等が用いられ、読み取り部60の読み取った原稿の画像データや図示しない通信部を介してコンピュータ等のホスト装置から受信した画像データ等を格納する。
【0034】
用紙搬送部103は、メイン制御部100の制御下で、用紙給紙部10及び用紙搬送路80のローラ12a、12b、13a、13b81〜83の駆動及び両面ユニット90のローラの駆動を制御して、用紙Pの搬送を制御する。したがって、用紙搬送部103及び用紙搬送路80は、全体として搬送手段として機能している。
【0035】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、画像形成中止理由によって発生した白紙等の無効用紙Pが後処理部40へ搬送されることを防止する無効用紙搬送制御処理を伴う画像形成制御処理を行う。特に、本実施例の画像形成装置1は、原稿Gを読み取った画像を画像形成した後に後処理を行う画像形成処理の実行中に、原稿ジャムの発生を画像形成中止理由として、無効用紙Pが発生すると、該無効用紙Pを後処理の対象から除外する無効用紙搬送制御処理を伴う画像形成制御処理を行う。
【0036】
まず、用紙Pの片面に画像形成して後処理としてステープル処理を行う場合の画像形成装置1の処理動作について説明する。画像形成装置1は、操作表示部101で片面コピー設定とステープル設定が操作されてスタートキーが押下されると、メイン制御部100の制御下で、原稿搬送部70が、原稿台71の原稿Gを1枚ずつ読み取り部60に搬送して読み取り部60で原稿Gの画像を読み取って、画像記憶部102に記憶するとともに、用紙搬送部103によって用紙給紙部10のいずれかの給紙トレイ11a、11bまたは手差しトレイ94から用紙Pをレジストローラ83まで搬送する。メイン制御部100は、画像記憶部102に記憶した画像データを画像形成部20に渡して、画像形成部20は、該画像データに基づいて画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kの露光部から各色の感光体25Y、25M、25C、25Kに静電潜像を形成してトナー画像を形成し、該各色の画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kのトナー画像を順次重ね合わせて転写ベルト22に転写することで、カラーのトナー画像を形成する。メイン制御部100は、転写ベルト22上のトナー画像が転写ローラ24の位置に搬送されるタイミングにあわせて、レジストローラ83を駆動させて、用紙Pを転写ベルト22と転写ローラ24との間に搬送し、転写ローラ24によって転写ベルト22上のトナー画像を用紙Pに転写させる。メイン制御部100は、用紙搬送部103を制御して、画像形成部20で画像形成された用紙Pを定着部30に搬送し、定着部30でトナー画像を用紙Pに定着させて、後処理側用紙経路33を通して後処理部40に送り出す。後処理部40は、メイン制御部100の制御下で、該定着の完了した用紙Pを、ステープル設定で設定されている用紙枚数になるまで後処理部40内に順次重ね合わせて載置し、メイン制御部100は、上記片面画像形成を順次繰り返し行って、後処理部40の用紙枚数が設定用紙枚数になると、後処理部40にステープル処理を行わせて、ステープル処理の行われた用紙束を排紙トレイ50上に排出させる。
【0037】
次に、用紙Pの両面に画像形成して後処理としてステープル処理を行う場合の画像形成装置1の処理動作について説明する。画像形成装置1は、操作表示部101で両面コピー設定とステープル設定が操作されてスタートキーが押下されると、メイン制御部100の制御下で、原稿搬送部70が、原稿Gを1枚ずつ読み取り部60に搬送して読み取り部60で原稿Gの画像を読み取って、画像記憶部102に記憶するとともに、用紙搬送部103によって用紙給紙部10の給紙トレイ11a、11bまたは手差しトレイ94から用紙Pをレジストローラ83まで搬送する。メイン制御部100は、画像記憶部102に記憶した画像データを画像形成部20に渡して、画像形成部20は、該画像データに基づいて上記同様に転写ベルト22にトナー画像を形成し、該転写ベルト22上のトナー画像を転写ベルト22と転写ローラ24との間に搬送されてきた用紙Pに転写させる。メイン制御部100は、用紙搬送部103を制御して、画像形成部20で画像形成された用紙Pを定着部30に搬送し、定着部30でトナー画像を用紙Pに定着させて、両面側用紙経路34を通して両面ユニット90に送り込む。両面ユニット90は、送り込まれてきた片面にトナー画像の形成された用紙Pを一旦反転部91に送り込んだ後に両面搬送路92を通して表裏反転させて画像形成部20の用紙搬送路80に送り出す反転処理を行う。画像形成部20は、両面ユニット90で表裏反転された用紙Pに上記同様に画像形成して、定着部30に送り出し、定着部30は、該両面に画像形成された用紙Pを定着させて、後処理側用紙経路33を通して後処理部40に送り出す。後処理部40は、上記同様に、メイン制御部100の制御下で、該定着の完了した用紙Pを、ステープル設定で設定されている用紙枚数になるまで後処理部40内に順次重ね合わせて載置し、メイン制御部100は、上記両面画像形成を順次繰り返し行って、後処理部40の用紙枚数が設定用紙枚数になると、後処理部40にステープル処理を行わせて、ステープル処理の行われた用紙束を排紙トレイ50上に排出させる。
【0038】
また、画像形成装置1は、側面排紙トレイ93への排紙を行う場合、上記同様に、片面画像形成または両面画像形成を行った用紙Pを定着部30で定着させた後、両面側用紙経路34を通して両面ユニット90の反転部91に一旦送り込み、該反転部91で反転させた後、側面排紙トレイ93に排紙する。
【0039】
ところが、画像形成装置1は、読み取り部60での原稿Gの読み取りが完了する前に、原稿搬送部70や読み取り部60で原稿Gの搬送が停止する原稿ジャムが発生したり、画像形成中止操作が操作表示部101で指示操作されたり、外部のホスト装置から画像形成中止コマンドが入力されると、該画像形成中止理由の発生によって、既に用紙給紙部10から該原稿Gの画像を形成するために先出しによって搬送の開始されている用紙Pに画像形成部20で画像の形成を行うことができないため、白紙等の無効用紙Pとなるが、後処理部40で行う後処理のうち、無効用紙Pが混入すると該無効用紙Pを取り除いて再度同様の後処理を手作業等で行う必要のある後処理、例えば、指定された枚数ずつ(例えば、複数部数画像形成する場合の外部の枚数ずつ)纏めて綴じるステープル処理を伴う画像形成を行う場合、後処理を行う用紙Pに無効用紙Pが混入すると、該無効用紙Pを取り除いて再度同様の後処理を手作業で行う必要があり、利用性が悪いとともに、画像形成処理の生産性が悪化する。
【0040】
そこで、画像形成装置1は、図3に示すように、原稿を読み取った画像を画像形成してステープル処理を実行中に原稿ジャム等の画像形成中止理由が発生して、白紙等の無効用紙Pが発生すると、該無効用紙Pをステープル処理の対象から除外する無効用紙搬送制御処理を行う。なお、以下の説明では、原稿ジャムの発生を画像形成中止理由とする場合について説明するが、その他の画像形成中止理由、例えば、上記操作表示部101による画像形成中止操作やホスト装置からの画像形成中止コマンドの入力等を画像形成中止理由とする場合にも、同様に適用することができる。
【0041】
すなわち、画像形成部20は、図3に示すように、原稿Gを読み取った画像を画像形成している途中に原稿ジャムが発生すると(ステップS101)、メイン制御部100が、ステープル排紙を行う設定になっているかチェックし(ステップS102)、ステープル処理を行う設定になっていないときには、そのまま無効用紙Pを排紙トレイ50または側面排紙トレイ93に排紙して、無効用紙搬送制御処理を終了する(ステップS103)。なお、このステープル排紙を行うか否かの設定は、上述のように、操作表示部101のコピー操作時に、ユーザがコピー目的に応じて適宜設定し、メイン制御部100は、該ステープル廃止を行うか否かの設定内容を内部メモリまたは画像記憶部102等に保存して、利用する。
【0042】
ステップS102で、ステープル処理を行う設定となっているときには、メイン制御部100は、両面ユニット90の反転部91に無効用紙Pを搬送する設定となっているかチェックし(ステップS104)、反転部91に搬送する設定となっているときには、両面ユニット90の反転部91に用紙Pがあるかチェックする(ステップS105)。なお、この反転部91に無効用紙Pを搬送する否かの設定は、例えば、操作表示部101の操作で、ユーザが適宜設定することができ、メイン制御部100は、該設定内容を内部メモリまたは画像記憶部102等に保存して、利用する。
【0043】
ステップS105で、両面ユニット90に用紙Pがないときには、メイン制御部100は、用紙Pの排紙先を両面ユニット90の反転部91に切り替え(ステップS106)、無効用紙Pを両面ユニット90の反転部91に搬送して、該反転部91に保管させると(ステップS107)、排紙先変更メッセージを表示する設定となっているかチェックする(ステップS108)。ステップS108で、排紙先変更メッセージを表示する場合には、メイン制御部100は、排紙先変更メッセージ、例えば、「反転部に無効紙排紙」等を操作表示部101のディスプレイに表示して、無効用紙搬送制御処理を終了する(ステップS109)。ステップS108で、排紙先変更メッセージを表示しない設定であるときには、メイン制御部100は、排紙先変更メッセージの表示を行うことなく、無効用紙搬送制御処理を終了する。なお、この排紙先変更メッセージの表示を行うか否かの設定は、例えば、操作表示部101の操作で、ユーザが適宜設定することができ、メイン制御部100は、排紙先変更メッセージの表示要否設定内容を内部メモリまたは画像記憶部102等に保存して、利用する。
【0044】
ステップS104で、反転部91に無効用紙Pを搬送する設定となっていないとき、または、反転部91に無効用紙Pを搬送する設定となっていてもステップS105で、両面ユニット90の反転部91に用紙Pがあるときには、メイン制御部100は、反転部91に無効用紙Pを搬送することができないため、別の排紙先を検索し(ステップS110)、別の排紙先があるかチェックする(ステップS111)。
【0045】
ステップS111で、別の排紙先があるときには、メイン制御部100は、該別の排紙先(本実施例の画像形成装置1では、例えば、側面排紙トレイ93)に無効用紙Pを排紙して、無効用紙搬送制御処理を終了する(ステップS112)。なお、この場合、排紙先変更メッセージを、排紙先変更メッセージの要否の設定に応じて、表示するか否か制御するようにしてもよい。
【0046】
ステップS111で、別の排紙先がないときには、メイン制御部100は、ステープル排紙、すなわち、後処理部40に排紙する設定となっているかチェックする(ステップS113)。この後処理部40に排紙するか否かの設定は、操作表示部101の操作で、ユーザが適宜設定することができ、メイン制御部100は、後処理部40に排紙するか否かの設定内容を内部メモリまたは画像記憶部102等に保存して、利用する。
【0047】
ステップS113で、後処理部40に排紙する設定のときには、メイン制御部100は、無効用紙Pを後処理部40に排紙して(ステップS114)、無効紙混在メッセージを表示する設定となっているかチェックし(ステップS115)、無効紙混在メッセージを表示する場合には、無効紙混在メッセージ、例えば、「ステープル束に無効紙が混在しています」等を操作表示部101のディスプレイに表示して、無効用紙搬送制御処理を終了する(ステップS116)。ステップS115で、無効紙混在メッセージを表示しない設定であるときには、メイン制御部100は、無効紙混在メッセージの表示を行うことなく、無効用紙搬送制御処理を終了する。なお、この無効紙混在メッセージの表示を行うか否かの設定は、例えば、操作表示部101の操作で、ユーザが適宜設定することができ、メイン制御部100は、無効紙混在メッセージの表示要否設定内容を内部メモリまたは画像記憶部102等に保存して、利用する。
【0048】
ステップS113で、後処理部40に排紙する設定(ステープル排紙設定)でないときには、メイン制御部100は、無効用紙Pをレジスト部、すなわち、レジストローラ86の部分に停止させ(ステップS117)、用紙ジャムとして処理して無効用紙搬送制御処理を終了する(ステップS118)。
【0049】
このように、本実施例の画像形成装置1は、所定の画像形成中止理由によって、用紙搬送部103で画像形成部20に搬送して画像形成する用紙Pに画像形成が未完了の無効用紙Pが発生すると、該無効用紙Pの後処理部40への搬送を規制する無効用紙搬送制御処理を実行している。
【0050】
したがって、画像形成中止理由が発生した場合に、画像形成中止理由によって発生した画像形成未完了の無効用紙Pが後処理部40に搬送されることを、安価にかつ適切に防止することができ、無効用紙Pが後処理部40の画像形成済みの用紙Pと混在することを、安価にかつ適切に防止することができる。その結果、後処理部40に画像形成済みの用紙Pに混在した無効用紙Pを取り除いて後処理させる手間を省いて、利用性を向上させることができる。また、画像形成装置が、本実施例の画像形成装置1のように、後処理部40が複数の排紙トレイを有していない胴内後処理部であるときだけでなく、複数の排紙トレイを有している外付けの後処理部を備えているときにも適用することができ、汎用性を向上させることができる。
【0051】
また、本発明は、原稿搬送部70によって読み取り部60に原稿Gを搬送して読み取り部60で原稿Gを読み取る際に、搬送中の原稿Gの停止の発生を画像形成中止理由として、画像形成が未完了の無効用紙Pが発生すると、該無効用紙Pの後処理部40への搬送を規制する無効用紙搬送制御処理を実行している。
【0052】
したがって、原稿Gにジャムが発生した場合に、無効用紙Pが後処理部40の画像形成済みの用紙Pと混在することを、安価にかつ適切に防止することができ、利用性を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、画像形成部20で片面に画像形成済みの用紙Pを表裏反転させて画像形成部20に搬送する両面ユニット90を備えており、無効用紙Pを該両面ユニット90の反転部91に搬送している。
【0054】
したがって、原稿Gのジャムが解消されて画像形成が再開されたときに、両面ユニット90の該無効用紙Pを画像形成部20に搬送して、画像形成させることができ、利用性をより一層向上させることができるとともに、用紙Pを有効利用することができる。
【0055】
また、本実施例の画像形成装置1は、無効用紙Pの搬送先として、後処理部40及び両面ユニット90以外の別の搬送先(排紙先)を検索し、該別の搬送先があるときには、該別の搬送先に無効用紙Pを搬送している。
【0056】
したがって、画像形成装置1が無効用紙Pの搬送先を有するときには、適切に該搬送先を検索して搬送することができ、汎用性、利用性を向上させることができる。
【0057】
この場合、別の搬送先としては、既に用紙Pが排出されていて空いていない搬送先を避けて、用紙Pが排出されておらず空いている搬送先を選択するようにしてもよい。このようにすると、無効用紙Pを適切に区別して、用紙Pの整理や利用性を向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、後処理部40が、後処理として、複数枚のシート状部材を束ねて綴じるステープル処理を実行する。
【0059】
したがって、原稿ジャムが発生したときに、ステープル束に無効用紙Pが混在することを適切に防止することができ、ステープル処理の適正化を図って利用性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施例の画像形成装置1は、無効用紙搬送制御処理の実行の有無を操作表示部101で選択可能とし、操作表示部101で無効用紙搬送制御処理の実行が選択されているときにのみ、該無効用紙搬送制御処理を実行している。
【0061】
したがって、ユーザの利用状況に応じて無効用紙搬送制御処理の実行を制御することができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0062】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、用紙搬送制御部103による無効用紙搬送制御処理の実行内容を操作表示部101のディスプレイ等に表示する等の方法で報知している。
【0063】
したがって、白紙等の無効用紙Pの搬送先が変更になっていることや搬送先をユーザが認識することができるようにして、該無効用紙Pの処理を適切に行えるようにすることができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0064】
なお、上記説明においては、電子写真方式で画像形成する画像形成装置に適用した場合について説明したが、画像形成方式は、電子写真方式に限るものではなく、原稿のジャム発生時に白紙等の無効のシート状部材が発生する画像形成方式の画像形成装置一般に適用することができる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、画像を画像形成したシート状部材(用紙)に後処理を実行する場合に画像形成の中止によって発生した無効シート状部材を後処理の対象外とする複写装置、複合装置等の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の正面概略構成図。
【図2】画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図3】無効用紙搬送制御処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
2 本体筐体
10 用紙給紙部
11a、11b 給紙トレイ
12a、12b 送り出しローラ
13a、13b 送給ローラ
14a、14b 用紙有無センサ
20 画像形成部
21 ローラ
22 転写ベルト
23Y、23M、23C、23K 画像形成ユニット
24 転写ローラ
25Y、25M、25C、25K 感光体
30 定着部
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 後処理側用紙経路
34 両面側用紙経路
35 用紙センサ
40 後処理部
50 排紙トレイ
60 読み取り部
70 原稿搬送部
80 用紙搬送路
81、82 搬送ローラ
83 レジストローラ
84、85 用紙センサ
86 レジストセンサ
90 両面ユニット
91 反転部
92 両面搬送路
93 側面排紙トレイ
94 手差しトレイ
95、96 用紙センサ
100 メイン制御部
101 操作表示部
102 画像記憶部
103 用紙搬送部
G 原稿
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいてシート状部材に画像を形成する画像形成手段と、シート状部材を該画像形成手段に搬送する搬送手段と、該画像形成手段で画像形成された複数枚のシート状部材を纏めて所定の後処理を施す後処理手段と、所定の画像形成中止理由によって該画像形成手段での画像形成が未完了の無効シート状部材が発生すると、該無効シート状部材の該後処理手段への搬送を規制する搬送制御処理を行う搬送制御手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、原稿の画像を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段へ原稿の搬送を行う原稿搬送手段と、を備え、前記搬送制御手段は、該読み取り手段または該原稿搬送手段での原稿停止を前記画像形成中止理由として、前記搬送制御処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記画像形成手段で片面に画像形成済みの前記シート状部材を表裏反転させて該画像形成手段に搬送する反転手段を、さらに備え、前記搬送制御手段は、前記搬送制御処理として前記無効シート状部材を該反転手段に搬送することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、前記搬送制御処理として、前記無効シート状部材の搬送先として、前記後処理手段または該後処理手段及び前記反転手段以外の別の搬送先を検索し、該別の搬送先があるときには、該別の搬送先に該無効シート状部材を搬送することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記後処理手段は、前記後処理として、複数枚のシート状部材を束ねて綴じるステープル処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記搬送制御処理を実行するか否か選択する選択手段を備え、前記搬送制御手段は、該選択手段で該搬送制御処理の実行が選択されているときにのみ、該搬送制御処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記搬送制御手段による前記搬送制御処理の実行内容を報知出力する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−66738(P2010−66738A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235816(P2008−235816)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】